JP2011050461A - 弾球遊技機 - Google Patents

Abstract

【課題】出球無し大当りの発生し易さを、常に適切に制御可能な弾球遊技機を提供する。
【解決手段】大入賞口の開放態様として、通常開放態様と、通常開放態様よりも遊技球が入球し難い特殊開放態様とを設ける。始動入賞して図柄表示装置で当り態様の図柄が停止表示されると、大入賞口を開閉させて規定ラウンド回数の大当り遊技を行う。そして大当り遊技中では、その大当り遊技の契機となった当り態様の図柄が停止表示されたときの遊技状態に応じて、通常開放態様または特殊開放態様の何れかの態様で、大入賞口の開放態様を制御する。こうすれば、当り態様の図柄が停止表示されたときの遊技状態に応じて、大当り遊技中の大入賞口の開放態様を制御することができるので、突然確変大当りなどのような、賞球が得られ難い大当り（賞球無し大当り）の発生し易さを、常に適切に制御することが可能となる。
【選択図】図２１

Description

本発明は、遊技盤面に向けて遊技球を発射することによって遊技を行うパチンコ機等の弾球遊技機に関する。

複数の入球口が設けられた遊技盤面に遊技球を発射して遊技を行う弾球遊技機が広く使用されている。パチンコ機などの弾球遊技機では、始動口と呼ばれる特別な入球口に遊技球が入球すると、遊技盤面に設けられた図柄表示装置で図柄を変動表示させる抽選が行われ、そして停止表示された図柄が所定の大当り図柄であった場合には、通常時には閉鎖されている大入賞口を開放させて大当り遊技が行われる。大入賞口が開放すると、遊技球を容易に入球させることが可能となるので、遊技者は多くの遊技球を賞球として獲得することが可能となる。

また、弾球遊技機の中には、特定の大当り図柄が停止表示されると、「突然確変大当り（賞球無し当り）」と呼ばれる特殊な大当り遊技を行うパチンコ機も存在する。この突然確変大当りでは、大入賞口の開放時間を通常の大当り遊技に比べて短時間に設定して、遊技球が大入賞口に入球困難な態様で大当り遊技が行われる。そして、この突然確変大当りは、遊技者が多くの賞球を得られないまま終了するが、その後は遊技状態が確変状態（抽選で大当り図柄が停止表示される当り確率が高確率に設定された状態）に切り換わる。この「突然確変大当り」は、遊技者に付与する特典として「多くの賞球を付与すること」が主の目的でなく、「当り確率を高確率にすること」を特典として付与することを主な目的にした当り態様であり、通常の遊技状態（当り確率が低確率に設定された状態）で遊技を進行させている遊技者の遊技興趣を高める効果を奏することができる。

もっとも、この突然確変大当りは、通常の大当り遊技と異なり多くの賞球を得られないので、突然確変大当り発生時の遊技の状況によっては遊技者の遊技興趣を冷ましてしまう場合も生じ得る。たとえば、現在の遊技状態が確変状態であることを遊技者が認識している場合には、突然確変大当りが発生したからといって遊技者の期待が膨らむわけではなく、むしろ賞球が得られない大当りが発生したことで、遊技者の興趣を冷ましてしまう虞がある。このように、突然確変大当りは、いつ発生しても遊技興趣を高める効果を奏するものではない。

そこで、突然確変大当りの発生確率が低い状態と、発生確率が高い状態とを作り出すために、次のようなことが行われている（たとえば特許文献１など）。先ず、常に遊技球が入球し得る固定始動口と、開放すると遊技球が固定始動口よりも高確率で入球可能になる可変始動口とを設けておく。そして、固定始動口に入球した場合の図柄変動（第１特別図柄の変動）と、可変始動口に入球した場合の図柄変動（第２特別図柄の変動）とを別扱いにし、固定始動口に入球した場合の図柄変動よりも、可変始動口に入球した場合の図柄変動の方が、優先して変動表示が行われるようにする。さらに、固定始動口に入球した場合の図柄変動よりも、可変始動口に入球した場合の図柄変動の方が、突然確変大当りの発生確率を低く設定しておく。こうすれば、可変始動口が開放し易くなっている状態（可変始動口の開放時間を延長させる「開放延長機能」の作動状態）では、可変始動口に入球した場合の図柄変動が集中して行われるようになり、突然確変大当りの発生確率が低くなる。逆に、開放延長機能が作動していない状態（可変始動口よりも固定始動口に遊技球が入球し易い状態）では、突然確変大当りの発生確率が高くなる。従って、開放延長機能を作動させるか否かによって、突然確変大当りの発生確率が高い状態と、発生確率が低い状態とを作り出すことが可能となる。

特開２００９−１１３４５号公報

しかし、上述した従来の技術では、突然確変大当りの発生確率を変更するためには、「複数の特別図柄の変動制御」、「一方の図柄変動を優先する優先制御」、および「開放延長機能の作動制御」の全ての制御を行う必要があり、制御が複雑になるという問題があった。また、これら全ての制御を行うことが必須であるために、たとえば、「開放延長機能の非作動状態の一部期間で、突然確変大当りの発生確率を変更する」等の遊技性を実現することが困難であった。このように、新たな遊技性を実現する観点からすると、突然確変大当りの発生確率を変更するための従来の技術は、好適な技術とは言い難いものであった。

本発明は、従来の技術における上述した課題を解決するためになされたものであり、簡易な制御で突然確変大当りの発生確率を変更するとともに、それにより新たな遊技性を実現可能にする弾球遊技機の提供を目的とする。

上述した課題の少なくとも一部を解決するために、本発明の弾球遊技機は次の構成を採用した。すなわち、
遊技球の入球可能な始動口と、図柄の変動表示が可能な図柄表示装置と、開閉可能に構成されて通常時は閉鎖されている大入賞口とが設けられた遊技盤面に遊技球を発射して遊技を行う弾球遊技機において、
前記始動口に遊技球が入球したことを契機として前記図柄表示装置で図柄の変動表示を開始させ、該図柄を当り図柄または外れ図柄の何れかで停止表示させる図柄変動制御手段と、
前記図柄が前記当り図柄で停止表示した場合には、前記大入賞口の開閉動作を規定回数だけ行う大当り遊技を実行する大当り遊技実行手段と、
前記大入賞口が開放してから閉鎖するまでの態様である開放態様として、該大入賞口に遊技球が入球容易な通常開放態様と、該通常開放態様よりも遊技球の入球が困難な特殊開放態様とを記憶している開放態様記憶手段と
を備え、
前記大当り遊技実行手段は、前記大当り遊技の実行契機となった前記当り図柄の停止表示が行われたときの遊技状態に応じて、前記通常開放態様または前記特殊開放態様の何れかを決定し、該決定した開放態様で、前記規定回数の前記開閉動作を制御する開閉動作制御手段を備えることを特徴とする。

このような本発明の弾球遊技機においては、始動口に遊技球が入球すると、図柄表示装置で図柄の変動表示が行われ、その図柄が当り図柄で停止表示されると、大入賞口を開放させた後、閉鎖させる動作を規定回数だけ繰り返す大当り遊技が開始される。また、このときの大入賞口の開放態様としては、開放した大入賞口に遊技球が入球容易な通常開放態様と、通常開放態様よりも遊技球が入球困難な特殊開放態様とが設けられている。そして、大当り遊技が開始されると、その大当り遊技を開始させることとなった契機となる当り図柄が停止表示されたときの遊技状態に応じて、通常開放態様または特殊開放態様の何れかの態様で、大入賞口の開閉動作が制御される。

こうすれば、図柄表示装置で当り図柄が停止表示されたときの遊技状態に応じて、大当り遊技中の大入賞口の開放態様を、通常開放態様または特殊開放態様に設定することができるので、従来のように複雑な制御を用いることなく、突然確変大当りなどのような、賞球が得られ難い大当り（賞球無し大当り）の発生確率を変更することが可能となる。例えば、「開放延長機能の非作動状態の一部期間」で当り図柄が停止表示されたときは、当り図柄の種類にかかわらず、当該大当り遊技中の大入賞口の開放態様を通常開放態様に設定することができる。つまり、「同じ当り図柄であっても、遊技状態によって大当り遊技での賞球の得られ易さが異なる」という新規な遊技性を実現できる。なお、「遊技状態」としては、例えば、「Ａ：当り図柄が停止する確率の低い低確率状態」、「Ｂ：当り図柄が停止する確率の高い高確率状態」、「Ｃ：開放延長機能が作動していない状態」、「Ｄ：開放延長機能が作動している状態」、「Ｅ：図柄の変動時間を設定するための変動時間設定テーブルとして特殊変動時間設定テーブルが設定されている状態」、「Ａ、Ｃ、Ｄ、Ｅの一部又は全てを組み合わせた状態」、「Ｂ、Ｃ、Ｄ、Ｅの一部又は全てを組み合わせた状態」、等が挙げられ、その他の状態であってもよい。また、特殊開放態様が決定されることとなる遊技状態は、特定の遊技状態に限ってもよいし、複数の遊技状態としてもよい。

また、上述した本発明の弾球遊技機においては、次のようにしても良い。すなわち、
請求項１に記載の弾球遊技機において、
前記図柄表示装置が停止表示する前記当り図柄には、通常当り図柄と確変当り図柄とが設けられており、
前記図柄変動制御手段は、
前記通常当り図柄の停止表示を契機として実行された前記大当り遊技が終了した後は、前記図柄表示装置で当り図柄が通常の確率で停止表示される通常状態で、前記図柄の変動表示および停止表示を制御し、
前記確変当り図柄の停止表示を契機として実行された前記大当り遊技が終了した後は、前記図柄表示装置で当り図柄が前記通常の確率よりも高い確率で停止表示される確変状態で、前記図柄の変動表示および停止表示を制御しており、
前記開閉動作制御手段は、前記大当り遊技の実行契機となった前記当り図柄の停止表示が行われたときの遊技状態が前記確変状態であった場合には、前記通常開放態様で前記大入賞口の開閉動作を制御することを特徴とすることを特徴とする。

このようにすれば、確変状態（高確率状態）に開始された大当り遊技で、大入賞口が特殊開放態様で開放することがない。一般に確変状態では、多くの賞球の獲得に対する遊技者の期待が大きくなっている。従って、確変状態で当り図柄が停止表示されて大当り遊技が開始される場合には、大入賞口に遊技球を容易に入球させることができる通常開放態様で開放させることとしておけば、確変状態での当り図柄停止表示時に、多くの賞球を得られないことによる遊技者の遊技興趣低下を回避することができる。

また、上述した本発明の弾球遊技機において、次のようにしても良い。すなわち、
請求項１に記載の弾球遊技機において、
前記図柄表示装置が停止表示する前記当り図柄には、通常当り図柄と確変当り図柄とが設けられており、
前記図柄変動制御手段は、
前記通常当り図柄の停止表示を契機として実行された前記大当り遊技が終了した後は、前記図柄表示装置で当り図柄が通常の確率で停止表示される通常状態で、前記図柄の変動表示および停止表示を制御し、
前記確変当り図柄の停止表示を契機として実行された前記大当り遊技が終了した後は、前記図柄表示装置で当り図柄が前記通常の確率よりも高い確率で停止表示される確変状態で、前記図柄の変動表示および停止表示を制御しており、
前記通常状態において所定条件が成立すると、当該通常状態中の所定期間に亘って、前記図柄の変動表示態様が前記所定条件の成立前と異なる特定演出モードを発生させる特定演出モード発生手段を備え、
前記開閉動作制御手段は、前記大当り遊技の実行契機となった前記当り図柄が、前記通常状態中であって、且つ、前記特定演出モードが発生しているときに停止表示された場合には、前記通常開放態様で、前記大入賞口の開閉動作を制御することを特徴とすることを特徴とする。

こうすれば、通常状態中であっても特定演出モード中に開始された大当り遊技では、大入賞口が通常開放態様で開放されることになる。通常状態は確変状態に比べて大当り遊技が開始され難いので、遊技者の遊技興趣を高め難い傾向にあるが、通常状態中であっても特定演出モード中に開始された大当り遊技では、大入賞口が必ず通常開放態様で開放されることとしておけば、通常遊技中であっても特定演出モードを適度に発生させることにより遊技者の遊技興趣を効果的に高めることが可能となる。尚、通常状態中に特定演出モードが設定される「所定条件」としては、種々の条件を採用することができる。たとえば、図柄表示装置で特定の図柄（特定の外れ図柄など）が停止表示されることを条件としても良いし、特別な大当り遊技が行われることを条件としても良い。あるいは、大当り遊技とは別に大入賞口を開放させる「小当り遊技」を行うようにして、その小当り遊技が行われることを条件としても良い。

上述のように、本願の各請求項に記載の発明によれば、簡易な制御で突然確変大当りの発生確率を変更するとともに、それにより新たな遊技性を実現可能にする弾球遊技機を得ることが可能となる。

本実施例のパチンコ機の正面図である。 遊技盤の盤面構成を示す説明図である。 本実施例のパチンコ機に搭載された図柄表示装置の構成を示す説明図である。 本実施例のパチンコ機に搭載された演出表示装置の画面構成を示す説明図である。 本実施例のパチンコ機における制御回路の構成を示したブロック図である。 普通図柄表示部の表示態様を示した説明図である。 特別図柄の停止表示態様を概念的に示した説明図である。 演出表示装置で行われる演出の一態様を例示した説明図である。 主制御基板に搭載されたＣＰＵが遊技の進行を制御するために行う遊技制御処理を示したフローチャートである。 遊技制御処理の中で行われる特別図柄遊技処理を示したフローチャートである。 特別図柄遊技処理の中で行われる変動表示関連処理の一部を示したフローチャートである。 特別図柄遊技処理の中で行われる変動表示関連処理の残りの部分を示したフローチャートである。 本実施例のパチンコ機で用いられる大当り抽選テーブルを概念的に示した説明図である。 図柄決定乱数に基づいて大当り図柄を決定する際に参照される図柄決定テーブルを例示した説明図である。 図柄決定乱数に基づいて小当り図柄または外れ図柄を決定する際に参照される図柄決定テーブルを例示した説明図である。 特別図柄の変動パターンを決定する際に参照される変動パターンテーブルを例示した説明図である。 特別図柄遊技処理の中で行われる特別図柄判定処理を示したフローチャートである。 遊技制御処理の中で行われる大当り遊技処理の一部を示したフローチャートである。 遊技制御処理の中で行われる大当り遊技処理の残りの部分を示したフローチャートである。 遊技制御処理の中で行われる小当り遊技処理を示したフローチャートである。 特別図柄判定処理の中で行われる大当り態様設定処理を示したフローチャートである。 大当り図柄または小当り図柄の種類と大入賞口の開放時間との対応関係を示した説明図である。 第１変形例の変動表示関連処理の一部を示したフローチャートである。 第１変形例の変動表示関連処理の残りの部分を示したフローチャートである。 第１変形例の特別図柄判定処理を示したフローチャートである。 第１変形例の小当り遊技処理を示したフローチャートである。 第１変形例の大当り態様設定処理を示したフローチャートである。 第２変形例の遊技機の盤面構成を例示した説明図である。 第２変形例の遊技機に搭載された始動口ユニットについての説明図である。 第２変形例の遊技機に搭載された図柄表示装置の構成を示す説明図である。

本発明は、遊技盤に設けられた始動口などの遊技球を検出する手段で遊技球が検出されたことを契機に図柄表示装置で図柄の変動表示が開始され、その図柄表示装置で大当り図柄が停止表示されると、大入賞口などの通常時は閉鎖されている特殊な入球口が開放して大当り遊技が実行される弾球遊技機において実施することができる。以下では、本発明の一実施形態として、本発明をセブン機と呼ばれるタイプのパチンコ機に適用した実施例を、次の順序に従って説明する。
Ａ．パチンコ機の装置構成：
Ａ−１．装置前面側の構成：
Ａ−２．遊技盤の構成：
Ａ−３．制御回路の構成：
Ｂ．遊技の概要：
Ｃ．パチンコ機の制御内容：
Ｃ−１．遊技制御処理：
Ｃ−２．特別図柄遊技処理：
Ｃ−３．大当り遊技処理：
Ｃ−４．小当り遊技処理：
Ｃ−５．大当り態様設定処理 ：
Ｄ．変形例：
Ｄ−１．第１変形例：
Ｄ−２．第２変形例：

Ａ．パチンコ機の装置構成 ：
Ａ−１．装置前面側の構成 ：
図１は、本実施例のパチンコ機１の正面図である。図１に示すように、パチンコ機１の前面部は、大きくは、前面枠４、上皿部５、下皿部６、遊技盤１０などから構成されている。なお、図１では遊技盤１０の詳細な図示を省略している。前面枠４は、図示しない中枠３に取り付けられており、中枠３は図示しない本体枠２に取り付けられている。中枠３はプラスチック材料で成形されており、本体枠２の内側に取り付けられている。本体枠２は、木製の板状部材を組み立てて構成された略長方形の枠体であり、パチンコ機１の外枠を形成している。前面枠４の一端は、中枠３に対して回動可能に軸支されており、中枠３の一端は本体枠２に対して回動可能に軸支されている。遊技盤１０は、中枠３の前面側に着脱可能に取り付けられており、その前面側が前面枠４で覆われている。

前面枠４は、プラスチック材料で成形されており、略中央部には、円形状の開放部４ａが形成されている。この開放部４ａにはガラス板等の透明板がはめ込まれており、奥側に配置される遊技盤１０の盤面が視認可能となっている。また、前面枠４には、遊技効果を高めるための各種ランプ類４ｂ〜４ｆが設けられている。

前面枠４の下方には、上皿部５が設けられており、上皿部５の下方には下皿部６が設けられている。また、前面枠４の右側には施錠装置９が設けられており、前面枠４の左側にはプリペイドカード式の球貸装置１３（ＣＲユニット）が設けられている。

上皿部５には、皿状の凹部と、凹部を取り巻くように形成された皿外縁部５ａとが設けられている。遊技球は、上皿部５に形成された凹部に投入されて、発射装置ユニット１２（図５参照）に供給される。また、皿外縁部５ａには、遊技球の球貸スイッチ５ｂ、返却スイッチ５ｃ、投入した遊技球を排出するための排出ボタンなど、各種のボタン類が設けられている。さらに、上皿部５の略中央部には複数の長孔とその上部に多数の小穴が形成された第１スピーカ５ｙが設けられている。

下皿部６には、パチンコ機１の内部から遊技球を排出するための排出口６ａが設けられており、排出された遊技球は下皿部６内に貯留される。また、下皿部６の下面の左右には、第２スピーカ６ｃが設けられている。下皿部６の右端には発射ハンドル８が設けられている。発射ハンドル８には、遊技者がハンドルに触れていることを検出するタッチセンサ８ａが設けられている。発射ハンドル８の回転軸は、下皿部６の奥側に搭載された図示しない発射装置ユニット１２に接続されており、遊技者が発射ハンドル８を回転させると、その動きが発射装置ユニット１２に伝達され、ユニットに内蔵された図示しない発射モータが回転して、発射ハンドル８の回転角度に応じた強さで遊技球が発射される。発射ハンドル８の左側面には、遊技者が操作して遊技球の発射を一時的に停止する発射停止スイッチ８ｂが配置されている。

Ａ−２．遊技盤の構成 ：
図２は、遊技盤１０の盤面構成を示す説明図である。前述したように、遊技盤１０は中枠３の前面側に着脱可能に取り付けられている。図２に示すように、遊技盤１０の中央には、外レール１４と内レール１５とによって囲まれた略円形状の遊技領域１１が形成されている。上述した発射装置ユニット１２から発射された遊技球は、外レール１４と内レール１５との間を通って遊技領域１１に放出される。

遊技領域１１の略中央には中央装置２６が設けられている。また、中央装置２６の下方には、始動口（普通電動役物）１７が設けられている。始動口１７は、左右に一対の翼片部が開閉可能に構成されたいわゆる可変式の始動口である。始動口１７の内部には、始動口１７に入球した遊技球（始動口１７への遊技球の入球）を検出する始動口スイッチ１７ｓ（図５参照）と、一対の翼片部を作動させるための始動口ソレノイド１７ｍ（図５参照）とが備えられている。一対の翼片部が左右に開くと、遊技球の入球可能性が大きくなる開放状態となり、一対の翼片部が直立すると、遊技球の入球可能性が小さくなる通常状態となる。

中央装置２６は、主に、装飾用のセンター役物２６ａと、このセンター役物２６ａにより囲まれた状態で設けられる演出表示装置２７とから構成されている。演出表示装置２７は、液晶表示器によって構成されており、後述の図柄表示装置２８における特別図柄の変動表示に付随する図柄変動演出を行うことが可能となっている。この図柄変動演出は、主に、識別図柄や背景図柄などの種々の演出図柄を変動表示および停止表示させることによって実現される。演出表示装置２７の表示画面上で表示される演出図柄については後述する。中央装置２６の左下には、図柄表示装置２８が設けられている。詳細な構成については後述するが、図柄表示装置２８では普通図柄や特別図柄などを変動表示および停止表示することが可能となっている。

遊技領域１１の左端には、普通図柄作動ゲート３６が設けられており、このゲートの内部には、普通図柄作動ゲート３６を通過する遊技球（普通図柄作動ゲート３６を遊技球が通過したこと）を検出するゲートスイッチ３６ｓ（図５参照）が設けられている。更に、普通図柄作動ゲート３６と中央装置２６との間には、ランプ風車２４が設けられている。これら各遊技装置の間および周辺には、多数の障害釘２３が設けられている。

始動口１７の下方には大入賞装置３１が設けられている。この大入賞装置３１は、略長方形状に大きく開放する大入賞口３１ｄや、大入賞口３１ｄを開閉するための開閉扉３１ｅ、開閉扉３１ｅを作動させるための大入賞口ソレノイド３１ｍ（図５参照）などから構成されている。後述する所定の条件が成立して開閉扉３１ｅが開動作することで、大入賞口３１ｄは開放状態となり、この結果、遊技球が高い確率で大入賞口３１ｄに入球することとなって、遊技者にとって有利な遊技状態である大当り遊技が開始される。また、大入賞口３１ｄの内部には、大入賞口スイッチ３１ｓ（図５参照）が設けられており、大入賞口３１ｄに入球した遊技球（大入賞口３１ｄへの遊技球の入球）を検出することが可能となっている。

大入賞装置３１の下方にはアウト口４８が設けられ、そのアウト口４８の下方にはバック球防止部材５８が設けられている。バック球防止部材５８は、遊技領域１１に到達せず戻ってきた遊技球が再び発射位置に戻ることを防止する機能を有している。

図３は、本実施例のパチンコ機１に搭載された図柄表示装置２８の構成を示す説明図である。図示されているように、本実施例の図柄表示装置２８は、略矩形の領域内に１２個の小さな発光ダイオード（ＬＥＤ）が組み込まれて構成されている。これら１２個のＬＥＤのうちの、最上段の３個のＬＥＤは普通図柄表示部２９を構成しており、残りの９個のＬＥＤは特別図柄表示部３０を構成している。更に、普通図柄表示部２９は、普通図柄を表示するための１個のＬＥＤ（以下、普通図柄ＬＥＤ２９ａと呼ぶ）と、普通図柄の保留数を表示するための２個のＬＥＤ（以下、普図保留表示ＬＥＤ２９ｂと呼ぶ）とから構成されている。また、特別図柄表示部３０は、特別図柄を表示するための７個のＬＥＤ（以下、特別図柄ＬＥＤ３０ａと呼ぶ）と、特別図柄の保留数を表示するための２個のＬＥＤ（以下、特図保留表示ＬＥＤ３０ｂと呼ぶ）とから構成されている。本実施例の図柄表示装置２８が、これら１２個のＬＥＤを用いて、普通図柄や、普通図柄の保留数、特別図柄、特別図柄の保留数を表示する様子については後述する。

図４は、本実施例のパチンコ機１に搭載された演出表示装置２７の画面構成を示す説明図である。前述したように、演出表示装置２７は、液晶表示器によって構成されており、その表示画面上には、演出表示用の図柄（演出図柄）として、３つの識別図柄２７ａ，２７ｂ，２７ｃと、その背景の背景図柄２７ｄとが表示されている。このうち、３つの識別図柄２７ａ，２７ｂ，２７ｃは、図３に示した特別図柄表示部３０における特別図柄の変動表示に合わせて種々の態様で変動表示され、遊技を演出することが可能となっている。３つの識別図柄２７ａ，２７ｂ，２７ｃは、後述する特別図柄の大当り抽選が行われる毎に変動表示を開始し、所定の変動時間が経過すると停止表示し、その停止表示したときの表示態様（停止表示態様）によって、特別図柄の大当り抽選の結果を遊技者に報知する図柄である。詳しくは後述するが、演出表示装置２７では、図柄変動演出の開始に伴い３つの識別図柄２７ａ，２７ｂ，２７ｃの変動表示を開始するとともに、図柄変動演出の終了に伴い３つの識別図柄２７ａ，２７ｂ，２７ｃを停止表示し、この停止表示態様（３つの識別図柄２７ａ，２７ｂ，２７ｃの図柄組合せ）により、大当り抽選の結果を示す「外れ表示」又は「大当り表示」が行われる。

Ａ−３．制御回路の構成 ：
次に、本実施例のパチンコ機１における制御回路の構成について説明する。図５は、本実施例のパチンコ機１における制御回路の構成を示したブロック図である。図示されているようにパチンコ機１の制御回路は、多くの制御基板や、各種基板などから構成されているが、その機能に着目すると、遊技の基本的な進行や賞球に関わる当否についての制御を司る主制御基板２００と、演出用図柄やランプや効果音を用いた遊技の演出の制御を司るサブ制御基板２２０と、サブ制御基板２２０からの指示に従って演出表示装置２７の具体的な表示制御を行う表示制御基板２３０と、貸球や賞球を払い出す動作の制御を司る払出制御基板２４０と、遊技球の発射に関する制御を司る発射制御基板２６０などから構成されている。これら制御基板は、各種論理演算および算出演算を実行するＣＰＵや、ＣＰＵで実行される各種プログラムやデータが記憶されているＲＯＭ、プログラムの実行に際してＣＰＵが一時的なデータを記憶するＲＡＭなど、種々の周辺ＬＳＩがバスで相互に接続されて構成されている。また、図５中に示した矢印の向きは、データあるいは信号の入出力方向（送受信方向）を表している。

図示されているように主制御基板２００にはＣＰＵ２０１が搭載されており、このＣＰＵ２０１は、始動口スイッチ１７ｓや、大入賞口スイッチ３１ｓ、ゲートスイッチ３６ｓなどから遊技球の検出信号を受け取って、遊技の基本的な進行や賞球に関わる当否を決定した後、サブ制御基板２２０や、払出制御基板２４０、発射制御基板２６０などに向かって、各種の動作を指令するコマンドを送信する。また、主制御基板２００には、始動口１７に設けられた一対の翼片部を開閉させるための始動口ソレノイド１７ｍや、大入賞口３１ｄを開閉させるための大入賞口ソレノイド３１ｍ、更には、普通図柄や特別図柄の変動停止表示を行う図柄表示装置２８などが接続されており、各種ソレノイド１７ｍ，３１ｍ、および図柄表示装置２８に向かって動作信号を送信することにより、これらの動作の制御も行っている。

サブ制御基板２２０に搭載されているＣＰＵ２２１は、主制御基板２００からの各種コマンドを受け取ると、コマンドの内容を解析して、その結果に応じた遊技の演出を実行するための制御を行う。すなわち、前述した演出表示装置２７の表示制御を行う表示制御基板２３０に対して表示内容を指定するコマンドを送信したり、各種のスピーカ５ｙ、６ｃを駆動するアンプ基板２２４、装飾用の各種ＬＥＤやランプを駆動する装飾駆動基板２２６に駆動信号を送信したりする。

表示制御基板２３０は、ＣＰＵ２３１、ＲＯＭ２３２、ＲＡＭ２３３に加えて、画像ＲＯＭ２３４やＶＤＰ（図示せず）を備えている。そして、表示制御基板２３０のＣＰＵ２３１は、ＲＯＭ２３２に格納された制御プログラムに従って、ＲＡＭ２３３をワークエリアとして演出表示装置２７の表示制御を行う。具体的には、サブ制御基板２２０からの制御コマンド（表示制御コマンド）を受信すると、その受信したコマンドに対応する演出画像を演出表示装置２７の表示画面に表示するための制御を行う。画像ＲＯＭ２３４には、図柄変動演出や大当り遊技演出など種々の遊技演出に対応する演出画像のデータが格納されている。

払出制御基板２４０は、いわゆる貸球や賞球の払い出しに関する各種の制御を司っている。例えば、遊技者が前述した上皿部５に設けられた球貸スイッチ５ｂや返却スイッチ５ｃを操作すると、その信号は、払出制御基板２４０を介して球貸装置１３に伝達される。球貸装置１３は、払出制御基板２４０とデータを送受信しながら、貸球の払い出しを行う。また、主制御基板２００が賞球の払出コマンドを送信すると、このコマンドを払出制御基板２４０が受け取って、払出モータ１０９ｍに駆動信号を送信することによって賞球の払い出しが行われる。

加えて、払出制御基板２４０は、主制御基板２００からの制御の下で、遊技球の発射を許可する信号（発射許可信号）を発射制御基板２６０に向かって送信しており、発射制御基板２６０は、この発射許可信号を受けて、遊技球を発射するための各種制御を行っている。

Ｂ．遊技の概要 ：
次に、上述した構成を有する本実施例のパチンコ機１で行われる遊技の概要について簡単に説明しておく。本実施例のパチンコ機１では、次のようにして遊技が行われる。先ず、遊技者が上皿部５の凹部に遊技球を投入して発射ハンドル８を回転させると、上皿部５に投入された遊技球が、１球ずつ発射装置ユニット１２に供給されて、図２を用いて前述した遊技領域１１に発射される。遊技球を打ち出す強さは、発射ハンドル８の回転角度によって調整することが可能となっており、遊技者は発射ハンドル８の回転角度を変化させることによって、発射位置の狙いを付けることができる。

発射した遊技球が、遊技領域１１の左側に設けられた普通図柄作動ゲート３６を通過すると、中央装置２６の左下方に設けられた図柄表示装置２８において普通図柄の変動表示が開始される。図３を用いて前述したように、図柄表示装置２８には普通図柄表示部２９が設けられており、普通図柄表示部２９には、普通図柄ＬＥＤ２９ａおよび普図保留表示ＬＥＤ２９ｂが搭載されている。このうち、普通図柄ＬＥＤ２９ａを用いて普通図柄の変動表示を行う。

図６（ａ）は、普通図柄が変動表示している様子を概念的に示した説明図である。本実施例のパチンコ機１では、普通図柄ＬＥＤ２９ａの点滅を繰り返すことによって、普通図柄の変動表示を行う。図では、普通図柄ＬＥＤ２９ａが点灯している状態を放射状の実線で表し、消灯している状態を破線で表している。そして、点滅している普通図柄ＬＥＤ２９ａが点灯状態で停止した場合には、普通図柄の当りとなって、始動口１７が所定時間（例えば０．５秒間）だけ開放状態となる。逆に、消灯状態で停止した場合には普通図柄の外れとなって、始動口１７が開放することはない。また、普通図柄の変動表示中に遊技球が普通図柄作動ゲート３６を通過した場合は、この遊技球の通過が保留として主制御基板２００のＲＡＭ２０３に記憶され、現在の普通図柄の変動表示が終了した後に、変動表示が行われる。普通図柄の保留は最大４個まで記憶することが可能となっており、記憶されている普通図柄の保留数は、普図保留表示ＬＥＤ２９ｂによって表示される。

図６（ｂ）は、図柄表示装置２８に設けられた普図保留表示ＬＥＤ２９ｂによって普通図柄の保留数が表示される様子を示した説明図である。普通図柄の保留が無い場合（すなわち、保留が０個の場合）は、２個の普図保留表示ＬＥＤ２９ｂは何れも消灯している。保留が１個の場合は、向かって左側の普図保留表示ＬＥＤ２９ｂは消灯したままで、右側の普図保留表示ＬＥＤ２９ｂが点灯する。保留が２個になると、今度は、右側の普図保留表示ＬＥＤ２９ｂに加えて左側の普図保留表示ＬＥＤ２９ｂが点灯する。次いで、保留が３個になると、右側の普図保留表示ＬＥＤ２９ｂが点滅し、左側の普図保留表示ＬＥＤ２９ｂが点灯する。更に保留が増加して上限値である４個になると、左右の普図保留表示ＬＥＤ２９ｂが点滅した状態となる。このように普通図柄表示部２９では、２個の普図保留表示ＬＥＤ２９ｂを点灯、消灯、あるいは点滅させることによって、０個から４個までの保留数を表示することが可能となっている。

また、図３を用いて前述したように、図柄表示装置２８には、特別図柄表示部３０が設けられており、特別図柄を変動表示可能となっている。特別図柄は、始動口１７に遊技球が入球し、その遊技球を始動口スイッチ１７ｓが検出することで変動表示を開始し、その後、以下に説明する何れかの図柄で停止表示するようになっている。

図７は、特別図柄の停止表示態様を概念的に示した説明図である。図３を用いて前述したように、特別図柄表示部３０には、７個のＬＥＤからなる特別図柄ＬＥＤ３０ａが設けられており、これらを点灯させることによって特別図柄を表示する。図７に示されているように、本実施例のパチンコ機１では、特別図柄の停止表示態様として、１０通りの表示態様が設けられている。また、これら１０通りの停止表示態様は大きく５種類に分類されている。先ず、図中の最上段に示した２つの停止表示態様は「通常大当り図柄」に相当するもので、上から２段目に示した２つの停止表示態様は「確変大当り図柄」に相当する。また、上から３段目に示した２つの停止表示態様は「特殊確変大当り図柄」に相当し、上から４段目に示した２つの停止表示態様は「小当り図柄」に相当し、最下段に示した２つの停止表示態様は「外れ図柄」に相当する。

特別図柄表示部３０では、７個のＬＥＤ（特別図柄ＬＥＤ３０ａ）を所定時間にわたって点滅させることによって特別図柄の変動表示を行い、所定時間が経過すると、いずれかの停止表示態様に従って停止表示される。そして、「通常大当り図柄」、「確変大当り図柄」、「特殊確変大当り図柄」の何れかの図柄（いわゆる大当り図柄）が停止表示された場合には、通常時は閉鎖状態となっている大入賞口３１ｄが開放状態となって大当り遊技が開始される。大当り遊技で開放状態となった大入賞口３１ｄは、所定の開放時間が経過するか、あるいは規定数の遊技球が入球すると一旦閉鎖状態に戻るが、所定の閉鎖時間が経過すると再び開放状態となる。大入賞口３１ｄが開放してから閉鎖するまでの遊技は、「ラウンド遊技（あるいは単にラウンド）」と呼ばれ、こうしたラウンドを繰り返して、所定回数のラウンドを消化したら大当り遊技が終了する。

また、「小当り図柄」が停止表示された場合にも、大入賞口３１ｄが開放状態となって小当り遊技が開始される。上述したように大入賞口３１ｄは、通常時には閉鎖されているので、大入賞口３１ｄが開放状態になると遊技球が入球可能となるため遊技者に有利になると言うことができる。しかし、小当り遊技では、大入賞口３１ｄが、遊技球の入球困難な態様で開放するので、大入賞口３１ｄが開放するにも拘わらず、ほとんど遊技球を入球させることが出来ないまま小当り遊技が終了してしまう。また、「特殊確変大当り図柄」が停止表示されて開始された大当り遊技の中には、小当り遊技と同じような態様で大入賞口３１ｄが開放し、ほとんど遊技球を入球させることが出来ないまま終了してしまう大当り遊技も存在する。

更に、停止表示された特別図柄が、図７に示した「確変大当り図柄」あるいは「特殊確変大当り図柄」であった場合には、大当り遊技が終了した後、所定の条件が成立するまで（例えば、次の大当り遊技が発生するまで、あるいは特別図柄の変動表示が所定回数行われるまで等）、特別図柄が大当り図柄で停止表示する確率を高確率にする機能（確変機能）が作動した状態（いわゆる、確率変動状態、あるいは単に確変状態）となる。さらに、図７に示した「通常大当り図柄」が停止表示された場合には、確変機能は作動しないが、大当り遊技が終了してから所定の条件が終了するまでの間、普通図柄および特別図柄の変動表示時間を短縮する機能（変動短縮機能）が作動した状態（いわゆる時短状態）となる。

尚、始動口１７に遊技球が入球したにも拘わらず、特別図柄の変動表示を開始できない場合（例えば、特別図柄が変動表示中であった場合、あるいは大当り遊技中であった場合など）であっても、始動口１７に遊技球が入球したことは、特別図柄の保留として主制御基板２００のＲＡＭ２０３に記憶される。そして、特別図柄の変動表示が可能になった時点で、記憶されていた保留を使って、変動表示を行うことが可能となっている。この記憶されている特別図柄の保留数については、特図保留表示ＬＥＤ３０ｂによって表示される。特図保留表示ＬＥＤ３０ｂを用いて特別図柄の保留数を表示する態様は、図６（ｂ）に示した普図保留表示ＬＥＤ２９ｂの場合と全く同様であるため、ここでは説明を省略する。

上述した特別図柄の変動表示および停止表示に合わせて、演出表示装置２７では３つの識別図柄２７ａ，２７ｂ，２７ｃを用いた各種の演出（図柄変動演出）が行われる。図８は、演出表示装置２７で行われる演出の一態様を例示した説明図である。図４を用いて前述したように、演出表示装置２７を構成する液晶表示器の表示画面上には、３つの識別図柄２７ａ，２７ｂ，２７ｃが表示されている。前述した特別図柄ＬＥＤ３０ａで特別図柄の変動表示が開始されると、演出表示装置２７においても、これら３つの識別図柄２７ａ，２７ｂ，２７ｃが一斉に変動表示を開始する。本実施例では、識別図柄として「１」〜「９」までの９つの数字を意匠化した図柄が用意されている。なお、識別図柄は、数字以外にも、文字、図形、記号等を意匠化した図柄であってもよく、遊技者が特別図柄の大当り抽選の結果を識別できる形態であればよい。

図８（ａ）には、３つの識別図柄２７ａ，２７ｂ，２７ｃが一斉に変動表示している様子が概念的に示されている。変動表示が開始された後、所定時間が経過すると、初めに左識別図柄２７ａが「１」〜「９」のいずれかの図柄で停止表示され、次いで、右識別図柄２７ｃが停止表示され、最後に中識別図柄２７ｂが停止表示される。演出表示装置２７で停止表示されるこれら３つの識別図柄２７ａ，２７ｂ，２７ｃの組合せ（停止表示態様）は、前述した特別図柄ＬＥＤ３０ａで停止表示される特別図柄の停止表示態様と連動するように構成されている。たとえば、特別図柄が「通常大当り図柄」または「確変大当り図柄」で停止する場合は、３つの識別図柄２７ａ，２７ｂ，２７ｃが同じ図柄で停止表示される。特に、特別図柄が「確変大当り図柄」で停止する場合は、３つの識別図柄２７ａ，２７ｂ，２７ｃが、奇数を表す同じ図柄で停止表示され、「通常大当り図柄」で停止する場合は、３つの識別図柄２７ａ，２７ｂ，２７ｃが、偶数を表す同じ図柄で停止表示される。これに対して、特別図柄が「特殊確変大当り図柄」や「小当り図柄」で停止する場合は、３つの識別図柄２７ａ，２７ｂ，２７ｃが同じ図柄で揃わない所定の組合せで停止表示され、更に、特別図柄が「外れ図柄」で停止する場合は、３つの識別図柄２７ａ，２７ｂ，２７ｃが同じ図柄で揃わない任意の組合せで停止表示される。

このように、特別図柄ＬＥＤ３０ａで表示される特別図柄と、演出表示装置２７で表示される３つの識別図柄２７ａ，２７ｂ，２７ｃとは、表示内容が互いに対応しており、それぞれの表示図柄が確定する（停止表示される）タイミングも同じに設定されている。しかも、図２に示すように、演出表示装置２７は、特別図柄ＬＥＤ３０ａよりも目に付き易い遊技盤１０（遊技領域１１）の略中央に設けられており、表示画面も大きく、表示内容も分かり易いので、遊技者は演出表示装置２７の画面を見ながら遊技を行うことが通常である。従って、図８（ｂ）に示すように、演出表示装置２７の表示画面上で初めに停止表示される左識別図柄２７ａと、続いて停止表示される右識別図柄２７ｃとが同じ図柄であった場合には、最後に停止表示される中識別図柄２７ｂも同じ図柄で停止して、いわゆる大当り遊技が開始されるのではないかと、遊技者は識別図柄の変動を注視することになる。このように、２つの識別図柄を同じ図柄で停止した状態で、最後の識別図柄を変動表示させる演出は、リーチ演出と呼ばれており、リーチ演出を行うことで遊技者の興趣を高めることが可能となっている。

Ｃ．パチンコ機の制御内容 ：
以下では、上述した遊技を実現するために、本実施例のパチンコ機１が行っている制御内容について詳しく説明する。

Ｃ−１．遊技制御処理 ：
図９は、本実施例のパチンコ機１において、主制御基板２００のＣＰＵ２０１が、遊技の進行を制御するために行う遊技制御処理の大まかな流れを示したフローチャートである。図示されているように、遊技制御処理では、賞球関連処理、普通図柄遊技処理、始動口復帰処理、特別図柄遊技処理、大当り遊技処理、小当り遊技処理などの各処理が繰り返し実行されている。一周の処理に要する時間は、ほぼ４ｍｓｅｃとなっており、従って、これら各種の処理は約４ｍｓｅｃ毎に繰り返し実行されることになる。そして、これら各処理中で、サブ制御基板２２０を初めとする各種制御基板に向けて、主制御基板２００から各種コマンドを送信する。こうすることにより、パチンコ機１全体の遊技が進行するとともに、サブ制御基板２２０では、遊技の進行に合わせた演出の制御が行われることになる。以下、フローチャートに従って、主制御基板２００のＣＰＵ２０１が行う遊技制御処理について説明する。

主制御基板２００のＣＰＵ２０１は、遊技制御処理を開始すると、遊技球を賞球として払い出すための処理（賞球関連処理）を行う（Ｓ１００）。この処理では、主制御基板２００に接続された各種スイッチの中で、遊技球の入賞に関わるスイッチ（始動口スイッチ１７ｓ、大入賞口スイッチ３１ｓなど）について、遊技球が入球したか否かを検出する。そして、遊技球の入球が検出された場合には、払い出すべき賞球数を算出した後、払出制御基板２４０に向かって賞球数指定コマンドを送信する処理を行う。払出制御基板２４０は、主制御基板２００から送信された賞球数指定コマンドを受け取るとコマンドの内容を解釈し、その結果に従って、払出装置１０９に搭載された払出モータ１０９ｍに駆動信号を送信することにより、実際に賞球を払い出す処理を行う。

主制御基板２００のＣＰＵ２０１は、賞球に関連する処理を行うと（Ｓ１００）、今度は、普通図柄遊技処理を行うか否か、すなわち普通図柄の変動停止表示を行うか否かを判断する（Ｓ１０２）。この判断は、始動口１７が開放中であるか否かを検出することによって行う。始動口１７が開放中でなければ普通図柄遊技処理を行うものと判断し（Ｓ１０２：ｙｅｓ）、始動口１７が開放中であれば普通図柄遊技処理は行わないものと判断する（Ｓ１０２：ｎｏ）。そして、普通図柄遊技処理を行う（始動口１７が開放中でない）と判断された場合は（Ｓ１０２：ｙｅｓ）、以下に説明する普通図柄遊技処理を行う（Ｓ１０４）。一方、普通図柄遊技処理を行わない（始動口１７が開放中である）と判断された場合は（Ｓ１０２：ｎｏ）、普通図柄遊技処理（Ｓ１０４）はスキップし、開放中の始動口１７を通常状態に復帰させるための始動口復帰処理（Ｓ１０８）に移行する。

普通図柄遊技処理（Ｓ１０４）では、主に次のような処理を行う。先ず、普通図柄の保留が存在するか否か（保留数が「０」であるか否か）を判断し、保留が存在する場合には普通図柄の当り抽選（普通図柄抽選）を行う。前述したように、普通図柄の保留は、遊技球が普通図柄作動ゲート３６を通過することにより設定されるものであり、本実施例では、その保留数の上限値を「４」としている。そして、普通図柄抽選の結果に応じて、普通図柄を当り図柄または外れ図柄（図６（ａ）参照）の何れで停止表示させるかを決定する。次いで、普通図柄の変動表示時間を設定した後、普通図柄の変動表示を開始する。そして変動表示時間が経過すると、決定しておいた図柄で普通図柄を停止表示させ、このときに、普通図柄が当り図柄で停止表示された場合には、始動口１７を開放させる。

以上のようにして普通図柄遊技処理を終了したら、始動口復帰処理（Ｓ１０８）を行う。この始動口復帰処理（Ｓ１０８）は、始動口１７が開放状態にある場合（開放中である場合）に行われるもので、始動口１７が開放状態にない場合（通常状態にある場合）は、そのまま処理を終了して次の特別図柄遊技処理（Ｓ１１２）に移行する。これに対して、始動口１７が開放状態にある場合には、始動口復帰処理（Ｓ１０８）では、始動口１７の開放時間が経過したか、若しくは、始動口１７に規定数の遊技球が入球したかの何れかの条件が成立した場合に、開放状態になっている始動口１７を通常状態に復帰させる処理を行う。尚、始動口１７の開放時間は、通常の遊技状態では約０．５秒間に設定されているが、後述する開放延長機能が作動すると約５秒間に延長される。一方、始動口１７の開放時間が経過しておらず、始動口１７への入球数も規定数に達していない場合は、始動口１７を開放させたまま、始動口復帰処理（Ｓ１０８）を終了する。遊技制御処理では、始動口復帰処理（Ｓ１０８）から復帰すると、続いて、以下に説明する特別図柄遊技処理を開始する（Ｓ１１２）。

Ｃ−２．特別図柄遊技処理 ：
図１０は、本実施例のパチンコ機で行われる特別図柄遊技処理の流れを示したフローチャートである。特別図柄遊技処理を開始すると、先ず初めに、始動口１７に遊技球が入球したか否かを判断する（Ｓ２００）。前述したように、始動口１７の内部には、遊技球の入球を検出する始動口スイッチ１７ｓが設けられており、これにより、始動口１７に遊技球が入球したこと（始動入賞）を検出することができる。

遊技球の入球が始動口スイッチ１７ｓによって検出され、始動口１７に遊技球が入球した（始動入賞が発生した）と判断された場合は（Ｓ２００：ｙｅｓ）、特別図柄の保留数が上限値（本実施例では「４」）に達しているか否かを判断する（Ｓ２０２）。このとき、特別図柄の保留数が上限値に達していなければ（Ｓ２０２：ｙｅｓ）、大当り抽選乱数および図柄決定乱数を取得して、主制御基板２００のＲＡＭ２０３に記憶する処理を行う（Ｓ２０４）。ここで、大当り抽選乱数は、後述する特別図柄の大当り抽選を行うために用いられる乱数であり、図柄決定乱数は、大当り抽選の結果に応じて停止表示させる特別図柄の種類（図７参照）を決定するための乱数である。また、これらの乱数を記憶したら、特別図柄の保留数が１つ増加したことになるので、特別図柄の保留数に「１」を加算する（Ｓ２０６）。これに対して、始動口１７に遊技球が入球していない場合や（Ｓ２００：ｎｏ）、特別図柄の保留数が上限値に達している場合は（Ｓ２０２：ｎｏ）、Ｓ２０４およびＳ２０６の処理をスキップする。

以上のようにして特別図柄の保留に関する処理を行ったら、大当り遊技中または小当り遊技中か否かを判断する（Ｓ２０８）。特別図柄遊技処理における以後の処理では、特別図柄の変動表示および停止表示（図柄変動遊技）を行って、大当り図柄が停止表示された場合には大当り遊技を開始し、小当り図柄が停止表示された場合には小当り遊技を開始するが、既に大当り遊技中あるいは小当り遊技中であれば、重ねて大当り遊技あるいは小当り遊技を開始することはできない。そこで、大当り遊技中または小当り遊技中であった場合には（Ｓ２０８：ｙｅｓ）、そのまま特別図柄遊技処理を終了して、図９の遊技制御処理に復帰する。

一方、大当り遊技中または小当り遊技中でなかった場合には（Ｓ２０８：ｎｏ）、特別図柄が変動表示中か否かを判断する（Ｓ２１０）。図３を用いて前述したように、本実施例のパチンコ機１には、図柄表示装置２８が設けられており、図柄表示装置２８の特別図柄表示部３０では特別図柄を変動表示可能となっている。

特別図柄が変動表示中でない場合は（Ｓ２１０：ｎｏ）、特別図柄の停止図柄を表示させておく停止表示時間中であるか否かを判断する（Ｓ２１２）。すなわち、特別図柄の変動表示が終了してしばらくの期間は、特別図柄が何れの図柄で停止表示されたかを、遊技者が確認するための停止表示時間が設けられているので、この停止表示時間中か否かを判断するのである。特別図柄が変動表示されておらず、且つ、停止表示時間も経過していることが確認された場合は（Ｓ２１２：ｎｏ）、次いで、特別図柄の保留数が「０」か否かを判断する（Ｓ２１４）。前述したように、特別図柄の保留数は、上限値「４」に達するまで記憶可能である。そして、特別図柄の保留数が「０」である場合には（Ｓ２１４：ｙｅｓ）、そのまま特別図柄遊技処理を終了して、図９に示す遊技制御処理に復帰する。

一方、特別図柄の保留数が「０」でない場合は（Ｓ２１４：ｎｏ）、主制御基板２００のＲＡＭ２０３に最も古くに記憶された大当り抽選乱数および図柄決定乱数の読み出しを行う（Ｓ２１６）。前述したように大当り抽選乱数および図柄決定乱数は、遊技球が始動口１７に入球することで取得される乱数である。こうして最も古い大当り抽選乱数および図柄決定乱数の読み出しを行ったら、以下に説明する変動表示関連処理を開始し（Ｓ２１８）、変動表示関連処理が終了すると図１０の特別図柄遊技処理を抜けて、図９の遊技制御処理に復帰する。

図１１および図１２は、本実施例の主制御基板２００のＣＰＵ２０１が特別図柄遊技処理の中で実行する変動表示関連処理を示したフローチャートである。図示されているように、変動表示関連処理を開始すると、先ず初めに、確変フラグがＯＮに設定されているか否かを判断する（Ｓ３００）。ここで、確変フラグとは、遊技状態を前述の確変状態（確変機能が作動した状態）とする場合に、ＯＮの状態にセットされるフラグであり、主制御基板２００のＲＡＭ２０３の所定アドレスが、確変フラグとして割り当てられている。そして、確変フラグがＯＮに設定されていない場合、すなわち、現在の遊技状態が確変状態でない場合は（Ｓ３００：ｎｏ）、非確変時用の大当り抽選テーブルを選択する（Ｓ３０２）。一方、確変フラグがＯＮに設定されている場合、すなわち、現在の遊技状態が確変状態である場合は（Ｓ３００：ｙｅｓ）、確変時用の大当り抽選テーブルを選択する（Ｓ３０４）。ここで、大当り抽選テーブルとは、特別図柄の大当り抽選を行う際に参照する専用のテーブルであり、主制御基板２００のＲＯＭ２０２に予め記憶されている。

図１３は、本実施例のパチンコ機１で用いられる大当り抽選テーブルを概念的に示した説明図である。図１３（ａ）には、非確変時用の大当り抽選テーブルが示されており、図１３（ｂ）には、確変時用の大当り抽選テーブルが示されている。図示されているように、大当り抽選テーブルには、大当り抽選乱数に対して、「大当り」または「外れ」の何れかの大当り抽選結果が対応付けられている。また、図１３（ａ）と図１３（ｂ）とを比較すれば明らかなように、確変時用の大当り抽選テーブルは、非確変時用の大当り抽選テーブルよりも多くの乱数値が「大当り」に設定されている。

図１１の変動表示関連処理では、現在の確変フラグの状態（ＯＮ／ＯＦＦ）に応じて大当り抽選テーブルを選択したら、選択したテーブルを用いて大当り抽選を行う（Ｓ３０６）。すなわち、選択した大当り抽選テーブルを参照しながら、図１０のＳ２１６で読み出した最も古い大当り抽選乱数に対応する大当り抽選結果を引き出すことによって、「大当り」あるいは「外れ」の何れであるかを決定する。上述したように、確変状態中に参照する確変時用の大当り抽選テーブルは、確変状態でないときに参照する非確変時用の大当り抽選テーブルに比べて、「大当り」に設定されている乱数値が多いことから、確変中は、非確変中よりも高い確率で大当り抽選の結果が「大当り」になる。

大当り抽選を行ったら、次いで、大当り抽選の結果が「大当り」であるか否かを判断する（Ｓ３０８）。そして、大当り抽選の結果が「大当り」であった場合には（Ｓ３０８：ｙｅｓ）、図７に示した６種類の大当り図柄（通常大当り図柄、確変大当り図柄、特殊確変大当り図柄）の中から、停止表示させる大当り図柄を決定する（Ｓ３１０）。大当り図柄を決定する処理は、先に読み出した図柄決定乱数（図１０のＳ２１６）に基づいて、図柄決定乱数に対して６種類の大当り図柄の何れかが設定された大当り図柄決定テーブルを参照することによって行う。

図１４は、大当り図柄決定テーブルを例示した説明図である。大当り図柄決定テーブルは、主制御基板２００のＲＯＭ２０２に予め記憶されている。図示されているように、大当り図柄決定テーブルには、図７を用いて前述した６種類の大当り図柄が、図柄決定乱数に対応付けて記憶されている。たとえば、乱数値０〜１２７の図柄決定乱数に対しては、２種類の通常大当り図柄が対応付けられて記憶されている。このうち０〜６３の乱数値に対しては、ＬＥＤが１つ点灯する通常大当り図柄が対応付けられており、６４〜１２７の乱数値に対しては、ＬＥＤが２つ点灯する通常大当り図柄が対応付けられている。他の４種類の大当り図柄についても、それぞれ乱数値が対応付けられて記憶されている。大当り抽選の結果が大当りと判断された場合は（図１１のＳ３０８：ｙｅｓ）、図１４に示した大当り図柄決定テーブルを参照することにより、図柄決定乱数に対応する大当り図柄を決定する処理を行う（Ｓ３１０）。尚、詳細には後述するが、本実施例のパチンコ機１では、特別図柄の停止図柄が、通常大当り図柄または確変大当り図柄であった場合には、大入賞口３１ｄを２０秒間開放させた後に２秒間閉鎖させるラウンド遊技を、９回繰り返す態様で大当り遊技が行われる。これに対して、特別図柄の停止図柄が、特殊確変大当り図柄であった場合には、この段階では大入賞口３１ｄの開放時間は定められず、後ほど別の処理で「０．５」秒または「３０秒」のいずれかに決定されるようになっている。

これに対して、大当り抽選の結果が大当りではないと判断された場合は（Ｓ３０８：ｎｏ）、図７に示した２種類の小当り図柄または２種類の外れ図柄の中から、停止表示させる小当り図柄または外れ図柄を決定する（Ｓ３１２）。小当り図柄または外れ図柄を決定する処理も、上述した大当り図柄を決定する処理と同様に、図柄決定乱数に対して小当り図柄および外れ図柄が設定された小当り図柄・外れ図柄決定テーブルを参照することによって行う。

図１５は、小当り図柄・外れ図柄決定テーブルを例示した説明図である。小当り図柄・外れ図柄決定テーブルも、上述した大当り図柄決定テーブルと同様に、主制御基板２００のＲＯＭ２０２に予め記憶されている。図示されているように、小当り図柄・外れ図柄決定テーブルには、図７を用いて前述した２種類の小当り図柄と、２種類の外れ図柄とが、図柄決定乱数に対応付けて記憶されている。従って、図柄決定乱数から、図１５の小当り図柄・外れ図柄決定テーブルを参照することで、小当り図柄または外れ図柄を決定することができる。結局、大当り抽選の結果が大当りではなかった場合には（Ｓ３０８：ｎｏ）、図１５の小当り図柄・外れ図柄決定テーブルを参照することにより、小当り図柄または外れ図柄の何れかが決定されることになる（Ｓ３１２）。

尚、詳細には後述するが、本実施例のパチンコ機１では、特別図柄が小当り図柄で停止表示されると、大入賞口３１ｄを０．５秒間開放させた後に２秒間閉鎖させる動作を９回繰り返す小当り遊技が行われる。

また、本実施例では、大当り図柄を決定する際に用いる図柄決定乱数も、小当り図柄または外れ図柄を決定する際に用いる図柄決定乱数も、同じ乱数を用いるものとして説明した。すなわち、図１１の変動表示関連処理を開始する直前に図柄決定乱数を読み出しておき（図１０のＳ２１６）、大当り抽選の結果が大当りであれば、その図柄決定乱数を用いて大当り図柄を決定し（図１１のＳ３１０）、大当り抽選の結果が大当りでなければ、その同じ図柄決定乱数を用いて小当り図柄または外れ図柄を決定する（Ｓ３１２）ものとして説明した。しかし、図柄決定乱数を記憶する際に（図１０のＳ２０４）、大当り用の図柄決定乱数と、外れ用の図柄決定乱数とを記憶しておき、大当り抽選の結果が大当りの場合は（図１１のＳ３０８：ｙｅｓ）、大当り用の図柄決定乱数を用いて大当り図柄を決定し、大当り抽選の結果が大当りでない場合は（図１１のＳ３０８：ｎｏ）、外れ用の図柄決定乱数を用いて小当り図柄または外れ図柄を決定するようにしてもよい。

こうして大当り抽選の結果に応じて停止表示させる図柄を決定したら、特別図柄の変動パターンを決定するための処理を開始する。ここで、特別図柄の変動パターンとは、特別図柄を変動表示させる態様のことである。尚、特別図柄を変動表示させるとはいっても、図７に示した１０種類の表示態様を次々と切り換えながら表示するだけなので、特別図柄の変動パターンは、実質的には、特別図柄を変動表示させる時間（変動時間）に対応している。もっとも、前述したように本実施例のパチンコ機１では、図柄表示装置２８で行われる特別図柄の変動表示と、演出表示装置２７で行われる識別図柄２７ａ，２７ｂ，２７ｃの変動表示とは互いに連動していることから、特別図柄の変動パターンを決定すると、識別図柄２７ａ，２７ｂ，２７ｃが変動表示される時間（図柄変動演出の時間）が決定される。

特別図柄の変動パターンを決定するに際しては、先ず初めに、確変フラグがＯＮに設定されているか否かを判断する（Ｓ３１４）。前述したように、確変フラグは、遊技状態が確変状態であることを示すフラグである。そして、確変フラグがＯＮに設定されていた場合には（Ｓ３１４：ｙｅｓ）、遊技状態が確変状態の時に用いる変動パターンテーブル（確変用変動パターンテーブル）を選択する（Ｓ３１６）。ここで、変動パターンテーブルとは、特別図柄の変動パターンを決定するために参照する専用のテーブルである。また、本実施例のパチンコ機１では、確変機能が作動した状態（確変状態）、変動短縮機能が作動した状態（時短状態）、何れの機能も作動していない状態（通常状態）などの遊技状態毎に、専用の変動パターンテーブルが主制御基板２００のＲＯＭ２０２に予め記憶されており、Ｓ３１６では、それら複数の変動パターンテーブルの中から確変用の変動パターンテーブルを選択する。

これに対して、確変フラグがＯＦＦに設定されていた場合、すなわち、遊技状態が確変状態中でない場合は（Ｓ３１４：ｎｏ）、今度は、変動短縮フラグがＯＮに設定されているか否かを判断する（Ｓ３１８）。ここで、変動短縮フラグとは、前述した変動短縮機能（普通図柄および特別図柄の変動表示時間を短縮する機能）を作動させる際にＯＮの状態に設定されるフラグであり、主制御基板２００のＲＡＭ２０３の所定アドレスが変動短縮フラグに割り当てられている。そして、変動短縮フラグがＯＮに設定されていた場合、すなわち、遊技状態がいわゆる時短状態である場合には（Ｓ３１８：ｙｅｓ）、短縮用変動パターンテーブルを選択する（Ｓ３２０）。これに対して、変動短縮フラグがＯＮに設定されていない場合は（Ｓ３１８：ｎｏ）、遊技状態が通常状態であると判断されるので、通常変動パターンテーブルを選択する（Ｓ３２０）。

図１６は、変動パターンテーブルを例示した説明図である。図示されるように、変動パターンテーブルには、変動パターン決定乱数に対応付けて特別図柄の変動パターンが予め設定されている。また、上述したように、変動パターンテーブルは遊技状態毎に設けられており、それぞれのテーブル毎に異なる変動パターンテーブルが設定されている。従って、変動パターンテーブルが異なれば、同じ変動パターン決定乱数に対しても異なる変動パターンが設定されている。

こうして現在の遊技状態（確変状態、時短状態、通常状態）に応じて変動パターンテーブルを選択したら、変動パターン決定乱数を取得した後（図１２のＳ３２４）、選択した変動パターンテーブルを参照して変動パターンを決定した後（Ｓ３２６）、特別図柄の変動表示を開始する（Ｓ３２８）。前述したように、本実施例のパチンコ機１では、図柄表示装置２８で、１０種類の特別図柄（図７参照）を次々と切り換えることによって、特別図柄の変動表示を行う。

続いて、Ｓ３２６で決定した特別図柄の変動パターンを指定するコマンド（変動パターン指定コマンド）を、サブ制御基板２２０に向かって送信し（Ｓ３３０）、更に、大当り抽選の結果に応じてＳ３１０またはＳ３１２で決定した特別図柄の停止図柄（停止表示させる図柄）を指定するコマンド（停止図柄指定コマンド）を、同じくサブ制御基板２２０に向かって送信する（Ｓ３３２）。

サブ制御基板２２０のＣＰＵ２２１は、こうして送信された変動パターン指定コマンドおよび停止図柄指定コマンドを受け取ることにより、図柄表示装置２８で変動表示される特別図柄の変動時間および停止図柄についての情報を得ることができる。そこで、これらの情報に応じて、演出表示装置２７で行う演出表示パターン（識別図柄２７ａ，２７ｂ，２７ｃの変動表示態様）を決定し、決定した演出表示パターンを指示する制御コマンドを表示制御基板２３０へ向けて送信する。また、決定した演出表示パターンに合わせて、各種スピーカー５ｙ、６ｃから効果音を出力したり、各種ランプ類４ｂ〜４ｆを一定パターンで点滅させたりする制御も行う。こうすることにより、図柄表示装置２８における特別図柄の変動表示および停止表示に合わせて、演出表示装置２７においても、表示制御基板２３０の制御下で、識別図柄２７ａ，２７ｂ，２７ｃを用いた図柄変動演出が行われ、併せて効果音や各種ランプ類の点滅を用いた演出が行われる。

また、サブ制御基板２２０のＣＰＵ２２１は、主制御基板２００から受け取った特別図柄の停止図柄についての情報に基づいて、演出表示装置２７上で識別図柄２７ａ，２７ｂ，２７ｃを停止表示させる図柄も決定する。たとえば、特別図柄が「通常大当り図柄」で停止表示される場合は、演出表示装置２７上での識別図柄２７ａ，２７ｂ，２７ｃの停止図柄は、偶数を表す同じ数字が揃った図柄に決定する。また、特別図柄が「確変大当り図柄」で停止表示される場合は、奇数を表す同じ数字が揃った図柄に決定する。更に、特別図柄が「特殊確変大当り図柄」や「小当り図柄」で停止表示される場合は、「通常大当り図柄」および「確変大当り図柄」とは異なる「特定図柄（順目図柄やリーチ外れ図柄など）」に決定し、特別図柄が「外れ図柄」で停止表示される場合は、それ以外の任意の図柄に決定する。従って遊技者は、特別図柄の停止図柄が「通常大当り図柄」および「確変大当り図柄」であった場合については、それらの大当り図柄が停止表示されたことを、演出表示装置２７上で停止表示された識別図柄２７ａ，２７ｂ，２７ｃから直ちに認識することが可能である。また、特別図柄の停止図柄が「特殊確変大当り図柄」や「小当り図柄」であった場合は、演出表示装置２７上に、共通する「特定図柄」が停止表示されるため、「特定図柄」の停止表示を視認するだけでは、この特定図柄が「特殊確変大当り図柄」に対応するのか「小当り図柄」に対応するのか識別できないようになっている。

また、主制御基板２００のＣＰＵ２０１は、変動パターン指定コマンドおよび停止図柄指定コマンドをサブ制御基板２２０に送信したら（Ｓ３３０、Ｓ３３２）、特別図柄の保留を１つ消化したことになるので、特別図柄の保留数から「１」を減算した後（Ｓ３３４）、変動表示関連処理を終了して、図１０に示す特別図柄遊技処理に復帰する。

以上では、図１０のＳ２１０において、特別図柄が変動表示していなかった場合（Ｓ２１０：ｎｏ）に行われる処理について詳細に説明した。一方、特別図柄が変動表示中であった場合は（Ｓ２１０：ｙｅｓ）、既に特別図柄の変動パターンと停止図柄とが決定されて、変動表示が開始されていることになるので、変動時間が経過したか否かを判断する（Ｓ２２０）。すなわち、特別図柄の変動時間は変動パターンに応じて定められているので、特別図柄の変動表示を開始すると同時にタイマをセットすることにより、定められた変動時間が経過したかを判断するのである。そして、未だ変動時間が経過していない場合は（Ｓ２２０：ｎｏ）、そのまま特別図柄遊技処理を終了して、図９に示す遊技制御処理に復帰する。

これに対して、変動表示している特別図柄の変動時間が経過したと判断された場合は（Ｓ２２０：ｙｅｓ）、特別図柄を停止表示させることを示すコマンド（図柄停止コマンド）をサブ制御基板２２０に向かって送信するとともに（Ｓ２２２）、変動表示している特別図柄を、予め決定しておいた図柄（停止図柄）で停止表示させる（Ｓ２２４）。次いで、停止表示させた特別図柄の停止表示時間を設定した後（Ｓ２２６）、設定した停止表示時間が経過したか否かを判断する（Ｓ２２８）。そして、特別図柄の停止表示時間が経過していなければ（Ｓ２２８：ｎｏ）、そのまま特別図柄遊技処理を終了して、図９に示す遊技制御処理に復帰する。一方、特別図柄の停止表示時間が経過した場合は（Ｓ２２８：ｙｅｓ）、以下に説明する特別図柄判定処理を開始する（Ｓ２３０）。尚、始動口１７に遊技球が入球したことを受けて大当り抽選乱数や図柄決定乱数を取得した後、図柄表示装置２８で特別図柄の変動表示を開始して、大当り図柄または小当り図柄（当り態様の図柄）、あるいは外れ図柄（外れ態様の図柄）の何れかで停止表示させる処理は、主制御基板２００に搭載されたＣＰＵ２０１が、図１０の特別図柄遊技処理を実行することによって実現されている。従って、本実施例の主制御基板２００に搭載されたＣＰＵ２０１は、本発明における「図柄変動制御手段」の一態様となっている。

図１７は、本実施例の主制御基板２００のＣＰＵ２０１が特別図柄遊技処理の中で実行する特別図柄判定処理の流れを示したフローチャートである。図示されているように、特別図柄判定処理を開始すると、先ず初めに、停止表示された特別図柄が、図７に示した大当り図柄（通常大当り図柄、確変大当り図柄、特殊確変大当り図柄）であるか否かを判断する（Ｓ４００）。そして、停止表示された図柄が大当り図柄であった場合は（Ｓ４００：ｙｅｓ）、大当り態様を設定する処理を行う（Ｓ４０２）。すなわち、前述したように大当り遊技は、通常時は閉鎖されている大入賞口３１ｄを一定時間だけ開放させた後、閉鎖する動作を、規定回数（本実施例では９回）だけ繰り返すことによって行われるが、大入賞口３１ｄを開放させる時間（開放時間）については、複数種類の中から選択可能となっている。そこで、Ｓ４０２では、大入賞口３１ｄの開放時間を選択することにより、大当り態様を設定する処理を行う。大当り態様設定処理の詳細については後述する。

大当り態様を設定したら（Ｓ４０２）、今度は、大当りフラグをＯＮに設定する（Ｓ４０４）。ここで、大当りフラグとは、大当り遊技を開始することを示すフラグであり、主制御基板２００のＲＡＭ２０３の所定アドレスが大当りフラグに割り当てられている。詳しくは後述するが、大当りフラグがＯＮに設定された状態で図９の遊技制御処理に復帰すると、大当り遊技処理が行われて、いわゆる大当り遊技が開始される。

大当りフラグをＯＮに設定したら、続いて、確変フラグがＯＮに設定されているか否かを判断する（Ｓ４０６）。本実施例のパチンコ機１では、大当り遊技中は、前述した確変機能や変動短縮機能を停止することとしている。また、確変機能を作動させる際には確変フラグがＯＮに設定され、変動短縮機能を作動させる際には変動短縮フラグがＯＮに設定される。そこで、Ｓ４０４で大当りフラグをＯＮに設定したことに伴い、先ず、確変フラグがＯＮに設定されているか否かを判断する。そして、確変フラグがＯＮに設定されている場合は（Ｓ４０６：ｙｅｓ）、確変機能が作動していることになるので、確変機能を停止させるために確変フラグをＯＦＦに設定する（Ｓ４０８）。一方、確変フラグがＯＦＦに設定されていた場合は（Ｓ４０６：ｎｏ）、確変フラグをＯＦＦに設定する処理（Ｓ４０８）を省略し、変動短縮フラグがＯＮに設定されているか否かを判断する（Ｓ４１０）。その結果、変動短縮フラグがＯＮに設定されていた場合は（Ｓ４１０：ｙｅｓ）、変動短縮機能が作動中であることから、変動短縮機能を停止させるべく変動短縮フラグをＯＦＦに設定する（Ｓ４１２）。また、本実施例のパチンコ機１では、変動短縮機能の作動中は、開放延長機能（始動口１７の開放時間を延長する機能）も作動しており、開放延長フラグがＯＮに設定されている。そこで、変動短縮フラグをＯＦＦに設定する処理に続いて、開放延長フラグもＯＦＦに設定する（Ｓ４１４）。これに対して、変動短縮フラグがＯＦＦに設定されていた場合は（Ｓ４１０：ｎｏ）、そのまま特別図柄判定処理を終了して、図１０の特別図柄遊技処理に復帰する。

以上、Ｓ４００の判断において、停止表示された特別図柄が大当り図柄であった場合（Ｓ４００：ｙｅｓ）の処理について説明したが、大当り図柄でなかった場合は（Ｓ４００：ｎｏ）、次のような処理を行う。

先ず、停止表示された特別図柄が小当り図柄か否かを判断する（Ｓ４１６）。そして、小当り図柄であった場合は（Ｓ４１６：ｙｅｓ）、小当り遊技を開始するべく、小当りフラグをＯＮに設定する（Ｓ４１８）。ここで、小当りフラグとは、後述する小当り遊技を開始することを示すフラグであり、主制御基板２００のＲＡＭ２０３の所定アドレスが小当りフラグに割り当てられている。これに対して、停止表示された特別図柄が小当り図柄ではなかった場合は（Ｓ４１６：ｎｏ）、小当りフラグをＯＮにする処理は省略する。

続いて、変動短縮フラグがＯＮに設定されているか否かを判断する（Ｓ４２０）。前述したように、変動短縮フラグは、変動短縮機能が作動しているか否かを示すフラグであり、変動短縮機能が作動している状態では、変動短縮フラグがＯＮに設定されている。そして、変動短縮フラグがＯＦＦに設定されていた場合は（Ｓ４２０：ｎｏ）、そのまま特別図柄判定処理を抜けて、図１０に示す特別図柄遊技処理に復帰する。

これに対して、変動短縮フラグがＯＮであった場合は（Ｓ４２０：ｙｅｓ）、変動短縮カウンタから「１」を減算した後（Ｓ４２２）、変動短縮カウンタが「０」になったか否かを判断する（Ｓ４２４）。ここで、変動短縮カウンタとは、変動短縮フラグがＯＮに設定されている状態での特別図柄の変動回数を計数する専用のカウンタである。後述するように本実施例のパチンコ機１では、大当り遊技の終了後に変動短縮フラグがＯＮに設定され、その際に変動短縮カウンタもセットされる。そして、終了した大当り遊技が、図７に示した「確変大当り図柄」または「特殊確変大当り図柄」によるものであった場合は、変動短縮カウンタは「１０，０００回」にセットされ、「通常大当り図柄」によるものであった場合は「１００回」にセットされる。

図１７に示した本実施例の特別図柄判定処理では、変動短縮機能が作動している状態で（すなわち、変動短縮フラグがＯＮの状態で）、特別図柄が大当り図柄以外の図柄で停止表示される度に、変動短縮カウンタから「１」ずつ減算する処理を行う（Ｓ４２２）。そして、変動短縮カウンタが「０」に達したか否かを判断し（Ｓ４２４）、「０」に達した場合は（Ｓ４２４：ｙｅｓ）、変動短縮機能を停止させるべく変動短縮フラグをＯＦＦにし（Ｓ４１２）、続いて、開放延長機能も停止させるべく開放延長フラグもＯＦＦにした後（Ｓ４１４）、特別図柄判定処理を抜けて、図１０の特別図柄遊技処理に復帰する。一方、変動短縮カウンタが未だ「０」になっていない場合は（Ｓ４２４：ｎｏ）、変動短縮フラグおよび開放延長フラグをＯＮに設定したまま、特別図柄判定処理を抜けて、図１０の特別図柄遊技処理に復帰する。そして、特別図柄遊技処理では、特別図柄判定処理から復帰すると直ちに特別図柄遊技処理を終了して、図９の遊技制御処理に復帰する。

図９に示す遊技制御処理では、特別図柄遊技処理（Ｓ１１２）から復帰すると、大当りフラグがＯＮに設定されているか否かを判断する（Ｓ１１４）。前述したように大当りフラグは、特別図柄が大当り図柄で停止表示するとＯＮに設定されるフラグである。そして、大当りフラグがＯＮに設定されていれば（Ｓ１１４：ｙｅｓ）、主制御基板２００のＣＰＵ２０１は、以下に説明する大当り遊技処理を開始する（Ｓ１１６）。

Ｃ−３．大当り遊技処理 ：
図１８は、大当り遊技処理の前半部分を示すフローチャートであり、図１９は、大当り遊技処理の後半部分を示すフローチャートである。このような大当り遊技処理が実行されることによって、いわゆる大当り遊技が行われる。以下、図１８および図１９を参照しながら大当り遊技処理について説明する。尚、この大当り遊技処理は、主制御基板２００のＣＰＵ２０１によって実行されていることから、本実施例の主制御基板２００のＣＰＵ２０１は、本発明における「大当り遊技実行手段」の一態様となっている。

主制御基板２００のＣＰＵ２０１は、大当り遊技処理を開始すると、先ず初めに、大入賞口３１ｄが開放中か否かを判断する（Ｓ５００）。大入賞口３１ｄは、通常の遊技状態では閉鎖されており、従って、大当り遊技の開始直後は、大入賞口３１ｄは閉鎖状態となっている。そこで、大入賞口３１ｄは開放中ではないと判断して（Ｓ５００：ｎｏ）、ラウンドの実行回数（すなわち、大入賞口３１ｄの開放回数）が規定回数（本実施例では、９回）に達したか否かを判断する（Ｓ５０８）。当然のことながら、大当り遊技が開始された直後は、ラウンドの実行回数は所定回数に達していないから（Ｓ５０８：ｎｏ）、大入賞口３１ｄの閉鎖時間が経過したか否かを判断する（Ｓ５１０）。大入賞口３１ｄの閉鎖時間とは、ラウンドとラウンドとの間で大入賞口３１ｄが閉鎖状態となっている時間であり、本実施例では、閉鎖時間が２秒間に設定されている。大当り遊技が開始された直後は、大入賞口３１ｄは閉鎖状態となっているから、当然、大入賞口３１ｄの閉鎖時間が経過していると判断され（Ｓ５１０：ｙｅｓ）、大入賞口３１ｄを開放させてラウンドを開始した後（Ｓ５１２）、図１８および図１９に示した大当り遊技処理を一旦終了して、図９の遊技制御処理に復帰する。

主制御基板２００のＣＰＵ２０１は遊技制御処理に復帰すると、図９に示したように、賞球関連処理（Ｓ１００）以降の一連の各種処理を行った後、再び大当り遊技処理（Ｓ１１６）を開始する。前述したように、図９に示した遊技制御処理を、主制御基板２００のＣＰＵ２０１が一回、実行するために要する時間は、約４ｍｓｅｃとなっている。従って、図１８および図１９に示した大当り遊技処理も、約４ｍｓｅｃ毎に実行されることになる。そして、大当り遊技が開始されて、図１８および図１９の大当り遊技処理が初めて実行された場合には、前述したようにＳ５１２において大入賞口３１ｄを開放させて、そのまま処理を終了するが、約４ｍｓｅｃ後に２周目の処理を行う場合には、Ｓ５００にて、大入賞口３１ｄが開放中と判断されることになる（Ｓ５００：ｙｅｓ）。

大入賞口３１ｄが開放中と判断した場合は（Ｓ５００：ｙｅｓ）、次に、大入賞口３１ｄの開放時間が所定時間に達したか否かを判断する（Ｓ５０２）。前述したように、大当り遊技では、大入賞口３１ｄが開放状態となるが、所定の開放時間が経過するか、または大入賞口３１ｄに規定数の遊技球が入球すると閉鎖される。このことに対応して、先ずＳ５１０では、大入賞口３１ｄの所定の開放時間が経過したか否かを判断する。また、大入賞口３１ｄの開放時間は、後述する大当り態様設定処理の中で予め設定されている（図１７のＳ４０２）。そして、所定の開放時間が経過している場合は（Ｓ５０２：ｙｅｓ）、大入賞口３１ｄを閉鎖した後（Ｓ５０６）、図１８および図１９に示した大当り遊技処理を抜けて、図９の遊技制御処理に復帰する。一方、大入賞口３１ｄの所定の開放時間が経過していない場合は（Ｓ５０２：ｎｏ）、大入賞口３１ｄに入球した遊技球が規定数に達しているか否かを判断する（Ｓ５０４）。そして、規定数に達した場合は（Ｓ５０４：ｙｅｓ）、大入賞口３１ｄを閉鎖する（Ｓ５０６）。これに対して、規定数に達していない場合は（Ｓ５０６：ｎｏ）、大入賞口３１ｄの所定の開放時間が未だ経過しておらず、しかも大入賞口３１ｄに入球した遊技球も規定数に達していないことになるので、大入賞口３１ｄを開放させたまま、図１８および図１９に示した大当り遊技処理を抜けて、図９の遊技制御処理に復帰する。

図９の遊技制御処理を何回も繰り返し実行しているうちに、大入賞口３１ｄの開放時間が経過するか（Ｓ５０２：ｙｅｓ）、もしくは大入賞口３１ｄに規定数の遊技球が入球して（Ｓ５０４：ｙｅｓ）、大入賞口３１ｄが閉鎖されると（Ｓ５０６）、１回のラウンドが終了する。そして、次に大当り遊技処理が実行された時には、Ｓ５００において大入賞口３１ｄが閉鎖中と判断され（Ｓ５００：ｎｏ）、ラウンドの実行回数が規定回数（本実施例では９回）に達したか否かが判断され（Ｓ５０８）、規定回数に達してしていなければ（Ｓ５０８：ｎｏ）、大入賞口３１ｄの閉鎖時間が経過したことを確認した後（Ｓ５１０：ｙｅｓ）、再び大入賞口３１ｄを開放状態として新たなラウンドを開始する（Ｓ５１２）。一方、Ｓ５０８において、ラウンドの実行回数が規定回数に達したと判断された場合は（Ｓ５０８：ｙｅｓ）、大当り遊技を終了させるべく、大当りフラグをＯＦＦに設定する（図１９のＳ５１４）。そして、その大当り遊技が、確変大当り図柄または特殊確変大当り図柄による大当り遊技であったか否かを判断し（Ｓ５１６）、確変大当り図柄または特殊確変大当り図柄による大当り遊技であった場合は（Ｓ５１６：ｙｅｓ）、確変機能を作動させるために確変フラグをＯＮにする（Ｓ５１８）。また、本実施例のパチンコ機１では、大当り遊技の終了後に変動短縮機能を作動させ、確変大当り図柄による大当り遊技であった場合には、その後の特別図柄の変動回数が「１０，０００回」に達するまで特別図柄および普通図柄の変動時間が短縮される。そこで、確変大当り図柄による大当り遊技を終了したら、変動短縮機能の作動期間を計数するための変動短縮カウンタに「１０，０００」をセットする（Ｓ５２０）。この変動短縮カウンタからは、その後、特別図柄の変動表示が行われる度に「１」ずつ減算される（図１７のＳ４２２参照）。尚、特別図柄の変動表示が１０，０００回も行われる間には、間違いなく大当り図柄が停止表示されて大当りが発生すると考えられるので、変動短縮カウンタに「１０，０００」をセットするということは、変動短縮機能の作動期間を次回大当りが発生するまでとすることと実質的に同じである。

これに対して、大当り遊技を開始することとなった大当り図柄が、確変大当り図柄あるいは特殊確変大当り図柄ではなかった場合、すなわち、通常大当り図柄であった場合は（Ｓ５１６：ｎｏ）、確変フラグはＯＦＦにしたまま、変動短縮カウンタに「１００」をセットする（Ｓ５２２）。この結果、本実施例のパチンコ機１では、通常大当り図柄による大当り遊技が終了すると、特別図柄の変動回数が「１００回」に達するまで特別図柄および普通図柄の変動時間が短縮される。

以上のようにして、大当り遊技を開始することとなった大当り図柄に応じて、変動短縮カウンタをセットしたら、変動短縮機能を作動させるために変動短縮フラグをＯＮに設定する（Ｓ５２４）。また、変動短縮機能の作動中は、開放延長機能（始動口１７の開放時間を延長する機能）も作動させることから、続いて、開放延長フラグをＯＮに設定する（Ｓ５２６）。そして、図１８および図１９に示した大当り遊技処理を終了して、図９の遊技制御処理に復帰する。

図９に示されるように、遊技制御処理では、大当り遊技処理（Ｓ１１６）から復帰すると、小当りフラグがＯＮに設定されているか否かを判断する（Ｓ１１８）。また、大当り遊技フラグがＯＮではないと判断された場合にも（Ｓ１１４：ｎｏ）、小当りフラグがＯＮに設定されているか否かを判断する（Ｓ１１８）。その結果、小当りフラグがＯＮに設定されていた場合は（Ｓ１１８：ｙｅｓ）、以下に説明する小当り遊技処理（Ｓ１２０）を開始する。これに対して、小当りフラグがＯＮに設定されていない場合は（Ｓ１１８：ｎｏ）、小当り遊技処理（Ｓ１２０）はスキップして、遊技制御処理の先頭に戻り、前述した賞球関連処理（Ｓ１００）以降の一連の処理を繰り返す。

Ｃ−４．小当り遊技処理 ：
図２０は、小当り遊技処理を示すフローチャートである。小当り遊技は、この小当り遊技処理が行われることによって実行される。以下、図２０を参照しながら小当り遊技処理について説明する。

小当り遊技処理では先ず初めに、大入賞口３１ｄが開放中か否かを判断する（Ｓ６００）。後述するように、小当り遊技は大入賞口３１ｄを規定回数（本実施例では、大当り遊技のラウンド回数と同じく９回）だけ開閉することによって行われるが、大入賞口３１ｄは通常時は閉鎖されており、小当り遊技処理を開始した直後は未だ大入賞口３１ｄは開放していないので、大入賞口３１ｄは開放されていないと判断される（Ｓ６００：ｎｏ）。そして、大入賞口３１ｄが開放されていない場合は、大入賞口３１ｄの開放回数が小当り遊技の規定回数に達したか否かを判断する（Ｓ６０６）。小当り遊技を開始した直後は、当然ながら規定回数に達していないので（Ｓ６０６：ｎｏ）、今度は、大入賞口３１ｄの閉鎖時間が経過したか否かを判断する（Ｓ６１０）。ここで大入賞口３１ｄの閉鎖時間とは、大入賞口３１ｄが閉鎖してから次に開放するまでの経過時間である。小当り遊技中の大入賞口３１ｄの閉鎖時間も、前述した大当り遊技中の大入賞口３１ｄの閉鎖時間と同様に、２秒間に設定されている。

小当り遊技処理を開始した直後は、大入賞口３１ｄが閉鎖してから２秒以上の時間が経過しているから、大入賞口３１ｄの閉鎖時間が経過していると判断されて（Ｓ６１０：ｙｅｓ）、大入賞口３１ｄを開放状態とした後（Ｓ６１２）、図２０の小当り遊技処理を終了して、図９の遊技制御処理に復帰する。前述したように遊技制御処理では、賞球関連処理（Ｓ１００）に続く一連の処理を行った後、再び小当り遊技処理を開始する（Ｓ１２０）。そして、再び開始した小当り遊技処理では、先ず初めの判断で、今度は大入賞口３１ｄが開放中であると判断し（Ｓ６００：ｙｅｓ）、続いて、小当り遊技中の規定の開放時間が経過したか否かを判断する（Ｓ６０２）。図１５を用いて前述したように、小当り遊技中での大入賞口３１ｄの開放時間は０．５秒間に設定されている。大入賞口３１ｄを開放した直後は、小当り遊技中の規定の開放時間は経過していないから、Ｓ６０２では「ｎｏ」と判断されて、そのまま図２０の小当り遊技処理を終了して、図９の遊技制御処理に復帰する。このような判断を繰り返しているうちに、小当り遊技中の規定の開放時間（０．５秒）が経過したと判断されるので（Ｓ６０２：ｙｅｓ）、大入賞口３１ｄを閉鎖する（Ｓ６０４）。

こうして大入賞口３１ｄを閉鎖したら、大入賞口３１ｄの開放回数が、小当り遊技の規定回数（９回）に達したか否かを判断する（Ｓ６０６）。ここでは、１回目の開放が終了しただけなので、開放回数は規定回数（９回）に達していないと判断されて（Ｓ６０６：ｎｏ）、続いて、大入賞口３１ｄの閉鎖時間（２秒）が経過したか否かを判断する（Ｓ６１０）。そして、閉鎖時間が経過していない場合は（Ｓ６１０：ｎｏ）、そのまま図２０の小当り遊技処理を終了して図９の遊技制御処理に復帰するが、閉鎖時間が経過したと判断された場合は（Ｓ６１０：ｙｅｓ）、大入賞口３１ｄを開放した後（Ｓ６１２）、図２０の小当り遊技処理を終了して図９の遊技制御処理に復帰する。

図２０に示した小当り遊技処理では、このようにして大入賞口３１ｄを規定の開放時間（０．５秒）だけ開放させた後、規定の閉鎖時間（２秒）だけ閉鎖させる動作を、規定回数（９回）繰り返す。そして、規定回数目に開放した大入賞口３１ｄを閉鎖させたら（Ｓ６０４）、続くＳ６０６では、大入賞口３１ｄの開放回数が規定回数に達したと判断されて（Ｓ６０６：ｙｅｓ）、小当り遊技を終了するべく、小当りフラグをＯＦＦにした後（Ｓ６０８）、図２０の小当り遊技処理を終了して、図９の遊技制御処理に復帰する。こうして遊技制御処理に復帰した後は、小当りフラグをＯＦＦにされているので、特別図柄が小当り図柄で停止表示されて、小当りフラグがＯＮに設定されるまで（図１７のＳ４１８）、図２０の小当り遊技処理が実行されることはない。

主制御基板２００のＣＰＵ２０１は、以上のような遊技制御処理を繰り返しながら、賞球として払い出す遊技球数を決定して払出制御基板２４０に賞球コマンドを送信したり、普通図柄の当り抽選や、特別図柄の大当り抽選を行って特別図柄を変動表示させ、停止表示された特別図柄に応じて、大当り遊技や小当り遊技を実行する。その結果、パチンコ機１では、前述したような遊技が進行していく。

ここで、上述したように、特別図柄が大当り図柄で停止表示された場合には大当り遊技が行われ、また、特別図柄が小当り図柄で停止表示された場合には小当り遊技が行われる。これら大当り遊技も小当り遊技も、通常時は閉鎖されている大入賞口３１ｄを、規定回数（９回）だけ開放させる点では共通している。しかし、小当り遊技は、大入賞口３１ｄの開放時間が０．５秒間に固定されているのに対して、大当り遊技では、大入賞口３１ｄの開放時間が固定されていない点で大きく異なっている。そして、本実施例では、大当り遊技中の大入賞口３１ｄの開放時間は、その大当り遊技を発生させることとなった大当り図柄が停止表示されたときに、図１７の特別図柄判定処理の中で行われる大当り態様設定処理（Ｓ４０２）によって設定されている。このため、本実施例のパチンコ機１では、大当り遊技が発生すると、大入賞口３１ｄを適切な態様で開放させて、遊技者の興趣を効果的に盛り上げることが可能となっている。以下では、大当り遊技中の大入賞口３１ｄの開放態様を設定するために行われる大当り態様設定処理について説明した後、大当り態様を設定することで、遊技者の興趣を効果的に盛り上げることが可能な理由について説明する。

Ｃ−５．大当り態様設定処理 ：
図２１は、大当り図柄が停止表示されたときに、大入賞口３１ｄの開放態様を設定するために行われる大当り態様設定処理を示したフローチャートである。この処理は、特別図柄が大当り図柄で停止表示されると、図１７に示した特別図柄判定処理の中で、主制御基板２００のＣＰＵ２０１によって実行される処理である。

大当り態様設定処理では、先ず初めに、大当り図柄が「特殊確変大当り図柄」であるか否かを判断する（Ｓ７００）。図７を用いて前述したように、本実施例のパチンコ機１では、大当り図柄として「通常大当り図柄」と「確変大当り図柄」と「特殊確変大当り図柄」とが設定されているので、停止表示された大当り図柄が「特殊確変大当り図柄」であるか否かを判断する。

その結果、「特殊確変大当り図柄」ではないと判断された場合は（Ｓ７００：ｎｏ）、大入賞口３１ｄの開放時間を２０秒間に設定する（Ｓ７０２）。従って、停止表示された大当り図柄が「通常大当り図柄」または「確変大当り図柄」であった場合には、大入賞口３１ｄの開放時間が２０秒間に設定されることになる。尚、本実施例のパチンコ機１では、大入賞口３１ｄの閉鎖時間は、大当り図柄によらず２秒間に固定されており、大当り遊技中のラウンド回数は、大当り図柄によらず９回に固定されている。

一方、停止表示された大当り図柄が「特殊確変大当り図柄」であった場合は（Ｓ７００：ｙｅｓ）、今度は、確変フラグがＯＮに設定されているか否かを判断する（Ｓ７０４）。前述したように確変フラグとは、確変機能が作動している確変状態の時にＯＮに設定されるフラグである。その結果、確変フラグがＯＮには設定されていないと判断された場合は（Ｓ７０４：ｎｏ）、大入賞口３１ｄの開放時間を０．５秒間に設定する（Ｓ７０６）。これに対して、確変フラグがＯＮに設定されていた場合は（Ｓ７０４：ｙｅｓ）、大入賞口３１ｄの開放時間を３０秒間に設定する（Ｓ７０８）。以上のようにして、大当り図柄の種類、および大当り図柄が停止表示されたときの遊技状態が確変状態であるか否かに応じて、大入賞口３１ｄの開放時間を設定したら、図２１の大当り態様設定処理を終了して、図１７の特別図柄判定処理に復帰する。本実施例のパチンコ機１では、このようにして設定された開放態様で、大当り遊技中の大入賞口３１ｄを開放させているために、遊技者の遊技に対する興趣を効果的に盛り上げることが可能となる。以下では、この点について説明する。

図２２は、本実施例の大当り態様設定処理によって設定される大入賞口３１ｄの開放時間をまとめて示した説明図である。図示されるように、特別図柄が「通常大当り図柄」あるいは「確変大当り図柄」で停止表示された場合には、大入賞口３１ｄの開放時間が２０秒間に設定される。また、前述したように大入賞口３１ｄの閉鎖時間は２秒間に設定されており、ラウンド回数は９回に設定されている。従って、「通常大当り図柄」あるいは「確変大当り図柄」によって開始された大当り遊技では、大入賞口３１ｄが２０秒間開放状態となり、その後、２秒間だけ閉鎖状態となる動作が９回繰り返されることになる。このような開放態様で行われた大当り遊技では、開放した大入賞口３１ｄに遊技者が容易に遊技球を入球させることができるので、多数の賞球を容易に獲得することが可能である。

また、前述したように特別図柄で「通常大当り図柄」または「確変大当り図柄」が停止表示された場合には、演出表示装置２７上の識別図柄２７ａ，２７ｂ，２７ｃが、同じ数字で揃って停止表示されるので、遊技者は、多数の賞球を獲得可能な大当り遊技が発生することを直ちに認識することができる。特に、特別図柄が「確変大当り図柄」で停止表示される場合は、演出表示装置２７上の識別図柄２７ａ，２７ｂ，２７ｃは、奇数の同じ数字で揃って停止表示されるので、演出表示装置２７上で揃って停止表示された図柄が奇数の数字を表す図柄であった場合は、遊技者は、大当り遊技の終了後も、もう一度、容易に大当りを発生させることができると考えて、遊技に対する興趣が大いに掻き立てられることになる。

一方、特別図柄が「小当り図柄」で停止表示された場合は小当り遊技が行われ、小当り遊技では、大入賞口３１ｄが０．５秒間だけ開放した後、２秒間閉鎖する動作が９回繰り返される。大入賞口３１ｄは通常時は閉鎖されているので、大入賞口３１ｄが開放されて遊技球が入球可能になるという意味では、小当り遊技も遊技者にとって有利な遊技状態ということも可能であるが、大入賞口３１ｄが開放している時間は０．５秒間に過ぎず、実際には、大入賞口３１ｄに遊技球を入球させることは困難である。従って、図２２に示されるように、小当り遊技は賞球の獲得が困難な当り態様ということができる。

また、本実施例のパチンコ機１には「特殊確変大当り図柄」も設けられており、特別図柄が「特殊確変大当り図柄」で停止表示された時の遊技状態が確変状態でなかった場合には、大入賞口３１ｄの開放時間が０．５秒間に設定される。また、大入賞口３１ｄの閉鎖時間は、大当り図柄の種類に拘わらず２秒間に設定されており、ラウンド回数は９回に設定されている。従って、非確変状態の時に、特別図柄が「特殊確変大当り図柄」で停止表示されると、大入賞口３１ｄが０．５秒間だけ開放した後、２秒間閉鎖される動作を９回繰り返すという特殊な態様で大当り遊技が行われることになる。このような特殊な態様で行われる大当り遊技は、前述した「通常大当り図柄」や「確変大当り図柄」によって開始される通常の大当り遊技とは異なって、大入賞口３１ｄに遊技球を入球させることが困難であり、賞球の獲得が困難な大当り遊技ということができる。

もっとも、「特殊確変大当り図柄」による大当り遊技が終了した後は、遊技状態が確変状態に切り換わって大当りを発生させ易くなるので（図１９のＳ５１６，Ｓ５１８参照）、たとえ賞球がほとんど得られなかったとしても、それ以降の遊技を有利に進めることが可能になるという意味から、遊技者にとっては有効な大当りということができる。従って、このような特殊な態様の大当り遊技が発生すると、遊技者は、次に発生する大当り遊技を期待して、遊技に対する興趣が掻き立てられることになる。また、特別図柄の停止図柄が「特殊確変大当り図柄」または「小当り図柄」であった場合には、演出表示装置２７に同じ「特定図柄」が停止表示される。加えて、「特殊確変大当り図柄」による大当り遊技で大入賞口３１ｄが開閉する動作は、０．５秒間の開放状態と、２秒間の閉鎖状態とを９回繰り返すものとなっており、この動作は小当り遊技中の大入賞口３１ｄの動作と同じである。従って遊技者は、「特殊確変大当り図柄」による大当り遊技と「小当り図柄」による小当り遊技とを、大入賞口３１ｄの開放動作からでは直ちに区別することができず、小当り遊技が行われた場合でも「特殊確変大当り図柄」による大当り遊技が行われたのではないかと考えて、次の大当りの発生を期待しながら遊技を行うようになる。このように「特殊確変大当り図柄」による大当り遊技と小当り遊技とで、大入賞口３１ｄの開放態様までを同じ態様としておくことで、「特殊確変大当り図柄」による大当り遊技だけでなく、小当り遊技が発生することによっても、遊技者の遊技に対する興趣を掻き立てることが可能となる。

もっとも、遊技状態が確変状態の場合には、「特殊確変大当り図柄」による大当り遊技が発生しても、遊技状態が遊技者にとって有利な状態に切り換わるわけではないので、遊技者の興趣を盛り上げることはできない。特に、本実施例のパチンコ機１では、特別図柄が「確変大当り図柄」で停止表示されると、演出表示装置２７上の識別図柄２７ａ，２７ｂ，２７ｃは、奇数の同じ数字が揃った状態で停止表示されるので、遊技者は遊技状態が確変状態になっていることを容易に認識することができ、次の大当り遊技を楽しみにしながら遊技を行う。このような状態で、賞球のほとんど得られない大当り遊技が発生したのでは、遊技者の遊技に対する興趣を冷ましてしまう虞がある。

そこで本実施例のパチンコ機１では、特別図柄が「特殊確変大当り図柄」で停止表示されると遊技状態が確変状態であるか否かを判断して、確変状態であった場合には、大入賞口３１ｄの開放時間を３０秒間に設定する（図２１のＳ７００，Ｓ７０４，Ｓ７０８参照）。その結果、遊技状態が確変状態の時に「特殊確変大当り図柄」によって開始された大当り遊技では、大入賞口３１ｄが３０秒間開放した後、２秒間閉鎖する動作が９回繰り返されることになって、遊技者は大当り遊技中に多数の遊技球を大入賞口３１ｄに入球させることが可能となる。従って、たとえ確変状態の時に開始された大当り遊技が「特殊確変大当り図柄」によるものであった場合でも、「通常大当り図柄」や「確変大当り図柄」による大当り遊技と同様に多数の賞球を獲得することができるので、遊技者の興趣を冷ましてしまう虞がない。

もちろん、遊技状態が確変状態の時には、特別図柄が「特殊確変大当り図柄」で停止表示されないようにすれば、確変中に「特殊確変大当り図柄」による大当り遊技が行われることがなくなるので、遊技者の興趣を冷ましてしまうことを回避することができる。しかし、図１４を用いて説明したように、特別図柄の大当り図柄は変動表示関連処理の中で図柄決定乱数を用いた抽選によって決定されており、遊技状態が確変状態の時にだけ「特殊確変大当り図柄」が停止表示されないようにすると、大当り図柄を決定する処理がたいへんに複雑になってしまう。これに対して本実施例のパチンコ機１では、図柄決定乱数によって大当り図柄を決定する処理と、その大当り図柄による大当り遊技での大入賞口３１ｄの開放態様を決定する処理とを分離して行っているために、遊技状態が確変状態の時にだけ通常とは異なる処理を行う必要がない。その結果、確変状態の時に賞球が得られない大当り遊技が開始されて遊技者の興趣を冷ましてしまうことを、パチンコ機１の全体の制御を複雑にすることなく、回避することが可能となっている。

加えて、本実施例のパチンコ機１では、確変状態中に「特殊確変大当り図柄」による大当り遊技が開始された時に、単に遊技者に興趣を冷まさないだけでなく、以下の理由から、むしろ遊技者の興趣をより一層盛り上げることが可能となっている。すなわち、図２２に示されるたように、本実施例のパチンコ機１では、確変状態中に「特殊確変大当り図柄」による大当り遊技が開始されると、「通常大当り図柄」や「確変大当り図柄」による大当り遊技に比べて、大入賞口３１ｄの開放時間が１０秒間だけ長い時間に設定される。このため、確変状態中に「特殊確変大当り図柄」による大当り遊技が開始された場合に、遊技者は最も容易に、多数の賞球を獲得することが可能となる。上述したように確変状態では、遊技者の大当り遊技に対する期待は特に大きくなっているから、そのような状態で、最も容易に多数の賞球を獲得可能な大当り遊技を行うことで、遊技者に遊技に対する興趣を、より一層高めることが可能となる。

尚、上述したように「通常大当り図柄」あるいは「確変大当り図柄」によって大当り遊技が開始された場合には、大入賞口３１ｄの開放時間が２０秒間に設定されるので、開放した大入賞口３１ｄに容易に遊技球を入球させることが可能となるが、確変中ではない状態で「特殊確変大当り図柄」による大当り遊技が開始された場合には、大入賞口３１ｄの開放時間が０．５秒間に設定されるので、開放した大入賞口３１ｄに遊技球を入球させることは困難である。従って、本実施例の中で大入賞口３１ｄが２０秒間開放状態となる開放態様が、本発明における「通常開放態様」に対応しており、大入賞口３１ｄが０．５秒間だけ開放状態となる開放態様が、本発明における「特殊開放態様」に対応している。また、これらの開放態様は、主制御基板２００に搭載されたＲＯＭ２０２に記憶されており、図２１の大当り態様設定処理を実行する際に、主制御基板２００のＣＰＵ２０１がＲＯＭ２０２から読み出すことによって、大入賞口３１ｄの開放態様が設定されている。従って、本実施例の主制御基板２００のＲＯＭ２０２は、本発明における「開放態様記憶手段」の一態様となっている。更に、このようにして設定された開放時間だけ大入賞口３１ｄを開放させる処理は、図１８を用いて前述した大当り遊技処理の中で行われている。従って、本実施例の中で大当り遊技処理を行う主制御基板２００のＣＰＵ２０１は、本発明における「開放態様制御手段」の一態様となっている。

Ｄ．変形例 ：
Ｄ−１．第１変形例 ：
上述した実施例では、「特殊確変大当り図柄」による大当り遊技が、確変状態の時に開始されたものか否かによって、大入賞口３１ｄの開放時間を０．５秒間に設定したり、それより長い時間（上述した実施例では３０秒間）に設定したりするものとして説明した。こうすることで、大入賞口３１ｄの開放時間を適切に設定して、遊技者の遊技興趣を盛り上げることができる。しかし、確変状態ではない場合でも、大入賞口３１ｄの開放時間を適切に設定することで、遊技者の遊技興趣を盛り上げることが可能である。以下では、このような第１変形例のパチンコ機１について説明する。

図２３は、第１変形例のパチンコ機１で行われる変動表示関連処理の前半部分を示すフローチャートである。また、図２４は、第１変形例の変動表示関連処理の後半部分を示すフローチャートである。この処理は、図１１および図１２を用いて前述した変動表示関連処理と同様に、特別図柄遊技処理（図９のＳ１１２）の中で、主制御基板２００のＣＰＵ２０１によって実行される処理である。また、第１変形例の変動表示関連処理は、図１１および図１２に示した変動表示関連処理に対して、後述する特殊変動フラグの設定を確認して、特殊変動フラグがＯＮに設定されていた場合には、特別な変動パターンテーブルを選択する点のみが異なっている。以下では、この相違点を中心として、第１変形例の変動表示関連処理について説明する。

図２３に示されるように、第１変形例の変動表示関連処理においても前述した変動表示関連処理と同様に、処理を開始すると先ず初めに、確変フラグの設定を確認して（Ｓ８００）、確変フラグがＯＮに設定されている場合は（Ｓ８００：ｙｅｓ）、確変時用の大当り抽選テーブルを選択し（Ｓ８０４）、確変フラグがＯＮに設定されていない場合は（Ｓ８００：ｎｏ）、非確変時用の大当り抽選テーブルを選択する（Ｓ８０２）。こうして選択した大当り抽選テーブルを用いて大当り抽選を行い（Ｓ８０６）、大当り抽選結果が大当りであった場合には（Ｓ８０８：ｙｅｓ）、図１４に例示した大当り図柄決定テーブルを参照して大当り図柄を決定し（Ｓ８１０）、大当り抽選結果が外れであった場合は（Ｓ８０８：ｎｏ）、図１５に例示した小当り図柄・外れ図柄決定テーブルを参照して小当り図柄または外れ図柄を決定する（Ｓ８１２）。

以上のようにして、大当り抽選の結果に応じて、大当り図柄、小当り図柄、外れ図柄の何れかを決定したら、第１変形例の変動表示関連処理においても前述した変動表示関連処理と同様に、特別図柄の変動パターンを決定するための処理を開始する。但し、前述した変動表示関連処理では、確変フラグおよび変動短縮フラグの２つのフラグの設定に応じて変動パターンテーブルを選択したが、第１変形例の変動表示関連処理では、先ず初めに、特殊変動フラグの設定を確認する（Ｓ８１４）。ここで、特殊変動フラグとは、遊技状態が特別な状態であることを示すフラグである。詳細には後述するが、第１変形例のパチンコ機１では、確変中であるか否かに拘わらず、小当り遊技終了後の一定期間は特別な遊技状態（特殊変動モード）に設定される。なお、この特殊変動モード中は、遊技者が特殊変動モード中であること認識できるように、演出表示装置２７で通常とは異なる演出表示（識別図柄や背景図柄の表示形態が、通常状態と異なる特殊態様に変化する等）を実行する。そこで、第１変形例の変動表示関連処理では、特別図柄の変動パターンを設定するに際して、先ず初めに、特殊変動フラグがＯＮに設定されているか否かを判断する（Ｓ８１４）。特殊変動フラグは、前述した確変フラグや変動短縮フラグと同様に、主制御基板２００のＲＡＭ２０３の所定アドレスに割り当てられている。その結果、特殊変動フラグがＯＮに設定されていた場合は（Ｓ８１４：ｙｅｓ）、特殊変動パターンテーブルを選択する（Ｓ８１６）。特殊変動パターンテーブルにも、図１６に例示したように、変動パターン決定乱数に対して特別図柄の変動パターンが設定されている。但し、第１変形例の特殊変動パターンテーブルには、他の変動パターンテーブルとは異なる変動パターンが設定されている。なお、この第１変形例の特殊変動パターンテーブルとしては、全ての変動パターン決定乱数に対して同一の変動パターン（例えば変動時間が「２秒」のもの）が対応付けられているものを用いることとしている。このため、特殊変動モード中は、単に長い変動なだけであるリーチ外れ用の変動パターン等を選択することがなく、たとえ通常遊技中であっても遊技が迅速に進行する。尚、特殊変動パターンテーブルの他の形態として、設定されている変動パターンは他の変動パターンテーブルの変動パターンと同じであるが、それぞれの変動パターンが対応付けられる変動パターン決定乱数の乱数範囲を、他の変動パターンテーブルとは大きく異ならせた変動パターンテーブルとしても良い。

これに対して、特殊変動フラグがＯＮではないと判断された場合は（Ｓ８１４：ｎｏ）、前述した変動表示関連処理と同様に、確変フラグの設定を確認して（Ｓ８１８）、確変フラグがＯＮに設定されていた場合には（Ｓ８１８：ｙｅｓ）、確変用変動パターンテーブルを選択する（Ｓ８２０）。一方、確変フラグがＯＮに設定されていなかった場合は（Ｓ８１８：ｎｏ）、変動短縮フラグの設定を確認して、変動短縮フラグがＯＮに設定されていた場合は（Ｓ８２２：ｙｅｓ）、短縮用変動パターンテーブルを選択し（Ｓ８２４）、変動短縮フラグがＯＮに設定されていない場合は（Ｓ８２２：ｎｏ）、通常変動パターンテーブルを選択する（Ｓ８２６）。

こうして、特殊変動フラグ、確変フラグ、変動短縮フラグの設定に応じて変動パターンテーブルを選択したら、その後は、前述した変動表示関連処理と同様な処理を行う。すなわち、変動パターン決定乱数を取得して（図２４のＳ８２８）、選択した変動パターンテーブルを参照して変動パターンを決定した後（Ｓ８３０）、特別図柄の変動表示を開始する（Ｓ８３２）。続いて、決定した変動パターンを指定するコマンド（変動パターン指定コマンド）と、特別図柄の停止図柄を指定するコマンド（停止図柄指定コマンド）とを、サブ制御基板２２０に向かって送信する（Ｓ８３４、Ｓ８３６）。

上述したように、特殊変動フラグがＯＮに設定されている間は、特殊変動パターンテーブルを参照して変動パターンが決定されるから（図２３のＳ８１６、図２４のＳ８３０）、特殊変動フラグがＯＮに設定されている間は、サブ制御基板２２０にも、通常とは異なる変動パターン指定コマンドが送信されたり、あるいは、送信されるコマンドは同じであるが通常とは異なる比率で送信されたりすることになる。このようなコマンドに基づいて、サブ制御基板２２０のＣＰＵ２２１が、演出表示装置２７などで行う演出表示パターンを決定する結果、特殊変動フラグがＯＮの期間中は、演出表示装置２７の表示や効果音、ランプの点滅などを用いた演出が、通常とは異なる態様で行われることになる。

また、こうして特別図柄の変動表示を開始し（Ｓ８３２）、サブ制御基板２２０に向かって変動パターン指定コマンドおよび停止図柄指定コマンドを送信したら（Ｓ８３４，Ｓ８３６）、特別図柄の保留数から「１」を減算して（Ｓ８３８）、第１変形例の変動表示関連処理を終了して、図１０に示す特別図柄遊技処理に復帰する。

以上に説明したように、第１変形例のパチンコ機１では、特殊変動フラグがＯＮに設定されている間（特殊変動モードの間）は、特殊変動パターンテーブルを用いて特別図柄の変動パターンが決定される結果、特殊変動モード以外の期間中とは異なる態様で、演出表示装置２７などの演出が行われる。また、この特殊変動フラグは、特別図柄判定処理の中で所定の条件が成立したと判断されると、ＯＦＦに戻される。以下では、このような判断を行う第１変形例の特別図柄判定処理について説明する。

図２５は、第１変形例の特別図柄判定処理を示したフローチャートである。この処理も、図１７を用いて前述した特別図柄判定処理と同様に、特別図柄遊技処理の中で主制御基板２００のＣＰＵ２０１によって実行される処理である。尚、第１変形例の特別図柄判定処理は、図１７に示した特別図柄判定処理に対して、特殊変動フラグの設定を変更する処理が追加されている点と、大当り態様を設定する際に特殊変動フラグの設定を参照する点とが異なっている。以下では、これらの相違点を中心に説明し、その他の部分については簡単に説明する。

図２５に示されるように、第１変形例の特別図柄判定処理においても、先ず初めに、停止表示された特別図柄が大当り図柄であるか否かを判断する（Ｓ９００）。そして、大当り図柄であると判断された場合は（Ｓ９００：ｙｅｓ）、前述した特別図柄判定処理と同様に、大当り態様設定処理を行う（Ｓ９０２）。詳細には後述するが、第１変形例の大当り態様設定処理（Ｓ９０２）では、特殊変動フラグの設定も参照して、大当り態様（ここでは、大入賞口３１ｄの開放時間）を設定する処理を行う。

こうして大当り態様を設定した後は、図１７を用いて前述した特別図柄判定処理と同様な処理を行う。すなわち、大当りフラグをＯＮに設定した後（Ｓ９０４）、確変フラグの設定を確認する（Ｓ９０６）。そして、確変フラグがＯＮに設定されていれば（Ｓ９０６：ｙｅｓ）、確変フラグをＯＦＦに設定する（Ｓ９０８）。確変フラグがＯＮに設定されていなかった場合は（Ｓ９０６：ｎｏ）、確変フラグをＯＦＦに設定する処理（Ｓ９０８）は行わない。続いて、変動短縮フラグの設定を確認し（Ｓ９１０）、変動短縮フラグがＯＮに設定されていた場合は（Ｓ９１０：ｙｅｓ）、変動短縮フラグおよび開放延長フラグをＯＦＦに設定する（Ｓ９１２、Ｓ９１４）。これに対して、変動短縮フラグがＯＮに設定されていなかった場合は（Ｓ９１０：ｎｏ）、変動短縮フラグや開放延長フラグをＯＦＦにすることなく、そのまま第１変形例の特別図柄判定処理を終了して、図１０の特別図柄遊技処理に復帰する。

以上では、第１変形例の特別図柄判定処理が開始されたときに、停止表示された特別図柄が大当り図柄であると判断された場合（Ｓ９００：ｙｅｓ）に行われる処理について説明した。これに対して、停止表示された特別図柄が大当り図柄でないと判断された場合は（Ｓ９００：ｎｏ）、今度は、小当り図柄であるか否かを判断する（Ｓ９１６）。その結果、小当り図柄であった場合にだけ、小当りフラグをＯＮに設定する（Ｓ９１６、Ｓ９１８）。

続いて、第１変形例の特別図柄判定処理では、特殊変動フラグの設定をＯＮからＯＦＦに変更するための処理を開始する。先ず初めに、特殊変動フラグがＯＮに設定されているか否かを判断する（Ｓ９２０）。そして、特殊変動フラグがＯＮに設定されていた場合は（Ｓ９２０：ｙｅｓ）、特殊変動カウンタから「１」を減算する（Ｓ９２２）。ここで、特殊変動カウンタとは、特殊変動フラグがＯＮに設定された後に、特別図柄の変動表示および停止表示が行われた回数を示すカウンタである。詳細には後述するが、第１変形例のパチンコ機１では、特殊変動フラグがＯＮに設定される際に、特殊変動カウンタにも所定の整数値が初期値として設定されるようになっている。また、特殊変動カウンタは、主制御基板２００に搭載されたＲＡＭ２０３の所定アドレスに設けられている。第１変形例の特別図柄判定処理では、特殊変動フラグがＯＮと判断されると（Ｓ９２０：ｙｅｓ）、特殊変動カウンタに記憶されている整数値から「１」を減算する処理を行う。そして、特殊変動カウンタの値が「０」になったか否かを判断し（Ｓ９２４）、特殊変動カウンタが「０」になっていた場合は（Ｓ９２４：ｙｅｓ）、特殊変動フラグをＯＦＦに設定する（Ｓ９２６）。これに対して、特殊変動カウンタが「０」に達していなかった場合は（Ｓ９２４：ｎｏ）、特殊変動フラグをＯＦＦに設定する処理（Ｓ９２６）は行わない。また、そもそも特殊変動フラグがＯＮに設定されていなかった場合は（Ｓ９２０：ｎｏ）、特殊変動フラグをＯＦＦに設定するために行われる一連の処理（Ｓ９２２〜Ｓ９２６）は行わない。第１変形例のパチンコ機１では、以上のような処理が行われることにより、特殊変動フラグがＯＮに設定されると、特殊変動カウンタに設定された回数だけ、特別図柄の変動表示および停止表示が行われるまでの間だけ、ＯＮに保たれることになる。尚、特殊変動フラグは、大当り発生時（たとえば、大当りフラグがＯＮに設定される際）、あるいは大当り遊技の終了時にも、ＯＦＦに設定される。

以上のようにして、特殊変動フラグに関する処理を行った後は、第１変形例の特別図柄判定処理も、図１７を用いて前述した特別図柄判定処理と同様な処理を行う。すなわち、変動短縮フラグがＯＮに設定されているか否かを判断し（Ｓ９２８）、変動短縮フラグがＯＮに設定されている場合は（Ｓ９２８：ｙｅｓ）、変動短縮カウンタから「１」を減算して（Ｓ９３０）、変動短縮カウンタが「０」になったか否かを判断する（Ｓ９３２）。その結果、変動短縮カウンタが「０」になっていた場合は（Ｓ９３２：ｙｅｓ）、変動短縮フラグおよび開放延長フラグをＯＦＦに設定した後（Ｓ９１２、Ｓ９１４）、第１変形例の特別図柄判定処理を終了する。これに対して、変動短縮カウンタが「０」に達していない場合は（Ｓ９２３：ｎｏ）、変動短縮フラグおよび開放延長フラグをＯＦＦにすることなく、第１変形例の特別図柄判定処理を終了する。また、変動短縮フラグがＯＮに設定されていなかった場合は（Ｓ９２８：ｎｏ）、変動短縮カウンタに関する処理（Ｓ９３０、Ｓ９３２）も行うことなく、直ちに第１変形例の特別図柄判定処理を終了する。

以上に説明したように、第１変形例の特別図柄判定処理では、特殊変動フラグがＯＮに設定されているか否かを判断して、特殊変動フラグがＯＮに設定されている場合は、特殊変動カウンタから「１」を減算し、特殊変動カウンタの値が「０」に達したら、特殊変動フラグをＯＦＦにする処理が行われる。また、この特殊変動フラグは、小当り遊技処理の中で設定されている。以下では、第１変形例の小当り遊技処理について説明する。

図２６は、第１変形例の小当り遊技処理を示すフローチャートである。第１変形例の小当り遊技処理は、図２０を用いて前述した小当り遊技処理に対して、小当り遊技の終了時に、小当りフラグをＯＦＦにするだけでなく、特殊変動フラグおよび特殊変動カウンタの設定を行う点が異なっている。以下では、この相違点を中心にして、第１変形例の小当り遊技処理について簡単に説明する。

第１変形例の小当り遊技処理でも、先ず初めに、大入賞口３１ｄが開放中か否かを判断し（Ｓ１０００）、大入賞口３１ｄが開放中であれば（Ｓ１０００：ｙｅｓ）、小当り中の規定の開放時間（０．５秒間）が経過したか否かを判断する（Ｓ１００２）。そして、規定の開放時間が経過していない場合は（Ｓ１０００：ｎｏ）、そのまま第１変形例の小当り遊技処理を終了するが、規定の開放時間が経過していた場合は（Ｓ１０００：ｙｅｓ）、大入賞口３１ｄを閉鎖した後（Ｓ１００４）、大入賞口３１ｄの開放回数が、小当り遊技中の規定回数（ここでは９回）に達したか否かを判断する（Ｓ１００６）。その結果、大入賞口３１ｄの開放回数が規定回数に達していない場合は（Ｓ１００６：ｎｏ）、小当り遊技が未だ終了していないので、大入賞口３１ｄの閉鎖時間（ここでは２秒間）が経過したことを確認した後（Ｓ１０１４：ｙｅｓ）、大入賞口３１ｄを開放させて（Ｓ１０１６）、図２６に示した第１変形例の小当り遊技処理を終了し、図９の遊技制御処理に復帰する。

以上のような処理を繰り返しているうちに、やがて、大入賞口３１ｄの開放回数が、小当り遊技の規定回数（９回）に達したと判断される（Ｓ１００６：ｙｅｓ）。すると、小当り遊技を終了させるべく、小当りフラグをＯＦＦに設定する（Ｓ１００８）。ここまでの処理は、図２０を用いて前述した小当り遊技処理と全く同じである。しかし、図２６に示されるように、第１変形例の小当り遊技処理は、小当りフラグをＯＦＦに設定すると（Ｓ１００８）、続いて、特殊変動フラグをＯＮに設定し（Ｓ１０１０）、特殊変動カウンタに初期値として「３０」を設定した後（Ｓ１０１２）、小当り遊技処理を終了して図９の遊技制御処理に復帰する。

以上に説明したように、第１変形例のパチンコ機１では、小当り遊技が行われる度に特殊変動フラグがＯＮに設定され（図２６のＳ１０１０）、その後、特殊変動カウンタに設定された回数（３０回）だけ特別図柄の変動表示および停止表示が行われると、特殊変動フラグがＯＦＦに戻される（図２５のＳ９２６）。また、特殊変動フラグがＯＮに設定されている間は、特殊変動パターンテーブルを参照して特別図柄の変動パターンが決定される（図２３のＳ８１６、図２４のＳ８３０）。その結果、小当り遊技が終了してから、特別図柄の変動表示および停止表示の回数が３０回に達するまでの間は、演出表示装置２７の画面の表示や効果音などを用いた演出が、他の状態とは異なる態様で行われることになる。そして、第１変形例のパチンコ機１では、以下のような大当り態様設定処理を行って、大当り遊技中の大入賞口３１ｄの開放態様を決定することにより、遊技者の遊技に対する興趣を大きく盛り上げることが可能となっている。尚、第１変形例では、小当り遊技が終了してから、特別図柄の変動表示および停止表示の回数が３０回に達するまでの期間が、本発明における「特定遊技期間」に対応している。従って、図２６の小当り遊技処理を行って特殊変動カウンタに所定回数（３０回）を設定する処理を行う主制御基板２００のＣＰＵ２０１は、本発明における「特定遊技期間設定手段」の一態様となっている。

図２７は、第１変形例の大当り態様設定処理を示すフローチャートである。この処理は、特別図柄判定処理の中で、特別図柄が大当り図柄で停止表示されたと判断された場合に、主制御基板２００のＣＰＵ２０１によって実行される処理である。尚、第１変形例の大当り態様設定処理は、図２１を用いて前述した大当り態様設定処理に対して、大入賞口３１ｄの開放態様を設定する際に、特殊変動フラグの設定も参照する点が異なっている。以下では、この相違点を中心に、第１変形例の大当り態様設定処理について説明する。

第１変形例の大当り態様設定処理においても、先ず初めに、停止表示された大当り図柄が「特殊確変大当り図柄」であるか否かを判断する（Ｓ１１００）。その結果、「特殊確変大当り図柄」ではなかった場合は（Ｓ１１００：ｎｏ）、大入賞口３１ｄの開放時間を２０秒に設定する（Ｓ１１０２）。

一方、停止表示された大当り図柄が「特殊確変大当り図柄」であると判断された場合は（Ｓ１１００：ｙｅｓ）、第１変形例の大当り態様設定処理では、特殊変動フラグがＯＮに設定されているか否かを判断する（Ｓ１１０４）。その結果、特殊変動フラグがＯＮに設定されていた場合は（Ｓ１１０４：ｙｅｓ）、大入賞口３１ｄの開放時間を３０秒に設定する（Ｓ１１０６）。前述したように特殊変動フラグは小当り遊技が終了してから、特別図柄の変動表示および停止表示が所定回数（３０回）行われるまでＯＮに設定されているから、この間に特別図柄が「特殊確変大当り図柄」で停止表示された場合には、大入賞口３１ｄが３０秒間開放する態様で９ラウンドの大当り遊技が行われることになる。

これに対して、停止表示された大当り図柄が「特殊確変大当り図柄」であるが（Ｓ１１００：ｙｅｓ）、特殊変動フラグがＯＮではなかった場合は（Ｓ１１０４：ｎｏ）、今度は、確変フラグの設定を確認する。そして、確変フラグがＯＮでなかった場合は（Ｓ１１０８：ｎｏ）、大入賞口３１ｄの開放時間を０．５秒に設定し（Ｓ１１１０）、確変フラグがＯＮであった場合は（Ｓ１１０８：ｙｅｓ）、大入賞口３１ｄの開放時間を２０秒に設定する（Ｓ１１１２）。こうして、停止表示された大当り図柄や、特殊変動フラグ、確変フラグの設定に応じて、大入賞口３１ｄの開放時間を設定したら、図２７に示す第１変形例の大当り態様設定処理を終了して、図２５の特別図柄判定処理に復帰する。

以上に説明した第１変形例のパチンコ機１では、特別図柄が「特殊確変大当り図柄」以外の大当り図柄で停止表示されると、大入賞口３１ｄの開放時間が２０秒に設定される（図２７のＳ１１０２）。大入賞口３１ｄが２０秒間も開放されていれば、大入賞口３１ｄに容易に遊技球を入球させることができるから、遊技者は多数の賞球を獲得することが可能となる。

また、「特殊確変大当り図柄」が停止表示されたときに、特殊変動フラグがＯＮに設定されていた場合には、大入賞口３１ｄの開放時間が３０秒に設定される（Ｓ１１０６）。前述したように特殊変動フラグがＯＮに設定されるのは、小当り遊技が行われてから暫くの間（特別図柄の変動表示・停止表示が３０回行われる間）であるから、小当り遊技後のこの期間中に「特殊確変大当り図柄」が停止表示されると、遊技者にとって最も有利な態様で大当り遊技が行われることになる。特に、小当り遊技は、大入賞口３１ｄが０．５秒だけ開放した後、２秒間閉鎖する動作を９回繰り返しただけで終了してしまうから、遊技者がほとんど賞球を獲得することができないまま終了してしまう。更に、小当り遊技が行われても遊技状態が確変状態や時短状態に切り換わるわけではないから、小当り遊技は遊技者にとって、あまり意味のない当り遊技となっている。しかし、第１変形例のパチンコ機１では、小当り遊技が終了した後の特殊変動モード中に「特殊確変大当り図柄」が停止表示されると、遊技者にとって最も有利な態様の大当り遊技が行われる。その結果、小当り遊技も遊技者にとって意味のある当り遊技となるので、その分だけ容易に、遊技者の遊技興趣を掻き立てることが可能となる。

また、特殊変動フラグも確変フラグもＯＮに設定されていない状態で、「特殊確変大当り図柄」が停止表示された場合は、大入賞口３１ｄの開放時間は０．５秒に設定される（Ｓ１１１０）。この場合は、小当り遊技と同様に、遊技者がほとんど賞球を獲得することができないまま大当り遊技が終了してしまうが、大当り遊技の終了後は遊技状態が確変状態に切り換わる。このため、遊技者は次の大当り遊技に対する期待を膨らませながら遊技を行うこととなって、遊技者の遊技に対する興趣を高めることができる。もちろん、確変状態の時には、このような効果を得ることはできないが、特殊変動フラグがＯＦＦに設定され、確変フラグがＯＮに設定された状態で、「特殊確変大当り図柄」が停止表示された場合は、他の大当り図柄が停止表示された場合と同様に、大入賞口３１ｄの開放時間は２０秒に設定される（Ｓ１１１２）。このため、他の大当り図柄による大当り遊技と同様に、遊技者は多数の賞球を獲得することができるので、遊技に対する興趣を冷ましてしまうこともない。このように第１変形例のパチンコ機１においても、大当り図柄が停止表示された時の遊技状態に応じて、適切な態様で大入賞口３１ｄを開放させて大当り遊技を行っているために、遊技者の遊技に対する興趣を適切に盛り上げることが可能となる。

また、第１変形例のパチンコ機１においても、大当り遊技中での大入賞口３１ｄの開放態様を決定する処理を、大当り遊技を行うか否かを決定する処理や、大当り図柄を決定する処理とは分離して行っている。このため、大当りが発生した時の遊技状態に応じて大入賞口３１ｄの開放態様を異ならせているにも拘わらず、パチンコ機１の全体の制御が複雑化することがない。

Ｄ−２．第２変形例 ：
以上に説明した実施例あるいは第１変形例では、遊技盤１０の遊技領域１１に、始動口１７が１つだけ設けられているものとして説明した。しかし、複数の始動口が設けられているパチンコ機１に対しても、本願発明を好適に適用してやれば、大当り遊技中の大入賞口３１ｄを適切な態様で開放させることができる。たとえば、常に遊技球が入球し得る固定始動口と、開放して初めて遊技球が入球可能になる可変始動口とを備えたパチンコ機に対しても、本願発明を好適に適用することができる。以下では、固定始動口と可変始動口とを備えたパチンコ機１を例に用いて、複数の始動口を備えたパチンコ機１に本願発明を適用した第２変形例について説明する。

図２８は、第２変形例のパチンコ機１における遊技盤１０の盤面構成を示す説明図である。第２変形例のパチンコ機１の盤面構成は、図２を用いて前述した盤面構成に対して、始動口１７の代わりに、２つの始動口が上下に組み合わされた始動口ユニット１８が設けられている点と、始動口ユニット１８に２つの始動口が設けられていることに対応して、特別図柄の変動表示を行う図柄表示装置も、第１図柄表示装置３２および第２図柄表示装置３４の２つの図柄表示装置が設けられている点とが異なっている。

図２９は、第２変形例のパチンコ機１に搭載されている始動口ユニット１８の構成を示す説明図である。図示されるように始動口ユニット１８には、第１始動口１８ａと、第２始動口１８ｂとが設けられており、上側に設けられた第１始動口１８ａは固定式（ポケット式）の始動口であり、下側に設けられた第２始動口１８ｂは、一対の翼片１８ｗを備えた開閉式（可変式）の始動口となっている。この一対の翼片１８ｗは、ほぼ直立した通常状態（図２９（ａ）参照）と、外側に向かって回転した開放状態（図２９（ｂ）参照）との２つの状態を取ることが可能である。図２９（ａ）に示したように、翼片１８ｗがほぼ直立した通常状態では、遊技球は第２始動口１８ｂに入球することができず、専ら第１始動口１８ａに入球するだけであるが、一対の翼片１８ｗが外側に開いた開放状態となると、第２始動口１８ｂにも遊技球が入球し得る状態となる。そして、図２９（ｂ）に示されるように、開放状態では、第１始動口１８ａよりも第２始動口１８ｂの方が、遊技球が入球し易くなっている。また、第１始動口１８ａあるいは第２始動口１８ｂに入球した遊技球は、それぞれの内部に設けられた通路を通って遊技盤１０の裏面側に導かれる。第１始動口１８ａの内部の通路の途中には第１始動口スイッチ１８ｓが設けられ、第２始動口１８ｂの内部の通路の途中には第２始動口スイッチ１８ｔが設けられており、第１始動口１８ａあるいは第２始動口１８ｂに入球した遊技球は、それぞれのスイッチによって検出されるようになっている。

図３０は、第２変形例のパチンコ機１に搭載された第１図柄表示装置３２および第２図柄表示装置３４の構成を示す説明図である。図３０（ａ）は第１図柄表示装置３２を表しており、図３０（ｂ）は第２図柄表示装置３４を表している。第１図柄表示装置３２の構成は、図３を用いて前述した図柄表示装置の構成と同じである。すなわち、第１図柄表示装置３２には、３個のＬＥＤによって構成される普通図柄表示部２９と、９個のＬＥＤによって構成される第１特別図柄表示部３３とが設けられている。このうち、普通図柄表示部２９は、前述したパチンコ機１の場合と同様に動作する。また、第１特別図柄表示部３３は、始動口ユニット１８の上側に設けられた第１始動口１８ａに遊技球が入球すると、前述したパチンコ機１の図柄表示装置２８と同様に動作する。すなわち、第１始動口１８ａに遊技球が入球して保留（第１保留）が発生すると、第１特図保留表示ＬＥＤ３３ｂに表示される。また、第１保留が消化される際には、第１特別図柄ＬＥＤ３３ａで第１保留に対応する特別図柄（第１特別図柄）の変動表示が行われる。

また、図３０（ｂ）に示した第２図柄表示装置３４は、上述した第１図柄表示装置３２に対して普通図柄表示部２９を取り除いた構成となっている。すなわち、第２図柄表示装置３４には、９個のＬＥＤから構成される第２特別図柄表示部３５が設けられており、そのほぼ中央に設けられた７個のＬＥＤは、第２特別図柄を表示するためのＬＥＤ（以下、第２特別図柄ＬＥＤ３５ａと呼ぶ）であり、残りの２個のＬＥＤは、第２特別図柄の保留数（以下、第２特図保留数と呼ぶ）を表示するためのＬＥＤ（以下、第２特図保留表示ＬＥＤ３５ｂと呼ぶ）となっている。そして、この第２図柄表示装置３４の第２特別図柄表示部３５は、始動口ユニット１８の下側に設けられた第２始動口１８ｂに対応して動作する。すなわち、第２始動口１８ｂに遊技球が入球して保留（第２保留）が発生すると、第２特図保留表示ＬＥＤ３５ｂに表示される。第２保留が消化される際には、第２特別図柄ＬＥＤ３５ａで第２保留に対応する特別図柄（第２特別図柄）の変動表示が行われる。また、第１保留および第２保留のどちらの保留も存在する場合は、第２保留が優先して消化されるようになっている。

このような構成を有するパチンコ機では、第２始動口１８ｂの開放時間を延長すると第２始動口１８ｂに遊技球が入球し易くなり、開放時間の延長を止めると第２始動口１８ｂに遊技球が入球し難くなる。従って、第２始動口１８ｂの開放時間を延長するか否かによって、第２始動口１８ｂへの遊技球の入球し易さを制御することが可能である。そして、第１始動口１８ａで発生した第１保留よりも、第２始動口１８ｂで発生した第２保留の方が優先して消化されるから、たとえば、第１始動口１８ａの保留（第１保留）を消化する際には賞球獲得の困難な大当りが発生し易く、第２始動口１８ｂの保留（第２保留）を消化する際には賞球獲得の容易な大当りが発生し易く設定しておけば、賞球獲得の困難な大当りが発生し易い状況と、賞球獲得の容易な大当りが発生し易い状況とを作り出すことが可能である。しかしそのためには、第２始動口１８ｂの開放時間を延長した状態と、延長していない状態とに切り換えなければならないので、そうしたことが可能になる状態は限られる。換言すれば、賞球獲得の困難な大当りが発生し易い状況と、賞球獲得の容易な大当りが発生し易い状況とを、自由に作り出すことは困難である。

この点、第２変形例のパチンコ機１では、第１始動口１８ａまたは第２始動口１８ｂの何れで発生した保留を消化する場合でも、図１１および図１２を用いて前述した変動表示関連処理を行うことにより、第１保留または第２保留の何れであるかに関わりなく、大当り抽選を行い（図１１のＳ３００〜Ｓ３０６参照、あるいは図２３のＳ８００〜Ｓ８０６参照）、第１特別図柄または第２特別図柄の停止図柄を決定する（Ｓ３０８〜Ｓ３１２参照、あるいはＳ８０８〜Ｓ８１２参照）。そして、停止表示された第１特別図柄または第２特別図柄が大当り図柄であった場合には（図１７のＳ４００：ｙｅｓ、あるいは図２５のＳ９００：ｙｅｓ）、大当り態様設定処理を行う（Ｓ４０２、あるいはＳ９０２）。図２１（あるいは図２７）を用いて前述したように、この大当り態様設定処理では、停止表示された大当り図柄の種類や、確変フラグ（あるいは特殊変動フラグ）の設定に応じて、大入賞口３１ｄの開放態様を設定する。

このように、第２変形例のパチンコ機１では、第１始動口１８ａまたは第２始動口１８ｂの何れに遊技球が入球して発生した大当り遊技であっても、大入賞口３１ｄの開放態様を、適切に、しかも非常に高い自由度で設定することができる。このため、たとえば、賞球獲得の困難な大当りが発生し易い状況と、賞球獲得の容易な大当りが発生し易い状況とを作り出すために、第２始動口１８ｂの開放時間を延長した状態と、延長していない状態とに切り換える必要がなく、それらの状況を自由に作り出すことが可能となる。

以上、本発明について各種の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。

例えば、前述した各実施形態において、遊技状態に応じて大入賞口３１ｄの開放時間だけでなく、閉鎖時間も変更することとしてもよい。例えば、前述した各実施形態では、大当り遊技中や小当り遊技中の大入賞口３１ｄの閉鎖時間を「２秒」としたが、「特殊確変当り図柄」が停止表示されたときの遊技状態が、第１実施例における「確変状態」であったり、第１変形例における「特殊変動モード」であった場合に、開放時間を長時間に設定するのに加え、閉鎖時間を「２秒」よりも短い「０．５秒」に短縮設定する。これにより、特定の遊技状態で「特殊確変当り図柄」が停止表示されたときに実行される大当り遊技は、他の状態で実行される大当り遊技よりも大入賞口３１ｄの閉鎖時間が短くなり、大当り遊技中の大入賞口３１ｄへの遊技球の入球率を一層高めることができる（大入賞口３１ｄの閉鎖による「こぼれ球」を減少させる）。この結果、特定の遊技状態で「特殊確変当り図柄」が停止表示されたときに行われる大当り遊技の実行による遊技者の遊技興趣を一層高める遊技性が実現できる。

本発明は、遊技ホールで用いられる弾球遊技機に利用することができる。

１…パチンコ機（弾球遊技機）、 １７…始動口、
２８…図柄表示装置、 ３１ｄ…大入賞口、 ２００…主制御基板、
２０１…ＣＰＵ（図柄変動制御手段、大当り遊技実行手段、開放態様制御手段、特定遊技期間設定手段）、 ２０２…ＲＯＭ（開放態様記憶手段）。

Claims (3)

1. 遊技球の入球可能な始動口と、図柄の変動表示が可能な図柄表示装置と、開閉可能に構成されて通常時は閉鎖されている大入賞口とが設けられた遊技盤面に遊技球を発射して遊技を行う弾球遊技機において、
   前記始動口に遊技球が入球したことを契機として前記図柄表示装置で図柄の変動表示を開始させ、該図柄を当り図柄または外れ図柄の何れかで停止表示させる図柄変動制御手段と、
   前記図柄が前記当り図柄で停止表示した場合には、前記大入賞口の開閉動作を規定回数だけ行う大当り遊技を実行する大当り遊技実行手段と、
   前記大入賞口が開放してから閉鎖するまでの態様である開放態様として、該大入賞口に遊技球が入球容易な通常開放態様と、該通常開放態様よりも遊技球の入球が困難な特殊開放態様とを記憶している開放態様記憶手段と
   を備え、
   前記大当り遊技実行手段は、前記大当り遊技の実行契機となった前記当り図柄の停止表示が行われたときの遊技状態に応じて、前記通常開放態様または前記特殊開放態様の何れかを決定し、該決定した開放態様で、前記規定回数の前記開閉動作を制御する開閉動作制御手段を備えることを特徴とする弾球遊技機。
2. 請求項１に記載の弾球遊技機において、
   前記図柄表示装置が停止表示する前記当り図柄には、通常当り図柄と確変当り図柄とが設けられており、
   前記図柄変動制御手段は、
   前記通常当り図柄の停止表示を契機として実行された前記大当り遊技が終了した後は、前記図柄表示装置で当り図柄が通常の確率で停止表示される通常状態で、前記図柄の変動表示および停止表示を制御し、
   前記確変当り図柄の停止表示を契機として実行された前記大当り遊技が終了した後は、前記図柄表示装置で当り図柄が前記通常の確率よりも高い確率で停止表示される確変状態で、前記図柄の変動表示および停止表示を制御しており、
   前記開閉動作制御手段は、前記大当り遊技の実行契機となった前記当り図柄の停止表示が行われたときの遊技状態が前記確変状態であった場合には、前記通常開放態様で前記大入賞口の開閉動作を制御することを特徴とする弾球遊技機。
3. 請求項１に記載の弾球遊技機において、
   前記図柄表示装置が停止表示する前記当り図柄には、通常当り図柄と確変当り図柄とが設けられており、
   前記図柄変動制御手段は、
   前記通常当り図柄の停止表示を契機として実行された前記大当り遊技が終了した後は、前記図柄表示装置で当り図柄が通常の確率で停止表示される通常状態で、前記図柄の変動表示および停止表示を制御し、
   前記確変当り図柄の停止表示を契機として実行された前記大当り遊技が終了した後は、前記図柄表示装置で当り図柄が前記通常の確率よりも高い確率で停止表示される確変状態で、前記図柄の変動表示および停止表示を制御しており、
   前記通常状態において所定条件が成立すると、当該通常状態中の所定期間に亘って、前記図柄の変動表示態様が前記所定条件の成立前と異なる特定演出モードを発生させる特定演出モード発生手段を備え、
   前記開閉動作制御手段は、前記大当り遊技の実行契機となった前記当り図柄が、前記通常状態中であって、且つ、前記特定演出モードが発生しているときに停止表示された場合には、前記通常開放態様で、前記大入賞口の開閉動作を制御することを特徴とする弾球遊技機。

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