JP2011017541A - 塗膜反射率推定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】塗膜構成物の詳細な様態に依存した塗膜の光反射率を推定可能な塗膜反射率推定方法を提供する。
【解決手段】電磁場解析により光の波動を考慮した散乱体の光学特性を算出し(第1ステップ)、その推定した光学特性を用いて光線追跡を行い、光線追跡の結果に基づいて塗膜の光反射率を算出する(第2ステップ)。これにより、塗膜内における光の散乱と吸収を考慮して、光反射率を推定することができ、塗膜内に光の散乱と吸収を起こす散乱体が含まれている場合にも、適切に対応することができ、塗膜の正確な光反射率を推定することができる。
【選択図】図1
【解決手段】電磁場解析により光の波動を考慮した散乱体の光学特性を算出し(第1ステップ)、その推定した光学特性を用いて光線追跡を行い、光線追跡の結果に基づいて塗膜の光反射率を算出する(第2ステップ)。これにより、塗膜内における光の散乱と吸収を考慮して、光反射率を推定することができ、塗膜内に光の散乱と吸収を起こす散乱体が含まれている場合にも、適切に対応することができ、塗膜の正確な光反射率を推定することができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、塗膜内における塗膜構成物の形状とその配置に基づき、塗膜の光反射率を推定する塗膜反射率推定方法に関する。
自動車の車体等の塗装色は、塗膜に照射された光が塗膜内で多重散乱や吸収、反射を経て、塗膜外に飛び出し、その光が観測されたものである。従来より、塗装板内の光の振る舞いを予測する方法として、光線追跡(特許文献1を参照)と、波動方程式(特許文献2を参照)を応用した手法がある。
特許文献1に示される技術では、構成部材の反射スペクトルと透過スペクトルを計算しているが、構成部材における光の散乱と吸収については考慮されていない。特許文献1によれば、ベースカラーの発色を入力しているが算出はしていない。その上で、クリア層内に構成部材を配置しており、クリア層内において光の消散(散乱と吸収)は考慮されていない。したがって、構成部材の中に、光の散乱と吸収を起こす顔料が含まれている場合には適用できず、塗装の色を正確に予測することはできない。
また、特許文献2に示される技術では、発色材料の反射スペクトルと透過スペクトルを計算しているが、塗装膜表面反射スペクトル計算において発色材料の配置は、塗装膜の深さ方向の重なり順と面積の割合のみが考慮されており、また、塗装膜内において発色材料の重なりがないことを前提としている。したがって、発色材料の配置の深さに依存する発色を扱うことはできず、また、発色材料の重なりに対応できない等の制限が多いという問題を有している。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、塗膜構成物の詳細な様態に依存した塗膜の光反射率を推定可能な塗膜反射率推定方法を提供することである。
上記課題を解決する本発明の塗膜反射率推定方法は、散乱体を含む塗膜の光反射率を推定する塗膜反射率推定方法であって、電磁場解析により光の波動を考慮した散乱体の光学特性を算出する第1ステップと、その推定した光学特性を用いて光線追跡を行い、光線追跡の結果に基づいて塗膜の光反射率を算出する第2ステップとを含むことを特徴としている。
本発明によれば、電磁場解析により光の波動を考慮した散乱体の光学特性を算出し、その算出した光学特性を用いて光線追跡を行い、その光線追跡の結果に基づいて塗膜の光反射率を算出するので、塗膜内における光の散乱と吸収を考慮して、光反射率を推定することができる。したがって、塗膜内に光の散乱と吸収を起こす散乱体が含まれている場合にも、適切に対応することができ、塗膜の正確な光反射率を推定することができる。
本発明の塗膜反射率推定方法は、好ましくは、第1ステップにおいて、計算機上で微細構造を設定した仮想空間を構築し、仮想空間にマクスウェル方程式を適用して電磁場の変化を模擬する計算を実施し、計算により得られる電磁場の変化を、偏光を考慮した光線の変化の様子に変換して散乱体の光学特性を得ることを特徴としている。
また、本発明の塗膜反射率推定方法は、好ましくは、第1ステップにおいて、電磁場の変化を模擬する計算をFDTD法により行い、その算出した電磁場の変化をストークスパラメータに置換し、入力波のストークスパラメータと反射・透過・散乱波のストークスパラメータとを比較して、散乱体の光学特性を示すミュラー行列を得ることを特徴としている。
本発明の塗膜反射率推定方法は、好ましくは、第2ステップにおいて、計算機上に仮想空間を構築し、仮想空間に塗膜構成物の形状および配置量を設定し、塗膜構成物で反射する光の強度と反射後の光の進行方向を計算し、塗膜内部を小区間に区切り、散乱体が存在する区間ごとに確率的に光の散乱量を計算し、散乱後の光の進行方向を計算し、散乱体が存在する区間ごとに、光の移動距離に応じた光の強度の減衰を計算することにより光線追跡を行うことを特徴としている。
本発明の塗膜反射率推定方法は、好ましくは、第2ステップにおいて、光源から発射された光線をストークスパラメータで表現し、仮想空間上で光線に対する塗膜構成物の作用をミュラー行列として与えて光線追跡を行い、塗膜内に入射した光の量と、塗膜外に射出される光の量とに基づいて塗膜の光反射率を算出することを特徴としている。
塗膜構成物の詳細な様態に依存した塗膜の光反射率を推定することができ、塗装ムラの発生やその程度を予測することが可能となる。
次に、本発明の実施の形態について説明する。
本実施の形態における塗膜反射率推定方法は、例えば自動車の車体に塗装して形成される塗膜の光反射率を推定するものであり、計算機(コンピュータ)で塗膜反射率推定用のプログラムを実行することによって実現される。
本実施の形態における塗膜反射率推定方法は、例えば自動車の車体に塗装して形成される塗膜の光反射率を推定するものであり、計算機(コンピュータ)で塗膜反射率推定用のプログラムを実行することによって実現される。
塗膜反射率推定方法は、塗膜に含まれている非球面形状の散乱体の光学特性を電磁解析によって推定し、その光学特性から塗膜の光反射率を推定するものであり、電磁場解析により光の波動を考慮した散乱体の光学特性を算出する第1ステップと、その推定した光学特性を用いて光線追跡を行い、光線追跡の結果に基づいて塗膜の光反射率を算出する第2ステップとを含む。
塗膜光反射率推定方法では、必要に応じて第1ステップを行い、第2ステップにより塗膜の光反射率を算出する。第1ステップの結果(散乱体の光学特性)は、計算機が有する記憶手段等に保存することができ、次回からは再計算することなく、第2ステップで再利用することができる。
図1は、第1ステップの処理内容を説明するフローチャートである。
第1ステップでは、計算機上で微細構造を設定した仮想空間を構築し、その仮想空間にマクスウェル方程式を適用して電磁場の変化を模擬する計算を実施し、計算により得られる電磁場の変化を、偏光を考慮した光線の変化の様子に変換して散乱体の光学特性を得る処理が行われる。
第1ステップでは、計算機上で微細構造を設定した仮想空間を構築し、その仮想空間にマクスウェル方程式を適用して電磁場の変化を模擬する計算を実施し、計算により得られる電磁場の変化を、偏光を考慮した光線の変化の様子に変換して散乱体の光学特性を得る処理が行われる。
例えば、図1のフローチャートに示すように、ステップS11において、ミクロスケールの構造を配置し、次いで、ステップS12においてMaxwell方程式に基づき該構造の光学特性(塗膜構成物の反射率、透過率、散乱特性、吸収量)を算出する。ここで、「ミクロスケールの構造」とは、散乱体を想定しており、「構造を配置する」とは、散乱体の形状(例えば丸、楕円など)を決定することを意味する。
まず、ステップS11では、塗膜構成物の幾何学的状態(大きさ、形状、配置等)と、塗膜構成物の材質の複素屈折率(または複素誘電率)の情報に基づいて、計算機上で空間を離散化した小要素(セル)に誘電率、導電率、透磁率、導磁率を設定する。
ステップS12では、電磁場の変化を模擬する計算を、後述するFDTD法により行い、算出した電磁場の変化をストークスパラメータに変換し、入力波のストークスパラメータと反射・透過・散乱波のストークスパラメータとを比較して、散乱体の光学特性を示すミュラー行列を得る。
FDTD法(Finite Difference Time Domain Method:時間領域差分法)では、下記のMaxwell方程式(式1)、(式2)を差分化して(式3)、(式4)とし、時間ステップごとに各セルの電場と磁場を更新していく計算により電磁現象を模擬実験する。
上述の方法によれば、任意形状の散乱体について散乱特性を計算することができる。この場合、散乱波を分離する差分式(下記の式(3’)を参照)を採用する。
したがって、界面粗さや屈折率の不均一がある界面における反射率・透過率および散乱特性を計算することができる。その他、任意の構造について、光の波動を考慮した光学特性を計算することができる。
FDTD法で得られる結果は、解析空間全域における電場及び磁場の振動である。この電磁場の振動を進行波と捉え、ストークスパラメータに置き換える。そして、入力波のストークスパラメータと反射・透過・散乱波のストークスパラメータを比較することで、第2ステップで使用するミュラー行列を得る。このミュラー行列が散乱体の光学特性を表す。
以下に、振動する電磁場をストークスパラメータに変換する方法(手法1)について説明する。
ストークスパラメータは並進波の表現であるので、電磁場の振動が並進波と見なせるとする。電磁場の振動のうちz方向に進行する並進波成分を考えると、その電場ベクトルの成分は
と、正弦波の重ねあわせで表される。ここにnは重ね合わせのための変数、ωnは振動数、tは時間、ax,nとay,nは、それぞれの成分について各波長での振幅であり、δx,nとδy,nは同様に位相差である。ExおよびEyを複素フーリエ変換することで、任意のnについてax,n、ay,n、δx,n、δy,nを得る。
ストークスパラメータは並進波の表現であるので、電磁場の振動が並進波と見なせるとする。電磁場の振動のうちz方向に進行する並進波成分を考えると、その電場ベクトルの成分は
次に、ストークスパラメータの変化をミュラー行列に変換する方法(手法2)について説明する。
上述のステップS12によって、ストークスパラメータの変化の様子をミュラー行列に変換することができ、塗膜構成物の光学特性を得ることができる。そして、塗膜構成物の反射率、透過率、散乱特性、吸収量を出力することができる。
図2は、第2ステップの処理内容を説明するフローチャートである。
第2ステップでは、計算機上に仮想空間を構築し、その仮想空間に塗膜構成物の形状および配置量を設定し、塗膜構成物で反射する光の強度と反射後の光の進行方向を計算する。そして、塗膜内部を小区間に区切り、散乱体が存在する区間ごとに確率的に光の散乱量を計算し、散乱後の光の進行方向を計算し、散乱体が存在する区間ごとに、光の移動距離に応じた光の強度の減衰を計算することにより光線追跡を行う。
第2ステップでは、計算機上に仮想空間を構築し、その仮想空間に塗膜構成物の形状および配置量を設定し、塗膜構成物で反射する光の強度と反射後の光の進行方向を計算する。そして、塗膜内部を小区間に区切り、散乱体が存在する区間ごとに確率的に光の散乱量を計算し、散乱後の光の進行方向を計算し、散乱体が存在する区間ごとに、光の移動距離に応じた光の強度の減衰を計算することにより光線追跡を行う。
例えば、図2のフローチャートに示すように、ステップS21において、計算機上に仮想空間を構築して、その仮想空間に塗膜構成物を均一に配置し、次いで、ステップS22において光線追跡により塗膜構成物の光学特性(反射率、透過率)を算出する。
ステップS21では、塗膜構成物(物体)の幾何学的状態(大きさ、形状、配置等)と、塗膜構成物の反射率、透過率、散乱特性、吸収量の情報に基づいて、塗膜構成物の形状および配置量を設定する。なお、これら塗膜構成物の反射率等は、第1ステップの出力で代用してもよく、また、測定可能な量は実測値で代用しても良い。
ステップS22では、光線追跡により、塗膜構成物の光学特性を算出する処理が行われる。光線追跡では、光源から発射された光線をストークスパラメータで表現し、仮想空間上で光線に対する塗膜構成物の作用(反射や透過等)をミュラー行列として与える。塗膜の光反射率は、塗膜内に入射した光の量と、塗膜外に射出される光の量とに基づいて算出することができる。
光線追跡では、以下の3つの計算を実施する。
第1の計算:塗膜構成物の散乱体(光輝材)で反射する光の強度と反射後の光の進行方向を計算する。
第2の計算:塗膜内部を小区間に区切り、散乱体(光輝材)が存在する区間ごとで確率的に光の散乱量を計算し、散乱後の光の進行方向を計算する。
第3の計算:散乱体が存在する区間ごとで、光線の移動距離に応じた光線強度の減衰を計算する。
第1の計算:塗膜構成物の散乱体(光輝材)で反射する光の強度と反射後の光の進行方向を計算する。
第2の計算:塗膜内部を小区間に区切り、散乱体(光輝材)が存在する区間ごとで確率的に光の散乱量を計算し、散乱後の光の進行方向を計算する。
第3の計算:散乱体が存在する区間ごとで、光線の移動距離に応じた光線強度の減衰を計算する。
図3は、光線が塗膜構成物に作用する状態を模式的に示す図である。
光線rは、図3に示すように、空気と着色顔料層31との界面34を通過して着色顔料層31内に進入し、着色顔料層31と中塗り層32との界面35に到達する。したがって、光線rと界面34、35との交差によって塗膜構成物(物体)の作用が発生する。「塗膜構成物(物体)の作用が発生」とは、光が塗膜構成物(物体)に当たったときに起きる現象(反射や透過等)をいう。
光線rは、図3に示すように、空気と着色顔料層31との界面34を通過して着色顔料層31内に進入し、着色顔料層31と中塗り層32との界面35に到達する。したがって、光線rと界面34、35との交差によって塗膜構成物(物体)の作用が発生する。「塗膜構成物(物体)の作用が発生」とは、光が塗膜構成物(物体)に当たったときに起きる現象(反射や透過等)をいう。
この塗膜構成物の作用に基づいて、第1の計算が行われる。第1の計算において、境界面の計算はフレネルの反射を用いる。薄膜やマイカなどの干渉する物質は、特性行列法を用いて計算する。
飛行区間における光線強度の減衰は、下記の(式10)に基づいて算出される。
上記の(式10)において、Iは光線強度、βは消散係数、dは飛行距離である。I(d)は、光線の飛行距離に依存した光線強度であり、説明では簡単のためd=0で規格化してある。βabsは吸収係数である。
図4は、1光線についての処理の流れを示すフローチャートである。
まず、光源から光線が発射されたとして(ステップS221)、面に対する交点計算が行われ、交点の有無が判断される(ステップS222)。ここで、「面」とは、屈折率の異なる面(例えばクリアと空気層との間の面や、クリアと顔料との間の面)をいう。
まず、光源から光線が発射されたとして(ステップS221)、面に対する交点計算が行われ、交点の有無が判断される(ステップS222)。ここで、「面」とは、屈折率の異なる面(例えばクリアと空気層との間の面や、クリアと顔料との間の面)をいう。
そして、ステップS222で交点有りと判断された場合には、その交点までに光が散乱するか否かが判断される(ステップS223)。光が散乱するか否かの判断は、散乱確率と交点から交点までの距離に基づいて行われる。
ステップS223で散乱すると判断された場合には、その散乱位置までの吸収を作用させ(ステップS224)、散乱特性を作用させる(ステップS225)。ここで、「吸収を作用させる」とは光を吸収させる(光の減衰)ことを意味し、「散乱特性を作用させる」とは散乱させる(光の方向を変化させる)ことを意味する。
一方、ステップS223で散乱しないと判断された場合には、その交点(塗膜構成物)までの吸収を作用させ(ステップS226)、交点(塗膜構成物)までの特性を作用させる(ステップS227)。
ステップS225で散乱特性を作用させた後、あるいは、ステップS227で交点までの特性を作用させた後は、ステップS222の交点判断に戻る。また、ステップS222の交点判断において、交点なしと判断された場合には、光線が塗膜から上面に抜けたと判断して、光の強度と方向の観測を行い(ステップS228)、終了する。
そして、光線をストークスパラメータで表現し、物質の光への作用をミュラー行列として与える(式11)ことで、光線は任意の偏光状態を扱える。
上記の式11において、Sは光源から発射した光線のストークスパラメータ、Mnはn番目に光線に作用するミュラー行列、Lnは、Mn-1 (n>1)またはS(n=1)が規定する偏光面座標系からMnが規定する偏光面座標系にストークスパラメータを変換するための行列である。
反射率は、塗膜内に入射した光と塗膜外に射出される光の量で算出する。本実施の形態では、測色器の光学系を模擬し計算している。
上記した塗膜反射率推定方法によれば、電磁場解析により光の波動を考慮した散乱体の光学特性を算出し、その算出した光学特性を用いて光線追跡を行い、その光線追跡の結果に基づいて塗膜の光反射率を算出するので、塗膜内における光の散乱と吸収を考慮して、光反射率を推定することができる。
したがって、塗膜内に光の散乱と吸収を起こす散乱体が含まれている場合にも、適切に対応することができ、塗膜の正確な光反射率を推定することができる。したがって、塗膜構成物の詳細な様態に依存した塗膜の光反射率を推定することができ、塗装ムラの発生やその程度を予測することが可能となる。
[実施例]
次に、本発明の実施例について以下に説明する。
空間に散乱体を配置した場合におけるFDTD法の実施例を図5に示す。図5では、解析空間の一辺が4μmの立方体であり、サイズパラメータx{=(π×粒子径)/波長=0.125}の散乱体(屈折率=2.52)にガウシアンパルスを照射した約8×10-15秒後の、ある観測面内での電場強度を示している。この後、散乱波は同心円状に拡がっていき、最後には電場が振動しなくなる。したがって、この結果から、本散乱はレーリー散乱に近いが位相関数がやや前方に偏っていることや、散乱角90度で完全偏光することが見て取れる。この電場振動を、上述の手法1および手法2により、ミュラー行列化した。
次に、本発明の実施例について以下に説明する。
空間に散乱体を配置した場合におけるFDTD法の実施例を図5に示す。図5では、解析空間の一辺が4μmの立方体であり、サイズパラメータx{=(π×粒子径)/波長=0.125}の散乱体(屈折率=2.52)にガウシアンパルスを照射した約8×10-15秒後の、ある観測面内での電場強度を示している。この後、散乱波は同心円状に拡がっていき、最後には電場が振動しなくなる。したがって、この結果から、本散乱はレーリー散乱に近いが位相関数がやや前方に偏っていることや、散乱角90度で完全偏光することが見て取れる。この電場振動を、上述の手法1および手法2により、ミュラー行列化した。
次に、図6および図7を用いて、ソリッド塗装を想定した反射率の推定方法と結果について説明する。図6は、計算機上で設定されるソリッド塗装の内部構造の一例を示す図、図7は、ソリッド塗装の反射率を模擬した計算の結果を示す図である。
ここでは、ソリッド塗装の塗膜内部を計算機上に設定し、(株)村上色彩技術研究所の三次元変角分光測色システムGCMS-4による塗板の測定を模擬した。
具体的には、図6に示すように、下塗りを、反射率=0.50の完全拡散面として設定した。ソリッド塗装は、塗膜の膜厚を13μmに設定し、消散断面積をσext=0.00006[mm2]に設定した。
そして、散乱体の吸収量(単一散乱アルベドω)を下記の範囲で変化させて明るさの変化を計算した。なお、単一散乱アルベドωは、小さいほど吸収量が多い。
単一散乱アルベドω(=散乱確率/消散確率)={0.01〜1.00:step0.10}[1]
そして、粒子数密度を下記の範囲で変化させて隠蔽性の変化を計算した。
粒子数密度N={1E04〜1E08:step×10}[mm-3]
単一散乱アルベドω(=散乱確率/消散確率)={0.01〜1.00:step0.10}[1]
そして、粒子数密度を下記の範囲で変化させて隠蔽性の変化を計算した。
粒子数密度N={1E04〜1E08:step×10}[mm-3]
測定条件は、光線の入射角を60度に設定し、観測角は変角で0度から90度の範囲を1度刻みで観測した。計算結果を実測値と比較した結果、赤色の塗色の反射率(λ=0.65,0.62,0.60,0.55)とよく一致することが確認できた。
30、40 塗膜
31 着色顔料層
32 中塗り層
33 下塗り層
34 界面(空気と着色顔料層との界面)
35 界面(着色顔料層と中塗り層との界面)
31 着色顔料層
32 中塗り層
33 下塗り層
34 界面(空気と着色顔料層との界面)
35 界面(着色顔料層と中塗り層との界面)
Claims (5)
- 散乱体を含む塗膜の光反射率を推定する塗膜反射率推定方法であって、
電磁場解析により光の波動を考慮した散乱体の光学特性を算出する第1ステップと、
該推定した光学特性を用いて光線追跡を行い、該光線追跡の結果に基づいて前記塗膜の光反射率を算出する第2ステップと、
を含むことを特徴とする塗膜反射率推定方法。 - 前記第1ステップでは、計算機上で微細構造を設定した仮想空間を構築し、該仮想空間にマクスウェル方程式を適用して電磁場の変化を模擬する計算を実施し、該計算により得られる電磁場の変化を、偏光を考慮した光線の変化の様子に変換して前記散乱体の光学特性を得ることを特徴とする請求項1に記載の塗膜反射率推定方法。
- 前記電磁場の変化を模擬する計算をFDTD法により行い、該算出した電磁場の変化をストークスパラメータに置換し、入力波のストークスパラメータと反射・透過・散乱波のストークスパラメータとを比較して、前記散乱体の光学特性を示すミュラー行列を得ることを特徴とする請求項2に記載の塗膜反射率推定方法。
- 前記第2ステップでは、計算機上に仮想空間を構築し、該仮想空間に塗膜構成物の形状および配置量を設定し、該塗膜構成物で反射する光の強度と反射後の光の進行方向を計算し、前記塗膜内部を小区間に区切り、前記散乱体が存在する区間ごとに確率的に光の散乱量を計算し、散乱後の光の進行方向を計算し、散乱体が存在する区間ごとに、光の移動距離に応じた光の強度の減衰を計算することにより前記光線追跡を行うことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の塗膜反射率推定方法。
- 前記光線追跡は、光源から発射された光線をストークスパラメータで表現し、前記仮想空間上で前記光線に対する前記塗膜構成物の作用をミュラー行列として与えることによって行われ、
前記塗膜の光反射率は、前記塗膜内に入射した光の量と、前記塗膜外に射出される光の量とに基づいて算出されることを特徴とする請求項4に記載の塗膜反射率推定方法。
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