以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
(1)脚動作型移動体の構成と動作
図1において、1は全体として移動体を示し、直方体形状の移動体本体2の前面上端中央部に前方に突出するように移動環境検出器3が設けられている。
移動体本体2の前面下部の左右両端位置には左前脚4L及び右前脚4Rが装着されていると共に、移動体本体2の後面下部の左右両端位置には左後脚5L及び右後脚5Rが装着されている。
左前脚4L及び右前脚4R並びに左後脚5L及び右後脚5Rは、それぞれ支軸周りの関節J0、股関節J1及び膝関節J2を介して脚車輪J3を歩行動作ができるように保持している。
かくして、左前脚4L及び右前脚4R並びに左後脚5L及び右後脚5Rが平らな床面6上に自立しているときには、脚車輪J3を回転駆動することにより、移動体本体2を車輪の回転動作を利用して移動できるようになされていると共に、移動体本体2が測定対象としての階段7を上り下りする際には、左前脚4L若しくは右前脚4R又は左後脚5L若しくは右後脚5Rのいずれか1つを階段7の1段分の段差を上り下りするように脚車輪J3を回転駆動させずに歩行動作させ、これにより脚車輪J3を階段7の踏み面8を踏む手段として用いて階段7を1歩ずつ上ったり下ったりできるようになされている。
このような移動体1の移動動作は、移動体本体2内に設けられている外界認識装置9が移動環境検出器3の検出結果を用いて移動環境を認識して左前脚4L若しくは右前脚4R又は左後脚5L若しくは右後脚5Rを駆動制御することによって行われる。
外界認識装置9は、図2に示すように、移動環境検出器3として円錐走査式距離測定部31あるいは距離画像測定部36を装備し、情報処理を行うパーソナルコンピュータによって構成され、データ入力手段11からユーザが入力した指令データをバス12を介してシステム制御用中央処理ユニット(CPU)13が受け取ったとき、これに応じてCPU13がプログラムROM・動作メモリRAM14を用いて移動環境検出器3の検出結果に応じた環境認識演算処理を実行し、データ入出力手段11を通じて本体駆動部15に当該環境認識結果を通知することにより、左前脚4L若しくは右前脚4R又は左後脚5L若しくは右後脚5Rを移動動作させる。
(2)移動環境検出機能
移動環境検出器3は、図3に示すように、水平走査機構21を有し、この水平走査機構21が移動体本体2の前面から前方に突出する突出支持部22(図1)に支持されており、これにより水平走査機構21が垂直方向の中心軸zを中心として水平ターンテーブル23を矢印aで示すように水平面内において回動動作させる。
水平ターンテーブル23の下面には、取付部材24を介して垂直走査機構25が取り付けられており、これにより垂直走査機構25が垂直ターンテーブル26を、矢印bで示すように、一方の水平軸yを中心として垂直面内において回動動作させる。
垂直ターンテーブル26には距離測定器27が取り付けられ、これにより距離測定器27の距離測定方向が他方の水平軸xを基準にして垂直面内(従って仰角が変更する方向)において変更制御される。
この実施の形態の場合、距離測定器27は、赤外線パルスビームを所定の測定方向に放出すると共に、当該赤外線パルスビームが測定対象において反射して得られる戻り光を受光し、当該赤外線パルスビームの発射時刻と戻り光の到達時刻との時間差に基づいて、距離測定器27から測定対象までの距離Lを測定する。
この実施の形態の場合、水平ターンテーブル23に取り付けられた取付部材24、垂直走査機構25、垂直ターンテーブル26及び距離測定器27は保護カバー28によって覆われている。
当該距離測定器27に対する水平走査機構21及び垂直走査機構25の走査は、データ入力手段11から入力されるユーザの動作命令によって、距離測定器27から放出される円錐走査検出光DET(図4)の放出方向(これを視準方向と呼ぶ)を、CPU13が制御することにより行われる。
かくして移動環境検出器3は、水平面内のxy座標を順次指定して行くことにより距離測定器27を水平面内のすべての角度方向に走査できると共に、当該水平面内のすべての角度位置について、垂直面内の角度位置を走査することができ、これにより移動体1が移動すべき環境に存在する認識対象と距離測定器27との間の距離を、図4に示す円錐走査式距離測定法によって、測定することができる。
図4において、距離測定器27が配設されている位置Oを原点として(これをセンサ原点と呼ぶ)、距離測定器27の視準方向をZ軸で表わすと共に、当該視準方向軸Zと直交する平面の座標を直交座標軸X及びYによって表わす。
図4の場合、視準方向軸Zのセンサ原点Oから基準距離dSTの位置に、視準方向軸Z(以下これを視準方向と呼ぶ)を中心として描いた半径rSTの円形平面を水平垂直走査面S1として定義し、センサ原点Oからの赤外線パルス検出ビームを水平垂直走査面S1の円形軌道に沿うように走査させることにより、センサ原点Oを頂点としかつ水平垂直走査面S1を円錐底面とする円錐走査立体を想定する。
このセンサ原点Oを頂点としかつ水平垂直走査面S1を円錐底面とする円錐体については、図5(A)に示すように、XZ平面についてセンサ原点Oから水平垂直走査面S1の中心位置CST(水平垂直走査面S1とZ軸との交点位置)から半径rSTだけX軸と平行に移動した点と、センサ原点Oとを結ぶ線は、センサ原点Oから発射された検出パルス光Lp(すなわち赤外線パルスビーム)が通る円錐面を表している。
従って、当該円錐面の円錐底面の半径rSTは、円錐半頂角βと、センサ原点Oから水平垂直走査面S1までの基準距離dSTとから、次式
によって表すことができる。
水平垂直走査面S1の各走査位置について、水平垂直走査面S1の直交座標軸XYについて、X軸と平行なx軸との交点を起点として、円錐走査回転角度α(=0〜360〔°〕)によって円錐底面の外周面に沿った走査点P1を順次走査すると考えると、この走査点P1を通る検出パルス光は水平垂直走査面S1より前方位置にある測定対象面S2の測定点P2に到達するから、測定対象面S2上に水平垂直走査面S1の走査点P1の走査に対応して移動する測定点P2が考えられる。
ここで走査対象面S2は、測定対象の外観形状が任意であれば、視準方向軸Zに対して直交する面をもつとは限らず、傾きをもっているものもあるが、直交するものと考えると、測定対象面S2は水平垂直走査面S1と相似の円を描くことになる。
かくして水平垂直走査面S1上の走査点P1のxy平面のx座標点P1xは、図5(B)に示すように、水平走査角θによって、次式
によって表すことができると共に、yz平面のy座標点P1yは、図5(B)に示すように、垂直走査角φによって
によって表すことができる。
水平垂直走査面S1上の走査点P1のx軸上の座標xは、図5(C)に示すように、円錐走査回転角度αが時間の経過と共にωtで変化すると考えれば、次式、
のように表すことができると共に、y軸上の座標yは次式、
のように表すことができる。
以上の動作原理に基づいて、CPU13(図2)は、円錐走査式距離測定部31を起動することにより、円錐走査式距離測定部31の円錐走査制御部32によって水平垂直走査面S1上の走査点座標x及びyを、(4)式及び(5)式に基づいて、円錐走査回転角度αを角速度ωで変更制御することにより、センサ原点Oにある距離測定器27から放出されるパルスビームを円錐底面の円軌道に沿って走査するために必要な水平走査角θ及び垂直走査角φを表す駆動角度データを生成する。
この水平走査角θ及び垂直走査角φの駆動角度データは水平垂直走査部33に与えられ、当該水平垂直走査部33が移動環境検出器3に対して、水平走査機構21及び垂直走査機構25の駆動出力を送出する。
これにより測定対象面S2上にパルスビームがα=0〔°〕からα=360〔°〕まで走査するように投射される。
ここで、測定対象面S2が、図6に示すように、視準方向Zの軸に対して直交する平面を有するとすれば、距離測定器27から放出された検出パルス光Lpは走査点P1を通って測定点P2に当たって反射される。
この結果、測定点P2は、測定対象面S2上に、水平垂直走査面S1と相似の円形の交円軌跡TR(以下これを交円と呼ぶ)を描き、これに対して測定対象面S2が視準方向Zの軸に対して直交せずに傾いているときは楕円形の交円TRを描く。
かくして、測定対象面S2の交円TRから反射された検出パルス光Lpが移動環境検出器3(図2)の距離測定器27に戻ってきたとき、その検出データがバス12を介して円錐走査式距離測定部31の距離検出部34に取り込まれてセンサ原点Oから測定点P2までの距離を検出できることになり、当該測定距離Lが、円錐走査回転角度α(=0〜360〔°〕)に対応するデータ(α、L)として、円錐走査距離データメモリ35Aに蓄積される。
一方、距離画像センサを用いる実施の形態の場合、測定対象面S2の交円TRから距離画像測定部36によって測定された測定距離Lの検出距離データは、図7の距離画像撮像面DTの交円TRに対応する画素位置のデータとして距離画像データメモリ36Bに蓄積される。
この距離画像撮像面DTを記憶する距離画像データメモリ36Bは、図8に示すように、水平垂直走査面S1と同じように、直交座標xy座標系に対応するラインアドレスi及びカラムアドレスjによって指定されるメモリエリアを有し、水平垂直走査面S1上の走査点P1上の走査点座標(x、y)における測定距離Lについての測定距離データが得られたとき、これを対応するラインアドレスi及びカラムアドレスjを有する検出データメモリ位置(i、j)に格納する。
図8の距離画像データメモリ36Bは、左上隅メモリアドレスをラインアドレスi=0、カラムアドレスj=0とするメモリエリアに対して水平垂直走査面S1上の走査線座標(x、y)をラインアドレス=i及びカラムアドレス=jに換算した検出データL(i、j)として格納する。
この結果距離画像データメモリ36Bには、水平垂直走査面S1における1回の走査(α=0〜360〔°〕)ごとに得られる1つの交円TR(図7)の測定点P2についての測定距離Lのデータが得られたとき、これに対応するように水平垂直走査面S1の中心位置CSTに対応するラインアドレスi及びカラムアドレスjを中心として、円錐底面の半径rSTに対応する円形のメモリアドレス位置に、円錐走査回転角度α(=0〜360〔°〕)に対応する測定距離データを格納してなる1枚の画像データを得ることができる。
(3)多様な測定対象の測定
測定対象が図1について上述した階段7であれば、円錐走査検出光DETが、平面である床面6や踏み面8を投射しているときに測定対象面S2が視準方向Zに対して傾いている場合や、床面6又は踏み面8から蹴込面に至る蹴込を投射している場合や、蹴込面から1段上の踏み面に至る段鼻を投射している場合や、踏み面から断崖に至る部分を投射している場合には、1回の撮影で得られたデータL(i、j)は距離画像データメモリ36Bに、個々の円錐走査検出光が投射している部分の立体的な外観形状を表す測定データは距離データメモリ35に蓄積される。
以下、円錐走査式距離測定部を用いて測定データ(α、L)を距離データメモリ35に蓄積する場合について述べる。
図1について上述したような脚動作型の移動体1が階段7を上ったり下りたりする場合、各脚が安全に踏み面8を踏むために、多様な測定対象を見分ける必要がある。
(3−1)平面形状の踏み面
図9は階段7を上る場合に、平面形状の踏み面8を検出する際の円錐走査検出光DETの動きを示したもので、移動環境検出器3が踏み面8に近づく際に、移動環境検出器3が位置3Aにあるとき円錐走査検出光DETは凸形状の段鼻8Aを照射した状態(これを「凸結合」と呼ぶ)になる。
このとき円錐走査検出光DETは、段鼻8Aと、その前後に隣接する蹴込面19の上端部及び踏み面8の前端部とを照射する。
この状態から少し進んだ位置3Bに移動環境検出器3が来ると、円錐走査検出光DETが段鼻8Aから蹴込8Cまでの間の平面8Bを照射する状態(これを「平面」と呼ぶ)になる。
さらに進んだ位置3Cに移動環境検出器3が来ると、円錐走査検出光DETは凹形状の蹴込8Cを照射する状態(これを「凹結合」と呼ぶ)になる。
このとき円錐走査検出光DETは、蹴込8Cと、その前後に隣接する踏み面8の後端部及び蹴込面19の下端部とを照射する。
図9の場合、床面6から移動環境検出器3までの高さが500〔mm〕、踏み面8から移動環境検出器3までの高さが400〔mm〕、視準方向Zの俯角が45〔°〕に設定されているものとする。
(3−2)不連続面
図10は移動体1が階段7を床面6から1段低い踏み面8に下りる場合を示したもので、この場合位置3Dにある移動環境検出器3からの円錐走査検出光DETは床面6から下の段の踏み面8に移る不連続の平面を照射している状態(これを「不連続面」と呼ぶ)になる。
図10の場合、床面6から移動環境検出器3までの高さが400〔mm〕、踏み面8から移動環境検出器3までの高さが500〔mm〕、視準方向Zの俯角が45〔°〕に設定されているものとする。
(3−3)断崖
図11は移動体1が踏み面8から先の形状が不明の断崖10に来たとき、位置3Eにある移動環境検出器3からの円錐走査検出光DETは、一部に反射光が戻って来ない状態(これを「断崖」と呼ぶ)になる。
図11の場合、踏み面8から移動環境検出器3までの高さが400〔mm〕、踏み面8から移動環境検出器3までの高さが500〔mm〕、視準方向Zの俯角が45〔°〕に設定されているものとする。
(4)距離画像データの特徴
移動環境検出器3が図9〜図11の測定対象を測定した結果、距離データメモリ35に格納される距離データ(α、L)は、円錐走査検出光DETが円錐走査回転角度αが0〜360〔°〕まで一巡する間に、測定距離Lの大きさが、図12〜図16に示すような変化(これを特徴量と呼ぶ)を呈する。
(4−1)凸結合特徴量
円錐走査検出光DETが、図9について上述したように、測定対象として、段鼻8Aと凸結合した場合、距離データメモリ35に蓄積された測定距離Lの値は、図12に示すように、円錐走査回転角度αが0〜360〔°〕まで一巡する間に、連続的な変化をする2つの極大値MX1及びMX2を生ずると共に、折り返すように変化をする2つの極小値MN1及びMN2を生ずるような特徴量K1を表す特性曲線が得られる。
図12において、測定距離Lは、αが0〜180〔°〕の間は交円TRの前半部分が、1段高い水平面でなる踏み面8を一旦遠くなる前方に向った後近くなる後方に戻るように走査するので連続的に極大値MX1を通る変化をし、続いてαが180〜360〔°〕の間は交円TRの後半部分が、段鼻8Aを通って垂直面でなる蹴込面19を一旦遠くなる下方に向った後近くなる上方の段鼻8Aまで戻るように走査するので、段鼻8A位置で遠くなる方向に折り返すように変化する極小値MN1及びMN2の間において、連続的に極大値MX2を通る変化をする。
この特徴量K1の特性曲線は、円錐走査回転角度αが0〜360〔°〕まで変化したときの測定距離Lの特性曲線の一次微分、すなわちエッジ強度が、極小値MN1及びMN2において不連続(これはジャンプエッジであることを表している)であり、これにより当該極小値MN1及びMN2の前後の変化が折り返していることを判定することにより、測定対象が段鼻8Aであること及びその極小値MN1及びMN2が移動環境検出器3のセンサ原点Oから段鼻8Aまでの測定距離Lであることを検出できる。
この図12の特徴量K1は、図4について上述したように、測定対象面S2が視準方向Zに対して直交する(従って傾きがない)平面である場合の測定値に基づくものであるので、極小値MN1及びMN2はα=0及び180〔°〕において生ずると共に極大値MX1及びMX2はα=90及び270〔°〕において生ずる。
(4−2)平面特徴量
円錐走査検出光DETが図9の平面8Bを照射しているとき、距離データメモリ35の距離画像データは、図13に示すように、円錐走査回転角度αが0〜360〔°〕まで一巡する間に、連続的な1つの極大値MX11及び連続的な1つの極小値MN11を生じ、しかも不連続な箇所がないような特徴量K11の特性曲線が得られる。
図13において、測定距離Lは、αが0〜180〔°〕の間は交円TRの前半部分が水平面でなる踏み面8の平面8Bを一旦遠くなる前方に向った後近くなる後方に戻るように走査するので連続的に極大値MX11を通る変化をし、続いてαが180〜360〔°〕の間は交円TRの後半部分が平面8Bを一旦近くなる後方に向った後遠くなる前方に戻るように走査するので連続的に極小値MN11を通る変化をする。
これに対して、測定距離Lは、蹴込面9のように垂直面でなる平面を走査する場合は、αが0〜180〔°〕の間は交円TRの前半部分が垂直面を一旦近くなる上方に向った後遠くなる下方に戻るように走査するので連続的に極小値MN11を通る変化をし、続いてαが180〜360〔°〕の間は交円TRの後半部分が垂直面を一旦遠くなる下方に向った後上方に戻るように走査するので連続的に極大値MX11を通る変化をする。
このように水平面及び垂直面のいずれの場合も、測定距離Lは、連続的極大値1点と、連続的極小値1点とをもち、しかも不連続な箇所がないような変化をする。
かくして、距離データメモリ35に蓄積された距離データについて、エッジについて1次微分をすることによりエッジ強度の計算をすることによってジャンプエッジがないとの判定が得られれば、当該測定対象は平面であること及び移動環境検出器3から測定した平面までの距離及びその姿勢を算出することができる。
この図13の特徴量K11は、図4について上述したように、測定対象面S2が視準方向Zに対して直交する(従って傾きがない)平面である場合の測定値に基づくものであるので、極大値MX11及び極小値MN11はα=90及び270〔°〕において生ずる。
(4−3)凹結合特徴量
円錐走査検出光DETが図9の蹴込8Cを照射する状態にあるとき、距離データメモリ35の距離データは、図14に示すように、円錐走査回転角度αが0〜360〔°〕まで一巡する間に、2つの極小値MN21及びMN22が連続的な変化として現れると共に、折り返すように変化する2つの極大値MX21及びMX22が生ずるような特徴量K21の特性曲線が得られる。
図14において、測定距離Lは、αが0〜180〔°〕の間は交円TRの前半部分が垂直面でなる蹴込面を一旦近くなる上方に向った後遠くなる下方に戻るので連続的に極小値MN21を通る変化をし、続いてαが180〜360〔°〕の間は交円TRの後半部分が蹴込8Cを通って水平面でなる踏み面8を一旦近くなる後方に向った後遠くなる前方に戻るように走査するので、蹴込8C位置で近くなる方向に折り返すように変化する極大値MX21及びMX22の間で、連続的に極小値MN22を通る変化をする。
この場合極大値MX21及びMX22のエッジ強度は不連続であることから、エッジの1次微分から、2つの折り返しがあることを判定すると共に、連続的な2つの極小値MN21及びMN22があることを判定することにより、当該測定対象は蹴込8Cであり、かつ移動環境検出器3から蹴込8Cまでの距離を算出することができる。
この図14の特徴量K21は、図4について上述したように、測定対象面S2が視準方向Zに対して直交する(従って傾きがない)平面である場合の測定値に基づくものであるので、極小値MN21及びMN22はα=90及び270〔°〕において生ずると共に、極大値MX21及びMX22はα=0及び180〔°〕において生ずる。
(4−4)不連続面特徴量
移動環境検出器3が図10の不連続面を検出する場合、距離データメモリ35には円錐走査回転角度αが0〜360〔°〕を一巡する間に、図15に示すように、連続的に変化する1つの極大値MX31及び1つの極小値MN31を生ずると共に、2つの不連続な箇所があるような特徴量K31の特性曲線を描く。
図15において、測定距離Lは、αが0〜180〔°〕の間は交円TRの前半部分が1段低い(従って遠い)水平面でなる踏み面8を一旦遠くなる前方に向った後近くなる後方に戻るように走査するので、連続的に極大値MX31を通る変化をし、続いてαが180〜360〔°〕の間は段鼻8Aを通って踏み面8より1段高い(従って踏み面8よりも近い)水平面でなる床面6を一旦近くなる後方に向った後遠くなる前方に段鼻8Aに戻るように走査するので、不連続点NC31及びNC32を両端にもって連続的に極小値MN31を通る変化をする。
この場合、踏み面8の走査から床面6の走査に移る際、及び床面6の走査から踏み面8の走査に戻る際、測定距離Lはその段差に対応する値だけ急激に変化するから、連続的に極大値MX31を通る変化の両端の不連続点NC31及びNC32と同じαの位置に、連続的に極小値を通る変化の両端の不連続点NC31X及びNC32Xをもつことになる。
かくして、エッジの1次微分によるエッジ強度の計算をすることにより1つの極大値及び1つの極小値をもち、かつジャンプエッジがあることを判定すれば、現在測定している測定対象は不連続面であると判断できる。
この図15の特徴量K31は、図4について上述したように、測定対象面S2が視準方向Zに対して直交する(従って傾きがない)平面である場合の測定値に基づくものであるので、極大値MX31及び極小値MN31はα=90及び270〔°〕において生ずると共に、2つの不連続はα=0及び180〔°〕において生ずる。
(4−5)断崖特徴量
移動環境検出器3が図11について上述した断崖を測定したとき、距離データメモリ35には、図16に示すように、円錐走査回転角度αが0〜360〔°〕だけ一巡する間に、2つの極大値MX41及びMX42を生ずると共に、1つの極小値MN41を発生するような特徴量K41の特性曲線が得られる。
図16において、測定距離Lは、αが0〜180〔°〕の間は交円TRの前半部分が戻り光が得られない断崖10を照射するので検出値をもっていないのに対して、αが180〜360〔°〕の間は交円TRの後半部分が水平面でなる踏み面8をその縁を通って一旦近くなる後方に向った後遠くなる前方に縁まで戻るように走査するので、両端に不連続な極大値MX41及びMX42をもって、連続的に極小値MN41を通る変化をする。
このとき、円錐走査回転角度αが回転方向に一巡したときに不連続な箇所があり、かつエッジの1次微分によりエッジ強度の計算をすることによりジャンプがあると判定し、かつ不連続な箇所が2箇所存在することを判定したとき、移動環境検出器3によって測定している測定対象は断崖であると判定することができる。
この場合円錐走査回転角度αについて、α=0〜360〔°〕だけ一巡する間にデータが欠落している点について、当該データの欠落した領域があることを断崖の判定条件の1つに加えることもできる。
この図16の特徴量K41は、図4について上述したように、測定対象面S2が視準方向Zに対して直交する(従って傾きがない)平面である場合の測定値に基づくものであるので、極小値MN41はα=270〔°〕において生ずると共に、不連続な箇所はα=180及び360〔°〕において生ずる。
(4−6)特徴量による測定対象の特定
図2の外界認識装置9のCPU13は、交円特徴量算出部41によって、距離画像データメモリ35の測定距離データを用いた上述の特徴量の抽出処理をすることにより、図17に示すように、円錐走査回転角度αの一巡ごとに得られる交円TRの特徴量を算出させて交円番号を付して交円特徴量メモリ42に蓄積させる。
交円特徴量算出部41は、測定距離データが、極大値2つ、極小値2つ、ジャンプエッジなし、大きさの変化が微小であって、かつ測定データの折り返しが2つの極小点の位置に生じたとき、交円TRの特徴量が凸結合であることを表す特徴量データを、交円番号を付して交円特徴量メモリ42に蓄積する。
また交円特徴量算出部41は、測定距離データが極大値1つ、極小値1つ、ジャンプエッジなし、大きさの変化が微小であって、かつ測定データの折り返しがないとき、交円TRの特徴量が平面結合であることを表す特徴量データを、交円番号を付して交円特徴量メモリ42に蓄積する。
さらに交円特徴量算出部41は、極大値2つ、極小値2つ、ジャンプエッジなし、大きさの変化が微小であってかつ測定データの折り返しが2つの極大点において生じたとき、交円TRの特徴量が凹結合であることを表す特徴量データを、交円番号を付して交円特徴量メモリ42に蓄積する。
さらに交円特徴量算出部41は、極大値1つ、極小値1つ、ジャンプエッジ2つ、測定データの変化が次の面までの大きさであり、かつ測定データの折り返しがないとき、交円TRの特徴量が不連続面であることを表す特徴量データを、交円番号を付して交円特徴量メモリ42に蓄積する。
さらに、交円特徴量算出部41は、極大値2つ、極小値1つ、ジャンプエッジ2つ、測定データの大きさの変化が原点までの距離であり、かつ測定データの折り返しはないとき、交円TRの特徴量が断崖結合であることを表す特徴量データを、交円番号を付して交円特徴量メモリ42に蓄積する。
かくして交円特徴量算出部41は、測定対象の特徴量に基づいて移動体1が踏むべき足場の状態を表す特徴量データを、1つの交円TRごとに、特徴量メモリ42に蓄積して行く。
(5)測定対象の測定処理
(5−1)特徴量の抽出
CPU13は、データ入力手段11によってユーザが動作命令を入力したとき、図18に示す特徴量抽出処理手順RT1の処理に入り、ステップSP1において測定対象に対する測定方向として視準方向Zの設定を行う。
このときCPU13は、垂直走査特徴量抽出部45、又は水平走査特徴抽出部46、又は時系列走査外界確認部47から視準方向Zを円錐走査式距離測定部31に入力させることにより、水平垂直走査部33によって移動環境検出器3の距離測定器27を設定された視準方向Zに合わせる。
この実施の形態の場合、外界認識装置9は、移動体1が停止している状態において、垂直走査特徴量抽出部45及び水平走査特徴抽出部46によって現在位置を中心とした外界の認識を行うために複数の垂直方向及び水平方向の視準方向Zを順次設定するようになされていると共に、移動体1を時間の経過に従って移動させるために時系列走査外界確認部47から垂直走査特徴量抽出部45又は水平走査特徴抽出部46に対して移動体1の移動に対応して測定すべき方向について順次視準方向Zを設定させるようになされている。
続いてCPU13はステップSP2において、水平垂直走査部33によって水平走査機構21及び垂直走査機構25(図3)を円錐走査制御部32の制御信号に応じて、図5について上述した円錐走査の駆動原理に基づいて、移動環境検出部3の距離測定器27から円錐走査型の円錐走査検出光DETを放出させる。
この円錐走査検出光DETは水平垂直走査面S1(図4)に沿って検出光パルスの放射方向を円周方向に角速度ωで走査する(図5(C))ことにより、立体走査型の検出光として測定対象に照射される。
測定対象から反射して来た検出パルス光は距離測定器27において受光されて、距離検出部34が測定対象までの距離を測定し、当該測定距離データを距離データメモリ35の操作アドレス画素位置(i、j)(図8)に格納する。
これにより距離データメモリ35には、円錐走査検出光DETが上述のステップSP1において設定された視準方向にある測定対象面S2(図4)とセンサ原点Oまでの測定距離Lを表す検出データが、一巡分の走査軌跡について距離データメモリ35に蓄積される。
この蓄積された距離データに基づいてCPU13は、次のサブルーチンRT2において、交円特徴量算出部41に対して、図19に示す交円特徴量抽出処理手順を実行させる。
交円特徴量算出部41は、当該交円特徴量抽出処理手順RT2に入ると、まずステップSP11において、対象データ(α−L)を距離データメモリ35から読み出すことにより処理対象として設定する。
ここで、各円錐走査回転角度αに対して距離データLが処理対象データとして決まることから、当該処理対象データを(α−L)によって表す。
続いて交円特徴量算出部41は、次のステップSP12において、処理対象データ(α−L)を円錐走査回転角度αが増大する方向の測定距離Lのエッジ強度ΔLを計算することにより「1次微分エッジオペレータ」を得る。
この「1次微分エッジオペレータ」は円錐走査回転角度αが微小変化したとき、蓄積された距離検出データLの変化分ΔL(従って変化率)を表している。
続いて交円特徴量算出部41は、ステップSP13において、Lジャンプエッジ(すなわち測定距離Lの不連続点)の数と大きさを決定する。
このLジャンプエッジ(不連続点)は、図15のような不連続面の特徴量K31の距離画像データがもっているときに、当該不連続点の数と大きさを確認することにより、特徴量K31を表すような測定対象を検出するために用いられる。
続いて交円特徴量算出部41は、ステップSP14において、エッジ強度ΔLの符号変化点を抽出する。
この処理は、図12ないし図16の特徴量K1〜K14において、円錐走査回転角度αを増大させて行ったとき、エッジ強度ΔL、従って1次微分エッジオペレータの符号が、「+」であった状態から「−」に変化すれば、当該円錐走査回転角度αの当該変化した位置において距離検出データLが極大値となっていることが分かる。
これとは逆に、1次微分エッジオペレータの符号が「−」から「+」になったときには、当該変化点における距離検出データLは極小値であることを意味する。
続いて交円特徴量算出部41は、ステップSP15において、当該測定対象の交円について極大及び極小になった数を決定する。
続いて交円特徴量算出部41は、次のステップSP16において、極大の数及び極小の数(これを極値の組み合せと呼ぶ)の組合せ方を確認することにより、特徴量の分類を判定する。
このステップSP16における特徴量の分類プログラムの手順は、図20に示すように、判定すべき特徴量の順序を、「凸結合」、「凹結合」、「断崖」、「平面」及び「不連続面」の順序とする。
この順序に従って、交円特徴量算出部41は、ステップSP16の極値の組み合せ判定の結果極値が「極大2、極小2」であったとき、ステップSP17に移って0〜360〔°〕の円錐走査回転角度αにそれぞれ対応する処理対象データ(α−ΔL)の1次微分エッジオペレータの変化率(すなわち(ΔΔL))を計算することにより「2次微分エッジオペレータ」を求める。
交円特徴量算出部41は、この「2次微分エッジオペレータ」ΔΔLを求めることにより、次のステップSP18において、処理対象データ(α−ΔL)の1次微分エッジオペレータによって特徴量の極大及び極小の連続性並びに折り返し性の確認決定を行う。
その決定結果に基づいて、交円特徴量算出部41は、次のステップSP19において連続並びに折り返しの組合せ方を判定し、極大連続かつ極小折り返しの判定結果が得られたときサブルーチンRT11に移って、「凸結合の特徴量の計算」を、図21に示す「凸結合特徴量の算出処理手順」RT11を実行することにより行う。
これに対して、交円特徴量算出部41は、ステップSP19において、極大折り返しかつ極小連続の判定結果が得られたとき、サブルーチンRT12に移って、「凹結合の特徴量の計算」を、図24に示す「凹結合特徴量の算出処理手順」RT12を実行することにより行う。
また、交円特徴量算出部41は、上述のステップSP16における極値の組み合せ判定結果が「極大2、極小1」であったとき、サブルーチンRT13に移って、「断崖の特徴量の計算」を、図27に示す「断崖特徴量の算出処理手順」RT13を実行することにより行う。
さらに交円特徴量算出部41は、上述のステップSP16における極値の組み合せ判定結果が「極大1、極小1」であったとき、ステップSP20において、「Lジャンプエッジ」の有無の判定をし、Lジャンプエッジがないとの判定結果が得られたとき、サブルーチンRT14に移って、「平面の特徴量の計算」を、図30に示す「平面特徴量の算出処理手順」RT14を実行することにより行う。
これに対して、交円特徴量算出部41は、上述のステップSP20において、Lジャンプエッジがあるとの判定結果が得られたときには、サブルーチンRT15に移って、「不連続面の特徴量の計算」を、図34の「不連続面特徴量の算出処理手順」RT15を実行することにより行う。
このようにして交円特徴量算出部41は、距離データメモリ35に蓄積された距離データに基づく処理対象データ(α−L)が凸結合、凹結合、断崖、平面、不連続面のどの特徴をもつものであるかを抽出してその特徴量を算出した後、ステップSP21に移って処理対象データ(α−L)の全ての処理が終ったか否かを確認し、否定結果が得られたとき上述のステップSP11に戻って残る処理対象データ(α−L)の処理を繰り返す。
これに対して、ステップSP21において肯定結果が得られたとき、交円特徴量算出部41は、ステップSP22に移って当該交円特徴量抽出処理手順RT2を終了する。
かくして交円特徴量算出部41は、ステップSP1(図18)において、現在設定されている視準方向の測定対象について、その特徴量を算出して交円特徴量メモリ42に保存した後、ステップSP4に移って、予定されている全視準方向についての特徴量抽出処理が終了したか否かを判断し、否定結果が得られたとき上述のステップSP1に戻って残る視準方向についての特徴量抽出処理を繰り返す。
これに対してステップSP4において肯定結果が得られたとき、交円特徴量算出部41は、ステップSP5に移って当該特徴量抽出処理手順RT1を終了する。
(5−2)各測定対象の特徴量の算出
図19について上述した各特徴量の計算は、交円特徴量算出部41が、図21、図24、図27、図30及び図34の算出処理手順を実行することにより行う。
(5−2−1)凸結合特徴量の算出処理手順
交円特徴量抽出部41は、凸結合特徴量の算出処理手順RT11(図21)に入ると、ステップSP31において、図19の交円特徴量抽出処理手順RT2のステップSP16〜SP19の処理において、距離データメモリ35から取得した処理対象データ(α−L)と、連続極大2点及び折返極小2点の処理対象データ(図12)とを設定する。
この場合の処理対象データ(α−L)は、具体的な実施の形態として、図22の測定条件の下に検出したものを用いる。
この測定条件は、図22(B)に示すように、床面6上に立っている移動体1の移動環境検出器3が、矢印aで示す環境検出方向について、床面6に続く蹴込面19の上端部、段鼻8A及び踏み面8の後端部に対して円錐走査検出光DETを照射し、その結果、図22(A)に示すように、円錐走査検出光DETの交円TRに段鼻8Aを挟んで踏み面8の照射部分(図22(A))と蹴込面19の照射部分(図22(C))の距離データを含んでいる。
図22の場合、踏み面8及び蹴込面19に対して視準方向Zが後上方のセンサ原点Oから斜交しているので、交円TRは環境検出方向aの方向に長径を有する楕円を描く。
かくして、検出距離Lは、図23に示すように、円錐走査回転角度αが、α=0〜180〔°〕の範囲で踏み面8上の交円TRに沿って連続極大値MX1を通る変化をした後、α=180〜360〔°〕の範囲では、引き続き踏み面8上を走査した後折返極小値MN1において段鼻8Aを通って蹴込面9(図22(C))を走査することにより、連続極大MX2を通った後段鼻8Aの折返極小MN2を通って踏み面8に戻るような楕円軌跡に沿って距離の検出操作をする。
この結果、円錐走査検出光DETは、蹴込面19及び踏み面8に亘って立体を形成する測定対象面を、円錐底面を構成する交円TRの走査軌跡を利用して当該測定対象の立体形状として、検出距離Lの値及びその変化によって表わした、処理対象データ(α−L)を得ることができる。
交円特徴量抽出部41は、当該設定された処理対象データ(α−L)に基づいて、次のステップSP32において、段鼻8Aによって作られている踏み面8と蹴込面19との間の境界線(これを段鼻ラインと呼ぶ)W1を折返極小2点MN1及びMN2によって決定する。
この段鼻ラインW1は、移動体1の脚車輪J3が越えなければならない段鼻8Aのセンサ原点Oからの距離並びに姿勢及び高さを表わしており、かくして外界認識装置9が当該三次元的立体環境を検出できたことを意味する。
続いて交円特徴量検出部41は、次のステップSP33において、水平平面(すなわち踏み面8)の存在を、折返極小2点MN1及びMN2と連続極大1点MX1とによって決定する。
さらに続くステップSP34において、交円特徴量検出部41は、垂直平面(すなわち蹴込面19)を折返極小2点MN1及びMN2と、その間にある連続極大1点MX2とによって決定する。
この水平面及び垂直面は、段鼻ラインW1に続く奥及び手前の交円位置に立体的な測定対象部分があること及びその大きさを外界認識装置9が検出できたことを意味する。
かくして交円特徴量検出部41は、ステップSP35において当該凸結合特徴量の算出処理手順RT11の処理を終了して、上述の交円特徴量抽出処理手順RT2(図19)にリターンする。
このようにして、外界認識装置9は、設定した視準方向Zに存在する上り階段のうち、移動体1が立っている床面6から垂直平面である蹴込面19の存在と、蹴込面19の上端にある段鼻8Aと、当該段鼻8Aに続く水平面である踏み面8とを凸結合の特徴として検出することができる。
(5−2−2)凹結合特徴量の算出処理手順
交円特徴量算出部41は、図19のステップSP16〜SP19の処理に基づくサブルーチンRT12における凹結合特徴量の計算を、図24の凹結合特徴量の算出処理手順RT12を実行することにより行う。
交円特徴量算出部41は、凹結合特徴量の算出処理手順RT12に入ると、ステップSP41において、図19の交円特徴量抽出処理手順RT2のステップSP16〜SP19において、距離データメモリ35から取得した処理対象データ(α−L)のうち、折返極大2点及び連続極小2点の処理データ(図14)を設定する。この場合の処理対象データ(α−L)は、具体的な実施形態として、図25の測定条件の下に検出したものを使う。
この測定条件は、図25(B)に示すように、床面6上に立っている移動体1が、矢印aで示す環境検出方向について、床面6に続く階段の蹴込8C及び蹴込面19に対して円錐走査検出光DETを照射し、その結果図25(A)に示すように、円錐走査検出光DETの交円TRは蹴込8Cを挟んで床面6と蹴込面19(図25(C))を含んでいる。
図25の場合も、床面6及び蹴込面19に対して視準方向Zが後上方のセンサ原点Oから斜交しているので、交円TRは環境検出方向aの方向に長径を有する楕円を描く。
かくして、検出距離Lは、図26に示すように、円錐走査回転角度αがα=0から回転を開始して、蹴込8Cに至るまでの間は大きくなって行き、蹴込8Cの位置で折返極大値MX21になった後、垂直面でなる蹴込面19を回転している間に連続極小値MN21を通って蹴込8Cから床面6に戻るとき折返極大値MX22に至り、その後床面6を回転している間に連続極小値MN22を通ってα=360〔°〕に戻るような変化をする。
この結果、円錐走査検出光DETは、床面6ないし蹴込面19に亘って立体を形成する測定対象面について、円錐底面を構成する交円TRの軌跡を利用して当該測定対象の立体形状を表す処理対象データ(α−L)を得る。
交円特徴量算出部41は、当該設定された処理対象データ(α−L)に基づいて、次のステップSP42において、蹴込8Cによって作られている床面6と蹴込面19との間の境界線(これを蹴込ラインと呼ぶ)W2を、折返極大値MX21及びMX22によって決定する。
続いて交円特徴量算出部41は、次のステップSP43において、折返極大2点MX21及びMX22と、その間にある連続極小1点MN22によって水平平面(この場合床面6)を決定する。
続いて交円特徴量算出部41は、ステップSP44において、折返極大2点MX21及びMX22と、その間にある連続極小1点MN21とによって垂直平面である蹴込面19を決定する。
ここで、蹴込ラインW2は、移動体1の脚車輪J3が前方に進んで行ける蹴込8Cまでの距離、及び蹴込面19の姿勢を表しており、また決定した水平面及び垂直面は蹴込8Cまで床面が続いていると共に、蹴込8Cが蹴込面19に続いていることを検出できたことを意味する。
かくして交円特徴量検出部41は、ステップSP45において当該凹結合特徴量の算出処理手順RT12の処理を終了して、交円特徴量抽出処理手順RT2(図19)にリターンする。
このようにして、外界認識装置9は設定した視準方向Zに存在する階段のうち、移動体1が立っている床面6から垂直平面である蹴込面19の存在と、床面6と蹴込面19との間にある蹴込8Cとを、交円TR位置にある立体的な測定対象部分として検出することができる。
(5−2−3)断崖特徴量の算出処理手順
交円特徴量算出部41は、図19の交円特徴量抽出処理手順RT2のステップSP16に続いて断崖特徴量の計算サブルーチンRT13に入ると、先ず図27に示す断崖特徴量の算出処理手順RT13のステップSP51において、距離データメモリ35から不連続極大2点及び連続極小1点を有する処理対象データ(α−L)(図16)を設定する。
この場合の処理対象データ(α−L)は、具体的な実施形態として、図28の測定条件の下に検出したものを使う。
この測定条件は、図28(B)に示すように、床面6(又は踊り場面)上に立っている移動体1が矢印aで示す環境検出方向について、床面6に続く検出面がない断崖10に対して円錐走査検出光DETを照射し、その結果、図28(A)に示すように、交円TRに床面6の縁部分を含むのに対して、断崖10から前方には交円を形成するような測定対象面が存在しない状態になっている。
図28の場合、床面6の縁部分には、環境検出方向aの方向に長径を有する楕円の後端部が、交円TRとして照射される。
かくして測定距離Lは、図29に示すように、円錐走査回転角度αがα=180〜360〔°〕の範囲のうち、床面6の断崖10に隣接する縁部分を交円TRとして走査することにより、床面6と断崖10との境界線(これを断崖ラインと呼ぶ)W3位置に対応する不連続極大値MX41及びMX42とその間に連続極小値MN41とを生ずるような処理対象データ(α−L)が得られる。
この設定された処理対象データ(α−L)に基づいて、交円特徴量算出部41は、次のステップSP52において、不連続極大2点によって断崖ラインW3を決定する。
この断崖ラインW3は、移動体1の脚車輪J3が踏み入れてはならない断崖10の縁までのセンサ原点Oからの距離並びに姿勢を表しており、かくして外界認識装置9が当該断崖10のある環境を検出できたことを意味する。
続いて交円特徴量算出部41は、次のステップSP53において、不連続極大2点MX41及びMX42と、その間に連続極小1点MN41が存在することに基づいて水平面である床面6(又は踊り場面)の決定をする。
この水平面は、移動体1が断崖10に行くまでに立つことができる踏み面の限界が断崖ラインW3の手前にあることを外界認識装置9が検出できたことを意味する。
かくして交円特徴量検出部41は、ステップSP54において当該断崖特徴量の算出処理手順RT13の処理を終了して、交円特徴量抽出処理手順RT2(図19)にリターンする。
このようにして、外界認識装置9は、設定した視準方向Zに存在する水平面部と断崖ラインW3との存在に基づいて、測定対象が断崖の特徴量K41をもつ立体環境であることを検出することができる。
(5−2−4)平面特徴量の算出
交円特徴量算出部41は、図19の交円特徴量抽出処理手順RT2のステップSP16及びSP20に続いて平面特徴量の算出処理サブルーチンRT14に入ると、図30に示す平面特徴量の算出処理手順RT14のステップSP61において、距離データメモリ35から不連続極大1点及び連続極小1点を有する処理対象データ(α−L)(図13)を設定する。
この場合の処理対象データ(α−L)は、具体的な実施形態として、図31に示す測定条件の下に検出したものを用いる。
この測定条件は、図31(A)に示すように、センサ原点Oから前下方に向って、矢印cで示すように左奥から右手前の方向に傾斜している床面6に対して、円錐走査検出光DETを照射することにより、床面6に形成された楕円形状の交円TRから、図32に示す平面の特徴量K11を有する処理対象データ(α−L)を得ている。
この平面の特徴量は、円錐走査回転角度αをα=45〔°〕まで回転したとき交円TRが傾斜面を登って行くことにより、測定距離Lが小さくなって行き、やがて連続極小点MN11を通過してさらに回転して行くと、交円TRは傾斜を下りながら長径方向に遠ざかって行くことにより、測定距離Lが上昇に転じて行く。
その後α=90〜225〔°〕までの間は、交円TRが傾斜面を下って行くことにより測定距離Lは大きくなって行き、その傾斜面の最も低い点において連続極大値MX11になる。
この連続極大値MX11を通り過ぎると、交円TRは傾斜面を登って行くことにより測定距離Lは小さくなって行く。
このような特徴量K11をもつ処理対象データ(α−L)に基づいて、交円特徴量算出部41は、次のステップSP62において測定距離Lの最大値Lmax、最大値となる回転角度位置α(Lmax)、測定距離Lの最小値Lmin及び最小値となる回転角度位置α(Lmin)を同定する。
続いて交円特徴量検出部41は、次のステップSP63において床面6でなる測定対象平面の傾斜方向α(Lmax)、傾斜角γ、センサ原点Oから平面までの距離dzを、図33に示す極大点MX11の極小点MN11からの位置関係に基づいて算出する。
図33において、zはセンサ原点Oから視準方向Zへとった距離を表し、主軸mはzに対して直交する方向の距離を表す。
また図33において、βは円錐走査回転角度αによって形成される円錐走査検出光DETの半頂角で、センサ原点Oから極小点MN11までの距離dminは、次式、
によって求められると共に、センサ原点Oから極大点MX11までの距離dmaxは、次式、
によって求めることができ、その差分hは、次式、
になる。
ここで、極大点MX11と極小点MN11とを結ぶ線は、平面6上の成分を表しており、差分hは当該平面の傾斜の高さを表している。
一方極小点MN11及び極大点MX11からそれぞれz軸に下ろした脚の長さrmin及びrmaxは、
のように、半頂角βによって表すことができるから、両者の和kは、
になる。
この結果、(8)式の差分hとの間には、
の関係がある。
(12)式のγは、極大点MX11と極小点MN11とを結ぶ傾斜面(すなわち測定対象である平面6)の、円錐走査検出光DETの円錐底面からの傾斜角を表しており、当該傾斜角γを(12)式から求めることができる。
かくして求めた傾斜角γによって、センサ原点Oから測定対象平面までの距離dzは、次式、
によって求めることができる。
このようにして交円特徴量算出部41は、ステップSP63において平面の傾斜方向α(Lmax)、傾斜角γ、センサ原点Oから平面までの距離dzを算出した後、ステップSP64に移って、平面の傾斜角γに基づいて平面が水平平面であるか(γが正)、又は垂直平面であるか(γが負)を決定する。
かくして交円特徴量算出部41は、ステップSP65において当該平面特徴量の算出処理手順RT14を終了して、交円特徴量抽出処理手順RT2(図19)にリターンする。
このようにして、外界認識装置9は、測定対象が、設定した視準方向Zに存在する平面の傾斜方向、傾斜角、センサ原点Oから平面までの距離及び当該平面が水平方向であるか又は垂直平面であるかを、平面の特徴量K11をもつ立体的環境であることとして検出できる。
(5−2−5)不連続面特徴量の算出
交円特徴量算出部41は、図19の交円特徴量抽出処理手順RT2のステップSP16及びSP20に続いて不連続面特徴量の算出処理手順RT15に入ると、図34に示す不連続面特徴量の算出処理手順RT15のステップSP71において、距離データメモリ35から連続極大1点、連続極小1点及び不連続2点の処理対象データ(α−L)(図15)を設定する。
この場合の処理対象データ(α−L)は、具体的な実施形態として、図35の測定条件の下に検出したものを用いる。
この測定条件は、図35(B)に示すように、床面6(又は踊り場面)上に立っている移動体1が矢印aで示す環境検出方向について、床面6に続く階段を1段下った踏み面8(又は踊り場面)に対して円錐走査検出光DETを照射し、その結果図35(A)に示すように、円錐走査検出光DETの交円TRに段鼻8Aを挟んで床面6と踏み面8とを含んでいる。
図35の場合、円錐走査検出光DETは、センサ原点Oから前下方に向って照射しているので、環境検出方向aの後端位置及び先端位置の床面6及び踏み面8からの検出戻り光が得られることにより、TRの後方部分と前方部分とに分離したような交円部分が生ずるのに対して、当該交円部分の間に踏み面8の先端にある段鼻8Aの影8Xが下の段の踏み面8に生ずることにより、当該影の範囲TRXにおいては検出戻り光が得られなくなる。
この結果、不連続面の特徴量K31は、図36に示すように、円錐走査回転角度αがα=0〜180〔°〕の回転範囲においては、踏み面8の交円TRからの検出光に基づいて連続極大点MX31をもつような変化が得られるのに対して、交円TRがα=180〔°〕を過ぎて影の範囲TRXに入ると、当該影の範囲TRXに入った回転角度αの位置において踏み面8側の不連続点NC31及び床面6側の不連続点MX41が現れる。
このとき、踏み面8側の不連続点NC31は段鼻8Aより遠い1段下った踏み面8からの戻り光に基づく測定距離を表わすことになるので測定距離Lの値は大きいのに対して、床面6側の不連続点MX41は段鼻8Aより近い床面6からの戻り光に基づく測定距離を表わすことになるので測定距離Lの値は小さくなり、その結果不連続点NC31及びMX41間には測定距離Lに大きなジャンプが生じる。
その後円錐走査回転角度αの回転が続くと、床面6上の交円TRによってα=270〔°〕において不連続極小点MN31を通って段鼻ラインの境界線L4に至る。
ここで交円は再び影の範囲TRXに入ることにより、特徴量K31に床面6の不連続点MX42及び踏み面8の不連続点NC32が生じ、その後α=360〔°〕の点で踏み面8の交円TRが繋がる。
このとき、不連続点MX42から不連続点NC32に戻る際にも、不連続点MX42及びNC32間に大きなジャンプが生ずる。
この結果、円錐走査検出光DETは、床面6及び踏み面8上に形成する交円TRと、踏み面8と段鼻8Aとの間の影の範囲TRXに亘って立体を形成する測定対象面を、円錐底面を形成する交円TRの走査軌跡を利用して当該測定対象の立体形状を表す処理対象データ(α−L)を得る。
交円特徴量算出部41は、当該設定された処理対象データ(α−L)に基づいて、次のステップSP72において、床面6側の不連続点NC31及びNC32によって段鼻ラインW4に基づく境界線を決定する。
続いて、交円特徴量算出部41は、次のステップSP73において、床面6について、連続極小点MN31を含む特徴量曲線とその両端の不連続点MX41及びMX42とによって床面6(又は踊り場面)を構成する水平平面を決定する。
続いて、交円特徴量算出部41は次のステップSP74において、踏み面8について不連続極大点MX31を含む特徴量曲線とその両端にある不連続点NC31及びNC32とによって踏み面8(又は踊り場面)を構成する水平平面を決定する。
かくして交円特徴量算出部41はステップSP75において当該不連続面特徴量の算出処理手順RT15を終了して図19の交円特徴量抽出処理手順RT2にリターンする。
このようにして、外界認識装置9は設定した視準方向Zに存在する階段のうち、移動体1が立っている床面6から段鼻8Aにおいて踏み面8に1段降りる立体的な測定環境を不連続面の特徴として検出することができる。
(6)外界の認識
上述したように、移動体1の外界認識装置9は、立体的な測定対象の各部分の特徴を、円錐走査検出光DETを用いた測定距離Lの変化に表われる特徴量(すなわち凸結合特徴量、凹結合特徴量、断崖特徴量、平面特徴量、及び不連続面特徴量)の算出機能を利用して、例えば図37に示す上り階段KD1のような立体的な測定対象を垂直走査及び水平走査することによって、移動体1が上り下りするために必要な階段特徴量の算出をする。
この実施の形態の場合、垂直走査は、移動環境検出器3が円錐走査検出光DETを上り階段KD1に対して直交する方向に走査させることによって上り階段KD1の立体構造を検出することを意味し、また水平走査は、垂直走査によって検出した測定対象の平面について、円錐走査検出光DETを水平方向に走査することによって上り階段KD1の幅方向の構造を検出することを意味する。
(6−1)垂直走査による上り階段特徴量の算出
移動体1の外界認識装置9は、図37に示すように、床面D0から、第1段目の踏み面1(H1)、第2段目の踏み面2(H2)……を有する上り階段KD1を上る場合、図38に示すように、上り階段KD1に対して直交する垂直走査線SN1に沿って円錐走査検出光DETを垂直走査することによって交円TRを垂直走査線SN1に沿って床面D0、踏み面H1、H2……上に照射し、これにより床面D0、踏み面H1、H2……の存在を確認すると共に、確認した、床面D0、踏み面H1、H2……について横方向に交円TRを水平走査することによって、移動体1が安全に上って行くことができる左右幅の範囲の確認をすることができる。
この実施の形態の場合、外界認識装置9のCPU13は、ユーザによってデータ入力手段11から垂直走査命令が入力されたとき、垂直走査特徴量抽出部45を駆動することにより、図39に示すように、垂直走査線SN1上の各測定対象部分に円錐走査式距離測定部31によって生成された円錐走査検出光DETを照射させ、これにより距離データメモリ35に測定距離Lのデータを取り込ませると共に、当該測定距離データに基づいて交円特徴量算出部41によって算出された特徴量のデータを交円特徴量メモリ42に蓄積させる。
このとき垂直走査特徴量抽出部45は、円錐走査検出光DETが、図39(A)に示すように、段鼻G1(G2、G3……)を照射したとき、交円TRから立体的な構成部分である蹴込面−段鼻−踏み面を含んだ立体構造部の検出処理を行う。
また、垂直走査特徴量抽出部45は、図39(B)に示すように、円錐走査検出光DETが踏み面H1(H2、H3……)及び蹴込面F1(F2、F3……)を照射したとき、当該平面を走査する交円TRから当該平面の特徴と種類及び面の位置と姿勢の検出処理を行う。
また、垂直走査特徴量抽出部45は、図39(C)に示すように、円錐走査検出光DETが蹴込E2(E3、E4……)を走査したとき、その交円TRから踏み面−蹴込−蹴込面でなる立体構成部分の検出処理を行う。
このような処理は、垂直走査特徴量抽出部45が図40に示す「垂直走査による上り階段特徴量の算出処理手順」RT21を実行することにより行う。
当該算出処理手順RT21に入ると、垂直走査特徴量抽出部45は、先ずステップSP101において垂直走査による交円特徴リストの設定する。
交円特徴リストは、交円特徴量抽出部41が図37の上り階段KD1について、走査線SN1の走査をすることにより、交円特徴量メモリ42に蓄積したものを用いる。
続いて、垂直走査特徴量抽出部45は、ステップSP102において、床面D0の平面特徴量ないし蹴込1(E1)の凹結合特徴量によって床面D0を決定して、垂直走査測定対象特徴メモリ50に蓄積する。
続いて、垂直走査特徴量抽出部45は、ステップSP103において、蹴込1(E1)について、その凹結合特徴量に基づいて蹴込ラインを決定して、垂直走査測定対象特徴メモリ50に蓄積する。
続いて、垂直走査特徴量抽出部45は、ステップSP104において、蹴込1(E1)の凹結合特徴量と、これに続く蹴込面1(F1)の平面特徴量と、さらにこれに続く段鼻1(G1)における凸結合特徴量とに基づいて、蹴込面1(F1)を決定して、垂直走査測定対象特徴メモリ50に蓄積する。
続いて、垂直走査特徴量抽出部45は、次のステップSP105において、段鼻1(G1)の凸結合結合量に基づいて段鼻1(G1)の段鼻ラインを決定して、垂直走査測定対象特徴メモリ50に蓄積する。
続いて、垂直走査特徴量抽出部45は、ステップSP106において、段鼻1(G1)における凸結合結合量とこれに続く踏み面1(H1)における平面特徴量と、さらにこれに続く蹴込2(E2)における凹結合特徴量とに基づいて踏み面1(H1)を決定して、垂直走査測定対象特徴メモリ50に蓄積する。
かくして、垂直走査特徴量抽出部45は、床面D0から1段目の踏み面1(H1)に亘る交円特徴リストについて、その構造を決める蹴込ライン、蹴込面、段鼻ライン及び踏み面を決定して、垂直走査測定対象特徴メモリ50に蓄積する。
続いて、垂直走査特徴量抽出部45は、ステップSP107においてすべての垂直方向特徴リストの処理が終了したか否かを確認し、否定結果が得られたとき上述のステップSP103に戻って次の段の踏み面についての各構造を決定する処理を繰り返す。
この繰返し処理は、垂直走査特徴量抽出部45が垂直走査した範囲、従って移動体1が上ろうと予定している上り階段KD1の踏み面、すなわち2段目の踏み面2(H2)、3段目の踏み面3(H3)……についての垂直方向特徴リストが終了するまで、繰り返される。
やがて、当該垂直走査線SN1についての垂直方向特徴リストの全ての処理が終わると、垂直走査特徴量抽出部45は、ステップSP107において肯定結果が得られることによりステップSP108に移る。
垂直走査特徴量抽出部45は、このステップSP108において、決定された床面D0について、センサ原点Oの直下の位置から、最初の蹴込ライン、すなわち蹴込1(E1)の位置までの距離を、階段までの距離として、垂直走査測定対象特徴メモリ50に蓄積する。
続いて、垂直走査特徴量抽出部45は、次のステップSP109において最初の蹴込ライン、すなわち蹴込1(E1)のラインの姿勢を求め、この最初の蹴込ラインの姿勢によってセンサ原点Oに対する上り階段KD1の傾きを求めて垂直走査測定対象特徴メモリ50に蓄積する。
この上り階段KD1の傾きについてのデータは、実際に移動体1が当該上り階段KD1を上る際に、移動体1を上り階段KD1の正面に正しく位置取りさせるために用いられる。
続いて、垂直走査特徴量抽出部45は、ステップSP110に移って踏み面の数、すなわち階段の段数を蹴込ラインの数及び段鼻ラインの数に基づいて求めた後、ステップSP111において段鼻ラインの水平間隔を踏み面の長さとして求めると共に、ステップSP112において踏み面間の高度差を蹴込み高さに基づいて求めて、求めたデータを垂直走査測定対象特徴メモリ50に蓄積する。
かくして垂直走査特徴量抽出部45は、垂直走査による上り階段特徴量の算出処理手順RT21の処理をステップSP113において終了する。
以上の構成によれば、垂直走査特徴量抽出部45は、移動体1がこれから上ろうとする上り階段KD1について、各脚の脚車輪J3が床面D0上を移動して上り階段KD1に近づくと共に、1段目、2段目……の踏み面H1、H2……を順次踏んで行くために必要な認識情報を確実に得ることができる。
(6−2)垂直走査による下り階段特徴量の算出
移動体1が図41(B)に示す下り階段KD2を、床面L0から1段ずつ下の踏み面N1、N2を通って踊り場L1まで下って行く場合には、移動環境検出器3は、センサ原点Oから放出する円錐走査検出光DETを、直下の床面L0から、図41(A)に示すように、走査線SN11に沿って前方に垂直走査をする。
このとき、CPU13は垂直走査特徴量抽出部45によって図42の「垂直走査による下り階段特徴量の算出処理手順」RT22を実行させ、垂直走査特徴量抽出部45は、先ずステップSP120において、円錐走査検出光DETを床面L0から1段目の段鼻1(M1)と1段目の踏み面1(N1)を照射する状態から、踏み面1(N1)上を2段目の段鼻2(M2)までの走査をし、以下同様にして2段目の踏み面2(N2)及び3段目の踊り場L1の走査を繰り返すことにより、下り階段KD2についての特徴量を交円特徴量算出部41によって算出して交円特徴量メモリ42に蓄積する。
かくして、垂直走査特徴量抽出部45は、蓄積した交円特徴量リストを交円特徴量メモリ42から設定した後、ステップSP121において、床面L0についての平面特徴量から1段目の踏み面1(N1)に続く不連続面の上段特徴量とに基づいて、移動体1が立っている床面L0を決定して、垂直走査測定対象特徴メモリ50に蓄積する。
続いて、垂直走査特徴量抽出部45は、ステップSP122に移って、床面L0から1段目の踏み面1(N1)に続く段鼻1(M1)における不連続面の境界線に基づいて、段鼻1(M1)の段鼻ラインW11を決定して、垂直走査測定対象特徴メモリ50に蓄積する。
続いて、垂直走査特徴量抽出部45は、次のステップSP123に移って、最初の不連続面の特徴量に続く1段目の踏み面1(N1)の平面特徴量に基づいて、当該1段目の踏み面1(N1)を決定して、垂直走査測定対象特徴メモリ50に蓄積する。
続いて、垂直走査特徴量抽出部45は、次のステップSP124において、当該1段目の踏み面1(N1)に続く不連続面の特徴に基づいて、これが下の踊り場このときは2段目の踏み面2(N2)であるか否かを判定して、垂直走査測定対象特徴メモリ50に蓄積する。
次のステップSP125は、交円特徴量メモリ42に蓄積されている垂直方向特徴リストについての決定処理がすべて終了したか否かの判断をするステップで、否定結果が得られると、このことはいまだ全ての平面、すなわち踏み面N2、N3及び踊り場L1についての処理が終了していないことを意味し、このとき垂直走査特徴量抽出部45は上述のステップSP122に戻って当該次の垂直走査による交円特徴リストについてステップSP122〜SP125の処理を繰り返す。
やがてステップSP125において肯定結果が得られると、このことは、踏み面1(N1)、踏み面2(N2)及び踊り場L1の決定ないし判定が終了したことを意味し、このとき垂直走査特徴量抽出部45はステップSP126に移って、垂直走査測定対象特徴メモリ50に蓄積されたデータに基づいて、床面L0の直下の位置から最初の段鼻1(M1)の段鼻ラインW11までの距離を、移動体1が下り階段KD2の直前まで行くのに必要な距離として求めて、垂直走査測定対象特徴メモリ50に蓄積する。
続いて、垂直走査特徴量抽出部45は、次のステップSP127において、最初の段鼻ラインW11の姿勢に基づいて、下り階段KD2の傾き(センサ原点Oから見て直交する方向からの傾き)を求めた後、ステップSP128において、前方方向にある不連続面下段の数及び段鼻ラインの数に基づいて、前方にある踏み面の数、すなわち階段の段数を求めて垂直走査測定対象特徴メモリ50に蓄積する。
ここで、段鼻ラインW11の傾きの情報は、移動体1が実際に下り階段KD2を下りる際に、移動体1の移動方向を下り階段KD2と正対する向きに修正することにより直交する方向に下りて行けるように用いられる。
続いて、垂直走査特徴量抽出部45は、ステップSP129において、段鼻ラインW11、W12……の水平方向の間隔に基づいて、1段目、2段目の踏み面N1及びN2の垂直方向の長さを求めると共に、ステップSP130において隣合う踏み面L0及びN1、N1及びN2並びにN2及びL1間の高度差を、蹴上げ高さh1、h2並びにh3として求めて垂直走査測定対象特徴メモリ50に蓄積する。
かくして垂直走査特徴量抽出部45は、当該垂直走査による下り階段特徴量の算出処理手順RT22を、ステップSP131において終了する。
以上の構成によれば、外界認識装置9は移動体1が、これから床面L0から踊り場L1まで下りようとする階段KD2について、各脚の脚車輪J3が歩行するために必要な踏み面の位置、垂直方向の長さ及び蹴上げ高さを確実に測定して、測定結果を垂直走査測定対象特徴メモリ50に保存することができる。
(6−3)段差が限界高さを超える場合
図41の場合は、垂直走査によって下り階段KD2を下る場合に、各段の蹴上げ高さh1、h2及びh3が移動体1の脚車輪J3が踏み下ろすことができる許容限界内である場合であるが、図43に示すように、床面L0から1段下の踏み面NX1までの蹴上面QXの蹴上げ高さhXが限界高さを超えている場合には、垂直走査特徴量抽出部45は、図42のステップSP122における段鼻ラインの決定をせずに、当該移動体1が下りることが不可能であると判断して、図45について後述する断崖ラインの判定処理手順RT23にその処理を切り換える。
(6−4)垂直走査による断崖特徴量の算出
垂直走査特徴量抽出部45は、図44に示すように、センサ原点Oから垂直走査線SN21に沿って垂直検出光DETを垂直走査したとき、移動体1が立っている床面R0の前方に断崖面S1がある場合には、図45の「垂直走査による断崖特徴量の算出処理手順」RT23を実行する。
当該算出処理手順RT23に入ると、垂直走査特徴量抽出部45は、ステップSP140において断崖を垂直走査することによって垂直走査測定対象特徴メモリ50に蓄積された交円特徴量データに基づいて、垂直走査による交円特徴リストを設定した後、ステップSP141において、当該設定された特徴量のうち、床面R0を走査することにより得られる交円TR0による平面特徴量と、断崖面S1の上縁を含む交円TR1による断崖特徴量とに基づいて床面R0を決定する。
続いて、垂直走査特徴量抽出部45は、ステップSP142において、床面R0と断崖面S1との境界線に基づいて断崖ラインW21を決定する。
続いて、垂直走査特徴量抽出部45は、ステップSP143において、走査線SN21に基づく垂直方向特徴リストのすべてについての処理を終了したか否かの判断をし、否定結果が得られたとき上述のステップSP142に戻って断崖ラインW21の決定処理を繰り返す。
やがてステップSP143において肯定結果が得られると、垂直走査特徴量抽出部45は、ステップSP144に移って移動体1が現在立っている位置から断崖ラインW21までの距離に基づいて、移動体1が移動できる床面R0における断崖面S1までの距離を求める。
続いて垂直走査特徴量抽出部45は、次のステップSP145に移って、断崖ラインW21の姿勢に基づいて断崖面S1の傾き(すなわち垂直方向に対する傾き)を求める。
かくして垂直走査特徴量抽出部45は、当該垂直走査により断崖特徴量の算出処理手順をステップSP146において終了する。
以上の構成によれば、外界認識装置9は、垂直走査によって、移動体1の前方に、進むことができない断崖があることを確実に認識することができる。
図44の場合は断崖面S1を測定する場合について述べたが、図43について上述した下り段差が限界高さを超えているような場合であっても、断崖面S1の場合と同様に、移動体1が当該段差を下りることが不可能であるから、この場合垂直走査特徴量抽出部45は、図42の垂直走査による下り階段特徴量の算出処理手順RT22の実行中に下り段差が限界高さを超えるものであることを判知したとき、当該算出処理手順RT22から図45の垂直走査による断崖特徴量の算出処理手順RT23の処理に切換えることにより、ステップSP144及びSP145において、当該下りることができない下り段差までの距離及びその傾きを検出することにより、この場合も前方に存在する危険な状態を確実に測定することができる。
(6−5)水平走査による踏み面特徴量の算出
CPU13は、データ入力手段11によってユーザが垂直走査特徴量抽出部45による垂直走査の実行命令を入力することにより、図46に示すように、階段KD3に対して垂直走査線SN31について垂直走査が行われた結果、垂直走査特徴量抽出部45が踏み面X5を抽出したとき、水平走査特徴量抽出部46によって図47の「水平走査による踏み面特徴量の算出処理手順」RT24を実行させることにより、当該踏み面X5の両側又は片側に、垂直方向の壁面X1や、断崖X2が隣接していることを、検出させる。
この実施の形態の場合、外界認識装置9は、移動体1が現在立っている床面X3のセンサ原点Oから、蹴込面X4からその蹴上げ高さだけ高い位置にある踏み面X5を、左右方向の走査線SN32に沿って水平方向に円錐走査検出光DETによって水平走査をする。
当該水平走査による踏み面特徴量の算出処理手順RT24に入ると、水平走査特徴量抽出部46は、先ずステップSP150において垂直走査測定対象特徴メモリ50に蓄積されている垂直走査結果から基準となる踏み面X5を設定した後、ステップSP151に移って円錐走査式距離測定装置31によって水平走査線SN32上の走査を行わせることにより、距離データメモリ35、交円特徴量算出部41及び交円特徴量メモリ42を介して得られる水平走査による交円特徴リストを設定する。
続いて水平走査特徴量抽出部46は、ステップSP152に移って、左側にある、踏み面X5及び壁面X1間の蹴込X6についてその交円TRXの凹結合特徴量が示す境界線から、蹴込ラインW31を決定して、水平走査測定対象特徴メモリ51に蓄積する。
続いて水平走査特徴量抽出部46は、ステップSP153において、蹴込X6に続く壁面X1上の交円TRXのデータから平面特徴量が垂直面であることを検出すると共に、当該垂直面の位置が移動体1が上ることができる蹴込高さより十分に大きい特徴をもっていることに基づいて、壁ラインW32を判定して、水平走査測定対象特徴メモリ51に蓄積する。
続いて水平走査特徴量抽出部46は、ステップSP154において、右側にある、踏み面X5及び断崖X2間の凸結合不連続面の境界線の特徴量に基づいて、段鼻X72及びその段鼻ラインW33を決定すると共に、次のステップSP155に移って断崖の特徴量に基づいて断崖ラインW34を決定して、水平走査測定対象特徴メモリ51に蓄積する。
このステップSP152〜SP155の処理は、ステップSP156において否定結果が得られることにより水平走査線SN32の全ての交円TRXの処理が終了するまで繰り返えされる。
やがてステップSP156において肯定結果が得られると、水平走査特徴量抽出部46は、ステップSP157において、図48に示すように、平面の左右走査方向の平面間隔を、移動体1の脚車輪J3が踏むことができる踏み場の範囲X10として決定した後、ステップSP158において左右方向の両側にある境界線、すなわち、壁ラインW32及び断崖ラインW34の水平方向間隔を段幅X11として判定して、水平走査測定対象特徴メモリ51に蓄積する。
続いて、水平走査特徴量抽出部46は、ステップSP159において、上述のステップSP153において判定した壁ラインW32に基づいて壁面X1があることに基づいて、これを移動体1が進入できない進入不可能領域として決定して、水平走査測定対象特徴メモリ51に蓄積する。
かくして水平走査特徴量抽出部46は、当該水平走査による踏み面特徴量の算出処理手順RT24の処理をステップSP160において終了する。
以上の構成によれば、外界認識装置9は階段KD3を構成する踏み面X5について、移動体1の脚車輪J3が立つことができる踏み場の範囲や段幅を安全かつ確実に測定することができる。
(6−6)水平走査による蹴込面特徴量の算出
外界認識装置9は、図49に示すように、図46について上述したと同じ階段KD3について、移動体1が現在立っている床面X3のセンサ原点Oから、床面X3に対して蹴込X11を介して続く垂直面でなる蹴込面X4を水平走査することにより、当該蹴込面X4の両側又は片側に、壁面X1や、断崖X2が隣接していることを、水平走査特徴量抽出部46によって、図50に示す「水平走査による蹴込面特徴量の算出処理手順」RT25を実行させることにより、検出させる。
水平走査による蹴込面特徴量の算出処理手順RT25に入ると、水平走査特徴量抽出部46は、先ずステップSP170において垂直走査測定対象特徴メモリ50に蓄積されている垂直走査結果から基準となる蹴込面X4を設定した後、ステップSP171に移って円錐走査式距離測定部31によって水平走査線SN33上の走査を行わせることにより、距離データメモリ35、交円特徴量算出部41及び交円特徴量メモリ42を介して得られる水平走査による交円特徴リストを設定する。
続いて水平走査特徴量抽出部46は、ステップSP172に移って、左側にある、蹴込面X4及び壁面X1間にある垂直方向の壁面X1について、その交円TRYの凹結合特徴量が示す境界線から、壁ラインW22を決定して、水平走査測定対象特徴メモリ51に蓄積する。
続いて水平走査特徴量抽出部46は、ステップSP173において、垂直方向に延長する断崖X2の縁を走査する交円TRYが断崖特徴量を示す境界線に基づいて、垂直方向の断崖ラインW34を決定して、水平走査測定対象特徴メモリ51に蓄積する。
かくして水平走査特徴量抽出部46は、水平走査線SN33について壁ラインW22及び断崖ラインW34を決定し、続くステップSP174において全ての水平方向特徴リストについての処理が終了するまで、上述のステップSP172及びSP173の処理を繰り返す。
やがてステップSP174において全ての水平方向特徴リストの処理が終了したと判断すると、水平走査特徴量抽出部46は、ステップSP175において、蹴込面X4についての平面特徴量の水平間隔から蹴込面X4の範囲X24を求めて、水平走査測定対象特徴メモリ51に蓄積する。
続いて水平走査特徴量抽出部46は、ステップSP176において、上述のステップSP172及びSP173において求めた境界線の水平方向の間隔から蹴込面X4の段幅X25を求めて、水平走査測定対象特徴メモリ51に蓄積する。
続いて水平走査特徴量抽出部46は、ステップSP177において、上述のステップSP172において測定した壁ラインW22に基づいて壁面X1があることに基づいて、これを移動体1が進入できない進入不可能領域として求めて、水平走査測定対象特徴メモリ51に蓄積する。
かくして水平走査特徴量抽出部46は、当該水平走査による蹴込面特徴量の算出処理手順RT25の処理をステップSP178において終了する。
以上の構成によれば、外界認識装置9は、階段KD3を構成する蹴込面X4に基づいて、移動体1が進入して良い蹴込面X4の範囲と、進入してはならない壁面X1及び断崖X2とを、安全かつ確実に測定することができる。
(6−7)時系列走査による外界確認処理手順
外界認識装置9のCPU13は、時系列走査外界確認部47によって、図51に示す「階段上昇時の踏み場確認処理手順」RT31を実行させることにより、移動体1の本体駆動部15を図52に示すような「前脚階段上昇動作処理手順」RT32を実行させることにより、移動体1を図53に示す上り階段KDYを上るように駆動制御する。
図53の移動体の動作は、移動体1が1段目の踏み面(Y1)、2段目の踏み面(Y2)及び3段目の踊り場(Y3)を有する上り階段KDYを上る動作の一部として、時系列走査外界確認部47によって1段目の踏み面1(Y1)に左前脚4L及び右前脚4Rの脚車輪3Jを着地させる動作について例示したものである。
図53の場合、移動体本体1Xは、図53(A)に示すように、上り階段KDYの正面に正対して静止した状態(両方の前脚が同じ高さにある状態)において、正面の踏み面である第1段目の踏み面1(Y1)を円錐走査検出光DETによって確認している状態から移動動作を開始する。
移動体1はまず図53(B)に示すように、左前脚4Lの踏み場予定場所を円錐走査検出光DETによって視準して確認したとき、左前脚4Lを本体の位置姿勢を変えずに上げるような動作をする。
続いて移動体1は図53(C)に示すように、左前脚4Lの脚車輪J3が第1段踏み面1(Y1)の段鼻を十分に越えるように、本体の位置姿勢を少し上向きに変えながら左前脚4Lをさらに上げる。
このとき本体の位置姿勢が上向きに変わるために、左前脚4Lの踏み場予定場所への視準がずれて、第1段踏み面Y1の前方にある境界線にまで円錐走査検出光DETの照射位置がずれる。
このとき図53(D)に示すように、移動体1の移動環境検出器3が円錐走査検出光DETの視準方向を左前脚4Lの踏み場予定場所に視準し直して確認をする。
当該確認後、図53(E)に示すように、移動体1は左前脚4Lを踏み場予定場所に着地させるが、このとき本体の位置姿勢が変わる。
この状態において、移動体1の移動環境検出器3が円錐走査検出光DETを右前脚踏み場予定場所に視準し直し、これを確認する。
続いて移動環境検出器3は、図53(F)に示すように、円錐走査検出光DETを右前脚4Rの踏み場予定場所に視準してこれを確認した後、移動体1は本体の位置姿勢を変えずに右前脚4Rを上げる。
続いて移動体1は図53(G)に示すように、本体の位置姿勢を少し上向きに変えて右前脚4Rをさらに上げることにより、右前脚4Rの脚車輪J3が1段目の踏み面Y1の段鼻を確実に越えるように動作させる。
このとき右前脚の踏み場予定場所に視準していた円錐走査検出光DETの視準がずれて当該1段目の踏み面1(Y1)の前方の境界線を照射する状態になる。
続いて移動環境検出器3は、図53(H)に示すように、円錐走査検出光DETの視準方向を視準し直したうえ、右前脚4Rの踏み場予定場所を確認する。
当該確認をした後移動体1は、図53(I)に示すように、右前脚4Rを踏み場予定場所に着地させ、このとき本体の位置姿勢が変わって円錐走査検出光DETを照射する状態になる。
時系列走査外界確認部47は、階段上昇時の踏み場確認処理手順RT31に入ると、まずステップSP201において階段情報及び踏み場情報をデータ入力手段11によってユーザが入力することにより読み込む。
図53(I)の状態は、移動体1が左及び右前脚を1段目の踏み面1(Y1)に着地させた状態で、円錐走査検出光DETを正面の踏み面である2段目の踏み面2(Y2)を視準することにより、当該踏み面2(Y2)を確認した状態になる。
従って移動体1は更に上り階段KDYを上昇する場合は、当該2段目の踏み面2(Y2)について、図53(B)〜(I)の動作を繰り返す。
かくして移動体1は図53(A)〜(I)の動作を順次行うことにより、左及び右前脚4L及び4Rを1段目の踏み面1(Y1)の踏み場予定位置に着地させ、これにより両前脚を予定の踏み場場所に置くような移動動作を行うことができる。
かかる図53(A)〜(I)の移動体1の動作は、時系列走査外界確認部47が、図51の「階段上昇時の踏み場確認処理手順」RT31を実行すると共に、これに応動するように、本体駆動部15が図52の「前脚階段上昇動作手順」RT32を実行することにより移動体1を駆動することにより行われる。
このステップSP201において時系列走査外界確認部47が読み込んだ情報は、移動体1が上昇しようとする上り階段KDYの構造及び移動体1の左及び右前脚4L及び4R(並びに左及び右後脚5L及び5R)が歩行すべき踏み場の指定を受けたことを意味し、かくして外界認識装置9の時系列走査外界確認部47は指定を受けた踏み場について、左及び右前脚4L及び4R(並びに左及び右後脚5L及び5R)を指定どおりに動作したことを確認しながら移動体1を移動させて行く。
このようにして時系列走査外界確認部47がステップSP201において階段情報を取得したとき、本体駆動部15は、図52の「前脚階段上昇動作処理」RT32に入って、ステップSP211において、上り階段KDYの正面で待機した状態になる(図53(A))。
この状態において、時系列走査外界確認部47は、ステップSP202に移って、データ入力手段11によるユーザからの入力操作に応じて、円錐走査距離測定のための円錐走査検出光DETの円錐半頂角を設定すると共に、円錐走査検出光DETの視準方向Zを左前脚4Lの踏み場予定場所に設定する(図53(B))。
続いて時系列走査外界確認部47はステップSP203において円錐走査検出光DETの交円TRからの戻り光に基づいて円錐走査距離の測定を行うとともに、ステップSP204において交円特徴量の抽出を行った後、ステップSP205において踏み場の認識を実行する。
このステップSP205における踏み場の認識は、移動体1が左前脚4Lを着地させようとする踏み場予定場所(図53(B))についての踏み場情報として、円錐走査検出光DETが照射している踏み面1(Y1)の位置、姿勢及び範囲を認識する。
続いて時系列走査外界確認部47は、次のステップSP206に移って、ステップSP205において認識した踏み場情報において境界線を検出したか否かの判断をし、否定結果が得られたとき、このことは円錐走査検出光DETが正しく踏み面を視準していることを意味するので、ステップSP207に移って踏み場確認情報を移動体1の本体駆動部15に通報する。
この実施の形態の場合、上述のステップSP202〜SP206における情報の取得処理は、垂直走査特徴量抽出部45及び水平走査特徴量抽出部46の処理動作に基づいて垂直走査測定対象特徴メモリ50及び水平走査測定対象特徴メモリ51に蓄積した情報に基づいて実行され、かくして時系列走査外界確認部47の処理結果は外界確認データメモリ52に蓄積される。
このような時系列走査外界確認部47の確認情報の取得処理と平行して、移動体1の本体駆動部15は、前脚階段上昇動作処理手順RT32の左前脚上昇動作サブルーチンRT32AのステップSP212において、左前脚4Lの踏み場確認要求を時系列走査外界確認部47に発信して、ステップSP213において時系列走査外界確認部47から踏み場確認情報の通報(ステップSP207)が得られるのを待ち受ける状態になる。
かくして本体駆動部15は、図53(B)において円錐走査検出光DETが左前脚4Lの踏み場を視準照射している状態で踏み場の確認を待ち受けた状態にあるのに対して、時系列走査外界確認部47がステップSP207において踏み場確認情報の通報をしたとき、本体駆動部15はステップSP213において肯定結果が得られることにより、次のステップSP214に移る。
このステップSP214において、本体駆動部15は移動体1の左前脚4Lを上げる動作をした後、ステップSP215に移って踏み場の確認を待ち受ける状態になる。
この左前脚を上げる動作は、まず図53(B)について上述したように本体の位置姿勢を変えずに左前脚を挙げた後、図53(C)について上述したように本体の位置姿勢を少し上向きに変えることにより、左前脚4Lをさらに上げる動作を含んでいる。
従って図53(C)のように本体の位置姿勢が変わったために円錐走査検出光DETの視準方向が前方にずれて、2段目の踏み目2(Y2)の段鼻を照射する位置にずれると、時系列走査外界確認部47は当該段鼻の境界線を検出することによりステップSP206において肯定結果を得て、上述のステップSP202に戻る。
このとき時系列走査外界確認部47は、円錐走査検出光DETを左前脚4Lの踏み場と指定位置に戻す再設定動作をした後、ステップSP203〜SP206のループの処理を繰り返す。
このとき時系列走査外界確認部47は、円錐走査検出光DETを境界線を検出しない踏み面1(Y1)に視準方向を修正したので(図53(D))、ステップSP206において否定結果を得て、ステップSP207において本体駆動部15に対する踏み場確認情報の通報を行うと共に、ステップSP208において踏み場の確認をし、否定結果が得られたとき上述のステップSP203に戻ってステップSP203〜SP208の処理を繰り返す。
このとき、本体駆動部15は、時系列走査外界確認部47からの通報に応動して、ステップSP215において踏み場の確認ができたと判断してステップSP216に移って移動体1の本体を下向き方向に位置姿勢を変えることにより、左前脚を踏み面1(Y1)に着地させる(図53(E))。
かくして本体駆動部15は踏み面1(Y1)の指定された踏み場位置に左前脚4Lを着地させたことにより、次のステップSP217において左前脚4Lの踏み場確認処理を終了し、これにより、左前脚上昇動作サブルーチンRT32Aの処理を終了して、続いて右前脚上昇動作サブルーチンRT32Bの処理に入る。
本体駆動部15は、右前脚上昇動作サブルーチンRT32Bに入ると、先ずステップSP218において右前脚4Rの踏み場確認要求を時系列走査外界確認部47に送る。
このとき時系列走査外界確認部47は、ステップSP210において全ての踏み場の確認が終了していないことに基づいてステップSP202に戻って、右前脚4Rの踏み場の確認について、円錐走査距離測定のための円錐半頂角及び視準方向の設定を行い、当該右前脚4Rの踏み場である踏み面1(Y1)についてステップSP203において円錐走査距離測定動作をし、ステップSP204において交円特徴量の抽出処理をし、ステップSP205において踏み場の認識処理をすることにより踏み場情報として右前脚4Rの位置、踏み面1(Y1)の姿勢、踏み面の範囲を認識する。
続いて時系列走査外界確認部47は、次のステップSP206において境界線を検出したか否かの判断をするが、このとき設定された円錐走査検出光DETは踏み面1(Y1)の平面に交円を照射しているので否定結果が得られることにより、ステップSP207において踏み場確認情報の通報を本体駆動部15に送る。
このとき本体駆動部15はステップSP219において踏み場情報の確認得たことにより、ステップSP220に移って右前脚4Rを上げる動作をする。
このとき本体駆動部15は図53(F)について上述したように、本体の位置姿勢を変えずに右前脚4Rを上げた後、図53(G)について上述したように本体の位置姿勢を上向きに変えた状態で右前脚4Rをさらに上げる。
このとき円錐走査検出光DETの視準方向が右前脚4Rの踏み場予定場所から前方にずれて2段目の踏み面2(Y2)の段鼻を照射する状態になる。
このとき踏み場情報として、2段目の踏み面2(Y2)の段鼻ラインについての境界線を抽出する状態になるので、時系列走査外界確認部47は、上述のステップSP202に戻って円錐走査検出光DETの視準方向の再設定を行う。
時系列走査外界確認部47は、当該再設定された視準方向についてステップSP203において円錐走査距離測定を行うと共に、ステップSP204において交円特徴量の抽出をした後ステップSP205において踏み場の認識処理を行う。
このとき円錐走査検出光DETは踏み面2(Y2)の平面を照射しているので、時系列走査外界確認部47は、ステップSP206において否定結果を得ることによりステップSP207において踏み場確認情報の通報を本体駆動部15に送る。
また本体駆動部15はステップSP221において、図53(H)について上述したように、円錐走査検出光DETの視準方向の修正がなされた状態において右前脚4Rの踏み場予定場所を視準できたことを確認できることにより、ステップSP222に移って図53(I)について上述したように本体の位置姿勢を変えながら右前脚を踏み面1(Y1)に着地する。
かくして本体駆動部15は右前脚上昇動作サブルーチンRT32Bの処理を終了したことにより当該前脚階段上昇動作処理手順RT32の処理をステップSP224において終了する。
これと共に、時系列走査外界確認部47は、本体駆動部15の右前脚上昇動作サブルーチンRT32Bについての踏み場の確認をステップSP208において終了すると共に、ステップSP209において左前脚4L及び右前脚4Rの全ての踏み場の確認処理を終了したことにより、ステップSP210において階段上昇時の踏み場確認処理手順RT31の処理を終了する。
図51〜図53の構成において、時系列走査外界確認部47は、移動体1の移動環境検出器3から投射される円錐走査検出光DETに基づいて、この交円特徴量に基づいて照射した上り階段の踏み場を時間の経過に従って順次検出することにより、ユーザによって指定された踏み場を移動体1の前脚がその着地に至るまでの動作を確認しながら本体駆動部15を駆動制御することにより、時間の経過に従って移動体1の本体の位置や姿勢が例え変わったとしても、その変化に対応して前脚を予定した踏み場に順次着地させて行くことにより、移動体1を安全かつ確実に上り階段KDYを上って行かせるようにすることができる。
(7)他の実施の形態
(7−1)上述の実施の形態においては、移動体1の脚車輪J3は平面でなる踏み面を確認しながら移動体1を移動させる場合について述べたが、踏み面の形状はこれに限らず、円筒面や球面であってもよく、この場合安全に整合するような特徴量を設定すれば、上述の場合と同様の効果を得ることができる。
(7−2)図51〜図53の実施の形態においては、移動体1の前脚の階段上昇動作について述べたが、後脚の上昇動作についても同様に、時系列走査外界確認部47と移動駆動部15との対応動作によって安全かつ確実に行わせることができる。
また下り階段を下る場合にも、特徴量の抽出の仕方を下り階段に対応させることにより、同じようにして安全かつ確実に移動体1を下らせることができる。
(7−3)上述の実施の形態においては、距離データメモリ35の円錐走査距離データメモリ35Aに蓄積された距離データ(α、L)を用いて処理対象データ(α−L)を得て認識対象の特徴量の演算処理をする場合について述べたが、これに代え、距離画像データメモリ36Bの画像データ(i、j、L)を用いた場合も同様にして特徴量の演算処理をすることができる。