JP2011027727A - 生体由来の処理対象の処理方法および処理用器具 - Google Patents

生体由来の処理対象の処理方法および処理用器具 Download PDF

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Abstract

【課題】検査液の使用量を少なくしつつ検査液と生体組織とを確実に接触させることができる処理用器具および生体由来の処理対象の処理方法を提供する。
【解決手段】支持体SGに付着させた検体Sに対して検査液rを接触させる処理を行うために使用される処理用器具10であって、上面に凹んだ凹部11hを有しており、凹部11hは、その幅Wが、支持体SGの長さよりも短く、その長さが、支持体SGの幅よりも長く、なるように形成されており、その深さは、検体Sの付着された面が凹部11hの内底面11aと対向するように支持体SGを上面に載せたときに、凹部11hの内底面11aと検体Sとの間に隙間を形成し得る深さ、に形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、生体由来の処理対象の処理方法および処理用器具に関する。さらに詳しくは、臨床診断や基礎医学・生物学などの分野において、観察・検査のために生体組織や細胞などの検体(生体由来の処理対象)を染色液や抗体液によって処理するために使用される処理用器具および処理用器具を使用した生体組織の処理方法に関する。
医学の基礎的分野である解剖学、生理学、病理学、細菌学等の研究や臨床診断、あるいは生物学の研究において、検査を行う生物組織や細胞など(以下、検体という)を顕微鏡観察する事前処理として染色が行われていれる。
例えば、検体に対して特殊な色素を含む染色液を供給して特定の生物組織に色を付けたり、検体に特定の抗原が存在しているか否かを検出するために、検体に対して特定の抗原と結合する抗体を含む抗体液を供給して抗原と抗体を反応させたりする事前処理が行われている。
従来、上記のごとき事前処理は、検体を薄くスライスした切片(例えば、10μm程度)をスライドガラスに貼付して、この切片に対して染色液や抗体液(以下、検査液という)を滴下することによって行われている(例えば、特許文献1)。
しかるに、スライドガラスは単なる板状の部材であり、その上面に液体を溜めておくような機能は有していない。このため、上記のごとき方法によって事前処理を行った場合には、滴下した検査液がスライドガラス上からこぼれ落ちてしまうことが多い。そして、こぼれ落ちた検査液は再使用することができないことが多く、検査液を無駄にしてしまう。
とくに、抗体液は非常に高価な上、再使用できないので、無駄にする検査液が多くなると、検査のコスト増につながる。
滴下する検査液の量を少なくすれば、検査液がスライドガラス上からこぼれ落ちることを防ぐことはできるが、検体と検査液が十分に接触せず、適切な検査ができなくなるという問題が生じる。つまり、検体が検査液と十分に接触したことを保証できないので、検査結果の信頼性を保証できなくなる。例えば、細胞中の特定の抗原を確認する試験では、全ての抗原が抗体と完全に反応したという保証がなくなるので、滴下する検査液の量を少なくできない。
とくに、希少な検体について検査する場合には、追試験を行うことができない場合も多く、全ての抗原を抗体とを確実かつ完全に反応させるためにも、滴下する検査液の量を少なくすることはできない。
検査液がスライドガラス上からこぼれ落ちるという問題を防ぐ方法として、以下の方法がある。
特許文献1には、検査液がスライドガラスからこぼれるのを防止するために、ワセリンなどを検体の周囲に塗りつけて検査液がスライドガラスからこぼれるのを防止する方法が記載されている。
しかし、この方法では、スライドガラスにワセリンなどを塗る作業が煩雑である上、ワセリンなどによって検体や検査液が汚れる等の問題がある。
また、特許文献2には、囲み帯で囲われた滞留面を形成したスライドガラスが開示されており、かかるスライドガラスでは、囲み帯によってスライドガラスから検査液がこぼれる可能性は低くできる。
しかし、このような構造を有するスライドガラスには、尿沈渣のような液体のサンプにしか使用できず、検体をスライスして作成した切片等を貼付して病理検査等を行うことは困難である。なぜなら、検体のごく薄い切片を貼り付ける際、スライドグラスと切片を密着させる必要があるが、スライドグラスから隆起して設置されている囲み帯がその作業を不可能にするからである。
さらに、検査液には凝固物が含まれている場合があるが、切片の上から検査液を滴下した場合には、凝固物が検体の切片上に沈殿して付着してしまう可能性がある。すると、凝固物の存在により、非特異的染色等の問題が生じる可能性がある。
特開平8−43388号公報 特開平7−113731号公報
本発明は上記事情に鑑み、検査液の使用量を少なくしつつ検査液と生体由来の処理対象とを確実に接触させることができる処理用器具および生体由来の処理対象の処理方法を提供することを目的とする。
(処理用器具)
第1発明の処理用器具は、支持体に付着させた処理対象に対して液体を接触させる処理を行うために使用される処理用器具であって、上面に凹んだ凹部を有しており、該凹部は、その幅が、前記支持体の長さよりも短く、その長さが、前記支持体の幅よりも長く、なるように形成されており、その深さは、前記処理対象の付着された面が該凹部の内底面と対向するように前記支持体を上面に載せたときに、該凹部の内底面と前記処理対象との間に隙間を形成し得る深さ、に形成されていることを特徴とする。
第2発明の処理用器具は、第1発明において、前記凹部の深さが、前記支持体を上面に載せたときに、該支持体と該凹部の内底面との間に液体を保持し得る深さに形成されていることを特徴とする。
第3発明の処理用器具は、第1または第2発明において、前記凹部の深さが、0.1mm以上0.4mm以下であることを特徴とする。
第4発明の処理用器具は、第1、第2または第3発明において、前記凹部は、その内底面が、該処理用器具の上面と平行となるように形成されていることを特徴とする。
第5発明の処理用器具は、第1乃至第4発明において、前記凹部が溝状に形成されており、幅の異なる凹部が、複数列設けられていることを特徴とする。
第6発明の処理用器具は、第1乃至第5発明において、前記処理用器具の上面には、前記凹部の近傍に、該凹部と分離された補助凹部が設けられていることを特徴とする。
(生体組織の処理方法)
第7発明の生体由来の処理対象の処理方法は、支持体に付着させた処理対象に対して液体を接触させる処理を行うために使用される処理方法であって、液体を透過しない器具の上面に、前記処理対象の付着された面を該器具の上面に向けかつ該処理対象と該器具の上面との間に所定の間隔が空いた状態となるように、前記支持体を配置し、該器具の上面と前記支持体との間に液体を供給することを特徴とする。
第8発明の生体由来の処理対象の処理方法は、第7発明において、前記器具が、第1乃至第6発明の処理用器具であることを特徴とする。
(処理用器具)
第1発明によれば、処理対象の付着された面が凹部に位置し、しかも、処理対象が凹部の内底面と対向するように支持体を処理用器具の上面に載せれば、支持体と凹部の内底面との間に空間ができる。すると、その空間に液体を入れれば、液体と処理対象とを接触させることができる。また、凹部は、支持体を処理用器具の上面に載せたときに、その内底面と処理対象との間に隙間を形成し得る深さに形成されているので、処理対象が内底面と接触しないし、液体に凝固した成分が含まれていてもその成分が処理対象に付着することを防ぐことができる。すると、処理対象の汚染や凝固した成分に起因する、観察結果や検査結果の信頼性の低下が生じることや、非特異的染色あるいは非特異的反応(本来抗体や染料とは反応しないはずの組織あるいは細胞、あるいはそれらに含まれる種々の物質に凝固した成分が吸着するなどによって生まれる反応や染色)等が生じることを防ぐことができる。
第2発明によれば、液体を供給したときに、液体の表面張力によって供給した液体が確実に隙間に保持されるので、最小限の量の液体で両者間の隙間を満たすことができ、液体を無駄なく使用することができる。
第3発明によれば、支持体と凹部の内底面との間が適切な隙間になっているので、処理対象の乾燥を防ぐことができる。
第4発明によれば、支持体と凹部の内底面との間の隙間に収容される液体の量を正確に把握できるので、処理に必要な量の液体を容易かつ正確に把握することができる。
第5発明によれば、一つの処理用器具であっても、異なる幅の処理対象の処理を行うことができるし、複数の処理対象を付着させた支持体の処理も可能となる。
第6発明によれば、支持体の一部が補助凹部に位置するように配置すれば、補助凹部では、支持体と処理用器具の上面との間に空間が形成される。すると、その空間部分に指を掛ければ、支持体を処理用器具から容易に取り外すことができる。
(生体組織の処理方法)
第7発明によれば、支持体における処理対象の付着された面を、器具の上面と隙間ができるように配置しているので、その隙間に液体を入れれば、液体と処理対象とを接触させることができる。しかも、液体を透過しない器具の上面に、処理対象と器具の上面との間に所定の間隔が空いた状態となるように、支持体を配置するので、液体に凝固した成分が含まれていてもその成分が処理対象に付着することを防ぐことができる。よって、凝固した成分に起因する観察結果や検査結果の信頼性の低下や非特異的染色あるいは非特異的反応等が生じることを防ぐことができる。
第8発明によれば、支持体における処理対象の付着された面を、処理対象が凹部に位置するように配置すれば、支持体と器具の上面との間に隙間ができるように簡単に配置することができる。しかも、処理に使用する液体の量を少なくでき、液体を無駄なく使用することができるし、処理中における処理対象の乾燥を防ぐことができる。
本実施形態の処理用器具10の概略説明図であって、(A)は断面図であり、(B)は使用状態の斜視図である。 本実施形態の処理用器具10の単体説明図であって、(A)は平面図であり、(B)は側面図であり、(C)は(A)のC−C断面図である。 本実施形態の処理用器具10を使用して、支持体SGに付着させた検体Sの処理を行う作業の説明図である。 (A)は本実施形態の処理用器具10を使用して支持体SGに付着させた検体Sの処理を行っている状態の説明図であり、(B)は他の実施形態の処理用器具10の概略説明図である。 他実施形態の処理用器具10の単体説明図であって、(A)は側面図であり(B)は平面図である。 他実施形態の処理用器具10の使用状態の概略説明図である。
本発明の処理用器具は、臨床診断や基礎医学・生物学などの分野において、観察・検査する生体組織や細胞などの生体由来の処理対象を染色液や抗体液等の液体によって事前処理するために使用される処理用器具であって、処理対象を液体に接触浸漬させる処理に適した構造であることに特徴を有している。
具体的には、スライドガラス等の支持体に付着されている処理対象を液体と接触させる際に、液体と処理対象とを確実に接触させることができ、しかも、使用する液体を少なくすることができる構造としたことに特徴を有している
なお、本発明において、液体によって事前処理する対象となる処理対象には、生体組織や細胞などが含まれるが、とくに限定されない。以下では、かかる処理対象を検体という。
また、本発明において、液体を検体に接触浸漬させる処理とは、染色液を検体に接触させて検体の細胞を染色する処理や、抗体を含む抗体液を検体に接触させて抗体を検体中の特定の抗原と結合させる処理などが該当するが、これらに限られない。例えば、動物血清や精製アルブミン溶液などを用いて行うブロッキング処理、界面活性剤を用いて行う細胞膜破壊処理、内因性ペルオキシダーゼの活性除去処理など、免疫組織染色の前処理等の処理も、本発明における液体を検体に接触浸漬させる処理に含まれる。
さらに、処理に使用する液体も、上述した染色液や抗体液、様々な溶質を含む種々の緩衝液に限られず、各処理に適した液体であれば使用できるのはいうまでもない。以下では、処理に使用する液体を検査液という。
さらに、検体を付着する支持体は、上述したスライドガラスに限られず、カバーガラスやチャンバーなども本発明の支持体に該当する。つまり、本発明において、支持体とは、検体を付着させて、検体を液体によって処理する際に使用される器具全般を含む概念である。
(処理用器具10の説明)
つぎに、本発明の処理用器具を図面に基づき説明する。
図1および図2に示すように、本実施形態の処理用器具10は、平坦な上面10aを有し、平面上(例えば、机やテーブル等の上)に静置することができる部材、例えば、平板や矩形のブロックのような形状を有する部材である。例えば、処理用器具10は、その上面10aの寸法が、縦(図2では左右方向)80〜150mm、横幅(図2では上下方向)30〜300mm程度となるように形成されている。
なお、処理用器具10の上面10aの寸法は、上述した寸法に限られないが、その横幅は、支持体SGの幅よりも長くなるように形成されている。例えば、支持体SGとして規格品のスライドガラスを使用する場合、処理用器具10の横幅は、規格品のスライドガラスの幅(約25mm)以上となるように形成されているが、その理由は後述する。
また、処理用器具10の形状は、平板や矩形のブロックのような形状に限られないのはいうまでもなく、支持体SGをその上面に載せておくことができる程度の大きさを有していれば、平面視で円形や楕円形などでもよいのは、いうまでもない。
また、処理用器具10の素材は、検査液と反応して変質したり検査液を吸収したりしないような素材であればよく、とくに限定されない。例えば、アクリルやポリスチレン、ガラス、ステンレスなどの金属類等を採用することができる。
とくに、廃棄が容易である材料、例えば、ポリスチレンなどによって処理用器具10を形成した場合には、処理用器具10を使い捨てとすることができる。すると、感染性のある病原体を含む病理組織の処理に処理用器具10を使用した場合でも、この処理用器具10を再使用しないので、処理用器具10を介して病原体が他の組織に感染したり、実験者が病原体に感染することを確実に防ぐことができる。
また、金属類等のように、加熱しても変形等の問題を生じない材料によって処理用器具10を形成した場合には、処理に使用した後、処理用器具10を加熱殺菌することができる。すると、感染性のある病原体を含む病理組織の処理に処理用器具10を使用した場合でも、その後加熱殺菌すれば、処理用器具10を再使用しても、処理用器具10を介して病原体が他の組織や実験者に感染することを防ぐことができる。
さらに、図4(B)に示すように、処理用器具10において、後述する凹部11hと底面との間に、着色された部分CPを形成しておけば、支持体SGと凹部11hの内底面11aとの間に検査液rを供給した際に検査液rを把握しやすくなるので、好ましい。
図1および図2に示すように、本実施形態の処理用器具10は、上面10aに溝状の凹部11hが形成されている。この凹部11hは、処理用器具10の上面10aの横幅方向(図2(A)では上下方向)に沿って、その幅方向の両端間をつなぐように形成されており、その長さLが支持体SGの幅よりも長くなっている。
また、凹部11hの幅Wは、その長さが支持体SGの長さよりも長くなるように形成されている。例えば、支持体SGとして規格品のスライドガラスを使用する場合、凹部11hの幅Wは、規格品のスライドガラスの長さ(約75mm)以下となるように形成されている。
つまり、支持体SGをその軸方向と凹部11hの幅方向とが一致するように処理用器具10における凹部11hの部分に配置すれば、支持体SGを凹部11h上に渡すように配置できるのである(図1(B)参照)。
なお、凹部11hの幅Wはかかる条件を満たす長さであればよい。例えば、10〜50mm程度、好ましくは32mm程度とすることができるが、この範囲に限られず、使用する支持体SGや支持体SGに付着させる検体Sに応じて適切な幅とすればよい。
さらに、凹部11hはその深さDpが、支持体SGに付着させている検体Sの厚さよりも長くなるように形成されている。例えば、凹部11hの深さDpは、0.1〜0.4mm程度となるように形成されている。
以上のごとき構成であるから、支持体SGを、その検体Sが付着している面を本実施形態の処理用器具10の上面に向けた状態で、検体Sの部分が凹部11hに位置するように配置して、処理用器具10の上に載せれば、凹部11h内に検体Sが収容された状態となるように支持体SGを処理用器具10の上に配置することができる。すると、凹部11h内、つまり、支持体SGと凹部11hの内底面11aとの間に検査液rを供給すれば、検体Sと検査液rとを接触させて、検体Sを検査液rによって事前処理することができる。
しかも、凹部11hは、その深さDpが、支持体SGに付着させている検体Sの厚さよりも長くなるように形成されている。すると、凹部11h内に検体Sが収容されるように支持体SGを配置しても、検体Sが凹部11hの内底面11aと接触することがないので、検体Sが汚染したり検体が処理用器具10と触れて損傷したりすることを防ぐことができる。
凹部11hは、その深さDpはとくに限定されないが、0.1〜0.4mm程度が好ましい。検体Sの厚さは、通常、5〜20μm程度であり、その表面に凹凸があってもせいぜいその高さは50μm程度である。すると、凹部11hの深さDpが0.1〜0.4mm程度となっていれば、凹部11hの内底面11aと凹部11h内に収容された検体Sとの距離を、少なくとも50μm以上とすることができるので、検体Sと凹部11hの内底面11aとが接触することはない。
そして、凹部11hの内底面11aと凹部11h内に収容された検体Sとの距離が50μm以上であれば、検査液rに凝固した凝固成分smが含まれていても、凝固成分smが検体Sと接触し付着することがない(図1(A)参照)。なぜなら、検査液rに含まれる凝固成分smは、凹部11hの内底面11aに沈むし、その大きさはせいぜい1μm程度の大きさだからである。
したがって、本実施形態の処理用器具10を使用して、検体Sと検査液rとを接触させる処理を行えば、凝固成分smが検体Sに付着することにより生じる、検体Sの汚染や損傷等の問題も防ぐことができる。
さらに、支持体SGと凹部11hの内底面11aとの間の空間に供給した検査液rが、その表面張力によって、この空間から流れ出にくくなる程度の深さDpとなるように凹部11hを形成することが好ましい。かかる深さDpとすれば、凹部11hの内底面11aと支持体SGとの間の空間に、検査液rを、この空間を満たす最小限の量だけ供給できるから、検査液rを無駄なく使用することができる。
例えば、凹部11hの深さDpを0.2〜0.3mm程度とすれば、上述したような処理(段落0016、0017参照)に通常使用される検査液では上記のごとき効果が発揮され、凹部11hの幅Wが32mmの場合、最小限の量(0.2〜0.3ml)の検査液rで、空間を満たすことができる。
なお、上記のごとき効果を発揮させることができる凹部11hの深さDpは、検査液rの性質によって異なるので、検査液rに応じて適切な深さとすればよい。
さらに、凹部11hの深さDpが0.1〜0.4mmの場合であれば、蒸発などによる検査液rの消失を遅らせることができるので、生体組織の乾燥を防ぐことができるという効果も得られるので、好ましい。
(処理用器具10を利用した処理方法の説明)
以下では、本実施形態の処理用器具10を使用して、検体Sと検査液rとを接触させる処理(本発明の処理方法)を行う手順を、図3に基づいて説明する。
まず、支持体SGの一方の面に、染色等の処理を行う検体Sを付着させる。なお、上述したように、検体Sの厚さは、通常、5〜20μm程度であり、最大でも50μm程度である(図3(A))。
ついで、本実施形態の処理用器具10を用意し、この処理用器具10の上面10a上に前記一方の面に検体Sが付着した支持体SGを載せる。
このとき、支持体SGは、検体Sが付着した面が凹部11hの内底面11aと対向するように位置し、しかも、検体Sが凹部11h内に位置するように配設される。つまり、支持体SGは、凹部11h内の空間(支持体SGと凹部11hの内底面11aとの間の空間)に検体Sが位置するように配設される(図3(B)、図1(A)参照)。
このとき、凹部11hの深さDpが0.1〜0.4mm程度であり、検体Sの厚さは最大でも50μm程度であるから、凹部11hの内底面11aと検体Sとは接触しない。
図3(B)のように支持体SGが処理用器具10の上面10a上に配置されると、この凹部11h内の空間に、ピペットPなどによって検査液rが供給される。
このとき、検査液rは、凹部11h内の空間に、支持体SGと凹部11hの内底面11aとの間の隙間から供給される。しかし、凹部11hの深さDpが0.1〜0.4mm程度、つまり、両者間の隙間が0.1〜0.4mm程度であるから、供給された検査液rは、凹部11h内の空間に保持され、凹部11h内の空間からは流出しない。
検査液rの供給を続けると、検査液rが凹部11h内の空間に広がり、やがて、検査液rが凹部11h内の空間全域に広がる。その状態となると、ピペットPから凹部11h内の空間に対する検査液rの供給を停止する。
すると、凹部11h内の空間全体が検査液rに満たされた状態となるので、この状態で所定の時間保持すれば、検体Sを確実に検査液rに接触させることができ、検体Sを検査液rによって確実に処理することができる。
なお、検体Sにおいて、支持体SGと接触している部分は検査液rに直接接触しない。しかし、検体Sの厚さは10μm程度であれば、検体Sが検査液rに浸漬した状態となっているので、検査液rは検体Sの内部全体に浸透する。よって、実質的に検査液rを検体S全体と接触させた場合と同等の効果を得ることができる。
(補助凹部12hを設けた例)
検査液rによって検体Sが確実に処理されると、支持体SGは処理用器具10の上面10aから取り外される。このとき、支持体SGの表面において、凹部11hに位置する部分以外の部分が処理用器具10の上面10aと完全に面接触していると、支持体SGの取り外しが困難になる。悪くすると、支持体SGを処理用器具10から取り外す際に、せっかく処理した検体Sを損傷してしまう可能性がある。
しかし、凹部11hの近傍に、凹部11hと分離されしかも凹部11hと平行に設けられた溝である補助凹部12hを設けておけば、補助凹部12hの分だけ処理用器具10の上面10aと支持体SGの表面との密着性を低くできる。
しかも、補助凹部12hの部分では、支持体SGの下方に空間が形成されるから、その空間部分に指等をいれて指等を支持体SGに引っ掛けることができる。
よって、支持体SGにおける補助凹部12hの部分に指を掛けて支持体SGを引き上げれば、支持体SGを処理用器具10の上面10aから容易に取り外すことができる(図3(D))。
なお、補助凹部12hは、必ずしも凹部11hと平行に設けられた溝でなくてもよく、支持体SGの一部を補助凹部12hに配置すると、支持体SGの下方に空間が形成されるようになっていればよい。例えば、処理用器具10の上面10aから窪んだ凹みであってもよい。この場合でも、処理用器具10の上面10aと支持体SGの表面との密着性を低くできるし、両者間に形成される空間部分に指等をいれれば指を支持体SGに引っ掛けることができるから、支持体SGを処理用器具10の上面10aから容易に取り外すことができる。
(本発明の処理方法の他の例)
また、本実施形態の処理用器具10を使用しなくても、本発明の処理方法を実施することは可能である。
例えば、検査液を透過しない材料(例えば、アクリルやステンレス等)で形成された上面が平坦な部材、例えば、バット内に、厚さが0.1〜0.4mm程度の一対の部材(例えば平板等)を互いに間隔を空けて配置する。この一対の部材の上に、検体Sを付着させた支持体SGを、検体Sが付着した面がバットの底面を向くように配置する。そして、支持体SGとバットの底面との間に検査液rを供給すれば、上述した本実施形態の処理用器具10を使用した場合と同等の効果を得ることができる。
しかし、本実施形態の処理用器具10を使用すれば、一対の部材を配置したり位置決め面したりする作業が不要となるので、本発明の処理方法を簡単に実施することができるという利点がえられるので、好ましい。
(凹部11hの他の例)
上記例では、凹部11hが溝状の場合を説明したが、凹部11hの形状はとくに限定されない。例えば、例えば、その直径が、支持体SGの長さよりも短く支持体SGの幅よりも長い平面視円形の凹みによって凹部11hを形成してもよい。つまり、凹部11hは、支持体SGをその上に配置したときに、支持体SGの側方にピペットなどを介して検査液rを供給できる空間が形成され、かつ、支持体SGと凹部11hの内底面11aとの空間に検査液rを供給できるように、形成されていればよく、その形状はとくに限定されない。
また、凹部11hの内底面11aは、処理用器具10の上面10aと平行な平坦面であることが好ましいが、若干の凹凸があったり、処理用器具10の上面10aに対して傾いていたりしてもよく、とくに限定されない。
しかし、処理用器具10の上面10aと凹部11hの内底面11aとが平行となるように凹部11hが形成されていれば、支持体SGと凹部11hの内底面11aとの間に形成される空間の容積(以下、単に隙間の容積という)を正確に把握することができるので好ましい。言い換えれば、支持体SGと凹部11hの内底面11aとの間に形成される空間に収容することができる検査液rの量(前記空間の容積とほぼ等しい)を正確に把握することができるので好ましい。
その理由は以下のとおりである。
凹部11hの深さDpが0.2〜0.3mm程度であれば、検査液rを、支持体SGと凹部11hの内底面11aとの間の隙間から流れ出ないように供給することができる。つまり、隙間に、その隙間の容積とほぼ同等の量の検査液rが供給されるように、ピペットPなどから隙間に対して検査液rを供給することができる。
ここで、処理用器具10の上面10aと凹部11hの内底面11aとが平行となるように凹部11hが形成されていれば、一枚の支持体SGと凹部11hの内底面11aとの間に形成される隙間に供給する検査液rの量(以下、検査液rの単位量Vという)は、凹部11hの深さDp、凹部11hの幅W、および、支持体SGの幅、が分かれば簡単に求めることができる。具体的には、これらを掛け算することによって、検査液rの単位量Vを求めることができる。
すると、検査液rの単位量Vと、処理する支持体SGの枚数と、に基づいて、処理に使用する検査液rの総量を正確に見積もることができる。
そして、処理中に検査液rが不足することを防ぐために、過剰な量の検査液rを調整しておく必要がなくなるから、検査液rを調整する際に、原液を無駄にすることがないという利点が得られる。
(処理用器具10の他の例)
なお、凹部11hの長さLは、支持体SGの幅よりも広ければよいが、支持体SGを複数枚並べて配置できる程度の長さがあれば、複数枚の支持体SGに付着させた検体Sを同時に処理できるので好ましい(図1(B)参照)。
また、上記例では、処理用器具10の上面に、1列だけ凹部11hを設けた例を示したが、処理用器具10の上面に設ける凹部11hの数は2列以上でもよい。この場合、列によって凹部11hの深さDpに差をつけておけば、一つの処理用器具10でも、処理する検体の厚さや、処理に必要となる検査液の量に合わせて、使用する凹部11hを変えることができる。つまり、一つの処理用器具10でも、複数の処理を適切に行うことができるので、保管しておく処理用器具10を少なくできる。
例えば、深い凹部11hを用いれば、粘度の高い検査液を使用する場合に、検査液の供給を容易にすることができるし、より浅い凹部11hを用いれば、検査液の粘度は小さいが高価な検査液を使用する場合に、検査液を節約する等の利点が得られる。
さらに、処理用器具10の上面に凹部11hを複数列設けた場合に、各凹部11hをそれぞれ異なる幅Wとしてもよい。すると、一つの処理用器具10であっても、異なる幅の検体や、複数の検体Sを付着させた支持体SGの処理を行うことができる。
例えば、図5および図6に示すように、幅Wの異なる3つの凹部11hを互いに平行に設け、各凹部11hの幅Wを、それぞれW1(例えば、16mm)、W2(W1の2倍の長さ、例えば、32mm)、W3(W1の3倍の長さ、例えば、48mm)、となるように形成する。すると、検体Sの幅がW1程度(例えば、16mm)のものであれば、支持体SGに1つの検体Sが付着されている場合には、支持体SGを幅W1の凹部11hに配置すれば、最小限の検査液で処理を行うことができる。また、検体Sを2枚または3枚支持体SGに付着させた場合でも、各支持体SGを、幅W2の凹部11hおよび幅W3の凹部11hにそれぞれ配置すればそれぞれ適切な量(つまり、最小限の量)の検査液で処理を行うことができる。
そして、凹部11hの長さLが十分にあれば、各凹部11hにそれぞれ支持体SGを配置して、同時に複数の支持体SGについて処理を行うことが可能となるから、処理効率を高くできるので、好ましい。
さらに、凹部11hは、処理用器具10の上面だけでなく、処理用器具10の底面にも設けてもよい。この場合も、上面に設ける凹部11hと、底面に設ける凹部11hで、その深さDpや幅Wに差をつけておけば、上記と同様の効果を得ることができる。
(処理用器具10の底面構造)
なお、本実施形態の処理用器具10であって、その凹部11hの深さDpが0.1〜0.4mmであっても、検体Sに対して検査液rを長時間(例えば、24時間)浸漬させる必要がある場合には、検体Sは乾燥する。このため、検体Sに対して検査液rをある程度の時間浸漬させる場合には、図4(A)に示すように、バットB1に水Wを入れて、そのバットB1内に支持体SGを載せた処理用器具10を配置し、別なバットB2によってバットB1に蓋をする。すると、バットB1とバットB2に囲まれた空間を湿度の高い状態にすることができるので、検体Sの乾燥を防ぐことができる。
ここで、水Wを入れたバットB1内に処理用器具10を配置したときに、処理用器具10の底面が平坦面であれば、処理用器具10の底面とバットB1との間に水Wが入ってしまうと、処理用器具10がバットB1の底面を滑りやすくなる。すると、処理用器具10をいれたバットB1を移動させるときに、処理用器具10がバットB1内で滑り、その影響で処理用器具10から支持体SGが落ちてしまう可能性がある。
かかる問題を防ぐ上では、処理用器具10の底面に溝13hを設けることが好ましい。すると、溝13hが排水溝として機能するので、処理用器具10がバットB1内で滑ることを防ぐことができる。
本発明の処理用器具は、臨床診断や基礎医学・生物学などの分野において、生体組織や細胞などの検体を染色液や抗体液によって処理する際に使用する器具として適している。
10 処理用器具
11h 凹部
12h 補助凹部
S 検体
SG 支持体

Claims (8)

  1. 支持体に付着させた処理対象に対して液体を接触させる処理を行うために使用される処理用器具であって、
    上面に凹んだ凹部を有しており、
    該凹部は、
    その幅が、前記支持体の長さよりも短く、
    その長さが、前記支持体の幅よりも長く、なるように形成されており、
    その深さは、
    前記処理対象の付着された面が該凹部の内底面と対向するように前記支持体を上面に載せたときに、該凹部の内底面と前記処理対象との間に隙間を形成し得る深さ、に形成されている
    ことを特徴とする処理用器具。
  2. 前記凹部の深さが、
    前記支持体を上面に載せたときに、該支持体と該凹部の内底面との間に液体を保持し得る深さに形成されている
    ことを特徴とする請求項1記載の処理用器具。
  3. 前記凹部の深さが、
    0.1mm以上0.4mm以下である
    ことを特徴とする請求項1または2記載の処理用器具。
  4. 前記凹部は、
    その内底面が、該処理用器具の上面と平行となるように形成されている
    ことを特徴とする請求項1、2または3記載の処理用器具。
  5. 前記凹部が溝状に形成されており、
    幅の異なる凹部が、複数列設けられている
    ことを特徴とする請求項1、2、3または4記載の処理用器具。
  6. 前記処理用器具の上面には、
    前記凹部の近傍に、該凹部と分離された補助凹部が設けられている
    ことを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載の処理用器具。
  7. 支持体に付着させた処理対象に対して液体を接触させる処理を行うために使用される処理方法であって、
    液体を透過しない器具の上面に、前記処理対象の付着された面を該器具の上面に向けかつ該処理対象と該器具の上面との間に所定の間隔が空いた状態となるように、前記支持体を配置し、
    該器具の上面と前記支持体との間に液体を供給する
    ことを特徴とする生体由来の処理対象の処理方法。
  8. 前記器具が、請求項1乃至6記載の処理用器具である
    ことを特徴とする請求項7記載の生体由来の処理対象の処理方法。
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