JP2011055046A - 筺体内信号伝送システム及び筺体内信号伝送方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】同一の筺体の半導体チップ間で、1対1の伝送チャンネル、1対多の伝送チャンネル又は多対多の伝送チャネルによりミリ波の信号伝送媒体を介したミリ波帯域の信号を伝送できるようにようにする。
【解決手段】同一の筺体3内に配置され、入力信号を基準搬送信号に基づいてミリ波帯域の信号に変換し、変換後の送信信号を当該筺体3内のミリ波の信号伝送媒体51,52に伝送する一以上のCMOSチップ101,108と、局部発振信号を発振する発振回路44を有して筺体3内に配置され、信号伝送媒体51,52から受信したミリ波帯域の信号を発振回路44に注入して当該局部発振信号を基準搬送信号に同期させ、同期後の局部発振信号に基づいてミリ波帯域の受信信号を復元する一以上のCMOSチップ104,105,109とを備えるものである。
【選択図】 図12
【解決手段】同一の筺体3内に配置され、入力信号を基準搬送信号に基づいてミリ波帯域の信号に変換し、変換後の送信信号を当該筺体3内のミリ波の信号伝送媒体51,52に伝送する一以上のCMOSチップ101,108と、局部発振信号を発振する発振回路44を有して筺体3内に配置され、信号伝送媒体51,52から受信したミリ波帯域の信号を発振回路44に注入して当該局部発振信号を基準搬送信号に同期させ、同期後の局部発振信号に基づいてミリ波帯域の受信信号を復元する一以上のCMOSチップ104,105,109とを備えるものである。
【選択図】 図12
Description
本発明は、筺体内信号伝送システム及び筺体内信号伝送方法に関し、映画映像や、コンピュータ画像等を搬送する搬送周波数が30GHz乃至300GHzのミリ波帯の信号を高速に伝送するミリ波帯の多チャンネル信号伝送システムに適用可能なものである。
近年、映画映像やコンピュータ画像等の情報量の膨大化に伴い、有線・無線に関わらず、高速で大容量のデジタル通信への要求が高まっている。このような高速で大容量のデジタル通信において、ミリ波等の変調信号を高速に伝送する信号伝送システムが使用される場合が多くなってきた。この種の高速信号伝送システムでは、ミリ波等の高速な変調信号をエラーなく受信側に伝送することが要求される。
この種のミリ波の無線変調信号を伝送する高速信号伝送システムに関連して、特許文献1には電子装置が開示されている。この電子装置によれば、同一筺体内に第1及び第2の信号処理部が収容される。第1の信号処理部は、電磁波変換部及び送信部を有している。電磁波変換部は、送信信号を電磁波信号に変換して送信部へ出力する。送信部は電磁波変換部から出力される電磁波信号を無線送信する。第2の信号処理部は、受信部及び電磁波復元部を有している。受信部は送信部からの電磁波信号を受信する。電磁波復元部は、受信部によって受信された電磁波信号を送信信号に復元するようになされる。
このように電子装置を構成すると、同一筺体内のような極近距離に電磁波による無線データ伝送を適用することにより、低コストで高信頼性かつ低消費電力の電子装置を実現できるというものである。
また、表示素子や撮像素子等における高速データの転送システムに関して、特許文献2には電子機器が開示されている。この電子機器によれば、同一筺体内に、情報発信部、暗号部、無線送信部、無線受信部、復号部、鍵生成部及び有線通信部を備える。情報を発信する情報発信部は情報を発信して暗号部へ出力する。暗号部は、情報発信部から発信される情報を暗号化する。無線送信部は、暗号部により暗号化された情報を無線受信部へ電磁波信号により送信する。無線受信部は、無線送信部により送信された電磁波信号を受信して復号部へ出力する。復号部は、無線受信部によって受信された信号を復号して鍵生成部へ出力する。鍵生成部は、復号部によって復号された信号の暗号鍵を生成する。これを前提にして、有線通信部が鍵生成部により生成された暗号鍵を有線通信にて暗号部および復号部に配信するようになされる。
このように電子機器を構成すると、同一機器内のような極近距離において、電磁波による無線データ伝送を安全に使用することが可能となり、低コストで高信頼性かつ低消費電力で安全性の高い電子機器を実現できるというものである。
更に、ミリ波の無線変調信号を伝送する高速信号伝送システムに関連して、特許文献3には半導体集積回路装置が開示されている。この半導体集積回路装置によれば、制御ブロック及び複数の機能ブロックを有して構成される。機能ブロックの各々は、アンテナ、受信回路及び送信回路を有して、データおよび制御信号に基づいて所定の処理を行う。受信回路は、アンテナを介して受信したデータおよび制御信号を復調する。送信回路は、当該機能ブロックで処理されたデータを変調して無線信号としてアンテナを介して制御ブロックや、他の機能ブロックに送信する。
これらを前提にして、制御ブロックが、データの入力先、データの出力先、およびデータの処理内容を指示するための制御信号を各々の機能ブロックにアンテナを介して出力するようにした。このように半導体集積回路装置を構成すると、チップサイズが増大することなく、信頼性の低下を防止できると共に、全ての機能ブロックを効率良く動作させることができるというものである。
ところで、従来例に係るミリ波を送受信する高速信号伝送システムによれば、同一の筺体内で多チャンネル化や、全二重化、双方向化を行うとした場合、次のような問題がある。
i.非特許文献1に見られるテレビや、カメラ等の筺体内でのCMOSチップ間の信号伝送方法によれば、LVDS(Low Voltage Differential Signaling)等の信号波形で高速のデータ信号を伝送している。しかし、最近の更なる伝送データの大容量及び高速化に伴い、消費電力の増加、反射などによる信号歪みの影響の増加や、不要輻射の増加等が発生して、高速データ伝送が困難になってきている。
ii.因みに、伝送データの高速化の問題に対処するため、一般的に信号の並列化により、一信号線当たりの伝送速度を落とすという手法が用いられる場合が多い。これは配線数の増化、及び入出力端子の増大につながり、プリント配線基板やケーブル配線が複雑化したり、入出力端子の増大により、CMOSチップのサイズ拡大等の原因となるという問題がある。
iii.また、特許文献1に見られる電子装置及び、特許文献2に見られる電子機器によれば、上述の問題を解決する方法として、筺体内を無線化し、及び、UWB(Ultra Wide Band)化して、筺体内信号伝送システムにより伝送するという手法が提案されている。しかし、このUWB方式を採用する場合、アンテナが大きくなったり、信号伝送に使用する搬送周波数が他のベースバンド信号を処理する周波数に近いために干渉し易い等の問題点がある。
iv.なお、アンテナサイズや干渉の問題を解決する手法として、非特許文献2及び特許文献3には、より波長が短かく、ベースバンド信号を処理する周波数から離れた帯域のマイクロ波やミリ波等の搬送周波数を使用する。そして、周波数変換後のミリ波の信号を伝送するという手法が提案されている。マイクロ波やミリ波帯域で信号伝送するのは、有効な手法である。その際の送信器と受信器において、屋外における無線通信で用いられているような通常の無線通信手法を用いようとすると、搬送周波数の信号に安定度が要求され、周波数安定度数がppm単位といった安定度の高いミリ波の発振器が必要となってしまう。
v.因みに、通常の無線通信手法によれば、搬送周波数の信号の安定度については、干渉などを防ぐため、厳しい規制がある。そのような安定度の高い搬送周波数の信号を実現するためには、外部基準部品として、高い安定度の周波数逓倍回路や、PLL回路等を用いなければならず、回路規模が大きくなるという問題がある。
vi.また、安定度の高いミリ波帯域用の発振器をシリコン集積回路(CMOS上)に実現しようとした場合、通常のCMOSで使われるシリコン基板は、絶縁性が低いため、容易に尖鋭度Q値の高いタンク回路を形成することができず、実現が容易ではない。たとえば、非特許文献4には、CMOSチップ上にインダクタを形成した場合、そのQ値は30から40程度であるとの報告がある(非特許文献4:71ページ)。
したがって、通常の無線通信システムで要求されるような安定度の高い発振器を実現するためには、CMOSチップの外部に、低い周波数で発振する水晶振動子等で、高いQ値のタンク回路を設け、その発振周波数の信号を逓倍器で逓倍してミリ波帯域へ上げるといった手法を取らなければならない。しかし、LVDSなどの配線を置き換える機能を実現するのに、このような外部のタンク回路を全てをチップに設けることは、好ましくない。
vii.上述の発振器の問題を解決する手法として、O−O−K(On-Off-Keying)のような変調方式を用いれば、受信側では、包絡線検波を行えばよいので、発振器が不要になり、タンク回路の数を減らすことはできる。しかし、信号の伝送距離が長くなると信号歪みが影響してくるので不利である。また、反射や、干渉の問題が残っていると、複数の独立な通信を自由に実現するのが困難となったり、変調信号を直交化してデータの伝送レートを上げることが困難になるなどの問題がある。
そこで、本発明はこのような課題を解決したものであって、同一の筺体の半導体チップ間で、1対1の伝送チャンネル、1対多の伝送チャンネル又は多対多の伝送チャネルによりミリ波の信号伝送媒体を介したミリ波帯域の信号を伝送できるようにようにした筺体内信号伝送システム及び筺体内信号伝送方法を提供することを目的とする。
上述した課題は、筺体内に配置され、入力信号を所定の搬送周波数の信号に基づいてミリ波帯域の信号に変換し、変換後の信号を当該筺体内のミリ波の信号伝送媒体に伝送する一以上の第1の半導体チップと、自走発振周波数の信号を発振する発振回路を有して前記筺体内に配置され、前記信号伝送媒体から受信したミリ波帯域の信号を前記発振回路に注入して当該自走発振周波数の信号を前記搬送周波数の信号に同期させ、同期後の前記自走発振周波数の信号に基づいて前記ミリ波帯域の信号を復元する一以上の第2の半導体チップとを備える筺体内信号伝送システムによって解決される。
本発明に係る筺体内信号伝送システム及び、筺体内信号伝送方法によれば、同一の筺体内に配置された第1及び第2の半導体チップ間で、1対1の伝送チャンネル、1対多の伝送チャンネル又は多対多の伝送チャネルによりミリ波の信号伝送媒体を介したミリ波帯域の信号を伝送できるようになる。
本発明に係る筺体内信号伝送方法は、筺体内信号伝送システムが、筺体内に構築され、入力信号を所定の搬送周波数の信号に基づいてミリ波帯域の信号に変換し、変換後の信号を当該筺体内のミリ波の信号伝送媒体に伝送するステップと、自走発振周波数の信号を発振する発振回路を有して前記筺体内に配置され、前記信号伝送媒体からミリ波帯域の信号を受信して、当該信号を前記発振回路に注入して当該自走発振周波数の信号を前記搬送周波数の信号に同期させ、同期後の前記自走発振周波数の信号に基づいて前記ミリ波帯域の信号を復元するステップとを有するものである。
本発明に係る筺体内信号伝送方法によれば、周波数多重化による筺体内多チャンネル信号伝送システムを構築できるようになる。例えば、ミリ波の信号伝送媒体にデータを時分割して伝送することで、交互に伝送方向を切り換え、データ伝送を行う半二重通信システムや、ミリ波の信号伝送媒体において、異なる方向にデータを同時に伝送する全二重通信システム等の双方向伝送システムを構築できるようになる。従って、筺体内情報多重化伝送システムを実現できるようになる。
本発明に係る筺体内信号伝送システムによれば、筺体内に配置され、ミリ波の信号伝送媒体を介して第1の半導体チップから受信したミリ波帯域の信号を発振器に注入して当該自走発振周波数の信号を搬送周波数の信号に同期させ、同期後の局部発振周波数の信号に基づいてミリ波帯域の信号を復元する二以上の半導体チップを備えるものである。
この構成によって、同一の筺体内に配置された第1及び第2の半導体チップ間で、1対1の伝送チャンネル、1対多の伝送チャンネル又は多対多の伝送チャネルによりミリ波の信号伝送媒体を介したミリ波帯域の信号を伝送できるようになる。これにより、周波数多重化による筺体内多チャンネル信号伝送システムを構築できるようになる。
本発明に係る筺体内信号伝送方法によれば、ミリ波の信号伝送媒体にデータを時分割して伝送することで、交互に伝送方向を切り換え、データ伝送を行う半二重通信システムや、ミリ波の信号伝送媒体において、異なる方向にデータを同時に伝送する全二重通信システム等の双方向伝送システムを構築できるようになる。従って、筺体内情報多重化伝送システムを実現できるようになる。
以下、図面を参照しながら、本発明に係る半導体チップ、筺体内信号伝送方法及び筺体内信号伝送システムについて説明する。
1.第1の実施形態(筺体内ミリ波伝送システム100の構成例及びその動作例)
実施例1(筺体内ミリ波伝送システム100の動作例)
実施例2(受信側での直流成分を抑える手法)
実施例3(CMOSチップ110の構成例)
2.第2の実施形態(筺体内ミリ波伝送システム200の構成例及びその動作例)
3.第3の実施形態(筺体内ミリ波伝送システム300の構成例及びその動作例)
4.第4の実施形態(筺体内ミリ波伝送システム400の構成例及びその動作例)
1.第1の実施形態(筺体内ミリ波伝送システム100の構成例及びその動作例)
実施例1(筺体内ミリ波伝送システム100の動作例)
実施例2(受信側での直流成分を抑える手法)
実施例3(CMOSチップ110の構成例)
2.第2の実施形態(筺体内ミリ波伝送システム200の構成例及びその動作例)
3.第3の実施形態(筺体内ミリ波伝送システム300の構成例及びその動作例)
4.第4の実施形態(筺体内ミリ波伝送システム400の構成例及びその動作例)
<第1の実施形態>
図1を参照して、本発明に係る第1の実施形態としての筺体内ミリ波伝送システム100について説明する。この実施形態では、送信側の半導体チップが、所定の搬送周波数の信号に基づいて入力信号をミリ波帯域の信号に変調し、変調された送信信号(変調信号)と合わせて、変調に用いた所定の搬送周波数の信号も受信側に送出する。
図1を参照して、本発明に係る第1の実施形態としての筺体内ミリ波伝送システム100について説明する。この実施形態では、送信側の半導体チップが、所定の搬送周波数の信号に基づいて入力信号をミリ波帯域の信号に変調し、変調された送信信号(変調信号)と合わせて、変調に用いた所定の搬送周波数の信号も受信側に送出する。
受信側の半導体チップでは、従来方式のような外部のタンク回路を用いることなく、半導体チップ上にタンク回路を配置して発振回路が構成される。当該半導体チップでは、送られてきた所定の搬送周波数の信号を発振回路に注入同期させ、ここで再生される局部発振周波数の信号を用いて送られてきたミリ波帯域の変調信号(受信信号)を復調し、送信された入力信号を復元するようになされる。
図1に示す筺体内ミリ波伝送システム100は、筺体内信号伝送システムの一例を構成し、映画映像や、コンピュータ画像等を搬送する搬送周波数が30GHz乃至300GHzのミリ波帯の信号を高速に伝送するミリ波伝送システムに適用可能なものである。筺体内ミリ波伝送システム100は、同一の筺体内に配置された送信用のCMOSチップ101及び受信用のCMOSチップ104を有して構成される。
CMOSチップ101は、第1の半導体チップの一例を構成し、受信側へ送信するデータ(以下入力信号SINという)を、所定の搬送周波数f1の信号(以下基準搬送信号Sfという)に基づいてミリ波帯域の変調信号(以下ミリ波の送信信号Soutという)に周波数変換し、周波数変換後の送信信号Soutを当該筺体1内のミリ波の信号伝送媒体51に伝送するものである。
これらの搬送周波数f1のミリ波帯域の送信信号Soutは、筺体1から外部に漏れ出ないように導波構造により筺体1を設計してある。筺体1には、例えば、外部六面が金属板で囲まれたシールドケースの他に、その内部に樹脂部材でコーティングされたケースのようなものである。
また、その反対に、外部六面が樹脂部材で囲まれたケースの他に、その内部に金属部材でシールドされたケースのようなものである。ケースの内部は自由空間とする場合及びその内部を樹脂部材等の誘電体物質で充填する場合を含んでいる。筺体1の外観形状は、立方体(直方体)に限らず、球体、円柱体、半円柱体であっても、楕円柱でもよい。送信電力が極めて小さく、外部に電磁誘導障害(EMI)を与えないので、金属のシールド構造を省略してもよい。具体的には、筺体1は、デジタル記録再生装置、地上波テレビ受像機、カメラ、ハードディスク装置、ゲーム機、コンピュータ、無線通信装置等の外装(外観)のケースに対応するものである。
CMOSチップ101は送信用のアンテナ102を有している。信号伝送媒体51は、ケースの内部の自由空間、その内部に構築された誘電体伝送路や、導波管又は/及び導波路から構成され、導波路には、スロットライン又は/及びマイクロストリップラインが含まれる。信号伝送媒体51は、ミリ波の送信信号Soutが伝送できれば何でもよい。筺体1の内部に充填された樹脂部材等の誘電体物質自体も信号伝送媒体51を構成する。
CMOSチップ104は、第2の半導体チップの一例を構成し、図3に示すように自走発振周波数の信号(以下局部発振信号Sf’という)を発振する発振回路44を有して同一の筺体1内に配置される。CMOSチップ104は、信号伝送媒体51から受信したミリ波の受信信号Sinを発振回路44に注入して当該局部発振信号Sf’を基準搬送信号Sfに同期させ、同期後の局部発振信号Sf’に基づいてミリ波の受信信号Sin(=Sout)を復元するものである。
CMOSチップ104は受信用のアンテナ103を有している。なお、ミリ波のアンテナ103は、波長が短いので、超小型のアンテナ素子をCMOSチップ104上に構成することが可能となる。アンテナ103が小型化できるので、アンテナ103からの受信信号Sinの取り出し方にも、著しく大きな自由度を与えることができる。
筺体内ミリ波伝送システム100によれば、送信側のCMOSチップ101のアンテナ102から電波を放射、受信側のCMOSチップ104のアンテナ103で電波を受信するような筺体1内の信号伝送媒体51としての自由空間を伝搬する構成を採っている。信号伝送媒体51は、自由空間の他に導波管、伝送線路、誘電体伝送線路、誘電体内などの導波構造で構成してもよい。導波路は、筺体2内にスロットラインや、マイクロストリップ等を配置して構成する。
図2を参照して、送信用のCMOSチップ101の内部構成例について説明する。図2に示す送信用のCMOSチップ101は、符号化多重回路11、波形整形回路12、変調回路13、発振回路14、位相振幅調整回路15、増幅回路16、コントローラ17、アンテナ102及び入力端子18を有して構成される。入力端子18には受信側へ伝送するためのデータ、例えば、ベースバンド信号(以下入力信号SINという)が入力される。
入力端子18には符号化多重回路11が接続される。符号化多重回路11は、エンコーダ及びマルチプレックス回路を有しており、入力信号SINを符号化して符号化後の入力信号SINを多重して出力する。符号化多重回路11では、入力信号SINに対し必要に応じてエラー訂正などのコーディング処理やパケット化処理がなされる(以下処理済の入力信号SINともいう)。この例で、符号化多重回路11は、処理済みの入力信号SINとして、既知の信号波形又は既知のデータパターンを定期的に挿入するようになされる。このパターン挿入処理は、受信側のCMOSチップ104の注入同期検出回路47で、既知パターン等の相関処理によって注入同期を検出するためである。
符号化多重回路11には波形整形回路12が接続される。波形整形回路12は、多重化後の入力信号SINの波形を整形して整形後の入力信号SINを出力する。例えば、波形整形回路12は、多重化後の入力信号SINに対し、必要に応じて周波数特性の補正処理や、プリエンファシス処理、帯域制限処理等を行う。
波形整形回路12には変調回路13が接続される。変調回路13には波形整形回路12の他に発振回路14が接続される。発振回路14はタンク回路を含むすべての発振素子(タンク回路に相当)がCMOSチップ101に構成され、CMOSチップ101の外部にタンク回路を持たないという特徴を有している。
発振回路14は、変調に用いる所定の搬送周波数の信号(以下基準搬送信号Sfという)を生成する。この基準搬送信号SfはCMOSチップ101上のタンク回路を用いて、CMOSチップ101上で発振するように構成されている。この例で、タンク回路を構成するインダクタは、CMOSチップ101において、当該発振回路14を絶縁する絶縁層上に配置されて1チップ化されている。発振回路14で発振された基準搬送信号Sfは、変調回路13及び位相振幅調整回路15に出力される。
変調回路13には位相振幅調整回路15が接続される。変調回路13は、整形処理済みの入力信号SINを生成された基準搬送信号Sfに基づいて変調し、変調後のミリ波の送信信号Sout(ミリ波変調信号)を出力する。ミリ波の送信信号Soutには、更に基準搬送信号Sfと混合して送出される信号を含んでいる。
変調回路13には、アナログ変調回路や、デジタル変調回路が使用される。アナログ変調回路には、振幅変調(AM:Amplitude modulation)回路や周波数変調(FM:Frequency modulation)回路が含まれる。AM変調回路は、入力信号SIN(音声波形等)で、基準搬送信号Sfを変調し、変調された基準搬送信号Sfの振幅が一対一(正確には相似)で対応する変調方式である。FM変調回路は、入力信号SINの周波数に応じて基準搬送信号Sfの搬送周波数を変化させる変調方式である。
デジタル変調回路には、ASK(Amplitude shift keying)変調回路、FSK(Frequency shift keying)変調回路、PSK(Phase shift keying)変調回路、QAM変調(Quadrature amplitude modulation)回路が含まれる。ASK変調の一方式であるOOK(On−Off−Keying)回路は、入力信号SIN(ベースバンド信号の波形)に応じて、基準搬送信号Sfを断続(振幅変化でも構わない)する変調方式である。FSK変調回路はベースバンド信号の波形(0,1)に応じて基準搬送信号Sfの搬送周波数を変化させる変調方式である。PSK変調回路は、基準搬送信号Sfの位相をある決まった位置で、変化させる変調方式である(BPSK変調回路やQPSK変調回路等)。QAM変調回路は、基準搬送信号Sfの位相と振幅の両方に情報を載せる変調方式である。
位相振幅調整回路15は、発振回路14から出力される基準搬送信号Sfに基づいて送信信号Soutの位相及び振幅を調整したり、受信側に注入同期のための基準搬送信号Sfを出力する際にその位相及び振幅を調整するようになされる。位相振幅調整回路15には増幅回路16が接続される。増幅回路16は、位相及び振幅調整後の送信信号Soutや、基準搬送信号Sf等を必要に応じて増幅し出力する。
増幅回路16にはアンテナ102が接続される。アンテナ102は、CMOSチップ101上、あるいは、筺体1内のチップ実装基板、あるいは、チップパッケージ上に形成される。上述の増幅回路16から出力される送信信号Soutは、筺体1内の信号伝送媒体51となる伝搬チャンネルに送出される。アンテナ102から伝搬チャンネルに送出する代わりに、信号伝送媒体51となる結合構造を経由して導波構造にミリ波の送信信号Soutを伝搬するようにしてもよい。
上述の符号化多重回路11、波形整形回路12、変調回路13、発振回路14、位相振幅調整回路15及び増幅回路16には、コントローラ17が接続され、これらの回路等の入出力を制御する。コントローラ17は、CMOSチップ101内又はチップ実装基板上に設けられる。
コントローラ17は符号化多重回路11に符号化多重用の制御信号S11を出力して、エンコーダやマルチプレックス回路の動作を設定する。波形整形回路12には波形整形用の制御信号S12が出力されて、波形整形時のパラメータ等が設定される。コントローラ17は変調回路13に変調用の制御信号S13を出力して、変調時の変調モードを設定する。変調モードには、AM変調モード、FM変調モード、ASK変調モード、FSK変調モード、PSK変調モード、QAM変調モード等が含まれる。
コントローラ17は発振回路14に発振用の制御信号S14を出力して、発振時の基準搬送信号Sfの発振周波数を設定する。例えば、発振回路14の発振周波数が60GHzに設定される。コントローラ17は位相振幅調整回路15に位相振幅調整用の制御信号S15を出力して、位相振幅調整時、送信信号Soutの位相や、その振幅、その周波数特性等の調整パラメータを設定する。
コントローラ17は、増幅回路16にゲイン調整用の制御信号S16を出力して、ゲイン調整時、増幅回路16の利得等を設定する。なお、アンテナ102の指向性や反射特性を設定する際のアンテナ設定機能をコントローラ17に持たせてもよい。CMOSチップ101では、既知の信号波形又は既知のデータパターンを定期的に基準搬送信号Sfに基づいてミリ波の送信信号Soutに変換し、変換後の送信信号Soutを当該筺体1内のミリ波の信号伝送媒体51に伝送するようになされる。
図3を参照して、受信用のCMOSチップ104の内部構成例について説明する。
この例では、入力信号SINが基準搬送信号Sfに基づいてミリ波の送信信号Soutに変換され、変換後の送信信号Soutが、同一の筺体1内に配置された送信用のCMOSチップ101から当該筺体1内のミリ波の信号伝送媒体51へ伝送される場合である。この場合は、図3に示す受信用のCMOSチップ104が信号伝送媒体51から変換後の送信信号Soutを受信信号Sinとして受信するようになされる。
この例では、入力信号SINが基準搬送信号Sfに基づいてミリ波の送信信号Soutに変換され、変換後の送信信号Soutが、同一の筺体1内に配置された送信用のCMOSチップ101から当該筺体1内のミリ波の信号伝送媒体51へ伝送される場合である。この場合は、図3に示す受信用のCMOSチップ104が信号伝送媒体51から変換後の送信信号Soutを受信信号Sinとして受信するようになされる。
図3に示す受信用のCMOSチップ104は、基準搬送信号Sfを発振する発振回路44を有している。CMOSチップ104は、図1に示した同一の筺体1内に配置され、信号伝送媒体51から受信したミリ波の送信信号Sout(以下受信信号Sinという)を発振回路44に注入して局部発振信号Sf’を基準搬送信号Sfに同期させる。CMOSチップ104は、同期後の局部発振信号Sf’に基づいてミリ波の受信信号Sinを復元するようになされる。
CMOSチップ104は、増幅回路41、復調回路42、位相振幅調整回路43、発振回路44、フィルタ等化回路45、復号分離回路46、注入同期検出回路47、コントローラ48、アンテナ103及び出力端子20を有して構成される。出力端子20から、送信側から受信したベースバンド信号(以下復調信号SOUTという)が出力される。
アンテナ103には増幅回路41が接続される。増幅回路41は、アンテナ103で受信された受信信号Sinを増幅する。増幅回路41には復調回路42及び位相振幅調整回路43が接続される。位相振幅調整回路43は、受信信号Sinの位相及び振幅を調整して位相及び振幅調整後の一部の受信信号Sinを発振回路44に注入する。
位相振幅調整回路43には発振回路44が接続される。発振回路44は、位相及び振幅調整後の受信信号Sinを入力して、局部発振信号Sf’を発振して復調回路42に出力する。発振回路44に送信側から送られてきた基準搬送信号Sfの周波数成分を注入し、基準搬送信号Sfに注入同期するようになされる。
この例でも、発振回路44はタンク回路を含むすべての発振素子がCMOSチップ104に構成され、CMOSチップ104の外部にタンク回路を持たないという特徴を有している。発振回路44には送信側の発振回路14と同様にして、図4に示すような差動負性抵抗発振回路が使用される。
復調回路42は、増幅後の一部の受信信号Sinを復調して復調信号SOUTを出力する。復調回路42では、例えば、基準搬送信号Sfに同期された発振回路44の局部発振信号Sf’と、送信側から送られてきたミリ波変調信号(受信信号Sin)とが乗算されて、不要な直流成分と高調波成分が除去される。これにより、送信側から送られてきた受信信号Sinの波形が復調信号SOUT(ベースバンド信号)へ周波数変換されて復元される。
この復調信号SOUTの一部は、注入同期検出回路47に入力される。この例では、発振回路44の局部発振信号Sf’が、送信側からの基準搬送信号Sfに同期したか否かを判断するための注入同期情報が注入同期検出回路47からコントローラ48へ出力される。復調回路42にはフィルタ等化回路45及び注入同期検出回路47が接続される。
フィルタ等化回路45は、送信側のベースバンド信号とシンボル同期を採るために復調信号SOUTをフィルタに通過させて等化になされる。この例で、信号伝送媒体51に反射などが存在していても、固定の反射であるので、受信側で小さな回路規模のフィルタ等化回路45で容易にその影響を除去できるようになる。そのフィルタ等化回路45の設定も、プリセットあるいは、コントローラ48による静的な制御で実行することが可能となる。
注入同期検出回路47は、信号伝送媒体51から受信したミリ波の受信信号Sinが注入された発振回路44の局部発振信号Sf’と、送信側のCMOSチップ101の基準搬送信号Sfとが同期したか否かを検出するようになされる。注入同期検出方法としては、以下に記述する(i)又は(ii)の手法を採るとよい。
(i)送信側で入力信号SINとして、既知の信号波形あるいは既知のデータパターンを定期的に基準搬送信号Sfに挿入しておく。受信側では復元された入力波形と既知の信号波形あるいは既知のデータパターンとの相関をとり、強い相関が得られたとき注入同期が行われていると判断する。
(ii)受信側で復調後の直流成分をモニタし、当該直流成分が安定したとき、注入同期が行われたと判断する。
(ii)受信側で復調後の直流成分をモニタし、当該直流成分が安定したとき、注入同期が行われたと判断する。
例えば、注入同期検出回路47は、復調回路42で復元された受信信号Sin(信号波形)と、既知の信号波形又は既知のデータパターンとを比較して相関処理を実行し、比較対象間で強い相関が得られたか否かを判別する。注入同期検出回路47は、比較対象間で強い相関が得られ、注入同期が検出されるとハイ・レベルの注入同期検出信号S48をコントローラ48に出力する。注入同期が検出されない場合(間)は、ロー・レベルの注入同期検出信号S48をコントローラ48に出力する。コントローラ48は、注入同期検出信号S48によって、比較対象間で強い相関が得られたときに注入同期が行われていると判断できるようになる。
注入同期がとれていないと判断された場合、コントローラ48は、予め決められた手順に従い、注入同期が行われるように制御する。この制御によれば、発振回路44の自走発振周波数fo及び発振回路44への基準搬送信号Sfの振幅及び位相調整の設定を変更して、注入同期状態を判定するという手順を良好な注入同期が取れるまで繰り返すようになされる。
注入同期検出回路47の結果と連動して、送信側の発振回路14の基準搬送信号Sfの搬送周波数f1又は受信側の発振回路44の局部発振信号Sf’の自走発振周波数foと、基準搬送信号Sfの注入位相及び振幅とを制御する。例えば、送信側がBPSK変調方式を採る場合であって、入力信号SINのシンボル時間をTとし、発振回路44の最大引込み周波数範囲幅を△fomaxとすると、シンボル時間Tは、(1)式、すなわち、
T=1/(2△fomax) ・・・・・(1)
を満たす(非特許文献5参照)ように、余裕をもって短く設定されていなければならない。
T=1/(2△fomax) ・・・・・(1)
を満たす(非特許文献5参照)ように、余裕をもって短く設定されていなければならない。
もしも、シンボル時間Tが1/(2△fomax)より長い場合、発振回路44は、増幅モードとして動作し、復調に必要な基準搬送信号Sfの搬送周波数f1の成分を充分に出力できなくなる。このように、短いシンボル時間Tの方が良いということは、高速なデータ転送を目指している本発明の用途においては都合が良い。
また、最大引込み周波数範囲幅△fomaxは、発振回路44への注入電圧をViとし、自走発振電圧をVoとし、自走発振周波数をfoとし、タンク回路の尖鋭度をQ値とすると、(2)式、すなわち、
△fomax=fo/(2×Q)×(Vi/Vo)×1/√(1−(Vi/Vo)2) ・・・・・(2)
より演算される(非特許文献3参照)。従って、発振回路44の入力電圧Viを制御することにより、△fomaxを制御できるようになる。これにより、受信側のCMOSチップ104で再現性良く注入同期を採ることができる。
△fomax=fo/(2×Q)×(Vi/Vo)×1/√(1−(Vi/Vo)2) ・・・・・(2)
より演算される(非特許文献3参照)。従って、発振回路44の入力電圧Viを制御することにより、△fomaxを制御できるようになる。これにより、受信側のCMOSチップ104で再現性良く注入同期を採ることができる。
なお、注入同期検出回路47で、同期後の発振回路44の局部発振信号Sf’と、受信したミリ波の送信信号Soutとを乗算して得られる直流成分を検出し、検出された直流成分が安定したか否かを判別するようにしてもよい。この構成によっても、注入同期検出回路47において、検出された直流成分が安定したとき、注入同期が行われたと判断できるようになる。
上述のフィルタ等化回路45には復号分離回路46が接続される。復号分離回路46は、復調信号SOUTを復号化して復号化後の復調信号SOUTを分離する。復号分離回路46は、デコード回路やデマルチプレックス回路等を有している。このようにすると、CMOSチップ101から受信した送信側の入力信号SINの波形を復元できるようになる。復号分離回路46には出力端子20が接続される。
また、増幅回路41、復調回路42、位相振幅調整回路43、発振回路44、フィルタ等化回路45、復号分離回路46及び注入同期検出回路47には、制御部の一例を構成するコントローラ48が接続される。コントローラ48は、注入同期検出回路47から出力される注入同期検出信号S48(注入同期情報)に基づいて受信側の発振回路44の局部発振信号Sf’及び注入振幅を制御する。
例えば、コントローラ48は、増幅回路41にゲイン調整用の制御信号S41を出力して、ゲイン調整時、増幅回路41の利得等を設定する。なお、アンテナ103の指向性や反射特性を設定する際のアンテナ設定機能をコントローラ48に持たせてもよい。また、送信側のCMOSチップ101の搬送周波数f1を制御して注入同期制御を実行してもよい。コントローラ48は、復調回路42に復調用の制御信号S42を出力して、復調時の復調モードを設定する。復調モードには、AM復調モード、FM復調モード、ASK復調モード、FSK復調モード、PSK復調モード、QAM復調モード等が含まれる。
コントローラ48は位相振幅調整回路43に位相振幅調整用の制御信号S43を出力して、位相振幅調整時、受信信号Sinの位相や、その振幅、その周波数特性等の調整パラメータを設定する。コントローラ48は発振回路44に発振用の制御信号S44を出力して、発振時の局部発振信号Sf’の発振周波数を設定する。例えば、発振回路44の発振周波数が60GHzに注入同期される。
コントローラ48はフィルタ等化回路45にフィルタ等化用の制御信号S45が出力されて、復調信号SOUTのシンボル同期を施すためのパラメータ等が設定される。コントローラ48は復号分離回路46に復号分離用の制御信号S46を出力して、デコーダやデマルチプレックス回路の動作を設定する。
コントローラ48は注入同期検出回路47に注入同期検出用の制御信号S47を出力する。注入同期検出回路47は、制御信号S47に基づいて、信号伝送媒体51から受信したミリ波の受信信号Sinが注入された発振回路44の局部発振信号Sf’と送信側のCMOSチップ101の基準搬送信号Sfとが同期したか否かを検出するようになる。
上述のコントローラ48は、一般の無線通信のように動的にアダプティブに、頻繁に、増幅回路41や、復調回路42、位相振幅調整回路43、発振回路44、フィルタ等化回路45、復号分離回路46、注入同期検出回路47等の制御を行う必要がない。例えば、CMOSチップ104の製造時、あるいは設計時にパラメータ等を校正し、個体のばらつきなどを把握する。そして、把握されたデータをROM等に格納し、これを参照して、制御信号S41,S42,S43,S44,S45,S46等を各々の回路に伝送すれば、コントローラ48の制御負担が軽減できる。これにより、一般の無線通信に比べて、制御によるオーバーヘッド等を小さくすることができる。従って、CMOSチップ104等の小型化、低消費電力化及び高速化が可能となる。
上述の発振回路44で、注入同期が正しく行われ、受信信号Sinを周波数変換した復調信号SOUTは、フィルタ等化回路45を通り、シンボル同期を施した後に、復号分離回路46でデマルチプレックス処理や、デコード処理等がなされる。これらの処理を経た復調信号SOUTは、送信側の入力信号SINを復元したものである。復調信号SOUTは出力端子20から出力される。
続いて、図4及び図5を参照して、発振回路44の内部構成例及びインダクタ401の構成例について説明する。図4に示す発振回路44は差動負性抵抗発振回路から構成され、少なくとも、発振素子を構成するインダクタ401、キャパシタ402、負性抵抗素子403及び定電流源404を有して構成される。インダクタ401及び、キャパシタ402はタンク回路を構成する。
インダクタ401は1組のコイルL1,L2及び抵抗R1,R2を有して構成される。コイルL1,L2の各々の一端は高電位側の電源線Vddに接続される。コイルL1の他端は抵抗R1の一端に接続される。抵抗R1の他端は接続点aに接続される。接続点aには第1の端子405が接続される。
コイルL2の他端は抵抗R2の一端に接続される。抵抗R2の他端は接続点bに接続される。接続点bには第2の端子406が接続される。接続点a,b間には、キャパシタ402が接続される。キャパシタ402は容量C及びコンダクタンスGを有して構成される。接続点a,b間において、容量C及びコンダクタンスGが並列に接続される。
接続点a,b間には、キャパシタ402の他に負性抵抗素子403が接続される。負性抵抗素子403は、例えば、1組のn型の電界効果トランジスタ(以下トランジスタTn1,Tn2という)を有して構成される。トランジスタTn1のドレインが接続点aに接続される。そのドレインがトランジスタTn2のゲートに接続される。
トランジスタTn2のドレインが接続点bに接続される。そのドレインがトランジスタTn1のゲートに接続される。トランジスタTn1,Tn2の各々のソースは、そのソース同士が接続されて定電流源404の一端に接続される。定電流源404の他端は、低電位側の接地線GNDに接続される。差動負性抵抗発振回路が構成される。
差動負性抵抗発振回路では、インダクタ401及びキャパシタ402から成る共振回路に接続された、負性抵抗素子403のトランジスタTn1,Tn2が交互にオンオフすることで、定電流源404によって制限される電流が流れる。その接続点aに接続された端子405及び接続点bに接続された端子406には、インダクタ401及びキャパシタ402から成る共振周波数(自走発振周波数fo)に基づく差動の局部発振信号Sf’が発生するようになる。
インダクタ401は、キャパシタ402、負性抵抗素子403及び定電流源404等の発振素子を絶縁する絶縁層上に設置されて1チップ化されている。例えば、90nmルールに基づく差動負性抵抗発振回路を多層構造より構成する場合、所定の半導体基板に負性抵抗素子403のトランジスタTn1,Tn2(CMOSトランジスタ)が形成される。
CMOSトランジスタは、今後さらに微細化が進み、その動作周波数は、さらに上昇する。より広帯域で小型の伝送システムを実現するには、高い搬送周波数f1の基準搬送信号Sfを使うことが望まれる。本発明の方式では、受信側の発振回路44の自走発振周波数foの安定度についての要求仕様を緩和できるため、送信側の発振回路14をより高い搬送周波数fの基準搬送信号Sfを容易に用いることが可能になる。
注入同期される受信側の発振回路44は、先述の式(2)でも明らかなように、送信側の周波数変動に追従できるような低いQ値であることが必要である。これはCMOSチップ104上で発振回路44を形成する場合に都合がよい(非特許文献3)。
所定の半導体基板に形成されたCMOSトランジスタ上には、タンク回路が形成される。例えば、CMOSトランジスタを構成するトランジスタTn1,Tn2のゲート、ソース及びドレインの各電極を絶縁する層間絶縁膜が形成される。この層間絶縁膜上にキャパシタ402が形成される。このキャパシタ402を絶縁する絶縁膜446(図5参照)上にインダクタ401が形成される。
ここで、図5を参照して、CMOSトランジスタ上のインダクタ401の構成例について説明する。図5に示すインダクタ401のレイアウトパターン例によれば、図4に示した2組のコイルL1、抵抗R1及びコイルL2、抵抗R2から成る八角形状の1組の線輪パターン441,442がCMOSトランジスタ(図示せず)上の絶縁膜446上にオーバラップした状態で形成される。線輪パターン441,442はトランジスタTn1,Tn2のゲート、ソース及びドレインの各電極を引き出すメタル配線層を形成する際に、メタル層をパターニングし、メタル層パターンを橋架用のメタル層で接続して形成される。
この例で、線輪パターン441を成すコイルL1と、線輪パターン442を成すコイルL2の各々の一端は、コンタクト449に接続される。コンタクト449は、例えば、際上層の引き出し用の配線パターン443を介して高電位側の電源線Vddに接続される。線輪パターン441,442の各々は、例えば、同一面上で、同心円状かつ渦巻き状にメタル層パターンが形成され、これらのメタル層パターンが巻き数n(この例ではn=1.5)をもたらす。線輪パターン441において、抵抗R1はコイルL1の抵抗成分や、コンタクト抵抗成分が利用され、当該コイルL1(抵抗R1)の他端は接続点aに接続される。抵抗R2もコイルL2の抵抗成分や、コンタクト抵抗成分が利用され、当該コイルL2(抵抗R2)の他端は接続点bに接続される。
図中、横線でハッチングしたコイルL1及び抵抗R1を構成する線輪パターン441と、同網掛け線でハッチングしたコイルL2及び抵抗R2を構成する線輪パターン442とは共に、メタル層パターンから構成される。また、Wは線輪パターン441等の線幅であり、r1,r2,r3は線輪パターン441,442を構成するメタル層パターンのそれぞれの半径(r1<r2<r3)である。線輪パターン441は、コンタクト449を起点にして反時計方向回りに半径r1のメタル層パターン→コンタクト444→橋架用のメタル層479→コンタクト445→半径r2のメタル層パターン→コンタクト448→橋架用のメタル層478→コンタクト447→半径r3のメタル層パターンを経由して接続点aに至る。線輪パターン442は、コンタクト449を起点にして時計方向回りに半径r1のメタル層パターン→メタル層479の下層→半径r2のメタル層パターン→メタル層478の下層→半径r3のメタル層パターンを経由して接続点bに至る。
ここで、インダクタ401を構成する線輪パターン441,442の巻き数をnとし、その半径をr(r1,r2,r3)とし、その透磁率をμとしたとき、当該インダクタ401のインダクタンス値ZLは、(3)式、すなわち、
ZL≒μ・n2・r ・・・・・・(3)
により近似される(非特許文献6:p137)。
一方、図4に示したコイルL1と直列のR1の抵抗値は、図5に示す線輪パターン441の線幅Wに大きく依存する。線輪パターン441の抵抗成分は線幅Wに、おおよそ反比例するので、高いQ値のインダクタ401を作るためには線幅Wを大きくしなければならない。
ZL≒μ・n2・r ・・・・・・(3)
により近似される(非特許文献6:p137)。
一方、図4に示したコイルL1と直列のR1の抵抗値は、図5に示す線輪パターン441の線幅Wに大きく依存する。線輪パターン441の抵抗成分は線幅Wに、おおよそ反比例するので、高いQ値のインダクタ401を作るためには線幅Wを大きくしなければならない。
この例で、安定度が高い搬送周波数の基準搬送信号Sfを作るために、Q値の高い(抵抗の小さい)インダクタ401を作成しようとすると、線幅Wが大きくなり、同じ半径rの大きさで作れる巻き数nが少なくなる。つまり、抵抗R1,R2等が大きくなることを許容できれば、線幅Wを小さくして、同じインダクタンス値ZLを有した小さいサイズ(半径r)のインダクタ401で実現できるようになる(非特許文献4:p71)。
このような筺体1内での安定度を緩和した搬送周波数f1の基準搬送信号Sfで変調されたミリ波帯域の送信信号Sout(ミリ波変調信号)を、受信側で小さい受信回路で復調するのには、本発明の注入同期による方法が有効となる。波長(ミリ単位)が短いので、波長に応じて決まるアンテナ、導波構造を極めて小さくできる。
また、搬送周波数が数十GHzと高いので、所望のインピーダンスを実現するためのインダクタ401のインダクタンス値ZL及びキャパシタ402のキャパシタンス値ZCは、搬送周波数f1に比例して小さくできる。インダクタ401とキャパシタ402で共振用のタンク回路を作る場合、搬送周波数f1を上昇すれば、そのタンク回路をより小さいインダクタンス値ZLとキャパシタンス値ZCで実現できるようになる。
このように発振回路44を構成すると、タンク回路を含むすべての差動負性抵抗発振回路がCMOS構成の半導体チップに構成できるので、当該半導体チップの外部にタンク回路を持たないで済むという効果が得られる。
続いて、本発明に係る筺体内信号伝送方法について筺体内ミリ波伝送システム100の第1の動作例を説明する。図6に示す筺体内ミリ波伝送システム100によれば、同一の筺体1内に配置された2つのCMOSチップ101,104間で、ミリ波の送信信号SoutをCMOSチップ101からCMOSチップ104へ伝送する場合である。
この場合、筺体1内に配置されたCMOSチップ101が、入力信号SINを基準搬送信号Sf1に基づいてミリ波の送信信号Soutに変換する。例えば、CMOSチップ101は、発振回路14によって発振された基準搬送信号Sf1に基づいて入力信号SINを振幅変調してミリ波の送信信号Soutに周波数変換する。
図中、f1は基準搬送信号Sf1の搬送周波数である。Δ1は入力信号SINで時間的変動する周波数成分である。CMOSチップ101は、変換後の送信信号Soutを当該筺体1内の空間、誘電体伝送線路、導波管、スロットライン、マイクロストリップ等の導波路から構成されるミリ波の信号伝送媒体51に伝送する。
また、筺体1内に配置された受信側のCMOSチップ104は、信号伝送媒体51から受信したミリ波の受信信号Sinを発振回路44に注入して当該発振回路44の局部発振信号Sf1’を基準搬送信号Sf1に同期させる。このように注入同期を利用することにより、受信側のCMOSチップ104の外部にタンク回路をもつ必要がなく、簡潔に受信機能を実現し、筺体1内の高速データ伝送を実現できるようになる。
CMOSチップ104は、同期後の局部発振信号Sf1’に基づいてミリ波の受信信号Sinを復元するようになされる。例えば、CMOSチップ104が当該筺体1内のミリ波の信号伝送媒体51から振幅変調後のミリ波の受信信号Sinを受信する。CMOSチップ104は、この受信信号Sinと、基準搬送信号Sf1に基づいて注入同期が採られた局部発振信号Sf1’とを混合し、混合後のミリ波の受信信号Sinを、例えば、二乗検波して出力信号を復元するようになる。出力信号の復元方法は二乗検波に限られることはない。
これにより、同一の筺体1内に配置された2つのCMOSチップ101,104間で、CMOSチップ101からCMOSチップ104へミリ波の送信信号Soutを伝送できるようになる。従って、電子機器内の半導体チップ間でより簡易に高速伝送システムを実現できるようになる。
また、筺体内ミリ波伝送システム100によれば、筺体1内で位置が固定されたCMOSチップ101,104間、あるいは、他の実施形態で説明するような既知の位置関係にある図示しない半導体チップを選択して伝送チャンネルを構築できるようになる。しかも、筺体内ミリ波伝送システム100によれば、ミリ波は容易に遮蔽でき、外部に漏れないため、安定度の低い搬送周波数f1の基準搬送信号Sf1を使用することができる。
従って、送信側のCMOSチップ101と受信側のCMOSチップ104間の伝搬チャネル(導波構造)等を自由に設計できる。例えば、送信側及び受信側の各々CMOSチップ101,104を封止する誘電体構造と伝搬チャネルを併せて設計することで、自由空間のミリ波信号伝送システムに比べて、より信頼性の高い良好な筺体内ミリ波伝送システム100を構築することが可能となる。
また、筺体内ミリ波伝送システム100によれば、ミリ波は波長が短いので、空間多重やMIMO(Multiple Input Multiple Output)等、小さいオフセットでも、場所により異なった伝搬チャネルを実現できるようになる。更に、通常のベースバンド信号によるCMOSチップ間の信号伝送に比べて、信号伝送速度を容易に高速化でき、入出力の端子数を大幅に削減できるようになる。
続いて、図7及び図8を参照して、第2の実施例としての筺体内ミリ波伝送システム100における入力信号SINの同相伝送時及び90°移相伝送時の動作例について比較する。図7A及びBにおいて、横軸は2次元の複素平面上のI軸である。縦軸はそのQ軸である。
筺体内ミリ波伝送システム100における比較例としての入力信号SINの同相伝送方法によれば、送信側のCMOSチップ101において、図7Aに示すI軸に変調電圧Vb及び基準搬送電圧Vcが同相で載せられる。この例では、2次元の複素平面上のI軸−Q軸に基準搬送信号Sf及び変調後の送信信号Soutを表現した。
図中の変調電圧Vbは、入力信号SINを変調した後の送信信号Soutを成す電圧である。入力信号SINを成す変調情報をa(t)とすると、変調電圧VbはVb=a(t)cosωtで示される。また、図中の基準搬送電圧Vcは、搬送周波数f1の基準搬送信号Sfを成す電圧である。基準搬送信号Sfを成すキャリア振幅をcoとすると、基準搬送電圧VcはVc=co cosωtで示される。
受信側のCMOSチップ104では、図7Bに示すI軸に対して位相θを有して変調電圧Vb’及び基準搬送電圧Vc’が同相で受信される。変調電圧Vb’はVb’=a(t)cos(ωt+θ)で示される。また、基準搬送電圧Vc’はVc’=co cos(ωt+θ)で示される。図中、Vc”は、自走発振周波数foの局部発振信号Sf’を成す自走発振電圧である。自走発振電圧Vc”は、Vc”=co cos(ωt+θ+φ)で示される。ここに角度φは、基準搬送電圧Vc’と自走発振電圧Vc”との間に生じた位相差である。
このようにI軸−Q軸の変調方式において、I軸に変調情報を載せて伝送しようとするとき、基準搬送信号SfもI軸(同相)に載せてしまうと、受信側のCMOSチップ104で復調後の復調信号SOUTに直流成分が発生してしまうという問題がある。この問題を解決する手法として、送信側で基準搬送信号SfをQ軸側に載せておき、受信側で再生した基準搬送信号Sfの位相を90度ずらし、I軸の情報を復元するようになされる。
第2の実施例としての筺体内ミリ波伝送システム100の動作例(90°移相伝送時)によれば、CMOSチップ101が、発振回路14によって発振された基準搬送信号Sfに基づいて入力信号SINをミリ波の送信信号Soutに変調する。このとき、図8(A)に示す複素平面のI軸に変調後のミリ波の送信信号Soutを載せ、かつ、当該複素平面のQ軸に基準搬送信号Sfを載せて、変調後の送信信号Soutと基準搬送信号Sfとを直交させる。
すなわち、送信側のCMOSチップ101において、図8Aに示すI軸に変調電圧Vb及び基準搬送電圧Vcが90°の位相をもって載せられる。この例では、2次元の複素平面上のI軸−Q軸に基準搬送信号Sf及び変調後の送信信号Soutを表現した場合、変調電圧VbがVb=a(t)cosωtで示され、基準搬送電圧VcがVc=co sinωtで示される。
受信側のCMOSチップ104では、図8Bに示すI軸に対して位相θを有して変調電圧Vb’及び、当該変調電圧Vb’に対して90°位相がずれて基準搬送電圧Vc’が受信される。CMOSチップ104は、注入同期によって再生した局部発振信号Sf’の位相を基準搬送信号Sfに対して90度をずらす。図中、破線で示した自走発振電圧Vc”が、基準搬送信号Sfの搬送周波数f1に一致した自走発振周波数foの局部発振信号Sf’に基づく電圧である。
図8Bにおいて、変調電圧Vb’は図7Bの場合と同様にしてVb’=a(t)cos(ωt+θ)で示される。また、基準搬送電圧Vc’はVc’=co sin(ωt+θ)で示される。自走発振電圧Vc”は、Vc”=co sin(ωt−π/2+θ)で示される。これによれば、同相伝送時に比べて基準搬送電圧Vc’と自走発振電圧Vc”との間に位相差φが生じていない。CMOSチップ104は、90度ずらされた基準搬送信号Sfに基づいて複素平面のI軸に載せられた変調後の送信信号Sout(=受信信号Sin)を復調する。
このように筺体内ミリ波伝送システム100を構成すると、変調後の送信信号Sout(=受信信号Sin)と基準搬送信号Sfとを同相で伝送する場合に比べて、受信側のCMOSチップ104での直流成分を抑制できるようになる。
続いて、図9を参照して、第3の実施例としてのCMOSチップ110の構成例について説明する。図9に示すCMOSチップ110によれば、筺体1内に基準として使用可能なクロック信号(以下CLK信号という)が存在する場合であって、発振回路14’に逓倍回路19が接続される。
逓倍回路19は、周波数fのCLK信号を逓倍して逓倍クロック信号S19を発振回路14’に出力し、発振回路14’は逓倍クロック信号S19に基づいて基準搬送信号Sfを生成する。基準搬送信号Sfは、発振回路14’から変調回路13や、位相振幅調整回路15に出力される。なお、図9に示したCMOSチップ110において、図2に示したCMOSチップ101と同じ記号及び名称のものは同じ機能を有するので、その説明を省略する。このように送信側のCMOSチップ110を構成した場合、発振回路14’の回路規模を第1の実施例の発振回路14に比べて小さくできる。
このように第1の実施形態としての筺体内ミリ波伝送システム100によれば、本発明に係るCMOSチップ101(又はCMOSチップ110)と、CMOSチップ104とを同一の筺体1内に備え、CMOSチップ104が、ミリ波の信号伝送媒体51から受信したミリ波の受信信号Sinを発振回路44に注入して当該発振回路44の局部発振信号Sf’を基準搬送信号Sfに同期させ、同期後の局部発振信号Sf’に基づいてミリ波の受信信号Sinを復元するようになされる。
従って、同一の筺体1内に配置されたCMOSチップ101,104間でミリ波の信号伝送媒体51を介したミリ波の送信信号Soutを伝送することができる。しかも、搬送周波数f1の要求安定度が緩和され、送信器を構成するCMOSチップ101や、受信器を構成するCMOSチップ104等の小型化、データ伝送速度の高速化(非接触・無線・導波等)、及び、CMOSチップ101,104の配置の自由度(非接触、空間伝送、導波構造、縦方向伝送、動体間伝送)を向上できるようになる。これにより、電子機器内のCMOSチップ101,104間でより簡易に高速伝送システムを実現できるようになる。
上述の実施形態では、CMOSチップ104に実装される発振回路44が、少なくとも、発振素子を構成するインダクタ401を有し、そのインダクタ401が、発振素子を絶縁する絶縁層上に設置されて1チップ化されている場合について説明した。この1チップ化構造を送信側のCMOSチップ101の発振回路14の構造に適用しても同様な効果が得られる。
<第2の実施形態>
続いて、図10及び図11を参照して、第2の実施形態としての筺体内ミリ波伝送システム200の構成例について説明する。この実施形態では、同一の筺体2内の送信側のCMOSチップ108と、受信側のCMOSチップ105,109との間で、入力信号SINを広帯域伝送に適したミリ波帯域の送信信号Soutに周波数変換して、1対2(多)チャンネルで送信を行うものである。
続いて、図10及び図11を参照して、第2の実施形態としての筺体内ミリ波伝送システム200の構成例について説明する。この実施形態では、同一の筺体2内の送信側のCMOSチップ108と、受信側のCMOSチップ105,109との間で、入力信号SINを広帯域伝送に適したミリ波帯域の送信信号Soutに周波数変換して、1対2(多)チャンネルで送信を行うものである。
図10に示す筺体内ミリ波伝送システム200によれば、送信用のCMOSチップ108から2つの受信用のCMOSチップ105,109へ搬送周波数f2のミリ波帯域の送信信号Sout(ミリ波変調信号)が伝送されている例である。これらの搬送周波数f2のミリ波帯域の送信信号Soutは、筺体2から外部に漏れないように導波構造により筺体2を設計してある。
CMOSチップ108は、一以上の送信側の半導体チップの一例を構成し、筺体2内に配置され、入力信号SINを基準搬送信号Sf2に基づいてミリ波帯域の送信信号Soutに変換し、変換後の送信信号Soutを当該筺体2内のミリ波の信号伝送媒体52に伝送するものである。CMOSチップ108には、第1の実施形態で説明したCMOSチップ101が使用される。
CMOSチップ105,109は、二以上の受信側の半導体チップの一例を構成し、自走発振周波数の局部発振信号Sf2’を発振する発振回路44を有して筺体2内に配置され、信号伝送媒体52から受信したミリ波の送信信号Soutを発振回路44に注入して当該局部発振信号Sf2’を基準搬送信号Sfに同期させ、同期後の局部発振信号Sf2’に基づいて送信側の入力信号SIN(=復調信号SOUT)を復元する。CMOSチップ105,109には、第1の実施形態で説明したCMOSチップ104が使用される。
筺体内ミリ波伝送システム200によれば、送信側のCMOSチップ108のアンテナ107から電波を放射すると、受信側のCMOSチップ105のアンテナ106や、CMOSチップ109のアンテナ120で電波を受信する。このような筺体2内の自由空間を信号伝送媒体52とする伝搬構成を採っているが、信号伝送媒体52は、自由空間の他に導波管、伝送線路、誘電体伝送線路、誘電体内などの導波構造で構成してもよい。導波路は、筺体2内にスロットラインや、マイクロストリップ等を配置して構成する。
続いて、本発明に係る筺体内ミリ波伝送システム200の動作例について説明をする。図11に示す筺体内ミリ波伝送システム200によれば、同一の筺体2内に配置された1つの送信用のCMOSチップ108と、受信用の2つのCMOSチップ105,109間で、ミリ波の送信信号SoutをCMOSチップ108からCMOSチップ105,109へ同時に伝送する場合である。
この場合、筺体2内に配置されたCMOSチップ108が、入力信号SINを基準搬送信号Sf2に基づいてミリ波の送信信号Soutに変換する。例えば、CMOSチップ108は、発振回路14によって発振された基準搬送信号Sf2に基づいて入力信号SINを振幅変調してミリ波の送信信号Soutに周波数変換する。図中、f2は基準搬送信号Sf2の搬送周波数である。Δ2は入力信号SINで時間的変動する周波数成分である。CMOSチップ108は、変換後の送信信号Soutを当該筺体2内の空間、誘電体伝送線路、導波管、スロットライン、マイクロストリップ等の導波路から構成されるミリ波の信号伝送媒体52に伝送する。
また、筺体2内に配置された受信側のCMOSチップ105は、信号伝送媒体52から受信したミリ波の受信信号Sinを発振回路44に注入して当該発振回路44の局部発振信号Sf2’を基準搬送信号Sf2に同期させる。同様にして、筺体2内に配置された受信側のCMOSチップ109は、信号伝送媒体52から受信したミリ波の受信信号Sinを発振回路44に注入して当該発振回路44の局部発振信号Sf2’を基準搬送信号Sf2に同期させる。このように受信側の2つのCMOSチップ105,109の各々で、注入同期を利用することにより、受信側のCMOSチップ105,109の外部にタンク回路をもつ必要がなく、簡潔に受信機能を実現し、筺体2内の高速データ伝送を実現できるようになる。
CMOSチップ105,109の各々は、同期後の局部発振信号Sf2’に基づいてミリ波の受信信号Sinを復調するようになされる。例えば、CMOSチップ105,109の各々が、当該筺体2内のミリ波の信号伝送媒体52から振幅変調後のミリ波の受信信号Sinを受信する。そして、CMOSチップ105,109の各々は、この受信信号Sinと、基準搬送信号Sf2に基づいて注入同期が採られた局部発振信号Sf2’とを混合し、混合後のミリ波の受信信号Sinを、例えば、二乗検波して送信側の入力信号SIN(=復調信号SOUT)を復元するようになる。これにより、同一の筺体2内に配置された3つのCMOSチップ108,105,109間で、CMOSチップ108からCMOSチップ105,109へミリ波帯域の送信信号Soutを伝送できるようになる。
もちろん、筺体2内に配置されたCMOSチップ108が、発振回路14によって発振された基準搬送信号Sf2に基づいて入力信号SINをミリ波の送信信号Soutに変調し、図8に示したようなI−Q軸変調方式を採ってもよい。この方式によれば、2次元の複素平面上のI軸−Q軸に基準搬送信号Sf2を成す基準搬送電圧Vc及び送信信号Soutを成す変調電圧Vbを表現したとき、CMOSチップ108が、複素平面のI軸に変調後のミリ波の送信信号Sout(ミリ波変調信号)を成す変調電圧Vbを載せる。更に、CMOSチップ108が当該複素平面のQ軸に基準搬送信号Sf2を成す基準搬送電圧Vcを載せて、送信信号Soutと基準搬送信号Sf2とを直交させる。
筺体2内に配置された2つのCMOSチップ105,109では、各々が注入同期によって再生した基準搬送信号Sf2に一致する局部発振信号Sf2’の位相を基準搬送信号Sf2に対して90度をずらす。CMOSチップ105,109の各々は、90度ずらされた基準搬送信号Sf2に基づいて複素平面のI軸に載せられた受信信号Sin(ミリ波変調信号)を復調する。このように構成すると、CMOSチップ108で送信信号Sout(ミリ波変調信号)と基準搬送信号Sf2とを同相にして伝送する場合に比べて、受信側のCMOSチップ105,109での直流成分を抑制できるようになる(図8参照)。
このように、第2の実施形態としての筺体内ミリ波伝送システム200によれば、送信側のCMOSチップ108が配置された同一の筺体2内に、二つの受信側のCMOSチップ105,109を備える。CMOSチップ105,109では、各々が、ミリ波の信号伝送媒体52を介してCMOSチップ108から受信したミリ波の送信信号Soutを発振回路44に注入して当該基準搬送信号Sf2を搬送周波数の信号に同期させる。CMOSチップ105,109の各々では、同期後の局部発振信号Sf2’に基づいてミリ波の送信信号Soutを復調し、送信側の入力信号SIN(=復調信号SOUT)を復元するようになされる。
従って、同一の筺体2内に配置された送信用のCMOSチップ108及び受信用の2つのCMOSチップ105,109間で、1対2の伝送チャンネルによりミリ波の信号伝送媒体52を介したミリ波帯域の送信信号Soutを伝送できるようになる。しかも、筺体内ミリ波伝送システム200によれば、ミリ波は容易に遮蔽でき、外部に漏れないため、安定度の低い搬送周波数f2の基準搬送信号Sf2を使用することができる。これにより、周波数多重化による同一の筺体2内の多チャンネル信号伝送システムを構築できるようになる。
例えば、ミリ波の信号伝送媒体52にデータを時分割して伝送することで、交互に伝送方向を切り換え、データ伝送を行う半二重方向伝送システムや、ミリ波の信号伝送媒体52において、異なる方向にデータを同時に伝送する全二重方向伝送システム等の双方向伝送システムを構築できるようになる。これにより、筺体内情報多重化伝送システムを実現できるようになる。
<第3の実施形態>
続いて、図12及び図13を参照して、第3の実施形態としての筺体内ミリ波伝送システム300を説明する。この実施形態では、同一の筺体3内に、第1の実施形態に係る筺体内ミリ波伝送システム100と、第2の実施形態に係る筺体内ミリ波伝送システム200とが配置される。これらの小型の信号伝送システムが組み合わされて、1対1及び1対2等の多チャンネルの伝送システムが混在する筺体内情報多重化伝送システムを構成している。筺体内ミリ波伝送システム300の多チャンネル化は、図12に示すように、通信チャネル毎に異なった搬送周波数f1,f2を別々に設定することで、簡単に構成できるようになる。
続いて、図12及び図13を参照して、第3の実施形態としての筺体内ミリ波伝送システム300を説明する。この実施形態では、同一の筺体3内に、第1の実施形態に係る筺体内ミリ波伝送システム100と、第2の実施形態に係る筺体内ミリ波伝送システム200とが配置される。これらの小型の信号伝送システムが組み合わされて、1対1及び1対2等の多チャンネルの伝送システムが混在する筺体内情報多重化伝送システムを構成している。筺体内ミリ波伝送システム300の多チャンネル化は、図12に示すように、通信チャネル毎に異なった搬送周波数f1,f2を別々に設定することで、簡単に構成できるようになる。
この例では、双方向や全二重等の伝送システムを構成する場合、第1及び第2の実施形態で説明した送信用のCMOSチップ101,108及び受信用のCMOSチップ104,105,109等の複数個を同一の筺体3内に配置する。そして、信号伝送するチャンネル(通信ペアの組)毎に、搬送周波数f1,f2を割当てるようになされる。
例えば、CMOSチップ101及びCMOSチップ104には、第1の実施形態で説明したように、搬送周波数f1が割当てられる。CMOSチップ108及びCMOSチップ105,109には第2の実施形態で説明したように、搬送周波数f2が割当てられる。このようにチャンネル毎に搬送周波数f1,f2を割り当てる。すると、CMOSチップ101,104の1対1チャンネル(組)と、他のCMOSチップ108及びCMOSチップ105,109の1対2チャンネル(組)との間で、干渉無しにミリ波帯域の送信信号Soutを伝送できるようになる。
図12に示す筺体内ミリ波伝送システム300によれば、送信用のCMOSチップ101から受信用のCMOSチップ104へ搬送周波数f1のミリ波帯域の送信信号Sout1(ミリ波変調信号)が伝送されている(以下で第1のチャンネルIという)。また、送信用のCMOSチップ108から2つの受信用のCMOSチップ105,109へ搬送周波数f2のミリ波帯域の送信信号Sout2(ミリ波変調信号)が伝送されている(以下で第2のチャンネルIIという)。これらの搬送周波数f1,f2のミリ波帯域の送信信号Sout1,Sout2は、筺体3から外部に漏れないように導波構造により筺体3を設計してある。
チャンネルIでは、CMOSチップ101が、入力信号SIN1を基準搬送信号Sf1に基づいてミリ波帯域の送信信号Sout1に変換し、変換後の送信信号Sout1を当該筺体3内のミリ波の信号伝送媒体51に伝送する。
CMOSチップ104では、自走発振周波数の局部発振信号Sf1’を発振する発振回路44を有して筺体3内に配置され、信号伝送媒体51から受信したミリ波の送信信号Sout1を発振回路44に注入して当該局部発振信号Sf1’を基準搬送信号Sf1に同期させ、同期後の局部発振信号Sf1’に基づいて送信側の入力信号SIN1(=復調信号SOUT1)を復元する。
チャンネルIIで、CMOSチップ108は、入力信号SIN2を基準搬送信号Sf2に基づいてミリ波帯域の送信信号Sout2に変換し、変換後の送信信号Sout2を当該筺体3内のミリ波の信号伝送媒体52に伝送するものである。CMOSチップ108には、第1の実施形態で説明したCMOSチップ101が使用される。
CMOSチップ105,109は、自走発振周波数の局部発振信号Sf2’を発振する発振回路44を有して筺体3内に配置され、信号伝送媒体52から受信したミリ波の送信信号Sout2を発振回路44に注入して当該局部発振信号Sf2’を基準搬送信号Sf2に同期させ、同期後の局部発振信号Sf2’に基づいて送信側の入力信号SIN2(=復調信号SOUT2)を復元する。CMOSチップ105,109には、第1の実施形態で説明したCMOSチップ104が使用される。
筺体内ミリ波伝送システム300によれば、チャンネルIで、送信側のCMOSチップ101のアンテナ102から電波を放射すると、受信側のCMOSチップ104のアンテナ103で電波を受信する。このような筺体3内でも自由空間を信号伝送媒体51とする伝搬構成を採っている。
チャンネルIIでは、送信側のCMOSチップ108のアンテナ107から電波を放射すると、受信側のCMOSチップ105のアンテナ106や、CMOSチップ109のアンテナ120で電波を受信する。このような筺体3内の自由空間を信号伝送媒体52とする伝搬構成を採っているが、信号伝送媒体52は、自由空間の他に導波管、伝送線路、誘電体伝送線路、誘電体内などの導波構造で構成してもよい。導波路は、筺体3内にスロットラインや、マイクロストリップ等を配置して構成する。
更に、チャンネルIの信号伝送媒体51と、チャンネルIIの信号伝送媒体52とを短絡するような信号伝送媒体53を設けてもよい。この信号伝送媒体53にチャンネルI又はチャンネルIIの送信側のCMOSチップ101又は108を主送信器とする一斉送信処理を行うことができる。
続いて、本発明に係る筺体内ミリ波伝送システム300の動作例について説明をする。この例で、ミリ波は容易に遮蔽でき、外部に漏れないため、安定度の低い搬送周波数f1の基準搬送信号Sf1がチャンネルIに設定され、安定度の低い搬送周波数f2の基準搬送信号Sf2がチャンネルIIに設定される。
図13に示す筺体内ミリ波伝送システム300によれば、同一の筺体3内に配置された、チャンネルIで、ミリ波の送信信号Sout1がCMOSチップ101からCMOSチップ104へ伝送される。これに独立して、チャンネルIIで、ミリ波の送信信号Sout2がCMOSチップ108からCMOSチップ105,109へ同時に伝送するようになされる。
チャンネルIでは、筺体3内に配置されたCMOSチップ101が、入力信号SIN1を基準搬送信号Sf1に基づいてミリ波の送信信号Sout1に変換する。例えば、CMOSチップ101は、発振回路14によって発振された基準搬送信号Sf1に基づいて入力信号SIN1を振幅変調してミリ波の送信信号Sout1に周波数変換する。
図中、f1は基準搬送信号Sf1の搬送周波数である。Δ1は入力信号SIN1で時間的変動する周波数成分である。CMOSチップ101は、変換後の送信信号Sout1を当該筺体3内の空間、誘電体伝送線路、導波管、スロットライン、マイクロストリップ等の導波路から構成されるミリ波の信号伝送媒体51に伝送する。
また、筺体3内に配置された受信側のCMOSチップ104は、信号伝送媒体51から受信したミリ波の受信信号Sin1を発振回路44に注入して当該発振回路44の局部発振信号Sf1’を基準搬送信号Sf1に同期させる。このように受信側のCMOSチップ104で、注入同期を利用することにより、受信側のCMOSチップ104の外部にタンク回路をもつ必要がなく、簡潔に受信機能を実現し、筺体3内の高速データ伝送を実現できるようになる。
CMOSチップ104は、同期後の局部発振信号Sf1’に基づいてミリ波の受信信号Sin1を復調するようになされる。例えば、CMOSチップ104が、当該筺体3内のミリ波の信号伝送媒体51から振幅変調後のミリ波の受信信号Sin1を受信する。
そして、CMOSチップ104は、この受信信号Sin1と、基準搬送信号Sf1に基づいて注入同期が採られた局部発振信号Sf1’とを混合する。CMOSチップ104は、混合後のミリ波の受信信号Sin1を、例えば、二乗検波して送信側の入力信号SIN1(=復調信号SOUT1)を復元するようになる。
チャンネルIIでは、筺体3内に配置されたCMOSチップ108が、入力信号SIN2を基準搬送信号Sf2に基づいてミリ波の送信信号Sout2に変換する。例えば、CMOSチップ108は、発振回路14によって発振された基準搬送信号Sf2に基づいて入力信号SIN2を振幅変調してミリ波の送信信号Sout2に周波数変換する。
図中、f2は基準搬送信号Sf2の搬送周波数である。Δ2は入力信号SIN2で時間的変動する周波数成分である。CMOSチップ108は、変換後の送信信号Sout2を当該筺体3内の空間、誘電体伝送線路、導波管、スロットライン、マイクロストリップ等の導波路から構成されるミリ波の信号伝送媒体52に伝送する。
また、筺体3内に配置された受信側のCMOSチップ105は、信号伝送媒体52から受信したミリ波の受信信号Sin2を発振回路44に注入して当該発振回路44の局部発振信号Sf2’を基準搬送信号Sf2に同期させる。同様にして、筺体3内に配置された受信側のCMOSチップ109は、信号伝送媒体52から受信したミリ波の受信信号Sin2を発振回路44に注入して当該発振回路44の局部発振信号Sf2’を基準搬送信号Sf2に同期させる。
受信側の2つのCMOSチップ105,109の各々では、注入同期を利用することにより、受信側のCMOSチップ105,109の外部にタンク回路をもつ必要がなく、簡潔に受信機能を実現し、筺体3内の高速データ伝送を実現できるようになる。
CMOSチップ105,109の各々は、同期後の局部発振信号Sf2’に基づいてミリ波の受信信号Sin2を復調するようになされる。例えば、CMOSチップ105,109の各々が、当該筺体3内のミリ波の信号伝送媒体52から振幅変調後のミリ波の受信信号Sin2を受信する。
そして、CMOSチップ105,109の各々は、この受信信号Sin2と、基準搬送信号Sf2に基づいて注入同期が採られた局部発振信号Sf2’とを混合する。CMOSチップ105,109の各々は、混合後のミリ波の受信信号Sin2を、例えば、二乗検波して送信側の入力信号SIN2(=復調信号SOUT2)を復元するようになる。
このように、第3の実施形態としての筺体内ミリ波伝送システム300によれば、チャンネルIには、送信側のCMOSチップ101が配置された同一の筺体3内に、一つの受信側のCMOSチップ104を備える。チャンネルIIには、送信側のCMOSチップ108が配置された同一の筺体3内に、二つの受信側のCMOSチップ105,109を備える。
チャンネルIでは、CMOSチップ104が、ミリ波の信号伝送媒体51を介してCMOSチップ101から受信したミリ波の送信信号Sout1を発振回路44に注入して当該局部発振信号Sf1’を基準搬送信号Sf1に同期させる。CMOSチップ104では、同期後の局部発振信号Sf1'に基づいてミリ波の送信信号Sout1を復調し、送信側の入力信号SIN1(=復調信号SOUT1)を復元するようになされる。
チャンネルIIでは、CMOSチップ105,109の各々が、ミリ波の信号伝送媒体52を介してCMOSチップ108から受信したミリ波の送信信号Sout2を発振回路44に注入して当該局部発振信号Sf2’を基準搬送信号Sf2に同期させる。CMOSチップ105,109の各々では、同期後の局部発振信号Sf2’に基づいてミリ波の送信信号Sout2を復調し、送信側の入力信号SIN2(=復調信号SOUT2)を復元するようになされる。
従って、同一の筺体3内に配置されたチャンネルIで、2つのCMOSチップ101,104間(1対1の伝送チャネル)で、CMOSチップ101からCMOSチップ104へミリ波帯域の送信信号Sout1を伝送できるようになる。また、同一の筺体3内に配置されたチャンネルIIで、3つのCMOSチップ108,105,109間(1対2の伝送チャネル)で、CMOSチップ108からCMOSチップ105,109へミリ波帯域の送信信号Sout2を伝送できるようになる。
これにより、周波数多重化による同一の筺体3内の多チャンネル信号伝送システムを構築できるようになる。例えば、信号伝送媒体51,52にデータを時分割して伝送することで、交互に伝送方向を切り換え、データ伝送を行う半二重方向伝送システムや、信号伝送媒体51,52において、異なる方向にデータを同時に伝送する全二重方向伝送システム等の双方向伝送システムを構築できるようになる。従って、筺体内情報多重化伝送システムを実現できるようになる。
しかも、筺体内ミリ波伝送システム300によれば、同一の筺体3内で、より小型な信号伝送システムによって、ミリ波帯域の送信信号Sout1,Sout2を簡潔かつ高速に受信側に伝送できるようになる。これと共に、チャンネルIのCMOSチップ101,104間と、チャンネルIIのCMOSチップ108,CMOSチップ105,109間とで独立して、ミリ波帯域の送信信号Sout1,Sout2を伝送できるようになった。
また、信号伝送媒体51,52が反射等の伝搬チャネルが既知であること、及び、送信側から受信側への通信状況によっては、筺体3内の複数場所にある受信用のCMOSチップ104,105,109をお互いに連動するように動作させることができる。従って、伝搬チャンネルの変化に対応して、送信信号Sout1,Sout2等の情報を信号伝送媒体51,52に載せることが可能となる。
<第4の実施形態>
続いて、図14及び図15を参照して、第4の実施形態としての筺体内ミリ波伝送システム400について説明をする。この実施形態でも、ミリ波が容易に遮蔽でき、外部に漏れないため、安定度が低い搬送周波数f1,f2が通信チャネル毎に使用される。そして、同一の筺体4内に二以上の双方向通信用のCMOSチップ210,220等が配置され、2つのCMOSチップ210,220間で双方向に通信を行う全二重方向伝送システムや、半二重方向伝送システム等を構築するようにした。
続いて、図14及び図15を参照して、第4の実施形態としての筺体内ミリ波伝送システム400について説明をする。この実施形態でも、ミリ波が容易に遮蔽でき、外部に漏れないため、安定度が低い搬送周波数f1,f2が通信チャネル毎に使用される。そして、同一の筺体4内に二以上の双方向通信用のCMOSチップ210,220等が配置され、2つのCMOSチップ210,220間で双方向に通信を行う全二重方向伝送システムや、半二重方向伝送システム等を構築するようにした。
この例は、全二重双方向伝送システムを構成する場合であって、図14に示すように安定度の低い搬送周波数f1の基準搬送信号Sf1がチャンネルIに設定され、その安定度の低い搬送周波数f2の基準搬送信号Sf2がチャンネルIIに設定される。
第1のCMOSチップ210は双方向通信用の半導体チップの一例を構成し、送信部201及び受信部205を有している。CMOSチップ210には、第1の実施形態で説明したCMOSチップ101及びCMOSチップ104を複合した半導体チップが用いられる。送信部201は、入力信号SIN1を基準搬送信号Sf1に基づいてミリ波の送信信号Sout1(ミリ波変調信号)に変換し、変換後の送信信号Sout1を当該筺体4内のミリ波の信号伝送媒体54に伝送する。これにより、送信信号Sout1が信号伝送媒体54を介して相手方となる第2のCMOSチップ220に送信される。
受信部205は、図15に示す発振回路44を有して信号伝送媒体54から受信したミリ波の受信信号Sin2を発振回路44に注入して当該発振回路44の自走発振周波数foを基準搬送信号Sf2の搬送周波数f2に同期させ、同期後の発振回路44の局部発振信号Sf2’に基づいてミリ波の受信信号Sin2を復調し、送信側の入力信号SIN2を復元するように動作する。
第2のCMOSチップ220は双方向通信用の半導体チップの一例を構成し、受信部204及び送信部208を有している。CMOSチップ220にも、第1の実施形態で説明したCMOSチップ101及びCMOSチップ104を複合した半導体チップを用いられる。送信部208は、入力信号SIN2を基準搬送信号Sf2に基づいてミリ波の送信信号Sout2(ミリ波変調信号)に変換し、変換後の送信信号Sout2を当該筺体4内のミリ波の信号伝送媒体54に伝送する。これにより、送信信号Sout2が信号伝送媒体54を介して相手方となる第1のCMOSチップ210に送信される。
受信部204は、図15に示す発振回路44を有して信号伝送媒体54から受信したミリ波の受信信号Sin1を発振回路44に注入して当該発振回路44の自走発振周波数foを基準搬送信号Sf1の搬送周波数f1に同期させ、同期後の発振回路44の局部発振信号Sf1’に基づいてミリ波の受信信号Sin1を復調し、送信側の入力信号SIN1を復元するように動作する。これらの搬送周波数f1,f2のミリ波帯域の送信信号Sout1,Sout2は、筺体4から外部に漏れないように導波構造により筺体4を設計してある。
続いて、本発明に係る筺体内ミリ波伝送システム400の動作例について説明をする。図15に示す筺体内ミリ波伝送システム400によれば、同一の筺体4内に配置された、チャンネルIで、ミリ波の送信信号Sout1がCMOSチップ210の送信部201からCMOSチップ220の受信部204へ伝送される。これに独立して、チャンネルIIで、ミリ波の送信信号Sout2がCMOSチップ220の送信部208からCMOSチップ210の受信部205へ同時に伝送するようになされる。
チャンネルIでは、筺体4内に配置されたCMOSチップ210の送信部201が、入力信号SIN1を基準搬送信号Sf1に基づいてミリ波の送信信号Sout1に変換する。例えば、CMOSチップ210の送信部201は、発振回路14によって発振された基準搬送信号Sf1に基づいて入力信号SIN1を振幅変調してミリ波の送信信号Sout1に周波数変換する。
図中、f1は基準搬送信号Sf1の搬送周波数である。Δ1は入力信号SIN1で時間的変動する周波数成分である。CMOSチップ210の送信部201は、変換後の送信信号Sout1を当該筺体4内の空間、誘電体伝送線路、導波管、スロットライン、マイクロストリップ等の導波路から構成されるミリ波の信号伝送媒体54に伝送する。
また、筺体4内に配置されたCMOSチップ220の受信部204は、信号伝送媒体54から受信したミリ波の受信信号Sin1を発振回路44に注入して当該発振回路44の局部発振信号Sf1’を基準搬送信号Sf1に同期させる。このようにCMOSチップ220の受信部204で、注入同期を利用することにより、その受信部204の外部にタンク回路をもつ必要がなく、簡潔に受信機能を実現し、筺体4内の高速データ伝送を実現できるようになる。
受信部204は、同期後の局部発振信号Sf1’に基づいてミリ波の受信信号Sin1を復調するようになされる。例えば、変調方式が振幅変調の場合、受信部204が、当該筺体4内のミリ波の信号伝送媒体54から振幅変調後のミリ波の受信信号Sin1を受信する。そして、受信部204は、この受信信号Sin1と、基準搬送信号Sf1に基づいて注入同期が採られた局部発振信号Sf1’とを混合し、混合後のミリ波の受信信号Sin1を二乗検波して送信側の入力信号SIN1(=復調信号SOUT1)を復元するようになる。
チャンネルIIでは、筺体4内に配置されたCMOSチップ220の送信部208が、入力信号SIN2を基準搬送信号Sf2に基づいてミリ波の送信信号Sout2に変換する。例えば、CMOSチップ220の送信部208は、発振回路14によって発振された基準搬送信号Sf2に基づいて入力信号SIN2を振幅変調してミリ波の送信信号Sout2に周波数変換する。図中、f2は基準搬送信号Sf2の搬送周波数である。Δ2は入力信号SIN2で時間的変動する周波数成分である。CMOSチップ220の送信部208は、変換後の送信信号Sout2を当該筺体4内の空間、誘電体伝送線路、導波管、スロットライン、マイクロストリップ等の導波路から構成されるミリ波の信号伝送媒体54に伝送する。
また、筺体4内に配置されたCMOSチップ210の受信部205は、信号伝送媒体54から受信したミリ波の受信信号Sin2を発振回路44に注入して当該発振回路44の局部発振信号Sf2’を基準搬送信号Sf2に同期させる。このようにCMOSチップ210の受信部205で、注入同期を利用することにより、その受信部205の外部にタンク回路をもつ必要がなく、簡潔に受信機能を実現し、筺体4内の高速データ伝送を実現できるようになる。
CMOSチップ210の受信部205は、同期後の局部発振信号Sf2’に基づいてミリ波の受信信号Sin2を復調するようになされる。例えば、変調方式が振幅変調の場合、CMOSチップ210の受信部205が、当該筺体4内のミリ波の信号伝送媒体54から振幅変調後のミリ波の受信信号Sin2を受信する。そして、その受信部205は、この受信信号Sin2と、基準搬送信号Sf2に基づいて注入同期が採られた局部発振信号Sf2’とを混合し、混合後のミリ波の受信信号Sin2を、例えば、二乗検波して送信側の入力信号SIN2(=復調信号SOUT2)を復元するようになる。
このように、第4の実施形態としての筺体内ミリ波伝送システム400によれば、図14に示したように、同一の筺体4内に2つの双方向通信用のCMOSチップ210,220が配置され、かつ、通信チャネル毎に搬送周波数f1,f2が設定されるものである。
従って、同一の筺体4内に構築されたチャンネルIで、搬送周波数f1に基づいて、2つの双方向通信用のCMOSチップ210の送信部201とCMOSチップ220の受信部204との間で、その送信部201からその受信部204へミリ波帯域の下りの送信信号Sout1を伝送できるようになる。
また、同一の筺体4内に構築されたチャンネルIIで、搬送周波数f2に基づいて、チャンネルIに独立して、上述のCMOSチップ210,220間で、その送信部208からその受信部205へミリ波帯域の送信信号Sout2を伝送できるようになる。
これにより、2つのCMOSチップ210,220間で双方向に通信を行う全二重方向伝送システムを構築できるようになった。しかも、同一の筺体4内で、より小型な信号伝送システムによって、ミリ波帯域の送信信号Sout1,Sout2を簡潔かつ高速に受信側に伝送できるようになる。また、周波数多重化による同一の筺体4内での多チャンネルの信号伝送システムを構築できるようになった。
本発明は、映画映像や、コンピュータ画像等を搬送するための搬送周波数が30GHz乃至300GHzのミリ波帯の信号を高速に伝送する筺体内ミリ波伝送システムに適用して極めて好適である。当該システムにはデジタル記録再生装置、地上波テレビ受像装置、携帯電話装置、ゲーム装置、コンピュータ、通信装置等が含まれる。
1,2,3,4・・・筺体、11・・・符号化多重回路、12・・・波形整形回路、13・・・変調回路、14,44・・・発振回路、15,43・・・位相振幅調整回路、16,41・・・増幅回路、17、48・・・コントローラ、19・・・逓倍回路、42・・・復調回路、45・・・フィルタ等化回路、46・・・復号分離回路、47・・・注入同期検出回路、51〜54・・・信号伝送媒体、101,104,105,108,109,110,210,220・・・CMOSチップ(半導体チップ)、102,103[106,107,120・・・アンテナ、201,208・・・送信部,204,205・・・受信部
http://www.national.com/an/AN/AN-971.pdf
US5754948 Millimeter-wave Wireless Interconnection of Electronic Components
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Claims (6)
- 筺体内に配置され、入力信号を所定の搬送周波数の信号に基づいてミリ波帯域の信号に変換し、変換後の信号を当該筺体内のミリ波の信号伝送媒体に伝送する一以上の第1の半導体チップと、
自走発振周波数の信号を発振する発振回路を有して前記筺体内に配置され、前記信号伝送媒体から受信したミリ波帯域の信号を前記発振回路に注入して当該自走発振周波数の信号を前記搬送周波数の信号に同期させ、
同期後の前記自走発振周波数の信号に基づいて前記ミリ波帯域の信号を復元する一以上の第2の半導体チップとを備える筺体内信号伝送システム。 - 前記筺体内に配置された第1の半導体チップが、
前記発振回路によって発振された基準搬送信号に基づいて前記入力信号をミリ波帯域の信号に変調し、
2次元の複素平面上のI軸−Q軸に基準搬送信号及び変調信号を表現したとき、
前記複素平面のI軸に変調後のミリ波帯域の変調信号を載せ、かつ、当該複素平面のQ軸に基準搬送信号を載せて、前記変調信号と基準搬送信号とを直交させ、
前記筺体内に配置された第2の半導体チップは、
注入同期によって再生した前記基準搬送信号の位相を前記自走発振周波数の信号に対して90度をずらし、90度ずらされた前記基準搬送信号に基づいて前記複素平面のI軸に載せられた変調信号を復調する請求項1に記載の筺体内信号伝送システム。 - 前記筺体内でミリ波の信号伝送媒体を介して信号伝送する前記第1及び第2の半導体チップの組毎に別々の搬送周波数が割当てられる請求項2に記載の筺体内信号伝送システム。
- 前記信号伝送媒体は、
空間、誘電体伝送路、導波管、又は/及び導波路から構成され、
前記導波路には、スロットライン又は/及びマイクロストリップが含まれる請求項1に記載の筺体内信号伝送システム。 - 前記入力信号を所定の搬送周波数の信号に基づいてミリ波帯域の信号に変換し、変換後の信号を当該筺体内のミリ波の信号伝送媒体に伝送する送信部と、
発振回路を有して前記信号伝送媒体から受信したミリ波帯域の信号を前記発振回路に注入して当該発振回路の発振周波数を前記搬送周波数に同期させ、
同期後の前記発振回路の発振周波数に基づいて前記ミリ波帯域の信号を復元する受信部とを有した双方向通信用の複数の半導体チップが筺体内に配置される請求項1に記載の筺体内信号伝送システム。 - 筺体内信号伝送システムが、
筺体内に構築され、入力信号を所定の搬送周波数の信号に基づいてミリ波帯域の信号に変換し、変換後の信号を当該筺体内のミリ波の信号伝送媒体に伝送するステップと、
自走発振周波数の信号を発振する発振回路を有して前記筺体内に配置され、前記信号伝送媒体からミリ波帯域の信号を受信して、当該信号を前記発振回路に注入して当該自走発振周波数の信号を前記搬送周波数の信号に同期させ、同期後の前記自走発振周波数の信号に基づいて前記ミリ波帯域の信号を復元するステップとを有する筺体内信号伝送方法。
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