JP2011006916A - 建物 - Google Patents

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Abstract

【課題】建物の室内側から植栽植物を観賞することができるとともに、その植物を長期間にわたって適切に生育させることができる建物を提供する。
【解決手段】建物21の外壁21aの外側に間隔をおいて配置された側壁26と、その側壁26に対向するように建物21の外壁21aに設けられた窓28との間に植栽緑化室27を形成する。植栽緑化室27内には植栽を設け、窓28を介して室内側から植栽植物34を見ることができるように構成する。植栽緑化室27内に太陽光を導入するための導光ダクト36を設ける。
【選択図】図3

Description

この発明は、ビルディング等の建物に関するものであって、特に壁部に室内側から観賞できる植栽を施した建物に関するものである。
従来、この種の建物は、その建物の壁部の外側に植栽を施したものが通常である。例えば特許文献1〜特許文献5に記載の従来構成では以下のような構成が開示されている。
特許文献1に記載の従来構成では、建物の壁面の外側に所定間隔をおいて格子状の立面体が立設され、この立面体につる性植物を絡ませて登攀させることにより、建物の壁面が覆われている。特許文献2に記載の従来構成では、建物の壁面の外側に壁体が配置され、その壁体には培養土を収容する収容空間が形成されている。壁体の外面にはプランタが取り付けられ、そのプランタの背面開口部が壁体の外面開口部を介して収容空間に連通されている。そして、プランタに栽培された植物により、壁面が緑化されている。特許文献3に記載の従来構成では、建物の壁面の外側に、枠部材と緑化基盤とよりなる緑化ユニットが埋め込まれている。そして、この緑化ユニットの緑化基盤に植栽されることにより、壁面が緑化されている。
その外に、建物の内側に植栽を設けるようにした構成も存在する。例えば、特許文献4に記載の従来構成では、透光性を有する複数のガラスブロックを縦方向及び横方向に組み付け固定することにより、建物の壁体が形成されている。任意のガラスブロックの外面側または内面側には開口部が形成されるとともに、そのガラスブロック内には培養土が収容されている。そして、開口部から培養土に植栽されることにより、壁体の外面または内面が緑化されている。特許文献5に記載の従来構成では、建物の壁面の内側に縦型ケースが取り付けられ、その縦型ケースの内面中央には開口部が形成されている。開口部から建物の内側に露出するように、縦型ケース内には植物支持部材及び吸水性シート部材よりなる植栽部材が収容されている。そして、植栽部材の植物支持部材に植栽されることにより、壁面の内側が緑化されている。
特開平9−144129号公報 特開2004−248533号公報 特開2007−306845号公報 特開2003−304749号公報 実用新案登録第3129176号公報
ところが、これらの従来構成においては、次のような問題があった。
特許文献1〜特許文献3に記載の従来構成では、街の景観向上や、太陽光線の照射に伴う建物の温度上昇の抑制を主目的として、建物の壁面の外側に植栽が施されている。このため、植栽に供された植物は建物の外側から観賞できるが、建物の室内側から眺めて、観賞することはできない。
特許文献4に記載の従来構成では、建物の壁体が透光性を有する複数のガラス等のブロックを縦方向及び横方向に組み付け固定することによって形成されているため、建物の壁体として荷重や衝撃に対する強度を確保することが困難である。しかも、ブロックには植物の枝等を外部に延ばすための開口が必要で、さらにブロックの強度が低下させる。従って、この特許文献4の従来構成は、その公報中に建物の外壁に使用可能であると記載されているものの、実際には荷重を担持する部分に使用することが不可能で、ベランダ等の壁部として用いることができる程度である。従って、この特許文献4の構成は、室内緑化に寄与することには期待できない。特許文献5に記載の従来構成では、建物の壁面の内側に取り付けられた縦型ケースに、太陽光を取り込む方法が考慮されていない。このため、植物に適切な照明を与えなければ、縦型ケース内の植物を、長期間健康状態で生育させることが困難である。言い換えれば、この特許文献5の構成を採用した場合は、人工照明のための電力消費が不可欠であって、緑化のためにエネルギー消費が強いられることになる。
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、建物の室内側から植栽植物を楽しむことができるとともに、その植物を長期間にわたって生育させることができ、しかも省エネルギーを達成できる建物を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明においては、壁部と、その壁部の室内側において壁部に対向する窓との間に植栽緑化室を設け、その植栽緑化室内に植栽を設けるとともに、その室内に太陽光を導入するための導光手段を設け、前記窓を介して植栽を観賞することができるようにしたことを特徴としている。
従って、この発明においては、建物の室内側から窓を介して、部屋内の植栽植物を楽しむことができるとともに、その植物から放散される香りやマイナスイオン、及び植物の蒸散に伴う冷気等を室内側から得ることができる。しかも、部屋内の植栽植物には導光手段を介して太陽光が導入されるため、その植物を長期間にわたって自然の状態で生育させることができる。また、建物の壁部を観賞空間として有効利用することできる。
なお、この発明において、建物とは、オフィスビルや学校ビル等の建物だけではなく、工場、競技場のバックヤード、地下鉄,地下街,トンネルの内部の構築物等、人間の居住あるいは通過の空間を形成する構造物全般を含むものとする。
請求項2に記載の発明においては、前記壁部を建物の外壁の外側に設けられた側壁により構成するとともに、前記窓を外壁に設けている。
請求項3に記載の発明においては、前記側壁の内側面に植栽を形成するための緑化基盤を設けている。
請求項4に記載の発明においては、前記導光手段を屋外の太陽光を前記植栽緑化室内に導くための導光ダクトにより構成している。
請求項5に記載の発明においては、前記導光手段には太陽光の不足分を補うための補光手段を設けている。
請求項6に記載の発明においては、前記補光手段の電源を太陽電池としている。
請求項7に記載の発明においては、前記側壁の外側面に太陽電池パネルを設け、その太陽電池パネル及び前記緑化基盤を側壁に取り付けるための取付金具を共用している。
以上のように、この発明によれば、建物の室内側から植栽植物を楽しむことができるとともに、その植物を長期間にわたって順調に生育させることができ、しかも建物の壁部を観賞空間として利用できるという効果を発揮する。
第1実施形態の建物の概要を示す平面図。 図1の建物の斜視図。 植栽緑化室を示す図2の建物の要部拡大断面図。 側壁に対する緑化基盤と太陽電池との固定構造を拡大して示す部分断面図。 (a)は導光ガイドの正面図、(b)は導光ダクト及び補光装置を拡大して示す部分断面図、(c)は光導出溝36sを示す導光ダクトの一部正面図、(d)は同じく一部断面図。 植栽緑化室を示す建物の平断面図。 (a)〜(c)は第2実施形態の建物の異なった態様を示す斜視図。 植栽緑化室を示す図7の建物の要部拡大断面図。 第3実施形態の建物を示す部分破断側面図。 第4実施形態の建物を示す部分破断側面図。 第5実施形態の緑化基盤を示す斜視図。 第5実施形態の別の緑化基盤を示す斜視図。 図11の緑化基盤の異なった使用態様を示す斜視図。 第6実施形態の建物の緑化基盤を示す斜視図。 第7実施形態の建物の緑化基盤を示す斜視図。 第8実施形態の建物の導光ダクト及び集光装置を示す部分断面図。 (a)〜(i)は導光ダクトの各種の変更例を示す正面図あるいは断面図。 導光ダクトの別の変更例を示す断面図。 (a)〜(d)は導光ダクトのさらに別の変更例を示す断面図。 (a)(b)は導光ガイド関連の構成の変更例を示す断面図。 (a)(b)は導光ダクトの配置の変更例を示す側面図。 (a)〜(e)は導光ダクトの枝管の変更例を示す正面図あるいは側面図。 緑化基盤の変更例を示す一部側面図。 窓の変更例を示す正面図。
(第1実施形態)
以下に、この発明を具体化した建物の第1実施形態を、図1〜図6に従って説明する。
図1の建物21は、道路22の東側に面する位置に配置され、その建物21の北側及び南側には別の建物23が隣接状態で配置されている。この実施形態は前記建物21において具体化される。建物21の内部において北側及び南側の壁部には後述の緑化構造24が施され、その緑化構造24の植栽を建物21の室内側から見ることができるように構成されている。
そこで、前記緑化構造24について詳細に説明する。図3に示すように、建物21の外壁21aの外側には、壁部としての側壁26が外壁21aに対して外側に所定間隔をおいて配置されている。建物21の屋上部21b対応するように、最上階の側壁26の上端と外壁21aの上端との間には天井壁26aが設けられるとともに、各階の床部21cと対応するように、側壁26と外壁21aとの間には底壁26bが設けられている。そして、建物21の外壁21aと側壁26との間において、天井壁26aと底壁26bとの間及び各底壁26b間には各階ごとに植栽緑化室27が形成されている。各階の植栽緑化室27に臨むように、建物21の外壁21aには開閉可能な窓28が設けられている。
図3及び図4に示すように、前記側壁26の内側面には緑化基盤29が補強板30Aを介して、複数の固定金具としての貫通ボルト31、各一対の座金32A及び各一対のナット33Aにより固定されている。植栽緑化室27内において緑化基盤29には、植物34がプランタ35を用いて栽培されている。そして、建物21の室内側から外壁21aの窓28を通して、緑化基盤29上の植栽を構成する植物34を鑑賞することができるようになっている。
図3に示すように、前記植栽緑化室27内を貫通するように建物21には、導光手段としての導光ダクト36が延長されている。この導光ダクト36は図6に示すように、窓28の部分を避けて配置され、室内側から目立たないように配慮されている。なお、逆に、導光ダクト36を植栽緑化室27内の加飾材として利用することも可能である。導光ダクト36の上端部には、前記天井壁26aの上方に突出して開口する光導入口36aが形成され、この光導入口36aから導光ダクト36内に採光できるようになっている。図2及び図3に示すように、光導入口36aを覆うように、天井壁26a上には、光導入口36a内に対する雨水,落ち葉,塵埃等の侵入を防止するための透明カバー37が設けられている。
なお、図3においては、導光ダクト36は1本しか描かれていないが、図6に示すように、複数設けられる。
図3及び図5(a)〜(d)に示すように、前記導光ダクト36には植栽植物34と対向するように、複数の光導出口36b及び光導出溝36sが形成されている。導光ダクト36の光導入口36aから光導出口36b及び光導出溝36sに至る内面はすべて光反射面となっている。導光ダクト36の一部には半球状の導光ガイド36cが形成され、その導光ガイド36cの先端に前記導出口36bを構成し、開口側ほど広がる導光筒36dが形成されている。前記光導出溝36sは縦溝状をなし、図5(c)に示すように、その開口幅が下部側ほど広がっている。そして、光導入口36aから導光ダクト36内に導入された太陽光が、導光ダクト36の内面で反射されて光導出口36b及び光導出溝36sから植栽緑化室27内の植物34及びその周囲に向けて照射される。また、図3においては、導光ダクト36は複数階を貫通して設けられているが、このように複数階を貫通したとしても、1本の導光ダクト36の光導出口36bや光導出溝36sは、1つの階の植栽緑化室27に対応して設けられることが好ましい。
図3及び図5(a)に示すように、前記導光ダクト36の各光導出口36bと対向する位置には補光口36fが形成され、それらの補光口36fの外側には補光手段としての補光装置39が配置されている。この補光装置39は、補光口36fの外側に取り付けられたケーシング40と、そのケーシング40にパッキン41を介して貫通支持されたLED(発光ダイオード)よりなる光源42と、補光口36fと光源42との間に配置された吸熱フィルタ43とより構成されている。この吸熱フィルタ43は導光ダクト36内の熱(主として太陽熱)により前記光源42が劣化することを防止するためのものである。そして、雨天時等において太陽光が不足する際に、光源42の点灯により太陽光の不足分が補われるようになっている。従って、前記光源42は植物の生育に適した波長域の光を照射するものが用いられる。
図3に示すように、前記各植栽緑化室27内の上部には、緑化基盤29上の植栽植物34に対して灌水を行うための灌水装置47が設けられている。各植栽緑化室27内の下部には、灌水装置47からの水や、緑化基盤29及び植栽植物34から滴下する水を集めて植栽緑化室27外に排出するための排水装置48が設けられている。各植栽緑化室27内の上部には、植栽緑化室27内の空気を入れ替えるための換気装置49が設けられている。図3及び図6に示すように、各植栽緑化室27の底部には多数の開口(図示しない)を備えたグレーチングよりなる通路50が敷設されている。
図2〜図4に示すように、前記側壁26の外側面には複数枚の太陽電池パネル44が補強板30Bを介して、複数の固定金具としての貫通ボルト31、各一対の座金32B及び各一対のナット33Bにより固定されている。この場合、固定金具としての貫通ボルト31は、側壁26の外側面に対する太陽電池パネル44の固定と、側壁26の内側面に対する緑化基盤29の固定とに共用されている。この太陽電池パネル44は、隣接される他の建物23に邪魔されることなく太陽光が到達する側壁26上に設けられる。建物21の屋上部21bには、複数枚の太陽電池パネル45が支持具46を介して傾斜状態に配置されている。そして、前記側壁26上の太陽電池パネル44及び屋上部21bの太陽電池パネル45によって発電された電力は、図示しない蓄電池に蓄えられる。その蓄えられた電力は、商用電源とともに建物21の各種の電気機器の電源として用いられるとともに、前記補光装置39の光源42及び換気装置49モータ(図示しない)等の電源として用いられる。
以上のように、この建物21においては、外壁21aの外側に設けられた植栽緑化室27内において、側壁26の内側面に固定された緑化基盤29上のプランタ35に植物34が植栽されている。そして、太陽光が導光ダクト36を介して植栽緑化室27内に導入され、緑化基盤29上の植栽植物34に向けて照射される。また、雨天時等において太陽光が不足する場合には、補光装置39の光源42が太陽電池パネル44,45によって発電されて蓄えられた電力を電源として点灯されて、太陽光の不足分が補われる。さらに、植栽植物34には灌水装置47から灌水されるとともに、必要に応じて換気装置49の作動により植栽緑化室27内の空気が入れ替えられる。従って、植物34は屋外から隔てられた植栽緑化室27内で植栽されていても、太陽光,水及び空気が供給され、生育不良に陥ることなく自然状態と同様に順調に生育する。また、換気装置49により、窓28の露結が防止され、露により曇ることを防止できる。
従って、建物21の居住空間と植栽緑化室27との間の窓28を通して室内側から、植栽緑化室27内の植栽植物34を観賞することができる。また、窓28を開放した場合には、植栽緑化室27内の植栽植物34から放散される香り,フィトンチッドやマイナスイオン、あるいは植栽植物34の水蒸気蒸散に伴う涼気等が室内側に進入するため、心理的及び生理的なリラックス効果を得ることができ、しかも、夏期には冷房を補助することができる。
従って、この実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1) この建物21においては、建物21の外壁21aの外側に壁部としての側壁26が間隔をおいて配置され、その側壁26に対向するように建物21の外壁21aに窓28が設けられている。そして、側壁26と窓28との間に形成された植栽緑化室27内に植栽が設けられている。このため、建物21の室内側から窓28を介して、植栽緑化室27内の植栽植物34を観賞することができるとともに、その植物34から放散される香り,フィトンチッドやマイナスイオンを室内側に取り込んでリラックス効果を得ることができる。また、同様に植物34の蒸散に伴う涼気を室内側に取り込むことができ、このため、夏期において冷房を補助することができて、建物21の冷房負荷を低減でき、建物21の省エネルギーを達成できる。
(2) この建物21においては、植栽緑化室27内に導光ダクト36の光導出口36bや光導出溝36sを介して屋外の太陽光を植栽緑化室27内に導入することができて、植栽緑化室27内の植栽植物34を適切に生育させることができる。このため、植物34のための人工光が不要となり、省エネルギーを達成できるとともに、人工光のための照明設備や配線が不要になる。
(3) 導光ダクト36内に導入された光は、所要位置に設けられた光導出口36bや光導出溝36sから照射されるため、その光を植物34等の必要箇所に向かって有効に供給することができる。しかも、光導出溝36sは、下部側、すなわち採光位置から離れる側ほど開口幅が広くなっているため、光導出溝36sの全長にわたって均等なエネルギーの光を導出できる。
(4) この建物21においては、側壁26の内側面に植栽を設けることにより、建物21の外壁21aが隣の建物23に接近したり、北向きであったりして、その外壁21aを有効に利用して快適な緑化空間を得ることができる。すなわち、建物21の外壁21aが隣の建物23に接近したり、北向きであったりする場合は、窓から採光ができないために、居住者に閉塞感が与えられる。この実施形態においては、そのような外壁を利用して緑化できるため、居住者に対して開放感と緑による快適さを与えることができる。
(5) この建物21においては、導光ダクト36に太陽電池パネル44,45を電源とする補光装置39が設けられている。このため、雨天時等において太陽光が不足する際には、その太陽光の不足分を補光装置39からの光により補うことができる。そして、太陽電池パネル44,45によって発電された電力を用いて補光装置39が発光されるため、省エネルギー効果が損なわれることを防止できる。
(6) この建物21においては、側壁26の内側面に対する緑化基盤29の固定金具としての貫通ボルト31が、側壁26の外側面に対する太陽電池パネル44の固定金具と共用されている。このため、緑化基盤29及び太陽電池パネル44を固定するための部品の点数を削減することができる。
(7) 側壁26を太陽電池パネル44の設置面として利用できる。
(第2実施形態)
次に、この発明を具体化した建物の第2実施形態を説明する。なお、この第2実施形態以降の各実施形態及び変更例は、前記第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
さて、この第2実施形態においては、図7及び図8に示すように、前記第1実施形態における太陽電池パネル44に代えて、または太陽電池パネル44とともに、側壁26の外側面に緑化基盤51が設けられている。すなわち、図7(a)に示す建物21においては、側壁26の外側面全体に緑化基盤51が設けられている。図7(b)に示す建物21においては、同一階の側壁26の外側面に太陽電池パネル44と緑化基盤51とが交互に配置されている。図7(c)に示す建物21においては、例えば上層階の側壁26の外側面に太陽電池パネル44が配置されるとともに、下層階の側壁26の外側面に緑化基盤51が配置されている。
そして、この第2実施形態においては、図8に示すように、側壁26の外側面に緑化基盤51を固定する構成において、その緑化基盤51を固定するための貫通ボルト31等の固定金具が前記第1実施形態と同様に側壁26の内側面に固定された緑化基盤29と共用されている。
従って、この第2実施形態においても、前記第1実施形態に記載の効果とほぼ同様の効果を得ることができる。また、この第2実施形態においては、以下の効果を得ることができる。
(8) 側壁26の内側面に対する緑化基盤29の固定金具と、側壁26の外側面に対する緑化基盤51の固定金具とを共用しているため、部品点数を削減することができる。
(9) 側壁26の外側面に緑化基盤51が設けられているため、建物21の美観を向上でき、ひいては都市の美感向上に貢献できる。また、緑化基盤51により、建物21に対する直射日光を遮ることができるとともに、建物21の周囲に対する直射日光の反射を軽減できるため、緑化基盤51を有する建物21及びその周囲の建物の冷房負荷を軽減でき、温暖化防止の一助とすることができる。
(第3実施形態)
次に、この発明を具体化した建物の第3実施形態を説明する。
さて、この第3実施形態においては、図9に示すように、建物21の中央部に壁部としての第1内壁52が設けられるとともに、その第1内壁52に間隔をおいて別の第2内壁53が設けられている。両内壁52,53間に植栽緑化室27が区画されている。従って、その植栽緑化室27内において、第1内壁52の内面には緑化基盤29が取り付けられ、その緑化基盤29には植物34が植栽されている。第2内壁53には開閉可能な窓28が設けられ、その窓28を介して緑化基盤29上の植栽植物34を見ることができるようになっている。
従って、この第3実施形態においては、以下の効果がある。
(10) 建物21の中央部に設けられた植栽緑化室27内の植栽植物34を、室内から窓28を介して観賞することができる。
(11) 建物21の外壁を構成する側壁26に窓や開口を設けた場合、その窓や開口を有効に利用できる。
(12) 第2内壁53に窓28を設け、その窓28を通して窓28の外側(第1内壁52側)の植栽植物34を観賞できるため、仮に建物21の室内スペースが狭くても、居住者は開放感を得ることができる。
(13) 第2内壁53に開口や出入り口を設けることにより、植栽緑化室27内の植栽植物34等のメンテナンスを植栽植物34の裏側から簡単に行うことができる。
(第4実施形態)
次に、この発明を具体化した建物の第4実施形態を説明する。
さて、この第4実施形態においては、図10に示すように、植栽緑化室27が複数階を跨いで吹き抜け状に形成されている。植栽緑化室27の底部には培養土54を収容するプランタ等の容器55が配置され、その容器55内の培養土54に植物34が植栽されている。
従って、この第4実施形態においても、前記第1実施形態に記載の効果とほぼ同様の効果を得ることができる。また、この第4実施形態においては、以下の効果がある。
(14) 植栽緑化室27が吹き抜け構造になっているため、植栽緑化室27に立木のような高い植物34を植栽して生育させることができる。
(第5実施形態)
次に、この発明を具体化した建物の第5実施形態を説明する。
さて、この第5実施形態においては、図11〜図13に示すように、側壁26の内側面に取り付けられた緑化基盤29の内面に、金網等よりなる補助材56が積層配置されている。この構成においては、図11に示すように、プランタ35を用いて緑化基盤29の上端部付近に下垂性の植物34を植栽し、その下垂性植物34を補助材56に這わせて下垂するように生育させることができる。
また、図12に示すように、プランタ35を用いて緑化基盤29の下端部付近につる性の植物34を植栽し、そのつる性植物34を補助材56に這わせて登攀するように生育させることができる。さらに、図13に示すように、緑化基盤29の上下方向の任意の位置において、補助材56に複数の支持金具57を掛止するとともに、それらの支持金具57にプランタ等の容器55を支持し、その容器55内の培養土54に植物34を植栽して生育させることもできる。
従って、この第5実施形態においても、前記第1実施形態に記載の効果とほぼ同様の効果を得ることができる。また、この第5実施形態においては、以下の効果がある。
(15) 緑化基盤29の内面に金網等よりなる補助材56が積層配置されているため、この補助材56を用いて植栽の多様化を図ることができる。
(第6実施形態)
次に、この発明を具体化した建物の第6実施形態を説明する。
さて、この第6実施形態においては、図14に示すように、緑化基盤29が多数の小孔58を有するパンチングボードにより構成されている。そして、緑化基盤29の内面側から任意の小孔58に支持金具57を挿通支持するとともに、その支持金具57にプランタ等の容器を支持することにより、植栽を行うようになっている。
従って、この第6実施形態においても、前記第1実施形態に記載の効果とほぼ同様の効果を得ることができる。さらに、この第6実施形態においては、以下の効果がある。
(16) 緑化基盤29がパンチングボードにより構成されているため、小孔58に対する支持金具57の取り付け位置を変更することにより、緑化基盤29に対する植栽位置を任意に変更することができる。
(第7実施形態)
次に、この発明を具体化した建物の第7実施形態を説明する。
さて、この第7実施形態においては、図15に示すように、導光ダクト36の光導入口36aに集光手段としての集光装置59が設けられている。この集光装置59は、回転放物曲面よりなる相似形の第1反射ミラー59aと第2反射ミラー59bとを、焦点59cが同一点となるように対向配置して構成されている。そして、第1反射ミラー59aによって反射して集光された太陽光が焦点59cを経た後、第2反射ミラー59bによって第1反射ミラー59aと同一の反射角で反射されて平行光にされ、導光ダクト36の光導入口36aに導入される。なお、図示しないが、集光装置59の上方には、その集光装置59を覆って、雨水や落ち葉等が第1反射ミラー59a上に落ちることを防ぐための透明板が設けられている。
従って、この第7実施形態においては、以下の効果がある。
(17) 導光ダクト36の光導入口36aに集光装置59が設けられているため、その集光装置59により大量の太陽光を効率よく集めて導光ダクト36内に導入することができる。従って、導光ダクト36の数が少なくても、植栽緑化室27内に太陽光を有効に供給できる。
(第8実施形態)
次に、この発明を具体化した建物の第8実施形態を説明する。
さて、この第8実施形態においては、図16に示すように、導光ダクト36が各パイプ状をなしている。また、その導光ダクト36の幹管36Aが屈曲状に形成されて下部側がほぼ水平に形成されるとともに、その幹管36Aの途中に複数の枝管60が分岐されている。そして、光導入口36aから導光ダクト36の幹管36A内に導入された太陽光が、各枝管60において分岐して複数の光導出口に導かれるようになっている。
従って、この第8実施形態においてにおいては、以下の効果がある。
(18) 導光ダクト36の幹管36Aから枝管60が水平に分岐されているため、1つの光導入口36aから導入された太陽光を複数に分岐して、例えば同一階の複数の植栽緑化室27導くことができる。
(変更例)
この発明の実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 図17(a)〜(i)に示すように、導光ガイド36cに対する光導出口36bの位置や形状を変更すること。図17(a)(c)(d)(f)(g)(h)(i)は、光導出口36bの開口側から半球状の導光ガイド36cを見たものである。図17(a)は、図5に示すようなコーン状の導光筒36dの光導出口36bを楕円状にしたものである。図17(b)は導光筒36dを先窄まり形状にしたもので、スポット的な光照射に適する。図17(c)は図17(b)の導光筒36dを導光ガイド36cの中心位置から偏倚させたもの、図17(d)先窄まりの導光筒36dを扁平形状にしたものである。図17(e)〜(i)は、導光筒36dを設けることなく、導光ガイド36cの先端に光導出口36bを形成したもので、それらの光導出口36bは、それぞれ円形,長四角形,楕円形,十字形をなしている。これらの図17(a)〜(i)の構成によれば、照射される光の形や径等の各種の要求に応じて適宜に選択できる。
・ 図18に示すように、導光ガイド36cの形状を円錐形状にすること。
・ 図19(a)〜(d)に示すように、導光ダクト36(幹管36Aでもよい)の断面形状を変更すること。図19(a)は長四角形、図19(b)はほぼ半円形、図19(c)は三角形、図19(d)楕円形である。これらの形状は、導光ダクト36の配置場所等に応じて選択される。また、これらの形状を導光ダクト36の枝管60に具体化してもよい。
・ 図19(a)〜(c)に示すように、複数の導光ガイド36cを近接して並設すること。
・ 図20(a)(b)に示すように、導光ガイド36cを導光ダクト36(幹管36A,枝管60でもよい)と別体に形成して、導光ガイド36cを導光ダクト36に対して着脱出来きるように構成すること。図20(a)(b)は、導光ダクト36の外側面にボルト71を固定し、導光ガイド36cに形成された孔36gまたは凹部36hをボルト71に外嵌めしてネット72により固定できるようにしている。このように構成すれば、必要に応じて所要の形状あるいは構造の導光ガイド36cを取り付けることができる。
・ 図21(a)(b)に示すように、各種の形状及び適宜の数の導光ダクト36及び導光ガイド36cを適宜に組み合わせて採用すること。
・ 例えば図22(a)〜(c)に示すように、導光ダクト36の幹管36Aから各種の方向へ枝管60を分岐させ、各枝管60に光導出溝36sを形成すること。図22(a)は複数の枝管60を上下方向に間隔をおいて左右方向に分岐させたものである。図22(b)は、上下方向に間隔をおいて左右方向に分岐させた中継管61からさらに下方へ向けて複数の枝管60を平行に分岐させたものである。図22(c)は、複数の枝管60を放射方向へ分岐させたものである。なお、枝管60は、図22(d)(e)に示すように、好適な断面形状のものが選択される。
・ 緑化基盤29として、前記実施形態と異なる構成のものを用いること。例えば、図23は緑化基盤29に複数の棚板29aを設け、その棚板29aにプランタ35を搭載できるようにしている。あるいは、緑化基盤29として培土の機能を有するマットを用いること。
・ 植栽緑化室27内を観賞するための窓28の構造を変更すること。例えば、図24は、複数円形の窓28を並設したものである。
・ 前記各実施形態において、最上階の植栽緑化室27の天井壁26aとして透光性を有する板材により形成し、最上階の植栽緑化室27内には太陽光が直接照射されるように構成すること。
・ 前記各実施形態において、植栽緑化室を、建物の外壁と、その外壁の内側に設けられた内壁との間に形成し、内壁に観賞用の窓を設けること。
・ 前記導光ダクト36の補光装置39を光導出口36bとは対向しない位置に設けること。このように構成しても、前記第1実施形態のような補助光を植物34に供給できる。また、補光装置39の光源42として、LED以外のもの、例えばエレクトロルミネッセンスや蛍光ランプを用いること。
(別の技術的思想)
さらに、上記実施形態により把握される請求項以外の技術的思想について、以下にそれらの効果とともに記載する。
(A) 前記側壁の外側面に緑化基盤を設け、その外側面の緑化基盤と前記内側面の緑化基盤との固定金具を共用したことを特徴とする請求項1〜7のうちのいずれか一項に記載の建物。
この構成によれば、共通の固定金具を用いて、側壁の内側面及び外側面に内側緑化基盤及び外側緑化基盤を同時に固定することができる。
(B) 前記壁部を建物内の内壁により構成するとともに、前記窓を前記内壁とは別の内壁に設けたことを特徴とする請求項1〜7のうちのいずれか一項に記載の建物。
この構成によれば、建物の中央部に設けられた部屋内の植栽植物を、室内から窓を介して楽しむことができる。
(C) 前記導光ダクトの光導入側に集光手段を設けたことを特徴とする請求項4〜7のうちのいずれか一項に記載に記載の建物。
この構成によれば、集光手段により太陽光を効率よく集めて導光ダクト内に導入することができる。
(D) 植栽緑化室を、建物の外壁と、その外壁の内側に設けられた内壁との間に形成し、内壁に観賞用の窓を設けたことを特徴とする請求項1〜7のうちのいずれか一項に記載の建物。
この構成によれば、建物の構造を変更することなく、あるいはわずかに変更や改修を加えるのみで植栽緑化室を設けることが可能になる。
21…建物、21a…外壁、24…緑化構造、26…壁部としての側壁、27…植栽緑化室、28…窓、29…内側の緑化基盤、31…固定金具としての貫通ボルト、33A,33B…ナット、34…植物、36…導光手段としての導光ダクト、39…補光手段としての補光装置、42…光源、44,45…太陽電池パネル、51…外側の緑化基盤、52…壁部としての第1内壁、53…第2内壁、59…集光手段としての集光装置。

Claims (7)

  1. 壁部と、その壁部の室内側において壁部に対向する窓との間に植栽緑化室を設け、
    その植栽緑化室内に植栽を設けるとともに、その室内に太陽光を導入するための導光手段を設け、前記窓を介して植栽を観賞することができるようにしたことを特徴とする建物。
  2. 前記壁部を建物の外壁の外側に設けられた側壁により構成するとともに、前記窓を外壁に設けたことを特徴とする請求項1に記載の建物。
  3. 前記側壁の内側面に植栽を形成するための緑化基盤を設けたことを特徴とする請求項2に記載の建物。
  4. 前記導光手段を屋外の太陽光を前記植栽緑化室内に導くための導光ダクトにより構成したことを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の建物。
  5. 前記導光手段には太陽光の不足分を補うための補光手段を設けたことを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の建物。
  6. 前記補光手段の電源を太陽電池としたことを特徴とする請求項5に記載の建物。
  7. 前記側壁の外側面に太陽電池パネルを設け、その太陽電池パネル及び前記緑化基盤を側壁に取り付けるための取付金具を共用したことを特徴とする請求項3〜6のうちのいずれか一項に記載の建物。
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