JP2011029489A - 温度可変光センサ素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】シリコンナノ結晶を備えた、新規な機能を有する光学素子の提供。
【解決手段】エルビウムが添加されたシリコンナノ結晶と、該シリコンナノ結晶の温度を調節する温調手段と、該シリコンナノ結晶に励起光を照射する励起手段とを備え、前記シリコンナノ結晶が、励起光照射時の温度に依存して異なる発光スペクトルを示すことを特徴とする温度可変光センサ素子;エルビウムが添加されたシリコンナノ結晶と、該シリコンナノ結晶の温度を調節する温調手段と、該シリコンナノ結晶に励起光を照射する励起手段とを備え、前記シリコンナノ結晶の発光強度が、励起光照射時の温度の上昇に伴い増大することを特徴とする温度可変光センサ素子。
【選択図】なし

Description

本発明は、エルビウムが添加されたシリコンナノ結晶を備えた、温度可変光センサ素子に関する。
シリコンは、結晶サイズをナノメートルレベルにまで小さくした、シリコンナノ結晶とすることで、量子サイズ効果により、可視領域において発光する性質を有し、発光素子としての応用が期待されている。例えば、フッ化水素酸(HF)を使用したエッチングと、酸化処理とを組み合わせて、シリコンナノ結晶の粒径サイズを調整することにより、三原色の発光を得たことが、これまでに開示されている(例えば、特許文献1、非特許文献1参照)。また、紫又は青色の発光を得たことも開示されている(例えば、非特許文献2、非特許文献3参照)。
一方で、ドーパントとして、希土類元素の一種であるエルビウム(Er)を添加することにより、Er3+による波長1.5μm帯の発光強度が増強されることが知られており、より高感度な発光素子の開発が期待されている(例えば、特許文献2参照)。
シリコンナノ結晶を備えた発光素子は、例えば、シリコン基板上にスパッタリング法で容易に作製でき、製造適性に優れる。また、発光素子だけにとどまらず、電子デバイスと発光デバイスとを融合した光・電子集積回路への応用も期待されるなど、利用分野が広い。さらに、シリコン自体が、地殻中での埋蔵量が豊富で、低毒性であり、入手性及び取り扱い性に優れるなど、材料として優れた性質を有する。したがって、シリコンナノ結晶を備えた発光素子は、今後、様々な分野でさらに重要なものになってくると考えられる。
特開2004−296781号公報 特開平9−295891号公報
和泉富雄、パリティ、19(2004)20 X.M.Wu,M.J.Lu,W.G.Yao,Surface and Coatings Technology,161(2002)92−95 H.Z.Song,X.M.Bao,G.J.Adriaenssens,Physics Letters,A 244(1998)449−453
しかし、シリコンナノ結晶を備えた発光素子については、これまでに光学素子としての特性について十分な検討が為されたとは言えず、光学素子としての可能性について、まだ検討の余地が多く残されているのが実情である。
本発明は上記事情に鑑みて為されたものであり、シリコンナノ結晶を備えた、新規な機能を有する光学素子を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、
本発明の第一の発明は、エルビウムが添加されたシリコンナノ結晶と、該シリコンナノ結晶の温度を調節する温調手段と、該シリコンナノ結晶に励起光を照射する励起手段とを備え、前記シリコンナノ結晶が、励起光照射時の温度に依存して異なる発光スペクトルを示すことを特徴とする温度可変光センサ素子を提供する。
第一の発明の温度可変光センサ素子においては、温度の上昇に伴い、発光強度が増大することが好ましい。
また、本発明の第二の発明は、エルビウムが添加されたシリコンナノ結晶と、該シリコンナノ結晶の温度を調節する温調手段と、該シリコンナノ結晶に励起光を照射する励起手段とを備え、前記シリコンナノ結晶の発光強度が、励起光照射時の温度の上昇に伴い増大することを特徴とする温度可変光センサ素子を提供する。
第二の発明の温度可変光センサ素子においては、励起光照射時に、温度に依存して異なる発光スペクトルを示すことが好ましい。
第一又は第二の発明の温度可変光センサ素子においては、前記シリコンナノ結晶が水又は水溶性の液体中に分散された分散液、あるいは該分散液を塗布及び乾燥してなる層を備えることが好ましい。
第一又は第二の発明の温度可変光センサ素子においては、前記シリコンナノ結晶が、薄膜中に含有されていることが好ましい。
本発明によれば、シリコンナノ結晶を備えた、新規な機能を有する光学素子が得られる。
実施例1における水分散液中のEr添加Siナノ結晶の発光スペクトルの測定結果を示すグラフである。 実施例2におけるエタノール分散液中のEr添加Siナノ結晶の発光スペクトルの測定結果を示すグラフである。 実施例3におけるEr添加薄膜の発光スペクトルの測定結果を示すグラフである。
本発明の温度可変光センサ素子は、エルビウムが添加されたシリコンナノ結晶と、該シリコンナノ結晶の温度を調節する温調手段と、該シリコンナノ結晶に励起光を照射する励起手段とを備え、前記シリコンナノ結晶が、励起光照射時の温度に依存して異なる発光スペクトルを示すことを特徴とする。
また、本発明の温度可変光センサ素子は、エルビウムが添加されたシリコンナノ結晶と、該シリコンナノ結晶の温度を調節する温調手段と、該シリコンナノ結晶に励起光を照射する励起手段とを備え、前記シリコンナノ結晶の発光強度が、励起光照射時の温度の上昇に伴い増大することを特徴とする。
本発明は、エルビウム(以下、Erと略記する)が添加されたシリコンナノ結晶(以下、Er添加Siナノ結晶と略記する)の発光素子としての機能と、さらにその発光スペクトルが、励起光照射時における温度に依存して変化する、又はその発光強度が、励起光照射時の温度の上昇に伴い増大するという特性とを利用して、温度可変光センサ素子として構成したものである。
本発明において、Er添加Siナノ結晶は、量子サイズ効果を有するものであり、公知のもので良く、好ましくは、結晶の大きさが2〜5nm程度のものである。
このようなEr添加Siナノ結晶は、例えば、シリコン基板(以下、Si基板と略記する)上に、Er、Si及びSiOをスパッタリングし、Er、Si及びSiOを含む薄膜(以下、Er添加薄膜と略記する)を形成し、これを加熱処理することで、前記薄膜中にEr添加Siナノ結晶を形成すると共に、Erを光学的に活性化することで作製できる。Er添加Siナノ結晶は、このように、薄膜中に含有された状態であっても良いし、加熱処理後の前記薄膜から、さらに分離されていても良い。
Er添加薄膜は、例えば、上記したスパッタリング法、好ましくは高周波マグネトロンスパッタリング法により作製できる。この場合、SiOターゲット上にSiチップ及びErチップを設置し、ターゲットと、所定距離をもって離間対峙させたSi基板との間に所定の電圧を印加すれば良い。
スパッタリング時の動作圧力は、0.5〜1.1Pa(3.8×10−3〜8.3×10−3Torr)であることが好ましく、0.8〜1.0Pa(6.0×10−3〜7.5×10−3Torr)であることがより好ましい。このような範囲とすることで、チャンバー内の残留ガスを一層減らすことができる。
高周波電源出力は、150〜250Wであることが好ましく、170〜210Wであることがより好ましい。このような範囲とすることで、SiOターゲットと各チップとを均一にスパッタリングすることができ、Si基板全体に、一層均一な膜を成膜できる。
スパッタリング時間は3〜12 時間であることが好ましい。このような範囲とすることで、Si基板全体に、一層均一な膜を成膜できる。
スパッタリングは、アルゴン(Ar)ガス等の希ガスや窒素(N)ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
Siチップ及びErチップは、いずれも純度が99%以上であることが好ましい。
Siチップ及びErチップの使用量は、スパッタリング時の諸条件によって適宜調整すれば良い。例えば、上記条件の場合には、一つあたりの表面積が好ましくは75〜125mmであるチップを使用して、Siチップとしては好ましくは5〜9個、ErチップとしてはSiチップ1個に対して好ましくは5〜9個使用すると良い。このような範囲とすることで、形成されるEr添加薄膜中のEr及びSiの含有量を一層容易に適量に調整できる。
Er添加薄膜は、スパッタリング法以外でも、例えば、化学気相成長法(CVD法)、物理気相成長法(PVD法)等により作製できる。
Er添加薄膜は、SiO母体材料中にErとSiを含有するものであり、厚さは1〜10μmであることが好ましい。Er添加薄膜の厚さは、例えば、スパッタリング時間で調節できる。
Er添加薄膜の加熱処理時の温度は、900〜1200℃であることが好ましく、950〜1050℃であることがより好ましい。下限値以上とすることで結晶構造を一層変化させることができ、上限値以下とすることでErの添加効果を一層向上させることができる。さらに上記範囲とすることにより、良好な発光強度を有するEr添加Siナノ結晶を効率的に得られる。
Er添加薄膜中には、本発明の効果を妨げない範囲内において、Er以外のその他の成分を添加しても良い。その他の成分としては、Er以外の希土類元素等、当該分野で通常使用されるものが例示できる。
加熱処理時の時間は、温度に応じて適宜調整すれば良いが、温度が上記範囲内である場合には、30〜120分であることが好ましく、45〜75分であることがより好ましい。このような範囲とすることで、結晶構造を一層変化させることができ、良好な発光強度を有するEr添加Siナノ結晶を効率的に得られる。
加熱処理は、Arガス等の希ガスやNガス雰囲気下で行うことが好ましい。
薄膜からEr添加Siナノ結晶を分離するためには、加熱処理後の前記薄膜に対して、SiOの選択的なエッチング除去を行うことが好ましい。エッチングは、ウェットエッチング及びドライエッチングのいずれでも良い。好ましいものとして具体的には、フッ化水素酸を使用したエッチングが例示でき、例えば、フッ化水素酸の水溶液を加熱して発生させたガスを前記薄膜に接触させる方法や、フッ化水素酸の水溶液に前記薄膜を浸漬する方法が例示できる。また、テトラフルオロメタン、トリフルオロメタン等のフッ化アルカンを、プラズマでイオン化又はラジカル化して、これを前記薄膜に接触させる方法が例示できる。
そして、例えば、前記エッチング部位を液体中に浸漬し、洗浄することで、Er添加Siナノ結晶の分散液が得られ、該分散液の液体成分を除去して乾燥させることで、Er添加Siナノ結晶の粉末が得られる。
本発明において、Er添加Siナノ結晶は、その温度を目的に応じて任意に調節できるようにされていれば良く、その形態は特に限定されない。例えば、上記のように、薄膜中に含有された状態でも良いし、分散液中に分散された状態でも良く、粉末状でも良い。また、前記分散液を塗布及び乾燥してなる層の中に含有された状態でも良い。
前記分散液の液体成分は、水又は水溶性の液体であることが好ましい。そして、該水溶性の液体は、アルコールであることが好ましく、エタノールであることがより好ましい。
前記分散液を塗布及び乾燥してなる層を、基材上に形成することで、本発明の素子の取り扱い性を一層向上させることができ、用途を飛躍的に拡大できる。例えば、前記分散液中に、さらに染料、顔料、バインダ等を含有させてインクとし、これを使用して文字やパターンを形成することも可能である。
前記分散液を塗布する基材の材質は、目的に応じて任意に選択でき、各種樹脂類、金属類、合金類、紙類、木材類等、公知のものから選択すれば良い。また、基材の形状も目的に応じて任意に選択でき、板状、ブロック状、球状、棒状、又はこれら形状の二種以上が組み合わされてなる複合形状等、いずれでも良く、さらにこれらに限定されるものではない。
Er添加Siナノ結晶の温度を調節する温調手段は、特に限定されず、通常使用されるヒータ等で良い。ヒータとしては、取り扱い性及び汎用性に優れるものとして、ペルチェ素子を備えたものが例示できるが、これに限定されるものではない。
Er添加Siナノ結晶に励起光を照射する励起手段は、レーザ光源等、公知のものから目的に応じて任意に選択できる。
Er添加Siナノ結晶は、適切な条件を選択することで、励起光照射時に、温度に依存して異なる発光スペクトルを示す。すなわち、フォトルミネッセンス(以下、PLと略記する)のスペクトルは、温度依存性を示す。ここで、「発光スペクトルが異なる」とは、「ピークパターンの変化及びピーク位置(波長)のシフトのいずれか一以上が生じる」ことを指す。特に、室温(20℃程度)以上においては、温度の上昇に伴い、発光強度が増大するピークが存在する。これまでに知られている発光素子では、励起光照射時に温度の上昇に伴って発光強度が減少して消光してしまい、上記知見は新規なものである。
また、励起光照射時には、複数の発光ピークが生じ得るが、同一温度でこれらの強度は互いに異なり、温度の上昇に伴って強度比が変化して、温度によっては明確に識別できる発光ピークの数に相違が生じる。このように、Er添加Siナノ結晶は、温度に依存して異なる発光スペクトルを示す。本発明は、この発光スペクトルの温度依存性を利用して、Er添加Siナノ結晶を温度可変光センサとして機能させるものである。
また、Er添加Siナノ結晶の発光強度は、上記のように、適切な条件を選択することで、励起光照射時の温度の上昇に伴い増大する。本発明は、この発光強度の温度依存性を利用して、Er添加Siナノ結晶を温度可変光センサとして機能させるものである。
励起光照射時におけるEr添加Siナノ結晶の温度は、目的に応じて適宜調整すれば良い。通常は、15〜120℃であることが好ましく、20〜100℃であることがより好ましい。このような範囲とすることで、温度ごとの発光スペクトル又は発光強度の変化が一層明りょうとなる。
本発明において、Er添加Siナノ結晶及び温調手段は、例えば、一体に構成されていても良いし、別々に構成されたものが、適宜組み合わされて配置されるようになっていても良い。好ましいものとしては、Er添加Siナノ結晶が基材上に保持され、該基材が温調手段に接触して又は接触せずに近傍に配置されるようになったものが例示できる。
そして、Er添加Siナノ結晶が基材上に保持された好ましいものとしては、Er添加Siナノ結晶を含有する分散液やインクにより、基材上に文字やパターンが形成されたものが例示できる。このようなものは、基材に特有の情報を付与したメモリ素子として好適である。
本発明の温度可変光センサ素子は、さらに、Er添加Siナノ結晶の発光スペクトルを検出する検出手段を備えることが好ましい。前記検出手段は、公知のもので良く、例えば、CCDカメラ等の光シグナルを検出する手段と、検出した光シグナルのスペクトルを解析する手段とを備えたものが例示できるが、これに限定されるものではない。
本発明は、Er添加Siナノ結晶の発光素子としての機能を利用して、光通信用のデバイスに適用できる。さらに、それにとどまらず、例えば、Er添加Siナノ結晶の発光スペクトルを、異なる複数の温度で検出することにより、複数種類の発光スペクトルを取得し、これら発光スペクトルにおけるピークパターンやピーク強度の組み合わせから、基材に特有の情報を高精度に取得できるので、情報識別用のセンサとして特に好適である。
以下、具体的実施例により、本発明についてさらに詳しく説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
下記手順により、Er添加Siナノ結晶分散液を調製し、これを備えた温度可変光センサ素子の発光スペクトルを確認した。
(Si基板上でのEr添加薄膜の作製)
高周波マグネトロンスパッタ装置(日電アネルバ社製、SPF−210H)を使用して、Si基板上にEr添加薄膜を作製した。
具体的には、直径が101.6mm(4インチ)である略円板状のSiウェーハ上に、常法により酸化膜を設けたSiOターゲット(純度99.9999%)を使用し、その上の中央部付近に、二枚のErチップ(純度99.9%、0.5cm×0.5cm)を離間させて配置し、これらがほぼ中心となるように、これらを取り囲む円周上の位置(エロージョン領域)に、六枚のSiチップ(純度99.999%、0.5cm×0.5cm)を対称に配置した。このSiOターゲットと、このSiOターゲットから4.2cm離間した位置に対峙させて配置した4インチの略円板状のSi基板とを、スパッタリングチャンバー内にセットし、このターゲットを使用して、Arガス雰囲気下、動作圧力0.8Pa(6×10−3Torr)、高周波電源出力200Wの条件で6時間スパッタリングを行い、未酸化のSi基板上に、厚さ9.6μmのEr添加薄膜を作製した。
(Er添加薄膜の加熱処理(Er添加Siナノ結晶の作製))
次いで、得られたEr添加薄膜を、Arガス雰囲気下、1000℃で1時間加熱処理することで、Erが光学的に活性化された薄膜とした。
(Er添加Siナノ結晶分散液の作製)
次いで、30%フッ化水素酸水溶液を50℃で加熱し、発生した蒸気を使用して、加熱処理後の前記薄膜に対してエッチングを行い、SiOを選択的に除去した。そして、エッチング部位を純水中での超音波洗浄に供して、Er添加Siナノ結晶をSi基板から純水中に分離させた。次いで、He−Cdレーザ(波長325nm)の照射により、純水中のEr添加Siナノ結晶に由来するPLが目視で確認できる程度にまで、上記のエッチング〜分離の操作を数回繰り返した。
以上により、Er添加Siナノ結晶が純水中に分散された分散液を作製した。
(Er添加Siナノ結晶の発光スペクトルの測定)
得られたEr添加Siナノ結晶分散液を石英セルに充填した。そして、温調手段としてヒータを使用し、前記分散液の温度を22℃、30℃、40℃、50℃、60℃、70℃、80℃及び90℃の8通りに調節し、それぞれの場合について、前記分散液にレーザを照射して、Er添加Siナノ結晶の発光スペクトルを測定した。測定は、He−Cdレーザ(波長325nm)を使用し、レーザスポットを直径1mmとして、検出手段として電荷結合素子(CCD)を使用して行った。測定結果を図1に示す。
(測定結果)
前記分散液にレーザを照射したところ、Er添加Siナノ結晶の発光に由来する、青みがかった緑色の光が目視で確認できた。そして、図1に示す発光スペクトルから明らかなように、いずれの温度でも波長549.3nm付近、635.7nm付近、735.0nm付近及び811.3nm付近にピークが観測された。そして、いずれのピークも温度の上昇に伴って強度が大きくなっていた。波長735.0nm付近のピークは、いずれの温度でも強度が大きいが、波長549.3nm付近、及び811.3nm付近のピークは、概ね40℃以上で大きな強度であった。また、波長635.7nm付近のピークは、40℃で大きな強度を有していた。
これらのうち、目視で確認できた緑色光は、波長549.3nm付近のピークに該当すると考えられる。そして、Erの3/215/2遷移の発光は、緑色であることが報告知られており(例えば、「足立吟也、新材料シリーズ 希土類の機能と応用、シーエムシー出版、p151、2006」参照)、上記の目視で確認できた緑色光は、Erに由来する発光であると考えられる。
一方、これまでは、発光素子の温度が上昇するにしたがって、発光強度が弱くなり、消光してしまうというのが、PLの常識的な挙動であった。しかし、本発明によれば、図1から明らかなように、Er添加Siナノ結晶は、温度の上昇に伴い発光強度が強くなっており、しかも、特に40℃以上では、複数のピークを明りょうに識別できた。このように、温度によって発光スペクトル及び発光強度が変化していた。
[実施例2]
Er添加薄膜の加熱処理を、Arガス雰囲気下に代え、Nガス雰囲気下で行い、さらにEr添加Siナノ結晶をSi基板からエタノール中に分離させたこと以外は、実施例1と同様にEr添加Siナノ結晶分散液を作製した。そして、前記分散液の温度を21℃に調節したこと以外は、実施例1と同様に発光スペクトルを測定した。測定結果を図2に示す。
前記分散液にレーザを照射したところ、Er添加Siナノ結晶の発光に由来する緑色光が目視で確認できた。そして、図2に示す発光スペクトルから明らかなように、波長538.7nm付近、634.1nm付近及び805.4nm付近にそれぞれピークが観測された。これらのうち、目視で確認できた緑色光は、波長538.7nm付近のピークに該当すると考えられる。
図1及び2から明らかなように、水分散液及びエタノール分散液のいずれにおいても、Er添加Siナノ結晶に特有の発光スペクトルが観測され、いずれも同様の発光ピークを示した。ただし、実施例1で観測された波長735.0nm付近のピークは、実施例2では観測されておらず、水分散液に特有のものであった。
[実施例3]
Er添加Siナノ結晶分散液を作製せず、これに代わり、加熱処理後のEr添加薄膜を発光スペクトルの測定に供したこと以外は、実施例2と同様に発光スペクトルを測定した。測定結果を図3に示す。
図3に示す発光スペクトルから明らかなように、波長545.2nm付近及び743.3nm付近にそれぞれピークが観測された。図2において波長634.1nm付近に観測されたピークは、図3においては、波長545.2nm付近のピークの裾と重なっていると考えられる。したがって、図3に示す発光スペクトルは、図2に示す発光スペクトルとはピークの位置がやや異なるが、パターンは同様であり、加熱処理後のEr添加薄膜は、分散液中のEr添加Siナノ結晶と同様のメカニズムで発光していると考えられた。
本発明は、光通信用のデバイス、情報識別用のセンサ等、発光素子としての機能を利用する技術分野全般に利用可能である。

Claims (6)

  1. エルビウムが添加されたシリコンナノ結晶と、該シリコンナノ結晶の温度を調節する温調手段と、該シリコンナノ結晶に励起光を照射する励起手段とを備え、前記シリコンナノ結晶が、励起光照射時の温度に依存して異なる発光スペクトルを示すことを特徴とする温度可変光センサ素子。
  2. 温度の上昇に伴い、発光強度が増大することを特徴とする請求項1に記載の温度可変光センサ素子。
  3. エルビウムが添加されたシリコンナノ結晶と、該シリコンナノ結晶の温度を調節する温調手段と、該シリコンナノ結晶に励起光を照射する励起手段とを備え、前記シリコンナノ結晶の発光強度が、励起光照射時の温度の上昇に伴い増大することを特徴とする温度可変光センサ素子。
  4. 励起光照射時に、温度に依存して異なる発光スペクトルを示すことを特徴とする請求項3に記載の温度可変光センサ素子。
  5. 前記シリコンナノ結晶が水又は水溶性の液体中に分散された分散液、あるいは該分散液を塗布及び乾燥してなる層を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の温度可変光センサ素子。
  6. 前記シリコンナノ結晶が、薄膜中に含有されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の温度可変光センサ素子。
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