以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
(第1の実施形態)
まず、図1に基づいて、本発明の第1の実施形態にかかる巻尺読取装置100の概略構成について説明する。なお、図1は、本実施形態にかかる巻尺読取装置100の構成を示す概略斜視図である。
<巻尺読取装置の概略構成>
本実施形態の巻尺読取装置100は、筐体110内に収容した巻尺200の目盛りを読み取り、巻尺200による測体対象の測定値を取得する装置である。一般に巻尺200は、測尺220とその収容容器であるケース210とで構成されている。巻尺読取装置100は、図1に示すように、内部に巻尺200を収容する筐体110と、巻尺読取装置100を操作するための操作部120と、測尺220の読み取り位置をガイドする第1のガイド部130および第2のガイド部140と、表示部150と、測尺220を撮像する撮像部160とを備える。また、巻尺読取装置100は、図1には図示されていないが、撮像部160により撮像された撮像画像を解析して測定値を算出する情報処理部(図2の符号170)および電源部を備えている。
筐体110は、巻尺200を内部に収容する略直方体の容器である。筐体110の外表面(例えば、z軸正方向に位置する上面)には、操作部120や表示部150が設けられており、筐体110の内部には、撮像部160や情報処理部が収容されている。筐体110の一側面(例えば、y軸正方向に位置する前面)には、巻尺200の測尺220が挿通される開口部112が形成されている。また、筐体110には、収容された巻尺200を出し入れ可能にする出し入れ口(図示せず。)が形成されている。出し入れ口は、収容された巻尺200が筐体110から外れないように例えば蓋(図示せず。)等で覆われる。
操作部120は、ユーザの測定時における測定操作や測定設定などの操作情報を入力するために設けられる。操作部120は、例えば押下することにより操作情報を入力する機械式のボタンスイッチや、接触を検知するセンサ式のボタン、レバーなどにより構成される。本実施形態の操作部120は、例えば、巻尺読取装置100の電源のオンオフを操作する電源スイッチ122と、測定時の読み取り位置を切り換えるモード切換スイッチ124と、撮像部160による撮像のオンオフ切り換えを行う撮像ボタン126とを備える。また、測定結果情報の送信を操作する送信ボタン、および後述するような本巻尺読取装置100にバーコードリーダ等を付設するときにはバーコードなどの読み取り操作を行うコード読取ボタン等を設けてもよい。さらに、操作状態を示す1または2以上のランプ128を設けてもよい。ランプ128は、例えば、点灯する色によって電源のオンオフ状態や設定モードをユーザに通知する。
第1のガイド部130は、測尺220の読み取り位置を測尺220が引き出される開口部112の外側端部としたとき(「エンド測定モード」と記す。)に、測尺220の読み取り位置を規定するガイド部である。すなわち、第1のガイド部130は、測尺220の出し入れ方向(y方向)において筐体110の開口部112が形成された面の位置で測尺220の目盛りを読むときの測尺220の読み取り位置を規定する。第1のガイド部130は、板状部材であって、一の面が筐体110の開口部112が形成された面と面一となるように、筐体130からz軸負方向に突出して設けられる。
第2のガイド部140は、測尺220の読み取り位置を任意の位置としたとき(「任意測定モード」と記す。)に、測尺220の読み取り位置を規定するガイド部である。第2のガイド部140は、例えば図1に示すように、筐体110の開口部112の上方(z軸正方向側の位置)からy軸正方向に向かって突出するように設けられている。第2のガイド部140は、当該第2のガイド部140の下側(z軸負方向側)に位置する測尺220の目盛りを読み取り可能とするために透明部材から形成されており、例えば透明のアクリル部材を用いて形成することができる。第2のガイド部140には、測尺220の出し入れ方向(y方向)に対して垂直方向(x方向)に延びる読み取りライン142が形成されている。ユーザは、測尺220の読み取り位置を読み取りライン142に合わせて、測定対象物の測定を行う。
表示部150は、測定値や測定手順情報等ユーザに通知する情報を表示するものであって、例えば液晶表示素子や有機EL素子などからなるディスプレイを用いることができる。表示部150は、筐体110の、巻尺読取相装置100を使用するユーザが視認しやすい位置に設けることができる。本実施形態では、表示部150は、筐体110の上面に設けられる。
撮像部160は、目盛りを読むための測尺220の画像を撮像する。撮像部160は、例えば、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサやCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ等で構成されたカメラを用いることができる。撮像部160は、測尺220の読み取り位置を含む撮像領域を撮像するため、例えば、筐体110の前面側(y軸正方向側)に突出する突出部114の内部に設置されており、第2のガイド部140と対向する面(z軸負方向側の面)には撮像窓(図示せず。)を設ける。なお、撮像部160が撮像する撮像領域と測尺220の読み取り位置との位置関係が予め設定されている場合には、当該撮像領域内に測尺220の読み取り位置が含まれていなくとも測尺読取装置100は測定値を算出することができる。
本実施形態にかかる巻尺読取装置100は、任意の巻尺200を収容可能であり、用途に応じて筐体110に収容して使用する巻尺200を変更することもできる。筐体110の内部に収容された巻尺200は、ケース210から引き出された測尺220が開口部112を介して筐体110外部へ引き出されるように設けられる。ユーザは、測定の基点となる、測尺220の先端部230を測定対象物の測定開始位置に合わせ、測尺220を引き出し、測定対象物の測定終了位置に測尺220の目盛りを合わせる。そして、ユーザは、撮像ボタン126を押下して測尺220の目盛りを撮像部160により撮像して撮像画像を取得する。そして、情報処理部170によって撮像画像から測尺220の目盛りが画像処理により読み取られ、測定対象物の測定対象部分の長さの測定値が算出され、例えば表示部150に測定値が表示される。このように、本実施形態にかかる巻尺読取装置100により測尺220の目盛りを読み取り、測定対象物の測定値を取得することができる。
以上、本実施形態にかかる巻尺読取装置100の概略構成について説明した。続いて、図2〜図7に基づいて、本実施形態にかかる巻尺読取装置100の機能構成と、巻尺読取装置100による目盛りの読み取り方法について詳細に説明していく。
<巻尺読取装置の機能構成>
本実施形態にかかる巻尺読取装置100は、巻尺200の測尺220の目盛りを読み取り認識するための複数の機能部で構成されている。まず、図2に基づいて、本実施形態にかかる巻尺読取装置100の機能構成について説明する。なお、図2は、本実施形態にかかる巻尺読取装置の機能構成を示す機能ブロック図である。
本実施形態にかかる巻尺読取装置100は、操作部120と、表示部150と、撮像部160と、情報処理部170と、基本情報記憶部180と、数字画像記憶部190とを備える。
操作部120は、測定時における測定操作や測定設定などの入力情報を入力する機能部であって、図1の操作部120に当たる。操作部120は、ユーザにより操作部から入力された入力情報のうち、例えばモード切換スイッチ124から入力された、測定時の読み取り位置等を設定するための測定設定情報を基本情報記憶部180に伝送して記憶する。また、操作部120は、撮像ボタン126が押下されると、測尺220の目盛りを撮像する撮像指示信号を撮像部160へ出力する。
表示部150は、例えば情報処理部170により算出された測定値や測定手順情報等ユーザに通知する情報を表示する機能部であって、図1の表示部150に当たる。
撮像部160は、目盛りを読むための測尺220の画像を撮像する機能部であって、図1の撮像部160に当たる。撮像部160は、操作部120から撮像指示を受けると、その時点における測尺220の画像を取得し、情報処理部170へ出力する。
情報処理部170は、撮像部160により撮像された撮像画像から、巻尺200による測定対象物の測定値を算出する機能部である。情報処理部170は、例えば、目盛認識部172と、画像内位置算出部174と、測定値算出部176とからなる。目盛認識部172は、数字画像記憶部190に記憶された見本画像を用いて、撮像画像中に含まれる目盛り文字や目盛り線を認識する。画像内位置算出部174は、予め設定された撮像画像内における基準位置から測定値の読み取り位置までの距離を算出する。また、画像内位置算出部174は、撮像画像内における基準位置から、文字認識部172により認識された目盛り文字に対応する目盛り線までの距離を算出する。測定値算出部176は、目盛認識部172により認識した目盛り文字と、画像内位置算出部174により算出された距離に基づいて、測定対象物の測定値を算出する。そして、測定値算出部176は、算出した測定値を表示部150へ出力する。
基本情報記憶部180は、情報処理部170において測定対象物の測定値を算出するにあたり用いられる情報を記憶する記憶部である。基本情報記憶部180には、例えば、モード切換スイッチ124から入力された測定時の読み取り位置等の測定設定情報や、撮像部160や撮像画像の画素数、撮像部160により撮像される撮像領域のサイズ(幅×長さ)、撮像領域と測尺220の読み取り位置との位置関係などが記憶される。
数字画像記憶部190は、目盛認識部172において撮像画像中の目盛り文字を認識する際に用いられる、目盛り文字の見本画像のパターンを予め記憶する。数字画像記憶部190に記憶される見本画像には、例えば、使用する巻尺200を巻尺読取装置100に収容した後に、巻尺200の測尺220を開口部112から引き出し、各目盛り文字を撮像部160により取得した画像を用いることもできる。当該目盛り文字の画像を用いると文字認識の精度を上げる点で好ましい。
上述の基本情報記憶部180および数字画像記憶部190は、例えばEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)やフラッシュメモリなどの半導体からなる不揮発性メモリを用いるとよい。また、ハードディスクおよび円盤型磁性体ディスクなどの記憶媒体も用いることができる。また、これらの記憶部は、1つの記録媒体に構成してもよく、別個の記憶媒体にそれぞれ構成してもよい。
以上、本実施形態にかかる巻尺読取装置100の機能構成について説明した。次に、図3〜図14に基づいて、本実施形態にかかる巻尺読取装置100による目盛りの読み取り方法について説明する。一般に測尺220の主目盛には位置を示す目盛り文字(数字)が記載されている。まず、図3〜図10により、測尺220の各目盛り文字が全桁表示である場合の巻尺読取装置100による目盛りの読み取り方法を説明する。次いで、図11〜図14により、測尺220の目盛り文字の一部が間隔をおいて全桁表示されており、当該目盛り文字の間にある目盛りに付記された目盛り文字は最下位の桁のみが記載されている場合の巻尺読取装置100による目盛りの読み取り方法を説明する。
<1.測尺の各目盛り文字が全桁表示である場合の巻尺読取装置による目盛りの読み取り方法>
まず、図3〜図10により、測尺220の各目盛り文字が全桁表示である場合の巻尺読取装置100による目盛りの読み取り方法を説明する。なお、図3は、本実施形態にかかる巻尺読取装置100による目盛りの読み取り方法を示すフローチャートである。図4は、本実施形態の巻尺読取装置100を側面(x方向)から見た図であって、測定時の読み取り位置を説明する説明図である。図5は、撮像部160による撮像画像を示す説明図である。図6は、目盛り文字の位置を算出する処理を示すフローチャートである。図7は、撮像領域162中の目盛り文字の読み取り順序と目盛り文字の位置を説明する説明図である。図8は、目盛り文字の認識処理を示すフローチャートである。図9は、目盛り文字を構成する文字の位置関係を示す説明図である。図10は、目盛り文字のパターンマッチング処理を説明するための説明図である。
本実施形態にかかる巻尺読取装置100による目盛りの読み取り方法では、図3に示すように、まず、ユーザは測定時の読み取り位置の設定を行う(ステップS100)。本実施形態にかかる巻尺読取装置100は、上述したように、第1のガイド部130と第2のガイド部140とを備える。このため、測尺220の読み取り位置をいずれのガイド部に合わせて測定するかを設定する必要がある。測定時の読み取り位置の設定は、操作部120のモード切換ボタン124によって行うことができる。例えば、モード切換ボタン120が押下されていないときは第1のガイド部130によって規定される位置で目盛りを読み取り、モード切換ボタン124が押下されているときは第2のガイド部140によって規定される位置で目盛りを読み取る。測定時の読み取り位置が設定されると、設定情報が基本情報記憶部180に記録される。
次いで、ユーザは、測定対象物の測定を行う(ステップS102)。ユーザは、巻尺読取装置100に収容された巻尺200の測尺220を引き出して、測尺220の先端230を測定対象物の測定開始位置に合わせ、測定対象物の測定終了位置をステップS100で設定した読み取り位置に合わせる。例えば、エンド測定モードに設定されているときは、図4に示すように、第1のガイド部130の表面132に測尺220の測定対象物の測定終了位置を合わせる。また、任意測定モードに設定されているときは、図4に示すように、第2のガイド部140に設けられた読み取りライン142に測尺220の測定対象物の測定終了位置を合わせる。このようにして、測尺220の読み取り位置を決定する(ステップS104)。
測尺220の読み取り位置を決定すると、測定対象物に測尺220を合わせた状態で、撮像部160により画像を取得する(ステップS106)。ユーザが操作部120の撮像ボタン126を押下すると、撮像部160により撮像領域の画像が撮像される。撮像部160は、図5に示すように、読み取り位置164を含む撮像領域162を撮像してもよく、あるいは、撮像部160が撮像する撮像領域と測尺220の読み取り位置との位置関係が予め設定されている場合には、当該撮像領域内に測尺220の読み取り位置が含まれていなくともよい。撮像領域162のサイズは任意に設定可能であるが、測尺220への汚れ付着等を考慮して、少なくとも2つ以上の目盛り文字を含むように設定するのがよい。これにより、例えば、撮像画像に含まれる一部の目盛り文字が判別できない場合であっても、他の目盛り文字が判別できれば、判別された目盛り文字に基づいて測定値を算出することができる。図5の例では、「123」と「124」の2つの目盛り文字が撮像領域162に含まれている。撮像部160は、撮像した画像データを情報処理部170へ出力する。これにより、測定値の算出処理が開始される。
測定値の算出処理は、目盛り文字の数字の認識(ステップS108)と、測定値の算出(ステップS114)とからなる。ステップS108の目盛り文字の数字の認識処理は、図6に示すフローチャートに沿って行われる。撮像部160により撮像された画像データが情報処理部170へ入力されると、まず、目盛認識部172は、入力された画像データについて2値化処理を行う(ステップS200)。例えば、本実施形態の巻尺200の測尺200が白色であって、この測尺220に黒色の目盛りおよび黒色あるいは赤地を白抜きした目盛り文字が付されているとする。このとき、目盛認識部172は、カラーあるいは白黒の画像データを白黒の2値画像に変換する。そして、目盛認識部172は、かかる2値画像のノイズを除去する(ステップS202)。
次いで、目盛認識部172は、撮像領域162から目盛り文字を切り出す画像切り出し位置を、撮像領域162の左端に設定する(ステップS204)。図7に示すように、略四角形状の撮像領域162が設定されているとする。このとき、目盛認識部172は、例えば撮像領域162のうち測尺220の引き出し方向側の辺である左端162aを画像切り出し位置として設定する。画像切り出し位置は、撮像領域162から目盛り文字を認識するためのスキャン開始位置となる。
さらに、目盛認識部172は、切り出し位置から目盛り文字を切り出して、目盛り文字を認識する(ステップS206)。目盛認識部172は、ステップS204において設定された画像切り出し位置から撮像領域162をスキャンして目盛り文字を切り出す。以下、かかる処理の詳細を、図8に基づいて説明する。
まず、目盛認識部172は、上述したように、撮像領域162の左端を当該撮像領域162のスキャン位置に設定する(ステップS2061)。例えば、撮像領域162が図7に示す領域である場合、スキャン位置は、符号166aで示す位置となる。次いで、目盛認識部172は、スキャン位置166aから測尺220の巾方向に撮像領域162をスキャンして、目盛り文字の上端および下端を検出する(ステップS2062)。測尺220の巾方向とは、測尺220の引き出し方向(「長さ方向」ともいう。)に対して直交する方向(x方向)をいい、図9に示すように目盛り文字の高さ方向を指す。目盛認識部172は、巾方向の一端側から他端側に向かって撮像領域162をスキャンして、目盛り文字の上端および下端を検出する。図9の例では、目盛り文字「8」の上端および下端が目盛認識部172によって検出される。
さらに、目盛認識部172は、撮像領域162を長さ方向にスキャンして、目盛り文字の左端および右端を検出する(ステップS2063)。図9の例では、目盛り文字「8」の左端および右端が目盛認識部172によって検出される。このように、ステップS2062およびS2063の処理により、目盛り文字の1文字が切り出される。その後、目盛認識部172は、切り出した1文字の右端から長さ方向に撮像領域162をスキャンして、次の文字の左端を検出する(ステップS2064)。すなわち、目盛認識部172は、長さ方向に隣接する文字間スペースを検出する。そして、目盛認識部172は、当該文字間スペースが狭いか否かを判定する(ステップS2065)。
目盛認識部172は、文字間スペースの大きさに基づいて、隣接する文字が1つの目盛り文字を構成するものであるか否かを判定する。例えば、図9に示すように、目盛り文字「89」を構成する「8」および「9」の文字間スペースt1は、「89」と1つの値を示すことがわかるように近接して記載されている。一方、目盛り文字「89」を構成する「9」と目盛り文字「90」を構成する「9」とのように、異なる目盛り文字を構成する文字間スペースt2は、文字間スペースt1と比較してはるかに大きい。この場合、隣接する文字を連続して読むことはできず、各文字はそれぞれ異なる目盛り文字を構成すると考えることができる。このような文字間スペースの大きさを用いることにより、目盛認識部172は、1つの目盛り文字を構成する文字を判断することができる。
ステップS2065にて文字間スペースが広いと判定した場合、1つの目盛り文字を構成する文字として切り出した文字を桁数毎に認識する(ステップS2066)。目盛認識部172は、数字画像記憶部190に記憶される測尺220の目盛り文字を構成する各数字の見本画像と切り出した文字とのマッチングを、各桁を構成する文字それぞれについて行うことにより、目盛り文字を認識する。例えば、目盛認識部172は、撮像画像を左側からスキャンして、最初の文字位置を検出する。数字画像記憶部190には、「0」〜「9」までの見本画像が記憶されている。例えば、図10に示すように、「2」という切り出された画像データ212に対して「1」の見本画像192を重ね合わせるようにする。目盛認識部172は、見本画像192と切り出した文字とのマッチング処理の一致度をマッチング成績として表す。そして、目盛認識部172は、マッチング成績が高い場合、すなわち2つの画像の一致度が高い場合、画像認識は成功したと判断する。一方、目盛認識部172は、マッチング成績が低い場合、すなわち2つの画像の一致度が低い場合、画像認識は失敗したと判断する(ステップS2067)。目盛認識部172は、当該結果を画像内位置算出部174へ出力する。
なお、ステップS2065にて文字間スペースが狭いと判定した場合、目盛認識部172は、新たなスキャン位置を文字間スペースの右端に設定する(ステップS2068)。そして、1つの目盛り文字の区切りが検出されるまで、ステップS2062〜S2065の処理を繰り返す。
図6に戻り、画像内位置算出部174は、ステップS2067の結果より、文字認識が成功したか否かを判定し(ステップS208)、文字認識が成功している場合、認識された目盛り文字の中心座標を計算する(ステップS210)。例えば、図7に示すように、切り出された目盛り文字224が「107」である場合、画像内位置算出部174は、切り出された目盛り文字224の領域における長さ方向の中心座標を計算する。ステップS210で算出される目盛り文字224の中心座標は、撮像領域162内における位置であるとする。そして、画像内位置算出部174は、算出した中心座標付近に位置する目盛り線226を検索する(ステップS212)。
測尺220には、例えば図7に示すように、1mm間隔で目盛り線226が付されている。このうち、測尺220の値をミリメートル単位で読んだときに下一桁がゼロとなる位置の目盛り線226は他の目盛り線226と比較して長い。すなわち、この長い目盛り線226は目盛り文字224の数字と対応する。したがって、画像内位置算出部174は、切り出された目盛り文字224の中心座標付近の長い目盛り線226を探索し、当該目盛り線226に基づいて目盛り文字224が指す撮像領域162内の位置を把握することができる。例えば図7においては、目盛り文字「107」(符号224)には、目盛り線226aが対応する。その後、画像内位置算出部174は、切り出された目盛り文字224付近に目盛り線226が認識されたか否かを判定する(ステップS214)。
ステップS214にて目盛り線226が認識されたと判定された場合、画像内位置算出部174は、撮像領域162における目盛り線226の座標を計算し、本実施形態での撮像画像内における基準位置である撮像領域162の右端からの長さをX、目盛り文字224の認識結果をYとして記憶する(ステップS216)。例えば図7では、撮像領域162の右端162bから目盛り文字「107」(符号224)の目盛り線226aまでの長さがXとなる。長さXの算出方法は、例えば撮像領域162の右端162bから目盛り線226aまでのドット数を用いることができる。目盛認識部172は、目盛り文字を認識するために撮像画像をスキャンする際、撮像領域162の右端162bから目盛り線226aまでのドット数をカウントしている。そして、画像内位置算出部174は、カウントされたドット数と基本情報記憶部180に記憶された撮像部160の画素数とに基づいて、長さXを算出する。
例えば、撮像領域162の幅(測尺220の長手方向の長さ)が30mmであり、撮像部160の画素数が320×240である場合、1ドット当たりの距離は、約0.094mm(=30mm÷320ドット)となる。したがって、基準となる撮像領域162の右端162bから目盛り文字に対応する目盛り線226aまでのドット数に1ドット当たりの距離を掛けることにより、長さXを算出することができる。また、目盛り文字の認識結果である「107」がYとなる。このように、認識された目盛り文字224の撮像領域162内における位置および目盛り文字224の認識結果が取得されると、図6に示す処理は正常に終了する。
一方、ステップS214にて目盛り線226が認識できなかったと判定された場合、またはステップS208にて切り出した文字が認識されなかったと判定された場合、目盛認識部172は、撮像領域162内における画像切り出し位置を切り出した文字の右端に進める(ステップS218)。このとき、撮像領域162の右端162bに到達せずに、切り出した目盛り文字224の右端に到達したときは、当該目盛り文字224の右端を新たな切り出し位置166bとする(ステップS220)。そして、ステップS206に戻り、上述した処理を行う。これにより、目盛り文字224が認識されるまで、当該処理が繰り返されることになる。一方、切り出した目盛り文字224の右端に到達する前に撮像領域162の右端162bに到達した場合には、目盛り文字224の位置が認識できなかったとして、エラーとする。
図3に戻り、巻尺読取装置100は、図6の処理結果から文字認識が正常に行われたか否かを判定する(ステップS110)。図6に示した処理結果から文字認識が正常に行われなかったと判定された場合には、巻尺読取装置100は、ユーザに対してエラーが発生した旨を通知する(ステップS112)。エラーの通知は、例えば表示部150にエラーメッセージを表示してもよく、ランプ128を例えばエラー通知時の色で点滅または点灯させることで通知してもよい。一方、図6に示した処理結果から文字認識が正常に行われたと判定された場合には、測定値算出部176は、巻尺200による測定対象物の測定値を算出する(ステップS114)。
測定値算出部176は、例えば、ステップS216(図6参照)で算出した撮像領域162の右端からの長さXおよび目盛り文字224の認識結果Yに基づいて、測定対象物の測定値を算出することができる。目盛認識部172により認識された目盛り文字224の認識結果Yは、当該目盛り文字224が対応する目盛り線226の位置に対応する。これより、測定値算出部176は、測定値Mを下記数式1より算出することができる。
M=Y×10+X−Z ・・・(数式1)
ここで、Zは、撮像領域162の右端162bから第1のガイド部130により規定される読み取り位置までの長さである。撮像領域162内に読み取り位置が含まれている場合には、図5に示すように、撮像領域162の右端162bから読み取り位置164までの長さがZとなる。また、目盛り文字224の認識結果Yは、センチメートル単位での標記であるので、10倍してミリメートル単位とした。すなわち、数式1により、エンド測定モード時の測定値を算出することができる。
その後、測定値算出部176は、ステップS100で設定された測定モードが任意測定モードであるか否かを判定する(ステップS116)。そして、任意測定モードであると判定した場合、測定値算出部176は、ステップS114において数式1より算出した測定値Mを補正する(ステップS118)。これは、図4に示すように、第1のガイド部130と第2のガイド部140とによる測尺220の読み取り位置が異なるためである。このため、測定値算出部176は、ステップS114にて算出したエンド測定モード時の測定値に、エンド測定モード時の終点位置と任意測定モード時の終点位置との差分を加算し、測定値Mを補正する。
なお、図5に示すように、撮像領域162内に読み取りライン142が含まれている場合には、撮像領域162の右端162bから読み取り位置までの長さZは、右端162bから読み取りライン142までの長さを指す。この場合、数式1から算出した測定値Mは、補正することなく測定対象物の測定値Mとなる。このように、任意測定モード時における測定対象物の測定値Mを算出することができる。なお、ステップS116にて、測定モードがエンド測定モードに設定されていると判定された場合には、そのままステップS120の処理へ進む。
そして、測定値算出部176は、ステップS114にて算出したエンド測定モード時の測定値MまたはステップS118にて算出した任意測定モード時の測定値Mを表示部150に表示させる(ステップS120)。これにより、ユーザは、巻尺200により測定した測定対象物の測定値を把握することができる。
以上、本実施形態にかかる測尺220の目盛り文字224が全桁表示である場合の巻尺読取装置100による目盛りの読み取り方法について説明した。このように、撮像部160により撮像した撮像画像から目盛り文字を認識し、撮像領域内における目盛り文字に対応する目盛り線の位置を取得する。そして、測定値算出部176は、これらの値を用いて測定対象物の測定値Mを算出する。このようにして、巻尺読取装置100に収容された巻尺200による測定値を精度よく読み取ることができる。
<2.測尺の目盛り文字の一部が全桁表示である場合の巻尺読取装置による目盛りの読み取り方法>
上述した目盛りの読み取り方法では、測尺220に付された目盛り文字はすべて全桁表示されていたが、巻尺200によっては、図11に示すように、測尺220に付された目盛りが100mm毎に全桁表示され、その間は10mm毎に下一桁のみが表示されているものもある。このような表示がされた巻尺200では、例えば、撮像領域162に含まれる目盛り文字が「2」、「3」、「4」のように下一桁表示部分のみであると、実際の測定値を一意に決定することができない。このような場合、例えば、全桁表示の目盛り文字と下一桁表示の目盛り文字との表記の違いを利用して、測定対象物の測定値を算出することができる。
以下、図11〜図14により、測尺220の目盛り文字の一部が全桁表示されている場合の巻尺読取装置100による目盛りの読み取り方法を説明する。なお、図11は、目盛り文字の一部が全桁表示されている測尺220の例を示す説明図である。図12は、目盛り文字の一部が全桁表示されている測尺220の測定値を算出する方法を説明するための説明図である。図13は、反転文字センサ195を用いたカウント処理を説明する説明図である。図14は、反転文字センサ195によるカウント処理を示すフローチャートである。
測尺220の目盛り文字の一部が全桁表示である場合にも、基本的には上述した図3に示すフローチャートにしたがって測定値を取得することができるが、反転文字センサ195によるカウント値を用いて測定値を算出する点で上記の算出方法と相違する。このため、巻尺読取装置100には、図12に示すように、例えば測尺220が筐体110から引き出される開口部112付近に、測尺220の表面と対向するように反転文字センサ195が備えられる。また、以下では撮像部160により撮像される撮像領域162、エンド測定モード時の終点位置、および任意測定モード時の終点位置の位置関係が予め把握されているものとする。このとき、撮像領域162には、必ずしもエンド測定モード時の終点位置および任意測定モード時の終点位置が含まれなくともよい。
まず、反転文字センサ195を用いたカウント処理について説明すると、例えば、図11に示す測尺220のように目盛り文字が100mm毎に全桁表示され、下一桁が1〜9の部分は「1」〜「9」の文字のみが目盛りに沿って付されている場合を考える。このとき、全桁表示されている目盛り文字222は、例えば赤地や黒地を白抜きして文字を表した反転印字がなされており、他の目盛り文字と異なる形式で表示されている。そこで、本実施形態にかかる巻尺読取装置100に、反転印字により表された目盛り文字222の個数を検出する反転文字センサ195と、測尺220の引き出し時および巻戻し時に反転文字センサ195により検出された当該目盛り文字222の個数をカウントするカウント部(図示せず。)とを備える。
反転文字センサ195およびカウント部の、より詳細な構成を図13に示す。図13に示すように、筐体110外部に向かって筐体110の開口部112を通過する、あるいは筐体110外部から開口部110を通過して筐体110内部に移動する目盛り文字に光が照射されるように、照射領域に位置する測尺220を光源により照射する。測尺220に光が照射される照射領域は、例えば、第1のエンド部130より筐体110内部側の開口部112付近に設けられる。かかる照射領域は、例えば図12に示すように撮像部160による撮像領域162より筐体110外部側に設けるようにしてもよい。光源としては、例えば白色LED196を用いることができる。白色LED196から出射された光は、測尺220の表面にて反射される。
反射光は、反転文字センサ195を構成する第1のカラーセンサ195aおよび第2のカラーセンサ195bによって検出され、それぞれ反射光のRGB成分を識別する。そして、第1のカラーセンサ195aおよび第2のカラーセンサ195bにより識別されたRGB成分信号はコンパレータにより比較され、予め設定された検出色を検出した場合に信号が出力される。カラーセンサ195a、195bにより検出される検出色は、測尺220に付された反転文字222の地色であって、図13の例では、コンパレータは、赤色を検出した場合に信号を出力する。これらの信号のうち、第1のカラーセンサ195aの検出値に基づいて出力される信号は移動方向を判定する信号(DIR)として用いられ、第2のカラーセンサ195bの検出値に基づいて出力される信号は、反転文字カウント割込み信号(INT)として用いられる。
図13に示すように、第1のカラーセンサ195aは、測尺220の引き出し方向において開口部112から離隔する側の領域(第1の反射領域)で反射された反射光を検出する。一方、第2のカラーセンサ195bは、第1の反射領域よりも測尺220の引き出し方向側(すなわち、開口部112側)の領域で反射された反射光を検出する。これより、移動方向を判定する信号(DIR)と反転文字カウント割込み信号(INT)との出力タイミングにずれが生じる。測尺220の引き出し時には、反転文字カウント割込み信号(INT)が立ち上がった後、移動方向を判定する信号(DIR)が立ち上がる。一方、測尺220の巻き戻し時には、移動方向を判定する信号(DIR)が立ち上がった後、反転文字カウント割込み信号(INT)が立ち上がる。この信号の出力タイミングの違いを利用して、図14に示すようにカウント処理が行われる。
カウント部(図示せず。)は、まず、反転文字カウント割込み信号(INT)の立ち上がりで反転文字のカウント処理を開始する(ステップS310)。次いで、カウント部は、移動方向を判定する信号(DIR)のレベルを確認する(ステップS320)。ステップS320において、移動方向を判定する信号(DIR)がローレベル、すなわち立ち上がっていないと判断した場合には、カウント部は測尺220が引き出されている状況であると判断し、反転文字カウントCを1加算する(ステップS330)。一方、ステップS320において、移動方向を判定する信号(DIR)がハイレベル、すなわち立ち上がっていると判断した場合には、カウント部は測尺220が巻き戻されている状況であると判断し、反転文字カウントCを1減算する(ステップS340)。そして、カウント部は、反転文字のカウント処理を終了する。巻尺読取装置100は、ユーザが巻尺200により測定対象物を測定する際、測尺220の引き出しあるいは巻戻しに伴ってカウント処理を実行する。これにより、反転文字センサ195およびカウント部(図示せず。)によって筐体110の開口部112付近を通過する反転文字222の数をカウントすることができる。
測尺220の目盛り文字の一部が全桁表示である場合の目盛りの読み取り方法においても、まず、測定時の読み取り位置の設定を行う(図3のステップS100の処理に対応)。ユーザは、エンド測定モードで測定するか、あるいは任意測定モードで測定するかを設定する。測定時の読み取り位置が設定されると、設定情報が基本情報記憶部180に記録される。次いで、ユーザは、測定対象物の測定を行う(図3のステップS102の処理に対応)。そして、ユーザは、設定した測定モードに応じた位置に測定対象物の測定終了位置を合わせ、測尺220の読み取り位置を決定する(図3のステップS104に相当)。測尺220の読み取り位置を決定すると、ユーザは、測定対象物に測尺220を合わせた状態で撮像部160により画像を取得する(図3のステップS106に相当)。撮像部160は、撮像した画像データを情報処理部170へ出力する。これにより、測定値の算出処理が開始される。
測定値の算出処理は、目盛り文字の数字の認識(図3のステップS108に相当)と、測定値の算出(図3のステップS114に相当)とからなる。目盛り文字の数字の認識処理は、上記と同様、図6に示すフローチャートに沿って行うことができるので、ここでは詳細な説明を省略する。図6のステップS214にて目盛り線が認識されたと判定された場合、画像内位置検出部174は、撮像領域162における目盛り線の座標を計算し、本実施形態での撮像画像内における基準位置である撮像領域162の右端からの長さをX、目盛り文字の認識結果をYとして記憶する(図6のステップS216)。例えば図12では、目盛り文字「7」の位置が認識された場合、撮像領域162の右端162bから目盛り文字「7」の目盛り線226aまでの長さがXとなる。また、目盛り文字の認識結果である「7」がYとなる。
測尺220の文字認識が正常に行われたと判定された場合には、測定値算出部176は、巻尺200による測定対象物の測定値を算出する。測定値算出部176は、まず、上記数式1より、暫定測定値(M)を算出する(図3のステップS114に相当)。ここで、撮像領域162の右端162bからエンド測定モード時の読み取り位置までの長さZは既知の値であるとする。次いで、測定値算出部176は、設定された測定モードが任意測定モードであるか否かを判定する(図3のステップS116に相当)。そして、任意測定モードであると判定した場合、測定値算出部176は、数式1より算出した暫定測定値(M)を補正する(図3のステップS118に相当)。測定値算出部176は、エンド測定モード時の測定値に、エンド測定モード時の終点位置と任意測定モード時の終点位置との差分(w)を加算し、暫定測定値(M)を補正する。これにより、任意測定モード時における測定対象物の暫定測定値(M)を算出することができる。
さらに、図3のステップS118の後、測定値算出部176は、測尺220の目盛り文字の一部が全桁表示である場合に該当するか否かを判定する。測尺220の目盛り文字の表記の違いは、例えば基本情報記憶部180に予め記憶させておくことができる。測定値算出部176は、基本情報記憶部180を参照し、測尺220の目盛り文字の一部が全桁表示である場合であると判定すると、下記数式2により暫定測定値(M)を補正する。
M=M+(C×100) ・・・(数式2)
ここで、Cは、反転文字センサ195を用いてカウント部(図示せず。)によりカウントされたカウント値である。本実施形態では、反転文字222は100mm毎に配置されているため、カウント部は、カウント値Cを100mm毎に1カウント加算あるいは減算する。数式2により、暫定測定値(M)に対して実際に測尺220が引き出されている長さが加算され、測定対象物の測定値Mを取得することができる。その後、測定値算出部176は、当該測定値Mを表示部150に表示させる(図3のステップS120に相当)。これにより、ユーザは、巻尺200により測定した測定対象物の測定値を把握することができる。
以上、本実施形態にかかる測尺220の目盛り文字224の一部が全桁表示である場合の巻尺読取装置100による目盛りの読み取り方法について説明した。このように、測尺220に付された目盛り文字の表記が異なる場合であっても、本実施形態にかかる巻尺読取装置100により、測尺220の示す値を読み取ることができる。
以上、第1の実施形態にかかる巻尺読取装置100の構成とこれによる巻尺200の読み取り方法について説明した。本実施形態によれば、撮像部160により読み取り位置を含む測尺220を撮像し、情報処理部170により撮像画像を画像処理して、測定対象物の測定値を算出する。これにより、装置本体に出し入れ可能に設けられた巻尺200により測定した測定値を精度よく読み取ることが可能となる。
(第2の実施形態)
次に、図15〜図17に基づいて、本発明の第2の実施形態にかかる巻尺読取装置300について説明する。本実施形態にかかる巻尺読取装置300は、第1の実施形態にかかる巻尺読取装置100と比較して、外部の端末400と通信可能な機構を備えた点で相違する。以下、第1の実施形態にかかる巻尺読取装置100との相違点を主として、本実施形態にかかる巻尺読取装置300について説明する。なお、図15は、本実施形態にかかる巻尺読取装置300の使用状態を示す概略説明図である。図16は、本実施形態にかかる巻尺読取装置300および情報処理端末400の機能構成を示す機能ブロック図である。図17は、本実施形態にかかる巻尺読取装置300および情報処理端末400の一処理例を示すタイミングチャートである。
<巻尺読取装置の使用例>
本実施形態にかかる巻尺読取装置300は、外部の情報処理端末400と通信するための通信機能を備える。これにより、例えば、図15に示すように、巻尺読取装置300は、測定対象物の測定値をパーソナルコンピュータ400AやPDA(Personal Digital Assistants)400Bなどの情報処理端末400へ送信し、各情報処理端末400にて測定値を記憶部に記憶したり、演算処理等に用いたりすることができる。また、巻尺読取装置300は、情報処理端末400から測定指示と測定手順情報を受信し、受信した測定手順にしたがって測定対象物を順次測定することもできる。また、本実施形態にかかる巻尺読取装置300は、測定対象物10に付された識別情報を読み取るコード認識部330を備えることもでき、測定値を測定対象物10と関連付けて管理することも可能である。
<巻尺読取装置および情報処理端末の機能構成>
本実施形態にかかる巻尺読取装置300は、図16に示すように、第1の実施形態と同様、操作部120と、表示部150と、撮像部160と、情報処理部170と、基本情報記憶部180と、数字画像記憶部190とを備える。本実施形態にかかる巻尺読取装置300は、さらに、通信部310と、データ処理部320と、コード認識部330と、処理パターン記憶部340と、測定値記憶部350とを備える。操作部120、表示部150、撮像部160、情報処理部170および基本情報記憶部180については、第1の実施形態の巻尺読取装置100の対応する機能部と同一の構成であるため、詳細な説明は省略する。
通信部310は、情報処理端末400との間で情報の送受信を行う機能部である。巻尺読取装置300と情報処理端末400との情報の送受信は、有線または無線いずれの形態で行われてもよく、例えば、汎用的な無線通信規格であるBluetooth(登録商標)を用いて行うことができる。通信部310は、例えば、情報処理部170にて算出された測定対象物10の測定値を情報処理端末400へ送信したり、情報処理端末400から測定手順情報等を受信したりする。
データ処理部320は、通信部310を介して情報処理端末400との間で送受信された情報の処理を行う機能部である。データ処理部320は、例えば、情報処理端末400から受信した測定指示を受けて、処理パターン記憶部340に測定手順情報として記憶された測定手順を順次表示部150に表示させ、ユーザに手順を通知する。また、データ処理部320は、手順に沿って測定された値を順次、あるいは一括して通信部310や測定値記憶部350へ出力する。このとき、コード認識部330により測定対象物10の識別情報が取得されている場合には、データ処理部320は、測定値にかかる識別情報を関連付ける処理を行ってもよい。また、コード処理部320は、情報処理部170により算出された測定値を用いて、測定手順に沿って指示された演算処理を行うこともできる。
コード認識部330は、測定対象物10に付された識別情報を取得する。コード認識部330は、測定対象物10に付された例えばバーコードや二次元コード(図15の符号12)を読み取り、当該コードに関連付けられた識別情報を取得するコード読み取り手段である。識別情報は、測定対象物10に固有の情報である。コード認識部330は、取得した識別情報をデータ処理部320や測定値算出部176へ出力する。
処理パターン記憶部340は、巻尺読取装置300による測定対象物10の測定手順を記憶する記憶部である。処理パターン記憶部340は、通信部410を介して情報処理端末400から送信された測定手順を記憶することもでき、予め測定手順を記憶することもできる。処理パターン記憶部340に記憶される測定手順は、例えば、直方体形状の測定対象物10の、縦、横、高さの3辺の測定を順次指示するようなものである。このような測定手順に、測定結果を用いた演算処理(例えば、体積や重量の算出)を加えることも可能である。
測定値記憶部350は、測定値算出部176により算出された測定値を記憶する記憶部である。また、測定値記憶部350は、データ処理部320により算出された値を記憶することもできる。上述の処理パターン記憶部340および測定値記憶部350は、例えばEEPROM、EPROMなどの不揮発性メモリや、ハードディスクおよび円盤型磁性体ディスクなどの磁気ディスクなどの記憶媒体を用いることができる。また、これらの記憶部は、1つの記録媒体に構成してもよく、別個の記憶媒体にそれぞれ構成してもよい。
次に、本実施形態にかかる巻尺読取装置300と通信可能な情報処理端末400は、図16に示すように、入力部410と、処理パターン取得部420と、通信部430と、表示部440と、処理パターン記憶部450と、測定データ記憶部460とを備える。なお、図16に示す情報処理端末400には、巻尺読取装置300と通信し、送受信する情報を処理するために必要な機能のみを示している。したがって、情報処理端末400は、図16に示していない機能を備えることも可能である。
入力部410は、情報処理端末400を使用するユーザが入力情報を入力するための機能部である。入力部410は、例えば、キーボードやマウス、ボタンなどを用いることができる。入力部410から入力された入力情報は、処理パターン取得部420へ出力される。
処理パターン取得部420は、入力情報に基づいて、巻尺読取装置300により測定する測定手順を示す処理パターンを、処理パターン記憶部450から取得する。処理パターン取得部420は、処理パターン記憶部450から取得した処理手順を通信部430へ出力する。
通信部430は、情報処理端末400と通信可能に接続された巻尺読取装置300との間で情報の送受信を行う機能部である。通信部430は、例えば、図15の符号402のようにUSB接続により情報処理端末400に設けることもでき、情報処理端末400に内蔵させることもできる。通信部430は、例えば、処理パターン取得部420により取得された測定手順を巻尺読取装置300へ送信したり、巻尺読取装置300から測定値を取得したりする。また、通信部430は、巻尺読取装置300から受信した情報を測定データ記憶部460に記録することもできる。
表示部440は、ユーザに通知する情報を表示する機能部である。表示部440は、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどを用いることができる。表示部440は、測定値や通信部430から受信した測定手順情報等の受信情報を表示させることができる。
処理パターン記憶部450は、巻尺読取装置300による測定対象物10の測定手順を記憶する記憶部である。処理パターン記憶部450は、巻尺読取装置300の処理パターン記憶部340と同様に、測定手順を記憶する。なお、処理パターン記憶部450は、巻尺読取装置300に処理パターン記憶部340が設けられていれば、情報処理端末400に必ずしも備えなくともよい。
測定データ記憶部460は、巻尺読取装置300による測定対象物10の測定値や、測定値を用いて算出された値等を記憶する記憶部である。測定データ記憶部460は、巻尺読取装置300の測定値記憶部350と同様に構成することができる。
以上、本実施形態にかかる巻尺読取装置300および情報処理端末400の機能構成について説明した。このような構成の巻尺読取装置300は、測定対象物10の測定値を情報処理端末400へ送信することができるので、情報処理端末400側で測定値を用いたデータ処理や、測定値の管理を行うことができる。また、巻尺読取装置300は、情報処理端末400に指示された手順で測定値を測定することもできる。さらに、巻尺読取装置300は、コード認識部330によって取得した測定対象物10の識別情報を測定値と関連付けて、測定値の管理を容易にすることもできる。以下、図17に基づいて、本実施形態にかかる巻尺読取装置300による測定対象物10の測定例について説明する。
<測定対象物の測定例>
ここでは、巻尺読取装置300を用いて、直方体形状の測定対象物10の3辺(縦、横、高さ)を測定手順にしたがって測定し、当該測定対象物10の体積を算出する処理について説明する。なお、本実施形態では、情報処理端末400側から巻尺読取装置300へ、処理手順を表す処理パターンが送信されるとする。
まず、情報処理端末400側で、ユーザが入力部410から測定対象物10を測定する測定方法を入力すると、処理パターン取得部420は、処理パターン記憶部450から当該測定方法を実行するための情報(例えばプログラム等)を取得し、通信部430へ出力する。そして、通信部430は、処理パターン取得部420から入力された情報を測定手順情報として、巻尺読取装置300へ送信する(ステップS400)。
情報処理端末400から測定手順情報を取得すると(ステップS402)、巻尺読取装置300は、測定対象物10の測定を開始する(ステップS404)。巻尺読取装置300の通信部310は、受信した測定手順情報をデータ処理部320へ送信し、データ処理部320によって測定手順情報が処理パターン記憶部340に記録される。そして、データ処理部320は、測定手順情報にしたがって、測定対象物10の測定箇所を順次表示部150に表示させる。ユーザは、表示部150に測定対象物10の測定箇所が表示されると、第1の実施形態において説明した測定方法で、巻尺読取装置300に収容された巻尺200を用いて測定を行う。
巻尺読取装置300は、測定対象物10の縦の長さを測定するため、データ処理部320は、測定手順情報にしたがって表示部150に「縦を測定」といった案内を表示させる。表示部150に表示された手順にしたがってユーザは測定対象物10の縦の長さを測定する。巻尺読取装置300は、撮像部160により撮像画像を取得すると、情報処理部170により測定値を算出し(ステップS406)、測定値をデータ処理部320により測定値記憶部350に記録する(ステップS408)。このとき、コード認識部330により測定対象物10に付されたコード12の読み取りが行われている場合には、データ処理部320は、コード12に対応付けられた識別情報を測定値に関連付けて測定値記憶部350に記録する(ステップS410)。そして、データ処理部320は、表示部150に測定値を表示させる(ステップS412)。こうして、測定対象物10の縦の長さの測定が完了する。
測定対象物10の縦の長さの測定が完了すると、データ処理部320は、処理パターン記憶部340に記憶された処理手順情報を参照して、次の測定箇所の測定を開始する。すなわち、測定対象物10の横の長さ、高さについて、ステップS404〜S412の処理を繰り返すことにより測定を行う。そして、巻尺200による測定箇所の測定が完了すると、データ処理部320は、測定した値を用いて、測定対象物10の体積を算出する。データ処理部320により算出された体積は、測定値と同様に、表示部150に表示させてもよく、識別情報と関連付けて測定値記憶部350に記録してもよい。
その度、巻尺読取装置300は、測定手順情報による測定処理を終了すると、少なくとも測定結果を情報処理端末400へ送信する(ステップS414)。このとき、測定結果に識別情報が関連付けられている場合には、測定結果とともに当該識別情報を情報処理端末400へ送信する。また、巻尺読取装置300は、測定値を用いて算出した結果を情報処理端末400へ送信してもよい。巻尺読取装置300から測定結果を受信した情報処理端末400は、測定結果を表示部440へ表示させたり、測定データ記憶部460に記録したりする(ステップS416)。
このように、巻尺読取装置300に通信機能を持たせることにより、情報処理端末400の指示に基づいて測定対象物10の測定を行い、その結果を情報処理端末400へ送信することができる。これにより、巻尺読取装置300を用いて測定対象物10を測定するユーザは、作業を効率的に行うことができ、測定値を正確に情報処理端末400のユーザへ通知することができる。
なお、本実施形態では、巻尺読取装置300は、情報処理端末400からの指示を受けて測定手順をユーザに提示するようにしたが、本発明はかかる例に限定されない。巻尺読取装置300は、図16に示すように、処理パターン記憶部340に測定手順情報を予め記憶しておくことが可能であり、測定値記憶部350に測定結果を記憶させて保持することも可能である。したがって、巻尺読取装置300側のユーザが、測定対象物10の測定の際に、処理手順を設定し、その処理手順にしたがって測定を行うようにすることもできる。測定結果は、データ処理部320により自動的に測定値記憶部350に記録されるので、測定作業現場から離れた後に、巻尺読取装置300に記憶された測定結果を情報処理端末400に取り込むことも可能である。
以上、第2の実施形態にかかる巻尺読取装置300およびこれによる測定処理について説明した。本実施形態によれば、巻尺読取装置300に通信機能を設けて、情報処理端末400との間で情報の送受信を可能にする。これにより、巻尺読取装置300による測定対象物10の測定結果を情報処理端末400へ送信することができ、測定結果を正確に伝達することができる。また、巻尺読取装置300にコード認識部330を設けることにより、測定結果と測定対象物10を特定する識別情報とを関連付けることができ、測定結果の管理を容易にすることができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記第2の実施形態では、巻尺読取装置300を1または2以上の情報処理端末400と通信可能な場合を説明したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、1つの情報処理端末400と複数の巻尺読取装置100とを通信可能に構成することもできる。
また、上記実施形態では、巻尺読取装置を使用するユーザに測定値や測定手順情報等の情報を通知する手段として、ランプ128や表示部150を設けたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、巻尺読取装置にスピーカを設け、測定対象物10の測定や情報処理端末400との情報の送受信等の処理が正常に行われたか否かをユーザに通知するようにしてもよい。これにより、巻尺読取装置による測定ミスを低減することができ、測定対象物10の測定を確実に行うことができる。