JP2011011951A - フラットパネルディスプレイ用ガラス基板およびその製造方法、ならびにそれを用いたディスプレイパネル - Google Patents

フラットパネルディスプレイ用ガラス基板およびその製造方法、ならびにそれを用いたディスプレイパネル Download PDF

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研輔 永井
Ryoji Akiyama
良司 秋山
Tetsuya Nakajima
哲也 中島
Takashi Maeda
敬 前田
Akira Kondo
晃 近藤
Daiki Akie
大樹 秋江
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Abstract

【課題】ガラス基板表面に銀電極を形成した場合に生じる黄変を抑制することができ、かつ、ガラス基板上に表示素子を形成する目的で実施される熱処理の際にガラス基板で発生するコンパクションを低減することができるフラットパネルディスプレイ用ガラス基板の提供。
【解決手段】フロート法により成形されるフラットパネルディスプレイ用ガラス基板であって、前記ガラス基板の組成が、酸化物基準の質量百分率表示で実質的に、SiO2 50〜72%、Al23 0.5〜15%、MgO+CaO+SrO+BaO 4〜30%、Na2O 0%超10%以下、K2O 1〜21%、Li2O 0〜1%、Na2O+K2O+Li2O 6〜25%、ZrO2 0〜10%、Fe23 0.01%以上0.0725%未満であり、前記ガラス基板のトップ面から深さ10μmまでの表層における平均Fe2+含有量がFe23換算で0.055%以下であり、熱収縮率Cが250〜520ppmであり、前記ガラス基板表面に銀ペーストを塗布し、焼成を行った後、前記銀ペーストを除去した後のガラス基板表面における黄色着色bが5以下であることを特徴とするフラットパネルディスプレイ用ガラス基板。
【選択図】なし

Description

本発明は、フラットパネルディスプレイ用ガラス基板、より具体的には、プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと略す)のように、ディスプレイ用ガラス基板表面に銀電極が形成されるフラットパネルディスプレイ用ガラス基板およびその製造方法、ならびにそれを用いたディスプレイパネルに関する。
PDPは前面ガラス板と背面ガラス板とで構成され、前面ガラス板と背面ガラス板は封止材でシールされている。パネルの前部には前面ガラス板、透明電極、バス電極、透明誘電体及び保護膜があり、背面部には背面ガラス板、アドレス電極、白色誘電体、蛍光体、隔壁がある。紫外線は蛍光体の作用により可視光となるのが一般的である。
このPDPの前面ガラス板には、プラズマを放電させるための電極が形成され、電極として細い線状の銀電極が多くの場合使われている。このように銀電極が使われている結果、電極を焼成形成するときに前面ガラス板が黄色に変色するという、いわゆる黄変の問題がある。すなわち、PDPの前面ガラス板が黄色に変色するため、光の3原色のバランスが損なわれるという問題が発生している。また、その可視光透過率も下がるという問題も併せ持っている。この黄変は、銀イオン(Ag+)がガラス中に存在するFe2+やSn2+等による還元作用でAg0となるコロイド凝縮反応によって生じると考えられている。
上記した前面ガラス板の黄変の解決策として、例えば金属電極が形成される面が研磨されることによって表面に形成された還元性の異質層が除去されてなることを特徴とするフラットパネルディスプレイ基板(例えば、特許文献1参照)、Fe23の量が2000ppm(0.2%)未満であり、金属電極が銀からなることを特徴とするプラズマディスプレイ装置(例えば、特許文献2参照)、ガラス基板のSn2+の量が許容値を超える場合、フロート窯内の還元力を弱めるように制御する画像表示装置用のガラス基板の製造方法(例えば、特許文献3参照)が知られている。
しかしながら、特許文献1に記載の方法ではその効果は認められるが、生産したガラス板を研磨しなければならず、その研磨コストは膨大なものである。また、特許文献2および特許文献3に記載の方法は、必ずしも黄変に対して効果があるわけではない。
上記の問題点を解決するため、本願出願人は、特許文献4において、たとえガラス基板表面の研磨などを行わなくとも、ガラス基板表面に銀電極を形成した場合に生じる黄変が抑制されたフラットパネルディスプレイ用ガラス基板およびその製造方法、ならびにそれを用いたディスプレイパネルを提案している。
特開平10−255669号公報 特開平10−334813号公報 特開2004−189591号公報 国際公開第2008−056527号パンフレット
近年フラットディスプレイパネルの表示品位のさらなる向上が求められるようになった。該表示品位は、ガラス基板上に表示素子を形成する目的で実施される熱処理の際にガラス基板で発生するコンパクション(熱収縮)に影響される。
特許文献4に記載のフラットパネルディスプレイ用ガラス基板は、黄変の抑制という点では優れているが、コンパクションの低減という課題は特に上げられていなかった。
本発明は、ガラス基板表面の研磨等を行うことなしにガラス基板表面に銀電極を形成した場合に生じる黄変を抑制することができ、かつ、ガラス基板上に表示素子を形成する目的で実施される熱処理の際にガラス基板で発生するコンパクションを低減することができるフラットパネルディスプレイ用ガラス基板およびその製造方法、ならびにそれを用いたディスプレイパネルを提供することを目的とする。
本発明は、上記の目的を達成するため、フロート法により成形されるフラットパネルディスプレイ用ガラス基板であって、
前記ガラス基板の組成が、酸化物基準の質量百分率表示で実質的に、
SiO2 50〜72%
Al23 0.5〜15%
MgO+CaO+SrO+BaO 4〜30%
Na2O 0%超10%以下
2O 1〜21%
Li2O 0〜1%
Na2O+K2O+Li2O 6〜25%
ZrO2 0〜10%
Fe23 0.01%以上0.0725%未満であり、
前記ガラス基板のトップ面から深さ10μmまでの表層における平均Fe2+含有量がFe23換算で0.055%以下であり、熱収縮率Cが250〜520ppmであり、前記ガラス基板表面に銀ペーストを塗布し、焼成を行った後、前記銀ペーストを除去した後のガラス基板表面における黄色着色bが5以下であることを特徴とするフラットパネルディスプレイ用ガラス基板を提供する。
また、本発明は、上記したフラットパネルディスプレイ用ガラス基板を製造する方法であって、フロートバス雰囲気の水素濃度を1.5体積%以下とし、かつ、フロートバス内のガラス滞在時間を8分超15分以下とすることを特徴とするフラットパネルディスプレイ用ガラス基板の製造方法を提供する。
また、本発明は、上記したフラットパネルディスプレイ用ガラス基板を用いたディスプレイパネルを提供する。
本発明のフラットパネルディスプレイ用ガラス基板では、ガラス基板表面に銀電極を形成した場合に生じる黄変がディスプレイ基板としての使用上問題がないレベルまで抑制され、黄変によって生じる光の3原色のバランスが損なわれる問題や、可視光透過率が低下する問題が解消されている。
また、本発明のフラットディスプレイ用ガラス基板では、ガラス基板上に表示素子を形成する目的で実施される熱処理の際にガラス基板に生じるコンパクションが、製造されるフラットディスプレイパネルの表示品位に悪影響を及ぼさない程度まで低減されている。このため、本発明のフラットディスプレイ用ガラス基板を用いて製造されるフラットディスプレイパネルは表示品位に優れることが期待される。
また、本発明のフラットパネルディスプレイ用ガラス基板は、フラットパネルディスプレイ用ガラス基板としての性能、特に熱膨張係数75×10-7〜90×10-7/℃、及び歪点560℃以上を確保し、板ガラスとしての成形性を確保するために好ましい。
本発明のフラットパネルディスプレイ用ガラス基板の製造方法は、新たな手順を追加することなく、フロートバス雰囲気の水素濃度を1.5体積%以下とし、かつ、フロートバス内のガラス滞在時間を8分超15分以下とすることにより、製造されるガラス基板のトップ面から深さ10μmの表層、より具体的には、銀電極が形成される側のガラス基板表面から深さ10μmの表層における平均Fe2+含有量をFe23換算で0.055%以下とすることができる。そのため、通常のフラットパネルディスプレイ用ガラス基板の製造工程に、研磨等の新たな手順を追加する必要がなく、ガラス生産性、エネルギー効率および歩留まりに優れている。
以下、本発明についてさらに説明する。
本発明のフラットパネルディスプレイ用ガラス基板をフラットパネルディスプレイ基板として使用する場合、通常、ガラス基板のトップ面に銀電極が形成される。トップ面とは、フロート法によりガラス基板を成形する際に、ガラス基板(実際には、溶融ガラスリボン)の溶融スズと接する面(ボトム面)に対して反対側の面を指す。フロート成形の際に溶融スズと接するボトム面に銀電極を形成した場合、黄変が強く発生するため、好ましくない。
このようなフラットパネルディスプレイの具体例としては、PDP等が挙げられる。
本発明のフラットパネルディスプレイ用ガラス基板は、その組成が酸化物基準の質量百分率表示で実質的に、
SiO2 50〜72%
Al23 0.5〜15%
MgO+CaO+SrO+BaO 4〜30%
Na2O 0%超10%以下
2O 1〜21%
Li2O 0〜1%
Na2O+K2O+Li2O 6〜25%
ZrO2 0〜10%
Fe23 0.01%以上0.0725%未満
である。
フラットパネルディスプレイ用ガラス基板の組成が上記であることにより、フラットパネルディスプレイ用ガラス基板としての性能、特に熱膨張係数75×10-7〜90×10-7/℃、及び歪点560℃以上を確保し、板ガラスとしての成形性を確保することができる。
上記した組成において、限定の理由は以下の通りである。なお、以下において、「%」は特に断りのない限り、質量百分率(質量%)を意味する。
SiO2はガラス骨格を形成する成分であり、その含有量が50%未満だとガラス基板の耐熱性が悪化する。他方、72%超だとガラスの高温粘度が増加して、ガラス基板製造時の各工程の温度を下げることができない。また、ガラス基板の熱膨張係数が低下する。
SiO2の含有量は、52〜65%であることがより好ましく、さらに好ましくは52〜62%、最も好ましくは55〜62%である。
Al23はガラス転移点を上げ、ガラス基板の耐熱性を向上させる効果があるが、その含有量が0.5%未満だとこの効果が少ない。他方、15%超だと、ガラス基板の高温粘度が増加し、ガラス基板製造時の各工程の温度を下げることができない。
Al23の含有量は、1〜15%であることがより好ましく、さらに好ましくは5〜15%、最も好ましくは5〜12%である。
MgOは、ガラス溶解時の粘性を下げ、溶解を促進する作用があるので、含有させうる。しかし、その含有量が15%超だと熱膨張係数が大きくなりすぎる傾向があり、またガラスが失透しやすくなる。
CaOは、ガラスの転移点の向上と、熱膨張係数の増大、およびガラスの高温粘度を下げる効果があるため、含有させうる。しかし、その含有量が12%超では熱膨張係数が大きくなりすぎる傾向があり、またガラスが失透しやすくなる。
SrOは、CaOと同様にガラスの転移点の向上と、熱膨張係数の増大、およびガラスの高温粘度を下げる効果があるので、含有させうる。しかし、その含有量が18%超では熱膨張係数が大きくなりすぎる傾向があり、またガラスが失透しやすくなる。
BaOは、ガラスの転移点の向上と、熱膨張係数の増大する効果があるので、含有させうる。しかし、その含有量が18%超では熱膨張係数が大きくなりすぎる傾向があり、またガラスが失透しやすくなる。
MgO、CaO、SrOおよびBaOの合量が4%未満だとガラスの高温粘度が上昇しすぎる。他方30%超では熱膨張係数が大きくなりすぎる。
MgO、CaO、SrOおよびBaOの合量は10〜27%であることがより好ましく、さらに好ましくは10〜25%、最も好ましくは17〜25%である。
Na2O、K2OおよびLi2Oはガラスの熱膨張係数を大きくするため、少なくとも一種は必須である。これらの合量が6%未満だとガラスの熱膨張率が小さくなりすぎる。他方25%超だとガラスの耐熱性が低下する。
Na2O、K2OおよびLi2Oの合量は6〜22%であることがより好ましく、さらに好ましくは6〜20%、最も好ましくは7〜14%である。
この中で、K2Oはガラスの熱膨張係数を大きくするため、1%以上含まれる。一方これらの成分を過度に添加するとガラスの耐熱性低下の傾向が大きい。かかる観点から、Na2Oは0%超10%以下、K2Oは1〜21%、Li2Oは0〜1%とする。
ZrO2は、ガラスの耐熱性および化学耐久性向上のため、含有させうる。しかし、その含有量が10%超だとガラスが失透しやすくなる。ZrO2の含有量は、好ましくは、0〜8%である。
本発明のフラットパネルディスプレイ用ガラス基板は、組成が上記を満たすことに加えて、トップ面、すなわち、銀電極が形成される側(したがって、銀電極が形成される前の状態)のガラス基板表面(以下、「銀電極が形成される面」という。)から深さ10μmまでの表層における平均Fe2+含有量がFe23換算で0.055%以下であることを特徴とする。
なお、トップ面、すなわち、銀電極が形成される面から深さ10μmまでの表層における平均Fe2+含有量は、吸光光度法を用いて後述する実施例に記載の手順にしたがって測定することができる。
ガラス基板の黄変は、銀電極の形成時(焼成時)にガラス中に混入した銀イオン(Ag+)が、ガラス中に存在するFe2+やSn2+等による還元作用でAg0となるコロイド凝縮反応によって生じると考えられている。Fe2+によるコロイド凝縮反応を式(1)に示す。
Fe2++Ag+ → Fe3++Ag0 (金属Ag) ・・・(1)
特許文献2には、プラズマディスプレイ装置の前面ガラス基板に含まれるFe23量を2000ppm未満とすることで、ガラス基板に含まれるFe2+の量を少なくし、上記(1)の反応に関与するFe2+の量を減らすことにより、銀電極形成時にガラス基板表面に生じる褐色の発色を抑制すると記載されている。
ここで、特許文献2では、ガラス基板中にFe2+が均一に分散しているという前提に基づいて、ガラス基板に含まれるFe23量を2000ppm(0.2%)未満と規定しているが、ガラス基板に含まれるFe2+の量は、ガラス基板の部位によって異なる。
ガラス基板を製造する場合、フロート法などの成形方法では、還元雰囲気で成形されるため、ガラス基板表層に含まれるFe3+は還元されてFe2+となる。この結果、ガラス基板表層では、Fe23に対する通常の比率よりもより多くのFe2+が存在する。よって、ガラス基板に含まれるFe23量が2000ppm(0.2%)未満であっても、ガラス基板表層には、銀電極の形成時(焼成時)に黄変を生じさせるのに十分な量のFe2+イオンが存在している場合があり、必ずしも意図した黄変抑制効果が得られるとは限らなかった。しかも、単にFe23量が2000ppm(0.2%)未満とするだけでは上記した溶解槽におけるガラスの溶解性が低下する問題やガラスに色みを帯びる問題が生じる。
一方、本発明では、トップ面、すなわち、銀電極が形成される面から深さ10μmまでの表層における平均Fe2+含有量をFe23換算で0.055%以下とすることで、銀電極の形成時(焼成時)に上記式(1)の反応に関与するFe2+の量が十分低く抑えられている。このため、銀電極の形成時(焼成時)における黄変の発生を効果的に抑制することができる。
本発明において、トップ面、すなわち、銀電極が形成される面から深さ10μmまでの表層における平均Fe2+含有量はFe23換算で0.05%以下であることが好ましい。
本発明のフラットパネルディスプレイ用ガラス基板は、該ガラス基板表面に銀ペーストを塗布し、焼成を行った後、銀ペーストを除去した後のガラス基板表面における黄色着色bが5以下であることが、ガラス基板表面に銀電極を形成した場合に生じる黄変がディスプレイ基板としての使用上問題がないレベルまで抑制されていることから好ましい。
本発明のフラットパネルディスプレイ用ガラス基板は、上記のbが4.5以下であることがより好ましく、4以下であることがさらに好ましい。
本発明において、トップ面、すなわち、銀電極が形成される面から深さ10μmまでの表層における平均Fe2+含有量はFe23換算で0.055%以下であればよく、ガラス基板の他の部位におけるFe2+含有量は特に限定されない。したがって、フラットパネルディスプレイ基板として使用する際に、銀電極を形成しないガラス基板のボトム面側ではFe2+含有量がFe23換算で0.055%超であってもよい。
なお、フラットパネルディスプレイ用ガラス基板の板厚は、ディスプレイの種類によっても異なるが、例えば、PDP用のガラス基板の場合、板厚は0.3〜3.0mmである。本発明では好ましくは0.3〜2.0mmであり、より好ましくは0.5〜1.9mmであり、さらに好ましくは0.7〜1.8mmである。
本発明において、トップ面、すなわち、銀電極が形成される面から深さ10μmまでの表層における平均Redox値(FeO/全鉄(FeO+Fe23))は、80%以下であることが好ましく、79%以下であることがより好ましく、78%以下であることがさらに好ましく、77%以下であることが特に好ましい。
ここで、トップ面、すなわち、銀電極が形成される面から深さ10μmまでの表層における平均全鉄含有量および平均Fe2+含有量は、吸光光度法を用いて後述する実施例に記載の手順にしたがって測定することができる。
本発明のフラットパネルディスプレイ用ガラス基板は、コンパクション、すなわち、熱収縮率Cが250〜520ppmであることにより、ガラス基板上に表示素子を形成する目的で実施される熱処理の際に発生するコンパクションが、該ガラス基板を用いて製造されるフラットディスプレイパネルの表示品位に影響を及ぼさない程度まで低減されている。
本明細書において、ガラス基板の熱収縮率Cは、以下に記載する方法で測定することができる。
フロート法によって得られたガラス基板の表面にA(180mm)の間隔で圧痕を2個所打ち、その後ガラス基板を580℃まで1.7℃/分で昇温し、1時間保持した後、1.7℃/分で室温まで冷却する。そして、再度、圧痕間距離を測定し、その距離をBとする。このようにして得たA、Bから下記式を用いて熱収縮率Cを算出する。なお、A、Bは光学顕微鏡を用いて測定する。
C[ppm]=(A−B)/A×106
本発明のフラットパネルディスプレイ用ガラス基板は、熱収縮率Cが350〜510ppmであることが好ましく、400〜500ppmであることがより好ましい。
熱収縮率Cを250〜520ppm、および、bを5以下とするため、本発明のフラットパネルディスプレイ用ガラス基板は、Fe23含有量を0.01%以上0.0725%未満とする。
上記の熱収縮率Cを達成するように、還元雰囲気で成形を行った場合、得られたガラス基板に銀電極を形成した際に該ガラス基板の黄変が問題となる。ガラス基板の黄変を抑制するためには、ガラス基板のFe23含有量を0.0725%未満とする必要がある。
一方、原料中のFe23含有量が少なすぎると、溶解槽でのガラスの溶解性が低下するので、溶解槽内部の温度を上昇させる必要があり、その場合は溶解槽の寿命の短縮につながる。また、溶解槽内で良好な溶融ガラスの流れを形成できなくなる。これらの理由からガラス基板のFe23含有量を0.01%以上とする必要がある。
ガラス基板中のFe23含有量は、0.01〜0.07%であることが好ましく、0.015〜0.068%であることがより好ましく、0.02〜0.065%であることがさらに好ましい。
ガラス基板は、ガラス原料からの不可避不純物を除いてFe23を実質的に含有しないことが好ましい。
本発明のフラットパネルディスプレイ用ガラス基板の好適組成の第1実施形態は、酸化物基準の質量百分率表示で実質的に
SiO2 52〜65%
Al23 5〜15%
MgO 0〜4%
CaO 3〜12%
SrO 6〜9%
BaO 0〜13%
MgO+CaO+SrO+BaO 17〜27%
Na2O+K2O+Li2O 6〜14%
ZrO2 0.2〜6%
SO3 0〜0.6%
Fe23 0.01%以上0.0725%未満
である。
フラットパネルディスプレイ用ガラス基板の組成が上記であることにより、ソーダライムガラスと同様の熱膨張係数を有し、大型PDPの製造に適するよう、高いガラス転移点を有し、フロート法成形に適したガラス基板となる。
上記した好適組成の第一実施形態において、限定の理由は以下の通りである。
SiO2は、ガラスの骨格を形成する成分で、その含有量が52%未満では、ガラスの耐熱性が悪くなる。他方、65%超では熱膨張係数が低下する。好ましくは62%以下である。SiO2は54〜60%の範囲がより好ましい。
Al23はガラス転移点を上げ、耐熱性を向上させる効果があり、その含有量が5%未満ではこの効果があらわれず、他方、15%超ではガラスの熱膨張係数が低くなりすぎる。好ましくは12%以下である。Al23は6〜11%の範囲がより好ましい。
MgOは含有することによりガラスの転移点の向上と熱膨張係数の増大がはかれる。しかし、その含有量が、4%超では失透が生成しやすくなる。
CaOはガラスの転移点の向上と熱膨張係数の増大の作用がある。その含有量が3%未満ではガラスの熱膨張係数が小さくなりすぎる。他方、12%超では失透温度が高くなり過ぎるためガラス板への成形が困難になる。好ましくは5.5%以下である。特に、失透温度がフロート法の成形温度より高くなるため、フロート法による成形が困難になる。
SrOはCaOと同様にガラスの転移点の向上と熱膨張係数の増大の作用がある。その含有量が6%未満ではガラスの熱膨張係数が小さくなりすぎる。他方、9%超では失透温度が高くなり過ぎるためガラス板への成形が困難になる。特に、失透温度がフロート法の成形温度より高くなるため、フロート法による成形が困難になる。
BaOはMgOと同様に、含有することによりガラスの転移点の向上と熱膨張係数の増大がはかれる。しかし、その含有量が、13%超では失透が生成しやすくなる。
MgO、CaO、SrOおよびBaOの合量が17%未満ではガラスの耐熱性が低下し、熱膨張係数が小さくなりすぎる。他方、27%超では失透温度が高くなりすぎる。これらの合量は18〜25%の範囲がより好ましい。
Li2O、Na2OおよびK2Oは、ガラスの熱膨張係数を大きくするために少なくとも一種は必須である。これらの合量が6%未満ではガラスの熱膨張係数が小さすぎる。好ましくは7%以上である。他方、合量が14%超ではガラスの耐熱性が低下する。これらの合量は8〜13%の範囲がより好ましい。
このなかでK2Oはガラスの熱膨張係数を大きくするため、4%以上含まれることが好ましい。一方、これらの成分は過度に添加するとガラスの耐熱性低下の傾向が大きい。かかる観点から、Na2Oは0%超6%以下、K2Oは4〜12%、Li2Oは0〜1%の範囲とすることがより好ましい。Na2Oは3〜6%であることがより好ましい。
ZrO2はガラスの耐熱性及び化学的耐久性の向上のために使用する。0.2%未満では添加の効果がなく、好ましくは0.5%以上添加する。一方で、その含有量が6%超ではガラスの失透温度が高くなりすぎる。
SO3含有化合物は清澄剤として用いることができる。但し、製造後のガラス基板における残存量がSO3換算で0.6%超となるような量をガラス原料に投入した場合、製造時にガラスが再沸するなどしてガラス中に気泡が残存する。残存量はSO3換算で0.001〜0.6%であることが好ましく、より好ましくは0.01〜0.6%である。
なお、SO3含有化合物を清澄剤として使用する場合、SO3源のガラス原料への投入量は、原料100%に対してSO3換算で0.1〜5%であることが好ましい。
熱収縮率Cを250〜520ppm、および、bを5以下とするため、本発明のフラットパネルディスプレイ用ガラス基板は、Fe23含有量を0.01%以上0.0725%未満とする。
ガラス基板中のFe23含有量は、0.01〜0.07%であることが好ましく、0.015〜0.068%であることがより好ましく、0.02〜0.065%であることがさらに好ましい。
ガラス基板は、不可避不純物を除いてFe23を実質的に含有しないことが好ましい。
本発明のフラットパネルディスプレイ用ガラス基板の好適組成の第一実施形態において、より望ましいガラス組成の一例は、酸化物基準の質量百分率表示で実質的に以下の通りである。
SiO2 54〜60%
Al23 6〜11%
MgO 0〜4%
CaO 3〜5.5%
SrO 6〜9%
BaO 0〜13%
MgO+CaO+SrO+BaO 18〜25%
Na2O 0%超6%以下
Li2O 0〜1%
2O 4〜12%
Na2O+K2O+Li2O 8〜13%
ZrO2 0.5〜6%
SO3 0〜0.6%
Fe23 0.01%以上0.0725%未満
次に、本発明のフラットパネルディスプレイ用ガラス基板の好適組成の第二実施形態は、酸化物基準の質量百分率表示で実質的に
SiO2 52〜62%
Al23 5〜15%
MgO 0%超9%以下
CaO 3〜12%
SrO 9〜18%
BaO 0〜13%
MgO+CaO+SrO+BaO 25〜30%
Na2O+K2O+Li2O 6〜14%
ZrO2 0〜6%
SO3 0〜1%
Fe23 0.01%以上0.0725%未満
である。
フラットパネルディスプレイ用ガラス基板の組成が上記であることにより、フラットパネルディスプレイ用ガラス基板、特にPDP用ガラス基板としての特性及び品質を確保しつつ、高温粘度を下げることができる。
上記した好適組成の第二実施形態において、限定の理由は以下の通りである。
SiO2:ガラスの骨格を形成する成分であり、その含有量が52%未満だとガラス基板の耐熱性が悪化する、ガラスの高温粘度が増加して、ガラス基板製造時の各工程の温度を下げることができない。他方、62%超だとガラス基板の熱膨張係数が低下する。SiO2の含有量は、53〜61%であることがより好ましく、さらに好ましくは54〜60%であり、最も好ましくは55〜59%である。
Al23:ガラス転移点を上げ、ガラス基板の耐熱性を向上させる効果があるが、その含有量が5%未満だとこの効果が少ない。他方、15%超だと、ガラス基板の高温粘度が増加し、ガラス基板製造時の各工程の温度を下げることができない。
Al23の含有量は、6〜13%であることがより好ましい。さらに好ましくは6〜11%であり、最も好ましくは6〜9%である。
MgO:ガラス溶解時の粘性を下げ、溶解を促進する作用があるので含有される。しかしその含有量が9%超だとガラスの熱膨張係数が大きくなりすぎる傾向があり、またガラスが失透しやすくなる。好ましくは5%以下である。
MgOの含有量は、1〜5%であることがより好ましい。さらに好ましくは2〜5%であり、最も好ましくは2〜4%である。
CaO:ガラスの転移点の向上と熱膨張係数の増大、およびガラスの高温粘度を下げる効果がある。その含有量が3%未満だとガラスの熱膨張係数が小さくなりすぎる。他方、12%以上だと熱膨張係数が大きくなりすぎる。
CaOの含有量は、3〜10%であることがより好ましい。さらに好ましくは3〜8%であり、最も好ましくは3〜6%である。
SrO:CaOと同様にガラスの転移点の向上と熱膨張係数の増大、およびガラスの高温粘度を下げる効果がある。その含有量が9%未満だとガラス転移点が低くなりすぎる。他方、18%超だとガラスの熱膨張係数が大きくなりすぎる。
SrOの含有量は、10〜17%であることがより好ましい。さらに好ましくは10〜16%であり、最も好ましくは10〜15%である。
BaO:ガラスの転移点の向上と熱膨張係数の増大、およびガラスの高温粘度を下げる効果があるので含有させうる。しかしその含有量が13%超だとガラスの熱膨張係数が大きくなりすぎる。
BaOの含有量は、1.5〜6%であることがより好ましい。
MgO、CaO、SrOおよびBaOの合量が25%未満ではガラスの高温粘度が上昇しすぎる。他方30%超では熱膨張係数が大きくなりすぎる。
MgO、CaO、SrOおよびBaOの合量は25〜29%であることが好ましい。より好ましくは25〜28%、さらに好ましくは25〜27%である。
Li2O、Na2OおよびK2O:ガラスの熱膨張係数を大きくするためには少なくとも一種は必須である。これらの合量が6%未満ではガラスの熱膨張係数が小さくなりすぎる。他方合量が14%超ではガラスの耐熱性が低下する。
Li2O、Na2O、およびK2Oの合量は、6〜12%であることがより好ましい。さらに好ましくは6〜10%であり、最も好ましくは6〜8%である。
これらの中でK2Oはガラスの熱膨張係数を大きくするため、1%以上含まれることが好ましい。一方、これらの成分を過度に添加するとガラスの耐熱性低下の傾向が大きい。かかる観点から、Li2Oは0〜1%、Na2Oは0〜7%、K2Oは1〜6%の範囲とすることが好ましく、Li2Oは0〜1%、Na2Oは0〜6%、K2Oは1〜5%の範囲とするこがより好ましい。
ZrO2:ガラスの耐熱性及び化学耐久性の向上のために使用する。その含有量が6%以上ではガラスが失透しやすくなる。好ましくは0〜2%である。
SO3:通常清澄剤として用いられるものであり、一部が製造後のガラス基板中に残存する。しかし、製造後のガラス基板における残存量がSO3換算で0.6%超となるような量をガラス原料に投入した場合、製造時にガラスが再沸するなどしてガラス中に気泡が残存する。残存量はSO3換算で0.001〜0.6%であることが好ましく、より好ましくは0.01〜0.6%である。
なお、SO3を清澄剤として使用する場合、SO3源のガラス原料への投入量は、原料100%に対してSO3換算で0.1〜5%であることが好ましい。
熱収縮率Cを250〜520ppm、および、bを5以下とするため、本発明のフラットパネルディスプレイ用ガラス基板は、Fe23含有量を0.01%以上0.0725%未満とする。
ガラス基板中のFe23含有量は、0.01〜0.07%であることが好ましく、0.015〜0.068%であることがより好ましく、0.02〜0.065%であることがさらに好ましい。
ガラス基板は、不可避不純物を除いてFe23を実質的に含有しないことが好ましい。
本発明のフラットパネルディスプレイ用ガラス基板の好適組成の第二実施形態において、より望ましいガラス組成の一例は、酸化物基準の質量百分率表示で実質的に以下の通りである。
SiO2 55〜59%
Al23 6〜9%
MgO 2〜5%
CaO 3〜6%
SrO 10〜15%
BaO 1.5〜6%
MgO+CaO+SrO+BaO 25〜27%
Na2O+K2O+Li2O 6〜10%
ZrO2 0〜2%
SO3 0.01〜0.6%
Fe23 0.01%以上0.0725%未満
本発明のフラットパネルディスプレイ用ガラス基板は、製造時の溶解性、清澄性、成形性を改善するため、上記成分以外に、Sb23、P25、F、Cl、NO2、As23を合量で2%以下含有してもよい。
また、ガラスの化学的耐久性の向上のため、La23、TiO2、SnO2、ZnO、Y23を合量で5%以下含有してもよい。
さらに、CoO、NiO、Nd23、Cu2O、CuO、MoO3、V23、Cr23等の着色剤を添加してガラスの色調を調整できる。この着色剤の含有量は合量で1%以下が好ましい。
さらに、製造時の溶解性を向上するためにB23を含有してもよい。ただし、含有量が過剰だと熱膨張係数が低下するので1.5%未満とすることが好ましい。
本発明のフラットパネルディスプレイ用ガラス基板の製造方法では、従来のフラットパネルディスプレイ用ガラス基板の製造方法と同様に、フロート法によるガラス製造時に実施される各工程、すなわち、溶解工程、清澄工程、フロート成形工程および徐冷工程を実施する。ここで、フロート成形工程以外は従来と同様である。すなわち、溶解工程ではガラス基板の各成分の原料を目標成分になるように調整し、これを溶解槽に連続式に投入した後、加熱してガラスを溶解する。
次に、清澄工程では、清澄剤が添加されたガラス融液を所定の温度で所定時間保持することにより、ガラス融液中に存在している気泡を浮上させて除去する。清澄剤としては、SO3が通常用いられるが、As23、Sb23、F、Cl、NO2等を用いてもよい。
次に、フロート成形工程では、フロート法により所定の厚さのガラスリボンに成形する。ここで、本発明では、フロート成形工程において、フロートバス雰囲気の水素濃度を1.5体積%以下とし、かつ、フロートバス内のガラス滞在時間を8分超15分以下とする。
従来、溶融スズの酸化を防止するため、フロートバス内は水素(通常4〜10体積%)と窒素(通常90〜96体積%)の混合ガスで満たされて還元雰囲気となっている。
フロート法で成形されたガラス基板をフラットパネルディスプレイ基板として使用する場合、通常ガラスリボンのフロートバス内で溶融スズと接しなかった側の表面、すなわち上側表面、に銀電極が形成される。
フロートバス内を通過するガラスリボンの上側表面は、還元雰囲気に曝されるため、ガラスリボンの表層に含まれるFe3+が還元されてFe2+となる。この結果、該ガラスリボンから製造されるガラス基板のトップ面の表層では、Fe23に対する通常の比率よりもより多くのFe2+が存在する。
本発明では、フロートバス雰囲気の水素濃度を1.5体積%以下とし、かつ、フロートバス内のガラス滞在時間を15分以下とすることにより、フロートバス内をガラスリボンが通過する際にガラスリボン表層に含まれるFe3+が還元されてFe2+となるのを抑制する。これにより、該ガラスリボンから製造されるガラス基板のトップ面、すなわち、銀電極が形成される面から深さ10μmまでの表層における平均Fe2+含有量を低減することができる。但し、フロートバス内のガラス滞在時間が短すぎると、得られるガラス基板の熱収縮率Cを十分低減することができず、ガラス基板の熱収縮率Cを250〜520ppmとすることができないので、フロートバス内のガラス滞在時間は8分超とする必要がある。
フロートバス内のガラス滞在時間は、9〜14分とすることが好ましく、より好ましくは10〜13分である。
特許文献3には、ガラス基板のSn2+の量が許容値を超える場合、フロート窯内の水素濃度を低下させることで、フロート窯内の還元力を弱めるように制御することで、ガラス基板での黄変の発生を抑制する画像表示装置用のガラス基板の製造方法が記載されている。しかし、この方法は、フロートバス内に存在する溶融スズ(Sn)由来のスズイオン(Sn2+)がフロートガラス表面に還元層を形成することが原因で、ガラス基板に黄変が発生するという前提に基づくものであり、ガラス基板の表層に存在するFe2+イオンによる影響については全く記載されていない。
本発明者らは、ガラス基板における黄変発生の原因である、Ag+イオンのコロイド凝縮反応に関与することが従来知られるイオン(Fe2+、Sn2+、S4+等)と、ガラス基板の黄変との関係について鋭意検討した結果、フロートバス内に存在する溶融スズ(Sn)由来のスズイオン(Sn2+)よりも、ガラス基板の表層に存在するFe2+イオンのほうが、ガラス基板の黄変への影響が大きいことを見出した。
なお、特許文献3では、ガラス基板の黄変への影響がFe2+イオンよりも小さいスズイオン(Sn2+)の量に基づいて、フロート窯内の還元力を弱めるように制御するため、ガラス基板の黄変を抑制する作用が不十分となり、得られたガラス基板表面を除去する手順が必要となる。このため、得られたガラス基板をフッ酸溶液や水酸化ナトリウム水溶液などのエッチング液に浸漬することでガラス基板表面をエッチングしたり、ガラス基板表面をバフ研磨法やサンドブラスト法により研磨することが必要となる。
一方、本発明では、フロートバス雰囲気の水素濃度を1.5体積%以下とし、かつ、フロートバス内のガラス滞在時間を15分以下とすることにより、ガラス基板の黄変への影響がスズイオン(Sn2+)よりも大きいFe2+イオンの量を、トップ面、すなわち、銀電極が形成される面から深さ10μmまでの表層において、低減することができるため、ガラス基板の黄変を効果的に抑制することができ、得られたガラス基板表面を除去する手順が必要でない。
上記したように、フロートバス雰囲気は、通常水素と窒素の混合ガスであるので、フロートバス雰囲気の水素濃度を1.5体積%以下とするためには、フロートバス雰囲気の窒素濃度を98.5体積%以上とすることが好ましい。但し、フロートバス雰囲気にHe、Ar等の不活性ガスを供給することにより、フロートバス雰囲気の水素濃度を1.5体積%以下としてもよい。
フロートバス内の水素濃度は1.3体積%以下であることが好ましく、より好ましくは1.1体積%以下である。但し、溶融スズの酸化防止のため、フロートバス内を還元雰囲気に保つ必要があることから、フロートバス内の水素濃度は0.1体積%以上であることが好ましく、0.5体積%以上がより好ましく、特に好ましくは1体積%以上である。
フロートバス内を通過するガラスリボンの温度は、フロートバス上流側の高温域において930〜1300℃であることが好ましく、該高温域に後続し、ガラスリボンを所定の板厚、板幅に成形する成形域においては、800〜930℃であることが好ましい。
フロートバスから引き出されたガラスリボンは、徐冷工程において、所要時間20分以内で室温付近まで徐冷した後、所望の大きさに切断することにより本発明のフラットパネルディスプレイ用ガラス基板が得られる。
本発明のフラットパネルディスプレイ用ガラス基板は、フラットパネルディスプレイの中でも、ガラス基板表面に銀電極が形成されるものとして好適であり、特にPDP用のガラス基板、特にPDPの前面ガラス板として好適である。
本発明は、上記したフラットパネルディスプレイ用ガラス基板を用いたPDPも提供する。
本発明のPDPにおいて、前面ガラス以外の構成は特に限定されず、PDPの構成として公知のものから適宜選択することができる。
以下、実施例により本発明を詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
表1に例1〜8のガラス組成を示す。
表1のガラス組成になるように原料を調製したものを溶解槽に投入して、1400〜1700℃の温度で所定時間溶融し、次いでガラス融液をフロート法により所定の厚さのガラスリボンに成形した。ここで、フロートバス雰囲気の水素濃度およびフロートバス内のガラス滞在時間は表1に示した通りである。また、フロートバス内を通過するガラスリボンの温度は高温域で930〜1300℃、成形域で800〜930℃であった。徐冷後、ガラスリボン両面を洗浄した。こうして得られたガラスについて、トップ面から深さ10μmまでの表層における平均全鉄含有量、平均Fe2+含有量および平均Redox値を、吸光光度法を用いて以下の手順で測定した。結果を表1に示す。なお、表1中、例1〜5は実施例、例6〜8は比較例である。
<表層における平均Fe2+含有量の測定法>
ガラス表面をフッ化水素酸と塩酸の混酸によりエッチングする。エッチング液のうち、一定量をプラスチック容器に分取し、速やかに2,2’−ジピリジル溶液および酢酸アンモニウム緩衝液を添加してFe2+のみを発色させる。発色液はイオン交換水で一定量とする。次に、エッチング液の一定量を別のプラスチック容器に分取し、ヒドロキシルアミン塩酸溶液、2,2’−ジピリジル溶液および酢酸アンモニウム緩衝液を添加し全鉄をFe2+に還元して発色させる。発色液はイオン交換水で一定量とする。
Fe3+の標準液をヒドロキシルアミン塩酸溶液、2,2’−ジピリジル溶液および酢酸アンモニウム緩衝液を用いて同様に発色させる。この標準発色液の522nmでの吸光度を測定し検量線を作製する。試料発色液の吸光度を測定し検量線より濃度を計算する。この測定濃度とガラスのエッチング量よりガラス表面のFe2+含有量、全Fe含有量を計算する。
<b値の測定>
フロート板ガラス表面を水洗した後、トップ面に銀ペースト(デュポン社製、製品名ドータイト)を塗布し、200℃/時間で昇温し、560℃、1時間焼成した後、60℃/時間で室温まで降温し、10%の硝酸により銀ペーストを除去した後、可視光透過率を測定した。銀電極下面及びその周辺の黄色着色は、この値からC光源のL系色座標の色差b値をJIS−Z8729の方法で求めた。
Figure 2011011951
本発明のフラットパネルディスプレイ用ガラス基板は、フラットパネルディスプレイの中でも、ガラス基板表面に銀電極が形成されるものとして好適であり、PDP用のガラス基板、特にPDPの前面ガラス板として産業上有用である。

Claims (3)

  1. フロート法により成形されるフラットパネルディスプレイ用ガラス基板であって、
    前記ガラス基板の組成が、酸化物基準の質量百分率表示で実質的に、
    SiO2 50〜72%
    Al23 0.5〜15%
    MgO+CaO+SrO+BaO 4〜30%
    Na2O 0%超10%以下
    2O 1〜21%
    Li2O 0〜1%
    Na2O+K2O+Li2O 6〜25%
    ZrO2 0〜10%
    Fe23 0.01%以上0.0725%未満であり、
    前記ガラス基板のトップ面から深さ10μmまでの表層における平均Fe2+含有量がFe23換算で0.055%以下であり、熱収縮率Cが250〜520ppmであり、前記ガラス基板表面に銀ペーストを塗布し、焼成を行った後、前記銀ペーストを除去した後のガラス基板表面における黄色着色bが5以下であることを特徴とするフラットパネルディスプレイ用ガラス基板。
  2. 請求項1に記載のフラットパネルディスプレイ用ガラス基板を製造する方法であって、フロートバス雰囲気の水素濃度を1.5体積%以下とし、かつ、フロートバス内のガラス滞在時間を8分超15分以下とすることを特徴とするフラットパネルディスプレイ用ガラス基板の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載のフラットパネルディスプレイ用ガラス基板を用いたディスプレイパネル。
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