JP2011058462A - 燃料噴射装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】エマルション燃料を利用するエンジンにおいて、燃料噴射弁内の金属の腐食を防止するとともに、エンジンの早期停止を図り、エミッション、燃費の改善効果を維持する。
【解決手段】燃料噴射装置100は、軽油を蓄える第1タンク1と、水を蓄える第2タンク2と、第1タンク1の軽油と第2タンク2の水とを混合し、エマルション燃料を生成するミキサ3と、筒内へ噴射される燃料が供給される噴射燃料通路47と、噴射動作に用いられる軽油が供給される作動流体通路48とが形成された燃料噴射弁4と、噴射燃料通路47へ供給する燃料を軽油またはエマルション燃料のいずれかに切り替える切替弁5と、を備え、切替弁5はエンジン200が停止する場合、噴射燃料通路47へ軽油のみを供給する。
【選択図】図1
【解決手段】燃料噴射装置100は、軽油を蓄える第1タンク1と、水を蓄える第2タンク2と、第1タンク1の軽油と第2タンク2の水とを混合し、エマルション燃料を生成するミキサ3と、筒内へ噴射される燃料が供給される噴射燃料通路47と、噴射動作に用いられる軽油が供給される作動流体通路48とが形成された燃料噴射弁4と、噴射燃料通路47へ供給する燃料を軽油またはエマルション燃料のいずれかに切り替える切替弁5と、を備え、切替弁5はエンジン200が停止する場合、噴射燃料通路47へ軽油のみを供給する。
【選択図】図1
Description
本発明は、エマルション燃料を利用するエンジンの燃料噴射装置に関する。
ディーゼルエンジンの燃料中に水やアルコールを含有させたエマルション燃料を用いることが知られている。エマルション燃料を用いた場合、水分の気化潜熱により燃焼温度が低下し、NOXの生成量が低下する。また、水分の爆発的な沸騰作用により燃料噴霧が微粒化され、スモークの発生が低減される。これにより、エミッションが低減し、さらに燃費が改善される。
ところが、エマルション燃料は水分を含むことから錆などの金属部の腐食の原因となりやすい。このため、エンジン停止後に機関内におけるエマルション燃料の残存を防止することが求められる。特許文献1のディーゼル機関では、乳化信号OFF信号を受け取ると、エマルション燃料の生成を中止し無加水運転を行うとともに、燃料噴射弁の作動用燃料(リターン燃料)から水を分離することが行われている。
ところで、燃料噴射弁の噴射動作を司るアクチュエータ部は形状が複雑であるため特にエマルション燃料が残りやすい。また、アクチュエータ部は作動用燃料を蓄える部分の容積が大きいことからエマルション燃料を排出するのに時間を要する。したがって、エンジン停止前に無加水の燃料でアイドリングを行い、アクチュエータ部からエマルション燃料を除去する時間を確保する必要がある。このため、余分に運転時間を延長することとなり、利便性を損なうとともに、エミッション低減、燃費削減のメリットが低下してしまう。
そこで、本発明は、エマルション燃料を利用するエンジンにおいて、燃料噴射弁内の金属の腐食を防止するとともに、エンジンの早期停止を図り、エマルション燃料を利用することによるエミッション、燃費の改善効果を維持することを目的とする。
かかる課題を解決する本発明の燃料噴射装置は、主燃料を蓄える第1タンクと、水またはアルコールを蓄える第2タンクと、前記第1タンクの主燃料と前記第2タンクの水またはアルコールとを混合し、エマルション燃料を生成するミキサと、筒内へ噴射される燃料が供給される噴射燃料通路と噴射動作に用いられる前記主燃料が供給される作動流体通路とが形成された燃料噴射弁と、前記噴射燃料通路へ供給する燃料を前記主燃料または前記エマルション燃料のいずれかに切り替える切替手段と、を備え、前記切替手段はエンジンが停止する場合、前記噴射燃料通路へ主燃料のみを供給することを特徴とする。
このような構成とすることにより、燃料噴射弁の噴射動作を司るアクチュエータ部である作動流体通路内へ主燃料のみが供給され、作動流体通路内の金属の腐食を防止できる。さらに、上記構成では、エンジン停止時に噴射燃料通路のフラッシングをする際に、アクチュエータ部からエマルション燃料を抜き取る時間を必要としない。このため、エンジン停止までのアイドリング時間を減少し、早期にエンジンを停止できる。これにより、エマルション燃料を用いることによるエミッション、燃費の改善効果を維持できる。
上記燃料噴射装置において、前記燃料噴射弁は、前記噴射燃料通路と前記作動流体通路とを連通する連通路と、前記噴射燃料通路内から前記作動流体通路内へ向かう前記連通路内の燃料の流通を防止する逆流防止手段、を備えた構成とすることができる。このような構成とすることにより、エンジン停止時のフラッシング実行時に生じる作動流体通路内と噴射燃料通路内との圧力差により、噴射燃料通路内への主燃料の流通が促進される。これにより、噴射燃料通路内のフラッシングを早期に完了することができる。したがって、早期にエンジンを停止し、エマルション燃料を用いることによるエミッション、燃費の改善効果を維持できる。
本発明は、エマルション燃料を利用するエンジンにおいて、燃料噴射弁内の金属の腐食を防止できる。また、エンジンの早期停止を図り、エミッション、燃費の改善効果を維持することができる。
以下、本発明を実施するための形態を図面と共に詳細に説明する。
本発明の実施例1について図面を参照しつつ説明する。図1は本実施例の燃料噴射装置100を搭載したエンジン200の概略構成を示した説明図である。燃料噴射装置100は、主燃料である軽油を蓄える第1タンク1と、水を蓄える第2タンク2と、第1タンク1内の軽油と第2タンク2内の水とを混合し、エマルション燃料を生成するミキサ3と、燃料噴射弁4と、切替弁5とを備えている。なお、第2タンク2内に蓄える液体は、水に替えてアルコール、あるいは水とアルコールの混合液でも良い。
燃料噴射弁4は、エンジン200のシリンダヘッド110、シリンダブロック120、ピストン130とに囲まれて形成される燃焼室140内へ先端部を向けて配置されている。燃料噴射弁4は燃焼室140内へ噴射する燃料が供給される噴射燃料用供給口41と、噴射動作に用いられる燃料が供給される作動流体用供給口42とを備えている。
さらに燃料噴射装置100は、第1燃料ライン6と機能流体ライン7とエマルション燃料ライン8と噴射燃料ライン9とを備えている。第1燃料ライン6は第1タンク内1と作動流体用供給口42とを接続し、機能流体ライン7は第2タンク2内とミキサ3とを接続し、エマルション燃料ライン8はミキサ3と切替弁5とを接続している。そして、噴射燃料ライン9は切替弁5と噴射燃料用供給口41とを接続している。
また、第1燃料ライン6には第1タンク1側から順に第2燃料ライン10、第3燃料ライン11が分岐している。第2燃料ライン10は、第1燃料ライン6とミキサ3とを接続している。第3燃料ライン11は第1燃料ライン6と切替弁5とを接続している。
第1燃料ライン6、第2燃料ライン10、第3燃料ライン11内は第1タンク1内に蓄えられた軽油が流通する。機能流体ライン7内は、第2タンク2内に蓄えられた水が流通する。エマルション燃料ライン8はミキサ3により軽油と水とが混合されたエマルション燃料が流通する。噴射燃料ライン9はエマルション燃料ライン8を通過したエマルション燃料が流通する場合と、第3燃料ライン11を通過した軽油が流通する場合とがある。噴射燃料ライン9へ供給する燃料は、切替弁5によりエマルション燃料または軽油のいずれかに切り替えられる。
さらに燃料噴射装置100は、第1ポンプ12、作動流体用コモンレール13、第2ポンプ14、噴射燃料用コモンレール15を備えている。第1ポンプ12、作動流体用コモンレール13は、第1燃料ライン6上に第3燃料ライン11の分岐点側から第1ポンプ12、作動流体用コモンレール13の順に設けられている。第2ポンプ14、噴射燃料用コモンレール15は、噴射燃料ライン9上に切替弁5側から第2ポンプ14、噴射燃料用コモンレール15の順に設けられている。
第1ポンプ12は、軽油を作動流体用コモンレール13へ供給する。作動流体用コモンレール13は、作動流体を高圧状態で維持するとともに、燃料噴射弁4の作動流体用供給口42へ供給する。第2ポンプ14は、切替弁5を通過したエマルション燃料、もしくは軽油を噴射燃料用コモンレール15へ供給する。噴射燃料用コモンレール15は、噴射燃料、すなわち、エマルション燃料、もしくは軽油を高圧状態で維持するとともに、燃料噴射弁4の噴射燃料用供給口41へ供給する。
次に、燃料噴射弁4の概略構成を説明する。図2は燃料噴射弁4の概略構成の説明図である。燃料噴射弁4はノズルボディ43を備えている。ノズルボディ43の内部には、先端側から順に燃料溜り室44、制御室45、収納室46が形成されている。このノズルボディ43の基端側には、噴射燃料用供給口41と作動流体用供給口42とが形成されている。
燃料溜り室44と噴射燃料用供給口41とは、噴射燃料通路47により連通されている。従って、燃料溜り室44と噴射燃料通路47とには、筒内(燃焼室140)へ噴射されるエマルション燃料または主燃料である軽油が供給される。一方、制御室45と作動流体用供給口42とは、作動流体通路48により連通されている。また、収納室46は制御室45と連通している。従って、制御室45、収納室46、作動流体通路48には、噴射動作に用いられる主燃料、すなわち軽油が供給される。
また、燃料溜り室44の先端部には噴孔49が設けられている。さらに、燃料溜り室44にはニードル51、制御室45にはコマンドピストン52、収納室46には電磁弁53及びコイル54が、それぞれ収納されている。ニードル51の基端側は大径になっており、この大径部51aにより燃料溜り室44と制御室45とを分断する。そして、大径部51aとノズルボディ43の内壁43aとの間にシールリング55を設け、燃料溜り室44内の燃料と、制御室45内の燃料とが混合されないようになっている。
燃料噴射弁4では、コイル54への通電により電磁弁53を動作して制御室45内の圧力を低下することにより、ニードル51を基端側へ移動させて噴孔49から燃料を噴射させる構成である。
次に、本実施例の燃料噴射装置100の動作と効果を説明する。切替弁5は例えば、ECU(図示しない)等のコンピュータの制御に従って流路を切り替える。切替弁5はエンジン200が通常運転される場合に、エマルション燃料ライン8から供給されるエマルション燃料が噴射燃料ライン9へと供給されるように通路を切り替える。一方、切替弁5は、エマルション燃料供給OFFの信号に伴い、第3燃料ライン11から供給される軽油が噴射燃料ライン9へと供給されるように通路を切り替える。エマルション燃料供給OFFの信号は、例えば、エンジン200の停止を指示する信号である。噴射燃料ライン9へ軽油を供給することにより、切替弁5よりも下流側の噴射燃料ライン9、第2ポンプ14、噴射燃料用コモンレール15等の内部のエマルション燃料を燃料噴射弁4へと送り出す。さらに、燃料噴射弁4内の噴射燃料通路47、燃料溜り室44、噴孔49内のエマルション燃料は燃焼室140内へ噴出されて排出される(フラッシング)。このように、噴射系の通路内からエマルション燃料が排出されることにより、噴射系の金属部分の腐食を防止する。ここで、噴射系とは燃料噴射弁4内の噴射燃料通路47内、燃料溜り室44内、噴孔49内、及び噴射燃料ライン9、第2ポンプ14、噴射燃料用コモンレール15等エマルション燃料が流通する部位を示す。
一方、ニードル51の開閉を司るアクチュエータ部分である制御室45、収納室46、作動流体通路48内へは、エマルション燃料が供給されていないため、エマルション燃料に含まれる水分による金属部分の腐食を考慮する必要がない。また、エマルション燃料の排出を行う必要がない。従って、噴射系の通路内のフラッシングが完了したら、エンジン200を停止することができる。このため、無駄なエンジンの運転を減少させてエミッションを低減し、燃費を向上することができる。また、燃料噴射弁4は、シールリング55のように、噴射燃料通路47内から作動流体通路48内へ燃料が流入することを抑制するシールを備えている。これにより、アクチュエータ部分へエマルション燃料が混入することが防止され、燃料噴射弁4のアクチュエータ部における金属部分の腐食が防止される。
次に、他の実施形態を説明する。以下説明する実施の形態は、燃料噴射弁の構造が上記実施例1の燃料噴射弁4の構造と相違する。図3は、他の実施形態の燃料噴射弁の内部の概略構成を示した説明図である。図3(a)、(b)、(c)はそれぞれ異なる構造を成している。
図3(a)の燃料噴射弁60は、噴射燃料通路47と作動流体通路48とを連通する連通路61と、固定絞り62とを備えている点で燃料噴射弁4と相違する。
図3(b)の燃料噴射弁70は、噴射燃料通路47と作動流体通路48とを連通する連通路71と、作動流体通路48側から噴射燃料通路47側への軽油の流通のみを許可する逆止弁72を備えている点で燃料噴射弁4と相違する。
図3(c)の燃料噴射弁80は、噴射燃料通路47と作動流体通路48とを連通する連通路81と、作動流体通路48側から噴射燃料通路47側への軽油の流通のみを許可する連通路電磁弁82と、連通路電磁弁82の動作を制御する連通路コイル83を備えている点で燃料噴射弁4と相違する。なお、燃料噴射弁60、燃料噴射弁70、燃料噴射弁80において、その他の構成は燃料噴射弁4のものと同一であるため、同一の構成要素については、図面中、同一の参照番号を付し、その詳細な説明は省略する。
燃料噴射弁60、70、80を組み込んだ燃料噴射装置100では、フラッシング時に作動流体通路48内の圧力が噴射燃料通路47内の圧力よりも高圧となることを利用して、作動流体通路48側から噴射燃料通路47側へ軽油を流入させる。これにより、噴射燃料通路47等の噴射系のエマルション燃料の排出時間が短縮する。これにより、エンジン200の停止までの時間が短縮するため、エミッションが低減し、燃費が向上する。
上記実施例は本発明を実施するための例にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、これらの実施例を種々変形することは本発明の範囲内であり、さらに本発明の範囲内において、他の様々な実施例が可能であることは上記記載から自明である。
1 第1タンク
2 第2タンク
3 ミキサ
4 燃料噴射弁
47 噴射燃料通路
48 作動流体通路
5 切替弁
55 シールリング
61、71、81 連通路
62 固定絞り
72 逆止弁
82 連通路電磁弁
83 連通路コイル
2 第2タンク
3 ミキサ
4 燃料噴射弁
47 噴射燃料通路
48 作動流体通路
5 切替弁
55 シールリング
61、71、81 連通路
62 固定絞り
72 逆止弁
82 連通路電磁弁
83 連通路コイル
Claims (2)
- 主燃料を蓄える第1タンクと、
水またはアルコールを蓄える第2タンクと、
前記第1タンクの主燃料と前記第2タンクの水またはアルコールとを混合し、エマルション燃料を生成するミキサと、
筒内へ噴射される燃料が供給される噴射燃料通路と、噴射動作に用いられる前記主燃料が供給される作動流体通路とが形成された燃料噴射弁と、
前記噴射燃料通路へ供給する燃料を前記主燃料または前記エマルション燃料のいずれかに切り替える切替手段と、
を備え、前記切替手段はエンジンが停止する場合、前記噴射燃料通路へ主燃料のみを供給することを特徴とする燃料噴射装置。 - 前記燃料噴射弁は、前記噴射燃料通路と前記作動流体通路とを連通する連通路と、
前記噴射燃料通路内から前記作動流体通路内へ向かう前記連通路内の燃料の流通を防止する逆流防止手段と、
を備えた請求項1乃至3のいずれか一項記載の燃料噴射装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009210823A JP2011058462A (ja) | 2009-09-11 | 2009-09-11 | 燃料噴射装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009210823A JP2011058462A (ja) | 2009-09-11 | 2009-09-11 | 燃料噴射装置 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2011058462A true JP2011058462A (ja) | 2011-03-24 |
Family
ID=43946368
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2009210823A Pending JP2011058462A (ja) | 2009-09-11 | 2009-09-11 | 燃料噴射装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2011058462A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2013096280A1 (en) * | 2011-12-23 | 2013-06-27 | Caterpillar Inc. | Dual fuel injector with crossover valve |
JP2015004310A (ja) * | 2013-06-20 | 2015-01-08 | 独立行政法人海上技術安全研究所 | 燃料噴射装置及びそれを用いた陸舶産業用内燃機関 |
JP2020073803A (ja) * | 2012-09-28 | 2020-05-14 | 旭化成株式会社 | 内燃機関の運転方法および空気供給装置 |
-
2009
- 2009-09-11 JP JP2009210823A patent/JP2011058462A/ja active Pending
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US8997720B2 (en) | 2011-12-23 | 2015-04-07 | Caterpillar Inc. | Dual fuel injector with crossover valve |
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