JP2011013578A - ズームレンズ、カメラモジュール及び電子機器 - Google Patents

ズームレンズ、カメラモジュール及び電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】液体レンズを用いたズームレンズにおいて、小型でより大きなズーム倍率を得る。
【解決手段】ズームレンズ1を、焦点距離に応じて曲率が変化し且つ負の屈折力を与える屈折面11a,11bを2面以上有する第1レンズ群10と、第1レンズ群10の像面2側に配置され、正の屈折力を有する第2レンズ群20とを備える構成とする。そして、第1レンズ群10は、少なくとも一方が変形可能な2つの光透過性部材及び該2つの光透過性部材の間に封入された光透過性の1種類の液状媒体を有し、且つ、負の屈折力を有する第1の可変焦点レンズ11を含む構成とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ズームレンズ、カメラモジュール及び電子機器に関し、より詳細には、液状媒体を用いた可変焦点レンズを有するズームレンズ、並びに、それを備えるカメラモジュール及び電子機器に関する。
従来、例えばスチルカメラやビデオカメラ等の撮像装置には、焦点距離を変倍することのできるズームレンズを搭載しているものが多い。
従来のズームレンズでは、ガラスや樹脂等で形成された複数の固定焦点レンズをズームレンズ内で光軸方向に沿って移動させることにより、焦点距離の変倍を行う。それゆえ、従来のズームレンズでは、レンズを移動させるスペース、レンズを駆動するモータ等の駆動部、レンズを移動させるためのカム機構部等が必要となり、ズームレンズの小型化が困難であるという問題がある。また、従来のズームレンズは、モバイル製品等で要求される落下衝撃耐性の観点においても不利である。
このような問題を解決するため、従来、可変焦点レンズを用いたズームレンズが提案されている(例えば、非特許文献1参照)。非特許文献1には、エレクトロウェッティング現象を利用した液体レンズを用いてズームレンズを構成する技術が提案されている。なお、エレクトロウェッティング現象を利用した液体レンズでは、屈折率の異なる2種類の液体の界面の曲率を電界により変化させて焦点距離を変化させる。
また、従来、液体レンズとしては、レンズ内部に封入した1種類の液体に圧力を印加することによりレンズ表面の形状を変化させて焦点距離を調整する液体レンズ(以下、一液性の液体レンズという)も提案されている(特許文献1参照)。
特開2000−81504号公報
F.C.Wippermann et al.:"Bifocal liquid lens zoom objective for mobile phone applications",Proc. of SPIE-IS&T Electronic Imaging,SPIE Vol.6501,650109,2007
上記非特許文献1で提案されている二液性の液体レンズを用いたズームレンズでは、ガラスや樹脂等からなる固体レンズを用いた従来のズームレンズの上記問題を解決することができるが、次のような問題がある。
非特許文献1に記載の液体レンズでは、異なる2種類の液体の屈折率の差を用いて屈折パワー(屈折力)を得る。しかしながら、いまのところ、異なる2種類の液体の組み合わせ、すなわち、屈折率の差(約0.2程度)には制限があり、得られる屈折パワーにも限界がある。それゆえ、非特許文献1に記載の液体レンズを用いたズームレンズでは、2種類の液体の屈折率差を変えて大きなズーム倍率(例えば、3倍以上等)を得ることは困難である。
ただし、非特許文献1に記載の二液性の液体レンズを用いたズームレンズでは、レンズの全長やレンズ径を大きくすることにより大きなズーム倍率を得ることが可能である。しかしながら、この場合には、ズームレンズの小型化が困難となる。
本発明は上記問題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、液体レンズを用いたズームレンズにおいて、小型化を図り且つより大きなズーム倍率を得ることである。
上記課題を解決するため、本発明のズームレンズは、焦点距離に応じて曲率が変化し且つ負の屈折力を与える屈折面を2面以上有する第1レンズ群と、第1レンズ群の像面側に配置され、正の屈折力を有する第2レンズ群とを備える構成とする。そして、第1レンズ群は、少なくとも一方が変形可能な2つの光透過性部材及び該2つの光透過性部材の間に封入された光透過性の1種類の液状媒体を有し、且つ、負の屈折力を有する第1の可変焦点レンズを含む構成とする。
なお、本明細書でいう「液状媒体」とは、液体だけでなく、例えばゲル状等の流動性を有する媒体を含む意味である。また、本明細書でいう、「負の屈折力」を与える屈折面とは、凹面だけでなく平坦面(焦点距離(曲率半径)が無限大)も含む意味である。
また、本発明のカメラモジュールは、上記本発明のズームレンズと、ズームレンズを介して入射された被写体光を光電変換して画像信号を生成する撮像部とを備える構成とする。
さらに、本発明の電子機器は、上記本発明のズームレンズと、ズームレンズを介して入射された被写体光を光電変換して画像信号を生成する撮像部と、ズームレンズを駆動制御する制御部とを備える構成とする。
上述のように、本発明では、第1レンズ群に、一液性の負の屈折力を有する第1の可変焦点レンズを用いる。それゆえ、第1の可変焦点レンズにおける屈折面は、実質、空気と液体との境界面となるので、その屈折面での屈折率差は、上記非特許文献1に記載された二液性の液体レンズに比べて大きくなる。さらに、本発明では、第1レンズ群は、負の屈折力を与える屈折面を2面以上有する。それゆえ、本発明のズームレンズでは、第1レンズ群内でより大きな屈折パワーを得ることができる。
本発明のズームレンズでは、第1レンズ群内でより大きな屈折パワーを得ることができるので、より大きなズーム倍率を得ることができる。また、本発明のズームレンズでは、第1レンズ群内の第1の可変焦点レンズを移動させることなく焦点距離を調整することができるので、ズームレンズの小型化を図ることができる。すなわち、本発明によれば、より小型で且つより大きなズーム倍率を得ることができるズームレンズ、並びに、それを備えたカメラモジュール及び電子機器を提供することができる。
本発明の第1の実施形態に係るズームレンズの概略構成図である。 第1の実施形態の可変焦点レンズの概略断面構成図である。 第1の実施形態のズームレンズの広角端における動作の様子を示す図である。 第1の実施形態のズームレンズの望遠端における動作の様子を示す図である。 2群系ズームレンズの概略構成図である。 2群系ズームレンズの広角端における動作の様子を示す図である。 2群系ズームレンズの望遠端における動作の様子を示す図である。 本発明のズームレンズにおけるズーム全長と、第1群の曲率半径との関係を示す図である。 本発明の第2の実施形態に係るズームレンズの概略構成図である。 第2の実施形態の可変焦点レンズの概略断面構成図である。 第2の実施形態の第1群の概略構成図である。 第2の実施形態のズームレンズの広角端における動作の様子を示す図である。 第2の実施形態のズームレンズの望遠端における動作の様子を示す図である。 本発明の第3の実施形態に係る撮像装置の概略ブロック構成図である。 本発明の第4の実施形態に係る携帯通信端末装置の概略ブロック構成図である。
以下に、本発明の実施形態に係るズームレンズ、及び、それを備える電子機器の具体例を、図面を参照しながら以下の順で説明する。なお、本発明は以下の例に限定されるものではない。
1.第1の実施形態:2つの可変面を有する可変焦点レンズを用いるズームレンズの構成例
2.第2の実施形態:1つの可変面を有する可変焦点レンズを複数用いるズームレンズの構成例
3.第3の実施形態:本発明のズームレンズを備える電子機器の構成例
4.第4の実施形態:本発明のズームレンズを備える電子機器の別の構成例
<1.第1の実施形態>
[ズームレンズの構成]
図1に、本発明の第1の実施形態に係るズームレンズの概略構成を示す。本実施形態のズームレンズ1は、主に、可変焦点凹レンズ11で構成される第1群10(第1レンズ群)と、可変焦点凸レンズ21で構成される第2群20(第2レンズ群)とを備える。そして、第1群10及び第2群20は、光軸AXに沿って同軸上に配置され、第2群20は、第1群10の像面2側(物体側とは反対側)に配置される。
なお、図1に示す例では、第1群10の可変焦点凹レンズ11と第2群20の可変焦点凸レンズ21との間隔をdとし、可変焦点凸レンズ21と像面2との間の距離をbとし、ズームレンズ1の光学系の全長をl=b+dとする。また、図1に示す例では、第1群10の可変焦点凹レンズ11の焦点距離をf(負の値)とし、第2群20の可変焦点凸レンズ21の焦点距離をf(正の値)とする。
また、図1に示す例では、第1群10を可変焦点凹レンズ11のみで構成する例を示しているが、本発明はこれに限定されず、必要に応じて、第1群10がさらに例えば固体レンズ、液体レンズ等を備える構成にしてもよい。また、図1に示す例では、第2群20を可変焦点凸レンズ21のみで構成する例を示しているが、本発明はこれに限定されず、必要に応じて、第2群20がさらに例えば固体レンズ、液体レンズ等を備える構成にしてもよい。
可変焦点凹レンズ11(第1の可変焦点レンズ)は、負の屈折力を有する一液性の液体レンズであり、レンズ内部の液状媒体に加える圧力に応じて、両方の表面(屈折面)11a及び11bの曲率が変化する。
図2に、可変焦点凹レンズ11の概略断面構成図を示す。可変焦点凹レンズ11は、主に、一対の透明膜12及び13と、一対の透明膜12及び13の外端部を保持する保持部材14と、一対の透明膜12及び13並びに保持部材14により画成されたレンズ内部の収容室に封入された液状媒体15とで構成される。そして、一方の透明膜12が像面2と対向するように、可変焦点凹レンズ11がズームレンズ1内に配置される。
図2は、ズームレンズ1の広角端における可変焦点凹レンズ11の状態を示しており、広角端では、可変焦点凹レンズ11の両方の屈折面11a及び11bの形状は凹状となる。それゆえ、以下では、本実施形態の可変焦点凹レンズ11を両凹レンズ11という。
また、本実施形態では、ズームレンズ1の広角端において、両凹レンズ11の両屈折面11a及び11bの曲率半径が最小となるように構成される。一方、望遠端では、両凹レンズ11の両屈折面11a及び11bの曲率半径が無限大、すなわち、両屈折面が平坦面になるように構成される。
透明膜12(光透過性部材)は、その屈折面11aにおいて所望の変位量が得られる材料であり、且つ、両凹レンズ11を通過する光の波長帯域に対して所望の透過率を有する材料であれば任意の材料を用いることができる。例えば、透明薄膜や、エラストマーなどの弾性膜等で透明膜12を構成することができる。また、例えばガラス等からなる薄板で透明膜12を構成してもよい。一方、透明膜13は、透明膜12と同様に構成することができる。なお、透明膜12及び13は同じ材料で形成してもよいし、例えば用途等に応じて互いに異なる材料で形成してもよい。
保持部材14は、例えば、光学ガラス、ポリカーボネート等の光透過性材料で形成することができる。なお、保持部材14を光透過性材料で形成する場合、保持部材14の形成材料としては、両凹レンズ11を通過する光の波長帯域に対して所望の透過率を有する任意の材料を用いることが好ましい。ただし、本実施形態では、両凹レンズ11を通過する光の有効径は通常、両凹レンズ11の径より小さいので、保持部材14を光透過性を有しない材料で形成してもよい。また、保持部材14の形状は、例えば用途等に応じて任意の形状にすることができる。
液状媒体15は、1種類の透明液体または例えばゲル状等の流動性を有する透明媒体等で構成される。より具体的には、液状媒体15は、例えばシリコーンオイル等の光透過性を有する液体を用いることができる。なお、液状媒体15は、両凹レンズ11を通過する光の波長帯域に対して所望の透過率を有する任意の液状媒体であれば任意の媒体を用いることができ、例えば用途、必要とする屈折率差等を考慮して適宜選択することができる。
本実施形態の両凹レンズ11では、液状媒体15に加わる圧力が変化すると、透明膜12及び13に加わる液状媒体15からの押圧力が変化し、透明膜12及び13の表面形状、すなわち、両凹レンズ11の両屈折面11a及び11bの形状が変化する。なお、本実施形態では、両屈折面11a及び11bの形状を凹状から平坦の範囲で変化させる(図2中の黒太矢印)。また、本実施形態では、液状媒体15に加わる圧力を、ズームレンズ1の焦点距離に応じて変化させる。すなわち、本実施形態では、両凹レンズ11の両屈折面11a及び11bの曲率(焦点距離f)を、ズームレンズ1の焦点距離に対応して変化させる。
なお、液状媒体15に圧力を加える手法としては、保持部材14に例えば圧電素子等により圧力を加えて保持部材14の形状を変形させる手法や、レンズ内部の液状媒体15の充填量を変化させる手法等を用いることができる。
第2群20を構成する可変焦点凸レンズ21は、第1群10から出射された光を像面2に集光するレンズであり、正の屈折力を有する。本実施形態では、可変焦点凸レンズ21として、ズームレンズ1の焦点距離に対応して像面2側の屈折面21aの曲率が変化する凸レンズを用いる。そのような可変焦点凸レンズ21としては、例えば、エレクトロウェッティング現象を利用した液体レンズや一液性の液体レンズ等を用いることができる。なお、本発明はこれに限定されず可変焦点凸レンズ21として液晶レンズを用いてもよい。この場合、液晶レンズ内の液晶に印加する電圧をズームレンズ1の焦点距離に応じて適宜調整することにより屈折率を変化させ、可変焦点凸レンズ21の焦点距離fを調整することができる。
上述のように、本実施形態のズームレンズ1では、物体側(像面側とは反対側)に位置する第1群10の両凹レンズ11を、一液性の液体レンズで構成する。この場合、両凹レンズ11では、実質、空気と液状媒体15との境界面が屈折面となるので、エレクトロウェッティング現象を利用した二液性の可変焦点レンズ等に比べて、屈折面における屈折率差を大きくすることができる。さらに、本実施形態では、第1群10を両凹レンズ11で構成するので、第1群10内に負の屈折力を有する屈折面を2面設けることができる。それゆえ、本実施形態では、第1群10でより大きな屈折パワーを得ることができ、より大きなズーム倍率を有するズームレンズ1を提供することができる。
また、本実施形態では、第1群10及び第2群20とも可変焦点レンズ(両凹レンズ11及び可変焦点凸レンズ21)で構成するので、それらの可変焦点レンズをズームレンズ1内で固定した状態(移動させることなく)で焦点距離を変化させることができる。それゆえ、本実施形態では、ズームレンズ1をより小型化することができる。さらに、本実施形態のズームレンズ1では、第1群10を一液性の両凹レンズ11で構成することにより、ズームレンズ1の光学系の全長(光路長)をより縮小することが可能になる。このことについては、後で詳述する。
[ズームレンズの動作]
次に、本実施形態のズームレンズ1の動作を、図3及び4を参照しながら簡単に説明する。なお、図3は、ズームレンズ1の広角端における動作状態を示す図であり、図4は、ズームレンズ1の望遠端における動作状態を示す図である。
ズームレンズ1の広角端では、図3に示すように、両凹レンズ11の両屈折面11a及び11bの曲率半径は最小となり、両屈折面11a及び11bの形状は凹状となる。この場合、両凹レンズ11は、入射光の径を広げるように入射光を屈折させる。なお、この際、両屈折面11a及び11b(透明膜12及び13)の形状は同時に変形する。
一方、ズームレンズ1の望遠端では、図4に示すように、両凹レンズ11の両屈折面11a及び11bの曲率半径は無限大となり、両屈折面11a及び11bの形状は平坦となる。この場合、両凹レンズ11の両表面11a及び11bでは光の屈折が起こらず、両凹レンズ11に入射された光は、その径を変えることなく両凹レンズ11を通過する。
なお、本実施形態では、ズームレンズ1の焦点距離の変化に応じて、可変焦点凸レンズ21の像面2側の屈折面21aの曲率も適宜変化させる。具体的には、図3及び4に示すように、ズームレンズ1の焦点距離が長くなれば、可変焦点凸レンズ21の像面2側の屈折面21aの曲率半径が大きくなるように調整する。
本実施形態のズームレンズ1では、上述のようにして、第1群10の両凹レンズ11及び第2群20の可変焦点凸レンズ21の各屈折面の形状(曲率)が、ズームレンズ1の焦点距離に応じて変化する。
[光学系の全長と両凹レンズの曲率との関係]
次に、本実施形態のズームレンズ1における光学系の全長と、第1群10を構成する両凹レンズ11の屈折面11a及び11bの曲率半径との関係を説明する。
なお、ここでは、本実施形態のズームレンズ1における光学系の全長と両凹レンズ11の曲率との関係を説明する前に、まず、最もシンプルな2群系ズームレンズにおける光学系の全長と、第1群の曲率半径との関係を求める。図5に、その2群系ズームレンズの概略構成を示す。ただし、図5において、第1の実施形態(図1)と同様の構成には、同じ符号を付して示す。
図5に示す2群系ズームレンズ30は、主に、可変焦点凹レンズ32で構成される第1群31と、可変焦点凸レンズ21で構成される第2群20とを備える。2群系ズームレンズ30では、可変焦点凹レンズ32を第1の実施形態と同様に一液性の液体レンズで構成し、像面2側の表面(屈折面)32aの曲率のみを焦点距離に応じて変化させる。それゆえ、以下では、図5に示す可変焦点凹レンズ32を平凹レンズ32という。それ以外の構成は、第1の実施形態と同様である。
また、2群系ズームレンズ30では、第1の実施形態(図1)と同様に、第1群31の平凹レンズ32と第2群20の可変焦点凸レンズ21との間隔をdとし、可変焦点凸レンズ21と像面2との間の距離をbとする。さらに、2群系ズームレンズ30では、平凹レンズ32の焦点距離をf(負の値)とし、可変焦点凸レンズ21の焦点距離をf(正の値)とする。
また、図6及び7に、2群系ズームレンズ30の動作例を示す。2群系ズームレンズ30の広角端では、図6に示すように、平凹レンズ32の屈折面32aの曲率半径(焦点距離f1w)は最小となり、屈折面32aの形状は凹状となる。この場合、平凹レンズ32は、入射光の径を広げるように入射光を屈折させる。
一方、2群系ズームレンズ30の望遠端では、図7に示すように、平凹レンズ32の屈折面32aの曲率半径(焦点距離f2w)は無限大となり、屈折面32aの形状は平坦となる。この場合、平凹レンズ32の屈折面32aでは光の屈折が起こらず、平凹レンズ32に入射された光は、その径を変えることなく平凹レンズ32を通過する。
上述のような構成及び動作を行う2群系ズームレンズ30において、2群系ズームレンズ30全体の広角端における焦点距離fと、望遠端における焦点距離fとの関係は下記式で表される。なお、下記式中のf2tは、望遠端における第2群20の可変焦点凸レンズ21の焦点距離である(図7参照)。また、下記式中のβはズーム倍率である。
Figure 2011013578
また、2群系ズームレンズ30の光学系の全長lは下記式で表される。
Figure 2011013578
上記式1及び2から、第1群31の平凹レンズ32と第2群20の可変焦点凸レンズ21との間隔dは、下記式で表される。
Figure 2011013578
上記式3を用いると、広角端における平凹レンズ32の焦点距離f1w(図6参照)は、下記式で表される。
Figure 2011013578
そして、上記式4を用いて広角端における平凹レンズ32の曲率半径rを求めると下記式のようになる。なお、下記式中のΔnは、平凹レンズ32内部に封入された液状媒体と、空気との屈折率差である。
Figure 2011013578
また、第2群20の可変焦点凸レンズ(絞り)21の有効半径hは下記式で表される。なお、下記式中のFは最大絞り時のF値である。
Figure 2011013578
上記式6を用いると、望遠端における平凹レンズ32の有効半径h1tは、下記式で表される。なお、下記式中のhは、像面2における像高(対角イメージサイズの1/2)である(図7参照)。
Figure 2011013578
ここで、2群系ズームレンズ30の第1群31の平凹レンズ32の広角端における曲率半径rと、平凹レンズ32の望遠端における有効半径h1tとの比εを下記式で定義する。
Figure 2011013578
そして、上記式1〜7を用いて、図5に示す2群系ズームレンズ30における、レンズ系の全長lと、上記式8で定義される比εとの関係式を求めると、下記式のようになる。
Figure 2011013578
図8に、上記式9で表されるレンズ系の全長l(以下、ズーム全長という)と、比εとの関係をより具体的に示す。図8に示す特性では、横軸に比εを示し、縦軸にズーム全長lを示す。図8中の破線で示した特性25が、図5に示す2群系ズームレンズ30のズーム全長lと、比εとの関係を示す特性である。
なお、図8に示す計算例では、ズーム倍率βを3倍とし、2群系ズームレンズ30全体の広角端の焦点距離fを5mmとし、像面2における像高hを2.25mmとし、F値Fを4とした。また、図8に示す計算例では、平凹レンズ32の屈折面32aにおける屈折率差Δnを0.6とした。
図8から明らかなように、図5に示す2群系ズームレンズ30では、比ε(平凹レンズ32の曲率半径r)が大きくなるとズーム全長lが増大する。このことから、2群系ズームレンズ30においてズーム全長lを短くするためには、広角端における平凹レンズ32の曲率半径r(比ε)をより小さくする必要がある。
次に、本実施形態のズームレンズ1におけるズーム全長lと、比ε(両凹レンズ11の曲率半径)との関係を求める。
本実施形態のように第1群10に両凹レンズ11を設け、両凹レンズ11の厚さを十分薄くした場合、その動作は、図5に示す2群系ズームレンズ30において、平凹レンズ32の屈折面32aの曲率半径rをr/2に置き換えた場合の動作と同様になる。
それゆえ、上記式9において曲率半径rをr/2に置き換えて、本実施形態のズームレンズ1におけるズーム全長lと、比εとの関係を算出すると、その特性は、図8中の実線で示す特性26になる。なお、図8に示す特性26を算出条件は、上述した図5に示す2群系ズームレンズ30における算出条件と同様である。すなわち、ズーム倍率β=3倍、ズームレンズ1全体の広角端の焦点距離f=5mm、像面2における像高h=2.25mm、F値F=4、そして、両凹レンズ11の屈折面11a及び11bにおける屈折率差Δn=0.6とした場合の算出結果である。
ここで、図8中に示す本実施形態の特性26と、図5に示す2群系ズームレンズ30の特性25とを比較する。
上述のように、2群系ズームレンズ30では、例えば、比ε=1付近となるように、平凹レンズ32の曲率半径rを小さくすることにより、ズーム全長lを小さくすることができる。比ε=1は、平凹レンズ32の最小の曲率半径rと、平凹レンズ32の有効半径h1tとが等しい場合を示しており、この場合、平凹レンズ32の広角端における屈折面の形状は球面となる。しかしながら、ズームレンズの実際の設計においては、球面収差等の制約があるので、比ε=1付近の曲率半径rを有する平凹レンズ32を用いてズームレンズを設計することは難しい。また、ズームレンズの実際の設計においては、レンズ製造やコーティング工程の観点から曲率半径が大きい方が有利である。
それに対して、本実施形態のズームレンズ1では、図8に示すように、図5に示す2群系ズームレンズ30に比べて、比εの比較的大きな領域においてもズーム全長lを十分に小さくすることができる。具体的には、例えば、比εが約1.5以上の領域では、本実施形態のズームレンズ1のズーム全長lを、図5に示す2群系ズームレンズ30のそれの約1/2以下にすることができる。
すなわち、本実施形態では、ズームレンズ1の光学系の全長をより縮小することができ、且つ、広角端において曲率半径の大きな凹レンズを第1群10に用いることができる。それゆえ、本実施形態では、ズームレンズ1の小型化を図ることができるとともに、上述したズームレンズの設計時の問題を解決することができ、設計がより容易になる。
<2.第2の実施形態>
上記第1の実施形態では、ズームレンズ1内の第1群10において、焦点距離に応じて曲率が変化する屈折面を2面設けるために、両凹レンズ11を用いる例を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、図5に示す2群系ズームレンズ30で用いた平凹レンズ32を複数用いて、それらのレンズを光軸上に重ねて配置してもよい。第2の実施形態では、そのような構成の一例を説明する。
[ズームレンズの構成]
図9に、本発明の第2の実施形態に係るズームレンズの概略構成を示す。なお、図9において、第1の実施形態(図1)と同様の構成には、同じ符号を付して示す。
本実施形態のズームレンズ40は、主に、2つの可変焦点凹レンズ42及び43で構成される第1群41(第1レンズ群)と、可変焦点凸レンズ21で構成される第2群20(第2レンズ群)とを備える。そして、第1群41及び第2群20は、光軸AXに沿って同軸上に配置され、第2群20は第1群41の像面2側(物体側とは反対側)に配置される。
なお、図9に示す例では、第1群41の物体側の可変焦点凹レンズ42と第2群20の可変焦点凸レンズ21との間隔をdとし、可変焦点凸レンズ21と像面2との間の距離をbとする。また、図9に示す例では、ズームレンズ40の光学系の全長をl=b+dとする。さらに、図9に示す例では、第1群41の物体側の可変焦点凹レンズ42の焦点距離をf(負の値)とし、第2群20の可変焦点凸レンズ21の焦点距離をf(正の値)とする。
本実施形態のズームレンズ40では、第1群41の構成を変えたこと以外は、第1の実施形態と同様の構成である。それゆえ、ここでは、第1群41の構成についてのみ説明する。
第1群41を構成する2つの可変焦点凹レンズ42(第1の可変焦点レンズ)及び43は、ともに、負の屈折力を有する一液性の液体レンズであり、レンズ内部の液状媒体に加える圧力に応じて、レンズ面(屈折面)42a及び43aの曲率がそれぞれ変化する。
図10に、第1群41を構成する可変焦点凹レンズ42の概略断面構成図を示す。なお、本実施形態では、2つの可変焦点凹レンズ42及び43は同じ構成とする。ただし、本発明はこれに限定されず、2つの可変焦点凹レンズ42及び43が互いに異なる構成であってもよい。
可変焦点凹レンズ42は、主に、容器本体45(光透過性部材)と、透明膜46(光透過性部材)と、容器本体45及び透明膜46により画成されたレンズ内部の収容室に封入された液状媒体47とで構成される。
図10は、ズームレンズ40の広角端における可変焦点凹レンズ42の状態を示しており、広角端では、可変焦点凹レンズ42の透明膜46側の屈折面42aの形状は凹状となる。それゆえ、以下では、本実施形態の可変焦点凹レンズ42を平凹レンズ42という。
また、本実施形態では、ズームレンズ40の広角端において、平凹レンズ42の屈折面42aの曲率半径が最小となるように構成される。一方、望遠端では、平凹レンズ42の屈折面42aの曲率半径が無限大、すなわち、屈折面42aが平坦になるように構成される。
容器本体45は、例えば、光学ガラス、ポリカーボネート等の光透過性材料で形成される。なお、容器本体45の形成材料としては、平凹レンズ42を通過する光の波長帯域に対して所望の透過率を有する任意の材料を用いることができる。また、容器本体45の形状は、例えば用途等に応じて任意の形状にすることができる。
透明膜46は、第1の実施形態の透明膜12及び13(図2参照)と同様の材料で形成することができる。また、液状媒体47もまた、第1の実施形態の液状媒体15と同様の液状材料で構成することができる。
本実施形態の平凹レンズ42では、液状媒体47に加わる圧力が変化すると、透明膜46に加わる液状媒体47からの押圧力が変化し、透明膜46の表面形状、すなわち、平凹レンズ42の像面2側の屈折面42aの形状が変化する。なお、本実施形態では、屈折面42aの形状を凹状から平坦の範囲で変化させる(図10中の黒太矢印)。また、本実施形態では、液状媒体47に加わる圧力を、ズームレンズ40の焦点距離に応じて変化させる。すなわち、本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、平凹レンズ42の屈折面42aの曲率は、ズームレンズ40の焦点距離に対応して変化する。
なお、液状媒体47に圧力を加える手法としては、第1の実施形態と同様に、容器本体45に例えば圧電素子等により圧力を加えて容器本体45の形状を変形させる手法や、レンズ内部の液状媒体47の充填量を変化させる手法等を用いることができる。
また、図11に、第1群41の概略構成を示す。第1群41は、2つの平凹レンズ42及び43で構成され、物体側(像面2側とは反対側)からこの順で配置される。また、2つの平凹レンズ42及び43は、光軸AXに沿って同軸上に近接して配置される。
また、2つの平凹レンズ42及び43は、各レンズの透明膜側の表面(屈折面)が像面2と対向するように配置される。ただし、本発明はこれに限定されず、2つの平凹レンズ42及び43の屈折面が物体側と対向するように、2つの平凹レンズ42及び43を配置してもよい。また、2つの平凹レンズ42及び43の構成(形状、寸法、曲率半径等)、両者間の距離D等は、例えば用途等に応じて適宜設定できる。
上述のように、本実施形態のズームレンズ40では、第1群41を構成する2つの平凹レンズ42及び43を、一液性の液体レンズで構成する。この場合、各平凹レンズでは、実質、空気と液状媒体47との境界面が屈折面となるので、エレクトロウェッティング現象を利用した二液性の可変焦点レンズ等に比べて、屈折面における屈折率差を大きくすることができる。さらに、本実施形態では、第1群41を2つの平凹レンズ42及び43で構成することにより、第1群41内に、負の屈折力を有する屈折面を2面設けることができる。それゆえ、本実施形態では、第1の実施形態と同様に、第1群41でより大きな屈折パワーを得ることができ、より大きなズーム倍率を有するズームレンズ40を提供することができる。
また、本実施形態では、第1群41及び第2群20とも可変焦点レンズで構成するので、それらの可変焦点レンズをズームレンズ40内で固定した状態で焦点距離を変化させることができる。それゆえ、本実施形態では、第1の実施形態と同様に、ズームレンズ40をより小型化することができる。さらに、本実施形態のズームレンズ40では、第1群41を一液性の2つの平凹レンズ42及び43で構成することにより、ズームレンズ40の光学系の全長をより縮小することが可能になる。このことについては、後で詳述する。
[ズームレンズの動作]
次に、本実施形態のズームレンズ40の動作を、図12及び13を参照しながら簡単に説明する。なお、図12は、ズームレンズ40の広角端における動作状態を示す図であり、図13は、ズームレンズ40の望遠端における動作状態を示す図である。
ズームレンズ40の広角端では、図12に示すように、2つの平凹レンズ42及び43の屈折面42a及び43aの曲率半径はともに最小となり、2つの平凹レンズ42及び43の屈折面42a及び43aの形状はともに凹状となる。この際、第1群41全体の焦点距離fも最小となる。この場合、第1群41は、入射光の径を広げるように、入射光を屈折させる。なお、この際、2つの平凹レンズ42及び43の屈折面42a及び43aの形状制御は同時に行う。ただし、この2つの平凹レンズ42及び43の屈折面42a及び43aの形状制御を行う駆動源は共通であっても良いし、互いに別の駆動源を設けてもよい。
一方、ズームレンズ40の望遠端では、図13に示すように、2つの平凹レンズ42及び43の屈折面42a及び43aの曲率半径(焦点距離)は無限大となり、2つの平凹レンズ42及び43の屈折面42a及び43aの形状は平坦となる。この場合、第1群41内で光の屈折は起こらず、第1群41に入射された光は、その径を変えることなく第1群41を通過する。
また、本実施形態では、ズームレンズ40の焦点距離の変化に応じて、可変焦点凸レンズ21の像面2側の屈折面21aの曲率も適宜変化させる。具体的には、図12及び13に示すように、ズームレンズ40の焦点距離が長くなれば、可変焦点凸レンズ21の屈折面21aの曲率半径が大きくなるように調整する。
本実施形態のズームレンズ40では、上述のようにして、第1群41の2つの平凹レンズ42及び43、並びに、第2群20の可変焦点凸レンズ21の各屈折面の形状が、ズームレンズ40の焦点距離の変化に応じて変化する。
[光学系の全長と両凹レンズの曲率との関係]
次に、本実施形態のズームレンズ40における光学系の全長と、第1群41の曲率半径との関係を説明する。
ここで、本実施形態のズームレンズ40において、広角端における第1群41全体の焦点距離をf1wとし、2つの平凹レンズ42及び43の焦点距離をそれぞれf11(=f)及びf12とする。広角端における第1群41全体の焦点距離をf1wと、2つの平凹レンズ42及び43の焦点距離f11及びf12との関係は、下記式で表される。
Figure 2011013578
ここで、本実施形態のズームレンズ40において、図9に示すレンズ系の幾何条件以外に、次のような構成条件を満たす場合を考える。まず、2つの平凹レンズ42及び43の厚さをできるだけ薄くし且つ近接して配置する。この場合、2つの平凹レンズ42及び43間の距離Dに対して、D≒0という構成条件が近似的に成立する。
さらに、ここではズームレンズ40の広角端における平凹レンズ42の焦点距離f11と、平凹レンズ43の焦点距離f12とが同じになるように構成する(構成条件f11=f12)。なお、2つの平凹レンズ42及び43において、上記以外の形状及び寸法に関しては、例えば用途等に応じて適宜設定できる。
上記2つの構成条件を上記式10に適用すると、広角端における第1群41全体の焦点距離f1w=f11/2=f12/2となる。この場合、2つの平凹レンズ42及び43から構成される第1群41の動作は、第1の実施形態で説明したような両凹レンズ11で構成した第1群10の動作と同様になる。
それゆえ、本実施形態のズームレンズ40において、上記構成条件を満たすように、第1群41を構成すれば、その動作は、第1の実施形態のズームレンズ1と同様になる。したがって、この場合、本実施形態のズームレンズ40におけるズーム全長lと、比εとの関係を示す特性もまた、図8中の実線で示す特性26となる。それゆえ、本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、ズームレンズ40の小型化を図ることができるとともに、ズームレンズ40の設計がより容易になる。
なお、本実施形態では、第1群41を2つの平凹レンズで構成する例を説明したが、本発明はこれに限定されず、3つ以上の平凹レンズで第1群41を構成してもよい。また、平凹レンズの代わりに、第1の実施形態で説明した両凹レンズ(図2参照)を用いてもよい。
また、本実施形態では、第1群41を2つの平凹レンズのみで構成する例を示しているが、本発明はこれに限定されず、必要に応じて、第1群41がさらに例えば固体レンズ、液体レンズ等を備える構成にしてもよい。さらに、本実施形態では、第2群20を可変焦点凸レンズ21のみで構成する例を示しているが、本発明はこれに限定されず、必要に応じて、第2群20がさらに例えば固体レンズ、液体レンズ等を備える構成にしてもよい。
なお、上記第1及び第2の実施形態では、第2群20を可変焦点レンズ21で構成する例を説明したが、本発明はこれに限定されず、第2群20が従来のズームレンズと同様に、複数の固定焦点レンズから構成されていてもよい。この場合においても、第1群は可変焦点レンズで構成するので、第1群内ではレンズを移動させるスペースを設ける必要がなくなり、その分だけ、従来のズームレンズより小型化を図ることができる。
<3.第3の実施形態>
第3の実施形態では、本発明のズームレンズを備える電子機器の一例について説明する。なお、ここでは、例えばスチルカメラやビデオカメラ等の撮像装置に本発明のズームレンズを適用する例を説明する。
図14に、本実施形態の撮像装置の概略ブロック構成図を示す。本実施形態の撮像装置100は、ズームレンズ101と、撮像素子102(撮像部)と、映像信号処理部103と、映像信号記録/再生部104と、内部メモリ105と、表示装置106と、制御部107とを備える。各部の機能及び構成は次の通りである。
ズームレンズ101は、被写体光を取り込んで撮像素子102の撮像面(不図示)に結像させる。ズームレンズ101としては、本発明のズームレンズを用いることができ、例えば上述した第1または第2の実施形態で説明したズームレンズ等を用いることができる。
撮像素子102は、ズームレンズ101により結像された被写体光を光電変換して画像信号を生成する。そして、撮像素子102の出力端子は映像信号処理部103の入力端子に接続されており、撮像素子102は、生成した画像信号を映像信号処理部103に出力する。なお、撮像素子102としては、例えば、CCD(Charge Coupled Devices)型、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型等の各種タイプのイメージセンサを適用することができる。
映像信号処理部103は、撮像素子102から入力された画像信号に対して例えば補正処理、ノイズ除去処理等の所定の画像処理を施す。そして、映像信号処理部103の出力端子は、映像信号処理部103の入力端子に接続され、映像信号処理部103は、画像処理が施された信号を映像信号記録/再生部104に出力する。
映像信号記録/再生部104は、例えばマイクロコンピュータ(CPU:Central Processing Unit)等からなる演算回路等で構成され、映像信号処理部103から入力された画像信号の記録処理及び/又は再生処理の制御を行う。具体的には、映像信号記録/再生部104は、内部メモリ105に接続されており、映像信号処理部103から入力された画像信号を記録する場合には、その画像信号を内部メモリ105に出力する。また、映像信号記録/再生部104は、表示装置106に接続されており、映像信号処理部103から入力された画像信号を表示再生する場合には、その画像信号を表示装置106に出力する。
内部メモリ105は、例えばHDD(Hard Disk Drive)、半導体メモリ、光ディスク等で構成することができる。そして、内部メモリ105は、映像信号記録/再生部104から入力された画像信号を格納する。
表示装置106は、映像信号記録/再生部104から供給された画像信号を表示モニタで表示可能な形式の信号に変換して表示する。なお、表示装置106は、表示モニタだけでなく、表示モニタを駆動するモニタ駆動部も備える。また、表示モニタは、例えばLCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro Luminescence)パネル等で構成することができる。
制御部107は、撮像装置100の各部の動作を制御する。また、制御部107は、例えばズームボタン等の操作により生成される操作信号(焦点距離に対応する信号)に基づいて、ズームレンズ101の動作、具体的には、ズームレンズ101内の第1群及び第2群のレンズ面(屈折面)の曲率を制御する。
上述のように、本実施形態の撮像装置100では、ズームレンズ101として、例えば上記第1及び第2の実施形態で説明した本発明のズームレンズ等を用いるので、より小型で且つより高倍率ズームの機能を備えた撮像装置100を提供することができる。
<4.第4の実施形態>
上記第3の実施形態では、本発明のズームレンズを適用する電子機器として、撮像装置を例に挙げ説明したが、本発明はこれに限定されない。本発明のズームレンズは、撮影機能(カメラモジュール)を有する例えば、携帯通信端末装置、パーソナルコンピュータ、PDA(Personal Digital Assistance)等の情報端末装置にも適用可能である。
第4の実施形態では、カメラモジュールを有する携帯通信端末装置に、本発明のズームレンズを適用した例を説明する。なお、ここでいう携帯通信端末装置は、いわゆる携帯電話と称されるものであり、無線電話用の基地局と無線通信を行う端末装置である。
[携帯通信端末装置の構成]
図15に、本実施形態の携帯通信端末装置の概略ブロック構成図を示す。携帯通信端末装置200は、制御部201と、ROM(Read Only Memory)202と、RAM(Random Access Memory)203と、アンテナ204と、通信制御部205と、表示制御部206と、表示部207とを備える。また、携帯通信端末装置200は、カメラモジュール208と、カメラ制御部209(制御部)とを備える。
また、携帯通信端末装置200は、通話時の音声データをデジタルアナログ変換する音声処理部211と、通話時の音声を出力するためのスピーカ212と、通話時の音声を吸音するためのマイクロフォン213とを備える。さらに、携帯通信端末装置200は、メモリカードインターフェース214と、メモリカード215と、操作部216と、赤外線インターフェース217と、赤外線通信部218とを備える。そして、上述した各部は、図15に示すように、信号バス210を介して電気的に直接的または間接的に接続される。各部の機能及び構成は次の通りである。
制御部201は、例えばCPU等の演算制御装置からなり、携帯通信端末装置200全体の動作を制御する。具体的には、制御部201は、ROM202に記憶されている制御プログラムをRAM203に展開し、信号バス210を介して携帯通信端末装置200全体の動作を制御する。
通信制御部205は、アンテナ204を介して携帯電話基地局(不図示)との間で送信信号の送信及び受信信号の受信を行う。なお、通信制御部205では携帯電話基地局とやり取りする電波の変調及び復調も行う。具体的には、通信制御部205は、音声通話モードにおいては、受信した音声情報に対して所定の処理を施し、その処理後の信号を音声処理部211を介してスピーカ212に出力する。また、通信制御部205は、マイクロフォン213が集音した音声を音声処理部211を介して取得し、その取得した情報に対して所定の処理を施した後、その処理後の信号をアンテナ204を介して送信する。
表示制御部206は、信号バス210を介して供給された画像信号を、表示部207で表示可能な形式の信号に変換し、その変換した信号を表示部207に出力する。また、表示部207は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro Luminescence)パネル等で構成することができ、表示制御部206から供給された信号を画像として表示画面上に表示する。
カメラモジュール208は、被写体光を取り込んで結像させ、その結像された被写体光を光電変換して画像信号を生成する。そして、カメラモジュール208は、その画像信号をカメラ制御部209に出力する。また、カメラモジュール208は、ズームレンズ208aと、撮像素子208b(制御部)とを備える。
ズームレンズ208aは、被写体光を取り込んで撮像素子208bの撮像面(不図示)に結像させる。ズームレンズ208aとしては、本発明のズームレンズを用いることができ、例えば上述した第1または第2の実施形態で説明したズームレンズ等を用いることができる。
また、撮像素子208bは、ズームレンズ208aにより結像された被写体光を光電変換して画像信号を生成する。なお、撮像素子208bとしては、例えば、CCD型、CMOS型等の各種タイプのイメージセンサを適用することができる。
メモリカード215は、例えば半導体メモリ等で構成することができる。そして、メモリカード215は、カメラモジュール208で撮影した静止画、動画等の情報や、音声通話時の音声情報等をメモリカードインターフェース214を介して取得し格納する。
操作部216は、ジョグダイアルやキーパッドなどから構成される。操作部216では、電話番号やメール文などの入力操作、各種モードの設定操作などの入力操作信号を入力することができる。また、カメラモジュール208での撮影操作及びモード設定操作もこの操作部216で行う。
赤外線通信部218は、図示しないが、赤外線発光素子と赤外線受光素子とを備え、外部の赤外線通信可能な情報機器、例えば、携帯電話、パーソナルコンピュータ、PDA等との間で情報の送受信を行うことができる。より具体的には、赤外線通信部218は、メモリカード215等に記憶された画像情報及び音声情報等を、赤外線インターフェース217を介して取得し、外部情報機器に送信する。また、赤外線通信部218は、外部情報機器から送信された情報を受信し、その受信信号を赤外線インターフェース217を介してメモリカード215等に出力する。
なお、図15には示していないが、携帯通信端末装置200は電源部を備えており、電源部から各部に電力が供給される。
[画像情報の記録及び再生動作]
ここで、本実施形態の携帯通信端末装置200におけるカメラモジュール208で撮影した画像信号の記録処理及び再生処理の動作を簡単に説明する。
まず、カメラ制御部209は、カメラモジュール208を駆動制御して、静止画または動画等の画像の撮影を行う。カメラ制御部209は、取得した画像情報に対して、例えばJPEG方式、MPEG方式等の圧縮技術を利用した圧縮加工等の処理を行う。そして、カメラ制御部209は、圧縮加工された画像情報を信号バス210に出力する。
次いで、RAM203は、信号バス210を介して、画像情報を取得し、その情報を一時保存する。この際、RAM203は、撮影と同時にマイクロフォン213を通じて収録された音声情報を画像情報と共に取得し、一時的に保存してもよい。
また、画像情報及び/又は音声情報の取得時に、制御部201は、必要に応じてそれらの情報を、メモリカードインターフェース214を介してメモリカード215に保存してもよい。さらに、この際、制御部201は、必要に応じて、画像情報を表示制御部206を介して表示部207に表示し、音声情報を音声処理部211を介してスピーカ212に出力してもよい。
また、制御部201は、取得した画像情報や音声情報を、必要に応じて、赤外線通信部218を介して赤外線通信可能な外部機器に送信してもよい。
なお、RAM203やメモリカード215に保存されている画像情報を読み出して、その情報を表示部207に表示する際には、カメラ制御部209が、RAM203やメモリカード215に保存されているデータを一旦読み出して、データのデコードや解凍を行う。そして、カメラ制御部209は、処理後の画像データを信号バス210を介して表示制御部206に供給する。
上述のように、本実施形態の携帯通信端末装置200では、例えば上記第1または第2の実施形態等で説明した本発明のズームレンズ101を含むカメラモジュール208を備える。それゆえ、本実施形態では、より小型で、より高倍率ズームの機能を備えた携帯通信端末装置200を提供することができる。
なお、本実施形態では、カメラモジュール208と、カメラ制御部209とを別体とした例を説明しているが、本発明はこれに限定されず、カメラモジュール208がカメラ制御部209を含んでいてもよい。さらに、制御部201において、上述したカメラ制御部209の制御と同様の制御を行う場合には、カメラ制御部209を設けない構成にしてもよい。
1,40,101,208a…ズームレンズ、2…像面、10,41…第1群、11…可変焦点凹レンズ(両凹レンズ)、11a,11b,21a,42a,43a…屈折面、12,13,46…透明膜、14…保持部材、15,47…液状媒体、20…第2群、21…可変焦点凸レンズ、42,43…可変焦点凹レンズ(平凹レンズ)、45…容器本体、100…撮像装置、102,208b…撮像素子、107,201…制御部、200…携帯通信端末装置、208…カメラモジュール、209…カメラ制御部

Claims (8)

  1. 少なくとも一方が変形可能な2つの光透過性部材及び該2つの光透過性部材の間に封入された光透過性の1種類の液状媒体を有し且つ負の屈折力を有する第1の可変焦点レンズを含み、焦点距離に応じて曲率が変化し且つ負の屈折力を与える屈折面を2面以上有する第1レンズ群と、
    前記第1レンズ群の像面側に配置され、正の屈折力を有する第2レンズ群と
    を備えるズームレンズ。
  2. 前記2つの光透過性部材の両方が変形可能であり、前記2つの光透過性部材の表面の曲率がともに前記焦点距離に応じて変化する
    請求項1に記載のズームレンズ。
  3. 前記第1レンズ群が、前記第1の可変焦点レンズを複数有する
    請求項1に記載のズームレンズ。
  4. 前記変形可能な光透過性部材が、光透過性膜である
    請求項1に記載のズームレンズ。
  5. 前記第2レンズ群が、正の屈折力を有する第2の可変焦点レンズを含む
    請求項1に記載のズームレンズ。
  6. 前記第1及び第2の可変焦点レンズが、固定されている
    請求項5に記載のズームレンズ。
  7. 少なくとも一方が変形可能な2つの光透過性部材及び該2つの光透過性部材の間に封入された光透過性の1種類の液状媒体を有し且つ負の屈折力を有する第1の可変焦点レンズを含み、焦点距離に応じて曲率が変化し且つ負の屈折力を与える屈折面を2面以上有する第1レンズ群と、前記第1レンズ群の像面側に配置され、正の屈折力を有する第2レンズ群とを有するズームレンズと、
    前記ズームレンズを介して入射された被写体光を光電変換して画像信号を生成する撮像部と
    を備えるカメラモジュール。
  8. 少なくとも一方が変形可能な2つの光透過性部材及び該2つの光透過性部材の間に封入された光透過性の1種類の液状媒体を有し且つ負の屈折力を有する第1の可変焦点レンズを含み、焦点距離に応じて曲率が変化し且つ負の屈折力を与える屈折面を2面以上有する第1レンズ群と、前記第1レンズ群の像面側に配置され、正の屈折力を有する第2レンズ群とを有するズームレンズと、
    前記ズームレンズを介して入射された被写体光を光電変換して画像信号を生成する撮像部と、
    前記ズームレンズを駆動制御する制御部と
    を備える電子機器。
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