JP2011005473A - 廃水から多価金属を除去する方法 - Google Patents

廃水から多価金属を除去する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 低環境負荷で、低コスト且つ簡単に、多価金属を含む廃水中から多価金属を効率よく除去する方法および多価金属を回収する方法を提供する。
【解決手段】 容器に入った多価金属を含む廃水中から該多価金属を除去する方法であって、該廃水中にポリカルボン酸アルカリ金属塩型吸水性樹脂(A)を添加して、(1)攪拌後静置して沈降する沈降物(a)を取り除くか、または(2)容器中の廃水全体をゲル化させた後、Ca、Mg、Alから選択される金属の強酸塩(B)を添加して攪拌後静置して沈降する沈降物(b)を取り除く、廃水中から多価金属を除去する方法;および沈降物(a)または沈降物(b)から多価金属を取り出す、廃水中から多価金属を回収する方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は廃水中から多価金属を除去する方法に関する。詳しくは吸水性樹脂を用いて多価金属を捕集して除去する方法に関する。
微量の重金属などの多価金属を含有する産業廃水(鉱山廃水を含む)は、そのままでは自然界に放流できないため、何らかの廃水の無害化処理を施さなければならない。一般に、廃水の無害化処理方法としては、たとえば活性汚泥法などの微生物を利用した生物学的方法や濾過、凝集、沈降、浮上泡沫、フローテーションなどによる固形分除去、曝気、冷却、冷凍、蒸留、吸着、イオン交換、電気透析、逆浸透、中和、酸化還元、沈澱生成などによる溶解分の除去などの物理化学的処理(たとえば、特許文献1〜4)を組み合わせて行われている。
特開2009−056379号 特開2006−334492号 特開2006−095391号 特開2005−046802号
しかしながら、活性汚泥法などの生物処理法は、廃水から重金属を除去する効率は低く,生物処理プラントから排出される処理済みの放流水には、なお除去されなかった重金属が存在している上、除去された重金属が汚泥残さに含まれてしまうのでさらに汚泥の処分をも困難にしてしまう。
物理化学的な廃水処理方法としては、たとえば、廃水を活性炭やイオン交換樹脂などの吸着材に吸着させて重金属を捕集する方法がある。中でもイオン交換樹脂は,金属と錯結合性の官能基を有し重金属を効果的に捕集できる。しかし、大量の産業廃水を処理するには、イオン交換樹脂は、吸着材自体が高価であるので処理費用が高コストになる。また、イオン交換樹脂と接触しない廃水に含まれる多価金属は吸着しないので、微量残る場合があり完全には除去しにくいという問題がある。
このように生物学的方法,物理化学的方法のいずれも、いまだに十分満足出来る方法がない。そのため、微量の多価金属を含有する廃水から少ない費用で、かつ低い環境負荷で多価金属を捕集する方法,さらには回収して多価金属を再利用する方法が望まれている。
本発明の目的は、低環境負荷で、低コスト且つ簡単に、多価金属を含む廃水中から多価金属を効率よく除去する方法および多価金属を回収する方法を提供することである。
本発明者らは、上記の課題に鑑み、鋭意研究の結果、特定の吸水性樹脂を用いて多価金属を吸着しながら沈降させるか、容器中の廃水全体を該吸水性樹脂でゲル化した後、そのゲル化物を沈降させれば簡単で効率良く廃水中の多価金属を除去できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、請求項1の発明は、容器に入った多価金属を含む廃水中から該多価金属を除去する方法であって、該廃水中にポリカルボン酸アルカリ金属塩型吸水性樹脂(A)を添加して、(1)攪拌後静置して沈降する沈降物(a)を取り除くか、または(2)容器中の廃水全体をゲル化させた後、Ca、Mg、Alから選択される金属の強酸塩(B)を添加して攪拌後静置して沈降する沈降物(b)を取り除く、廃水中から多価金属を除去する方法である。
請求項1の発明によれば、ポリカルボン酸アルカリ塩型吸水性樹脂(A)(以下、単に吸水性樹脂(A)という場合がある)が廃水中の多価金属を吸着して沈降するので、上澄み液の多価金属の濃度が低下させることができる。吸水性樹脂(A)中のアルカリ金属イオンは、廃水中の多価金属イオンと塩交換反応をすることによって吸水性樹脂(A)中に多価金属イオンとりこむことができる。すなわち、吸水性樹脂(A)中のカルボキシル基は多価金属と架橋結合を形成する。
廃水に吸水性樹脂(A)を添加する場合、その量が多いと廃水全体がゲル化して上記(2)の場合となるが、量が少ないとゲル化しない((1)の場合)。(1)のゲル化しない場合は、吸水性樹脂(A)が廃水中の多価金属を吸着して沈降するのでその沈降物(a)を取り除けばよいが、(2)のゲル化した場合は、ゲルを崩した後、沈降物(b)を取り除くことになる。沈降物(a)または沈降物(b)を取り除くことは、上澄み液をデカンテーションで除くことも含む。(1)、(2)の内、好ましいのは除去できる多価金属の量が多い(2)の場合である。
(2)の場合は、ポリカルボン酸アルカリ塩型吸水性樹脂(A)が廃水全体の中の多価金属を吸着して取り込みながら、容器中の廃水全体をゲル化する。その後、Ca、Mg、Alから選択される金属の強酸塩(B)(以下、単に金属の強酸塩(B)という場合がある)でゲルを崩して沈降させると、多価金属は吸水性樹脂中に取り込まれたまま沈降するので、沈降物(b)を取り除けば廃水の多価金属を除去することができる。廃水中に懸濁物が存在していても沈降物(b)の中に取り込まれて一緒に取り除かれる。上澄み液の多価金属の濃度が排水基準を満たせば上澄み液を自然界に放流できる。
従来は、粒子状のイオン交換樹脂が用いられていたが、金属イオンを吸着してもイオン交換樹脂粒子の大きさは変わることがないので占める体積はそのままであり、濃い濃度には使用量が多くなり使用しづらかった。また、イオン交換樹脂が接触しない液もあるため完全には多価金属を除去しにくい。
吸水性樹脂(A)を用いれば、多価金属を吸水性樹脂(A)中に取り込みながら沈降物(a)となるか容器中の廃水全体をゲル化する。ゲル化した場合は、廃水全体の多価金属が捕集されており、その後に吸水性樹脂(A)のゲルを崩して沈降させ沈降物(b)とする。沈降物(a)または沈降物(b)を取り除けば、低負荷環境下で、低コスト且つ簡単に廃水から多価金属を効率良く除去できる。
請求項2の発明は、前記廃水中の沈降物(a)または沈降物(b)の上部にある上澄み液にさらに前記ポリカルボン酸アルカリ金属塩型吸水性樹脂(A)を添加して、前記(1)または(2)を繰り返すことを特徴とする請求項1記載の廃水中から多価金属を除去する方法である。
請求項2の発明によれば、多価金属を吸着した沈降物(a)または沈降物(b)が沈降するので、上澄み液の濃度は低下させることができる。しかし、多価金属の量が吸水性樹脂(A)の取り込める量を超えているときは、上澄み液中に多価金属が残ることになる。このような場合は、さらに吸水性樹脂(A)を加えて(1)または(2)の方法を繰り返して、請求項1に記載した発明の方法と同様にして沈降させれば、その上澄み液の多価金属の濃度はさらに低下する。このような操作を繰り返すことによって廃水中の上澄み液の濃度を低下させることができる。しかし、従来の種々の方法、たとえば、濾過、沈降、浮上泡沫、フローテーションなど前処理を行って予め多価金属の濃度を低下させた後に、本発明の方法を適用すれば吸水性樹脂(A)の使用量が少なくてすみ効率的である。また、放射性元素の場合、金属はキレート剤、多価カルボン酸などで錯塩となっており、錯塩を分解した後に行うのが好ましい。このように廃水の多価金属の濃度が所定の濃度になるまで、この操作を繰り返せばよい。所定の濃度とは、たとえば、排水基準における排水許可濃度を指す。
請求項3の発明は、前記(2)の方法であって、Ca、Mg、Alから選択される金属の強酸塩(B)の添加と共にまたは後から1価金属の弱酸塩(C)を添加することを特徴とする請求項1または2記載の廃水中から多価金属を除去する方法である。
請求項3の発明によれば、(2)のゲル化した場合、金属の強酸塩(B)の添加と共にまたは後から1価金属の弱酸塩(C)を添加するので、上澄み液のPHが中性領域になり、上澄み液の排出前にPHを調整しなくても放流できる。金属の強酸塩(B)を添加して酸性を示す液を、1価金属の弱酸塩(C)の緩衝作用により、PHを中性領域に保つことができる。
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の沈降物(a)または沈降物(b)から多価金属を取り出す、廃水中から多価金属を回収する方法である。
請求項4の発明によれば、沈殿物(a)または沈降物(b)を何らかの方法で上澄み液から分離して、該沈殿物に何らかの処理を行って多価金属を回収することができる。たとえば、一例として、該沈殿物にアルカリを加えてカルボキシル基と架橋している多価金属をはずして水酸化物として抽出するか、燃焼によって金属酸化物として回収することができる。
本発明の廃水中から多価金属を除去する方法は、沈降する吸水性樹脂を主体とする沈降物の上部にある上澄み液の多価金属の濃度を低下するという効果を奏する。また、本発明の廃水中から多価金属を除去する方法を繰り返すことにより、廃水中の多価金属を完全に除去することができる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、以下の実施の形態に対して種々の変更を加えることが可能である。
本発明におけるポリカルボン酸アルカリ金属塩型吸水性樹脂(A)としては、ポリカルボン酸アルカリ金属塩を有する架橋物であれば限定はないが、たとえば、ポリアクリル酸塩架橋体、架橋されたデンプン−アクリル酸塩グラフト重合体の加水分解物、架橋されたデンプン−アクリロニトリルグラフト重合体、架橋ポリアクリルアミド共重合体のケン化物、架橋されたアクリル酸塩−アクリルアミド共重合体、架橋された酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体のケン化物、架橋されたアクリル酸塩−アクリル酸エステル共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸塩共重合架橋体、架橋されたポリアクリル酸塩/ポリスルホン酸塩共重合体、(メタ)アクリルアミド−N−アルキル(炭素数1〜5)スルホン酸塩と(メタ)アクリル酸塩の共重合体の架橋体などが挙げられる。塩はカルボン酸の一部が塩であるものも含む。これらの内で、ポリアクリル酸塩架橋体、架橋されたデンプン−アクリル酸塩グラフト重合体、架橋されたアクリル酸塩−アクリルアミド共重合体が、多価金属の除去能力、安全性や経済性などが良好であるため好ましい。
カルボン酸と塩を形成するアルカリ金属としては、ナトリウム、カリウムが好ましい。重合前の単量体または重合後の樹脂中のカルボキシル基をNaOHやKOHで中和することにより、アルカリ金属塩とすることができる。中和度は特に限定はないが、多いほどよく、吸水性樹脂中のアクリル酸の30〜100モル%が好ましく、40〜100モルがより好ましい。
本発明において廃水に添加する吸水性樹脂(A)は粉末及び/又は粒状として使用する。粉末及び/又は粒状の形態、大きさは特に限定はないが、粉末の場合は平均粒子径(質量メジアン粒径)は好ましくは50〜1000ミクロンであり、25〜1200ミクロンの範囲の粒子が95質量%以上となるように粉砕したものを用いることができる。特に好ましくは平均粒径が100〜600ミクロンであり、50〜850ミクロンの範囲の粒子が95質量%以上である。
ここで平均粒子径は質量平均粒子径を意味し、質量平均粒子径は、架橋重合体の各粒度分布を横軸が粒子径、縦軸が質量基準の含有量の対数確率紙にプロットし、全体の50%を占めるところの粒子径を求める方法により測定する。
吸水性樹脂の純水に対する吸水性は大きい程好ましく、好ましくは10〜1000倍、特に好ましくは100〜1000倍である。吸水性が10倍以上であると吸水した後膨潤する度合いが大きくなり、容器中の廃水全体を容易にゲル化することができる。
[吸水性の測定法]:250メッシュのナイロン製網で作成したティーバッグ(縦20cm、横10cm)に、30〜100メッシュ(150〜500μ)の粒径に調整した吸水性樹脂0.2gを入れ、純水500ml中に1時間浸漬して吸収させた後、15分間吊して水切りしてから増加質量を測定して純水に対する吸水性とする。
これらの吸水性樹脂(A)のカルボン酸塩が廃水中の多価金属とキレート架橋をして吸水性樹脂(A)に多価金属を取り込むことができる。
本発明におけるCa、Mg、Alから選択される金属の強酸塩(B)の強酸としては、塩酸、臭化水素酸などのハロゲン化水素酸、硫酸、燐酸、硝酸等が挙げられる。具体的には、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、臭化カルシウム、臭化マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、燐酸カルシウム、燐酸マグネシウム、硝酸カルシウム、硝酸マグネシウムなどが挙げられる。好ましいのは塩化カルシウム、塩化マグネシウムであり、特に好ましいのは塩化カルシウムである。
Ca、Mg、Alから選択される金属の強酸塩(B)を加えるとゲルが崩れて吸水性樹脂(A)が沈降する理由は、以下のように推察される。
金属の強酸塩(B)は強酸の塩であるので、弱酸の塩である吸水性樹脂(A)中のカルボン酸のアルカリ金属と塩交換反応を起こしやすい。Ca、Mg、Alなどの金属は重金属などの多価金属よりも結合をつくりやすいので、吸水性樹脂(A)中の残っているカルボン酸アルカリ金属塩をCa塩などとすることにより、吸水性樹脂(A)の架橋度をさらに上げることができる。これによって吸水性樹脂(A)を硬化収縮する。すなわち、親水性が低下し水を吐き出し、体積が収縮して、比重が大きくなって沈降するものと推察される。
また、本発明において必要に応じて使用される1価金属の弱酸塩(C)としては、炭酸、硼酸、珪酸、炭素数1〜4のカルボン酸からなる群から選ばれる1種以上の弱酸の、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属の塩が挙げられる。カルボン酸は水酸基などの親水性基を有していてもよい。好ましくは炭酸、珪酸、カルボン酸の塩である。具体的には、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、珪酸ナトリウム、硼酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム等が挙げられる。好ましくは、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、珪酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムである。これらの1種以上併用してもよい。
Ca、Mg、Alから選択される金属の強酸塩(B)を加えると、廃水の上澄み液は酸性液となりやすい。放流するために液を中性領域とする必要があるが、上記1価金属の弱酸塩(C)を添加すると緩衝作用により上澄み液は中性を示すことになり、上澄み液のPHを調整しなくても放流できる場合がある。また、1価金属の弱酸塩(C)を加えると塩析効果によってゲルを崩すことも考えられる。
以下、廃水の処理方法について述べる。
まず、容器に入った廃水に吸水性樹脂(A)を添加する。容器は廃水を攪拌できれば限定はなく、大きさ、形状も限定はないが、好ましくは攪拌装置の付いた容器である。容器の材質も廃水の性質に対応できるものなら特に限定はない。
添加する吸水性樹脂(A)の量が多いと廃水全体がゲル化するが、量が少ないと廃水全体がゲル化しないで粒子がやや大きくなる程度である。吸水性樹脂(A)の量が多い程除去できる多価金属の量が多くなる。どちらの方法にするかは事前に決めておくのがよい。
まず、廃水を攪拌しながら吸水性樹脂(A)の粉末または粒子を投入していく。金属イオンが有色であると廃水中の多価金属イオンが吸水性樹脂に取り込まれると吸水性樹脂がその色に着色してくる。吸水性樹脂(A)の量が少ないとゲル化はせず多価金属イオンを取り込み沈降物(a)となるだけであるが、多価金属イオンの残存量が少なくなるとゲル化が生ずる。ゲル化が生ずる程度に吸水性樹脂を添加するのが好ましい。
このように吸水性樹脂(A)の量が多いとゲル化が生じるが、全体がゲル化するまで少しずつ加えるのがよい。投入後数秒〜数分でゲル化が生じる。容器中の廃水全体がゲル化するまで吸水性樹脂(A)を徐々に添加しながら攪拌すればよいが、液が残らずゲル化し、攪拌できる程度のゲルであるのが好ましい。吸水性樹脂(A)の添加量は、廃水の性質、多価金属の濃度、廃水の量によって異なるので、廃水に応じて適宜決めればよい。
廃水のPHは事前に調整しなくてもよいが、調整するのであれば、たとえば4〜9が好ましく、5〜8.5がより好ましい。PHが4〜9であると塩交換反応が行われ易く、廃水中から多価金属を除去しやすい。
次にCa、Mg、Alから選択される金属の強酸塩(B)を加えると吸水性樹脂(A)は硬化収縮して沈降する。ゲルに添加するのはCa、Mg、Alから選択される金属の強酸塩(B)単独でもよいし、Ca、Mg、Alから選択される金属の強酸塩(B)と1価金属の弱酸塩(C)を併用してもよい。(C)は後から加えてもよい。この間攪拌を続けるのが好ましい。
金属の強酸塩(B)の量は限定はないが、吸水性樹脂(A)の100重量部に対して1〜10重量部が好ましい。1重量部以上であるとゲルが崩れて吸水性樹脂(A)が沈降し、10重量部以下であるとゲルが残ることがなく経済的である。好ましくは2〜6重量部である。1価金属の弱酸塩(C)の量は、金属の強酸塩(B)100重量部に対して、好ましくは25〜40重量部である。この範囲内であると上澄み液のPHが中性領域になる。
金属の強酸塩(B)を加えた後、しばらく攪拌を続けるとゲルが崩れて粘度が低下し沈降物(b)が沈降する。沈降物(b)に取り込まれた多価金属は外に出ることがなく、効率的に廃水中の金属の濃度を低下させることができる。
これらの処理中の温度については、通常、室温で行うことができる。処理時間については、処理対象とする廃水の量、多価金属の濃度や吸水性樹脂(A)の量などの処理条件によって異なるので、廃水に応じて適宜決めればよい。これらの処理操作は、1回でもよいし、複数回繰り返してもよい。廃水中の多価金属の量が吸水性樹脂(A)の捕捉能力を上回る場合は繰り返して行うのが好ましい。すなわち、上澄み液の目的とする多価金属濃度以下になるまで、繰り返し行うことができる。
吸水性樹脂(A)自身の多価金属の捕捉能力はカルボキシル基数と中和度によって決まってくる。
これらの処理を行うことによって、廃水中の多価金属の濃度を所定の排出基準以下まで減少させることができる。
本発明の対象となる多価金属を含有する廃水は、重金属を扱う工場などの事業所から排出される工場廃水(たとえば、めっき廃水など)、鉱山廃水、放射性元素含有廃水などであり、含有されている多価金属は特に限定されないが、重金属、希土類元素、放射性元素などが挙げられる。具体的には、たとえば、Cr,Hg,Cd,Au,Pt,Pd,Cu,Ni,Sn、Mo、As、Se、Pb、Zn、U、Pu、およびRaなどが挙げられるがこれらに限定されない。多価金属の対イオンとしては限定はない。これらの多価金属は通常、水溶性塩や水溶性錯塩となって水溶液を形成していることもあるが、錯塩となっている場合は錯塩を分解してから行うのがよい。また、金属酸化物や水酸化物などの非水溶性の沈殿物や懸濁物も含まれていることもあるが、これらも吸水性樹脂(A)の収縮時に取り込まれて沈降物(b)と共に除去できる。
本発明の方法を繰り返せば、多価金属を除去でき廃水中の多価金属の濃度を低下することができるが、好ましくは従来の方法によって前処理をしてある程度多価金属の量を減らした廃水に適用するのが好ましい。
自然界に放流できる排水基準値の一例として、たとえば、As(砒素)、及びSe(セレン)については0.1ppm、六価Crについては0.5ppmと指定されている。要監視項目として、Mo(モリブデン)、Sb(アンチモン)には指針値がある。排水基準値は環境基準値の約10倍であるので、まだ、排水基準値にははっきりと指定されていないが、要監視項目としての排水基準値でMoは0.7ppm、Sbは0.03ppmである。
また、沈降物(a)または沈降物(b)をデカンテーションやろ過などによって集めたものは、多価金属が豊富にあり、燃焼して灰分中の金属酸化物として回収したり、吸水性樹脂にアルカリを加えて多価金属の水酸化物として回収することもできる。
(実施例1)
3個の各々の200mlビーカーに、Cu2+含有水溶液(硫酸銅を使用)、Pb2+含有水溶液(硫酸鉛を使用)、Ni2+含有水溶液(硫酸ニッケルを使用)(いずれも重金属イオン含有量100ppm、pH5.5)の水溶液を各々100mlずつ入れ、それぞれに「サンフレッシュST−500D」(架橋されたポリアクリル酸ナトリウム塩型吸水性樹脂、三洋化成工業社製)の粒子0.8gを添加して攪拌すると1分間で全体がゲル化した。そのゲルに塩化カルシウム:炭酸ナトリウム=8:2の混合物0.3g入れて、攪拌すると見る間にゲルが崩れた。1分間攪拌した後攪拌を止め、静置した。吸水性樹脂が沈降していき、30分後にははっきりと分離していた。上澄み液の残存金属イオン濃度を原子吸光分析により測定した。結果を表1に示す。
(比較例1)
比較として、実施例1で200mlビーカーに入れた各水溶液にイオン交換樹脂「アンバーライト IR120BNa」(オルガノ社製、強酸型樹脂)5gを各々入れて5分間攪拌した後静置した。上澄み液の残存金属イオン濃度を原子吸光分析により測定した。
(比較例2)
比較として、実施例1で200mlビーカーに入れた各水溶液に市販キレート剤として「エポフロックL−1」(ミヨシ油脂社製)300ppmを各々入れて5分間攪拌した後静置した。上澄み液の残存金属イオン濃度を原子吸光分析により測定した。
Figure 2011005473
(実施例2)
実施例1で行った結果、Ni2+含有水溶液については、残存金属イオン濃度が18ppmで比較的高かった。この上澄み液80mlをデカンテーションでとり、この液について実施例1と同様にして2回目の実験を行って上澄み液の残存金属イオン濃度を原子吸光分析により測定したところ、0.1ppmであった。
(実施例3)
200mlビーカーに、Cu2+含有水溶液(銅イオン含有量:4,000ppm、pH5.4)を100ml入れ、実施例1に使用した「サンフレッシュST−500D」の粒子2gを添加して攪拌すると白色の吸水性樹脂粒子が濃青色に変化し、攪拌を止めると沈降したが、ゲル化は生じなかった。上澄み液の残存銅イオン濃度を原子吸光分析により測定したところ、45ppmであった。上澄み液を別のビーカーに移して「サンフレッシュST−500D」0.8gを入れて攪拌するとゲル化した。実施例1と同様にして、そのゲルに塩化カルシウム:炭酸ナトリウム=8:2の混合物0.3g入れて、攪拌すると見る間にゲルが崩れた。1分間攪拌した後攪拌を止め、静置した。吸水性樹脂が沈降していき、30分後にははっきりと分離した。上澄み液の残存金属イオン濃度を原子吸光分析により測定したところ、銅イオン濃度は0.2ppmであった。
本発明の廃水中から多価金属を除去する方法は、各種廃水から多価金属を除去し、多価 金属を回収するのに好適に利用できる。

Claims (4)

  1. 容器に入った多価金属を含む廃水中から該多価金属を除去する方法であって、該廃水中にポリカルボン酸アルカリ金属塩型吸水性樹脂(A)を添加して、(1)攪拌後静置して沈降する沈降物(a)を取り除くか、または(2)容器中の廃水全体をゲル化させた後、Ca、Mg、Alから選択される金属の強酸塩(B)を添加して攪拌後静置して沈降する沈降物(b)を取り除く、廃水中から多価金属を除去する方法。
  2. 前記廃水中の沈降物(a)または沈降物(b)の上部にある上澄み液にさらに前記ポリカルボン酸アルカリ金属塩型吸水性樹脂(A)を添加して、前記(1)または(2)を繰り返すことを特徴とする請求項1記載の廃水中から多価金属を除去する方法。
  3. 前記(2)の方法であって、Ca、Mg、Alから選択される金属の強酸塩(B)の添加と共にまたは後から1価金属の弱酸塩(C)を添加することを特徴とする請求項1または2記載の廃水中から多価金属を除去する方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の沈降物(a)または沈降物(b)から多価金属を取り出す、廃水中から多価金属を回収する方法。
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