JP2011017971A - プロジェクションスクリーン - Google Patents

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Abstract

【課題】偏光板を使用することなく、スクリーン正面から入射した光の後方散乱を抑制することのできるプロジェクションスクリーンを提供する。
【解決手段】光拡散制御層2と、光拡散制御層2の一方の側(正面側;プロジェクタPの反対側)に、着色粘着剤層3を介して積層されたコーティングフィルム4と、光拡散制御層2の他方の側(背面側;プロジェクタP側)に積層された透明基板5と、透明基板5に積層された反射防止フィルム6とから構成されてなるプロジェクションスクリーン1。
【選択図】 図1

Description

本発明は、リアプロジェクションディスプレイに用いられる透過型のプロジェクションスクリーンに関するものである。
リアプロジェクションディスプレイとは、プロジェクタでスクリーン後面側へ投影した画像をスクリーン前面側から見ることができるようにする表示方式である。
リアプロジェクションディスプレイに用いられる透過型のプロジェクションスクリーンとしては、従来より、フレネルレンズとレンチキュラレンズとを組み合わせたものが知られている。しかし、かかる従来のプロジェクションスクリーンにおいては、一般的に、画面が暗い、ピッチに起因するモアレ模様が画面に発生し易いなどの問題点を有している。
また、上記従来のプロジェクションスクリーンでは、レンチキュラレンズの焦点面にブラックストライプを配置し、集光したプロジェクタ光を減衰させることなく、ブラックストライプにより外光の一部を吸収し、外光によるコントラストの低下を抑制する手法が取られる(非特許文献1)。しかし、実際には、外光の一部がブラックストライプにて吸収されずに光学系内部に侵入するため、コントラストの低下は依然として問題となっている。
これに対し、従来のフレネルレンズやレンチキュラレンズを使わない新たなプロジェクションスクリーンとして、光制御膜を利用したものが提案されている。具体的には、曇価に角度依存性のある光制御膜を使用したプロジェクションスクリーンであり(特許文献1〜7)、当該プロジェクションスクリーンにおいては、複数枚の光制御膜を曇価の角度依存性の方向が直交するように積層したり(特許文献8,9)、曇価の角度依存性が異なる複数枚の光制御膜を積層したりして、視野角を広げることができる(特許文献10〜13)。
これらの発明によれば、拡散透過光が広い角度範囲に渡って高い均一性を示すプロジェクションスクリーンを得ることができ、上記光制御膜を複数枚積層することにより、画面の明るさとその均一性に優れる高視野角のプロジェクションスクリーンを構成することができる。
特開昭63−309902号公報 特開昭64−40905号公報 特開昭64−77001号公報 特開平2−67501号公報 特開平2−54201号公報 特開平3−107901号公報 特開平3−107902号公報 特開平3−127039号公報 特開平3−127042号公報 特開平3−200949号公報 特開平4−77728号公報 特開2005−316354号公報 特開2005−31631号公報
K.Ebina, "Optical System Architecures for Rear Projection Screen" SID02DIGEST, p1342-1345(2002)
しかしながら、上記のように光制御膜を利用したプロジェクションスクリーンにおいても、室内照明や太陽光などの外光がスクリーンの正面側から入射し、透過した光の一部が光制御膜で後方散乱を起こすという問題がある。後方散乱とは、光の入射方向に対し、90゜を超える角度で散乱することをいう。この後方散乱光は、コントラストの低下を招き、特に黒表示時に視認の妨げとなる。
スクリーンに入射した光の後方散乱を抑制するために、偏光板を適用することが考えられるが、延伸したPVA(ポリビニルアルコール)フィルムを使用した一般的な偏光板は、その構成上、温度や湿度の変化によって伸縮するという特性を有するため、アクリルやガラスを支持体としたパネルの片側にのみ偏光板を設置した場合、経時により反りが発生するという問題が生じる。
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、偏光板を使用することなく、スクリーン正面から入射した光の後方散乱を抑制することのできるプロジェクションスクリーンを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、リアプロジェクションディスプレイに用いられる透過型のプロジェクションスクリーンであって、光の拡散を制御する光拡散制御層と、偏光機能を有さないフィルムと、前記光拡散制御層および前記偏光機能を有さないフィルムの間に介在する着色粘着剤層とを備えたことを特徴とするプロジェクションスクリーンを提供する(発明1)。
上記発明(発明1)によれば、着色粘着剤層によって、スクリーン正面から入射した光の後方散乱を抑制することができ、それと同時にプロジェクタ光の黒輝度を下げることができるため、コントラストを向上させることができる。さらに、偏光板を使用しないため、反りの発生の問題がなく、また、安価に製造することができ、構成を簡略化することができる。
上記発明(発明1)において、前記光拡散制御層は、屈折率に差がある少なくとも2種類以上の光重合可能な化合物を含有する組成物の膜に光を照射して硬化させた光制御膜を備えたことが好ましい(発明2)。
上記発明(発明1)において、前記光拡散制御層は、前記光制御膜を、その光散乱角度域が互いにほぼ一致する向きに積層した積層体であることが好ましい(発明3)。
上記発明(発明1〜3)においては、前記着色粘着剤層による透過光の色調変化が、CIE1931色度図により規定される色相変化ΔxおよびΔyにおいて、共に±0.0030以内であり、かつ、前記着色粘着剤層の視感透過率Yが15〜90%であることが好ましい(発明4)。
上記発明(発明1〜4)において、前記着色粘着剤層は、金属錯塩染料によって着色されていることが好ましい(発明5)。
上記発明(発明5)において、前記金属錯塩染料は、クロム錯塩染料であることが好ましい(発明6)。
上記発明(発明1〜6)において、前記偏光機能を有さないフィルムは、ハードコートフィルムであることが好ましい(発明7)。
上記発明(発明1〜7)において、前記偏光機能を有さないフィルムは、反射制御層および/または防眩層を有するフィルムであることが好ましい(発明8)。
上記発明(発明1〜8)においては、プロジェクタ側の最外層に反射防止層を備えたことが好ましい(発明9)。
上記発明(発明1〜9)においては、透明基板を備えたことが好ましい(発明10)。
上記発明(発明1〜8)においては、プロジェクタ側から順に、透明基板と、前記光拡散制御層と、前記着色粘着剤層と、前記偏光機能を有さないフィルムとを積層してなることが好ましい(発明11)。
上記発明(発明11)において、前記透明基板のプロジェクタ側には、反射防止層が設けられていることが好ましい(発明12)。
本発明に係るプロジェクションスクリーンにおいては、着色粘着剤層によって、スクリーン正面から入射した光の後方散乱を抑制することができ、それと同時にプロジェクタ光の黒輝度を下げることができるため、コントラストを向上させることができる。さらに、偏光板を使用しないため、反りの発生の問題がなく、また、安価に製造することができ、構成を簡略化することができる。
本発明の一実施形態に係るプロジェクションスクリーンの層構成を示す図である。 同実施形態に係るプロジェクションスクリーンにおける光拡散制御層の一製造例を示す図である。 試験例1における後方散乱の測定方法を示す図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るプロジェクションスクリーンの層構成を示す図(プロジェクタを含む全体を上から見た図)である。
図1に示すように、本実施形態に係るプロジェクションスクリーン1は、光拡散制御層2と、光拡散制御層2の一方の側(正面側;プロジェクタPの反対側)に、着色粘着剤層3を介して積層されたコーティングフィルム4と、光拡散制御層2の他方の側(背面側;プロジェクタP側)に積層された透明基板5と、透明基板5に積層された反射防止フィルム6とから構成されてなる。
〔光拡散制御層〕
光拡散制御層2は、プロジェクタPから入射される光の拡散を制御する層であり、本実施形態では従来のフレネルレンズやレンチキュラレンズの代りに、光制御膜を用いて形成し、好ましくは光制御膜が積層された光制御膜積層体を用いて形成する。ここで、光拡散制御層とは、特定の角度範囲からの入射光のみを選択的に散乱し、それ以外の角度の入射光は透過させる機能を有する層をいい、光制御膜とは、曇価に角度依存性を有する膜であり、後述の光散乱角度域の幅が30°以上にわたるものをいう。
ここでいう曇価(ヘイズ)とは、積分球式光線透過率測定装置を用いて、光制御膜の全光線透過率及び拡散透過率を測定し、次式により求められる値である。
曇価(%)=拡散透過率(%)/全光線透過率(%)×100
(拡散透過率=全光線透過率−平行光線透過率)
また、光制御膜における曇価の角度依存性は、次のようにして測定される。すなわち、光制御膜の試験片への入射光の角度θを0〜180°の間で変化させて、それぞれの角度毎に上記の曇価を測定し、60%以上の曇価を示す角度範囲を光散乱角度域とする。ここで、角度θは、試験片の面と平行な方向を0°とし、試験片の法線方向を90°とする値であり、試験片の回転は、曇価の角度依存性が最大となる方向に行う。
上記光制御膜は、屈折率に差がある少なくとも2種類の光重合可能な化合物を含有する組成物を膜状に形成し、そこに特定方向から光を照射して硬化させることにより、好適に製造できる。
光制御膜の製造に用いられる光重合可能な化合物は、分子内に、アクリロイル基〔CH=CHCO−〕、メタクリロイル基〔CH=C(CH)CO−〕、ビニル基〔CH=CH−〕、アリル基〔CH=CHCH−〕などの重合可能な基を少なくとも1個有する化合物であり、各種モノマーまたはオリゴマーが使用できる。
モノマーとしては、例えば、テトラヒドロフルフリルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、フェニルカルビトールアクリレート、ノニルフェノキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、ω−ヒドロキシヘキサノイルオキシエチルアクリレート、アクリロイルオキシエチルサクシネート、アクリロイルオキシエチルフタレート、2,4,6−トリブロモフェニルアクリレート、2,4,6−トリブロモフェノキシエチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレート、フェニルカルビトールアクリレート、ノニルフェノキシエチルアクリレートや、これらの単官能性アクリレートに対応するメタクリレート、さらには、N−ビニルピロリドン、トリアリルイソシアヌレート、ジエチレングリコールジアリルカーボネート、ジアリリデンペンタエリスリトールなどが挙げられる。
また、オリゴマーとしては、例えば、ポリエステルアクリレート、ポリオールポリアクリレート、変性ポリオールポリアクリレート、イソシアヌル酸骨格のポリアクリレート、メラミンアクリレート、ヒダントイン骨格のポリアクリレート、ポリブタジエンアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレートや、これらの多官能性アクリレートに対応するメタクリレートなどが挙げられる。
これらの光重合可能な化合物は、少なくとも2種類の混合物からなる組成物として用いられる。この際、屈折率に差があるものを選択する。屈折率に差がある少なくとも2種類の光重合可能な化合物を混合した組成物に所定方向から光を照射して硬化させることで、光を散乱する領域、すなわち光散乱角度域が形成される。この組成物は、それを構成する複数の化合物相互の溶解性とそれぞれの屈折率差によって、曇価の角度依存性を発現するものであり、相溶性があまり良くない組合せで屈折率差が大きく、かつ反応速度が異なる場合に、光の散乱する度合い、すなわち曇価が大きくなる。この屈折率差は、0.01以上であるのが好ましい。
この組成物には、通常、硬化性を向上させるために光重合開始剤が混合されて、光重合に供される。光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンジル、ミヒラーズケトン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどが挙げられる。
このような、屈折率に差がある少なくとも2種類の化合物を含有する光硬化性組成物を基板上に塗布するか、又はセル中に封入して膜状とし、棒状光源より光を照射しながら徐々に硬化させることで、入射光を選択的な角度域で散乱し、他の角度域では直進透過する光制御膜が得られる。
硬化に用いる光は、上記組成物を硬化させるものであればどのような波長を有していてもよく、例えば、可視光、紫外線などがよく用いられる。紫外線は、水銀ランプやメタルハライドランプなどから発せられる。ここで、光源として棒状のランプを用いた場合には、その照射条件を調節する(例えば、照射経路の所定箇所にスリット等を設ける)ことにより、生成した光硬化膜が異方性を示し、光源からの光の入射角度を変化させた場合に、特定角度の光を散乱するようになる。なお、ここでいう異方性とは、MD(Machine Direction)方向(製造のライン方向)で光の入射角度を変えたときにフィルム特有の拡散特性を発現し、CD(Cross Direction)方向(幅方向)で光の入射角度を変えたときに特徴的な拡散特性を発現しない(全角度域で拡散する)ことをいう。これは棒状ランプをMD方向に対して垂直に配置し、照射していることによる。
散乱の度合い及び選択的に散乱する入射光の角度は、使用する組成物及び照射条件によって調節することができ、特に硬化時に、膜状組成物試料面に対する照射光の入射角度を変えることによって、硬化したシートに入射する光がシートから出射する際に散乱又は直進透過するシート膜面との角度域が制御できる。
光硬化の際、光の照射方向を中心に光散乱角度域が発現する。例えば、光硬化性組成物から形成された膜面にほぼ垂直に光を照射すれば、当該垂直方向、すなわち、得られる光制御膜の法線方向を中心に、光散乱角度域が発現するし、法線方向に対して所定角度傾いた斜め方向から光を照射すれば、その傾いた方向を中心に、光散乱角度域が発現する。
60%以上の曇価を示す光散乱角度域の幅が30°以上にわたる光制御膜を複数枚積層して光制御膜積層体とする場合、光制御膜として、光散乱角度域が互いに実質的に同じであるものを複数枚使用することが好ましい。
ここで、光制御膜の光散乱角度域が互いに実質的に同じであるとは、基準とする任意の1枚の光制御膜の光散乱角度域をθ〜θ(ただしθ<θ)と表し、これに積層される別の1枚の光制御膜の光散乱角度域をθ’〜θ’(ただしθ’<θ’)と表したとき、θとθ’とのずれ(|θ−θ’|)及びθとθ’とのずれ(|θ−θ’|)が、それぞれ、基準とする上記光制御膜の光散乱角度域の幅(θ−θ)の5%程度までは許容されることを意味する。
光散乱角度域の中心が光制御膜の法線方向にほぼ一致している光制御膜を複数枚積層する場合は、光散乱角度域が延在する方向が互いにほぼ平行となるように積層することが好ましい。また、光散乱角度域が光制御膜の法線方向に対して偏った向きにある光制御膜を複数枚積層する場合は、光散乱角度域が延在する方向が互いにほぼ平行で、かつ、光散乱角度域が法線方向に対して互いに同じ向きになるように積層することが好ましい。なお、本明細書の「ほぼ一致」、「ほぼ平行」等の用語における「ほぼ」は、そこに記載の配置(一致又は平行)を中心に、±10°程度までは許容されることを意味する。
光制御膜を複数枚積層する一例について図2を参考にして説明する。
第一に、光散乱角度域の幅が光制御膜の法線方向に対して右側に偏った向きに角度γの範囲で60%以上の曇価を示す光制御膜8a及び8bを積層して、法線方向に対して右側に偏った向きに角度γ’の範囲で60%以上の曇価を示す第一の光制御膜積層体8を得る。角度γは、光制御膜8a,8bの光散乱角度域の幅に相当し、紙面に垂直な方向に延在している。そして、これら2枚の光制御膜8a,8bをこの向きのまま積層すれば、光制御膜の法線方向に対して右側に偏った向きに、角度γと同じか、角度γより若干広い角度γ’の範囲で60%以上の曇価を示す第一の光制御膜積層体8が得られる。すなわち、この角度γ’は、第一の光制御膜積層体8の光散乱角度域の幅に相当し、紙面に垂直な方向に延在している。
第二に、上記と同様にして、光散乱角度域の幅が光制御膜の法線方向に対して左側に偏った向きに角度γの範囲で60%以上の曇価を示す光制御膜9a及び9bを積層して、光制御膜の法線方向に対して左側に偏った向きに角度γ’の範囲で60%以上の曇価を示す第二の光制御膜積層体9を得る。この第二の光制御膜積層体9は、第一の光制御膜積層体8の向きを逆にした状態(この図では左右を反転させた状態)に相当する。
第三に、光散乱角度域の幅が光制御膜の法線方向を中心に角度βの範囲で60%以上の曇価を示す光制御膜7a及び7bを積層して、光制御膜の法線方向を中心に角度β’の範囲で60%以上の曇価を示す第三の光制御膜積層体7を得る。角度βは、光制御膜7a,7bの光散乱角度域の幅に相当し、紙面に垂直な方向に延在している。そして、これら2枚の光制御膜7a,7bをこの向きのまま積層すれば、光制御膜の法線方向を中心に、角度βと同じか、角度βより若干広い角度β’の範囲で60%以上の曇価を示す第三の光制御膜積層体7が得られる。すなわち、この角度β’は、第三の光制御膜積層体7の光散乱角度域の幅に相当し、紙面に垂直な方向に延在している。
光制御膜の積層は、例えば、光制御膜を適当な大きさに裁断し、枚葉で貼合することにより行ってもよいし、個別に作製した2枚以上の光制御膜を同時に貼合装置に供給し、連続的に貼合することにより行ってもよい。その際、光制御膜同士の貼合をより強固なものにするために、粘着剤や接着剤等を用いて貼合してもよい。
また、光制御膜そのものを基材として、その上に上記光硬化性組成物を塗布して硬化させ、もう一層の光制御膜を形成することによっても、光制御膜を積層することができる。かかる方法によれば、上記の如き貼合の操作ないし装置が不要となり、生産性良く、コスト的にも有利に光制御膜積層体を製造できる。光制御膜そのものを基材とする場合、まず、第一の工程として、先に述べた如く、光硬化性組成物膜に光を照射して硬化させることにより、基材となる所定の光制御膜を得、次いで、第二の工程として、第一の工程で得た光制御膜の上に、第一の工程で用いたものと実質的に同じ組成の光硬化性組成物膜を、第一の工程と実質的に同じ厚さで形成し、該組成物膜に対して、照射方向、光源からの距離、照射光量、照射光の波長などの条件を第一の工程と実質的に同じとして、光を照射して硬化させることにより、もう一層の光制御膜を形成し、さらに必要に応じて、この第二の工程を繰り返せばよい。
こうして得られる光制御膜積層体は、拡散透過光が広い角度範囲にわたって高い均一性を示すことから、これをプロジェクションスクリーンに適用することにより、画面の明るさとその均一性に優れるプロジェクションスクリーンを得ることができる。なお、光拡散制御層2は、単層から形成することも可能であるが、視野角を広げるためには、光制御膜複数枚を積層して得られる光制御膜積層体を使用して形成するのが望ましい。光制御膜積層体を積層することにより得られる光拡散制御層2は、光制御膜が、通常2〜20枚積層され、好ましくは4〜16枚積層され、特に好ましくは6〜12枚積層される。
光制御膜積層体を複数枚積層する際、各々の光制御膜積層体が示す光散乱性能やその積層方向は適宜選択されるが、プロジェクションスクリーンに有利な態様としては、光散乱角度域が光制御膜積層体の法線方向に対して偏った向きにある2枚の光制御膜積層体を、光散乱角度域が光制御膜積層体の法線方向を中心に互いに逆向きとなるように積層して、積層状態での光散乱角度域の幅が1枚のときよりも広がるようにするのがよい。こうすることで、左右又は上下方向の良視認領域、すなわち視野角を広げることができる。
また、光散乱角度域の中心線が法線方向にほぼ一致している光制御膜積層体を、先の2枚の光制御膜積層体に対して光散乱角度域の中心線がほぼ平行になるように積層するのも有効である。こうすることで、スクリーン正面でより明るい画像を得ることができる。
そこで、光散乱角度域が法線方向に対して偏った向きにある上記第一の光制御膜積層体8と第二の光制御膜積層体9とを、光散乱角度域がそれぞれの光制御膜積層体の法線方向を中心に互いに逆向きとなるように積層する。この積層体は、それぞれの光散乱角度域の幅γ’よりも広い角度δの範囲で60%以上の曇価を示すものとなる。
このとき、第一の光制御膜積層体8の光散乱角度域の幅γ’と第二の光制御膜積層体9の光散乱角度域の幅γ’とが、丁度接していると、各々の光制御膜積層体8,9の光散乱角度域を最大限に利用でき、最大の視野角拡大効果を得ることができて有利である。
また、第一の光制御膜積層体8の光散乱角度域の幅γ’と第二の光制御膜積層体9の光散乱角度域の幅γ’とが、好ましくは5°以上の重なりを有していると、スクリーン正面でさらに明るい画像を得ることができ、有利である。一方で、2枚の光散乱角度域が重なる角度をあまり大きくすると、視野角拡大効果を犠牲にすることになるので、重ねる前の光制御膜積層体8,9における光散乱角度域の広がり具合にもよるが、2枚重ねたときに光散乱角度域の重ならない領域が合計で40°以上、さらには50°以上存在するようにするのが好ましい。
さらに、第一の光制御膜積層体8の光散乱角度域の幅γ’と第二の光制御膜積層体9の光散乱角度域の幅γ’とが、法線方向を中心に互いに対称であると、スクリーンの右側と左側又は上側と下側で視認特性が同一となり、有利である。
最後に、上記2枚の光制御膜積層体8,9を積層したものに対し、さらに第三の光制御膜積層体7を、光散乱角度域の幅γ’及びβ’のそれぞれの中心線が互いに平行(各光制御膜積層体の法線方向)になるように積層する。これにより、スクリーン正面でより明るい画像を得ることができる。
なお、図2では、第一の光制御膜積層体8と第二の光制御膜積層体9の上に、第三の光制御膜積層体7を積層する場合を例に説明したが、それらの積層順序は任意であり、例えば、第一の光制御膜積層体8と第二の光制御膜積層体9の下に第三の光制御膜積層体7を積層してもよいし、第一の光制御膜積層体8と第二の光制御膜積層体9の間に第三の光制御膜積層体7を挿入してもよい。また、図2では、2枚の光制御膜積層体8,9が同じ種類のものであることを前提に説明したが、異なる種類のものを用いてもよい。
さらに、図2では、3枚の光制御膜積層体を積層する場合を例に説明したが、4枚以上積層することも可能である。例えば、図2に示した如き、3枚の光制御膜積層体7,8,9を積層した状態で、さらに第四の、又はそれより多くの光制御膜積層体を積層する場合は、第四の、又はそれ以降の光制御膜積層体は、その光散乱角度域が実質的に同じになるように積層してもよい。例えば、光制御膜積層体7,8,9の光散乱角度域が実質的に同じになるようにさらに積層してもよい。あるいは、光制御膜積層体8と9の積層のように光散乱角度域が積層体の法線方向から偏在した2枚を互いに逆向きにさらに積層してもよい。この場合の積層順序も任意に選ぶことができる。また、第四の、又はそれ以降の光制御膜積層体も、上記3枚の光制御膜積層体7,8,9同様、60%以上の曇価を示す光散乱角度域の幅が30°以上、特に40°以上、さらには45°以上であるのが、一層好ましい。なお、光制御膜積層体の光散乱角度域の幅は広いほど好ましいが、通常170°以下である。
光制御膜積層体は、光制御膜を複数枚積層した状態の平板で用いてもよいし、最外層をレンチキュラレンズ形状にしてもよい。レンズ曲面を形成する方法としては、レンズ曲面を有するフィルムに光制御膜積層体を積層する方法のほか、レンズ曲面を有する光制御膜を形成する方法がある。後者の方法を採用する場合、例えば、レンズ曲面を有する鋳型を使用して、そこに光硬化性樹脂組成物を塗布し、さらに光照射して、硬化物にレンズ曲面をもたせることができる。
また、本実施形態における光拡散制御層2は、スクリーンの薄型化の観点からできる限り薄いことが望まれるが、十分な光散乱特性を発揮するためには、ある程度の膜厚を必要とする。すなわち、光拡散制御層2の膜厚は、50〜3000μmであることが好ましく、150〜2000μmであることが更に好ましい。この範囲の膜厚とすることにより、光拡散角度、および波長に対する光拡散光の分布特性を均一化することができる。
光拡散制御層2を上記膜厚とするためには、光制御膜自体の厚みとしては、通常5〜300μmであり、15〜250μmであることが好ましく、50〜200μmであることが特に好ましい。なお、光拡散光の分布特性を均一化することについては、上述のとおり光制御膜の積層枚数による厚み制御によって行ってもよいし、1層あたりの膜厚制御で行ってもよい。
〔着色粘着剤層〕
本実施形態に係るプロジェクションスクリーン1では、光拡散制御層2とコーティングフィルム4との間に介在させた着色粘着剤層3により、スクリーン正面から入射した光(外光)の光拡散制御層2での後方散乱を抑制することができ、それと同時にプロジェクタ光の黒輝度を下げることができるため、コントラストを向上させることができる。フレネルレンズ及びレンチキュラレンズを使ったプロジェクションスクリーンでは、一般的にレンチキュラレンズにブラックマトリクスを設けるが、着色粘着剤層3はこれに代わる効果を持つものと考えることができる。
外光の後方散乱の抑制に関しては、例えば、透過率40%の着色粘着剤層3を設け、透過した光が光拡散制御層2の界面で100%後方散乱すると考えると、光は2度着色粘着剤層3を通過するため、100%×0.4×0.4=16%にまで後方散乱を抑制することができる。
なお、特開2005−274955号に記載の発明では、色素を用いて透過率を低下させることで外光の光学系内部への侵入を阻むことは、プロジェクタ光の利用効率低下を起こすという観点から否定し、偏光子を使用している。しかしながら、プロジェクタ光の偏光と配置する偏光子の透過軸とを一致させることは非常に難しく、それらが一致していない限り、偏光子の透過率分に合わせてプロジェクタ光は吸収されてしまうため、この点では、色素を用いて透過率を低下させても同じである。偏光子を用いるよりも、本実施形態のように着色粘着剤層3を設ける方が、外光の後方散乱を抑制するだけでなく、コントラストも向上させることができるため、視認性は増す。また、偏光子は反りの発生の問題があるとともに、高価であり、スクリーンとしての構成も複雑になるが、着色粘着剤層3を使用すれば、反りの発生の問題がなく、また、安価で製造することができ、構成を簡略化することができる。
着色粘着剤層3は、着色された粘着剤(着色粘着剤)から構成され、着色粘着剤は、主成分としての粘着性樹脂と、着色剤とを含有する。
粘着性樹脂としては、例えば、アクリル系、ゴム系、シリコーン系等の粘着性樹脂が挙げられるが、中でもアクリル系共重合体が好ましい。アクリル系共重合体としては、(メタ)アクリル酸エステル系共重合体を挙げることができる。なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの両方を意味する。他の類似用語も同様である。
(メタ)アクリル酸エステル系共重合体としては、各種架橋方法によって架橋が可能な架橋点を有するものが好ましく用いられる。このような架橋点を有する(メタ)アクリル酸エステル系共重合体としては特に制限はなく、従来粘着剤の樹脂成分として慣用されている(メタ)アクリル酸エステル系共重合体の中から、任意のものを適宣選択して用いることができる。
このような架橋点を有する(メタ)アクリル酸エステル系共重合体としては、エステル部分のアルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸エステルと、分子内に架橋性官能基を有する単量体と、所望により用いられる他の単量体との共重合体を好ましく挙げることができる。
ここで、エステル部分のアルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸エステルの例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸ステアリルなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
分子内に架橋性官能基を有する単量体は、官能基として水酸基、カルボキシル基、およびアミノ基からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、具体例としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル;(メタ)アクリル酸モノメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸モノエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸モノメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸モノエチルアミノプロピルなどの(メタ)アクリル酸モノアルキルアミノエステル;(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルなどの(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノエステル;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸などのエチレン性不飽和カルボン酸などが挙げられる。これらの単量体は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
他の単量体としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミドなどのアクリルアミド類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;エチレン、プロピレン、イソブチレンなどのオレフィン類;塩化ビニル、ビニリデンクロリドなどのハロゲン化オレフィン類;スチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン系単量体;ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどのジエン系単量体;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル系単量体などが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(メタ)アクリル酸エステル系共重合体は、その共重合形態については特に制限はなく、ランダム共重合体、ブロック共重合体またはグラフト共重合体のいずれであってもよい。また、分子量としては、重量平均分子量で50万以上であるものが通常用いられる。この重量平均分子量が50万以上であると、密着性や接着耐久性が十分となり、浮きや剥がれなどが生じない。密着性及び接着耐久性などを考慮すると、この重量平均分子量は、60万〜220万のものが好ましく、特に70万〜200万のものが好ましい。なお、本明細書における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定したポリスチレン換算の値である。
着色粘着剤層3が含有する着色剤は、当該着色粘着剤層3を透過した光が、色調変化を起こさないものであることが好ましい。許容される色調変化の程度としては、人間の目によって色相変化を認識することが困難な程度であり、具体的には、着色粘着剤層3による透過光の色調変化が、国際照明委員会の規格であるCIE1931色度図により規定される色相変化ΔxおよびΔyにおいて、共に±0.0030以内であることが好ましく、特に±0.0020以内であることが好ましい。色相変化がかかる範囲内であれば、人間の目によって当該色調変化を認識することは困難である。
一方、着色粘着剤層3の視感透過率Yは、外光の後方散乱を有効に抑制するため、通常90%以下であることが好ましく、さらに好ましくは75%以下であり、特に好ましくは65%以下である。また、視感透過率Yが低い場合、プロジェクタ光の強度を上げる必要があり、さらに着色粘着剤層3の視感透過率Yが低すぎる場合、プロジェクタ光の強度を上げても鮮明な画像を得られない恐れがある。このような観点から、着色粘着剤層3の視感透過率Yは、15%以上であることが好ましく、20%以上であることがさらに好ましく、45%以上であることが特に好ましい。なお、視感透過率Yは、CIE1931色度図により算出される値である。
色調変化を抑えるために、着色剤は適宜組み合わせて使用することができ、組み合わせによってニュートラルグレー色を作り出すことが好ましい。ただし、本透明体貼付用スクリーン1の他の層2,4,5,6,7において色目が着いてしまう場合は、着色粘着剤層3の着色剤を適宜選択することにより、色調補正を行うこともできる。
着色剤としては、無機系顔料、有機系顔料、有機系染料など公知のものを使用することができる。
無機系顔料としては、例えば、カーボンブラック、コバルト系色素、鉄系色素、クロム系色素、チタン系色素、バナジウム系色素、ジルコニウム系色素、モリブデン系色素、ルテニウム系色素、白金系色素、ITO(インジウムスズオキサイド)系色素、ATO(アンチモンスズオキサイド)系色素等が挙げられる。
有機系顔料及び有機系染料としては、例えばアミニウム系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、アズレニウム系色素、ポリメチン系色素、ナフトキノン系色素、ピリリウム系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、ナフトラクタム系色素、アゾ系色素、縮合アゾ系色素、インジゴ系色素、ペリノン系色素、ペリレン系色素、ジオキサジン系色素、キナクリドン系色素、イソインドリノン系色素、キノフタロン系色素、ピロール系色素、チオインジゴ系色素、金属錯体系色素(金属錯塩染料)、ジチオール金属錯体系色素、インドールフェノール系色素、トリアリルメタン系色素、アントラキノン系色素、ジオキサジン系色素、ナフトール系色素、アゾメチン系色素、ベンズイミダゾロン系色素、ピランスロン系色素及びスレン系色等が挙げられる。これらの顔料又は染料は、目的とする色相に調整するため適宜混合して使用することができる。
着色剤の中には、粘着性樹脂の官能基や架橋剤などと反応し、粘着剤のゲル化や粘着剤層の曇価上昇を起こす組み合わせも十分あり得るため、その点注意が必要である。上記着色剤の中でも、金属錯塩染料、特にクロム錯塩染料は、粘着性樹脂の官能基の影響を受けにくく劣化し難いため、耐久性の高い着色粘着剤層3を得ることができるため好ましい。また、上記着色剤の中でも、カーボンブラックは、単独の添加で非常に高い耐候性を付与する効果がある。ただし、粘着性樹脂に対する分散性の観点では、顔料より染料の方が好ましい。
着色粘着剤中における着色剤の含有量の下限値は、所望の効果が得られる量であれば特に限定されないが、通常は0.01質量%程度である。一方、着色粘着剤中における着色剤の含有量の上限値は、15質量%以下であることが好ましく、それにより着色粘着剤層3の耐久性が確保される。このような観点から、着色粘着剤中における着色剤の含有量は、0.01〜15質量%であることが好ましく、0.1〜12質量%であることが特に好ましく、0.3〜10質量%であることがより好ましい。
着色粘着剤層3を構成する着色粘着剤には、所望により、架橋剤を含有させることができる。この架橋剤としては、特に制限はなく、従来アクリル系粘着剤において架橋剤として慣用されているものの中から、任意のものを適宜選択して用いることができる。このような架橋剤としては、例えばポリイソシアネート化合物、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ジアルデヒド類、メチロールポリマー、アジリジン系化合物、金属キレート化合物、金属アルコキシド、金属塩などが挙げられるが、中でもポリイソシアネート化合物が好ましく用いられる。
ポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネートなどの脂環式ポリイソシアネートなど、及びそれらのビウレット体、イソシアヌレート体、さらにはエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ヒマシ油などの低分子活性水素含有化合物との反応物であるアダクト体などを挙げることができる。これらの架橋剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
架橋剤の配合量は、架橋剤の種類にもよるが、粘着性樹脂(アクリル系共重合体)100質量部に対し、通常0.01〜20質量部、好ましくは、0.1〜10質量部である。
着色粘着剤には、本実施形態に係るプロジェクションスクリーン1の目的が損なわれない範囲で、所望により、アクリル系粘着剤に通常使用される各種添加剤、例えば粘着付与剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、軟化剤などを添加することができる。
着色粘着剤層3の厚さは、10〜50μmであることが好ましく、特に15〜35μmであることが好ましい。着色粘着剤層3の厚さが10μm未満であると、耐久性能の付与あるいは透過率制御が困難となり、一方、着色粘着剤層3の厚さが50μmを超えると、製造上の問題や拡散特性の低下を引き起こす恐れがあり、また経済的にも好ましくない。
〔コーティングフィルム〕
コーティングフィルム4は、偏光機能を有さないフィルムであり、本実施形態では反射制御層(反射防止層・低反射層)及び/又は防眩層を有するフィルムであることが好ましく、一般的にはハードコートフィルムとして提供される。
コーティングフィルム4としては、例えば、反射防止層(AR:Anti Reflection)、低反射層(LR:Low Reflection)、防眩層(AG:Anti Glare)、防眩層+低反射層(AG+LR)、クリアハードコート層(CHC:Clear Hard Coat)、クリアハードコート層+低反射層(CHC+LR)等がコーティングされたプラスチックフィルムが挙げられ、従来公知のものを使用することができる。なお、これらコーティングフィルム4は、光を散乱させる層を有するフィルムをも含むものであるが、光の散乱方向等を制御しているものではない点において光拡散制御層2とは異なる。
コーティングフィルム4に用いられるプラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等のポリオレフィンフィルム、セロファン、ジアセチルセルロースフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、アセチルセルロースブチレートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリメチルぺンテンフィルム、ポリスルフォンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルフォンフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ポリアミドフィルム、アクリル樹脂フィルム、ポリウレタン樹脂フィルム、ノルボルネン系重合体フィルム、環状オレフィン系重合体フィルム、環状共役ジエン系重合体フィルム、ビニル脂環式炭化水素重合体フィルム等が挙げられる。
反射防止層、低反射層、防眩層、クリアハードコート層等のコート層に関しては、従来公知の材料を上記プラスチックフィルム上にコーティングすることにより形成すればよい。なお、上記各種コート層は、耐擦傷性を付与したり、光の反射等を防止することにより視認性を向上させるものであって、光を所定角度に散乱させるという効果を有しない点において、光拡散制御層2とは異なる。
コーティングフィルム4の厚さは、通常は40〜200μm程度であり、好ましくは80〜150μm程度である。
なお、本実施形態では、本発明の「偏光機能を有さないフィルム」として、コーティングフィルム4を用いたが、本発明はこれに限定されることなく、例えば、コーティングされていないフィルムを使用することもできる。この場合、反射制御層、防眩層等の機能層または当該機能層を有するフィルムは、本実施形態に係るプロジェクションスクリーン1とは別に設けることができる。
〔透明基板〕
透明基板5は、光拡散制御層2を支持し得る剛性を有する透明な基板であれば、特に限定されず、通常はプラスチック板またはガラス板が使用される。
プラスチック板の材料としては、例えば、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルフォン、アモルファスポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート等の透明性および寸法安定性に優れた材料が使用される。なお、高温環境下でのプラスチック板からの水分などのアウトガス発生の防止を考慮すれば、両面にハードコート層が積層されたプラスチック板等も好ましく用いることができる。
透明基板5の厚さは、通常は0.5〜10mm程度であり、好ましくは2〜8mm程度である。0.5mm以上であればスクリーンとして使用する際の剛性を付与することができ、10mm以下であれば製造工程上問題なく使用することができる。
なお、本実施形態に係るプロジェクションスクリーン1は、透明基板5を備えるものであるが、これに限定されることなく、透明基板5は省略されてもよい。この場合、他の層(例えば光拡散制御層2、コーティングフィルム4、反射防止フィルム6)が支持体の役割を有してもよい。
ここで、透明基板5と光拡散制御層2との接着方法としては、従来公知の種々の方法を使用することができる。例えば、粘着剤シートによる接合、接着剤による接合、及びラミネーションによる接合などが好ましく挙げられる。なお、ラミネーションによる接合においては、粘着剤シートや接着剤を併用してもよい。工程の簡便さ等を考慮するとラミネーションによる接合が好ましい。
透明基板5と光拡散制御層2との接合において、粘着剤シートや接着剤を使用する場合、高温環境下での透明基板5からのアウトガス発生を考慮すると、耐ブリスター性に優れた粘着剤または接着剤を使用することが好ましい。
一方、ラミネーションによる接合の場合、光拡散制御層2となる光制御膜積層体は、光制御膜同士あるいは光制御膜積層体同士をラミネーションした後に透明基板5とラミネーションすることができる。また、透明基板5上に光制御膜をラミネータにより順次積層することにより光拡散制御層2を形成することもできる。光拡散制御層2と透明基板5の密着性を良くすることを考慮すると、後者のほうが好ましい。
〔反射防止フィルム〕
反射防止フィルム6としては、上記コーティングフィルム4として例示した反射制御層を有するフィルムを使用することができ、具体的には、反射防止層(AR)または低反射層(LR)がコーティングされたプラスチックフィルムを使用することが好ましい。コーティングフィルム4と同様に、反射防止フィルム6は光拡散制御層2とは異なるものである。
なお、本実施形態に係るプロジェクションスクリーン1は、プロジェクタ光が入射する側の最表面に反射防止フィルム6を備えるものであるが、これに限定されることなく、反射防止フィルム6は省略されてもよい。この場合、例えば、透明基板5上に直接反射防止層(AR)または低反射層(LR)がコーティングされてもよい。
〔製造方法〕
本実施形態に係るプロジェクションスクリーン1は、上述の各種材料を用いて以下のようにして作製することができる。なお、以下の製造方法は一例であり、これにより制限されるものではない。
最初に、図2に示す通り、同一の光散乱角度域を有する2枚の光制御膜を光散乱角度域が一致するように積層し、光制御膜積層体7、8及び9をそれぞれ得る
次に、透明基板5上に、上記光制御膜積層体9をラミネートする。さらに、光制御膜積層体9の光散乱角度域と該光制御膜積層体9の法線方向に対称となるように、光制御膜積層体8をラミネートする。その後、積層されている光制御膜積層体9,8の光散乱角度域の中心線(法線方向)と一致するように光制御膜積層体7をラミネートすることにより、透明基板5上に光拡散制御層2を形成する。
なお、透明基板5と光制御膜積層体9との間、あるいは光制御膜積層体7,8,9の間の密着は、ラミネートに換えて粘着剤や接着剤を使用してもよいし、また、ラミネートと併用してもよい。
一方、コーティングフィルム4のコート層と反対側に着色粘着剤を塗工、乾燥することにより着色粘着剤層3を形成する。次いで、上記光拡散制御層2の露出面側と上記着色粘着剤層3の露出面側が接するように貼り合わせる。
また、反射防止フィルム6の反射制御層の設けられている面と反対面側の面に、上記着色粘着剤として挙げられた粘着剤のうち着色剤を除いた組成からなる粘着剤を塗工・乾燥させることにより粘着剤層を設ける。そして、上記透明基板5の露出面側に、反射防止フィルム6上に設けられた粘着剤層が接するように貼合することにより、プロジェクションスクリーン1を得る。
得られたプロジェクションスクリーン1は、各層間の接合強度を強固にするため、オートクレーブ処理等の加圧処理を行うことが好ましい。オートクレーブ処理としては、温度50〜70℃、圧力0.5〜2.0MPaで10〜100分間行うことが好ましい。なお、オートクレーブ処理に換えて、加圧ローラによる圧着処理等、他の各種加圧処理を行ってもよい。
上記着色粘着剤層3及び反射防止フィルム6上に粘着剤層を形成するための粘着剤の塗工は、公知の塗工方法を使用することができ、例えば、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法などを用いて、粘着剤をコーティングして塗膜を形成させ、乾燥させる方法を用いることができる。乾燥条件は特に制限されないが、通常50〜150℃で10秒〜10分程度である。また、粘着剤をコーティングする際には、溶剤を使用することができる。溶剤としては、特に限定されず、例えば、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトンなどが好ましく挙げられる。
以上説明したプロジェクションスクリーン1においては、着色粘着剤層3によって、スクリーン正面から入射した光の後方散乱を抑制することができ、それと同時にプロジェクタ光の黒輝度を下げることができるため、コントラストを向上させることができる。さらに、偏光板を使用しないため、反りの発生の問題がなく、また、安価で製造することができ、構成を簡略化することができる。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
〔実施例1〕
<光制御膜用の光硬化性組成物の調製>
重量平均分子量約3,000のポリプロピレングリコールと、当該ポリプロピレングリコール2モルあたり、0.3モルのトリレンジイソシアネート、2.7モルのヘキサメチレンジイソシアネート及び2モルの2−ヒドロキシエチルアクリレートとの反応によって得たポリエーテルウレタンアクリレート(屈折率1.460)40質量部に対して、2,4,6−トリブロモフェニルアクリレート(屈折率1.6以上)30質量部、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート(屈折率1.526)30質量部及び2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン1.5質量部を添加混合することにより、光制御膜用の光硬化性組成物を得た。
<光制御膜及び光制御膜積層体の作製>
上記光硬化性組成物を、フィルム状の透明ポリエチレンテレフタレート(以下「PETフィルム」という)上に、乾燥後の厚さが170μmとなるように塗布した。
その塗膜の上方80cmの位置に、80W/cmの棒状高圧水銀ランプを固定し、塗膜全面に光が垂直にあたるように、スリットをつけた遮光板を介して、1m/分の速度で塗膜付きPETフィルムを横方向へ移動させつつ光照射して、光制御膜を形成した。このとき、スリットの幅と角度を調整することにより、60%以上の曇価を示す光散乱角度域が以下の値となる2種類の光制御膜を作製した。
(1)光散乱角度域85〜115°の光制御膜(幅:30°;図2の8a,bおよび9a,bに相当):4枚作製
(2)光散乱角度域85〜135°の光制御膜(幅:50°;図2の7a,bに相当):2枚作製
なお、60%以上の曇価を示す光散乱角度域の値は、コノスコープよって測定した。
得られた光制御膜は、上記PETフィルムから剥し、光散乱角度域が同一の光制御膜2枚をその光散乱角度域が一致するようにラミネートし、光制御膜積層体を得た。すなわち、図2の光制御膜積層体7、8及び9にそれぞれ相当する光制御膜積層体を得た。
<光拡散制御層の作製>
次に、光制御膜積層体9を、透明基板5としてのアクリル板(三菱レイヨン社製,「アクリライトL♯001」,厚さ2mm)上にラミネータを用いて積層した。さらに、光制御膜積層体9と拡散角度域が対称となるように光制御膜積層体8をラミネータを用いて積層した。
最後に、光制御膜積層体7を同様に積層することにより光拡散制御層2を形成した。この光拡散制御層2は、法線方向から入射した点光源が上下方向65〜115°、及び左右方向45〜135°に拡散するものであった。このようにして、アクリル板上に光拡散制御層2が形成された積層体を得た。
<着色粘着剤層の作製>
次に、アクリル系共重合体(ブチルアクリレート:メチルアクリレート:アクリル酸(質量比)=76:20:4,Mw=90万,固形分濃度28質量%)100質量部に対し、架橋剤(日本ポリウレタン社製,「コロネートL」,固形分濃度100質量%)を0.75質量部、着色剤であるクロム錯塩染料(保土谷化学社製,「スピロンブラック MH」,固形分濃度30質量%)を0.65質量部添加・配合し、着色粘着剤組成物を得た。この着色粘着剤組成物は、重剥離型剥離フィルム(リンテック社製,「SP−PLR38T103−1」)上に乾燥後の膜厚が25μmとなるように塗工した。塗工後、90℃で1分間乾燥することにより着色粘着剤層3を得た。
得られた着色粘着剤層3の露出面側に、軽剥離型剥離フィルム(リンテック社製,「SP−PET381031」)を貼り合せ、両面に剥離フィルムを有する着色粘着剤層3を得た。該着色粘着剤層3の視感透過率Yは58%であった。視感透過率の算出方法は後述する。
<プロジェクションスクリーンの作製>
上記両面に剥離フィルムを有する着色粘着剤層3の軽剥離型剥離フィルムを剥し、着色粘着剤層3の露出面をコーティングフィルム4としての反射防止フィルム(凸版印刷社製,「LR−TAC」)のコート層と反対面側に貼合した。
次に、着色粘着剤層3上の重剥離型剥離フィルムを剥して、着色粘着剤層3の露出面を上記アクリル板と光拡散制御層2との積層体の光拡散制御層2上に貼合した。ここまでで、「コーティングフィルム4(反射防止フィルム)/着色粘着剤層3/光拡散制御層2/透明基板5(アクリル板)」からなる構成体が得られた。
一方、上記着色粘着剤層3から着色剤を除いた以外、同様の両面に剥離フィルムを有する粘着剤層を用意した。該粘着剤層の軽剥離型剥離フィルムを剥し、粘着剤層の露出面を反射防止フィルム6(凸版印刷社製,「LR−TAC」)の反射制御層と反対面側に貼合した。
さらに、着色剤を有しない該粘着剤層の重剥離型剥離フィルムを剥し、上記「コーティングフィルム4(反射防止フィルム)/着色粘着剤層3/光拡散制御層2/透明基板5(アクリル板)」からなる構成体のアクリル板側表面に貼合した。
最後に、層間密着性を向上させるため、オートクレーブ(栗原製作所社製)にて50℃、0.9MPa、1時間処理して、プロジェクションスクリーン1を得た。
〔実施例2〕
着色粘着剤層の着色剤として、実施例1のクロム錯塩染料の替わりに黒色顔料(東洋インキ社製,カーボンブラック含有品,「GS05−2」,固形分濃度10質量%)3.5質量部を使用する以外、実施例1と同様にして両面に剥離フィルムを有する着色粘着剤層2、及びプロジェクションスクリーン1を作製した。なお、着色粘着剤層2の視感透過率Yは58%であった。
〔実施例3〕
着色粘着剤層の着色剤として、実施例1の保土谷化学社製「スピロンブラック MH」の替わりに金属錯塩染料であるオリエント化学工業社製「Valifast Black 3808」(固形分濃度100質量%)0.1質量部を使用する以外、実施例1と同様にして両面に剥離フィルムを有する着色粘着剤層2、及びプロジェクションスクリーン1を作製した。なお、着色粘着剤層2の視感透過率Yは58%であった。
〔比較例1〕(コントロール)
実施例1の着色粘着剤層において着色剤を添加せずに粘着剤層を形成する以外、実施例1と同様にして両面に剥離フィルムを有する粘着剤層、及び擬プロジェクションスクリーンを作製した。なお、粘着剤層の視感透過率Yは100%であった。
〔比較例2〕
偏光板(サンリッツ社製)上に、実施例1の着色粘着剤において着色剤を含まない粘着剤組成物を、乾燥後の厚さが25μmとなるように塗工して粘着剤層を形成し、これを粘着剤層と偏光板との積層体とした。なお、この積層体の視感透過率Yは52%であった。
実施例1の着色粘着剤層3とコーティングフィルム4との積層体の替わりに、上記粘着剤層と偏光板との積層体を使用する以外、実施例1と同様にしてプロジェクションスクリーンを作製した。
〔試験例1〕(後方散乱の測定)
実施例および比較例で得られたプロジェクションスクリーンを70mm×150mmに裁断し、これをサンプル10とした。サンプル10のコーティングフィルム4側(比較例2においては偏光板側)を正面側とし、図3に示すようにサンプル10の背面側にブラックボックス11を配置し、反射光の影響を取り除いた。映像としてのプロジェクタ光がない状態で測定することで、純粋に後方散乱の影響のみを測定することができる。
上記サンプル10の正面側に、プロジェクタPから環境光を想定した白色プロジェクタ光(265lx:HIOKI社製「3423LUX HiTESTER」で測定)を15°,60°の方向から入射させ、サンプル10の画面輝度(cd/m)を0°の角度から測定した(ミノルタ社製輝度計LS−110で測定)。結果を表1に示す。
ここで、表1における白色光入射角15°,60°の夫々における画面輝度の値が小さいほど、後方散乱が有効に抑えられていることを表し、少なくとも、着色剤を含まない比較例1(コントロール)における画面輝度の値よりも有意に小さければ、後方散乱が抑えられていることが分かる。なお、後方散乱については、環境光の強度等に依存するので明確な基準を設けることはできないが、本試験例で白色光入射角15°において1.50cd/m以下、および白色光入射角60°において0.30cd/m以下の値に抑えられていれば、後方散乱が実用上問題とならないレベルと考えられる。
〔試験例2〕(耐久性試験)
実施例および比較例で得られたプロジェクションスクリーンを70mm×150mmに裁断したものをサンプルとし、80℃乾燥条件、及び60℃・90%湿熱条件の環境下に投入し、500時間後に取り出し、23℃で2時間放置した後、水平な面に載置し、当該水平な面からの反りの有無を目視にて評価した。目視にて反りが認められなかった場合を○、反りが認められた場合を×とした。結果を表1に示す。
〔試験例3〕(経時による色相変化の測定)
実施例及び比較例で得た両面に剥離フィルムを有する着色粘着剤層3(比較例1では粘着剤層)の軽剥離型剥離フィルムを剥し、露出面をPETフィルム(東洋紡績社製,「コスモシャイン PET100 A4300」)に貼合した。さらに、着色粘着剤層3とPETフィルムとの積層体を縦50mm×横100mmに裁断し、重剥離型剥離フィルムを剥してソーダライムガラス(縦70mm×横150mm×1.1mm,エヌ・エス・ジープレジション社製)上に貼合した。
その後、上記で得られた「PETフィルム/着色粘着剤層3/ソーダーライムガラス」からなる構成体をオートクレーブで50℃、0.9MPa、1時間処理し、評価用サンプルを得た。なお、比較例2については、「偏光板/粘着剤層(着色剤を含まず)/ソーダライムガラス」からなる構成体を評価用サンプルとした。
得られた評価用サンプルについて、分光光度計(島津製作所社製,「MPC3100」)を用いて、CIE1931色度図に基づき視感透過率Y、x及びy、並びに色相変化ΔY、Δx及びΔyを算出した。結果を表1に示す。
また、評価用サンプルを前述の耐久性試験と同様に80℃乾燥条件、及び,60℃・90%湿熱条件の環境下に投入し、500時間後にも同様に視感透過率Y、x及びy、並びに色相変化ΔY、Δx及びΔyを算出した。結果を表1に示す。
Figure 2011017971
表1から明らかなように、実施例1〜3で得られたプロジェクションスクリーンは、いずれも後方散乱を抑制することができることが確認された。また、実施例1及び2のプロジェクションスクリーンは、実施例3のプロジェクションスクリーンよりも耐久性試験後のΔY、Δx及びΔyが小さいものであり、耐久性試験後も後方散乱を抑制する効果に優れることが確認された。また、実施例1〜3のプロジェクションスクリーンは、偏光板を用いた比較例2のような反りの発生もないものであった。
〔試験例4〕(コントラストについての考察)
プロジェクタ光を投影したときの一般的な値として、比較例1(コントロール)の白状態画面輝度を300cd/m、黒状態画面輝度を1cd/mとすると、後方散乱を加味したコントラストは(300+2.60):(1+2.60)≒84.06:1であり、実施例1は透過率を下げていることを加味して(300×0.58+0.59):(1×0.58+0.59)≒149.2:1となる。これにより、着色粘着剤層で透過率を下げたとしても、高いコントラスト比を出すことができることを確認した。
本発明のプロジェクションスクリーンは、リアプロジェクションディスプレイ用の透過型のプロジェクションスクリーンとして、視認性、耐久性、経済性等の面から好適に用いられる。
P…プロジェクタ
1…プロジェクションスクリーン
2…光拡散制御層
3…着色粘着剤層
4…コーティングフィルム(偏光機能を有さないフィルム)
5…透明基板
6…反射防止フィルム
7,8,9…光制御膜積層体
7a,7b,8a,8b,9a,9b…光制御膜
10…サンプル
11…ブラックボックス

Claims (12)

  1. リアプロジェクションディスプレイに用いられる透過型のプロジェクションスクリーンであって、
    光の拡散を制御する光拡散制御層と、
    偏光機能を有さないフィルムと、
    前記光拡散制御層および前記偏光機能を有さないフィルムの間に介在する着色粘着剤層と
    を備えたことを特徴とするプロジェクションスクリーン。
  2. 前記光拡散制御層は、屈折率に差がある少なくとも2種類以上の光重合可能な化合物を含有する組成物の膜に光を照射して硬化させた光制御膜を備えたことを特徴とする請求項1に記載のプロジェクションスクリーン。
  3. 前記光拡散制御層は、前記光制御膜を、その光散乱角度域が互いにほぼ一致する向きに積層した積層体であることを特徴とする請求項2に記載のプロジェクションスクリーン。
  4. 前記着色粘着剤層による透過光の色調変化が、CIE1931色度図により規定される色相変化ΔxおよびΔyにおいて、共に±0.0030以内であり、かつ、前記着色粘着剤層の視感透過率Yが15〜90%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のプロジェクションスクリーン。
  5. 前記着色粘着剤層は、金属錯塩染料によって着色されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のプロジェクションスクリーン。
  6. 前記金属錯塩染料は、クロム錯塩染料であることを特徴とする請求項5に記載のプロジェクションスクリーン。
  7. 前記偏光機能を有さないフィルムは、ハードコートフィルムであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のプロジェクションスクリーン。
  8. 前記偏光機能を有さないフィルムは、反射制御層および/または防眩層を有するフィルムであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のプロジェクションスクリーン。
  9. プロジェクタ側の最外層に反射防止層を備えたことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のプロジェクションスクリーン。
  10. 透明基板を備えたことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のプロジェクションスクリーン。
  11. プロジェクタ側から順に、透明基板と、前記光拡散制御層と、前記着色粘着剤層と、前記偏光機能を有さないフィルムとを積層してなることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のプロジェクションスクリーン。
  12. 前記透明基板のプロジェクタ側には、反射防止層が設けられていることを特徴とする請求項11に記載のプロジェクションスクリーン。
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