以下、図を参照しながら、本発明の好適な実施例における特異点を有さない広視野角液晶表示装置について説明する。
以下に説明する実施例は、透射型(transmissive)液晶表示装置を例として説明する。ただし、透射及び反射両用型(transflective)液晶表示装置にも適用可能である。
図2A及び図2Bに示したように、本発明の好適な実施例における、特異点を有さない広視野角液晶表示装置2(以下、簡単に液晶表示装置2と称す)は、第一基板21、第二基板22、液晶層23及び複数個の第一定位構造24を備える。第二基板22は第一基板21と反対側に設置される。液晶層23は、第一基板21と第二基板22の間に設置される。第一基板21と第二基板22は、ほぼ平行である。液晶層23は、例えば、キラル(chiral)のような旋光性物質が添加される。液晶層23の液晶分子は、軸方向に沿ってねじれることで、旋光性を有する。この軸方向は第一基板21の法線に平行である。
第一基板21は、駆動基板で、ベース211、複数個のピクセルユニット212、複数個の行導線(row conductor)213、及び複数個の列導線(column conductor)214を備える。説明を簡潔にするために、図では一つの第一定位構造24及び一つのピクセルユニット212を例として説明する。ピクセルユニット212は画素電極2121及び薄膜トランジスタ2122を備える。これらの素子はベース211上に設置される。ベース211は、例えば、ガラス基板である。ピクセルユニット212の画素電極2121は表示領域中に位置し、第一定位構造24、薄膜トランジスタ2122、行導線213、及び列導線214は、表示領域の外に位置する。また、各ピクセルユニット212間にはブラックマトリクス(図示はされない)が設置される。
第二基板22は対向基板であり、ベース221、対向電極222及びカラーフィルター(図示はされない)を有する。また、各カラーフィルターの間にはブラックマトリクス(図示はされない)が設置される。
駆動回路(図示はされない)は、行導線213及び列導線214を介して、薄膜トランジスタ2122を制御することにより、データが画素電極2121及び対向電極222が形成する画素コンデンサに書き込まれる。書き込まれたデータは、第一基板21と第二基板22の間の液晶層23に電場を形成する。画素電極2121及び対向電極222は、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)のような透明導電材料である。
図2Bに示したように、第一定位構造24は、液晶層23の一部の液晶分子231をピクセルユニット212内部に向かって傾斜させる。液晶層23の他の部分の液晶分子232は垂直に配向される。
第一定位構造24が形成するプレチルト角は例えば5〜80度であることで、液晶層の一部の液晶分子231は第一基板21に垂直の状態からピクセルユニット212内部に向かって約5〜80度の傾斜に変化する。ここで言うところの、プレチルト角とは液晶分子231の長軸と第一基板21の法線によって形成される夾角αを指す。
本実施例において、第一定位構造24は画素電極2121全体を包み込む突起形態である。また、第一定位構造24は突出物だけとは限らず、へこんだ形態も可能である。
第一基板21と第二基板22の断面AA’において、図2Bに示したように、液晶層23に電場が印加されない場合は、一部の液晶分子231は第一定位構造24の影響を受けて、第一基板21に垂直ではなく、第一基板21に傾斜する。液晶層23の他の部分の液晶分子232は、ほぼ第一基板21に垂直である。
液晶層23の液晶分子は、例えば、負の誘電異方性(dielectric anisotropy)のネマティック液晶材料のようなネマティック液晶材料である。液晶層23は、例えば、キラル(chiral)のような旋光性物質が添加されることで、液晶分子に軸方向に沿ってねじれる旋光性をもたせる。液晶分子に充分なねじれの空間をもたせるために、液晶層23の厚みとキラルのピッチ(pitch)比は0.16〜0.42の範囲である。
図3に示したように、液晶分子は、調整されたd/pのパラメーターによって、液晶分子がψ方向に回転する角度を決定する。このうち、dは液晶層23の厚み、または、セルギャップ(cell gap)の厚み、または、第一基板21と第二基板22の距離、pはキラルピッチ(chiral pitch)である。
第一定位構造24は、液晶分子のプレチルト角の方向を提供すると同時に、作用力によって液晶分子を軸心に対称の形状に配列する。この作用力のリソースは、例えば、斜向の電場である。図4に示したように、電場を液晶層23に印加された場合、第一定位構造24の箇所に傾斜電場が発生する。この傾斜電場が第一定位構造24近くの液晶分子に対して影響を与えることで、液晶分子が画素電極2121の内部に向かって傾斜する。液晶分子の傾斜の程度は第一定位構造24の距離により異なる。同時に、液晶分子は旋光性物質の影響を受けて、第一基板21から第二基板22まで徐々にねじれ、液晶分子のねじれの程度または傾斜の程度は、電場の強さによって変化する。
また、液晶層23に電場が印加された時、液晶層23のサブレイヤー中の液晶分子は画素電極2121の周囲から内部に向かって徐々に傾斜することで、液晶層23サブレイヤー中の液晶分子は、同心円パターン、または、螺旋状パターン、または、環状パターンに配列される。例えば、第一基板21または第二基板22において、液晶層23は第一基板21から第二基板22まで徐々に変化する。表示領域において、液晶層23内の第一基板21または第二基板22に平行なサブレイヤー中の液晶分子が、全て同一の方向を向いて傾斜するのではなく、できる限り各方向に向かって傾斜させる。各サブレイヤーの液晶分子の配列の形状は、例えば、図6Aから図6Cに示したとおりである。このような液晶分子の傾斜の形態は、方位角の依存性を改善する。表示領域中の液晶分子は、全ての方位角の透過率の貢献値に対してほぼ同じであるため、従来の垂直配向型液晶表示装置に比べ、優れた広視野角効果を有する。
図5Aに示したように、図4中の液晶層23に印加される電場が弱いと、液晶層23の液晶分子は第一基板21から第二基板22まで徐々にねじれ、さらに徐々に傾斜して水平になった後、再び徐々に起立する。液晶分子が第一基板21の法線方向に沿ってねじれる程度は電場の強さによって決まる。
図5Bに示したように、図5A中の液晶層23に強い電場が印加されると、液晶層23の液晶分子は第一基板21から第二基板22まで徐々にねじれて、さらに徐々に回転、傾斜しながら水平になり、その後、徐々に回転した後、再び徐々に回転、起立する。液晶層の各サブレイヤーL1〜L4中、液晶分子の配列形状は、旋光性物質の影響及び第一定位構造24の異なる程度の影響を受けるため、各層の液晶分子のψ方向に回転する角度が異なる。したがって、液晶分子の配列の形状も異なる。例えば、液晶分子がθ方向に90度傾斜して、ψ方向にも90度回転した時、液晶分子は同心円状に配列する。
液晶層に印加される電場が強いと、液晶分子は第一基板21から第二基板22まで少なくとも90度ねじれるため、液晶表示装置2は、液晶分子の旋光性を利用して光の透過率を高めるという、ねじれネマティック型液晶表示装置の長所を有する。
また、液晶層23に高電場が印加されると、液晶層23のサブレイヤーL2中の液晶分子は傾倒して水平になり、さらに第一基板21に平行な平面上で回転する。回転の程度は電場の強さによって変化する。
図6Aから図6Cを参照しながら説明する。図6Aから図6Cは、図5B中の液晶層23の各サブレイヤーL1〜L4のパターンを示した図である。各サブレイヤーL1〜L4の液晶分子は、第一基板21の法線方向を軸心とし、同心円パターン、または、螺旋状パターン、または、環状パターンを描く。画素電極2121の中心付近において、液晶分子は円対称形状に配列する。画素電極2121の周囲付近では、液晶分子は境界の輪郭形状に配列する。例えば、画素電極2121が矩形であれば、液晶分子は画素電極2121の周囲付近において矩形に配列される。
第一定位構造によって発生した斜向電場は、液晶分子の配列を軸心対称の形状にし、さらに、異なるサブレイヤーL1〜L4における液晶分子の配列形態は、同軸心対称を呈し、互いに近似するものの異なる形状となる。第一定位構造24に近いサブレイヤーL1〜L4中における液晶分子は、螺旋状を呈する。第一定位構造24から遠いサブレイヤーL1〜L4中における液晶分子は、内側の領域は同心円形状(円形の渦巻き)となり、外側はピクセルユニット212の辺縁の形状となる。
また、第一基板21から第二基板22までを層ごとに見ると、これらの液晶分子は、電場の影響を受けて立体軸心対称形状に配列される。
図6Aのように、比較的下の層のサブレイヤーL1は第一定位構造24の影響を比較的大きく受けて、強い電圧が印加された時、サブレイヤーL1の液晶分子はZ軸に関連するθ方向において、近隣の第一定位構造24の影響を受けて、ピクセルユニット212の中心に向かって傾く。X-Y平面上のψ方向においては、旋光性物質によって時計周りまたは時計とは逆周りに回転することで、液晶分子を螺旋状に配列させる。サブレイヤーL1の液晶分子は、第一基板21の法線を軸とし、螺旋状に分布する。
図6B及び図6Cに示したように、比較的上層の液晶分子は、徐々に第一定位構造24から受ける影響が少なくなるため、液晶分子が連続して配列され、θ方向上における液晶分子は、ピクセルユニット212の中心に向かって傾く幅が徐々に小さくなる。ψ方向においては依然として旋光性物質によって制御され、往時計回りまたは時計とは逆周りに回転することで、液晶分子が同心円に近い形状、または、同心円状に配列される。
図6Bのように、サブレイヤーL2の液晶分子も、第一定位構造24の影響を受けるが、その程度はサブレイヤーL1より小さいため、その分布形状は螺旋状ではあるものの、サブレイヤーL1より同心円に近い。
図6Cに示したように、さらに上の層のサブレイヤーL3は第一定位構造24から受ける影響が比較的小さいため、サブレイヤーL3の液晶分子は第一基板21の法線を軸として同心円状に分布する。
サブレイヤーL4の液晶分子の配列分布は、サブレイヤーL1が呈する螺旋状分布に類似するため、ここでは詳述しない。
本実施例において、液晶表示装置2は液晶表示パネルであり、このうち、液晶層23の液晶分子は電場を有さない場合には、大部分が垂直配向であるため、液晶表示装置2は、多区域垂直配向型液晶表示装置の暗い状態はより明晰に表現されるという長所を有する。さらに、第一定位構造24は、表示領域の外に設置されるため、液晶分子は画素電極内部に向かって傾く。同時に、液晶層23に旋光性物質が注入されることで、液晶分子が回転することにより、配列が螺旋状または同心円形態を呈する液晶分子が、任意の位置にあり、特異点の発生が回避される。このため、表示領域中に視覚の欠点となる特異点が生じるのを回避し、口径比を高める。さらに、液晶分子が電圧を受けた時、画素電極の周囲が画素電極内部に向かって傾く。液晶層中の液晶分子は押し合い、対称の形状に配列する。液晶分子の長軸方向は、ほぼ均一に各方位角に対応する。このため、液晶表示装置2の視野角範囲を広くする。液晶層23に旋光性物質が注入されることで、液晶表示装置2の部分特性がねじれネマティック型液晶表示装置に類似し、優れた光の透過率を有する。
また、旋光性物質が注入された液晶分が旋光性を有することで、ねじれて明るい状態の時、透過率が高くなる。暗い状態の時、液晶分子垂直配列が透過率を低くするため、対比度が高くなる。
上述のように、液晶表示装置2の構造はシンプルにもかかわらず、広視野角、高対比度等の優れた表示効果が達成される。
また、表示領域中において、定位構造によって画素の漏光エリアが従来の広視野角技術より小さいため、第一基板21はブラックマトリクスを設置する必要がない。したがって、有効表示領域が増大し、口径比も高くなる。
また、本実施例において、第一定位構造24は突出物を例として説明する。しかしながら、第一定位構造24はへこんだ形態でも可能であり、突出物に制限されるものではない。また、第一定位構造24は、追加に素子が設置される外に、第一基板上の行導線または列導線による形成、画素電極の切れ込みによる形成も可能である。
以下、他の実施例を挙げて、配向膜の設置について説明する。
図7Aから図7Dに示したように、液晶表示装置2aにおいて、第一基板21はさらに第一配向膜215を備える。第一配向膜215は、画素電極2121の上に設置され、ほぼ第一基板21に平行となる。第一配向膜215は、液晶分子232を第一配向膜215の法線方向に沿って配置させることで、液晶分子232は、ほぼ第一配向膜215の表面に垂直になる。第一定位構造24に近い液晶分子231は、特定方向に向かって傾斜するため、プレチルト角を生じる。
図7Aに示したように、第一配向膜215が第一定位構造24を覆うことで、液晶層23の一部の液晶分子231をピクセルユニット212内部に向かって傾斜させる。他の部分の液晶分子232は垂直配向される。
配向膜215の一部分2151は、画素電極2121上に平行に設置される。他の部分2152は、第一定位構造24を覆う。このため、配向膜215の一部分2151は、液晶分子232をほぼ第一基板21の方向に垂直に配置させる。また、配向膜215の他の部分2152は、第一定位構造24の影響を受けることで、液晶分子231を第一基板21に垂直ではなく、傾斜させる。つまり、第一定位構造24は、液晶層23の一部の液晶分子231をピクセルユニット212内部に向かって傾斜させる。
また、図7Bに示したように、第一配向膜215が第一定位構造24を覆わないことで、液晶層23の一部の液晶分子231は、第一定位構造24によってのみ傾斜し、他の部分の液晶分子232は垂直配向させる。
また、図7Cに示したように、第一配向膜215が第一定位構造24と画素電極の間に設置され、第一定位構造24が第一配向膜215の表面上に設置されることで、液晶層23の一部の液晶分子は第一定位構造24によってのみ傾斜させる。他の部分の液晶分子232は垂直配向させる。
図7Aから図7Cにおいて、第一基板21のみが配向膜を有し、第二基板22は配向膜を有さない。しかしながら、第二基板22が配向膜を有することも可能である。
図7Dに示したように、図7Dの第二基板22はさらに、第二配向膜223を備える。第二配向膜223は、液晶分子を第二配向膜223の法線方向にそって配置させることで、液晶分子がほぼ第二配向膜223の表面に垂直となる。図7Dの第二基板22は、上述図7B及び図7Cの第二基板22に対応するため、ここでは詳述しない。
また、第一基板21は配向膜がなく、第二基板22には配向膜を有することも可能である。
図7Dの液晶表示装置2aの電圧-透過率曲線は図8Aに示したとおりである。
図8Aにおいて、本実施例の液晶表示装置2の透過率が、図8Bの従来の垂直配向型液晶表示装置より高いことが明らかである。電圧が4ボルトを超えた場合、従来の垂直配向型液晶表示装置は、位相差が(m+1/2)(mは任意の整数)を超えることにより、その透過率が下がり始めることで、電圧操作の範囲が狭くなる。
電圧が4ボルトを超えた場合、本実施例の液晶表示装置2は、旋光性の特徴を充分に利用することで、透過率が増加し続けることにより、電圧操作範囲が広くなる。
以下、液晶表示装置2bがモニターである場合を例として説明する。
図9に示したように、液晶表示装置2bは、さらに第一偏光板25、第二偏光板26及びバックライト27を備える。第一偏光板25は第一基板21に設置され、第二偏光板26は第二基板22に設置され、バックライト27は第一基板21に向かって設置される。バックライト27が発する光線は、第一偏光板25、第一基板21、液晶層23、第二基板22、第二偏光板26の順序に通過する。第一偏光板25及び第二偏光板26の偏光軸が垂直に交わる。
このような配置により、液晶表示装置2bは、所定の暗い状態(normal black)、すなわち、第一基板21と第二基板22の間に電場がない場合、液晶分子はねじれも傾斜もしないことで、光線は二つの偏光板にろ過されてしまう。第一基板21と第二基板22の間に電場を有する場合は、液晶分子は、ねじれまたは傾斜することで、光線の一部は二つの偏光板にろ過されてしまうことがない。
電場が印加されていない場合、大部分の液晶分子は第一基板21と第二基板22の間に垂直配向される。その特性は、垂直配向型液晶表示装置に類似するため、低漏光効果の暗い状態を得る。電場が印加された場合、液晶分子はθ方向に傾斜するだけでなく、ψ方向に回転を行う。従来の垂直配向型液晶表示装置は、電圧が印加された時、液晶分子がθ方向にのみ傾斜する。偏光板の偏光軸の垂直方向または平行方向に定位するとき、液晶分子は透過率に対してほとんど貢献しない。これに対して、本実施例の液晶層は、ψ方向に90度回転するように設計されている。第一偏光板25と第二偏光板26の偏光軸が垂直であるという構造において、さらに光の旋光性を利用することで、従来の垂直配向型液晶表示装置の欠点を改善するため、高い透過率が得られる。
以下に例を挙げて、定位構造の変化について説明する。
図10A及び図10Bに示したように、液晶表示装置2cにおいて、第一定位構造24は、上述の実施例の突出物の外、直接行導線213または列導線214によって定位構造24とすることも可能である。例えば、行導線213及び列導線214の厚みが画素電極2121より高いため、ピクセルユニット212の内側に壁を作るのと似た状態となる。また、行導線213及び列導線214は、第一基板21から第二基板22までの断面において、導線の頂上面及び側面は直角ではなく、図10Bに示したように、導線の頂上面及び側面の間には斜面または曲面を有する。このため、斜面または曲面を有する行導線213及び列導線214が直接突出物となることも可能であることで、上述の実施例の効果が達成できる。
また、本実施例の液晶表示装置は、配向膜をも備える。配向膜は斜面または曲面を有する導線上を覆うか、または、導線を覆わない。上述の図7Aから図7Dまで、すでに配向膜の各種変化について説明し、さらに、斜面または曲面を有する導線が上述の実施例の第一定位構造に類似するため、ここでは配向膜の実施に関して詳述しない。
図11Aから図11Fに関し、例を挙げて、第一定位構造のその他の変化様態について説明する。ここでは、主に第一定位構造の所在位置の変化について説明する。説明を簡潔にするため、図示中には第一定位構造24、画素電極2121及び薄膜トランジスタ2122のみを示し、行導線213及び列導線214は図示しない。
図11Aから図11Fに示したように、第一定位構造24は、平坦層を利用して製作する。一つまたは複数個の第一定位構造24は、画素電極2121のそばを囲む。例えば、第一定位構造24のパターンは、画素電極2121を囲うように囲むか、または、一つの画素電極2121のそばに複数の第一定位構造24を設置するかし、第一定位構造24は画素電極2121の少なくとも二つの角のそばに設置するか、または、少なくとも二つの側面のそばか、または、少なくとも一つの角及び少なくとも一つの側面に設置される。
第一基板21の薄膜トランジスタ、行導線、列導線、及び画素電極が形成された後、平坦層は第一基板21に形成される。その後、所定の定位構造を有さない箇所に平坦層をエッチングする。残った平坦層は、突起した第一定位構造24を形成する。また、あらかじめ定位構造を設置してある箇所に平坦層をエッチングし、さらに、残留の平坦層を保留すると、へこんだ形態の第一定位構造24がエッチングされた平坦層の箇所に形成される。
図11Aに示したように、第一定位構造24は画素電極2121を囲み、液晶層に電場が印加されない場合、第一定位構造24は液晶分子を画素電極2121内部に向かってあらかじめ傾斜させる。電場が液晶層に印加された時、液晶分子が画素電極2121の周囲から画素電極の中央に向かって傾斜することで、異なる層の液晶分子が軸心対称の螺旋状または同心円状に配列される。
また、複数個の互いに接続しない第一定位構造24は、それぞれ画素電極2121のそばに設置される。例えば、図11B及び図11Cに示したように、第一定位構造24は画素電極2121周囲の四つのブロックに位置する。このうち、ブロックの形状は任意の形状が可能である。例えば、十字または円柱状等で、図11Aは画素電極2121を包むような形状ではない。画素電極2121の四部分のそばの第一定位構造24は、1/4個のピクセルユニット212に影響する。電場が液晶層に印加された時、液晶分子が画素電極2121の周囲から画素電極2121の中央に向かって傾斜することで、異なる層の液晶分子が軸心対称の螺旋状または同心円状に配列される。
また、隅に設置される定位構造の外、ピクセルユニットの辺縁にもっと多くの定位構造を設置することも可能である。第一定位構造24を増加することにより、液晶層がピクセル内にもっと多くの小さい範囲の軸心対称形状を形成し、さらに、液晶表示装置2の方位角の依存性を低くする。
図11D及び図11Eに示したように、ピクセルユニット212の一辺に複数個の第一定位構造24を設置し、一つのピクセルユニット212は第一定位構造24によって、複数個のサブピクセル領域SP1、SP2に区分される。このうち、一つのサブピクセル領域SP1、SP2の四つの隅には一つの第一定向結構24を有し、液晶層23に電場が印加された時、各サブピクセル領域SP1、SP2中の液晶分子は、図6Aから図6Cの同心円パターンを呈すか、螺旋状パターンか、または、環状パターンに配列される。
図11Fに示したように、第一定位構造24は、平坦層上に囲いのようなパターンを製作することも可能であり、ピクセルユニット212の二つのサブピクセル領域SP1、SP2を囲む。液晶層23に電場が印加された時、各サブピクセル領域SP1、SP2中の液晶分子は、図6Aから図6Cの同心円パターン、または、螺旋状パターン、または、環状パターンに配列される。
図11G及び図11Hに示したように、定位構造は、画素電極2121を定義する切れ込みを利用して形成される。図11Gに示したように、画素電極2121の中間に形成される切れ込み2123は定位構造となり、切れ込み2123は画素電極2121が切断されないため、画素電極2121の二つの領域は接続したままである。ピクセルユニット212が切れ込み2123によって、複数個のサブピクセル領域SP1、SP2に区分されて、切れ込み2123とピクセルユニット212の辺縁の第一定位構造24を組み合わせて、液晶層23に電場が印加された時、各サブピクセル領域SP1、SP2中の液晶分子は、図6Aから図6Cの同心円パターンに配列されるか、または、螺旋状パターンか、または、環状パターンに配列される。
図11Hに示したように、ピクセルユニット212は、切れ込み2123によって複数個のサブピクセル領域SP1、SP2に区分され、サブピクセル領域SP1、SP2はそれぞれ画素電極2121が設置され、二つの導電用ボルト216がそれぞれサブピクセル領域SP1、SP2の画素電極2121に設置され、導線217がこの二つの画素電極2121の下に埋め込まれて設置され、この二つの画素電極2121は、導電用ボルト216及び導線217を介して電気的に接続される。
また、他の実施例において、図12に示したとおり、液晶表示装置2dは、第二定位構造28を備える。第二定位構造28は、液晶層23の一部の液晶分子233をピクセルユニット212内部に向かって傾斜させる。
第二定位構造28の作用は、第一定位構造24に類似する。プレチルト角は5〜80度であることで、液晶層23の一部の液晶分子233は、第二基板22に垂直の状態からピクセルユニット212内部に向かって約5〜80度傾斜する。例えば、液晶層23に電場が印加されない場合、液晶層の一部の液晶分子231、233は、第一定位構造24及び第二定位構造28の影響を受けて傾斜する。他の部分の液晶分子232、234は、それぞれほぼ第一基板21及び第二基板22に垂直である。
第二定位構造28は、突出物またはへこんだ形態で、第二基板22の対向電極222の切れ込みによって形成されるか、ブラックマトリクスによって形成されるか、追加の素子によって形成される。
第二定位構造28は表示領域の外に位置し、その設置位置は、第一定位構造に対応する。また、第二基板22から第一基板21までを見た時、第二定位構造28と第一定位構造24は、交替に設置される。例えば、一つの第一定位構造24は二つの第二定位構造28の間に設置されるか、一つの第二定位構造28は二つの第一定位構造24の間に設置される。
液晶層23に電場が印加された時、液晶分子は第一基板21から第二基板22まで徐々にねじれ、液晶層23のサブレイヤー中の液晶分子は、画素電極2121の周囲から内部に向かって、徐々に傾斜することで、液晶層23のサブレイヤー中の液晶分子は、同心円パターン、または、螺旋状パターン、または、環状パターンに配列される。例えば、第一基板21または第二基板22から見ると、液晶層23は第一基板21から第二基板22まで徐々に変化する。表示領域において、液晶層23内の第一基板21または第二基板22に平行のサブレイヤー中の液晶分子は、全てが同一方向に傾斜することがなく、できるだけ各方位角に向かって傾斜させる。各サブレイヤーの液晶分子が配列する形状は、上述の実施例の図6Aから図6Cに示したように、例えば、液晶サブレイヤーL1、L5は、図6Aに示したとおり、液晶サブレイヤーL2、L4は図6Bに示したとおり、液晶サブレイヤーL3は図6Cに示したとおりである。このタイプの液晶分子の傾斜形式は、方位角の依存性を改善する。表示領域における液晶分子は、全ての方位角の透過率に対する貢献値はほぼ同じであるため、従来の垂直配向型液晶表示装置より優れた広視野角効果を有する。
また、図13に示したように、第二基板22は第二配向膜223を備える。第二配向膜223は、液晶分子を第二配向膜223の法線方向に沿って配置することで、液晶分子をほぼ第二配向膜223の表面と垂直にする。
第二配向膜223は、第二定位構造28を覆うことで、液晶層23の一部の液晶分子233をピクセルユニット212内部に向かって傾斜させる。さらに、第二配向膜223は他の部分の液晶分子234を垂直配向させる。
また、第二配向膜223は、第二定位構造28を覆わないことで、液晶層の一部の液晶を、第一定位構造24と第二定位構造28によってのみ傾斜させる。さらに、第二配向膜223は第二定位構造28と対向電極222の間に設置される。
上記の実施例において、第一配向膜215と第二配向膜223はいずれも、それぞれ第一定位構造24と第二定位構造28を覆うという形式に限定されず、第一配向膜215と第二配向膜223は、それぞれ上述のその他の変化した状態でも可能である。
また、他の実施例において、図14Aに示したように、液晶表示装置2eにおいて、第一定位構造24aはへこんだ形態であり、平坦な層のへこみから形成される。第一定位構造24aは、液晶層23の一部の液晶分子231をピクセルユニット212の外部にむかって傾斜させ、液晶層23の他の一部の液晶分子232を垂直に配向させる。
第一定位構造24aが形成したプレチルト角は、例えば5〜80度であることで、液晶層の一部の液晶分子231を第一基板21に垂直である状態からピクセルユニット212外部に向かって約5〜80度傾斜する状態に変化させる。ここでいうところのプレチルト角とは液晶分子231の長軸と第一基板21の法線の間に形成される夾角αを指す。
図14Bに示したように、液晶層23に電場が印加されると、液晶分子は第一基板21から第二基板22まで徐々にねじれて、液晶層23のサブレイヤー中の液晶分子は、画素電極2121の内部から周囲に向かって徐々に傾斜することで、液晶層23のサブレイヤー中の液晶分子は、同心円パターン、または、螺旋状パターン、または、環状パターンに配列される。各サブレイヤーの液晶分子が配列形状は、上述の実施例の図6Aから図6Cに示したとおりであるため、ここでは詳述しない。
また、図14A及び図14Bに示したように、第一基板21はさらに第一配向膜215を備える。第一配向膜215は、第一定位構造24aを覆うことで、液晶層23の一部の液晶分子231をピクセルユニット212外部に向かって傾斜させる。このため、プレチルト角を生じさせる。第一配向膜215は、液晶分子232を第一配向膜215の法線方向に沿って配置させることで、液晶分子232はほぼ第一配向膜215の表面に垂直となる。
図15に示したように、第一定位構造24aは、へこんだ形態で、図14Aと異なるのは、第一定位構造24aが平坦な層の縁の切れ込みから形成されるという点である。この切れ込みは、平坦な層と導線の間に位置し、導線は行導線または列導線である。
第一配向膜215は、平坦な層の縁の切れ込みを覆って、液晶層23の一部の液晶分子231をピクセルユニット212外部に向かって傾斜させる。他の部分の液晶分子232は垂直配向される。
図14A及び図15において、配向膜215は第一定位構造24a上に設置される。配向膜215の一部分2152は、画素電極2121に平行で、他の部分2152は像画素電極2121に傾斜する。配向膜215の一部分2152は第一定位構造24aの影響を受けるため、液晶分子231は第一基板21に垂直にならず、傾斜する。他の部分2151は液晶分子232をほぼ第一基板21に垂直に配置する。つまり、第一定位構造24aは、液晶層23の一部の液晶分子231をピクセルユニット212外部に向かって傾斜させる。
また、第一配向膜215は、不完全な状態で第一定位構造24aを覆うことも可能であることにより、第一定位構造24aのへこんだ箇所を露出させる。液晶層23の一部の液晶分子231は第一定位構造24aのへこんだ箇所により傾斜し、他の部分の液晶分子232は垂直配向される。
また、図16に示したように、図16の第二基板22はさらに第二配向膜223及び第二定位構造28を備える。第二配向膜223は、液晶分子を第二配向膜223の法線方向にそって配置させることにより、液晶分子はほぼ第二配向膜223の表面に垂直である。第二定位構造28は、液晶層23の一部の液晶分子233をピクセルユニット212外部に向かって傾斜させる。
第一定位構造24aと第二定位構造28aはいずれもへこんだ形態で、第二定位構造28aの形成方式は、第一定位構造24aのとおりである。例えば、平坦層のくぼんだ箇所を定位構造とするか、平坦層の縁の切れ込みである。
また、他の実施例において、図17に示したように、液晶表示装置2fにおいて、第一定位構造24は第二基板22に設置され、第一基板21ではない。第一基板21には定位構造は設置されない。
第二基板22は、配向膜223を有し、第一定位構造24は突出物で、配向膜223は第一定位構造24と対向電極222の間に設置される。しかしながら、配向膜223と第一定位構造24の関係は、上述の実施例のように、その他の変化を有する。例えば、配向膜223は第一定位構造24を覆うか、配向膜223が対向電極222の上に設置されるかするが、第一定位構造24を露出させる。
また、第一定位構造24はへこんだ形態でも可能である。配向膜223と第一定位構造24の関係は、上述の実施例のように、その他の変化を有することが可能である。例えば、配向膜223は第一定位構造24を覆うか、配向膜223が第一定位構造24のへこんだ箇所を露出させる。
また、図18を参照しながら説明する。図17と異なるのは、第二基板22に配向膜がなく、第一基板21に配向膜を有するという点である。また、第二基板22は配向膜を設置することも可能である。配向膜と定位構造の相関関係はすでに上述の実施例で述べてあるので、ここでは詳述しない。
図14Aから図18の液晶表示装置は、上述実施例のとおりである。液晶層に電場が印加された場合、液晶層の各層液晶分子の配列形状は、図6Aから図6Cに示したとおりである。関連する内容はすでに、上述実施例において述べてあるため、ここでは詳述しない。
また、従来の広視野角技術と比較すると、上述の実施例の第一定位構造によって生じる画素漏光領域は比較的小さいため、第一基板にブラックマトリクスを設置する必要がないことで、液晶表示装置の有効表示領域が大きくなり、さらに、口径比も大きくなる。
上述の実施例における液晶表示装置は、広視野角、高対比度、大口径比等の優れた表示効果を有し、さらに、その構造もシンプルである。現有の液晶表示装置の製造工程においても許容可能であるため、生産にも有利である。
以上の実施例において、第一基板は交錯する行導線と列導線によって定義される複数のピクセルユニットを有する。各ピクセルユニットは一カラーに対応する。一定数量のピクセルユニット、例えば、三個のそれぞれレッド、グリーン、ブルーに対応するピクセルユニットが一つの画素となる。また、一つのピクセルユニットは複数のサブピクセル領域を有する。
以上の実施例において、液晶層中に、一つの同心円パターンまたは螺旋状パターンによって占められる領域は、一つのピクセルユニット、または、一つの画素、または、一つのピクセルユニットの一つのサブピクセル領域、または、複数のサブピクセル領域にまたがる領域か、または、複数にまたがる画素等に制限される。
上述のように、本発明の特異点を有さない広視野角液晶表示装置は、液晶分子の旋光性を利用することで光の透過率を高め、さらに、垂直配向の液晶分子によって対比度を増すため、従来のねじれネマティック型液晶表示装置及び多区域垂直配向型液晶表示装置の長所を結合させると同時に、ねじれネマティック型液晶表示装置の漏光するという欠点を回避する。
上述のように、本発明の特異点を有さない広視野角液晶表示装置では、第一定位構造が表示領域の外に位置し、さらに、液晶層の液晶分子が画素電極内部に傾斜する。従来の多区域垂直配向型液晶表示装置に比べ、本発明の液晶表示装置は、従来の特異点から来る表示の問題を克服すると同時に、優れた広視野角効果を達成する。
以上、本発明の実施例を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は、これらの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更などがあっても、本発明に含まれる。