以下に本発明の実施形態につき図面を参照して説明する。ただし、以下は本発明の実施形態であって本発明を限定するものではない。
まず図1を参照して、本発明の実施形態のインクジェット記録装置の全体構成について説明する。図1は本発明の実施形態のインクジェット記録装置の全体構成図である。
インクジェット記録装置1は、記録媒体Pに対してインクを吐出し、記録媒体P上に画像を記録するものである。インクジェット記録装置1には、図示しない搬送手段が備わっており、この搬送手段が記録媒体Pを、図1における記録領域Cを通過させながら主走査方向Aと直交した副走査方向に搬送するようになっている。
記録領域Cの上方には、主走査方向A(水平方向)に沿って延在するキャリッジレール2が配置されていて、このキャリッジレール2には、キャリッジレール2によって案内されるキャリッジ3が移動自在に設けられている。
キャリッジ3は、記録媒体Pに対してインクを吐出するインクジェットヘッド4を搭載し、キャリッジレール2に沿ってホームポジション領域Bからメンテナンス領域Dにかけて矢印A方向に移動するようになっている。
この主走査中にインクジェットヘッド4が、記録媒体Pに向けてインクdを吐出することで記録媒体Pに画像を形成する。本実施形態では、水平方向に主走査を行い、ノズルからのインク吐出方向が鉛直方向下向きとなるようにインクジェットヘッド4が設置される。
本実施形態に係るインクジェット記録装置1では、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の4色のインクを吐出できるよう、合計で4個のインクジェットヘッド4がキャリッジ3に設置されている。図1においては、3個のインクジェットヘッド4,4、4が矢印A方向に1列に配置されていて、この矢印A方向に並んだインクジェットヘッド4,4、4の中央のインクジェットヘッド4の奥側(紙面垂直方向の奥側)にその他の1個のインクジェットヘッド4(不図示)が配置されている。
これら各インクジェットヘッド4には、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの各色のインクを貯蔵するインクタンク5がインク供給管6により連結されている。なお、図1では図示しないが、これら各インクジェットヘッド4と各インクタンク5の間には、中間タンク306、加圧ポンプ314等(図2参照)が介在しており、中間タンク306は、キャリッジ3に搭載されている。
図2に示す通り、インクジェットヘッド4には中間タンク306からインク供給管6の内部のインク供給路を通じてインクが供給されるようになっている。インク供給系の構成の詳細は後述する。本実施形態において中間タンク306は、インク供給源として機能する。
メンテナンス領域Dには、インクジェットヘッド4に対してメンテナンスを行うメンテナンスユニット7が設けられている。このメンテナンスユニット7には、インクジェットヘッド4の吐出面41Sを覆って、パージ動作によりノズルから排出されたインクを受けるための複数のキャップ8と、吐出面41Sに付着したインクを拭き取る清掃ブレード9と、インクジェットヘッド4から空吐出されたインクを受けるインク受器10と、廃インクタンク12とが設けられている。
尚、パージ動作とは、インクジェットヘッド4のノズルからインクを加圧排出することで、例えば、インクジェットヘッド4内の劣化インクや異物の排出を行い、吐出特性を回復する動作のことをいう。パージ動作の詳細は後述する。
キャップ8は廃インクタンク12と連通しており、メンテナンス動作時には上昇してインクジェットヘッド4の吐出面41Sを覆うようになっている。キャップ8,8,…は、上述のように上昇した時に全てのインクジェットヘッド4の吐出面41Sを覆うことができるよう、各インクジェットヘッド4に対応するように4個配列されている。
ホームポジション領域Bには、インクジェットヘッド4を保湿する保湿ユニット13が設けられている。保湿ユニット13には、インクジェットヘッド4が待機状態にあるとき、吐出面41Sを覆うことでインクジェットヘッド4のインクを保湿する4個の保湿キャップ14が設けられている。これら4個の保湿キャップ14,14,…は、4個のインクジェットヘッド4の吐出面41Sを同時に覆うことができるよう、インクジェットヘッド4の配列に対応して配列される。
制御部は、CPU(中央演算装置)と、メモリとを有して構成され、インクジェット記録装置1の各構成要素を制御するようになっている。メモリには、記録媒体Pに形成する画像のデータや、インクジェット記録装置1の各構成要素を制御するためのプログラムが記憶されており、このメモリ内の画像データやプログラムに基づいて各構成要素に制御信号を送信するようになっている。
次に、図2を参照して本発明に係るインクジェット記録装置のインク供給系について説明する。
図2は本実施形態のブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の4色のインクジェットヘッド4のうち、ブラック(K)のインクジェットヘッド4のインク供給系のブロック図である。なお、他の色のインクジェットヘッド4についてもそれぞれ同じ構成となっているので、これらの説明については省略する。
インクジェットヘッド4は、インク供給管6により中間タンク306に接続され、中間タンク306からインクが供給される。
中間タンク306は、弁311、加圧ポンプ312を介して、インクタンク5に接続される。また、弁313を介して大気に連通させることができる。さらに、弁315を介して加圧ポンプ314に接続されている。加圧ポンプ314はパージ手段として機能する。
インクジェットヘッド4の背圧は中間タンク306で決定することが好ましい。インクタンク5より下方に、弁311、加圧ポンプ312を介して可撓性の袋、または本形態のように大気連通弁313を有する容器からなる中間タンク306を設ける。大気連通弁313を開いて、弁311を閉じれば中間タンク306内のインクは大気圧となる。中間タンクをインクジェットヘッド4より所定の高さだけ下方に置くことで、ヘッドにおけるインクは大気圧に対して所定の水頭値だけ負圧になり、安定な吐出が実現できる。
中間タンクに残量検知または空検知を設け、所定の量以下になったときに弁311を開いて加圧ポンプ312を作動させてインクタンク5から中間タンク306にインクを補充する。弁311を開いて加圧ポンプ312を作動させてから所定時間以上経過しても中間タンク306にインクが補充でされないときはインクタンク5が空であると検出できる。
インクタンク5の位置で直接的に背圧を決定するのと比較して、インク残量の変動による背圧変動の影響がない、インクタンク5の空検知ができる、などのメリットがある。また、インクタンク5を交換する際には、中間タンク306に残っているインクで画像形成動作を中断することなく、インクタンク5の交換と画像形成動作を並行して行うことが出来る。
また、インクを安定吐出するためには、パージ動作が必要である。このために、中間タンク306は、弁315を介して加圧ポンプ314に接続されている。加圧ポンプ314は、本発明の加圧手段として機能する。
加圧ポンプ314はシリンダーポンプやチューブポンプを有して構成される。加圧ポンプ314はキャップ8が吐出面41Sを覆った状態で且つ、弁315が開いた状態で作動することにより、インクジェットヘッド4のノズルからインクジェットヘッド4内の劣化インクや異物をインクとともに押し出すための加圧力を発生する。
パージ動作を行う時以外は、弁315を閉じた状態とし、パージ動作を行う時は、弁315を開いた状態として、加圧ポンプ314を作動させて、インクと共に劣化インクや異物をキャップ8に排出することができる。
次に、図3、図4を参照して本発明に係るインクジェットヘッド4について説明する。
図3は本実施形態のブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の4色のインクジェットヘッド4のうち、ブラック(K)のインクジェットヘッド4の分解斜視図であり、図4は組み立てた状態の斜視図である。なお、他の色のインクジェットヘッド4についてもそれぞれ同じ構成となっているので、これらの説明については省略する。
本実施形態のインクジェットヘッド4には、インクを吐出する2枚のインクジェットヘッドチップ(以下「ヘッドチップ」と称す。)41が重ねて設けられている。ヘッドチップ41は長尺な外形をしていて、その吐出面41Sには多数のノズル(図示せず)が配列されている。(以下ノズルの配列を「ノズル列」と称す。)
本実施の形態のインクジェットヘッド4は、ノズル列が2列設けられている。インクジェットヘッド4は矢印X方向(ノズル列方向)と図1に図示された主走査方向Aとが直交するようにキャリッジ3に搭載される。
このように、ヘッドチップ41には、複数のノズルと、複数のノズルに対応して設けられた複数の圧力室が矢印X方向に配列されて設けられている。ヘッドチップ41において、この圧力室の配列方向に沿って延びる面を側面と称する。
また、重ねられた2枚のヘッドチップ41のそれぞれの外側面には略方形状のインク供給口43が設けられていて、インク供給口43とノズルとがヘッドチップ41の内部に形成されたインク吐出流路(図示せず)を介して連通するようになっている。インク吐出流路の一部は圧力室を形成しており、図示しない圧電素子の作用により圧力を変動させて、インク滴をノズルから吐出させる構造になっている。そして、ヘッドチップ41には、各圧電素子に対して制御部からの制御信号を送信する2組のヘッド駆動基板46、コネクタ57のそれぞれが、フレキシブル配線板47を介して各圧電素子に接続されている。
2枚のヘッドチップ41の両側部には、外部からのインクをヘッドチップ41に供給する2組のマニホールド48a,マニホールド48bが取り付けられている。マニホールド48a,マニホールド48bは、耐インク性に優れた材料からなり、共通インク室50a、50bを形成するための凹みが形成されている。マニホールド48a,マニホールド48bの一端部には、共通インク室50a、50bにインクを流入させる注入口481a、481bが設けられている。
60は筐体フレーム54の側部に装着されてインク供給管6に接続されるインク導入口である円筒形状のインク供給用接続部であり、注入口481a、481bに連通している連結部56に接続される。
連結部56は、コの字形状の板状部材で側部にはインク供給用接続部60に接続される円筒形状の接続部が設けられていて、筐体フレーム54の側部に係合し、内部にインク供給路が形成されるようになっている。
図2に示すように、ヘッドチップ41の下部には、ノズル面が露出するようにマニホールド48a,マニホールド48b及びヘッドチップ41を保持する保持板53が取り付けられている。
また、インクジェットヘッド4には、上記したヘッドチップ41、マニホールド48a,マニホールド48b、ヘッド駆動基板46、保持板53などのインクジェットヘッド4の構成要素が取り付けられ固定される筐体フレーム54が設けられており、この筐体フレーム54はカバー52によって覆われている。筐体フレーム54の上部にはコネクタ支持部55が取り付けられる。
次に、インク導入時のインクの流路について説明する。
中間タンク306からインク供給管6を経由してインクが供給されると、インクジェットヘッド4内では先ずインクは、インク供給用接続部60のインク供給路59を通過して、連結部56に流入し、各マニホールド48a,マニホールド48bの注入口481a、481bに分岐し、共通インク室50a,50bに進入する。共通インク室50a,50bに至ったインクは、インク供給口43からヘッドチップ41内に進入する。
このようなインクジェットヘッド4にかかるインク圧を安定させるために、インク供給路に連通する空気室が設けられ、インク供給路と空気室の間にはインク供給路から流入するインクと空気の気液界面が形成される絞り流路が設けられるが、本実施形態では、中間タンク306とインクジェットヘッド4を接続するインク供給管6の内部に、空気保持部材が挿入され、インク供給管6の内面と空気保持部材との間に空気室と絞り流路が形成される。
また、本実施形態では、中間タンク306がキャリッジ3に搭載されているので、キャリッジ3が加減速する際のインク圧の変動の影響は抑制できるが、キャリッジ走行中に発生する振動やモータ、ポンプ等の外部振動によるインク圧の変動は抑制できず、濃度ムラが発生するのでこの対策として空気室を設けている。
図5を参照して本発明に係る空気室及び絞り流路について説明する。
図5(a)は本実施形態の空気保持部材20Aの拡大斜視図であり、図5(b)は、空気保持部材20Aが挿入されたインク供給管6をインクジェットヘッド4のインク供給用接続部60に取り付けた後、インク26を供給したところを模式的に示した斜視図である。
図5(b)に示すように、インク供給管6の内部には、空気保持部材20Aが挿入され、インク供給管6の内面と空気保持部材20Aとの間には空気室21と絞り流路22が形成されている。これにより、空気室に保持される空気により、モータやポンプ等の外部振動やキャリッジ走査等によるインクの供給圧力の変動を緩和し、吐出安定性を向上することができる。
また、インク供給管に空気保持部材を挿入するだけで空気室と絞り流路が形成でき、インク供給管やインクジェットヘッドをそのまま利用できるのでインクジェット記録装置に大きな構成変更を加えることなく空気室及び絞り流路を簡便に且つ低コストで設けることができる。
具体的には、空気保持部材20Aは、外周面がインク供給管6の内周面に当接する大径部23と、大径部23よりも圧力室側に位置し大径部23と一体かつ略同軸に形成されインク供給管6の内周面との間に形成される環状の空気室21が形成できる小径部24と、小径部24よりも圧力室側に位置しインク供給管6の内面に当接する第2の大径部29を有している。
第2の大径部29は、インク供給管6の内面に当接する外周面の一部にインク供給管6の軸方向に沿って延びる10本の溝部30を有し、インク供給管6の内面と小径部24の間に空気室21が形成され、10本の溝部30との間に絞り流路22が形成されている。流路断面積(インク供給管の軸方向に直交する断面の断面積)は、各絞り流路22の方が空気室21よりも小さい。
各絞り流路22にインク26と空気の気液界面Mが形成され、空気室21全体と絞り流路22の一部に空気が保持される。
第2の大径部29の外径は、大径部23の外径と略同一に形成されている。
ここで、内径、外径とは、その形状が円の場合は、その直径を意味し、形状が円でない場合は、面積を円に換算したときの直径に相当するものであり、インク供給管あるいは小径部、大径部の形状は円形に限定されない。
このように、空気が充填される空気室21を1つ備えていて、この空気室21は10箇所の連通部101から、略直方体形の絞り流路22が、それぞれ平行に空気保持部材20Aの外周面上にインク供給管6内のインク供給路との連通部102に至るまで10本伸びている。なお、本実施形態では、1つの空気室21から10本の絞り流路22が延びた構成としたが、絞り流路22は1本以上であれば良い。例えば、図6に示すように1本の絞り流路22がインク供給管の軸方向の回りに螺旋状に形成されていても良い。この実施形態の空気保持部材20Bは、第2の大径部29の外周面にインク供給管の軸方向に沿って延びる螺旋状の溝31が形成されており、この螺旋状の溝31とインク供給管6の内面との間の空間が絞り流路22になっている。
ここで、1つの絞り流路22の流路断面積は、メニスカス形成の容易性と詰まり防止の観点から、0.01mm2以上0.5mm2以下が好ましい。
また、空気室21の流路断面積に対する1つの絞り流路22の流路断面積の比は、空気室21へのインク流入防止効果を高める観点から、0.5以上2以下が好ましい。
また、空気室21の体積は、ダンピング効果を高める観点から、15mm3以上35mm3以下が好ましい。
以上の構成より成るインクジェット記録装置は、インク供給管6の内面に当接する大径部により空気保持部材を保持することができるとともに、小径部24との間に形成される環状の空間を空気室21とすることによりインク供給管の内部のスペースを有効に活用できる。
また、溝部30あるいは31とインク供給管6の間に形成される絞り流路22により流路の断面積を小さくできるため空気室21内に所定の空気体積を保持した上で、空気とインク26が接触する気液界面Mにおける接触面積を小さくすることができる。
ここで、気液界面Mのメニスカス保持力は、インクの表面張力に比例し、その気液界面の径(接触面積に相当)に反比例する。本実施形態では接触面積を小さくすることでメニスカス保持力を高めることができるので、振動や傾斜に対して気液界面が動きにくく、空気の流出を簡便な構造で抑制することができる。
また、パージ動作を行う際に、絞り流路22にインク供給管6の内部のインク供給路から流入するインク26と空気の気液界面Mが形成された状態で、インク26が加圧ポンプ314により加圧されたときの空気室21及び絞り流路22の空気の体積変化量が、加圧される直前の絞り流路22の空気の総体積以下となるように構成されている。そのため、後述するように、パージ動作を繰り返し行っても空気室21にインクが流入することはない。
空気室21に保持される空気の体積は、空気保持部材における小径部24の外径、長さ等によって設定され、絞り流路22に保持される空気の体積は、空気保持部材における溝部30、31の断面積、長さ、数等によって設定されるので、単一のインク供給管に対して小径部の外径又は長さ、溝部30、31の断面積、長さ、数等の異なる空気保持部材を供給することで、絞り流路22に対する空気室21の体積比の変更が容易にできる。例えばポンプ314の圧力が異なる場合の体積比の変更に応じてインク供給管やインクジェットヘッドをその都度変更する必要が無く、コストを削減できる。
また、本実施形態においては、空気保持部材20A、20Bは、大径部23の端面と第2の大径部29の端面とを貫通してインク供給管6の軸方向に沿って延び、且つインクが連通可能な貫通穴25が形成されている断面形状が略円形の中空筒状体を用いている。これにより、貫通穴により、インクジェットヘッドへの十分なインク供給が可能となる。
なお、貫通穴25の径は、大径部23と小径部24とで異ならせてもよいし、同じにしても良い、本実施形態においては、大径部23の貫通穴25の径を小径部24の貫通穴25の径よりも大きくしてインクジェットヘッド4へのより一層十分なインク供給を達成している。
また、大径部23は、小径部24及び第2の大径部29よりも中間タンク306側に位置しているので、空気室21のインク供給源(中間タンク306)側の面は閉鎖され、絞り流路22の圧力室側の面は開口(連通部102)している。これにより絞り流路22の圧力室側の開口している面からインクが進入するが、空気室21のインク供給源側の面は閉鎖されて袋小路になっているため空気室21に空気が封じ込められ、インクが進入しない空間が容易に確保できる。空気室21への上流からの直接的なインクの進入は遮蔽されるので、空気が保持される空気室21の位置はインクの流れの少ない部分であり、インクの流れによる空気の流出を抑えることができ、安定して圧力変動を緩和することができる。
さらに、インクジェット記録装置の使用時の姿勢においてインク供給源側の面は圧力室側の面よりも上方に位置することが好ましい。空気室に保持された空気を移動しにくくすることができ、空気室21からの空気の流出を、簡便な構造で有効に防止することができる。
本実施形態のインクジェット記録装置1では、略水平状態に設置されて使用される。空気保持部材20A、20Bにより形成される空気室21のインク供給源側の面は閉鎖され、絞り流路22の圧力室側の面は開口しているとともに、空気保持部材20A、20Bが挿入されている部分のインク供給管6をその軸方向がインクジェットヘッド4のインク供給用接続部60から上方に向かって略鉛直方向になるように設けている。このようにインクジェット記録装置の使用時の姿勢において空気室21の閉鎖されている側の面が絞り流路22の開口している側の面よりも上方に位置するようにするようにしている。
具体的には、実使用状態において、中間タンク306からインク26が供給されると、インク供給管6の上流からのインクは貫通穴25を通過し、インク供給用接続部60のインク供給路59に進入する。また、絞り流路22の開口している側の面(連結部102)からインクが進入するが大径部23により袋小路になっているため空気室21に空気が封じ込められ、インクが進入しない空間が確保される。
また、インク供給管6の内周面に当接する大径部23により、小径部24の外周面とこの外周面に対向するインク供給管6の内周面との間に形成される空気室21への上流からの直接的なインクの進入は遮蔽され、インク供給時におけるインクの流れは、貫通穴25を通過し、上から下へ向く方向である。そのため、空気が保持される空気室21の位置はインクの流れの少ない部分であり、インクの流れによる空気の流出を抑えることができ、安定して圧力変動を緩和することができる。
このように初期のインク導入時の動作により、空気室21に空気が封じ込められた状態で、インクタンク5からインクジェットヘッド4の圧力室までのインク供給路にインクが満たされることになる。
実使用状態においては、図5(b)、図6(b)に示すように、ノズルを下側とした場合、絞り流路22の所定高さ(連通部102近傍の位置)までインク26が充填され、その上部には空気が閉じ込められている。
また、空気保持部材20A、20Bは、図5(b)、図6(b)に示すように、一端がインクジェットヘッドに接続されたインク供給管6におけるインクジェットヘッド4の近傍に挿入されることが好ましい。これにより、挿入された位置から上流側のインク供給管6において生じる圧力変動をより効果的に緩和できる。
また、一端がインクジェットヘッド4のインク供給用接続部60に接続されたインク供給管6をインクジェットヘッド4に固定する固定部27を有し、空気保持部材20A、20Bが、インク供給管6における一端から固定部27により固定される部分までの間に挿入されている。インクジェットヘッド4に接続された一端と固定部27との間のインク供給管6は、キャリッジ3の移動に伴う動きが規制され、振動等が抑えられるため、より効果的に圧力変動を緩和できる。
尚、インク供給管6をインクジェットヘッド4が搭載される搭載部であるキャリッジ3に固定する様にしてもよい。
空気保持部材20A、20Bは、インクの非浸透性、インク供給管6の内部への挿入のしやすさ及びインクに対する耐腐食性に優れるステンレス鋼あるいはPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)で構成することが好ましい。これにより、インクに直接接触しても変形、変質等を生じることはない。
本実施形態においては、インク供給管の内面に当接する当接部としての大径部23及び第2の大径部29を有し、空気保持部材20A、20Bは、ステンレス鋼あるいはPTFEで構成され、インク供給管6はポリエチレン、フッ素樹脂やナイロン等の高分子樹脂材料あるいはゴム材料による伸縮可能なインク供給チューブで構成されている。空気保持部材20A、20Bは、大径部23側からインク供給管6におけるインク供給用接続部60に接続される側の開口に挿入されることによってインク供給管6の内部に保持される。インク供給管6は弾性を有しているため、大径部23をインク供給管6の開口に挿入するとき、開口がスムーズに膨張して弾性変形するので容易に挿入することができる。
そして、インク供給管6が弾性復元して大径部23及び第2の大径部29の外周面に密着しインク供給管6の弾性により空気保持部材20A、20Bのインク供給管6の軸方向に沿った変位を規制することができるため、インク供給管6に固定用の溝等を設けなくても空気保持部材20A、20Bをインク供給管の内部に簡便且つ確実に保持することができる。
また、本実施形態では、空気保持部材20A、20Bは、大径部23から小径部24とは反対方向に向けて徐々に縮径するテーパ部28を有している。これにより、空気保持部材をインク供給管に挿入する際、大径部がインク供給管の内面に接触して引っ掛かることがなく、円滑に挿入することができる。
このように、両端部が開口され内部にインク供給路が形成されたインク供給管6の一方の開口、好ましくは、インク供給用接続部60に接続される側の開口に大径部23の先端を押圧し、その押圧力により、インク供給管6の内部に空気保持部材20A、20Bを挿入する。次いで、インク供給管6を中間タンク306とインク供給用接続部60に接続する。
インク供給管6は、耐インク性、弾性などを考慮して、前述のポリエチレン、フッ素樹脂やナイロン等の高分子樹脂材料あるいはゴム材料によるインク供給チューブを採用している。
インク供給管6の厚さは、弾性、強度を考慮して、概ね0.5mm〜2mmが好ましい。
インク供給管6の好ましい内径は、使用するインクの粘度やインクジェットヘッドの吐出能力等によって多少異なってくるが、インク供給管6の内径(直径)としては1〜6mmが好ましい。
また、インク供給管は、少なくとも空気室に接する部分が透明であることが好ましい。空気室に空気が所定量以上残存しているか否かを検出することができるため、所定量未満である場合は、新たに空気を補充するための空気補充機構を設けたり(例えば、リリースバルブなどを設置して空気を強制的に注入する)、新しいインクに置換することで空気の再導入をおこなうことで確実に空気が残存している状態を維持できる。空気が所定量以上残存しているか否かを検出するのは、目視による方法でも良いが、たとえば空気室の光透過率を測定することで空気が残存しているか否かを検出する機構(例えば、液面センサ)を設けることにより、自動的に検出する構成にしてもよい。もし、所定量未満である場合は、空気の補充や再導入をおこなえばよい。あるいは、その旨を作業者に報知するようにしてもよい。
本実施形態では、インク供給管6の全体が透明性を有している材料で構成されている。なお、透明とは空気とインクが判別できる程度でよく、前述の高分子樹脂材料によるインク供給チューブを採用することで達成できる。
上記インクジェット記録装置に用いられるインクの表面張力は、吐出温度において20〜40mN/mが好ましい。20mN/m未満では、吐出される際に濡れ広がり吐出されにくくなる場合があり、40mN/mを超えるとインクが充填されにくくなる為である。吐出温度については、20〜60℃が好ましく、25〜50℃がより好ましい。
次に、インクジェット記録装置1による画像形成時における動作について説明する。
インクジェット記録装置1の電源がONとなると、インクジェット記録装置1の各部に対して給電が行われる。
その後、画像記録の開始指示が入力されると、キャリッジ3の往復走査が開始されると共に、制御部は、画像データを基とした制御信号をヘッド駆動基板46及びその他の駆動部に送信し、画像記録を開始する。搬送手段に搬送される記録媒体P上には、インクジェットヘッド4からインクが吐出されて画像が形成される。
そして、インクジェットヘッド4の吐出状態を回復するためのメンテナンスタイミングになると、制御部は、各部を制御してインクジェットヘッド4のメンテナンスを行わせる。詳細に説明すると、制御部は、メンテナンスタイミングに伴って走査用モータを制御し、インクジェットヘッド4とキャップ8とが対峙する位置までキャリッジ3を移動させる。インクジェットヘッド4とキャップ8とが対峙すると、制御部は、昇降用モータを制御して、インクジェットヘッド4の吐出面41Sとキャップ8とが密着するまでメンテナンスユニット7を上昇させる。
メンテナンスユニット7の上昇完了後、制御部は、弁315を開いた状態とし、所定時間だけインクが加圧排出されるように加圧ポンプ314を制御する。
加圧ポンプ314の作動により、インク供給管6内のインクが加圧される。絞り流路22の上流側のインク供給管6内のインクも加圧され、絞り流路22内のインク26は、空気室21側へ押し出される。
このとき、図5(b)、図6(b)に示す空気室21と絞り流路22に存在する空気が圧縮され、インク26と空気の気液界面Mが空気室21側に引き寄せられることになる。
加圧ポンプ314による加圧が開始された後、圧力が上昇し、所定の圧力(最大値)に到達したときに、空気室21側に引き寄せられた気液界面Mが空気室21内に進入する可能性がある。この場合、パージ動作を終了して気液界面Mが元の位置に戻っても、インクが空気室21内(段差部100等)に残留し、パージ動作の繰り返しによりこの残留インクが徐々に蓄積され、空気量が減少してしまう。
即ち、ヘッド4内のインクが所定の圧力となるように加圧してパージ動作が行われている間、絞り流路22から空気室21へのインクの流入せずに気液界面M2が絞り流路22内に位置するように、インク26が加圧ポンプ314により加圧されたときの空気室21及び絞り流路22の空気の体積変化量が、加圧される直前の絞り流路22の空気の総体積以下となるようにする必要がある。
このため、この空気の体積変化量が、加圧される直前の1つまたは複数の絞り流路22の空気の総体積以下となるように、絞り流路22の総体積に対する空気室21の体積比を設定することが好ましい。これにより、加圧ポンプ314でインクを加圧してパージ動作を行う際に、ヘッド4内のインクの圧力として吐出回復可能な所定の圧力を確保することが容易になる。
次に、この体積比の設定の方法について説明する。
まず、初期のインク導入時の気液界面Mの位置は、インクの物性、絞り流路の流路断面積等にもよるが、通常は、気液界面Mが絞り流路22の連結部102近傍(連結部102から絞り流路22内に若干進入した位置)の位置になる。
この状態で絞り流路22及び空気室21内の気圧は1×105Pa(1気圧)である。
空気室21内の空気の体積をV1、加圧される直前の1つまたは複数の絞り流路22の空気の総体積、即ち、1つまたは複数(図5の空気保持部材20Aでは10本)の絞り流路22における加圧直前の気液界面Mから連結部101までの空気の総体積をV2、1つまたは複数の絞り流路22の総体積、即ち、1つまたは複数の絞り流路22における連結部102から連結部101までの総体積をV3とする。加圧直前の絞り流路22及び空気室21内の気圧(空気の圧力)をP1(=1×105Pa)、所定の圧力(最大圧力)での絞り流路22及び空気室21内の気圧(空気の圧力)をP2とする。所定の圧力での空気の体積変化量ΔVとの関係は、以下の(1)式になる。
ΔV=(V1+V2)(1−(P1/P2))・・・・・・・(1)
(1)式から求めたΔVが体積V2と同じか、V2より小さくなるように即ち、以下の(2)式を満足すれば、パージ動作で加圧されても気液界面Mが、空気室21内に進入してしまうことはない。
ΔV=(V1+V2)(1−(P1/P2))≦V2・・・・・・・(2)
ここで、通常時において、加圧直前の気液界面Mの位置は、前述の初期位置、即ち、絞り流路22の連結部102近傍の位置にあるので、V2≒V3であり(2)式は、以下の(3)式になる。
ΔV≒(V1+V3)(1−(P1/P2))≦V3・・・・・・・(3)
例えば、空気室21内の気圧P2を2×105Pa(2気圧)になるような所定の圧力で加圧すると、空気の体積変化ΔVは(V1+V3)/2になる。すなわち、ポンプ314で空気室21内の気圧を2×105Paになるようにインクを加圧すると、空気が圧縮されその体積が加圧前の体積の半分になる。また、3×105Pa(3気圧)になるようにインクを加圧すると、空気の体積変化ΔVは2(V1+V3)/3になるので、その体積が加圧前の体積の1/3になることになる。
この体積変化量ΔVがV3よりも大きくなると気液界面Mが、空気室21内に進入してしまうことになる。したがって、メンテナンスするために必要な所定の圧力において、ΔVを実験的にあるいは上記(3)式を用いた計算により算出し、このΔVが体積V3と同じか、V3より小さくなるように、即ち、(3)式を満足するようにV1とV3の比を設定すれば、パージ動作で加圧されても気液界面Mが、空気室21内に進入してしまうことはない。
なお、P2は、空気室21に、その内部の圧力を計測する圧力センサを設け、計測するようにしてもよい。パージ動作時の気圧P2は、ポンプ314で加圧したときのヘッド4内のインクの圧力と大きな差はないので、ポンプで加圧したときのヘッド4内のインクの圧力に基づいて体積比を設定すれば問題はない。
なお、ヘッド4内のインクの圧力は、ヘッド4あるいはその近傍に、その内部の圧力を計測する圧力センサを設け、計測するようにしてもよい。
加圧ポンプ314で加圧したときのヘッド4内のインクの圧力(最大値)は、通常、1.5×105Pa以上1.5×106Pa以下であり、1.5×105Pa以上3×105Pa以下が好ましい。1.5×105Pa未満であるとノズルからのインク排出がほとんど起こらず、吐出回復ができなくなる場合があり、3×105Paを超えるとインクジェットヘッド及びインク供給路の構成部材等に負担がかかる恐れがあるためである。
従って、設定の目安としては、例えば、空気室21内の気圧を2×105Paになるように加圧した場合は、(3)式から明らかなように、絞り流路22の総体積に対する空気室21の体積比、即ち、V1/V3が1以下になるように設定すれば良い。また、空気室21内の気圧を3×105Paになるように加圧した場合は、V1/V3が0.5以下になるように設定すれば良い。
また、初期のインクを導入した時に形成される気液界面Mが空気の溶解等により初期位置から上昇してしまうような場合は、気液界面Mが上昇すると絞り流路22の空気の総体積V2が小さくなるので、加圧前において上昇した気液界面Mの位置(絞り流路22内のインクの総体積:V3−V2)を考慮して、前述の(1)式から求めたΔVが体積V2と同じか、V2より小さくなるように即ち、前述の(2)式を満足するようにV1/V3を小さめに設定し、気液界面Mが上昇した影響を排除するように考慮される。
また、初期のインクを導入した時に形成される気液界面Mの位置が、連結部102よりも上昇した位置にあるような場合も同様に(2)式を満足するようにV1/V3を小さめに設定し、上昇した影響を排除するように考慮される。
気液界面Mの初期位置や上昇位置は、インク供給管6を透明なインク供給チューブで構成し、予め実験的に求めておけばよい。気液界面Mの位置は、目視や気液界面Mの位置を検出する液面センサを設けて検出すればよい。
また、気液界面Mの位置を検出する液面センサを設け、制御部は、加圧ポンプ314でパージ動作を行う直前にて、液面センサから送られる気液界面Mの位置情報をもとにメモリに記憶された許容臨界位置のデータを呼び出して、そのデータに基づいて加圧時に気液界面Mが空気室21に進入しないような位置に存在するかどうかを決定し、問題なければ加圧ポンプ314を駆動してパージ動作を行う。
すなわち、このとき、制御部は加圧時に気液界面Mが空気室21に進入しないよう許容臨界位置を考慮している。つまり、気液界面Mの上昇によりこの許容臨界位置を超えている場合には、制御部は、前述の空気補充機構により空気を補充したり空気の再導入を行い、気液界面Mを初期位置あるいはその近傍に戻してから加圧してパージ動作を行うようにする。
次に、画像記録時の圧力変動の吸収効果について説明する。
まず、インクジェット記録装置で記録を行う前に、以下の実験を行った。
インクジェット記録装置としては、図1に記載の構成からなる装置を使用した。空気保持部材には、空気保持部材20Aあるいは20B(PTFEまたはステンレス鋼製)を用い、インク供給管6にはポリエチレン製のインク供給チューブを用い、ヘッドとインク供給路にインクを導入した後、加圧ポンプ314で加圧したときのヘッド4内のインクの圧力(1.5×105Pa以上3×105Pa以下)、空気保持部材20A、20Bにより形成される空気室と絞り流路の体積比V1/V3(0.1〜3)を各種組み合わせた条件で、加圧ポンプ314を駆動して、パージ動作を繰り返して行い、空気室21へのインクの流入の有無を調べた。
ここで、体積比は、空気室21の体積をV1、空気保持部材20Bでは1本、20Aでは10本の絞り流路22における連結部102から連結部101までの総体積をV3とし、V1を一定として絞り流路22の長さを変更することでV1/V3を変化させている。
インクは、表面張力が30mN/mの顔料分散インクを使用した。表面張力は、垂直板法(ウィルヘルミー法)を用いて25℃(吐出温度)における表面張力を測定した。
本実施形態のインクジェット記録装置では、加圧直前の気液界面Mの位置は、絞り流路22の連結部102近傍(連結部102から絞り流路22内に若干進入した位置)である。そのため、上記のV2≒V3となり、前述の(3)式を満足するようにV1/V3が設定されていればパージ動作を繰り返して行っても、空気室21へのインクの流入はない。
実験結果においても、ヘッド4内のインクの圧力が2×105Paの場合には、体積比V1/V3が1以下になるように設定されていればパージ動作を20回以上繰り返して行っても、空気室21へのインクの流入は発生しないことが確認できた。
また、ヘッド4内のインクの圧力を3×105Paに増加した場合にも、V1/V3が0.5以下になるように設定されていればパージ動作を20回以上繰り返して行っても、空気室21へのインクの流入は発生しないことが確認できた。
比較実験として、ヘッド4内のインクの圧力が2×105Paで、体積比V1/V3が1より大きくなるように変更した場合、ΔVがV3よりも大きくなってしまう。このため、実験結果においても、ヘッド4内のインクの圧力が2×105Paの場合には、体積比V1/V3が1より大きくなるように設定されているとパージ動作を20回繰り返して行っただけで、空気室21へのインクの流入が発生してしまうことが確認できた。
また、ヘッド4内のインクの圧力を3×105Paにした場合には、体積比V1/V3が0.5より大きくなるように設定されているとパージ動作を20回繰り返して行っただけで、空気室21へのインクの流入が発生してしまうことが確認できた。
次に、実使用状態と同じように往復運動させてヘッドから記録紙にインク吐出して、画像出力した。画像としては、ベタ画像を出力し、濃度ムラを評価した。
実際の画像記録においても、各々のインクの圧力に対して前述の(3)式を満足するように体積比V1/V3が設定されていて空気室21へのインクの流入がない本実施形態のインクジェット記録装置は、20回以上のパージ動作の繰り返し後に画像記録を行っても、安定吐出が可能であり、良好な記録状態を保つことができ、濃度ムラは見られなかった。
一方、各々のインクの圧力に対して前述の(3)式を満足しない体積比V1/V3が設定されていて空気室21へのインクの流入が見られた比較例のインクジェット記録装置は、20回のパージ動作の繰り返し後に画像記録を行うと、圧力変動による吐出の不安定性により、良好な記録状態を保つことができず、濃度ムラが発生した。
以上のように、絞り流路にインクと空気の気液界面が形成された状態でパージ動作を行う際に、インクが加圧ポンプにより加圧されたときの空気室及び絞り流路の空気の体積変化量が、加圧される直前の絞り流路の空気の総体積以下となるように構成されている本実施形態のインクジェット記録装置においては、吐出回復可能な所定の圧力でパージ動作を繰り返し行っても空気室へのインクの流入は発生せず、パージ動作時においても空気室に空気をより安定に保持することができるので、空気室からの空気の減少を簡便な構造で抑制することできる。
以上の実施形態では、インクジェットヘッドに接続されるインク供給管に空気保持部材を挿入して空気室を設置した例を示したが、本発明においては、インクジェットヘッドの圧力室にインク供給源からのインクを供給するインク供給路に連通する空気室を設置すればよく、例えば、インクジェットヘッドへのインク供給路を構成するインク供給管に接続させた空気室を別途設けたり、インク供給管から分岐させた空気室を設けるようにしてもよい。
また、実施形態では1つのインク供給管6に1つの空気保持部材20Aが設けられているが、その数は特に問わない。
また、実施形態ではサブタンクが設けられたインクジェット記録装置に適用したが、メインのインクタンクのみが設けられているインクジェット記録装置にも適用可能である。
また、実施形態ではシリアル方式のインクジェット記録装置に適用したが、ライン方式のインクジェット記録装置にも適用可能である。インクジェットヘッドを静止させた状態で記録するライン方式の場合においても、ポンプやモータ等の外部振動の影響によりインク供給圧力が変動することがあり、本発明のインクジェット記録装置によれば、インクの供給圧力の変動を緩和し、吐出安定性を向上させることができる。
また、実施形態ではインクジェットヘッドは、ヘッドチップに圧電素子を備える構成とは限らず、例えばヒータを備える構成としてもよい。
また、空気保持部材の形状や位置関係等も適宜変更して実施可能である。例えば、各実施形態において形成される空間の環状部分、溝部分、螺旋状部分の各種組み合わせが可能であり、一例として、溝部分と螺旋状部分を併用して絞り流路を設ける構成なども可能である。