JP2011040786A - プラズマ処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】誘導結合型プラズマ装置において、比較的狭い空間に総ターン数の多い並列コイルを設置できるようにする。
【解決手段】被処理物をプラズマ処理する処理室と、該処理室へプラズマ処理用のガスを導入する導入手段と、該処理室内を排気する排気手段と、被処理物を載置する試料台と、プラズマを発生させるための電力供給手段と、電力給手段と接続される少なくとも一つの誘導コイルを備えたプラズマ処理装置において、誘導コイルが、2以上の同一形状のコイル要素101を回路的に並列に接続して構成されるとともに、その中心が被処理物の中心と一致するように配置され、各コイル要素101の入力端101inが360°をコイル要素101の数で割った角度おきに配置され、かつコイル要素が径方向と高さ方向に立体的な構造を持つ。
【選択図】図6
【解決手段】被処理物をプラズマ処理する処理室と、該処理室へプラズマ処理用のガスを導入する導入手段と、該処理室内を排気する排気手段と、被処理物を載置する試料台と、プラズマを発生させるための電力供給手段と、電力給手段と接続される少なくとも一つの誘導コイルを備えたプラズマ処理装置において、誘導コイルが、2以上の同一形状のコイル要素101を回路的に並列に接続して構成されるとともに、その中心が被処理物の中心と一致するように配置され、各コイル要素101の入力端101inが360°をコイル要素101の数で割った角度おきに配置され、かつコイル要素が径方向と高さ方向に立体的な構造を持つ。
【選択図】図6
Description
本発明は、半導体、液晶ディスプレイ用基板等の製造において、エッチングや成膜等の処理に好適なプラズマ処理装置に関するものである。
半導体デバイスの微細化に対応して、プラズマプロセスにおいては、ウエハ内で均一な処理結果が実現できるプロセス条件(プロセスウインドウ)が年々狭くなってきており、これからのプラズマ処理装置には、より完全なプロセス状態の制御が求められている。これを実現するためには、プラズマの分布やプロセスガスの解離やリアクタ内の表面反応を極めて高精度に制御できる装置が必要になる。
現在、これらのプラズマ処理装置に用いられるプラズマ源として高周波誘導結合型プラズマ源がある。誘導結合型プラズマ処理装置の例として、チャンバの一部である石英などの絶縁材を介して処理チャンバの外に配置された、一般的には、ループ、コイル、あるいは、螺旋といった形状をした高周波コイルに、数100kHzから、数100MHzの高周波電力を給電し、コイルによって形成される誘導電界によって、プラズマ中の電子を加速することによって、処理チャンバ内に導入されたプロセスガスにエネルギを供給し、プラズマを発生、維持する方式のプラズマ装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、コイルをチャンバ内に設けた構造の高周波誘導結合型プラズマ処理装置もあり、この種のプラズマ処理装置では高周波誘導コイルである螺旋型のコイルを、チャンバ内の、被処理物である半導体ウエハに対向する位置に設置している(例えば、特許文献2参照)。
これらのプラズマ処理装置は、プラズマ中に誘導電流が生じ、電気回路的には、プラズマと高周波コイルが誘導結合している(コイルを一次コイル、プラズマ中の電流を2次コイルとみなしたトランス回路)ため、誘導結合型プラズマ処理装置と呼ばれる。誘導結合型プラズマ処理装置の利点は、単純なコイルと高周波電源という簡単で安価な構成で、数mTorrの低圧下で、1×1011〜1×1012(cm−3)という比較的高密度のプラズマを発生できること、大面積のプラズマを容易に発生させることができること、処理チャンバ内部がシンプルであるがゆえに、処理中に被処理物上に飛来する異物を少なくできること等が挙げられる。これらの装置では、低圧下で、高密度のプラズマを発生することによって、イオンの平均自由行程が大きく、被処理物に入射するイオンの方向性がよいので、プラズマエッチング技術を用いた微細加工に適しており、かつ高い処理速度が得られている。
プラズマプロセスで主に処理される被処理物である半導体ウエハは概略円形をしており、これ用のプラズマ処理装置のチャンバもこれに応じて、水平な内断面が円形をしていることが多い。たとえばプラズマエッチング装置においては、中心あるいは側面からガスが導入され、多くの装置においては下側に排気される。ウエハのエッチング結果は完全にウエハ面内で均一であることが望ましいが、反応室内部のプラズマや解離種や反応生成物の分布によってウエハ上の反応の現象が完全に均一であることはない。例えば、反応生成物は、ウエハより生成されるので、どうしても反応室中心部で濃度が高くなる。この濃度不均一によるエッチング不均一をカバーするために、外周でプラズマ密度を中心よりも下げる、あるいは、ウエハの温度を中心部より外周部で低くする等の手段を講じることにより、ウエハのエッチング結果を均一にする必要がある。一方、ウエハの周方向についても、ガス流れやプラズマ生成の不均一により、不均一性が生じることがあるが、これはウエハ径方向の不均一性と異なり、解決できる不均一である。ガス流れについては、下部の排気構造を最適化することにより、ほとんど周方向に均一にすることができる。
J.Appl.Phys.80,1337(1996)のMark J.Kushnerらの論文
Rev.Sci.Instrum,Vol.66,No.11,November1995,p5262のOkumuraらの論文
しかしながら、誘導結合型プラズマ処理装置においては、その構造に起因する周方向の不均一性が生じる。すなわち、コイルには必ず、高周波電源側に接続される端と、接地側に接続される端があり、コイルの構造に起因するプラズマの周方向の不均一が生じる。また、低密度の領域ではコイルにかかる電圧によって直接電子が加速され、容量結合的に生成されるプラズマの影響が無視できない。コイルにかかる電圧は一定ではないので、この容量結合的なプラズマが電圧の高いところで多く生成したり、コイルに並列に存在する寄生容量への電流ロスにより逆に電圧の高い部分でプラズマ密度が低くなったりして、周方向の不均一が生じる(例えば、非特許文献1参照)。
このような問題を解決するために、全く同じ複数のコイルを、一定角度ごとに並列して設置する構造が提案されている。例えば、3系統のコイルを、120度おきに設置することにより、周方向の均一性を向上させることが提案されている(例えば、特許文献3参照)。このコイルは、縦に巻かれたり、あるいは平面に巻かれたり、あるいはドームに沿って巻かれたりしている。特許文献3のように、まったく同じ複数のコイル要素を、回路的に並列に接続すると、複数のコイル要素からなる誘導コイルのトータルインダクタンスが低減される。しかしながら、このような構造をとると、コイルの数が多くなるとともに、コイルへの電力の供給が中心からに限定されてしまい、装置設計上の制約が大きくなる。
上記特許文献3と類似の構成として、4系統のコイル要素を90°づつずらして設置したプラズマ装置が提案されている(例えば、非特許文献2参照)。これには、同じコイル要素を4系統並列化して誘導コイルを形成した場合に、インダクタンスが、1系統の場合の57%に低減することが知られている。ただし、コイルが隣接しているので、相互誘導の効果により4つのコイルを全く個別に設置した場合の理論値である25%までには下がらない。
ここで、コイルにかかる高周波電圧Eは、コイルの電流をI、インピーダンスをZとしてE=I・Zで与えられる。電源周波数をfとして、Z=2πf・Lであるので、インダクタンスが低減されることは、同じ電力を供給するとき、コイルに発生する電圧を低減させ電流を増大させる。誘導プラズマ装置の設計において、どの程度の電流、電圧が好ましいのかは様々な理由による。プラズマに対しては、電圧が上がると着火性や低密度時の安定性が向上するが、一方で、誘導コイルとプラズマの間に位置する絶縁部材のイオンスパッタによる損傷が増大する。一方で、装置設計上の問題としては、電流が増大することは、発熱の問題やそれによるロスの問題、整合回路に使用する可変コンデンサの耐電流の問題等がある。電圧が増大することは、異常な放電や、プラズマへの影響、可変コンデンサの耐電圧の問題等がある。
ここで、例えば、整合回路の耐電流・耐電圧の問題から、誘導コイルのインダクタンスをある値(例えば、1μH)として誘導コイルを設計したかったとする。1ターンで1μHの誘導コイルを用いると、このときの総ターン数は、勿論1ターンである。Okumuraらの論文(非特許文献2)のデータを参考にすると、このコイルを電気回路的に並列に、90°づつ4ターン設けるとすると、インダクタンスは0.57μHとなり、総ターン数は、4ターンとなる。これではインダクタンスが低すぎるので、4系統並列で1μHのインダクタンスを得るには、1系統あたり1.5ターン程度のコイルが必要となり、そのときの全ターン数は、6ターンとなる。すなわち、並列コイルの構成を使おうとする場合、単一コイルと同じインダクタンスを得ようとすると、総ターン数は著しく増加してしまうことがわかる。単一コイルでは1ターンのコイルで済むところが、4系統並列コイルの構成で同じインダクタンスを得ようとすると、1系統1.5ターンづつ、合計6ターンのコイルを設置しなければならない。特許文献3では、コイルを縦に巻いたりドームに沿って巻いたりしている。非特許文献2では、平面的に巻いている。しかしながら、装置設計上、誘導コイルを設置できる空間は限られている場合が多いことが並列コイルを用いる上で問題となる。
本発明は、誘導結合型プラズマ装置において、特に並列コイルを用いる場合における、上記のような問題を解決し、単一コイルを用いた場合のように比較的狭い空間に総ターン数の多い並列コイルを設置できるようにすることを主たる目的とする、これにより、周方向のプラズマ不均一の問題と装置デザインの困難さの問題を克服し、より広い条件下で、安定かつ均一なプラズマを高い効率で生成するプラズマ処理装置を提供する。
本発明は、前述したような従来技術の問題点である誘導結合プラズマ装置における、周方向のプラズマ不均一の問題を解決し、自在な場所でプラズマを生成し、より広い条件下で、安定したプラズマを高い効率で生成するプラズマ処理装置を提供する。
上記課題は、次に説明するような構成によって解決される。すなわち、並列化された複数の誘導コイル要素を単に縦に巻いたり、横に巻いたりするのではなく、立体的な構造を持つように巻くことにより、コイルの設置スペースの問題を解決する、具体的には、例えば、断面が四角形の例えば、円環状の絶縁体(絶縁リング)を用い、この絶縁リングの4面(下面、内面、上面、外面)に対して4系統の同一なコイル要素を配分する。電源からの整合器を経て絶縁リングの上面に入ったコイル要素のひとつの系統は、そのまま外面に行き90°ターンして下面に行き90°ターンして、さらに内面に行き90°ターンして上面に戻り、接地電位に繋がるようにする。このとき1系統のターン数は、90°×3=270°(3/4ターン)となる。このようなコイルを90°づつずらして同じように計4系統設けるわけである。このときの総ターン数は、3ターンとなる。上面でも90°ターンさせると1系統あたり90°×4=360°(1ターン)となり、総ターン数は4ターンとなる。同じような考え方を用いて。断面がn角形(n>4)の絶縁リングを用いることにより、1系統あたりのターン数を増やすこともできるし、断面が四角の誘導コイルを用いても、1つの面のターン数を90°から増加させることにより、1系統あたりのターン数を増やすことができる。このような構成により、限られたコイルの設置スペースにおいて、総ターン数の多い並列コイルを設置することができるようになる。
すなわち、本発明は、被処理物をプラズマ処理する処理室と、該処理室内へ処理用のガスを導入する導入手段と、該処理室内を排気する排気手段と、前記被処理物を載置する試料台と、前記処理室内でプラズマを発生させるための電力供給手段と、該電力供給手段と接続される少なくとも一つの誘導コイルを備えたプラズマ処理装置において、前記誘導コイルは、2以上のN個の同一形状のコイル要素を回路的に並列に接続して構成されるとともに、その各コイル要素を沿わせる断面形状が円形の円環を設け、前記N個の同一形状のコイル要素は、前記N個のコイル要素の各入力端を前記円環の全周360°をコイル要素の数Nで割った前記円環の各領域おきにずれて配置するとともに、それぞれ連続的に回転しながら前記円環の表面にトロイダルコイル状に形成されているものである。
本発明は、上記プラズマ処理装置において、前記円環の中心が前記被処理物の中心と一致するように構成され、前記円環は絶縁部品であり、前記コイル要素の導体部が該絶縁部品の表面に形成されているものである。
本発明は、上記プラズマ処理装置において、前記円環の中心が前記被処理物の中心と一致するように構成され、前記円環は絶縁部品であり、前記コイル要素の導体部が該絶縁部品の表面に形成されており、前記絶縁部品に冷却用の冷媒流路が設けられたものである。
本発明は、上記プラズマ処理装置において、前記円環の中心が前記被処理物の中心と一致するように構成され、前記円環は仮想の円環であり、各コイル要素の導体部が該仮想の円環の表面に沿うように形成されているものである。
本発明のプラズマ処理装置によれば、周方向の完全なプラズマ均一性が実現される。プラズマエッチング結果も周方向で均一になり、プラズマエッチングプロセス条件を構築する際には、径方向の均一性だけを考慮すればよく、エッチング条件を決めることが簡易かつ迅速になる。その結果、全体としてのプラズマ処理性能、および装置の稼働率が向上し、ハイスループットでの微細なエッチング加工や、高品質な成膜加工、表面処理等が可能となる。
本発明にかかるプラズマ処理装置は、半導体デバイスの製造の分野にのみその使用が限定されるものではなく、液晶ディスプレイの製造や、各種材料の成膜、表面処理等のプラズマ処理の各分野に適用することが可能であるが、ここでは、半導体デバイス製造用のプラズマエッチング装置を例にとって、実施例を示すことにする。
図1を用いて、本発明にかかるプラズマ処理装置の実施例1の構成を説明する。高周波誘導結合型プラズマ処理装置は、真空に維持された処理室1と、処理室1内を真空に維持する例えば真空ポンプに結合された真空排気手段2と、被処理体である半導体ウエハ3を外部と真空処理室内との間で搬送する搬送システム4と、処理ガスを導入する導入口5と、半導体ウエハ3が載置される電極(被処理物載置試料台)6と、整合器7と、高周波電源8と、処理室の蓋であり高周波によって生じた電界を処理室内に導入する絶縁材9と、本発明に特有な構成を有する高周波誘導コイル10と、環状の絶縁体(絶縁部品)11と、整合器12と、高周波電源13とを有して構成される。
処理室1は、例えば、表面をアルマイト処理したアルミニウム製かステンレス製の真空容器であり、電気的に接地されている。処理室1は、真空排気手段2、および、被処理物である半導体ウエハ3を搬入出するための搬送システム4を備える。処理室1中には、半導体ウエハ3を載置するための電極6が設置される。搬送システム4により、処理室中に搬入されたウエハは、電極6上に運ばれ、電極6により保持される。電極6には、プラズマ処理中に半導体ウエハ3に入射するイオンのエネルギを制御する目的で、整合器7を介して、高周波電源8が接続される。エッチング処理用のガスが、導入口5より、チャンバ内に導入される。
一方、ウエハと対向する位置には、高周波誘導コイル10が、石英やアルミナセラミック等の絶縁材9と、絶縁材9を介して大気側、ウエハ1の対向面に設置される。高周波誘導コイル10は、その中心が半導体ウエハ3の中心と一致するように配置される。高周波誘導コイル10は、図には示されていないが、複数の同一形状を持つコイル要素からなり、その導体部は、概略円環状(リング状)の絶縁部品11の表面に形成されている。複数のコイル要素の片端は整合器12を介して高周波電源13に接続され、片端は接地電位に、いずれも全く同じように接続される。図には示されないが、コイル要素と接地電位の間にコンデンサを挿入してもよい。コンデンサを挿入すると誘導コイルに発生する電位の分布が変わり、適切な容量のコンデンサを用いると、コイルに発生する最大電圧を下げることができる。
絶縁部品11には、図示を省略した冷却用の冷媒流路が設けられ、この冷媒流路に、水、フロリナート、空気、窒素などの流体を流すことによって冷却される。
誘導結合型プラズマ装置は、高周波誘導コイルを流れる高周波電流によってプラズマを励起する。一般に高周波誘導コイルのターン数(巻き数)を大きくすると、インダクタンスが増大し、電流が下がるが、電圧が上がる。ターン数を下げると逆に電圧は下がるが電流が上がる。誘導結合型プラズマ装置の設計に於いて、どの程度の電流、電圧が好ましいのかは、プラズマの均一性、安定性や発生効率等の観点だけでなく、機械工学的見地からの様々な理由による。例えば、電流が増大することは、発熱の問題やそれによるロスの問題、整合回路に使用する可変コンデンサの耐電流の問題がある。一方、電圧が増大することは、異常な放電や、プラズマへの影響、可変コンデンサの耐電圧の問題等がある。そこで、設計者は、整合回路に使用する可変コンデンサ等の電気素子の耐電流・耐電圧や、コイルの冷却の問題等を加味しながら、コイルの形状やターン数を決定する必要がある。
ここで、図2に示したような単純なループコイルを考える。このループコイルのインダクタンスを1μHとする。前述のようにこのようなループコイルでプラズマを生成するとコイルの首の部分に相当する入出力端子の影響でプラズマが偏ってしまう。次に、図2に示すループコイルとほぼ同じ形状だが、図3に示すように若干螺旋状に開いたループコイルを考える。図3のループコイルのインダクタンスも大体の径が変わらないので、ほぼ1μHと考えられる。
このループコイルを4つ用意し、90°づつ回転させると図4に示すようになる。中心側のコイル端4点を一つにまとめて入力端として高周波電源に接続し、外側のコイル端4点を出力端としてそれぞれ接地電位にすると誘導コイルとして働く。このようなコイルではプラズマが若干ゆがむことが考えられるが、プラズマが偏ることはない。コイル要素の数を4より多くすることにより、プラズマは真円に近くなると思われるが、複雑化するので、実際には、2から4個のコイル要素がよく用いられる。1個1μHのコイルを全く独立に4個並列に繋ぐと、1/4の0.25μHになるが、図4に示したような接続では、隣接するコイルの相互誘導の効果があるので、1/4までは下がらない。非特許文献2には、図4と類似の、4系統のコイルを90°づつ設置したプラズマ装置が示されている。同文献には同じコイルを4系統並列化した場合に、インダクタンスが、1系統の場合の57%に低減することが示されている。コイルにかかる電圧Eは、コイルの電流をI、インピーダンスをZとしてE=I・Zで与えられる。電源周波数をfとして、Z=2πf・Lであるので、インダクタンスが低減されることは同じ電力を供給するとき、コイルに発生する電圧を低減させ電流を増大させる。
ここで、例えば、整合回路の耐電流・耐電圧の問題から、誘導コイルのインダクタンスをある値(例えば、1μH)として誘導コイルを設計したかったとする。図2や図3に示したような、1ターンで1μHの誘導コイルを用いると、このときの総ターン数は勿論1ターンである。一方プラズマの周方向を均一化するために、このコイルを電気的に並列に、90°づつ4ターン設けるとすると、インダクタンスは0.57μHとなり、総ターン数は、4ターンとなる。これではインダクタンスが低すぎるので、4系統並列で1μHのインダクタンスを得るには、1系統あたり、1.5ターン程度(推定)のコイルが必要となろう。すなわち、図4に示したような並列コイルの構成を使おうとする場合、単一コイルと同じインダクタンスを得ようとすると、総ターン数は、著しく増加してしまうことが分かる。単一コイルでは1ターンのコイルですむところが、4系統並列コイルの構成で同じインダクタンスを得ようとすると、1系統1.5ターンづつ、合計6ターンのコイルを設置しないといけない。
本発明では、ターン数の多い並列コイル構成に対して有効な誘導コイルの構造を開示する。まず、図5(実施例2)に示すように(断面が四角形のリング状の絶縁部品(絶縁リング)11を用意する。この絶縁リング11の内面をa面、下面をb面、外面をc面、上面をd面と定義する。また絶縁リング11を90°づつ4つの領域に分割し、図5に示すように領域A,B,C,Dと定義する。図5の実施例では、4系統のコイル要素101を用いる、系統1のコイル要素101−1は、入力端101−1inから、まず領域Aでは、a面を通り、次に、b面、さらにc面を通り出力端101−1outへ行き、計270°のループ(3/4ターン)を構成する。
表1に示すように、系統2のコイル要素は、第1の系統から時計回りに90°ずれて、入力端から、領域Bでa面を通り、領域Cでb面、領域Dでc面の計3/4ターンを構成する。以下、系統3のコイル要素101−3、系統4のコイル要素101−4も前の系統から時計回りに90°ずれて同様に構成される。
この場合、3/4ターンのコイル要素が4系統、計3ターンとなる。これにより実際に作ったコイルを示す斜視図6(実施例3)である。図4に示したように、平面的にコイル要素を配置するのと異なり、空間を有効に用い、コンパクトな誘導コイル10を作ることができる。このような誘導コイルを用い、図1に示したようなプラズマ処理装置に使用することにより、周方向の均一性に優れたプラズマ処理装置を実現することができる。
表1では、コイル要素は、a面からb面、c面と、隣接する面に繋がっていたが、表2に示すように、a面からc面へ行ってそれからb面と行ってもよい。a面からc面へ行くのは一見非合理のように気がするが、対向する面なので、絶縁リング11に穴を開け、その中を通らせればよいので特に問題はない。
また、a面、b面、c面に加えてd面をもコイル要素の配置に用いれば、図7(実施例4)および表3に示すように、系統1が入力端101−1inからa面を通り、次いでb面、c面、d面を通ってd面で出力端101−1outを形成することにより(以下、系統2,系統3,系統4もそれぞれ90°ずらして同様に配置する)、1系統あたり1ターンとなり4系統で4ターンの誘導コイルとなる(図4の例とほぼ同じと考えられる)。
次いで、さらにターン数を増やす場合の実施例を図8(実施例5)および表4を用いて説明する。これまでの実施例では、一つの面に一つの系統の90°のループを構成していたが、この実施例では、一つの面に180°のループをそれぞれ2系統形成し、一つの系統が3面で540°使用するようにすれば、ターン数を増やすことができる。すなわち、系統1のコイル要素101−1は、領域A,Bでa面、領域C,Dでb面、領域A,bでc面と、180°ループごとに面を移ればよい、ただし、この場合、コイル要素は4系統あるので、一つの面を隣のループと共用しなければならない。すなわち、図8および表4に示したように、系統1のコイル要素101−1に対しては、領域Bでa面とc面を系統2の、領域Cでb面を系統4の、領域Dでb面を系統2の、領域Aでa面とc面を系統4のコイル要素がそれぞれ90°づつ共用する。この実施例の場合、3面を用い1系統3/2ターンで、計6ターンとなる。
また、図9(実施例6)および表5を用いて、図8を変形した実施例を説明する。この実施例では、ある特定の面だけを180°ループに使っている。例えば、a面とc面は90°ループ、b面だけ180°ループとしている。すなわち、系統1は、領域Bで系統4の領域Cで系統2のコイル要素とそれぞれ90°づつb面を共用している。a面およびc面は、それぞれの領域を各系統が独立して使用している。プラズマに対する誘導コイルの結合性はプラズマに近い方が高いので、図1に示したような体系のプラズマ装置の場合、b面(下面)におけるループを多く使った方(b面でターン数を多くとった方)が、有利である。この実施例の場合、3面を用い1系統1ターンで、計4ターンとなる。
さらに、ターン数を多く取る別の方法として、4より多い多角形の断面を用いた絶縁リング11を用いることが考えられる。この実施例7を図10および表6を用いて説明する。この実施例では、断面が8角形の絶縁リング11を用いており、図示のようにa面〜h面を定義し、上面であるh面を除く7面を使い、図5に示した実施例と同じように、系統1のコイル要素は領域Aから、90°づつa→b→c→d→e→f→g、系統2のコイル要素は領域Bから、90°づつa→b→c→d→e→f→g、の面を使ってループを構成する。このときコイル要素1系統あたり7/4ターンで、4系統で7ターンの誘導コイルとなる。
ここまでの実施例では、4系統のコイル要素を並列に繋いだ誘導コイルのみ示してきたが、コイル要素の数は、勿論2や3や、あるいは5以上でもよい。
図11および表7は、3系統のコイル要素を用いた実施例8である。この実施例では、コイル要素は120°のループごとに面をa→b→cと移動している。このときコイル要素1系統あたり1ターンで、3系統で3ターンの誘導コイルとなる。
誘導コイル製作上は、断面が多角形の絶縁リング11を用いることが便利である。コイル要素101は銅板などで作り、絶縁リング11にねじ止めすれば形状が保たれるし、あるいは、コイル要素101の配線パターンを絶縁リング11上にめっき後にエッチングでコイルパターンを形成するなどの手法によって作ってもよい。誘導コイルは大電流が通過するために発熱が大きい。一筆書きできる1系統の単純な誘導コイルならば、コイル内部に冷媒などを通して冷却することも可能であるが、並列化した複雑な誘導コイルの場合、内部を冷媒で冷却することは難しい。本発明によれば、絶縁リング11の内部に冷媒を流せば、複雑なコイル全部を効率的に冷やすことが可能となるので、この点からもきわめて有効な発明である。
以上の説明では、成形の観点から、断面多角形の絶縁リング11の各面に所定の角度でループを形成するように構成したが、絶縁リング11は断面を究極の多角形である円形とすることができる。このとき、これまでの実施例で示したようなa面、b面…といった定義はできないので、図12および図13(実施例9)に示されるように、各コイル要素101を所定の角度づつずらして配置したトロイダルコイルとすることができる。この場合、コイル要素101は、スムーズに円環の表面を通り、立体的に配置されることになる。
また、本発明によれば、誘導コイルをコンパクトに作ることが可能なので、図14(実施例10)に示すように、例えば、外と内に二つの誘導コイル10A,10Bを配置し、その電流比を制御することによって、プラズマ分布を制御することも容易となる。
本発明によれば、絶縁リング11は必ずしも必要ではなく、誘導コイルの形状が保たれるのであれば、絶縁リングを省略するとともに仮想の円環を想定してこの円環の表面にコイル素子を配置するよう構成しても特に問題はない。
1…処理室
2…真空排気手段
3…被処理体(半導体ウエハ)
4…搬送システム
5…ガス吹き出し口
6…電極
7…整合器
8…高周波電源
9…絶縁材
10…誘導コイル
11…絶縁リング
12…整合器
13…高周波電源
101…コイル要素
2…真空排気手段
3…被処理体(半導体ウエハ)
4…搬送システム
5…ガス吹き出し口
6…電極
7…整合器
8…高周波電源
9…絶縁材
10…誘導コイル
11…絶縁リング
12…整合器
13…高周波電源
101…コイル要素
Claims (4)
- 被処理物をプラズマ処理する処理室と、該処理室内へ処理用のガスを導入する導入手段と、該処理室内を排気する排気手段と、前記被処理物を載置する試料台と、前記処理室内でプラズマを発生させるための電力供給手段と、該電力供給手段と接続される少なくとも一つの誘導コイルを備えたプラズマ処理装置において、
前記誘導コイルは、2以上のN個の同一形状のコイル要素を回路的に並列に接続して構成されるとともに、その各コイル要素を沿わせる断面形状が円形の円環を設け、
前記N個の同一形状のコイル要素は、前記N個のコイル要素の各入力端を前記円環の全周360°をコイル要素の数Nで割った前記円環の各領域おきにずれて配置するとともに、それぞれ連続的に回転しながら前記円環の表面にトロイダルコイル状に形成されていることを特徴とするプラズマ処理装置。 - 請求項1記載のプラズマ処理装置において、
前記円環の中心が前記被処理物の中心と一致するように構成され、
前記円環は絶縁部品であり、前記コイル要素の導体部が該絶縁部品の表面に形成されていることを特徴とするプラズマ処理装置。 - 請求項1記載のプラズマ処理装置において、
前記円環の中心が前記被処理物の中心と一致するように構成され、
前記円環は絶縁部品であり、前記コイル要素の導体部が該絶縁部品の表面に形成されており、前記絶縁部品に冷却用の冷媒流路が設けられたことを特徴とするプラズマ処理装置。 - 請求項1記載のプラズマ処理装置において、
前記円環の中心が前記被処理物の中心と一致するように構成され、
前記円環は仮想の円環であり、各コイル要素の導体部が該仮想の円環の表面に沿うように形成されていることを特徴とするプラズマ処理装置。
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JP2023532261A (ja) * | 2020-06-23 | 2023-07-27 | 北京北方華創微電子装備有限公司 | コイル構造およびプラズマ処理装置 |
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2010
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