JP2011064191A - プラズマ点火装置及びプラズマ点火装置の制御方法 - Google Patents

プラズマ点火装置及びプラズマ点火装置の制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】難着火性燃焼機関の点火を行うプラズマ点火装置において、点火時期に任意のタイミングで複数回の着火源の発生を可能にして、空燃比の高い極希薄混合気中の燃料濃度の高い部分への着火確率を高めて、確実に点火を行うことができる信頼性の高いプラズマ点火装置を提供する。
【解決手段】内燃機関の運転状況に応じて複数の点火信号IGtと必要ならば充放電切換信号TGとを発信する電子制御装置ECUと、多重トリガ放電手段20として、点火信号IGtを駆動電圧に変換する駆動電圧調整手段21と、点火信号IGtにしたがって駆動される少なくとも1以上の高電圧発生手段22とを設け、多重プラズマ電流供給手段30として少なくとも1以上のプラズマ電流を蓄積するプラズマ電流蓄積手段32と、充放電切換信号TGにしたがってプラズマ電流蓄積手段32の充電と放電とを切り換える充放電切換手段31を少なくとも1以上設ける。
【選択図】図1

Description

本発明は、難着火性燃焼機関の点火に用いられるプラズマ点火装置に関する。
近年、自動車エンジン等の燃焼機関において燃焼排気中に含まれる環境負荷物質の低減やさらなる燃費の向上のため、燃料の希薄化、高過給化等が図られている。
一般に、希薄燃焼機関や、高過給燃焼機関は難着火性であるため、より着火性に優れた点火装置が望まれている。
従来のスパークプラグを用いた火花放電では着火が困難な、極希薄燃焼機関や、高過給燃焼機関等の難着火性燃焼機関においても安定した点火を実現可能な次世代の点火装置として、燃焼室内に高温高圧のプラズマ状態となった気体を噴射して点火を行うプラズマ点火装置について種々提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3等参照)。
特許文献1にあるようなプラズマ点火装置では、内部に放電空間を区画したプラズマ点火プラグの対向する電極対間に高電圧を印加して放電空間内の絶縁を破壊するブレイク放電を行うと共に、ブレイク放電をトリガとして放電空間に大電流を供給することにより、ブレイク放電により形成された放電経路周辺の気体を高温・高圧のプラズマ状態となして燃焼室内に噴射して、燃焼室内に容積的に大きな火炎核を発生させ、難着火性燃焼機関の着火を行うことができると期待されている。
また、特許文献2には、中心電極と接地電極との間で形成される火花放電間隙の少なくとも一部の周囲を包囲して放電空間を形成したキャビティを有し、そのキャビティに設けられた開口部から、前記火花放電間隙における火花放電に伴い前記キャビティ内で形成されるプラズマを噴出するプラズマジェット点火プラグが組み付けられた吸気・圧縮・膨張・排気の4工程を有する4サイクル内燃機関のための点火を制御する方法であって、前記4サイクル内燃機関の圧縮工程時若しくは膨張工程時に前記プラズマジェット点火プラグにおける第1の放電を行い、前記キャビティ内にてプラズマが形成されるように制御すると共に、前記第1の放電後から次の吸気工程の終了時までに、少なくとも前記キャビティ内にて第2の放電を行うように制御することを特徴とするプラズマジェット点火プラグの点火制御方法が開示されている。
ところが、さらなる燃費向上を図るべく、圧縮空気と燃料との混合比を従来の限界空燃比よりも高くした極希薄燃内燃機関では、燃焼室内の混合気に濃度分布が発生している。
このため、このような極希薄内燃機関において従来のプラズマ点火装置を用いて点火を試みた場合、プラズマ点火プラグから噴射された高温のプラズマガスがタイミング良く燃料濃度の高い部分に当たると速やかに火炎燃焼が広がり着火に至るが、プラズマガスがタイミング良く燃料濃度の高い部分に当たらなければ、燃焼室内に形成されている強力な筒内気流によってプラズマガスが流され、極めて寿命の短いプラズマガスの高エネルギ状態が失われ点火できなくなる虞がある。
また、特許文献2にあるような従来のプラズマ点火装置においては、トリガ放電を行う放電用電源には、いわゆるCDI型の電源回路や、フルトランジスタ式、ポイント式等の火花放電点火に一般的に用いられている放電用電源が用いられ、放電空間内に発生した火花放電に対して高エネルギを供給してプラズマを発生させるためのプラズマ電流供給用電源には、キャパシタとキャパシタを充電するための高電圧電源とキャパシタから放電される電流の方向を規制するダイオードとによって構成されたものが用いられている。
このような構成の電源を使用する場合、一旦放電した後再度放電を行うためには、点火コイルやキャパシタ等に放電に必要なエネルギを蓄積するための期間が必要となる。このため、特許文献2にあるように燃焼工程中の圧縮行程と排気行程との離れた工程であれば放電に必要なエネルギを蓄積する十分な期間が得られるので燃焼工程中に複数回の放電をすることは可能であるが、タイミング良く極希薄混合気中の燃料濃度の高い部分にプラズマガスが噴射されず、1回の放電により着火できなかった場合に、圧縮行程内で連続して再度放電を行うために必要な充電期間を確保することが困難なため失火に至る虞がある。
また、特許文献3にあるように、大電流供給手段にチョークコイル等の遅延手段を設けて1回のトリガ放電に対して大電流を複数回に分けて供給することにより、1回目のエネルギの供給により放電空間内に発生したプラズマガスに対して重畳的にエネルギを供給しより大きな火炎核を発生させ、着火の安定化を図ることができると期待されている。
ところが、1回のトリガ放電に対してプラズマ電流供給用電源に設けられた複数のキャパシタから供給できるエネルギの総量は一定であり、また、遅延手段によって複数のキャパシタからの放電を遅延できる間隔が固定されているため、機関の運転状況によって変化する燃焼室中の混合気に存在する濃度分布の変化に対して十分対応できない虞もある。
さらに、トリガ放電によって発生した放電経路が維持されるのは極めて短い期間であり、一旦、放電経路がとぎれるとプラズマ電流供給用電源に蓄えられたエネルギは放出されなくなる。
そこで、本発明は、かかる実情に鑑み、極希薄燃焼機関等の難着火性燃焼機関の点火を行うプラズマ点火装置において、点火時期に任意のタイミングで複数回の着火源の発生を可能にして、空燃比の高い極希薄混合気中の燃料濃度の高い部分への着火確率を高めて燃焼変動を抑制し、確実に点火を行うことができる信頼性の高いプラズマ点火装置とその制御方法の提供を目的とする。
第1の発明では、絶縁体を介して配設された中心電極と接地電極との間に放電空間を区画したプラズマ点火プラグと高電圧を印加するトリガ放電用電源と大電流を供給するプラズマ電流用電源とを具備し、上記プラズマ点火プラグに高電圧の印加と大電流の供給とを行って、上記放電空間内の気体を高温高圧のプラズマガスとして内燃機関の燃焼室内に噴射して点火を行うプラズマ点火装置において、
上記内燃機関の運転状況に応じて1の基準点火信号を算出し、該基準点火信号に基づいて所定の間隔を設けて複数の点火信号と充放電切換信号とを発信する電子制御装置と、
多重トリガ放電手段として、上記点火信号を駆動電圧に変換する駆動電圧調整手段と、上記駆動電圧調整手段によって変換された駆動電圧によって駆動され、上記点火信号にしたがって高電圧を発生する高電圧発生手段とを少なくとも1以上を設けると共に、
多重プラズマ電流供給手段として、少なくとも1以上のプラズマ電流を蓄積するプラズマ電流蓄積手段を設け、上記充放電切換信号にしたがって上記プラズマ電流蓄積手段の充電と放電とを切り換える充放電切換手段を設ける(請求項1)。
第2の発明では、上記充放電切換手段が、上記プラズマ電流蓄積手段の充電方向の電流を許可し放電方向の電流を阻止する充電用整流素子と、該充電用整流素子に対して並列に接続して、上記充放電切換信号によって駆動され、停止時には導通せず駆動時には導通する充放電切換素子と、を具備する(請求項2)。
第3の発明では、上記プラズマ電流蓄積手段が少なくともキャパシタを含み、上記充電用整流素子がダイオードであり、上記充放電切換素子がPNPN型制御素子であって、PUT(プログラマブルユニジャンクショントランジスタ)又は、nゲートサイリスタ、双方向サイリスタ、若しくはPNPN型制御素子と等価なトランジスタ回路のいずれかである(請求項3)。
第4の発明では、上記プラズマ電流蓄積手段が少なくともキャパシタを含み、上記充放電切換素子がpチャネルMOSFETであって、該pチャネルMOSFETのドレイン・ソース間に不可避的に形成される寄生ダイオードを上記充電用整流素子として用いる(請求項4)。
第5の発明では、上記高電圧発生手段が誘導放電型高電圧発生電源又は容量放電型高電圧発生電源である(請求項5)。
第6の発明では、絶縁体を介して配設された中心電極と接地電極との間に放電空間を区画したプラズマ点火プラグと、点火時期にて複数回のエネルギの投入より上記放電空間内の気体を高温高圧のプラズマガスとし、1回の燃焼行程において、内燃機関の燃焼室内に連続していない複数のプラズマガスとして放出する(請求項6)。
第7の発明では、100μs以上の噴射間隔で複数回の上記プラズマガスを噴射する(請求項7)。
第8の発明では、50μs以内に複数回に分割したエネルギを投入して1回に噴射される上記プラズマガスを発生する(請求項8)。
第9の発明では、燃焼が上記燃焼室全体に広がる前までに、少なくとも2つ以上のプラズマガスを放出する(請求項9)。
第10の発明では、上記燃焼室内に強い筒内気流を形成する(請求項10)。
第11の発明では、1つのエネルギ蓄積手段に蓄積したエネルギを複数回に分割して取り出して上記プラズマ点火プラグに供給して複数回のプラズマガスを放出する(請求項11)。
第12の発明では、請求項1ないし5のいずれか1項に記載のプラズマ点火装置の制御方法であって、
上記点火信号の立ち上がりに同期して第1の点火信号を発信し、該第1の点火信号の立ち下がりに同期して上記高電圧発生手段から上記プラズマ点火プラグに第1の高電圧を印加し、これをトリガとして上記プラズマ電流蓄積手段からの第1のプラズマ電流の放電を行い、第1のプラズマガスを噴射し、
上記第1の点火信号の立ち上がりから所定時間を設けて第2の点火信号を発信し、該第2の点火信号の立ち下がりに同期して上記高電圧発生手段から上記プラズマ点火プラグに第2の高電圧を印加し、これをトリガとすると共に、上記第2の点火信号の立ち下がりに同期して上記充放電切換信号を発信し、該充放電切換信号によって上記プラズマ電流蓄積手段の充電と放電とを切り換えて上記プラズマ電流蓄積手段からの第2のプラズマ電流の放電を行い、第2のプラズマガスを噴射する(請求項12)。
第13の発明では、上記プラズマ点火プラグに、上記内燃機関の運転状況に応じた所定の点火時期において複数回のエネルギ投入を行って上記放電空間内の気体を高温高圧のプラズマガスとし、1回の燃焼行程において、内燃機関の燃焼室内に連続していない複数のプラズマガスとして放出する(請求項13)。
第14の発明では、上記所定時間を100μs以上とし、上記第1のプラズマガスの噴射から上記第2のプラズマガスの噴射までの間隔を100μs以上とする(請求項14)。
1回に噴射される上記プラズマガスの発生を50μs以内に複数回に分割した高電圧の印加と大電流の放出とによって行う(請求項15)。
本発明によれば、多重トリガ放電手段と多重プラズマ電流供給手段とによって、1回の点火に際して複数回のトリガ放電とプラズマ電流の供給とを任意のタイミングで行うことが可能となり、所望のタイミングで複数回のプラズマガスを噴射することにより、燃焼室内の混合気に濃度分布があっても、混合気中の燃料濃度の高い部分への着火確率を高くして安定した点火の実現が可能となる。
また、本発明者等の鋭意試験により、エネルギを複数回に分けて供給することにより、同一のエネルギを一度に供給した場合に比べて、噴射されるプラズマガスの噴射距離は長くなり、形成される火炎核の容積は大きくなり、複数回のプラズマガスを50μs以内の間隔で行うと一体のプラズマガスとして噴射され、50μsより長い間隔で行うと複数に分離したプラズマガスとして噴射され、さらに100μs以上の間隔で複数回のプラズマガスの噴射を行うと、火炎核の成長速度が速くなり速やかに着火できることが判明した。
本発明のプラズマ点火装置の全体構成概要を示すブロック図。 本発明の第1の実施形態におけるプラズマ点火装置の構成図。 本発明の第1の実施形態におけるプラズマ点火装置のプラズマ噴射間隔を長くした場合の作動を示すタイムチャート。 本発明の第1の実施形態におけるプラズマ点火装置のプラズマ噴射間隔を短くした場合の作動を示すタイムチャート。 本発明の第2の実施形態におけるプラズマ点火装置の構成図。 本発明の第2の実施形態におけるプラズマ点火装置の作動を示すタイムチャート。 本発明の第3の実施形態におけるプラズマ点火装置の構成図。 本発明の第3の実施形態におけるプラズマ点火装置の作動を示すタイムチャート。 本発明の第4の実施形態におけるプラズマ点火装置の構成図。 本発明の第4の実施形態におけるプラズマ点火装置の作動を示すタイムチャート。 本発明の第5の実施形態におけるプラズマ点火装置の構成図。 本発明の第5の実施形態におけるプラズマ点火装置の作動を示すタイムチャート。 本発明の第6の実施形態におけるプラズマ点火装置の構成図。 本発明の第7の実施形態におけるプラズマ点火装置の構成図。 本発明の第8の実施形態におけるプラズマ点火装置の構成図。 本発明の第8の実施形態におけるプラズマ点火装置の作動を示すタイムチャート。 本発明の第8の実施形態におけるプラズマ点火装置の最適な制御条件を求めるための試験結果を示し、(a〜d)は、断面模式図、(e)は特性図。 第1の実施形態におけるプラズマ点火装置を用いて100mJのエネルギを投入した極希薄燃焼試験におけるプラズマガスの火炎成長を示す図面代用写真。 本発明の第1の実施形態におけるプラズマ点火装置を用いて、200mJのエネルギを短い噴射間隔で投入した極希薄燃焼試験におけるプラズマガスの火炎成長を示す図面代用写真。 本発明の第8実施形態におけるプラズマ点火装置を用いた極希薄燃焼試験において、100mJのエネルギを100μsの間隔で2回行った場合のプラズマガスの火炎成長を示す図面代用写真。 比較例1として示す従来のスパークプラグを用いた内燃機関の点火過程を示す模式図。 比較例2として示す従来のスパークプラグを複数用いた内燃機関の点火過程を示す模式図。 実施例1として示す本発明の第1の実施形態におけるプラズマ点火装置を用いた内燃機関の点火過程を示す模式図。 実施例2として示す本発明の第8の実施形態におけるプラズマ点火装置を用いた内燃機関の点火過程を示す模式図。 実施例2として示す本発明の第8の実施形態におけるプラズマ点火装置を用いた強い筒内気流を有する内燃機関の点火過程を示す模式図。 比較例と共に、本発明のプラズマ点火装置の燃焼速度に対する効果を示す模式図。 (a)〜(c)に本発明のプラズマ点火装置の変形例を示す要部構成図。 本発明の第9の実施形態におけるプラズマ点火装置の構成図。 本発明の第9の実施形態におけるプラズマ点火装置の作動を示すタイムチャート。
以下に、本発明の第1の実施形態におけるプラズマ点火装置1について図1を参照して説明する。プラズマ点火装置1は、自動車エンジン等の内燃機関50において燃焼排気中に含まれる環境負荷物質の低減や燃費の向上のため、燃料の極希薄化、高過給化等が図られた難着火性の燃焼機関の点火に好適なものである。
プラズマ点火装置1は、詳述略の内燃機関50の気筒毎に燃焼室500内に先端が露出するようにプラグホール510内に装着されるプラズマ点火プラグ10と、トリガ放電用電源として多重トリガ放電手段20と、プラズマ電流用電源として多重プラズマ電流供給手段30と、内燃機関50の運転状況に応じて内燃機関50の駆動を制御すると共に、多重トリガ放電手段20及び多重プラズマ電流供給手段30との駆動を制御する電子制御装置(ECU)40とによって構成されている。
ECU40には、エンジン水温TW、クランク角CA、スロットル開度SL、燃焼室内圧力PCYL等の内燃機関50の運転状況を検出する運転状況得検出手段として設けられた図略のセンサ類SEN60から、運転状況を示す様々な情報が伝達されている。
ECU40は、センサ類SEN60によって検知された運転状況に応じて予め用意された進角マップによって、基準点火信号IGtの発信時期を決定すると共に、基準点火信号IGtに応じて多重トリガ放電手段20に設けられた少なくとも1以上の駆動電圧調整手段21(1)、21(2)、21(n)のそれぞれに対応する点火信号IGt、IGt、IGtを算出し、多重トリガ放電手段20に発信すると共に、多重プラズマ電流供給手段30に設けられた少なくとも1以上のプラズマ電流蓄積手段32(1)、31(2)、31(n)の充電と放電とを切り換える充放電切換手段31(1)、31(2)、31(n)のそれぞれに対して発信される充放電切換信号TG、TG、TGを算出し、多重プラズマ電流供給手段30に発信する。
なお、充放電切換信号TG、TG、TGは、点火信号IGt、IGt、IGtから多重プラズマ電流供給手段30などの中で作成してもよい。
多重トリガ放電手段20は、少なくとも1以上((n−1)個、又は、n個)の駆動電圧調整手段21(1)、21(2)、21(n)と、少なくとも1以上((n−1)個、又は、n個)の高電圧発生手段22(1)、22(2)、22(n)とによって構成されている。
駆動電圧調整手段21(1)、21(2)、21(n)は、ECU40から内燃機関50の運転状況に応じて発信された点火信号IGt、IGt、IGtを駆動電圧VTG1、VTG2、VTGnに変換して高電圧発生手段22(1)、22(2)、22(n)に伝達する。
高電圧発生手段22(1)、22(2)、22(n)は、駆動電圧調整手段21(1)、21(2)、21(n)を経由して駆動電圧VTG1、VTG2、VTGnに変換された点火信号IGt、IGt、IGtにしたがって開閉駆動され、プラズマ点火プラグ10に高電圧を印加する。
多重プラズマ電流供給手段30は、少なくとも1以上(n−1個、又は、n個)のプラズマ電流蓄積手段32(1)、32(2)、32(n)とECU40から内燃機関50の運転状況に応じて発信された充放電切換信号TG、TG、TGにしたがってプラズマ電流蓄積手段32(1)、32(2)、32(n)の充電と放電とを切り換える少なくとも1以上((n−1)個、又は、n個)の充放電切換手段31(1)、31(2)、31(n)とによって構成されている(但し、nは1以上の自然数。)。
本発明のプラズマ点火装置は、上記内燃機関の運転状況に応じて算出された基準点火信号IGtから複数の点火信号IGtと充放電切換信号TGとを発信する電子制御装置ECUと、点火信号IGtにしたがって駆動される多重トリガ放電手段20として、少なくとも1以上の高電圧発生手段22と駆動電圧調整手段21とを設け、多重プラズマ電流供給手段30として少なくとも1以上のプラズマ電流を蓄積するプラズマ電流蓄積手段32と充放電切換信号TGにしたがってプラズマ電流蓄積手段32への充電と放電とを切り換える充放電切換手段31を少なくとも1以上設けることによって、1回の点火に際して複数回のトリガ放電とプラズマ電流の供給とを任意のタイミングで行うことが可能となる。
点火時にプラズマ点火プラグ10から複数回に渡って高温高圧のプラズマガスを燃焼室500内に噴射することにより、燃焼室500内の混合気に濃度分布があっても、混合気中の燃料濃度の高い部分への着火確率を高くして安定した点火の実現を図るものである。
なお、充放電切換信号TGは点火信号IGtからプラズマ点火装置内で発生させてもよい。
本発明の第1の実施形態におけるプラズマ点火装置1に用いられるプラズマ点火プラグとして典型的な構造のプラズマ点火プラグ10について簡単に説明する。
プラズマ点火プラグ10は、導電性金属材料からなる長軸状に伸びる中心電極11と、中心電極11の外周を覆う略筒状の絶縁体12と絶縁体12を覆う略筒状の金属からなるハウジング13とハウジング13の先端に連なる略環状の接地電極130とによって構成されている。
中心電極11の先端側には、例えばイリジウム、イリジウム合金等の耐熱性導電性材料によって細軸状に形成された中心電極放電部110が設けられ、中心電極放電部110は、鉄鋼材料、銅等の良電導性で高熱伝導性の金属材料からなる中心電極中軸部111と接続されている。中心電極中軸部111の基端側には、多重プラズマ電流供給手段20及び多重プラズマ電流供給手段30に接続される中心電極ターミナル部112が形成されている。
絶縁体12は、耐熱性、機械的強度、高温における絶縁耐力、熱伝導率などに優れた高純度のアルミナ等からなり、中心電極11の外周を覆いつつ、先端側には、中心電極放電部110の先端から下方に向かって伸びる筒状の絶縁体基部120が形成され、中腹にはハウジング13の内側に係止し、ハウジング13によって加締め固定される径大部121が形成され、基端側には、コルゲート状の絶縁体頭部122が形成され、中心電極ターミナル部112とハウジング13との電気絶縁性を確保している。絶縁体基部120の内側は、放電空間140が形成され、中心電極放電部110と接地電極130とからなる電極対間で放電可能となっている。
ハウジング13は、略筒状のハウジング基部131が形成され、絶縁体基部120を覆っている。ハウジング基部131の外周には内燃燃焼機関50のシリンダヘッド51に螺結するためのネジ部132が形成され、ハウジング13の基端側外周には、ネジ部132をネジ締めするための六角部134が形成されている。絶縁体径大部121は、加締め部133によって封止部材等を介して加締め固定されている。
接地電極130は、放電空間140に連通する接地電極開口部を有す略環状に形成されている。接地電極130を含むハウジング13は、ニッケル、鉄等の金属材料によって形成されている。
プラズマ点火プラグ10は、図略の燃焼機関50の各気筒に対して燃焼室500内に接地電極開口部が開口するようにシリンダヘッド51に装着されると共に、接地電極130がシリンダヘッド51に電気的に接地された状態となっている。
なお、本発明のプラズマ点火装置1に用いられるプラズマ点火プラグ10は、本実施形態に限定するものではなく、中心電極と接地電極との間に区画した放電空間内に高電圧の印加と大電流の供給とにより放電空間内の気体を高温高圧のプラズマ状態とし、燃焼室内にプラズマガスを噴射させることのできる公知のプラズマ点火プラグを適宜採用することが可能であり、任意のタイミングでプラズマガスを複数回噴射して着火性の向上を図ることが可能となる。
図2を参照して本発明の第1の実施形態におけるプラズマ点火装置1の具体的な構成例について説明する。本実施形態においては、1回の点火に対して2回のトリガ放電と2回のプラズマ電流供給放電とを行うことができる構成となっている。
図2(a)に示すように、イグニションキー71は、車載バッテリ、オルタネータ等の電源70から、多重トリガ放電手段20、多重プラズマ電流供給手段30、ECU40への電力供給を開閉している。
ECU40は、本発明のプラズマ点火装置1の制御方法を決定するものであり、センサ類SEN60によって検知された運転状況に応じて予め用意された進角マップによって、点火コイル1次電流通電開始時期と通電終了を決定して基準点火信号IGtを発信すると共に、基準点火信号IGtに応じて多重トリガ放電手段20に設けられた第1の駆動電圧調整手段21(1)と第2駆動電圧調整手段21(2)とに対応する第1の点火信号IGtと第1の点火信号IGtに対して所定の期間tだけ遅れて発信される第2の点火信号IGtとを算出して多重トリガ放電手段20に発信する。
さらに、ECU40は、第2の点火信号IGtの立ち下がりに同期して多重プラズマ電流供給手段30に設けられた第2のプラズマ電流蓄積手段32(2)の充電と放電とを切り換える第2の充放電切換手段31(2)に対して発信される第2の充放電切換信号TGを算出して多重プラズマ電流供給手段30に発信する。なお、充放電切換信号TGは 第2の点火信号IGtから多重プラズマ電流供給手段内で発生させてもよい。
図2(b)に示すように、本実施形態における多重トリガ放電手段20は、第1の高電圧発生手段22(1)と、ECU40から発信された第1の点火信号IGtを第1の高電圧発生手段22(1)を駆動する第1の駆動電圧VTG1に変換する第1の駆動電圧調整手段21(1)と、第1のトリガ放電整流素子23(1)と、第2の高電圧発生手段22(2)と、ECU40から発信された第2の点火信号IGtを第2の高電圧発生手段22(2)を駆動する第2の駆動電圧VTG2に変換する第2の駆動電圧調整手段21(2)と、第2のトリガ放電整流素子23(2)とノイズ吸収抵抗24とによって構成されている。
一方、本実施形態における多重プラズマ電流供給手段30は、エネルギ蓄積手段として設けた第1のプラズマ電流蓄積手段32(1)と、第2のプラズマ電流蓄積手段32(2)と、第2のプラズマ電流蓄積手段32(2)の充電と放電とを所定のタイミングで切り換える第2の充放電切換手段31(2)と、第1の充電電流調整抵抗36(1)と、第2の充電電流調整抵抗36(2)と、大容量整流素子33と、電源70から供給されたバッテリ電圧+Bを昇圧して供給するDC電源37とによって構成されている。
本実施形態においては、第1、第2の高電圧発生手段22(1)、22(2)としていわゆる誘導放電型の高電圧発生電源が用いられている。
第1の高電圧発生手段22(1)は、電源70から供給されたバッテリ電圧+Bを高電圧に昇圧する第1の点火コイル221(1)と、第1の点火コイル221(1)を駆動する第1のパワー制御素子222(1)とによって構成されている。
第1のパワー制御素子222(1)は、ECU40から発信された第1の点火信号IGtにしたがって第1の駆動電圧調整手段21(1)によって調整された第1の駆動電圧VTG1によって開閉駆動されるMOSFET、IGBT、トランジスタ等のスイッチング素子を含み、第1のパワー制御素子222(1)の開閉により、第1の点火コイル221(1)の1次コイルに発生した磁界を変化させ、第1の点火コイル221(1)の2次コイルに高電圧を発生させ、プラズマ点火プラグ10に印加することができる。
第2の高電圧発生手段22(2)は、電源70から供給されたバッテリ電圧+Bを高電圧に昇圧する第1の点火コイル221(2)と、第2の点火コイル221(2)を駆動する第2のパワー素子222(2)とによって構成されている。
第2のパワー素子222(2)は、ECU40から発信された第2の点火信号IGtにしたがって第2の駆動電圧調整手段21(2)によって調整された第2の駆動電圧VTG2によって開閉駆動されるMOSFET、IGBT、トランジスタ等のスイッチング素子を含み、第2のパワー制御素子222(2)の開閉により、第2の点火コイル221(2)の1次コイルに発生した磁界を変化させ第2の点火コイル221(2)の2次コイルに高電圧を発生させ、プラズマ点火プラグ10に印加することができる。
第1の高電圧発生手段22(1)によって発生する第1のトリガ放電と第2の高電圧発生手段22(2)によって発生する第2のトリガ放電との間隔は、ECU40から発信される第1の点火信号IGtと第2の点火信号IGtとの発信間隔tの調整によって任意に変更可能である。
第1のプラズマ電流蓄積手段32(1)は、プラズマ点火プラグ10に対して並列に配設された第1のキャパシタ320(1)と、プラズマ点火プラグ10と第1のキャパシタ320(1)との間に直列に介装された整流素子321(1)とによって構成されている。
第2のプラズマ電流蓄積手段32(2)は、プラズマ点火プラグ10に対して並列に配設された第2のキャパシタ320(2)とプラズマ点火プラグ10と第2のキャパシタ320(2)との間に直列に介装された整流素子321(2)とによって構成されている。
第2の充放電切換手段31(2)は、第2のキャパシタ320(2)の充電時においてDC電源37からの充電電流を許容し、第2のキャパシタ320(2)からの放電を阻止する第2のキャパシタ充電用整流素子310(2)と、ECU40から発信される第2の充放電切換信号TGにしたがって駆動され所定のタイミングで第2のキャパシタ充電用整流素子310(2)をバイパスして第2のキャパシタ320(2)からの放電を可能とする第2のキャパシタ放電切換用素子311(2)とによって構成され、第2のキャパシタ320(2)と接地との間に配設されている。
本実施形態において、第2のキャパシタ充電用整流素子310(2)には、ダイオードが用いられ、第2のキャパシタ320(2)の充電方向の電流は許容し、第2のキャパシタ320(2)の放電方向の電流は阻止している。
第2のキャパシタ放電切換用素子311(2)には、プログラマブルユニジャンクショントランジスタ(PUT)又はNゲートサイリスタと称されるPNPN型制御素子が用いられ、第2のキャパシタ充電用整流素子310(2)と第2のキャパシタ放電切換用素子311(2)とが並列に接続されている。
第2のキャパシタ放電切換用素子311(2)は、アノード電位とゲート電位が等しい停止時にはアノードAとカソードKとの間が導通せず、第2のキャパシタ320(2)からの放電が阻止され、アノード電位よりゲート電位が低い駆動時にはアノードAとカソードKとの間が導通し、第2のキャパシタ320(2)からの放電が許容される。
このため、第2の充放電切換信号TGによって、第2のキャパシタ放電切換用素子311(2)のゲートGに負の電位が加えられると接地状態のアノード電位よりも相対的にゲート電位が低くなりアノードAとカソードKとの間が導通し、第2のキャパシタ320(2)に蓄積されたエネルギが放電可能となる。
なお、第1のキャパシタ320(1)及び第2のキャパシタ320(2)から放電がなされたときにDC電源37への逆流を阻止するために第1のキャパシタ放電逆流防止用整流素子35(1)及び第2のキャパシタ放電逆流防止用整流素子35(2)を設けても良い。
さらに、本実施形態において、第2の充放電切換手段31(2)と同様にダイオードとPUTとを組み合わせた構成によって、第1のプラズマ電流蓄積手段32(1)の充電と放電との切り換えを制御する第1の充放電切換手段31(1)を設けても良いし、本実施形態のように第1の充放電切換手段31(1)を省略した構成としても良い。
また、容量の小さいキャパシタをノイズ吸収用キャパシタ34として、例えばプラグホール510内等のプラズマ点火プラグ10にできる限り近い位置に設けても良い。さらに、第1のトリガ放電整流素子23(1)と、第2のトリガ放電整流素子23(2)と、ノイズ吸収抵抗24と、大容量整流素子33とノイズ吸収用キャパシタ34とをまとめてプラグホール510内に載置することによって、プラグホール510が電磁シールドとして作用し外部へのノイズの放出を防ぐこともできる。
なお、本実施形態において、第1のキャパシタ320(1)、第2のキャパシタ320(2)には、0.1〜5μFの容量のものが用いられ、ノイズ吸収用キャパシタ34には、0.001〜0.1μFの容量が用いられている。また、第2のキャパシタ放電切換用素子311(2)として、耐圧2kV、300AのPUTが用いられている。
また、本実施形態においては、プラズマ点火プラグ10の中心電極放電部110が正極となり、接地電極130が負極となるように各整流素子23(1)、23(2)、321(1)、321(2)、33、35(1)、35(2)が配設されている。
図3を参照して、第1の実施形態におけるプラズマ点火装置1の作動について説明する。図3(a)に示すように、ECU40から第1の点火信号IGtが発信される。第1の点火信号IGtにしたがってパワー制御素子222(1)が開閉されると、図3(d)に示すように点火コイル221(1)の2次側に第1のトリガ放電電圧VTRG1が発生し、これが中心電極放電部110と接地電極130との間の絶縁耐圧を超えると、中心電極放電部110と接地電極130との間で第1のトリガ放電が開始される。
一方、図3(e)に示すように、第1のキャパシタ320(1)はDC電源37からの電力供給によって充電され、第1の充電電圧VC32(1)に達しており、第1のトリガ放電によって急上昇した放電空間140の電位が低下し、第1の充電電圧VC32(1)に等しくなると第1のキャパシタ320(1)からの放電が開始され、図3(h)に示すように第1のプラズマ電流IPL1が流れ、放電空間140内の気体が高温・高圧のプラズマ状態となり、第1のプラズマガスとして燃焼室500内に噴射される。
このとき、第2のキャパシタ320(2)は、第2の充放電切換手段31(2)によって放電が阻止されているので、第1のトリガ放電によって第2のキャパシタ320(2)に蓄積されたエネルギが消費されることはない。
さらに、図3(b)に示すように、第1の点火信号IGtから所定の間隔tだけ遅れて、第2の点火信号IGtが発信され、第2の点火信号IGtにしたがってパワー制御素子222(2)が開閉されると、図3(f)に示すように点火コイル221(2)の2次側に第2のトリガ放電電圧VTRG2が発生し、これが、第1のプラズマガスの噴射後における中心電極放電部110と接地電極130との間の絶縁耐圧を超えると、中心電極放電部110と接地電極130との間で第2のトリガ放電が開始される。
一方、第2の点火信号IGtの立ち下がりに同期して、図3(c)に示すように、第2の充放電切換信号TGが発信される。
第2の充放電切換信号TGの立ち下がりにしたがって、第2のキャパシタ放電切換用素子311(2)のゲートGに負の電位が印加されるとアノードAとカソードKとの間が導通状態となり、第2のキャパシタ320(2)からの放電が可能となる。
このとき、第2のトリガ放電によって、急上昇した放電空間140の電位が低下し、第2の充電電圧VC32(2)に等しくなると第2のキャパシタ320(2)からの放電が開始され、図3(h)に示すように第2のプラズマ電流IPL2が流れ、放電空間140内の気体が再び高温・高圧のプラズマ状態となり、第2のプラズマガスとして燃焼室500内に噴射される。
第1の点火信号IGtと第2の点火信号IGtとの間隔tは、任意に設定可能で、第2のトリガ放電によって、再び放電経路が形成されるので、第1の点火信号IGtと第2の点火信号IGt2との間隔tが長くても、第2のプラズマ電流IPL2がとぎれることはない。
このようにして、正規点火時期近辺の短い期間に複数回のプラズマガスを噴射することが可能となるため極希薄燃焼機関50の燃焼室500内の混合気に濃度分布が生じていても、着火確率を高くして安定した点火の実現が可能となる。
また、第1の点火信号IGtと第2の点火信号IGtとの間隔tは、任意に設定可能で、図4に示すように、第1の点火信号IGtと第2の点火信号IGtとの間隔tを極短く設定すれば、第1のプラズマ電流IPL1と第2のプラズマ電流IPL2とを重ね合わせて流すことも可能である。
このような場合には、放電空間140内に発生したプラズマガスに重畳的に大電流を供給することにより、1塊の大きなエネルギを持ったプラズマガスとして燃焼室500内に噴射させることができる。
さらに、このように極めて短期間に連続して第1のプラズマ電流IPL1と第2のプラズマ電流IPL2とを流す場合には、第1のトリガ放電によって形成された放電経路が残っているので、第2のトリガ放電を行わず、第2の点火信号IGtの立ち下がりに同期して第2の充放電切換信号TGを発信させて第2の充放電切換手段31(2)を駆動させて第1のプラズマ電流IPL1に重ねて第2のプラズマ電流IPL2を流すようにすることも可能である。
本発明者等の鋭意試験により、放電空間140内に第1のプラズマ電流IPL1と第2のプラズマ電流IPL2とを合わせたエネルギを1度に供給するよりも、所定時間tをこのように短い期間に設定し、第1のプラズマ電流IPL1と第2のプラズマ電流IPL2との複数回に分割してエネルギを供給すると、より大きなプラズマガスが噴出することが判明した。
本発明のプラズマ点火装置1は、極めて自由度が高く、内燃機関50の運転状況に応じて、第1のプラズマガスの噴射時期と第2のプラズマガスの噴射時期とを任意のタイミングで調整し、最も安定した点火状態を維持することができると期待される。
図5を参照して本発明の第2の実施形態におけるプラズマ点火装置1aについて説明する。なお、以下の実施形態の説明において、上記実施形態と同一の構成については、同じ符号を付したので詳細な説明を省略し、それぞれの実施例の特徴的な部分について説明する。
本実施形態においては、第1の実施形態と同様の構成を基本とし、第1、第2、第3の高電圧発生手段22(1)、22(2)、22(3)と、それぞれに駆動電圧を印加する第1、第2、第3の駆動電圧調整手段21(1)、21(2)、21(3)との3回路とからなる多重トリガ放電手段20aと、第2、第3のプラズマ電流蓄積手段の充電と放電とを切り換える第2、第3の充放電切換手段31(2)、31(3)と、第1、第2、第3のプラズマ電流蓄積手段32(1)、32(2)、32(3)と、大容量整流素子33aと、ノイズ吸収用キャパシタ34aと、第1、第2、第3のキャパシタ放電逆流防止用整流素子35(1)、35(2)、35(3)と、第1、第2、第3の充電電流調整用抵抗36(1)、36(2)、36(3)と、DC電源37aとからなる多重プラズマ電流供給手段30aとによって構成することにより、1回の点火に対して3回のプラズマガスの噴射を可能にした点が上記実施形態と相違する。
図6を参照し、第2の実施形態におけるプラズマ点火装置1aの作動について説明する。なお、トリガ放電及びプラズマ電流供給用放電の原理は上記実施形態と同様であるので、本実施形態における特徴的な部分について簡単に説明する。
図6(a)に示すように、ECU40から発信された第1の点火信号IGtの高側から低側への立ち下がりに、上記実施形態と同様に第1のトリガ放電電圧VTRG1が印加され、放電空間140内に第1のトリガ放電経路が形成され、これをトリガとして、第1のプラズマ電流蓄積手段32(1)から図6(f)に示すように第1のプラズマ電流IPL1が流れ、放電空間140内の気体がプラズマ化され、第1のプラズマガス噴射がなされる。
さらに、図6(b)に示すように、ECU40から発信された第1の点火信号IGtの低側から高側への立ち上がり時期から所定の時間tだけ遅れて発信された第2の点火信号IGtの高側から低側への立ち下がりにおいて、上記実施形態と同様に第2のトリガ放電電圧VTRG2が印加され、放電空間140内に第2のトリガ放電経路が再び形成される。
これをトリガとすると共に、図6(d)に示すように、第2の点火信号IGtの立ち下がりに同期して第2の充放電切換信号TGが発信され、第2の充放電切換手段31(2)の切り換えにより第2のプラズマ電流蓄積手段32(2)からの放電が可能となり、本図(f)に示すように第2のプラズマ電流IPL2が流れ、再度、放電空間140内の気体がプラズマ化され、第2のプラズマガス噴射がなされる。
さらに、図6(c)に示すように、ECU40から発信された第1の点火信号IGtの低側から高側への立ち上がり時期から所定の時間tだけ遅れて発信された第3の点火信号IGtの高側から低側への立ち下がりに、上記実施形態と同様に第3のトリガ放電電圧VTRG3が印加され、放電空間140内にトリガ放電経路が再び形成され、これをトリガとすると共に、図6(e)に示すように、第3の点火信号IGtの立ち下がりに同期して第3の充放電切換信号TGが発信され、第3の充放電切換手段31(3)の切り換えにより第3のプラズマ電流蓄積手段32(3)からの放電が可能となり、第3のプラズマ電流蓄積手段32(3)から図6(f)に示すように第3のプラズマ電流IPL3が流れ、再度、放電空間140内の気体がプラズマ化され、第3のプラズマガス噴射がなされる。
このようにして、ECU40から発信される1組の点火信号IGtに対して、正規点火時期近辺の短い期間内にエンジンの低回転時のみならず高回転時においても3回のプラズマガスの噴射を行うことが可能となり、燃焼室500内の極希薄な混合気への着火確率が上昇し安定した点火を実現できる。
図7を参照して本発明の第3の実施形態におけるプラズマ点火装置1bについて説明する。本実施形態においては、多重トリガ放電手段20は第1の実施形態と同様の構成であるが、多重プラズマ電流供給手段30bとして、第1のプラズマ電流蓄積手段32(1)と、第2のプラズマ電流蓄積手段32(2)と、大容量整流素子33bと、ノイズ吸収用キャパシタ34bと、第1、第2のキャパシタ放電逆流防止用整流素子35(1)、35(2)と、第1、第2の充電電流調整用抵抗36(1)、36(2)と、DC電源37bに加えて、第1、第2のプラズマ電流蓄積手段32(1)、32(2)への充電電圧の低電圧化を図るべく、ノイズ吸収用キャパシタ34bを容量の小さい予備放電用キャパシタとして利用し、短期間でノイズ吸収用キャパシタ34bを充電することのできる予備充電手段38と、予備充電手段38を駆動する予備充電手段駆動電圧調整手段39とを多重プラズマ電流供給手段30bに設けた点が相違する。
予備充電手段38は、電源電圧+Bを例えば1kV程度の高電圧に昇圧する昇圧コイル381と、昇圧コイル381を開閉駆動する開閉素子382と、他の回路から昇圧コイル383への電流の逆流を阻止しつつ、昇圧コイル381から放電される予備充電電流を整流する整流素子383とによって構成されている。
予備充電手段駆動電圧調整手段39には、ECU40から予備充電信号IGtPが発信され、予備充電信号IGtPに基づいて開閉素子382を駆動する開閉素子駆動電圧VIGPを発生する。予備充電信号IGtPが高レベルから低レベルに立ち下がるときに、開閉素子382が開閉され昇圧コイル381の2次側に高電圧が発生し、これにより容量の小さいノイズ吸収用キャパシタ34bが瞬間的に充電される。
上記実施形態においては、トリガ放電によって発生する中心電極放電部110と接地電極130との間の電位が、第1のキャパシタ320(1)の電位VC320(1)より高い時期であっても、ノイズ吸収用キャパシタ34bは、例えば1kV以上の高い充電電圧VC34bによって充電されているので、ノイズ吸収用キャパシタ34bからは、比較的高い電圧において放電を開始し、極めて寿命の短いトリガ放電経路を維持することが可能となり、その分、第1のキャパシタ320(1)及び第2のキャパシタ320(2)の充電電圧を低くすることが可能となる。
図8を参照して第3の実施形態におけるプラズマ点火装置1bの作動について説明する。本図(a)に示すように、ECU40から発信された第1の点火信号IGtが発信される。同時に第1の点火信号IGtの立ち上がりに同期して図8(d)に示すように、ECU40からノイズ吸収用キャパシタ34bを充電すべく予備充電信号IGtPが発信される。
さらに、図8(b)に示すように第1の点火信号IGtの立ち上がりから所定の間隔tだけ遅れて、第2の点火信号IGtが発信される。
予備充電信号IGtPは、第1の点火信号IGtの立ち下がりの直前に高レベルから低レベルに立ち下がると、図8(e)に示すように、ノイズ吸収用キャパシタ34bを充電する予備充電電圧VC34bが高い電圧に上昇し、ノイズ吸収用キャパシタ34bが瞬時に充電される。
第1の点火信号IGtが高レベルから低レベルに立ち下がると、第1のトリガ放電電圧VTRG1が発生し、これが中心電極放電部110と接地電極130との間の絶縁耐圧を超えると、中心電極放電部110と接地電極130との間で第1のトリガ放電が開始される。
一方、図8(e)に示すように、ノイズ吸収用キャパシタ34bは高い電位に充電されており、第1のトリガ放電の放電電圧が比較的高い内から、これをトリガとして、ノイズ吸収用キャパシタ34bからの放電が開始され、放電空間140内の気体のプラズマ化が開始される。
さらに、図8(f)に示すように、第1のキャパシタ320(1)はDC電源37からの電力供給によって充電され、第1の充電電圧VC320(1)に達している。
ノイズ吸収用キャパシタ34bから比較的高い予備放電電圧VC34bにおいて開始された予備放電によって、トリガ放電経路が維持され、この電位が第1の充電電圧VC320(1)に等しくなると第1のキャパシタ320(1)からの放電が開始され、図8(h)に示すように第1のプラズマ電流IPL1が流れ、放電空間140内の気体が高温・高圧のプラズマ状態となり、第1のプラズマガスとして燃焼室500内に噴射される。
このとき、第2のキャパシタ320(2)は、第2の充放電切換手段31(2)によって放電が阻止されているので、第1のトリガ放電によって第2のキャパシタ320(2)に蓄積されたエネルギが消費されることはない。
さらに、図8(b)に示すように、第2の点火信号IGtにしたがって第2のトリガ放電電圧VTRG2が発生し、これが、第1のプラズマガスの噴射後における中心電極放電部110と接地電極130との間の絶縁耐圧を超えると、中心電極放電部110と接地電極130との間で第2のトリガ放電が開始される。
一方、第2の点火信号IGtの立ち下がりに同期して、図8(c)に示すように、第2の充放電切換信号TGが発信される。
また、図8(g)に示すように、第2のキャパシタ320(2)はDC電源37bからの電力供給によって充電され、第2の充電電圧VC320(2)に達している。
第2の充放電切換信号TGの立ち下がりにしたがって、第2のキャパシタ放電切換用素子311(2)のゲートGに負の電位が印加されるとアノードAとカソードKとの間が導通状態となり、第2のキャパシタ320(2)からの放電が可能となる。
このとき、第2のトリガ放電によって、急上昇した放電空間140の電位が低下し、第2の充電電圧VC320(2)に等しくなると第2のキャパシタ320(2)からの放電が開始され、図8(h)に示すように第2のプラズマ電流IPL2が流れ、放電空間140内の気体が再び高温・高圧のプラズマ状態となり、第2のプラズマガスとして燃焼室500内に噴射される。
このようにして、正規点火時期近辺の短い期間に複数回のプラズマガスを噴射することが可能となるため極希薄燃焼機関50の燃焼室500内の混合気に濃度分布が生じていても、着火確率を高くして安定した点火を実現できると推察される。
図9を参照して第4の実施形態におけるプラズマ点火装置1cについて説明する。上記実施形態においては、点火コイル221(1)、221(2)、221(n)に放電エネルギを蓄積して高電圧を印加する誘導放電型高電圧発生電源を多重トリガ放電手段20、20aとして用いた例を示したが、本実施形態では、キャパシタ224(1)、224(2)、224(n)に放電エネルギを蓄積して高電圧を印加するCDI型(容量放電型高電圧発生電源)を多重トリガ放電手段20cとして用いている点が相違する。
さらに、上記実施形態においては、電源電圧+Bを直接点火コイル221(1)、221(2)、221(n)で昇圧する構成例を示したが、本実施形態では、DC−DCコンバータ225によって予め昇圧して用いている点が相違する。
多重トリガ放電手段20cは、第1の駆動波形成形手段21(1)cと第1のトリガ放電手段22(1)cと第1のトリガ電流整流素子23(1)と、第2の駆動波形成形手段21(2)cと第2のトリガ放電手段22(2)cと第2のトリガ電流整流素子23(2)とノイズ吸収抵抗24とによって構成されている。
第1の高電圧発生手段22(1)cは、第1のDC−DCコンバータ225(1)と第1のCDIスイッチング素子222(1)cと第1のCDIキャパシタ224(1)と第1のCDI整流素子223(1)と第1のCDIコイル221(1)cとによって構成され、 第2の高電圧発生手段22(2)cは、第2のDC−DCコンバータ225(2)と第2のCDIスイッチング素子222(2)cと第2のCDIキャパシタ224(2)と第2のCDI整流素子223(2)と第2のCDIコイル221(2)cとによって構成されている。
第1、第2のDC−DCコンバータ225(1)、225(2)は、第1、第2のDCDCキャパシタ226(1)、226(2)と第1、第2のDCDCスイッチング素子228(1)、228(2)と第1、第2のDCDC昇圧コイル227(1)、227(2)と第1、第2のDCDC整流素子229(1)、229(2)とによって構成されている。
また、上記実施形態においは、多重プラズマ電流供給手段30、30a、30bにバッテリ電圧+Bを昇圧して供給するDC電源37、37a、37bを用いたが、本実施形態においては、DC−DCコンバータを含むDC−DC電源37cを用いている点が相違する。
CDI型の多重トリガ放電手段20cを用いることによって、トリガ放電の放電時間を短くしてトリガ放電時の電極消耗を抑制しつつ、放電電流を大きくすることができる。
なお、本実施形態において、第1のCDIコイル221(1)cと第2のCDIコイル221(2)cを一つのCDIコイルで兼用した構成とすることも可能である。
図10を参照して第4の実施形態におけるプラズマ点火装置1cの作動について説明する。図10(a)に示すように、ECU40から第1の波形整形手段21(1)cには、第1の点火信号IGtが発信され、本図(b)に示すように、ECU40又はDC-DCコンバータ225(1)内から第1のDC−DCコンバータ225(1)には、第1のDCDCスイッチング素子228(1)を開閉する第1の駆動電圧GV228(1)が発信され、図10(c)に示すように、ECU40から第2の波形整形手段21(2)cには、第1の点火信号IGtから所定の間隔tだけ遅れて第2の点火信号IGtが発信され、図10(d)に示すように、ECU40又は、DC−DCコンバータ225(2)内から第2のDC−DCコンバータ225(2)には、第2のDCDCスイッチング素子228(2)を開閉する第2の駆動電圧GV228(2)が発信され、図10(e)に示すように、第2の点火信号IGtの立ち下がりに同期して充放電切換信号TGが発信されている。
第1、第2のDCDCスイッチング素子228(1)、228(2)の開閉により、第1、第2のDCDC昇圧コイル227(1)、227(2)によって昇圧された電荷によって第1、第2のCDIキャパシタ224(1)、224(2)が充電される。
第1の点火信号IGtにしたがって第1の波形整形手段21(1)cによって第1のCDIスイッチング素子222(1)cが開閉駆動されると、第1の点火信号IGtの高側から低側への立ち下がりに同期して、第1のCDIキャパシタ224(1)に蓄えられた電荷が放電され図10(f)に示すように、第1の点火コイル221(1)cに高電圧が発生し、第1のトリガ放電電圧VTRG1が印加され、放電空間140内に第1のトリガ放電経路が形成され、これをトリガとして、第1のプラズマ電流蓄積手段32(1)から図10(h)に示すように第1のプラズマ電流IPL1が流れ、放電空間140内の気体がプラズマ化され、第1のプラズマガス噴射がなされる。
さらに、第2の点火信号IGtの高側から低側への立ち下がりに同期して、第2のCDIキャパシタ224(2)に蓄えられた電荷が放電され、図10(g)に示すように、第2の点火コイル221(2)cに高電圧が発生し、第2のトリガ放電電圧VTRG2が印加され、放電空間140内に第2のトリガ放電経路が再び形成される。
これをトリガとすると共に、図10(e)に示すように、第2の点火信号IGtの立ち下がりに同期して第2の充放電切換信号TGが発信され、第2の充放電切換手段31(2)の切り換えにより第2のプラズマ電流蓄積手段32(2)からの放電が可能となり、本図(h)に示すように第2のプラズマ電流IPL2が流れ、再度放電空間140内の気体がプラズマ化され、第2のプラズマガス噴射がなされる。
このようにして、ECU40から発信される1組の点火信号IGtに対して、正規点火時期近辺の短い期間内に2回のプラズマガスの噴射を行うことが可能となり、燃焼室500内の極希薄な混合気への着火確率が上昇し安定した点火を実現できる。
図11を参照して第5の実施形態として本発明のプラズマ点火装置1dを複数の気筒からなる内燃機関の各気筒に設けた例について説明する。
本実施形態においては、各気筒A、B、C、Dにプラズマ点火プラグ10、10、10、10と多重トリガ放電手段20、20、20、20が設けられ、多重プラズマ電流供給手段30cが全気筒に対して共有されている。さらに各気筒に大容量整流素子33、33、33、33及びノイズ吸収用キャパシタ34、34、34、34が設けられている。
なお、各多重トリガ放電手段20、20、20、20及び多重プラズマ電流供給手段30cは、上記実施形態と同様の構成が適宜採用できる。
図12を参照して第5の実施形態として本発明のプラズマ点火装置1dを複数の気筒からなる内燃機関の各気筒に設けた場合の作動について説明する。
本実施形態においては、気筒A、B、C、Dの順で並んだ4気筒エンジンであり、クランク角が180°でA、B、D、C、又は、A、C、D、Bの順に1/2回転毎に点火されるものを例としている。
図12(a)に示すように、気筒Aに装着されたプラズマ点火装置1Aに発信された第1の点火信号IGt1Aにしたがって第1のトリガ放電が起こり、次いで第1のプラズマ電流蓄積手段32(1)から図12(m)に示すように、第1のプラズマ電流IPL1Aが流れ、第1のプラズマガスが気筒Aの燃焼室内に噴射される。
次いで、図12(b)に示すような第1の点火信号IGt1Aから所定期間tだけ遅れて発信される第2の点火信号IGt2Aにしたがって第2のトリガ放電が起こり、図12(c)に示すように第2の点火信号IGt2Aの立ち下がりに同期して充放電切換信号Tが発信され、第2の充放電切換手31(2)によって第2のプラズマ電流蓄積手段32(2)からの放電が可能となり、図12(m)に示すように、第2のプラズマ電流蓄積手段32(2)から第2のプラズマ電流IPL2Aが流れ、気筒Aの燃焼室内に第2のプラズマガスが噴射される。
気筒Aに発信された第1の点火信号IGt1Aから180°CA分だけ遅れて気筒Bに装着されたプラズマ点火装置1Bに第1の点火信号IGt1Bが発信され、第1の点火信号IGt1Bにしたがって第1のトリガ放電が起こり、次いで第1のプラズマ電流蓄積手段32(1)から図12(n)に示すように、第1のプラズマ電流IPL1Bが流れ、第1のプラズマガスが気筒Bの燃焼室内に噴射される。
次いで、図12(d)に示すような第1の点火信号IGt1Bから所定期間tだけ遅れて発信される第2の点火信号IGt2Bにしたがって第2のトリガ放電が起こり、図12(f)に示すように第2の点火信号IGt2Bの立ち下がりに同期して充放電切換信号Tが発信され、第2の充放電切換手段31(2)によって第2のプラズマ電流蓄積手段32(2)からの放電が可能となり、図12(n)に示すように、第2のプラズマ電流蓄積手段32(2)から第2のプラズマ電流IPL2Bが流れ、気筒Bの燃焼室内に第2のプラズマガスが噴射される。気筒Aと気筒Bとの点火間隔は180°CA分だけ離れているので、この間に第1のプラズマ電流蓄積手段32(1)と第2のプラズマ電流蓄積手段32(2)との充電を完了することができる。
同様にして、気筒D、気筒Cに対しても図12(p)、(o)に示すように、それぞれ第1のプラズマ電流IPL1D、第2のプラズマ電流IPL2D、第1のプラズマ電流IPL1C、第2のプラズマ電流IPL2Cとを連続的に流すことができる。
したがって、複数の気筒A、B、C、Dからなる内燃機関に対しても、ECU40からそれぞれの気筒A、B、C、Dに設けたプラズマ点火装置1A、1B、1C、1Dに対して発信される各1組の点火信号IGtに対して、正規点火時期近辺の短い期間内に2回のプラズマガスの噴射を行うことが可能となり、燃焼室500内の極希薄な混合気への着火確率が上昇し安定した点火を実現できる。
図13を参照して第6の実施形態におけるプラズマ点火装置1eについて説明する。
上記実施形態においては、プラズマ点火プラグ10の中心電極11が陽極となり、接地電極130が陰極となるよう整流された例を示したが、本実施形態においては、プラズマ点火プラグ10の中心電極11が陰極となり、接地電極130が陽極となるように、多重トリガ放電手段20eと多重プラズマ電流供給手段30eとによって構成した点が相違する。なお、本実施形態においては、DC−DC37eは上記実施形態と同様+出力のものを用いれば良い。
多重トリガ放電手段20eは、第1、第2の高電圧発生手段22(1)、22(2)と、第1、第2の駆動電圧調整手段21(1)、21(2)と、第1、第2のトリガ放電電流整流素子23(1)e、23(2)eと、ノイズ吸収用抵抗24とによって構成されているが、プラズマ点火プラグ10の中心電極11が陰極となり、接地電極130が陽極となるように、第1、第2のトリガ放電電流整流素子23(1)e、23(2)eが上記実施形態とは逆向きに配設されている。さらに点火コイル221(1)e、221(2)eの1次巻線と2次巻線の位相が+放電と逆になるよう配置されている。
一方、多重プラズマ電流供給手段30eは、第1、第2のプラズマ電流蓄積手段32(1)e、32(2)eと、充放電切換手段31(1)e、31(2)eと、第1、第2の大容量整流素子33(1)e、33(2)eと、ノイズ吸収用キャパシタ34(1)e、34(2)e、第1、第2のキャパシタ放電逆流防止用整流素子35(1)、35(2)と、DC−DC37eとによって構成されているが、プラズマ点火プラグ10の中心電極11が陰極となり、接地電極130が陽極となるように、第1、第2の大容量整流素子33(1)e、33(2)eが上記実施形態とは逆向きに配設されている。
さらに、第1、第2のプラズマ電流蓄積手段32(1)e、32(2)eがそれぞれプラズマ点火プラグ10とDC−DC37eとの間に直列に接続されている。
加えて、第1、第2のプラズマ電流蓄積手段32(1)e、32(2)eのそれぞれに対して並列に第1、第2の充放電切換手段31(1)e、31(2)eが接続されている。
第1、第2のキャパシタ320(1)e、320(2)eの上流側には、それぞれ第1、第2の充放電切換素子311(1)、311(2)のアノードAが接続され、第1、第2のキャパシタ320(1)e、320(2)eの下流側には、それぞれ第1、第2の充電用整流素子310(1)、310(2)のアノードAが接続され、第1、第2の充放電切換素子311(1)、311(2)のカソードKと第1、第2の充電電流整流素子310(1)、310(2)のカソードKとが接地されている。
第1の点火信号IGtにしたがって第1の高電圧発生手段22(1)が開閉されると、プラズマ点火プラグ10には、負の高電圧が印加され、第1のトリガ放電が開始される。第1の点火信号IGtの立ち下がりに同期して、第1の充放電切換信号TGが発信されると、第1のキャパシタ320(1)eからの放電が許可され、第1のプラズマ電流として負の電流が流れる。この時DC-DC37eの動作を止める。
同様に、第2の点火信号IGtにしたがって高電圧発生手段22(2)が開閉されると、プラズマ点火プラグ10には、負の高電圧が印加され、第2のトリガ放電が開始される。第2の点火信号IGtの立ち下がりに同期して、第2の充放電切換信号TGが発信されると、第2のキャパシタ320(2)eからの放電が許可され、第2のプラズマ電流として負の電流が流れる。この時DC-DC37eの動作を止める。
このような構成によっても、ECU40から発信される点火信号IGtに対して、正規点火時期近辺の短い期間内に2回のプラズマガスの噴射を行うことが可能となり、燃焼室500内の極希薄な混合気への着火確率が上昇し安定した点火を実現できる。本回路ではキャパシタ充電時にプラグにキャパシタ電圧が印加されない特徴がある。
本実施形態のように、プラズマ点火プラグ10の中心電極11側を陰極とし、接地電極130側を陽極とするか、上記実施形態のように、プラズマ点火プラグ10の中心電極11側を陽極とし、接地電極130側を陰極とするかを適宜選択することができる。
図14を参照して本発明の第7の実施形態におけるプラズマ点火装置1fについて説明する。本実施形態においては、第2の実施形態に用いた多重トリガ放電手段20aと同様のものが用いられているが、多重プラズマ電流供給手段30fとして、DC−DC37fが負出力となっており、第1、第2、第3の充電電流整流素子35(1)f、35(2)f、35(3)fの整流方向がDC−DC37fに向かう方向の流れを許容し、第1、第2、第3のプラズマ電流蓄積手段32(1)f、32(2)f、32(3)fに向かう電流が阻止されるように配設され、第1、第2、第3のプラズマ電流蓄積手段32(1)f、32(2)f、32(3)fがそれぞれプラズマ点火プラグ10とDC−DC37fとの間に直列に接続されている。
さらに、第1、第2、第3のプラズマ電流蓄積手段32(1)f、32(2)f、32(3)fのそれぞれに対して並列に第1、第2、第3の充放電切換手段31(1)f、31(2)f、31(3)fが接続されている。
第1、第2、第3のキャパシタ320(1)f、320(2)f、320(3)fの上流側には、それぞれ第1、第2、第3の充放電切換素子311(1)、311(2)311(3)のカソードKが接続され、第1、第2、第3のキャパシタ320(1)f、320(2)f、320(3)fの下流側には、それぞれ第1、第2、第3の充電用整流素子310(1)、310(2)、310(3)のカソードKが接続され、第1、第2、第3の充放電切換素子311(1)、311(2)、311(3)のアノードAと第1、第2の充電電流整流素子310(1)、310(2)、310(3)のアノードAとが接地されている。
さらに、第1、第2、第3の大容量整流素子33(1)f、33(2)f、33(3)fは、プラズマ点火プラグ10の中心電極11側が陽極となり、接地電極130側が陰極となるように配設されている。本回路ではキャパシタ充電時にプラグにキャパシタ電圧が印加されない特徴がある。
このような構成によっても、第2の実施形態と同様に、ECU40から発信される1組の点火信号IGtに対して、正規点火時期近辺の短い期間内に3回のプラズマガスの噴射を行うことが可能となり、燃焼室500内の極希薄な混合気への着火確率が上昇し安定した点火を実現できる。
図15を参照して本発明の第8の実施形態におけるプラズマ点火装置1gについて説明する。本実施形態においては、第1の実施形態と同様の構成を基本とし、第1、第2、第3、第4の高電圧発生手段22(1)、22(2)、22(3)、22(4)と、それぞれに駆動電圧を印加する第1、第2、第3、第4の駆動電圧調整手段21(1)、21(2)、21(3)、21(4)との4回路とからなる多重トリガ放電手段20gと、第2、第3、第4のプラズマ電流蓄積手段の充電と放電とを切り換える第2、第3、第4の充放電切換手段31(2)、31(3)、31(4)と、第1、第2、第3、第4のプラズマ電流蓄積手段32(1)、32(2)、32(3)、32(4)と、大容量整流素子33と、第1、第2、第3、第4のキャパシタ放電逆流防止用整流素子35(1)、35(2)、35(3)、35(4)と、第1、第2、第3、第4の充電電流調整用抵抗36(1)、36(2)、36(3)、36(4)と、DC電源37とからなる多重プラズマ電流供給手段30gとによって構成することにより、1回の点火に対して4回のプラズマガスの噴射を可能にした点が上記実施形態と相違する。
図16を参照して第8の実施形態におけるプラズマ点火装置1gの作動について説明する。なお、トリガ放電及びプラズマ電流供給用放電の原理は上記実施形態と同様であるので、本実施形態における特徴的な部分について簡単に説明する。
図16(a)に示すように、ECU40で算出された基準点火信号IGtに基づいて第1の点火信号IGtが発信され、第1の点火信号IGtの高側から低側への立ち下がりに、上記実施形態と同様に第1のトリガ放電電圧VTRG(1)が印加され、放電空間140内に第1のトリガ放電経路が形成され、これをトリガとして、図16(j)に示すように第1のプラズマ電流蓄積手段32(1)に蓄積された第1のプラズマ電圧V32(1)からの放電が可能となり、第1のプラズマ電流蓄積手段32(1)から図16(q)に示すように第1のプラズマ電流IPL1が流れ、放電空間140内の気体がプラズマ化され、第1のプラズマガスの噴射がなされる。
さらに、図16(b)に示すように、ECU40から発信された第1の点火信号IGtの低側から高側への立ち上がり時期から所定の時間tだけ遅れて第2の点火信号IGtが発信され、図16(k)に示すように、第2の点火信号IGtの高側から低側への立ち下がりにおいて、第2のトリガ放電電圧VTRG(2)が印加され、放電空間140内に第2のトリガ放電経路が再び形成される。
これをトリガとすると共に、図16(d)に示すように、第2の点火信号IGtの立ち下がりに同期して第2の充放電切換信号TGが発信され、図16(l)に示すように、第2の充放電切換手段31(2)の切り換えにより第2のプラズマ電流蓄積手段32(2)に蓄積された第2のプラズマ電圧V32(2)からの放電が可能となり、図16(q)に示すように第2のプラズマ電流IPL2が流れ、再度、放電空間140内の気体がプラズマ化され、第2のプラズマガスの噴射がなされる。
この時、所定時間tを50μs以下に設定すると、第1のプラズマガスの噴射と第2のプラズマガスの噴射とが重なり、一体のプラズマガスPLGとなって噴出する。
また、本発明者らの鋭意試験により、例えば200mJのエネルギを供給する場合、1度に全エネルギを供給するよりも、第1のプラズマ電流IPL1として100mJ、第2のプラズマ電流IPL2として100mJを供給する方が、放電空間140内の気体がより多くプラズマ化され、より大きな火炎核を形成し、早期に点火できることが判明した。
なお、第1のプラズマ電流IPL1が流れている間に第2のプラズマ電流IPL2を流す場合には、プラズマ電流により点火プラグ10のギャップ間電圧は十分下がっているので第2のトリガ放電回路21(2)、22(2)、23(2)を省略した構成とするか、第2のトリガ放電回路21(2)、22(2)、23(2)からの放電を停止する構成としても良い。
さらに、図16(e)に示すように、ECU40から発信された第1の点火信号IGtの低側から高側への立ち上がり時期から所定の時間tだけ遅れて第3の点火信号IGtが発信され、図16(m)に示すように、第3の点火信号IGtの高側から低側への立ち下がりに、第3のトリガ放電電圧VTRG(3)が印加され、放電空間140内にトリガ放電経路が再び形成され、これをトリガとすると共に、図16(f)に示すように、第3の点火信号IGtの立ち下がりに同期して第3の充放電切換信号TGが発信され、第3の充放電切換手段31(3)の切り換えにより第3のプラズマ電流蓄積手段32(3)からの放電が可能となり、第3のプラズマ電流蓄積手段32(3)から図16(q)に示すように第3のプラズマ電流IPL3が流れ、再度、放電空間140内の気体がプラズマ化され、第3のプラズマガス噴射がなされる。
さらに、図16(g)に示すように、ECU40から発信された第3の点火信号IGtの低側から高側への立ち上がり時期から所定の時間tだけ遅れて第4の点火信号IGtが発信され、図16(o)に示すように、第4の点火信号IGtの高側から低側への立ち下がりにおいて、第4のトリガ放電電圧VTRG(4)が印加され、放電空間140内に第4のトリガ放電経路が再び形成される。
これをトリガとすると共に、図16(h)に示すように、第4の点火信号IGtの立ち下がりに同期して第4の充放電切換信号TGが発信され、図16(p)に示すように、第4の充放電切換手段31(4)の切り換えにより第4のプラズマ電流蓄積手段32(4)に蓄積された第4のプラズマ電圧V32(4)からの放電が可能となり、図16(q)に示すように第4のプラズマ電流IPL4が流れ、再度、放電空間140内の気体がプラズマ化され、第4のプラズマガスの噴射がなされる。
この時、所定時間tを50μs以下に設定すると、第3のプラズマガスの噴射と第4のプラズマガスの噴射とが重なり一体のプラズマガスPLGとして噴射される。
なお、第3のプラズマ電流IPL3が流れている間に第4のプラズマ電流IPL4を流す場合には、プラズマ電流により点火プラグ10のギャップ間電圧は十分下がっているので第4のトリガ放電回路21(4)、22(4)、23(4)を省略した構成とするか、第4のトリガ放電回路21(4)、22(4)、23(4)からの放電を停止する構成としても良い。
このようにして、ECU40から発信される1組の点火信号IGtに対して、正規点火時期近辺の短い期間内にエンジンの低回転時のみならず高回転時においても4回のプラズマガスの噴射を行うことが可能となり、燃焼室500内の極希薄な混合気への着火確率が上昇し安定した点火を実現できる。
さらに、本発明者等の鋭意試験により、このとき、第1のプラズマガスの噴射と第2のプラズマガスの噴射とが一体のプラズマガスPLGとなって噴射され、第3のプラズマガスの噴射と第4のプラズマガスの噴射とが一体のプラズマガスPLGとなって噴射される。
これらの2つのプラズマガスPLG、PLGの噴射間隔tを50μs以上に設定すると、2つのプラズマガスPLG、PLGは分離して、燃焼室500内に噴射され、さらに、噴射間隔tを100μs以上に設定することにより、プラズマガスが燃焼室500内に噴射された後の火炎核の成長速度を速くし、早期に点火できることが判明した。
ここで、図17、18、19、20を参照して、本発明の第8の実施形態におけるプラズマ点火装置1gを用いて、複数回のプラズマガスの噴射を行う場合の噴射間隔と噴射されるプラズマガスの大きさとの関係について行った本発明者らの試験結果について説明する。
図17(a)、(b)、(c)、(d)は、極希薄燃焼機関の燃焼室を模して、空燃比をλ=0.6に調整したプロパン希薄混合気を充填し、1atmに調整した耐圧容器に、本発明のプラズマ点火装置1gを装着して、プラズマ電流蓄積手段32(1)、32(2)、32(3)、32(4)として、1μFのキャパシタを用い、投入エネルギを100mJずつ、2回のプラズマガスPLG、PLGを噴射するように供給し、2回目のエネルギ投入後から36μs後のプラズマガスPLG、PLGの位置と大きさについて、第1、第2のトリガ放電VTRG(1)、VTRG(2)、及び、第1、2のプラズマ電流IPL1、IPL2によって一体的に形成される第1のプラズマガスPLGと、第3、第4のトリガ放電VTRG(3)、VTRG(4)、及び、第3、第4のプラズマ電流IPL3、IPL4によって一体的に形成される第2のプラズマガスPLGとの噴射間隔tを変化させたときの様子を観察した結果を模式的に表したものである。
図17(e)は、第1のプラズマガスPLG1と第2のプラズマガスPLG2の中心間距離の変化を示す特性図であり、図17(e)中に、対応する試験結果を、それぞれ、a、b、c、dとして示す。
本図(e)に示すように、所定時間tを50μsより短い間隔とすると、プラズマガスPLG、PLGは一体のプラズマガスとして挙動し、所定時間tを50μs以上に設定すると、燃焼室内に噴射されたプラズマガスPLG、PLGが分離し、燃焼室内の複数箇所で、火炎成長が起こることが判明した。
図18〜20は、極希薄燃焼機関の燃焼室を模した、空燃比λ=0.6に調整したプロパン混合気を充填した耐圧容器中に、本発明の第1の実施形態におけるプラズマ点火装置1又は第7の実施形態におけるプラズマ点火装置1gを用いて、複数回のプラズマガスを噴射させたときの火炎核の成長の過程を撮影した連続写真である。本試験において、プラズマ点火プラグ10として、放電空間140の内径φ1.3mm、中心電極110と接地電極130との距離3.0mmに形成したものを用いた。
図18は、第1の実施形態におけるプラズマ点火装置1を用いてキャパシタに蓄積された合計100mJのエネルギを第1のプラズマ電流IPL1と第2のプラズマ電流IPL2として50μs以内に供給した場合の火炎核の成長過程を撮影したものである。
本図に示すように、プラズマ点火プラグ10から燃焼室内に噴射された略球状のプラズマガスは、一体の火炎核となって略球状に成長しながら燃焼室内を移動する。このとき、プラズマガスの噴射から15ms後におけるプラズマ点火プラグ10の先端から火炎核の中心まで移動距離は、約32mmで、火炎核の大きさは直径約φ27mmであった。
図19は、第1の実施形態におけるプラズマ点火装置1を用いてキャパシタに蓄積された合計200mJのエネルギを第1のプラズマ電流IPL1と第2のプラズマ電流IPL2として50μs以内に供給した場合の火炎核の成長過程を撮影したものである。
本図に示すように、プラズマ点火プラグ10から燃焼室内に噴射された略球状のプラズマガスは、一体の火炎核となって略球状に成長しながら燃焼室内を移動する。このとき、プラズマガスの噴射から15ms後におけるプラズマ点火プラグ10の先端から火炎核の中心まで移動距離は、約38mmで、火炎核の大きさは直径約φ33mmであった。
図20は、第8の実施形態におけるプラズマ点火装置1gを用いてキャパシタに蓄積された100mJのエネルギを第1のプラズマ電流IPL1と第2のプラズマ電流IPL2として50μs以内に供給し、さらに、100μs後に、キャパシタに蓄積された100mJのエネルギを第3のプラズマ電流IPL3と第4のプラズマ電流IPL4として50μs以内に供給した場合の火炎核の成長過程を撮影したものである。
本実施形態によれば、本図に示すように、2体のプラズマガスPLG、PLGとして燃焼室内の2カ所で火炎成長する。
このとき、最初のプラズマガスPLG1の噴射から15ms後におけるプラズマ点火プラグ10の先端から最初の火炎核の中心まで移動距離は、約40mmで、大きさは直径約φ28mmで、2発目のプラズマガスPLGによる火炎核の中心までの距離は、約12mmで、大きさは直径約φ26mmであった。
図19に示した場合と総エネルギ投入量は同じでありながら、複数回のプラズマガスPLG、PLGの噴射を行う場合に、100μs以上の間隔を開けることにより火炎核の成長が速くなり、より広範囲に火炎が広がり易くなることが判明した。
図21〜26を参照して、本発明の第1の実施形態におけるプラズマ点火装置1及び第8の実施形態におけるプラズマ点火装置1gをガソリンエンジンの点火に用いた場合の点火速度に対する効果について、比較例と共に説明する。
図21は、比較例1として、従来のスパークプラグ10zによる点火を行った場合の火炎核の成長の様子を表した模式図であり、図22は、比較例2として、従来のスパークプラグ10zを2個配設して点火を行った場合の火炎核の成長の様子を表した模式図であり、図23は、本発明の実施例1として、本発明の第1の実施形態におけるプラズマ点火装置1を用いて、第1のプラズマ電流IPL1の供給から第2のプラズマ電流IPL2の供給までの所定時間t<50μsとして、200mJのエネルギを2回に分けて供給し、一体のプラズマガスPLG1として噴射した場合の火炎核の成長の様子を表した模式図であり、図24は、本発明の実施例2として本発明の第8の実施形態におけるプラズマ点火装置1gを用いて、100mJのエネルギを所定時間t≦50μsとし、第1のプラズマガスPLGの噴射と第2のプラズマガスPLGの噴射までの間隔tを100μsとして供給した場合の火炎核の成長の様子を表した模式図であり、図25は、実施例3として、同条件のプラズマ点火装置1gを燃焼室500内に強いタンブル渦TMBを形成した内燃機関50に適用した場合の火炎核の成長の様子を表した模式図であり、図26は、実施例1、2、3と比較例1、2の点火開始から完爆までの経時変化をまとめて示した模式図である。
図21(a)〜(c)、及び、図26(a)に比較例1として示す従来のスパークプラグ10zを用いた点火では、スパークプラグ10zへの高電圧の印加により、中心電極110zと接地電極130zとの間にアーク放電が形成され、これが周囲の混合気に着火し、微少な火炎核FKを形成するまでに、約1.0ms程度の時間を要し、そこから火炎核が成長し、燃焼室500内全体に燃え広がり、完爆に至るまでに凡そ2.5ms程度の時間を要する。
図22(a)〜(c)、及び、図26(b)に比較例2として示すように、従来のスパークプラグを2個用いた点火では、スパークプラグ10zへの高電圧の印加により、中心電極110zと接地電極130zとの間にアーク放電が形成され、これが周囲の混合気に着火し、微少な火炎核FKを形成するまでの時間は比較例1と同様に、約1.0ms程度の時間を要する。2カ所同時に火炎核FKが形成され、そこから火炎核FKが成長し、燃焼室500内全体に燃え広がるので、火炎核FKが形成されてから完爆に至るまでの時間は、比較例1の凡そ半分に短縮され、全体としては、2.0ms程度の時間を要する。
比較例1に比べ、比較例2でも、0.5ms程度燃焼時間を短縮することができる。しかしながらスパークプラグ10zを2個設けるため搭載スペースの確保が必要となり、近年の燃焼効率の向上を図るべくバルブが大型化された機関には不向きである。
図23(a)〜(c)、及び、図26(c)に示すように、本発明の第1の実施形態におけるプラズマ点火装置1では、多重トリガ放電回路20からプラズマ点火プラグ10への第1のトリガ放電VTRG1により、中心電極110と接地電極130との間にアーク放電が形成され、これをトリガとして、多重プラズマ電流供給回路30から第1のプラズマ電流IPL1が供給され、引き続き第2のトリガ放電VTRG2により、中心電極110と接地電極130との間にアーク放電が形成され、これをトリガとして、多重プラズマ電流供給回路30から第2のプラズマ電流IPL2が供給される。
第1のプラズマ電流IPL及び、第2のプラズマ電流IPLは、それぞれ10μs程度の極めて短い期間に100mJのエネルギの放電を完了し、第1のプラズマ電流IPL1の供給と第2のプラズマ電流IPL2の供給との間隔は所定時間tを50μs以下とする短い期間に行われ、合計200mJのエネルギが極短い時間に放電空間140内に投入され、一体のプラズマガスPLGとして噴射される。
従来のスパーク点火では、放電を始めてもすぐに燃焼が広がる事はなく、初めに約1ms程度の時間をかけて火炎核FKが作られ、これが形成されることを待ってから燃焼が広がりはじめる。
一方、プラズマ点火では比較的容積の大きなプラズマガスPLGの包含するエネルギが高く、プラズマガスPLGの噴出とほぼ同時に燃焼が広がり始める。
したがってプラズマ点火では、スパーク点火にて火炎核を作るために必要であった約1msの時間がほぼ不要となり、燃焼速度が格段に速くなる。
本発明のプラズマ点火装置1では、比較例として示した従来のスパーク点火に比べ、形成されるプラズマガスが容積的に大きく火炎核様のエネルギの塊であることから、約1.4msの短い時間で、燃焼室500内全体に広がることが可能である。
1本のスパーク点火では火炎核形成に約1msを要し、さらにその後の燃焼室全体に広がるのに約1.5msを要していたことに対し、プラズマ点火では、火炎核の形成にほとんど時間が掛からないのに加え、燃焼室全体に火炎が広がるための燃焼時間も0.1msほど短出される。
プラズマ点火は、容積的に大きな高温のプラズマガスPLGを燃焼室500内に噴出する。プラズマガスPLG自体が大きなエネルギを持った気体であるので、アーク放電によって混合気に火炎核を形成する従来のスパークプラグに比べ遙かに速い時間で混合気に着火し、凡そ1.4ms程度の時間で燃焼室500内に火炎が広がり完爆に至る。
本発明の第1の実施形態におけるプラズマ点火装置1を用いることにより、比較例1に比べて1.1ms程度の燃焼時間の短縮が可能となることが判明した。
なお、スパーク点火では、燃焼を広げる元となる火炎核を一つ作ることに約1ms程度の時間を要し、例えば、同一のプラグで続けて2つ目の火炎核を作ろうとすると、そこから更に1ms必要となる。
これでは、1つ目の火炎核による燃焼がほほ燃焼室全体に広がったときに2つ目が形成されることから、タイミングが遅すぎる。そこで、比較例2として示したスパーク点火を用いた機関では、2本のプラグで燃焼速度の向上に対応している。
すでに述べたように、プラズマ点火では、プラズマガスの噴出と同時に燃え広がり、スパーク点火にあるような火炎核を作る時間(約1ms)をほとんど必要としない。
よって、1本のプラグでも、短期間に多数回のプラズマガスを噴出させれば、燃焼室内の複数の部位にすぐに燃え広がる熱源を打ち出すことができる。
これより、1本のプラズマ点火プラグでも複数の部位から同時に燃焼が広がるので燃焼速度が高速化し、比較例2よりもさらに燃焼効率が向上する。
次に、1本のプラズマ点火プラグに対して間隔をあけて電源からエネルギを加え2回プラズマガスを噴出させた場合について述べる。
図24(a)〜(c)、及び、図26(d)に示すように、本発明の第8の実施形態におけるプラズマ点火装置1gを用いた場合では、第1の点火信号IGtにしたがって多重トリガ放電回路20gからプラズマ点火プラグ10への第1のトリガ放電VTRG1により、中心電極110と接地電極130との間にアーク放電が形成され、これをトリガとして、多重プラズマ電流供給回路30gから第1のプラズマ電流IPL1が供給され、引き続き、第2の点火信号IGtにしたがって第2のトリガ放電VTRG2により、中心電極110と接地電極130との間にアーク放電が形成され、これをトリガとして、多重プラズマ電流供給回路30から第2のプラズマ電流IPL2が供給される。
第1のプラズマ電流IPL1及び、第2のプラズマ電流IPL2は、10μs程度の極めて短い期間で放電が完了し、第1のプラズマ電流IPL1の供給と第2のプラズマ電流IPL2の供給との間隔は所定時間tを50μs以下とする短い期間に行われ、合計100mJのエネルギが極短い時間に放電空間140内に投入され、一体の第1のプラズマガスPLGとして噴射される。
さらに、第1の点火信号IGTから噴射間隔時間tとして100μs遅れて発信される第3の点火信号IGtにしたがって、多重トリガ放電回路20gからプラズマ点火プラグ10への第3のトリガ放電VTRG3により、中心電極110と接地電極130との間にアーク放電が形成され、これをトリガとして、多重プラズマ電流供給回路30gから第3のプラズマ電流IPL3が供給され、引き続き、第4の点火信号IGtにしたがって第4のトリガ放電VTRG4により、中心電極110と接地電極130との間にアーク放電が形成され、これをトリガとして、多重プラズマ電流供給回路30から第2のプラズマ電流IPL4が供給される。
第3のプラズマ電流IPL3及び、第4のプラズマ電流IPL3は、10μs程度の極めて短い期間で放電が完了し、第3のプラズマ電流IPL3の供給と第4のプラズマ電流IPL4の供給との間隔は所定時間tを50μs以下とする短い期間に行われ、合計100mJのエネルギが極短い時間に放電空間140内に投入され、一体の第2のプラズマガスPLGとして噴射される。
点火直後から容積的に大きなプラズマガスPLG、PLGが燃焼室500内に噴出する。第1のプラズマガスPLGの噴射と第2のプラズマガスPLGの噴射との間は100μsだけ離れており、燃焼室500内の2カ所でほぼ同時に燃焼が広がり始めるので、さらに燃焼速度が速くなり、凡そ0.9ms程度で燃焼室500内に火炎が広がり完爆に至る。
本発明の第7の実施形態におけるプラズマ点火装置1gを用いることにより、比較例1に比べて0.6ms程度の燃焼時間(燃焼が拡大する時間)の短縮が可能となることが判明した。
2つのスパークプラグを使った比較例2に比べてもが燃焼が拡大する時間が0.1msほどさらに短縮する。
2つの放出されたプラズマガスPLG、PLGにおいて、繋がっている部位があると、2つのプラズマガスPLG、PLGが繋がっている部位の内部では、既に燃焼しており、プラズマガスが繋がっている分だけ表面積も小さくなっているため、燃焼の広がりに寄与しない部分が生じる。
一方、2つのプラズマガスPLG、PLGが離れていれば、表面積が大きく、各々、空間的に全ての方向に燃焼が広がるので燃焼効率がよくなる。
よって、2つのプラズマガスPLG、PLGは、燃焼室500の中において、お互いに離れるように放出されることが好ましい。
2つのプラズマガスPLG、PLGは、50μsほどの間隔を開けてエネルギをプラグに投入することにより、離れ始め、100μsほどの間隔を開けることで、完全に独立することが判明した。
図25(a)〜(c)、及び、図26(d)に示すように、本発明の第7の実施形態におけるプラズマ点火装置1gを燃焼室内500に強力なタンブル渦が形成された機関に用いた場合、上述と同様の火炎核FKの形成過程に加え、燃焼室500内に噴射されたプラズマガスPLG、PLGが、タンブル渦TMBによって、混合気と撹拌され、燃焼速度はさらに向上し、凡そ0.8ms程度で燃焼室500内に火炎が広がり完爆に至る。
燃焼室500内に強いタンブル渦等の筒内気流のあるエンジンでは、複数の噴出したプラズマガスが燃焼室500の一部に固まることなく広く分布して燃焼が広がることから、燃焼速度向上の効果が大きくなる。
本発明の第7の実施形態におけるプラズマ点火装置1gを燃焼室内500に強力なタンブル渦が形成された機関に用いることにより、比較例1に比べて0.7ms程度の燃焼時間(燃焼が拡大する時間)の短縮が可能となることが判明した。
2つのスパークプラグを使った方法に比べても燃焼が拡大する時間が0.2msほど短縮する。
なお、燃焼ばらつきを考えロバスト性向上のため1回の燃焼行程中にプラズマガスを複数回放出させてもよい。
また、点火エネルギの節約を重視する場合には、プラズマガスの放出は、燃焼がエンジンの燃焼室全体に広るタイミングまでとしても良い。
上記実施形態においては、充放電切換素子311としてPUT又はN―ゲートサイリスタを用いた例を示したが、近年、PUTは生産数が減少しており入手が困難な点もあるため、図27にいくつかの変形例を示す。
図27(a)に示すように、充放電切換素子311(n)hとしてトライアック(双方向サイリスタ)を充電用整流素子310(n)に対して並列に配設して充放電切換手段31(n)hとしたものを用いても良い。この場合、充放電切換信号TnGによってトライアックのゲートGとグランドとの間にゲート電流が流れると、TからTに向かう電流が許容されキャパシタ320(n)からの放電が可能となる。
図27(b)に示すように、PUT又はnゲートサイリスタに変えてPNPN4重構造のPゲートサイリスタを用いても良い。この場合、ゲートGからカソードKに電流を流すことによりアノードAとカソードKとの間に電流を流すことができる。
ただし、Pゲートサイリスタを用いる場合には、アノードA側が接地され、カソードK側がフローティングとなっているので、ゲートGとカソードKとの間に電流を流すためには、充放電切換信号TGを絶縁するパルストランス315(n)i、整流素子312(n)i、314(n)i、抵抗313(n)i等を設けて充放電切換信号TGの入力に対して、ゲートGよりもカソードK側が高電位となる駆動電圧が印加されるように構成する必要がある。
図27(c)に示すように、PNP型トランジスタ311(n)jとNPN型トランジスタ312(n)jとを組み合わせてPUTと等価なトランジスタ回路を構成して充放電切換素子として、充電用整流素子310(n)に対して並列に配設して充放電切換手段31(n)jとしても良い。
図28、図29を参照して、本発明の第9の実施形態におけるプラズマ点火装置1kについて説明する。
上記実施形態においては、充放電切換手段31として、PUT、又は、PUTと類似のスイッチング素子を用いた例を示したが、本実施形態においては、プラズマ電流蓄積手段として、大容量のキャパシタ32kを用い、充放電切換手段としてソース・ゲート間に負の電圧からなる充放電切換信号TG、TGが入力されたときにドレイン・ソース間が導通するpチャネルMOSFET(金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ)31kを使用し、pチャネルMOSFET31kのドレイン・ソース間に不可避的に形成される寄生ダイオード311kをキャパシタ32kの充電用整流素子として用いた点が相違する。
pチャネルMOSFET31kのゲート・ソース間に負の電圧が印加されていない場合、ドレン・ソース間は、開放され不導となっている。
しかし、ドレイン・ソース間に不可避的に形成される寄生ダイオード311kによってドレイン・ソース間がバイパスされ、ドレインからソース方向への電流の導通が許容されているので、DC電源37によるキャパシタ32kの充電が可能となり、キャパシタ32kからの放電は阻止される。
充放電切換信号TG、TGとしてゲート・ソース間に負の電圧が印加されと、ドレイン・ソース間が導通し、キャパシタ32kに蓄積されたエネルギの放電が可能となる。
キャパシタ32kとして静電容量の大きなものを用いることによって、pチャネルMOSFET31kを充放電切換信号TG、TGにしたがって開閉すると、キャパシタ32kから任意のタイミングでプラズマ電流IPL1、IPL2を放出できる。このとき、pチャネルMOSFETを閉じて、導通可能とする導通時間t、tを設定することにより、キャパシタ32kからプラズマ点火プラグ10に所望の電流量を供給可能となる。
本実施形態においては、第1の実施形態と同様の効果を発揮できる。
なお、キャパシタ32kからの第2のプラズマ電流IPL2を放出する時間tは、第1のプラズマ電流IPL1を放出した後にキャパシタ32kに残存するエネルギを放出し切るのに十分な時間に設定すれば良い。
本発明は上記実施形態に限定するものではなく、(1)プラズマ点火プラグの放電極性について中心電極側を正とするか負とするか、(2)充電抵抗36を含むDC電源を用いるか、DC−DC電源を用いるか、(3)多重プラズマ電流供給手段を気筒毎に独立して設けるか、エンジン当たりn気筒分に対してまとめて1つの多重プラズマ電流供給手段を使用するか、(4)多重プラズマ電流供給手段からプラズマ点火プラグへの充電電圧の印加が常時行われるようにするか、点火直前に印加するか、(5)多重プラズマ電流供給手段のキャパシタへの充電を定電圧電源と充電抵抗でおこなうか、外部信号でオン/オフできるDC−DC電源を用いるか、(6)多重トリガ放電手段として、容量放電型(CDI)の高電圧発生手段を用いるか、誘導放電型の高電圧発生手段を用いるのか、(7)1組の点火信号に対してプラズマ電流を何回発生させるのかを適宜組み合わせて構成することができる。
1 プラズマ点火装置
10 プラズマ点火プラグ
110 中心電極
120 絶縁体
130 接地電極
140 放電空間
20 多重トリガ放電手段
21(1)、21(2)、21(n) 駆動電圧調整手段
22(1)、22(2)、22(n) 高電圧発生手段
221(1)、221(2)、221(n) 昇圧手段(点火コイル)
222(1)、222(2)、222(n) 駆動手段(パワー制御素子)
23 トリガ電流整流素子(ダイオード)
24 ノイズ吸収抵抗
30 多重プラズマ電流供給手段
31(1)、31(2)、31(n) 充放電切換手段
310(1)、310(2)、310(n) 充電用整流素子(ダイオード)
311(1)、311(2)、311(n) 充放電切換素子(PUT、n−ゲートサイリスタ)
32(1)、32(2)、32(n) プラズマ電流蓄積手段
320(1)、320(2)、320(n) プラズマ電流蓄積手段(キャパシタ)
321(1)、321(2)、321(n) 整流素子
33 大容量プラズマ電流整流素子
34 ノイズ吸収用キャパシタ(予備放電用キャパシタ)
35(1)、35(2)、35(n) 整流素子
36(1)、36(2)、36(n) 充電抵抗
37 DC電源
40 電子制御装置(ECU)
50 内燃機関
500 燃焼室
IGt、IGt、IGt 点火信号
G、TG、TG 充放電切換信号
特開2008−177142号公報 特開2007−170371号公報 特開2009−97500号公報

Claims (15)

  1. 絶縁体を介して配設された中心電極と接地電極との間に放電空間を区画したプラズマ点火プラグと高電圧を印加するトリガ放電用電源と大電流を供給するプラズマ電流用電源とを具備し、上記プラズマ点火プラグに高電圧の印加と大電流の供給とを行って、上記放電空間内の気体を高温高圧のプラズマガスとして内燃機関の燃焼室内に噴射して点火を行うプラズマ点火装置において、
    上記内燃機関の運転状況に応じて1の基準点火信号を算出し、該基準点火信号に基づいて所定の間隔を設けて複数の点火信号と充放電切換信号とを発信する電子制御装置と、
    多重トリガ放電手段として、上記点火信号を駆動電圧に変換する駆動電圧調整手段と、上記駆動電圧調整手段によって変換された駆動電圧によって駆動され、上記点火信号にしたがって高電圧を発生する高電圧発生手段とを少なくとも1以上を設けると共に、
    多重プラズマ電流供給手段として、少なくとも1以上のプラズマ電流を蓄積するプラズマ電流蓄積手段を設け、上記充放電切換信号にしたがって上記プラズマ電流蓄積手段の充電と放電とを切り換える充放電切換手段を設けたことを特徴とするプラズマ点火装置。
  2. 上記充放電切換手段が、上記プラズマ電流蓄積手段の充電方向の電流を許可し放電方向の電流を阻止する充電用整流素子と、該充電用整流素子に対して並列に接続して、上記充放電切換信号によって駆動され、停止時には導通せず駆動時には導通する充放電切換素子と、を具備する請求項1に記載のプラズマ点火装置。
  3. 上記プラズマ電流蓄積手段が少なくともキャパシタを含み、
    上記充電用整流素子がダイオードであり、
    上記充放電切換素子がPNPN型制御素子であって、PUT(プログラマブルユニジャンクショントランジスタ)又は、nゲートサイリスタ、双方向サイリスタ、若しくはPNPN型制御素子と等価なトランジスタ回路のいずれかである請求項1又は2に記載のプラズマ点火装置。
  4. 上記プラズマ電流蓄積手段が少なくともキャパシタを含み、
    上記充放電切換素子がpチャネルMOSFETであって、
    該pチャネルMOSFETのドレイン・ソース間に不可避的に形成される寄生ダイオードを上記充電用整流素子として用いる請求項1又は2に記載のプラズマ点火装置。
  5. 上記高電圧発生手段が誘導放電型高電圧発生電源又は容量放電型高電圧発生電源である請求項1ないし4のいずれか1項に記載のプラズマ点火装置。
  6. 絶縁体を介して配設された中心電極と接地電極との間に放電空間を区画したプラズマ点火プラグと、点火時期にて複数回のエネルギの投入より上記放電空間内の気体を高温高圧のプラズマガスとし、1回の燃焼行程において、内燃機関の燃焼室内に連続していない複数のプラズマガスとして放出するプラズマ点火装置
  7. 100μs以上の噴射間隔で複数回の上記プラズマガスを噴射する請求項1ないし6のいずれか1項に記載のプラズマ点火装置。
  8. 50μs以内に複数回に分割したエネルギを投入して1回に噴射される上記プラズマガスを発生する請求項1ないし7のいずれか1項に記載のプラズマ点火装置。
  9. 燃焼が上記燃焼室全体に広がる前までに、少なくとも2つ以上のプラズマガスを放出する請求項1ないし8のいずれか1項に記載のプラズマ点火装置。
  10. 上記燃焼室内に強い筒内気流を形成する請求項1ないし9のいずれか1項に記載のプラズマ点火装置。
  11. 1つのエネルギ蓄積手段に蓄積したエネルギを複数回に分割して取り出し、上記プラズマ点火プラグに供給して複数回のプラズマガスを放出する請求項1ないし10のいずれか1項に記載のプラズマ点火装置。
  12. 請求項1ないし5のいずれか1項に記載のプラズマ点火装置の制御方法であって、
    上記点火信号の立ち上がりに同期して第1の点火信号を発信し、該第1の点火信号の立ち下がりに同期して上記高電圧発生手段から上記プラズマ点火プラグに第1の高電圧を印加し、これをトリガとして上記プラズマ電流蓄積手段からの第1のプラズマ電流の放電を行い、第1のプラズマガスを噴射し、
    上記第1の点火信号の立ち上がりから所定時間を設けて第2の点火信号を発信し、該第2の点火信号の立ち下がりに同期して上記高電圧発生手段から上記プラズマ点火プラグに第2の高電圧を印加し、これをトリガとすると共に、上記第2の点火信号の立ち下がりに同期して上記充放電切換信号を発信し、該充放電切換信号によって上記プラズマ電流蓄積手段の充電と放電とを切り換えて上記プラズマ電流蓄積手段からの第2のプラズマ電流の放電を行い、第2のプラズマガスを噴射するプラズマ点火装置の制御方法。
  13. 請求項6ないし11のいずれか1項に記載のプラズマ点火装置の制御方法であって、
    上記プラズマ点火プラグに、上記内燃機関の運転状況に応じた所定の点火時期において複数回のエネルギ投入を行って上記放電空間内の気体を高温高圧のプラズマガスとし、1回の燃焼行程において、内燃機関の燃焼室内に連続していない複数のプラズマガスとして放出するプラズマ点火装置の制御方法。
  14. 上記所定時間を100μs以上とし、上記第1のプラズマガスの噴射から上記第2のプラズマガスの噴射までの間隔を100μs以上とする請求項12又は13に記載のプラズマ点火装置の制御方法。
  15. 1回に噴射される上記プラズマガスの発生を50μs以内に複数回に分割した高電圧の印加と大電流の放出とによって行う請求項12ないし14のいずれか1項に記載のプラズマ点火装置の制御方法。
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