JP2011002103A - 加熱調理器 - Google Patents

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龍太 近藤
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Abstract

【課題】加熱室の加熱源からの排気熱を有効に触媒体に伝達してその温度を早急に活性化温度に到達させ、同時に放熱を抑制して活性化温度を維持することにより、触媒体の専用加熱源なしで、排気を浄化すると共に、省エネ性に富んだ加熱調理器を提供する。
【解決手段】加熱室11の後壁面20とその外側に設けた第1の隔壁22との間で第1の排気通路23を、第1の隔壁22とその外側に設けた第2の隔壁26との間で第2の排気通路27を構成したので、加熱室11の後壁面20と第1の隔壁22を介した熱伝導と、排気18の流れによる対流熱を有効に吸収させて、触媒体24の活性化温度を維持して安定した酸化分解性能を確保することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、食品などの被加熱物を加熱調理する加熱調理器に関するものである。
このような加熱調理器の分野では、加熱源として電気エネルギーや燃焼エネルギーにより、赤外線、熱風などを発生させて、食品などの被加熱物を加熱調理できるグリル、ロースター、オーブン電子レンジといった機器が普及している(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の加熱調理器においては、図6に示すように、空気加熱室1の内部に空気通路2につながり、蛇行した蛇行通路3の各蛇行部4にはヒータ5を配置し、空気加熱室1と空気通路2の少なくともいずれか一方には、ヒータ5に加熱された触媒6を設けて、調理室7からの油煙などを含む吸引空気8を触媒6に接触させるというものであった。
そしてその目的は、触媒6を効率よく加熱するようにして、吸引空気8の浄化、分解性能を向上させることにあった。
特開2000−168186号公報
しかしながら、図6に示す従来の加熱調理器の構成では、触媒6を活性化温度に上昇、かつ維持させるために専用のヒータ5を必要としていたので、ヒータ5の所定の電力確保のため、本来、調理室7内で加熱調理に必要な熱源の電力確保が不十分となり、調理室7内での食品の調理時間が長くなったり、良好な調理結果が得られなかったりする場合があった。
また、調理性能を一定以上に確保するために、多量の電力消費が必要になり、結果として省エネ性などにも影響がでることがあった。
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、排気通路内に昇温性の良好な触媒体を設けると共に、食品の加熱室の加熱源からの排気熱を有効に触媒体に伝達して触媒体の温度を早急に活性化温度に到達させ、さらに触媒体からの放熱を抑制して触媒体の活性化温度を維持することにより、触媒体の専用加熱源を使用せず、加熱室からの排気を効率よく酸化、分解させると共に、省エネ性に富んだ加熱調理器を提供することを目的とする。
上記従来の課題を解決するために、本発明の加熱調理器は、食品を焼成加熱する加熱源を備えた加熱室と、加熱室に連通し加熱室内の空気を排気として排出する第1の排気通路と、第1の排気通路内に設けた昇温性の良好な触媒体と、第2の排気通路とを備え、加熱室の壁面と加熱室の外側に設けた第1の隔壁との間の空間で第1の排気通路を構成し、第1の隔壁と第1の隔壁の外側に設けた第2の隔壁との間の空間で第2の排気通路を構成し、第1の排気通路と第2の排気通路とを連通部を介して連通させたものである。
この加熱調理器においては、加熱室内に設けた加熱源は、食品を焼成加熱する際に、同
時に加熱室内の空気の温度を上昇させる。
次いで、加熱室内の空気が食品を焼成加熱した後の排気として第1の排気通路内に至る。この時、第1の排気通路は、加熱室の壁面と加熱室の外側に設けた第1の隔壁との間の空間で構成されているため、加熱室の壁面からの熱伝導により触媒体が加熱されると同時に、触媒体自体の昇温性が良好であるため、排気からの熱が有効に触媒体に伝達されて、触媒体自体が早急に昇温して活性化温度に到達する。
このような状態で排気が触媒体に接触することにより、排気中の油煙を含んだような炭化水素成分は酸化分解されて、大半が炭酸ガスと水蒸気となる。また、排気中の炭化水素成分が酸化分解される反応はある程度発熱を伴うため、触媒体の下流側の排気温度は、触媒体の活性化温度に近い温度を維持している。
この状態で、触媒体を通過した排気は、第1の排気通路と第2の排気通路の連通部を通過して第2の排気通路に至る。この時、第2の排気通路は、第1の隔壁と第1の隔壁の外側に設けた第2の隔壁との間の空間で構成しているため、第2の排気通路を通過する排気によって第1の隔壁の温度が上昇し、第1の隔壁から熱伝導によって触媒体に排気からの熱が伝達される。
このようにして、第1の排気通路は、加熱室と第2の排気通路によって挟持される構成であり、その結果、第1の排気通路内に設けた触媒体は、加熱室の壁面と第1の隔壁を介した熱伝導と、排気の流れによる対流熱を有効に吸収して活性化温度を維持して安定した酸化分解性能を確保することができる。
また、別途断熱材などの付加構成を必要とせずに、触媒体の活性化温度を容易に維持することができる。
以上説明したように、触媒体を加熱するための専用熱源を必要とせずに、比較的簡単な構成で触媒体の活性化温度を維持することができるため、省エネ性に富むと同時に、焼成調理による排気を酸化分解して、キッチンなどの調理空間の雰囲気を快適に保つことが可能な加熱調理器を提供することができる。
本発明の加熱調理器によれば、第1の排気通路内に設けた触媒体は、加熱室の壁面と第1の隔壁を介した熱伝導と、排気の流れによる対流熱を有効に吸収して活性化温度を維持して安定した酸化分解性能を確保することができるため、触媒体を加熱するための専用熱源を必要とせずに、比較的簡単な構成で触媒体の活性化温度を維持することができ、省エネ性に富むと同時に、焼成調理による排気を酸化分解して、キッチンなどの調理空間の雰囲気を快適に保つことが可能な加熱調理器を提供することができる。
本発明の実施の形態1における加熱調理器の側面断面図 同実施の形態における加熱調理器の触媒体の通路方向の上面図 同実施の形態における加熱調理器の触媒体の触媒物質の担持状況を示す概念図 同実施の形態における加熱調理器の別の触媒体例の触媒物質の担持状況を示す概念図 本発明の実施の形態2における加熱調理器の排気の外気への出口近傍部の部分上面図 従来の加熱調理器の側面断面図
第1の発明は、食品を焼成加熱する加熱源を備えた加熱室と、加熱室に連通し加熱室内の空気を排気として排出する第1の排気通路と、第1の排気通路内に設けた昇温性の良好な触媒体と、第2の排気通路とを備え、加熱室の壁面と加熱室の外側に設けた第1の隔壁との間の空間で第1の排気通路を構成し、第1の隔壁と第1の隔壁の外側に設けた第2の隔壁との間の空間で第2の排気通路を構成し、第1の排気通路と第2の排気通路とを連通部を介して連通させたものである。
これにより、加熱室内に設けた加熱源は、食品を焼成加熱する際に、同時に加熱室内の空気の温度を上昇させる。次いで、加熱室内の空気が食品を焼成加熱した後の排気として第1の排気通路内に至る。
この時、第1の排気通路は、加熱室の壁面と加熱室の外側の設けた第1の隔壁との間の空間で構成されているため、加熱室の壁面からの熱伝導により触媒体が加熱されると同時に、触媒体自体の昇温性が良好であるため、排気からの熱が有効に触媒体に伝達されて、触媒体自体が早急に昇温して活性化温度に到達する。
このような状態で排気が触媒体に接触することにより、排気中の油煙を含んだような炭化水素成分は酸化分解されて、大半が炭酸ガスと水蒸気となる。また、排気中の炭化水素成分が酸化分解される反応はある程度発熱を伴うため、触媒体の下流側の排気温度は、触媒体の活性化温度に近い温度を維持している。
この状態で、触媒体を通過した排気は、第1の排気通路と第2の排気通路の連通部を通過して第2の排気通路に至る。この時、第2の排気通路は、第1の隔壁と第1の隔壁の外側に設けた第2の隔壁との間の空間で構成しているため、第2の排気通路を通過する排気によって第1の隔壁の温度が上昇し、第1の隔壁から熱伝導によって触媒体に排気からの熱が伝達される。
このようにして、第1の排気通路は、加熱室と第2の排気通路によって挟持される構成であり、その結果、第1の排気通路内に設けた触媒体は、加熱室の壁面と第1の隔壁を介した熱伝導と、排気の流れによる対流熱を有効に吸収して活性化温度を維持して安定した酸化分解性能を確保することができる。
また、第2の排気通路は、第1の排気通路の保温作用を発揮するため、別途断熱材などの付加構成を必要とせずに、触媒体の活性化温度を容易に維持することができる。
以上説明したように、触媒体を加熱するための専用熱源を必要とせずに、比較的簡単な構成で触媒体の活性化温度を維持することができるため、省エネ性に富むと同時に、焼成調理による排気を酸化分解して、キッチンなどの調理空間の雰囲気を快適に保つことが可能な加熱調理器を提供することができる。
第2の発明は、第1の排気通路は、加熱室の壁面と第2の排気通路とによって内包させたものである。これにより、第1の排気通路は、加熱室の壁面、及び、第1の隔壁を含む第2の排気通路に接触する部分から熱伝導によって受熱するため、外気による冷却作用を極少にすることができる。したがって、触媒体の活性化温度を効率的に保持することができる。
第3の発明は、特に第1または2の発明において、排気は、第1の排気通路を下降気流として通過させ、第2の排気通路を上昇気流として通過させるように、加熱室と第1の排
気通路と第2の排気通路を連通させたものである。
これにより、第1の排気通路を通過する排気と第2の排気通路を通過する排気は、第1の隔壁を介して熱交換をするが、排気の温度は基本的に上流側から下流側に至り高温から低温へ温度勾配を持つので、このように排気の流れを第1の排気通路と第2の排気通路で対向させることで、第1の隔壁の温度勾配を最小にし、結果として、触媒体の上流側から下流側への温度勾配を最小にして、触媒体の温度を均一化することができる。
さらに、加熱室から排気と一緒に流出する粉塵は、触媒体に蓄積することなく落下させることができ、万一、排気温度が低下して排気中に含まれる油煙が触媒体の表面で結露、液化した場合でも、重力により触媒体の下流側端部に移動させることができ、排気温度が油煙の気化しうる温度以上に上昇した時点で、容易に気化させて触媒体から除去することが可能である。
したがって、触媒体の表面の汚染を最小かつ復帰させて、触媒体の酸化分解活性を長く維持させることができる。
第4の発明は、特に第1から3のうちいずれか1つの発明において、触媒体は、多孔質セラミックス繊維をシート体に成型したものを、一定方向に通路を形成するようにコルゲート状に積層して多孔質セラミックス成型体を構成したものを担体とし、担体のセラミックス繊維間の空隙及び表面部に炭化水素成分の酸化分解作用を有する触媒物質を担持したものである。
これにより、担体が極めて軽質で低熱容量なものとなり、対流や熱伝導によって急速に昇温させることが容易な構造体として構成できる。したがって、この担体のセラミックス繊維間の空隙及び表面部に炭化水素成分の酸化分解作用を有する触媒物質を担持した場合、同様に急速に活性化温度に到達させることが可能で、このような成分を有する排気などが触媒体に接触しながら通過すると、早い段階で炭酸ガスや水蒸気に分解される。
第5の発明は、特に第4の発明において、触媒物質は、マンガン、銅、コバルト、ニッケル、セリウムなどのうち1種類以上の酸化物で構成したものである。これにより、これらの酸化物成分による触媒物質は、排気中の炭化水素成分が数十ppm程度であれば、室温近くでも一定の酸化分解作用を有しているため、500ppm程度の高濃度であっても150〜250℃で容易に酸化分解作用を発揮させることができる。
さらに、これらの触媒物質は、スラリー状にして直接担体に担持させることが可能であるため、担持操作、および触媒体としての加工が簡便にできる。
第6の発明は、特に第1から3のいずれか一つの発明において、触媒体は、多孔質セラミックス繊維をシート体に成型したものをコルゲート状に積層して多孔質セラミックス成型体を構成したものを担体とし、担体の表面部にセラミックスの多孔質コーティング層を形成し、多孔質コーティング層の多孔部を含む表面部に炭化水素成分の酸化分解作用を有する触媒物質を担持したものである。
これにより、セラミックスの多孔質コーティングがセラミックス繊維からなる担体の機械的強度を上昇させると共に、多孔部を含む表面部に炭化水素成分の酸化分解作用を有する触媒物質を均一に分散させて担持することができる。
第7の発明は、特に第6の発明において、触媒物質は、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウムなどの貴金属のうち1種類以上を用いたものである。
これにより、これら貴金属成分を触媒物質として用いたことにより、担体上に構成した多孔質コーティング層の多孔部を含む表面部に、均一かつ強固に固定化させることができ、排気中に比較的硫黄成分が多く含まれていても、安定した酸化分解作用を維持して、長寿命な触媒体を構成することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における加熱調理器の側面断面図、図2は同実施の形態における加熱調理器の触媒体の通路方向の上面図、図3は同実施の形態における加熱調理器の触媒体の触媒物質の担持状況を示す概念図、図4は同実施の形態における加熱調理器の別の触媒体例の触媒物質の担持状況を示す概念図である。
以上の図面を用いて、本発明の実施の形態1における加熱調理器の構成、および動作、作用について説明する。
図1において、筐体10内には、前方が開口した加熱室11が構成され、加熱室11の前方の開口側には、開閉扉12が下方を支点として、外郭10の前面を含む形で前開き方向で装着されている。
加熱室11の略中央側には、食品(図示せず)を載置するスノコ網13が設けられている。スノコ網13を介して、加熱室11の上方には食品を焼成加熱する上部加熱源14として、石英管またはセラミック管内にコイル状の電熱線を埋設した赤熱型の上部赤外線ヒータ15が、加熱室11の下方には下部加熱源16として、同様に石英管またはセラミック管内にコイル状の電熱線を埋設した赤熱型の下部赤外線ヒータ17が設けられている。
したがって、スノコ網13上に載置された食品は、上下から上部加熱源14(上部赤外線ヒータ15)、下部加熱源16(下部赤外線ヒータ17)によって、同時に焼成加熱により調理される。なお、図示していないが、マイクロ波加熱を併用すべく、マグネトロンを加熱室11の近傍に設けることもできる。
上部赤外線ヒータ15は、その表面温度を約500〜800℃の範囲で変化させ、W数の可変範囲として500〜1000Wの間で設定されている。
一方、下部赤外線ヒータ17は、載置部13との距離が接近しているため、その表面温度は上部赤外線ヒータ15の場合よりも低温に設定され、400〜700℃の範囲で変化させ、W数の可変範囲として400〜700Wの間で設定されている。
また、加熱室11の上面後方側には、加熱室内の空気を排気18として排出するための排気口19が開口し、加熱室11の後壁面20とその後方に空間21を介して設けた第1の隔壁22とで第1の排気通路23が構成されている。第1の排気通路23内には、排気18中の油煙や炭化水素成分を酸化分解するための触媒体24が設置されている。
第1の隔壁22の下方は開口しており、第1の隔壁22とさらにその後方に空間25を介して第2の隔壁26が構成され、第1の隔壁22と第2の隔壁26で形成される空間25で第2の排気通路27が構成されている。
第2の排気通路27の上方には、排気18を触媒体24に適正な排気量で吸引するため
の吸引ファン28が設けられている。さらに、第1の排気通路23と第2の排気通路27は、共通の底部29によって連通部30を構成している。
このようにして、排気口19、第1の排気通路23、第2の排気通路27は、全体として連通構成を成し、排気18の流れは、排気口19から第1の排気通路23内を下降気流31として流通し、第2の排気通路27内は上昇気流32として流通する。
一方、触媒体24は、図2、図3に示したように一定方向に通路33を構成するように、多孔質セラミックス繊維34をシート体に成型したものを、コルゲート状に積層して、極めて軽質で、昇温速度の速い多孔質セラミックス成型体35としたものを担体36とし、この担体36に、油煙を含む炭化水素成分を酸化分解する作用を有する触媒物質37を担持している。
触媒物質37は、マンガン、銅、コバルト、ニッケル、セリウムなどのうち1種類以上の酸化物で構成したもので、具体的にはマンガンを主成分とし、微量の銅、セリウムを含む複合酸化物の微細な粒子で、これら触媒物質37は、担体36の表面だけでなく、多孔質セラミックス繊維34の間の空隙にも均一に含浸されている。
そして、このような複合酸化物状態の触媒物質37は、スラリー状にして直接担体36に担持させることが可能であるため、担持操作、および加工が簡便にできる利点がある。
また、酸化分解性は、排気18中の炭化水素成分が数十ppm程度であれば、室温近くでも一定の酸化分解作用を有しているため、500ppm程度の高濃度であっても実力として150〜250℃で容易に分解作用を発揮させることができる。したがって、触媒体24は、軽質、昇温性が良好で、比較的低温でも十分な酸化分解性能を維持することができる。
さらに、別の触媒体38の例としては、図4に示すように、図3で用いた担体36の表面部にセラミックスの多孔質コーティング層39を形成し、多孔質コーティング層39の多孔部を含む表面部に炭化水素成分の酸化分解作用を有する触媒物質40を担持したものである。
触媒物質40は、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウムなどの貴金属のうち1種類以上を用いたもので、本例では、白金とパラジウムを約2対1の割合で担持したものである。
この場合は、セラミックスの多孔質コーティング層39がセラミックス繊維からなる担体36の機械的強度を上昇させることができ、同時に、排気中18に比較的硫黄成分が多く含まれていても、安定した酸化分解作用を維持して、長寿命な触媒体38とすることができる。
このように、調理物の含有成分が予め判明している場合、硫黄成分の多寡によって触媒体24と触媒体38を使い分けすることができる。
以上のように構成された加熱調理器における作用について説明する。加熱室11内に設けた上部加熱源14(上部赤外線ヒータ15)、下部加熱源16(下部赤外線ヒータ17)は、食品を焼成加熱する際に、同時に加熱室11内の空気の温度を200〜250℃程度に上昇させる。次いで、加熱室11内の空気が食品を焼成加熱した後の排気18として第1の排気通路23内に至る。
この時、第1の排気通路23は、加熱室11の後壁面20と加熱室11の外側に設けた第1の隔壁22との間の空間21で構成されているため、加熱室11の後壁面20からの熱伝導により触媒体24が加熱されると同時に、触媒体24自体の昇温性が良好であるため、排気18からの熱が有効に触媒体24に伝達されて、触媒体24自体が早急に昇温して活性化温度に到達する。
このような状態で排気18が触媒体24に接触することにより、排気18中の油煙を含んだような炭化水素成分は酸化分解されて、大半が炭酸ガスと水蒸気となる。また、排気18中の炭化水素成分が酸化分解される反応はある程度発熱を伴うため、触媒体24の下流側の排気18温度は、触媒体24の活性化温度に近い温度を維持している。
この状態で、触媒体24を通過した排気18は、第1の排気通路23と第2の排気通路の連通部30を通過して第2の排気通路27に至る。この時、第2の排気通路27は、第1の隔壁22と第1の隔壁22の外側に設けた第2の隔壁26との間の空間25で構成しているため、第2の排気通路27を通過する排気18によって第1の隔壁22の温度が上昇し、第1の隔壁22から熱伝導によって触媒体24に排気18からの熱が伝達される。
また、排気18は排気口19から第1の排気通路23内を下降気流31として流通し、第2の排気通路27内は上昇気流32として流通するため、第1の排気通路23を通過する排気18と、第2の排気通路27を通過する排気18は、第1の隔壁22を介して熱交換をするが、排気18の温度は基本的に上流側から下流側に至り高温から低温へ温度勾配を持つので、このように排気18の流れを第1の排気通路23と第2の排気通路27で対向させることで、第1の隔壁22の温度勾配を最小にする。
その結果、触媒体24の上流側から下流側への温度勾配を最小にして、触媒体24の温度を均一化することができる。
さらに、加熱室11から排気18と一緒に流出する粉塵は、触媒体24に蓄積することなく落下させることができ、万一、排気18温度が低下して排気18中に含まれる油煙が触媒体24の表面で結露、液化した場合でも、重力により触媒体24の下流側端部に移動させることができ、排気18温度が油煙の気化しうる温度以上に上昇した時点で、容易に気化させて触媒体24から除去することが可能である。
このようにして、第1の排気通路22は、加熱室11と第2の排気通路27によって挟持される構成であり、その結果、第1の排気通路22内に設けた触媒体24は、加熱室11の後壁面20と第1の隔壁22を介した熱伝導と、排気18の流れによる対流熱を有効に吸収して活性化温度を維持して安定した酸化分解性能を確保することができる。
したがって、別途断熱材などの付加構成で第2の排気通路27の外周囲を保温する必要がなく、触媒体24の活性化温度を容易に維持することができる。
以上説明したように、触媒体24を加熱するための専用熱源を必要とせずに、比較的簡単な構成で触媒体24の活性化温度を維持することができるため、省エネ性に富むと同時に、焼成調理による排気18を酸化分解して、キッチンなどの調理空間の雰囲気を快適に保つことが可能な加熱調理器を提供することができる。
(実施の形態2)
図5は、本発明の実施の形態2における加熱調理器の排気の外気への出口近傍部の部分上面図である。
以上の図面を用いて、本発明の実施の形態2における加熱調理器の構成、および動作、作用について説明する。
図5において、実施の形態1と異なる点は、第2の隔壁50を拡大して構成した第2の排気通路51によって、第1の排気通路23がその周囲を内包された構成とした点である。
なお、第1の実施の形態と同一符号のものは同一構造を有し、説明は省略する。
図5において、第1の排気通路23は、加熱室11の後壁面20と第1の隔壁22だけでなく、その全体を第2の排気通路51内に構成されたことになる。そのため、触媒体24は、加熱室11の後壁面20、及び、第1の隔壁22、第2の隔壁50を含む第2の排気通路51全体から受熱するため、外気による冷却作用を極少にすることができる。
したがって、触媒体24は、部分的な低温部を形成することなく、均一に活性化温度を維持することができる。したがって、触媒体24は、常に安定的な排気18の酸化分解作用を維持することができる。
以上のように、本発明の加熱調理器は、ヒータやマイクロ波とのコンビネーション的な焼成加熱調理の際、触媒体を加熱するための専用熱源を必要とせずに、比較的簡単な構成で触媒体の活性化温度を維持することができ、省エネ性に富むと同時に、キッチンなどの調理空間の雰囲気を快適に保つことが可能なため、電子レンジ、オーブンなどの調理器に限らず、多様な加熱用途に応用が可能である。
11 加熱室
14 上部加熱源
15 上部赤外線ヒータ
16 下部加熱源
17 下部赤外線ヒータ
18 排気
20 後壁面
21、25 空間
22 第1の隔壁
23 第1の排気通路
24、38 触媒体
26、50 第2の隔壁
27、51 第2の排気通路
30 連通部
31 下降気流
32 上昇気流
33 通路
34 多孔質セラミックス繊維
35 多孔質セラミックス成型体
36 担体
37、40 触媒物質
39 多孔質コーティング層

Claims (7)

  1. 食品を焼成加熱する加熱源を備えた加熱室と、加熱室に連通し加熱室内の空気を排気として排出する第1の排気通路と、第1の排気通路内に設けた昇温性の良好な触媒体と、第2の排気通路とを備え、加熱室の壁面と加熱室の外側に設けた第1の隔壁との間の空間で第1の排気通路を構成し、第1の隔壁と第1の隔壁の外側に設けた第2の隔壁との間の空間で第2の排気通路を構成し、第1の排気通路と第2の排気通路とを連通部を介して連通させた加熱調理器。
  2. 第1の排気通路は、加熱室の壁面と第2の排気通路とによって内包させた請求項1に記載の加熱調理器。
  3. 排気は、第1の排気通路を下降気流として通過させ、第2の排気通路を上昇気流として通過させるように、加熱室と第1の排気通路と第2の排気通路を連通させた請求項1または2に記載の加熱調理器。
  4. 触媒体は、多孔質セラミックス繊維をシート体に成型したものを、一定方向に通路を形成するようにコルゲート状に積層して多孔質セラミックス成型体を構成したものを担体とし、担体のセラミックス繊維間の空隙及び表面部に炭化水素成分の酸化分解作用を有する触媒物質を担持した請求項1〜3のいずれか1項に記載の加熱調理器。
  5. 触媒物質は、マンガン、銅、コバルト、ニッケル、セリウムなどのうち1種類以上の酸化物で構成した請求項4に記載の触媒体。
  6. 触媒体は、多孔質セラミックス繊維をシート体に成型したものをコルゲート状に積層して多孔質セラミックス成型体を構成したものを担体とし、担体の表面部にセラミックスの多孔質コーティング層を形成し、多孔質コーティング層の多孔部を含む表面部に炭化水素成分の酸化分解作用を有する触媒物質を担持した請求項1〜3のいずれか1項に記載の加熱調理器。
  7. 触媒物質は、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウムなどの貴金属のうち1種類以上を用いた請求項6に記載の触媒体。
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