JP2011045162A - 蓄電セルの充電回路 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数の蓄電セルを充電する過程における各セルの電圧のばらつきが抑えられる充電回路を提供する。
【解決手段】直列接続された複数の蓄電セルと、前記複数の蓄電セルを充電する交流電源と、前記複数の蓄電セルのそれぞれに対して並列に接続される前記蓄電セルと同数の2直列ダイオードと、前記2直列ダイオードを構成する2つのダイオードの中点と前記交流電源との間に接続された、前記蓄電セルと同数のコンデンサとを備えた充電回路であって、前記交流電源から供給される交流電力によって、前記蓄電セルの電圧を充電時において均一に充電することを特徴とする。
【選択図】図4

Description

本発明は、複数個の蓄電デバイス(二次電池や電気二重層キャパシタ、等)の直列接続により構成される蓄電モジュールにおいて、各蓄電セルに対して均一に充電を行う充電回路に関する。
二次電池や電気二重層キャパシタ等の蓄電セルは用途に応じた所望の電圧を得るために、複数個のセルを直列に接続することによりモジュールを構成して使用される。
上述の蓄電モジュールにおいては、充放電を繰り返すうちに、各セルの容量、内部抵抗、環境温度、自己放電等のばらつきに起因する、セル電圧のばらつきが発生する。セル電圧のばらつきが発生した蓄電モジュールにおいては、劣化の加速的進行、利用可能エネルギーの低下等の問題が発生する。
このような問題を解消するために、各種の均等化回路が提案されている。しかし、従来の方式では、蓄電セルの直列数に応じた複数個のスイッチ、コイル、トランス等の部品を必要とするため、構成が複雑化してしまう。
セルを均一に充電する手法として、図1に示すようなコッククロフトウォルトン回路を用いた充電回路が提案されている。B1〜B3は、二次電池や電気二重層キャパシタ等の蓄電セルであり、C1〜C3は均等化用のコンデンサ、D1〜D6はダイオード、Vacは交流電源である。この充電回路は主にダイオードとコンデンサにより構成されているため、従来の均等化回路等と比較した場合、回路構成を簡素化することが可能である。
図2は、図1の回路の動作時における電流の流れを示した図であり、同図(a)はVacが図の下方向から上方向へと電力を供給する期間における電流の流れを示し、同図(b)は、Vacが図の上方向から下方向へと電力を供給する期間における電流の流れを示している。
J. Cao, N. Schofield and A. Emadi, "Battery Balancing Methods: A Comprehensive Review," IEEE Vehicle Power and Propulsion Conference, pp. 1-6, September 2008. 松井景樹、他、"CW回路を用いた電気二重層キャパシタ用電圧均等化充電方式"、平成20年度電気学会全国大会講演論文集4、4−138、pp230〜231.
図1の回路において、B1〜B3として容量が1Fのコンデンサ、C1〜C3として100μFのコンデンサを用い、B1〜B3を3Vまで充電させた場合におけるシミュレーション結果のグラフを図3に示す。最終的に各セルは3Vの同一電圧まで充電されているが、充電の過程において各セルの電圧にばらつきが発生していることがわかる。
電圧がばらついている状態では、負荷に対して十分なエネルギーを供給することが出来ない。例えば、充電の途中でB1〜B3が負荷に対して電力を供給する、つまり放電するという状況では、電圧の最も低いB1のセルがセルの許容最低電圧に到達してしまい、それ以上は放電不能の状態となってしまう。その際、B2とB3にはエネルギーが残存しているにも関わらず、B1が放電不能状態であるため、B2とB3も放電を行えない状態に陥ってしまう。
言い換えると、電圧の最も低いセルによって放電可能なエネルギー量が制限されてしまうため、充電過程においては蓄電セルから十分なエネルギーを負荷に対して供給することが出来ない。よって図1の充電回路の用途としては、蓄電セルを完全に充電するのに要する充電時間を常に確保できるような場合に限られることになる。このように、コッククロフトウォルトン回路を用いた充電回路では充電の途中過程において電圧ばらつきが必然的に発生する。
本発明は、このような背景のもとでなされたものであり、コッククロフトウォルトン回路を構成する素子(交流電源とコンデンサとダイオード)と同一の素子を用いつつ、複数の蓄電セルを充電する過程における各セルの電圧のばらつきが抑えられる充電回路を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するための第1の発明は、直列接続された複数の蓄電セルと、前記複数の蓄電セルを充電する交流電源と、前記複数の蓄電セルのそれぞれに対して並列に接続される、前記蓄電セルと同数の2直列ダイオードと、前記2直列ダイオードを構成する2つのダイオードの中点と前記交流電源との間に接続された、前記蓄電セルと同数のコンデンサとを備えた充電回路であって、前記交流電源から供給される交流電力によって、前記蓄電セルの電圧を充電時において均一に充電することを特徴とする。
第2の発明は、上記第1の発明に係る充電回路において、前記蓄電セルと同数の2直列ダイオードの各中点のうちの任意の2点をコンデンサを介して接続し、第1の発明に係る充電回路よりも充電時における各蓄電セルの電圧のばらつきを小さくしたことを特徴とする。
第3の発明は、上記第1及び第2の発明に係る充電回路において、前記ダイオードのうちの少なくとも一部をスイッチに置き換えたことを特徴とする。
上記各発明において、前記複数の蓄電セルの一部又は全部を、二次電池あるいは電気二重層キャパシタとすることができる。
本発明による充電回路は、コンデンサとダイオードと交流電源のみで構成されるため、従来の均等化回路等と比較して回路構成を大幅に簡素化できる。また、充電過程において、従来のコッククロフトウォルトン回路型の充電回路において生じる電圧ばらつきを大幅に抑えることができ、蓄電セルが蓄えているエネルギーを最大限に利用することが可能となる。
コッククロフトウォルトン回路を用いた充電回路の回路図である。 図1の回路の動作時における電流の流れを示した図である。 図1の回路において、B1〜B3を充電させるまでの電圧変化のシミュレーション結果を示したグラフである。 本発明の一実施形態に係る蓄電セルの均一充電回路の回路図である。 図4の回路の動作時における電流の流れを示した図である。 図4の回路の等価回路の回路図である。 図4の回路において、B1〜B3を充電させるまでの電圧変化の結果を示したグラフである。 図4の回路において、B1〜B3の初期電圧をそれぞれ0V、0.5V、1Vとばらついた状態から充電を行った場合のシミュレーション結果のグラフである。 図4の回路のC3〜C5の間に、更にコンデンサを追加した回路の回路図である。 図9の回路の等価回路の回路図である。 図9の回路のB1〜B3の初期電圧がばらついた状態から充電を行った場合のシミュレーション結果を示したグラフである。 2つの交流電源を用いた実施形態の回路図である。 交流電源を中間位置に設けた実施形態の回路図である。 図4の回路のダイオードをスイッチQ1〜Q6に置き換えた実施形態の回路図である。
以下において、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。
図4は本発明の実施の一形態の充電回路の回路図を示している。同図において、B1〜B3は二次電池や電気二重層キャパシタ等の蓄電セル、C3〜C5は均等化用のコンデンサ、D1〜D6はダイオード、Vacは振幅がE[V]の交流電源である。B1〜B3の各蓄電セルに対して、直列接続されたダイオードD1〜D2、D3〜D4、D5〜D6がそれぞれ並列に接続されている。直列接続されたダイオードD1〜D2、D3〜D4、D5〜D6の各中点はコンデンサC5、C4、C3をそれぞれ介して交流電源Vacと接続されている。すなわち、図4の回路は、複数個の直列接続された蓄電セルB1〜B3と、蓄電セル充電用の交流電源Vacと、各蓄電セルに対して並列に接続される2直列のダイオードD1〜D2、D3〜D4、D5〜D6と、各2直列のダイオードの中点と交流電源との間に接続されるコンデンサC5、C4、C3から構成されている。
図5は、図4の回路の動作時における電流の流れを示した図である。ここで、B1〜B3及びC3〜C5の各初期電圧は、交流電源Vacの振幅Eよりも小さいものとする。図5(a)は、Vacが図の下方向から上方向へと電力を供給する期間における電流の流れを示している。この期間には、偶数番号のダイオード(D2、D4、D6)が導通することで、C3〜C5が充電される。C3はVacによって、C4はVacとB3によって、C5はVacとB2とB3によって充電されることが分かる。
図4において、B1〜B3は二次電池や電気二重層キャパシタ等の蓄電セルであるため、B1〜B3の容量はC3〜C5のコンデンサの容量と比較して十分大きい。よって、交流電源Vacの動作周波数が十分高い場合、B1〜B3の各セルの電圧VB1、VB2、VB3は1サイクル前後において不変であると見なすことができる。交流電源Vacの正のピーク電圧値をE/2とした時、図5(a)におけるC3〜C5の電圧VC3a、VC4a、VC5aは、
C3a=E/2
C4a=VB3+E/2
C5a=VB2+VB3+E/2
となる。ここで、ダイオードの順方向電圧降下は無視するものとする。
図5(b)は、Vacが図の上方向から下方向へと電力を供給する期間における電流の流れを示している。この期間には、奇数番号のダイオード(D1、D3、D5)が導通することで、C3〜C5がB1〜B3に対して充電を行う。C3はB3に対して、C4はB2とB3に対して、C5はB1〜B3に対して放電していることが分かる。交流電源Vacの負のピーク電圧値を−E/2とした時、図5(b)におけるC3〜C5の電圧VC3b、VC4b、VC5bは、
C3b=VB3−E/2
C4b=VB2+VB3−E/2
C5b=VB1+VB2+VB3−E/2
となる。
図5の(a)と(b)の間におけるC3〜C5の電圧変動ΔVC3、ΔVC4、ΔVC5は、
ΔVC3=E−VB3
ΔVC4=E−VB2
ΔVC5=E−VB1
となる。
C3〜C5の容量をそれぞれG3、G4、G5とした場合、C3〜C5からB1〜B3に流れる電流IC5、IC4、IC3は、電流=周波数×電荷量=周波数×容量×電圧変動という関係から、
C5=f×G5×(E−VB1
C4=f×G4×(E−VB2
C3=f×G3×(E−VB3
となる。ここで、fは交流電源Vacの周波数である。ここで、オームの法則から、f×G5、f×G4、f×G3はそれぞれ抵抗の逆数、つまりコンダクタンスの次元であることが分かる。
よって、上式から図4の回路は図6のような等価回路に置き換えることができる。ここでVdcは出力電圧E[V]の直流電源、R3〜R5はC3〜C5の充放電動作を等価抵抗に置き換えたものであり、等価抵抗R3〜R5の値はそれぞれ、1/(f×G3)、1/(f×G4)、1/(f×G5)、と表すことができる。G3〜G5が等しい場合、R3〜R5の値も等しくなるため、図6においてB1〜B3の各電圧が同じ場合はR3〜R5に流れる電流も等しくなる。つまりB1〜B3は均一に充電されることになる。
図4の回路において、B1〜B3に容量が1Fのコンデンサ、C3〜C5に100μFのコンデンサを用い、Vacを100kHzで動作させ、B1〜B3を3Vまで充電させた場合におけるシミュレーション結果のグラフを図7に示す。各セルの電圧が上昇してゆく充電過程においても各セルの電圧が均一に保たれており、各セルが最終的に3Vまで充電されていることが分かる。図8は、B1〜B3の初期電圧をそれぞれ0V、0.5V、1Vとばらついた状態から充電を行った場合のシミュレーション結果のグラフである。等価回路を用いて考えた場合、各セルに流れる電流はセル電圧と直流電源Vdcの出力電圧Eの差に比例するため、充電過程において各セルの電圧上昇の勾配が異なることが分かる。各セルの電圧は最終的に3Vとなり、電圧を均一化する機能を有していることが分かる。
図9は、図4の回路のC3〜C5の間に、更にコンデンサC1とC2を追加した回路の回路図である。すなわち、図4に示した充電回路の回路において、複数の2直列ダイオードの中点のうち、任意の2点をコンデンサを介して接続した場合に相当する。図9の回路は、また、図1に示したコッククロフトウォルトン回路にコンデンサC4、C5を付加した回路と考えることもできる。
図9の回路において、1サイクルにおけるC1とC2の電圧変動ΔVC1、ΔVC2はそれぞれ、
ΔVC2=VB3−VB2
ΔVC1=VB2−VB1
となるため、C1とC2の容量をそれぞれG1、G2とした場合、C1とC2に流れる電流IC1、IC2は、
C2=f×G2×(VB3−VB2
C1=f×G1×(VB2−VB1
と表される。
したがって、図9の回路を図10のような等価回路に置き換えることができる。ここでVdcは出力電圧E[V]の直流電源、R1〜R5はC1〜C5の充放電動作を等価抵抗に置き換えたものである。この場合、B1とB2の間と、B2とB3の間にも等価抵抗(R1とR2)が存在することになる。等価抵抗R1とR2の値はそれぞれ、1/(f×G1)、1/(f×G2)である。B1〜B3の電圧が等しい場合においてはR1とR2に電流は流れないが、電圧がばらついている場合には、各セル間で電流が流れることで電圧が均一化する方向へと働く。図9の回路において、B1〜B3の初期電圧がそれぞれ0V、0.5V、1Vとばらついた状態から充電を行った場合のシミュレーション結果のグラフを図11に示す。C1とC2による電荷移動、つまり等価回路におけるR1とR2の存在により、図8の結果と比較して電圧のばらつきが小さいことが分かる。
以上の実施形態では交流電源Vacが一つだけであったが、交流電源を複数用いることもできる。図12は、2つの交流電源Vac1とVac2を用いた場合の実施形態を示しており、蓄電セルB1〜B3はC3〜C5を介した経路と、C6〜C8を介した経路の2通りの経路を介して充電されるので、図4で示した実施形態よりも充電速度を速くすることが可能である。
また、以上の実施形態においては、交流電源Vacは最も低電位側の蓄電セルにダイオードを介して接続されていたが、交流電源を中間位置に設けることも可能である。図13は、その具体的な回路の回路図を示しており、このような場合も、同様に動作させることが可能である。
また、以上の実施形態においてはダイオードを用いて動作させた場合について説明を行ってきたが、上記各実施形態において、ダイオードをスイッチに置き換えることも可能である。図14は図4の回路におけるダイオードをスイッチQ1〜Q6に置き換えたものである。図5で示した通り、交流電源Vacが電力を供給する方向に応じて偶数番号と奇数番号のダイオードが交互に導通する。よって、図14の場合においては交流電源Vacの電力を供給する方向に応じて奇数番号と偶数番号のスイッチを交互にオン/オフさせてやることで図5と同じ状態を得ることが出来る。
本発明は、二次電池および電気二重層キャパシタ等の蓄電セルを用いる電源に広く適用できる。
B1〜B3 蓄電セル
C1〜C8 コンデンサ
D1〜D12 ダイオード
Vac,Vac1,ac2 交流電源
Q1〜Q6 スイッチ
R1〜R5 等価抵抗

Claims (5)

  1. 直列接続された複数の蓄電セルと、
    前記複数の蓄電セルを充電する交流電源と、
    前記複数の蓄電セルのそれぞれに対して並列に接続される、前記蓄電セルと同数の2直列ダイオードと、
    前記2直列ダイオードを構成する2つのダイオードの中点と前記交流電源との間に接続された、前記蓄電セルと同数のコンデンサとを備えた充電回路であって、
    前記交流電源から供給される交流電力によって、前記蓄電セルの電圧を充電時において均一に充電することを特徴とする充電回路。
  2. 請求項1に記載された充電回路において、前記蓄電セルと同数の2直列ダイオードの各中点のうちの任意の2点をコンデンサを介して接続し、請求項1の充電回路よりも充電時における各蓄電セルの電圧のばらつきを小さくしたことを特徴とする充電回路。
  3. 請求項1又は2に記載の充電回路において、前記ダイオードのうちの少なくとも一部をスイッチに置き換えたことを特徴とする充電回路。
  4. 前記複数の蓄電セルの一部又は全部は二次電池である、請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載の充電回路。
  5. 前記複数の蓄電セルの一部又は全部は電気二重層キャパシタである、請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載の充電回路。
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