JP2011047582A - ヒートポンプバックアップ熱源を備えた太陽熱給湯システム - Google Patents

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【課題】省エネルギー率の高いバックアップ熱源一体型太陽熱温水システムを提供する。
【解決手段】太陽熱集熱器1で温めたお湯を貯湯槽2の上部から層状に下部の水と撹拌されないように層状性を維持して溜めることができるように、日射強度に応じて集熱器への循環流量を可変にして、一定温度以上のお湯を貯湯槽上部に戻す方式の太陽熱給湯システムにバックアップ熱源システムとしてヒートポンプ温水システム15を組み込み、太陽集熱量が入浴に必要な湯量に達しなかった日には自動的にヒートポンプ温水システムが作動し、夕方までに常に入浴に必要な湯量が蓄えられる。
【選択図】図4

Description

本発明は太陽熱利用の温水システムが天候によって集熱できたり、できなかったりするのでバックアップ熱源が必要になるが、バックアップ熱源を含めた太陽熱利用の温水システムが取り扱い易く、省エネルギー率が高く、しかも低コスト並びに安全性を重視したバックアップ熱源を備えた太陽熱給湯システムに関する。
住宅用エネルギー消費の中で最も負荷の大きい用途の一つである給湯はその大部分は比較的低温度のエネルギー利用であり、年間を通して利用される用途なので太陽熱が容易にまた経済性にも適う利用ができるものと期待された。再生可能エネルギー利用の中で太陽熱利用給湯システムは最も実現が容易で且つ省エネルギー効果も大きいと考えられ、各種の公的助成なども行われてきた。しかし、我が国では1983年ころをピークにその後、太陽熱温水システムの年間販売数は現在に至るまでほぼ減少傾向をたどっている。太陽熱以外の給湯用エネルギー源は都市ガスとLPG及び石油など燃焼系が主要な熱源であるが、これら燃焼系のシステムは安全性の問題が最も重要な課題であり、各種センサーや電子制御系を多用することによって、利便性、安全性が改良されてきた。しかし浴槽自動お湯張りなど利便性が高くなると反面、制御が複雑になり、太陽熱温水システムとの連動も複雑になるので、バックアップ熱源としては却って利用し難くなっている。またガス湯沸かし器など燃焼系の給湯器をバックアップ熱源に用いると太陽熱利用と安全性のレベルが違い過ぎて危険性が増すという不都合もあった。またバックアップの熱源との2重設備になるという不都合もある。2重設備になって使い勝手が悪いことが太陽熱温水システムの販売数が期待されたようには伸びなく、むしろ減少していった背景と考えられる。2重設備になって使い勝手が悪い点をなくしようと太陽熱はガス給湯器などに入る給水の予熱に利用するような使い方も多くなされている。しかしこの方法は太陽熱で温めたお湯を出湯するとき常に燃焼式給湯器の中を通過することになるので熱ロスが増大するし、太陽熱を利用しているという実感もわかないという不都合もある。
最近は都市住宅の安全性の点でヒートポンプ給湯器が注目されて、年々普及が進んでいる。ヒートポンプ給湯器は太陽熱利用システムと安全性のレベルが同一と考えられ、その点から太陽熱温水システムのバックアップ熱源に適していると考えられる。大気熱源ヒートポンプは太陽熱で温められた大気を熱源とする広い意味での太陽熱利用であり、太陽集熱で十分高温が得られるときに何も大気に拡散してしまった太陽熱を、電力を消費して汲み上げる必要があろうかとも考えられる。そういう点から考えても太陽熱温水システムのバックアップ熱源にヒートポンプ給湯器が適しているのはいわば当然のことと考えられる。しかしヒートポンプ給湯器には電力負荷の昼夜平準化のために安く設定されている深夜電力が利用されているので、太陽熱温水システムのバックアップ熱源として利用しようとすると朝、太陽日射が強くなって集熱が始まるときには夜のうちにすでに貯湯槽がヒートポンプで沸かしたお湯がいっぱいになっているので集熱するにはもう一つ貯湯槽が必要になるという不都合がある。またもう一つ貯湯槽を設置してそちらに太陽集熱で沸かしたお湯を蓄えても、深夜電力ですでにお湯が沸いているので、太陽熱で沸かしたお湯は次のヒートポンプで沸かすお湯の予熱として利用するしか方法がない。しかしそのようにヒートポンプへの給水を予熱するとヒートポンプの成績係数が悪くなるので、太陽熱はあまり有効には活用されないという問題も生じる。また貯湯槽も2つ使う完全な2重設備になるという不都合も免れない。
特開2007−198708号公報
太陽熱温水システムのバックアップ熱源として要求されることは貯湯槽の湯量が減少してきてお湯が出なくなる、いわゆる湯切れが起こる前に追加湯沸かしが短時間でできる給湯器が求められる。湯切れの不安がなく、いつでもお湯が使える都市ガスあるいわLPGのガス瞬間湯沸かし器が太陽熱給湯システムのバックアップ熱源として利用されることが多い理由である。しかし燃焼式の給湯器を太陽熱温水システムのバックアップ熱源として利用すると、前述した通り安全性のレベルの異なるシステムの組み合わせという不都合、また2重設備になる煩雑さや、また使い勝手をよくするように太陽熱は燃焼式給湯器の給水予熱として利用すると太陽熱が必ずしも有効に活用されないという問題がある。また安全性のレベルがほぼ同一と考えられるヒートポンプ給湯器をバックアップ熱源にしても深夜電力利用のヒートポンプでは前述のような不都合があった。
深夜電力利用の温水器は前述のように太陽熱利用温水システムのバックアップ熱源として不都合があるので、電気料金が割高でも昼間電力を利用した効率の良いヒートポンプ温水システムで問題を解決することも考えられる。図1は従来の一般的な不凍液集熱方式の太陽熱温水システムを示している。図1においてこのシステムに昼間電力利用のヒートポンプ温水システムを組み込んで、1日の太陽集熱が終了する時刻に近付いたころに、貯湯槽の湯量が不足していて例えば湯温が35℃で入浴には低すぎるようなときにヒートポンプ温水器を投入して50℃または60℃に昇温させる場合、ヒートポンプの成績係数は水から沸かす場合に比べて低くなるという不都合がある。またヒートポンプで昇温させる場合、時間がかかり、お湯を直に使いたいときに間に合わないという不都合もある。ヒートポンプ投入後に短時間で所定温度のお湯を出湯できることが要望される。また図1に示すような従来の一般的な太陽熱温水システムでは朝、日射が強くなって太陽集熱が始まっても貯湯槽の湯温はすぐには上がってこないので、高い温度のお湯を沸かせるだけの日射強度があるにかかわらず太陽集熱で沸かしたお湯が使えないという不都合もある。従来の太陽熱温水システムにはこの様な多くの不都合があり、太陽熱利用が我が国においては伸び悩んでいる理由と考えられる。本提案は従来の太陽熱温水システムのこの様な多くの不具合がないバックアップ熱源を組み込んだ太陽熱温水システムを考案して、太陽熱利用を促進させようとするものである。
図1に示すような従来の一般的な太陽熱温水システムにおいては前述のように日射が強くなって太陽集熱が始まっても朝のうちは貯湯槽の湯温はすぐには上がらず、太陽熱を利用できないという不具合があった。この様な不具合がなく朝に集熱が始まるとすぐに太陽熱で温められたお湯が使えるシステムを図2に示す。図2において1は太陽集熱器、2は貯湯槽を示し、8は集熱板に取り付けたサーミスタなどの温度センサーで、集熱器に日射が当たり、集熱板温度が上がってセンサー8が所定温度、例えば45℃以上になると5で示す循環ポンプが起動して、貯湯槽の底部から循環ポンプ5を経て集熱器に入り、集熱器で暖められたお湯が貯湯槽上部に戻る仕組みになっている。循環ポンプ5はセンサー8からの信号で回転数が制御できる回転数可変のポンプであり、貯湯槽上部に戻るお湯の温度は常に所定温度以上、例えば45℃以上になるようにポンプ回転数が制御され、45℃に達しないときは集熱が停止する。この様なポンプ回転数制御をして集熱すると20℃や30℃の水が貯湯槽上部に戻って来て、お湯の層を撹拌して冷やしてしまうことが起こらないので、貯湯槽上部にお湯を層状に溜めることができる。したがって集熱が始まって短時間のうちにお湯を使うことができる。
太陽集熱が終了する午後3時ごろに貯湯槽の集熱湯量を検知して、入浴に不足の場合はそれから給湯器による追加湯沸しをして、夕方の入浴までに十分の湯量が得られれば良いわけである。追加湯沸しをする給湯器は安全性のレベルの問題を考えるとヒートポンプ給湯器が最も適している。そのような昼間電力利用のヒートポンプであると循環ポンプや貯湯槽は1個で太陽集熱とヒートポンプ給湯に共用できるので2重設備になるという不利が避けられる。しかし電気料金が深夜電力利用のように安くはないのでヒートポンプの成績係数を極力高いものにしなければならない。
ヒートポンプの成績係数高くするには湯温を必要以上に上げないことが最も有効である。従来の深夜電力利用のヒートポンプではお湯を沸かした次の夜に入浴するまでお湯を保持するのが一般的であるからその間の熱ロス分も見越して余分に高い湯温にする必要があった。しかし住宅用給湯はほとんど50℃以下の低温利用であるから、50℃以下の温度で沸かすなら高い成績係数が期待できるはずである。昼間電力利用のヒートポンプではお湯を使う少し前に必要な量だけ沸かせばよいので熱ロスを少なくでき、したがってその分消費電力を少なく抑えられる。しかし、ヒートポンプで沸かす湯温を50℃程度に抑えて成績係数を上げるようにすると、浴槽の湯温を再加熱するときは差し湯による再加熱は難しくなる。従来の深夜電力利用のヒートポンプ給湯器では差し湯による再加熱もできるように、またお湯を沸かした次の夜までお湯を保持するため、その間の熱ロスも考慮して湯温を高く設定しているため、通常のエアコンに用いている冷媒ではなく炭酸ガス冷媒を使用しているものが多い。貯湯槽内の湯温が高いと浴槽の湯を再加熱する熱交換器として貯湯槽内の湯と浴槽の湯を熱交換して浴槽の湯を再加熱する方式も多く用いられている。しかし湯温を低く設定して成績係数を高くしたい昼間電力利用のヒートポンプ給湯器ではそのような方式は非効率になるので再加熱には浴槽のお湯をヒートポンプで直接再加熱する方式などにしなければならない。
従来の深夜電力温水器では貯湯槽内の残湯量が少なくなって貯湯槽からお湯を出そうとしてもお湯が出ないいわゆる湯切れが生ずる問題があるが、湯切れが生ずる前に追加湯沸かしを短時間で行えるなら、貯湯槽も従来の深夜電力温水器のように大きくする必要がない。そうするとコストも低くなり、設置スペースも狭くてよい。しかしヒートポンプ給湯器により短時間で追加湯沸かし出湯ができるようにするには、前述の太陽熱で加温したお湯を貯湯槽上部に層状に溜める場合と同様にヒートポンプ給湯器によって沸かしたお湯も貯湯槽上部に層状に溜めることができるようにしなければならない。そのようなヒートポンプ給湯器を図2の太陽熱温水システムに組み込んだシステムを図3に示す。バックアップ熱源のヒートポンプ給湯器は図3において15がヒートポンプの冷媒圧縮機と蒸発熱交換器を含むユニット、14が2重管の凝縮熱交換器で外側を冷媒、内側を水が流れ、冷媒から水に熱が伝えられる。ヒートポンプ湯沸かし器を作動すると16の電磁弁が開き、ポンプ5が運転開始し、貯湯槽の水が底部からポンプに入り、14の熱交換器で暖められてお湯になり貯湯槽上部に戻る。凝縮熱交換器14のお湯の出口には温度センサー18が設置されており、出口湯温が一定値、例えば50℃になるようにポンプ5に18から制御信号が送られ、出口湯温のフィードバック制御がなされる。そのようなポンプ5の制御運転がなされることにより14の熱交換器で暖められたお湯は貯湯槽上部に層状に溜まり、太陽集熱の場合と同じようにヒートポンプを運転して短時間後にはある程度の湯層が溜まるとお湯を出して使うことができる。湯層が底部に達するまでは貯湯槽底部の温度は水温に近い状態で維持されるので、図1のシステムにおけるような14の凝縮熱交換器に入る入口水温が上昇してヒートポンプの成績係数が悪くなるということは起こらない。
本発明のヒートポンプバックアップ熱源を一体化した太陽熱温水システムでは利用者は蛇口をひねるだけで、常に温水が出る便利で使い勝手が良いものであり、しかも省エネルギーで、安全性にも優れた温水システムが提供される。地球環境問題の重要性が一般にも広く認識されている我が国において、容易に自然エネルギー利用が可能である太陽熱給湯が最近伸び悩みというよりむしろ減少傾向にある。以前は諸外国に比べ太陽熱給湯が最も普及していた我が国の最近の減少傾向の要因は高度に自動化された家庭電化製品が受け入れられている我が国においては、前述のように使い勝手の良くない太陽熱温水システムでは受け入れられないということである。本発明の太陽熱温水システムは太陽熱とヒートポンプの合理的な組み合わせにより、非常に使い勝手の良い温水システムを提供するものであり、我が国の太陽熱温水システムの普及をふたたび諸外国に負けない水準に押し上げる効果が期待される。
従来の太陽熱利用給湯システム構成図 貯湯槽内で湯が上部に層状に蓄えられる太陽熱給湯システム説明図 ヒートポンプバックアップ熱源を備えた太陽熱給湯システム説明図 本発明の1実施例のシステム構成図 本発明の1実施例のヒートポンプ凝縮熱交換器の断面図の1例 本発明の別の実施例のシステム構成図
以下、図面を以って発明の実施の形態を説明する。
図4は本発明の1実施例のシステム構成図である。記号1〜10は図1と同様である。図4において1の集熱器に日射が当たって集熱板の温度センサー8が45℃以上になると集熱開始となり電磁弁16と19が開き、貯湯槽の水圧で送水管6と戻り管7を通って水が集熱器に入り、10の空気抜き弁から空気が排出されて、集熱器が水で満たされると電磁弁19は閉じて集熱ポンプ5が運転して集熱が開始される。集熱動作は貯湯槽底部から集熱ポンプで水が吐出され、開いている電磁弁16を経て水が集熱器に送られ、集熱器からのお湯は戻り管7を通り、電磁弁19は閉じているので、逆止弁20経て貯湯槽の上部から貯湯槽にお湯が戻り、上部から層状にお湯が溜まってくる。集熱ポンプ5は可変回転数で集熱センサー8からの信号により、集熱湯温が45度以上になるように回転数が制御される。集熱センサー8が45℃以下又は貯湯槽下部の水温以下の温度になった場合は集熱が停止し、電磁弁16が閉じ、集熱ポンプ5が停止する。この様に貯湯槽2の中は層状性が保たれるので集熱開始するとすぐにお湯を出すことができ、太陽熱利用率が高く、湯温が45℃に達しないときは集熱しないことによる集熱効率の低下分をカバーして余りあると考えられる。
貯湯槽からお湯を出湯させる場合は水道水が29で示す減圧弁を介して貯湯槽下部に接続されているので、この水道水圧で貯湯槽の上部からお湯が押し出される。例えば浴槽へのお湯張りの場合は出湯用の電磁弁23が開き、図示しない混合栓で水道水と混合させて湯温を所定温度に調節して24で示す積算流量計で流量を計測して所定量に達すると電磁弁23が閉じて所定湯温、所定湯量のお湯が浴槽に満たされる。
また冬期に集熱器内の水が凍結して集熱器が破損するのを防ぐ仕組みは集熱板の温度センサー8によって集熱板の温度が凍結温度に近い温度になったことが検知されると集熱板内部の水が排出されて凍結が防止される。集熱板から水を抜く仕組みは電動排水弁21が開くことにより集熱板から水が送水管6を通って下に落下して排水される。そのとき集熱器の上の空気抜き弁10より空気が集熱板の中に流入する。貯湯槽の水は逆止弁20により止められているので排出されない。戻り管7の中の水も同時に抜けるように戻り管7から逆止弁22を通って排水弁21に接続されている。この様な送水管6と戻り管7をつなぐ管路があっても逆止弁22があるので集熱ポンプが運転されている集熱中は送水管6から集熱器に送水され戻り管7から貯湯槽上部に戻る正常な流れが維持される。
天気が悪く、集熱湯量が不足の場合はヒートポンプ15によりお湯を作ることができる。14はヒートポンプの給湯加熱用の凝縮器で図5に示すような3重管熱交換器で一番外側の環状部分30が冷媒凝縮管でその内側31が給湯の水の通路で通路断面が比較的狭にかかわらず十分な伝熱表面積を有しており、小流量の水が外側の冷媒と熱交換しながら一度の通過で所定の50℃くらいまで昇温され、貯湯槽上部から層状にお湯が溜まっていくことになる。従って貯湯槽にお湯がなくなっても短時間で貯湯槽上部にお湯が溜まるので短時間後に出湯が可能になる。この様にヒートポンプによる給湯加熱においても貯湯槽内の温度の成層性がよく保たれるので、貯湯槽全部を温めるのではなく、入浴に必要な湯量に達したらヒートポンプを停止して省エネルギー化を図ることができる。また湯量が不足しそうになったら、ヒートポンプを再起動して追加湯沸かしが容易にできる。
図5の中心管32は浴槽の再加熱の熱交換の管路である。ヒートポンプの成績係数をよくして省エネルギー化を図るには前に説明したとおり湯温を必要以上に上げないことが最も効果的であり、そのために湯温を50℃程度に抑えることにしている。湯温が50℃程度の場合には、浴槽の湯温が低下して、注し湯などをして湯温を上げようとしても、50℃程度の注し湯では大量に湯を注がなければ温度を上げることができない。それを解決する手段として浴槽のお湯を加熱器に循環して再加熱する方法がとられる。貯湯槽のお湯と熱交換する方法がヒートポンプ給湯器では一般的に用いられているが、貯湯槽のお湯が冷えてくるのでそれに対する対処の問題など機構が複雑化するので、ヒートポンプで浴槽のお湯を直接加熱する方法が考えられる。しかしそうすると給湯加熱と浴槽のお湯の加熱と二つの凝縮熱交換器が必要になり、これも機構が複雑化するという問題がある。それを避けるために図5に断面を示すような3重管構造の凝縮熱交換器によって、一つの熱交換パイプで給湯加熱と浴槽のお湯の加熱と二つの作用ができる方式を考案した。つまり、中央部の管に浴槽のお湯を循環させて外側の管路の熱媒と熱交換して浴槽再加熱を行うものである。
図6は別の実施例を示したもので、不凍液による集熱方式とヒートポンプ給湯システムを組み合わせたものである。不凍液による集熱方式においては通常、図1に示すような貯湯槽の中の下部に不凍液から貯湯槽内の水に熱を伝える熱交換管3が設置されており、その管内に集熱器で加熱された不凍液を流すことにより貯湯槽内の水に熱を伝える方式ものが使われている。この方式は構造が簡単であるが集熱中は貯湯槽内の水は集熱器で暖められた不凍液で熱交換管が温められ、貯湯槽内に自然対流が生じて、貯湯槽内の水全体が徐々に温まっていく。従って集熱運転が何時間か継続された後にはじめて出湯できる温度に達する。図2の方式では前に説明した通り集熱器で所定温度(例えば45℃)以上に暖められたお湯が貯湯槽の最上部に戻ってきて貯湯槽内に層状にお湯が溜まってくるので集熱開始後短時間のうちに出湯できる。図6の実施例は不凍液集熱方式であるが図2の場合と同じように貯湯槽上部から層状にお湯が溜まる仕組みになっている。
図6において集熱した不凍液から貯湯槽内の水への熱交換器3は貯湯槽の外に設置された二重管構造の熱交換器で、不凍液と貯湯槽内の水が二重管の内側と外側を互いに反対方向に流れる対向流熱交換器になっている。この様な構造の熱交換器を用いると、貯湯槽からポンプで熱交換器に送られて、熱交換器から出るときの水温を不凍液が熱交換器に入る温度に近い温度まで上げることができる。不凍液を用いた集熱方式においても、この様に不凍液循環と貯湯槽の水の循環と二つのポンプを使用して日射強度、または集熱温度に応じて二つの水流量を適正に制御することにより、図2の場合と同じように貯湯槽上部から層状にお湯が溜まるようにすることができる。バックアップ熱源のヒートポンプおよび浴槽の再加熱の機構などは図4の場合と同様である。
本発明は、一般家庭用を始めとする任意の用途の小規模システムとして、広く好適に利用することができる。
1…太陽集熱器
2…貯湯槽
3…不凍液から給湯への熱交換器
4…不凍液タンク
5…集熱循環ポンプ
6…集熱器への送水管
7…集熱器からの温水戻り管
8…集熱温度センサー
9…センサーからポンプへの信号導線
10…空気抜き弁
11…貯湯槽への給水の整流板
12…出湯弁
13…貯湯槽への給水弁
14…ヒートポンプ凝縮熱交換器
15…ヒートポンプユニット
16…ヒートポンプ給湯加熱器への管路の電磁弁
17…ソーラー給湯加熱器への管路の電磁弁
18…ヒートポンプ給湯加熱器出口湯温センサー
19…電磁弁
20…逆止弁
21…凍結防止排水弁
22…凍結防止排水逆止弁
23…浴槽再加熱のための浴槽の湯の循環ポンプ
24…浴槽への自動お湯張りのための流量センサー
25…浴槽へのお湯張り給湯管
26…浴槽再加熱の熱交換器への往管路
27…浴槽再加熱の熱交換器からの戻り管路
28…浴槽
29…貯湯槽への給水減圧弁
30…ヒートポンプ凝縮熱交換器の冷媒凝縮管路
31…ヒートポンプ凝縮熱交換器の給湯加熱管路
32…ヒートポンプ凝縮熱交換器の浴槽再加熱管路

特許出願人 エナテックス株式会社
株式会社 東洋ソーラーシステム研究所
代理人 弁理士 松 田 忠 秋

Claims (1)

  1. 水または不凍液を熱媒とする太陽熱集熱器とその太陽集熱で得られる温水を蓄える貯湯槽を備え、集熱器への熱媒流量可変の循環ポンプが集熱器への熱媒循環管路に設けられており、貯湯槽の上部からお湯が層状に溜まって行くように日射強度または集熱温度に応じて熱媒流量が制御される太陽熱温水システムにおいて、太陽集熱量が不足の場合のバックアップ熱源としてヒートポンプ式給湯器が設置されており、通常の晴天日においても太陽集熱が終了するころの午後の時刻において貯湯槽内の湯量を検知して入浴に必要な所定湯量に達していないときには自動的にヒートポンプ式給湯器が起動され、そのヒートポンプの凝縮器には前記貯湯槽の底部から水を送水する管路があり、ヒートポンプ熱媒と熱交換して昇温した温水が貯湯槽上部に戻る戻り管路が設けられており、前記貯湯槽底部からヒートポンプの凝縮器を通って前記貯湯槽上部に戻る管路には流量可変の循環ポンプが設置されており、ヒートポンプによる給湯加熱においても貯湯槽の上部からお湯が層状に溜まって行くように、前記ヒートポンプの凝縮器を通って前記貯湯槽上部に戻る湯温を検知する温度センサーが設置されており、その温度センサーの信号により湯温を所定の温度に制御することを特徴とするヒートポンプバックアップ熱源を備えた太陽熱給湯システム。
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