JP2011010808A - 超音波診断装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】近距離および遠距離のいずれにおいても高い分解能を有する超音波診断装置を提供する。
【解決手段】超音波診断装置Sは、複数の圧電素子を備えた圧電部と、被検体からの超音波信号を圧電部で変換して生成された、電気信号である受信信号に所定の信号処理を施す信号処理部14とを備え、超音波ビームを形成できる駆動領域は、駆動領域のすべての圧電素子が同位相の超音波信号を送信することで形成される第1送信モードの超音波ビームと、駆動領域が複数の領域に分割され、これら領域の境界では超音波信号を送信せず、かつ境界以外は隣接する領域が互いに位相が反転した超音波信号を送信することで形成される第2送信モードの超音波ビームとを形成でき、信号処理部は、第1送信モードおよび第2送信モードの超音波ビームに対する受信信号を差分処理する。
【選択図】図2

Description

本発明は、超音波を用いて被検体の内部を診断する超音波診断装置に関する。
超音波は、通常、16000Hz以上の音波をいい、非破壊および無害でその内部を調べることが可能なことから、欠陥の検査や疾患の診断等の様々な分野に応用されている。その一つに、被検体内を超音波で走査し、被検体内からの超音波の反射波(エコー)から生成した受信信号に基づいて当該被検体の内部状態を画像化する超音波診断装置がある。この超音波診断装置では、被検体に対して超音波を送受信する超音波探触子が用いられている。この超音波探触子は、圧電現象を利用することによって、送信の電気信号に基づいて機械振動して超音波を発生し、被検体内部で音響インピーダンスの不整合によって生じる超音波の反射波を受けて受信の電気信号を生成する複数の圧電素子を備え、これら複数の圧電素子が例えばアレイ状に2次元配列されて構成されている。
このような超音波診断装置は、受信した超音波信号より超音波画像を生成するが、その方位分解能は、超音波探触子から送信される超音波ビームの幅により決まる。具体的には、超音波ビームの幅が細いほど方位分解能が高い。ここで、超音波ビームの幅を細く絞るためには、超音波信号の周波数を上げる、およびトランスデューサの開口を広げる等の方法が知られている。しかし、超音波信号の周波数を上げようとすると、超音波診断装置自体のハードウェア的な制約が多く、容易に行うことができない。一方、トランスデューサの開口を広げるには、例えば、素子幅を広げる、駆動素子数を増やすといったことで可能であり、比較的に容易に行うことができる。しかし、トランスデューサの開口を広げることで、超音波ビームの焦点近傍のビーム幅は細くなるが、焦点より外れた、特に遠方においては急にビーム幅が広がり、分解能が悪くなるという問題が生じる。また、圧電素子が1次元アレイ配列の場合、エレベーション方向(短手方向)は音響レンズによりビームを絞るため、通常は音軸方向に1つの焦点しか存在しない。したがって、極端に大きな開口でビームを送信すると焦点とそれ以外の分解能の差が大きすぎ、広い描画領域における超音波画像では、均質な画質を得ることが困難である。
そこで、このような問題を解決するために、例えば、特許文献1においては、遠距離および近距離いずれにも焦点が合うような形状の音響レンズが記載されている。また、特許文献2〜4にも、遠距離および近距離において焦点を合わせる技術が記載されている。
特開2004−24464号公報 特開2001−128971号公報 特開2002−119508号公報 特開2001−245889号公報
しかし、上記技術では、十分とはいえなかった。そのため、近距離および遠距離のいずれにおいても細い超音波ビームを形成することができ、それによって、近距離および遠距離のいずれにおいても、より高い分解能を有する超音波診断装置が要望されている。
本発明は、上述の事情に鑑みて為された発明であり、その目的は、近距離および遠距離のいずれにおいても高い分解能を有する超音波診断装置を提供することである。
本発明者は、種々検討した結果、上記目的は、以下の本発明により達成されることを見出した。すなわち、本発明の一態様に係る超音波診断装置は、被検体に超音波信号を送信し、該超音波信号により生じた被検体からの超音波信号を受信する超音波診断装置であって、圧電材料を有し、圧電現象を利用することによって電気信号と超音波信号との間で相互に信号を変換することができる複数の圧電素子を備えた圧電部と、前記被検体からの超音波信号を前記圧電部で変換して生成された、電気信号である受信信号に所定の信号処理を施す信号処理部とを備え、前記圧電部の少なくとも一部であり、超音波ビームを形成できる駆動領域は、該駆動領域のすべての圧電素子が同位相の超音波信号を送信することで形成される第1送信モードの超音波ビームと、前記駆動領域が複数の領域に分割され、これら複数の領域において隣接する領域の境界では超音波信号を送信せず、かつ前記境界以外においては前記隣接する領域が互いに位相が反転した超音波信号を送信することで形成される第2送信モードの超音波ビームとを形成でき、前記駆動領域が前記第1送信モードおよび前記第2送信モードの超音波ビームを順次形成し、前記圧電部は、前記超音波ビームを形成したことでそれぞれ生じる、前記被検体からの超音波信号を電気信号である前記受信信号に変換し、前記信号処理部は、前記第1送信モードおよび前記第2送信モードの超音波ビームに対する受信信号を差分処理する。
これにより、近距離および遠距離のいずれにおいても高い分解能を有する超音波診断装置を実現できるという効果を奏する。また、第2送信モードにおいて、各領域の境界においては超音波信号を送信しないので、境界に生じる応力が弱くなり、圧電部が破損しにくいという効果を奏する。
また、本発明の他の一態様に係る超音波診断装置は、被検体に超音波信号を送信し、該超音波信号により生じた被検体からの超音波信号を受信する超音波診断装置であって、圧電材料を有し、圧電現象を利用することによって電気信号と超音波信号との間で相互に信号を変換することができる複数の圧電素子を備えた圧電部と、前記被検体からの超音波信号を前記圧電部で変換して生成された、電気信号である受信信号に所定の信号処理を施す信号処理部とを備え、前記圧電部の少なくとも一部であり、超音波ビームを形成できる駆動領域は、該駆動領域のすべての圧電素子が同位相の超音波信号を送信することで形成される第1送信モードの超音波ビームと、前記駆動領域が複数の領域に分割され、これら複数の領域において隣接する領域の境界では超音波信号を送信せず、かつ前記境界以外においては前記隣接する領域が互いに位相が反転した超音波信号を送信することで形成される第2送信モードの超音波ビームと、前記駆動領域が前記第2送信モードとは位相が反転した超音波信号を送信することで形成される第3送信モードの超音波ビームとを形成でき、前記駆動領域は、前記第1送信モード、前記第2送信モードおよび前記第3送信モードの超音波ビームを順次形成し、前記圧電部は、前記超音波ビームを形成したことでそれぞれ生じる、前記被検体からの超音波信号を電気信号である前記受信信号に変換し、前記信号処理部は、前記第2送信モードおよび前記第3送信モードの超音波ビームに対する受信信号を加算して1/2を乗じた信号と、前記第1送信モードの超音波ビームに対する受信信号とを差分処理する。
これにより、近距離および遠距離のいずれにおいても高い分解能を有する超音波診断装置を実現できるという効果を奏する。また、第2送信モードにおいて、各領域の境界においては超音波信号を送信しないので、境界に生じる応力が弱くなり、圧電部が破損しにくいという効果を奏する。
また、上述の超音波診断装置において、前記駆動領域において、前記複数の領域に分割された各領域は、対称に配置されていることが好ましい。
これにより、駆動領域の中心位置を通り、超音波ビームの送信方向に沿った位置が超音波ビームの強度が強い箇所となる。
また、上述の超音波診断装置において、前記駆動領域において、前記複数の領域に分割された各領域は、非対称に配置されていることが好ましい。
これにより、超音波ビームの送出位置を各領域が対称配置である場合とは異なった位置とすることができる。
また、前記圧電部は、超音波信号を前記被検体に送信する第1圧電部と、前記第1圧電部から送信された超音波信号に基づいて前記被検体から来た超音波信号を受信して電気信号へと変換する第2圧電部とを備えることが好ましい。
これにより、超音波診断装置は、超音波信号を送信する第1圧電部および超音波信号を受信する第2圧電部を備えているので、第1圧電部を送信用により適したものとすることができると共に、第2圧電部を受信用により適したものとすることができる。したがって、第1圧電部および第2圧電部はそれぞれ送信部および受信部として最適化されることが可能であって、より高精度な画像を得ることが可能となる。
また、上述の超音波診断装置において、前記第2圧電部は、超音波信号の送受信面と前記第1圧電部との間に配置されていることが好ましい。
これにより、第1圧電部および第2圧電部は互いに積層されていることとなり、小型化を図ることができる。
また、上述の超音波診断装置において、前記第1圧電部は、無機材料である前記圧電材料を備え、前記第2圧電部は、有機材料である前記圧電材料を備えていることが好ましい。
これにより、送信パワーを大きくすることが可能な無機圧電材料を第1圧電部に用いると共に、超音波を比較的広い周波数にわたって、受信可能な特性を有する有機圧電材料を用いる第2圧電部が実現される。そのため、送信パワーが大きく、受信周波数帯の広い超音波診断装置を提供することができる。
本発明によれば、近距離および遠距離のいずれにおいても高い分解能を有する超音波診断装置を提供することができる。
本実施形態における超音波診断装置の外観構成を示す図である。 本実施形態における超音波診断装置の電気的な構成を示すブロック図である。 本実施形態の超音波診断装置における超音波探触子の構成を示す図である。 本実施形態に係る第1圧電部の駆動領域から放射される超音波信号について説明する図であって、図4(A)は、第1送信モードにおける超音波信号について説明する図であり、図4(B)は、第2送信モードにおける超音波信号について説明する図である。 2列の圧電素子により構成された圧電部から放射された超音波を音響レンズで焦点を絞り、超音波ビームを形成したときの音圧強度を模式的に示す図であって、図5(A)は、各圧電素子が同位相の超音波信号を放射した場合の音圧強度を示す図であり、図5(B)は、各圧電素子が互いに位相が反転した超音波信号を放射した場合の音圧強度を示す図である。 反射物からの反射波の成分を示したグラフであって、図6(A)は、各圧電素子が同位相の超音波信号を放射した場合の反射波のグラフであり、図6(B)は、各圧電素子が互いに位相が反転した超音波信号を放射した場合の反射波のグラフであり、図6(C)は、差分処理後の反射波のグラフである。 シミュレーションにより求めた2つの圧電素子により構成された圧電部から放射された超音波ビームの音圧強度分布を示す図であって、図7(A)は、各圧電素子が同位相の超音波ビームを放射した場合の音圧強度分布を示す図あり、図7(B)は、各圧電素子が互いに位相が反転した超音波ビームを放射した場合の音圧強度分布を示す図であり、図7(C)は、図7(A)の音圧強度と図7(B)の音圧強度との差による音圧強度分布を示す図である。 非対称な第2送信モードにおける超音波信号について説明する図である。 第3送信モードにおける超音波信号について説明する図である。 本実施形態に係る2次元アレイ状の第1圧電部の駆動領域から放射される超音波信号について説明する第1の図である。 本実施形態に係る2次元アレイ状の第1圧電部の駆動領域から放射される超音波信号について説明する第2の図である。
以下、本発明に係る実施の一形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。
図1は、本実施形態における超音波診断装置の外観構成を示す図である。図2は、本実施形態における超音波診断装置の電気的な構成を示すブロック図である。図3は、本実施形態の超音波診断装置における超音波探触子の構成を示す図である。
超音波診断装置Sは、図1および図2に示すように、図略の生体等の被検体に対して超音波(超音波信号)を送信すると共に、被検体から来た超音波の反射波等を受信する超音波探触子2と、超音波探触子2とケーブル3を介して接続され、超音波探触子2へケーブル3を介して電気信号の送信信号を送信することによって超音波探触子2に被検体に対して超音波を送信させると共に、超音波探触子2で受信された被検体内からの超音波の反射波に応じて超音波探触子2で生成された電気信号の受信信号に基づいて被検体の内部状態を超音波画像として画像化する超音波診断装置本体1とを備えて構成される。
なお、被検体内からの超音波は、被検体内における音響インピーダンスの不整合によって被検体内で超音波信号が反射した反射波だけでなく、例えば微小気泡(マイクロバブル)等の超音波造影剤(コントラスト剤)が用いられている場合には、超音波探触子2から被検体内へ送信された超音波信号に基づいて超音波造影剤の微小気泡で生成される超音波もある。超音波造影剤では、超音波の照射を受けると、前記微小気泡が共振もしくは共鳴し、さらに一定の閾値以上の音圧では崩壊、消滅する。超音波造影剤では、微小気泡の共振によって、あるいは微小気泡の崩壊、消失によって超音波が生じており、その超音波も超音波探触子2により受信される。
超音波診断装置本体1は、例えば、図2に示すように、操作入力部11と、送信部12と、受信部13と、信号処理部14と、画像処理部15と、表示部16と、制御部17とを備えて構成されている。
操作入力部11は、例えば、診断開始を指示するコマンドや被検体の個人情報等のデータを入力するものであり、例えば、複数の入力スイッチを備えた操作パネルやキーボード等である。
送信部12は、制御部17の制御に従って、超音波探触子2へケーブル3を介して電気信号の送信信号を供給して超音波探触子2に超音波を発生させる回路である。送信部12は、例えば、高電圧のパルスを生成する高圧パルス発生器等を備えて構成される。なお、超音波探触子2は、複数の圧電素子を有しているが、通常、そのすべての圧電素子が同時に超音波を発生させるのではなく、任意の領域(駆動領域)に位置する一部の圧電素子が超音波を発生して超音波ビームを形成する。そして、その任意の領域は移動し、移動した各領域に位置する圧電素子は、時間をずらしながら超音波を発生する。すなわち、超音波探触子2からは、時間をずらしながら複数の超音波ビームが送信される(遅延処理)。
そして、本実施形態の送信部12は、同一の駆動領域内に位置する、同時に超音波を発生させる圧電素子において、そのすべての圧電素子について同位相の超音波を発生させる第1送信モードと、それらの圧電素子の一部において互いに位相が反転した2種類の超音波を発生させ、残りの圧電素子は超音波を発生させない第2送信モードとを連続に発生させる。なお、駆動領域とは、第1圧電部221の一部であり、各送信モードの超音波ビームを形成するための複数の圧電素子を含む領域である。つまり、駆動領域内に設置された圧電素子によって、各送信モードの各超音波ビームが形成される。
受信部13は、制御部17の制御に従って、超音波探触子2からケーブル3を介して電気信号の受信信号を受信する回路であり、この受信信号を信号処理部14へ出力する。受信部13は、例えば、受信信号を予め設定された所定の増幅率で増幅する増幅器、および、この増幅器で増幅された受信信号をアナログ信号からディジタル信号へ変換するアナログ−ディジタル変換器等を備えて構成される。
信号処理部14は、制御部17の制御に従って、所定の信号処理を施す回路である。より具体的には、上記2つの送信モードにより得られた2種類の反射受信信号を処理する回路であり、その信号処理した反射受信信号を画像処理部15へ出力する。信号処理部14は、例えば、受信部13から出力された受信信号(異なる送信モードによる反射受信信号)を記憶する例えばRAM(Random Access Memory)等の記憶回路と、この記憶回路に記憶された反射受信信号を信号処理する例えばマイクロプロセッサ等の演算回路とを備えて構成される。なお、反射受信信号とは、圧電部22より被検体に送信された超音波信号に基づいて生じた超音波信号を圧電部22により受信して電気信号に変換して得られた信号である。このような送信超音波信号に基づいて生じた超音波信号には、被検体内での反射波だけでなく、上述したように、例えば超音波造影剤が用いられている場合には、超音波造影剤の微小気泡で生成される超音波も含まれる。また、信号処理部14は、信号処理されて、異なる送信モードによる反射受信信号をもとに得られた反射受信信号が入力される受信ビームフォーマ等を備えることとすればよい。受信ビームフォーマは、上述したように、遅延処理されて送信された各超音波ビームにより生じた、被検体から来た超音波信号の遅延時間を考慮して、受信信号をいわゆる整相加算する。
画像処理部15は、制御部17の制御に従って、信号処理部14で信号処理された反射受信信号に基づいて例えばハーモニックイメージング技術等を用いて被検体の内部状態の画像(超音波画像)を生成する回路である。表示部16は、制御部17の制御に従って、画像処理部15で生成された被検体の内部状態の画像を表示する装置である。表示部16は、例えば、CRTディスプレイ、LCD、有機ELディスプレイおよびプラズマディスプレイ等の表示装置やプリンタ等の印刷装置等である。
制御部17は、例えば、マイクロプロセッサ、記憶素子およびその周辺回路等を備えて構成され、これら操作入力部11、送信部12、受信部13、信号処理部14、画像処理部15および表示部16を当該機能に応じてそれぞれ制御することによって超音波診断装置Sの全体制御を行う回路である。
超音波探触子(超音波プローブ)2は、例えば、図3に示すように、音響制動部材21と、圧電部22と、音響整合層23と、音響レンズ24とを備えて構成される。なお、図3に示す超音波探触子2は1次元アレイ配列であり、紙面に対して垂直方向がアジマス方向(長手方向)であり、図3において左右方向がエレベーション方向(短手方向)である。
音響制動部材21は、超音波を吸収する材料から構成された平板状の部材であり、圧電部22から音響制動部材21方向へ放射される超音波を吸収するものである。
圧電部22は、圧電材料を備えて成り、圧電現象を利用することによって電気信号と超音波信号との間で相互に信号を変換するものである。圧電部22は、超音波診断装置本体1の送信部12からケーブル3を介して入力された送信の電気信号を超音波信号へ変換してこの超音波信号を送信すると共に、受信した超音波信号を電気信号へ変換してこの電気信号(受信信号)を、ケーブル3を介して超音波診断装置本体1の受信部13へ出力する。超音波探触子2が被検体に当てられることによって圧電部22で生成された超音波信号が被検体内へ送信され、被検体内からの超音波の反射波が圧電部22で受信される。
圧電部22は、例えば、本実施形態では、圧電材料を備えて成り、圧電現象を利用することによって電気信号と超音波信号との間で相互に信号を変換することができる第1および第2圧電部221、223を備え、第1および第2圧電部221、223は、互いに積層されている。本実施形態では、第1および第2圧電部221、223は、中間層222を介して互いに積層されている。この中間層222は、第1圧電部221と第2圧電部223とを積層するための部材であり、第1圧電部221と第2圧電部223との音響インピーダンスを整合させるものである。このように圧電部が2層の第1および第2圧電部221、223を備えるので、その一方を、例えば、第1圧電部221を、超音波信号を送信する超音波送信部に用いると共に、その他方を、例えば、第2圧電部223を、超音波信号を受信する超音波受信部に用いることができる。このため、超音波送信部の第1圧電部221を送信用により適したものとすることができると共に、超音波受信部の第2圧電部223を受信用により適したものとすることができる。したがって、第1および第2圧電部221、223がそれぞれ超音波送信部および超音波受信部として最適化が可能となり、より高精度な画像を得ることが可能となる。さらに、第1および第2圧電部221、223が積層されているので、小型化が可能となる。
また、本実施形態では、例えば、圧電部22における第1圧電部221は、無機圧電材料を備えて構成されており、この無機圧電材料から成る所定の厚さの圧電体における両面に一対の電極を備えて構成されている。この圧電体の厚さは、例えば、送信すべき超音波の周波数や無機圧電材料の種類等によって適宜に設定される。無機圧電材料は、例えば、いわゆるPZT、水晶、ニオブ酸リチウム(LiNbO)、ニオブ酸タンタル酸カリウム(K(Ta,Nb)O)、チタン酸バリウム(BaTiO)、タンタル酸リチウム(LiTaO)およびチタン酸ストロンチウム(SrTiO)等である。本実施形態では、このように送信パワーを大きくすることが可能な無機圧電素子が第1圧電部221に用いられている。
そして、本実施形態では、例えば、圧電部22における第2圧電部223は、有機圧電材料を備えて構成されており、この有機圧電材料から成る所定の厚さの圧電体における両面に一対の電極を備えて構成されている。この圧電体の厚さは、例えば、受信すべき超音波の周波数や有機圧電材料の種類等によって適宜に設定されるが、例えば、中心周波数8MHzの超音波を受信する場合では、この圧電体の厚さは、約50μmである。有機圧電材料は、例えば、フッ化ビニリデンの重合体を用いることができる。また例えば、有機圧電材料は、フッ化ビニリデン(VDF)系コポリマを用いることができる。このフッ化ビニリデン系コポリマは、フッ化ビニリデンと他の単量体との共重合体(コポリマ)であり、他の単量体としては、3フッ化エチレン、テトラフルオロエチレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)、パーフルオロアルコキシエチレン(PAE)およびパーフルオロヘキサエチレン等を用いることができる。フッ化ビニリデン系コポリマは、その共重合比によって厚み方向の電気機械結合定数(圧電効果)が変化するので、例えば、超音波探触子の仕様等に応じて適宜な共重合比が採用される。例えば、フッ化ビニリデン/3フッ化エチレンのコポリマの場合では、フッ化ビニリデンの共重合比は60mol%〜99mol%とすることが好ましく、有機圧電素子を無機圧電素子に積層する複合素子の場合では、フッ化ビニリデンの共重合比は85mol%〜99mol%とすることがより好ましい。また、このような複合素子の場合では、他の単量体は、パーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)、パーフルオロアルコキシエチレン(PAE)およびパーフルオロヘキサエチレンが好ましい。また例えば、有機圧電材料は、ポリ尿素を用いることができる。このポリ尿素の場合では、蒸着重合法で圧電体を作成することが好ましい。ポリ尿素用のモノマとして、一般式、HN−R−NH構造を挙げることができる。ここで、Rは、任意の置換基で置換されてもよいアルキレン基、フェニレン基、2価のヘテロ環基、ヘテロ環基を含んでもよい。ポリ尿素は、尿素誘導体と他の単量体との共重合体であってもよい。好ましいポリ尿素として、4,4’−ジアミノジフェニルメタン(MDA)と4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)を用いる芳香族ポリ尿素を挙げることができる。本実施形態では、このように超音波を比較的広い周波数に亘って受信可能な特性を持つ有機圧電素子が第2圧電部223に用いられている。
また、本実施形態では、圧電部22の第1圧電部221は、超音波診断装置本体1の送信部12からケーブル3を介して電気信号が入力され、この電気信号を超音波信号へ変換し、この変換した超音波信号を中間層222、第2圧電部223、音響整合層23および音響レンズ24を介して被検体へ送信する。そして、圧電部22の第2圧電部223は、超音波信号が音響レンズ24および音響整合層23を介して被検体から受信され、この受信された超音波信号を電気信号へ変換し、この変換した電気信号を受信信号としてケーブル3を介して超音波診断装置本体1の受信部13へ出力する。本実施形態では、上述したように第1圧電部221が無機圧電素子であり、送信パワーを比較的簡単な構造で大きくすることが可能となるため、このような圧電部22を備えた超音波探触子2は、高調波のエコーを得るために比較的大きなパワーで基本波の超音波信号を送信することが必要なハーモニックイメージング技術に好適であり、より高精度な超音波画像の提供が可能となる。そして、本実施形態では、上述したように第2圧電部223が有機圧電素子であり、周波数帯域を比較的簡単な構造で広帯域にすることが可能となるため、このような圧電部22を備えた超音波探触子2は、高調波の超音波信号を受信することが必要なハーモニックイメージング技術に好適であり、より高精度な超音波画像の提供が可能となる。
そして、本実施形態では、圧電部22における第1および第2圧電部221、223は、第1圧電部221上に第2圧電部223が積層され、第2圧電部223の前方に超音波信号の送受信面が在る。より具体的には、第1圧電部221上に中間層222を介して第2圧電部223が積層されている。
また、第1圧電部221は、複数の圧電素子を備えて構成されている。これら複数の圧電素子は、アジマス方向に沿って、ライン上に一列に配列された構成(1次元アレイ配列)とされてもよいが、互いに所定の間隔を空けて平面視にて線形独立な2方向に、例えば、互いに直交する2方向にm行×n列で配列する2次元アレイ状に音響制動部材21上に配列されて構成されていてもよい(m、nは、正の整数である)。なお、1次元アレイ配列の場合は、アジマス方向とは直交する方向であるエレべーション方向に、互いに平行となるように並んで、一列に配列された圧電素子が数列程度、配置されていてもよい。また、これら複数の圧電素子の相互干渉を低減するために、これら複数の圧電素子間に、超音波を吸収する音響吸収材が充填されてもよい。この音響吸収材によって各圧電素子間におけるクロストークの低減が可能となる。
また、第2圧電部223は、単一の圧電素子から構成されてもよいが、本実施形態では、複数の圧電素子を備えて構成されている。これら複数の圧電素子は、アジマス方向に沿って、ライン上に一列に配列された構成(1次元アレイ配列)とされてもよいが、互いに所定の間隔を空けて平面視にて線形独立な2方向に、例えば、互いに直交する2方向にp行×q列で配列する2次元アレイ状に中間層222上に配列されて構成されていてもよい(p、qは、正の整数である)。なお、1次元アレイ配列の場合は、アジマス方向とは直交する方向であるエレべーション方向に、互いに平行となるように並んで、一列に配列された圧電素子が数列程度、配置されていてもよい。
このような第2圧電部223は、例えば、所定の厚さを持った平板状の有機圧電材料から成る圧電体と、この圧電体の一方主面に形成された互いに分離した複数の電極(素電極)と、この圧電体の他方主面に略全面に亘って一様に形成された電極層とを備えて構成されたシート状の有機圧電素子であってもよい。このように複数の素電極が圧電体の一方主面に形成されることによって、この有機圧電素子は、1個の素電極と圧電体と電極層とから成る圧電素子を複数備えることができ、これら各圧電素子が個別に動作することができる。このような有機圧電素子における複数の圧電素子は、個別に機能させるために無機の圧電素子のように個々に分離する必要がなく、一体的なシート状で構成することが可能である。したがって、この有機圧電素子の製造工程において、有機圧電材料から成るシート状の板状体に溝(間隙、隙間、ギャップ、スリット)を形成する工程が必要なく、有機圧電素子の製造工程がより単純化され、より少ない工数で有機圧電素子を形成することが可能となる。また、このような有機圧電素子は、一体的なシート状で構成されているので、その複数の圧電素子の各特性は、略均一となり、素子ピッチを含めてばらつきが少なくなり、より高精度な超音波画像の提供が可能となる。
また、第1圧電部221の圧電素子の個数と第2圧電部223の圧電素子の個数とは、同一でもよいが、異なっていてもよい。例えば、第2圧電部223の圧電素子の個数が第1圧電部221の圧電素子の個数より多くてもよい。このように構成されることにより、第1圧電部221における1個の圧電素子のサイズ(大きさ)を大きくすることが可能となり、その送信パワーを大きくすることができると共に、第2圧電部223の圧電素子の個数を多くすることが可能となり、その受信分解能を向上することが可能となる。
そして、音響整合層23は、圧電部22の音響インピーダンスと被検体の音響インピーダンスとの整合をとる部材である。より具体的には、本実施形態では、音響整合層23は、第1圧電部221の音響インピーダンスと被検体の音響インピーダンスとの整合をとると共に、第2圧電部223の音響インピーダンスと被検体の音響インピーダンスとの整合をとる部材である。音響レンズ24は、圧電部22から被検体に向けて送信される超音波信号を収束する部材であり、例えば、図3に示すように、円弧状に膨出した形状とされている。
このような構成の超音波診断装置Sでは、例えば、操作入力部11から診断開始の指示が入力されると、制御部17は、第1送信モードおよび第2送信モードの超音波信号を送信し、それらに対する反射受信信号を得るべく各部を制御する。まず、制御部17の制御によって送信部12で電気信号の送信信号が生成される。この生成された電気信号の送信信号は、ケーブル3を介して超音波探触子2へ供給される。より具体的には、この電気信号の送信信号は、超音波探触子2における圧電部22の第1圧電部221へ供給される。この電気信号の送信信号は、例えば、所定の周期で繰り返される電圧パルスである。第1圧電部221は、この電気信号の送信信号が供給されることによってその厚み方向に伸縮し、この電気信号の送信信号に応じて超音波振動する。この超音波振動によって、第1圧電部221は、超音波信号を放射する。
なお、上述のように、第1圧電部221のすべての圧電素子に送信信号が供給されるわけではなく、駆動領域に位置する一部の圧電素子に送信信号が供給され、それらの圧電素子が超音波を発生して超音波ビームを形成する。そして、駆動領域は順次移動し、遅延処理が施された異なる超音波ビームが形成される。例えば、駆動領域は、第1圧電部221において圧電素子が並んでいる方向に沿って、1素子ずつずれていき、各位置で超音波ビームを形成する。なお、第1圧電部221から音響制動部材21方向へ放射された超音波信号は、音響制動部材21によって吸収される。
ここで、第1圧電部221の各駆動領域は異なる送信モードを有している。つまり、各駆動領域は、すべての圧電素子において同位相の超音波信号を放射させる第1送信モードと、各駆動領域内が複数の領域に分けられ、それらの領域のうち、隣接する領域同士は境界を除いて互いに位相が反転した超音波信号を放射させ、前記境界は超音波を放射させない第2送信モードとを有している。つまり、第2送信モードにおいては、位相が反転した2種類の超音波信号が駆動領域から放射される。
これら、送信モードについて説明する。なお、説明を簡略化するため、以下の説明においては、実際の超音波探触子に比べて圧電素子の数を少なくして説明する。まず、圧電素子がライン上に一列に配列された構成の場合について説明する。図4は本実施形態に係る第1圧電部の駆動領域から放射される超音波信号について説明する図であって、図4(A)は第1送信モードにおける超音波信号について説明する図であり、図4(B)は第2送信モードにおける超音波信号について説明する図である。図4(A)および図4(B)は、第1圧電部221を、超音波探触子2の先端側つまり音響レンズ24側から見た平面図である。また、図4(A)および図4(B)において、各圧電素子32に付された「+」(プラス)、「−」(マイナス)および「0」の記号は各圧電素子32から放射される超音波信号の種類について説明している。具体的には、同一の記号が付されている圧電素子32からは同位相の信号が放射され、異なる記号が付された圧電素子32は、互いに位相が反転した信号が放射される。また、0が付された圧電素子32からは超音波信号は送信されない。なお、図4(A)および図4(B)以外の図においても同様とする。
第1圧電部221が1次元アレイ配列とし、駆動領域221aは、図4(A)および図4(B)に示すように複数の圧電素子32が一列に配列されている。なお、説明を簡略化するために駆動領域221aにおける圧電素子32の数は10個としているが、実際には、同時に超音波信号を放出する圧電素子、すなわち駆動領域221a内に位置する圧電素子32は192個程度である。なお、第1圧電部221におけるすべての圧電素子32は、例えば300個程度である。図4(A)に示すように、第1送信モードにおいては、駆動領域221a内に位置する圧電素子32のすべてが同位相の超音波信号を放射する。また、図4(B)に示すように、第2送信モードにおいては、配列された複数の圧電素子32のうち、右半分と左半分とに分けられた、互いに対称である右側領域33と左側領域34とから、互いに異なる超音波信号が放射される。ただし、それらの境界部35に配置された圧電素子32からは超音波信号が放射されない。右側領域33および左側領域34における境界部35以外からは、互いに位相が反転する超音波信号が放射される。ここで、互いに位相が反転する超音波信号を放射する圧電素子は、振動方向が異なる。したがって、互いに位相が反転する超音波信号を放射する圧電素子が隣接して配列されている場合は、それらの境界において、強い応力が生じる可能性がある。しかし、本実施形態においては、互いに位相が反転した超音波信号を放射する右側領域33と左側領域34との境界部35には超音波信号が放射されない、すなわち境界部35は振動しないことから、第1圧電部221に強い応力が生じにくく、第1圧電部221が破損しにくいという効果を奏する。なお、右側領域33と左側領域34は互いに隣接する領域である。
制御部17の制御により送信部12は、まず、図4(A)に示すような第1送信モードの超音波信号が駆動領域221aから放射されるように、送信信号を生成して圧電素子32から超音波信号を放射させる。そして、所定の時間の後に、図4(B)に示すような第2送信モードの超音波信号が駆動領域221aから放射されるように、送信信号を生成して圧電素子32から超音波信号を放射させる。後述するが、超音波診断装置Sは、駆動領域221aから、これら2回の超音波信号の放射を行い、受信時に信号処理をすることによって、近距離および遠距離のいずれにおいても細い超音波ビームを放射したのと同様の受信信号を得る。そして、駆動領域221aの位置をずらして、所定の時間毎に異なる位置の駆動領域221aから同様に超音波信号が放射されるよう、制御部17は各部を制御する。これにより、遅延処理を施された超音波ビームが形成される。
そして、第1圧電部221から中間層222方向へ交互に放射される異なる超音波信号は、中間層222、第2圧電部223、音響整合層23および音響レンズ24を介して放射される。超音波探触子2が被検体に例えば当接されていると、これによって超音波探触子2から被検体に対して超音波が送信される。なお、超音波探触子2は、被検体の表面上に当接して用いられてもよいし、被検体の内部に挿入して、例えば、生体の体腔内に挿入して用いられてもよい。この被検体に対して送信された超音波は、被検体内部における音響インピーダンスが異なる1または複数の境界面で反射され、超音波の反射波となる。この反射波には、送信された超音波信号の周波数(基本波の基本周波数)成分だけでなく、基本周波数の整数倍の高調波の周波数成分も含まれる。例えば、基本周波数の2倍、3倍および4倍等の第2高調波成分、第3高調波成分および第4高調波成分等も含まれる。この反射波の超音波信号は、超音波探触子2で受信される。より具体的には、この反射波の超音波信号は、音響レンズ24および音響整合層23を介して圧電部22の第2圧電部223で受信され、第2圧電部223で機械的な振動が電気信号に変換されて反射受信信号として取り出される。なお、上記反射波には、超音波造影剤が用いられている場合には、超音波造影剤の微小気泡で生成される超音波も含まれる。
この取り出された電気信号の反射受信信号は、ケーブル3を介して超音波診断装置本体1の受信部13へ出力される。受信部13は、この入力された反射受信信号を受信処理し、より具体的には、例えば増幅した後にアナログ信号からディジタル信号へ変換し、信号処理部14へ出力する。信号処理部14は、このディジタル信号の反射受信信号を例えばRAM等の記憶素子に記憶する。上述したように、駆動領域221aから、異なる送信モードによる超音波信号が連続して被検体に向けて送信され、被検体で反射した超音波信号が第2圧電部223で受信される。そして、信号処理部14では、各駆動領域221aにおける、第1送信モードの超音波信号に対する反射受信信号と、第1送信モードの後に放射された第2送信モードの超音波信号に対する反射受信信号とが揃うと、記憶されているそれら反射受信信号を用いて、第1送信モードの超音波信号に対する反射受信信号と、第2送信モードの超音波信号に対する反射受信信号との差分を求める処理をする。この処理により、各駆動領域221aから近距離および遠距離のいずれにおいても細い超音波ビームを放射した場合における反射受信波と同様の反射受信信号を得ることができる。そして、この処理により得られた反射受信信号は、受信ビームフォーマにより整相加算されてから画像処理部15へ出力される。
このように、上述において、第1圧電部221から順次、異なる送信モードによる超音波信号が交互に被検体に向けて送信され、被検体で反射した超音波信号が第2圧電部223で受信される。そして、信号処理部14では、第1送信モードの超音波信号に対する反射受信信号と、第1送信モードの後に放射された第2送信モードの超音波信号に対する反射受信信号とが揃うと、記憶されている反射受信信号を用いて、第1送信モードの超音波信号に対する反射受信信号と、第2送信モードの超音波信号に対する反射受信信号との差分を求めて処理をし、この処理した反射受信信号を画像処理部15へ出力する。
画像処理部15は、制御部17の制御によって、信号処理部14で処理された反射受信信号に基づいて、送信から受信までの時間や受信強度等から被検体の内部状態の画像(超音波画像)を生成し、表示部16は、制御部17の制御によって、画像処理部15で生成された被検体の内部状態の画像を表示する。
本実施形態の超音波診断装置Sでは、このように信号処理部14が、第1送信モードに対する反射受信信号と第2送信モードに対する反射受信信号との差分により、反射受信信号を処理する。このように、反射受信信号を処理することで、超音波診断装置Sは、近距離および遠距離のいずれにおいても細い超音波ビームを形成して得た反射受信信号と同様の信号を得ることができる。つまり、本実施形態に係る超音波診断装置Sは、近距離および遠距離のいずれにおいても高い分解能を有するという効果を奏する。
ここで、上述のように、異なる送信モードの超音波信号に対する反射受信信号を差分することで、近距離および遠距離のいずれにおいても細い超音波ビームを形成できる理由について説明する。図5は2列の圧電素子により構成された圧電部から放射された超音波を音響レンズで焦点を絞り、超音波ビームを形成したときの音圧強度を模式的に示す図であって、図5(A)は各圧電素子が同位相の超音波信号を放射した場合の音圧強度を示す図であり、図5(B)は各圧電素子が互いに位相が反転した超音波信号を放射した場合の音圧強度を示す図である。また、図6は、反射物からの反射波の成分を示したグラフであって、図6(A)は各圧電素子が同位相の超音波信号を放射した場合の反射波のグラフであり、図6(B)は各圧電素子が互いに位相が反転した超音波信号を放射した場合の反射波のグラフであり、図6(C)は差分処理後の反射波のグラフである。
図5(A)および図5(B)は、1次元アレイ配列とされた圧電素子32がエレベーション方向に沿って2列設置された構成の超音波探触子2をエレベーション方向から見た図である。図5(A)において、いずれの列の圧電素子32も同位相の超音波信号を放射した場合(第1送信モード)は、超音波探触子2からの超音波ビーム25のうち、破線の内側の領域28においては通常の音圧であり、破線の外側の領域29においてはやや低い音圧となる。超音波探触子2から送信された超音波ビームは超音波探触子2から離れるにつれて徐々にその幅が絞られていき、絞り幅が最小となると今度は徐々に広がっていく。なお、超音波探触子2の中心軸は圧電素子32の境界を通るよう配置されている。ここで、操作者は、超音波探触子2の中心軸付近である領域28内にある反射物26を検出しようとしている。しかし、超音波ビーム25が徐々に広がっていることから、領域28外ではあるが、領域29内に位置する反射物27からも超音波ビーム25に対する反射波が生じる。したがって、図5(A)に示す状態における反射波の成分は、図6(A)に示すように、反射物26からの反射波および反射物27からの反射波が存在する。そのため、超音波診断装置では反射物26の背後つまり、領域28内に反射物27が存在するかのような超音波画像を生成する可能性がある。
ここで、図5(B)に示すように、互いに位相が反転した超音波信号を各列の圧電素子32が放射した場合(第2送信モード)、超音波探触子2からの超音波ビーム25のうち、破線の内側の領域28においては低音圧となり、領域28の中心に近づくほど音圧が下がる。破線の外側の領域29においては、やや低い音圧すなわち図5(A)の領域29と同程度の音圧となる。このときに、反射物26および反射物27の反射波の成分は、図6(B)に示すような形状となる。反射物26は音圧が低い箇所なので、反射波がほとんど生成されず、反射物27からの反射波のみが存在する。
そして、図6(A)に示された反射波の波形から図6(B)に示された反射波の波形を差し引くと、図6(C)に示すように、反射物26の反射波成分のみが残り、反射物27の反射波成分は消滅する。このように、圧電素子が同位相の超音波信号を放射した場合(第1送信モード)の反射波成分から、各圧電素子が互いに位相が反転した超音波信号を放射した場合(第2送信モード)の反射波成分を差し引くことで、領域28に存在する反射物26からの反射波が残る。したがって、近距離および遠距離のいずれにおいても高い分解能を有する超音波探触子2を実現できる。
さらに、シミュレーションにより求めた超音波ビームの音圧強度分布を示す。図7は、シミュレーションにより求めた2列の圧電素子により構成された圧電部から放射された超音波ビームの音圧強度分布を示す図であって、図7(A)は各圧電素子が同位相の超音波ビームを放射した場合の音圧強度分布を示す図であり、図7(B)は各圧電素子が互いに位相が反転した超音波ビームを放射した場合の音圧強度分布を示す図であり、図7(C)は図7(A)の音圧強度と図7(B)の音圧強度との差による音圧強度分布を示す図である。なお、図7(A)および図7(B)は図5(A)および図5(B)に対応している。
図7(A)〜図7(C)において、色が濃いほど音圧強度が高いことを示す。超音波探触子2は、1次元アレイ配列とされた圧電素子32が2列設置された構成の圧電部を備え、超音波探触子2の中心軸は圧電素子の境界を通るよう配置されている。いずれの列の圧電素子も同位相の超音波信号を放射した場合(第1送信モード)は、図7(A)に示すように、超音波探触子2から放射された超音波ビームは徐々に絞られていき、最も絞られた付近でその強度が強くなる。超音波ビームは、その後、徐々に広がっていく。また、各圧電素子が互いに位相が反転した超音波信号を放射した場合(第2送信モード)は、図7(B)に示すように、超音波探触子2からは2本の超音波ビームが放射される。それらの超音波ビームは徐々に絞られていき、最も絞られた付近でその強度が強くなり、その後、徐々に広がっている。そして、これら図7(A)および図7(B)の音圧強度の差は、図7(C)に示すように、超音波探触子2から放射された直後から、超音波ビームは絞られており、超音波探触子2から離れた位置でも超音波ビームが広がることがない。つまり、超音波探触子24から近距離であっても、遠距離であっても高い分解能を実現できる。また、超音波ビームの強度が強い箇所は、超音波探触子2の中心軸上であり、これは2列の圧電素子同士の境界に沿った位置である。具体的には、第2送信モードにおいて異なる超音波信号を放射する複数の各領域のうち、すべての領域が接する箇所を通り、超音波信号の送信方向に沿った箇所が超音波信号の強度が強くなる。
以上より、すべての列の圧電素子が同位相の超音波信号を放射した場合(第1送信モード)の反射波成分から、各列の圧電素子が互いに位相が反転した超音波信号を放射した場合(第2送信モード)の反射波成分を差し引くことで、2列の圧電素子の境界面を通り、かつ超音波ビームの送信方向に沿った付近の反射波成分のみが残ることとなり、近距離および遠距離のいずれにおいても高い分解能を有する超音波診断装置Sを実現できる。
つまり、第1送信モードの超音波信号に対する反射受信信号と、第2送信モードの超音波信号に対する反射受信信号との差分を求めて処理することで、近距離および遠距離のいずれにおいても高画質の超音波画像を得ることができる。つまり、本実施形態の超音波診断装置Sは、近距離および遠距離のいずれにおいても高い分解能を有するという効果を奏する。
なお、上記図5〜図7を用いた説明においては、超音波信号を放射しない圧電素子が考慮されていない。しかし、このような場合においても、第2送信モードにおいて、生じる2本の超音波ビームの間隔が広がる等の違いはあるが、第1送信モードに対する反射波成分から、第2送信モードに対する反射波成分を差し引くことで、2つの圧電素子領域の境界面を通り、超音波ビームの送信方向に沿った付近の反射波成分のみが残ることとなり、遠距離から近距離まで高い分解能を有する超音波診断装置Sを実現できる。
また、図7(C)に示したように、超音波ビームの強度が強い箇所は各列の境界を通り、超音波ビームの送信方向に沿った位置である。したがって、この境界位置を左右に振ることで、超音波ビームの軸位置を超音波探触子2の中心軸から左右に振ることもできる。それにより、超音波ビームの送出位置を容易に変更することができる。
したがって、例えば、図4(B)に示した、駆動領域221aにおける右側領域33および左側領域34を非対称の配置とすることで、右側領域33および左側領域34の境界位置を変更することができる。具体的には、右側領域33および左側領域34における圧電素子数を非対称とすればよい。図8は、非対称な第2送信モードにおける超音波信号について説明する図である。図8に示すように、右側領域33aと左側領域34aは、それぞれ圧電素子32の数が異なる非対称の配置とし、右側領域33aと左側領域34aとにおいては、各圧電素子32が放出する超音波信号は互いに位相が反転するように、制御部17に制御されて送信部12は第1圧電部221に電気信号を送信する。ただし、境界部35aにおける圧電素子32は超音波信号を送信しないようにする。このように、送信部12が、上記非対称となる第2送信モードにより第1圧電部221に超音波信号を放射させ、第1送信モードの超音波信号に対する反射受信信号と、第2送信モードの超音波信号に対する反射受信信号との差分を求めて処理することで、超音波探触子2の中心軸から右側に超音波ビームをずらした場合の超音波画像を得ることができる。
なお、同様に、超音波ビームを超音波探触子2の中心軸から左側にずらす場合は、右側領域33および左側領域34の境界を左側にずらせばよい。一方、非対称の度合いが大きすぎる、すなわち、ずらす量が多すぎると、超音波ビームが曲がってしまうという問題が生じる。例えば、1次元アレイ配列において、駆動領域221aが、例えば100個の圧電素子32が1列に並んで構成されているような場合には、左側領域34aの圧電素子32が51個で、右側領域33aの圧電素子32が49個とする程度が好ましい。1次元アレイ配列では、ずれ量は、全素子数に対し数%、例えば、1〜3%程度が好ましく、2%程度がより好ましい。したがって、図8は、説明を簡略化するために用いたが、図8に示すように、左側領域34aの圧電素子32が6個で、右側領域33aの圧電素子32が4個とすると、実際には非対称の度合いが大きすぎる。
また、第1圧電部221の駆動領域221aは、第1送信モードおよび第2送信モード以外に、各圧電素子が放射する超音波信号が、第2送信モードに対して位相が反転している第3送信モードを有することとしてもよい。ここで、図9は第3送信モードにおける超音波信号について説明する図である。図9に示したように、第3送信モードにおいては、第2送信モードと同様に、駆動領域221aは、互いに対称であって、かつ互いに隣接する右側領域33と左側領域34とを有し、各領域の圧電素子32はそれぞれ異なる超音波信号を放射する。ただし、右側領域33と左側領域34の境界部35における圧電素子32は、超音波信号を送信しない。さらに、第2送信モードと同様に、右側領域33と左側領域34とにおいては、各圧電素子32が放出する超音波信号は、互いに位相が反転している。しかし、図4(B)に示した第2送信モードと違い、右側領域33の圧電素子32の符号が+であり、左側領域34の圧電素子32の符号が−である。つまり、第2送信モードと第3送信モードとでは、境界部35を除き、右側領域33および左側領域34における超音波信号の位相が反転している。
制御部17の制御により送信部12は、まず1回目に、図4(A)に示すような第1送信モードの超音波信号が駆動領域221aから放射されるように、送信信号を生成して圧電素子32から超音波信号を放射させる。そして、2回目に、図4(A)に示すような第2送信モードの超音波信号が駆動領域221aから放射されるように、送信信号を生成して圧電素子32から超音波信号を放射させる。そして、3回目に、図9に示すような第3送信モードの超音波信号が駆動領域221aから放射されるように、送信信号を生成して圧電素子32から超音波信号を放射させる。そして、駆動領域221aの位置をずらして、所定の時間毎に異なる位置の駆動領域221aから同様に超音波信号が放射されるよう、制御部17は各部を制御する。これにより、遅延処理を施された超音波ビームが形成される。このように、駆動領域221aから順次、3種類の送信モードによる超音波信号が被検体に向けて送信され、被検体で反射した各超音波信号が第2圧電部223で受信される。
そして、信号処理部14では、第1送信モードの超音波信号に対する反射受信信号と、第1送信モードの後に放射された第2送信モードの超音波信号に対する反射受信信号と、第2送信モードの後に放射された第3送信モードの超音波信号に対する反射受信信号とに基づいて処理をする。具体的には、第2送信モードの超音波信号に対する反射受信信号および第3送信モードの超音波信号に対する反射受信信号を加算した後に1/2とした信号と、第1送信モードの超音波信号に対する反射受信信号との差分を求める処理をする。この処理により、各駆動領域221aから近距離および遠距離のいずれにおいても細い超音波ビームを放射した場合における反射受信波と同様の反射受信信号を得ることができる。そして、この処理により得られた反射受信信号は、受信ビームフォーマにより整相加算されてから画像処理部15へ出力される。そして、画像処理部15は、制御部17の制御によって、信号処理部14で処理された反射受信信号に基づいて、送信から受信までの時間や受信強度等から被検体の内部状態の画像(超音波画像)を生成し、表示部16は、制御部17の制御によって、画像処理部15で生成された被検体の内部状態の画像を表示する。これにより、近距離から遠距離まで高い分解能を有する超音波画像を形成するために用いる信号が増えて、より高性能の超音波画像の形成が可能となる。
また、本実施形態に係る超音波探触子2においては、第1圧電部221が2次元アレイ状、すなわち圧電素子が平面視において線形独立な2方向に、例えば、互いに直交する2方向に配列されている構成である場合の送信モードについて説明する。図10は本実施形態に係る2次元アレイ状の第1圧電部の駆動領域から放射される超音波信号について説明する第1の図であり、図11は本実施形態に係る2次元アレイ状の第1圧電部の駆動領域から放射される超音波信号について説明する第2の図である。図10および図11は、第1圧電部221を、超音波探触子2の先端側つまり音響レンズ24側から見た平面図である。なお、説明を簡単にするために、図10および図11における駆動領域221aに設置された圧電素子32の数は6行×6列で配列された、36個としている。実際には、2次元アレイ状の圧電部の場合、同時に超音波信号を放出する圧電素子は256個程度である。
例えば、第1圧電部221が2次元アレイ状の場合は、送信部12は、第1送信モードにおいては、駆動領域221aにおけるすべての圧電素子32が同位相の超音波信号を放出するよう送信信号を生成する。それによって、すべての圧電素子32が同位相の超音波信号を放射する。そして、第2送信モードにおいては、図10に示すように、駆動領域221aのうち右上領域36および左下領域39と、左上領域38および右下領域37とのそれぞれの圧電素子32は互いに位相が反転している超音波信号を放射するよう、送信部12は送信信号を生成する。それによって、右上領域36および左下領域39の各圧電素子32と、左上領域38および右下領域37の各圧電素子32は、互いに位相が反転している超音波信号を放射する。ただし、各領域36、37、38、39の境界部40に配置された圧電素子32からは超音波信号が放射されない。
ここで、右上領域36は、図10における駆動領域221aの右上に配置された3行×3列の圧電素子32で形成された領域である。また、右下領域37は、図10における駆動領域221aの右下に配置された3行×3列の圧電素子32で形成された領域である。また、左上領域38は、図10における駆動領域221aの左上に配置された3行×3列の圧電素子32で形成された領域である。また、左下領域39は、図10における駆動領域221aの左下に配置された3行×3列の圧電素子32で形成された領域である。そして、右上領域36は、右下領域37および左上領域38と互いに隣接している。また、左下領域39は、右下領域37および左上領域38と互いに隣接している。つまり、第2送信モードにおいて、互いに隣接している領域においては、互いに位相が反転している超音波信号が放射されることとすればよい。なお、これら各領域36、37、38、39は駆動領域221aの中心において接している。
そして、同一の駆動領域221aから第1送信モードと第2送信モードの超音波信号を連続して送信した後に、駆動領域221aの位置をずらして、所定の時間毎に異なる位置の駆動領域221aから同様に超音波信号が放射されるよう、制御部17は各部を制御する。これにより、遅延処理を施された超音波ビームが形成される。このように、駆動領域221aから順次、2種類の送信モードによる超音波信号が被検体に向けて送信され、被検体で反射した各超音波信号が第2圧電部223で受信される。そして、信号処理部14は各送信モードに対する反射受信信号を差分して処理をする。この処理により、各駆動領域221aから近距離および遠距離のいずれにおいても細い超音波ビームを放射した場合における反射受信波と同様の反射受信信号を得ることができる。そして、この処理により得られた反射受信信号は、受信ビームフォーマにより整相加算されてから画像処理部15へ出力される。そして、画像処理部15により遠距離および近距離において高い分解能を有する超音波画像を生成することができる。
なお、超音波ビームは、右上領域36、左下領域39、左上領域38および右下領域37のそれぞれの境界部分において比較的強度が強い。そして、超音波ビームの強度が強い箇所となるのは、各領域36、37、38、39の各境界が交わる箇所である駆動領域221aの中心を通り、超音波信号の送信方向に沿った箇所である。
また、図11は、図10とは別の第2送信モードを放出する、2次元アレイ状の第1圧電部221の一部であって、信号処理により1つの送信ビームを形成する領域である駆動領域221aを示している。第2送信モードにおいて、図11に示すように、駆動領域221aのうち、右側領域41と左側領域42との、それぞれの圧電素子32は互いに位相が反転している超音波信号を放出するよう、送信部12は送信信号を生成する。ただし、各領域41、42の境界部43に配置された圧電素子32からは超音波信号が放射されない。それによって、右側領域41と、左側領域42の各圧電素子32は、互いに位相が反転している超音波信号を放出する。ここで、右側領域41は、圧電部221の図11における右側に配置された3行×6列の圧電素子32で形成された領域である。また、左側領域42は、圧電部221の図11における左側に配置された3行×6列の圧電素子32で形成された領域である。そして、右側領域41は、左側領域42と互いに隣接している。つまり、第2送信モードにおいては、互いに隣接している領域においては、互いに位相が反転している超音波信号が放射されることとすればよい。なお、これら各領域41、42はこれらの境界すなわち駆動領域221aを半分に分割する線において接している。
そして、同一の駆動領域221aから第1送信モードと第2送信モードの超音波信号を連続して送信した後に、駆動領域221aの位置をずらして、所定の時間毎に異なる位置の駆動領域221aから同様に超音波信号が放射されるよう、制御部17は各部を制御する。これにより、遅延処理を施された超音波ビームが形成される。このように、駆動領域221aから順次、2種類の送信モードによる超音波信号が被検体に向けて送信され、被検体で反射した各超音波信号が第2圧電部223で受信される。そして、信号処理部14は各送信モードに対する反射受信信号を差分して処理をする。この処理により、各駆動領域221aから近距離および遠距離のいずれにおいても細い超音波ビームを放射した場合における反射受信波と同様の反射受信信号を得ることができる。そして、この処理により得られた反射受信信号は、受信ビームフォーマにより整相加算されてから画像処理部15へ出力される。そして、画像処理部15により遠距離および近距離において高い分解能を有する超音波画像を生成することができる。なお、超音波ビームは、右側領域41および左側領域42の境界部分を通り、超音波ビームの送信方向に沿った箇所において強度が強い。
また、第1圧電部221がライン上に一列に配列された場合の駆動領域221aと同様に、各領域36、37、38、39または各領域41、42は非対称であっても良い。それにより、超音波ビームの送出位置を容易に変動することができる。なお、超音波ビームにおいて、各領域が接している箇所を通り、超音波ビームの送信方向に沿った箇所における強度が最も強い。
また、上述の実施形態では、信号処理部14は、超音波診断装置本体1に備えられたが、超音波探触子2に内蔵されていてもよい。
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
1 超音波診断装置本体
2 超音波探触子
3 ケーブル
11 操作入力部
12 送信部
13 受信部
14 信号処理部
15 画像処理部
16 表示部
17 制御部
21 音響制動部材
22 圧電部
23 音響整合層
24 音響レンズ
25 超音波ビーム
26、27 反射物
28、29 領域
32 圧電素子
33、33a、41 右側領域
34、34a、42 左側領域
35、35a、40、43 境界部
36 右上領域
37 右下領域
38 左上領域
39 左下領域
221 第1圧電部
221a 駆動領域
222 中間層
223 第2圧電部
S 超音波診断装置

Claims (7)

  1. 被検体に超音波信号を送信し、該超音波信号により生じた被検体からの超音波信号を受信する超音波診断装置であって、
    圧電材料を有し、圧電現象を利用することによって電気信号と超音波信号との間で相互に信号を変換することができる複数の圧電素子を備えた圧電部と、
    前記被検体からの超音波信号を前記圧電部で変換して生成された、電気信号である受信信号に所定の信号処理を施す信号処理部とを備え、
    前記圧電部の少なくとも一部であり、超音波ビームを形成できる駆動領域は、該駆動領域のすべての圧電素子が同位相の超音波信号を送信することで形成される第1送信モードの超音波ビームと、前記駆動領域が複数の領域に分割され、これら複数の領域において隣接する領域の境界では超音波信号を送信せず、かつ前記境界以外においては前記隣接する領域が互いに位相が反転した超音波信号を送信することで形成される第2送信モードの超音波ビームとを形成でき、
    前記駆動領域が前記第1送信モードおよび前記第2送信モードの超音波ビームを順次形成し、
    前記圧電部は、前記超音波ビームを形成したことでそれぞれ生じる、前記被検体からの超音波信号を電気信号である前記受信信号に変換し、
    前記信号処理部は、前記第1送信モードおよび前記第2送信モードの超音波ビームに対する受信信号を差分処理する、超音波診断装置。
  2. 被検体に超音波信号を送信し、該超音波信号により生じた被検体からの超音波信号を受信する超音波診断装置であって、
    圧電材料を有し、圧電現象を利用することによって電気信号と超音波信号との間で相互に信号を変換することができる複数の圧電素子を備えた圧電部と、
    前記被検体からの超音波信号を前記圧電部で変換して生成された、電気信号である受信信号に所定の信号処理を施す信号処理部とを備え、
    前記圧電部の少なくとも一部であり、超音波ビームを形成できる駆動領域は、該駆動領域のすべての圧電素子が同位相の超音波信号を送信することで形成される第1送信モードの超音波ビームと、前記駆動領域が複数の領域に分割され、これら複数の領域において隣接する領域の境界では超音波信号を送信せず、かつ前記境界以外においては前記隣接する領域が互いに位相が反転した超音波信号を送信することで形成される第2送信モードの超音波ビームと、前記駆動領域が前記第2送信モードとは位相が反転した超音波信号を送信することで形成される第3送信モードの超音波ビームとを形成でき、
    前記駆動領域は、前記第1送信モード、前記第2送信モードおよび前記第3送信モードの超音波ビームを順次形成し、
    前記圧電部は、前記超音波ビームを形成したことでそれぞれ生じる、前記被検体からの超音波信号を電気信号である前記受信信号に変換し、
    前記信号処理部は、前記第2送信モードおよび前記第3送信モードの超音波ビームに対する受信信号を加算して1/2を乗じた信号と、前記第1送信モードの超音波ビームに対する受信信号とを差分処理する、超音波診断装置。
  3. 前記駆動領域において、前記複数の領域に分割された各領域は、対称に配置されている、請求項1または請求項2に記載の超音波診断装置。
  4. 前記駆動領域において、前記複数の領域に分割された各領域は、非対称に配置されている、請求項1または請求項2に記載の超音波診断装置。
  5. 前記圧電部は、超音波信号を前記被検体に送信する第1圧電部と、
    前記第1圧電部から送信された超音波信号に基づいて前記被検体から来た超音波信号を受信して電気信号へと変換する第2圧電部とを備える、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の超音波診断装置。
  6. 前記第2圧電部は、超音波信号の送受信面と前記第1圧電部との間に配置されている、請求項5に記載の超音波診断装置。
  7. 前記第1圧電部は、無機材料である前記圧電材料を備え、
    前記第2圧電部は、有機材料である前記圧電材料を備えた、請求項5または請求項6に記載の超音波診断装置。
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