JP5551912B2 - スピントロニクス装置及び論理演算素子 - Google Patents

スピントロニクス装置及び論理演算素子 Download PDF

Info

Publication number
JP5551912B2
JP5551912B2 JP2009234395A JP2009234395A JP5551912B2 JP 5551912 B2 JP5551912 B2 JP 5551912B2 JP 2009234395 A JP2009234395 A JP 2009234395A JP 2009234395 A JP2009234395 A JP 2009234395A JP 5551912 B2 JP5551912 B2 JP 5551912B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
spin
spin current
main electrode
generation region
current generation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2009234395A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2011082388A (ja
Inventor
政道 酒井
修 中村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Casio Computer Co Ltd
Saitama University NUC
Original Assignee
Casio Computer Co Ltd
Saitama University NUC
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Casio Computer Co Ltd, Saitama University NUC filed Critical Casio Computer Co Ltd
Priority to JP2009234395A priority Critical patent/JP5551912B2/ja
Publication of JP2011082388A publication Critical patent/JP2011082388A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5551912B2 publication Critical patent/JP5551912B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Mram Or Spin Memory Techniques (AREA)
  • Hall/Mr Elements (AREA)

Description

本発明は、スピン流を用いたスピントロニクス装置、及びこのスピントロニクス装置を用いた論理演算素子に関する。
電子のスピンは、スピノール空間において「上向き」又は「下向き」の2つの値のみをもつ。多くの個別のスピンは、すべて上向き又は下向きになり、材料が磁性をもつ原因になる。近年、電子のスピンの特性を活用して生まれるスピン依存伝導現象の理解が進み、電子がもっている電荷を活用した半導体装置に代わり、電子スピンの性質を積極的に利用したスピントロニクス装置の開発が急速に進んでいる(特許文献1参照。)。従来の半導体装置の特性が電荷の通路又は格納によって決まるのに対して、スピントロニクス装置はそれに付属するスピンの量子力学特性によって決まる。特に、情報を大容量で高速に処理することができるスピントロニクス装置などが開発のターゲットとなっている。又、最近では、漏れ磁場や熱・エネルギー損失の問題を低減できることから、伝導電子スピンと局在電子スピンの間に働くスピントルクを利用するスピントロニクス装置が注目され、外部磁場を用いない磁化方向制御技術が確立されつつある。
このスピントロニクス装置の実現の鍵を握る主役として、電荷の流れを伴う「スピン偏極電流」と電荷の流れを伴わない「スピン流」が知られている。金属強磁性体内では、自発磁化の原因が伝導電子のスピン状態によるため、電流を流すだけでスピン偏極電流が発生する。一方、非磁性体に電流を流しても、スピン軌道相互作用による散乱で、電流に対して垂直方向にスピン流が生成する現象が「スピンホール効果」として知られており、強磁性体を使わない新しいスピン流の生成手法として、近年、非常に注目されている(非特許文献1参照。)。ここで、スピン流とは、磁気モーメントの輸送現象のうち、個別粒子の移動は伴うが電荷の輸送を伴わないものを指す。
導体に電流を流して磁場をかけると、流れる電子は磁場に対して垂直方向のローレンツ力を受け、運動方向が曲げられる。この現象はホール効果とよばれ、電子工学の様々なセンサーに応用されてきた。スピンホール効果は、粒子の電荷ではなく、粒子にもともと備わっている角運動量(スピン)に由来して起きる。荷電粒子のスピンは磁場を作り出す。スピンホール効果は、古典的なホール効果と対をなす現象であり、試料に電場をかけると、こうしたスピン磁気モーメントをもつ粒子の軌道が電場に垂直な方向に曲げられる。例えば、白金(Pt)や金(Au)などの貴金属中を流れる電流には1/2スピンの電子と−1/2スピンの電子の割合がそれぞれ50%ずつ含まれているが、スピン軌道相互作用によって散乱されるとき、1/2スピンの電子と−1/2スピンの電子が互いに反対方向に散乱され、互いに対向して蓄積されることを利用する。1/2スピンと−1/2スピンの電子が、一定距離を隔てて互いに対向して蓄積される結果、スピンホール効果によって、流している電流方向に対して垂直方向に、電荷の流れのない純粋なスピン流が生成する。
電荷の流れとしての電流は、キャリアの衝突までの平均自由行程によって表される散逸を受ける。これに対し、スピン流は電子の不純物やフォノンとの衝突の際に散乱を受けにくいため、スピン拡散長は平均自由行程よりかなり長いので弾道輸送(バリスティック輸送)も比較的容易になる。しかも、スピン流の舞台は、磁性体である必要はなく、非磁性の金属でも半導体でもよいので各種電子デバイスへの応用が可能である。しかしながら、スピン軌道相互作用はクーロン相互作用のような電気的相互作用よりも2桁以上弱いため、散乱確率が小さくなるので、従来のスピンホール効果による電流−スピン流変換効率が低い。そのため、従来のスピンホール効果によっては、高強度のスピン流が得られにくく、又スピン流が持続できる長さも数100nm程度以下に限られるという不都合があった。
特開2003−188390号公報
L.ヴィラ(Vila)等,「白金線中のホール効果の考察(Evolution of the Spin Hall Effect in Pt Nanowires):サイズ及び温度の効果(Size and Temperature Effects)」,フィジカル・レビュー・レターズ(Phys. Rev. Lett.),第99巻、 p.226604 (2007年)
本発明は、電流−スピン流変換効率が高く、高強度のスピン流が得られるスピントロニクス装置、及びこのスピントロニクス装置を用いた論理演算素子を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様は、(a)互いに平行に対向する第1端面及び第2端面を有し、第1導電型キャリアと第2導電型キャリアとが同程度のキャリア密度と移動度を有しながらも互いに異符号の電荷を有することから、ホール係数がゼロである非磁性の両極性伝導金属からなるスピン流生成領域と、(b)第1端面に設けられ、スピン偏極された第1導電型キャリアをスピン流生成領域に注入する強磁性体からなる第1主電極と、(c)第2端面に設けられ、第2導電型キャリアをスピン流生成領域に注入する第2主電極とを備えるスピントロニクス装置であることを要旨とする。この第1の態様に係るスピントロニクス装置では、第1端面に垂直な面に直交する方向の磁場のローレンツ力により、第1導電型キャリアと第2導電型キャリアとを同一方向に輸送されるように偏向して、第1導電型キャリアと第2導電型キャリアの電荷を互いに相殺し、スピン流生成領域においてスピン流を得ることを特徴とする。
本発明の第2の態様は、(a)互いに平行に対向する第1端面及び第2端面を有し、第1導電型キャリアと第2導電型キャリアとが同程度のキャリア密度と移動度を有しながらも互いに異符号の電荷を有することから、ホール係数がゼロである非磁性の両極性伝導金属からなるスピン流生成領域と、(b)第1端面に設けられ、スピン偏極された第1導電型キャリアをスピン流生成領域に注入する強磁性体からなる第1主電極と、(c)第2端面に設けられ、第2導電型キャリアをスピン流生成領域に注入する第2主電極と、(d)第1端面に直交するスピン流生成領域の出力側面に設けられた、強磁性体からなる検出電極とを備える論理演算素子であることを要旨とする。この第2の態様に係る論理演算素子では、第1端面に垂直な面に直交する方向の磁場のローレンツ力により、第1導電型キャリアと第2導電型キャリアとを共に出力側面に向かう方向に輸送されるように偏向して、第1導電型キャリアと第2導電型キャリアの電荷を互いに相殺し、検出電極の磁化の方向を入力信号、第1主電極と検出電極との間の抵抗を出力信号とすることを特徴とする。
本発明の第3の態様は、(a) 互いに平行に対向する第1端面及び第2端面を有し、第1導電型キャリアと第2導電型キャリアとが同程度のキャリア密度と移動度を有しながらも互いに異符号の電荷を有することから、ホール係数がゼロである非磁性の両極性伝導金属からなるスピン流生成領域と、(b)第1端面に設けられ、スピン偏極された第1導電型キャリアをスピン流生成領域に注入する強磁性体からなる第1主電極と、(c)第2端面に設けられ、スピン偏極された第2導電型キャリアをスピン流生成領域に注入する強磁性体からなる第2主電極と、(d)第1端面に直交するスピン流生成領域の出力側面に設けられた、強磁性体からなる検出電極とを備える論理演算素子であることを要旨とする。この第3の態様に係る論理演算素子では、第1端面に垂直な面に直交する方向の磁場のローレンツ力により、第1導電型キャリアと第2導電型キャリアとを共に出力側面に向かう方向に輸送されるように偏向して、第1導電型キャリアと第2導電型キャリアの電荷を互いに相殺し、第1主電極の磁化の方向を第1の入力信号、第2主電極の磁化の方向を第2の入力信号、第1主電極と第2主電極との間の抵抗を出力信号とすることを特徴とする。
本発明によれば、電流−スピン流変換効率が高く、高強度のスピン流が得られるスピントロニクス装置、及びこのスピントロニクス装置を用いた論理演算素子を提供できる。
本発明の第1の実施の形態に係るスピントロニクス装置の構成を説明する模式図である。 本発明の第1の実施の形態に係るスピントロニクス装置の動作を示す表である。 本発明の第2の実施の形態に係るスピントロニクス装置の構成を説明する模式図である。 本発明の第3の実施の形態に係る論理演算素子の状態遷移を説明する真理値表である。 本発明の第4の実施の形態に係る論理演算素子の構成を説明する模式図である。 本発明の第4の実施の形態に係る論理演算素子の状態遷移を説明する真理値表である。 本発明の第5の実施の形態に係る論理演算素子の構成を説明する模式図である。 本発明の第5の実施の形態に係る論理演算素子の基礎とする状態遷移を説明する真理値表である。 本発明の第6の実施の形態に係る論理演算素子の構成を説明する模式図である。 本発明の第6の実施の形態に係る論理演算素子の基礎とする状態遷移を説明する真理値表である。 本発明の第7の実施の形態に係る高強度のスピン流を発生可能なスピントロニクス装置の構成を説明する模式図である。 「フェルミ面」を説明するために運動量空間を模式的に示す図である。 295Kにおける各種材料のホール係数Rの絶対値を比較して示す表である。 水素化イットリウム(YHx:1.7<x<2.1)の295K及び77Kにおけるホール係数Rと比抵抗との関係を説明するグラフである。 本発明の他の実施の形態に係るスピン注入型発光ダイオード(LED)の概略の構造を説明する模式的な鳥瞰図である。 本発明の更に他の実施の形態に係るスピン注入型高電子移動度トランジスタ(HEMT)の概略の構造を説明する模式的な鳥瞰図である。 本発明の更に他の実施の形態に係る論理集積回路の概略の構造を説明する模式的な鳥瞰図である。
次に、図面を参照して、本発明の第1〜第7の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。例えば、図1,図3,図5、図7及び図9等において、スピン流生成領域30の各図の縦方向に測られる厚さ(第1端面と第2端面との間の距離)は、便宜上誇張した大きさで図示されており、現実の厚さはスピン拡散長を考慮すると図示よりも薄い方が好ましいトポロジーがあり得るので、厚みと平面寸法との関係は現実のものとは異なり得ることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
又、以下に示す第1〜第7の実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係るスピントロニクス装置は、図1に示すように、第1導電型キャリアと第2導電型キャリア(電子と正孔)とが同程度のキャリア密度と移動度を有し、ホール係数がゼロである非磁性の両極性伝導金属からなる直方体状のスピン流生成領域30、スピン流生成領域30の端面(第1端面)に金属学的に接合され、強磁性体からなり、スピン偏極電流をスピン流生成領域30に注入する第1主電極20、第1端面に平行に対向する端面(第2端面)に金属学的に接合され、非磁性体の導体からなる第2主電極40、第1端面及び第2端面と直交する側面(出力側面)の中央部に金属学的に接合され、第1主電極20より小さな保磁力を有する強磁性体からなる検出電極50を有するスピン流変換素子10と、スピン流変換素子10の第1主電極20と第2主電極40との間に直流のバイアス電圧を印加する直流電源6とを備える。本発明において「ホール係数がゼロ」とは、ホール係数Rが、1.5×10‐113/C以下の小さな値であり、実質的に「ホール係数がゼロ」が見なせればよい。
第1の実施の形態に係るスピントロニクス装置は、第1主電極20の電位を示すノードN1と、検出電極50の電位を示すノードN2との間に図示を省略した電圧計等の電位測定手段を更に備えており、電位測定手段が測定する電圧の変化により、スピン流変換素子10の電流−スピン流変換したスピン流を検出する。即ち、第1主電極20と検出電極50との間の抵抗値の変化を検出して、スピン流生成領域30で電流−スピン流変換したスピン流の有無を検出する。
図13に295Kにおける各種材料のホール係数Rを示すが、ホール係数Rが1.5×10‐113/C以下で実質的にゼロと見なせるような小さな値の材料は限られている。第1の実施の形態に係るスピントロニクス装置のスピン流生成領域30に用いる材料としては、水素化イットリウム(YHx(1.7<x<2.1)が好適である。図14に示すように、295K及び77Kにおいて、YHxの比抵抗が6.0×10‐7Ωm以下であれば、YHxのホール係数Rは1.5×10‐113/C以下の値となる。H/Y比が1.7〜2.1の範囲にあるYHxは、同一の結晶構造とほぼ同じ格子定数をもつので、スピン流生成領域30に用いる材料として利用可能であるが、特に、x=2.0の化学量論的組成に近いYHxが、実質的にホール係数をゼロと見なす上で好ましい。YHxの他、第1の実施の形態に係るスピントロニクス装置のスピン流生成領域30に用いる材料としては、YH2(イットリウム二水素化物)と酷似した電子構造もつ水素化スカンジウム(ScH2:スカンジウム二水素化物)、水素化ランタン(LaH2:ランタン二水素化物)等の希土類水素化物等を採用可能である。
「フェルミ面」とは固体中の伝導電子の取り得る運動エネルギーの最大値を、図12に示すような運動量空間で表示するものである。フェルミ面の曲率において正値と負値の領域がほぼ均等に分布し、曲率の平均値がゼロであれば、磁場に垂直な面内で互いに逆方向に注入された第1導電型キャリア及び第2導電型キャリア(電子及び正孔)は、電子濃度Ne=正孔濃度Nh、且つ電子移動度μe=正孔移動度μhとなるので、正孔及び電子がそれぞれローレンツ力の働く方向(X方向)に運ぶ総電荷量は相殺される。
即ちフェルミ面の曲率の平均値が実質的にゼロであれば、ホール係数が実質的にゼロとなり、通常のホール効果におけるホール電圧が消失する。このため、正孔及び電子がホール電場から受ける力がなくなり、ローレンツ力との釣り合いがなくなる。よって、磁場に垂直な面内で互いに逆方向に注入された正孔及び電子が共にローレンツ力の働く方向(X方向)に流れ、ローレンツ力の働く方向(X方向)に流れる電荷の流れは0となる。このとき、正孔あるいは電子に対し、予め、スピン偏極させておけば、ローレンツ力の働く方向(X方向)に向かうスピン流が生成できる。このようなスピン流は磁場が印加できる領域ならばどこでも発生するものであるから、その持続長をナノスケールから巨視的スケールまで任意の長さにできるという特徴をもつ。
図1においては、スピン流生成領域30は、第1主電極20、スピン流生成領域30、第2主電極40及び検出電極50がなす平面に垂直な方向(Z方向)に磁場Bが印加されている場合が例示的に示されているが、図1においては、第1主電極20は、磁場Bに平行な方向(Z方向)に磁化Mを固定した磁化固定電極であるとする。検出電極50は、磁場Bに対して平行又は反平行(Z方向又は−Z方向)のいずれにも自在に磁化Mを有することが可能な磁化自由電極として構成している。検出電極50のみが制御用磁場BINによって磁化Mを反転可能な磁化自由電極として作用させるため、磁化固定電極である第1主電極20は、保磁力B(A)が例えば300mT程度以上の強磁性体、検出電極50は、保磁力B(C)が例えば250mT程度以上280mT程度以下の強磁性体から構成するのが好ましい。このとき、|B(C)|<|B(A)|となるように第1主電極20及び検出電極50の材料と形状・サイズを選び、|B(C)|<|BIN|<|B(A)|となるような制御用磁場BINを印加することにより、磁化Mのみを変化させ、磁化自由電極として機能させ、第1主電極20を磁化固定電極として機能させることができる。このため、例えば、第1主電極20の形状を、アスペクト比が1:5程度の矩形平板状とし、検出電極50の形状を、アスペクト比が1:4程度の矩形平板状として、それぞれの長辺が制御用磁場BINに対して平行になるように配置すればよい。保磁力を|B(C)|<|B(A)|とするために、電極の平面パターンは矩形の代わりに平行四辺形にしても可能であるし、勿論合金の組成によって調整することも可能である。又、第1主電極20及び検出電極50は、共に比抵抗が1.0×10‐6Ωm以下とすることが好ましい。第1主電極20及び検出電極50を構成する強磁性体として、例えばCoxFeyNiz(x=0.2〜0.7,y=0.2〜0.4,z=0.1〜0.2)のようなコバルト・鉄・ニッケル合金等を含む種々の強磁性体が採用可能である。第1主電極20及び検出電極50を結晶性の強磁性体とする場合は磁化容易軸となる結晶軸方位をスピン流生成領域30の第1端面、及びこの第1端面と直交する側面(出力側面)に対して垂直となるようにそれぞれ選ぶのが好ましい。強磁性体が立方晶系であれば、[100],[010],[−100],[0−10]方向が磁化容易軸となる。
図1に示すように、スピン流変換素子10の第1主電極20をカソード、第2主電極40をアノードとして、直流電源6から直流のバイアス電圧を印加すると、第1主電極20においてスピン偏極された電子(第1導電型キャリア)がスピン流生成領域30に注入され、スピン流生成領域30中を第2主電極40に向かう方向(−Y方向)に進行する。又、第2主電極40からは正孔(第2導電型キャリア)がスピン流生成領域30に注入され、スピン流生成領域30中を第1主電極20に向かう方向(Y方向)に進行する。
第1主電極20から注入されたスピン偏極された電子(第1導電型キャリア)、第2主電極40から注入された正孔(第2導電型キャリア)は、スピン流生成領域30において、それぞれ検出電極50に向かう方向(X方向)に作用するローレンツ力を磁場Bの下で受けて、検出電極50に向かう方向(X方向)に湾曲して進行する。電子と正孔の移動度が等しいときそれぞれに作用するローレンツ力の大きさが等しく、且つ検出電極50へ向かう正孔とスピン偏極された電子の数がほぼ等しい場合、両キャリアが運ぶ総電荷量は0となり、スピン流生成領域30内に、検出電極50へ向かう方向(X方向)にスピン流が生成する。
図2の表に示すように、検出電極50の磁化Mが、第1主電極20の磁化Mと同方向(Z方向)にしておけば、スピン流生成領域30の中央部付近にスピン蓄積は生じず、第1主電極20、検出電極50間の抵抗値は変化しない。このとき、ノードN1−N2間の検出電圧V=VUUとする(図2において、Z方向の磁化を上向きの矢印、−Z方向を下向きの矢印で示す。)。一方、検出電極50の磁化Mを、第1主電極20の磁化Mと逆方向(−Z方向)にすると、スピン流があれば、スピン流生成領域30の中央部付近にスピン蓄積が生じ、第1主電極20、検出電極50間の抵抗値が増加し、このときの検出電圧V=VUD>VUUとなるので、スピン流の有無を判定することができる。なお、第1主電極20の磁化Mと同方向(Z方向)の磁場Bは、キャリアに作用するローレンツ力を生成すると共に、キャリアのスピン偏極の緩和を防ぐ。
第2主電極40を強磁性金属に置き換えることにより、アノードからもスピン偏極された正孔(第2導電型キャリア)の移動を通じてスピンを注入できる。このとき、磁場Bは注入された正孔スピンの緩和を防ぐと共に、正孔注入方向(Y方向)に対して垂直方向(X方向)にローレンツ力を作用させ、正孔スピンの流れを発生させる。この正孔スピンの流れがスピン偏極された電子(第1導電型キャリア)の流れと合流することによって、スピン流の流量を増強することが可能である。
なお、スピン流生成領域30の形状は直方体に限定されるものではなく、第1端面と第2端面とが平行で、出力側面が第1端面と第2端面に対し互いに垂直であり、正孔及び電子がローレンツ力によって円弧状に軌道を変更する輸送経路が確保できるトポロジーであれば、第1端面と出力側面との間に凹部や穴部等を有する形状、或いは第2端面と出力側面との間に凹部や穴部等を有する形状等であっても、第1の実施の形態に係るスピントロニクス装置のスピン流生成領域30として許容され得る。
(第2の実施の形態)
図1に示す第1の実施の形態に係るスピントロニクス装置はバイアス電圧が直流の場合について例示的に説明したが、図3に示すように2つの検出電極51a,51bをスピン流生成領域30を挟み込むように配置することによって、バイアス電圧が交流の場合であってもスピン流の検出を行うことが可能である。
即ち、本発明の第2の実施の形態に係るスピントロニクス装置は、図3に示すように、正孔と電子とが同程度のキャリア密度と移動度を有し、ホール係数がゼロである非磁性の両極性伝導金属からなる直方体状のスピン流生成領域30、スピン流生成領域30の端面に金属学的に接合され、強磁性体からなり、スピン偏極電流をスピン流生成領域30に注入する第1主電極20、スピン流生成領域30の第1主電極20が配置された端面(第1端面)と対向する端面(第2端面)に金属学的に接合され、非磁性体の導体からなる第2主電極40、スピン流生成領域30の第1主電極20が配置された端面と直交する一方の側面(第1出力側面)の中央部に金属学的に接合され、第1主電極20より小さな保磁力を有する強磁性体からなる第1の検出電極51a、第1の検出電極51aと電気的に短絡され、第1出力側面に対向する他方の側面(第2出力側面)に金属学的に接合され、第1の検出電極51aと同一の強磁性体からなる第2の検出電極51bを有するスピン流変換素子11と、スピン流変換素子11の第1主電極20と第2主電極40との間に交流電圧を印加する交流電源7とを備える。
スピン流生成領域30は、第1主電極20、スピン流生成領域30、第2主電極40、第1の検出電極51a及び第2の検出電極51bがなす平面に垂直な方向(Z方向)に磁場Bが印加されている。スピン流生成領域30中に注入された正孔と電子は、磁場Bと交流電源7からの交流電流によって、第1の検出電極51aに向かう方向(−X方向)に働くローレンツ力、第2の検出電極51bに向かう方向(X方向)に働くローレンツ力を交互に受ける。
第2の実施の形態に係るスピントロニクス装置は、第1の実施の形態に係るスピントロニクス装置と同様に第1主電極20が、磁場Bに平行な方向(Z方向)に磁化Mを有する場合について例示的に説明する。第1の検出電極51a及び第2の検出電極51bは、それぞれ同一方向の磁化Mを有しており、磁化Mの方向は、制御用磁場によって、磁化Mに対して平行又は反平行(Z方向又は−Z方向)に任意(自由)に設定可能である。
第2の実施の形態に係るスピントロニクス装置は、第1主電極20の電位を示すノードN1、第1の検出電極51a及び第2の検出電極51bからそれぞれ引き出され、互いに接合されたノードN2は、それぞれロックイン増幅器(ロックインアンプ)9に接続されており、ノードN3の電圧をロックインアンプにおける位相検波の参照信号として使用し、ノードN1−N2間の交流電圧の変化をロックイン増幅器9で測定することにより、第1主電極20と、第1の検出電極51a及び第2の検出電極51bとの間の抵抗値の変化を検出できる。
第1の実施の形態で説明したように、磁化Mが、磁化Mと平行(Z方向)の場合、スピン流生成領域30の中央部付近にスピン蓄積は生じず、ノードN1−N2間の抵抗値は変化しない。磁化Mが、磁化Mと反平行(−Z方向)の場合、スピン流生成領域30の中央部付近にスピン蓄積が生じ、ノードN1−N2間の抵抗値が増加する。磁化M、磁化Mが互いに平行の場合の検出電圧V=VUU、反平行な場合の検出電圧V=VUDとすると、スピン流生成領域30中にスピン流が生成される場合はVUU<VUD、スピン流が生成されない場合はVUU=VUDの関係が成り立つ。このことを利用して、スピン流の有無を判定することができる。
なお、スピン流生成領域30の形状は直方体に限定されるものではなく、第1端面と第2端面とが平行、第1出力側面が第1端面と第2端面に対し互いに垂直、第2出力側面が第1端面と第2端面に対し互いに垂直であり、正孔及び電子がローレンツ力によって円弧状に軌道を変更する輸送経路が確保できるトポロジーであれば、第1端面と第1出力側面との間に凹部や穴部等を有する形状、第2端面と第1出力側面との間に凹部や穴部等を有する形状、第2端面と第2出力側面との間に凹部や穴部等を有する形状、第1端面と第2出力側面との間に凹部や穴部等を有する形状のような、種々の形状が第2の実施の形態に係るスピントロニクス装置のスピン流生成領域30として許容され得る。
(第3の実施の形態:NOT)
図1に示す第1の実施の形態に係るスピン流変換素子10は、入力信号に応じて所定の論理演算を行う論理演算素子として利用することが可能である。
例えば、第1の実施の形態に係るスピン流変換素子10を、本発明の第3の実施の形態に係る論理演算素子としては、磁化の方向を入力信号=0,1とし否定(NOT)の出力信号を出力するNOTゲートとして用いることが可能である。
図4に、第3の実施の形態に係る論理演算素子の真理値表を示すように、検出電極50の磁化Mが、第1主電極20の磁化Mに平行(Z方向:上向き)の場合が入力信号=1と定義し、検出電極50の磁化Mが、第1主電極20の磁化Mに反平行(−Z方向:下向き)の場合が入力信号=0と定義する(図4において、Z方向の磁化を上向きの矢印、−Z方向を下向きの矢印で示す。)。入力信号=0,1の設定、即ち、検出電極50の磁化Mの方向の設定は、外部磁場を用いればよい。
外部磁場を用いる代わりに、検出電極50にスピン注入することによるスピン注入磁化反転効果を用いれば、磁場を用いなくても磁化の方向を制御して入力信号=0,1の設定が可能である。スピン注入磁化反転効果を用いる場合は検出電極50を、磁性薄膜で非磁性薄膜をサンドイッチした構造にし、印加した高密度電流の向きによって磁化の配列(平行・反平行)を制御すればよい。スピン注入磁化反転効果は伝導電子が一方の磁性層から他方の磁性層を通過して流れるとき、スピン角運動量を他方の磁性層へ受け渡す(スピントランスファー効果)によって引き起こされる。即ち、スピン注入磁化反転効果は他方の磁性層にトルクを与えることにより、磁化の向きを反転させる。或いは、検出電極50をGa1-xMnxAs等のIII−V族磁性半導体で構成し、検出電極50に円偏光を照射してスピン偏極キャリアを生成し、スピン偏極に応じた方向に磁化を回転させるようにしてもよい。
図4の真理値表に示すように、入力信号が1の場合、出力電圧Vは、スピン流生成領域30で発生させたスピン流によって、スピン流生成領域30の中央部付近にスピン蓄積が生じないので、ノードN1−N2間の抵抗値は変化せず、出力電圧Vの値がロウレベル(=0)になる。一方、入力信号が0の場合、出力電圧Vは、スピン流生成領域30で発生させたスピン流によって、スピン流生成領域30の中央部付近にスピン蓄積が生じるので、ノードN1−N2間の抵抗値が増加し、出力電圧Vの値がハイレベル(=1)になる。
このように、本発明の第3の実施の形態に係る論理演算素子は、ハイレベル(=1)の入力信号を反転してロウレベル(=0)の出力信号を出力し、ロウレベル(=0)の入力信号を反転してハイレベル(=1)の出力信号を出力するインバータ(NOTゲート)として動作する。
第3の実施の形態に係る論理演算素子は、入力信号としての磁化の方向を保持することができるため、検出電極50の磁化Mの方向を反転させるまで、検出電極50に継続して外部磁場を与えずに、一定の出力が可能である。
(第4の実施の形態:XOR)
本発明の第4の実施の形態に係る論理演算素子12は、図5に示すように、正孔と電子とが同程度のキャリア密度と移動度を有し、ホール係数がゼロである非磁性の両極性伝導金属からなる直方体状のスピン流生成領域30と、スピン流生成領域30の端面に金属学的に接合され、スピン偏極電流をスピン流生成領域30に注入する、強磁性体の磁化自由電極である第1主電極22と、スピン流生成領域30の第1主電極22が配置された端面と対向する端面に金属学的に接合され、非磁性体の導体からなる第2主電極40と、スピン流生成領域30の第1主電極22が配置された端面と直交する側面の中央部に金属学的に接合され、第1主電極22より小さな保磁力を有する強磁性体からなる検出電極50とを備える。
第4の実施の形態に係る論理演算素子12は、第1主電極22の磁化Mの方向を第1入力信号A=0,1、検出電極50の磁化Mの方向を第2入力信号C=0,1とし、図6の真理値表に示されたような排他的論理和(XOR)の出力信号を出力するXORゲートである。
スピン流生成領域30は、第1主電極22、スピン流生成領域30、第2主電極40及び検出電極50がなす平面に垂直な方向(Z方向)に磁場Bが印加されるが、図5及び図6に示すように、第1主電極22の磁化Mが、磁場Bと平行(Z方向)の場合の第1入力信号Aを1とし、反平行(−Z方向)の場合の第1入力信号Aを0とする。同様に、検出電極50の磁化Mが、磁化Mと平行(Z方向)の場合の第2入力信号Cを1、反平行(−Z方向)の場合の第2入力信号Cを0とする(図6において、Z方向の磁化を上向きの矢印、−Z方向を下向きの矢印で示す。)。
図6に真理値表を示すように、第4の実施の形態に係る論理演算素子12においては、第1入力信号Aが1、第2入力信号Cが1の場合は、スピン流生成領域30で発生させたスピン流によって、スピン流生成領域30の中央部付近にスピン蓄積が生じないので、ノードN1−N2間の抵抗値は変化せず、出力電圧Vの値がロウレベル(=0)になる。
第1入力信号Aが1、第2入力信号Cが0の場合は、スピン流生成領域30で発生させたスピン流によって、スピン流生成領域30の中央部付近にスピン蓄積が生じるので、ノードN1−N2間の抵抗値が増加し、出力電圧Vの値がハイレベル(=1)になる。
第1入力信号Aが0、第2入力信号Cが1の場合は、第1主電極22からスピン流生成領域30に下向き(−Z方向)にスピン偏極された電子が注入され、スピン偏極された電子は、第2主電極40から注入される正孔とで、検出電極50に向かうスピン流となる。検出電極50は、上向き(Z方向)の磁化Mを有しているので、スピン流生成領域30の中央部付近にスピン蓄積が生じる。よってノードN1−N2間の抵抗値は増加し、出力電圧Vの値がハイレベル(=1)となる。
第1入力信号Aが0、第2入力信号Cが0の場合は、第1主電極22からスピン流生成領域30に、下向き(−Z方向)にスピン偏極された電子が注入され、スピン偏極された電子は、第2主電極40から注入される正孔とで、検出電極50に向かうスピン流となる。検出電極50は、下向き(−Z方向)の磁化Mを有しているので、スピン流生成領域30の中央部付近にスピン蓄積は生じず、出力電圧Vの値がロウレベル(=0)となる。
(第5の実施の形態:NAND)
本発明の第5の実施の形態に係る論理演算素子(13,R2)は、図7に示すように、正孔と電子とが同程度のキャリア密度と移動度を有し、ホール係数がゼロである非磁性の両極性伝導金属からなる直方体状のスピン流生成領域30、スピン流生成領域30の端面に金属学的に接合され、スピン偏極電子電流をスピン流生成領域30に注入する、強磁性体からなる磁化自由電極である第1主電極(ソース電極)23、スピン流生成領域30の第1主電極23が配置された端面と対向する端面に金属学的に接合され、第1主電極23より大きな保磁力を有し、スピン偏極正孔電流をスピン流生成領域30に注入する、強磁性体からなる磁化自由電極である第2主電極(ドレイン電極)43、スピン流生成領域30の第1主電極23が配置された端面と直交する側面の中央部に金属学的に接合され、第2主電極43より大きな保磁力を有する強磁性体からなる磁化固定電極である検出電極53を有するスピン流変換素子13と、スピン流変換素子13に第1主電極23を介して直列接続された出力抵抗Rと、出力抵抗Rの一端と第2主電極43との間に一定の直流のバイアス電圧Vを印加する直流電源6とを備える。第5の実施の形態に係る論理演算素子(13,R2)は、出力抵抗Rの両端の電圧を出力電圧Vとすることにより、第1主電極22の磁化Mの方向を第1入力信号A=0,1、第2主電極43の磁化Mの方向を第2入力信号B=0,1とし、図8に示された論理積(AND)の真理値表を反転した出力信号を出力抵抗Rの両端から出力電圧として出力するする否定論理積(NAND)ゲートである。図8のANDの真理値表において、Z方向の磁化を上向きの矢印、−Z方向を下向きの矢印で示す。
スピン流生成領域30には、第1主電極23、スピン流生成領域30、第2主電極43、検出電極53がなす平面に垂直な方向(Z方向)に磁場Bが印加されている。スピン流生成領域30中に注入された正孔と電子は、磁場Bと直流電源6からの直流バイアスによって、検出電極53に向かう方向(X方向)に働くローレンツ力を受ける。
第1主電極23は、磁場Bに対して平行又は反平行方向(Z方向又は−Z方向)に磁化Mの方向を任意(自由に)設定可能である。第2主電極43は、磁化Mに対して平行又は反平行方向(Z方向又は−Z方向)に磁化Mの方向を任意(自由に)設定可能である。検出電極53は、磁場Bに対して反平行(−Z方向)に磁化Mの方向を固定している。磁化M及び磁化Mは、それぞれ外部から印加する制御用磁場によって、方向を反転される。
第1主電極23の保磁力B(A)は、第2主電極43保磁力B(B)よりも小さいので、第1入力信号Aとしての磁化Mの方向及び第2入力信号Bとしての磁化Mの方向を設定するために、第1主電極23及び第2主電極43へ磁場を印加する際は、保磁力の大きな第2主電極43の磁化Mを形成する磁場を印加した後、第1主電極23の磁化Mを形成する磁場を印加するような2段階のプロセスを用いる必要がある。その際、検出電極53の磁化Mの方向が制御用磁場BINによって反転しないように、検出電極53の保磁力B(C)を一番大きく設定しておく必要がある。
即ち、第1主電極23の保磁力B(A)は例えば240mT程度以上260mT程度以下の強磁性体、第2主電極43の保磁力B(B)は例えば270mT程度以上290mT程度以下の強磁性体、検出電極53の保磁力B(C)は例えば300mT程度以上の強磁性体から構成することが好ましい。保磁力の調整は、スピン生成領域30に対する各電極の平面パターンを矩形にし、そのアスペクト比を変えることによって、あるいは、平面パターンを平行四辺形にすることによっても可能である。また、合金の組成によって調整することも可能である。この場合、|B(B)|<|BIN|<|B(C)|となるような制御用磁場BINを印加し、磁化Mの方向を任意(自由に)設定した後、|B(A)|<|BIN|<|B(B)|となるような制御用磁場BINを印加し、磁化Mの方向を任意(自由に)設定すればよい。第1入力信号Aとしての磁化Mの方向及び第2入力信号Bとしての磁化Mの方向を設定は、外部磁場を用いてもよく、スピン注入磁化反転効果を用いてもよい。又、第1主電極23、第2主電極43、検出電極53は、それぞれ比抵抗が1.0×10‐6Ωm以下とすることが好ましい。第1主電極23、第2主電極43、検出電極53を構成する物質として、例えばCoxFeyNiz(x=0.2〜0.7,y=0.2〜0.4,z=0.1〜0.2)のような、コバルト・鉄・ニッケル合金等の種々の強磁性体が採用可能である。
第5の実施の形態に係る論理演算素子(13,R2)においては、第1入力信号Aが1、第2入力信号Bが1の場合は、第1主電極(ソース電極)23から上向き(Z方向)にスピン偏極された電子がスピン流生成領域30に注入され、第2主電極(ドレイン電極)43から上向き(Z方向)にスピン偏極された正孔がスピン流生成領域30に注入されるが、検出電極53が下向き(−Z方向)に磁化Mの方向を固定しているので、スピン流生成領域30で発生させたスピン流は検出電極53に流れにくくなり、スピン流生成領域30の中央部付近にスピン蓄積を生じる。このため、第1主電極(ソース電極)23と第2主電極(ドレイン電極)43間の抵抗は、図8の真理値表に示されるように、ハイインピーダンス(=1)になる。よって、出力抵抗Rの一端と第2主電極43との間に印加される直流電源6のバイアス電圧Vが一定ならば、出力抵抗Rの両端の電圧として測られる出力電圧Vは、ロウレベル(=0)になる。
一方、第1入力信号Aが1、第2入力信号Bが0の場合は、ソース電極23から上向き(Z方向)にスピン偏極された電子がスピン流生成領域30に注入され、ドレイン電極43から下向き(−Z方向)にスピン偏極された正孔がスピン流生成領域30に注入されるが、検出電極53が下向きに磁化Mの方向を固定しているので、スピン流生成領域30で発生させたスピン偏極電子電流は検出電極53に流れにくいが、スピン偏極正孔電流は検出電極53に流れ易いので、ソース電極23とドレイン電極43間の抵抗は、図8の真理値表に示されるように、ロウインピーダンス(=0)になる。よって、直流電源6のバイアス電圧Vが一定ならば、出力抵抗Rの両端の出力電圧Vは、ハイレベル(=1)になる。
又、第1入力信号Aが0、第2入力信号Bが0の場合は、ソース電極23から下向き(−Z方向)にスピン偏極された電子がスピン流生成領域30に注入され、ドレイン電極43から下向き(−Z方向)にスピン偏極された正孔がスピン流生成領域30に注入されるが、検出電極53が下向きに磁化Mの方向を固定しているので、スピン流生成領域30で発生させたスピン偏極電子電流及びスピン偏極正孔電流は共に検出電極53に流れ易いので、ソース電極23とドレイン電極43間の抵抗は、図8の真理値表に示されるように、ロウインピーダンス(=0)になる。よって、バイアス電圧Vが一定ならば、出力抵抗Rの両端の出力電圧Vは、ハイレベル(=1)になる。
更に、第1入力信号Aが0、第2入力信号Bが1の場合は、ソース電極23から下向き(−Z方向)にスピン偏極された電子がスピン流生成領域30に注入され、ドレイン電極43から上向き(Z方向)にスピン偏極された正孔がスピン流生成領域30に注入されるが、検出電極53が下向きに磁化Mの方向を固定しているので、スピン偏極正孔電流は検出電極53に流れにくいが、スピン偏極電子電流は検出電極53に流れ易いので、ソース電極23とドレイン電極43間の抵抗は、図8の真理値表に示されるように、ロウインピーダンス(=0)になる。よって、バイアス電圧Vが一定ならば、出力抵抗Rの両端の出力電圧Vは、ハイレベル(=1)になる。
(第6の実施の形態:OR)
本発明の第6の実施の形態に係る論理演算素子(13,R2)は、図9に示すように、正孔と電子とが同程度のキャリア密度と移動度を有し、ホール係数がゼロである非磁性の両極性伝導金属からなる直方体状のスピン流生成領域30、スピン流生成領域30の端面に金属学的に接合され、スピン偏極電子電流をスピン流生成領域30に注入する、強磁性体からなる磁化自由電極である第1主電極(ソース電極)23、スピン流生成領域30の第1主電極23が配置された端面と対向する端面に金属学的に接合され、第1主電極23より大きな保磁力を有し、スピン偏極正孔電流をスピン流生成領域30に注入する、強磁性体からなる磁化自由電極である第2主電極(ドレイン電極)43、スピン流生成領域30の第1主電極23が配置された端面と直交する側面の中央部に金属学的に接合され、第2主電極43より大きな保磁力を有する強磁性体からなる磁化固定電極である検出電極53を有するスピン流変換素子13と、スピン流変換素子13に第1主電極23を介して直列接続された出力抵抗Rと、出力抵抗Rの一端と第2主電極43との間に一定の直流のバイアス電圧Vを印加する直流電源6とを備える。第6の実施の形態に係る論理演算素子(13,R2)は、出力抵抗Rの両端の電圧を出力電圧Vとすることにより、第1主電極22の磁化Mの方向を第1入力信号A=0,1、第2主電極43の磁化Mの方向を第2入力信号B=0,1とし、図10に示された否定論理和(NOR)の真理値表を反転した出力信号を出力抵抗Rの両端から出力電圧として出力するする論理和(OR)ゲートである。図10のNORの真理値表において、Z方向の磁化を上向きの矢印、−Z方向を下向きの矢印で示す。
スピン流生成領域30は、第1主電極23、スピン流生成領域30、第2主電極43、検出電極53がなす平面に垂直な方向(Z方向)に磁場Bが印加されている。スピン流生成領域30中に注入された正孔と電子は、磁場Bと直流電源6からの直流バイアスによって、検出電極53に向かう方向(X方向)に働くローレンツ力を受ける。
第1主電極23は、磁場Bに対して平行又は反平行方向(Z方向又は−Z方向)に磁化Mの方向を任意(自由に)設定可能である。第2主電極43は、磁化Mに対して平行又は反平行方向(Z方向又は−Z方向)に磁化Mの方向を任意(自由に)設定可能である。検出電極53は、磁場Bに対して平行(Z方向)に磁化Mの方向を固定している点が、第5の実施の形態と異なる。磁化M及び磁化Mは、それぞれ外部から印加する制御用磁場によって、方向を反転される。
第5の実施の形態で説明したのと同様に、第1主電極23の保磁力B(A)は、第2主電極43保磁力B(B)よりも小さいので、第1入力信号Aとしての磁化Mの方向及び第2入力信号Bとしての磁化Mの方向を設定するために、第1主電極23及び第2主電極43へ磁場を印加する際は、保磁力の大きな第2主電極43の磁化Mを形成する磁場を印加した後、第1主電極23の磁化Mを形成する磁場を印加するような2段階のプロセスを用いる必要がある。その際、検出電極53の磁化Mの方向が制御用磁場BINによって反転しないように、検出電極53の保磁力B(C)を一番大きく設定しておき、B(B)|<|BIN|<|B(C)|となるような制御用磁場BINを印加し、磁化Mの方向を任意(自由に)設定した後、|B(A)|<|BIN|<|B(B)|となるような制御用磁場BINを印加し、磁化Mの方向を任意(自由に)設定すればよい。
第6の実施の形態に係る論理演算素子(13,R2)においては、第1入力信号Aが1、第2入力信号Bが1の場合は、第1主電極(ソース電極)23から上向き(Z方向)にスピン偏極された電子がスピン流生成領域30に注入され、第2主電極(ドレイン電極)43から上向き(Z方向)にスピン偏極された正孔がスピン流生成領域30に注入されるが、検出電極53が上向き(Z方向)に磁化Mの方向を固定しているので、スピン流生成領域30で発生させたスピン偏極電子電流及びスピン偏極正孔電流は共に検出電極53に流れ易いので、第1主電極(ソース電極)23と第2主電極(ドレイン電極)43間の抵抗は、図10の真理値表に示されるように、ロウインピーダンス(=0)になる。よって、出力抵抗Rの一端と第2主電極43との間に印加される直流電源6のバイアス電圧Vが一定ならば、出力抵抗Rの両端の電圧として測られる出力電圧Vは、ハイレベル(=1)になる。
一方、第1入力信号Aが1、第2入力信号Bが0の場合は、ソース電極23から上向き(Z方向)にスピン偏極された電子がスピン流生成領域30に注入され、ドレイン電極43から下向き(−Z方向)にスピン偏極された正孔がスピン流生成領域30に注入されるが、検出電極53が上向きに磁化Mの方向を固定しているので、スピン流生成領域30で発生させたスピン偏極正孔電流は検出電極53に流れにくいが、スピン偏極電子電流は検出電極53に流れ易いので、ソース電極23とドレイン電極43間の抵抗は、図10の真理値表に示されるように、ロウインピーダンス(=0)になる。よって、直流電源6のバイアス電圧Vが一定ならば、出力抵抗Rの両端の出力電圧Vは、ハイレベル(=1)になる。
又、第1入力信号Aが0、第2入力信号Bが0の場合は、ソース電極23から下向き(−Z方向)にスピン偏極された電子がスピン流生成領域30に注入され、ドレイン電極43から下向き(−Z方向)にスピン偏極された正孔がスピン流生成領域30に注入されるが、検出電極53が上向きに磁化Mの方向を固定しているので、スピン流生成領域30で発生させたスピン偏極電子電流及びスピン偏極正孔電流はいずれも検出電極53に流れにくいので、ソース電極23とドレイン電極43間の抵抗は、図10の真理値表に示されるように、ハイインピーダンス(=1)になる。よって、バイアス電圧Vが一定ならば、出力抵抗Rの両端の出力電圧Vは、ロウレベル(=0)になる。
更に、第1入力信号Aが0、第2入力信号Bが1の場合は、ソース電極23から下向き(−Z方向)にスピン偏極された電子がスピン流生成領域30に注入され、ドレイン電極43から上向き(Z方向)にスピン偏極された正孔がスピン流生成領域30に注入されるが、検出電極53が上向きに磁化Mの方向を固定しているので、スピン偏極電子電流は検出電極53に流れにくいが、スピン偏極正孔電流は検出電極53に流れ易いので、ソース電極23とドレイン電極43間の抵抗は、図10の真理値表に示されるように、ロウインピーダンス(=0)になる。よって、バイアス電圧Vが一定ならば、出力抵抗Rの両端の出力電圧Vは、ハイレベル(=1)になる。
(第7の実施の形態)
本発明の第7の実施の形態に係るスピントロニクス装置は、図11に示すように、正孔と電子とが同程度のキャリア密度と移動度を有し、ホール係数がゼロである非磁性の両極性伝導金属からなる直方体状の第1のスピン流生成領域34-1、第1のスピン流生成領域34-1の一方の端面に金属学的に接合され、スピン偏極電流を第1のスピン流生成領域34-1に注入する強磁性体からなる第1の第1主電極24-1、第1のスピン流生成領域34-1の第1の第1主電極24-1が配置された端面と対向する端面に金属学的に接合され、非磁性体の導体からなる第1の第2主電極44-1、第1のスピン流生成領域34-1の第1の第1主電極24-1が配置された端面と直交する側面の中央部に金属学的に接合され、強磁性体からなる磁化固定電極である第1の検出電極54-1を備える第1のスピン流変換素子14-1と;第1のスピン流生成領域34-1と第1の検出電極54-1を介して接続されるように、第1のスピン流生成領域34-1と並列に配置され、正孔と電子とが同程度のキャリア密度と移動度を有し、ホール係数がゼロである非磁性の両極性伝導金属からなる直方体状の第2のスピン流生成領域34-2、第2のスピン流生成領域34-2の一方の端面に金属学的に接合され、スピン偏極電流を第2のスピン流生成領域34-2に注入する強磁性体からなる第2の第1主電極24-2、第2のスピン流生成領域34-2の第2の第1主電極24-2が配置された端面と対向する端面に金属学的に接合され、非磁性体の導体からなる第1の第2主電極44-2、第2のスピン流生成領域34-2の第2の第1主電極24-2が配置された端面と直交する側面の中央部に金属学的に接合され、強磁性体からなる磁化固定電極である第2の検出電極54-2を備える第2のスピン流変換素子14-2と;第2のスピン流生成領域34-2と第2の検出電極54-2を介して接続されるように、第1のスピン流生成領域34-1,第2のスピン流生成領域34-2と並列に配置され、正孔と電子とが同程度のキャリア密度と移動度を有し、ホール係数がゼロである非磁性の両極性伝導金属からなる直方体状の第3のスピン流生成領域34-3、第3のスピン流生成領域34-3の一方の端面に金属学的に接合され、スピン偏極電流を第3のスピン流生成領域34-3に注入する強磁性体からなる第3の第1主電極24-3、第3のスピン流生成領域34-3の第3の第1主電極24-3が配置された端面と対向する端面に金属学的に接合され、非磁性体の導体からなる第1の第2主電極44-3、第3のスピン流生成領域34-3の第3の第1主電極24-3が配置された端面と直交する側面の中央部に金属学的に接合され、強磁性体からなる磁化固定電極である第3の検出電極54-3を備える第3のスピン流変換素子14-3と;……;第(n−1)のスピン流生成領域(図示省略)と第(n−1)の検出電極(図示省略)を介して接続されるように、第1のスピン流生成領域34-1,第2のスピン流生成領域34-2,第3のスピン流生成領域34-3,…,第(n−1)のスピン流生成領域と並列に配置され、正孔と電子とが同程度のキャリア密度と移動度を有し、ホール係数がゼロである非磁性の両極性伝導金属からなる直方体状の第nのスピン流生成領域34-n、第nのスピン流生成領域34-nの一方の端面に金属学的に接合され、スピン偏極電流を第nのスピン流生成領域34-nに注入する強磁性体からなる第nの第1主電極24-n、第nのスピン流生成領域34-nの第nの第1主電極24-nが配置された端面と対向する端面に金属学的に接合され、非磁性体の導体からなる第1の第2主電極44-n、第nのスピン流生成領域34-nの第nの第1主電極24-nが配置された端面と直交する側面の中央部に金属学的に接合され、強磁性体からなる磁化固定電極である第nの検出電極54-nを備える第nのスピン流変換素子14-nと;このようにタンデムに多段接続された複数のスピン流変換素子14-1〜14-nがそれぞれ備える第1主電極24-1〜24-nと第2主電極44-1〜44-nとの間にそれぞれ直流のバイアス電圧を並列的に印加する直流電源5とを備え、高強度のスピン流を発生する。
図11に示すように、タンデムに多段接続された複数のスピン流変換素子14-1〜14-nは、複数のスピン流変換素子14-1〜14-nがそれぞれ備える第1主電極24-1〜24-n、スピン流生成領域34-1〜34-n、第2主電極44-1〜44-n及び検出電極54-1〜54-nがなす平面に垂直な方向(Z方向)に磁場Bが印加されるとき、第1主電極24-1〜24-nは、磁場Bに平行(Z方向)にそれぞれ磁化Mの方向を有し、検出電極54-1〜54-nは、磁化Mの方向に対して平行(Z方向)にそれぞれ磁化Mの方向を有する。
第1主電極24-1〜24-n及び検出電極54-1〜54-nは、好ましくは、共に保磁力が300mT程度以上の強磁性体から構成することができ、比抵抗が1.0×10‐6Ωm以下とすることが好ましい。第1主電極24-1〜24-n及び検出電極54-1〜54-nを構成する物質として、例えばCoxFeyNiz(x=0.2〜0.7,y=0.2〜0.4,z=0.1〜0.2)のような、コバルト・鉄・ニッケル合金等の種々の強磁性体が採用可能である。
図11に示すように、タンデムに多段接続された複数のスピン流変換素子14-1〜14-nのそれぞれの第1主電極24-1〜24-nをカソード、それぞれの第2主電極44-1〜44-nをアノードとして、直流電源5から直流のバイアス電圧をそれぞれに印加すると、第1主電極24-1〜24-nにおいて上向き(Z方向)にスピン偏極された電子が、それぞれのスピン流生成領域34-1〜34-nに注入され、それぞれのスピン流生成領域34-1〜34-n中を第2主電極44-1〜44-nに向かう方向にそれぞれ進行する。又、それぞれの第2主電極44-1〜44-nからは正孔がスピン流生成領域34-1〜34-nにそれぞれ注入され、それぞれのスピン流生成領域34-1〜34-n中を第1主電極24-1〜24-nに向かう方向にそれぞれ進行する。
それぞれのスピン流生成領域34-1〜34-nにおいて、第1主電極24-1〜24-nからそれぞれ注入された上向き(Z方向)にスピン偏極された電子、第2主電極44-1〜44-nから注入された正孔は、磁場Bによるローレンツ力を受けて、それぞれ第1のスピン流変換素子14-1から第nのスピン流変換素子14-nへ向かう方向(X方向)にそれぞれ湾曲し、第1のスピン流変換素子14-1から第nのスピン流変換素子14-nへ向かう方向(X方向)にそれぞれ進行する。上向き(Z方向)に磁化Mの方向を固定したそれぞれの検出電極54-1〜54-nへ向かう正孔と上向き(Z方向)にスピン偏極された電子の数はほぼ等しいので、両キャリアが運ぶ総電荷量は0と考えることができ、それぞれのスピン流生成領域34-1〜34-n内に、それぞれ上向き(Z方向)の磁化Mの有する検出電極54-1〜54-nへ向かって、X方向にそれぞれスピン流が生成する。
即ち、第1の第1主電極24-1から上向き(Z方向)にスピン偏極されて第1のスピン流生成領域34-1に注入された電子は、第1の検出電極54-1が上向き(Z方向)に磁化Mの方向を固定しているので、第1の検出電極54-1に電荷の流れを伴わずに流れ込める。このため、第2のスピン流生成領域34-2においては、第2の第1主電極24-2から上向き(Z方向)にスピン偏極されて第2のスピン流生成領域34-2に注入された電子と、第1の検出電極54-1を介して第2のスピン流生成領域34-2に注入された第1のスピン流生成領域34-1からのスピン流とが重畳される。重畳されたスピン流は、第2の検出電極54-2が上向き(Z方向)に磁化Mの方向を固定しているので、第2の検出電極54-2に電荷の流れを伴わずに流れ込める。このため、第3のスピン流生成領域34-3においては、第3の第1主電極24-3から上向き(Z方向)にスピン偏極されて第3のスピン流生成領域34-3に注入された電子と、第2の検出電極54-2を介して第3のスピン流生成領域34-3に注入された第1のスピン流生成領域34-1及び第2のスピン流生成領域34-2からのスピン流とが重畳される。重畳されたスピン流は第3の検出電極54-3に電荷の流れを伴わずに流れ込める。同様にして、第nのスピン流生成領域34-nにおいては、第nの第1主電極24-nから上向き(Z方向)にスピン偏極されて第nのスピン流生成領域34-nに注入された電子と、第(n−1)の検出電極(図示省略)を介して第nのスピン流生成領域34-nに注入された第1のスピン流生成領域34-1,第2のスピン流生成領域34-2,第3のスピン流生成領域34-3,…,第(n−1)のスピン流生成領域(図示省略)からのスピン流とが重畳される。このようにして、タンデムに多段接続された複数のスピン流生成領域34-1〜34-n内でそれぞれ発生したスピン流は、第1のスピン流変換素子14-1から第nのスピン流変換素子14-nにかけて次第に重畳され強度を増す。高強度のスピン流は、第nのスピン流変換素子14-nの第nの検出電極54-nから、図示を省略した外部装置に出力される。
図11に示す第7の実施の形態に係るスピントロニクス装置においては、タンデムに多段接続された複数のスピン流変換素子14-1〜14-nがそれぞれ備える第1主電極24-1〜24-nの磁化Mと、検出電極54-1〜54-nの磁化Mとはそれぞれ互いに平行であるので、すべてのスピン流変換素子14-1〜14-nにおいてスピン蓄積は生じず、検出電極54-1〜54-nを介してスピン流をタンデムに逐次重畳して増幅し、電荷の流れを伴わずに高強度のスピン流を発生させることができる。
磁場Bは、キャリアにホール効果をもたらすと同時に、キャリアのスピン偏極を維持させることができる。それぞれの第2主電極44-1〜44-nを強磁性体からなる電極にすることによってより強度の大きなスピン流を電荷の流れを伴わずにそれぞれ発生させることもできる。
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明は第1〜第7の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
例えば、本発明の第1の実施の形態においては、図1に示したスピン流生成領域30に設けた検出電極50により電気的にスピン流を検出したが、図15に示すように検出電極50代わりに発光ダイオードを設けて、発光ダイオードの出力光から光学的にスピン流を検出してもよい。即ち、図15に示す本発明の他の実施の形態に係るスピン注入型発光ダイオードは、GaAs基板61と、GaAs基板61の上に設けられたp型GaAsコンタクト層62と、GaAsコンタクト層62の上に設けられたp型のAlGaAsクラッド層63、AlGaAsクラッド層63の上に設けられたi型GaAs活性層64、GaAs活性層64の上に設けられたn型のAlGaAsクラッド層65、AlGaAsクラッド層65の上に設けられたn型のInGaAsコンタクト層66と、GaAsコンタクト層62に接続したp側オーミック電極(アノード電極)68と、InGaAsコンタクト層66がなす凸部の頂部に接続したスピン流変換素子(30,58,59)とを備え、スピン流変換素子(30,58,59)からInGaAsコンタクト層66へスピン流を注入する。p側オーミック電極68は、InGaAsコンタクト層66の表面からAlGaAsクラッド層65,活性層64,AlGaAsクラッド層63を貫通して設けられた溝部(凹部)の底部にp型GaAsコンタクト層62を露出させ、p型GaAsコンタクト層62とオーミック接触するように形成されている。
スピン流変換素子(30,58,59)は、図15に示すように、正孔と電子とが同程度のキャリア密度と移動度を有し、ホール係数がゼロである非磁性の両極性伝導金属からなる直方体状のスピン流生成領域30、スピン流生成領域30の端面に金属学的に接合され、スピン偏極正孔電流をスピン流生成領域30に注入する強磁性体からなる第1主電極58、スピン流生成領域30の第1主電極58が配置された端面と対向する端面に金属学的に接合され、スピン偏極電子電流をスピン流生成領域30に注入する強磁性体からなる第2主電極59を備え、スピン流生成領域30からInGaAsコンタクト層66へスピン流を注入する。このため、第1主電極58と第2主電極59との間には直流電源6が接続され、直流電源6により直流のバイアス電圧が印加される。第1主電極58と第2主電極59とはそれぞれL型形状をなし、それぞれスピン流生成領域30を介して対向するキャリア注入面と、このキャリア注入面に連続し、InGaAsコンタクト層66がなす凸部を挟む凹部の上に設けられた絶縁膜67上に設けられた台座部とを備える。このため、第1主電極58及び第2主電極59は絶縁膜67によって、InGaAsコンタクト層66とは電気的に絶縁されている。活性層64の主面に平行、且つ第1主電極58及び第2主電極59のキャリア注入面に平行方向に磁場が印加され、第1主電極58からスピン偏極された正孔が、第2主電極59からスピン偏極された電子がスピン流生成領域30に注入され、InGaAsコンタクト層66がなす凸部の頂部をなす平面に垂直にスピン流が注入される。第2主電極59とp側オーミック電極68との間には主電源4が接続され、第2主電極59はスピン注入型発光ダイオードのn側オーミック電極(カソード電極)として機能している。
p型のAlGaAsクラッド層63は、発光領域を形成するpin接合のp側を構成する。又、p型とするために、マグネシウム(Mg)、ベリリウム(Be)、亜鉛(Zn)といった不純物が添加されている。活性層64は、発光領域の中心となる領域を形成する層で故意には不純物をドープしていないGaAs層、即ち実質的に真性半導体の層である。n型のAlGaAsクラッド層65は、発光領域を形成するpin接合のn側を構成する。p型のAlGaAsクラッド層63及びn型のAlGaAsクラッド層65のバンドギャップが、活性層64のバンドギャップよりも大きくなるよう決められているので、活性層64へ注入されるキャリアの量を多くし、発光強度を向上させることができる。本発明の他の実施の形態に係るスピン注入型発光ダイオードによれば、スピン流変換素子(30,58,59)からInGaAsコンタクト層66へスピン流を注入することにより、活性層64から円偏光をもつ光を取り出すことができる。このため、スピン流変換素子(30,58,59)が注入するスピンをスピン流生成領域30に印加する磁場及び第1主電極58と第2主電極59との間に印加するバイアス電圧の少なくとも一方を制御することにより、活性層64から出力される光に含まれる光のスピン偏極度を変調することができる。スピン注入型発光ダイオードにおいては、発光に寄与するのは、活性層64へ注入される電子であるので、発光ダイオードそのものの動作としてみた場合は、純粋なスピン流ではなく、電荷の流れを伴うスピン偏極電流がその動作の主体となるが、スピン流注入素子としてのスピン流変換素子(30,58,59)の観点から本発明の趣旨は理解できるであろう。
図16に示すように、本発明の更に他の実施の形態に係るスピン注入型高電子移動度トランジスタ(HEMT)は、GaAs基板71と、GaAs基板71の上に設けられたGaAsバッファ層72と、GaAsバッファ層72の上に設けられたInGaAsチャネル層73、InGaAsチャネル層73の上に設けられたAlGaAsスペーサ層74、AlGaAsスペーサ層74の上に設けられたn型のAlGaAs電子供給層75、AlGaAs電子供給層75の上にAlGaAs電子供給層75の一部を露出して部分的に設けられたn型のGaAsコンタクト層76と、GaAsコンタクト層76にオーミック接触し、強磁性体からなるドレイン電極85と、AlGaAs電子供給層75が露出した部分に設けられたゲート電極84と、InGaAsチャネル層73に接続したスピン流変換素子(30,81,83)が形成されている。InGaAsチャネル層73とAlGaAsスペーサ層74との界面に面したInGaAsチャネル層73の表面には縮退した2次元電子層が形成される。図示を省略しているが、図16の左側部分において、InGaAsチャネル層73はリッジ形状をなし、GaAsバッファ層72の一部を露出している。そして、リッジ形状をなす凸部を挟む両側の凹部には、絶縁膜86が設けられている(図16では、手前側の絶縁膜86のみが示されている。)。スピン流変換素子(30,81,83)は、AlGaAs電子供給層75の表面から,AlGaAsスペーサ層74を貫通して設けられた溝部(凹部)の底部にInGaAsチャネル層73のリッジ形状をなす凸部の頂部を露出させ、リッジ形状部分においてInGaAsチャネル層73とオーミック接触するように形成されている。スピン流変換素子(30,81,83)は、図16に示すように、正孔と電子とが同程度のキャリア密度と移動度を有し、ホール係数がゼロである非磁性の両極性伝導金属からなる直方体状のスピン流生成領域30、スピン流生成領域30の端面に金属学的に接合され、スピン偏極電子電流をスピン流生成領域30に注入する強磁性体からなる第1主電極81、スピン流生成領域30の第1主電極81が配置された端面と対向する端面に金属学的に接合され、スピン偏極正孔電流をスピン流生成領域30に注入する強磁性体からなる第2主電極83を備える。第1主電極81と第2主電極83との間には直流電源6により直流のバイアス電圧が印加される。第1主電極81と第2主電極83とはそれぞれL型形状をなし(図16では、手前側の第2主電極83のみがL型形状をなすことを示されている。)、それぞれスピン流生成領域30を介して対向するキャリア注入面と、このキャリア注入面に連続し、InGaAsチャネル層73がリッジ形状をなす凸部を挟む絶縁膜86上に設けられた台座部とを備える。このため、第1主電極81及び第2主電極83は、InGaAsチャネル層73のなすリッジ形状部以外の箇所では、絶縁膜86によって、InGaAsチャネル層73とは電気的に絶縁されている。InGaAsチャネル層73の主面に平行、且つ第1主電極81及び第2主電極83のキャリア注入面に平行方向に磁場が印加され、第1主電極81からスピン偏極された電子が、第2主電極83からスピン偏極された正孔がスピン流生成領域30に注入され、InGaAsチャネル層73がなすリッジ形状部の頂部をなす平面に垂直にスピン流が注入され、InGaAsチャネル層73の表面の縮退した2次元電子層中をスピンが輸送される。スピン偏極された電子を注入する第1主電極81は、スピン注入型HEMTのソース電極として機能している。
本発明の更に他の実施の形態に係るスピン注入型HEMTにおいて、縮退した2次元電子層中をスピンが輸送される時間をスピン反転時間(スピン緩和時間)より小さくなるような寸法に選べば、スピンの弾道輸送をすることができる。縮退した2次元電子層中に上向きスピンの電子を注入した場合、一定の寿命時間の間はスピン偏極が緩和されずに、縮退した2次元電子層中を通り抜け、スピンがドレイン電極85に到達する。ドレイン電極85の磁化が上向きに設定されていれば、上向きスピンの電子はInGaAsチャネル層73からドレイン電極85進入することができる。これがドレイン電流となる。一方、ドレイン電極85が下向きに磁化しておいた場合は、縮退した2次元電子層を走ってきた上向きスピンの電子は、ドレイン電極85に入ることを阻止される。
又、InGaAsチャネル層73が比較的長ければ、縮退した2次元電子層に注入されたスピン偏極電子は,界面電界に起因するスピン軌道相互作用によって、縮退した2次元電子層を輸送中にスピンの向きが変わり得る。スピン流変換素子(30,81,83)から上向きスピンの電子を注入して、注入された電子のスピンがπだけ変化すると輸送が抑えられ、2πだけ回転して元に戻ると輸送できる。スピンの回転角は、ゲート電極84ゲート電極84の電圧によっても制御することが可能である。
このため、スピン流変換素子(30,81,83)が注入するスピンをスピン流生成領域30に印加する磁場及び第1主電極81と第2主電極83との間に印加するバイアス電圧の少なくとも一方を制御することにより、縮退した2次元電子層中を輸送され、ドレイン電極85から取り出されるスピン偏極度を変調することができる。スピン注入型HEMTにおいては、ゲート電極84を介した増幅に寄与するのは、縮退した2次元電子層中を輸送される電子であるので、HEMTそのものの動作としてみた場合は、純粋なスピン流ではなく、電荷の流れを伴うスピン偏極電流がその動作の主体となるが、縮退した2次元電子層中へスピンを注入するスピン流注入素子としてのスピン流変換素子(30,81,83)の観点から本発明の趣旨は理解できるであろう。
図17に示す本発明の更に他の実施の形態に係る論理集積回路は、図16に示したスピン注入型HEMTにおいて、InGaAsチャネル層73に第1のスピン流変換素子(30a,81a,83a)及び第2のスピン流変換素子(30b,81b,83b)とを並列接続した構成に対応する。図16に示したのと同様に、InGaAsチャネル層73とAlGaAsスペーサ層74との界面に面したInGaAsチャネル層73の表面には縮退した2次元電子層が形成され、図17の左側部分において、InGaAsチャネル層73はリッジ形状をなし、GaAsバッファ層72の一部を露出し、リッジ形状をなす凸部を挟む両側の凹部には、絶縁膜86が設けられている。第1のスピン流変換素子(30a,81a,83a)及び第2のスピン流変換素子(30b,81b,83b)は、AlGaAs電子供給層75の表面から,AlGaAsスペーサ層74を貫通して設けられた溝部(凹部)の底部にInGaAsチャネル層73のリッジ形状をなす凸部の頂部を露出させ、リッジ形状部分においてInGaAsチャネル層73と並列にオーミック接触するように形成されている。
第1のスピン流変換素子(30a,81a,83a)は、図17に示すように、正孔と電子とが同程度のキャリア密度と移動度を有し、ホール係数がゼロである非磁性の両極性伝導金属からなる直方体状の第1のスピン流生成領域30a、第1のスピン流生成領域30aの端面に金属学的に接合され、スピン偏極電子電流を第1のスピン流生成領域30aに注入する強磁性体からなる第1の第1主電極81a、第1のスピン流生成領域30aの第1の第1主電極81aが配置された端面と対向する端面に金属学的に接合され、スピン偏極正孔電流を第1のスピン流生成領域30aに注入する強磁性体からなる第1の第2主電極83aを備える。第1の第1主電極81aと第1の第2主電極83aとの間には第1の直流電源6aにより直流のバイアス電圧が印加される。第1の第1主電極81aと第1の第2主電極83aとはそれぞれL型形状をなし(図17では、手前側の第1の第2主電極83aのみがL型形状をなすことを示されている。)、それぞれ第1のスピン流生成領域30aを介して対向するキャリア注入面と、このキャリア注入面に連続し、InGaAsチャネル層73がリッジ形状をなす凸部を挟む絶縁膜86上に設けられた台座部とを備える。このため、第1の第1主電極81a及び第1の第2主電極83aは、InGaAsチャネル層73のなすリッジ形状部以外の箇所では、絶縁膜86によって、InGaAsチャネル層73とは電気的に絶縁されている。第2のスピン流変換素子(30b,81b,83b)は、図17に示すように、正孔と電子とが同程度のキャリア密度と移動度を有し、ホール係数がゼロである非磁性の両極性伝導金属からなる直方体状の第2のスピン流生成領域30b、第2のスピン流生成領域30bの端面に金属学的に接合され、スピン偏極電子電流を第2のスピン流生成領域30bに注入する強磁性体からなる第2の第1主電極81b、第2のスピン流生成領域30bの第2の第1主電極81bが配置された端面と対向する端面に金属学的に接合され、スピン偏極正孔電流を第2のスピン流生成領域30bに注入する強磁性体からなる第2の第2主電極83bを備える。第2の第1主電極81bと第2の第2主電極83bとの間には第2の直流電源6bにより直流のバイアス電圧が印加される。第2の第1主電極81bと第2の第2主電極83bとはそれぞれL型形状をなし、それぞれ第2のスピン流生成領域30bを介して対向するキャリア注入面と、このキャリア注入面に連続し、InGaAsチャネル層73がリッジ形状をなす凸部を挟む絶縁膜86上に設けられた台座部とを備える。このため、第2の第1主電極81b及び第2の第2主電極83bは、InGaAsチャネル層73のなすリッジ形状部以外の箇所では、絶縁膜86によって、InGaAsチャネル層73とは電気的に絶縁されている。
磁場B,Bは、InGaAsチャネル層73の主面に平行、且つ第1の第1主電極81a、第1の第2主電極83a、第2の第1主電極81b及び第2の第2主電極83bのそれぞれのキャリア注入面に平行方向において、互いに反対方向に印加される。磁場B印加時には、第1の第1主電極81aからスピン偏極された電子が、第1の第2主電極83aからスピン偏極された正孔が第1のスピン流生成領域30aに注入され、InGaAsチャネル層73がなすリッジ形状部の頂部をなす平面に垂直にスピン流が注入され、InGaAsチャネル層73の表面の縮退した2次元電子層中をスピンが輸送される。磁場Bと反対方向の磁場B印加時には、第2の第1主電極81bからスピン偏極された電子が、第2の第2主電極83bからスピン偏極された正孔が第2のスピン流生成領域30bに注入され、InGaAsチャネル層73がなすリッジ形状部の頂部をなす平面に垂直にスピン流が注入され、InGaAsチャネル層73の表面の縮退した2次元電子層中をスピンが輸送される。スピン偏極された電子を注入する第1の第1主電極81aは、論理集積回路の第1のソース電極として機能し、スピン偏極された電子を注入する第2の第1主電極81bは、論理集積回路の第2のソース電極として機能している。
このため、磁場B印加時に第1のスピン流変換素子(30a,81a,83a)からスピンを第1のスピン流生成領域30aに注入し、磁場B印加時には第2のスピン流変換素子(30b,81b,83b)から第2のスピン流生成領域30bにスピンを注入することにより、第1のソース電極又は第2のソース電極を選択することが可能で、縮退した2次元電子層中を輸送されるスピン偏極電流の入力信号を切り替えることが可能である。
その他詳細な説明を省略するが、本発明のスピン流変換素子は、スピントルク型磁気抵抗RAM、スピントランスファートルク型発振素子、スピンゼーベック効果素子、スピン流−熱流変換による冷却素子等にも適用可能であることは、上記の説明から理解できるであろう。
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
4…主電源
5,6…直流電源
7…交流電源
9…ロックイン増幅器
10,11,12,13,14-1〜14-n…スピン流変換素子
20,22,23,24-1〜24-n,58、81,81a,81b…第1主電極
30,34-1〜34-n…スピン流生成領域
40,43,44-1〜44-n,59,83,83a,83b…第2主電極
50,53,54-1〜54-n…検出電極
51a…第1の検出電極
51b…第2の検出電極
61,71…GaAs基板
62…コンタクト層
63…AlGaAsクラッド層
64…活性層
65…AlGaAsクラッド層
66…InGaAsコンタクト層
67,86…絶縁膜
68…p側オーミック電極
72…GaAsバッファ層
73…InGaAsチャネル層
74…AlGaAsスペーサ層
75…AlGaAs電子供給層
76…GaAsコンタクト層
84…ゲート電極
85…ドレイン電極

Claims (8)

  1. 互いに平行に対向する第1端面及び第2端面を有し、第1導電型キャリアと第2導電型キャリアとが同程度のキャリア密度と移動度を有し、フェルミ面の曲率の平均値をゼロとすることによりホール係数がゼロとなる非磁性の両極性伝導金属からなるスピン流生成領域と、
    前記第1端面に設けられ、スピン偏極された第1導電型キャリアを前記スピン流生成領域に注入する強磁性体からなる第1主電極と、
    前記第2端面に設けられ、第2導電型キャリアを前記スピン流生成領域に注入する第2主電極
    とを備え、前記第1端面に垂直な面に直交する方向の磁場のローレンツ力により、第1導電型キャリアと第2導電型キャリアとを同一方向に輸送されるように偏向して、第1導電型キャリアと第2導電型キャリアの電荷を互いに相殺し、前記スピン流生成領域においてスピン流を得ることを特徴とするスピントロニクス装置。
  2. 前記両極性伝導金属が水素化イットリウム(YHx(1.7<x<2.1)からなることを特徴とする請求項1に記載のスピントロニクス装置。
  3. 前記同一方向に直交する前記スピン流生成領域の出力側面に設けられた、強磁性体からなる検出電極を更に備え、前記第1主電極と前記検出電極との間の抵抗測定により、前記スピン流の存在を検出することを特徴とする請求項1又は2に記載のスピントロニクス装置。
  4. 前記第2主電極が強磁性体からなり、前記第2主電極からスピン偏極された第2導電型キャリアを前記スピン流生成領域に注入することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のスピントロニクス装置。
  5. 互いに平行に対向する第1端面及び第2端面を有し、第1導電型キャリアと第2導電型キャリアとが同程度のキャリア密度と移動度を有し、フェルミ面の曲率の平均値をゼロとすることによりホール係数がゼロとなる非磁性の両極性伝導金属からなるスピン流生成領域と、
    前記第1端面に設けられ、スピン偏極された第1導電型キャリアを前記スピン流生成領域に注入する強磁性体からなる第1主電極と、
    前記第2端面に設けられ、第2導電型キャリアを前記スピン流生成領域に注入する第2主電極と、
    前記第1端面に直交する前記スピン流生成領域の出力側面に設けられた、強磁性体からなる検出電極
    とを備え、前記第1端面に垂直な面に直交する方向の磁場のローレンツ力により、第1導電型キャリアと第2導電型キャリアとを共に前記出力側面に向かう方向に輸送されるように偏向して、1導電型キャリアと第2導電型キャリアの電荷を互いに相殺し、前記検出電極の磁化の方向を入力信号、前記第1主電極と前記検出電極との間の抵抗を出力信号とすることを特徴とする論理演算素子。
  6. 前記第2主電極が強磁性体からなり、前記第2主電極からスピン偏極された第2導電型キャリアを前記スピン流生成領域に注入し、前記第2主電極の磁化の方向を第2の入力信号とすることを特徴とする請求項5に記載の論理演算素子。
  7. 互いに平行に対向する第1端面及び第2端面を有し、第1導電型キャリアと第2導電型キャリアとが同程度のキャリア密度と移動度を有し、フェルミ面の曲率の平均値をゼロとすることによりホール係数がゼロとなる非磁性の両極性伝導金属からなるスピン流生成領域と、
    前記第1端面に設けられ、スピン偏極された第1導電型キャリアを前記スピン流生成領域に注入する強磁性体からなる第1主電極と、
    前記第2端面に設けられ、スピン偏極された第2導電型キャリアを前記スピン流生成領域に注入する強磁性体からなる第2主電極と、
    前記第1端面に直交する前記スピン流生成領域の出力側面に設けられた、強磁性体からなる検出電極
    とを備え、前記第1端面に垂直な面に直交する方向の磁場のローレンツ力により、第1導電型キャリアと第2導電型キャリアとを共に前記出力側面に向かう方向に輸送されるように偏向して、第1導電型キャリアと第2導電型キャリアの電荷を互いに相殺し、前記第1主電極の磁化の方向を第1の入力信号、前記第2主電極の磁化の方向を第2の入力信号、前記第1主電極と前記第2主電極との間の抵抗を出力信号とすることを特徴とする論理演算素子。
  8. 前記両極性伝導金属が水素化イットリウム(YHx(1.7<x<2.1)からなることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の論理演算素子。
JP2009234395A 2009-10-08 2009-10-08 スピントロニクス装置及び論理演算素子 Expired - Fee Related JP5551912B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009234395A JP5551912B2 (ja) 2009-10-08 2009-10-08 スピントロニクス装置及び論理演算素子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009234395A JP5551912B2 (ja) 2009-10-08 2009-10-08 スピントロニクス装置及び論理演算素子

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011082388A JP2011082388A (ja) 2011-04-21
JP5551912B2 true JP5551912B2 (ja) 2014-07-16

Family

ID=44076125

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009234395A Expired - Fee Related JP5551912B2 (ja) 2009-10-08 2009-10-08 スピントロニクス装置及び論理演算素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5551912B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5601976B2 (ja) * 2010-11-04 2014-10-08 国立大学法人埼玉大学 スピントロニクス装置及び論理演算素子
EP2736080B1 (en) 2011-08-22 2017-02-01 Japan Science and Technology Agency Spin rectifying device, spin transistor, and spin rectifying method
JP5673951B2 (ja) * 2011-08-23 2015-02-18 独立行政法人産業技術総合研究所 電界強磁性共鳴励起方法及びそれを用いた磁気機能素子
JP5880937B2 (ja) * 2011-12-22 2016-03-09 国立大学法人埼玉大学 スピン偏極度測定方法及び測定メータ、並びにこれを用いた論理演算ゲート及び信号暗号化復号化方法
FR3138748A1 (fr) * 2022-08-04 2024-02-09 Thales Système d'émission lumineuse à injecteur de spin

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5544547B2 (ja) * 2009-07-09 2014-07-09 国立大学法人九州大学 磁化反転装置、記憶素子、及び磁界発生装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2011082388A (ja) 2011-04-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Zhang et al. Recent progress and challenges in magnetic tunnel junctions with 2D materials for spintronic applications
US10529775B2 (en) Two-terminal spintronic devices
Schmidt Concepts for spin injection into semiconductors—a review
US9400316B2 (en) Electric current-spin current conversion device
US7755929B2 (en) Spin-injection device and magnetic device using spin-injection device
US7203090B2 (en) High output nonvolatile magnetic memory
JP4058344B2 (ja) 半導体接点を備える半導体素子
JP5551912B2 (ja) スピントロニクス装置及び論理演算素子
Sinsarp et al. Electrical spin injection from out-of-plane magnetized FePt/MgO tunneling junction into GaAs at room temperature
US5962905A (en) Magnetoresistive element
Grenet et al. Spin injection in silicon at zero magnetic field
WO2013014892A1 (ja) スピンデバイス、その動作方法およびその製造方法
JP5601976B2 (ja) スピントロニクス装置及び論理演算素子
van't Erve et al. Information processing with pure spin currents in silicon: spin injection, extraction, manipulation, and detection
Schmidt et al. Dilute magnetic semiconductors in spin-polarized electronics
Schmidt et al. Electrical spin injection into semiconductors
US7037807B1 (en) Electric field induced spin-polarized current
Schmidt et al. Electrical injection of spin polarized electrons into GaAs
Bhuyan A Modern Review of the Spintronic Technology: Fundamentals, Materials, Devices, Circuits, Challenges, and Current Research Trends
Miah Generation and detection of spin current in semiconductors: semiconductor spintronics
Matsushima Study on spin-charge conversion in Bi-based systems
JP2011029573A (ja) トンネル磁気抵抗素子およびスピントランジスタ
Kountouriotis Spin Transport in Silicon Nanowires with an Intrinsic Axial Doping Gradient
JP3563573B2 (ja) 磁気抵抗効果素子
Ma et al. Detection of spin injection efficiency by tunneling magnetoresistance

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20121001

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20121004

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20131022

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140128

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140320

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140513

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140523

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5551912

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees