JP2011007006A - 掘削装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ドリルビットの回転方向と同一方向に回転し推進する推進機構を、ドリルビットの後ろ側に螺旋状に配置する。螺旋状に配置された推進機構が土砂を螺旋状に押し出し、ドリルビットの回転方向と同一方向に回転することで、掘削装置自体の空転を防ぎ、掘削装置が自律的に回転しながら掘削方向に推進できる。
【選択図】図1
Description
より詳細には、小型でありながら安定した掘削性能を発揮する、掘削装置に関する。
なお、本発明に関係すると思われる先行技術文献を非特許文献1に示す。
更に、月面調査を行うに当たっては、先ずは無人調査を実施することとなるが、宇宙船等を打ち上げるためのロケットは極めて高額である。特に、打ち上げる物体の重さは、ロケットの推進能力を大きく左右する。従って、ロケットに乗せて月面に降ろす調査機械は、できる限り軽量であることが求められる。
非特許文献1は、このような事故の発生を防ぐため、モータに加わる回転反力を相殺する、三つのドリルビットを備えたドリルビットユニットが開示されている。しかし、三つのドリルビットを備える、という設計は、ドリルビットユニット自体が大型になってしまい、軽量化が難しい。更に、三つのドリルビットを備える、ということは、それだけ部品点数が多いので、装置のコストが上昇する。
ドリルビットに生じる回転反力を相殺しつつ、装置自体の重力加速度だけで安定して地面を掘り進めることができるような掘削装置が実現できれば、重厚なやぐらが不要になり、理想的である。
モータ102の駆動軸103にはドリルビット104が固定されており、ドリルビット104はモータ102によって矢印A105の方向に回転駆動される。
モータ102の後ろ側には、モータ102のケースに固定された固定軸106が設けられている。固定軸106は、例えば真鍮等の、金属の丸棒である。この固定軸106に、ソレノイドアクチュエータ(以下「ソレノイド」)109a、109b、109c、109d、109e、109f、109g及び109hが螺旋状に配置されている。各々のソレノイドは固定軸106に対して45°の傾斜角にて据えつけられ、ソレノイド同士が固定軸106を中心に取り巻くように配置されている。
これ以降、固定軸106と、これに取り付けられたソレノイド109a乃至109h、そしてこれらに取り付けられたパッド110a乃至110hを、螺旋駆動機構と呼ぶ。
先ず、モータ102とドリルビット104に注目して、掘削装置101の掘削動作を説明する。
図2において、モータ102の駆動軸103にはドリルビット104が固定されており、ドリルビット104はモータ102によって矢印A105の方向に回転駆動される。
モータ102がドリルビット104を回転駆動すると、図示しない土砂がドリルビット104によって削られる。しかし、この動作はモータ102がドリルビット104の回転に伴って発生する、矢印A111に示す回転反力によって回転しないことが条件である。したがって、ドリルビット104から発生する回転反力を打ち消す機構を、モータ102に設ける必要がある。
発明者は様々な試行錯誤の末、ドリルビット104によって削られた土砂を、地面とモータ102の筐体との間に介在する固定作用の要素とすることを思いついた。
先ず、ドリルビット104によって削られた土砂は、モータ102の後ろ側へ押し出さないと、掘削装置101が土中を掘り進むことができない。
そこで、モータ102の後ろ側に、削り取った土砂を後ろへ押し出す機構を設けることを考える。
螺旋状の羽根をモータ102の後ろ側に設けて、螺旋状の羽根を伝うように土砂を押し出すことができれば、掘削装置101の掘削動作が安定することが期待できる。
また、螺旋状に土砂が流れる、ということは、掘削装置101自体も矢印A108方向に螺旋状に回転して進むこととなる。この回転方向(矢印A108)と、ドリルビット104の回転方向(矢印A105)に伴って発生する回転反力(矢印A111)は逆にする必要がある。螺旋状に掘削装置101が動くと共に、ドリルビット104の回転方向と逆の回転力を与えることで、ドリルビット104が土中の接触面に対して適切な接触圧を与えつつ、掘り進めることができる。
この動作は、掘削装置101全体が木ネジのように回転しながら土中を進む動作であると解することができる。
小型の螺旋状の羽根に駆動機構を仕込むのは、工作技術の観点から困難であるので、次善の策として、直線状の運動を行う駆動機構を螺旋状に配置する。
こうして考え出された駆動機構が、本実施形態の螺旋駆動機構である。
固定軸106に螺旋状に設けられているソレノイド109a乃至109hの配置は、螺旋状の羽根を想定して設けられている。
本実施形態の螺旋駆動機構を構成するソレノイド109a乃至109hは、ドリルビット104が削り出した土砂を、矢印A107a及びA107bの方向に押し出す。
図2(a)は、図1の掘削装置101を図1の矢印B方向から見た図である。つまり、固定軸106を見下ろす視点で、ソレノイドの配置を観察した図である。
図2(b)は、図2(a)の固定軸106を矢印C方向から見た図である。つまり、固定軸106を横から見た視点で、図2(a)で見えるソレノイドの配置を観察した図である。
なお、各々のソレノイド109a乃至109hの配置は必ずしも一本の螺旋状の羽根106を想定した配置になっていなくとも良い。つまり、ドリルビット104が削り取った土砂がソレノイド109a乃至109hの筐体に沿って螺旋状に流れてくれれば良いので、土砂が螺旋状に流れるように配置されていれば、固定軸106方向のソレノイド109a乃至109hの配置間隔dは厳密に問わない。
今、図3(a)に示すように、ソレノイド302が矢印A303方向にパッド304を押し出すと、パッド304の周囲にある土砂305の、パッド304の表面側は密度が高くなり(図3(a)中の「密」)、土砂305は矢印A306a及びA306bに示すようにソレノイド302の周辺に押し出される。
いずれの場合においても、パッド304が図3(a)及び(b)に示すように往復運動をすると、パッド304によって押し出された土砂305はソレノイド302の周辺に押し出される。
また、土砂305の流れはソレノイド302の筐体に沿って流れるので、掘削装置101自体がソレノイド302の筐体が形成する螺旋に沿って回転する。この回転推進力がドリルビット104の回転方向と逆に作用することで、ドリルビット104の空転を防ぎ、確実に地面を掘り進めることができる。
図4(a)は、偶数番目のソレノイド302の駆動電圧であり、図4(b)は、奇数番目のソレノイド302の駆動電圧である。
ソレノイド302の駆動パターンには種々考えられるが、ソレノイド302がパッド304を通じて土砂305に加える力が、押し出す方向と引き込む方向とで等しくないことを考慮すると、掘削装置101を巨視的に見て、常時、掘削装置101から土砂305に力が加わっている状態が望ましい。そこで、ソレノイド302を一つおきに区分して、交互に駆動する。
勿論、この駆動パターンは、土砂305の状態に応じて適宜変更してもよい。また、駆動パターンより駆動の周期を短くすることで、より強い推進力を得ることができる。
図4(a)及び(b)に示す、ソレノイド302の駆動電圧を発生させるための信号は、周知のマイコンやモノマルチバイブレータ等の論理回路等で容易に作成することができる。
図5の掘削装置501の、図1に示した掘削装置101との違いは、ドリルビットが二段重ねの構造になっている点である。モータ102、駆動軸103、固定軸106及び固定軸106に取り付けられているソレノイド109a乃至109hは第一の実施形態と全く同じなので、詳細な説明は割愛する。
略円錐形状のドリルビットユニット502は、底面に平行な面で分割された二つのドリルビットを備える。一つは、円錐のふもと側に該当する、矢印A506方向に回転する上側ドリルビット503である。もう一つは、円錐の頂上側に該当する、矢印A505方向に回転する下側ドリルビット504である。
下側ドリルビット504は、モータ102の駆動軸103に直結されている。つまり、モータ102の回転駆動力と回転方向がそのまま伝達され、矢印A505方向に回転する。
上側ドリルビット503は、その内部に後述する遊星歯車機構を内蔵しており、モータ102の回転方向と逆方向の矢印A506方向に回転駆動される。
このため、図示を省略しているが、下側ドリルビット504の表面に設けられている、地面を掘削するための刃の方向と、上側ドリルビット503の表面に設けられている、地面を掘削するための刃の方向は、逆である。なお、刃の方向については、図7、図8及び図9で後述する。
図6で、駆動軸103が矢印A601に示すように時計回り方向に回転すると、その回転力及び回転方向がそのまま下側ドリルビット504に伝達され、下側ドリルビット504も矢印A602に示すように時計回り方向に回転する。
駆動軸103の先端は下側ドリルビット504を固定するためにねじ切りされている。
遊星歯車604a、604b、604c及び604dは、第一円盤702と第二円盤703によってこれらの軸が固定されている。そして、第二円盤703にはモータ102の筐体を固定するための固定筒704が設けられている。
上側ドリルビット503の底面には、ギア室705に第一円盤702、第二円盤703及び遊星歯車604a、604b、604c及び604dを収納するための蓋707が設けられている。蓋707の中心には、固定筒704が貫通する穴707aが設けられている。この穴707aは、上側ドリルビット503の回転を妨げないように、固定筒704の直径よりも大きく設けられている。
図8(a)は、下側ドリルビット504の外観斜視図である。先端から見ると、時計回り方向に刃504aが設けられている。
図8(b)は、下側ドリルビット504を真横から見た図である。
図8(c)は、下側ドリルビット504の底面図である。下側ドリルビット504には四つの刃504aが設けられている。中心には駆動軸103を固定する穴504bが設けられている。
図9(a)は、上側ドリルビット503の外観斜視図である。図8(a)に示した下側ドリルビット504と比較すると判るように、下側ドリルビット504とは逆方向の刃503aが四つ設けられている。つまり、下側ドリルビット504の先端側から見ると、反時計回り方向に刃503aが設けられている。
図9(b)は、上側ドリルビット503を真上から見た図である。中心には、駆動軸103とは逆方向に回転するため、駆動軸103の回転を妨げないように、駆動軸103より大きい穴503bが設けられている。
前述の通り、遊星歯車604a、604b、604c及び604dは、第一円盤702と第二円盤703によってこれらの軸が固定されている。そして、第二円盤703にはモータ102の筐体を固定するための固定筒704が設けられている。したがって、固定筒704、第一円盤702及び第二円盤703はモータ102が回転しても回転しない。
モータ102が回転しても、固定筒704に固定されている第二円盤703は回らない。そして、遊星歯車604a、604b、604c及び604dの軸は、第二円盤703によって固定されている。もし、第二円盤703が存在しないと、遊星歯車604a、604b、604c及び604dは太陽歯車603と外輪歯車503aとの間の空間を自由に公転する。しかし、第二円盤703によって公転が妨げられるため、太陽歯車603の回転力は直接遊星歯車604a、604b、604c及び604dが自転する力となって、回転方向が反転されて外輪歯車503aに伝達する。
第二の実施形態の掘削装置101では、下側ドリルビット504の回転反力を打ち消す力は、ソレノイド109a乃至109hによる螺旋駆動機構だけではなく、上側ドリルビット503から生じる回転反力も加わる。したがって、螺旋駆動機構から生じる回転モーメントより下側ドリルビット504から生じる回転反力モーメントが大きすぎる場合でも、また仮に、螺旋駆動機構だけが空回りする事態が生じても、ドリルビットユニット502が地面を削れない、という事態を容易に防ぐことができる。
(1)第一の実施形態及び第二の実施形態では、螺旋駆動機構として電磁駆動式のソレノイドを用いていたが、必ずしもソレノイドに限る必要はない。電磁駆動式ソレノイドの代わりに、周知の空気アクチュエータを用いても良い。また、空気圧或は油圧、又はワイヤー等を用いた直線運動伝達機構を、螺旋形状の羽根に埋め込み、テーパ状のパッド309を駆動する構成を採用しても良い。
理想的には、ソレノイドの傾斜角を調整できる機構を備えることができれば、土壌の質に応じて適切な傾斜角を設定することができる。
ソレノイド等の直線駆動体を螺旋状に配置して螺旋駆動機構を構成し、パッドを駆動して土砂を押し出す。そして、掘削装置自体の回転方向とドリルビットの回転方向を逆にすることで、掘削装置自体の空転を防ぎ、掘削装置が自律的に回転しながら掘削方向に推進できる。
この螺旋駆動機構により、従来技術でドリルビットの回転反力に抗するために必要だったやぐらが不要になり、土壌を掘削するための機構全体が極めて簡素になると共に、軽量にできる。
Claims (2)
- ドリルビットと、
前記ドリルビットを回転駆動するモータと、
前記モータに固定され、前記ドリルビットの回転方向と同一方向に前記モータを回転駆動させるべく螺旋状に配置されて前記ドリルビットが切削した切削物を駆動する複数の直線駆動機構と
を有する掘削装置。 - 更に、前記モータに固定される固定軸を有し、
前記直線駆動機構は、前記固定軸に螺旋状に配置されたソレノイドアクチュエータと、前記ソレノイドアクチュエータによって駆動されるパッドとよりなる、請求項1記載の掘削装置。
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JP2011169056A (ja) * | 2010-02-19 | 2011-09-01 | Chuo Univ | 自動掘削推進装置 |
JP2015223909A (ja) * | 2014-05-27 | 2015-12-14 | 伊佐男 安田 | アンカー |
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