JP2011019414A - 皮膚光損傷予防又は治癒剤の評価又は選択方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】皮膚光損傷を予防又は治癒する物質の評価又は選択方法の提供。
【解決手段】以下の工程(A)〜(D):
(A)TIMP−1遺伝子又はTIMP−1タンパク質が発現可能な細胞に、被検物質を接触させる工程、
(B)当該細胞におけるTIMP−1遺伝子又はTIMP−1タンパク質の発現量を測定する工程、
(C)上記(B)で算出された発現量を、被検物質をTIMP−1遺伝子又はTIMP−1タンパク質が発現可能な細胞に接触させない対照群におけるTIMP−1遺伝子又はTIMP−1タンパク質の発現量と比較する工程、
(D)上記(C)の結果に基づいて、TIMP−1遺伝子又はTIMP−1タンパク質の発現量を増加させる被検物質を皮膚光損傷の予防又は治癒剤として評価又は選択する工程、を含む、皮膚光損傷の予防又は治癒剤の評価又は選択方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、皮膚光損傷予防又は治癒剤の評価又は選択方法に関する。
皮膚光損傷は、表皮と真皮の両方における量的・質的変化をもたらすことが知られているが、真皮で起こる変化が広く知られている。すなわち、真皮の線維を作る細胞は、慢性的な太陽光線への露出とともに小さく且つ少なくなり、特にコラーゲン線維が大きく失われ、真皮の退化、皮下脂肪組織の減少等により皮膚の弾力性が失われたり、皮膚が弛緩したり、皮膚の表面が粗くなったりするなどの形状の変化が起こる。
斯かる光損傷皮膚のメカニズムを解明したり、光損傷に起因する皮膚トラブルの予防・治癒に有用な医薬品等を評価したりするためには、ヒトの光損傷皮膚をより忠実に反映できる系が有用である。
光老化は光損傷の結果もたらされるものであるが、そのモデル皮膚やモデル動物としては、紫外線へ暴露する系が最も汎用され、例えば、ヘアレスマウス背部皮膚やラットの足底の皮膚に紫外線を毎日、数週間連続照射する方法(非特許文献1,2)が知られている。しかし、皮下組織での動態も反映されるヒト皮膚そのものを用いるか、移植されたヒト皮膚を用いるのがより望ましいと考えられている。
ヒト皮膚を利用したモデルとしては、ヒト皮膚が移植されたヌードマウス(SCIDマウス)に単回の紫外線照射を行う方法が知られている(非特許文献3)が、これは毎日、数週間紫外線を連続照射するモデル系ではなく、短期間での紫外線照射のため、UVB長期照射によるヒト皮膚の光損傷状態を十分に観察することはできない。そこで、特定量のUVBを特定時間連続照射することにより、光損傷に極めて近いヒト光損傷皮膚を備えたモデル動物が作成されている(非特許文献4)。
一方、マトリックスメタロプロテアーゼ(matrix metalloproteinase:MMP)は、コラーゲン、エラスチン、プロテオグリカン等細胞外マトリックスを分解する酵素であり、光損傷への関与が報告されている。光損傷皮膚においては、MMP−1の不均衡が、プロコラーゲンの合成低下によるコラーゲンI、IIIの減少と、真皮でのコラーゲン分解を同時に引き起こすことが報告されている(非特許文献5)。また、光損傷が目立つ皮膚では表皮真皮接合部のコラーゲンVII、IVの減少が認められ、ヘアレスマウスを用いた実験において、UVBの反復的な照射がMMP−2及びMMP−9の産生を誘導し、コラーゲンVII、IVの分解を増大させることが報告されている(非特許文献6)。
MMPの活性は、TIMP(tissue inhibitor of metalloproteinases)により阻害されることが知られており、TIMPは、活性型MMPと1:1で複合体を形成することにより阻害作用を発揮する。そのため、MMP活性とTIMP活性のバランスを正常化することが皮膚老化防止に有用であると考えられ、これまでに例えば、ムラサキ培養細胞抽出エキス、コーヒー酸重合体にMMP阻害作用があることが見出されている(特許文献1)。現在、TIMPのタイプとしてはTIMP−1、TIMP−2、TIMP−3およびTIMP−4が知られており、前記特許文献では、リソスペルミン酸にTIMP−2活性増強作用を見出している。
また、特許文献2では、レチノールとシトステロールを組み合わせることにより、内在的老化に関連するMMP−1及びMMP−3の含有量を低下させること、及びTIMP−1の含有量を増大させることが記載されているが、その実施例に示すデータでは、前記組み合わせにより必ずしもMMP−1及びMMP−3の含有量は低下しておらず、また同様に、TIMP−1の含有量も増大していない。また、当該特許文献2は、光損傷に関するものでもない。
TIMP−1に関しては、さらに、UVBの単回照射によりTIMP−1のmRNA発現量が上昇すること(非特許文献7)、一方で、UVBの単回照射ではTIMP−1のタンパク発現量は変化しないことが報告されている(非特許文献8)。
しかしながら、これまでにUVBの長期照射がTIMP−1へ与える影響については全く知られていなく、皮膚光損傷とTIMP−1との関連性についても知られていない。
特開2008−31088号公報 特開2000−86489号公報
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本発明は、皮膚光損傷を予防又は治癒する物質の評価又は選択方法を提供することに関する。
本発明者らは、紫外線への暴露が少ない上腕内側部皮膚では、TIMPsのうちTIMP−2の発現が少なかったのに対し、ヒト移植皮膚に長期UVB照射を行って光損傷を誘導した皮膚では、TIMP−2及びTIMP−3の発現には変化が認められず、TIMP−1の発現のみが顕著に減少することを見出した。さらに、ヒト移植皮膚にUVBを照射した直後にTIMP−1中和抗体を皮内投与すると、ヒト移植皮膚の表面粗さが増すことを見出した。これらのことから、TIMP−1が光損傷における表面形状変化の予防ならびに治癒等に関与しており、当該TIMP−1の産生増加作用を指標とすれば、皮膚の光損傷を予防又は治癒できる物質をより正確に評価又は選択できることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の工程(A)〜(D):
(A)TIMP−1遺伝子又はTIMP−1タンパク質が発現可能な細胞に、被検物質を接触させる工程、
(B)当該細胞におけるTIMP−1遺伝子又はTIMP−1タンパク質の発現量を測定する工程、
(C)上記(B)で算出された発現量を、被検物質をTIMP−1遺伝子又はTIMP−1タンパク質が発現可能な細胞に接触させない対照群におけるTIMP−1遺伝子又はTIMP−1タンパク質の発現量と比較する工程、
(D)上記(C)の結果に基づいて、TIMP−1遺伝子又はTIMP−1タンパク質の発現量を増加させる被検物質を皮膚の光損傷予防又は治癒剤として評価又は選択する工程、
を含む、皮膚光損傷の予防又は治癒剤の評価又は選択方法を提供するものである。
本発明によれば、各種物質の、表面形状変化を代表とする皮膚光損傷に対する予防又は治癒効果を、より正確に且つ簡便に評価することができ、当該予防又は改善効果を有する物質をより正確に選択することが可能となる。
図1は、TIMP−1中和抗体を皮内投与したヒト移植皮膚の表面形状変化を指標に、その中和抗体の光損傷に及ぼす影響を示す図である。上段:非特異的IgG投与、紫外線未照射群、中段:非特異的IgG投与、紫外線照射群、下段:TIMP-1中和抗体投与、紫外線照射群。 図2は、TIMPsのmRNA発現を示す図である。A)紫外線未照射上腕内側部皮膚におけるTIMPの発現量の相対比、B)ヒト移植皮膚における紫外線照射後の各TIMPの発現量変化。 図3は、皮膚光損傷の予防又は治癒剤のスクリーニング方法の概要を示す図である。
本発明において用いられるTIMP−1遺伝子又はTIMP−1タンパク質が発現可能な細胞としては、哺乳動物の皮膚線維芽細胞、肺線維芽細胞、歯肉線維芽細胞等の線維芽細胞、軟骨滑膜細胞等が挙げられる。哺乳動物としては、例えば、ヒト、マウス、ラット、ウサギ等が挙げられる。これらの細胞は、初代培養のものでも継代を繰り返したあとのin vitro老化させた細胞であってもよく、また、胎児由来のものであっても老齢者由来のものであってもよい。また、これらの細胞は組織より公知の方法により採取して用いてもよく、又は市販品を購入して用いてもよい。このうち、ヒト由来の線維芽細胞が好ましく、ヒト由来の皮膚線維芽細胞がより好ましい。
当該細胞と被検物質との接触は、例えば被検物質を所定の濃度になるように予め培養液中に添加した後、細胞を培養液に載置すること、或いは、細胞が載置された培養液に、被検物質を所定の濃度になるように添加することにより行うことができる。
ここで、TIMP−1遺伝子又はTIMP−1タンパク質が発現可能な細胞の播種時の細胞濃度は、24wellプレートを使用した場合、0.5×103〜1.0×105cells/wellとするのが好ましく、特に1.0×103〜3.5×104 cells/wellとするのが好ましい。また、被物質の添加濃度は、0.00001〜10質量%(固形残分)とするのが好ましく、特に0.0001〜3質量%(固形残分)とするのが好ましい。
被検物質としては、直接的又は間接的に皮膚の光損傷に影響を与え得ることが予想される物質である限り、特に限定されない。例えば動植物抽出物、化合物、化学物質等を用いることができる。
TIMP−1遺伝子又はTIMP−1タンパク質が発現可能な細胞を培養する培地は、当該細胞を培養できる常用の培地を用いることができ、例えば10%FBS含有Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium等が挙げられる。細胞継代、増殖時にはこれらの培地に、増殖因子、抗菌剤、インスリン、ハイドロコーチゾン等の増殖添加剤を添加することが好ましい。次いで、培養上清を回収してTIMP−1遺伝子又はTIMP−1タンパク質の発現量を測定する。
TIMP−1遺伝子の発現量の測定は、mRNAレベルで検出する場合は、例えば細胞からtotal RNAを抽出して、リアルタイムRT−PCR法、RNA分解酵素プロテクションアッセイ法、或いはノーザンブロット解析法等を利用して、TIMP−1遺伝子から転写されたmRNAを検出定量すればよい。
また、TIMP−1タンパク質の発現量の測定は、通常の免疫測定法により行うことができ、例えばRIA法、EIA法、ELISA、バイオアッセイ法、ウェスタンブロット等により行うことができるが、ウェスタンブロットが安価・簡便で望ましい。
皮膚光損傷の予防又は治癒剤の評価は、被検物質と接触させたTIMP−1遺伝子又はTIMP−1タンパク質が発現可能な細胞におけるTIMP−1遺伝子又はTIMP−1タンパク質の発現量を、被検物質に接触させない対照群(対照細胞)における発現量と比較し、その発現量が増加した場合、被検物質には皮膚光損傷の予防又は治癒効果があると評価でき、斯かる物質を選択することができる。このようにして評価又は選択された物質は、例えば、皮膚の弾力性喪失、皮膚の弛緩、皮膚の表面粗さなどの表面形状変化に代表される皮膚光損傷を予防又は治癒するための医薬品等となり得る。
試験例1 TIMP−1中和抗体の皮内投与による移植皮膚の表面形状変化の検討
(1)severe combined immunodeficient(SCID)マウスへの腹部皮膚の移植
Cincinnati大学病院(Cincinnati、OH)におけるabdominoplasty手術由来の白人(Caucasian、41歳)女性の腹部皮膚を適当な大きさ(約2.0 cm×2.0 cm〜約3.0 cm×3.0 cm)にトリミングし、Phosphate Buffered Saline(PBS)で洗浄後、L-glutamineとantibiotic/antimycotic(Invitrogen)を含むDulbecco’s Modified Eagle’s Medium(DMEM)中に浸漬させて移植まで保存した。約1週間馴化した4〜6週齢の雌のSCIDマウス(Taconic、NY)の背部をCincinnati子供病院の動物施設(Children's Hospital Research Foundation、Cincinnati、OH)にて剃毛後、isofluorane/oxygen(3%/0.8 liter)を含む箱の中で麻酔した。その後isofluorane/oxygen(2%/0.7 liter)を吸引させながらマウス背部皮膚を切除し(直径約2−3cm)、ヒト腹部皮膚をマウス皮膚に縫合した。移植した腹部皮膚とマウス皮膚の境界にはsensorcaineを添加し、感覚脱失の処理を施した。移植後、マウスは1時間もしくは麻酔から覚めるまで37℃にて維持した。
(2)ヒト移植腹部皮膚への慢性的UVB照射による光損傷の誘導並びにTIMP−1中和抗体の皮内投与
移植腹部皮膚が完全に癒合した移植後10週間が経過した時点で、Hachiyaらが示す方法(Hachiya A, et al., Am J Pathol, 174, 401 (2009))でヒト移植皮膚に光損傷を誘導した。すなわち、302 nm をピークとするUVBが照射されるフィルターがついたUVBランプ(34-0044-01 lamps、UVB、Upland、CA)を使用しての照射を開始した。UVBのエネルギー量はUV LIGHT METER、UV-340 MSR7000(Lutron Electronic Enterprise Co. ltd、 Taiwan)を用いて測定した。フィルターから移植皮膚表面までの距離は約30 cmを確保し、最初の1週間は1 minimal erythema dose(MED)に相当する40 mJ/cm2のUVBを照射した。3週目まで10 mJ/cm2ずつ照射量を増加し、その後6週目まで60 mJ/cm2の量を維持した。週に5日間照射したため、totalで1.65 J/cm2のUVBを照射したことになる。UVBを照射する間は、底面積約100 cm2の透明容器内をマウスが自由に動けるようにした。また、1日おきにUVBを照射した直後にTIMP−1中和抗体の皮内投与を行った。投与濃度は、Reed MJ, et al., Microvasc Res, 65, 9 (2003)で用いられていた濃度の4倍量に相当する20μg/mLに設定した。
(3)結果
UVB照射により移植腹部皮膚上に誘導される形状の変化を視覚的に観察した。UVBを照射せずに非特異的なIgGを皮内投与した群(Figure1上段)においては、見た目上大きな変化は認められなかったのに対し、UVBを連続照射しながら非特異的なIgGを皮内投与した群では、4週間が経過した時点で皮膚の表面に粗い構造が観察され始め、6週間連続照射した時点ではそれが明瞭に形成されていた(Figure1中段)。一方、UVBを連続照射しながらTIMP−1中和抗体を皮内投与した群(Figure1下段)では、UVBを連続照射しながら非特異的なIgGを皮内投与した群よりも早く、4週間連続照射した時点で、皮膚の表面が明らかに粗くなっていることが確認された。また、表面粗さと同様に顕著な落屑も観察された。
試験例2 皮膚におけるTIMPsのmRNAの発現量の検討
(1)紫外線非照射皮膚の各TIMPsの発現
DallasのコントラクトラボラトリーであるStephens &Associates, Inc.(Carrollton, TX,)に依頼して、20代と50代の白人(Caucasian)女性の上腕内側部皮膚をパンチバイオプシーにより採取し、その一部から常法に従いTotal RNAを抽出した。cDNAを作製してから特異的なprobe及び7300 Real Time PCR System(Applied Biosystems)を用いて定量的なTIMP-1、TIMP-2及びTIMP-3の遺伝子発現解析を行った。遺伝子発現解析の内部標準として、RPLP0の発現を用いた。
(2)紫外線照射後の各TIMPsの発現
上記(1)で採取したヒト皮膚に対して6週間の連続照射(40〜60 mJ/cm2)を行ったが、その最終照射から24時間後にTotal RNAを抽出し、cDNAを作成してから特異的なprobe及び7300 Real Time PCR System(Applied Biosystems)を用いて定量的なTIMP-1、TIMP-2及びTIMP-3の遺伝子発現解析を行った。なお、内部標準には上記と同様にRPLP0の発現を用いた。
(3)結果
上腕内側部皮膚由来のTotal RNAを用いてTIMP-1、TIMP-2及びTIMP-3の相対的発現量を解析したところ、その発現比率は5:1:5(1:0.2:1)であった(Figure2A)
また、光損傷モデル皮膚とUVB未照射の移植皮膚におけるTIMP-1、TIMP-2、TIMP-3の遺伝子発現量を比較したところ、TIMP-1の発現は慢性的なUVB照射による光損傷において顕著に減少するのに対し、TIMP-2、TIMP-3の発現は光損傷時においても変化は認められなかった(Figure2B)。
以上の結果から、TIMPsの中でもTIMP-1の顕著な発現減少がとりわけ光損傷の亢進に寄与しているものと考えられた。
試験例3 皮膚光損傷の予防又は治癒剤のスクリーニング
(1)方法
本スクリーニング方法の概要をFigure3に示した。すなわち、正常ヒト皮膚線維芽細胞を2×104 cells/wellの細胞密度で24wellプレートに播種し、0.5mLの10%FBS含有DMEM(Sigma)を用いて培養を開始した。その24時間後に0.5mLの血清不含培地に交換し、同時に被検物質として各種植物エキス(50% EtOH抽出品)を添加した。エキスの添加濃度は0.001%(固形残分濃度)とし、コントロールとして、等量の50% EtOHを添加したものを用いた。エキス添加から48時間後に、測定サンプルとして培地および細胞をそれぞれ回収した。培地は各wellよりそのまま回収後、12,000 rpmで2分間遠心し、その上清中のTIMP-1のタンパク質量をhuman TIMP-1 assay system(GEヘルスケア バイオサイエンス(株))を用いて測定した。
また、各wellより培地を回収後、細胞を0.5 mLのPBSで2回洗浄し、0.1 N NaOHを125μL添加して5分程度室温で細胞を溶解させたものを細胞溶解液として回収した。この細胞溶解液のタンパク質量をBCA Protein Assay Kit (Pierce)を用いて測定することで、添加した各種植物エキスの毒性を評価した。
(2)結果
各種植物エキス(抽出溶媒50% EtOH)のTIMP-1産生に対する効果について評価を行ったところ、シソエキス及びセイヨウハッカにおいて、TIMP−1タンパク質量がコントロール(対照群)に対する相対値で2.0倍以上増加していた(表1)。なお、コントロール(50% EtOH添加)に対してタンパク質量比が0.5以下になるものは排除した。また、いずれの植物エキスにも細胞毒性はみられなかった。
シソエキスは、光老化防御剤として既に知られており(特開2002-104924号公報)、また、セイヨウハッカエキス(ペパーミント)は、コラゲナーゼ(MMP-1)阻害剤として知られている(特開2000-159631号公報)。
これらの結果から、TIMP−1の産生増加作用を指標として、皮膚の光損傷に対する予防又は治癒効果を有する物質を評価又は選択できることが確認された。

Claims (1)

  1. 以下の工程(A)〜(D):
    (A)TIMP−1遺伝子又はTIMP−1タンパク質が発現可能な細胞に、被検物質を接触させる工程、
    (B)当該細胞におけるTIMP−1遺伝子又はTIMP−1タンパク質の発現量を測定する工程、
    (C)上記(B)で算出された発現量を、被検物質をTIMP−1遺伝子又はTIMP−1タンパク質が発現可能な細胞に接触させない対照群におけるTIMP−1遺伝子又はTIMP−1タンパク質の発現量と比較する工程、
    (D)上記(C)の結果に基づいて、TIMP−1遺伝子又はTIMP−1タンパク質の発現量を増加させる被検物質を皮膚光損傷の予防又は治癒剤として評価又は選択する工程、を含む、皮膚光損傷の予防又は治癒剤の評価又は選択方法。
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