以下、この発明の実施例1について、図1〜図13−3に基づいて説明する。尚、以下の説明は、塗装用空調方法の説明を含むものである。
図1に示すように、塗装用空調システム1は、塗装ブース用空調機2と、冷水発生装置3と、蒸気発生装置4と、塗装用空調システム1を構成している制御盤5等を備えている。 冷水発生装置3は、冷水を後述する冷却装置10に循環可能な循環ポンプ3aを備え、外部から電気とガスの供給を受けて冷水を生成可能に構成されている。冷水発生装置3は、アイドリング時、循環水の温度を15℃に保持するように制御されている。
蒸気発生装置4は、蒸気を発生可能な蒸気発生槽を備え、外部から電気とガスの供給を受けて蒸気を生成可能に構成されている。蒸気発生装置4は、アイドリング時、蒸気発生槽の圧力を1気圧に保持するように制御されている。
塗装ブース用空調機2は、ハウジング6と、送風ファン8と、外気取入口7a近傍に配置された加湿装置9と、加湿装置9の下流側に配置された冷却装置10と、冷却装置10の下流側に配置された加温装置11等を備えている。ハウジング6は、上流側に外気を導入可能な外気取入口7aを備え、空調機2の周囲を被う略立方体状に形成されている。
送風ファン8は、ハウジング6の下流側から調温調湿された空調空気を塗装ブース(図示略)に給気可能に構成されている。加湿装置9と冷却装置10と加温装置11は、取入口7aから送風ファン8に向かって略直線状に配置されている。取入口7aには、空調機2内のゴミ等の異物侵入を防止するため、取入口前面にフィルタ7bが設けられている。
次に、加湿装置9の構造について説明する。加湿装置9は、取入口7aから導入された外気に所定量の水分量を吸収させる装置である。
加湿装置9は、水分を散水可能な散水部9aと、貯留タンク9bと、循環通路9cと、循環ポンプ9d(ワッシャ水ポンプ)と、加熱ヒータ9e等を備えている。
散水部9aは、取入口7aに対向して立設され、導入外気に対向して加熱霧化した水分を散水可能に構成されている。貯留タンク9bは、滴下した余剰水分を散水部9a下方で受けて貯留可能に構成されている。循環通路9cは、貯留タンク9bで貯留された水分を散水部9aまで循環可能に構成されている。循環ポンプ9dは、循環通路9cの途中部に設けられ、貯留タンク9bに貯留された水分を散水部9aへ圧送可能に構成されている。
加熱ヒータ9eは、散水部9aの上流側で循環通路9cの途中部に配置され、圧送途中の水を蒸気によって加熱し、霧化した水分を形成可能に構成されている。加熱ヒータ9eは、導入外気の温度を下げることなく、霧化した水分を気化し、空気を加湿するための熱量(エンタルピ)を循環通路9cを循環する水に与えるよう構成されている。尚、散水部9aから、霧化した水分に代えて、蒸気によって加熱された温水を散水することも可能である。
加熱ヒータ9eは、周知のスチームコイルであり、所定長を有するスチーム管(図示略)が循環通路9cの回りに積層状に畳まれて形成されている。スチーム管に所定温度、例えば、140℃に調整された蒸気が蒸気発生装置4から供給され、加熱ヒータ9eが発熱する。循環通路9cを通過した水分は加熱霧化されるため、空気に吸収される水分量を増すことができ、加湿効率を高くすることができる。
次に、冷却装置10の構造について説明する。冷却装置10は、空気を所定温度まで冷却し、空気の相対湿度を上昇させる装置である。冷却装置10は、積層状に畳まれた冷却管(図示略)を内部に備え、この冷却管に所定温度、例えば、7℃に調整された冷水が冷水発生装置3から循環ポンプ3aを介して供給される。この冷却管を冷水が通過することにより、冷却装置10全体の温度が低下し、冷却装置10から放射された冷気が、冷却装置10に接触する空気を冷却するように形成されている。冷却装置10では、通過する冷水の流量を調節弁17aが調整することにより、空調空気の温度及び相対湿度を調整することができる。
この冷却装置10は、空気中に含まれる水分を除去する除湿機能も備えている。除湿を行う場合、冷却管を通過する冷水の流量を調整して、空気中の水分を結露させ、空調空気の絶対湿度を低減可能に構成されている。尚、冷却装置10とは別に、デシカント装置等の吸着型除湿機を設置することも可能である。
次に、加温装置11の構造について説明する。加温装置11は、空調機2の最下流位置に配置され、空調機2を流れる空気に対して対向するように配設されている。加温装置11は、加熱ヒータ9eと同様に、スチームコイル式のヒータで構成されている。また、加温装置11内を蒸気発生装置4から供給された蒸気が通過することによって、加温装置11全体が高温となり、加温装置11と接触する通過空気を加熱する。加温装置11では、通過する蒸気の流量を調節弁17cが調整することにより、空調空気の温度及び相対湿度を調整することができる。
空調機2には、温湿度センサ12a,12bと、温度/湿度変換器13a,13bと、加湿装置9と冷却装置10の間に配置され空調機2内の空気温度を検出可能な温度センサ14が設けられている。温度/湿度変換器13a,13bは、温湿度センサ12a,12bからの信号を受けて空気の温度と相対湿度が変換可能に構成されている。
温湿度センサ12aは、外気取入口7aの上流側近傍に配置され、空調機2に導入された外気の温湿度を検出可能に構成されている。温湿度センサ12bは、送風ファン8の下流側近傍に配置され、空調機2から塗装ブースに送風される空調空気の温湿度を検出可能に形成されている。夫々のセンサで検出された温度と相対湿度は、温度/湿度変換器13a,13bから制御盤5へ送信される。尚、温湿度調整中の空気の温湿度として、温湿度センサ12bの検出値を使用しているが、温湿度センサ12aと温湿度センサ12bの検出値の平均値や、温湿度センサを1ヶ所に設置した場合、その温湿度センサの検出値等、少なくとも、塗装ブース用空調機2内に設置された温湿度センサの検出値であれば、温湿度調整中の空気の温湿度として使用することが可能である。
冷水発生装置3は、外部から供給された電力量を検出可能な電力計15aと、外部から供給された燃焼ガス流量を検出可能な流量計16aと、冷水を冷却装置10に供給するための冷水通路18aと、冷水を冷却装置10から冷水発生装置3に戻す冷水通路18bと、冷水通路18aの上流部と冷水通路18bの下流部を連結する冷水通路18c等を備えている。電力計15aと流量計16aから検出された電力量と燃焼ガス流量は、制御盤5へ送信される。
冷水通路18aの途中部には、冷却装置10に供給する冷水流量を調節可能な調節弁17aが設けられ、制御盤5の指令信号によって開閉制御可能に形成されている。冷水通路18bの途中部には、冷却装置10から還流する冷水流量を開閉制御可能な遮断弁17dが設けられ、制御盤5の指令信号によって開閉制御可能に形成されている。冷水通路18cは、制御盤5の指令信号によって開閉制御可能な遮断弁17eを備え、遮断弁17dの下流部と調節弁17aの上流部を連結している。以上により、調節弁17aと遮断弁17dを開弁し遮断弁17eを閉弁したとき、冷水は冷却装置10へ供給され、調節弁17aと遮断弁17dを閉弁し遮断弁17eを開弁したとき、冷水は冷却装置10に供給されることなく冷水発生装置3へ還流する。
循環ポンプ3aには、供給された電力量を検出可能な電力計15eと、循環ポンプ3aの吐出流量を制御する電力調整器27へ供給された電力量を検出可能な電力計15fが設置され、検出された電力量は電力計15e,15fから制御盤5へ送信される。
循環ポンプ9dには、供給された電力量を検出可能な電力計15cと、循環ポンプ9dの吐出流量を制御する電力調整器26へ供給された電力量を検出可能な電力計15dが設置され、検出された電力量は電力計15c,15dから制御盤5へ送信される。
蒸気発生装置4は、外部から供給された電力量を検出可能な電力計15bと、外部から供給された燃焼ガス流量を検出可能な流量計16bと、蒸気通路19と、蒸気通路19から分岐した蒸気通路20が設置されている。電力計15bと流量計16bから検出された電力量と燃焼ガス流量は、制御盤5へ送信される。
蒸気通路19は加熱ヒータ9eに接続され、蒸気通路19の途中部には加熱ヒータ9eに供給する蒸気流量を調節可能な調節弁17bが設けられ、制御盤5の指令信号に応じて開閉制御可能に構成されている。蒸気通路20は加温装置11に接続され、蒸気通路20の途中部には加温装置11に供給する蒸気流量を調節可能な調節弁17cが設けられ、制御盤5の指令信号に応じて開閉制御可能に形成されている。
次に、制御盤5について説明する。制御盤5は、前記複数のセンサ及び測定計の検出信号に基づき、空調機2と冷水発生装置3と蒸気発生装置4等を制御している。
制御盤5は、CPU、ROM、及びRAM等を備えた制御部21と、温度調節部22と、絶対湿度調節部23と、温度調節計24と、ハイセッタ設定器25と、電力調整器26と、電力調整器27と、表示灯28から構成されている。尚、ROMには、予め、Wexeler-Hylandの算出式や絶対湿度算出式、比エンタルピ算出式等温湿度調節に必要な関係式及び各定数が記憶され、RAMには、各種演算を行うためのプログラムが格納されている。
制御部21には、温度/湿度変換器13a,13bと、電力計15a,15b,15c,15d,15e,15fと、流量計16a,16bから各検出信号が入力されるように形成されている。制御部21は、温度/湿度変換器13aから得られた導入外気の温度t(℃)と相対湿度φ(%)とROMに記憶された各関係式に基づき、空調機2を作動し、導入外気の絶対湿度を維持した目標温湿度T1に制御する第1制御と導入外気の温度を維持した目標温湿度T2に制御する第2制御とを実行可能に構成されている。第1制御では、冷却制御モード、加温制御モードのうち一方の制御モードを実行し、第2制御では、加湿制御モード、除湿制御モードのうち一方の制御モードを実行するよう構成されている。
また、制御部21は、各制御モードの実行に必要となるエネルギー量Eを算出し、算出されたエネルギー量Eが最小となる制御モードを選択可能に構成されている。具体的には、制御部21は、各制御モードを実行したときの空気のエンタルピ変化量Pと、各制御モードにおける空調機2が実際の作動に使用するエネルギー原単位ΔEとを用いてエネルギー量Eを演算し、各制御モードの実行に必要となるエネルギー量Eが最小となる制御モードを選択している。
各制御モードの実行に必要となるエネルギー量Eとは、各制御モードで作動する調整装置(加湿装置9,冷却装置10,加温装置11)の動力源の使用エネルギー量(蒸気,冷水,燃焼ガス,電気)として定義している。従って、図2に示すように、冷却制御モードでは、冷却装置10の作動に必要な冷水発生装置3の冷水、電力及び燃焼ガスに関するエネルギー量Ecl、加温制御モードでは、加温装置11の作動に必要な蒸気発生装置4の蒸気、電力及び燃焼ガスに関するエネルギー量Eht、加湿制御モードでは、加熱ヒータ9eの作動に必要な蒸気発生装置4の蒸気、電力及び燃焼ガスに関するエネルギー量と循環ポンプ9dの作動に必要な循環ポンプ9dの電力に関するエネルギー量とが合計されたエネルギー量Ewt、除湿制御モードでは、冷却装置10の作動に必要な冷水発生装置3の冷水、電力及び燃焼ガスに関するエネルギー量Edyが、夫々の制御モードの実行に必要となるエネルギー量Eに相当している。除湿制御モードでは、温度低下に対する温度補償のための補完運転を行う場合、加温装置11の作動に必要な蒸気発生装置4の蒸気、電力及び燃焼ガスに関するエネルギー量を加えてエネルギー量Edyを演算している。
制御部21は、調整中の空気の絶対湿度と各制御目標値との偏差に基づいて、選択された制御モード以外の制御モードを実行する調整装置の運転状態を制御するよう構成されている。選択された制御モードの制御余裕度Bを求め、この制御余裕度Bが目標温湿度範囲D内に移行したとき、選択された制御モードを実行している調整装置以外の調整装置を停止状態とし、制御余裕度Bが目標温湿度範囲Dから外れて目標温湿度範囲Dを含む偏差範囲C内にあるとき、停止状態の調整装置の少なくとも1つの調整装置をスタンバイ状態とし、偏差範囲Cから外れたとき、運転状態に制御している。
制御余裕度Bとは、制御目標値(絶対湿度又は飽和絶対湿度)と温湿度調整中の空気の温湿度(絶対湿度又は飽和絶対湿度)との差分によって算出している。
本実施例において、アイドリング状態とは、各調整装置の最低出力(最小消費エネルギー)の待機状態とされ、スタンバイ状態とは、制御部21からの作動指令に基づき、直ちに温湿度調整のための作動が可能な状態としている。また、目標温湿度範囲Dは所定の範囲を備えた領域によって設定され、偏差範囲Cは目標温湿度範囲Dを含み目標温湿度範囲Dよりも大きな範囲を備えた領域によって設定されている。
次に、制御部21の各調節処理について具体的に説明する。
制御部21が第1制御を行う場合、空調空気の目標温湿度は、導入外気の重量絶対湿度において、この重量絶対湿度を維持した状態で且つ制御対象となる任意な温度における飽和重量絶対湿度から所定偏差低い状態となる温度によって設定している。また、制御部21が第2制御を行う場合、目標温湿度は、導入外気の温度tにおいて、この温度tを維持した状態で且つ制御対象となる任意な重量絶対湿度がこの温度における飽和重量絶対湿度から所定偏差低い状態となる重量絶対湿度によって設定している。
制御部21は、調節制御に先立ち、以下の前処理を実行する。
[前処理] 導入外気の温度t(℃)における重量絶対湿度Wt(kg/kg(DA))と、導入外気の温度t(℃)における飽和重量絶対湿度Wst(kg/kg(DA))と、導入外気の重量絶対湿度Wtを維持するときに制御目標値となる第1目標湿度W1(kg/kg(DA))と、外気温度t(℃)を維持するときに制御目標値となる第2目標湿度W2(kg/kg(DA))と、第1目標湿度W1が飽和重量絶対湿度になる目標給気温度t1(℃)を演算する。
ここで、第1制御の目標温湿度T1は、温度t1と重量絶対湿度Wtであり、第2制御の目標温湿度T2は、温度tと第2目標湿度W2と同じ重量絶対湿度W2に設定されている。尚、「重量絶対湿度」とは、現在の湿り空気中に含まれる水蒸気の重量(kg)を、乾き空気(Dry Air)の重量の1kg中に含まれる水蒸気量に換算した値であり、空気中に含まれる水蒸気の重量(kg)を示すものである。
第1目標湿度W1と第2目標湿度W2は、重量絶対湿度Wtと飽和重量絶対湿度Wstに基づいて、下記式(1)及び式(2)で演算することができる。
W1=Wt+ΔW (1)
W2=Wst−ΔW (2)
尚、ΔW(kg/kg(DA))は、塗装ブースに給気される空調空気の飽和重量絶対湿度Wstに対する乾き偏差値であり、空調空気の飽和重量絶対湿度と重量絶対湿度との差分で示すことができる。それ故、水性塗料の乾燥速度を一定にする場合、例えば、ΔWを10g±1gに設定することができ、塗装環境や塗料の種類等に応じてΔWを任意に設定することができる。
[上下限値対応制御] 制御部21は、予め作業環境等の条件から設定された給気下限温度tL(℃)とこの下限温度tLに対応した乾き重量絶対湿度となる目標下限湿度WL(kg/kg(DA))を演算している。また、制御部21は、給気上限温度tU(℃)とこの上限温度tUに対応した乾き重量絶対湿度となる目標上限湿度WU(kg/kg(DA))を演算している。例えば、下限温度tLは15℃、上限温度tUは30℃に夫々設定されている。第1目標湿度W1が飽和重量絶対湿度になる目標給気温度、つまり、目標温湿度T1の温度t1が給気下限温度tLよりも低い場合、下限温度tLと目標下限湿度WLを目標温湿度に選択するように構成されている。また、目標温湿度T1の温度t1が上限温度tUよりも高い場合、上限温度tUと目標下限湿度WUを目標温湿度に選択するように構成されている。
制御部21は、前処理の結果に基づき、以下の演算処理を行うよう構成されている。
[冷却制御モード演算処理] 第1目標湿度W1<飽和重量絶対湿度Wstのとき、冷却制御モード演算処理を実行する。冷却制御モードでは、導入空気を温度t1と重量絶対湿度Wtの目標温湿度T1に調節する。そこで、冷却装置10を作動させて空気を目標温湿度T1に制御した場合のエンタルピ変化量Pcl(kJ/kg(DA))を算出する。
図3に空気線図(Psychrometric Chart: 湿り空気h−x線図)で示すように、空調機2は、温度t、重量絶対湿度Wtの外気S(t,Wt)を導入している。重量絶対湿度Wtを維持した状態で飽和重量絶対湿度WstをA1方向に移動すると、第1目標湿度W1を飽和重量絶対湿度Wstとした空気を生成することができる。この第1目標湿度W1を飽和重量絶対湿度Wstとした空気の温度は、温度t1に冷却される。つまり、導入外気を重量絶対湿度Wtを維持した状態でB1方向に冷却すると、飽和重量絶対湿度Wstから偏差値ΔW低い空調空気のT1(t1,Wt)を生成することができる。
また、図3に示すように、導入外気が冷却された場合、導入外気のエンタルピと冷却制御後の空気のエンタルピには差異が存在している。この導入外気のエンタルピと冷却制御後の空気のエンタルピの差分を求めることによって、エンタルピ変化量Pclを算出している。エンタルピ変化量Pclと冷却装置10が実際の作動に使用するエネルギー原単位ΔEclとを用いて、実際の装置作動に必要なエネルギーEcl(kJ/h)を算出する。
そして、式(3)によって、制御余裕度Bclを演算している。制御余裕度Bclは、制御目標値としての第1目標湿度W1と温湿度調整中の導入外気の重量絶対湿度Wclとの差分に相当している。
Bcl=W1−Wcl (3)
図4に示すように、冷却制御モードにおいて、温湿度調整中の導入外気の重量絶対湿度Wclが目標温湿度範囲Dcl内へ移行した場合、所定時間、例えば、1分経過後、冷却制御モード中で使用しない加湿装置9、加温装置11を停止状態としている。重量絶対湿度Wclが、目標温湿度範囲Dclの上限値を下回り(X1)、1分経過する前に目標温湿度範囲Dclの下限値を下回った場合(X2)、加湿装置9、加温装置11は停止することなく、運転状態を維持している。次に、重量絶対湿度Wclが、再度、目標温湿度範囲Dclの下限値を上回り(X3)、1分経過した場合(X4)、冷却制御モード中に使用しない加湿装置9、加温装置11を停止状態としている。目標温湿度範囲Dclは、例えば、10g±1gに相当するように設定されている。尚、除湿制御出力において、冷水発生装置3と循環ポンプ3aは稼働状態とされているが、除湿制御出力は発生していない。
温湿度調整中の導入外気の重量絶対湿度Wclが目標温湿度範囲Dclから外れた場合、加湿装置9、加温装置11をスタンバイ状態にしている。重量絶対湿度Wclが、偏差範囲Cclの下限値を下回った場合(X5)、加湿装置9、加温装置11を直ちに運転可能状態としている。目標温湿度範囲Dclの上限値と偏差範囲Cclの上限値の差、及び目標温湿度範囲Dclの下限値と偏差範囲Cclの下限値の差は、加湿装置9、加温装置11が停止状態からスタンバイ状態に移行するための予熱運転に必要な移行準備期間(図2参照)を得られるように設定されている。例えば、予熱運転による移行準備期間が10〜20分必要な場合、偏差範囲Cclは、10g±1.3gに相当するように設定されている。加湿装置9のスタンバイ状態は、アイドリング状態と同様とされ、蒸気発生装置4の蒸気発生槽の圧力を1気圧に保持するように制御されている。
図4、図6、図8、図10において、1段目のグラフは制御目標値に対する温湿度調整中の導入外気の重量絶対湿度Wcl,Wht,Wwt,Wdyを示し、2段目から5段目のグラフは各調整装置の制御出力の出力レベル(%)を示している。冷却制御出力、除湿制御出力、加湿制御出力、加温制御出力は、温度調節計22b、絶対湿度調節計23b、絶対湿度調節計23a、温度調節計22aの制御出力の出力レベルを示している。
[加温制御モード演算処理] 第1目標湿度W1>飽和重量絶対湿度Wstのとき、加温制御モード演算処理を実行する。加温制御モードでは、導入空気を温度t1と重量絶対湿度Wtの目標温湿度T1に調節する。そこで、加温装置11を作動させて空気を目標温湿度T1に制御した場合のエンタルピ変化量Pht(kJ/kg(DA))を算出する。
図5に空気線図で示すように、空調機2は、温度t、重量絶対湿度Wtの外気S(t,Wt)を導入している。重量絶対湿度Wtを維持した状態で飽和重量絶対湿度WstをA2方向に移動すると、第1目標湿度W1を飽和重量絶対湿度Wstとした空気を生成することができる。この第1目標湿度W1を飽和重量絶対湿度Wstとした空気の温度は、温度t1に加温される。つまり、導入外気の重量絶対湿度Wtを維持した状態でB2方向に加温すると、飽和重量絶対湿度Wstから偏差値ΔW低い空調空気のT1(t1,Wt)を生成することができる。
また、図5に示すように、導入外気が加温された場合、導入外気のエンタルピと加温制御後の空気のエンタルピには差異が存在している。この導入外気のエンタルピと加温制御後の空気のエンタルピの差分を求めることによって、エンタルピ変化量Phtを算出している。エンタルピ変化量Phtと加温装置11が実際の作動に使用するエネルギー原単位ΔEhtとを用いて、実際の装置作動に必要なエネルギーEht(kJ/h)を算出する。
そして、式(4)によって、制御余裕度Bhtを演算している。制御余裕度Bhtは、制御目標値としての第1目標湿度W1と温湿度調整中の導入外気の重量絶対湿度Whtとの差分に相当している。
Bht=W1−Wht (4)
図6に示すように、加温制御モードにおいて、温湿度調整中の導入外気の重量絶対湿度Whtが目標温湿度範囲Dht内へ移行した場合、所定時間、例えば、1分経過後、加温制御モード中で使用しない加湿装置9、冷却装置10を停止状態としている。重量絶対湿度Whtが、目標温湿度範囲Dhtの上限値を下回り(X6)、1分経過する前に目標温湿度範囲Dhtの下限値を下回った場合(X7)、加湿装置9、冷却装置10は停止することなく、運転状態を維持している。次に、重量絶対湿度Whtが、再度、目標温湿度範囲Dhtの下限値を上回り(X8)、1分経過した場合(X9)、加温制御モードに使用しない加湿装置9、冷却装置10を停止状態としている。目標温湿度範囲Dhtは、例えば、10g±1gに相当するように設定されている。
温湿度調整中の導入外気の重量絶対湿度Whtが目標温湿度範囲Dhtから外れた場合、加湿装置9、冷却装置10をスタンバイ状態にしている。重量絶対湿度Whtが、偏差範囲Chtの下限値を下回った場合(X10)、加湿装置9、冷却装置10を直ちに運転可能状態としている。目標温湿度範囲Dhtの上限値と偏差範囲Chtの上限値の差、及び目標温湿度範囲Dhtの下限値と偏差範囲Chtの下限値の差は、加湿装置9、冷却装置10が停止状態からスタンバイ状態に移行するための予熱運転に必要な移行準備期間(図2参照)を得られるように設定されている。例えば、予熱運転による移行準備期間が10〜20分必要な場合、偏差範囲Chtは、10g±1.3gに相当するように設定されている。尚、作業環境を考慮して、冷却装置10を停止状態ではなくアイドリング状態に制御することも可能である。この場合、塗装ブース内の温度を予め設定された温度、例えば、下限温度tLと同様の15℃を保つように冷水発生装置3を制御している。
[加湿制御モード演算処理] 第2目標湿度W2>重量絶対湿度Wtのとき、加湿制御モード演算処理を実行する。加湿制御モードでは、導入空気を温度tと重量絶対湿度W2の目標温湿度T2に調節する。そこで、加湿装置9を作動させて空気を目標温湿度T2に制御した場合のエンタルピ変化量Pwt(kJ/kg(DA))を算出する。
図7に空気線図で示すように、空調機2は、温度t、重量絶対湿度Wtの外気S(t,Wt)を導入している。温度tを維持した状態で重量絶対湿度WtをA3方向に移動すると、重量絶対湿度Wtを第2目標湿度W2まで増加させた空気を生成することができる。つまり、導入外気を温度tを維持した状態でB3方向に加湿すると、飽和重量絶対湿度Wstから偏差値ΔW低い空調空気のT2(t,W2)を生成することができる。
また、図7に示すように、導入外気が加湿された場合、導入外気のエンタルピと加湿制御後の空気のエンタルピには差異が存在している。この導入外気のエンタルピと加湿制御後の空気のエンタルピの差分を求めることによって、エンタルピ変化量Pwtを算出している。エンタルピ変化量Pwtと加湿装置9が実際の作動に使用するエネルギー原単位ΔEwtとを用いて、実際の装置作動に必要なエネルギーEwt(kJ/h)を算出する。
そして、式(5)によって、制御余裕度Bwtを演算している。制御余裕度Bwtは、制御目標値としての第2目標湿度W2と温湿度調整中の導入外気の重量絶対湿度Wwtとの差分に相当している。
Bwt=W2−Wwt (5)
図8に示すように、加湿制御モードにおいて、温湿度調整中の導入外気の重量絶対湿度Wwtが目標温湿度範囲Dwt内へ移行した場合、所定時間、例えば、1分経過後、加湿制御モード中で使用しない冷却装置10、加温装置11を停止状態としている。重量絶対湿度Wwtが、目標温湿度範囲Dwtの上限値を下回り(X11)、1分経過する前に目標温湿度範囲Dwtの下限値を下回った場合(X12)、冷却装置10、加温装置11は停止することなく、運転状態を維持している。次に、重量絶対湿度Wwtが、再度、目標温湿度範囲Dwtの下限値を上回り(X13)、1分経過した場合(X14)、加湿制御モードに使用しない冷却装置10、加温装置11を停止状態としている。目標温湿度範囲Dwtは、例えば、10g±1gに相当するように設定されている。
温湿度調整中の導入外気の重量絶対湿度Wwtが目標温湿度範囲Dwtから外れた場合、冷却装置10、加温装置11をスタンバイ状態にしている。重量絶対湿度Wwtが、偏差範囲Cwtの下限値を下回った場合(X15)、冷却装置10、加温装置11を直ちに運転可能状態としている。目標温湿度範囲Dwtの上限値と偏差範囲Cwtの上限値の差、及び目標温湿度範囲Dwtの下限値と偏差範囲Cwtの下限値の差は、冷却装置10、加温装置11が停止状態からスタンバイ状態に移行するための予熱運転に必要な移行準備期間(図2参照)を得られるように設定されている。例えば、予熱運転による移行準備期間が10〜20分必要な場合、偏差範囲Cwtは、10g±1.3gに相当するように設定されている。尚、加温装置11は運転しないものの、加湿制御モードでは、加熱ヒータ9eが作動するため、蒸気発生装置4が稼働を行っている。冷却装置10を停止状態ではなくアイドリング状態に制御する場合は、下限温度tLと同様の15℃を保つように冷水発生装置3を制御している。
[除湿制御モード演算処理] 第2目標湿度W2<重量絶対湿度Wtのとき、除湿制御モード演算処理を実行する。除湿制御モードでは、導入空気を温度tと重量絶対湿度W2の目標温湿度T2に調節する。そこで、冷却装置10を作動させて空気を目標温湿度T2に制御した場合のエンタルピ変化量Pdy(kJ/kg(DA))を算出する。
図9に空気線図で示すように、空調機2は、温度t、重量絶対湿度Wtの外気を導入している。温度tを維持した状態で重量絶対湿度WtをA4方向に移動すると、重量絶対湿度Wtを第2目標湿度W2まで減少させた空気を生成することができる。つまり、導入外気を温度tを維持した状態でB4方向に除湿すると、飽和重量絶対湿度Wstから偏差値ΔW低い空調空気のT2(t,W2)を生成することができる。
また、図9に示すように、導入外気が除湿された場合、導入外気のエンタルピと除湿制御後の空気のエンタルピには差異が存在している。この導入外気のエンタルピと除湿制御後の空気のエンタルピの差分を求めることによって、エンタルピ変化量Pdyを算出している。エンタルピ変化量Pdyと除湿装置10が実際の作動に使用するエネルギー原単位ΔEdyとを用いて、実際の装置作動に必要なエネルギーEdy(kJ/h)を算出する。
尚、各制御モードで使用されるエネルギー原単位ΔE(ΔEcl,ΔEht,ΔEwt,ΔEdy)は、予めROMに記憶されている。
そして、式(6)によって、制御余裕度Bdyを演算している。制御余裕度Bdyは、制御目標値としての第2目標湿度W2と温湿度調整中の導入外気の重量絶対湿度Wdyとの差分に相当している。
Bdy=W2-Wdy (6)
図10に示すように、除湿制御モードにおいて、温湿度調整中の導入外気の重量絶対湿度Wdyが目標温湿度範囲Ddy内へ移行した場合、所定時間、例えば、1分経過後、除湿制御モード中で使用しない加湿装置9を停止状態としている。重量絶対湿度Wdyが、目標温湿度範囲Ddyの上限値を下回り(X16)、1分経過する前に目標温湿度範囲Ddyの下限値を下回った場合(X17)、加湿装置9は停止することなく、運転状態を維持している。次に、重量絶対湿度Wdyが、再度、目標温湿度範囲Ddyの下限値を上回り(X18)、1分経過した場合(X19)、除湿制御モードに使用しない加湿装置9を停止状態としている。目標温湿度範囲Ddyは、例えば、10g±1gに相当するように設定されている。除湿装置10が作動しているとき、加温装置11は、除湿装置10の作動に伴う温度低下の補償のための運転を行っている。尚、冷水発生装置3と循環ポンプ3aは稼働状態とされているが、温度調節計22bによる冷却制御出力は発生していない。
温湿度調整中の導入外気の重量絶対湿度Wdyが目標温湿度範囲Ddyから外れた場合、加湿装置9をスタンバイ状態にしている。重量絶対湿度Wdyが、偏差範囲Cdyの下限値を下回った場合(X20)、加湿装置9を直ちに運転可能状態としている。目標温湿度範囲Ddyの上限値と偏差範囲Cdyの上限値の差、及び目標温湿度範囲Ddyの下限値と偏差範囲Cdyの下限値の差は、加湿装置9が停止状態からスタンバイ状態に移行するための予熱運転に必要な移行準備期間(図2参照)を得られるように設定されている。例えば、予熱運転による移行準備期間が10〜20分必要な場合、偏差範囲Cdyは、10g±1.3gに相当するように設定されている。
制御部21は、前記演算結果に基づいて、以下の制御モードを実行する。
[冷却制御モード] 冷却制御モードを実行する場合、制御目標となる温度t1の実行信号は、制御目標値として温度調節計22bに出力され、この温度調節計22bには温度/湿度変換器13bの温度信号が測定値として入力されており、この温度調節計22bの制御出力信号はハイセッタ設定器25に入力される。ハイセッタ設定器25は、絶対湿度調節計23bから同時に制御出力信号が入力された場合、高い方の入力信号を選択する。選択された高い方の入力の制御出力信号は、調節弁17aへ出力される。調節弁17aは、制御出力信号の量に対応した開度に開閉して操作量の冷水の流量を制御する。
[加温制御モード] 加温制御モードを実行する場合、制御目標となる温度t1の実行信号は、制御目標値として温度調節計22aに出力され、この温度調節計22aには温度/湿度変換器13bの温度信号が測定値として入力されており、この温度調節計22aの制御出力信号は、調節弁17cへ出力される。調節弁17cは、制御出力信号の量に対応した開度に開閉して操作量の加熱蒸気の流量を制御する。
[加湿制御モード] 加湿制御モードを実行する場合、制御目標となる重量絶対湿度W2の実行信号は、制御目標値として絶対湿度調節計23aに出力され、この絶対湿度調節計23aには温度/湿度変換器13bの温湿度信号から算出された絶対湿度信号が測定値として入力されており、この絶対湿度調節計23aの制御出力信号は、電力調節器26を経由して循環ポンプ9dの回転数を調節して操作量の吐出流量を制御する。尚、加湿制御モードでは、導入外気温度を変化させないため、加湿後の空気温度を温度センサ14によって検出し、加湿装置9の作動と加熱ヒータ9eの作動とを連動制御している。従って、加湿後の空気温度が導入外気温度よりも低下する場合、温度調節計24を介して調節弁17bが開閉制御され、霧化する水分の加熱を行っている。
[除湿制御モード] 除湿制御モードを実行する場合、制御目標となる重量絶対湿度W2の実行信号は、制御目標値として絶対湿度調節計23bに出力され、この絶対湿度調節計23bには温度/湿度変換器13bの温湿度信号から算出された絶対湿度信号が測定値として入力されており、この絶対湿度調節計23bの制御出力信号は、ハイセッタ設定器25に入力される。ハイセッタ設定器25は、温度調節計22bから同時に制御出力信号が入力された場合、高い方の入力信号を選択する。選択された高い方の入力の制御出力信号は、調節弁17aへ出力される。調節弁17aは、制御出力信号の量に対応した開度に開閉して操作量の冷水の流量を制御する。
本塗装用空調システム1では、冷却装置10は除湿装置を兼用しており、冷却装置10の冷却管を通過する空気中の水分を冷水管の表面で結露させて除湿する場合、通過した空気の温度が低下するためこの温度低下分を加温装置で補うために、導入外気温度tを制御目標値として温度調節計22aへ出力して、温度調節計22aは加温制御モードと同様な制御動作により除湿後の空気の温度補償がされるように動作している。
温度調節計22a,24と絶対湿度調節計23aは、夫々予め設定されたPID定数を備えており、入力信号に基づき制御モードに応じた制御信号を出力するように構成されている。各調節計の制御動作は、夫々予め逆動作モードへ設定されており、調節弁を全閉して調節動作を停止させる場合、調節動作を停止させる温度調節計の制御目標値には測定入力値の最小値に相当する0%の信号が出力されように構成されている。温度調節計22bと絶対湿度調節計23bは、夫々予め設定されたPID定数を備えており、入力信号に基づき制御モードに応じた制御信号を出力するように構成されている。各調節計の制御動作は、夫々予め正動作モードへ設定されており、調節弁を全閉して調節動作を停止させる場合、調節動作を停止させる温度調節計の制御目標値には測定入力値の最大値に相当する100%の信号が出力されように構成されている。
表示灯28は、作業者に空調機2の作動状態を知らせるように構成されている。表示灯28は、マトリックス状に、例えば、4×4個の表示ランプが設置されている。夫々のランプには、立上げ異常予報、給気乾き湿度異常予報、制御相対湿度異常予告、制御温度異常予報等の異常予報に関する情報と、立上げ異常警報、給気乾き湿度異常警報、制御相対湿度異常警報、制御温度異常警報予報等の異常警報に関する情報と給気乾き湿度正常情報の表示が割当てられている。また、冷却制御、加温制御、加湿制御、除湿制御、冷水装置運転、蒸気装置高負荷運転、蒸気装置低負荷運転等の設備運転状態が表示されるように構成されている。
次に、図11−1,図11−2のフローチャートに基づき、本空調システム1のモード選択制御について説明する。尚、Si(i=1,2…)は各処理ステップを示す。
まず、作業者が塗装ブースを運転するため、制御盤5の運転起動プッシュボタンをオンしたか否か判定する(S1)。プッシュボタンをオンしない場合、判定を継続する。
プッシュボタンをオンした場合、予め作業環境等の条件から設定された給気下限温度tL、例えば、15℃を読込み、この下限温度tLに対応した目標下限湿度WLを算出する(S2)。次に、予め作業環境等の条件から設定された給気上限温度tU、例えば、30℃を読込み、この上限温度tUに対応した目標上限湿度WUを算出する(S3)。各制御モードで空調機2が実際に使用するエネルギー量の原単位ΔE(ΔEcl,ΔEht,ΔEwt,ΔEdy)をRAMから読込む(S4)。
温湿度センサ12aによって、空調機2に導入された導入外気の温度t(℃)と相対湿度φ(%)を計測する(S5)。相対湿度φと関係式に基づいて温度tにおける導入外気の重量絶対湿度Wtを算出し(S6)、温度tにおける導入外気の飽和重量絶対湿度Wstを算出する(S7)。
次に、塗装ブースに供給される空調空気の飽和重量絶対湿度に対する乾き偏差値ΔWと重量絶対湿度Wtを式(1)に代入して、第1目標湿度W1を算出する(S8)。また、偏差値ΔWと飽和重量絶対湿度Wstを式(2)に代入して、第2目標湿度W2を算出する(S9)。更に、第1目標湿度W1が飽和重量絶対湿度Wstになる目標給気温度t1を関係式に基づいて算出する(S10)。
温度t1が下限温度tLよりも低いか否か判定する(S11)。S11の判定の結果、温度t1が下限温度tL以上の場合、S12に移行し、温度t1が上限温度tUよりも高いか否か判定する。S12の判定の結果、目標給気温度t1が給気上限温度tU以下の場合、S13に移行する。
S11の判定の結果、温度t1が下限温度tL未満の場合、目標温湿度を下限温度tLと目標下限湿度WLに設定し(S31)、S30に移行する。
S12の判定の結果、温度t1が上限温度tUよりも高い場合、目標温湿度を上限温度tUと目標上限湿度WUに設定し(S32)、S30に移行する。
S13では、第1目標湿度W1が飽和重量絶対湿度Wstよりも低いか否か判定する。S13の判定の結果、第1目標湿度W1が飽和重量絶対湿度Wstよりも低い場合(図3参照)、S14に移行し、冷却制御モードにおける目標温湿度T1(t1,Wt)を設定する。次に、導入外気の温度tと重量絶対湿度Wtから決定されるエンタルピと冷却制御後の目標温湿度T1から決定されるエンタルピとの変化量(Pcl)を算出する(S15)。次に、冷却制御モードにおいて、冷却装置10が、実際にエンタルピ変化量Pclを変化させるために必要なエネルギー量Eclを使用エネルギー原単位ΔEclから算出する(S16)。尚、S13の判定の結果、第1目標湿度W1が飽和重量絶対湿度Wst以上の場合、S17に移行する。
S17では、第1目標湿度W1が飽和重量絶対湿度Wst以上か否か判定する。S17の判定の結果、第1目標湿度W1が飽和重量絶対湿度Wst以上の場合(図5参照)、S18に移行し、加温制御モードにおける目標温湿度T1(t1,Wt)を設定する。次に、導入外気の温度tと重量絶対湿度Wtから決定されるエンタルピと加温制御後の目標温湿度T1から決定されるエンタルピとの変化量(Pht)を算出する(S19)。次に、加温制御モードにおいて、加温装置11が、実際にエンタルピPhtを変化させるために必要なエネルギー量Ehtを使用エネルギー原単位ΔEhtから算出する(S20)。尚、S17の判定の結果、第1目標湿度W1が飽和重量絶対湿度Wstよりも低い場合、S21に移行する。
S21では、第2目標湿度W2が重量絶対湿度Wt以上か否か判定する。S21の判定の結果、第2目標湿度W2が重量絶対湿度Wt以上の場合(図7参照)、S22に移行し、加湿制御モードにおける目標温湿度T2(t,W2)を設定する。次に、導入外気の温度tと重量絶対湿度Wtから決定されるエンタルピと加湿制御後の目標温湿度T2から決定されるエンタルピとの変化量Pwtを算出する(S23)。次に、加湿制御モードにおいて、加湿装置9が、実際にエンタルピPwtを変化させるために必要なエネルギー量Ewtを使用エネルギー原単位ΔEwtから算出する(S24)。尚、S21の判定の結果、第2目標湿度W2が重量絶対湿度Wtよりも低い場合、S25に移行する。
S25では、第2目標湿度W2が重量絶対湿度Wtよりも低いか否か判定する。S25の判定の結果、第2目標湿度W2が重量絶対湿度Wtよりも低い場合(図9参照)、S26に移行し、除湿制御モードにおける目標温湿度T2(t,W2)を設定する。次に、導入外気の温度tと重量絶対湿度Wtから決定されるエンタルピと除湿制御後の目標温湿度T2から決定されるエンタルピとの変化量Pdyを算出する(S27)。次に、除湿制御モードにおいて、除湿装置10が、実際にエンタルピPdyを変化させるために必要なエネルギー量Edyを使用エネルギー原単位ΔEdyから算出する(S28)。尚、S25の判定の結果、第2目標湿度W2が重量絶対湿度Wt以上の場合、S29に移行する。
S29では、各制御モードを実行する場合に必要なエネルギー量(Ecl,Eht,Ewt,Edy)を比較して、エネルギー量Eが最小になる制御モードを決定する。決定された制御モードの目標温湿度T1又はT2に対応した制御信号を各調節計に送信する(S30)。制御盤5の運転停止プッシュボタンをオンしたか否か判定して(S31)、プッシュボタンをオンした場合、制御を停止し、プッシュボタンをオンしない場合、S5に移行する。
前記構成により、導入外気の状態点の構成要素である温度tと重量絶対湿度Wtのうち、一方の構成要素を維持して目標温湿度に調節することができ、温湿度調節の制御量を少なくでき、処理の高速化とエネルギーの低減を図れる。また、導入外気の状態点から目標温湿度の状態点までの温湿度調節に必要な制御モード毎のエネルギー量Eを比較して、エネルギー消費の低い制御モードを選択するため、最小のエネルギー消費によって空調空気の温湿度調節が実行できる
次に、図12−1〜図12−4のフローチャートに基づき、本空調システム1の空調機2が実際に使用するエネルギー量の原単位ΔE(ΔEcl,ΔEht,ΔEwt,ΔEdy)の自動算出制御について説明する。尚、Si(i=41,42…)は各処理ステップを示す。
まず、作業者が使用エネルギー原単位を算出するため、制御盤5の算出起動プッシュボタンをオンしたか否か判定する(S41)。プッシュボタンをオンしない場合、判定を継続する。プッシュボタンをオンした場合、各制御モードにおいて、空調機2が実際に使用するエネルギー量の原単位を算出するために変化を与える単位エンタルピ量ΔPをRAMから読込む(S42)。温湿度センサ12aによって導入外気の温度ta(℃)と相対湿度φa(%)を計測する(S43)。冷却制御モードにおいて、単位エンタルピΔPの変化を生じる制御目標値の温度tclと重量絶対湿度Wclを算出する(S44)。冷却制御モードにおける動力源を含む調整装置の電力計15aと流量計16aの信号を積算蓄積する夫々の単位積算値メモリをリセットする(S45)。制御目標値である温度tclを温度調節計22bに出力し、制御目標値を設定する(S46)。
調整装置の電力計15aと流量計16aの信号を積算し、夫々の単位積算値メモリに記憶する(S47)。S48において、温度調節計22bの計測値が制御目標値以上か否か判定する。計測値が制御目標値以上でない場合、計測を継続する。
S48の判定の結果、計測値が制御目標値以上の場合、外気の温度tb(℃)と相対湿度φb(%)を計測する(S49)。外気温度変化(ta−tb)と相対湿度変化(φa−φb)を算出し、外気のエンタルピ変化量ΔPatを算出する(S50)。外気のエンタルピ変化量ΔPatに基づき、調整装置が実際に変化を与えたエンタルピ量ΔPxを算出する(S51)。
調整装置の電力計15aと流量計16aの信号を積算する夫々の単位積算値メモリの積算値内容を読み出す(S52)。夫々の単位積算値メモリの内容から冷却装置10が使用したエネルギー量Eclを算出する(S53)。冷却装置10が使用したエネルギー量Eclと実際に変化を与えたエンタルピ量ΔPxから単位エンタルピ当りで冷却装置10が使用する使用エネルギー原単位ΔEclを算出する(S54)。冷却装置10が使用する使用エネルギー原単位ΔEclをRAMの原単位記憶メモリに保存する(S55)。
次に、温湿度センサ12aによって導入外気の温度tc(℃)と相対湿度φc(%)を計測する(S56)。加温制御モードにおいて、単位エンタルピΔPの変化を生じる制御目標値の温度thtと重量絶対湿度Whtを算出する(S57)。加温制御モードにおける動力源を含む調整装置の電力計15bと流量計16bの信号を積算する夫々の単位積算値メモリをリセットする(S58)。制御目標値である温度thtを温度調節計22aに出力し、制御目標値を設定する(S59)。
調整装置の電力計15bと流量計16bの信号を積算し、夫々の単位積算値メモリに記憶する(S60)。S61において、温度調節計22aの計測値が制御目標値以上か否か判定する。計測値が制御目標値以上でない場合、計測を継続する。
S61の判定の結果、計測値が制御目標値以上の場合、外気の温度td(℃)と相対湿度φd(%)を計測する(S62)。外気温度変化(tc−td)と相対湿度変化(φc−φd)を算出し、外気のエンタルピ変化量ΔPatを算出する(S63)。外気のエンタルピ変化量ΔPatに基づき、調整装置が実際に変化を与えたエンタルピ量ΔPxを算出する(S64)。
調整装置の電力計15bと流量計16bの信号を積算する夫々の単位積算値メモリの内容を読み出す(S65)。夫々の単位積算値メモリの内容から加温装置11が使用したエネルギー量Ehtを算出する(S66)。加温装置11が使用したエネルギー量Ehtと実際に変化を与えたエンタルピ量ΔPxから単位エンタルピ当りで加温装置11が使用エネルギー原単位ΔEhtを算出する(S67)。加温装置11が使用する使用エネルギー原単位ΔEhtをRAMの原単位記憶メモリに保存する(S68)。
次に、温湿度センサ12aによって導入外気の温度te(℃)と相対湿度φe(%)を計測する(S69)。加湿制御モードにおいて、単位エンタルピΔPの変化を生じる制御目標値の温度twtと重量絶対湿度Wwtを算出する(S70)。加湿制御モードにおける動力源を含む調整装置の電力計15b,15c,15dと流量計16bの信号を積算する夫々の単位積算値メモリをリセットする(S71)。制御目標値である重量絶対湿度Wwtと温度twtを絶対湿度調節計23aと温度調節計24とに出力し、制御目標値を設定する(S72)。
調整装置の電力計15b,15c,15dと流量計16bの信号を積算し、夫々の単位積算値メモリに記憶する(S73)。S74において、絶対湿度調節計23aと温度調節計24の計測値が制御目標値以上か否か判定する。各計測値が制御目標値以上でない場合、計測を継続する。
S74の判定の結果、各計測値が制御目標値以上の場合、外気の温度tf(℃)と相対湿度φf(%)を計測する(S75)。外気温度変化(te−tf)と相対湿度変化(φe−φf)を算出し、外気のエンタルピ変化量ΔPatを算出する(S76)。外気のエンタルピ変化量ΔPatに基づき、調整装置が実際に変化を与えたエンタルピ量ΔPxを算出する(S77)。
調整装置の電力計15b,15c,15dと流量計16bの信号を積算する夫々の単位積算値メモリの内容を読み出す(S78)。夫々の単位積算値メモリの内容から加湿装置9が使用したエネルギー量Ewtを算出する(S79)。加湿装置9が使用したエネルギー量Ewtと実際に変化を与えたエンタルピ量ΔPxから単位エンタルピ当りで加湿装置9が使用する使用エネルギー原単位ΔEwtを算出する(S80)。加湿装置9が使用する使用エネルギー原単位ΔEwtをRAMの原単位記憶メモリに保存する(S81)。
次に、温湿度センサ12aによって導入外気の温度tg(℃)と相対湿度φg(%)を計測する(S82)。除湿制御モードにおいて、単位エンタルピΔPの変化を生じる制御目標値の温度tdyと重量絶対湿度Wdyを算出する(S83)。除湿制御モードにおける動力源を含む調整装置の電力計15a,15bと流量計16a,16bの信号を積算する夫々の単位積算値メモリをリセットする(S84)。制御目標値である温度tdyと重量絶対湿度Wdyを温度調節計22aと絶対湿度調節計23bとに出力し、制御目標値を設定する(S85)。
調整装置の電力計15a,15bと流量計16a,16bの信号を積算し、夫々の単位積算値メモリに記憶する(S86)。S87において、温度調節計22aと絶対湿度調節計23bの計測値が制御目標値以上か否か判定する。各計測値が制御目標値以上でない場合、計測を継続する。
S87の判定の結果、各計測値が制御目標値以上の場合、外気の温度th(℃)と相対湿度φh(%)を計測する(S88)。外気温度変化(tg−th)と相対湿度変化(φg−φh)を算出し、外気のエンタルピ変化量ΔPatを算出する(S89)。外気のエンタルピ変化量ΔPatに基づき、調整装置が実際に変化を与えたエンタルピ量ΔPxを算出する(S90)。
調整装置の電力計15a,15bと流量計16a,16bの信号を積算する夫々の単位積算値メモリの内容を読み出す(S91)。夫々の単位積算値メモリの内容から除湿装置(冷却装置10と加温装置11)が使用したエネルギー量Edyを算出する(S92)。除湿装置(冷却装置10と加温装置11)が使用したエネルギー量Edyと実際に変化を与えたエンタルピ量ΔPxから単位エンタルピ当りで除湿装置(冷却装置10と加温装置11)が使用する使用エネルギー原単位ΔEdyを算出する(S93)。除湿装置(冷却装置10と加温装置11)が使用する使用エネルギー原単位ΔEdyをRAMの原単位記憶メモリに保存して(S94)、終了する。
前記構成により、使用エネルギー原単位ΔE(ΔEcl,ΔEht,ΔEwt,ΔEdy)を自動算出することができ、制御モードの実現に必要なエネルギー量Eをエンタルピをパラメータとして容易に求めることができ、各制御モードの実現に必要なエネルギー量Eの比較を簡単に行うことができる。
次に、図13−1〜図13−3のフローチャートに基づき、本空調システム1の調整装置の運転制御について説明する。尚、Si(i=101,102…)は各処理ステップを示す。
まず、作業者が塗装ブースを運転するため、制御盤5の運転起動プッシュボタンをオンしたか否か判定する(S101)。プッシュボタンをオンしない場合、判定を継続する。
プッシュボタンをオンした場合、加温装置11の偏差範囲Chtを読込む(S102)。この偏差範囲Chtは、加温装置11以外の調整装置をスタンバイ状態から運転状態に切替える判定値である。加温装置11の目標温湿度範囲Dhtを読込む(S103)。この目標温湿度範囲Dhtは、加温装置11以外の調整装置を停止状態からスタンバイ状態に切替える判定値である。尚、各範囲Cht,Dhtは予めRAMに記憶されており、偏差範囲Chtは目標温湿度範囲Dhtよりも大きな範囲が設定されている。
冷却装置10の偏差範囲Cclを読込む(S104)。この偏差範囲Cclは、冷却装置10以外の調整装置をスタンバイ状態から運転状態に切替える判定値である。冷却装置10の目標温湿度範囲Dclを読込む(S105)。この目標温湿度範囲Dclは、冷却装置10以外の調整装置を停止状態からスタンバイ状態に切替える判定値である。尚、各範囲Ccl,Dclは予めRAMに記憶されており、偏差範囲Cclは目標温湿度範囲Dclよりも大きな範囲が設定されている。
除湿装置(冷却装置10)の偏差範囲Cdyを読込む(S106)。この偏差範囲Cdyは、除湿装置10以外の調整装置をスタンバイ状態から運転状態に切替える判定値である。除湿装置(冷却装置10)の目標温湿度範囲Ddyを読込む(S107)。この目標温湿度範囲Ddyは、除湿装置(冷却装置10)以外の調整装置を停止状態からスタンバイ状態に切替える判定レベルである。尚、各範囲Cdy,Ddyは予めRAMに記憶されており、偏差範囲Cdyは目標温湿度範囲Ddyよりも大きな範囲が設定されている。
加湿装置9の偏差範囲Cwtを読込む(S108)。この偏差範囲Cwtは、加湿装置9以外の調整装置をスタンバイ状態から運転状態に切替える判定値である。加湿装置9の目標温湿度範囲Dwtを読込む(S109)。この目標温湿度範囲Dwtは、加湿装置9以外の調整装置を停止状態からスタンバイ状態に切替える判定値である。尚、各範囲Cwt,Dwtは予めRAMに記憶されており、偏差範囲Cwtは目標温湿度範囲Dwtよりも大きな範囲が設定されている。
温湿度12aによって、空調機2内部に導入される導入外気の温度t(℃)と相対湿度φ(%)を検出する(S110)。相対湿度φと関係式に基づいて温度tにおける導入外気の重量絶対湿度Wtを算出し(S111)、温度tにおける導入外気の飽和重量絶対湿度Wstを算出する(S112)。次に、塗装ブースに供給される空調空気の飽和重量絶対湿度に対する乾き偏差値ΔWと重量絶対湿度Wtを式(1)に代入して、第1目標湿度W1を算出する(S113)。また、偏差値ΔWと飽和重量絶対湿度Wstを式(2)に代入して、第2目標湿度W2を算出する(S114)。
S115では、第1目標湿度W1が飽和重量絶対湿度Wstよりも低いか否か判定する。S115の判定の結果、第1目標湿度W1が飽和重量絶対湿度Wstよりも低い場合、S116に移行し、冷却制御モードにおける目標温湿度T1(t1、Wt)と式(3)より制御余裕度Bclを算出する。次に、導入外気の温度tと重量絶対湿度Wtから決定されるエンタルピと冷却制御後の目標温湿度T1から決定されるエンタルピとの変化量Pclを算出する(S117)。尚、S115の判定の結果、第1目標湿度W1が飽和重量絶対湿度Wst以上の場合、S118に移行する。
S118では、第1目標湿度W1が飽和重量絶対湿度Wst以上か否か判定する。S118の判定の結果、第1目標湿度W1が飽和重量絶対湿度Wst以上の場合、S119に移行し、加温制御モードにおける目標温湿度T1(t1、Wt)と式(4)より制御余裕度Bhtを算出する。次に、導入外気の温度tと重量絶対湿度Wtから決定されるエンタルピと加温制御後の目標温湿度から決定されるエンタルピとの変化量Phtを算出する(S120)。尚、S118の判定の結果、Noの場合、S121に移行する。
S121では、第2目標湿度W2が重量絶対湿度Wt以上か否か判定する。S121の判定の結果、第2目標湿度W2が重量絶対湿度Wt以上の場合、S122に移行し、加湿制御モードにおける目標温湿度T2(t、W2)と式(5)より制御余裕度Bwtを算出する。次に、導入外気の温度tと重量絶対湿度Wtから決定されるエンタルピと加湿制御後の目標温湿度T2から決定されるエンタルピとの変化量Pwtを算出する(S123)。尚、S121の判定の結果、第2目標湿度W2が重量絶対湿度Wtよりも低い場合、S124に移行する。
S124では、第2目標湿度W2が重量絶対湿度Wtよりも低いか判定する。S124の判定の結果、第2目標湿度W2が重量絶対湿度Wtよりも低い場合、S125に移行し、除湿制御モードにおける目標温湿度T2(t、W2)と式(6)より制御余裕度Bdyを算出する。次に、導入外気の温度tと重量絶対湿度Wtから決定されるエンタルピと除湿制御後の目標温湿度から決定されるエンタルピとの変化量Pdyを算出する(S126)。尚、S124の判定の結果、第2目標湿度W2が重量絶対湿度Wt以上の場合、S127に移行する。
S127では、算出された各制御モードのエンタルピ変化量P(Pcl,Pht,Pwt,Pdy)を比較して、エンタルピの変化量 Pが最小になる制御モードを決定する。決定された制御モードの目標温湿度に対応した制御信号が各調節計に出力される(S128)。
次に、冷却制御モードを決定したか否か判定する(S129)。S129の判定の結果、冷却制御モードを決定しない場合、S137に移行する。S129の判定の結果、冷却制御モードを決定した場合、冷水発生装置3による冷却装置10の運転を開始する(S130)。式(3)により算出された制御余裕度Bclが目標温湿度範囲Dcl内に含まれるか否か判定する(S131)。S131の判定の結果、制御余裕度Bclが目標温湿度範囲Dclに含まれる場合、つまり、温湿度調整中の導入外気の重量絶対湿度Wclが目標温湿度範囲Dcl内へ移行した場合、蒸気発生装置4による加温装置11の作動を停止し(S132)、循環ポンプ9d等による加湿装置9の作動を停止する(S133)。制御余裕度Bclが目標温湿度範囲Dclに含まれない場合、S134に移行する。
制御余裕度Bclが偏差範囲Ccl未満か否か判定する(S134)。S134の判定の結果、制御余裕度Bclが偏差範囲Cclを超える場合、つまり、導入外気の重量絶対湿度Wclが偏差範囲Cclから外れた場合、蒸気発生装置4による加温装置11の作動をスタンバイ状態から運転状態にし(S135)、循環ポンプ9dによる加湿装置9の作動をスタンバイ状態か運転状態にする(S136)。
S134の判定の結果、制御余裕度Bclが偏差範囲Cclを超えない場合、S137に移行する。
次に、加温制御モードを決定したか否か判定する(S137)。S137の判定の結果、加温制御モードを決定しない場合、S145に移行する。S137の判定の結果、加温制御モードを決定した場合、蒸気発生装置4による加温装置11の運転を開始する(S138)。式(4)により算出された制御余裕度Bhtが目標温湿度範囲Dhtに含まれるか否か判定する(S139)。S139の判定の結果、制御余裕度Bhtが目標温湿度範囲Dhtに含まれる場合、つまり、温湿度調整中の導入外気の重量絶対湿度Whtが目標温湿度範囲Dht内へ移行した場合、冷水発生装置3による冷却装置10の作動を停止し(S140)、循環ポンプ9d等による加湿装置9の作動を停止する(S141)。S139の判定の結果、制御余裕度Bhtが目標温湿度範囲Dhtに含まれない場合、S142に移行する。
制御余裕度Bhtが偏差範囲Chtを超えるか否か判定する(S142)。S142の判定の結果、制御余裕度Bhtが偏差範囲Chtを超える場合、つまり、導入外気の重量絶対湿度Whtが偏差範囲Chtから外れた場合、冷水発生装置3による冷却装置10の作動をスタンバイ状態から運転状態にし(S143)、循環ポンプ9d等による加湿装置9の作動をスタンバイ状態から運転状態にする(S144)。
S142の判定の結果、制御余裕度Bhtが偏差範囲Chtを超えない場合、S145に移行する。
次に、加湿制御モードを決定したか否か判定する(S145)。S145の判定の結果、加湿制御モードを決定しない場合、S152に移行する。S145の判定の結果、加湿制御モードを決定した場合、循環ポンプ9dによる加湿装置9の運転(S146)と、蒸気発生装置4による加熱ヒータ9eの運転を開始する(S147)。式(5)により算出された制御余裕度Bwtが目標温湿度範囲Dwtに含まれるか否か判定する(S148)。S148の判定の結果、制御余裕度Bwtが目標温湿度範囲Dwtに含まれる場合、つまり、温湿度調整中の導入外気の重量絶対湿度Wwtが目標温湿度範囲Dwt内へ移行した場合、除湿装置として兼用している冷水発生装置3を含む冷却装置10の作動を停止する(S149)。S148の判定の結果、制御余裕度Bwtが目標温湿度範囲Dwtに含まれない場合、S150に移行する。
制御余裕度Bwtが偏差範囲Cwtを超えるか否か判定する(S150)。S150の判定の結果、制御余裕度Bwtが偏差範囲Cwtを超える場合、つまり、導入外気の重量絶対湿度Wwtが偏差範囲Cwtから外れた場合、除湿装置として兼用している冷水発生装置3による冷却装置10の作動をスタンバイ状態から運転状態にする(S151)。S150の判定の結果、制御余裕度Bwtが偏差範囲Cwtを超えない場合、S152に移行する。
次に、除湿制御モードを決定したか否か判定する(S152)。S152の判定の結果、除湿制御モードを決定しない場合、S159に移行する。S152の判定の結果、除湿制御モードを決定した場合、除湿装置として兼用している冷却装置10の運転を開始する(S153)。冷却装置10による除湿で低下した温度の温度補償用に加温装置11の運転を開始する(S154)。式(6)により算出された制御余裕度Bdyが目標温湿度範囲Ddyに含まれる否か判定する(S155)。S155の判定の結果、制御余裕度Bdyが目標温湿度範囲Ddyに含まれる場合、つまり、温湿度調整中の導入外気の重量絶対湿度Wdyが目標温湿度範囲Ddy内へ移行した場合、循環ポンプ9d等による加湿装置9の作動を停止する(S156)。S155の判定の結果、制御余裕度Bdyが目標温湿度範囲Ddyに含まれない場合、S157に移行する。
制御余裕度Bdyが偏差範囲Cdyを超えるか否か判定する(S157)。S157の判定の結果、制御余裕度Bdyが偏差範囲Cdyを超える場合、つまり、導入外気の重量絶対湿度Wdyが偏差範囲Cdyから外れた場合、循環ポンプ9d等による加湿装置9をスタンバイ状態から運転状態にする(S158)。S157の判定の結果、制御余裕度Bdyが目標温湿度範囲Ddyを超えない場合、S159に移行する。
制御盤5の運転停止プッシュボタンをオンしたか否か判定して(S159)、プッシュボタンをオンした場合、制御を停止し、プッシュボタンをオンしない場合、S110に移行する。
次に、本実施例に係る空調システム1の作用、効果について説明する。
前記空調システム1によれば、加温装置11と、空気を除湿及び冷却可能な冷却装置10と、加湿装置9と、空調空気の状態点を飽和湿度よりも所定値低湿度側の目標温湿度範囲Dになるよう前記調整装置を制御する制御部21等を備えているため、導入外気の重量絶対湿度Wtを維持した目標温湿度T1の空調空気、または、導入外気の温度tを維持した目標温湿度T2の空調空気を生成することができる。制御部21は、温湿度調整中の導入外気の温湿度Wcl,Wht,Wwt,Wdyが目標温湿度範囲D内に移行したとき、目標温湿度範囲D(Dcl,Dht,Dwt,Ddy)内への温湿度調整のために作動している調整装置以外の他の調整装置を停止(アイドリング)状態にしているため、空調システム1の消費エネルギーを低減することができる。しかも、温湿度調整中の導入外気の温湿度が目標温湿度範囲Dから外れて目標温湿度範囲Dを含む所定の偏差範囲C(Ccl,Cht,Cwt,Cdy)内にあるとき、停止(アイドリング)中の他の調整装置をスタンバイ状態にしているため、他の調整装置の作動要求が発生した場合、復帰遅れを生じることなく直ちに温湿度調整を行うことができる。
所定の偏差範囲Cは、各調整装置が停止(アイドリング)状態からスタンバイ状態へ移行するために必要な移行準備期間を得られるように、移行準備期間に基づいて設定されているため、実際の運転要求が生じる前に各調整装置の予熱時間を確保することができ、調整装置の復帰遅れを抑制できる。制御部21は、温湿度調整中の導入外気の温湿度が目標温湿度範囲D内に移行して所定時間経過後に、温湿度調整のために作動している調整装置以外の他の調整手段を停止しているため、制御上発生する制御出力のハンチングを防止することができる。
空気を除湿及び冷却可能な冷却装置10は、アイドリング状態のとき、塗装ブース内の温度を予め設定された最低温度(15℃)に維持しているため、塗装ブース内の作業環境の確保と、冷却水発生遅れに伴う導入外気の冷却遅れの防止を図ることができる。導入外気を加湿可能な加湿装置9は、アイドリング状態のとき、蒸気圧力を1気圧で沸騰直前状態に維持しているため、蒸気発生装置4の蒸気発生遅れに伴う導入外気の加湿遅れを防止することができる。
制御部21は、各調整装置の動力源毎に使用エネルギー原単位ΔEを算出して各制御モードの実現に必要とされるエネルギー量Eを算出するため、調整装置の実作動に必要なエネルギー量Eを算出でき、精度良くエネルギー消費量の少ない制御モードを選択することができ、エネルギーの低減を更に図ることができる。
制御部21による各算出処理が、空気線図を使用しない演算のみで実行されるため、空気の状態点を空気線図上の点に変換する等の煩わしい処理を省略でき、演算処理の高速化を図ることができる。それ故、水性塗料のように、目標温湿度が狭く、空調管理の厳しい塗料を用いる場合であっても、演算処理によって確実に所望の温湿度を備えた空調空気を得ることができ、良好な塗膜が生成でき、塗装品質の向上を図ることができる。
次に、図14〜図16に基づいて、第2実施例に係る空調システムについて説明する。
実施例1との相違点は、実施例1では、空気線図を用いることなく、温度と湿度のうち、何れか一方の要素のみを制御することによって温湿度調整を行っていたのに対し、実施例2では空気線図を用いて温湿度調整を行う点である。尚、説明に当たり、実施例1と同一の構成は、同一符号を付している。
制御部21には、空気線図Mが記憶されている。図14に示すように、この空気線図Mにおいて式(2)によって表すことができる目標温湿度線W2が設定されている。この目標温湿度線W2は、飽和重量絶対湿度Wstを等温線に沿って低湿度側へ一定絶対湿度ΔWだけ移動して設定したものである。塗装ブースへ供給される空調空気の温湿度が目標温湿度線W2上のどこに位置しても、塗装ブース内で塗装された塗装対象物の塗料に含まれる水分が適度な蒸発速度で蒸発するようになり、塗装品質を向上させることが可能になる。
制御部21は、空気線図Mにおいて空調空気の温湿度が目標温湿度線W2上の温湿度T3(t3,W3)と一致するように、導入外気の温湿度S1(t,Wt)に応じて、導入外気に対して加温装置11による加温処理、冷却装置10による冷却処理、加湿装置9による加湿処理を行う。即ち、制御部21は、導入外気の温湿度に応じて、目標温湿度線W2上に目標温湿度T3(t3,W3)を設定すると共に、この目標温湿度T3(t3,W3)に空調空気の温湿度が一致するように、前記3つの調整処理の中から最適な処理を選択するように構成されている。
目標温湿度T3は、目標温湿度線W2上のどこに設定してもよいが、本実施例では、目標温湿度T3の設定を、エネルギーの消費量を低減する観点から行う。この観点からは、基本的に冷却処理は行わないようにする。但し、塗装ブース内に作業者が存在することを前提に、その作業者の快適性を考慮して、目標温湿度T3の温度を所定温度範囲内に制限し、導入外気の温度が上限温度tUよりも高い場合には、後述の如く冷却処理を行うようにしている。
空気線図Mにおいて、導入外気の温湿度が目標温湿度線W2に対して高湿度側(図14の空気線図Mにおいて上側)にある場合には、導入外気の温湿度を通る等絶対湿度線と目標温湿度線W2との交点を目標温湿度T3として設定し、導入外気に対して加温処理を行って、絶対湿度一定で温度を上昇させて、空調空気の温湿度を目標温湿度T3に一致させている。例えば、図14に示すように、導入外気の温湿度がS1点にある場合、目標温湿度線W2上においてS1点と絶対湿度が同じである目標温湿度T3を設定した後、加温処理によって、絶対湿度を一定にした状態で、空調空気の温湿度を目標温湿度T3に一致させるよう調整している。制御部21は、温湿度調整中の導入外気の温湿度Ws1が目標温湿度T3に収束するように加温装置11を制御している。
目標温湿度T3の温度t3が下限温度tLよりも低い場合には、目標温湿度の温度が下限温度tL以上、つまり、目標温湿度の絶対湿度が導入外気の絶対湿度Wtよりも高くなるように再設定し、この再設定した目標温湿度T4(t4,W4)に空調空気の温湿度を一致させている。それ故、加湿処理(断熱加湿処理であってもよく、後述の如く水分のエンタルピを制御しない加湿処理であってもよい)を行った後に加温処理を行う。例えば、図14に示すように、導入外気の温湿度がS2点にある場合、加湿処理によりR1点まで絶対湿度を上昇させ、加温処理によりR1点から、再設定した目標温湿度T4に一致させている。制御部21は、温湿度調整中の導入外気の温湿度Ws2が目標温湿度T4に収束するように冷却装置10と加温装置11を制御している。
目標温湿度T3の温度が上限温度tUよりも高い場合には、目標温湿度の温度が上限温度tU以下、つまり、目標温湿度の絶対湿度が外気の絶対湿度よりも低くなるように再設定し、この再設定した目標温湿度T5(t5,W5)に空調空気の温湿度を一致させている。それ故、冷却処理(除湿処理を含む)を行った後に加温処理を行う。例えば、図14に示すように、導入外気の温湿度がS3点にある場合、冷却処理によって飽和重量絶対湿度Wst上のR2点まで絶対湿度を一定にした状態で温度を下げ、そのまま冷却処理を継続して、R2点からR3点まで飽和重量絶対湿度Wstに沿って冷却及び除湿を行い、加温処理によりR3点から、再設定した目標温湿度T5に一致させている。制御部21は、温湿度調整中の導入外気の温湿度Ws3が目標温湿度T5に収束するように冷却装置10と加温装置11を制御している。
図15に示すように、空気線図Mにおいて、導入外気の温湿度S4点が目標温湿度線W2に対して低湿度側にある場合には、空気線図Mにおいて導入外気のエンタルピと等しい等エンタルピ線P1(導入外気の温湿度S4点を通る等エンタルピ線)と目標温湿度線W2との交点T6(t6,W6)を、目標温湿度として設定する。但し、等エンタルピ線と目標温湿度線W2との交点を目標温湿度に設定するのは、導入外気に散水部9aから噴霧される水分のエンタルピが導入外気のエンタルピと等しい場合、つまり、水分の状態点Sw1が導入外気の温湿度を通る等エンタルピ線と飽和重量絶対湿度Wstとの交点にある場合に限られ、水分のエンタルピが外気のエンタルピと異なる場合には、設定した目標温湿度T6を補正する。
即ち、制御部21は、散水部9aにおける水温センサ(図示略)により検出される水温から、散水温度に対応した水分のエンタルピを求める。つまり、散水温度から、空気線図Mにおいて水分の状態点(飽和重量絶対湿度Wst上に存在する)が求まり、その水分の状態点Sw1,Sw2,Sw3を通る等エンタルピ線のエンタルピが水分のエンタルピである。
制御部21は、同様に、外気の温湿度S4(t4,W4)から導入外気のエンタルピP1を求め、この導入外気のエンタルピP1と水分のエンタルピとを比較する。そして、制御部21は、これら両エンタルピが同じである、つまり、水分の状態点Sw1が導入外気の温湿度を通る等エンタルピ線P1上にある場合には、空調空気の温湿度が、設定した目標温湿度T6と一致するように加湿処理(断熱加湿処理)を行う。これにより、空調空気の温湿度が、導入外気の温湿度を通る等エンタルピ線P1に沿って移動して、目標温湿度線W2上の目標温湿度T6に達することができる。制御部21は、温湿度調整中の導入外気の温湿度Ws4が目標温湿度T6に収束するように加湿装置9を制御している。
これに対し、両エンタルピが互いに異なる場合には、制御部21は、水分のエンタルピに応じて、設定した目標温湿度T6を補正する。具体的には、空気線図Mにおいて、目標温湿度を、導入外気の温湿度と水分の状態点とを結ぶ直線と目標温湿度線W2との交点に補正する。水分のエンタルピが導入外気のエンタルピよりも低い場合には、補正後の目標温湿度は、最初に設定した目標温湿度T6よりも温度及び絶対湿度が低い温湿度となっている。例えば図15に示すように、導入外気の温湿度がS4点にあり、水分の状態点がSw2点にあり、水分の状態点Sw2を通る等エンタルピ線P2のエンタルピが、導入外気の状態点S4点を通る等エンタルピ線P1のエンタルピよりも低い場合、等エンタルピ線P1と目標温湿度線W2との交点T6が最初に目標状態点として設定されるが、水分のエンタルピと導入外気のエンタルピとが異なることから補正されて、導入外気の状態点S4点と水分の状態点Sw2点とを結ぶ直線L1と目標温湿度線W2との交点T7(t7,W7)が補正後の目標温湿度となる。
水分のエンタルピが外気のエンタルピよりも高い場合には、目標温湿度は、最初に設定した目標温湿度T6よりも温度及び絶対湿度が高い温湿度となっている。例えば、図15に示すように、導入外気の温湿度がS4点にあり、水分の状態点がSw3点にあり、水分の状態点Sw3を通る等エンタルピ線P3のエンタルピが、導入外気の状態点S4を通る等エンタルピ線P1のエンタルピよりも高い場合、等エンタルピ線P1と目標温湿度線W2との交点T6が最初に目標状態点として設定されるが、水分のエンタルピと導入外気のエンタルピとが異なることから補正されて、導入外気の状態点S4点と水分の状態点Sw3点とを結ぶ直線L2と目標温湿度線W2との交点T8(t8,W8)が補正後の目標温湿度となる。
そして、制御部21は、空調空気の温湿度が、補正した目標温湿度と一致するように断熱加湿処理ではない加湿処理を行う。以上により、空調空気の温湿度は、導入外気の温湿度と水の状態点とを結ぶ直線L1,L2に略沿って移動し、補正した目標温湿度に達することができる。制御部21は、水分のエンタルピが導入外気のエンタルピよりも低い場合、温湿度調整中の導入外気の温湿度Ws5が目標温湿度T7に収束するように加湿装置9を制御し、水分のエンタルピが外気のエンタルピよりも高い場合、温湿度調整中の導入外気の温湿度Ws6が目標温湿度T8に収束するように加湿装置9を制御している。
制御部21は、温湿度調整中の導入外気の温湿度Ws1〜Ws6が夫々の目標温湿度T3〜T8に対して設定された目標温湿度範囲D内に移行したとき、目標温湿度範囲D内への温湿度調整のために作動している調整装置以外の他の調整装置をアイドリング状態にしているため、空調システム1の消費エネルギーを低減することができる。温湿度調整中の導入外気の温湿度Ws1〜Ws6が各目標温湿度範囲Dを含む所定の偏差範囲Cから外れたとき、アイドリング運転中の他の調整装置をスタンバイ状態にしているため、他の調整装置の作動要求が発生した場合、復帰遅れを生じることなく直ちに温湿度調整を行うことができる。
導入外気の温湿度が目標温湿度線W2に対して高湿度側且つ目標温湿度T3の温度t3が下限温度tL以上で上限温度tU以下の場合、温湿度調整中の導入外気の温湿度Ws1が目標温湿度範囲D内に移行したとき、加湿装置9と冷却装置10はアイドリング状態で運転している。このとき、冷水発生装置3は循環する冷水が下限温度tL、例えば、15℃になるように運転している。蒸気発生装置4は蒸気発生槽の圧力を1気圧で沸騰直前状態になるように運転している。温湿度調整中の導入外気の温湿度Ws1が偏差範囲Cから外れたとき、加湿装置9と冷却装置10は直ちに温湿度制御可能なスタンバイ状態へ運転状態を切替えられるように構成されている。ここで、偏差範囲Cは、加湿装置9と冷却装置10のスタンバイ状態への移行準備期間に応じて設定されている。
導入外気の温湿度が目標温湿度線W2に対して高湿度側且つ目標温湿度T3の温度t3が下限温度tL未満の場合、温湿度調整中の導入外気の温湿度Ws2が目標温湿度範囲D内に移行したとき、冷却装置10はアイドリング状態で運転している。このとき、冷水発生装置3は循環する冷水が下限温度15℃になるように運転している。温湿度調整中の導入外気の温湿度Ws2が偏差範囲Cから外れたとき、冷却装置10は直ちに温湿度制御可能なスタンバイ状態へ運転状態を切替えられるように構成されている。ここで、偏差範囲Cは、冷却装置10のスタンバイ状態への移行準備期間に応じて設定されている。
導入外気の温湿度が目標温湿度線W2に対して高湿度側且つ目標温湿度T3の温度t3が上限温度tUを超える場合、温湿度調整中の導入外気の温湿度Ws3が目標温湿度範囲D内に移行したとき、加湿装置9はアイドリング状態で運転している。このとき、蒸気発生装置4は蒸気発生槽の圧力を1気圧で沸騰直前状態になるように運転している。温湿度調整中の導入外気の温湿度Ws3が偏差範囲Cから外れたとき、加湿装置9は直ちに温湿度制御可能なスタンバイ状態へ運転状態を切替えられるように構成されている。ここで、偏差範囲Cは、加湿装置9のスタンバイ状態への移行準備期間に応じて設定されている。
導入外気の温湿度が目標温湿度線W2に対して低湿度側の場合、温湿度調整中の導入外気の温湿度Ws4〜Ws6が夫々の目標温湿度範囲D内に移行したとき、冷却装置10と加温装置11はアイドリング状態で運転している。このとき、冷水発生装置3は循環する冷水が下限温度15℃になるように運転している。温湿度調整中の導入外気の温湿度Ws4〜Ws6が夫々の偏差範囲Cから外れたとき、冷却装置10と加温装置11は直ちに温湿度制御可能なスタンバイ状態へ運転状態を切替えられるように構成されている。ここで、偏差範囲Cは、冷却装置10と加温装置11のスタンバイ状態への移行準備期間に応じて設定されている。
次に、図16のフローチャートに基づいて、本空調システムの制御処理について説明する。尚、Si(i=161,162…)は各処理ステップを示す。
まず、各種センサ、調節計等の信号を読込む(S161)。次に、導入外気の温湿度を通る等絶対湿度線と目標温湿度線W2との交点を目標温湿度T3(t3,W3)として設定する(S162)。
S163では、導入外気の温湿度が空気線図M上の目標温湿度線W2よりも高湿度側か否か判定する。S163の判定の結果、導入外気の温湿度が空気線図M上の目標温湿度線W2よりも高湿度側の場合、S164に移行し、導入外気の温度t3が下限温度tL未満か否か判定を行う。
S164の判定の結果、導入外気の温度t3が下限温度tL未満の場合、目標温湿度T4(t4,W4)を設定する(S165)。目標温湿度T4は、目標温湿度の絶対湿度W4が導入外気の絶対湿度Wtよりも高くなるように再設定されている。目標温湿度T4の設定の後、加湿装置9による加湿処理(S166)と、加温装置11による加温処理(S167)を開始して、S168へ移行する。
S168では、温湿度調整中の空調空気の温湿度Ws2が目標温湿度範囲D内に存在するか否かを判定している。S168の判定の結果、温湿度Ws2が目標温湿度範囲D内に存在する場合、冷却装置10をアイドリング運転し(S169)、リターンする。
S168の判定の結果、温湿度Ws2が目標温湿度範囲D内に存在しない場合、S170に移行し、温湿度調整中の空調空気の温湿度Ws2が偏差範囲Cから外れたか否か判定する。S170の判定の結果、温湿度Ws2が偏差範囲Cから外れていない場合、冷却装置10をスタンバイ状態で運転し(S171)、リターンする。S170の判定の結果、温湿度Ws2が偏差範囲Cから外れている場合、S197へ移行し、冷却装置10を運転状態にする。
S164の判定の結果、導入外気の温度t3が下限温度tL以上の場合、S172に移行し、導入外気の温度t3が上限温度tUよりも高いか否か判定を行う。
S172の判定の結果、導入外気の温度t3が上限温度tUよりも高い場合、目標温湿度T5(t5,W5)を設定する(S173)。目標温湿度T5は、目標温湿度の絶対湿度W5が導入外気の絶対湿度Wtよりも低くなるように再設定されている。目標温湿度T5の設定の後、冷却装置10による冷却処理(S174)と、加温装置11による加温処理(S175)を開始して、S176へ移行する。
S176では、温湿度調整中の空調空気の温湿度Ws3が目標温湿度範囲D内に存在するか否かを判定している。S176の判定の結果、温湿度Ws3が目標温湿度範囲D内に存在する場合、加湿装置9をアイドリング運転し(S177)、リターンする。
S176の判定の結果、温湿度Ws3が目標温湿度範囲D内に存在しない場合、S178に移行し、温湿度調整中の空調空気の温湿度Ws3が偏差範囲Cから外れたか否か判定する。S178の判定の結果、温湿度Ws3が偏差範囲Cから外れていない場合、加湿装置9をスタンバイ状態で運転し(S179)、リターンする。S178の判定の結果、温湿度Ws3が偏差範囲Cから外れている場合、S197へ移行し、加湿装置9を運転状態にする。
S172の判定の結果、導入外気の温度t3が上限温度tU以下の場合、加温装置11による加温処理(S180)を開始して、S181へ移行する。加温装置11は、導入外気を目標温湿度T3に収束させるように制御されている。
S181では、温湿度調整中の空調空気の温湿度Ws1が目標温湿度範囲D内に存在するか否かを判定している。S181の判定の結果、温湿度Ws1が目標温湿度範囲D内に存在する場合、加湿装置9のアイドリング運転(S182)と冷却装置10のアイドリング運転(S183)を実行し、リターンする。
S181の判定の結果、温湿度Ws1が目標温湿度範囲D内に存在しない場合、S184に移行し、温湿度調整中の空調空気の温湿度Ws1が偏差範囲Cから外れたか否か判定する。S184の判定の結果、温湿度Ws1が偏差範囲Cから外れていない場合、加湿装置9をスタンバイ状態で運転し(S185)、冷却装置10をスタンバイ状態で運転し(S186)、リターンする。S184の判定の結果、温湿度Ws1が偏差範囲Cから外れている場合、S197へ移行し、加湿装置9と冷却装置10を運転状態にする。
S163の判定の結果、導入外気の温湿度が空気線図M上の目標温湿度線W2よりも低湿度側の場合、S187に移行して、目標温湿度T6(t6,W6)を設定する。S188では、散水部9aから噴霧される水分のエンタルピと導入外気のエンタルピとが異なるか否か判定している。
S188の判定の結果、水分のエンタルピと導入外気のエンタルピとが異なる場合、目標温湿度T6の補正を行う(S189)。水分のエンタルピが導入外気のエンタルピよりも低い場合、目標温湿度T7(t7,W7)を設定し、水分のエンタルピが導入外気のエンタルピよりも高い場合、目標温湿度T8(t8,W8)を設定している。
S188の判定の結果、水分のエンタルピと導入外気のエンタルピとが同じ場合、目標温湿度の補正を行わずに、S190へ移行する。
S190では、加湿装置9による加湿処理を開始して、S191へ移行し、目標温湿度T6〜T8の夫々の場合において、温湿度調整中の空調空気の温湿度Ws4〜Ws6が夫々の目標温湿度範囲D内に存在するか否かを判定している。S191の判定の結果、温湿度Ws4〜Ws6が夫々の目標温湿度範囲D内に存在する場合、冷却装置10のアイドリング運転(S192)と加温装置11のアイドリング運転(S193)を実行し、リターンする。
S191の判定の結果、目標温湿度T6〜T8の夫々の場合において、温湿度Ws4〜Ws6が夫々の目標温湿度範囲D内に存在しない場合、S194に移行し、温湿度調整中の空調空気の温湿度Ws4〜Ws6が夫々の偏差範囲Cから外れたか否か判定する。S194の判定の結果、温湿度Ws4〜Ws6が夫々の偏差範囲Cから外れていない場合、冷却装置10をスタンバイ状態で運転し(S195)、加温装置11をスタンバイ状態で運転し(S196)、リターンする。S194の判定の結果、温湿度Ws4〜Ws6が夫々の偏差範囲Cから外れている場合、S197へ移行し、冷却装置10と加温装置11を運転状態にする。
次に、本実施例に係る空調システムの作用、効果について説明する。
この空調システムでは、基本的に実施例1と同様の作用、効果を奏することができる。
しかも、導入外気の温湿度が目標温湿度線W2に対して低湿度側にある場合、目標温湿度を導入外気の温湿度と水分の状態点とを結ぶ直線と目標温湿度線W2との交点に補正するため、加湿処理によって温湿度調整中の温湿度が前記直線に略沿って移動して目標温湿度に達することができる。従って、基本的に加湿処理だけで、空調空気の温湿度を目標温湿度に一致させるようにすることができる。
次に、前記実施例を部分的に変更した変形例について説明する。
1〕前記実施例においては、空調機が冷却兼除湿装置、加温装置、加湿装置を備えた例を説明したが、冷却装置と除湿装置を夫々別に用いることも可能である。
2〕前記実施例においては、加温装置及び加熱ヒータがスチームコイル式ヒータの例を説明したが、少なくとも、空気や水を加温できれば良く、電気ヒータ等を用いることも可能である。
3〕前記実施例においては、温度調節計を3台、絶対温度調節計を2台備えた例を説明したが、調節計の制御目標値、測定入力、制御出力を制御モード毎に切替え、制御動作、PID定数を切替え設定することで、3台の調節計で制御することも可能である。
4〕その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施例に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態も包含するものである。