JP2011020938A - 抗インフルエンザウイルス剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】インフルエンザウイルスの感染に対して優れた予防及び/又は治療作用を有する抗インフルエンザウイルス剤の提供。
【解決手段】デキストラン硫酸又はその塩を有効成分として含有する抗インフルエンザウイルス剤。
【選択図】なし
【解決手段】デキストラン硫酸又はその塩を有効成分として含有する抗インフルエンザウイルス剤。
【選択図】なし
Description
本発明は、インフルエンザウイルスの感染に対して、優れた予防及び/又は治療作用を有する抗インフルエンザウイルス剤に関する。
ウイルスが人類の脅威となって久しく、さまざまなウイルスが幾度となく世界的大流行を引き起こして今日に至っている。特にインフルエンザウイルスは、水鳥の腸内に存在する弱毒性ウイルスであったものが、突然変異によってヒトの呼吸器への感染性を獲得したものであると考えられており、変異によってヒトからヒトヘの感染能を獲得した新しいインフルエンザウイルスの出現は人類の脅威となっている。
インフルエンザウイルスをはじめ、感冒様症状を引き起こす殆どのウイルスはエンベロープ(外皮膜)を有するウイルスであり、これらのウイルスは、まず鼻咽腔、扁桃腺などに感染してから全身感染を引き起こすことから、抗ウイルス作用を有する含嗽剤や鼻洗浄剤が多くのウイルス感染に対して予防効果を持つと考えられる。しかし、従来の含嗽剤は、ポビドンヨード等細菌に対して制菌作用を持つものが知られているが、抗ウイルス作用を持つものは知られていない。また、感冒などのウイルス感染には有効な薬剤がなく、マスクによる予防、抗炎症剤などによる対症療法が主体である。
現在、インフルエンザに対する治療薬として、リン酸オセルタミビルやザナミビル水和物がA型又はB型インフルエンザウイルス感染症の予防・治療を目的として臨床使用されているが、10歳以上の未成年の患者においては、本剤の服用後に異常行動を発現し、転落等の事故に至った例が報告されていることや、様々な副作用の発現が懸念されるため、すべての患者に適応できるものではない。また、これらの薬剤に対し、耐性を有する新型インフルエンザが発生したとの報告もある。
一方、デキストランを硫酸化したデキストラン硫酸は、高トリグリセリド血症の治療薬として臨床使用されている。また、デキストラン硫酸には抗エイズウイルス作用があることが報告され(非特許文献1)、これを契機として種々の硫酸化多糖が抗エイズウイルス剤として検討されている(非特許文献2)。
しかしながら、インフルエンザウイルスはシアル酸を含む糖鎖を受容体とするため、デキストラン硫酸による抑制は困難と考えられていた。
しかしながら、インフルエンザウイルスはシアル酸を含む糖鎖を受容体とするため、デキストラン硫酸による抑制は困難と考えられていた。
Ito M, et al., Antiviral Res. 1987 7(6): 361-367.
Nakashima H, et al., Jpn. J. Cancer Res. (Gann) 1987, 78: 1164-1168.
本発明の課題は、インフルエンザウイルスの感染に対して、優れた予防及び/又は治療作用を有する抗インフルエンザウイルス剤を提供することにある。
本発明者らは斯かる実情に鑑み鋭意検討を重ねた結果、デキストラン硫酸又はその塩に優れた抗インフルエンザウイルス作用が認められ、これは含嗽剤や鼻洗浄剤等の形態でも使用できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、デキストラン硫酸又はその塩を有効成分として含有する抗インフルエンザウイルス剤を提供するものである。
また、本発明は、デキストラン硫酸又はその塩を有効成分として含有する、インフルエンザウイルスの感染を予防及び/又は治療する含嗽剤、鼻洗浄剤又は皮膚外用剤を提供するものである。
また、本発明は、デキストラン硫酸又はその塩を有効成分として含有する、インフルエンザウイルスの感染を予防及び/又は治療する含嗽剤、鼻洗浄剤又は皮膚外用剤を提供するものである。
本発明の抗インフルエンザウイルス剤は、優れた抗インフルエンザウイルス作用を有するので、インフルエンザウイルス感染症の予防及び/又は治療に有用である。特に含嗽剤や鼻洗浄剤等の形態で使用することで、鼻咽腔、扁桃腺を介しての感染を防ぐことができる。
本発明に用いるデキストラン硫酸は、市販品として入手できる。デキストラン硫酸の塩としては、薬学的に許容される塩であれば特に制限されず、例えばナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウムなどの無機塩基;メチルアミン、エチルアミン、メグルミン、エタノールアミンなどの有機塩基との塩基付加塩;塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、炭酸、ピクリン酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、グルタミン酸などの有機酸との酸付加塩が挙げられる。これらのうち、ナトリウム塩が好ましく、特に第十五改正日本薬局方記載のデキストラン硫酸エステルナトリウムイオウが好ましい。
後記実施例に示すように、デキストラン硫酸又はその塩は、インフルエンザウイルスに対して優れた抗ウイルス作用を示した。従って、本発明の薬剤は、インフルエンザウイルス感染症の予防及び/又は治療に有用である。ここで、インフルエンザウイルスとしては、A型は又はB型のインフルエンザウイルスが挙げられる。
本発明の薬剤は、任意の投与形態で投与され得る。経口投与のための製剤の剤型としては、例えば錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤等が挙げられる。非経口投与としては、注射剤、坐剤、吸入薬、経皮吸収剤、皮膚外用剤、点眼剤、点鼻剤等が挙げられる。また、含嗽剤、鼻洗浄剤として使用してもよい。
これらの投与形態のうち、好ましい形態は含嗽剤、鼻洗浄剤、皮膚外用剤である。含嗽剤又は鼻洗浄剤は、例えば、液剤、顆粒剤、散剤等の形態で、使用時に適宜希釈又は溶解して用いるのが好ましい。また、皮膚外用剤は、液剤、ゲル剤、クリーム剤、軟膏剤、ローション剤等とするのが好ましい。
これらの投与形態のうち、好ましい形態は含嗽剤、鼻洗浄剤、皮膚外用剤である。含嗽剤又は鼻洗浄剤は、例えば、液剤、顆粒剤、散剤等の形態で、使用時に適宜希釈又は溶解して用いるのが好ましい。また、皮膚外用剤は、液剤、ゲル剤、クリーム剤、軟膏剤、ローション剤等とするのが好ましい。
このような種々の製剤は、デキストラン硫酸又はその塩に薬学的に許容される担体を配合し、当業者に公知慣用の製剤方法により製造できる。かかる薬学的に許容される担体としては、例えば、賦形剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、分散剤、緩衝剤、保存剤、着色剤、矯味剤、矯臭剤、香料、被膜剤、希釈剤等が例示できる。
本発明の薬剤は、例えばヒト、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウス等の哺乳類に対して使用できる。本発明の薬剤の投与量は、患者の年齢、体重、症状、投与形態、投与回数等により異なるが、例えば成人の場合、デキストラン硫酸又はその塩として一日に6〜3,000mg、好ましくは60〜1,200mgを1〜数回に分けて投与するのが好ましい。
また、本発明の薬剤を含嗽剤、鼻洗浄剤又は皮膚外用剤とする場合、該製剤中の本発明のデキストラン硫酸又はその塩の含有量を、0.01〜1質量%、好ましくは0.1〜0.4質量%として、一日1〜数回に分けて使用するのが好ましい。
以下に実施例を示して本発明を説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
実施例1 インフルエンザウイルスの感染抑制実験
デキストラン硫酸ナトリウムイオウ18(興和(株)、以下、MDSと記載する)のインフルエンザウイルスに対する抗ウイルス活性をイヌ腎臓尿細管上皮由来細胞株MDCK細胞への感染におけるHad(Hemadsorption;血球吸着現象)、HA価(Hemagglutinin;血球凝集価)を指標として測定した。
MDCK細胞を4穴プレートに50%コンフルエントになるようにMEM培地に播種し、一晩培養した。培地を除去し、ハンクス平衡塩溶液で一回洗浄後、MDSを種々の濃度(0、1、2及び4mg/mL)で含むMEM培地を加え、CO2インキュベータ内で2時間、37℃で前培養した。培地を除去し、インフルエンザウイルス溶液を細胞に添加して1時間、37℃で感染させ、上清を除去してハンクス平衡塩溶液で一回洗浄後、更に20時間、37℃で培養した。尚、ウイルス溶液はMDCK細胞に添加する直前に、予めMDCK細胞培地に加えてあるMDS濃度と等しくなるように、所定のMDSを添加して調製した。CPE(Cytopathic Effects;細胞変性効果)を観察した後、培養上清液を回収し、リン酸緩衝液で洗浄後0.5%ニワトリ赤血球(500ml/Well)を加えて15分反応させ、赤血球の付着細胞の割合を求めHadを算定した。次いで、培養上清を2倍、更に2倍と段階希釈し、そこに0.5%ニワトリ赤血球を加え、赤血球の凝集の見られた希釈倍数をHA価とした。結果を表1に示す。なお、CPEは、細胞の円形化、収縮、集合、膨化、崩壊、多核巨細胞形成、封入体の形成を指標として、これらの変化が全く見られない正常細胞を−、これらの変化が見られる細胞の数に応じて±、+、++、+++、++++の5段階に分けて評価した。
デキストラン硫酸ナトリウムイオウ18(興和(株)、以下、MDSと記載する)のインフルエンザウイルスに対する抗ウイルス活性をイヌ腎臓尿細管上皮由来細胞株MDCK細胞への感染におけるHad(Hemadsorption;血球吸着現象)、HA価(Hemagglutinin;血球凝集価)を指標として測定した。
MDCK細胞を4穴プレートに50%コンフルエントになるようにMEM培地に播種し、一晩培養した。培地を除去し、ハンクス平衡塩溶液で一回洗浄後、MDSを種々の濃度(0、1、2及び4mg/mL)で含むMEM培地を加え、CO2インキュベータ内で2時間、37℃で前培養した。培地を除去し、インフルエンザウイルス溶液を細胞に添加して1時間、37℃で感染させ、上清を除去してハンクス平衡塩溶液で一回洗浄後、更に20時間、37℃で培養した。尚、ウイルス溶液はMDCK細胞に添加する直前に、予めMDCK細胞培地に加えてあるMDS濃度と等しくなるように、所定のMDSを添加して調製した。CPE(Cytopathic Effects;細胞変性効果)を観察した後、培養上清液を回収し、リン酸緩衝液で洗浄後0.5%ニワトリ赤血球(500ml/Well)を加えて15分反応させ、赤血球の付着細胞の割合を求めHadを算定した。次いで、培養上清を2倍、更に2倍と段階希釈し、そこに0.5%ニワトリ赤血球を加え、赤血球の凝集の見られた希釈倍数をHA価とした。結果を表1に示す。なお、CPEは、細胞の円形化、収縮、集合、膨化、崩壊、多核巨細胞形成、封入体の形成を指標として、これらの変化が全く見られない正常細胞を−、これらの変化が見られる細胞の数に応じて±、+、++、+++、++++の5段階に分けて評価した。
表1に示すとおり、MDSにより、A型インフルエンザウイルス(WSN/33、Adachi/2/6)及びB型インフルエンザウイルス(Lee/40)に対して、用量依存的にHadの抑制、及びHA価の低下が認められ、ウイルス活性が抑制された。
以上の結果から、デキストラン硫酸又はその塩は、インフルエンザウイルスの感染に対して有効であることが示された。
以上の結果から、デキストラン硫酸又はその塩は、インフルエンザウイルスの感染に対して有効であることが示された。
Claims (6)
- デキストラン硫酸又はその塩を有効成分として含有する抗インフルエンザウイルス剤。
- デキストラン硫酸又はその塩がデキストラン硫酸ナトリウムである、請求項1記載の抗インフルエンザウイルス剤。
- インフルエンザウイルスがA型又はB型インフルエンザウイルスである、請求項1又は2記載の抗インフルエンザウイルス剤。
- デキストラン硫酸又はその塩を有効成分として含有する、インフルエンザウイルスの感染を予防及び/又は治療する含嗽剤、鼻洗浄剤又は皮膚外用剤。
- デキストラン硫酸又はその塩がデキストラン硫酸ナトリウムである、請求項4に記載の含嗽剤、鼻洗浄剤又は皮膚外用剤。
- インフルエンザウイルスがA型又はB型インフルエンザウイルスである、請求項4又は5記載の含嗽剤、鼻洗浄剤又は皮膚外用剤。
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JP2009165678A JP2011020938A (ja) | 2009-07-14 | 2009-07-14 | 抗インフルエンザウイルス剤 |
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KR20190088913A (ko) * | 2018-01-19 | 2019-07-29 | 건국대학교 산학협력단 | 패턴인식 rig-1 유사 수용체와 결합하는 표면 반복구조 구현 덱스트란 나노젤 |
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2009
- 2009-07-14 JP JP2009165678A patent/JP2011020938A/ja active Pending
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