JP2011011127A - 機能液生成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】高濃度の有効成分を含む微細気泡を液中において安定的に長期間存在させることができ、しかも、このような高濃度の有効成分を発生させるためのエネルギを低減することのできる機能液生成装置を提供する。
【解決手段】本発明の機能液生成装置を、液体中に気体を加圧注入することで該液体にナノメータサイズの気泡が混合した気液混合液を生成する加圧部11と、加圧部11内にて加圧された気体中に放電を生じさせる放電部3と、放電部3に高電圧を印加させる電圧印加部4とを具備したものとする。
【選択図】図1
【解決手段】本発明の機能液生成装置を、液体中に気体を加圧注入することで該液体にナノメータサイズの気泡が混合した気液混合液を生成する加圧部11と、加圧部11内にて加圧された気体中に放電を生じさせる放電部3と、放電部3に高電圧を印加させる電圧印加部4とを具備したものとする。
【選択図】図1
Description
本発明は、放電によって機能液を生成することのできる機能液生成装置に関する。
オゾン等の有効成分を生成し、生成した有効成分を含む微細気泡を液中に分散させることで、この液が改質されることが知られている(特許文献1参照)。
しかし、液中での微細気泡は、溶解や合体によって消滅しやすい性質を有しており、大量の気泡を液中において安定的に長期間存在させることは困難である。したがって、上記したような構成の従来の機能液生成装置では、液中に存在させる有効成分の量に限界があるという問題や、微細気泡が時間の経過と共に消失するという問題があった。また、液中に分散させるための有効成分を高濃度で発生させるには大きなエネルギが必要となり、そのために装置の大型化や生成コストの上昇を招くという問題があった。
本発明は上記問題点に鑑みて発明したものであって、高濃度の有効成分を含む微細気泡を液中において安定的に長期間存在させることができ、しかも、このような高濃度の有効成分を発生させるためのエネルギを低減することのできる機能液生成装置を提供することを、課題とする。
上記課題を解決するために本発明の機能液生成装置を、液体中に気体を加圧注入することで該液体にナノメータサイズの気泡が混合した気液混合液を生成する加圧部11と、加圧部11内にて加圧された気体中に放電を生じさせる放電部3と、放電部3に高電圧を印加させる電圧印加部4とを具備したものとする。
本発明の機能液生成装置によれば、加圧部11内にて放電部3によって生成した有効成分を液体中に混合させ、ナノメータサイズの微細な気泡の形で存在させることができる。したがって、有効成分を含む気体を飽和溶解度を超える量で液体中に存在させておくことができる。また、ナノメータサイズの微細な気泡には浮力が働かないため、この有効成分を含む気体からなる気泡を、液体中に長期間に亘って安定に存在させることができる。これにより、有効成分を安定的に且つ高濃度で保持する機能液を創り出すことが可能となる。また、有効成分を発生させるための放電箇所として加圧部11を利用したことで、比較的低電圧であっても有効成分を高濃度で生成することが可能となる。
つまり、本発明の機能液生成装置によれば、有効成分を非常に高濃度に且つ安定的な状態で含んだ状態の機能液を、要するエネルギを低減したうえで効率的に創り出すことが可能となるのである。
本発明の機能液生成装置において、前記気液混合液をなす液体は、水素結合を形成する分子からなる液体であり、該液体の気泡との界面に存在する分子の水素結合の距離が、該液体が常温常圧であるときの水素結合よりも短いことが好ましい。このようにすると、気泡界面における水素結合の距離が短くなることによって、気泡の周囲を強固な水素結合を形成した液体分子で取り囲むことができる。この水素結合を形成した液体分子は強固な殻となって気泡を包み込むので、気泡同士が衝突して崩壊することが防止されるとともに、液体からの圧力に対して気泡内部からの応力で対抗できるので、気泡を液体中で消滅させたり合体させたりすることなく安定に存在させることができる。つまり、有効成分をさらに安定的に且つ高濃度で保持する機能液を創り出すことが可能となるのである。
また、前記気液混合液をなすナノメータサイズの気泡は、0.12MPa以上の圧力の気体で形成したものであることが好ましい。このようにすることで、気泡が高い内部圧で維持されることによってより強固な界面構造を形成することができ、気泡が液体中で消滅したり合体したりすることなくさらに安定に存在するものとなる。また、この気泡中の気体の圧力は、外部からの衝撃がない限り長期間に亘って液体からの押圧との間で均衡を保つので、気泡が安定に存在した気液混合液を、長期間に亘って利用することができる。つまり、有効成分をさらに安定的に且つ高濃度で保持する機能液を創り出すことが可能となるのである。
また、本発明の機能液生成装置が備える前記放電部3は、電極部38と、電極部38に密着して又は近傍に配置される絶縁スペーサ37とを備え、電極部38に電圧を印加することで、絶縁スペーサ37に沿って形成される微小な放電空間S内においてマイクロプラズマ放電を生じさせるマイクロプラズマ発生装置30であることが好ましい。このようにすることで、マイクロプラズマ発生装置30の微小な放電空間S内で高密度のプラズマを発生させ、大量の有効成分を生成してこれを加圧部11内に供給することができる。
本発明の機能液生成装置は、液体中に気体を加圧注入することで該液体にナノメータサイズの気泡が混合した気液混合液を生成する加圧部と、加圧部内にて加圧された気体中に放電を生じさせる放電部と、放電部に高電圧を印加させる電圧印加部とを具備している。これにより、有効成分を含む気体を飽和溶解度を超える量で液体中に存在させておくことが可能となり、また、ナノメータサイズの微細な気泡に浮力が働かないことから、各気泡を液体中に長期間に亘って安定に存在させることができる。そして、加圧部において、比較的低電圧であっても有効成分を高濃度で生成することができる
つまり、本発明の機能液生成装置によれば、有効成分を非常に高濃度に且つ安定的な状態で含んだ状態の機能液を、要するエネルギを低減したうえで効率的に創り出すことができるのである。
つまり、本発明の機能液生成装置によれば、有効成分を非常に高濃度に且つ安定的な状態で含んだ状態の機能液を、要するエネルギを低減したうえで効率的に創り出すことができるのである。
本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。本例の機能液生成装置は、有効成分を含むとともにその圧力が0.12MPa以上である気体によって液体中にナノメータサイズの微細な気泡(以下「ナノバブル」という。)を形成し、気液混合液を生成するものである。この気液混合液をなす液体は、該液体のナノバブルとの界面に存在する分子の水素結合の距離が、該液体が常温常圧であるときの水素結合よりも短くなるように設けている。
図1には、本発明の実施形態における第1例の機能液生成装置の基本的な構成を示している。図示のように、第1例の機能液生成装置は、液体を大気圧(0.1MPa)で保持する液体貯留槽22と、液体貯留槽22から供給される液体に対して気体供給部12から供給される気体を加圧注入することによって該液体にナノバブルが混合した気液混合液を生成する加圧部11と、加圧部11内にて加圧された気体中に放電を生じさせる放電部3と、放電部3にパルス状の高電圧を印加させる電圧印加部4と、加圧部11にて混合させた気泡のうち大きな気泡を気体除去部18により除去する脱気泡部14と、脱気泡部14により大きな気泡を取り除いた後の液体の圧力を大きな気泡を発生させることなく徐々に大気圧まで減圧させる減圧部15と、減圧された液体を吐出する吐出部17とを備えている。
上記各部は、この順に上流側から下流側へと連通するように流路16中に接続されている。加圧部11よりも下流側の流路16は、内径2〜50mm程度の管体などで形成することが好ましい。これにより、比較的太い流路断面積で気液混合液を吐出することができ、細路により流路16を構成する場合のような配管の詰まりを防止して、気液混合液を利用しやすくできる。
加圧部11は、密閉タンク状の気液混合槽23から成る。この気液混合槽23は、高圧条件下で気体と液体を混合させるものであり、気体が供給された液体を0.17MPa/sec以上の加圧速度ΔP1/t(ΔP1:圧力増加量、t:時間)で加圧し、液体の圧力を0.15MPa以上にすることにより、界面構造の強固な気泡の気液混合液をバッチ式で生成する。
このように、閉鎖系である気液混合槽23にバッチ式で液体と気体とが送り出されて加圧されるとともに、気液混合槽23に設けられた撹拌翼24などにより撹拌されて液体Lqと気体とが高圧条件で混合されることにより、気泡を形成する気体の圧力が0.12MPa以上となり、気体を微細な気泡として安定化することができる。上記気体供給部12は、気液混合槽23にボンベ等を接続することで形成できる。
気液混合槽23内の上記放電部3は、針状の放電電極7と、この放電電極7の先鋭状の先端部7aと対向する位置に配置されるリング状の対向電極8とで形成できる(図2参照)。電圧印加部4によって両電極7,8間に電圧を印加すると、気液混合槽23内で加圧された気体内において放電を生じさせ、各種の有効成分を生成するようになっている。なお、放電部3の構成としてはこれに限定されず、所定の放電が生じるものであれば、例えば放電電極7や対向電極8の少なくとも対向部分をメッシュ状に形成したり、対向電極8を平板状に形成する等の、多様な形態が選択可能である。
放電により生成される有効成分は、硝酸イオン、スーパーオキサイドラジカル、ヒドロキシラジカルラジカル、オゾン等の各成分であるが、気体供給部12から供給する気体の種類や放電部3での放電条件を適宜選択することによって、有効成分の種類や濃度を制御することができる。気体供給部12から気液混合槽23内に供給する気体としては、空気、二酸化炭素、窒素、酸素、オゾン、アルゴン、水素、ヘリウム、メタン、プロパン、ブタン等の適宜気体を単一で又は混合して供給することができる。
例えば、空気から成るナノバブルに放電を生じさせた場合には、有効成分として上記各成分を生成することができ、メタンや酸素から成るナノバブルに放電を生じさせた場合には、有効成分として上記各成分に加えてメタノール、ギ酸等を大量に生成することができる。このメタノールやギ酸により、さらに持続的な殺菌効果が得られる。また、窒素やオゾンから成るナノバブルに放電を生じさせた場合には、有効成分としてスーパーオキサイドラジカル、ヒドロキシラジカルをさらに大量に生成することができる。
そして、有効成分を含む気泡が存在する気液混合液から、脱気泡部14を通じて大きな気泡を取り除いた後、この気液混合液を減圧部15に送り出してその圧力を最高減圧速度2000MPa/sec以下の減圧速度ΔP2/t(ΔP2:減圧量、t:時間)で大気圧まで減圧し、ナノバブルを含む気液混合液として吐出部17から吐出する。
ここで生成される気液混合液は、ナノバブルを高濃度で含むものであって、そのために顕著な特性を有する。具体的には改めて詳述するが、本発明で生成するナノバブルは非常に微細なものであって、液体中にその飽和溶解濃度以上の高濃度で気体を保持できるという特性や、浮力が働かないため液体中に長期間に亘って安定に存在させることができるという特性や、気泡界面の水素結合距離が短く、気泡の内圧が高くなることによって高濃度のナノバブルを安定的に保持できるという特性を有する。
そして、このような特性のナノバブル内に各種の有効成分を存在させることによって、有効成分を非常に高濃度に且つ安定的に保持する機能液を創り出すことができる。
なお、加圧部11を成す気液混合槽23を複数設けて、複数回加圧する構成にしてもよい。液体を送りながら複数回加圧することにより、液体を強力に加圧して、気泡界面の構造が強固な気液混合液を生成することができる。
以上、本例の機能液生成装置の基本的な構成について述べた。以下においては、本例の機能液生成装置をなす各部のさらに詳細な構成について、図3〜図5に基づいて詳述する。
上記脱気泡部14は、上記のようにして気体が混合された液体から、比較的大きな気泡を取り除くものであって、気泡をそれ自身の浮力で上昇させて取り除くようにした管体などで、構成することができる。取り除かれた気泡は気体となって上部に集積するので、この除去された気体を弁などの気体除去部18により取り除くことができる。浮力により上昇する気泡としてはマイクロオーダーサイズ、すなわち直径1μmを超えるサイズの気泡であり、このような比較的大きい気泡が取り除かれて微細な気泡であるナノバブルが液体中に存在することにより、気泡の内部圧が高く安定な気液混合液を得ることができる。
脱気泡部14としては、具体的には、図3に示すような構成にすることができる。図3(a)には、気液混合槽23と連続して地表面に略水平(重力方向に対して略垂直な平面上)な姿勢となるように形成し、液体Lq中の気泡Bをその浮力によって液面まで上昇させて気泡Bを取り除くようにした管体の例を示している。また、図3(b)には、気液混合槽23に連続すると共に気液混合槽23と合わせた形状が正面視逆L字型となるように形成し、液体Lqの流れ方向を下方向(重力方向と略同方向)にすることで、液体Lq中の気泡Bをその浮力によって液面まで上昇させて気泡Bを取り除くようにした管体の例を示している。また、図3(c)には、気液混合槽23とは別体にし、液体Lqの流れ方向を下方向(重力方向と略同方向)にして液体Lq中の気泡Bをその浮力によって液面まで上昇させて気泡Bを取り除くようにした管体の例を示している。
上記減圧部15は、脱気泡部14の下流側に設けたものであり、加圧された状態の気液混合液を送り出す際に、減圧部15において大気圧まで徐々に減圧をした後に、吐出するように設けている。このような減圧部15を設けているのは、上記のように加圧により気体と混合された液体は高圧状態にあるので、そのまま大気圧下にある外部に排出すると、急激な圧力低下により気液混合液中の気泡が合体して液体から排出されるおそれや、キャビテーションが発生するおそれがあるからである。
減圧部15は、気体が混合された液体を送りながら、配管全域での減圧速度ΔP2/t(ΔP2:減圧量、t:時間)の上限を2000MPa/sec以下にして減圧するように構成されている。これにより、強固な気泡界面の構造を維持させたまま、ナノバブルを消滅させたり合体させたりすることなく、気液混合液を取り出すことができる。
減圧部15として、具体的には、図4のような構成にすることができる。つまり、減圧部15を、図4(a)のように流路断面積が段階的に徐々に小さくなる流路16で構成してもよいし、図4(b)のように流路断面積が連続的に徐々に小さくなる流路16で構成してもよい。また、減圧部15を、図4(c)のように気液混合液の圧力を高圧状態(P1)から(P2、P3、・・・)大気圧(Pn)にまで圧力損失で徐々に減圧するように流路長さ(L)を調整した流路16で構成してもよいし、図4(d)のように流路16に設けた複数の圧力調整弁19などにより構成してもよい。
例えば、図4(a)または図4(b)のような減圧部15を用いた場合、減圧部15よりも上流側の流路16を内径20mmにし、減圧部15を、流路長さが約1cm〜10mで、内径が20mmから4mmにまで徐々に小さくなることにより流路断面積が小さくなる管体により構成することができる。なお、減圧部15は、入口内径/出口内径=2〜10程度に設定することや、1cmあたりの内径減少値を1〜20mm程度に設定することができる。このとき、減圧部15に対して4×10−6m/s以上の流速で気液混合液を送ると、最高減圧速度2000MPa/sec以下で、ナノバブルを消滅させることなく1.0MPa減圧することができ、気液混合液を大気圧にまで減圧することができる。
吐出部17は、減圧された液体を吐出するものである。なお、図5のように、この吐出部17と減圧部15との間に、加圧部11における液体の押し込み圧を十分に確保するために延長流路20を設けることもできる。このとき、減圧部15を含めた全体の圧力損失を算出したうえで、気液混合槽23内で液体と気体を加圧するのに必要な押し込み圧と、全体の圧力損失との差を算出し、さらにこの差の分だけ圧力損失が生じるように流路長さを調整した延長流路20を、流路16に付加する。押し込み圧の確保には、絞り部などを設けることも考えられるが、絞り部などで押し込み圧を調整する場合には、急激な圧力変化により気泡が崩壊するおそれがある。これに対して、上記延長流路20を設けた場合には、気泡を安定化させたまま気液混合液を吐出することができる。
上記したように、本例の機能液生成装置にあっては、加圧部11をなす気液混合槽23にまで液体を圧送し、圧送された液体に対して気体供給部12から供給した気体を注入する。そして、気体が注入された液体を、0.17MPa/sec以上の加圧速度ΔP1/t(ΔP1:圧力増加量、t:時間)で加圧し、液体の圧力を0.15MPa以上にする。すなわち、気液混合槽23から脱気泡部14へ送り出される際の液体の圧力は0.15MPa以上になっている。その後、脱気泡部14で気液混合液中のナノサイズを超える気泡を取り除き、さらに該液体を減圧部15および下流側の流路16に送りながら最高減圧速度2000MPa/sec以下の減圧速度ΔP2/t(ΔP2:減圧量、t:時間)で徐々に大気圧まで減圧する。この工程により、所望のナノバブルが高濃度で且つ安定的に存在した気液混合液を生成することができる。
以下においては、0.12MPa以上の圧力の気体からなるナノバブルが存在する気液混合液の一例として、液体として純水を用い、気体として窒素、水素、メタン、アルゴン、二酸化炭素のいずれかを用いた場合の気液混合液中における[気体量]、[気泡のサイズ]、[気泡の内圧]、[水素結合の距離]、[気泡の分布量]、[気液混合液の安定性]の各特性を、図6〜図10に基づいて順に詳述する。
[気体量]
液体として純水を、気体として窒素、水素、メタン、アルゴン、二酸化炭素のいずれかを使用した気液混合液中に、気泡として存在する気体量を次の方法により測定した。
(1)25℃、導電率0.1μS/cmの純水に、各種の気体を混合させ気液混合液を得た。
(2)直径1μm以上の大きな気泡を水から分離するために、気液混合液を25℃で1日静置した。なお、静置時間について、ストークスの法則から
気泡上昇速度: V=d2×g/(18×γ)
(d:気泡直径、g:重力加速度、γ:動粘性係数)
の式が成立し、この式より1μmの気泡の上昇速度は約2.4×10−4m/sであるので、例えば静置時の容器の水深が50mmの場合、1日静置すれば気泡を除去することができる。
(3)最小測定値1mgの分析天秤で気液混合液の質量を測定した。
(4)ガス透過度および透湿度の低いPE+ナイロン樹脂製のビニル袋に気液混合液とスタラーの撹拌子を入れ、空気を追い出して袋に空気が無い状態でシーラーにてビニル袋を密封した。
(5)密封直後に、分析天秤で気液混合液が封入されたビニル袋の質量を測定した。
(6)ホットスタラーにより25℃の気液混合液が密封されたビニル袋を45℃に昇温して気液混合液を約5時間撹拌した。この昇温と撹拌により、微細気泡や、45℃の飽和溶解濃度以上で溶解していた気体が気液混合液から分離されビニル袋の上部に集まった。
(7)室温25℃の条件でホットスタラーの設定温度を25℃にし、25℃の飽和溶解度の液体になるよう数時間撹拌を行った。
(8)分析天秤で、気体と液体が封入されたビニル袋の質量を測定した。
(9)計3回の質量測定から気液混合液の質量と、昇温および撹拌によって気液混合液から分離された気体による浮力によって生じる液体の質量変化量とを得た。質量変化量は、気液混合液から分離された気体容積と同容積の空気の質量と同じであり、この値から分離された気体の容量と質量を算出することができる。
液体として純水を、気体として窒素、水素、メタン、アルゴン、二酸化炭素のいずれかを使用した気液混合液中に、気泡として存在する気体量を次の方法により測定した。
(1)25℃、導電率0.1μS/cmの純水に、各種の気体を混合させ気液混合液を得た。
(2)直径1μm以上の大きな気泡を水から分離するために、気液混合液を25℃で1日静置した。なお、静置時間について、ストークスの法則から
気泡上昇速度: V=d2×g/(18×γ)
(d:気泡直径、g:重力加速度、γ:動粘性係数)
の式が成立し、この式より1μmの気泡の上昇速度は約2.4×10−4m/sであるので、例えば静置時の容器の水深が50mmの場合、1日静置すれば気泡を除去することができる。
(3)最小測定値1mgの分析天秤で気液混合液の質量を測定した。
(4)ガス透過度および透湿度の低いPE+ナイロン樹脂製のビニル袋に気液混合液とスタラーの撹拌子を入れ、空気を追い出して袋に空気が無い状態でシーラーにてビニル袋を密封した。
(5)密封直後に、分析天秤で気液混合液が封入されたビニル袋の質量を測定した。
(6)ホットスタラーにより25℃の気液混合液が密封されたビニル袋を45℃に昇温して気液混合液を約5時間撹拌した。この昇温と撹拌により、微細気泡や、45℃の飽和溶解濃度以上で溶解していた気体が気液混合液から分離されビニル袋の上部に集まった。
(7)室温25℃の条件でホットスタラーの設定温度を25℃にし、25℃の飽和溶解度の液体になるよう数時間撹拌を行った。
(8)分析天秤で、気体と液体が封入されたビニル袋の質量を測定した。
(9)計3回の質量測定から気液混合液の質量と、昇温および撹拌によって気液混合液から分離された気体による浮力によって生じる液体の質量変化量とを得た。質量変化量は、気液混合液から分離された気体容積と同容積の空気の質量と同じであり、この値から分離された気体の容量と質量を算出することができる。
図6は、このようにして測定された気体容量を示すグラフである。各棒グラフの下部領域は、測定された気泡として存在していた気体の量であり、上部領域はヘンリー則に従う気体の飽和溶解量である。グラフに示すように、例えば水素と水を用いた気液混合液の場合、25℃の純水1Lに水素が、飽和溶解量として17.6mL溶解し、528mLの気体が微細な気泡として存在することが確認された。すなわち、気液混合液に含有する気体量は過飽和溶解量の約30倍であった。また同様に、過飽和溶解量に対して気液混合液に含有する気体量は、窒素では約36倍、メタンでは約17倍、アルゴンでは約16倍、二酸化炭素では約1.9倍であった。このように、ナノバブルを有する気液混合液は、飽和溶解濃度以上の高濃度で気体を液体中に保持することが可能である。
[気泡のサイズ]
上記と同様にして製造した気液混合液を瞬間凍結し、真空中においてカッターで割断し、その割断面にメタン・エチレンを流し放電させ、凹凸を転写した炭化水素膜(レプリカ膜)を作製した。このレプリカ膜に導電性オスミウム薄膜を張り、十分乾燥させて、走査型電子顕微鏡(SEM)で観測した。図7は、窒素と純水の気液混合液について、SEMにより観測された写真の第1例である。同様に写真観察することにより、気体として窒素、水素、メタン、アルゴン、二酸化炭素を用いた場合、いずれも気液混合液の気泡サイズは、直径の分布ピークが100nmであることが確認された。なお、上記の気体と純水の気液混合液の気泡はレーザーを用いた動的散乱法等の粒子径分布測定装置では正確な検知ができなかった。
上記と同様にして製造した気液混合液を瞬間凍結し、真空中においてカッターで割断し、その割断面にメタン・エチレンを流し放電させ、凹凸を転写した炭化水素膜(レプリカ膜)を作製した。このレプリカ膜に導電性オスミウム薄膜を張り、十分乾燥させて、走査型電子顕微鏡(SEM)で観測した。図7は、窒素と純水の気液混合液について、SEMにより観測された写真の第1例である。同様に写真観察することにより、気体として窒素、水素、メタン、アルゴン、二酸化炭素を用いた場合、いずれも気液混合液の気泡サイズは、直径の分布ピークが100nmであることが確認された。なお、上記の気体と純水の気液混合液の気泡はレーザーを用いた動的散乱法等の粒子径分布測定装置では正確な検知ができなかった。
[気泡の内圧]
気液混合液中の気体総量から、気泡内部の圧力を算出した。以下の表1は、窒素、メタン、またはアルゴンと25℃の純水との気液混合液における、気体総量と、気体総量から算出した気泡の内圧を示している。
気液混合液中の気体総量から、気泡内部の圧力を算出した。以下の表1は、窒素、メタン、またはアルゴンと25℃の純水との気液混合液における、気体総量と、気体総量から算出した気泡の内圧を示している。
ここでの気泡における気体の内部圧力は、次の方法で算出される。
気体の状態方程式は、
PV/T=(const)
(P:内部圧力、V:容積、T:内部温度)
で表され、Tが一定の場合、特に
PV=(const)
で表される。
気体の状態方程式は、
PV/T=(const)
(P:内部圧力、V:容積、T:内部温度)
で表され、Tが一定の場合、特に
PV=(const)
で表される。
そして、気液混合液の密度から気液混合液中の気泡の容積が計算でき、上式から、
大気圧 × 気体総体積量 = 気泡の内圧 × 液中の気体総体積量
の関係が成立し、この関係式に上記で測定した気体量を当てはめて気泡における気体の内圧が計算され、表1のような圧力値となる。
大気圧 × 気体総体積量 = 気泡の内圧 × 液中の気体総体積量
の関係が成立し、この関係式に上記で測定した気体量を当てはめて気泡における気体の内圧が計算され、表1のような圧力値となる。
例えば気体が窒素の場合、気液混合液1リットル中における、水体積がw1リットル、水中での気体体積がw2リットルであると仮定すると、体積については次の関係式が成り立つ。
w1 + w2 =1リットル (式A)
また、質量については次の関係式が成り立つ。
また、質量については次の関係式が成り立つ。
w1 × 水の密度 + w2÷22.4(リットル)×28(分子量)=測定質量 (式B)
水の密度 :常温常圧の純水では997.1g/L
22.4リットル :気体1モルの体積
測定質量 :表1の値で988.3
上記の2式(式A,B)の方程式を解くと、
w2=8.84×10^(-3) が算出されるので、
気体の内圧=大気圧 × 気体総体積量 ÷ 液中の気体総体積量
=0.1×(表1の値)÷w2
=0.1×0.56÷(8.84×10^(-3))
=6.3MPa
となる。
水の密度 :常温常圧の純水では997.1g/L
22.4リットル :気体1モルの体積
測定質量 :表1の値で988.3
上記の2式(式A,B)の方程式を解くと、
w2=8.84×10^(-3) が算出されるので、
気体の内圧=大気圧 × 気体総体積量 ÷ 液中の気体総体積量
=0.1×(表1の値)÷w2
=0.1×0.56÷(8.84×10^(-3))
=6.3MPa
となる。
なお、上記の計算では、気泡の内部温度が一定(常温)であるとして考えたが、実際の気泡の内部温度については大気の温度(常温)より高いことも予想され、その場合、気泡の内部圧は上記算出結果より更に高いことが気体の状態方程式から予測できる。
ところで、一般には、気泡の内圧は次のようにして算出される。気泡は気液相界面間の界面張力により加圧され、この界面張力はヤングラプラスの式(下記式)で導かれる。
ΔP=2σ/r
(ΔP:上昇圧力、σ:表面張力、r:気泡半径)
この式によれば、例えば、直径100nmのサイズの気泡の場合、気泡内部圧力は3MPaになる。
(ΔP:上昇圧力、σ:表面張力、r:気泡半径)
この式によれば、例えば、直径100nmのサイズの気泡の場合、気泡内部圧力は3MPaになる。
一方、気液混合液中の内部圧力は、表1の通り、例えば窒素の場合6.3MPaであり、この気液混合液はSEM写真にて示されるように直径100nmサイズの気泡が分散しているものであることから、気液混合液の気泡は、ヤングラプラスの式から算出される値の約2倍以上の内部圧力を有していることが確認された。したがって、より強固な界面構造が気泡界面において形成されていると結論づけられる。
図8は、気液混合液が安定化されるメカニズムを説明する概念説明図である。図示のように、気泡Bと液体Lqの界面には、水素結合距離が通常よりも短い氷やハイドレートのような強固な水分子の結合で境膜構造(結晶構造体)の保護膜Mが形成されており、気液相互の物質移動が阻止されて気泡が安定な状態になったものと考えられる。そして、窒素、メタン、アルゴンの気液混合液内の気泡(ナノバブル)の内圧は、ヤングラプラスの式から求められる圧力よりも約2倍以上である。このように気泡界面の水素結合距離が短く、気泡の内圧が高くなることによって、気泡が安定した気液混合液となるのである。
[水素結合の距離]
図9は、液体として純水、気体として窒素を使用した気液混合液(窒素混合水)と、窒素が純水に飽和溶解濃度で溶解した窒素飽和水との赤外吸収スペクトルとの差分を示すグラフである。水のOH収縮振動による赤外吸収帯としては通常3400cm−1付近に吸収極大があることが知られているが、グラフに示されるようにOH収縮振動の吸収極大が3200cm−1付近にずれている。吸収極大が3400cm−1にある場合、水素結合の距離は0.285nmである。一方、吸収極大が3200cm−1にある場合、水素結合の距離は0.277nmであることが知られており、常温常圧下における通常の水素結合の距離よりも短くなり構造化された氷またはハイドレートに近い水と結論づけられる。
図9は、液体として純水、気体として窒素を使用した気液混合液(窒素混合水)と、窒素が純水に飽和溶解濃度で溶解した窒素飽和水との赤外吸収スペクトルとの差分を示すグラフである。水のOH収縮振動による赤外吸収帯としては通常3400cm−1付近に吸収極大があることが知られているが、グラフに示されるようにOH収縮振動の吸収極大が3200cm−1付近にずれている。吸収極大が3400cm−1にある場合、水素結合の距離は0.285nmである。一方、吸収極大が3200cm−1にある場合、水素結合の距離は0.277nmであることが知られており、常温常圧下における通常の水素結合の距離よりも短くなり構造化された氷またはハイドレートに近い水と結論づけられる。
[気泡の分布量]
気泡の分布量(個数)は表1から算出した。
気泡の分布量(個数)は表1から算出した。
気体が窒素の場合、大気中(0.1MPa)に戻した気泡総量が0.56Lであり、気泡の内圧が6.3MPaであるので、水中での気泡総体積量V1は、等温変化と仮定し、PV=constより
V1=0.56×0.1÷6.3
となる。
V1=0.56×0.1÷6.3
となる。
また、気泡は半径r=50nmの球体であるから、気泡1個当たりの体積V2は
V2=4/3×π×r^3
となる。
V2=4/3×π×r^3
となる。
以上より、水1L当たりの気泡の個数n=V1÷V2=1.7×10^16個と算出される。
同じように水1L当たりの気泡の個数は、気体がメタンの場合は1.8×10^16個、アルゴンの場合は1.7×10^16個と算出される。
[気液混合液の安定性]
図10は、空気を純水に混合させて生成した気液混合液について、ガラスビンに密封し一定温度で保管した場合の、飽和溶解濃度に対する気液混合液中の気体存在量比を過飽和度として表示するグラフである。グラフから、過飽和度は400時間経過しても6であり、ほとんど変化していないことが分かる。よって、本発明の気液混合液が長期間に亘って非常に安定であることが確認された。
図10は、空気を純水に混合させて生成した気液混合液について、ガラスビンに密封し一定温度で保管した場合の、飽和溶解濃度に対する気液混合液中の気体存在量比を過飽和度として表示するグラフである。グラフから、過飽和度は400時間経過しても6であり、ほとんど変化していないことが分かる。よって、本発明の気液混合液が長期間に亘って非常に安定であることが確認された。
このように、機能液生成装置で得ることができる気液混合液は、ナノバブルが液体中に存在しているものであり、ナノバブルを形成する気体の圧力、すなわち内圧は0.12MPa以上である。このように、気泡の内圧は、常温(25℃)において大気圧(1気圧=0.1013MPa)よりも十分に高いものであり、気泡が高い内部圧で維持されることになる。そのため、強固な界面構造を気泡界面において形成することができ、気泡を液体中で消滅させたり合体させたりすることなく、安定に存在させることができる。また、このナノバブル中の気体の圧力は、外部からの衝撃がない限り長期間に亘って液体からの押圧との均衡を保つものであるから、ナノバブルが安定に存在した気液混合液を長期間に亘って利用することが可能になる。なお、気液混合液に一旦衝撃が加えられると、内部圧の力によりナノバブルが合体して発泡するため、この発泡を利用することもできる。
つまり、機能液生成装置で生成するナノバブルは、従来の表面張力で安定している気泡とは異なるものである。
ナノバブルを形成する気体の圧力を、ヤングラプラスの式で与えられる気泡の内圧より高い圧力にすることで、より強固な界面構造を確実に形成することができる。また、ナノバブルを有する気液混合液においては、該気液混合液に含有される気体の濃度を、液体の飽和溶解濃度以上にすることができる。これにより、液体中に含有された高濃度の気体を利用することができ、気液混合液の利用価値を高めることができる。
なお、気液混合液としては、液体中には飽和溶解量の気体が溶解しており、その飽和溶解液にナノバブルが存在しているものとすることがさらに好ましい。飽和溶解量で気体が溶解していれば、気泡となった気体を溶解させることなく安定化して気泡として液体中に保持することがより可能となる。すなわち、飽和溶解量以上に気体が存在する気液混合液は、液体中に飽和濃度で気体が溶解しており、気泡が崩壊したり溶解したりすることがなく、より安定に気泡を液体中に存在させることができるのである。さらに、ナノバブルを形成する気体の溶解濃度が、飽和溶解濃度であれば、気泡を形成する気体の圧力が高くなって気泡界面の構造が強固になるので、さらにナノバブルを安定化することができ、また、各種の活性(生理活性、洗浄力等)の作用が強力になって、利用価値をさらに上げることもできる。
また、ナノバブルは非常に微細なものであるから、気泡の内部圧を安定化することや、高濃度の気体を液体中に保持することが可能となる。また、ナノバブルには浮力が働かないため、気泡を長期に亘って安定に存在させることができる。この範囲より気泡が小さくても大きくても、気泡を安定化させることができなくなるおそれがある。ところで、マイクロバブルが混合された液体は白濁するため目視により判別可能であるが、ナノバブルが混合された液体は無色透明(あるいは液体が有色の場合は液体の色)となる。
気液混合液に用いる液体としては、水素結合を形成する分子からなる液体であることが好ましく、その際、液体のナノバブルとの界面に存在する分子の水素結合の距離が、該液体が常温常圧(25℃、1気圧(0.1013MPa))であるときの水素結合の距離よりも短くなることが好ましい。水素結合とは、電気陰性度の大きい原子と水素原子とを有している分子において、水素原子が他の分子の電気陰性度の大きい原子に接近し、系が安定化する結合のことである。そして、この場合、気液混合液を形成する液体中に存在するナノバブルの周囲、すなわち気泡界面においては、液体の水素結合の距離が、この液体の常温常圧での水素結合の距離よりも短いものとなるのである。
このように、気液混合液が常温常圧の条件で存在する場合において、気泡界面における水素結合の距離が常温常圧での通常の水素結合の距離よりも短くなることにより、ナノバブルの周囲を強固な水素結合を形成した液体分子で取り囲むことになる。そして、この水素結合を形成した液体分子は強固な殻となってナノバブルを包み込む。それによって、ナノバブル同士が衝突しても崩壊することが防止される。また、液体からの圧力に対してナノバブル内部からの応力で対抗できるので、ナノバブルを液体中で消滅させたり合体させたりすることなく保持することができるものである。
ナノバブルとの界面における液体分子の水素結合の距離は、用いる液体によって適宜設定され得るものであるが、常温常圧での水素結合の距離を100%とした場合に、99%以下であることが好ましい。水素結合の距離がこの範囲になることで、ナノバブルを水素結合の硬い殻で取り囲んで安定化させることができる。水素結合の距離がこれより長いと、ナノバブルを安定化させて存在させることができなくなるおそれがある。原子間距離を考慮すると、水素結合の距離の下限は95%である。
ところで、水素結合の距離が短くなると、通常、水が氷になるように固体やハイドレート結晶構造へと状態変化するのだが、上記の気液混合液においては、気泡界面において局所的に距離の短い水素結合を形成し、それ以外の液体中は通常の水素結合を形成している。すなわち、気泡界面では距離の短い水素結合により液体分子の硬い殻を形成して、ナノバブル同士が合体することや消滅することを防止すると共に、気泡界面以外では通常の状態で液体が存在して常温常圧では流動性を確保している。これにより、安定なナノバブルが存在している液体を利用しやすくなっている。
また、気液混合液に用いる液体を水とした場合、水分子により、ナノバブルの界面において該ナノバブルの内部圧を吸収する強固な界面構造を形成することができ、ナノバブルをより安定化させることができる。このとき、機能液はすなわち機能水となる。水分子は、O…Hの水素結合、つまり、ある水分子の酸素原子と他の水分子の水素原子との間に水素結合を形成するものであり、したがって、気液混合液の液体として水を用いると、気泡界面において液体中のこの水素結合が強固になってナノバブルをより安定化させることができる。さらにいえば、水は供給源が豊富で安定して得ることができ、加えて、ナノバブルが分散した水は応用範囲が広いため、利用価値の高い気液混合液を得ることができる。水としては純度の高い水に限られず、上下水道、池、海水などをはじめ、あらゆる水を使用することが可能である。すなわち、液体として水を含むものであればよい。
また、液体については、O−H結合、N−H結合、F−H結合やCl−H結合などの(ハロゲン)−H結合、S−H結合のいずれか一種以上を有する分子からなる液体であることも好ましい。これらの液体によりナノバブルの界面において該ナノバブルの内部圧を吸収する強固な界面構造を形成することができ、ナノバブルをより安定化させることができる。また、これらの液体は、水素原子に対して電気陰性度が十分に大きい原子と水素原子との結合を有する液体であり、O−H…O、N−H…N、F−H…FやCl−H…Clなどの(ハロゲン)−H…(ハロゲン)、S−H…Sといった水素結合を形成し、この水素結合によりナノバブルを取り囲んで安定化させることができる。O−H結合を有する代表的な液体は水であるが、その他、過酸化水素や、メタノール、エタノールなどのアルコール、グリセリンなども挙げられる。また、N−H結合を有する液体としては、アンモニアなどが挙げられる。また、(ハロゲン)−H結合を有するものとしては、F−H結合を有するHF(フッ化水素)、Cl−H結合を有するHCl(塩化水素)が挙げられる。S−H結合を有するものとしては、H2S(硫化水素)が挙げられる。
また、液体が、カルボキシル基を有する分子からなる液体であることも好ましい。これにより、カルボキシル基を有する液体により、ナノバブルの界面において該ナノバブルの内部圧を吸収する強固な界面構造を形成することができ、ナノバブルをより安定化させることができる。また、カルボキシル基には、電気陰性度が大きいカルボニルの酸素原子が存在しており、カルボキシル基中のカルボニルの酸素原子と他のカルボキシル基中の水素原子とが水素結合を形成してナノバブルを取り囲むので、安定にナノバブルが存在した気液混合液が得られるのである。カルボキシル基を有する分子からなる液体としては、ギ酸、酢酸などのカルボン酸などが挙げられる。
また本発明において得られる気液混合液では、液体として水を用いた場合にゼータ電位がマイナスとなり、体積1cm3中に存在する気泡界面の面積は0.6m2程度となる。このような特性を利用することも可能である。
上述したように、本例の機能液生成装置によれば、有効成分を含む気体を飽和溶解度を超える量で液体中に存在させておくことが可能となる。また、ナノメータサイズの微細な気泡に浮力が働かないことから、有効成分を含む気泡を液体中に長期間に亘って安定に存在させることができる。そして、有効成分を発生させるための放電箇所として加圧部11を利用することで、比較的低電圧であっても有効成分を高濃度で生成することが可能となっている。
つまり、有効成分を非常に高濃度に且つ安定的な状態で含んだ状態の機能液を、要するエネルギを低減したうえで効率的に創り出すことが可能となるのである。
図11には、本発明の実施形態における第2例の機能液生成装置の要部を示している。第2例においては、放電部3として図示のようなマイクロプラズマ発生装置30を用いている点で第1例と相違し、他の点については第1例と同様の構成である。したがって、以下においては放電部3をなすマイクロプラズマ発生装置30の構成についてのみ詳述する。
上記マイクロプラズマ発生装置30は、装置全体の外殻を成す本体ケース(図示せず)の外面に吸入口32と吐出口33を開口させ、該本体ケース内に、吸入口32と吐出口33を連通する風路34を貫通形成したものである。風路34内には送風部35を上流側に配置し、放電発生部36を下流側に配置している。送風部35は送風ファンから成り、該送風ファンを回転駆動させることで気液混合槽23内にある加圧気体を吸入口32から風路34内に導入して吐出口33から吐出する。
放電発生部36は、図示のようなホローカソード型のものであって、板状の絶縁スペーサ37の厚み方向の両側に、同じく板状である金属製の電極部38を密着配置することで、絶縁スペーサ37を一対の電極部38で挟持した構造となっている。一対の電極部38は電圧印加部4を介して電気接続させており、両電極部38間にパルス状の高電圧が印加されるようになっている。絶縁スペーサ37及び電極部38にはそれぞれ厚み方向に貫通する貫通孔40,49を設けており、絶縁スペーサ37と電極部38の上記密着配置により、絶縁スペーサ37の貫通孔40と両側の電極部38の貫通孔49とが厚み方向に一直線状に連通している。上記貫通孔40,49の孔径は数100μm程度と微小径に設けている。
上記構成から成るマイクロプラズマ発生装置30においては、送風部35によって風路34内に加圧気体を導入して放電発生部36に向けて送風するとともに、電圧印加部4によって放電発生部36の電極部38間に高電圧を印加させる。この高電圧印加により、放電発生部36に設けた絶縁スペーサ37の貫通孔40内で放電が開始され、該貫通孔40内にマイクロメータサイズの微小なプラズマ(以下「マイクロプラズマ」という。)が高密度で生成される。上記貫通孔40内のマイクロプラズマ放電により、コロナ放電と比較して高密度で有効成分が生成される。つまり、本例においては、数100μm程度の孔径を有する上記貫通孔40により、絶縁スペーサ37に沿った微小な放電空間Sを形成し、該放電空間S内にてマイクロプラズマ放電を生じさせている。
送風部35によって下流側の放電発生部36に向けて送られた加圧気体は、放電発生部36の貫通孔40,49内にまで一直線状に導入される流れと、放電発生部36の周囲を迂回する流れとに分流される。放電発生部36の貫通孔40,49内に導入された加圧気体は、貫通孔40内に高密度で生成される有効成分を効率よく下流側に搬出させる。また、放電発生部36の周囲を迂回する加圧気体は、上流側の電極部38の平板面及び外周面、下流側の電極部38の外周面及び平板面に沿って回り込むように流下し、両電極部38の熱を効率よく奪いながら流下する。
分岐した上記流れは放電発生部36の下流側にて合流し、合流後の十分な流量を伴ったうえで吐出口33を通じて吐出される。この吐出風に乗って、放電発生部36のマイクロプラズマ放電によって大量生成された有効成分は気液混合槽23中に勢い良く吐出される。
このように、上記マイクロプラズマ発生装置30によれば、放電発生部36の電極部38や絶縁スペーサ37を送風により効率的に放熱させながら、放電空間S内のマイクロプラズマ放電により大量の有効成分を生成することができる。しかも、ここで生じた大量の有効成分を送風により効率的に貫通孔40内から下流側に搬送させ、電極部38や絶縁スペーサ37の外面から熱を奪うために分流させた送風と合流させたうえで、十分な風量を伴って外部に吐出させることができる。
なお、第1例の場合と同様にこのマイクロプラズマ発生装置30にあっても、加圧部11である気液混合槽23内の加圧気体中にて放電を生じさせるので、比較的低電圧であってもマイクロプラズマ放電によって有効成分を高濃度で生成することが可能となっている。つまり、マイクロプラズマ放電による有効成分を非常に高濃度に且つ安定的な状態で含んだ状態の機能液を、要するエネルギを低減したうえで効率的に得ることが可能となるのである。
ところで、上記マイクロプラズマ発生装置30としては、電極部38と、電極部38に密着して又は近傍に配置される絶縁スペーサ37とを備え、電極部38に高電圧を印加することで、絶縁スペーサ37に沿って形成される微小な放電空間S内においてマイクロプラズマ放電を生じさせるものであればよく、多様な変形例が適用可能である。
変形例としては、例えば絶縁スペーサ37と電極部38との間に、数100μm程度の略均等な幅で隙間を介在させることが考えられる。この場合、上記微小幅の隙間は、その外周縁部分にて周囲の風路34と連通し、且つ、その中央部分にて絶縁スペーサ37の貫通孔40と連通する構造となる。そして、電圧印加部4によって電極部38に高電圧を印加させると、絶縁スペーサ37の貫通孔40に加えて上記隙間においても、マイクロプラズマ放電が生じる。つまり、この変形例の場合は、上記隙間においても絶縁スペーサ37に沿った微小な放電空間Sが形成され、マイクロプラズマ放電が生じるようになる。
また、他の変形例としては、電極部38を絶縁スペーサ37の上流側と下流側の一方にだけ近接又は密着配置して、放電発生部36を形成することも考えられる。この場合でも、絶縁スペーサ37の貫通孔40において(絶縁スペーサ37と電極部38との間に隙間を設けた場合には更に該隙間においても)、絶縁スペーサ37に沿った微小な放電空間Sが形成され、マイクロプラズマ放電が生じる。
なお、いずれの変形例においても、上流側から放電発生部36に送り込まれる加圧気体が分流され、放電空間Sと電極部38の外周面とを共に通過するように、風路34を形成することが好ましい。これにより、放電空間S内で大量に生成した有効成分を下流側に順次送り出すことと、高温の電極部38を効率的に放熱させることとが共に達成できるので、大量の有効成分を長時間安定して発生および吐出させることが可能となる。
以上、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記各例の実施形態に限定されるものではなく、本発明の意図する範囲内であれば、各例において適宜の設計変更を行うことや、各例の構成を適宜組み合わせて適用することが可能である。
3 放電部
4 電圧印加部
11 加圧部
30 マイクロプラズマ発生装置
37 絶縁スペーサ
38 電極部
S 放電空間
4 電圧印加部
11 加圧部
30 マイクロプラズマ発生装置
37 絶縁スペーサ
38 電極部
S 放電空間
Claims (4)
- 液体中に気体を加圧注入することで該液体にナノメータサイズの気泡が混合した気液混合液を生成する加圧部と、加圧部内にて加圧された気体中に放電を生じさせる放電部と、放電部に高電圧を印加させる電圧印加部とを具備することを特徴とする機能液生成装置。
- 前記気液混合液をなす液体は、水素結合を形成する分子からなる液体であり、該液体の気泡との界面に存在する分子の水素結合の距離が、該液体が常温常圧であるときの水素結合よりも短いことを特徴とする請求項1に記載の機能液生成装置。
- 前記気液混合液をなすナノメータサイズの気泡は、0.12MPa以上の圧力の気体で形成したものであることを特徴とする請求項2に記載の機能液生成装置。
- 前記放電部は、電極部と、電極部に密着して又は近傍に配置される絶縁スペーサとを備え、電極部に電圧を印加することで、絶縁スペーサに沿って形成される微小な放電空間内においてマイクロプラズマ放電を生じさせるマイクロプラズマ発生装置であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の機能液生成装置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2009156109A JP2011011127A (ja) | 2009-06-30 | 2009-06-30 | 機能液生成装置 |
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Cited By (2)
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EP2479737A2 (en) | 2011-01-21 | 2012-07-25 | Icom Incorporated | Target identification device and target movement prediction method |
WO2013088668A1 (ja) * | 2011-12-16 | 2013-06-20 | パナソニック株式会社 | ナノバブル含有液体 |
-
2009
- 2009-06-30 JP JP2009156109A patent/JP2011011127A/ja not_active Withdrawn
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WO2013088668A1 (ja) * | 2011-12-16 | 2013-06-20 | パナソニック株式会社 | ナノバブル含有液体 |
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