JP2011071395A - スピン偏極キャリア生成素子およびスピン偏極キャリアの生成方法 - Google Patents

スピン偏極キャリア生成素子およびスピン偏極キャリアの生成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】大規模な装置を用いることなく、電流として流れない状態にスピン偏極キャリアが生成できるようにする。
【解決手段】半導体チャネル領域101と、半導体チャネル領域101にキャリアを生成させるキャリア生成部102と、半導体チャネル領域101に磁場強度が変化している磁場勾配を形成する磁場勾配印加部103とを備える。キャリア生成部102は、例えば、半導体チャネル領域101に導入した不純物である。半導体チャネル領域101の端部に、スピンの方向が確率的に一方に偏っている状態であるスピン偏極したキャリア(スピン偏極キャリア)を生成させることができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、スピン偏極キャリアを生成するスピン偏極キャリア生成素子素子およびスピン偏極キャリアの生成方法に関する。
次世代の技術として、半導体中のキャリアスピンを用いた半導体スピントロニクスと呼ばれる分野が注目されている。例えば、従来型の半導体デバイスに新たにスピン自由度を付加したスピンメモリやスピントランジスタ、さらには、スピンの持つ量子力学的性質を利用した量子演算素子など、次世代の素子の創出が期待されている。これらの技術の多くでは、スピンの方向が確率的に一方に偏っている状態であるスピン偏極したキャリアを、非磁性半導体中に存在させることが重要となる。
非磁性半導体中のキャリアスピンを揃える(偏極させる)技術としては、円偏光をもつレーザ光を照射する方法が古くから知られている(非特許文献1参照)。この方法は、半導体中のバンド間光学遷移において、光の偏光状態とキャリアのスピン状態とに依存した選択則が存在することを利用したものである。この方法では、円偏光を照射した領域内にスピン偏極したキャリアが生じる。
別の方法としては、強磁性体から非磁性半導体へのスピン注入(スピン偏極したキャリアの注入)を用いた方法がある。強磁性体から非磁性半導体へのスピン注入の実験に関しては、例えば、非特許文献2に報告されている。
また別の方法としては、半導体中でシュテルンゲルラッハの実験を再現することにより、輸送中の電子スピンを分離する方法が提案されている(非特許文献3参照)。
R.R. Parsons,"BAND-TO-BAND OPTICAL PUMPING IN SOLIDS AND POLARIZED PHOTOLUMINESCENCE", Physical Review Letters, vol.23, no.20, pp.1152-1154, 1969. Y. Ohno, et al. ,"Electrical spin injection in a ferromagnetic semiconductor heterostructure", Nature,vol.402, pp.790-792, 1999. J. Wrobel, et al. ,"Spin Filtering in a Hybrid Ferromagnetic-Semiconductor Microstructure", Physical Review Letters ,93(24), 246601 ,2004. J. Porter, et al. ,"Direct demonstration of the transverse Stern-Gerlach effect", Am. J. Phys. vol.71, no.11, pp.1103-1108, 2003. Y. K. Kato, et al. ,"Current-Induced Spin Polarization in Strained Semiconductors",PHYSICAL REVIEW LETTERS,vol.93, no.17, 176601, 2004.
しかしながら、まず、非特許文献1の方法では、大型のレーザ装置と集光用レンズ・偏光素子などの光学素子が必要になるため装置構成が大規模になってしまい、実際のデバイスに応用するのが難しいという問題がある。
また、非特許文献2の方法では、多くの場合において、強磁性体から非磁性半導体にキャリアが進入する際のスピン緩和が、注入後のキャリアのスピン偏極率を著しく低下させてしまうという問題があった。さらに、強磁性体からのスピン注入による方法では、スピン偏極したキャリア(スピン偏極キャリア)が電流として電極に流れてしまうため、個々のキャリアのスピン状態の時間変化が重要となる量子演算素子などへの応用には、不向きであるという問題がある。
また、非特許文献3の方法では、上述したスピン注入を用いた方法と同様に、スピン偏極キャリアが電流として流れてしまうため、個々のキャリアのスピン状態の時間変化が重要となる量子演算素子などへの応用には不向きであるという問題がある。
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、大規模な装置を用いることなく、電流として流れない状態にスピン偏極キャリアが生成できるようにすることを目的とする。
本発明に係るスピン偏極キャリア生成素子は、半導体からなる半導体チャネル領域と、この半導体チャネル領域にキャリアを生成させるキャリア生成手段と、半導体チャネル領域に磁場勾配を形成する磁場勾配印加手段とを少なくとも備える。
上記スピン偏極キャリア生成素子において、キャリア生成手段は、半導体チャネル領域に導入した不純物、不純物が導入されている半導体層、および半導体チャネルに対して光を照射する光照射手段少なくとも1つであればよい。また、半導体チャネルは、半導体量子井戸および半導体量子ドットの少なくとも1つを含む構造を備えていてもよい。また、半導体チャネル領域に生成されているキャリアの分布を制御するキャリア分布制御手段を備えるようにしてもよい。また、磁場勾配印加手段は、磁化された強磁性体から構成されたもの、もしくは、電流が流れる導体から構成されたものであればよい。
また、本発明に係るスピン偏極キャリアの生成方法は、半導体からなる半導体チャネル領域にキャリアを生成させるキャリア生成ステップと、半導体チャネル領域に磁場勾配を形成する磁場勾配印加ステップとを少なくとも備える。
上記スピン偏極キャリアの生成方法において、キャリア生成ステップでは、半導体チャネル領域に対する不純物の導入、不純物が導入されている半導体層の配置、もしくは半導体チャネルに対する光の照射により半導体チャネル領域にキャリアを生成させるようにすればよい。また、半導体チャネルは、半導体量子井戸および半導体量子ドットの少なくとも1つを含む構造を備えていてもよい。また、半導体チャネル領域に生成されているキャリアの分布を制御するキャリア分布制御ステップを備えるようにしてもよい。また、磁場勾配印加ステップでは、磁化された強磁性体、もしくは、電流が流れる導体により磁場勾配を形成すればよい。
以上説明したように、本発明によれば、半導体からなる半導体チャネル領域にキャリアを生成させ、半導体チャネル領域に磁場勾配を形成するようにしたので、大規模な装置を用いることなく、電流として流れない状態にスピン偏極キャリアが生成できるようになるという優れた効果が得られる。
本発明の実施の形態におけるスピン偏極キャリア生成素子の構成を示す構成図である。 z軸方向の磁場の強度がy軸に沿って一定の増加率で変化する磁場勾配の状態を示す説明図である。 半導体チャネル領域のz軸方向のスピン状態のキャリアが受ける力Fについて説明する説明図である。 スピン偏極状態を説明する斜視図である。 半導体チャネルの位置とスピン密度との関係を示す特性図である。 磁場勾配印加部の構成例を示す構成図である。 磁場勾配印加部の構成例を示す構成図である。 磁場勾配印加部の構成例を示す構成図である。 実施例1におけるスピン偏極キャリア生成素子の構成を示す斜視図である。 実施例2におけるスピン偏極キャリア生成素子の構成を示す斜視図である。 実施例3におけるスピン偏極キャリア生成素子の構成を示す斜視図である。
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。図1は、本発明の実施の形態におけるスピン偏極キャリア生成素子の構成を示す構成図である。本実施の形態におけるスピン偏極キャリア生成素子は、半導体チャネル領域101と、半導体チャネル領域101にキャリアを生成させるキャリア生成部102と、半導体チャネル領域101に磁場強度が変化している磁場勾配を形成する磁場勾配印加部103とを備える。キャリア生成部102は、例えば、半導体チャネル領域101に導入した不純物である。よく知られているように、半導体に不純物を導入することで、半導体中にキャリアが生成可能な状態とすることができる。
なお、キャリア生成部102は、半導体チャネル領域101に導入した不純物に限るものではなく、半導体チャネル領域101にキャリアが生成できるものであればよい。例えば、不純物が導入されている半導体層を配置することで、キャリア生成部102とすることができる。不純物が導入されている半導体層は、半導体チャネル領域101に接して配置してもよく、また、障壁層などの他の半導体層を介して配置してもよい。一例として、よく知られているように、半導体チャネル領域101に近設して形成された半導体層に変調ドープにより不純物を導入することで、半導体チャネル領域101にキャリアを生成させることができる。また、半導体チャネル領域101に対して光を照射することによっても半導体チャネル領域101にキャリアを生成させることができる。
このように構成したスピン偏極キャリア生成素子によれば、磁場勾配印加部103により形成された磁場勾配の方向における、半導体チャネル領域101に発生しているキャリアが分布している領域の端部に、スピンの方向が確率的に一方に偏っている状態であるスピン偏極したキャリア(スピン偏極キャリア)を生成させることができる。例えば、半導体チャネル領域101の全域に発生させたキャリアが分布し、図1の紙面左右方向に磁場勾配を形成する場合、半導体チャネル領域101の端部111および端部112に、スピン偏極キャリアを生成させることができる。また、この場合、端部111に生成するスピン偏極キャリアと、端部112に生成するスピン偏極キャリアとは、スピンの方向が異なる。
以下、スピン偏極キャリア生成の原理について説明する。なお、以下では、半導体チャネル領域101に、例えば、n型不純物が導入されてn型とされている(キャリアが電子)場合を例に説明するが、半導体チャネル101がp型とされている(キャリアが正孔)場合であっても同様に、正孔のスピン偏極を生成させることができることは言うまでもない。
まず、磁場の方向に平行および反平行な方向を向いたスピン状態の電子が受ける力Fは、以下の式(1)を用いて示すことができる(非特許文献4参照)。
Figure 2011071395
また、磁場勾配ベクトルは、キャリアのスピンのエネルギー勾配、すなわちスピンの状態に働く実効的な電場Eeffとして解釈できる。また、F=eEeffであるため、式(1)は、以下の式(2)に変形できる。なお、eは電荷素量である。
Figure 2011071395
スピンの向きが異なるキャリア(電子)は、力Fによって空間的に互いに反対方向に移動する。近年,このようにして生じるスピンの流れは、電荷の流れである「電流」に対して「スピン流」という新しい概念として注目されている。スピン流は、電流が無くても存在でき、半導体チャネル領域101端面などの境界においては、特定の方向のスピンのキャリアが貯まる「スピン蓄積」という現象が現れる。本発明は、これら「スピン流」と「スピン蓄積」とをもたらす力として、上記の磁場勾配のもとで式(1)により表される力Fを使うことにより、スピン偏極キャリアを得る有効な方法を提供するものである。
次に、スピン偏極キャリアの状態について説明する。
まず、図2Aの矢印に示すように、z軸方向の磁場の強度がy軸に沿って一定の増加率で変化する磁場勾配を想定する。図2Aにおいて、矢印の長さが、磁場の強度を示している。また、半導体チャネル領域として、キャリアとしての電子が、半導体中に2次元系に閉じ込められた状態とする。
このような半導体チャネル領域の、z軸方向のスピン、すなわち上向きスピンと下向きスピンのキャリアは、図2Bの白抜きの矢印に示すように、式(1)で表される力Fを受ける。
スピン流Jsを表す式は、拡散による流れと磁場勾配に起因する流れの和で表されることから、式(2)の実効電場を用いて以下の式(3)で示すことができる。
Figure 2011071395
ここで、Dはスピン拡散定数、μはスピン移動度、nは電子密度、sはスピン密度である。
また、上記sの時間微分は、連続の方程式にスピン緩和項を導入することにより、以下の(4)式で示すことができる。なお、τsは、スピン緩和時間である。
Figure 2011071395
式(3)と式(4)から、以下の式(5)に示す定常状態における拡散方程式が得られる。
Figure 2011071395
磁場の勾配が形成されている方向の半導体チャネル領域の長さをdとすると,境界条件「JS(y=±d/2)=0」のもとで、式(5)の解は、以下の式(6),(7),(8)に示すようになる。
Figure 2011071395
従って、図2Cの斜視図に示すように、半導体チャネル領域201の両端211,212から、上向きスピンのキャリア202、下向きスピンのキャリア203が蓄積したスピン偏極状態が現れる。また、半導体チャネルの位置(y)とスピン密度(Spin density)との関係を示す図2Dの特性図に示すように、スピン偏極状態は、半導体チャネル領域の端部より、距離LS程度の領域に現れる(最大スピン密度S0)。
以上に説明したように、本発明は、半導体からなる半導体チャネル領域にキャリアを生成させ、半導体チャネル領域に磁場勾配を形成することで、スピン偏極キャリアを生成するようにしたところに特徴がある。
ここで、最近の研究報告(非特許文献5)によると、0.01%のスピン偏極率は、光学的手法を用いて検出可能である。上で用いたスピン移動度μが半導体の一般的な移動度(1000−1,000,000cm2/Vs)の値を持ち、スピン拡散定数Dが、アインシュタインの関係式(D=μkT/e)で決まり、τs=100psと仮定すると、スピン偏極率0.01%以上のスピン偏極キャリアを生成するために必要な磁場勾配は、キャリアのスピンに対するエネルギー勾配に換算し、少なくとも0.01eV/m以上が必要である。0.01eV/mは、g因子が0.44のGaAsに対する磁場勾配で現すと、103T/mの大きさである。
なお、以上では,説明のため,半導体チャネル領域の端付近でのスピン偏極について説明したが、半導体チャネル領域の端でなくてもスピン流が抑制される箇所であれば同様にスピン偏極状態が現れる。例えば、ゲート電圧を印加するゲート電極などのキャリア分布制御手段を用い、半導体チャネル領域におけるキャリアの発生領域を制御すれば、制御したキャリア発生領域の端部が、「スピン流が抑制される箇所」となり、キャリア発生領域の端部に、スピン偏極キャリアを生成させることができる。このように、スピン偏極状態の発現では、キャリアを生成(分布)させる領域が重要となる。
上述した半導体チャネル領域におけるキャリアの分布に加え、次に説明するように、キャリアの分布に対応させて、磁場勾配が印加されているようにすることも重要となる。以下、磁場勾配印加部について説明する。磁場勾配は、微小な強磁性体や、導体に流す電流により発生できる。
例えば、図3Aに示すように、基板301の上の半導体チャネル層302の上に、保護層303を介して強磁性体304を配置する。強磁性体304は、半導体チャネル層302の表面(平面)に平行な方向(y軸方向)に磁場を発生する。この場合、半導体チャネル層302の平面の法線方向(z軸方向)の磁場強度が、強磁性体304より離れる方向(y軸方向)に沿って変化する磁場勾配(∂Bz/∂y)を、半導体チャネル層302に対して印加できる。
また、図3Bに示すように、基板311の上の半導体チャネル層312の端部の側部に強磁性体314を配置する。なお、半導体チャネル層312の表面は、保護層313で覆われている。この例においても、強磁性体314は、半導体チャネル層312の表面(平面)に平行な方向(y軸方向)に磁場を発生する。この場合、y軸方向の磁場強度が、半導体チャネル層312の平面方向(y軸方向)に沿って変化する磁場勾配(∂By/∂y)を、半導体チャネル層312に印加できる。
また、図3Cに示すように、基板321の上の半導体チャネル層322の端部の側部に導体324を配置してもよい。導体324は、半導体チャネル層322の端部が延在する方向に平行に配設されている。なお、半導体チャネル層322の表面は、保護層323で覆われている。この場合、導体324に電流を流すと、導体324を中心とした磁場が発生し、半導体チャネル層322の平面の法線方向(z軸方向)に磁場が印加される。また、導体324の中心より離れる方向(y軸方向)に向かって、z軸方向の磁場強度が変化する磁場勾配(∂Bz/∂y )が、半導体チャネル層322に印加される。
なお、上述したように電流を使う場合は、導体に電流を流すことにより発生するジュール熱が問題になることも考えられる。しかしながら、デューティー比を適当な値に設定したパルス電流を用いて電流が流れない時間を設けることにより、温度の上昇を抑制することができる。パルス電流を用いた場合は、電流の流れている時間内に、半導体チャネル層に対して磁場勾配を印加することができる。
上述したようにして磁場勾配を印加することで半導体チャネル領域に得られるスピン偏極領域を、スピン偏極キャリアが必要とされる部分に一致するように配置する構成は、スピン偏極キャリアを生成するのに有効な手法として用いることができる。
次に、実施例を用いてより詳細に説明する。
[実施例1]
はじめに、実施例1について説明する。図4は、実施例1におけるスピン偏極キャリア生成素子の構成を示す斜視図である。このスピン偏極キャリア生成素子は、GaAs基板401と、GaAs基板401の上に形成されたAl0.3Ga0.7Asからなる障壁層402と、障壁層402の上に形成されたGaAsからなる層厚20nmの井戸層403と、井戸層403の上に形成されたAl0.3Ga0.7Asからなる障壁層404とを備える。障壁層402,井戸層403,および障壁層404により量子井戸が構成されている。また、GaAs基板401の上には、障壁層402,井戸層403,および障壁層404の所定の領域を挟むように、金からなる導体層405および導体層406を備える。
量子井戸においては、障壁層404の側からの(障壁層404への)シリコンの変調ドープにより、井戸層403内にキャリアとして電子が存在している。実施例1では、この変調ドープにより不純物が導入された井戸層403以外の半導体層が、キャリア生成手段となる。キャリア密度としては、6×1010cm-2であり、移動度は4.2Kにおいて、1,000,000cm2/Vsである。また、量子井戸(井戸層403)内の電子スピン緩和時間は、温度4.2Kにおいて、200ps程度である。この実施例1では、導体層405および導体層406に挟まれた領域の井戸層403が半導体チャネル領域となる。また、実施例1では、半導体チャネル領域となる井戸層403の全域に、キャリアが分布しているものとなる。
障壁層402,井戸層403,障壁層404は、例えば、分子線エピタキシ法を用いて形成することができる。これらの層を形成した後に、例えば、公知のフォトリソグラフィー技術により、導体層405および導体層406を形成する領域が開放したレジストパターンを障壁層404の上に形成し、形成したレジストパターンをマスクとしてウエットエッチングにより溝を形成する。溝は、3μmの間隔で2本形成する。このようにして形成した溝に、真空蒸着により金を堆積することで、導体層405および導体層406が形成できる。導体層405および導体層406の形状は、半導体チャネル領域が形成される井戸層403の領域の中心面に対して面対称となるようにする。
上述したように形成した導体層405および導体層406に電流を流すことで、導体層405および導体層406の周囲に、磁場ベクトルの向きが井戸層404の平面に対して垂直な磁場を生成させることができる。実施例1では、導体層405および導体層406が、磁場勾配印加手段となる。この実施例1におけるスピン偏極キャリア生成素子を、クライオスタット内で4.2Kまで冷却し、導体層405および導体層406に、図4の紙面手前より奥への方向に、デューティー比10%のパルス電流(1A)を流す。このとき、電流の流れている時間内に、導体層405および導体層406の間の半導体チャネル領域に発生する磁場勾配は、106T/m程度である。このような磁場勾配の印加により、導体層405および導体層406の間の半導体チャネル領域には、導体層405および導体層406の各々の側の端部から、1μm程度の領域に、上向きスピンのスピン偏極キャリアと、下向きスピンのスピン偏極キャリアとを発生させることができる。発生したスピン偏極キャリアのスピン偏極率は、約20%である。
なお、上述したように、不純物の導入ではなく、光照射により導体層405および導体層406に挟まれた領域の井戸層403(半導体チャネル領域)に、キャリアが生成する状態とすることもできる。光照射によるキャリアの生成は、本実施例に限るものではなく、他の全ての場合に組み合わせて用いることが可能である。
[実施例2]
次に、実施例2について説明する。図5は、実施例2におけるスピン偏極キャリア生成素子の構成を模式的に示す断面図である。このスピン偏極キャリア生成素子は、GaAs基板501と、GaAs基板501の上に形成されたn型のGaAsからなるn型GaAs層502と、n型GaAs層502の上に形成されたi型のGaAsからなる障壁層503と、障壁層503の上に形成されたInAsからなる量子ドット層504と、量子ドット層504を覆うように形成されたi型のGaAsからなる障壁層505と、障壁層505の上に形成されたショットキー電極層506とを備える。
上述した各層は、分子線エピタキシー法により成長することで形成すればよい。この素子は、GaAs/InAs自己形成量子ドットが、p−iショットキーダイオード内部に埋め込まれた構造となっている。本実施例では、領域511における量子ドット層504が、キャリアが生成される半導体チャネル領域となる。
また、不純物が導入されているn型GaAs層502により、量子ドット層504にキャリアとしての電子を生成させることができる。この不純物が導入されている半導体層であるn型GaAs層502が、本実施例におけるキャリア生成手段となる。また、n型GaAs層502とショットキー電極層506との間に印加する電圧を変化させることで、半導体チャネル領域に生成しているキャリアとなる電子の数を制御できる。
また、所定の領域において、ショットキー電極層506からGaAs基板501にまで貫通する幅0.5μmの溝507を備える。溝507は、例えば、公知の電子線リソグラフィー技術により、溝507となる領域が開放したレジストパターンをショットキー電極層506の上に形成し、形成したレジストパターンをマスクとしてドライエッチングすることで形成できる。溝507により、スピン偏極キャリアを生成させることができる「端」が、キャリアが生成される半導体チャネル領域に形成された状態となる。
加えて、ショットキー電極層506の上に、Feからなる強磁性金属層508を備える。強磁性金属層508が、磁場勾配印加手段となる。強磁性金属層508は、溝507により分離された一方の領域に配置されている。また、上述した溝507により形成したスピン偏極キャリアを生じさせる「端」で、磁場勾配の大きさが最大となるように、強磁性金属層508を形成する。強磁性金属層508は、例えば、よく知られた蒸着法により形成することができる。また、強磁性金属層508は、形成した後に予め磁化させておく。
この実施例2におけるスピン偏極キャリア生成素子を、クライオスタット内で4.2Kまで冷却すると、領域511における量子ドット層504の溝507側端部付近に、スピン偏極キャリアが生成する。例えば、n型GaAs層502とショットキー電極層506との間に印加する電圧の制御により、量子ドット層504の1つの量子ドット内に1個の電子が入るようにすると、溝507近傍の端部の量子ドット内の電子を、他の領域の量子ドット内の電子よりも高い確率で、下向きスピンの状態とすることができる。このため、本実施例のスピン偏極キャリア生成素子では、上述したスピンを、量子演算で用いる量子ビットとして使用する場合、初期化された状態として利用できる。
[実施例3]
次に、実施例3について説明する。図6は、実施例3におけるスピン偏極キャリア生成素子の構成を模式的に示す断面図である。このスピン偏極キャリア生成素子は、n型のシリコンからなる半導体基板601と、半導体基板601の一部に埋め込まれたコバルトからなる強磁性体層602と、強磁性体層602と対向する半導体基板601の領域に埋め込まれたパーマロイからなる強磁性体層603とを備える。強磁性体層602と強磁性体層603とは、例えば、間隔を3μm程度開けて形成する。
このスピン偏極キャリア生成素子は、半導体基板601の強磁性体層602および強磁性体層603に挟まれた領域が、半導体チャネル領域611となり、強磁性体層602および強磁性体層603が、後述するように磁場勾配印加手段となる。また、半導体チャネル領域611の全域にn型の不純物が導入されており、半導体チャネル領域611の全域にキャリアが生成される状態となっている。本実施例では、半導体チャネル領域611に導入したn型の不純物でキャリア生成手段を構成している。
例えば、半導体基板601の上に、公知のフォトリソグラフィー技術により、強磁性体層602を形成する領域が開放したレジストパターンを形成し、形成したレジストパターンをマスクとして半導体基板601をドライエッチングする。このパターニングにより、例えば、5μm×10μmの領域に深さ0.5μmの凹部を形成する。この後、形成した凹部に、例えば、蒸着法によりコバルトを堆積すれば、強磁性体層602が形成できる。強磁性体層603についても、パーマロイを堆積することで同様に形成できる。
本実施例における素子では、シリコンにおけるキャリアのスピン緩和時間が室温で10nsと長いため、室温においてもスピン偏極キャリアを生成することができる。
例えば、本実施例における素子の近傍に配置した磁場印加機構による外部磁場を−100mT印加した後で10mTにすると、強磁性体層602と強磁性体層603との保磁力の差により、強磁性体層602と強磁性体層603との対向する方向の磁化が、互いに反対方向に向く配置が実現できる。この磁化の状態は、図6において、黒色の矢印で示している。この結果、半導体チャネル領域611に、約106T/mの磁場勾配を印加することができる。
この結果、半導体チャネル領域611の強磁性体層602および強磁性体層603の側の端面から1μmの領域には、スピンの方向が強磁性体層602と強磁性体層603との対向する方向(横方向)に揃ったキャリア(スピン偏極キャリア)が蓄積することになる。図6では、キャリアを白抜きの矢印で示している。このように、本素子によれば、半導体チャネル領域611の強磁性体層602および強磁性体層603の側の端面から1μmの領域に、スピン偏極キャリアを生成させることができる。このようにして得られるスピン偏極キャリアは、強磁性電極を用いて面直方向(半導体基板601平面の法線方向)に電流として流すと、巨大磁気抵抗効果をもたらすことも可能である。
なお、上述では、様々な形態の半導体チャネル領域、キャリア生成手段、および磁場勾配印加手段について説明したが、これらはどの様に組み合わせてもよいことはいうまでもない。
101…半導体チャネル領域、102…キャリア生成部、103…磁場勾配印加部、111,112…端部。

Claims (10)

  1. 半導体からなる半導体チャネル領域と、
    この半導体チャネル領域にキャリアを生成させるキャリア生成手段と、
    前記半導体チャネル領域に磁場勾配を形成する磁場勾配印加手段と
    を少なくとも備えることを特徴とするスピン偏極キャリア生成素子。
  2. 請求項1記載のスピン偏極キャリア生成素子において、
    前記キャリア生成手段は、前記半導体チャネル領域に導入した不純物、不純物が導入されている半導体層、および前記半導体チャネルに対して光を照射する光照射手段の少なくとも1つである
    ことを特徴とするスピン偏極キャリア生成素子。
  3. 請求項1または2記載のスピン偏極キャリア生成素子において、
    前記半導体チャネルは、半導体量子井戸および半導体量子ドットの少なくとも1つを含む構造を備える
    ことを特徴とするスピン偏極キャリア生成素子。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のスピン偏極キャリア生成素子において、
    前記半導体チャネル領域に生成されているキャリアの分布を制御するキャリア分布制御手段を備える
    ことを特徴とするスピン偏極キャリア生成素子。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のスピン偏極キャリア生成素子において、
    前記磁場勾配印加手段は、磁化された強磁性体から構成されたもの、もしくは、電流が流れる導体から構成されたものである
    ことを特徴とするスピン偏極キャリア生成素子。
  6. 半導体からなる半導体チャネル領域にキャリアを生成させるキャリア生成ステップと、
    前記半導体チャネル領域に磁場勾配を形成する磁場勾配印加ステップと
    を少なくとも備えることを特徴とするスピン偏極キャリアの生成方法。
  7. 請求項6記載のスピン偏極キャリアの生成方法において、
    前記キャリア生成ステップでは、前記半導体チャネル領域に対する不純物の導入、不純物が導入されている半導体層の配置、もしくは前記半導体チャネルに対する光の照射により前記半導体チャネル領域にキャリアを生成させる
    ことを特徴とするスピン偏極キャリアの生成方法。
  8. 請求項6または7記載のスピン偏極キャリアの生成方法において、
    前記半導体チャネルは、半導体量子井戸および半導体量子ドットの少なくとも1つを含む構造を備える
    ことを特徴とするスピン偏極キャリアの生成方法。
  9. 請求項6〜8のいずれか1項に記載のスピン偏極キャリアの生成方法において、
    前記半導体チャネル領域に生成されているキャリアの分布を制御するキャリア分布制御ステップを備える
    ことを特徴とするスピン偏極キャリアの生成方法。
  10. 請求項6〜9のいずれか1項に記載のスピン偏極キャリアの生成方法において、
    前記磁場勾配印加ステップでは、磁化された強磁性体、もしくは、電流が流れる導体により前記磁場勾配を形成する
    ことを特徴とするスピン偏極キャリアの生成方法。
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