JP2011031452A - 更生タイヤ製造方法、更生タイヤ製造用モールド及び加硫装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】既存の設備を維持したまま加硫の時間を延長させず、かつ、製品としてのバラツキが生じない更生タイヤの製造方法、当該製造方法の使用に適した更生タイヤ製造用モールド及び加硫装置を提供する。
【解決手段】タイヤモールド10内に設置された台タイヤ1の周方向外側表面とタイヤモールド成型面20Aとにより形成されるトレッド成型空間内Rにタイヤモールド外から未加硫ゴムを注入する工程と、注入された未加硫ゴムを加硫する工程とを含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、更生タイヤの製造方法に関し、特にモールド内に設置された台タイヤの周方向外側表面に対して未加硫ゴムを注入することにより更生タイヤを製造する方法及び当該方法の使用に適した更生タイヤ製造用モールド及び当該モールドを備える加硫装置に関する。
従来、更生タイヤを製造する工程は概略、使用済みタイヤのトレッド部を切削するバフ工程を経て更生タイヤの土台となる台タイヤを製造する工程と、バフ工程によりトレッド部が切削された後の台タイヤの周方向外側表面(クラウン部)に新たなトレッド部を成型する工程とからなり、トレッド部の成型方法によって、HOT製法及びCOLD製法に区別される。
HOT製法とは、台タイヤのクラウン部上に未加硫のタイヤトレッド(生トレッド)を貼着し、タイヤモールド内で加硫することにより台タイヤとタイヤトレッドとを一体化する製法である。また、COLD製法とは、台タイヤのクラウン部にプレキュアトレッドと呼ばれる加硫済み又は半加硫済みのトレッドを接着層(クッションゴム)を介して貼着し、加硫缶内において加硫することにより接着層の接着力により台タイヤとプレキュアトレッドとを一体化する製法である。
特開平07−246665号公報
しかし、前者の製法においては押出機により押出された生トレッドの形状のバラツキが生じる結果、加硫後の更生タイヤのトレッド幅にバラツキが生じるという問題があり、更に押出された生トレッドは中間在庫として保管される性質上、温度低下を避けられず、加硫時においては、まず生トレッドを暖めた後に加硫を行う必要があるため加硫に必要な時間が増大するという問題が生じる。
また、後者の製法においては接着層を塗布する工程が必要であり、また、既に加硫済み又は半加硫済みのプレキュアトレッドを台タイヤのクラウン部に沿って巻回し、端部同士をジョイントする必要があることから、端部におけるトレッドパターンにずれが生じることや、ショルダー部における台タイヤとプレキュアトレッドとの段差が生じる等、製品としての外観を損ねるという問題が生じる。さらにいずれの製法においてもトレッド自体を製造するための押出機や加硫装置等の大型設備が必要となるため、設備投資の観点から見ても問題が生じる。
そこで、本発明は上記課題を解決すべく既存の設備を維持したまま加硫の時間を延長させず、かつ、製品としてのバラツキが生じない更生タイヤの製造方法、製造用モールド及び加硫装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明に係る更生タイヤ製造方法は、タイヤモールド内に設置された台タイヤの周方向外側表面とタイヤモールド成型面とにより形成されるトレッド成型空間内に未加硫ゴムを注入する工程と、注入された未加硫ゴムを加硫する工程とを含む。
本発明によれば、台タイヤの周方向外側表面とタイヤモールド成型面とにより形成されるトレッド成型空間内に未加硫ゴムを注入することにより、接着層を塗布する工程や、ジョイント工程を排除することが可能となり、かつ、注入された未加硫ゴムがトレッド成型空間内において、成型空間に沿った形状となることから、加硫後の更生タイヤとしての品質にバラツキが生じることがない。
また、未加硫ゴムがタイヤモールド外から注入されることから、注入される未加硫ゴムの温度を保った状態で直ちに加硫工程に移行することができ、加硫に掛かる時間を短縮することができる。
また、未加硫ゴムを注入する工程において、台タイヤのタイヤ径方向内側から圧力を印加することから、台タイヤがタイヤモールド成型面側に膨出し、トレッド成型空間を台タイヤの周方向に沿って均一な空間とすることができる。よって、加硫完了後に台タイヤの周方向外側表面に形成されるトレッド部の厚さ(ゲージ)を均一とすることができる。
また、未加硫ゴムを注入する注入孔のタイヤモールド成型面側の端部が、加硫後の更生タイヤの陸部又は周方向溝と対応する位置に設けられることにより、トレッド成型空間内に注入される未加硫ゴムを台タイヤ周方向に均一に行き渡らせることができる。
また、未加硫ゴムをタイヤ径方向内側から印加される圧力とトレッド成型空間内の圧力が同一又はトレッド成型空間内の圧力がタイヤ径方向内側から印加される圧力よりも高くなるまで注入すれば、台タイヤの周方向外側表面の径方向外側又は径方向内側への形状変化を生じさせることなく、未加硫ゴムを注入することができ、トレッド成型空間内に注入される未加硫ゴムを台タイヤ周方向に均一に行き渡らせることができる。
よって、加硫完了後に台タイヤの周方向外側表面上に形成されるトレッド部の厚さ(ゲージ)を均一とすることができる。
また、本発明に係る更生タイヤ製造用モールドは、トレッドパターンを有する成型面と、モールド内に設置される台タイヤの周方向外側表面に未加硫ゴムを注入する注入孔を備え、当該注入孔が台タイヤの周方向外側表面と成型面とのなすトレッド成型空間と大気とに連通することから、注入孔を介して未加硫ゴムを直ちに注入することが可能である。
また、注入された未加硫ゴムはトレッド成型空間内において、成型空間に沿った形状となることから、加硫後の製品としての品質にバラツキが生じることがない。
また、注入孔の成型面側の端部を更生タイヤの陸部又は周方向溝と対応する位置に設ければ、トレッド成型空間内に注入される未加硫ゴムを台タイヤ周方向に均一に行き渡らせることができる。
また、前記更生タイヤ製造用モールドを備える加硫装置によれば、極めて品質の高い更生タイヤを短時間で効率的に得ることができる。
なお、上記発明の概要は、本発明の必要な特徴のすべてを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた発明となり得る。また、以下に発明の実施形態を通じて本発明を詳説するが、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明される特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らず、選択的に採用される構成又は工程をも含むものである。
加硫装置の全体図。 セクターモールドの平面図。 トレッド成型空間Rを示す拡大断面図。 トレッド成型空間Rを示す拡大断面図(他の形態)。 射出成型装置を示す拡大断面図。
図1は、加硫装置の全体図であって、使用済みタイヤのトレッド部を周方向に亘ってバフ掛けすることにより成型される台タイヤ1を更生タイヤ製造用モールド10(以下、単にタイヤモールドという。)内に設置した状態を示す。
台タイヤ1は、更生タイヤの土台となるタイヤであって、一対のビード部2;2と、ビード部2;2間を跨るように台タイヤ1のクラウン部A及び両サイド部B;Bの略全域に亘ってトロイド状に延長するカーカスとにより骨格が形成される。
ビード部2;2は、例えば、複数のスチールワイヤが螺旋状に巻き回されることにより形成されるビードワイヤによりなるビードコアと、ビードコアの周囲を覆うように巻きつけられるナイロン、キャンバス布やゴムシートからなるチェーファ等から構成される。
クラウン部Aにはカーカスよりもタイヤ径方向外側に位置する複数のベルト4が配置される。ベルト4は、クラウン部Aにおいてタイヤ幅方向に延長する部材であり、例えばスチール製である。
なお、本例において更生タイヤを製造するための台タイヤ1は、品質を確保するために少なくともタイヤ径方向最外側に位置するベルト4が露出又は受傷していないことを条件として、バフ処理が施された台タイヤ1のクラウン部Aの表面(以下、バフ処理面1Aという)に対して後述のトレッド部作成処理が開始される。即ち、トレッド部作成処理は台タイヤ1の周方向外側表面に対して行われる。
クラウン部A及び両サイド部B;Bにおける最内側には台タイヤ1の内圧を保持し、後述のブラダー71の外側表面と接する面であるインナーライナー6が全域に亘って位置する。
台タイヤ1は、横置き状態、即ち、タイヤ回転軸が垂直となるようにタイヤモールド10内に載置される。タイヤモールド10は、内部に設置される台タイヤ1のクラウン部A及び両サイド部B;Bをタイヤ周方向全周に亘って囲繞し、タイヤモールド10内に外部から流動状態の未加硫のトレッドゴムが注入されることにより、クラウン部Aに新たなトレッド部が形成される。
以下、図1を参照してタイヤモールド10の詳細について説明する。
タイヤモールド10は、下側基台19A上に設置される金型装置であって、下側基台19A上に断熱材14及び加熱手段としてのプラテン15を介して設置される下側モールド7を備える。
下側モールド7は、台タイヤ1の一方のサイド部Bを保持する部材であって、一方のサイド部Bと対向して当接する成型面は、サイド部Bの表面上に形成される意匠形状等と対応する凹凸形状を有し、台タイヤ1が下側モールド7に載置された状態において、一方のサイド部Bと密着する。
下側モールド7の上方には台タイヤ1を幅方向に挟んで対向する上側モールド9が位置し、当該上側モールド9は上側モールド保持部8により保持される。
上側モールド保持部8は円環状のプレート部材であって、上側基台19Bの下面に敷設された断熱材14及びプラテン15を介して上側基台19Bの下面に取着される。
また、上側モールド保持部8及び上側基台19Bは昇降ポスト41と連結され、昇降ポスト41が図外の駆動原によって上下動することによって、下方に位置する下側モールド7に対して近接又は離隔する。
上側基台19Bは、後述のトレッドモールド保持部13を半径方向外側より取り囲むアウターリング25を備える。アウターリング25は、下方に向かうに従って漸次縮径する傾斜面25Aを備える。傾斜面25Aは、下方に位置するトレッドモールド保持部13の傾斜面13Bと平行な面であって、上側基台19Bの下降に伴って傾斜面13Bと上下方向に摺動自在に当接する。
アウターリング25は、複数の注入孔25a乃至25eを有する。注入孔25a乃至25eは、傾斜面25Aから外表面25Bに亘って水平に延長する貫通孔であって、アウターリング25が下降限度位置まで下降した状態において、後述の注入孔13a乃至13e及び注入孔20a乃至20e(図3参照)と連通する。
また、アウターリング25にはタイヤ周方向に延在するトレッド側熱源供給路21が設けられる。トレッド側熱源供給路21は図外の熱源供給手段から供給される熱流体を循環させる流路であって加硫工程が開始される際に、後述のセクター20の温度を加硫温度まで上昇させる機構である。
上側モールド9は、上側モールド保持部8の下面と係合し、台タイヤ1の上側に位置する他方のサイド部Bの表面を保持する。上側モールド9における成型面は、前記下側モールド7と同様に他方のサイド部Bの表面上に形成される意匠形状等と対応する凹凸形状を有し、台タイヤ1が下側モールド7に載置された状態において、他方のサイド部Bと密着する。台タイヤ1を挟んで上下方向に対向して位置するプラテン15;15は、主に下側モールド7及び上側モールド9を加熱する熱源であって、内部に図外の熱源供給管を備える。供給管内には、図外の熱源供給手段から供給される熱流体が供給され、下側モールド7及び上側モールド9が加熱される。
下側モールド7と上側モールド9との間には台タイヤ1のバフ処理面1Aと対向するトレッドモールド12が位置する。トレッドモールド12は、台タイヤ1の周方向に沿って、例えば9分割された円弧状のセクター20が組み合わされることにより構成される円環体である。
各セクター20は、トレッドパターンを成型する面として形成される成型面20Aを有し、外表面20Bが各セクター20と個別に対応する複数のトレッドモールド保持部13の係合面13Aと係合する。なお、成型面20Aの詳細については後述する。
トレッドモールド保持部13は、外表面20Bと向かい合う係合面13Aに形成された溝、凹部等の係合手段によりセクター20を保持するとともに、外側表面が下方に向かうに従って漸次拡径する傾斜面13Bとして形成される。
また、トレッドモールド保持部13は、下方に敷設されたレール16によりタイヤ回転軸を中心とする半径方向に摺動自在に立設される。そして、アウターリング25が下降限度位置まで下降することにより、各トレッドモールド保持部13がタイヤ回転軸に向かって縮径されると、各セクター20が台タイヤ1のバフ処理面1Aをタイヤ周方向に沿って取り囲む状態、即ち型締め状態となる。
トレッドモールド保持部13は、複数の注入孔13a乃至13eを有する。注入孔13a乃至13eは、係合面13Aから傾斜面13Bに亘って水平に延長する貫通孔であって、セクター20に形成される注入孔20a乃至20eと連通する孔である。
図1に示すように、アウターリング25が下降限度位置まで下降すると、セクター20の成型面20Aと、台タイヤ1のバフ処理面1Aとの間に環状のトレッド成型空間Rが形成される。そして、トレッド成型空間R内にはタイヤモールド10の外部から注入孔25a乃至25e、注入孔13a乃至13e及びセクター20に形成される注入孔20a乃至20eを経由して未加硫のトレッドゴムが注入される。
即ち、アウターリング25が下降限度位置まで下降した状態、つまりタイヤモールド10が閉じられた状態において、注入孔25a乃至25e、注入孔13a乃至13e及び注入孔20a乃至20eはトレッド成型空間R及び大気間に連通する注入孔Sを形成し、外部からトレッド成型空間Rに未加硫ゴムを受け入れ可能な状態となる。なお、注入孔Sの孔径は例えば直径φ10mmとして設定される。
以下、図2(a)乃至(c)及び図3を参照して、注入孔20a乃至20eについて詳説する。注入孔20a乃至20eは、セクター20の成型面20Aから外表面20Bに亘って水平に延長する貫通孔であって、成型面20Aに開口する。トレッド成型空間Rと連通し、バフ処理面1Aを臨む開口端Pは、成型面20Aにおける所定の位置に位置するように設けられる。
図2(a)は、成型面20Aの平面図であって、同図におけるセクター20はタイヤ周方向に延長する主溝を有する更生タイヤを製造する際に採用される。
成型面20Aは、台タイヤ1の周方向に延長する複数の主溝形成凸部22と、複数の主溝形成凸部22によりタイヤ幅方向沿って区画される複数の陸部形成凹部23とを有する。よって、当該成型面20Aを有するセクター20によりトレッド部が成型された場合、トレッド部には成型面20Aの形状が反転した形状のトレッドパターンが形成され、加硫後にはトレッド部にタイヤ周方向に亘って延長する複数の主溝(リブ溝)と、当該主溝によって幅方向に沿って区画された複数の陸部を有する更生タイヤを得ることができる。同図において、開口端Pは加硫後のトレッド部の陸部を形成する複数の陸部形成凹部23と対応するように個別に設けられ、各陸部形成凹部23の幅方向中央の位置に開口する。
図2(b)における成型面20Aは、周方向に延長する主溝と、タイヤ幅方向に内側に延長する幅方向溝を有する更生タイヤを製造する際のセクター20に採用される。成型面20Aはタイヤ周方向に延長するジグザグ状の複数の主溝形成凸部24と、タイヤ幅方向内側に延長する複数の幅方向溝形成凸部29と、主溝形成凸部24によって幅方向に沿って区画される複数の陸部形成凹部26とを有する。よって、当該成型面20Aを有するセクター20によりトレッド部が成型された場合、成型面20Aの形状が反転した形状のトレッドパターンが形成され、加硫後には、トレッド部にタイヤ周方向に延長する複数の主溝と、複数の主溝によって幅方向に区画された複数の陸部と、サイド部B近傍の陸部においてタイヤ幅方向に延長する溝(ラグ溝)を有する更生タイヤを得ることができる。本例においても、開口端Pは、加硫後のトレッド部の陸部を形成する複数の陸部形成凹部26と対応するように個別に設けられ、各陸部形成凹部26の幅方向略中央の位置に開口する。なお、本例においては開口端Pが図2(a)における開口端Pよりも少ないが、注入孔Sの数はタイヤの周方向溝によって区画される陸部の数によって適宜決定されるため、当然に開口端Pの数も適宜決定される。
図2(c)における成型面20Aは、タイヤ周方向に延長する主溝と、タイヤ幅方向全域に亘って延長する幅方向溝を有する更生タイヤを製造する際のセクター20に採用される。成型面20Aはタイヤ周方向に延長する複数の主溝形成凸部27と、タイヤ幅方向全域に亘って延長する複数の幅方向溝形成凸部28と、主溝形成凸部27及び幅方向溝形成凸部28によってブロック状に区画される複数の陸部形成凹部30とを有する。
よって、当該成型面20Aを有するセクター20によりトレッド部が成型された場合、成型面20Aの形状が反転した形状のトレッドパターンが形成され、加硫後のトレッド部にはタイヤ周方向に延長する主溝と、タイヤ幅方向に延長する溝とにより区画された所謂ブロックパターンの陸部を有する更生タイヤを得ることができる。
本例においても、開口端Pは、加硫後のトレッド部の陸部を形成する複数の陸部形成凹部30と対応するように個別に設けられ、各陸部形成凹部30の幅方向略中央の位置に開口する。なお、成型面20Aは上記いずれの形態においても排水性向上のために設けられるサイプ等を形成するための突部等が設けられるが図示は省略する。
以上説明したように、成形面20Aの開口端Pは、成型面20Aの形状(トレッドパターン)が如何なる形状であっても、少なくとも製造対象となる更生タイヤのタイヤ周方向の溝により区画される陸部を形成する陸部形成凹部23(26,30)と対応する位置に個別に設けられ、トレッド成型空間R内に注入される未加硫ゴムを各陸部ごとに過不足なく行き渡らせることが可能である。換言すれば、注入孔Sは、台タイヤ1のバフ処理面1Aと成型面20Aとのなすトレッド成型空間Rと大気とに連通し、かつ、注入孔Sの成型面20A側の端部である開口端Pが、製造対象となる更生タイヤのトレッド部におけるタイヤ周方向の溝により区画される陸部を形成する陸部形成凹部23(26,30)内に位置する構成である。注入孔Sの開口端Pを当該位置に開口する構成としたことにより、以下のような極めて顕著な効果を奏する。
即ち、図3に示すように成型面20Aに形成される主溝形成凸部22(24,27)は、陸部形成凹部23(26,30)より台タイヤ1のバフ処理面1A側へ突出した形状であるため、主溝形成凸部22(24,27)の端面とバフ処理面1Aとの間の間隙Xは相対的に狭く、流動性が悪い。しかし、開口端Pが更生タイヤの陸部を形成する陸部形成凹部23(26,30)ごとに位置するように形成されれば、タイヤ周方向に延在する陸部形成凹部23(26,30)に未加硫ゴムを確実に行き渡らせることが可能となる。
また、流動性が悪い間隙Xは、タイヤ幅方向に複数形成された開口端Pに挟まれる状態となることから、間隙X内には十分な量の未加硫ゴムが供給されることとなる。
よって、台タイヤ1のバフ処理面1Aとタイヤモールド10の内側面である成型面20Aとの間に注入される未加硫ゴムを均一に行き渡らせることができ、加硫後の更生タイヤの品質にバラツキが生じる可能性を極めて顕著に低下させることができる。
なお、開口端Pの個数及び配置は上記例に何ら限定されるものではなく、一のセクター20に対してタイヤ周方向に沿って複数の開口端Pを形成してもよい。また、図2(c)に示す成型面20Aにおいては、全ての陸部形成凹部30に対応するように開口端Pを個別に設ける構成としてもよい。
また、より好ましくはトレッドモールド12を構成する各セクター20に対して例えば90°又は180°の間隔で開口端Pを設ければ注入完了時間を短縮でき、かつ大規模な設備投入を必要とすることなく、未加硫ゴムを迅速かつ効率的に注入することができる。
図5に示すように、注入孔Sの開口端Qと、射出成型装置60の射出孔63とは中空のジョイント51を介して互いに接続される。
射出成型装置60は概略、未加硫トレッドゴムを組成するSBRやBR等のジエン系ゴム部材、カーボンブラックやシリカ等の充填剤、加硫剤等を加硫反応温度以下で加熱、混練する押出機61と、押出機61から供給される未加硫ゴムを加硫反応温度以下で保温しつつ貯留するシリンダ65と、シリンダ65内に貯留された流動状態の未加硫トレッドゴムを射出孔63側に押出すプランジャ70とから構成される。
シリンダ65は筒体により形成されて、一端に射出孔63が形成されるとともに、内部に射出孔63と連通する貯留空間66が形成される。プランジャ70は貯留空間66に供給された未加硫ゴムを射出孔63より射出する部材であって、シリンダ65の他端側から射出孔63側に前進することにより、貯留空間66に貯留された未加硫ゴムを射出孔63から一定の圧力により射出する。
ジョイント51は、一端が射出孔63内に接続されるとともに、他端部がタイヤ幅方向に沿って複数配置された注入孔Sの開口端Qと対応するように枝分かれした形状である。よって、射出成型装置60から射出される未加硫ゴムは成型面20Aにおける複数の陸部形成凹部23(26,30)に分かれて開口端Pよりトレッド成型空間R内に注入される。
このように、ジョイント51により、タイヤモールド10の開口端Qと、射出成型装置60の射出孔63とを直接接続し、タイヤモールド外で生成された未加硫ゴムをトレッド成型空間R内に注入する構成とすれば、加硫温度以下の未加硫ゴムの温度を低下させることがないため、トレッド成型空間R内に注入された未加硫ゴムを極めて短時間で加硫することが可能となる。
図1及び図3に示すように射出成型装置60により未加硫ゴムが注入される際には、タイヤ内加圧装置3により台タイヤ1に対して内圧が印加される。タイヤ内加圧装置3は、伸縮可能な部材からなる円環状のブラダー71を備え、開口する下端縁が下部クランプリング72によって保持され、開口する上端縁が上部クランプリング73によって保持されることにより、気密性を有する袋状に形成される。下部クランプリング72及び上部クランプリング73は、互いに独立して昇降可能なセンターポスト74及びセンターロッド75に取着され、センターロッド75が伸長することにより、ブラダー71を上下方向に伸展した状態又は台タイヤ1内部に介挿した状態とすることが可能である。
また、図1に示すようにブラダー71を台タイヤ1内に介挿した状態において、下部クランプリング72及び上部クランプリング73には台タイヤ1のビード部2の近傍を保持するビードリング76;76が取着され、ビードリング76;76には図外のシール部材やロック機構が取り付けられることによりブラダー71の内部に供給された熱流体が外部に漏れ出さない構成である。なお、熱流体としては不活性ガス、窒素ガス、飽和水蒸気等が採用される。
ブラダー71内には、センターポスト74内に設けられた熱流体供給路77を介して、図外の熱源供給装置から熱流体が供給される。ブラダー71は熱流体の供給に伴って台タイヤ1内部で全方位へ向かって膨張し、ブラダー71の外側表面が台タイヤ1のインナーライナー6の表面に密着することにより台タイヤ1を内側から外側に対して押圧する。
図3に示すように、ブラダー71が膨張すると台タイヤ1の両サイド部B;Bは、内圧により下側モールド7及び上側モールド9に向かって押し付けられ、タイヤモールド10内において移動不能に保持される。一方、台タイヤ1のクラウン部Aは内圧によりタイヤ径方向外側、即ち、成型面20A側に僅かに膨張し、トレッド成型空間Rの容積を減少させる。そして、この状態において外部から未加硫のトレッドゴムが注入されることによりトレッド成型空間Rと同一形状のトレッド部を台タイヤ1の周方向全域に亘って形成することができる。
また、ブラダー71に印加する内圧は、台タイヤ1の基礎となるバフ処理前の使用済みタイヤを成型する際に印加された内圧と同一の内圧とすることが好ましい。即ち、グリーンタイヤを加硫して製品タイヤとする際には本発明に係るタイヤモールド10及びタイヤ内加圧装置3と略同一構成の装置が用いられるため、製品タイヤを加硫した際に印加した内圧と同一の内圧により台タイヤ1に内圧を印加すれば、クラウン部Aのトレッド成型空間R内における過度な膨出或いは膨出量の不足を防止することができるので、製品タイヤと同一のトレッドゲージを有する更生タイヤを得ることができる。なお、この場合の圧力は例えば、4Kgf/cm〜6Kgf/cmのうちから任意に選択して設定される圧力である。
また、ブラダー71の外側表面と、インナーライナー6内側の表面との間に滞留する空気は、ブラダー71の外側表面上に形成された溝を介してタイヤモールド10外に連通する微細な排出路から排出される。なお、台タイヤ1に内圧を加える手段としてはブラダー71に限られるものではなく、ブラダー71を介することなく台タイヤ1内に直接空気を供給するようにしてもよい。
以下、上記構成からなるタイヤモールド10を用いた更生タイヤの製造方法を順を追って説明する。まず、バフ処理済みの台タイヤ1を図外のローダー機構等の搬送装置により下側モールド7に横置き状態に設置し、センターロッド75を伸長することによりブラダー71を上下方向に伸展状態とした後に、センターロッド75をタイヤ幅方向所定の位置まで縮小することによりブラダー71を台タイヤ1内に介挿する。そして、ビードリング76:76及び図外のロック機構等を取着した後にセンターポスト74を降下させ、下方に位置する下側モールド7に台タイヤ1を載置する。
次に、昇降ポスト41を降下させることにより、台タイヤ1の他方のサイド部B上に上側モールド9を当接させる。昇降ポスト41の降下と同時に、レール16に立設された複数のトレッドモールド保持部13がタイヤ径方向内側へ縮径し、台タイヤ1のバフ処理面1Aはトレッドモールド12によって囲繞された状態となる。
次に、タイヤ押圧工程について説明する。台タイヤ1内に介挿されたブラダー71内部に、センターポスト74内に設けられた熱流体供給路77を介して図外の加圧手段により高温、高圧の熱流体を供給しブラダー71を膨張させる。膨張したブラダー71は台タイヤ1内部でインナーライナー6の表面と密着し、台タイヤ1内側には圧力が印加される。圧力が印加されることにより、台タイヤ1の両サイド部B;Bは下側モールド7及び上側モールド9に移動不能に保持され、クラウン部Aがセクター20の成型面20A方向に僅かに膨張した状態に維持され、バフ処理面1Aと成型面20Aとの間にタイヤ周方向全周に亘ってトレッド成型空間Rが形成される。
次に、未加硫ゴムの注入工程について説明する。まず、ジョイント51を介して射出成型装置60の射出孔63と、アウターリング25に設けられた複数の注入孔25a乃至25e(注入孔S)の開口端Qとを接続する。
次に、射出成型装置60のシリンダ65内に押出機61より供給された未加硫ゴムをプランジャ70を前進させることにより射出孔63から射出する。
ここで、未加硫ゴムの注入量は、トレッド成型空間R内における未加硫ゴムの圧力P1が台タイヤ1に印加される内圧P2よりも僅かに高くなるように設定される。即ち、トレッド成型空間R内における未加硫ゴムの圧力P1が、台タイヤ1に印加される内圧P2よりも低い場合には、加硫後のトレッドゲージが薄くなる可能性があるため、十分なトレッドゲージを確保するためにトレッド成型空間R内の圧力P1は台タイヤ1に印加される内圧P2よりも高く設定することが望ましい。より望ましくは、未加硫ゴムの注入量がトレッド成型空間R内における未加硫ゴムの圧力P1と、台タイヤ1に印加される内圧P2とが互いに等しい圧力となるように設定されれば、製品タイヤと同一のトレッドゲージを有する更生タイヤを製造することが可能であるという極めて顕著な効果を奏する。
なお、トレッド成型空間Rへ未加硫ゴムが注入されるとトレッド成型空間Rに滞留する空気は図外の複数の排気孔或いは、複数のセクター20間の微細な間隙からタイヤモールド10外へ排出される。
次に、加硫工程について説明する。トレッド成型空間R内に十分な未加硫ゴムが注入された後には加硫工程が行われる。具体的には、トレッド側熱源供給路21に熱流体を供給することにより、トレッド成型空間R内に注入された未加硫ゴムを加硫温度まで上昇させ、台タイヤ1のバフ処理面1Aに強固に一体化させることによりトレッド成型空間Rと同一形状のトレッド部を形成する。
次に、タイヤ取出工程について説明する。加硫完了後には、昇降ポスト41を上昇させることにより、上モールド9を他方のサイド部Bから離隔させる。昇降ポスト41の上昇に伴って、アウターリング25の傾斜面25Aとトレッドモールド保持部13の傾斜面13Bとの係合が解除され、トレッドモールド保持部13はレール16に沿ってタイヤ径方向外側へ移動し、加硫後のトレッド部から各セクター20が引き剥がされ脱型が完了する。次に、上方のビードリング76を取り外した後にブラダー71を伸展状態とし、ブラダー71をインナーライナー6から引き剥がすことにより、更生タイヤの製造が完了する。
以下、本発明に係る他の形態について説明する。図4は、他の形態に係るセクター40の断面図である。本形態におけるセクター40の成型面40Aは、注入孔Sの開口端Pが主溝形成凸部22(24,27)の先端に開口する点で前記形態と異なる。
即ち、本実施形態における注入孔Sの開口端Pは、加硫後のトレッド部の周方向溝を形成する複数の主溝形成凸部22(24,27)と対応するように個別に設けられ、各主溝形成凸部22(24,27)の幅方向略中央の位置に開口する。
本形態によれば、図3における流動性の悪い間隙Xと対応する位置に開口端Pが位置するため、注入された未加硫ゴムは隣接する陸部形成凹部23(26,30)内に回り込むように流動することからタイヤ周方向に延在する陸部形成凹部23(26,30)に未加硫ゴムを確実に行き渡らせることが可能となる。
また、流動性が悪い間隙Xに対応する位置に開口端Pが存在することから間隙X内には十分な量の未加硫ゴムが供給されることとなる。
よって、本形態によっても台タイヤ1のバフ処理面1Aとタイヤモールド10の内側面である成型面40Aとの間に注入される未加硫ゴムを均一に行き渡らせることができ、加硫後の更生タイヤの品質にバラツキが生じる可能性を極めて顕著に低下させることができる。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に限定されるものではない。上記実施の形態に多様な変更、改良を加え得ることは当業者にとって明らかであり、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
1 台タイヤ、1A バフ処理面、2 ビード部、7 下側モールド、
8 上側モールド保持部、9 上側モールド、10 更生タイヤ製造用モールド、
12 トレッドモールド、13 トレッドモールド保持部、20 セクター、
20A 成型面、20〜20e 注入孔、22(24,27) 主溝形成凸部、
23(26,30) 陸部形成凹部、25 アウターリング、
40 セクター、40A 成型面、51 ジョイント、60 射出成型装置、
63 射出孔、71 ブラダー、P 開口端、R トレッド成型空間。

Claims (8)

  1. タイヤモールド内に設置された台タイヤの周方向外側表面とタイヤモールド成型面とにより形成されるトレッド成型空間内に未加硫ゴムを注入する工程と、
    前記未加硫ゴムを加硫する工程とを含むことを特徴とする更生タイヤの製造方法。
  2. 前記未加硫ゴムが前記タイヤモールド外から注入されることを特徴とする請求項1に記載の更生タイヤの製造方法。
  3. 前記未加硫ゴムを注入する工程において、前記台タイヤのタイヤ径方向内側から圧力を印加することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の更生タイヤの製造方法。
  4. 前記未加硫ゴムを注入する注入孔の前記タイヤモールド成型面側の端部が、
    前記加硫後の更生タイヤの陸部又は周方向溝と対応する位置に設けられることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の更生タイヤの製造方法。
  5. 前記未加硫ゴムは前記タイヤ径方向内側から印加される圧力と前記トレッド成型空間内の圧力が同一となるまで、又は前記トレッド成型空間内の圧力が前記タイヤ径方向内側から印加される圧力よりも高くなるまで注入されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の更生タイヤの製造方法。
  6. トレッドパターンを有する成型面を備える更生タイヤ製造用モールドであって、
    前記モールドはモールド内に設置される台タイヤの周方向外側表面に未加硫ゴムを注入する注入孔を備え、前記注入孔が前記台タイヤの周方向外側表面と前記成型面とのなすトレッド成型空間と大気とに連通することを特徴とする更生タイヤ製造用モールド。
  7. 前記注入孔の成型面側の端部が更生タイヤの陸部又は周方向溝と対応する位置に設けられることを特徴とする請求項6に記載の更生タイヤ製造用モールド。
  8. 請求項6又は請求項7に記載の更生タイヤ製造用モールドを備えることを特徴とするタイヤ加硫装置。
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