JP2011058635A - ユニット化エレメントおよびシールの組み立て方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】丈夫で、摩耗に強く、ローターとステーターをユニット化し、軸方向の移動の際にローターとステーター間の接触を防止する、効率的なシールを提供する。
【解決手段】ローター係合部材、ステーター係合部材、リア部材を備えた環状のユニット化エレメント30の半径方向の外表面は、その1つがローター係合部材、残りの1つがリア部材と対応する、異なる直径を有する2の領域を備え、ステーター係合部材は、環状のユニット化エレメントの半径方向の内側から半径方向の中心に向けて伸長し、回転シャフトおよびベアリングハウジングをシールするシーリングアセンブリは、その半径側に溝を有し、軸方向に伸長する、環状係合フランジを備えたローター50と、その半径側に溝を有し、軸方向に伸長する、環状係合フランジを備えたステーター10と、さらに、ステータ係合部材、ローター係合部材、リア部材を備えた環状の一体化エレメント、を備えている。
【選択図】図2
【解決手段】ローター係合部材、ステーター係合部材、リア部材を備えた環状のユニット化エレメント30の半径方向の外表面は、その1つがローター係合部材、残りの1つがリア部材と対応する、異なる直径を有する2の領域を備え、ステーター係合部材は、環状のユニット化エレメントの半径方向の内側から半径方向の中心に向けて伸長し、回転シャフトおよびベアリングハウジングをシールするシーリングアセンブリは、その半径側に溝を有し、軸方向に伸長する、環状係合フランジを備えたローター50と、その半径側に溝を有し、軸方向に伸長する、環状係合フランジを備えたステーター10と、さらに、ステータ係合部材、ローター係合部材、リア部材を備えた環状の一体化エレメント、を備えている。
【選択図】図2
Description
本発明は、回転シャフトとベアリングハウジングとの間に動的なシールを提供するラビリンス・シーリング装置、ならびに、それを組み立てる方法に関する。
1.関連出願の記載
本出願は、”ラビリンス・シール”と題して2002年9月30日に出願され、その全体が参照のため取り込まれる、継続中の米国仮特許出願番号60/414、862の優先権を主張する。
本出願は、”ラビリンス・シール”と題して2002年9月30日に出願され、その全体が参照のため取り込まれる、継続中の米国仮特許出願番号60/414、862の優先権を主張する。
2.関連技術の説明
ラビリンスタイプのロータリーシャフトシールは、本技術分野でよく知られている。通常、これらの装置は、ローターおよびステーターを有する2つの同心円構造を含んでいる。ローターは、回転シャフトにシール可能に係合し、ステーターは、ベアリングハウジングにシール可能に係合する。回転ローターおよび固定ステーター間の空間をシールするため、多くの異なるタイプのシールが用いられてきた。これらには、Oリング、ゴムのリップシール、およびラビリンス・シールが含まれている。ラビリンス・シールは、最も効果的なタイプのシールである。具体的には、ベアリングハウジング外部とベアリングハウジング内部の間に伸びるラビリンスを作り出すため、シールリングの内表面上に成形経路(contoured pathways)あるいは溝が形成される。ラビリンス経路は、ベアリングハウジング内に流体の潤滑剤を保持するとともに、ベアリングハウジング内に汚染物質が侵入しないようにするための流体力学的なバリアとして機能する。経理を複雑にすればするほど、汚染された材料が前記構造を通過しベアリングハウジングに侵入する機会は少なくなる。
ラビリンスタイプのロータリーシャフトシールは、本技術分野でよく知られている。通常、これらの装置は、ローターおよびステーターを有する2つの同心円構造を含んでいる。ローターは、回転シャフトにシール可能に係合し、ステーターは、ベアリングハウジングにシール可能に係合する。回転ローターおよび固定ステーター間の空間をシールするため、多くの異なるタイプのシールが用いられてきた。これらには、Oリング、ゴムのリップシール、およびラビリンス・シールが含まれている。ラビリンス・シールは、最も効果的なタイプのシールである。具体的には、ベアリングハウジング外部とベアリングハウジング内部の間に伸びるラビリンスを作り出すため、シールリングの内表面上に成形経路(contoured pathways)あるいは溝が形成される。ラビリンス経路は、ベアリングハウジング内に流体の潤滑剤を保持するとともに、ベアリングハウジング内に汚染物質が侵入しないようにするための流体力学的なバリアとして機能する。経理を複雑にすればするほど、汚染された材料が前記構造を通過しベアリングハウジングに侵入する機会は少なくなる。
より複雑な経路を作る一つの方法は、汚染物質が横切る表面領域を増加させる、すなわち、経路の長さを長くすることである。効率的なラビリンス・シールを達成するため、その多くが、シールを形成するため連結{するローターおよびステーターの両側に尾根と谷を有する、複雑なシーリング構造を作っている。尾根および谷(risges and valley)の数を増加させることにより、表面領域全体/経路長も増加し、これにより、上述の汚染物質の排除という目標も達成される。比較的小さい空間およびそれについての公差を与えると、これらのフィンガーの数ならびにサイズが限定される。
ロータリーシャフトシールの他の側面においては、できるだけ速やかにシステム内に侵入した汚染物質を排出する必要がある。特定の物質が蓄積すると、シールを傷つけ、および/又は、ローターおよびステーターの摩耗を増加させてしまう。さらに、システムから強制排出されたいずれの潤滑液も、同様に、回収し、ローター内部に戻さなければならない。潤滑液を失うことによって、パーツが傷み、システムの摩擦熱が上昇する。
典型的なローターおよびステーター構造において、ローターとステーターが互いに接触するのを防止するため、最低の間隔を維持しなければならない。航空機の着陸装置、等の用途においては、ローターが約5000回転を超える速度で回転する。かかる速度において、ロータの表面がステーター表面と接触していると、摩擦熱が生じ、コンポーネントが摩耗し、装置全体の効率が低下すると共に、その寿命も短くなってしまう。したがって、ロータとステーターを分離しておくことが重要である。
2つのコンポーネント間に摩擦の小さいコンタクトを設けることにより、ローターとステーター間に、それらの半径方向での分離状態を保つためゴムあるいはプラスチック装置がしばしば用いられる。ローターがステーター方向押された場合に、同じシール装置が軸方向の接触を防止することができたら有益であろう。
ローターがステーターから離れるよう動く場合には、逆の問題が生じる。ローターが、軸方向にステーターから離れるよう動くにつれて、コンポーネント間のギャップは広がり、汚染物質がベアリングハウジング内に侵入し、あるいは、グリースが外部に漏れだしてしまうおそれが高くなってしまう。これらの好ましくないシナリオに対し、ローターとステーターを共に効率的に固定し”ユニット化する”シールが望ましい。かかるシールは、コンポーネントを簡単に組み立てることを可能にしなければならないが、半径方向において、ローターがステーターから外れることに抵抗し、防止するものでなくてはならない。
従前のラビリンス・シールは、上部で、摩耗に強く、ローターとステーターをユニット化し、軸方向の移動の際にローターとステーター間の接触を防止する、効率的なシールを提供することが出来ていない。
本発明は、これらの認識されたニーズに関する。
本発明は、回転シャフトとベアリングハウジング間で動的なシールを提供するラビリンス・シールのためのユニット化エレメントおよびアセンブリを提供する。かかるユニット化エレメントは、ベアリングの潤滑剤の漏れを防止すると共に、ベアリングハウジングから汚染物質を排出する。ユニット化された、非接触構造により、軸方向の移動がなされた場合に、ローターおよびステーターの摩耗を防止することも可能である。
本発明の第一の側面においては、ローター係合部材、ステーター係合部材、および、リア部材を備えた環状のユニット化エレメントが提供される。前記ユニット化エレメントの半径方向の外表面は、その1つがローター係合部材、残りの1つが前記リア部材と対応する、異なる直径を有する2の領域を備え、さらに、前記ステーター係合部材は、前記環状のユニット化エレメントの半径方向の内側から半径方向の中心に向かって伸長している。
本発明の他の側面においては、回転シャフトおよびベアリングハウジングをシールするためのシーリングアセンブリであって、その半径側に溝を有し、軸方向に伸長する、環状の係合フランジを備えたローターと、その半径側に溝を有し、軸方向に伸長する、環状の係合フランジを備えたステーターと、ステータ係合部材、ローター係合部材、および、リア部材を備えた環状のユニット化エレメントと、を備えたものが提供される。前記ローター係合部材は、前記ローター溝に係合し、前記ローター係合部材は、前記ステーター溝に係合するため、前記ユニット化エレメントから、半径方向に伸長する。
本発明の他の側面においては、 回転シャフトおよびベアリングハウジングをシールするシーリングアセンブリを組み立てる方法であって、その半径側に溝を有し、軸方向に伸長する、環状の係合フランジを備えたローターを提供するステップと、ステータ係合部材、ローター係合部材、前記ステータ係合部材および前記ローター係合部材間に領域を有する空間、および、リア部材を備えたユニット化エレメントを提供するステップと、前記ユニット化エレメントの前記ローター係合部材が、前記ローターの環状の係合フランジの前記溝内に保持されるよう、前記ユニット化エレメントと前記ローターを係合させるステップと、その半径側に溝を有し、軸方向に伸長する、環状の係合フランジを備えたステーターを提供するステップと、前記ユニット化エレメントが所定位置につくまで、前記ステーター係合部材が前記空間上に屈曲し、最後に、前記前記ステーター係合部材が、前記ステーター溝の前記領域内に伸長するよう、前記ローターおよび前記ユニット化エレメントと前記ステーターを係合させるステップと、を備えたものが提供される。
本発明の特徴は、独特の形状に形成されたユニット化エレメントの新たなデザインである。かかるユニット化エレメントは、ローターおよびステーターの溝領域にフィットさせるため、ほぼ長方形の断面を有する環状である。前記ユニット化エレメントは、さらに、ステーター上の溝に固定可能に係合するステーター係合部材、および、軸方向の運動を防止するため、ステーターのリアウオールに接触するよう伸びる、リア部材を備えている。軸方向の運動により、ローターがステーター方向に移動した場合、ローターとステーターの摩耗が少しでも発生する前に、ユニット化エレメントは接触する。このリング上のリア部材は、ローターがステーターに接触する前に、ステーターの後ウオールと接触するよう正確に設計されている。この特徴は、メインコンポーネントの摩耗を防止するとともに、ラビリンス経路の確保を行う。
当業者により認識されるように、本発明に基づく、ラビリンスユニット化エレメント、ならびに、組み立て方法には、多くの異なる実施形態が可能である。本発明の追加の用途、目的、効果、ならびに、新たな特徴については、以下の詳細な説明において述べられ、以下を検討すること、あるいは、実施することにより、当業者にとってより明確になる。
本発明は、回転シャフト、および、ステーターを有するベアリングハウジングとの間で用いられる、新しいユニット化エレメントを備えている。このユニット化エレメントは、ローターならびにステーターに形成された溝にフィットするため、環状のリング形状である。ユニット化エレメントは、ローターおよびステーターを一体化するとともに、分離を阻止し、運動を制限するものである。また、このユニット化エレメントは、軸方向の運動が行われる際、ローターとステーターの接触を防止するため非金属部品を提供する、リア部材を含んでいる。
本発明の他の側面においては、ラビリンス・シーリングアセンブリが提供される。かかるラビリンス・シーリングアセンブリは、ベアリングハウジングに係合するステーター、ならびに、回転シャフトに係合するローターを備えている。ラビリンスの通路は、いずれの方向にも潤滑剤および/または有害物質が流出しないよう、2つのコンポーネント間に定義される。かかるステーターは、溝を有し半径方向に伸びる、フランジを備えている。この溝は、ローター上の類似する溝と嵌合する。こうして生じたキャビテイー内に含まれるのは、環状のユニット化エレメントである。
本発明の他の実施形態においては、シーリングアセンブリを組み立てる方法が提供される。ハウジングからの潤滑剤の漏れと、ハウジング内への有害物質の侵入を防止するため、回転シャフトとベアリングハウジング間に、ユニット化エレメントが採用される。また、ユニット化エレメントは、シーリングアセンブリを一体化するとともに、ローターとステーターとの接触を阻止する。
ここで、本開示が、本発明の原理を例示するものにすぎないという理解のもと、特定の実施形態を用いることにより、本発明に関し、さらに説明を行う。本発明の例示的な実施形態は、様々な実施形態の同じ側面に同じ符号が配された図面に示されている。
図1を参照すると、本発明のユニット化エレメントは、通常、Oリング64によりベアリングハウジングと密閉可能に係合するステーター10、Oリング60によりシャフトと密閉可能に係合するローター50、ならびに、ローター50とステーター10間に位置するユニット化エレメント30を含むシーリングアセンブリ内に示されている。ローターが回転すると、ユニット化エレメント30は、当該2のコンポーネント間に低接触バッファを提供し、さらに、内部に潤滑剤を保持するとともに、有害物質をベアリングハウジング外に排出することにより、ローターがステーターと接触することを防止する。
ユニット化エレメントの詳細については、前記アセンブリの切り欠き図、および、ユニット化エレメントの断面図をそれぞれ示している、図2および図4で見ることができる。断面を見ると、ユニット化エレメントは、ローター係合部材36、リア部材34、ならびに、ステーター係合部材32を備えている。
本発明のある実施形態において、ユニット化エレメントの半径方向の外部表面には、異なる直径を有する2つの領域が設けらている。この異なる直径は、リア部材34の領域における一の直径およびローター係合部材36の領域それと異なる直径を含んでいる。ウオール38は、リア部材34とローター係合部材36間の直径の差(disparity)により形成されている。このウオール38は、組み立て中、ローター50内にユニット化エレメントを保持し、組み立て後に、ローター50とステーター10を一体化するよう機能する。本発明の好ましい実施形態において、ウオール38は、ユニット化エレメントの軸の中間点付近に位置する。しかし、当業者であれば、ウオール38の位置は、ユニット化エレメントに要求される機能、ならびに、ローターおよびステーターアセンブリの構成によって変動することを認識する。本発明の好ましい実施形態において、ウオール38の位置は、回転軸とほぼ垂直である。
ステーター係合部材32は、ユニット化エレメント30の内側から放射状(radially)に伸長している。かかるステーター係合部材32は、ユニット化エレメント30の中間点付近からある角をなして伸長している。ステーター係合部材の長さおよび正確な位置は、関係する組み立ての容易さを考慮するとともに、ローターおよびステーター特性により変化する。ステーター係合部材は、組み立て中、屈曲するよう十分に柔軟であるとともに、シーリングアセンブリを一体化するために十分な強度を有しなければならない。ローター係合部材36とステーター係合部材32との間の領域により形成される空間40が存在する。この空間40は、ローター、ステーター、およびユニット化エレメントがシーリングアセンブリ内に一緒に移動する場合に、ステーター係合部材32が内部に屈曲するための領域を提供する。
ウオール38、リア部材34、ローター係合部材36およびステーター係合部材32を含む特定の形状のユニット化エレメント30は、自身の動作に重要であるが、これらのコンポーネント、ならびに、ユニット化エレメント30自体の正確な寸法は、意図されたユニット化エレメントの用途によって変化する。かかる寸法の調整は、当業者にとって明らかであり、本発明の範囲内にある。したがって、本発明のユニット化エレメントは、特定サイズのシーリングの用途に限定されることなく、広い用途にも同様に適用可能である。
本発明のユニット化エレメント30は、特定の温度、圧力、摩擦係数、および他の動作特性に応じて、その用途に適した素材を備えることになる。本発明のユニット化エレメントに用いられる共通の素材は、フッ素ポリマー、あるいは、樹脂を有する。本発明のある実施形態において、ユニット化エレメント30は、滑らかなプラスチック素材を有する。本発明の好ましい実施形態において、ユニット化エレメントは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を備えている。
本発明の最も好ましい実施形態において、ユニット化エレメント30は、充てん剤入りの(filled)PTFEを備える。かかる充てん剤入りのPTFEは、フィルタにより分散したスルーアウト(filter dispersed throughout)を有するPTFEを備える。フィルタは、ガラス等、および、グラファイト、モリブデンジスルフィド(molybdenum disulphide)等の構造的なフィルタ、ならびに、他の固体潤滑剤を含むが、それに限定されるものではない。
本発明の他の側面においては、本発明のユニット化エレメント30を備えたシーリングアセンブリが提供される。本発明のシーリングアセンブリの一例は、図1および図2に最もよく表されている。かかるシーリングアセンブリは、ローター50、ステーター10、ならびに、ユニット化エレメント30を備えている。かかるローター50は、シーリングアセンブリの中央を貫通するシャフトにシール可能に係合している。また、かかるローター50は、フランジ52の半径方向の内側に位置するローター溝54を有する、軸方向に伸びる環状のフランジ52を備えている。ステーター10は、ベアリングハウジング68にシール可能に係合するとともに、フランジ12の半径方向の外側に位置するステーター溝14を有する、軸方向に伸びる環状フランジ12を備えている。ユニット化エレメント30は、環状のフランジ52と環状のフランジ12間の空間により形成された領域内に存する、ローター係合部材36、ステーター係合部材32、および、リア部材34を備えている。より正確に言うと、ユニット化エレメント30は、ステーターリアウオール20に向かって伸びるリア部材34を有し、その一部が、ローター溝54およびローター溝14内にそれぞれ存する。
図3は、所定位置にユニット化エレメントが存しない、図2の一部の詳細を示している。本発明の一実施形態において、シーリングアセンブリは、Oリング60によりシャフトに対してシール可能に係合可能な、ローター50を含んでいる。かかるローターは、その半径方向の内側に位置する溝54を含む、環状フランジ52を有する。かかる溝54は、2つの対向するウオール58aおよび58bを備えている。同様に、ステーター10は、溝14を含む環状フランジ12を有する。かかるステーター溝14も、2の対向するウオール18aおよび18bを備えている。本発明の好ましい実施形態において、対向するウオール58aおよび58b、ならびに、対向するウオール18aおよび18bは、前記シャフトの軸に対してほぼ垂直である。
図3に示す本発明の一実施形態において、対向するウオール58aが、対向するウオール18aと軸方向に配され、対向するウオール58bが、対向するウオール18bと軸方向に配されるよう、ローター溝の対向する各対向ウオールは、ステーター溝の対応する対向ウオールに対して、軸方向に配置されている。この構造は、その中にローター係合部材36とユニット化エレメント30の内部係合部材32が収納される、長方形の断面領域を形成する。
本発明の好ましい実施形態において、ステーター溝の54の少なくとも一のウオール、および、ローター溝14の対応するウオールは、ローター溝ウオール58aおよび58bのペアのいずれかと、対応するステータ溝のウオール18a又は18bが、軸方向に配置されないよう、ずらしてある(are offset)。
かかるオフセットの一例であって、ステーター溝18bの一のウオールが、ステーター20のリアウオールを備えるものが図5に示されている。図5は、図3に示すようなローター溝ウオール58bが存在しないよう、ローター溝の一のウオールが除去された、本発明の他の実施形態も示している。この実施液体において、ユニット化エレメントは、ローター内にフィットするよう押される。圧入による実施形態のユニット化エレメントは、ユニット化エレメントの長さにわたって同じ外寸を備えている。
図7を参照すると、本発明の他の実施形態において、ステーター10は、ユニット化エレメント領域内に入ったオイルの排出を促進するため、さらに、シールの内部シャフト側の上にオイル排出ポート22を備えている。時間とともに、潤滑剤は、ステーターおよびユニット化エレメントを通って漏れ出す。前記のオイル・ドレインポート22は、回転シャフトに油を差すため、シールのベアリング穴側にオイルを環流させるための経路を提供する。
本発明のさらに別の実施形態において、ステーター10は、さらに、ステーターの大気側(atmospheric side)に位置する放出ポート24を備えている。かかる放出ポート24は、シール領域内に入った、どのような汚染物質をも、アセンブリ外に放出することを可能にする。
本発明の好ましい実施形態において、シーリングアセンブリは、ローター50、および、その中にユニット化エレメント30を収納するステーター10を備えている。ユニット化エレメント30のローター係合部材36は、ローター係合部材36の軸の外側がローター溝54の対向するウオールと接触するよう、ローター溝54と係合する。本発明の最も好ましい実施形態において、ローター係合部材36は、動作中の接触および摩擦を最小にするよう、ローター溝54内で”浮く(floats)”。それぞれに対して、ローターおよびステーターの軸シャフトが存在する場合、次に、ローター係合部材36は、ローター溝54の対応するウオールと接触する。
同様に、ステーター係合部材32は、ステーター溝、および/または、溝のウオール18aと接触する。動作中、ユニット化エレメントは、ローターとステーター間に形成されたキャビテイー内で”浮く”。しかし、ユニット化エレメント30に弾力的に取り付けられたステーター係合部材32は、ステーター溝14のウオール18aを接触させることにより、動作中、ユニット化エレメント30を所定位置に保持する手段を提供する。
本発明の、さらに別の実施形態においては、ユニット化エレメント30が、リア部材34も備えている。かかるリア部材34は、互いが軸方向に運動する場合に、ローターとステーターが互いに直接接触することを防止する。ローターがステーターの方に移動すると、ユニット化エレメント30のリア部材34は、ローターとステーターが直接接触する前に、ステーター20のリア部材と接触する。ローター50は、ローター溝54の対向ウオール58aの一つを介して、ユニット化エレメント30と接触し、圧迫する。このアクションは、ステーターのリア部材20に向かって、ユニット化エレメントのリア部材34を押すことになる。ユニット化エレメントは、滑らかなプラスチック材料で構成されていることが好ましいので、ユニット化エレメント30とローター50、ならびに、ユニット化エレメント30とステーター10間の摩擦力は、ローター50とステーター10が直接接触する場合と比べて著しく小さくなる。これにより、ユニット化エレメント30は、ローターおよびステーター・コンポーネント間に耐摩耗性バッファを提供することになる。かかるユニットは、これら2つの部品の摩擦を最小化することにより、ローターおよびステーターの寿命を伸ばすものとして機能する。ユニット化エレメント30がその寿命に達した場合、ローターおよびステーターに関連付けられているものを交換するよりも、短い停止時間、かつ、安いコストで簡単に取り替えることが可能である。
図6に示すように、本発明の他の実施形態において、ステーター10は、Oリング64を用いて、ベアリングハウジング68にシール可能に係合する。かかるOリング64は、ステーターの半径方向の外側に形成された溝内に存する。かかる溝は、溝の片側が溝の反対側のよりも深くなるよう溝の底面が傾斜するような、独特の形状に形成されている。図6に示された構成において、ベアリングハウジング本体から最も近い方の側面は、ベアリングハウジングの本体から遠い方の側面よりも浅い(less deep)。このような構造の効果としては、Oリングを圧迫し、ベアリングハウジングにおける圧力を上昇させて、ベアリングハウジング本体から離れるようステーターを移動させ始めることである。このように圧力が上昇すると、ステーターの動きは停止する。
図6に示す特定角度および位置は、例示に過ぎない。様々な実施形態において、傾斜表面は、一部に溝状の底面を備えてもよいし、あるいは、全部を溝状の底面としてもよい。この原理、および、ローターの半径方向の内側に形成された同様の溝を介し、ローター50を回転シャフトに固定するため、傾斜したOリングの溝を用いることが可能であることが理解される。さらに、好ましくない軸方向の運動が生じた場合、Oリングの圧力を上昇させるため、複数の、実行可能な溝形状(possible groove shape)を用いることもできる。
本発明の他の側面においては、シーリングアセンブリを組み立てる方法が提供される。組み立て中、本発明の一実施形態のユニット化エレメント30は、シーリングアセンブリを形成するため、ステーター10とローター50間に挿入される。かかるシーリングアセンブリの好ましい組み立方法は、まず、ユニット化エレメント30とローター50を係合させるステップ、次に、ユニット化エレメントおよびロテータを、ステーター10およびベアリングハウジングと係合させるステップを備えている。
かかる方法は、さらに、ローター係合部材36、ステーター係合部材32、およびリア部材34を有する、ユニット化エレメント30を提供するステップと、その中に溝54を有する軸方向に伸びる環状ローターフランジ52を有するローターを提供するステップと、ならびに、ユニット化エレメントのローター係合部材36が、ローターの環状フランジ内の溝54に係合するよう、ユニット化エレメント30をローター50内に位置させるステップと、を備えている。ローター係合部材36と、ローター溝58、58bの対向するウオール間の接触により、ユニット化エレメントが確実に所定位置に保持される。
組み立てられたローター50およびユニット化エレメント30は、ステーター10と係合する。かかるステーター10は、ローター50に向かって伸び、その半径方向外側に溝14を有する環状のフランジ12を備えている。ユニット化エレメント30が、環状のフランジ12の周りをスライドするにつれ、ステーター係合部材32は、歪められ、ユニット化エレメントがステーターの環状フランジ周囲の位置にスライド移動可能にするよう空間40内に変形する。ステーター係合部材32が、ステーターリップ16を超えて押されると、ステーター係合部材32は、ステーター溝14内の伸長位置に自由に復元することができる。伸長位置における、かかるステーター係合部材32は、ステーターリップ16の外周を超えてステーター溝14内に伸びている。この位置において、ステーター係合部材32は、ステーターから遠ざかるローターの軸方向の運動を阻止ことにより、ローター10にユニット化エレメント30およびローター50を保持する手段を提供するよう機能する。
この位置において、ユニット化エレメント30は、その間の空間を満たすことにより、ローター50とステーター10を一体化し、ローター溝58a、58bの対向するウオールと接触する。係合部材32は、ステーター10上の溝14内に存在するが、通常の動作においては、対向ウオール18a、18bと接触しない。軸方向の力であって、ステーター10から離れるようローター50を移動させる力が加えられた場合、対向ウオール58bは、ウオール38の領域においてローター係合部材36と接触する。これにより、ユニット化エレメント30は、ローター50と一緒に移動するよう強制される。ユニット化エレメント30の運動は、ステーター係合部材32およびステーター溝14の対向ウオール18aとの接触により阻止される。このアクションにより、ローター、ユニット化エレメント、およびステーターを有するシーリングアセンブリがユニット化される。シーリングアセンブルを分解する唯一手段は、ユニット化エレメントに修復出来ない損傷(irreparably damaged)を負わせのに十分な軸方向の力を加えることである。
シーリングアセンブルにおけるユニット化の効果に加え、ユニット化エレメントは、ローターとステーター間にも非接触関係を生じさせる。ローター50がステーター10へ軸方向に運動した場合、ローターは、ユニット化エレメントに接触し、リア部材34が、ステーターのリアウオール20と接触するようにする。ユニット化エレメント30は、リア部材34が、ローターの環状フランジ52よりも遠くステーター方向に伸びるように設計されている。したがって、ローターの環状フランジがステーターのリアウオールと接触するのが阻止され、これにより、過度の摩耗を防止することにより、ローターおよびステーターの寿命を伸ばすことが可能となる。
特定の実施形態を参照しつつ本発明を説明したが、これらの実施形態は、本発明の原理を説明したものにすぎないことを認識すべきである。当業者であれば、本発明のユニット化エレメントおよびアセンブリを、他の材料、他の方法によって構成し、他の実施形態において実施可能であることを理解する。したがって、ここでの開示が、本発明を限定するものとして理解されるべきでなく、他の実施形態も本発明の範囲内であると、理解すべきである。
Claims (23)
- ローター係合部材、ステーター係合部材、および、リア部材を備えた環状のユニット化エレメントであって、
前記ユニット化エレメントの半径方向の外表面は、その1つがローター係合部材、残りの1つが前記リア部材に相当する、異なる直径を有する2の領域を備え、さらに、
前記ステーター係合部材は、前記環状のユニット化エレメントの半径方向の内側から半径方向内側に向けて伸長していること、
を特徴とするもの。 - 請求項1のユニット化エレメントにおいて、前記異なる直径の2の領域間の接合は、回転軸に対し、ほぼ垂直であること、
を特徴とするもの。 - 請求項1のユニット化エレメントにおいて、前記ステーター係合部材は、前記ユニット化エレメントの軸のほぼ中間点から伸長していること、
を特徴とするもの。 - 請求項1のユニット化エレメントにおいて、前記ユニット化エレメントは、フッ素ポリマー又は樹脂を有すること、
を特徴とするもの。 - 請求項1のユニット化エレメントにおいて、前記ユニット化エレメントは、充てん剤入りのポリテトラフルオロエチレンを有すること、
を特徴とするもの。 - 回転シャフトおよびベアリングハウジングをシールするためのシーリングアセンブリであって、
その半径側に溝を有し軸方向に伸長する、環状の係合フランジを備えたローター、
その半径側に溝を有し軸方向に伸長する、環状の係合フランジを備えたステーター、および
ステータ係合部材、ローター係合部材、および、リア部材を備えた環状のユニット化エレメント、を備え、
前記ローター係合部材は、前記ローターの溝に係合し、
前記ステーター係合部材は、前記ステーターの溝に係合するため、前記ユニット化エレメントから、半径方向に伸長すること、
を特徴とするもの。 - 請求項6のシーリングアセンブリにおいて、前記ローター溝およびステーター溝は、その間に空間を形成するよう、少なくとも一部が軸方向に配されること、
を特徴とするもの。 - 請求項7のシーリングアセンブリにおいてさらに、前記ユニット化エレメントは、少なくともその一部が、前記ローター溝およびステーター溝の配置により形成される前記空間内に保持されること、
を特徴とするもの。 - 請求項6のシーリングアセンブリにおいて、前記ユニット化エレメントは、さらに、1つの領域がローター係合部材に相当し、残りの1つの領域が前記リア部材に相当する、異なる直径を有する2の隣接する領域を備えること、
を特徴とするもの。 - 請求項9のシーリングアセンブリにおいて、前記異なる直径を有する2の領域間の接合は、ウオール部を備えること、
を特徴とするもの。 - 請求項10のシーリングアセンブリにおいて、前記ユニット化エレメントは、前記ステーター溝のウオールとステーター係合部材とを係合させ、前記ローター溝のウオールを前記ユニット化エレメントの異なる直径の前記領域を接続する前記ウオール部に係合させることにより軸方向の運動がなされた場合に、前記ローターおよびステーターの分離を防止すること、
を特徴とするもの。 - 請求項11のシーリングアセンブリにおいて、前記ユニット化エレメントの前記ウオール部は、回転軸に対してほぼ垂直であること、
を特徴とするもの。 - 請求項6のシーリングアセンブリにおいて、前記ローターの前記ステーターへ軸方向の運動が行われた場合、前記ユニット化エレメントは、前記ステーターの外側ウオールと前記ローターの内側ウオールとを係合させることにより、前記ローターとステーター間の接触を防止すること、
を特徴とするもの。 - 請求項6のシーリングアセンブリにおいて、前記ユニット化エレメントは、フッ素ポリマー又は樹脂を有すること、
を特徴とするもの。 - 請求項6のシーリングアセンブリにおいて、前記ユニット化エレメントは、滑らかなプラスチック素材を有すること、
を特徴とするもの。 - 請求項6のシーリングアセンブリにおいて、前記ユニット化エレメントは、充てん剤入りのポリテトラフルオロエチレンを有すること、
を特徴とするもの。 - 請求項6のシーリングアセンブリにおいて、前記ステーターは、さらに、前記シールの内側に排出ポートを備え、潤滑剤は、前記シールから排出され、前記ベアリングハウジング内に環流可能であること、
を特徴とするもの。 - 請求項6のシーリングアセンブリにおいて、前記ステーターは、さらに、前記シールの大気側に放出ポートを備え、前記シールから汚染物質を放出すること、
を特徴とするもの。 - 請求項6のシーリングアセンブリにおいて、前記ステーターは、さらに、前記ステーターをベアリングハウジングにシール可能に係合するためのOリングを備え、前記Oリングは、前記ステーターの半径方向の外周に形成された溝内に存し、前記溝は、前記ステーターが前記ベアリングハウジングから離れる方向の運動を防止するためのロッキング機構を提供するため、内表面の対向端部より浅く形成された内表面を有すること、
を特徴とするもの。 - 請求項6のシーリングアセンブリにおいて、前記ローターは、さらに、前記ローターをシャフトにシール可能に係合するためのOリングを備え、前記Oリングは、前記ステーターの半径方向の内周に形成された溝内に存し、前記溝は、前記ローターが前記ベアリングハウジングから離れる方向の運動を防止するためのロッキング機構を提供するため、内表面の対向端部より浅く形成された内表面を有すること、
を特徴とするもの。 - 回転シャフトおよびベアリングハウジングをシールするシーリングアセンブリを組み立てる方法であって、
その半径側に溝を有し、軸方向に伸長する環状の係合フランジ、を備えたローターを提供するステップ、
ステータ係合部材、ローター係合部材、前記ステータ係合部材および前記ローター係合部材間に領域を有する空間およびリア部材、を備えたユニット化エレメントを提供するステップ、
前記ユニット化エレメントの前記ローター係合部材が、前記ローターの環状の係合フランジの前記溝内に保持されるよう、前記ユニット化エレメントと前記ローターを係合させるステップ、
その半径側に溝を有し、軸方向に伸長する環状の係合フランジ、を備えたステーターを提供するステップ、および
前記ユニット化エレメントが所定位置につくまで、前記ステーター係合部材が前記空間上に屈曲し、次に、前記前記ステーター係合部材が、前記ステーター溝の前記領域内に伸長するよう、前記ローターおよび前記ユニット化エレメントと前記ステーターを係合させるステップ、を備えること、
を特徴とするもの。 - 請求項21の方法において、前記ユニット化エレメントは、さらに、充填剤入りのポリテトラフルオロエチレンを有すること、
を特徴とするもの。 - 請求項21の方法において、前記ローター溝およびステーター溝は、その間に空間を形成するよう、少なくとも一部が軸方向に配され、前記ユニット化エレメントは、前記空間内に存すること、
を特徴とするもの。
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