以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、同じ構成要素には同じ符号を付しており、説明を省略する場合もある。また、図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示している。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるシリンジ駆動装置100の概略構成を示す図で、(a)はシリンジ駆動装置100全体の斜視図、(b)はシリンジ駆動装置100の容器保持部101の上面図である。
図1(a)に示すように、シリンジ駆動装置100は、シリンダー6とピストン10とから構成されるシリンジ5を駆動させるためのシリンジ駆動装置である。このシリンジ駆動装置100は、シリンジ駆動部102と容器保持部101とから構成されている。シリンジ駆動部102は、シリンダー6を保持するシリンダー保持部7と、シリンダー6に挿入されるピストン10をシリンダー6の中心軸6aに沿って駆動させるピストン駆動部103と、を備えている。また、容器保持部101は、薬剤容器101aをシリンダー6の中心軸6aに沿って直動自在に保持するものであって、例えばネジ101bなどによりシリンダー保持部7に支持されている。
図1(a)に示すように、ピストン駆動部103は、保持されるシリンダー6の中心軸6aに直交する方向において、その両側が、第1の駆動手段104および第2の駆動手段105に係合されている。そして、本実施の形態1のシリンジ駆動装置100は、薬剤容器101aを保持した容器保持部101をシリンダー6の中心軸6aに沿って摺動(直動)させて薬剤吸引の準備を行なった後に、ピストン駆動部103によりピストン10を往復駆動することによりシリンダー6内に薬剤を吸引する構成とした。
この構成により、図1(a)に示すように、薬剤容器101aを所定の領域の中を往復または回転させるだけで、薬剤容器101aからの薬剤吸引の準備を行うことができる。本実施の形態1では、シリンジ駆動部102の基準面103aに対して、少なくとも所定の距離だけ離れた位置に薬剤容器101aが保持される構造としている。この構造により、シリンジ5の注液口8に取り付けられた注射針8aの先端8bが、薬剤容器101aから一定の距離だけ離れることになる。さらに図1(a)のような構造により、薬剤容器101aを手で保持する必要がないと共に、薬剤吸引の準備を簡単に行うことができる。
このことにより、薬剤容器101aやシリンジ5の扱いに熟練を要することなく簡単かつ安全に取り扱うことができ、薬剤を吸引する作業などを簡単に安全に行うことができる。
図1(a)および図1(b)に示すように、シリンダー保持部7に保持されたシリンジ5の注液口8の近傍に、中心軸6aに沿って容器保持部101が支持されている。この容器保持部101は、直動保持部101cの先端部101dに配置された回動保持部101eに、薬剤容器101aを保持している。
また、容器保持部101は、回動保持部101eとシリンダー保持部7に摺動自在に支持された直動保持部101cの支持部101fとの間に、さらに回動自在な針ホルダー101gを備えている。
この構成により、注射針8aをシリンダー6の注液口8に着脱する時に注射針8aの先端8bが動く範囲を限定し、注射針8aが存在する空間を限定できる。そのため、注射針取付け時などでの針刺し事故などを防止することができる。また、シリンダー6の注液口8に指などが触れて、その接触による汚染などを防止することもできる。
この構成により、薬剤容器101aを図1(a)および図1(b)に示すように横向きにして保持し、注射針8aが付いたシリンジ5を矢印101hの方向に近づける(または遠ざける)ことにより、薬剤容器101aに注射針8aを挿入する(または抜き取る)ことができる。その結果、薬剤を吸引する作業などを正確かつ簡単に安全に行うことができる。なお、注射針8aを薬剤容器101aに挿入した場合には、薬剤容器101aは、容器保持部101を介して、直接にシリンダー保持部7により保持される。そのため、プランジャ10aでガスケット10bを引くことにより、薬剤容器101aの中の薬剤を吸引することができる。以上説明したように、本実施の形態1においては、薬剤容器101aを特別に支持する必要がない。
次に、本実施の形態1のシリンジ駆動装置100のシリンジ駆動部102の構成および動作について説明する。
図2は、本発明の実施の形態1におけるシリンジ駆動部102の概略構成を示す図で、(a)はシリンジ駆動部102の斜視図、(b)はシリンジ駆動部102のシリンジ5近傍の主要部を示す上面図である。図3は、同実施の形態1におけるシリンジ駆動部102の機構部の第一形態を示す斜視図である。図4は、同実施の形態1におけるシリンジ駆動部102の機構部の第二形態を示す斜視図である。
なお、図2(b)、図3、図4は、本体ケース1とカバー部38を外した状態のシリンジ駆動部102の機構部を示した図であり、これらの図においては、本体ケース1とカバー部38を外した状態で説明している。なお、カバー部38は左右一対のカバー部により構成されている。
図2(a)において、シリンジ駆動部102は、本体ケース1と、この本体ケース1の下部に設けられた握り手部2を備えている。
本実施の形態1では、このシリンジ駆動部102は携帯型としており、握り手部2を例えば右手で拳銃を握る要領で握った状態で、この図1の向こう側に回った人差し指の先で、操作ボタン3、4を操作する。また、他の指は握り手部2に設けられた指置き面2aによりシリンジ駆動装置100を握っている。
また、本体ケース1の上方には、図3に示すように、シリンジ5のシリンダー6を保持するシリンダー保持部7を設けている。
シリンジ5は、図4からも理解されるように、一端の注液口8と他端の開口9とをそれぞれ有する筒状のシリンダー6と、このシリンダー6の他端の開口9からシリンダー6内に挿入されたピストン10と、から構成されている。
シリンダー6を保持するシリンダー保持部7は、断面が半円状で上面が開口した凹部により形成されている。そして、このシリンダー保持部7内にシリンダー6の後部(他端の開口9側)が図2から図4に示すごとく収納された状態で、シリンダー6の上面に、押さえ具11が装着される。
押さえ具11は、その一端側11aに軸12が設けられ、また、この軸12の下方にはばね(図示せず)が配置されており、他端側11bは遊端となっている。そして、一端側11aをばねの引っ張り力に抗して一度持ち上げ、持ち上げた状態で他端側11bを反時計方向に90度回動させることができる構成である。
このため、シリンダー保持部7にシリンダー6を保持させる時には、先ずはこの押さえ具11の一端側11aをばねの引っ張り力に抗して一度持ち上げ、次にその状態で他端側11bを反時計方向に90度回動させて、シリンダー保持部7の上面を開放し、その後シリンダー保持部7にシリンダー6を保持させる。
そして、その状態で、押さえ具11の他端側11bを時計方向に90度回動させて、図2のように、この押さえ具11でシリンダー6を押さえ、シリンダー6を固定する。このようにして、シリンジ駆動部102へのシリンダー6のセットを完了させる。
なお、押さえ具11の他端側11bには、図2に示すロック爪13を設けており、シリンダー6のセット完了後、この押さえ具11にロック爪13を係合させることで、押さえ具11によるシリンダー6の固定が不用意に外れるのを防止している。このロック爪13は、押さえ具11よりも高さをずらして、ロック爪13が押さえ具11よりも高くなるように構成されている。この構成により、ロック爪13が押さえ具11に係合されている状態でも、ロック爪13がつまみ易くなっており、操作し易くなっている。
なお、シリンダー6の後端(開口9側)には、滑り止め用のフランジ14が設けられているので、シリンダー保持部7には、そのフランジ14がはまり込む溝(図示せず)を設けている。そのため、図2や図4のように、シリンダー保持部7にシリンダー6をセットした状態でも、この溝によってフランジ14の位置が規定されるので、シリンダー6の中心軸6aの方向と水平保持状態が確保されるようになっている。
シリンダー6内に開口9から挿入されたピストン10の後端(シリンダー6外方部分)には、図4に示すごとく鍔15が設けられており、この鍔15はピストン操作桿16に当接している。そして、この状態でピストン10をピストン操作桿16部分に拘束するために、鍔15を挟んでピストン操作桿16とは反対側に、図4に示すようにピストン拘束部17を設けている。
ピストン拘束部17も押さえ具11と同じように、その一端側17aに軸18が設けられ、またこの軸18の下方にはばね(図示せず)が配置されており、さらに他端側17bは遊端となっている。そして、一端側17aをばねの引っ張り力に抗して一度持ち上げ、その状態で他端側17bを、図4の時計方向に90度回動させることが出来るようになっている。
このため、ピストン10をピストン操作桿16に拘束させる時には、先ずこのピストン拘束部17の一端側17aをばねの引っ張り力に抗して一度持ち上げ、次にその状態で他端側17bを時計方向に90度回動させて、ピストン10の上面を開放し、その後ピストン10の後端の鍔15をピストン操作桿16に当接させる。このピストン操作桿16には、ピストン10の鍔15用の溝(図示せず)が設けられており、この溝に鍔15をはめ込むことで、ピストン10の中心軸の方向と水平保持状態が確保されるようになっている。
そして、その状態で、ピストン拘束部17の他端側17bを反時計方向に90度回動させて、図2や図4のように、ピストン10をピストン拘束部17で拘束し、ピストン10のセットが完了する。
なお、ピストン拘束部17の他端側17bには、図4に示すロック爪19を設けている。そのため、ピストン10のセット完了後に、このロック爪19をピストン拘束部17に係合させることで、ピストン拘束部17によるピストン10の拘束が不用意に外れるのを防止している。このロック爪19は、ピストン拘束部17よりも高さをずらして、ロック爪19がピストン拘束部17よりも高くなるように構成されている。この構成により、ロック爪19がピストン拘束部17に係合されている状態でも、ロック爪19がつまみ易くなっており、操作し易くなっている。
すなわち、シリンダー保持部7は、シリンダー押さえ具11とロック機構とを備え、ピストン駆動部は、ピストン拘束部17とそのロック機構とを備えるピストン操作桿16である構成としている。ここで、ロック機構は上述のようにロック爪13、19を含んで構成されている。
この構成により、シリンダー6の固定やピストン10の拘束が不用意に外れることを防止し、これらを確実に固定することができる。
また、ピストン拘束部17とピストン操作桿16との間に、シリンダー保持部7に保持されたシリンダー6に挿入されるピストン10の鍔15が配置される構成としている。
この構成により、ピストン10の中心軸の方向と水平保持状態とを確保することができる。
さて、ピストン操作桿16は、この図4に示すように、ピストン10の中心軸に直交する両側にその両端が延長され、この両端で、円柱状のラック20、21の後端と結合されている。
これらラック20、21の中間部分は、シリンダー保持部7の両側に設けた軸部22、23で軸支されている。また、ラック20、21の先端側(ピストン操作桿16と結合した後端の反対側)には、図3に示すように抜け止め部24、25が装着されている。
軸部22、23の下方には、それぞれ切欠26a、26bが設けられており、この切欠26a、26b部分でラック20、21の下辺部に設けた歯27a、27bが、下方へと表出している。
また、軸部22、23のそれぞれの切欠26a、26b下方には、歯車(ピニオン)28、29が設けられており、これらの歯車28、29が、軸部22、23の切欠26a、26b部分で、ラック20、21の歯27a、27bに係合している。
さらに、歯車28、29には、その下方で歯車30、31が係合しており、これらの歯車30、31と、その間に設けた歯車32は一体に回転するように構成されている。
つまり、歯車30、31、32は、一つの軸33に固定されており、軸33が左右の軸受け34、35で軸支されているので、これらの歯車30、31、32は、一体に回転する。
また、その状態で、歯車32には、ウォームギヤ36が係合しており、このウォームギヤ36にはモータ37が結合されている。
第1の駆動手段104および第2の駆動手段105は、それぞれ、シリンダー保持部7に保持されるシリンダー6の中心軸方向6aに可動するラック20、21と、ラック20、21に螺合したピニオン28、29とにより構成されている。
この構成により、ピストン10の中心軸に対して左右対称の駆動力伝達系が構築されるため、ピストン10の駆動部に働くモーメント荷重を打ち消すことができる。したがって、モーメント荷重に耐えるようにピストン10の駆動部を大型化する必要がなく、コンパクトに小型化することができる。
本実施の形態1においては、図2に示した握り手部2を、例えば右手で拳銃を握る要領で握った状態で、この図2の向こう側に回った人差し指の先で操作ボタン3を操作すると、モータ37が正転し、歯車28から32を介して、ラック20、21およびピストン操作桿16が図2の矢印102aの方向にピストン10を駆動する。これにより、図3に示す状態から図4に示す状態になり、注液口8に設けた注射針8aが差し込まれた薬剤の瓶内から薬剤をシリンダー6内に吸引することが出来る。
すなわち、図2(a)および(b)に示すように、本実施の形態1のシリンジ駆動部102は、シリンダー6とピストン10とから構成されるシリンジ5を駆動させるための装置である。ここでは、第1の駆動手段104および第2の駆動手段105が、矢印102aの方向にシリンジ5内のピストン10を駆動させている。
本実施の形態1のシリンジ駆動部102は、シリンダー6を保持するシリンダー保持部7と、シリンダー保持部7に保持されるシリンダー6に挿入されるピストン10をその中心軸6aに沿って駆動させるピストン操作桿16を含むピストン駆動部103とを備えている。
このピストン駆動部103は、保持されるシリンダー6の中心軸6aに直交する方向における一方の側が、ラック20と軸部23を含む第1の駆動手段104に係合され、他方の側が、ラック21と軸部22を含む第2の駆動手段105に係合されている。そして、握り手部2の指置き面2aから所定の位置にシリンジ基準面7cを配置し、そのシリンジ基準面7cから針8aの先端8bの位置までの長さが一定の長さL1となるように構成している。
この構成により、ピストン駆動部103は一対の駆動手段104、105でピストン10を駆動させるので、大きな片方向モーメント荷重がかかることのないシリンジ駆動部102およびシリンジ駆動装置100を実現することができる。
本実施の形態1では、ピストン10を完全に押し込んだ状態での一対の駆動手段104、105の先端部20a、21aと、シリンジ5の目盛40を読み取るガスケット10bの基準位置10cと、の位置を中心軸6aに直交する面において、同じ面上になるように配置している。したがって、薬剤容器101a(例えば、輸液パック)への注薬混合などを行う時に針8aの先端8bの位置が一定であり、シリンジ5の目盛40が見やすく、混合作業を正確かつ容易に行うことができる。
ここで、図2(b)に示すように、シリンダー6内のガスケット10bが、ピストン10によりシリンダー6の注液口8の近傍の位置まで押し出された場合の構成を考える。この場合、第1の駆動手段104および第2の駆動手段105の先端部20a、21aの位置が、シリンジ5の目盛40を読み取るガスケット10bのガスケット基準位置10cと中心軸6aに直交する面において、同じ面上になるように配置されている。すなわち、先端部20a、21aの面と上記のガスケット10bのガスケット基準位置10cとが、中心軸6aに垂直なライン10dを含む面と同じ面上に配置されている。
この構成により、シリンダー6の目盛40の位置が、第1の駆動手段104および第2の駆動手段105により遮られにくくなるので、シリンジ5の目盛40が見やすく、作業性良く薬剤容器101a(例えば、輸液パック)への注薬混合などを行うことができる。
また、先端部20a、21aの位置を、ガスケット10bのガスケット基準位置10cと同じ位置に配置すると、ガスケット10bの基準位置10cが見えにくく目盛40が読みづらい時でも、先端部20a、21aの位置により目盛40を読み取ることができる。また、シリンジ5と対向した側面とは反対側のラック20、21の側面に目盛を刻み、軸部22、23にラック20、21が引き込まれていく部分の目盛を読むことにより、シリンジ5により吸引した薬剤の量を読み取ることもできる。
また、第1の駆動手段104および第2の駆動手段105の先端部20a、21aの位置をガスケット10bのガスケット基準位置10cと同じ位置に配置すると、中心軸6aに沿った方向の長さを抑えることができ、シリンジ駆動部102を小型化することができる。
次に、本実施の形態1のシリンジ駆動部102の動作を具体的に説明する。図2から図4では図示していない図面もあるが、注液口8には、図2(a)に示すように注射針8aが装着される。本実施の形態1のシリンジ駆動部102の使用者は、右手で握り手部2を握り左手で薬瓶を持った状態で、注射針8aを薬液容器101aに挿入する。
そして、この状態で、操作ボタン3を操作すると、モータ37が正転し、これにより歯車30、31、32が図3において反時計方向に回転し、それにより歯車28、29が時計方向に回転する。すると、左右のラック20、21が図3の状態から図4の状態へと後方(図2の矢印102aの方向)に移動する。
図4に示したように、ラック20、21の後端には、ピストン操作桿16が結合されており、またこのピストン操作桿16とピストン拘束部17でピストン10が拘束されている。そのため、左右のラック20、21が図3の状態から図4の状態へと後方(図2の矢印102aの方向)に移動すると、ピストン拘束部17または鍔15用の溝に押されてピストン10がシリンダー6外方向(図2の矢印102aの方向)へと引き出される。これにより、薬剤を薬液容器101a内からシリンダー6内に吸引することができる。
また、次の薬剤をシリンダー6内に吸引するためには、操作ボタン3の操作をやめてモータ37の回転を止めて、この吸引動作を停止した後に、薬液容器を交換して、同様に吸引動作を行わせる。
そして、このようにしてシリンダー6内に複数種類の薬剤を吸引することにより、シリンダー6内で薬剤の調合(混合)が行われた状態となる。
薬剤の吸引と調合が完了すると、今度は握り手部2を握った右手の人差し指で操作ボタン4を操作する。すると、モータ37が反転し、これにより歯車30、31、32が図3において時計方向に回転し、それにより歯車28、29が反時計方向に回転する。すると、左右のラック20、21が図4の状態から図3の状態へと前方(図2の矢印102cの方向)に移動する。
このように、左右のラック20、21が図4の状態から図3の状態へと前方(図2の矢印102cの方向)に移動すると、ピストン操作桿16に押されてピストン10がシリンダー6内に押し込まれ、これにより薬剤が、シリンダー6内から、例えば輸液パックへと押し出される。
以上の動作説明で理解されるように、本実施の形態1では、ピストン10をシリンダー6内から引き出す、あるいは押し込む時に、ピストン10の鍔15にピストン操作桿16とピストン拘束部17から動力を伝える。そして、この動力は、ピストン10の中心軸の左右からラック20、21により供給される構造となっている。すなわち、モータ37の出力はウォームギヤ36から歯車32に伝えられ、軸33を介して一体に構成された歯車30と31とに分配される。歯車30と31に分配された力は、それぞれ歯車28と29を介してラック21と20に伝達される。ピストン10の中心軸の左右に位置するラック21と20に伝達された力は、ピストン操作桿16及びピストン拘束部17を介してピストン10を駆動する力となる。
既に出願したシリンジ駆動装置にも記載しているように、ピストン10の中心軸に対して略左右対称の駆動力伝達系が構成されているため、ピストン10の駆動部(ピストン操作桿16とピストン拘束部17)に働くモーメント荷重は打ち消される。その結果として、ピストン10を駆動させる伝達系は、大きなモーメント荷重に耐えるものとする必要は無くなる。さらには、これによりシリンジ駆動部102およびシリンジ駆動装置100自体の小型化,軽量化も達成できる。
また、片手での携帯型とすることに関連して、本実施の形態1のシリンジ駆動装置100は、その使用者の安全性にも十分に配慮した構成としている。
図5は、本発明の実施の形態1における他のシリンジ駆動装置200の概略構成を示す図で、(a)はシリンジ駆動装置200全体の斜視図、(b)はシリンジ駆動装置200の容器保持部201の上面図である。
図5のシリンジ駆動装置200は、図1のシリンジ駆動装置100とは異なり、容器保持部201の直動保持部201cが左右一対の互いに平行なバー形状ではなく、針ホルダー201gおよび薬剤容器101aを保持する回動保持部201eのところで絞り込まれて近接している。すなわち、図5(a)および図5(b)に示すように、容器保持部201の直動保持部201cの一部に折り曲げ部201a、201bを設けている。このことにより、シリンダー保持部7から左右一対の互いに平行なバーの間隔が針ホルダー201gの近傍で狭くなり近接している。
この構成により、容器保持部201はコンパクトな形状に構成されると共に、針ホルダー201gおよび直動保持部201cの先端部201dの回動保持部201eをシリンジ基準面7cから所定の位置にしっかりと支持している。したがって、針ホルダー201gに保持された注射針8aの先端8bも左右に振れることなく、常に一定の方向を向くように固定される。回動保持部201eに保持された薬剤容器101aの蓋の上部面201fも、注射針8aを挿入する時には注射針8aの先端8bとほぼ垂直となるように配置されている。また、直動保持部201cが近接して針ホルダー201gと薬剤容器101aとを保持しているので、薬剤容器101aが大きく重量のあるものでもしっかりと保持して使用できる。なお、容器保持部201以外の他の構成については、シリンジ駆動装置200と100とは同じ構成であるので説明を省略する。
このようにシリンジ駆動装置100、200は、薬剤容器101aの重量や形状などの条件や使用時の場所などの環境により、上述の容器保持部101、201の形状を選択してもよく、他の適した形状のものを使用してもよい。
次に、本実施の形態1のシリンジ駆動装置100、200を用いたシリンジ駆動方法について説明する。
図6は、本発明の実施の形態1におけるシリンジ駆動方法で用いるシリンジ駆動装置の側面図である。ここでは、例えば図1に示すシリンジ駆動装置100を用いる。図7は、本発明の実施の形態1におけるシリンジ駆動方法のフローチャートである。
最初に図6に示すシリンジ駆動装置100の基本的な動作について簡単に説明する。
図6に示すように、シリンジ駆動装置100は、シリンジ駆動部102と容器保持部101とから構成されている。シリンジ駆動部102を動作させる時には、まず、手で握り手部2を握り、指置き面2aに人差し指などを待機させる。そして、図1および図2において説明したように、例えば操作ボタン3を押してピストン駆動部103を引くことでピストン10を引き、薬剤容器101aからシリンダー6に薬剤を吸引する。吸引した薬剤を輸液パック(図示せず)などに吸入する時には、操作ボタン4を押してピストン10を押し、薬剤をシリンダー6から押し出す。
一方、容器保持部101は、針ホルダー101gおよび回動保持部101eを備え、注射針8aおよび薬剤容器101aを保持している。薬剤容器101aから薬剤を吸引する時には、注射針8aを保持した針ホルダー101gを回転させた後に矢印101hの方向に容器保持部101全体を移動させて、シリンジ5の注液口8に注射針8aを取り付ける。そして、シリンジ5に取り付けられた注射針8aにより薬剤容器101aの中の薬剤を吸引するために、薬剤容器101aが保持された回動保持部101eを回転させて薬剤容器101aを図6のように横向きにして、容器保持部101全体を注射針8aの方に移動させて、注射針8aを薬剤容器101aに挿入する。
このように、本実施の形態1のシリンジ駆動装置100を用いると、熟練を要することなく薬剤容器101aとシリンジ5とを簡単に安全に取り扱うことができ、薬剤容器101aから薬剤を吸引する作業などを簡単に安全に行うことができる。
次に上述のシリンジ駆動装置100を用いたシリンジ駆動方法について説明する。
図7に示すように、本実施の形態1のシリンジ駆動方法は、保持ステップS101と空気吸引ステップS102と第1の薬剤吸引ステップS103と押出ステップS104と第2の薬剤吸引ステップS105と、を備えている。そして、本実施の形態1のシリンジ駆動方法は、ピストン駆動部103を駆動してピストン10を押す、または引くことにより薬剤容器101aから所定の量の薬剤をシリンジ5に吸引する方法としている。
ここで、保持ステップS101は、上述のシリンジ駆動装置100、200に薬剤容器101aとシリンジ5とを保持するステップである。空気吸引ステップS102は、シリンジ5のシリンダー6の一部に薬剤を吸引する前に予め空気を吸引するステップである。第1の薬剤吸引ステップS103は、薬剤容器101aをシリンダー6の注液口8に取り付けた針8aに突き刺し、シリンジ5のピストン10を引くことによりシリンダー6内に薬剤を吸引するステップである。押出ステップS104は、シリンダー6および針8aの先端8bを上部に向けて薬剤容器101aをシリンダー保持部7に近づけることにより針8aの先端8bを薬剤容器101aの底部近傍まで進入させた後に、シリンダー6内の空気を薬剤容器101aに押し出すステップである。第2の薬剤吸引ステップS105は、薬剤容器101aをシリンダー保持部7から遠ざけることにより針8aの先端8bを薬剤容器101aの蓋部の近傍に移動させた後に、薬剤を吸引するステップである。
この方法により、薬剤容器101aやシリンジ5の扱いに熟練を要することなく、薬剤容器101aとシリンジ5とを簡単に安全に取り扱うことができ、薬剤を吸引する作業などを簡単に安全に行うことができる。
図8は、通常の注射針8aにより薬剤容器(例えばバイアル容器45)の中の薬液46を、本実施の形態1で示したようなシリンジ駆動装置を用いずに、手動で吸引する様子を模式的に示すフローチャートであり、図9(a)から(k)は、この過程を模式的に示す図である。図8および図9(a)から(k)を用いて、手動でシリンジ5を操作してバイアル容器45から薬液46を吸入するプロセスを説明する。
図8に示すステップS1において、まずバイアル容器45内の薬液46と交換するための空気を注射針8aを介してシリンジ5内へ吸い込む(図9(a))。ステップS2において、注射針8aをバイアル容器45に挿入する(図9(b))。ステップS3において、シリンジ5およびバイアル容器45が、注射針8aを間にして一体となっている状態で180度反転させ、バイアル容器45が倒立状態で上部に位置し、シリンジ5がその下部に位置するように配置する(図9(c))。そして、ステップS4においてプランジャ10aを押し下げて、バイアル容器45内の薬液46をシリンジ5内に吸入する(図9(d))。所定の量の薬液46を吸入した後に、ステップS5において、シリンジ5内に予め吸い込んでいた空気をバイアル容器45内に流入させて、シリンジ5とバイアル容器45との間で空気交換を行う(図9(e))。
このような空気と薬液46の交換動作では、バイアル容器45などの密閉容器から薬液46を吸入する時に一気に中の薬液46を吸入しようとすると、シリンジ5の内圧が負圧で大気圧より低くなるため、プランジャ10aを引くために非常に大きな力が必要となる。しかしながら、所定の量を吸入するごとに上述の空気と薬液46との交換動作を行うことにより、通常の力の範囲でプランジャ10aを引いて、バイアル容器45内の薬液46を吸入し終わることができる。なお、シリンジ5とバイアル容器45との間の空気交換は、図9(d)から(g)に示すように、繰り返し必要な回数だけ行う。
バイアル容器45内の薬液46が少なくなり、挿入した注射針8aが薬液46の液面から出る状態になるステップS6において、針位置の修正の必要性を判断する。針位置の修正が必要な場合は、ステップS7において注射針8aの先端の位置を下方に下げて、注射針8aが薬液46の中に位置するように修正する(図9(h))。その後ステップS4およびS5に戻り、再び空気交換や薬液46の吸入を行う(図9(i)、(j))。この針位置の修正は、薬液46を吸入する時に薬液46の発泡を抑えるという観点からも必要な動作である。
ステップS6において針位置の修正が不要な場合には、ステップS8に移行する。ステップS8において薬液46の吸入が終了したかどうかを判断し、終了していない場合にはステップS4に戻る。終了している場合にはステップS9において、例えばバイアル容器45内の空気をシリンジ5に少し吸入することにより、バイアル容器45内の気体の圧力を大気圧より低い負圧に調整した後、ステップS10によりバイアル容器45から注射針8aを抜き取る(図9(k))。ここで、バイアル容器45内を負圧にするのは、注射針8aをバイアル容器45から抜き取る時にバイアル容器45内から薬液46が外部に漏れ出ないようにする。このことにより、薬液46の一部が気化して人に影響を与えることを防止できるので安全性を確保できる。
このように、従来の注射針8aによりバイアル容器45などの密閉された容器の中の薬液46を吸入する一連の動作は、ステップが多く複雑で、薬剤師や看護師などの使用者に大きい負担をかけ、また注射針8aやシリンジ5などの扱いなど熟練が必要な作業が多い。
しかしながら、図6および図7において説明した本実施の形態1のシリンジ駆動方法を用いると、図8および図9(a)から(k)に示す作業を、熟練を要することなく、薬剤容器101aとシリンジ5とを簡単に安全に取り扱うことができ、薬剤容器101aから薬剤を吸引する作業などを、簡単に安全に行うことができる。したがって、薬剤師や看護師などの作業の負担を大幅に軽減することができる。
本実施の形態1のシリンジ駆動方法について、図10から図20の図面を用いて具体的に説明する。図10は、本発明の実施の形態1における薬剤吸引前の動作を示すフローチャートで、図11から図20は、シリンジ駆動装置の具体的な動作を示す側面図である。なお、図10は薬剤保持部101によりシリンジ駆動部102のシリンダー6に注射針8aをセットし、薬剤容器101aの中に注射針8aを挿入するときのフローチャートである。
最初に薬剤保持部101を用いて、シリンジ駆動装置100にセットされたシリンジ5に注射針8aをセットし、薬剤容器101aに注射針8aを挿入する薬剤保持部101の動作について具体的に説明する。
図10および図11から図14に示すように、まず、ステップS50において、シリンダー駆動部102にシリンダー6をセットする。続いて、ステップS51において、容器保持部101をシリンダー駆動部102にセットする(図11)。ここでは、容器保持部101は、針ホルダー101gと薬剤容器101aを保持する回動保持部101eとを有している。
続いて、ステップS52において、薬剤容器101aを回動保持部101eにセットした後、ステップS53において、注射針8aを針ホルダー101gにセットする(図12)。この順に薬剤容器101aと注射針8aをセットすると、注射針8aの先端8bで手などを怪我することがなく、安全上好ましい。これは、注射針8aを先にセットした後に薬剤容器101aをセットすると、注射針8aの先端8bの近傍で薬剤容器101aを回動保持部101eにセットしなければならないからである。
続いて、ステップS54において、針ホルダー101gを回転させて、注射針8aの先端8bを含む針先が中心軸6aの方向と水平になるようにした後、容器保持部101を中心軸6aに沿って摺動させて、ステップS55に示すように注射針8aをシリンダー6の注液口8にセットする(図13)。注射針8aをセットした後に、図13に示すように、予め空気をシリンダー6に吸引しておく。
続いて、ステップS56において、回動保持部101eを回転して薬剤容器101aを横に向けた後に、ステップS57において、薬剤容器101eを中心軸6aに沿って摺動させて注射針8aに近づける。さらに薬剤容器101eを中心軸6aに沿って摺動させることにより、注射針8aを薬剤容器101aに挿入する(図14)。このような手順により容器保持部101を動作させることで、薬剤容器101aやシリンジ5の扱いに熟練を要することなく、簡単に安全に取り扱うことができる。それと共に、薬剤を吸引する作業などを簡単に安全に行うことができる。このようにした後、シリンジ駆動装置100は、シリンダー6の中へ薬剤の吸引を開始する。
すなわち、図7に示した保持ステップS101において、針ホルダー101gを含む容器保持部101を備えたシリンジ駆動部102にシリンジ5が装着される(図11)。そして、容器保持部101の回動保持部101eを水平に起こした後に、薬剤容器101aが回動保持部101eに嵌め込まれ、針ホルダー101gには注射針8aが保持される(図12)。そして、注射針8aは、容器保持部101全体がシリンジ駆動部102に近づくように矢印106の方向に引かれ、シリンジ5の注液口8に装着される(図13)。
次に、空気吸引ステップS102において、握り手部2を手で握り、指で操作ボタン3を押すことによりピストン駆動部103を矢印107の方向に引いてシリンジ5の外部の空気がシリンダー6の一部に吸引される(図13)。このように空気を適量だけ吸引しておくことにより、ピストン駆動部103により薬液46を吸引していく時に過大な負圧がシリンジ駆動部102にかかることがない。
そして、第1の薬剤吸引ステップS103において、薬剤容器101aを保持する回動保持部101eを回動させた後に、矢印106の方向に中心軸方向6aに沿って移動させる。これにより、薬剤容器101aは、シリンダー6の注液口8に取り付けた針8aに突き刺さる(図14)。この状態で、シリンジ駆動部102の操作ボタン3を指で押し込むと、シリンジ5のピストン10が引かれ、シリンダー6内に薬液46(薬剤)を吸引する(図15)。薬剤容器101aの中の薬液46を、例えば半分程度吸引したところで、図16に示すように、シリンダー6および針8aの先端8bを上部に向けて、薬剤容器101aを少し斜めに倒立させた姿勢とし、薬液46の吸引を継続してもよい。
次に、押出ステップS104において、シリンダー6および針8aの先端8bを上部に向けて薬剤容器101aをシリンダー保持部7に近づけることにより、針8aの先端8bを薬剤容器101aの底部101j近傍まで進入させた後に、シリンダー6内の空気を薬剤容器101aに押し出す(図17)。
そして、第2の薬剤吸引ステップS105において、薬剤容器101aをシリンダー保持部7から遠ざけることにより、針8aの先端8bを薬剤容器101aの蓋部101kの近傍に移動させた(図18)後に薬液46(薬剤)を吸引する(図19)。図19に示すように薬剤容器101aの中の薬液46を全て吸引した後に、他の薬剤をさらにシリンジ5に吸引する時には、薬剤容器101aを吸引したい薬剤のものに取り替えて、図13から図19までのフローを繰り返し行う。
本実施の形態1のシリンジ駆動方法は、このようにステップS101からS105を行い、ピストン駆動部103を駆動してピストン10を押す(または引く)ことにより、薬剤容器101aから所定の量の薬液46(薬剤)をシリンジ5に吸引している。
この方法により、薬剤容器101aやシリンジ5の扱いに熟練を要することなく、薬剤容器101aとシリンジ5とを簡単に安全に取り扱うことができ、薬液46などの薬剤を吸引する作業などを簡単に安全に行うことができる。
図24に示す従来のシリンジ駆動装置60や、図8および図9に示すシリンジ5を手動で扱う場合には、シリンダー6への針8aの取付けや薬剤容器101aへの針8aの挿入(または、取外し)の時に手などを針8aで怪我することが多い。これは、手などで直接に針8aを扱う、および針8aの近傍で薬剤容器101aなどを扱う作業が必要不可欠なためであると考えられる。しかしながら、本実施の形態1のシリンジ駆動方法では、手などで直接に針8aを扱う機会は少なく、針8aを扱う時には針8aは容器保持部101の針ホルダー101gにより所定の範囲に保持されている。これにより、手などを針8aで怪我することが、ほとんどないと思われる。
すなわち、シリンジ駆動部102に対して針8aが存在する位置およびその近傍の領域が明確であるので、シリンジ5を扱う薬剤師や看護師などの作業を行う人が針8aの先端8bで怪我などをすることがなく、安全にシリンジ駆動装置100を取り扱うことができる。
図21は、薬剤吸引後の動作を示すフローチャートである。具体的には、シリンジ駆動部102のシリンダー6の注射針8aや薬剤容器101aを薬剤保持部101から取り外した後に、シリンジ駆動部102から薬剤保持部101およびシリンダー6を取り外す時のフローチャートである。
図21は、図10に示す薬剤保持部101によりシリンジ駆動部102のシリンダー6に注射針8aをセットし、薬剤容器101aの中に注射針8aを挿入する時のフローチャートを逆に辿るフローチャートとみなすこともできる。
シリンジ駆動部102にセットされたシリンジ5の中の薬液を、例えば輸液バッグなどに混合注薬した後に、空になったシリンジ5および薬剤容器101aを外す場合について説明する。図19よび図20において、シリンジ5の中の薬液46が外部に押出されて、シリンジ5の中が空になっている時の状態から説明する。
図21に示すように、ステップ70において、注射針8aが挿入された薬剤容器101aを注射針8aが付いたシリンダー6から遠ざけて、針8aを薬剤容器101aから抜く。ステップ71において、容器保持部101をシリンジ駆動部102から遠ざけて、薬剤容器101aをさらに針8aから遠ざける。ステップ72において、薬剤容器101aを回動保持部101eから外す。
次にステップS73において、針8aをシリンダー6の注液口8から外す。ステップS74において、針ホルダー101gを回転して、針8aの先端8bを下向きにする。ステップS75において、針8aを先端8bとは逆の掴み易い端部を掴んで、針ホルダー101gから外す。このことより、針8aの先端8bを直接に手などで掴むことなく、また、手などを針8aの先端8bの近傍に持ってくることなく安全に針8aの取外し作業が行える。
容器保持部101から針8aおよび薬剤容器101を取り外したので、ステップS76において、容器保持部101をシリンジ駆動部102から取外した後に、シリンダー6をシリンジ駆動部102から取り外す。このようにして、手などを怪我することなく安全に作業を行える。
図22は、本実施の形態1におけるさらに他のシリンジ駆動装置300の概略構成を示す側面図で、図12のシリンジ駆動装置100の容器保持部101と同様の容器保持部301に針カバー302と針外し部303とを付加したものである。
このように針ホルダー101gの周辺に針カバー302を付加することで、作業中に誤って手などを怪我する危険性が減少し、安全性が高まる。なお、この針カバー302は、その一部に切り欠き部302aが形成されている。
図23は、図22のシリンジ駆動装置300の主要部を示す模式図で、(a)は側面図、(b)は矢印304の方向から見た正面図である。図23(a)に示すように、針外し部303は、側面から見た形状において、一端部303aが針ホルダー101gの外周101mの一部に接続されたコ字状に延伸して形成されている。そして、図23(b)に示すように、正面から見た形状において、コ字状に延伸した他の端部303bは、シリンダー6の注液口8を挟んで二股に分離している。針8aをシリンダー6の注液口8から外す時に、この二股に分離した他の端部303bが、針8aの端面8cと接触して針8aを注液口8から安全に外すことができる。
また、薬剤容器101aは、基本的にはシリンジ駆動装置100の容器保持部101に支持され、簡単に姿勢の変更や位置の移動を行うことができるので、薬剤師や看護師などの人の作業負担を軽減することができる。また、薬液46を薬剤容器101aから吸引する時の空気と薬液との交換作業についても、手動で吸引する時のように、何度も繰返す必要がないので、薬剤師や看護師などの人の作業負担を大幅に軽減することができる。
なお、本実施の形態1のシリンジ駆動方法では、シリンジ駆動装置100のシリンジ駆動部102にシリンダー6内の大きな負圧がかからないように、空気吸引ステップS102と2つの薬剤吸引ステップS103、S105を行う構成とした。このことにより、シリンジ駆動部102に大きい負荷がかからないので、長寿命で高信頼性のシリンジ駆動部102を備えたシリンジ駆動装置100およびシリンジ駆動方法を実現できる。したがって、駆動力が大きいシリンジ駆動部102を備えれば、保持ステップS101と第1の薬剤吸引ステップS103とだけを備えたシリンジ駆動方法とすることができ、薬剤容器101aの中の薬液46を一気に吸引する方法とすることもできる。そうすると、さらに短時間で薬液の吸引作業を行うことができ、さらに薬剤師や看護師などの人の作業負担を大幅に軽減することができる。