JP2011037301A - 装軌式車両 - Google Patents

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Abstract

【課題】 組立作業時に遊動輪の移動ストロークを十分に確保することができ、不用意な作業の停止、緩衝装置への過剰な負荷を防止し、作業性、耐久性等を向上する。
【解決手段】 一般道路を走行して輸送するために下部走行体2から走行部組立体36を分離する場合には、履帯張り調整装置19を履帯16が弛まない位置まで移動させた状態で、サイドフレーム7の遊動輪ブラケット8と履帯張り調整装置19の緩衝機構21との間に固定ブラケット37を取付ける。従って、履帯16には、固定ブラケット37によって前,後方向に固定された履帯張り調整装置19により張りを持たせることができる。これにより、グリース室26にグリースを追加充填することなく、履帯16が弛むのを防止でき、ヨーク側ピストン−ロッド23による遊動輪14の移動ストロークを十分に確保することができる。
【選択図】 図6

Description

本発明は、例えば油圧ショベル、油圧クレーン等の建設機械として好適に用いられる履帯を備えた装軌式車両に関する。
一般に、油圧ショベル、油圧クレーン等の装軌式車両は、自走可能な装軌式の下部走行体と、該下部走行体上に旋回可能に搭載された上部旋回体と、該上部旋回体に俯仰動可能に設けられた作業装置とにより大略構成されている。
そして、装軌式の下部走行体は、センタフレームの左,右両側に前,後方向に延びるサイドフレームを有したトラックフレームと、前記左,右のサイドフレームの前,後方向の一側に設けられた遊動輪と、前記各サイドフレームの前,後方向の他側に設けられ油圧モータ等により駆動される駆動輪と、前記遊動輪と駆動輪との間に巻回して設けられた履帯と、該履帯の張りを調整するために前記サイドフレームと遊動輪との間に設けられた履帯張り調整装置とを備えている。
また、履帯張り調整装置は、遊動輪を前,後方向に移動可能に支持するヨークと、該ヨークに取付けられ前記サイドフレームとの間で伸縮する緩衝機構とにより構成されている。さらに、緩衝装置は、サイドフレームに沿って前,後方向に延びたチューブと、該チューブの軸方向の一側に伸縮可能に挿嵌され、その突出端がヨークに接続された一側ピストン−ロッドと、該一側ピストン−ロッドと前記チューブとの間に画成され、加圧状態の作動油が流入することによって前記遊動輪を一側に向け付勢する作動油室と、前記チューブの軸方向の他側に伸縮可能に挿嵌された他側ピストン−ロッドと、該他側ピストン−ロッドと前記チューブとの間に画成され、グリースが充填されることによって前記他側ピストン−ロッドをサイドフレームに設けた隔壁に押付けて前記チューブを位置決めするグリース室とにより構成されている。(例えば、特許文献1参照)。
ここで、油圧ショベルのうち、大型の油圧ショベルは、全体の幅寸法が道路交通法で規定された道路を走行できる幅寸法を超えてしまうから、車体を複数の部位に分解した状態でトレーラ等に搭載して輸送する必要がある。このために、下部走行体は、センタフレームと、サイドフレーム、遊動輪、駆動輪、履帯および履帯張り調整装置からなる左,右の走行部組立体とに分離することができる。
この場合、左,右の走行部組立体は、作動油室に作動油を供給しているエンジン側の油圧ポンプと切り離されるから、そのままでは作動油が流出してしまうために、作動油室から作動油を抜き取る。従って、一側ピストン−ロッドが大きく縮小して履帯が弛んでしまうから、弛んだ履帯が積み降ろし作業の障害になってしまう。
そこで、従来技術による油圧ショベルでは、左,右の走行部組立体を輸送する場合に、グリース室に多くのグリースを充填することにより、他側ピストン−ロッドを大きく突出させて履帯に張りを与えている。一方、作業現場に到着して組立てる場合には、グリース室のグリースを抜き取った後に、作動油室を油圧ポンプに接続することにより、作動油室に流入する作動油によって一側ピストン−ロッドを突出させる。さらに、グリース室に適量のグリースを充填することにより履帯の張り具合を調整するようにしている。
特開平8−20368号公報
ところで、従来技術による油圧ショベルでは、作業現場に到着して組立てる場合に、グリース室のグリースを抜き取って他側ピストン−ロッドを縮小させた後に、作動油室を油圧ポンプに接続して一側ピストン−ロッドを大きく突出させている。しかし、グリース室からのグリースの抜き取りが不十分で該グリース室にグリースが残っていると、一側ピストン−ロッドを規定の寸法まで突出させることができない。
この場合には、遊動輪を移動するためのストロークが短くなるから、小さな段差、瓦礫、石等を乗り越えるだけでも、一側ピストン−ロッドがチューブの底面部に衝突してしまう。これにより、異常を感知して作業が頻繁に停止したり、緩衝装置の寿命が短くなるという問題がある。
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、組立作業時に遊動輪の移動ストロークを十分に確保することができ、不用意な作業の停止、緩衝装置への過剰な負荷等を防止でき、作業性、耐久性等を向上できるようにした装軌式車両を提供することにある。
本発明による装軌式車両は、センタフレームの左,右両側に前,後方向に延びるサイドフレームを有したトラックフレームと、前記サイドフレームの前,後方向の一側に設けられた遊動輪と、前記サイドフレームの前,後方向の他側に設けられた駆動輪と、前記遊動輪と駆動輪との間に巻回して設けられた履帯と、前記遊動輪を前,後方向に移動可能に支持するヨークと該ヨークに取付けられ前記サイドフレームとの間で伸縮する緩衝機構とからなる履帯張り調整装置とを備えてなる。
そして、上述した課題を解決するために、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記サイドフレームと前記履帯張り調整装置との間には、少なくとも前記サイドフレーム、遊動輪、駆動輪、履帯および履帯張り調整装置からなる走行部組立体に分離したときに、前記履帯が弛まないように前記履帯張り調整装置を前記サイドフレームの前,後方向に固定するための固定ブラケットを取付け、取外し可能に取付ける構成としたことにある。
請求項2の発明は、前記サイドフレームには、前記履帯張り調整装置のヨークを前,後方向に案内するためのガイド板を設け、前記固定ブラケットは、前記ガイド板と前記緩衝機構の下側位置とにボルトを用いて取付ける構成としたことにある。
請求項3の発明は、前記緩衝機構は、前,後方向に延びたチューブと、該チューブの軸方向の一側に伸縮可能に挿嵌され突出端が前記ヨークに接続された一側ピストン−ロッドと、該一側ピストン−ロッドと前記チューブとの間に画成され前記遊動輪を一側に向け付勢するための作動油が流入する作動油室と、前記チューブの軸方向の他側に伸縮可能に挿嵌された他側ピストン−ロッドと、該他側ピストン−ロッドと前記チューブとの間に画成され前記チューブをサイドフレームに押付けて位置決めするためのグリースが充填されるグリース室とにより構成し、前記緩衝機構のチューブには、その外周側に位置して前記ボルトを螺着するためのねじ穴を設ける構成としたことにある。
請求項1の発明によれば、サイドフレーム、遊動輪、駆動輪、履帯および履帯張り調整装置からなる走行部組立体を分離するときには、サイドフレームと履帯張り調整装置との間に固定ブラケットを取付ける。このときに、履帯張り調整装置を、予め履帯が弛まない位置まで移動させることにより、固定ブラケットは、この位置に履帯張り調整装置を固定することができる。
この結果、グリース室にグリースを追加充填することなく、履帯が弛むのを防止することができるから、履帯張り調整装置を再度伸長させるときには、該履帯張り調整装置による遊動輪の移動ストロークを十分に確保することができる。これにより、ストローク不足によって異常を感知して作業が停止したり、緩衝装置に過剰な負荷が作用したりするのを防止でき、作業性、耐久性等を向上することができる。
請求項2の発明によれば、履帯張り調整装置のヨークを前,後方向に案内するためのガイド板を利用して固定ブラケットを取付けることができる。また、固定ブラケットは、ボルトを用いてガイド板の下周位置に取付ける構成としているから、簡単な作業で取付け、取外しすることができる。
請求項3の発明によれば、装軌式車両の一部を走行部組立体として分離した場合、作動油室内の作動油が抜取られるから、一側ピストン−ロッドが縮小して付勢力がなくなり履帯が弛んで垂れ下がってしまう。このような場合でも、緩衝機構のチューブを履帯に張りを持たせることができる位置まで移動し、この位置でサイドフレームに取付けられた固定ブラケットに対しボルトを用いてチューブ22を取付ける。これにより、履帯に張りを与えることができる。また、固定ブラケットに対しチューブをボルトを用いて簡単に取付け、取外しすることができる。
本発明の実施の形態に係る油圧ショベルを示す正面図である。 図1中の下部走行体の一側部分を拡大して示す要部拡大の断面図である。 サイドフレームと緩衝機構とを図2中の矢示III−III方向からみた要部拡大の断面図である。 履帯張り調整装置に対する周囲の接続形態を示す構成図である。 サイドフレーム、遊動輪、駆動輪、履帯および履帯張り調整装置からなる走行部組立体をトレーラに積載した状態を示す正面図である。 緩衝機構を履帯に張りを持たせる位置まで移動して固定ブラケットで固定した状態を図2と同様位置からみた要部拡大の断面図である。 サイドフレームと緩衝機構とを図6中の矢示VII−VII方向からみた要部拡大の断面図である。 サイドフレームの下ガイド板と緩衝機構と固定ブラケットとを分解した状態で図6中の矢示VIII−VIII方向からみた要部拡大の断面図である。 固定ブラケットを単体で示す外観斜視図である。 変形例による固定ブラケットを単体で示す外観斜視図である。
以下、本発明の実施の形態に係る装軌式車両として、装軌式の下部走行体を備えた油圧ショベルを例に挙げ、図1ないし図9に従って詳細に説明する。
図1において、1は土砂等の掘削作業に用いられる装軌式車両としての大型の油圧ショベルである。この油圧ショベル1は、自走可能な装軌式(クローラ式)の下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3と、該上部旋回体3の前側に設けられた作業装置4とにより大略構成されている。また、上部旋回体3には、後述のエンジン29、油圧ポンプ30、作動油タンク31等が搭載されている。
ここで、装軌式の下部走行体2の構成について説明する。この下部走行体2は、後述のトラックフレーム5、遊動輪14、駆動輪15、履帯16、履帯張り調整装置19等により大略構成されている。
5は下部走行体2を構成するトラックフレームで、該トラックフレーム5は、上部旋回体3が搭載されるセンタフレーム6と、該センタフレーム6の左,右両側に設けられ、前,後方向に伸長した左,右のサイドフレーム7(右側のみ図示)とにより構成されている。また、サイドフレーム7は、図2、図3に示すように、長尺な板体からなる上板7A、下板7B、内側板7C、外側板7D等を溶接手段を用いて接合することにより、前,後方向に延びる角筒体として形成されている。ここで、トラックフレーム5は、下部走行体2を3つの部位に分離して搬送できるように、センタフレーム6と左サイドフレーム7と右サイドフレーム7とが分離可能となっている。
8はサイドフレーム7の一端側に設けられた遊動輪ブラケットで、該遊動輪ブラケット8は、後述の遊動輪14を前,後方向に移動可能に支持するものである。また、遊動輪ブラケット8内には、後述のヨーク20等がが収容されている。そして、遊動輪ブラケット8は、前述したサイドフレーム7の一側部位、後述の仕切り板9,10、ガイド板11,12等により構成されている。
9,10はサイドフレーム7内に互いに対向して配設された2枚の補強用の仕切り板で、遊動輪14側の仕切り板9には、その中央に後述の緩衝機構21が挿通される開口部9Aが形成されている。また、遊動輪14から離れた仕切り板10は、遊動輪14からの荷重を緩衝機構21を介して受承するものである。
11は遊動輪ブラケット8内に位置してサイドフレーム7の各側板7C,7Dから内側に突設された2枚の上ガイド板である(図3参照)。また、12は上ガイド板11の下側に所定の間隔をもって各側板7C,7Dから内側に突設された2枚の下ガイド板である。これらのガイド板11,12は、後述するヨーク20の軸受部20Bを上,下から挟んで前,後方向に移動可能に支持するもので、サイドフレーム7に沿って前,後方向に延びている。
また、各上ガイド板11は、補強板13によってサイドフレーム7の上板7Aと各側板7C,7Dとの間にボックス構造をなして堅固に支持されている。同様に、各下ガイド板12は、補強板13によってサイドフレーム7の下板7Bと各側板7C,7Dとの間にボックス構造をなして堅固に支持されている。
ここで、各下ガイド板12には、図8に示すように、補強板13よりも内側に位置してねじ孔12Aが上,下方向に貫通して形成されている。このねじ孔12Aは、後述する緩衝機構21のチューブ22を遊動輪14側に移動させたときに、該チューブ22に形成されたねじ穴22Eと前,後方向の位置がほぼ合う位置に形成されている。そして、ねじ孔12Aには、後述する固定ブラケット37の両端部を固定するためのボルト38が螺着されるものである。
14はサイドフレーム7の一端側に位置し、遊動輪ブラケット8内に後述のヨーク20を介して回転可能に支持された遊動輪である。この遊動輪14の中心部には、図2に示すように、左,右方向に延びる支持軸14Aが設けられ、該支持軸14Aの両端側がヨーク20の軸受部20Bに回転可能に支持されている。これにより、遊動輪14は、支持軸14Aを中心として回転可能に、かつヨーク20を介し遊動輪ブラケット8に沿って前,後方向に移動することができる。
一方、15はサイドフレーム7の他端側に設けられた駆動輪で(図1参照)、該駆動輪15はスプロケット等により構成されている。そして、駆動輪15は、走行用の油圧モータ(図示せず)によって回転駆動されることにより、後述の履帯16を周回動作させるものである。
16は遊動輪14と駆動輪15との間に巻回して取付けられた履帯である。この履帯16は、サイドフレーム7の上側では各上ローラ17に、サイドフレーム7の下側では各下ローラ18により周回方向に案内されている。そして、履帯16は、駆動輪15を回転駆動することにより、該駆動輪15と遊動輪14との間で周回動作し、不整地等においても油圧ショベル1を安定して走行させるものである。
次に、サイドフレーム7と遊動輪14との間に設けられ、該遊動輪14を前,後方向に移動させることによって履帯16の張り具合を調整する履帯張り調整装置19について説明する。
19はサイドフレーム7の内部に設けられた履帯張り調整装置を示している。この履帯張り調整装置19は、遊動輪14と駆動輪15との間で履帯16の張り具合を調整するものである。また、履帯張り調整装置19は、図2に示す如く、サイドフレーム7内に設けられた仕切り板10と遊動輪14との間に付勢力を発生した状態で配設されている。そして、履帯張り調整装置19は、後述のヨーク20と緩衝機構21とにより大略構成されている。
20は遊動輪ブラケット8内に前,後方向に移動可能に設けられたヨークである。このヨーク20は、遊動輪14を回転可能に支持するものである。また、ヨーク20は、先端側が遊動輪14を跨ぐように略U字状に形成された本体部20Aと、該本体部20Aの両先端部に取付けられた左,右の軸受部20Bとにより構成されている。ここで、本体部20Aは、その基端側が後述する緩衝機構21のヨーク側ピストン−ロッド22の先端に接続されている。また、左,右の軸受部20Bは、各ガイド板11,12に前,後方向に移動可能に支持され、その中央には、遊動輪14の支持軸14Aを回転可能に支持している。
21はサイドフレーム7内に位置してヨーク20に取付けられた緩衝機構で、該緩衝機構21は、履帯16に負荷が作用したときに遊動輪14と仕切り板10との間で伸縮するものである。そして、緩衝機構21は、図4に示すように、後述のチューブ22、ヨーク側ピストン−ロッド23、作動油室24、フレーム側ピストン−ロッド25、グリース室26等により構成されている。
22は緩衝機構21の本体部分をなすチューブで、該チューブ22は、前,後方向に延びる段付円筒体として形成されている。また、チューブ22は、その一端側が有底筒状のヨーク側筒部22Aとなり、他端側が有底筒状のフレーム側筒部22Bとなっている。また、ヨーク側筒部22Aの開口側にはロッドガイド22Cが設けられ、フレーム側筒部22Bの開口側にはロッドガイド22Dが設けられている。
さらに、チューブ22には、図3、図4、図8に示すように、例えばヨーク側筒部22Aの外周側に位置してねじ穴22Eが設けられている。このねじ穴22Eは、ヨーク側筒部22Aの下側位置に左,右方向に間隔をもって例えば2個設けられている。そして、2個のねじ穴22Eには、後述する固定ブラケット37の中央部を固定するためのボルト39を螺着することができる。
23はチューブ22のヨーク側筒部22Aに設けられた一側ピストン−ロッドとしてのヨーク側ピストン−ロッドで、該ヨーク側ピストン−ロッド23は、ヨーク側筒部22A内に軸方向に移動可能に挿嵌されたピストン23Aと、基端側が該ピストン23Aに取付けられ先端側がロッドガイド22Cから突出したロッド23Bとにより構成されている。そして、ピストン23Aは、ヨーク側筒部22Aの底部との間に作動油室24を画成している。
ここで、作動油室24は、後述の油圧ポンプ30とアキュムレータ34とに接続され、これにより、作動油室24内には、アキュムレータ34内の加圧ガスによって常時加圧状態の作動油が供給されている。従って、ヨーク側ピストン−ロッド23は、作動油室24の圧力によって遊動輪14を一側に向け付勢することができる。
25はチューブ22のフレーム側筒部22Bに設けられた他側ピストン−ロッドとしてのフレーム側ピストン−ロッドで、該フレーム側ピストン−ロッド25は、フレーム側筒部22B内に軸方向に移動可能に挿嵌されたピストン25Aと、基端側が該ピストン25Aに取付けられ先端側がロッドガイド22Dから突出したロッド25Bとにより構成されている。そして、ピストン25Aは、フレーム側筒部22Bの底部との間にグリース室26を画成している。
ここで、グリース室26には、グリースニップル27等を介してグリースを充填することができる。そして、グリース室26にグリースを充填することで、その充填量に応じてロッド25Bを伸長することができ、該ロッド25Bの先端をサイドフレーム7の仕切り板10に当接させることができる。これにより、例えば多くのグリースをグリース室26に充填した場合には、仕切り板10に当接させたロッド25Bを伸長することで、サイドフレーム7に対するチューブ22の位置を遊動輪14側に移動させることができ、遊動輪14を介して履帯16を強く張ることができる。
28はチューブ22のヨーク側筒部22A内に設けられた圧力弁で、該圧力弁28は、ヨーク側筒部22A内の底面部中央に嵌合して取付けられている。この圧力弁28は、ヨーク側ピストン−ロッド23が底面部に近接する位置まで大きく縮小したときに、作動油室24内の圧力を後述の圧力センサ35に出力するものである。
また、29は上部旋回体3に搭載されたエンジン(図4参照)、30は該エンジン29によって駆動される油圧ポンプを示し、該油圧ポンプ30の吸込側は作動油タンク31に接続されている。また、油圧ポンプ30の吐出側は、配管32を介して緩衝機構21の作動油室24に接続され、配管32の途中には圧力調整弁33が設けられている。さらに、配管32にはアキュムレータ34が接続して設けられ、該アキュムレータ34は、内部のガス圧により作動油室24に圧力を付与するものである。
35は圧力弁28に接続して設けられた圧力センサである。この圧力センサ35は、ヨーク側ピストン−ロッド23が大きく縮小して圧力弁28を押圧したとき、即ち、遊動輪14の移動ストロークを十分に確保できないときに、圧力弁28からの圧力信号を受承し、コントローラ(図示せず)に電気信号を出力するものである。そして、圧力弁28からの圧力信号を受信したコントローラは、例えばモニタ(図示せず)に点検するように表示したり、エンジン29を停止させたりする。
このように構成された下部走行体2は、トラックフレーム5のセンタフレーム6と左,右のサイドフレーム7とを分離することにより、図5に示すように、サイドフレーム7と遊動輪14と駆動輪15と履帯16と各ローラ17,18と履帯張り調整装置19とからなる走行部組立体36となる。この走行部組立体36は、1つの輸送単位としトレーラTに積載して輸送することができる。
ここで、走行部組立体36は、油圧ポンプ30と切離されるから、このままでは作動油室24内の作動油が漏出して周囲を汚すことになる。このために、走行部組立体36を輸送する場合には、予め作動油室24内の作動油を抜取り、同様にグリース室26内のグリースも抜取るようにしている。しかし、作動油室24から作動油を抜取ると、遊動輪14を履帯16に向けて押付ける付勢力がなくなるから、輸送作業時に履帯16が弛んで垂れ下がってトレーラTへの積載作業の邪魔になる。
そこで、本実施の形態では、下部走行体2を走行部組立体36に分離したときに、履帯16が弛まないように、履帯張り調整装置19をサイドフレーム7の前,後方向に固定する後述の固定ブラケット37を設けている。
即ち、図6ないし図9において、37は下部走行体2から走行部組立体36を分離したときに、該走行部組立体36に設けられる固定ブラケットを示している。この固定ブラケット37は、図8、図9に示すように、角棒体として形成され、その長さ方向の中央部には緩衝機構21のチューブ22の外周面に対面して円弧状凹部37Aが設けられている。また、固定ブラケット37の両端部には、円弧状凹部37Aを上側とする上,下方向に貫通してボルト挿通孔37Bが形成され、円弧状凹部37Aが設けられた中央部には、例えば長さ方向に間隔をもって2個のボルト挿通孔37Cが形成されている。
そして、固定ブラケット37は、その両端部のボルト挿通孔37Bに下側から挿通したボルト38を、遊動輪ブラケット8(サイドフレーム7)を構成する左,右の下ガイド板12のねじ孔12Aに螺着することにより、各下ガイド板12に取付けることができる。また、緩衝機構21のチューブ22を履帯16に張りを持たせることができる位置(図6に示す位置)まで移動させ、この状態で、固定ブラケット37の中央部に設けたボルト挿通孔37Cに下側から挿通したボルト39を、緩衝機構21のチューブ22に設けたねじ穴22Eに螺着することにより、該固定ブラケット37に緩衝機構21のチューブ22を取付けることができる。
従って、固定ブラケット37は、図7、図8に示すように、各下ガイド板12に緩衝機構21のチューブ22を取付けることができ、緩衝機構21を一側に移動させた位置で前,後方向に固定することができる。これにより、緩衝機構21の作動油室24から作動油を抜取った状態でも、図6に示すように、緩衝機構21自体を遊動輪14を介して履帯16に押付けることにより、該履帯16に張りを持たせることができる。また、固定ブラケット37は、ボルト38,39を緩めることにより、各下ガイド板12、緩衝機構21のチューブ22から簡単に取外すことができる。
本実施の形態による油圧ショベル1は上述の如き構成を有するもので、次に、本実施の形態による特徴部分、即ち、下部走行体2を分離して輸送する場合の動作について説明する。
まず、道路交通法で規定された道路を走行することができる幅寸法内に収まるように、下部走行体2を、トラックフレーム5のセンタフレーム6と、左,右の走行部組立体36とに分離し、それぞれを別々に輸送する。
このときに、走行部組立体36は、油圧ポンプ30と切離され、作動油室24内の作動油が抜取られ、グリース室26内のグリースが抜取られる。このように、作動油室24から作動油を抜取ると、遊動輪14を履帯16に向けて押付ける付勢力がなくなり、輸送作業時に履帯16が弛んで垂れ下がってしまうから、履帯16が弛まないように張りを持たせる必要がある。
そこで、本実施の形態では、固定ブラケット37を用意し、その両端部をボルト38により遊動輪ブラケット8の各下ガイド板12に取付ける。また、緩衝機構21のチューブ22を履帯16に張りを持たせることができる位置まで移動し、この状態で、固定ブラケット37の中央部をボルト39により緩衝機構21のチューブ22に取付ける。これにより、履帯16には、緩衝機構21を移動させることによる押圧力で張りを与えることができるから、履帯16が邪魔になることなく、トレーラTの荷台に簡単に積込むことができ、また、荷台から降ろすことができる。
一方、作業現場では、センタフレーム6に各走行部組立体36を取付け、前記センタフレーム6上に上部旋回体3を搭載する。次に、下部走行体2では、ボルト38,39を緩めることにより、各下ガイド板12、緩衝機構21のチューブ22から固定ブラケット37を取外す。また、油圧ポンプ30、アキュムレータ34に接続された配管32を緩衝機構21の作動油室24に接続する。これにより、エンジン29によって油圧ポンプ30を駆動したときには、作動油室24に流入する作動油によってヨーク側ピストン−ロッド23を最大限に伸長させることができる。
このようにして、ヨーク側ピストン−ロッド23を大きく伸長させることにより、遊動輪14の移動ストロークを十分に確保することができる。さらに、グリースニップル27からグリース室26に適量のグリースを充填することにより、フレーム側ピストン−ロッド25のロッド25Bを伸長させ、仕切り板10を押圧することにより、履帯16の張りを調整することができる。
次に、本実施の形態による油圧ショベル1の動作について述べると、この油圧ショベル1で走行するときには、駆動輪15を回転させることにより、遊動輪14との間で履帯16を周回動作させて走行することができる。そして、作業現場では、作業装置4を俯仰動させることにより、土砂の掘削作業等を行うことができる。
かくして、本実施の形態によれば、一般道路を走行して輸送するために下部走行体2から走行部組立体36を分離するときには、履帯張り調整装置19を履帯16が弛まない位置まで移動させた状態で、サイドフレーム7の遊動輪ブラケット8と履帯張り調整装置19の緩衝機構21との間に固定ブラケット37を取付ける。これにより、履帯16は、固定ブラケット37によって前,後方向に固定された履帯張り調整装置19により張りを持たせることができる。
この結果、グリース室26にグリースを追加充填することなく、履帯16が弛むのを防止することができるから、緩衝機構21の各ピストン−ロッド23,25を再度伸長させるときには、ヨーク側ピストン−ロッド23による遊動輪14の移動ストロークを十分に確保することができる。これにより、ストローク不足によって圧力センサ35が異常を感知して作業が停止したり、ヨーク側ピストン−ロッド23の衝突によって緩衝装置21に過剰な負荷が作用したりするのを防止でき、作業性、耐久性等を向上することができる。
また、固定ブラケット37の両端部は、履帯張り調整装置19のヨーク20を前,後方向に案内するためにサイドフレーム7に設けられた既存の下ガイド板12を利用して取付けることができる。一方、固定ブラケット37の中央部は、緩衝機構21のチューブ22の下側位置に取付けることができる。これにより、サイドフレーム7に対し履帯張り調整装置19を前,後方向に固定することができる。
また、固定ブラケット37は、ボルト38,39を用いて下ガイド板12、チューブ22に取付けているから、簡単な作業で取付け、取外しすることができ、輸送作業を容易に行うことができる。
さらに、固定ブラケット37は、角棒体として形成しているから、容易に持ち運ぶことができ、着脱作業時の作業性を向上することができる。また、輸送時以外には、簡単に収納することができる。
なお、実施の形態では、固定ブラケット37を角棒体として形成し、その長さ方向の中央部には、長さ方向に間隔をもって2個のボルト挿通孔37Cを形成した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば図10に示す変形例のように構成してもよい。即ち、変形例による固定ブラケット41は、固定ブラケット37に比較して広幅に形成されることにより板状体をなしている。また、固定ブラケット41の長さ方向の中央部には、幅方向に間隔をもって2個のボルト挿通孔41Cが形成されている。この場合、緩衝機構21のチューブ22には、各ボルト挿通孔41Cに対応し、軸方向に間隔をもって2個のねじ穴を設ければよいものである。
また、実施の形態では、固定ブラケット37は、ボルト38,39を用いて下ガイド板12、チューブ22に取付けた場合を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば固定ブラケット37を、溶接手段を用いて下ガイド板12、チューブ22に取付ける構成としてもよい。この場合、グラインダ等を用いることで固定ブラケット37を取外すことができる。
また、実施の形態では、固定ブラケット37によって履帯張り調整装置19の緩衝機構21をサイドフレーム7の遊動輪ブラケット8に取付けた場合を例にあげて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば履帯張り調整装置19のヨーク20を固定ブラケット37を用いて遊動輪ブラケット8に取付ける構成としてもよい。
さらに、実施の形態では、装軌式車両として油圧ショベル1を例に挙げて説明している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば油圧クレーン、ブルドーザ等の他の装軌式車両にも広く適用することができる。
1 油圧ショベル(装軌式車両)
2 下部走行体
5 トラックフレーム
6 センタフレーム
7 サイドフレーム
8 遊動輪ブラケット
11 上ガイド板
12 下ガイド板
12A ねじ孔
14 遊動輪
15 駆動輪
16 履帯
19 履帯張り調整装置
20 ヨーク
21 緩衝機構
22 チューブ
22E ねじ穴
23 ヨーク側ピストン−ロッド(一側ピストン−ロッド)
24 作動油室
25 フレーム側ピストン−ロッド(他側ピストン−ロッド)
26 グリース室
36 走行部組立体
37,41 固定ブラケット
37A,41A 円弧状凹部
37B,37C,41B,41C ボルト挿通孔
38,39 ボルト

Claims (3)

  1. センタフレームの左,右両側に前,後方向に延びるサイドフレームを有したトラックフレームと、前記サイドフレームの前,後方向の一側に設けられた遊動輪と、前記サイドフレームの前,後方向の他側に設けられた駆動輪と、前記遊動輪と駆動輪との間に巻回して設けられた履帯と、前記遊動輪を前,後方向に移動可能に支持するヨークと該ヨークに取付けられ前記サイドフレームとの間で伸縮する緩衝機構とからなる履帯張り調整装置とを備えてなる装軌式車両において、
    前記サイドフレームと前記履帯張り調整装置との間には、少なくとも前記サイドフレーム、遊動輪、駆動輪、履帯および履帯張り調整装置からなる走行部組立体に分離したときに、前記履帯が弛まないように前記履帯張り調整装置を前記サイドフレームの前,後方向に固定するための固定ブラケットを取付け、取外し可能に取付ける構成としたことを特徴とする装軌式車両。
  2. 前記サイドフレームには、前記履帯張り調整装置のヨークを前,後方向に案内するためのガイド板を設け、前記固定ブラケットは、前記ガイド板と前記緩衝機構の下側位置とにボルトを用いて取付ける構成としてなる請求項1に記載の装軌式車両。
  3. 前記緩衝機構は、前,後方向に延びたチューブと、該チューブの軸方向の一側に伸縮可能に挿嵌され突出端が前記ヨークに接続された一側ピストン−ロッドと、該一側ピストン−ロッドと前記チューブとの間に画成され前記遊動輪を一側に向け付勢するための作動油が流入する作動油室と、前記チューブの軸方向の他側に伸縮可能に挿嵌された他側ピストン−ロッドと、該他側ピストン−ロッドと前記チューブとの間に画成され前記チューブをサイドフレームに押付けて位置決めするためのグリースが充填されるグリース室とにより構成し、
    前記緩衝機構のチューブには、その外周側に位置して前記ボルトを螺着するためのねじ穴を設ける構成としてなる請求項2に記載の装軌式車両。
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