JP2011035061A - 導電性電極付き太陽電池セル基材およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】焼成後の導電性電極の体積抵抗率(比抵抗)を悪化させずに焼成後の導電性電極とシリコン基板との密着性を向上させた導電性電極付き太陽電池セル基材およびその製造方法を提供する。
【解決手段】酸化銀(A)と、所望によりカルボン酸銀(B)と、沸点が200℃以上の有機溶媒(C)とを含有し、組成物中少なくとも50質量%以上が該酸化銀(A)である導電性組成物をシリコン基板上に塗布または印刷して塗膜を形成する塗膜形成工程と、該塗膜を500〜850℃で焼成してシリコン基板上に導電性電極を形成する焼成工程と、を具備する導電性電極付き太陽電池セル基材の製造方法および該製造方法によって製造される導電性電極付き太陽電池セル基材。
【選択図】図1

Description

本発明は太陽電池セル基材に関する。より詳細には、導電性電極付き太陽電池セル基材に関する。
太陽電池に当たる光エネルギーのうち、太陽電池によってどれだけ電気エネルギーに変換されるのかを表す割合を、変換効率といい、太陽電池を評価する最も重要な値である。また、太陽電池セル(単に「セル」ともいう。)1枚についての変換効率をセル効率という。
セル効率は太陽電池の種類によって異なる。シリコン太陽電池の場合、単結晶タイプが15〜19%、多結晶タイプが12〜17%、アモルファスタイプが10〜12%である。
このように、現在のセル効率は10〜19%である。すなわち、太陽光エネルギーの80〜90%は電気エネルギーにならず、どこかに消えているということになる。
そのような損失の原因の一つとして、太陽電池内部の電気抵抗が考えられる。すなわち、シリコン材料や電極部等の電気抵抗のため、発生した電気を全部外部に取り出すことができないということであり、曲線因子(Fill Factor)を悪化させることとなる。
単結晶シリコン太陽電池セルは、例えば、次のようにして製造される。
図1を示しながら説明する。
単結晶シリコンウェハーを、チョクラルスキー法により引き上げられたインゴットをワイヤソウでスライス状に切断して製造する。通常p型シリコンを用いて、p層(5)を形成する。
次に、反射率低減のためウェハー表面に、例えば、エッチングを施してピラミッド状のテクスチャを形成し、反射防止膜(3)を形成する。
次に、オキシ塩化リン(POCl)やドープ二酸化チタン(TiO)を用いて表面にリンを拡散してn層(2)を形成する。
そして、表面電極(4)には銀(Ag)ペーストを、また、裏面電極(6)にはアルミニウム(Al)ペーストを、それぞれ用い、例えば、スクリーン印刷法により電極を形成し、焼成して完成する。
なお、多結晶シリコン太陽電池セルの製造方法は、多結晶シリコンウェハーの製造工程が異なるが、その後の製造工程は単結晶シリコンウェハーの場合とほぼ同様である。
特許文献1には、結晶子径が58nm以上である第1銀粉末と、該銀粉末と結晶子径の異なる第2銀粉末と、ガラスフリットと、樹脂バインダーとを含む太陽電池電極用の導電性ペーストが開示されている。そして、この導電性ペーストによって、接触抵抗の増大やマイクロクラックの発生が抑制され、得られる太陽電池の特性を高めることができる旨が主張されている。
特許文献2には、比表面積が0.20〜0.60m/gである銀粒子と、ガラスフリットと、樹脂バインダーと、シンナーとを含む太陽電池電極用の導電性ペーストが開示されている。そして、この導電性ペーストを用いて作成された電極を有する太陽電池は、優れた発電効率を有する旨が主張されている。
特許文献3には、生産におけるはんだ濡れ不良の発生を抑制するために、銀電極用ペースト中のガラスフリット含有量を低減すると、はんだ濡れ性が改善されるものの、単純に低減すると、今度は、シリコンウェハーとの接着強度が低下してタブ付け時に電極が剥離し易くなる等、接着信頼性が低下することが記載されている。
そして、ガラスフリット含有量を低減することなくはんだ濡れ性を改善するための手段として、(1)銀粉末と、ガラスフリットと、樹脂と、有機溶剤とを少なくとも含み、該ガラスフリットが、粒径125μm未満のガラスフリットを開口径24〜100μmの篩で分級した残留分であることを特徴とする銀電極用の導電性ペースト、および、(2)受光面側の表面電極と、pn接合を有するシリコン基板および裏面電極とを少なくとも具備する太陽電池セルの裏面電極を、前記導電性ペーストをシリコン基板に塗布し、焼成することにより形成することからなる太陽電池セルの製造方法が開示されている。
特許文献4には、酸化銀と、沸点が200℃以下の2級カルボン酸を用いて得られる2級脂肪族カルボン酸銀とを含有する導電性組成物、該導電性組成物を基材上に塗布して塗膜を形成する塗膜形成工程と、得られた塗膜を100〜250℃で熱処理して導電性被膜を得る熱処理工程とを具備する導電性被膜の形成方法、および該導電性被膜の形成方法により得られる導電性被膜が開示されている。そして、導電性被膜の形成時間が短く、耐熱性の低い基材にも良好に導電性被膜を形成することができることが記載されている。
特許文献5には、酸化銀と、炭素原子数7以下の第二級脂肪族カルボン酸銀と、炭素原子数8以上の直鎖状もしくは分岐状のカルボン酸および/または炭素原子数8以上の直鎖状もしくは分岐状の脂肪族カルボン酸銀と、溶媒とを含有する導電性組成物、該導電性組成物を基材上に塗布して塗膜を形成する塗膜形成工程と、前記塗膜を100〜250℃で熱処理して導電性電極を得る熱処理工程とを具備する導電性被膜の形成方法、ならびに、該導電性被膜の形成方法により得られる導電性被膜が開示されている。そして、前記導電性組成物は、チクソ性に優れ、短い加熱時間でも電気抵抗の低い導電性被膜となりうること、および、前記導電性被膜の形成方法によれば、電気抵抗が低い導電性被膜を得ることができることが記載されている。
特開2007−194581号公報 特開2007−235082号公報 特開2004−146154号公報 特許第3990712号公報 特許第4050301号公報
しかし、従来技術で得られる導電性電極付き太陽電池セル基材の焼成後の導電性電極の体積抵抗率(比抵抗)および電極とシリコン基板との密着性について、体積抵抗率を悪化させずに密着性を向上させることが求められている。
そこで、本発明は、焼成後の導電性電極の体積抵抗率(比抵抗)を悪化させずに焼成後の導電性電極とシリコン基板との密着性を向上させた導電性電極付き太陽電池セル基材およびその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、酸化銀(A)と、カルボン酸銀(B)と沸点が200℃以上の有機溶媒(C)とを含有し、組成物中少なくとも50質量%以上が該酸化銀(A)である導電性組成物をシリコン基板上に印刷または塗布して塗膜を形成し、該塗膜を500〜850℃で焼成してシリコン基板上に形成した導電性電極は、焼成後の導電性電極の体積抵抗率を悪化させずに電極とシリコン基板との密着性を向上させた導電性電極付き太陽電池セル基材が得られることを知得した。
本発明者らは、さらに鋭意検討を重ねた結果、酸化銀(A)と、沸点が200℃以上の有機溶媒(C)とを含有し、組成物中少なくとも50質量%以上が該酸化銀(A)である導電性組成物をシリコン基板上に印刷または塗布して塗膜を形成し、該塗膜を500〜850℃で焼成してシリコン基板上に形成した導電性電極は、焼成後の導電性電極の体積抵抗率を悪化させずに電極とシリコン基板との密着性を向上させた導電性電極付き太陽電池セル基材が得られることを知得した。
すなわち、本発明は以下のものである。
〔1〕酸化銀(A)と、沸点が200℃以上の有機溶媒(C)とを含有し、組成物中少なくとも50質量%以上が該酸化銀(A)である導電性組成物を、シリコン基板上に塗布または印刷して塗膜を形成し、該塗膜を500〜850℃で焼成してシリコン基板上に導電性電極を形成して製造される、導電性電極付き太陽電池セル基材。
〔2〕前記導電性組成物が、前記酸化銀(A)と、前記沸点が200℃以上の有機溶媒(C)とからなる導電性組成物である、上記〔1〕に記載の導電性電極付き太陽電池セル基材。
〔3〕酸化銀(A)と、カルボン酸銀(B)と、沸点が200℃以上の有機溶媒(C)とを含有し、組成物中少なくとも50質量%以上が該酸化銀(A)である導電性組成物を、シリコン基板上に塗布または印刷して塗膜を形成し、該塗膜を500〜850℃で焼成してシリコン基板上に導電性電極を形成して製造される、導電性電極付き太陽電池セル基材。
〔4〕前記カルボン酸銀(B)が脂肪族カルボン酸銀である、上記〔3〕に記載の導電性電極付き太陽電池セル基材。
〔5〕前記カルボン酸銀(B)が2−メチルプロパン酸銀である、上記〔3〕に記載の導電性電極付き太陽電池セル基材。
〔6〕前記導電性組成物が銀粉(D)をさらに含有する、上記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の導電性電極付き太陽電池セル基材。
〔7〕前記導電性組成物がガラスフリット(E)をさらに含有する、上記〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の導電性電極付き太陽電池セル基材。
〔8〕前記沸点が200℃以上の有機溶媒(C)がα−テルピネオールである、上記〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の導電性電極付き太陽電池セル基材。
〔9〕酸化銀(A)と、沸点が200℃以上の有機溶媒(C)とを含有し、組成物中少なくとも50質量%以上が該酸化銀(A)である導電性組成物をシリコン基板上に塗布または印刷して塗膜を形成する塗膜形成工程と、該塗膜を500〜850℃で焼成してシリコン基板上に導電性電極を形成する焼成工程と、を具備する導電性電極付き太陽電池セル基材の製造方法。
〔10〕前記導電性組成物が、前記酸化銀(A)と、前記沸点が200℃以上の有機溶媒(C)とからなる導電性組成物である、上記〔9〕に記載の導電性電極付き太陽電池セル基材の製造方法。
〔11〕酸化銀(A)と、カルボン酸銀(B)と、沸点が200℃以上の有機溶媒(C)とを含有し、組成物中少なくとも50質量%以上が該酸化銀(A)である導電性組成物をシリコン基板上に塗布または印刷して塗膜を形成する塗膜形成工程と、該塗膜を500〜850℃で焼成してシリコン基板上に導電性電極を形成する焼成工程と、を具備する導電性電極付き太陽電池セル基材の製造方法。
〔12〕前記カルボン酸銀(B)が脂肪族カルボン酸銀である、上記〔11〕に記載の導電性電極付き太陽電池セル基材の製造方法。
〔13〕前記カルボン酸銀(B)が2−メチルプロパン酸銀である、上記〔11〕に記載の導電性電極付き太陽電池セル基材の製造方法。
〔14〕前記導電性組成物が銀粉(D)をさらに含有する、上記〔9〕〜〔13〕のいずれかに記載の導電性電極付き太陽電池セル基材の製造方法。
〔15〕前記導電性組成物がガラスフリット(E)をさらに含有する、上記〔9〕〜〔14〕に記載の導電性電極付き太陽電池セル基材の製造方法。
〔16〕前記沸点が200℃以上の有機溶媒(C)がα−テルピネオールである、上記〔9〕〜〔15〕のいずれかに記載の導電性電極付き太陽電池セル基材の製造方法。
本発明によれば、焼成後の導電性電極の体積抵抗率(比抵抗)を悪化させずに焼成後の導電性電極とシリコン基板との密着性を向上させた導電性電極付き太陽電池セル基材およびその製造方法を提供することができる。
図1は太陽電池セルの代表的な構成を示す断面図である。
本発明の導電性電極付き太陽電池セル基材(以下「本発明のセル基材」ともいう。)は、酸化銀(A)と、沸点が200℃以上の有機溶媒(C)とを含有し、組成物中少なくとも50質量%以上が該酸化銀(A)である導電性組成物をシリコン基板上に塗布または印刷して塗膜を形成し、該塗膜を500〜850℃で焼成してシリコン基板上に導電性電極を形成して製造される、導電性電極付き太陽電池セル基材である。
本発明のセル基材は、また、酸化銀(A)と、所望によりカルボン酸銀(B)と、沸点が200℃以上の有機溶媒(C)とを含有し、組成物中少なくとも50質量%以上が該酸化銀(A)である導電性組成物をシリコン基板上に塗布または印刷して塗膜を形成し、該塗膜を500〜850℃で焼成してシリコン基板上に導電性電極を形成して製造される、導電性電極付き太陽電池セル基材である。
〈導電性組成物〉
本発明のセル基材に使用される導電性組成物に含有される成分について説明する。
《酸化銀(A)》
酸化銀について以下に説明する。
本発明に係る導電性組成物に含有される酸化銀は、酸化銀(I)、すなわち、AgOである。
本発明においては、酸化銀の形状は特に限定されず、粒子径が10μm以下の粒子状であるのが好ましく、5μm以下であるのがより好ましい。粒子径がこの範囲であると、本発明の組成物をインクとした時、インクとしての滑らかさ、印刷性にすぐれる。さらに、より低温で自己還元反応が生ずるので、結果的により低温で導電性電極を形成できる。自己還元により生じた銀単体同士が連結するので、本発明に係る導電性組成物が低体積抵抗率の導電性電極を形成することができると考えられる。特に、後記銀粉(E)を配合した場合には、酸化銀(A)が銀粉(E)の連結剤として作用して、より低体積抵抗率の導電性電極を形成することができると考えられる。
酸化銀としては、具体的には、例えば、酸化銀(東洋化学工業社製)を使用することができる。
《カルボン酸銀(B)》
本発明に係る導電性組成物に含有してもよいカルボン酸銀は、飽和脂肪族、不飽和脂肪族、芳香族、直鎖状、分岐状のカルボン酸銀を使用することができる。カルボン酸銀としては、具体的には、例えば、酢酸銀、プロピオン酸銀、ラウリン酸銀、ステアリン酸銀、オレイン酸銀、2−エチルヘキサン酸銀、酪酸銀、ネオデカン酸銀、安息香酸銀、アジピン酸銀などが挙げられる。
特に、体積抵抗率を悪化させず密着性を向上させることができることから、炭素原子数7以下の第二級脂肪族カルボン酸銀を含有させることが好ましい。
前記炭素原子数7以下の第二級脂肪族カルボン酸銀(以下、単に「脂肪族カルボン酸銀」ともいう。)は、炭素原子数7以下の第二級脂肪族カルボン酸銀であれば特に限定されない。
脂肪族カルボン酸銀は不飽和結合を有することができる。
脂肪族カルボン酸銀としては、例えば、下記式(1)で表されるものが挙げられる。
式中、R、Rは、炭素原子数1〜3のアルキル基を表し、Rの炭素原子数とRの炭素原子数の和は5以下である。アルキル基は分岐していてもよい。
炭素原子数1〜3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基が挙げられる。
は、メチル基、エチル基であるのが好ましい。
は、メチル基、エチル基、n−プロピル基であるのが好ましい。
脂肪族カルボン酸銀としては、例えば、2−メチルプロパン酸銀(別名:イソ酪酸銀)、2−メチルブタン酸銀(別名:2−メチル酪酸銀)、2−メチルペンタン酸銀、2−エチルブタン酸銀、アクリル酸銀が挙げられる。
なかでも、得られる組成物を用いて形成される導電性電極の形成時間が短時間、具体的には500℃程度の温度で数秒(例えば、1〜5秒程度)でも電気抵抗のより低い導電性電極となりうることから、2−メチルプロパン酸銀が好ましい。焼成時間が短く、焼成温度が低ければ、それだけ太陽電池セル基材へのダメージが少なくて済む。
脂肪族カルボン酸銀は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
脂肪族カルボン酸銀は、その製造について特に制限されず、例えば、炭素原子数7以下の第二級カルボン酸と酸化銀とを反応させることによって得ることができる。
脂肪族カルボン酸銀の製造の際に用いられる第二級カルボン酸は、炭素原子数7以下の第二級カルボン酸であれば特に限定されない。第二級カルボン酸は不飽和結合を有することができる。
炭素原子数7以下の第二級カルボン酸としては、例えば、下記式(2)で表されるものが挙げられる。
式中、R、Rは、前記と同義である。
は、メチル基、エチル基であるのが好ましい。
は、メチル基、エチル基、n−プロピル基であるのが好ましい。
第二級カルボン酸としては、例えば、2−メチルプロパン酸(別名:イソ酪酸)、2−メチルブタン酸(別名:2−メチル酪酸)、2−メチルペンタン酸、2−エチルブタン酸のような飽和第二級カルボン酸;アクリル酸のような不飽和第二級カルボン酸が挙げられる。
一方、第二級脂肪族カルボン酸銀の製造の際に用いられる酸化銀は、本発明に係る導電性組成物に含有される酸化銀(A)と同義である。
炭素原子数7以下の第二級カルボン酸と酸化銀との反応は、下記式(3)で表される反応が進行するものであれば特に限定されない。
脂肪族カルボン酸銀(B)の製造において、酸化銀を粉砕しつつ進行させる方法や酸化銀を粉砕した後に第二級カルボン酸を反応させる方法が好ましい態様として挙げられる。前者の方法としては、具体的には、酸化銀と、溶剤により第二級カルボン酸を溶液化したものとを、ボールミル等により混練し、固体である前記酸化銀を粉砕させながら、室温で、1〜24時間程度、好ましくは2〜8時間反応させるのが好ましい。
第二級カルボン酸を溶液化する溶剤としては、例えば、ブチルカルビトール、メチルエチルケトン、イソホロン、α−テルピネオール、トリエチレングリコールが挙げられる。
溶剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
なかでも、イソホロンおよび/またはα−テルピネオールを溶剤として用いるのが、得られる第二級脂肪族カルボン酸銀を含有する本発明の導電性組成物のチクソ性がより良好となる。
本発明に係る導電性組成物において、酸化銀(A)とカルボン酸銀(B)との量比は、酸化銀のモル数Mと、カルボン酸銀のモル数Mとのモル比(M/M)が、2/1〜15/1であるのが好ましく、1/1〜10/1であるのがより好ましい。モル比がこの範囲である場合、得られる導電性組成物を用いて形成した導電性電極の電気抵抗がより低くなる。
脂肪族カルボン酸銀以外に使用されるカルボン酸銀としては、インクとしての印刷性を高めることを目的に特に炭素数8以上の直鎖状もしくは分岐状の脂肪族カルボン酸銀を併用することが好ましい。
例えば、カプリル酸(炭素原子数8。以下、この段落において[]内の数字はカルボン酸の炭素原子数を示す。)、カプリン酸銀[10]、ラウリン酸銀[12]、ミリスチン酸銀[14]、パルミチン酸銀[16]、ステアリン酸銀[18]のようなモノカルボン酸含有飽和脂肪族炭化水素化合物;オレイン酸[18]、リノール酸[18]、リノレン酸[18]、アラキドン酸[20]、エイコサペンタエン酸[20]、ドコサヘキサエン酸[22]のような不飽和カルボン酸が挙げられる。
《沸点が200℃以上の有機溶媒(C)》
本発明に係る導電性組成物に含有される沸点が200℃以上の有機溶媒(C)は、酸化銀(A)を分散できるものであれば特に限定されない。
本発明に係る導電性組成物がカルボン酸銀(B)を含有するときは、これらを溶解できるものであれば、特に制限されない。
沸点が200℃以上の有機溶媒(C)としては、具体的には、例えば、ブチルカルビトール、メチルエチルケトン、イソホロン、α−テルピネオール、トリエチレングリコールなどが挙げられる。
なかでも、電気抵抗のより低い導電性電極となりうるという観点から、還元性溶剤であるα−テルピネオール、トリエチレングリコールが好ましい。
沸点が200℃以上の有機溶媒(C)は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
溶媒の量は、チクソ性により優れ、電気抵抗のより低い電極となりうるという観点から、酸化銀100質量部に対して、20〜50質量部であるのが好ましく、25〜40質量部であるのがより好ましい。
《その他含有してよい成分》
本発明に係る導電性組成物は、所望により、銀粉(D)および/またはガラスフリット(E)を含有することができる。
本発明に係る導電性組成物に含有してもよい銀粉(D)は、特に限定されないが、見かけ密度0.7〜2.5g/cm、タップ密度1.2〜6.0g/cm、BET比表面積0.1〜2.8m/gの、微粉末のものが好ましい。
微粉末であれば形状は特に限定されず、フレーク状であっても球状であってもよい。このような銀粉であると、連結剤となる酸化銀との接触面積が大きく、結果的により短時間で導電性電極を形成できる。より好ましくはフレーク状の銀粉と球状の銀粉をブレンドして用いることである。
銀粉としては、具体的には、例えば、銀粉「シルコート」(福田金属箔粉工業社製)、「AGシリーズ、FAシリーズ」(DOWAエレクトロニクス社製)を使用することができ、なかでも、より短時間で電極を焼成できるという観点から、具体的には、「シルコート」(福田金属箔粉工業社製)の中ではフレーク状銀粉のAgC−B2,AgC−2011、球状銀粉のAgC−103が好ましく、「AGシリーズ、FAシリーズ」(DOWAエレクトロニクス社製)の中ではフレーク状銀粉のFA−5−1、球状銀粉のAG2−1C、AG4−8Fが好ましい。
本発明に係る導電性組成物に含有してもよいガラスフリット(E)は、軟化温度が300℃以上で、焼成温度以下のものであれば特に限定されない。好ましいガラスフリットとしては、軟化温度300〜800℃のホウケイ酸ガラスフリットが挙げられる。
ガラスフリットの形状は特に限定されず、球状でも破砕粉状でもよい。その平均粒径(D50)は、0.1〜20μmであることが好ましく、1〜3μmであることがより好ましい。さらに、10μm以上の粒子を除去した、シャープな粒度分布を持つガラスフリットを用いることが好ましい。
ガラスフリットを配合する場合、その配合量は、銀粉(A)100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましく、0.5〜5質量部がより好ましい。この範囲内であると導電性電極とシリコン基板の半導体層との密着性を向上させることができるとともに、電気抵抗を十分に低くできるからである。
しかし、ガラスフリットを含むと、焼成後の電極の体積抵抗率が高くなる場合があるので、太陽電池セルの用途によっては、使用する導電性組成物がガラスフリットを含まないものが好ましい。
ガラスフリット(E)としては、具体的には、例えば、旭硝子社製AGC粉末ガラス(ASFシリーズ)を使用することができ、より具体的には、バインダー用粉末ガラス ASF1216(主成分 SiO・PbO・B、旭硝子社製)を使用することができる。
本発明に係る導電性組成物は、さらに、銀粉以外の金属粉、還元剤、消泡剤、カップリング剤、樹脂等の添加剤を含有することができる。
銀粉以外の金属粉としては、例えば、銅、アルミニウム等が挙げられ、中でも、銅であるのが好ましい。また、0.01〜10μmの粒径の金属粉であるのが好ましい。
還元剤としては、例えば、エチレングリコール類等が挙げられる。
樹脂としては、例えば、セルロース樹脂等が挙げられる。しかし、樹脂を含むと、焼成後の電極の体積抵抗率が高くなる場合があるので、太陽電池セルの用途によっては、使用する電導性組成物が樹脂を含まないものが好ましい。
《導電性組成物の製造方法》
本発明に係る導電性組成物は、その製造について特に限定されない。例えば、酸化銀(A)と、所望によりカルボン酸銀(B)と、沸点が200℃以上の有機溶媒(C)と、必要に応じて含有することができる添加剤とを、ロール、ニーダー、押出し機、万能かくはん機、自転・公転真空攪拌機等により混合する方法が挙げられる。
本発明に係る導電性組成物においては、上述のとおり、脂肪族カルボン酸銀(B)の製造の際に使用される酸化銀は、本発明に係る導電性組成物に含有される酸化銀(A)と同様であるため、本発明に係る導電性組成物を製造する際、予め合成した第二級カルボン酸銀を含有させる以外に、例えば、酸化銀とカルボン酸とを系内で反応させてカルボン酸銀を生成させることによって、導電性組成物中にカルボン酸銀を存在させることができる。
第二級カルボン酸銀、炭素原子数8以上のカルボン酸銀についても同様に製造することができる。
本発明に係る導電性組成物は、23℃、65%RH(相対湿度)の条件下において、E型粘度計にて3°コーンを用いて測定されたチクソインデックス(1r.p.mでの粘度/10r.p.mでの粘度)が、4.0以上であるのが好ましく、5.0〜20であるのがより好ましい。
本発明に係る導電性組成物の用途は、太陽電池用シリコン基板上に導電性電極を形成するためのインクペーストである。
本発明に係る導電性組成物は、カルボン酸銀(B)を含有するため、電気抵抗の低い電極となることができ、導電性電極の形成時間が短く、具体的には、700℃程度の温度で1秒〜5秒程度で導電性電極を形成することができる。これは、カルボン酸銀(B)を含むことにより酸化銀単独より低温でも焼成により銀に分解されやすく、かつ、元の酸化銀よりも小さな粒子として、銀が溶融しながら生成するので、電気抵抗が低く、基材との密着にも優れる結果となる。このとき、より速やかに分解が進行する第二級脂肪酸カルボン酸銀を含むことが、上記性能発現に好ましい結果となる。
また、本発明に係る導電性組成物は、炭素数8以上の直鎖状もしくは分岐状の脂肪族カルボン酸銀を併用することが好ましい。炭素数8以上の直鎖状もしくは分岐状の脂肪族カルボン酸銀を併用することにより、チクソ性に優れ、結果として印刷性に良い影響を与える。これは炭素数8以上の直鎖状もしくは分岐状の脂肪族カルボン酸銀と沸点が200℃以上の有機溶媒(C)との相溶性がよいため、炭素数8以上の直鎖状もしくは分岐状の脂肪族カルボン酸銀が、系内において酸化銀(A)の分散剤として働き、組成物にチクソトロピー性を付与していると本発明者は推察する。
このように、本発明に係る導電性組成物は、電極の電気抵抗の低減化とチクソ性のバランスに優れるものである。
本発明の導電性組成物をインクペーストとして使用する場合、印刷時に膜厚をコントロールしやすく、細線でも精度よく印刷することができ、ニジミがなく、版離れがよく、印刷性に優れる。
〈導電性電極、太陽電池セル基材の製造方法〉
次に、本発明の導電性電極の形成方法について以下に説明する。
本発明の導電性電極の形成方法は、本発明の導電性組成物を基材上に塗布して塗膜を形成する塗膜形成工程と、得られた塗膜を焼成して導電性電極を得る焼成工程と、を具備する導電性電極の形成方法である。
以下に、塗膜形成工程、焼成工程、導電性電極およびシリコン基板について詳述する。
《塗膜形成工程》
塗膜形成工程は、本発明の導電性組成物を太陽電池用シリコン基板(シリコンウェハー)上に塗布して塗膜を形成する工程である。
本発明に係る導電性組成物は、例えば、インクジェット、スクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、凸版印刷のような塗布方法により基材上に塗布され、塗膜を形成する。
《焼成工程》
焼成工程は、塗膜形成工程で得られた塗膜を焼成して導電性電極を得る工程である。
焼成工程において、塗膜を焼成して導電性電極を得ることによって、塗膜を有する基板を導電性電極付き基材とすることができる。
焼成工程において、塗膜を焼成する際の温度は、シリコンウェハーの耐熱性から、500〜850℃であり、700℃程度で、2秒〜10分程度、加熱する処理であるのがより好ましい。
焼成温度および時間がこの範囲である場合、良好な導電性電極を形成することができる。
なお、本発明においては、前記塗膜形成工程で得られた塗膜は、紫外線または赤外線の照射でも前記サイクルにより導電性電極を形成することができるため、前記焼成工程は、紫外線または赤外線の照射によるものであってもよい。
《導電性電極》
表面電極は、一般に太陽電池セルに用いられる形状およびパターン形状に形成され、その形状としては、四角形、楕円などが挙げられる。また、そのパターン形状は、くし型、ドット状、ストライプ形、格子形、フィシュボーン形が挙げられ、パターンの大きさ、配置ピッチは、使用する半導体基板の導電率、厚さなどのパラメータにより適宜設計すればよい。その膜厚は、数〜数十μm程度である。
裏面電極は、表面電極と同様にして、本発明の銀電極用ペーストを用いて、スクリーン印刷法などの公知の方法により塗布し、焼成することにより形成することができる。
前記導電性組成物で形成された表面電極は、アスペクト比(高さ/幅)0.4以上を実現することが好ましく、0.6以上を実現することがより好ましい。太陽電池セルの受光表面積をより大きくできる、または、受光により発生した起電力を、電流として効率良く取り出すことができることが期待されるからである。
なお、受光面不純物拡散領域において、表面電極が形成されていない部分には、通常、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、酸化チタン膜およびこれらの積層膜などからなる反射防止膜が形成される。反射防止膜は、プラズマCVD法などの公知の方法により形成することができ、その膜厚は、0.05〜0.1μm程度である。
また、本発明のセル基材において、裏面電極が形成されていない部分には、通常、アルミ電極のような裏面集電電極が形成される。裏面集電電極は、例えば、アルミ電極用ペーストをスクリーン印刷法などの公知の方法により塗布し、焼成することにより形成することができる。その焼成条件は、例えば、空気中、650〜750℃程度で1〜5分間程度である。その膜厚は、例えば、数μm〜数十μm程度である。
《シリコン基板》
本発明のセル基材に使用されるシリコン基板は、太陽電池を形成するためのシリコン基板であればよく、単結晶または多結晶のシリコン基板が挙げられる。その厚さは、100〜450μm程度である。
半導体インゴットから切り出された半導体基板は、表面清浄化のために、予め混酸エッチングと純水リンスに付すのが好ましい。
シリコン基板はpn接合を有するが、これは、第1導電型の半導体基板の表面側に第2導電型の受光面不純物拡散領域が形成されていることを意味する。
ここで、第1導電型がn型の場合には、第2導電型はp型であり、第1導電型がp型の場合には、第2導電型はn型である。
p型を与える不純物としては、ホウ素、アルミニウム等が挙げられ、n型を与える不純物としては、リン、砒素などが挙げられる。
半導体基板には、p型、n型共に比抵抗で0.1〜10Ω・cm程度のシリコン基板が使用される。
半導体基板の表面側には、気相拡散法などの公知の方法により第2導電型の不純物が拡散され、第2導電型の受光面不純物拡散領域が形成される。この領域は、表面から0.1〜0.5μmの範囲に形成されるのが好ましい。その不純物層としては、p型、n型共にシート抵抗値として20〜100Ω/□程度が好ましい。
以下、実施例を用いて、本発明の製造方法について詳細に説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1〜7、比較例1)
各実施例、比較例について、各成分を第1表に示す配合割合で配合して、導電性組成物を調製した。
第1表において、各成分は次のものである。
・A成分:酸化銀:酸化銀(東洋化学工業社製)
・B成分:カルボン酸銀1:2−メチルプロパン酸銀[α−テルピネオール(東京化成工業社製)60g中に、2−メチルプロパン酸(関東化学社製)30.5gと酸化銀40gとを加えて混合物とし、この混合物をボールミルで12時間混練して合成したもの]
・B成分:カルボン酸銀2:ラウリン酸銀[α−テルピネオール(東京化成工業社製)60g中に、ラウリン酸(関東化学社製)68gと酸化銀40gとを加えて混合物とし、この混合物をボールミルで12時間混練して合成したもの]
・C成分:有機溶媒:α−テルピネオール(東京化成工業社製)
・D成分:銀粉:シルコート AgC−103(福田金属箔粉工業社製)
・E成分:ガラスフリット:バインダー用粉末ガラス ASF1216(主成分 SiO・PbO・B、旭硝子社製)
・銀ペースト:高耐熱導電性ペースト DWP−025(東洋紡績社製)
〈セル基材サンプルの作製〉
《実施例1》
第1表の実施例1の導電性組成物を、厚さ200μmの太陽電池用シリコン基板(単結晶シリコンウェハー LS−25TVA、156mm×156mm×200μm、信越化学工業社製)上にスクリーン印刷して塗膜を形成した。塗膜を形成したシリコン基板は、3セット準備した。
次に、塗膜を形成したそれぞれのシリコン基板を、170℃で10分間乾燥をしてから700℃で10分間焼成を行うか(この焼成条件を、以下「焼成条件1」という。)、乾燥をせずに700℃で3秒間焼成を行うか(この焼成条件を、以下「焼成条件2」という。)、または、乾燥をせずに700℃で10分間焼成を行うか(この焼成条件を、以下「焼成条件3」という。)して、シリコン基板上に導電性電極を形成した。すなわち、各実施例・比較例において、焼成条件1、2および3のそれぞれの焼成条件について導電性電極付きシリコン基板を作成した。
《実施例2》
第1表の実施例2の導電性組成物を使用した他は、実施例1と同様である。
《実施例3》
第1表の実施例3の導電性組成物を使用した他は、実施例1と同様である。
《実施例4》
第1表の実施例4の導電性組成物を使用した他は、実施例1と同様である。
《実施例5》
第1表の実施例5の導電性組成物を使用した他は、実施例1と同様である。
《実施例6》
第1表の実施例6の導電性組成物を使用した他は、実施例1と同様である。
《実施例7》
第1表の実施例7の導電性組成物を使用した他は、実施例1と同様である。
《比較例1》
第1表の比較例1の導電性組成物を使用した他は、実施例1と同様である。
〈性能試験〉
実施例1〜7および比較例1の各焼成条件で導電性電極を作成したシリコン基板をセル基材サンプルとして以下の試験に供した。
(1)体積抵抗率(比抵抗)
各実施例の各セル基材サンプルについて、抵抗率計(ロレスターGP、三菱化学社製)を用いた四端子四探針法により体積抵抗値(比抵抗)を測定した。
体積抵抗値1.0×10−5Ω・cm未満を、体積抵抗率が特に優れる(十分満足できる)として「◎」と評価し、1.0×10−5Ω・cm以上2.5×10−5Ω・cm未満を、体積抵抗率が優れる(満足できる)として「○」と評価し、さらに2.5×10−5Ω・cm以上を体積抵抗率が劣る(満足できない)として「×」と評価した。試験結果を第2表の「体積抵抗率」の欄に示す。なお、測定値の欄において、「<」は「未満」を意味する。すなわち、例えば、「<2.5×10−5」は、「2.5×10−5未満」を意味する。
(2)密着性
各実施例の各セル基材サンプルに対して碁盤目をカットし、テープを貼りつけてはく離して、碁盤目はく離試験を実施した。全100マスに対し、残ったマス目の数が多いほど密着性が高く、100マス中95マス以上残ったものを密着性が特に優れる(十分満足できる。)として「◎」と評価し、100マス中80マス以上残ったものを密着性が優れる(満足できる。)として「○」と評価し、100マス中80未満が残ったものを密着性が劣る(満足できない)として「×」と評価した。試験結果を第2表の「密着性」の欄に示す。なお、例えば、80/100とは、100マス中80マスが残ったことを意味する。
第2表に示されるように、実施例1〜7、比較例1に係る各セル基材は、焼成条件1〜3のいずれでも導電性電極の体積抵抗率が2.5×10−5Ω・cm未満と優れ、特に実施例1、2、5および6は、1.0×10−5Ω・cm未満と特に優れていた。
さらに、第2表に示されるように、実施例1〜7に係る各セル基材は、碁盤目はく離試験の結果が、焼成条件1〜3のいずれでも80/100以上と、密着性が優れ、しかも、焼成条件2および3では100/100と、密着性が特に優れていた。一方、比較例1は、碁盤目はく離試験の結果が25/100であり、劣っていた。
以上から、本発明の導電性電極付き太陽電池セル基材は、導電性電極の体積抵抗率が低く、かつ、導電性電極とシリコン基板との密着性が向上しており、優れた性能を有する太陽電池セル基材であることが、容易に理解される。
1 太陽電池セル
2 n層
3 反射防止膜
4 表面電極
5 p層
6 裏面電極
7 シリコン基板

Claims (16)

  1. 酸化銀(A)と、沸点が200℃以上の有機溶媒(C)とを含有し、組成物中少なくとも50質量%以上が該酸化銀(A)である導電性組成物を、シリコン基板上に塗布または印刷して塗膜を形成し、該塗膜を500〜850℃で焼成してシリコン基板上に導電性電極を形成して製造される、導電性電極付き太陽電池セル基材。
  2. 前記導電性組成物が、前記酸化銀(A)と、前記沸点が200℃以上の有機溶媒(C)とからなる導電性組成物である、請求項1に記載の導電性電極付き太陽電池セル基材。
  3. 酸化銀(A)と、カルボン酸銀(B)と、沸点が200℃以上の有機溶媒(C)とを含有し、組成物中少なくとも50質量%以上が該酸化銀(A)である導電性組成物を、シリコン基板上に塗布または印刷して塗膜を形成し、該塗膜を500〜850℃で焼成してシリコン基板上に導電性電極を形成して製造される、導電性電極付き太陽電池セル基材。
  4. 前記カルボン酸銀(B)が脂肪族カルボン酸銀である、請求項3に記載の導電性電極付き太陽電池セル基材。
  5. 前記カルボン酸銀(B)が2−メチルプロパン酸銀である、請求項3に記載の導電性電極付き太陽電池セル基材。
  6. 前記導電性組成物が銀粉(D)をさらに含有する、請求項1〜5のいずれかに記載の導電性電極付き太陽電池セル基材。
  7. 前記導電性組成物がガラスフリット(E)をさらに含有する、請求項1〜6のいずれかに記載の導電性電極付き太陽電池セル基材。
  8. 前記沸点が200℃以上の有機溶媒(C)がα−テルピネオールである、請求項1〜7のいずれかに記載の導電性電極付き太陽電池セル基材。
  9. 酸化銀(A)と、沸点が200℃以上の有機溶媒(C)とを含有し、組成物中少なくとも50質量%以上が該酸化銀(A)である導電性組成物をシリコン基板上に塗布または印刷して塗膜を形成する塗膜形成工程と、該塗膜を500〜850℃で焼成してシリコン基板上に導電性電極を形成する焼成工程と、を具備する導電性電極付き太陽電池セル基材の製造方法。
  10. 前記導電性組成物が、前記酸化銀(A)と前記沸点が200℃以上の有機溶媒(C)とからなる導電性組成物である、請求項9に記載の導電性電極付き太陽電池セル基材の製造方法。
  11. 酸化銀(A)と、カルボン酸銀(B)と、沸点が200℃以上の有機溶媒(C)とを含有し、組成物中少なくとも50質量%以上が該酸化銀(A)である導電性組成物をシリコン基板上に塗布または印刷して塗膜を形成する塗膜形成工程と、該塗膜を500〜850℃で焼成してシリコン基板上に導電性電極を形成する焼成工程と、を具備する導電性電極付き太陽電池セル基材の製造方法。
  12. 前記カルボン酸銀(B)が脂肪族カルボン酸銀である、請求項11に記載の導電性電極付き太陽電池セル基材の製造方法。
  13. 前記カルボン酸銀(B)が2−メチルプロパン酸銀である、請求項11に記載の導電性電極付き太陽電池セル基材の製造方法。
  14. 前記導電性組成物が銀粉(D)をさらに含有する、請求項9〜13のいずれかに記載の導電性電極付き太陽電池セル基材の製造方法。
  15. 前記導電性組成物がガラスフリット(E)をさらに含有する、請求項9〜14のいずれかに記載の導電性電極付き太陽電池セル基材の製造方法。
  16. 前記沸点が200℃以上の有機溶媒(C)がα−テルピネオールである、請求項9〜15のいずれかに記載の導電性電極付き太陽電池セル基材の製造方法。
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