JP2011047089A - 酵素含有ナノファイバーの製造方法、酵素含有ナノファイバー、この酵素含有ナノファイバーを含む不織布及びこの不織布を用いた反応装置 - Google Patents

酵素含有ナノファイバーの製造方法、酵素含有ナノファイバー、この酵素含有ナノファイバーを含む不織布及びこの不織布を用いた反応装置 Download PDF

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Abstract

【課題】酵素活性に優れる酵素含有ナノファイバーの製造方法及び、前記酵素含有ナノファイバーを含む不織布を提供する。
【解決手段】前記製造方法は、酵素と非水溶媒に溶解したポリマーとを含有する紡糸液12を、静電紡糸法により紡糸して酵素含有前駆ナノファイバー14を形成する工程、前記酵素含有前駆ナノファイバーに水を付与する工程、前記水を付与した酵素含有前駆ナノファイバーを乾燥して、酵素含有ナノファイバーを形成する工程、を含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、醸造、チーズなどの発酵、繊維工業、皮革工場、食品工業、化粧品工業、医薬品工業、エネルギー産業等において、物質の生産や原料加工、バイオセンサー、バイオディーゼル生産用膜等に利用できる酵素含有ナノファイバーの製造方法、酵素含有ナノファイバー、この酵素含有ナノファイバーを含む不織布及びこの不織布を用いた反応装置に関する。
酵素反応は温和な反応条件下で高収率かつ高選択的に進行し、副生成物を殆ど生じないため、高効率で環境負荷の小さな化学プロセスとして幅広い分野への応用が期待されている。また、近年では、高い基質特異性を利用したバイオセンサー等への応用もなされている。
従来、酵素反応を用いた物質生産には、主に回分法(バッチ法)が用いられていたが、この方法では、酵素が1度しか使用できず、不経済であることから、酵素の連続生産プロセスへの適用が検討されている。酵素を連続生産プロセスに適用する場合、担体上に酵素を固定した固定化酵素が用いられる。
このような酵素の固定化方法として、
(1)不溶性担体の表面に酵素を物理的又は化学的に結合させる担体結合法(例えば、特許文献1)、
(2)2以上の官能基を有する架橋剤と酵素の表面官能基とを反応させて、不溶性の巨大分子を形成させる架橋法、
(3)網目構造を有する高分子ゲルの格子や、水溶液を包含した水不溶性のマイクロカプセル等で酵素を包み込む包括法(例えば、特許文献2〜4)、
(4)これら(1)〜(3)の方法を組み合わせて用いる複合法(例えば、特許文献5及び6)、
などが知られている。
しかしながら、前記各酵素の固定化方法には、ぞれぞれ次のような問題があった。
(1)担体結合法は、担体粒子の大きさによる表面積の広さが活性効率に及ぼす影響が大きいため、その加工法が問題であった。
(2)架橋法は、多量の酵素を必要とし、架橋剤と反応の際に酵素活性の低下を引き起こす等の問題点があった。
(3)包括法は、マトリックスの形成に重合反応を必要とするような場合、重合中に酵素の失活が起こりやすいという問題点を有していた。
また、別の酵素の固定化方法として、静電紡糸法などによって作製したナノファイバー中に、酵素を固定化する方法(例えば、非特許文献1、特許文献7)が提案されている。
特開昭59−213390号公報 特開昭58−5193号公報 特開平6−181763号公報 特公昭53−12998号公報 特開平3−19687号公報 特公昭62−16637号公報 特開2009−5669号公報
Koji Nakane, Takashi Ogihara, Nobuo Ogata and Shinji Yamaguchi "Formation of Lipase-immobilized Poly(vinyl alcohol) Nanofiber and Its Application to Flavor Ester Synthesis"繊維学会誌, Vol. 61, No. 12, pp.313-316 (2005)
前記ナノファイバー中に酵素を固定化する方法(非特許文献1、特許文献7)においては、ポリビニルアルコールとリパーゼを混合した紡糸液を用いてナノファイバーを紡糸し、不織布としているが、このような不織布は水性環境下では使用できないばかりでなく、酵素活性の低いものであった。
なお、特許文献7においては、ジメチルヒドロキシシラン由来のシロキサン重合体、ポリビニルアルコール及びリパーゼを混合した紡糸液を用いてナノファイバーを紡糸し、不織布とすると、リパーゼ近傍が疎水性環境となり、酵素活性が向上することを開示している。しかしながら、わざわざジメチルヒドロキシシラン由来のシロキサン重合体を調製する必要があり、酵素固定化ナノファイバーの製造が煩雑で、汎用性に劣る方法であった。
特許文献7に開示されているように、リパーゼ近傍を疎水性環境とすれば酵素活性が向上する。つまり、リパーゼ等の酵素近傍に疎水性樹脂が存在していれば酵素活性が向上するため、本発明者らは汎用的な方法として、酵素とポリスチレン等の疎水性樹脂とを混合した紡糸液を用いてナノファイバーを紡糸し、不織布とすることを試みた。しかしながら、意に反して、酵素活性に優れる酵素固定化ナノファイバーを得ることができなかった。
そのため、本発明は酵素活性に優れる酵素含有ナノファイバーの製造方法を提供することを目的とするものである。また、この製造方法で得られた酵素含有ナノファイバー、この酵素含有ナノファイバーを含む不織布及びこの不織布を用いた反応装置にも関する。
前記課題は、本発明による、
酵素と非水溶媒に溶解したポリマーとを含有する紡糸液を、静電紡糸法により紡糸して酵素含有前駆ナノファイバーを形成する工程、
前記酵素含有前駆ナノファイバーに水を付与する工程、
前記水を付与した酵素含有前駆ナノファイバーを乾燥して、酵素含有ナノファイバーを形成する工程、
を含む、酵素含有ナノファイバーの製造方法により解決することができる。
また、本発明は、
前記製造方法で製造した酵素含有ナノファイバー;
前記酵素含有ナノファイバーを含む不織布;
前記不織布を固定化酵素担体として用いた反応装置;
に関する。
本発明の製造方法によれば、酵素含有前駆ナノファイバーに水を付与し、乾燥する。特に、凍結真空乾燥することによって、酵素近傍を比較的非水性環境とすることができるばかりでなく、水を存在させることができるため、酵素活性に優れることを見出した。
本発明の酵素含有ナノファイバーは、酵素活性に優れるナノファイバーである。
本発明の不織布は、酵素含有ナノファイバーを含んでいるため、酵素活性に優れる不織布である。
本発明の製造装置は、前記不織布を固定化酵素担体として用いているため、反応効率の高い装置である。
本発明の製造方法に用いることのできる静電紡糸装置の構造を模式的に示す説明図である。 各種ポリスチレンナノファイバー不織布の赤外線吸収スペクトルである。 本発明のリパーゼ含有ポリスチレンナノファイバー不織布(実施例1〜3)と、比較用のリパーゼ含有ポリスチレンナノファイバー不織布(比較例3)におけるリパーゼ酵素活性を反応率で示すグラフである。 本発明のリパーゼ含有ポリアクリルニトリルナノファイバー不織布(実施例4)と、比較用のリパーゼ含有ポリアクリルニトリルナノファイバー不織布(比較例4)におけるリパーゼ酵素活性を反応率で示すグラフである。 本発明のリパーゼ含有ポリスチレンナノファイバー不織布(実施例1〜3)と、比較用のリパーゼパウダー(比較例1、2)又はリパーゼ含有ナノファイバー不織布(比較例3、5、6)におけるリパーゼ酵素活性を活性化度で示すグラフである。 実施例2で調製した本発明のリパーゼ含有ポリスチレンナノファイバー不織布を用いて実施した繰り返し反応実験の結果を示すグラフである。
本発明で用いる酵素は、特に限定されるものではなく、例えば、産業上、利用できる酵素を使用することができる。このような酵素としては、例えば、以下の酵素を例示することができる。
(1)ホルメートデヒドロゲナーゼ、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ、グリセルアルデヒドリン酸デヒドロゲナーゼ、イソクエン酸デヒドロゲナーゼ、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、グルコースオキシダーゼ、コレステロールオキシダーゼ、L−アミノ酸オキシダーゼ、D−アミノ酸オキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、尿酸オキシダーゼ、キサンチンオキシダーゼ、プロトカテク酸−3,4−ジオキシゲナーゼ、ピリジンヌクレオチドトランスヒドロゲナーゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、カタラーゼ、L−グルタミン酸デヒドラーゼ等の酸化還元酵素。
(2)乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)、グルタミン酸−ピルビン酸トランスアミナーゼ、クレアチンキナーゼ、ピルビン酸キナーゼ、ヘキソキナーゼ、トロンボキナーゼ、ウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ、カルバミン酸キナーゼ、トランスアルドラーゼ、ホスホリラーゼ、ポリヌクレオチドホスホリラーゼ、デキストランスクラーゼ、tRNA−ヌクレオチジルトランスフェラーゼ、NADピロホスホリラーゼ等の転移酵素。
(3)α−アミラーゼ、β−アミラーゼ、アルドラーゼ、インベルターゼ、ジアスターゼ、β−グルコシダーゼ、β−フルクトフラノシダーゼ、アミログルコシダーゼ、ラクターゼ、グルコアミラーゼ、デキストラナーゼ、タカアミラーゼA、ヒアルロニダーゼ、アルカリ性タンパク質分解酵素、中性タンパク質分解酵素、トリプシン、α−キモトリプシン、σ−キモトリプシン、パパイン、スブチリシン、スブチロペプチターゼA、スブチロペプチターゼB、ペプシン、カルボキシペプチダーゼ、レニン、アミノペプチダーゼM、ロイシンアミノペプチダーゼ、アピラーゼ、ナリンギナーゼ、カリクレイン、エラスターゼ、チマーゼ、フィシン、プロナーゼ、アスパラキナーゼ、アスパルターゼ、ブロメリン、レンニン、プロリダーゼ、リパーゼ、アセチルコリンエステラーゼ、アミノアシラーゼ、ステロイドエステラーゼ、アシッドフォスファターゼ、アルカリフォスファターゼ、フルクトースジホスファターゼ、無機ピロホスファターゼ、アミノアシラーゼ、アミノアシラーゼ1、ATPアーゼ、ATPデアミナーゼ、AMPデアミナーゼ、リボヌクレアーゼ、リボヌクレアーゼT1、ミオシンATPアーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ1、ペニシリンアミダーゼ、ペニシリナーゼ、パラチオンヒドロラーゼ、アトラジンクロロヒドロラーゼ、ウレアーゼ、リゾチーム、トロンビン、アリルスルファターゼ、D−オキシニトリラーゼ等の加水分解酵素。
(4)フェニルアラニンデカルボキシラーゼ、カルボニックアンヒドラーゼ等の脱離酵素。
(5)α−アミノ−ε−カプロラクタムラセマーゼ、グルコースイソメラーゼ、グルコースリン酸イソメラーゼ等の異性化酵素。
(6)クエン酸シンターゼ、スクシニルCoAシンターゼ等の合成酵素(リガーゼ)。
また、これらの酵素の修飾及び改変体及びこれらの混合物又は筋肉酵素抽出液を用いてもよく、例えば、メトミオグロビン、シトクロムC等の酵素以外の機能性タンパク質を用いることもできる。
酵素は、固定化酵素ナノファイバーの用途(酵素反応の種類、基質及び生成物)に応じて適宜選択される。例えば、タンパク質やペプチドの加水分解によるアミノ酸の製造には、トリプシン、α−キモトリプシン等のタンパク加水分解酵素が、脂質及び脂肪酸エステルの加水分解による脂肪酸の製造には、リパーゼがそれぞれ用いられる。これらの加水分解酵素は、反応溶媒として有機溶媒を用いることにより、逆反応であるエステル又は酸アミドの合成触媒として用いることもできる。
また、有用物質の生産以外の用途として、例えば、グルコースオキシダーゼを用いた溶液中のグルコース濃度の定量等のバイオセンサーへの応用が挙げられる。
本発明で用いるポリマーは、非水溶媒に溶解し、静電紡糸により紡糸できるものであれば良く、特に限定するものではないが、タンパク質と疎水的相互作用することのできるポリマーであると、酵素と疎水的相互作用することによって酵素の構造が変化し、反応触媒活性が向上したり、反応至適温度が変化するため好適である。
より具体的にはポリマーとして、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリL−乳酸(PLLA)、ポリ(乳酸−グリコール酸共重合体)(PLGA)、ポリウレタン、ポリウレア、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリカプロラクトン等の合成高分子化合物、キチン、キトサン、アルギン酸、ヒアルロン酸、デキストラン等の多糖類、コラーゲン、ゼラチン、ポリアルギニン、γ−ポリグルタミン酸(γ−PGA)、シルク等のポリペプチド系高分子化合物、シリカ又はシロキサン重合体、アルミナ、チタニア等の無機高分子化合物、及びこれらの混合物を使用できる。また、これらをベースとして、化学修飾等の手法により、疎水性、極性等を変化させた高分子化合物(例えば、ビニロン等)を用いることもできる。これらポリマーの中でも、タンパク質と疎水的相互作用効果の高いポリマーである、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、キトサンであるのが好ましい。
本発明で用いる非水溶媒は、前記ポリマーを溶解させることができ、複合する酵素が失活しないものであれば良く、特に限定するものではないが、例えば、アセトン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,4−ジオキサン、ピリジン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、アセトニトリル、ギ酸などを挙げることができる。これらの混合溶媒も使用できる。
多くの酵素はタンパク質をもとにして構成されているため、熱やpH等により変性し、活性を失う(失活)といった特性を有する。なお、失活温度は酵素によって異なる。
そのため、ポリマーと酵素を混合して紡糸液を調製するには、まず、ポリマーを溶媒に完全に溶解(この段階では加熱溶解してもよい)、放熱させ、酵素の失活温度未満とした後に、ポリマー溶液に酵素を均一に混合するのが好ましい。なお、溶媒へのポリマー溶解温度が用いる酵素の失活温度未満である場合は、同時に混合溶解させることができる。
紡糸液中のポリマー含有量は、溶媒に完全に均一溶解し、静電紡糸法により紡糸できる濃度であれば良く、特に限定するものではない。なお、静電紡糸法によって紡糸できれば良く、繊維以外にビーズやショットが含まれるような低濃度であっても良い。また、繊維径が太くなるような高濃度であっても良い。好ましくは、安定して連続紡糸を行うことができ、ポリマーに添加した酵素が紡糸後の繊維から分離することなく、3μm以下の繊維径となる濃度に調整するのが好ましい。この濃度はポリマーの種類、溶媒の種類、酵素の種類等によって異なるため、予備実験を行い、適宜設定する。
また、紡糸液中の酵素含量は、ポリマー乾燥質量に対して、1〜90%含まれているのが好ましい。
静電紡糸法それ自体は周知の技術であり、本発明の製造方法では、紡糸液として、酵素と非水溶媒に溶解したポリマーとを含有する紡糸液を用いること以外は、通常の静電紡糸法により酵素含有前駆ナノファイバーを形成することができる。
例えば、図1に示す静電紡糸装置10は、紡糸液11を一定の流量で送出するためのシリンジポンプ12、シリンジポンプ12から送出された紡糸液11を噴出するキャピラリー状の紡糸口13、紡糸して形成した酵素含有前駆ナノファイバー14を回収するための回収板(コレクター)15とを有する。
紡糸口13と回収板15とは、間隔が1〜30cm程度となるように配置され、紡糸口13に電圧が印加され、回収板15は接地されている。そのため、紡糸口13と回収板15との間は1〜3kV/cm程度の電界強度となっている。
紡糸液11を紡糸口13から噴出した場合、静電引力が紡糸液11の表面張力よりも大きいと、帯電した紡糸液11が紡糸され、回収板15に向かって飛翔する。この飛翔中に溶媒は徐々に揮発し、電荷密度が高まることによって分裂し、ナノレベルの直径をもつファイバーが回収板15で捕集される。なお、通常、酵素含有前駆ナノファイバー14は回収板15上に堆積し、不織布となるが、回収板15に替えて棒状のコレクターを回転させたり、巻き取り機構を設けることにより、ファイバーとして回収することもできる。
酵素含有前駆ナノファイバーの直径は特に限定するものではないが、静電紡糸法により紡糸した場合、通常、100nm〜3μmである。直径が3μm以下であれば表面積が広く、酵素活性に優れている。
酵素含有前駆ナノファイバーの直径は、紡糸液11中の酵素及びポリマーの濃度、シリンジポンプ12からの送出速度、紡糸口13の太さ、紡糸口13と回収板15の間の電界強度等によって調節することができるが、酵素、ポリマー及び溶媒の種類、つまり紡糸液によって変化するため、適宜、実験により確認する必要がある。
静電紡糸法により得られた酵素含有前駆ナノファイバーに水を付与する方法としては、例えば、酵素含有前駆ナノファイバーを水中に浸漬する方法、酵素含有前駆ナノファイバーに水をスプレーする方法、酵素含有前駆ナノファイバーに水を塗布する方法、酵素含有前駆ナノファイバーを飽和水蒸気雰囲気下に曝す方法、などを挙げることができる。なお、酵素含有前駆ナノファイバーを水中に浸漬した場合、酵素が水中に溶出してしまう場合があるため、スプレー、塗布、又は飽和水蒸気雰囲気下に曝す方法により水を付与するのが好ましい。
水を付与した酵素含有前駆ナノファイバーを常法に従って乾燥することにより、本発明の酵素含有ナノファイバーを取得することができる。
乾燥法は、ナノファイバーに含まれる酵素が失活しない方法であればよく、特に限定するものではないが、例えば、液中乾燥、風乾、酵素が失活しない温度での乾燥、減圧乾燥、凍結真空乾燥などを挙げることができる。
中でも、凍結真空乾燥は、酵素の活性を低下させることがなく、また、水が残存するように乾燥できるため、酵素活性に優れる酵素含有ナノファイバーを製造でき、好適である。また、凍結真空乾燥により繊維に細孔が形成されやすく、この細孔が酵素近傍に繋がる空間を構成するため、反応液が酵素近傍へ供給され、反応性が高いという効果も奏する。
本発明の製造方法により得られる酵素含有ナノファイバーにおいて酵素活性に優れる理由について、本発明者は、ポリマーに酵素が接触したことによって、ポリマーの相互作用により酵素の活性点を覆っているリッドと呼ばれるフタのような構造が開いた状態となること、また、水を付与し、乾燥(特に凍結真空乾燥)することによって、酵素の活性発現に必要な水を残存させたこと、の2点の相乗効果として、酵素が活性化すると考えている。
このことは、図2に示す4種類のポリスチレンナノファイバー不織布(1)〜(4)の赤外線吸収スペクトルのデータから推測している。つまり、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)を溶媒とする紡糸液を紡糸したポリスチレンナノファイバー不織布に水を付与することなく、凍結真空乾燥したもの(1)、(1)と同様に紡糸したポリスチレンナノファイバー不織布を水中に浸漬して水を付与した後に、凍結真空乾燥したもの(2)、DMFを溶媒とし、リパーゼを含有する紡糸液を紡糸した、リパーゼ含有ポリスチレンナノファイバー不織布に水を付与することなく、凍結真空乾燥したもの(3)、(3)と同様に紡糸したリパーゼ含有ポリスチレンナノファイバー不織布を水中に浸漬して水を付与した後に、凍結真空乾燥したもの(4)、の赤外線吸収スペクトルを示す図2のグラフから、リパーゼ含有ポリスチレンナノファイバー不織布を水中に浸漬して水を付与した後に、凍結真空乾燥した(4)だけ、水分子の存在を示唆する3500cm−1付近に検出可能な強度の吸収帯を示すことから、非水溶媒を溶媒とし、酵素を含有する紡糸液を紡糸した酵素含有前駆ナノファイバーに水を付与し、凍結真空乾燥することにより、水が残存し、酵素が活性化すると推測している。
本発明の不織布は、本発明の製造方法により得られた前記の酵素含有ナノファイバーを含んでいれば良いが、酵素含有ナノファイバーが多いほど効率的に反応できるため、酵素含有ナノファイバーのみから構成されているのが好ましい。
不織布は静電紡糸された酵素含有前駆ナノファイバーを直接集積して前駆不織布とした後、水の付与及び乾燥によって製造することができるし、酵素含有ナノファイバーを用いて湿式法により不織布とすることもできる。
なお、酵素含有前駆ナノファイバーを直接集積して前駆不織布を形成する際に、酵素含有前駆ナノファイバーのもつ電荷とは反対極性の電荷を酵素含有前駆ナノファイバーに対して作用させる(特開2005−264374号公報)ことにより、回収板への飛翔力を弱め、嵩高な状態で集積させることもできる。このように嵩高な状態で集積させると、結果として嵩高な不織布とすることができ、繊維間に反応溶液を良好に流通させることができるため、酵素含有ナノファイバー表面での物資移動が促進され、反応効率に優れる。
本発明の不織布を固定化酵素担体として用いた本発明の反応装置は、前記不織布を固定化酵素担体として用いた反応装置であれば良く、その他の構成は従来と全く同様である。なお、反応装置は、回分式(バッチ式)、流通式のいずれであってもよく、反応装置のスケール(内容積等)も特に制限はない。また、不織布は複数枚積層して用いることもできる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
(実施例1)水浸漬後、凍結真空乾燥して得られるリパーゼ含有ポリスチレンナノファイバー不織布の調製
30mass%となるように、ポリスチレン(分子量280,000、Sigma−aldrich)をDMF中に溶解した後、ポリスチレンの乾燥質量に対して10%がリパーゼ粉末質量となるように、リパーゼ(Lipase F-AP15、ワコーケミカル製)を添加し、十分に混合して、紡糸液とした。
この調製した紡糸液を静電紡糸法(射出速度:1mL/h、印加電圧:17kV、紡糸口−回収板間距離:12cm、繊維径1〜5μm)により紡糸し、集積して、リパーゼ含有前駆ナノファイバー不織布を形成した。
次いで、このリパーゼ含有前駆ナノファイバー不織布1gを500mLの精製水中に15分間浸漬した後、−80℃に設定したディープフィリーザー(レブコ社製、超低温フリーザーULT−1090)で凍結させた後、真空乾燥装置(EYELA製 FD−5N)を用いて、室温、10Pa、24時間の条件で真空乾燥を行い、リパーゼ含有ナノファイバー不織布を製造した。
(実施例2)スプレー後、凍結真空乾燥して得られるリパーゼ含有ポリスチレンナノファイバー不織布の調製
実施例1と同様に形成したリパーゼ含有前駆ナノファイバー不織布に、精製水を市販の霧吹きを用いて、不織布から水が滴り落ちない程度にスプレーした後、30分静置した。その後、−80℃に設定したディープフィリーザー(レブコ社製、超低温フリーザーULT−1090)で凍結させた後、真空乾燥装置(EYELA製 FD−5N)を用いて、室温、10Pa、24時間の条件で真空乾燥を行い、リパーゼ含有ナノファイバー不織布を製造した。
(実施例3)飽和蒸気曝露後、凍結真空乾燥して得られるリパーゼ含有ポリスチレンナノファイバー不織布の調製
実施例1と同様に形成したリパーゼ含有前駆ナノファイバー不織布を、中皿の下に精製水を入れたデシケーターに入れ、2日間40℃で保温することによって、不織布を飽和蒸気に曝露した。その後、−80℃に設定したディープフィリーザー(レブコ社製、超低温フリーザーULT−1090)で凍結させた後、真空乾燥装置(EYELA製 FD−5N)を用いて、室温、10Pa、24時間の条件で真空乾燥を行い、リパーゼ含有ナノファイバー不織布を製造した。
(実施例4)水浸漬後、凍結真空乾燥して得られるリパーゼ含有ポリアクリルニトリルナノファイバー不織布の調製
10mass%となるようにポリアクリルニトリル(Mn=24万、Mw=48万、Sigma−aldrich)をDMF中に溶解した後、ポリアクリルニトリルの乾燥質量に対して10%がリパーゼ粉末質量となるようにリパーゼ(Lipase F-AP15、ワコーケミカル製)を添加し、十分に混合して、紡糸液とした。
この調製した紡糸液を静電紡糸法(射出速度:1mL/h、印加電圧:11kV、紡糸口−回収板間距離:10cm、平均繊維径:400nm)により紡糸し、集積して、リパーゼ含有前駆ナノファイバー不織布を形成した。
次いで、このリパーゼ含有前駆ナノファイバー不織布1gを500mLの精製水中に15分間浸漬し、−80℃に設定したディープフィリーザー(レブコ社製、超低温フリーザーULT−1090)で凍結させた後、真空乾燥装置(EYELA製 FD−5N)を用いて、室温、10Pa、24時間の条件で真空乾燥を行い、リパーゼ含有ナノファイバー不織布を製造した。
(比較例1)リパーゼパウダーの準備
Rhizopus oryzae由来のリパーゼF−AP15(ワコーケミカル製)を用意した。
(比較例2)水浸漬後、凍結真空乾燥して得られるリパーゼパウダーの調製
Rhizopus oryzae由来のリパーゼF−AP15(ワコーケミカル製)1gを500mLの精製水中に15分間浸漬した後、−80℃に設定したディープフィリーザー(レブコ社製、超低温フリーザーULT−1090)で凍結させた後、真空乾燥装置(EYELA製 FD−5N)を用いて、室温、10Pa、24時間の条件で真空乾燥を行い、リパーゼに水分を付与した。
(比較例3)水を付与することなく、凍結真空乾燥して得られるリパーゼ含有ポリスチレンナノファイバー不織布の調製
実施例1と同様にして、リパーゼ含有前駆ナノファイバー不織布を形成した後、水を付与することなく、−80℃に設定したディープフィリーザー(レブコ社製、超低温フリーザーULT−1090)で凍結させた後、真空乾燥装置(EYELA製 FD−5N)を用いて、室温、10Pa、24時間の条件で真空乾燥を行い、リパーゼ含有ナノファイバー不織布を製造した。
(比較例4)水を付与することなく、凍結真空乾燥して得られるリパーゼ含有ポリアクリルニトリルナノファイバー不織布の調製
実施例4と同様にして、リパーゼ含有前駆ナノファイバー不織布を形成した後、水を付与することなく、−80℃に設定したディープフィリーザー(レブコ社製、超低温フリーザーULT−1090)で凍結させた後、真空乾燥装置(EYELA製 FD−5N)を用いて、室温、10Pa、24時間の条件で真空乾燥を行い、リパーゼ含有ナノファイバー不織布を製造した。
(比較例5)水系溶媒からなる紡糸液を使用し、凍結真空乾燥して得られるリパーゼ含有ポリビニルアルコールナノファイバー不織布の調製
10mass%となるようにポリビニルアルコール(分子量146,000−186,000、Sigma−aldrich)を精製水中に溶解した後、ポリビニルアルコールの乾燥質量に対して10%がリパーゼ粉末質量となるようにリパーゼ(Lipase F-AP15、ワコーケミカル製)を添加し、十分に混合して、紡糸液とした。
この調製した紡糸液を静電紡糸法(射出速度:0.7mL/h、印加電圧:15kV、紡糸口−回収板間距離:10cm、繊維径:1〜2μm)により紡糸し、集積して、リパーゼ含有前駆ナノファイバー不織布を形成した。
次いで、このリパーゼ含有前駆ナノファイバー不織布を、−80℃に設定したディープフィリーザー(レブコ社製、超低温フリーザーULT−1090)で凍結させた後、真空乾燥装置(EYELA製 FD−5N)を用いて、室温、10Pa、24時間の条件で真空乾燥を行い、リパーゼ含有ナノファイバー不織布を製造した。
(比較例6)水系溶媒からなる紡糸液を使用し、凍結真空乾燥して得られるリパーゼ含有シリカ修飾ポリビニルアルコールナノファイバー不織布の調製
TMOS(テトラメトキシシラン、東京化成)0.136mmol、ジメチルジメトキシシラン(DMDMOS、東京化成))の4:1(モル比)混合物(0.681mmol)を、精製水23.3μL及び40mM塩酸1.5μLと混合し、加水分解を行った。これを氷水で冷却しながら100mMリン酸緩衝液(NaHPO−KHPO、pH7.5)50μLを混合し、更にリン酸緩衝液167μLに溶解したリパーゼ150mgを加えた。このようにして調製した溶液を10mass%となるようにポリビニルアルコール(分子量146,000−186,000、Sigma−aldrich)を精製水中に溶解して調製した溶液15gに加え、よく撹拌して紡糸液とした。
この調製した紡糸液を静電紡糸法(射出速度:1.0mL/h、印加電圧:15kV、紡糸口−回収板間距離:10cm、繊維径:1〜2μm)により紡糸し、集積して、リパーゼ含有前駆ナノファイバー不織布を形成した。
次いで、このリパーゼ含有前駆ナノファイバー不織布を、−80℃に設定したディープフィリーザー(レブコ社製、超低温フリーザーULT−1090)で凍結させた後、真空乾燥装置(EYELA製 FD−5N)を用いて、室温、10Pa、24時間の条件で真空乾燥を行い、リパーゼ含有ナノファイバー不織布を製造した。
(酵素活性の測定)
イソオクタン(関東化学)300mL、酪酸ビニル(東京化成)16.08mL、(S)−グリシドール(Sigma−aldrich)420.93μL(最終濃度:20mmol/L)を混合し、35℃の恒温槽で保温し反応溶液とした。
この反応溶液から10mLをスクリューキャップ付20mLガラス容器に入れ、その中に50mgの実施例又は比較例のリパーゼ含有ナノファイバー不織布を投入し、35℃、撹拌速度1200rpmの条件下でエステル交換反応させた。
反応開始から2,4,6,8分後の4回サンプリングを行い、反応生成物である(S)−グリシジルブチレートの濃度を、ガスクロマトグラフィ(CG-2010, Shimadzu)で分析し、反応時間における(S)−グリシジルブチレートの濃度変化から反応初速度を求めた。
また、同様に反応開始から60分後までのサンプリングを行い、反応生成物である(S)−グリシジルブチレートの濃度を、ガスクロマトグラフィ(CG-2010, Shimadzu)で分析し、反応時間と反応率の関係をグラフ化した。
なお、「反応率」は、20mM全ての(S)−グリシドールが反応した場合に生成される(S)−グリシジルブチレートの濃度(Ca)に対する、各反応時間で検出された(S)−グリシジルブチレートの濃度(Cf)の百分率、つまり、次の式から算出される値を「反応率(Rr、単位:%)」とした。
Rr=(Cf/Ca)×100
また、リパーゼパウダーの酵素活性を「1」とし、各酵素活性をリパーゼパウダーの酵素活性で除した値を「活性化度」とした。なお、「酵素活性」は50mgのリパーゼ含有ナノファイバー不織布中に、5mgのリパーゼが含まれるとして、1mgあたりのリパーゼが1分間に生成させる(S)−グリシジルブチレート量とした。つまり、次の式から算出される値を酵素活性とした。
Ea=Cc/Em
ここで、Eaは酵素活性、Ccは単位時間(分)あたりの(S)−グリシジルブチレートの濃度変化、Emは酵素量、をそれぞれ意味する。
結果を図3〜図5に示す。
図3に示すポリスチレンナノファイバー不織布に関する結果から、水を付与した後に乾燥することによって、酵素活性を高めることができることがわかった。
また、図4に示すポリアクリルニトリルナノファイバー不織布に関する結果から、ポリマーはポリスチレンである場合に限らず、非水溶媒を用いた場合には、水を付与した後に乾燥しなければ、酵素活性を高めることができないことがわかった。
図5に示す、比較例1〜3と実施例1〜3より、非水溶媒に溶解するポリマーの存在、及び水を付与し、乾燥する処理の双方を行うことによって、ポリマー中に固定化された酵素の活性が飛躍的に高まることがわかった。
なお、実施例1では、リパーゼ含有前駆ナノファイバー不織布を精製水に浸漬している際に、リパーゼが溶出していることが考えられたため、水中のタンパク質濃度を測定した。その結果、約30%のタンパク質のリパーゼ含有前駆ナノファイバー不織布からの溶出が確認された。
これに対して、リパーゼ含有前駆ナノファイバー不織布への水の付与をスプレーで行った実施例2では、酵素溶出を防ぐことができたため、実施例1よりも高い酵素活性が確認された。
また、実施例3のリパーゼ含有前駆ナノファイバー不織布への飽和水蒸気による水の付与は、酵素溶出を防ぐことができるものの、酵素近傍に水が付与されなかったため、やや低い酵素活性になったと考えられる。そのため、飽和水蒸気に曝す時間を長くすればより酵素活性を高めることができると考えられる。
更に、従来技術である、精製水に溶解したポリビニルアルコールが存在し、凍結真空乾燥したものの、溶媒である水が残存すると考えられる比較例5では、酵素の活性が低いものであった。このことから、疎水的相互作用を発揮できるポリマーの存在が大きいことが確認された。
また、比較例6のように、ポリビニルアルコールをシリカ修飾した場合には、高い酵素活性を示すものの、シリカ修飾させるための操作が煩雑であった。
(繰り返し反応実験)
イソオクタン(関東化学)300mL、酪酸ビニル(東京化成)16.08mL、(S)−グリシドール(Sigma−aldrich)420.93μL(最終濃度:20mmol/L)を混合し、35℃の恒温槽で保温し、反応溶液とした。
この反応溶液から10mLをスクリューキャップ付20mLガラス容器に入れ、その中に50mgの実施例2のリパーゼ含有ナノファイバー不織布を投入し、35℃、撹拌速度1200rpmの条件下でエステル交換反応させた。
反応速度が生成物濃度に阻害されない、反応開始から2,4,6,8分後の4回サンプリングを行い、反応生成物である(S)−グリシジルブチレートの濃度を、ガスクロマトグラフィ(CG-2010, Shimadzu)で分析し、酵素活性を算出した。
リパーゼ含有ナノファイバー不織布の投入から60分後に、2500rpmで4分間遠心し、ガラス容器内の不織布を沈ませた後、上澄みを可能な限り吸い取り、質量を測定することで残存溶液量を算出した。
その後、反応溶液の総体積が10mLとなるように反応溶液を添加し、1度目のサンプリングと同様に、反応速度が生成物濃度に阻害されない、反応開始から2,4,6,8分後の4回サンプリングを行い、反応生成物である(S)−グリシジルブチレートの濃度を、ガスクロマトグラフィ(CG-2010, Shimadzu)で分析し、酵素活性を算出した。
このような操作を繰り返し10回行い、各回の酵素活性を算出した。
この時、初回の酵素活性(=0.24mmol/L/min/mg−リパーゼ)に対する、各回の酵素活性の百分率を残存活性と定義した。
結果を図6に示す。
この結果から、10回繰り返し使用しても80%程度の活性を維持できることがわかった。
本発明は、例えば、醸造、チーズなどの発酵、繊維工業、皮革工場、食品工業、化粧品工業、医薬品工業、エネルギー産業等において、物質の生産や原料加工、バイオセンサー、バイオディーゼル生産用膜等に利用することができる。
10・・・静電紡糸装置;11・・・紡糸液;12・・・シリンジポンプ;
13・・・紡糸口;14・・・酵素含有前駆ナノファイバー;15・・・回収板。

Claims (4)

  1. 酵素と非水溶媒に溶解したポリマーとを含有する紡糸液を、静電紡糸法により紡糸して酵素含有前駆ナノファイバーを形成する工程、
    前記酵素含有前駆ナノファイバーに水を付与する工程、
    前記水を付与した酵素含有前駆ナノファイバーを乾燥して、酵素含有ナノファイバーを形成する工程、
    を含む、酵素含有ナノファイバーの製造方法。
  2. 請求項1に記載の製造方法で製造した酵素含有ナノファイバー。
  3. 請求項2に記載の酵素含有ナノファイバーを含む不織布。
  4. 請求項3に記載の不織布を固定化酵素担体として用いた反応装置。
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