JP2011047766A - 電力ケーブルの絶縁劣化診断方法及び絶縁劣化診断装置 - Google Patents

電力ケーブルの絶縁劣化診断方法及び絶縁劣化診断装置 Download PDF

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Abstract

【課題】敷設されている電力ケーブルにおける水トリー劣化位置を評定するとともにその劣化度合いを推定して厳密な劣化診断を簡単に行うこと。
【解決手段】測定対象ケーブル20に第1衝撃電圧を課電後に接地し、その接地後に測定対象ケーブル20に交流電圧を課電して、測定対象ケーブル20の残留電荷を測定する。次いで、測定対象ケーブル20に第1衝撃電圧と周波数成分の異なる第2衝撃電圧を課電後に接地し、その接地後に測定対象ケーブル20に交流電圧を課電して、測定対象ケーブル20の残留電荷を測定する。これら測定された残留電荷を比較して前記測定対象ケーブル20の劣化位置を評定する。
【選択図】図5

Description

本発明は、電力ケーブルの絶縁劣化診断方法に関し、特に、水トリーによる電力ケーブルの絶縁劣化を診断する電力ケーブルの絶縁劣化診断方法及び絶縁劣化診断装置に関する。
架橋ポリエチレン絶縁電力ケーブル(以下、CV(Cross-linked polyethylene insulated polyvinyl-chloride sheathed cable)ケーブルという)等のゴム・プラスチック電力ケーブルの耐電圧寿命特性を決定する主要な絶縁劣化現象の一つとして、水トリー劣化がある。
この水トリー劣化は、ゴム・プラスチック電力ケーブルに対して、水が存在する環境下で長期間に亘って交流電圧を課電していると、絶縁体中のボイド、異物、突起等の電界集中部に微小な水ボイド集団が形成されて、これが電界方向に進展して発生する現象である。
この水トリーは、その成長とともに絶縁破壊電圧を低下させ、最終的には運転中における電力ケーブルの絶縁破壊事故の原因となる。このため、CVケーブル等の電力ケーブルの絶縁劣化診断においては、水トリー劣化を信頼性高く検出することが重要な課題になっている。
そこで、CVケーブル等の電力ケーブルの水トリー劣化を検出する有効な手法として、例えば、特許文献1に示すような残留電荷法が開発されている。この残留電荷法の手順について、図1を参照して説明する。残留電荷法は、まず、図1(a)に示すようにケーブルの絶縁体に直流電圧を課電し、次いで、同図1(b)に示すように絶縁体の電極間を短絡・接地し、そして、同図1(c)に示すように絶縁体に交流電圧等を課電して、この時に現れる直流成分を水トリーによる劣化信号として検出する。
この残留電荷法では、電力ケーブルに直流電圧等の課電によって絶縁体中に空間電荷が蓄積される。次いで、絶縁体の電極間を短絡・接地することにより、直流課電電圧による導体及び遮蔽上電荷(図示省略)が取り除かれる。この間、劣化部の空間電荷、つまり、絶縁体内に拘束された電荷(水トリー中の空間電荷等)が完全に消滅することなく一部残留する。その後、交流電圧等の課電によって、絶縁体内に拘束された電荷(水トリー中の空間電荷等)の移動・減衰が速まって放出され、電荷、または電荷の移動に伴う直流電流が劣化信号として検出器により検出される。
このような従来の直流電圧を印加する残留電荷法は、電力ケーブル全体から検出された総電荷量を用いて評価する。
このため、従来の方法では、微小な劣化が電力ケーブルの長手方向に均一に存在する場合と、局所的に大きな劣化が存在する場合の残留電荷法による評価が同程度の電荷量として検出される可能性があり、厳密に判定することはできない。さらに、電力ケーブルに局所的な劣化が存在する場合、その劣化位置が課電端に近いのか、ケーブル中央部にあるか等、電力ケーブル長手方向における劣化位置を評定することができないという問題がある。
これに対して、特許文献2に示す絶縁劣化診断方法が知られている。特許文献2では、直流電圧を課電した後に接地し、その後に交流電圧を課電して残留電荷を測定する際に、電力ケーブルの長さ方向に加熱して残留電荷を測定することで、電力ケーブルの長手方向の絶縁劣化領域を特定している。
特公平5−28350号公報 特開2000−81459号公報
しかし、特許文献2の絶縁劣化診断方法では、絶縁劣化診断に際し、加熱器が必要になるとともに、電力ケーブル長手方向に加熱器を移動して測定する必要があり、その劣化診断作業が煩雑であり手間がかかるという問題がある。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、敷設されている電力ケーブルにおける水トリー劣化位置を評定するとともにその劣化度合いを推定して厳密な劣化診断を簡単に行うことができる絶縁劣化診断方法及び絶縁劣化診断装置を提供することを目的とする。
本発明の電力ケーブルの絶縁劣化診断方法は、電力ケーブルに第1衝撃電圧を課電後に接地し、その接地後に電力ケーブルに交流電圧を課電して、前記電力ケーブルの残留電荷を測定する第1電荷測定工程と、前記電力ケーブルに前記第1衝撃電圧と周波数成分の異なる第2衝撃電圧を課電後に接地し、その接地後に前記電力ケーブルに交流電圧を課電して、電力ケーブルの残留電荷を測定する第2電荷測定工程と、各電荷測定工程によって測定された残留電荷を比較して前記電力ケーブルの劣化位置を評定する評定工程とを有する。
本発明の電力ケーブルの絶縁劣化診断方法は、前記電力ケーブルに第1衝撃電圧を課電後に接地し、その接地後に前記電力ケーブルに交流電圧を課電して、電力ケーブルの残留電荷を測定する第1電荷測定工程と、電力ケーブルに直流電圧を課電後に接地し、その接地後に電力ケーブルに交流電圧を課電して、前記電力ケーブルの残留電荷を測定する第2電荷測定工程と、各電荷測定工程によって測定された残留電荷を比較して前記電力ケーブルの劣化位置を評定する評定工程とを有する。
本発明の絶縁劣化診断装置は、絶縁劣化診断の対象である電力ケーブルに直流電圧を課電する直流電圧課電手段と、前記電力ケーブルに衝撃電圧を課電する衝撃電圧課電手段と、前記電力ケーブルを接地する接地手段と、前記電力ケーブルに前記電力ケーブルに交流電圧を課電する交流電圧課電手段と、前記交流電圧が課電された前記電力ケーブルの残留電荷を測定する測定手段と、測定された残留電荷に基づいて前記電力ケーブルの劣化部位を評定する評定手段と、前記直流電圧課電手段及び前記衝撃電圧課電手段のうち前記衝撃電圧課電手段を少なくとも一回制御することによって前記電力ケーブルを複数回課電し、課電毎に接地した前記電力ケーブルに、前記交流電圧課電手段を制御して前記交流電圧を課電する課電制御手段とを備え、前記課電制御手段は、前記直流電圧を前記電力ケーブルに複数回課電する場合、課電毎で電圧値が異なる直流電圧を課電し、前記衝撃電圧を前記電力ケーブルに複数回課電する場合、課電毎に、周波数成分の異なる衝撃電圧或いは周波数成分が同じでピーク電圧値が異なる衝撃電圧を課電する構成を有する。
本発明によれば、敷設されている電力ケーブルにおける水トリー劣化位置を評定するとともにその劣化度合いを推定して厳密な劣化診断を簡単に行うことができる。
従来の残留電荷法の手順を示す図であり、(a)は直流電圧の課電状態を示す図、(b)は接地状態を示す図、(c)は交流電圧の課電状態を示す図 電力ケーブルに直流電圧を印加した際の長手方向における電圧分布を示す図 電力ケーブルに衝撃電圧を印加した際の長手方向における電圧分布を示す図 水トリー劣化している電力ケーブルを示す図 本発明の実施の形態に係る絶縁劣化診断装置の構成を示す図 測定対象ケーブルに周波数成分の異なる2つの衝撃電圧V、Vを課電して検出した残留電荷を示す図 測定対象ケーブルに直流電圧V、衝撃電圧Vを課電して検出した残留電荷を示す図 複数の衝撃電圧課電により検出した残留電荷及び直流電圧課電により検出した残留電荷を組み合わせることによって行う劣化診断の説明に供する図 測定パターン2、3を用いて検出した残留電荷を示す図 測定パターン1、3を用いて検出した残留電荷を示す図
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
まず、本発明の実施の形態に係る電力ケーブルの絶縁劣化診断方法において測定対象となる電力ケーブルの残留電荷を検出する原理について説明する。
図2は電力ケーブルに直流電圧を印加した際の長手方向における電圧分布を示し、図3は衝撃電圧を印加した際の長手方向における電圧分布を示す。なお、電圧分布は、図2及び図3において、電力ケーブルにおいて印加される電圧を、測定対象である電力ケーブルの長さに対応する横軸(電力ケーブルにおける位置)とともに示している。
図2に示すように、測定対象である電力ケーブルに直流電源1から直流電圧を印加すると、直流電圧は電力ケーブルの長手方向に対して一様に印加される。
これに対し、図3に示すように、測定対象である電力ケーブルに、衝撃電圧発生装置9から衝撃電圧を印加すると、電圧は電力ケーブルを伝搬するに従い減衰していく。
内部に水トリー劣化が存在している電力ケーブルに、直流電圧または衝撃電圧など、正負いずれかの極性を有する電圧を印加すると、電力ケーブルにおける絶縁体内に電荷が蓄積される。
電力ケーブルに衝撃電圧を印加した場合、電力ケーブルに印加される衝撃電圧は電力ケーブルを伝搬することによって減衰する。このため、電力ケーブル内に発生する水トリー劣化が同程度であっても、水トリー劣化が発生した位置によって、絶縁体内に蓄積される電荷の量が異なり、この電荷の量を利用して電力ケーブルの水トリー劣化位置を評定できる。
図4は、水トリー劣化している電力ケーブルを示す図であり、図4(a)は、電力ケーブルにおいて課電する端部(課電端)側で水トリー劣化している電力ケーブルを示す図であり、図4(b)は課電端から離間する位置で水トリー劣化している電力ケーブルを示す図である。
図4(a)に示すように、測定対象である電力ケーブルの課電端付近に大きな水トリー劣化が存在する場合、衝撃電圧はほとんど減衰していないので大きな電荷が蓄積される。
一方、図4(b)に示すように電力ケーブルにおいて課電端から離れた位置に大きな水トリー劣化が存在する場合、衝撃電圧が水トリー劣化位置に伝搬する間に減衰するため、電力ケーブルの絶縁体内に蓄積される電荷は、図4(a)に示す課電端付近に水トリー劣化が存在する場合よりも小さくなる。
また、電力ケーブルの絶縁体内に電荷が蓄積される量は、水トリーの劣化度合いによって決まる。すなわち、電力ケーブルにおいて、局所的に発生した水トリー劣化部位をとって説明すると、水トリー劣化が微小な場合は、絶縁体内に蓄積される電荷は僅かであり、蓄積の飽和も早い。逆に、水トリー劣化が大きい場合、絶縁体内に蓄積される電荷も多くなり、課電圧が小さい場合では絶縁体内に蓄積される電荷が飽和状態まで至らないことも想定される。よって、課電圧の異なった衝撃電圧または直流電圧を印加して得られた検出信号を用いて電力ケーブルの劣化度合いも推定できることになる。
<絶縁劣化診断装置の構成>
図5は、本発明の実施の形態に係る絶縁劣化診断装置の構成を示す図である。図5において、絶縁劣化診断装置100は、直流電源101と、接地抵抗102と、交流電源103と、切替スイッチ104、120と、残留電荷検出器108と、劣化診断部110と、衝撃電圧発生装置109、122と、課電制御部130とを有する。この絶縁劣化診断装置100によって、測定対象である電力ケーブル20の絶縁劣化診断を行う。
測定対象である電力ケーブル(以下、「測定対象ケーブル」とも称することもある)20は、CVケーブルであり、導体21と、導体21の周囲を覆う絶縁体22及び絶縁体22の周囲を覆う金属遮蔽層24から構成される。また、測定対象ケーブル20の終端部23には、切替スイッチ104からのリード線が接続されている。なお、金属遮蔽層24は接地されている。測定対象ケーブル20の終端部を以下では、便宜上、課電する端部として課電端部23と称し、測定対象ケーブル20において課電端部23から離間する端部を、遠端部25と称する。
直流電源101は、正極側が接地され、負極側が切替スイッチ104の接点104aに接続されており、直流電圧Vdcを出力する。この場合、直流電源101の直流電圧Vdcは負極性としたが、正極性であっても何等問題ない。
接地抵抗102は、一端部が接地され、他端部が切替スイッチ104の接点104bに接続されている。交流電源103は、低圧部(図示せず)が残留電荷検出器108に接続され、高圧部(図示せず)が切替スイッチ104の接点104cに接続され、交流電圧Vacを出力する。
切替スイッチ104は、4つの接点104a〜104dと、課電制御部130によって、直流電圧、衝撃電圧及び交流電圧のうち一つを測定対象ケーブル20に課電する際に切り替えられる可動切片104eから構成される。可動切片104eの下流側は測定対象ケーブル20の課電端部23に接続されている。
切替スイッチ104は、測定対象ケーブル20に直流電圧Vdcを課電する際は可動切片104eを接点104aに接続し、測定対象ケーブル20を接地する際は可動切片104eを接点104bに接続する。また、切替スイッチ104は、測定対象ケーブル20に交流電圧Vacを課電する際は可動切片104eを接点104cに接続し、衝撃電圧を課電する際は可動切片104eを接点104dに接続する。
したがって、切替スイッチ104は、可動切片104eを切り替えることにより、測定対象ケーブル20の課電端部23に対して、直流電圧Vdcの課電、接地、交流電圧Vacの課電及び衝撃電圧の課電を行うことが可能である。
残留電荷検出器108は、測定対象ケーブル20に対して交流課電を行う際に、測定対象ケーブル20に残留している電荷を検出し、その電荷を示す検出信号を劣化診断部110に出力する。
具体的には、残留電荷検出器108は、図示しない検出用コンデンサに生ずる直流電圧或いは衝撃電圧を検出する。なお、検出用コンデンサは、一端部が交流電源103の低圧部に接続され、他端部が接地されている。また、検出用コンデンサと交流電源103の低圧部との接続部には、一端部が接地された短絡スイッチの他端部が接続されている。この短絡スイッチは、接点を閉じることによって検出用コンデンサを短絡する。
このように残留電荷検出器108は、検出した直流電圧或いは衝撃電圧を用いて、測定対象ケーブル20に対して交流課電を行う際の残留電荷値を測定して、検出信号として劣化診断部110に出力する。
衝撃電圧発生装置109、122は、測定対象ケーブル20に、衝撃電圧を課電するものであり、課電制御部130によって、測定対象ケーブル20に課電する衝撃電圧の周波数成分及びピーク電圧値は可変自在に制御される。
衝撃電圧発生装置109、122は、インタラクタの直並列によって構成され、また、衝撃電圧発生装置109における周波数の切り替えは、複数設けたインタラクタを適宜切り替えることによって実現できる。なお、衝撃電圧発生装置109は、インタラクタに替えて、MOSトランジスタ回路で構成してもよい。
衝撃電圧発生装置109は、切替スイッチ104を介して、測定対象ケーブル20の一端部(課電端部23という)に接続され、課電端部23側から測定対象ケーブル20に衝撃電圧を課電する。
衝撃電圧発生装置122は、切替スイッチ120を介して、測定対象ケーブル20の遠端部25に接続され、遠端部25側から測定対象ケーブル20に衝撃電圧を課電する。なお、切替スイッチ120は、衝撃電圧発生装置122とともに、課電制御部130によって制御されるものである。
劣化診断部110は、残留電荷検出器108から入力される残留電荷を用いて測定対象ケーブル20における水トリー劣化部位、劣化状態を診断する。
劣化診断部110は、残留電荷検出器108により検出された残留電荷を比較することによって、測定対象ケーブル20における水トリー劣化位置を評定し、水トリー劣化の程度を判定する。劣化診断部110は、測定対象ケーブル20において、課電端部23(図8の領域1)側、中央部分(図8の領域2)、遠端部25(図8の領域3)のそれぞれにおいて、後述する測定パターン1〜3によって検出された残留電荷を比較して、劣化位置の評定、劣化状態を判定している。
課電制御部130は、切替スイッチ104、120、直流電源101を制御して、測定対象ケーブル20に課電する直流電圧の電圧値を自在に変更できる。また、課電制御部130は、切替スイッチ104、120、交流電源103を制御して、交流電源103から測定対象ケーブル20に交流電圧を課電する。さらに、課電制御部130は、切替スイッチ104、120、衝撃電圧発生装置109、122を制御して、衝撃電圧発生装置109、122から測定対象ケーブル20に周波数成分の異なる衝撃電圧、或いは、ピーク電圧値の異なる衝撃電圧を課電する。なお、課電制御部130において直流電圧、衝撃電圧及び交流電圧をそれぞれ制御する機能は、それぞれ別の機能ブロックによって行うようにしてもよい。
次に、図5の絶縁劣化診断装置100における測定対象ケーブル20の測定手順について説明する。なお、各測定パターンにおける測定対象ケーブル20への課電は、課電制御部130によって直流電源101、交流電源103、衝撃電圧発生装置109、122を介して行われる。
<直流電圧課電による残留電荷検出動作:測定パターン1>
測定対象ケーブル20の課電端部23及び遠端部25に接続された絶縁劣化診断装置100において、直流電圧課電を行う場合、まず、切替スイッチ120を開放しておき、切替スイッチ104の可動切片104eを接点104aに接続、つまり、直流電源101を測定対象ケーブル20に接続して、直流電源101の直流電圧Vdcを測定対象ケーブル20の終端部23に課電する。
次いで、切替スイッチ104の可動切片104eを、接点104aから接点104bに切り替えて、測定対象ケーブル20と接地抵抗102とを接続する。つまり、測定対象ケーブル20の導体21と金属遮蔽層24を短絡し、測定対象ケーブル20の導体21を接地する。これにより、これにより測定対象ケーブル20から、測定対象ケーブル20に課電した直流印加電圧を取り除く。
次いで、切替スイッチ104の可動切片104eを接点104bから接点104cに切り替えて、交流電源103を測定対象ケーブル20に接続し、交流電源103の交流電圧Vacを測定対象ケーブル20の課電端部23に課電する。この時、測定対象ケーブル20に残留している電荷、つまり、測定対象ケーブル20の絶縁体22から放電される電荷を、残留電荷検出器108を用いて検出する。具体的には、測定対象ケーブル20の絶縁体22から放電される電荷を、残留電荷検出器108では、検出用コンデンサの端子間直流電圧Vsとして検出する。この検出された電荷は、測定対象ケーブル20の絶縁体22内に拘束された残留電荷Qn、つまり、測定対象ケーブル20に一様の直流電圧が印加された時の残留電荷となる。
<測定対象ケーブル20において課電端部23を起点として減衰する衝撃電圧課電による残留電荷検出動作:測定パターン2>
絶縁劣化診断装置100において、測定対象ケーブル20に対して課電端部23側から衝撃電圧課電を行う場合、まず、切替スイッチ120を開放しておき、切替スイッチ104の可動切片104eを接点104dに接続する。つまり、衝撃電圧発生装置109を測定対象ケーブル20に接続して、衝撃電圧発生装置109の衝撃電圧Vを測定対象ケーブル20の終端部23に課電する。
次いで、切替スイッチ104の可動切片104eを、接点104dから接点104bに切り替えて、測定対象ケーブル20と接地抵抗102とを接続する。つまり、測定対象ケーブル20の導体21と金属遮蔽層24を短絡し、測定対象ケーブル20の導体21を接地する。これにより、これにより測定対象ケーブル20から、測定対象ケーブル20に課電した衝撃印加電圧を取り除く。
次いで、切替スイッチ104の可動切片104eを接点104bから接点104cに切り替えて、交流電源103を測定対象ケーブル20に接続し、交流電源103の交流電圧Vacを測定対象ケーブル20の課電端部23に課電する。この時、測定対象ケーブル20に残留している電荷、つまり、測定対象ケーブル20の絶縁体22から放電される電荷を、残留電荷検出器108を用いて検出する。具体的には、測定対象ケーブル20の絶縁体22から放電される電荷を、残留電荷検出器108では、検出用コンデンサの端子間直流電圧として検出する。このとき検出した電荷は、測定対象ケーブル20の絶縁体22内に拘束された残留電荷Qn、つまり、測定対象ケーブル20に課電端側を起点として減衰する衝撃電圧が印加された時の残留電荷となる。
<測定対象ケーブル20において遠端部25を起点として減衰する衝撃電圧課電による残留電荷検出動作:測定パターン3>
絶縁劣化診断装置100において、測定対象ケーブル20に対して遠端部25側から衝撃電圧課電を行う場合、まず、切替スイッチ104を開放しておき、切替スイッチ120を短絡して、測定対象ケーブル20を衝撃電圧発生装置122に接続し、衝撃電圧発生装置122の衝撃電圧を測定対象ケーブル20に課電する。
次いで、切替スイッチ120を開放した後、切替スイッチ104の可動切片104eを、接点104bに接続して、測定対象ケーブル20に接地抵抗102を接続する。つまり、測定対象ケーブル20の導体21と金属遮蔽層24を短絡し、測定対象ケーブル20の導体21を接地する。これにより、これにより測定対象ケーブル20から、測定対象ケーブル20に課電した衝撃印加電圧を取り除く。
次いで、切替スイッチ104の可動切片104eを接点104bから接点104cに切り替えて、交流電源103を測定対象ケーブル20に接続し、交流電源103の交流電圧Vacを測定対象ケーブル20の終端部23に課電する。この時、測定対象ケーブル20に残留している電荷、つまり、測定対象ケーブル20の絶縁体22から放電される電荷を、残留電荷検出器108を用いて検出する。具体的には、測定対象ケーブル20の絶縁体22から放電される電荷を、残留電荷検出器108では、検出用コンデンサの端子間直流電圧として検出する。このとき検出された電荷は、測定対象ケーブル20の絶縁体22内に拘束された残留電荷、つまり、測定対象ケーブル20に遠端側を起点として減衰する衝撃電圧が印加された時の残留電荷となる。
このような各残留電荷検出動作(測定パターン)で検出された残留電荷を適宜組み合わせて用いることによって、絶縁劣化診断装置100は、測定対象ケーブル20において発生する水トリーの劣化位置を評定するとともに、劣化度合いを推定する等して、厳密な劣化診断を行う。
残留電荷検出動作の組み合わせは、同じ測定パターンを複数回行う場合の組み合わせも含む。例えば、直流電圧を用いた測定パターン1を複数回組み合わせる場合は、電力ケーブルに課電する直流電圧の電圧値を異なる値で複数行う。
また、測定パターン2あるいは測定パターン3を複数回行う組み合わせにおいて、各測定パターンにて課電する複数の衝撃電圧の周波数成分を異なる値にする。例えば、測定パターン2を複数回行う場合、複数回目に課電端部23側から課電する衝撃電圧は、先に課電端部23側から課電した衝撃電圧に対して、周波数成分を異なる値にする。この際、ピーク電圧値を同じにすると比較がしやすい。
なお、測定パターン2あるいは測定パターン3を複数回行う組み合わせにおいて、各測定パターンにて課電する複数の衝撃電圧は、周波数成分を同じにしてピーク電圧値を異なる値で行ってもよい。このように各測定パターンにおいて検出された残留電荷を用いて測定対象ケーブル20における劣化位置、劣化度合い等が診断される。
具体的には、各測定パターンによって、残留電荷検出器108において測定された残留電荷は、劣化診断部110に入力される。劣化診断部110及び課電制御部130では、衝撃電圧発生装置109、122によって測定対象ケーブル20に課電する衝撃電圧の測定対象ケーブル20伝搬における減衰量が記憶されている。つまり、周波数成分の異なる衝撃電圧であれば、それぞれの測定対象ケーブル20伝搬における減衰量は予め計算によって推定されており、この推定した値に基づいて、課電制御部130では、測定対象ケーブル20に印加する衝撃電圧の周波数成分及び電圧値が設定される。
また、劣化診断部110では、周波数成分の異なる衝撃電圧と直流電圧とが測定対象ケーブル20に課電された際に、存在する水トリー劣化位置(劣化状態)に対応して測定される残留電荷の関係式で示す劣化状態パターン(後述する<1>〜<4>)を備える。実際に測定される残留電荷を比較し、その残留電荷の関係を、劣化状態パターンに対応させることによって水トリー劣化位置を評定する。
以下では、絶縁劣化診断装置100において、測定パターン1〜3の動作を適宜用いることによって行う、測定対象ケーブル20の水トリー劣化診断の例を説明する。
(実施の形態1)
実施の形態1は、絶縁劣化診断装置100を用いて、測定対象ケーブル20伝搬によって電圧減衰の差異が大きくなるような周波数成分の異なる2つの衝撃電圧V、Vを測定対象ケーブル20に課電して、残留電荷を測定するものである。
この実施の形態1では、絶縁劣化診断装置100における劣化診断部110は、衝撃電圧が測定対象ケーブル20内を伝搬する際に衝撃電圧の周波数成分の違いによって伝搬減衰が異なる特性を利用して、残留電荷の検出値の差異から測定対象ケーブル20の水トリー劣化位置を評定する。
図6は、測定対象ケーブル20にピーク電圧値が同じで、周波数成分の異なる2つの衝撃電圧V、Vを課電端部23から課電して検出した残留電荷を示す図である。
実施の形態1の測定方法では、絶縁劣化診断装置100は、測定対象ケーブル20に対して、上述の測定パターン2を複数回用いて、残留電荷測定を行う。
まず、測定対象ケーブル(電力ケーブル)20に、衝撃電圧Vを課電端部23から課電した後で測定対象ケーブル20を接地し、その接地後に測定対象ケーブル20に交流電圧を課電して、測定対象ケーブル20の残留電荷Q(図6の面積部分が残留電荷に相当)を測定する。
次いで、先の衝撃電圧Vとピーク電圧値が同じで、周波数成分の異なる衝撃電圧Vを課電端部23から課電した後で測定対象ケーブル20を接地し、その接地後に測定対象ケーブル20に交流電圧を課電して、測定対象ケーブル20の残留電荷Qを測定する。
このように測定対象ケーブル20において、ピーク電圧値が同じで、周波数成分の異なる衝撃電圧課電による残留電荷測定から得られた残留電荷Q、Qを比較することにより電力ケーブルの劣化位置を評定することができる。
具体的には、図6に示すように、測定対象ケーブル20において課電端部23付近の位置(領域1)に水トリー劣化が存在する場合、領域1内の残留電荷Q11(衝撃電圧Vに対応する残留電荷Qの一部)と領域1内の残留電荷Q21(衝撃電圧Vに対応する残留電荷Qの一部)は、ほとんど差異がない。
他方、課電端部23から離れた位置、例えば図6の領域3で示す測定対象ケーブル20における位置に水トリー劣化が存在する場合、領域3内において、衝撃電圧Vに対応する残留電荷Q13(残留電荷Qの一部)と衝撃電圧Vに対応する残留電荷Q23(残留電荷Qの一部)の差異は、大きくなる。
このように、周波数成分の異なる2つの衝撃電圧V、Vが対応する残留電荷(残留電荷Qと残留電荷Q)の差異が大きくなるほど、測定対象ケーブル20では、課電端部23から離れた位置に水トリー劣化が存在する。なお、周波数成分の異なる2つの衝撃電圧V、Vの測定対象ケーブル20伝搬における減衰量は、事前に予め計算によって推定可能であり、この推定した値に基づいて、衝撃電圧発生装置109では、周波数成分の異なる2つの衝撃電圧V、Vが設定される。なお、図6に示す残留電荷Q12は、残留電荷Qの一部であり、測定対象ケーブル20の中央付近の位置(領域2)内における衝撃電圧Vに対応する残留電荷である。また、残留電荷Q22は残留電荷Qの一部であり、測定対象ケーブル20の中央付近の位置(領域2)内における衝撃電圧Vに対応する残留電荷である。
本実施の形態では、測定対象ケーブル20に衝撃電圧を課電後に接地し、その接地後に測定対象ケーブル20に交流電圧を課電して、測定対象ケーブル20の残留電荷を測定する第1衝撃電圧課電による電荷測定工程と、測定対象ケーブル20に第1衝撃電圧課電工程における衝撃電圧とピーク電圧値が同じで、周波数成分の異なる衝撃電圧を課電後に接地し、その接地後に測定対象ケーブル20に交流電圧を課電して、測定対象ケーブル20の残留電荷を測定する第2衝撃電圧課電による電荷測定工程と、各電荷測定工程における残留電荷測定の結果に基づいて測定対象ケーブル20の劣化位置を評定する評定工程と、を有する。
また、本実施の形態では、衝撃電圧発生装置109によって、ピーク電圧値が同じで、周波数成分が異なる2つの衝撃電圧V、Vの課電を用いたが、これに限らず、周波数成分の異なる3種類あるいはそれ以上の衝撃電圧を用いて測定してもよい。すなわち、衝撃電圧発生装置109によって、周波数成分の異なる3種類あるいはそれ以上の衝撃電圧を用い、各々測定対象ケーブル20に課電した後、測定対象ケーブル20を接地し、接地後、交流電源103によって測定対象ケーブル20に交流電圧を課電する。これにより、残留電荷検出器108で検出した残量電荷を比較評価することによって、測定対象ケーブル20において、測定対象ケーブル20で発生する水トリー劣化の位置をより精度良く評定できる。なお、衝撃電圧発生装置109によってピーク値が同じで周波数成分の異なる3種類あるいはそれ以上の衝撃電圧を用いる場合、測定パターン2に変えて、測定パターン3を用いて残留電荷を測定してもよい。
(実施の形態2)
実施の形態2は、絶縁劣化診断装置100を用いて、測定対象ケーブル20に、直流電圧と衝撃電圧とを課電して検出した残留電荷を用いて水トリー劣化を測定するものである。この実施の形態では、直流電圧は測定対象ケーブル20の長手方向に対して一様に印加されることに対し、衝撃電圧を印加した場合、電圧は測定対象ケーブル20を伝搬するに従い減衰していく。この特性を利用して、絶縁劣化診断装置100の劣化診断部110は、残留電荷の検出値の差異から測定対象ケーブル20の水トリー劣化位置を評定する。
図7は、測定対象ケーブル20に直流電圧V、衝撃電圧Vを課電して検出した残留電荷を示す図である。なお、図7において領域1は、図6と同様に、測定対象ケーブル20における課電端付近の位置、領域2は測定対象ケーブル20の中央付近の位置、領域3は測定対象ケーブル20において課電端から離れた付近の位置(例えば遠端付近の位置)を示している。
実施の形態2の測定方法では、上記測定パターン1及び測定パターン2を組み合わせて用いることによって、残留電荷測定を行う。
まず、絶縁劣化診断装置100は、測定パターン1の動作によって、直流電圧を課電した際の残留電荷を検出する。
すなわち、絶縁劣化診断装置100は、測定対象ケーブル20に直流電圧Vを課電した後、接地し、その接地後に測定対象ケーブル20に交流電圧を課電して、電力ケーブルの残留電荷Qを測定する。
次いで、絶縁劣化診断装置100は、測定パターン2の動作によって、衝撃電圧を課電した際の残留電荷を検出する。
すなわち、絶縁劣化診断装置100は、測定対象ケーブル20に衝撃電圧発生装置109から衝撃電圧Vを課電した後、接地し、その接地後に測定対象ケーブル20に交流電源103から交流電圧を課電して、電力ケーブルの残留電荷Qを測定する。
図2、図3及び図7に示すように、直流電圧は、測定対象ケーブル20の長手方向に対して一様に印加されるのに対して、衝撃電圧は、測定対象ケーブル20を伝搬するに従って、すなわち、課電端部23から離間していくにつれて減衰していく。
よって、図7に示すように、例えばピーク電圧値が直流電圧Vと同じになるよう衝撃電圧Vを印加すると、課電端部23付近(領域1)に水トリー劣化が存在する場合、衝撃電圧Vに対応する残留電荷Q21と直流電圧Vに対応する残留電荷Q31(直流電圧Vに対応する残留電荷Qの一部)は、ほとんど差異がない。
これに対し、測定対象ケーブル20において、課電端部23から離れた位置、例えば図7の領域3に水トリー劣化が存在する場合、衝撃電圧Vに対応する残留電荷Q23と直流電圧Vに対応する残留電荷Q33(直流電圧Vに対応する残留電荷Qの一部)の差異は大きくなる。
このように、測定対象ケーブル20では、衝撃電圧Vに対応する残留電荷Qと直流電圧Vに対応する残留電荷Qの差異が大きくなるほど、課電端部23から離れた位置に水トリー劣化が存在すると判断できる。
本実施の形態では、測定対象ケーブル20に直流電圧を課電後に接地し、その接地後に測定対象ケーブル20に交流電圧を課電して、測定対象ケーブル20の残留電荷を測定する直流電圧測定工程と、測定対象ケーブル20に衝撃電圧を課電後に接地し、その接地後に測定対象ケーブル20に交流電圧を課電して、測定対象ケーブル20の残留電荷を測定する第1衝撃電圧測定工程であって、直流電圧測定工程及び第1衝撃電圧測定工程において測定された残留電荷に基づいて、測定対象ケーブル20の劣化位置を評定する評定工程と、を有する。
なお、上記実施の形態では、直流電圧課電による残留電荷測定後、衝撃電圧課電による残留電荷測定を1回実施する方法としたが、周波数成分が異なる衝撃電圧を用いて複数回
測定してもよい。すなわち、直流電圧課電による残留電荷測定後、先に課電した衝撃電圧と周波数成分が異なる衝撃電圧課電による残留電荷測定を複数回行い、それぞれ測定された残留電荷を比較評価することによって、測定対象ケーブル20における水トリー劣化の位置をより精度良く評定することができる。
(実施の形態3)
実施の形態3の測定方法は、実施の形態1または実施の形態2の測定方法において、更に、電圧値が異なる直流電圧あるいは、周波数成分が同じでピーク電圧値が異なる衝撃電圧を課電後に接地し、その接地後に電力ケーブルに交流電圧を課電して、電力ケーブルの残留電荷を測定する工程を追加したものである。
例えば、図7に示すように、まず、絶縁劣化診断装置100は、測定パターン1の動作で、残留電荷を検出する。
つまり、直流電源101から測定対象ケーブル20に直流電圧Vを課電した後で測定対象ケーブル20を接地し、その接地後に交流電源103から測定対象ケーブル20に交流電圧を課電して、測定対象ケーブル20の残留電荷Qを検出する。次いで、衝撃電圧発生装置109から測定対象ケーブル20に衝撃電圧Vを課電した後、測定対象ケーブル20を接地し、その接地後に交流電源103から測定対象ケーブル20に交流電圧を課電して、測定対象ケーブル20の残留電荷Qを測定する。
このようにして得られた残留電荷Qと残留電荷Qの差異によって、水トリー劣化の位置を評定する。
次いで、再び直流電源101を用いて、測定対象ケーブル20に直流電圧Vと図示しない電圧値が異なる直流電圧(例えば、直流電圧Vの1.5〜2倍の直流電圧)Vを課電した後で、測定対象ケーブル20を接地し、その接地後に交流電源103から測定対象ケーブル20に交流電圧を課電して、測定対象ケーブル20の残留電荷Qを測定する。
ここで、測定対象ケーブル20において水トリー劣化が微小であって、直流電圧Vの電圧を課電することによって絶縁体22内に十分に電荷が蓄積されて飽和に達する場合、直流電圧Vの1.5〜2倍の電圧Vを課電しても、残留電荷Qは残留電荷Qと差異がなく変わらない値となる。逆に、極度な測定対象ケーブル20において水トリー劣化が存在し、直流電圧Vの印加では絶縁体22内への電荷の蓄積が飽和に達しない場合、直流電圧Vの1.5〜2倍の電圧Vを課電すると、残留電荷Qは残留電荷Qより大きくなる。
このように検出される残留電荷Qは残留電荷Qとの差異よって測定対象ケーブル20において、位置が特定された水トリーの劣化度合いの推定が可能となる。
すなわち、実施の形態3の測定方法によれば、実施の形態1或いは実施の形態2の測定方法における直流電圧と電圧値が異なる第2直流電圧あるいは、第1衝撃電圧または第2衝撃電圧の周波数成分が同じでピーク電圧値が異なる第3衝撃電圧を課電後に接地し、その接地後に測定対象ケーブル20に交流電圧を課電して、測定対象ケーブル20の残留電荷を測定する第3衝撃電圧測定工程を更に備える。
例えば、大きさの異なる2つの直流電圧(V1>V2)を測定対象ケーブル20に印加した場合、劣化診断部110では、残留電荷Q1≒Q2であれば残留電荷が飽和している状態であり、測定対象ケーブル20には微小な水トリー劣化が存在すると評定する。また、残留電荷Q1>Q2であれば、測定対象ケーブル20に極度な水トリー劣化が存在すると評定する。
このように、電圧値の異なる直流電圧またはピーク電圧値の異なる衝撃電圧を課電して残留電荷を測定することによって、水トリー劣化の度合いが把握できる。
なお、本実施の形態では、後に荷電した直流電圧を、先に課電した直流電圧Vの1.5〜2倍の電圧Vとした例を示したが、後に課電する直流電圧Vを直流電圧Vよりも小さな電圧としてもよい。
(実施の形態4)
実施の形態4の測定方法は、実施の形態1〜3の測定方法を組み合わせたものである。
絶縁劣化診断装置100は、測定パターン1〜2を組み合わせる、つまり、複数の衝撃電圧及び直流電圧を組み合わせることによって、測定対象ケーブル20において、より正確な水トリー劣化位置の評定や劣化程度を判定する。
以下では、図8を用いて、測定対象ケーブル20における劣化診断を行う際に、測定対象ケーブル20に課電する衝撃電圧及び直流電圧の組み合わせ例を説明する。
図8は、複数の衝撃電圧課電により検出した残留電荷及び直流電圧課電により検出した残留電荷を組み合わせることによって行う劣化診断の説明に供する図である。なお、図8における残留電荷Qは図の面積で示される。
図8(a)は、測定対象ケーブル20に印加した衝撃電圧または直流電圧の条件(1)〜(5)で測定される残留電荷を示す図である。
ここで、図8(a)に示す残留電荷を測定するための、絶縁劣化診断装置100から測定対象ケーブル20に印加する衝撃電圧または直流電圧の条件を説明する。
・条件(1)
測定対象ケーブル20に電圧値がVの直流電圧V10を課電端部23(図5参照)から課電した後、測定対象ケーブル20を接地し、その接地後に測定対象ケーブル20に交流電圧を課電して、測定対象ケーブル20の残留電荷Q10を測定する。
・条件(2)
測定対象ケーブル20に、図8(a)に示す領域1で電圧値がV、領域2で電圧値がV、領域3で電圧値がV近傍となるような衝撃電圧V20を課電端部23から課電した後、測定対象ケーブル20を接地し、その接地後に測定対象ケーブル20に交流電圧を課電して、測定対象ケーブル20の残留電荷Q20を測定する。
・条件(3)
測定対象ケーブル20に、電圧値がVの(条件(1)で課電した直流電圧V10とは電圧値が異なる)直流電圧V30を課電端部23から課電した後、測定対象ケーブル20を接地し、その接地後に測定対象ケーブル20に交流電圧を課電して、測定対象ケーブル20の残留電荷Q30を測定する。
・条件(4)
測定対象ケーブル20に、領域1で電圧値がV、領域2で電圧値がV、領域3で電圧値がほぼ0となるような(条件(2)で課電した衝撃電圧V20とはピーク電圧値が同じで周波数成分が異なる)衝撃電圧V40を課電端部23から課電した後、測定対象ケーブル20を接地し、その接地後に測定対象ケーブル20に交流電圧を課電して、測定対象ケーブル20の残留電荷Q40を測定する。
・条件(5)
測定対象ケーブル20に、電圧値がVの直流電圧V50を課電端部23から課電した後、測定対象ケーブル20を接地し、その接地後に測定対象ケーブル20に交流電圧を課電して、測定対象ケーブル20の残留電荷Q50を測定する。
絶縁劣化診断装置100の劣化診断部110は、上記条件(1)〜(5)を組み合わせることによって、測定対象ケーブル20の劣化状態を、以下<1>〜<4>の劣化状態として評定する。
<1>測定対象ケーブル20全長にわたって均一に水トリー劣化部位が存在する場合
図8(b)は、測定対象ケーブル20全長にわたって均一に水トリー劣化が存在する場合のモデル図である。なお、図8(b)において残留電荷Qは図の面積で示される。
直流電圧は測定対象ケーブル20の長手方向に対して一様に印加されるため、測定対象ケーブル20の絶縁体22体内には長手方向に一定の電荷が蓄積されることになる。
一方、測定対象ケーブル20に衝撃電圧を課電した場合には、衝撃電圧は、測定対象ケーブル20への伝搬により減衰されるため、絶縁体22体内に蓄積される電荷は減衰曲線の面積部分となる。上述したように各周波数成分における衝撃電圧の測定対象ケーブル20伝搬における減衰曲線、つまり、測定対象ケーブル20に課電された衝撃電圧が対象ケーブル20を伝搬する際の減衰量は、計算により予測が可能であり予め設定できる。よって、測定対象ケーブル20の全長に渡って均一に水トリーが存在する場合には、測定対象ケーブル20全長における残留電荷(測定対象ケーブル20全長における面積)より、Q10が最も大きく、Q20とQ30はほぼ同じとなり、続いてQ40、Q50の順となる。このように、劣化診断部110は、測定された残留電荷Q10〜Q50の関係が、Q10>Q20≒Q30>Q40>Q50であれば、測定対象ケーブル20では長手方向に均一で水トリー劣化していると診断する。
<2>領域1にのみ水トリー劣化部位が存在する場合
図8(c)は、図8(a)に示す領域1にのみ水トリー劣化が存在する場合のモデル図である。測定対象ケーブル20において課電端部23付近である領域1が水トリー劣化している場合、残留電荷Qは領域1で囲まれた面積の部分のみとなり、条件(2)において衝撃電圧を課電した場合の残留電荷Q20は領域1ではほとんど減衰しておらず、条件(1)の直流電圧を課電した場合の残留電荷Q10とほぼ同じ値となる。
一方、条件(4)で衝撃電圧V40を課電した場合の残留電荷Q40は、領域1で減衰はみられるが、電圧はV値以上となっており、条件(3)の直流電圧V30を課電した場合の残留電荷Q30よりは大きい。よって、測定対象ケーブル20が課電端部23側で水トリー劣化している場合には、測定される残留電荷はQ10とQ20がほぼ同じ値で最も大きくなり、次にQ40、Q30、Q50の順となる。このように、劣化診断部110は、測定された残留電荷Q10〜Q50の関係が、Q10≒Q20>Q30>Q40>Q50であれば、測定対象ケーブル20では領域1(課電端部23側)でのみ水トリー劣化していると診断する。
<3>領域2にのみ水トリー劣化部位が存在する場合
図8(d)は、図8(a)に示す領域2にのみ水トリー劣化が存在する場合のモデル図である。測定対象ケーブル20において略中央部分である領域2が水トリー劣化している場合、残留電荷Qは領域2で囲まれた面積の部分のみとなり、条件(2)で課電した衝撃電圧V20は、V値まで減衰している。また、条件(4)で課電した衝撃電圧V40は、V値まで減衰している。よって、測定対象ケーブル20の中央部分で水トリー劣化が存在する場合では、測定される残留電荷は、Q10が最も大きく、次にQ20とQ30はほぼ同じ値で並び、続いてQ40とQ50がほぼ同じ値で並ぶ順となる。このように、劣化診断部110は、測定された残留電荷Q10〜Q50の関係が、Q10>Q20≒Q30>Q40≒Q50であれば、測定対象ケーブル20では領域2(課電端部23側と遠端部25との間、ここでは中央部分と称する)でのみ水トリー劣化していると診断する。
<4>領域3にのみ水トリー劣化部位が存在する場合
図8(e)は、図8(a)に示す領域3にのみ水トリー劣化が存在する場合のモデル図である。測定対象ケーブル20において課電端部23から離間した部分である領域3が水トリー劣化している場合、残留電荷Qは領域3で囲まれた面積の部分のみとなり、条件(2)で課電された衝撃電圧V20は、V値近傍まで減衰している。また、条件(4)で課電された衝撃電圧V40は減衰によりほぼ0に近い状態となっている。よって、測定対象ケーブル20において課電端部23から離間した部分で水トリー劣化が存在する場合では、測定される残留電荷は、Q10が最も大きく、次Q30となり、続いてQ20とQ50がほぼ同じ値で並び、Q40が最も小さくなる。このように、劣化診断部110は、測定された残留電荷Q10〜Q50の関係が、Q10>Q30>Q20≒Q50>Q40であれば、測定対象ケーブル20では領域3(遠端部25側)でのみ水トリー劣化していると診断する。
以上のように、各条件(1)〜(5)の衝撃電圧または直流電圧を課電後に接地し、その接地後に測定対象ケーブル20に交流電圧を課電して、測定対象ケーブル20の残留電荷を測定する。各測定値を比較し、その大小の関係と、対応する測定対象ケーブル20の長手方向の位置とから、測定対象ケーブル20における水トリー劣化の位置を精度良く評定して、劣化診断を行うことができる。
なお、図8では水トリー劣化部位が課電した直流電圧値V、V、V(V>V>V)の大きさに応じて検出される残留電荷がQ10>Q30>Q50となった事例で説明しているが、これに限らない。例えば、測定対象ケーブル20における水トリー劣化が微小であり、例えば、直流電圧V30の電圧値Vで絶縁体22内に十分に電荷が蓄積されて飽和に達する場合、電圧値がV(V>V)の直流電圧V10を課電した際の残留電荷Q10はQ30と変わらなくなる(Q10≒Q30>Q50)。このため、測定された残留電荷Q10が残留電荷Q30と略同じである場合は、水トリー劣化は微小であると診断できる。
実施の形態4の劣化診断では、測定パターン1を3回用いて、測定パターン毎に異なる電圧値で直流電圧を課電して、直流課電毎に検出される残留電荷と、測定パターン2を2回用いて、ピーク電圧値が同じで周波数成分が異なる衝撃電圧を課電して、衝撃電圧課電毎に検出される残留電荷から劣化診断を行っているが、比較する残留電荷の組み合わせは、どのような組み合わせでもよい。具体的には、劣化診断装置100において、残留電荷Q10、Q20、Q30、Q40、Q50のうち少なくとも2つ以上の残留電荷を用いて劣化診断を行うようにしてもよい。
すなわち、絶縁劣化診断装置100では、測定対象ケーブル20の劣化診断で用いる衝撃電圧や直流電圧の測定数やそれらの組み合わせパターン(具体的には、測定パターンの組み合わせ)、衝撃電圧の減衰パターン(ピーク電圧値及び周波数成分の選択)は、図8の例に限らず適宜設定、選択できる。また、上述した測定パターン3を組み合わせても良い。
図9は、測定パターン2、3を用いて検出した残留電荷を示す図である。
絶縁劣化診断装置100は、上述した測定パターン2、3を組み合わせて測定対象ケーブル20の水トリー劣化診断を行う。
図9で示す残留電荷の測定は、絶縁劣化診断装置100において、まず、測定パターン2を用いて残留電荷を測定した後、測定パターン3を用いて残留電荷を測定する。
すなわち、まず、衝撃電圧発生装置109によって、測定対象ケーブル20の一端(ここでは課電端部23)から衝撃電圧Vを課電した後、測定対象ケーブル20を接地し、その接地後に交流電源103から測定対象ケーブル20に交流電圧を課電して、測定対象ケーブル20の残留電荷Qを測定する。次いで、測定対象ケーブル20の他端(ここでは、遠端部25)から、例えば先の衝撃電圧Vと同じピーク電圧値、周波数成分の衝撃電圧Vを課電した後、測定対象ケーブル20を接地する。その接地後に測定対象ケーブル20に交流電圧を課電して、測定対象ケーブル20の残留電荷Qを測定する。
この衝撃電圧Vは、測定対象ケーブル20の一端側(課電端部23)からみて、遠端が最も電圧値が大きくなるように課電されたことになる。なお、図9では衝撃電圧Vと同じピーク電圧値、周波数成分の衝撃電圧Vを他端(遠端部25)から課電した例を示したが、衝撃電圧Vと異なるピーク電圧値あるいは周波数成分の衝撃電圧Vを他端から課電してもよい。
また、図10のように先に説明した衝撃電圧V(測定対象ケーブル20他端、つまり遠端部25側からの課電)と直流電圧Vを組み合わせてもよい。
図10は、測定パターン1、3を用いて検出した残留電荷を示す図である。
図10で示す残留電荷は、測定パターン1の動作によって、直流電圧を課電した際に測定された残留電荷と、測定パターン3の動作によって、測定対象ケーブル20の他端部(遠端部25)から衝撃電圧を課電した際に測定された残留電荷とを示している。
すなわち、絶縁劣化診断装置100は、直流電源101によって、測定対象ケーブル20の一端(ここでは課電端部23)から直流電圧Vを課電した後、測定対象ケーブル20を接地し、その接地後に交流電源103から測定対象ケーブル20に交流電圧を課電して、測定対象ケーブル20の残留電荷Qを測定する。次いで、絶縁劣化診断装置100は、測定対象ケーブル20の他端(遠端部25)から衝撃電圧発生装置122によって衝撃電圧を課電した後、測定対象ケーブル20を接地し、その接地後に交流電源103から測定対象ケーブル20に交流電圧を課電して、測定対象ケーブル20の残留電荷Qを測定する。これにより、劣化診断部110は、領域1における残留電荷Q51と残留電荷Q31とを比較したり、領域2における残留電荷Q52と残留電荷Q32とを比較したり、領域3における残留電荷Q53と残留電荷Q33とを比較したりすることによって、水トリー劣化位置の評定を行うことができる。
ここでは、劣化診断部110における水トリー劣化位置の評定や劣化程度の判定は、上述したような測定パターン1〜3を組み合わせた測定方法を予め設定しておき、この設定に基づいて行う。測定パターン1〜3のうち、同じ測定パターンを複数用いてもよい。同じ測定パターンを複数用いる場合、各測定パターンにおいて測定対象ケーブル20に課電する電圧は変更する。例えば、直流電圧を課電する場合、測定対象ケーブル20に課電するたびに異なる電圧値にし、衝撃電圧である場合、測定対象ケーブル20に課電するたびにピーク電圧値が同じで異なる周波数成分或いは、周波数成分が同じでピーク電圧値の異なる値の電圧を課電する。このように残留電荷の抽出方法がそれぞれで異なる測定パターンを適宜用い、これら測定パターンを組み合わせることによって、測定パターンの回数毎に残留電荷を測定する。そして、測定パターン回毎の残留電荷を検出して、これらを比較する等して、劣化状態の診断を行うことができる。
具体的には、本実施の形態では、下記基本測定方法(A)又は基本測定方法(B)で測定される残留電荷の比較を行って、劣化位置の評定、劣化程度の判定を行ってもよい。更に、下記基本測定方法(A)又は基本測定方法(B)に、測定パターン<a>〜<e>を適宜組み合わせ、測定された残留電荷を比較して劣化位置の評定、劣化程度の判定を行ってもよい。
・基本測定方法(A)
測定対象である電力ケーブルに第1衝撃電圧を課電後に接地し、その接地後に電力ケーブルに交流電圧を課電して、前記電力ケーブルの残留電荷を測定するとともに、電力ケーブルに前記第1衝撃電圧と周波数成分の異なる第2衝撃電圧を課電後に接地し、その接地後に前記電力ケーブルに交流電圧を課電して、電力ケーブルの残留電荷を測定する。
・基本測定方法(B)
電力ケーブルに第1衝撃電圧を課電後に接地し、その接地後に電力ケーブルに交流電圧を課電して、前記電力ケーブルの残留電荷を測定するとともに、電力ケーブルに直流電圧を課電後に接地し、その接地後に前記電力ケーブルに交流電圧を課電して、電力ケーブルの残留電荷を測定する。
・測定パターン<a>
電力ケーブルに第1衝撃電圧と周波数成分の異なる第2衝撃電圧を課電後に接地し、その接地後に前記電力ケーブルに交流電圧を課電して、電力ケーブルの残留電荷を測定する。
・測定パターン<b>
電力ケーブルに直流電圧を課電し、その接地後に前記電力ケーブルに交流電圧を課電して、電力ケーブルの残留電荷を測定する。
・測定パターン<c>
基本測定方法(B)又は、測定パターン<b>で課電する直流電圧と電圧値が異なる第2直流電圧を前記電力ケーブルに課電して接地し、その接地後に電力ケーブルに交流電圧を課電して、電力ケーブルの残留電荷を測定する。
・測定パターン<d>
第1衝撃電圧又は第2衝撃電圧の周波数成分と同じ周波数成分で、且つ、ピーク電圧値が異なる第3衝撃電圧を電力ケーブルに課電し、その接地後に電力ケーブルに交流電圧を課電して、電力ケーブルの残留電荷を測定する。
・測定パターン<e>
上記基本測定方法(B)及び測定パターン<b>、<c>において課電する直流電圧とは電圧値が異なる直流電圧を前記電力ケーブルに課電して接地し、その接地後に電力ケーブルに交流電圧を課電して、電力ケーブルの残留電荷を測定する。
すなわち、劣化診断方法としては、方法1:基本測定方法(A)、方法2:基本測定方法(A)+測定パターン<b>、方法3:基本測定方法(A)+測定パターン<b>+測定パターン<c>、方法4:基本測定方法(A)+測定パターン<d>、方法5:基本測定方法(A)+測定パターン<b>+測定パターン<d>、方法6:基本測定方法(A)+測定パターン<b>+測定パターン<c>+測定パターン<d>、方法7:基本測定方法(A)+測定パターン<b>+測定パターン<c>+測定パターン<d>+測定パターン<e>、方法8:基本測定方法(B)、方法9:基本測定方法(B)+測定パターン<c>、方法10:基本測定方法(B)+測定パターン<c>+測定パターン<e>等としてもよい。
また、上記組み合わせ(方法1〜10)により構成される各劣化診断方法において、衝撃電圧を課電する際のバリエーションとしては、測定対象となる電力ケーブルの一端部側から課電するバリエーション(上述の「測定パターン2」に相当)と、一端部から離間した他端部側から課電するバリエーション(上述の「測定パターン3」に相当)がある。
このように電力ケーブルへの衝撃電圧の課電では、電力ケーブルの一端部側から、或いは、他端部側いずれかのバリエーションで課電して接地し、その接地後に前記電力ケーブルに交流電圧を課電して、電力ケーブルの残留電荷を測定してもよい。これにより、劣化診断方法において、複数の衝撃電圧を課電する際のバリエーションとして、周波数成分の変更のバリエーション、同じ周波数成分でピーク電圧値の変更のバリエーションに加えて、電力ケーブルへの課電位置の変更のバリエーションを含めて、組み合わせることができる。なお、このような各測定パターンによる作用効果は、上記各実施の形態での同様の測定パターンの作用効果となり、劣化診断の測定対象となる測定対象ケーブルの劣化位置、劣化状態を診断することができる。
本発明に係る絶縁劣化診断装置による劣化診断方法は上記各実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。
本発明に係る電力ケーブルの絶縁劣化診断方法及び絶縁劣化診断装置は、敷設されている電力ケーブルにおける水トリー劣化位置を評定するとともにその劣化度合いを推定して厳密な劣化診断を行うことができる効果を有し、電力ケーブルにおける水トリー劣化診断の際に用いられる方法として有用である。
9、109、122 衝撃電圧発生装置
1、101 直流電源
20 測定対象ケーブル
23 課電端部
24 金属遮蔽層
25 遠端部
100 絶縁劣化診断装置
102 接地抵抗
103 交流電源
104、120 切替スイッチ
108 残留電荷検出器
110 劣化診断部
130 課電制御部

Claims (8)

  1. 電力ケーブルに第1衝撃電圧を課電後に接地し、その接地後に電力ケーブルに交流電圧を課電して、前記電力ケーブルの残留電荷を測定する第1電荷測定工程と、
    前記電力ケーブルに前記第1衝撃電圧と周波数成分の異なる第2衝撃電圧を課電後に接地し、その接地後に前記電力ケーブルに交流電圧を課電して、電力ケーブルの残留電荷を測定する第2電荷測定工程と、
    各電荷測定工程によって測定された残留電荷を比較して前記電力ケーブルの劣化位置を評定する評定工程と、
    を有する、
    電力ケーブルの絶縁劣化診断方法。
  2. 前記電力ケーブルに第1衝撃電圧を課電後に接地し、その接地後に電力ケーブルに交流電圧を課電して、前記電力ケーブルの残留電荷を測定する第1電荷測定工程と、
    前記電力ケーブルに直流電圧を課電後に接地し、その接地後に前記電力ケーブルに交流電圧を課電して、電力ケーブルの残留電荷を測定する第2電荷測定工程と、
    各電荷測定工程によって測定された残留電荷を比較して前記電力ケーブルの劣化位置を評定する評定工程と、
    を有する、
    電力ケーブルの絶縁劣化診断方法。
  3. 前記第2電荷測定工程は、周波数成分を変えて前記第2衝撃電圧を複数回、前記電力ケーブルに課電し、前記第2衝撃電圧を前記電力ケーブルに課電する毎に接地し、その接地後に前記電力ケーブルに交流電圧を課電して、電力ケーブルの残留電荷を測定する、
    請求項1記載の電力ケーブルの絶縁劣化診断方法。
  4. 前記第1電荷測定工程は、周波数成分を変えて前記第1衝撃電圧を複数回、前記電力ケーブルに課電し、前記第1衝撃電圧を前記電力ケーブルに課電する毎に接地し、その接地後に前記電力ケーブルに交流電圧を課電して、電力ケーブルの残留電荷を測定する、
    請求項2記載の電力ケーブルの絶縁劣化診断方法。
  5. 前記第1衝撃電圧または前記第2衝撃電圧の周波数成分と同じ周波数成分で、且つ、ピーク電圧値が異なる第3衝撃電圧を前記電力ケーブルに課電後に接地し、その接地後に前記電力ケーブルに交流電圧を課電して、電力ケーブルの残留電荷を測定する第3電荷測定工程を更に具備し、
    前記評定工程では、第1、第2及び第3電荷測定工程によって測定された残留電荷を比較して前記電力ケーブルの劣化位置を評定する、
    請求項1記載の電力ケーブルの絶縁劣化診断方法。
  6. 前記直流電圧と電圧値が異なる第2直流電圧を前記電力ケーブルに課電後に接地し、その接地後に電力ケーブルに交流電圧を課電して、電力ケーブルの残留電荷を測定する第3電荷測定工程を更に具備し、
    前記評定工程では、第1、第2及び第3電荷測定工程によって測定された残留電荷を比較して前記電力ケーブルの劣化位置を評定する、
    請求項2記載の電力ケーブルの絶縁劣化診断方法。
  7. 前記電力ケーブルに前記直流電圧と電圧値が異なる複数の第2直流電圧を課電し、前記第2直流電圧を前記電力ケーブルに課電する毎に接地し、その接地後に前記電力ケーブルに交流電圧を課電して、前記電力ケーブルの残留電荷を測定する電荷測定工程と、
    前記電力ケーブルに前記第1衝撃電圧と周波数成分の異なる複数の第2衝撃電圧を課電し、前記第2衝撃電圧を前記電力ケーブルに課電する毎に接地し、その接地後に前記電力ケーブルに交流電圧を課電して、電力ケーブルの残留電荷を測定する電荷測定工程、及び、前記電力ケーブルに前記第1衝撃電圧と同じ周波数成分で、且つ、ピーク電圧値の異なる複数の第3衝撃電圧を課電後に接地し、前記第3衝撃電圧を前記電力ケーブルに課電する毎に接地し、その接地後に前記電力ケーブルに交流電圧を課電して、電力ケーブルの残留電荷を測定する電荷測定工程のうち少なくとも一つの電荷測定工程を更に具備し、
    前記評定工程は、各電荷測定工程によって測定された残留電荷を比較して前記電力ケーブルの劣化位置を評定する、
    請求項2記載の電力ケーブルの絶縁劣化診断方法。
  8. 絶縁劣化診断の対象である電力ケーブルに直流電圧を課電する直流電圧課電手段と、
    前記電力ケーブルに衝撃電圧を課電する衝撃電圧課電手段と、
    前記電力ケーブルを接地する接地手段と、
    前記電力ケーブルに交流電圧を課電する交流電圧課電手段と、
    前記交流電圧が課電された前記電力ケーブルの残留電荷を測定する測定手段と、
    測定された残留電荷に基づいて前記電力ケーブルの劣化部位を評定する評定手段と、
    前記直流電圧課電手段及び前記衝撃電圧課電手段のうち前記衝撃電圧課電手段を少なくとも一回制御することによって前記電力ケーブルを複数回課電し、課電毎に接地した前記電力ケーブルに、前記交流電圧課電手段を制御して前記交流電圧を課電する課電制御手段とを備え、
    前記課電制御手段は、前記直流電圧を前記電力ケーブルに複数回課電する場合、課電毎で電圧値が異なる直流電圧を課電し、前記衝撃電圧を前記電力ケーブルに複数回課電する場合、課電毎に、周波数成分の異なる衝撃電圧或いは周波数成分が同じでピーク電圧値が異なる衝撃電圧を課電する、
    絶縁劣化診断装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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