JP2011002087A - 転動体を用いた支持機構 - Google Patents

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利光 阿曽
Tatsuo Fujiwara
龍雄 藤原
Hidesumi Tokita
秀往 時田
Takeshi Kageyama
雄 影山
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Abstract

【課題】転動体に生じる摩擦を低減することで支持機構としての耐久性を向上させることができ、しかも地中や水中などでも気中と同様に使用することができる。
【解決手段】ころ軸受1は、リング状をなす下側リング基板2および上側リング基板3を上下方向に所定間隔をもって同軸に且つ対向した状態で配置し、互いに中心軸線O1を中心にして相対的に回転可能に設けるとともに、下側リング基板2と上側リング基板3との間に複数の円錐台形状の円錐状ころ4、4、…を周方向に一定の間隔をもって配置させた構成をなしている。それら円錐状ころ4、4、…を間隔保持板5によって中心軸線O2を中心に回転自在に支持し、隣り合う円錐状ころ4、4どうしの間隔を一定に保持するようにした。
【選択図】図1

Description

本発明は、円筒ころや球体などの転動体を用いた支持機構に関する。
従来、機械的に回転する機能を有する機構において、その回転に伴う摩擦を低減するものとして、転がり軸受が知られている。転がり軸受は、軌道輪(外輪、内輪)と、球体(玉)又はころ等の転動体と、その転動体を保持するリテーナリング等の保持器とから構成されており、主として負荷の荷重方向によって、ラジアル軸受とスラスト軸受に区分されているものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平6−17825号公報
しかしながら、従来の転動体を用いた軸受では、以下のような問題があった。
すなわち、軸受の構成要素である保持器は、個々の転動体が互いに接触しないように隔離するためのものであるが、保持器と転動体とが接触するため、一般的にはその接触部分に潤滑剤を十分に供給する必要があり、供給量が不足していたり、軸受内にゴミや異物が混入すると、保持器と転動体との間の摩擦が大きくなり、この軸受を使用した回転機構の駆動力が増大するという欠点があるうえ、軸受の耐久性(寿命)が低下するという問題があった。
また、水中や地中で使用される機械の軸受は密封式となっているが、気中で使用する場合と比べると軸受内に異物が混入しやすい現状がある。とくに、例えば建設現場などの劣悪な条件下で使用される掘削機械の回転部などに使用される軸受では、故障の頻度が増えるといった問題があり、その点で改良する余地があった。
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、転動体に生じる摩擦を低減することで支持機構としての耐久性を向上させることができ、しかも地中や水中などでも気中と同様に使用することができる転動体を用いた支持機構を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る転動体を用いた支持機構では、第1支持基板と、第1支持基板に所定間隔をもって対向する第2支持基板と、第1支持基板と第2支持基板との間でそれら双方に接触する複数の転動体とを備え、第1支持基板と第2支持基板とが相対的にスライド自在又は回転自在となる構成とされる転動体を用いた支持機構であって、転動体の回転軸を回転自在に支持する間隔保持部材が設けられ、間隔保持部材によって隣り合う転動体どうしが一定の間隔を保持した状態で連結されていることを特徴としている。
本発明では、間隔保持部材によって複数の転動体がそれぞれ回転軸を中心にして回転自在な状態で連結され、隣り合う転動体どうしが一定間隔で保持されることから、互いに接触したり、衝突することがなくなり、転動体どうしの間で生じる摩擦を抑制することができる。そのため、間隔保持部材を設けない構造に比べて、転動体どうしの摩擦を低減することができる。
また、本発明に係る転動体を用いた支持機構では、第1支持基板および第2支持基板がリング状をなすとともに、転動体が第1支持基板および第2支持基板の外周側から内周側に向かうにしたがって縮径する円錐台形状に形成され、第1支持基板および第2支持基板には、それぞれ転動体の傾斜面に対応したテーパ面が形成されていることが好ましい。
本発明では、転動体を円錐台形状とすることで、第1支持基板と第2支持基板との間に配置可能な転動体の数量を円筒状の転動体の場合よりも増やすことが可能となり、これにより転動体どうしの間の間隔を小さくすることができ、支持機構の性能を高めることができる。
本発明の転動体を用いた支持機構によれば、間隔保持部材によって複数の転動体がそれぞれ回転軸を中心にして回転自在な状態で連結され、隣り合う転動体どうしが一定間隔で保持される構成であるので、転動体に生じる摩擦を低減することができ、軸受などの支持機構としての耐久性の向上を図ることができる。そのため、転動体どうしの接触をなくすために使用される耐久性の低い従来の保持器が不要となる利点がある。
また、潤滑剤を使用せずに転動体の摩擦を低減でき、内部にごみ、水分、異物などが浸入することによる転動体に与える影響が小さい構造であるので、水中、泥水中、地中などの使用条件が悪い場合であっても気中と同様に使用することが可能であり、例えば掘削機械などに本支持機構を適用することができる。
本発明の実施の形態によるころ軸受の構造を示す部分斜視図である。 図1に示すA−A線断面図である。 図2に示す部分平面図である。 実施例による立坑掘削機に使用したころ軸受を示す図である。 実施例による立坑掘削機のケーシング回転数ところ軸受の磨耗量との関係を示す図である。
以下、本発明の実施の形態による転動体を用いた支持機構について、図1乃至図3に基づいて説明する。
図1の符号1は、上下にリング状の基板を有する回転運動用のころ軸受を示しており、本実施の形態による支持機構に相当するものである。ころ軸受1の適用対象としては、例えば水中や地中で使用される掘削機械におけるカッタの回転機構などが挙げられる。
ここで、ころ軸受1の回転軸となる中心軸線O1方向を上下方向とし、その上下方向に沿って後述する上側リング基板2側を上側、その反対側を下側とし、さらに前記中心軸線O1の軸線方向を上下方向に向けた状態でその中心軸線O1に直交する方向を径方向として、以下説明する。
具体的に、ころ軸受1(支持機構)は、リング状をなす下側リング基板2(第1支持基板)および上側リング基板3(第2支持基板)が上下方向に所定間隔をもって同軸に且つ対向した状態で配置されており、互いに中心軸線O1を中心にして相対的に回転可能に設けられるとともに、下側リング基板2と上側リング基板3との間に複数の円錐台形状の円錐状ころ4、4、…(転動体)が周方向に一定の間隔をもって配置された構成となっている。さらに、それら円錐状ころ4、4、…は、間隔保持板5(間隔保持部材)によって中心軸線O2を中心に回転自在に支持され、隣り合う円錐状ころ4、4どうしの間隔が一定に保持されるように連結されている。
ここで、図2において、紙面に向かって左側が下側リング基板2(上側リング基板3)の内周側であり、同じく紙面右側が外周側である。
図2に示すように、下側リング基板2と上側リング基板3とは、それぞれの離間が外周側から内周側に向かうにしたがって上下ともに同じ割合で漸次小さくなるようなテーパが形成されている。すなわち、下側リング基板2は、外周縁端2aから内周縁端2bに向かうにしたがって上向きに傾斜するテーパ面2cが形成されている。一方、上側リング基板3は、外周縁端3aから内周縁端3bに向かうにしたがって下向きに傾斜するテーパ面3cが形成されている。そして、前記テーパ面2c、3cがともに円錐状ころ4、4、…に接触した状態となっている。
図3は、図1の円錐状ころ4、4、…を示す平面であって、見や易くするために上側リング基板3を省略し、下側リング基板2を二点鎖線で示している。
図1および図3に示すように、複数の円錐状ころ4、4、…は、下側リング基板2と上側リング基板3とに挟持された状態で、それら基板2、3の周方向全周にわたって一定間隔をもって複数配置(図1、図3では4つのみを示している)されている。そして、各円錐状ころ4は、下側リング基板2の径方向で外周縁端2aから内周縁端2bに向かうにしたがって縮径する円錐台形状をなしている。この円錐状ころ4の傾斜面を、ころテーパ面4aという。つまり、円錐状ころ4は、ころテーパ面4aが下側リング基板2のテーパ面2cおよび上側リング基板3のテーパ面3cの傾斜角度に一致しており、円錐状ころ4の下側で下側リング基板2のテーパ面2cに接触するとともに、上側で上側リング基板3のテーパ面3cに接触している。
そして、円錐状ころ4には、外周側端部4bから前記径方向(基板2、3の径方向)で外方に突出する軸部41(回転軸)が設けられている。この軸部41は、間隔保持板5の係止穴5a(後述する)に回転可能な状態で係合された状態で支持されている。
また、図1〜図3に示すように、間隔保持板5は、円錐状ころ4、4、…どうしを一定の間隔で保持して連結するものであり、下側リング基板2の外周に沿うように湾曲した帯状をなし、各円錐状ころ4の軸部41に対応する位置に係止穴5a(図では4箇所)が形成されている。つまり、各円錐状ころ4の軸部41を係止穴5aに回転自在な状態で係止させることで自身の移動(ずれ)が規制され、隣り合う円錐状ころ4、4どうしの間隔が保たれるようになっている。
次に、本実施の形態によるころ軸受1の作用について図面に基づいて説明する。
図2および図3に示すように、本ころ軸受1では、間隔保持板5によって複数の円錐状ころ4、4、…が連結され、隣り合う円錐状ころ4、4どうしが一定間隔で保持されることから、互いに接触したり、衝突することがなくなり、間隔保持板5によって支持されない場合に生じる円錐状ころ4、4どうしの摩擦を抑制することができる。
また、本ころ軸受1では、円錐状ころ4をころテーパ面4aを有する円錐台形状とすることで、下側リング基板2と上側リング基板3との間に配置可能な円錐状ころ4の数量を円筒状のころを用いた場合よりも増やすことが可能となり、これにより円錐状ころ4、4どうしの間の間隔を小さくすることができ、ころ軸受1の性能を高めることができる。
上述のように本実施の形態による転動体を用いた支持機構では、間隔保持板5によって複数の円錐状ころ4、4、…がそれぞれ回転軸(中心軸線O2)を中心にして回転自在な状態で連結され、隣り合う円錐状ころ4、4どうしが一定間隔で保持される構成であるので、円錐状ころ4に生じる摩擦を低減することができ、本実施の形態のようにころ受軸などの支持機構としての耐久性の向上を図ることができる。そのため、転動体どうしの接触をなくすために使用される耐久性の低い従来の保持器が不要となる利点がある。
また、潤滑剤を使用せずに円錐状ころ4の摩擦を低減でき、内部にごみ、水分、異物などが浸入することによる円錐状ころ4に与える影響が小さい構造であるので、水中、泥水中、地中などの使用条件が悪い場合であっても気中と同様に使用することが可能であり、例えば掘削機械などに本ころ軸受1を適用することができる。
次に、上述した実施の形態による転動体を用いた支持機構の効果を裏付けるため、円筒ころを用いてその円筒ころの磨耗量を測定した試験例について以下説明する。
本実施例では、図4に示すように、円筒状のケーシング71の先端部にカッタ(図示省略)を備えた立坑掘削機7にころ軸受10を採用したものである。すなわち、立坑掘削機7は、ケーシング71を先端部のカッタを下方に向けた状態で、中心軸線を中心にして回転させながら掘削しつつ、掘削した壁面にリング状のセグメントを配置するものである。本実施例のころ軸受10は、リング状の上部リング基板11と下部リング基板12と、それら一対のリング基板11、12の間に挟持されて周方向に一定の間隔をもって配置された複数の円筒ころ13とからなる。一方の上部リング基板11はセグメントに反力を取って上下方向に伸縮する推進ジャッキ72に対して摺動可能な支持部材73に固定され、他方の下部リング基板22はケーシング71に固定されている。つまり、円筒ころ13は、立坑掘削機7による掘削時にケーシング71の回転とともに回転運動する構成となっている。
なお、本ころ軸受10では、上述した実施の形態のような間隔保持板5(図1参照)を設けていないものとした。そして、ケーシング71を1回転/分の回転速度で回転させ、円筒ころ13の磨耗量(半径方向の減少量)を測定した。なお、ころ軸受10に用いた円筒ころ13は73個であり、円筒ころ1個あたりの回転数はケーシング回転数の24倍である。
図5は、上述した円筒ころのケーシング回転数あたりのころ磨耗量(mm)の推移を示している。
ここで、図5において、プロットがある線S1は試験結果を示し、プロットのない線S2は「アブレッシブ磨耗時のしきい値(mm)」を示している。この「アブレッシブ磨耗時のしきい値」とは、体積で表した磨耗量をすべり距離と荷重で除した比磨耗量10−5〜10−7mm2/N(機械工学便覧より)である。なお、本試験例においては、図4に示すケーシング71の回転数からすべり距離(円筒ころ13の接面部の移動距離)を算出し、また上部リング基板11にかかる荷重からころ1個あたりの荷重を算出し、アブレッシブ磨耗時の磨耗量を体積として求め、さらにその体積をころの接面部の面積で除して、アブレッシブ磨耗時の求めた下限値(mm)を「アブレッシブ磨耗時のしきい値(mm)」としている。
図5の線S1において、例えばケーシング回転数で750回転後には2.2mm、2310回転後には5.3mmの磨耗が発生していることが確認できる。例えば、図4に示す立坑掘削機7で60mの掘削を行うと、ケーシング71は略2万回転が必要であり、前記試験結果による計算では磨耗量が46mmとなることから、60mに達する前に掘削が不能となることが推定できる。このときの磨耗の原因は、隣り合う円筒ころ13、13どうしの間隔が保たれていないので、それら円筒ころ13、13どうしが互いに逆回転した状態で接触することによるものである。
したがって、上述した実施の形態のように間隔保持板を設けることで、隣り合う円筒ころどうしの接触がなくなり、円筒ころの磨耗量の推移を図5に示す線S2の「アブレッシブ磨耗時のしきい値」に近づけることができるものといえる。
以上、本発明による転動体を用いた支持機構の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、実施の形態では実施の形態では転動体として円錐状ころ4を採用しているが、円錐状であることに限定されることはなく、円筒状、球状のころを転動体として採用することも可能である。要は、これらの形状のころ(転動体)がその中心軸を中心に回転自在な状態で間隔保持部材によって支持されていればよいのである。
また、実施の形態では回転運動用のころ受軸1を支持機構としているが、回転運動用であることに制限されることはなく、第1支持基板と第2支持基板とを相対的にスライド自在に作用させる直線運動用の支持機構を対象とすることも可能である。この場合、例えば円筒状のころを使用し、第1支持基板および第2支持基板は直線状に延びる形状のものにより構成することができる。
さらに、下側リング基板2、上側リング基板3、円錐状ころ4、間隔保持板5などの形状、傾斜角度、外径寸法等はとくに制限されることはなく、ころ軸受1(支持機構)の大きさ、負荷の大きさ、使用環境等の条件に応じて任意に設定することができる。例えば、上述した実施の形態では帯状(湾曲板状)の間隔保持板(間隔保持部材)を用いているが、棒状(線状)の部材を採用してもよい。そして、円錐状ころ4の配置数量や間隔保持板5の分割数等も任意に設定することができる。
なお、図2に示すように、円錐状ころ4の小径部分の直径D1と大径部分の直径D2とは、中心軸線O1から小径部分までの距離(半径)r1と中心軸線O1から大径部分までの距離(半径)r2との関係において、r1/r2=D1/D2となるように設定し、円錐状ころ4のテーパ面4aに当接するように下側リング基板2と上側リング基板3に傾斜をつければ、円錐状ころ4が各基板2、3に対して滑ることがない。この場合、間隔保持板を用いて隣り合う円錐状ころ4の大径部分および小径部分が当接しないようにすることはいうまでもない。
1 ころ軸受(支持機構)
2 下側リング基板(第1支持基板)
2c テーパ面
3 上側リング基板(第2支持基板)
3c テーパ面
4 円錐状ころ(転動体)
4a ころテーパ面(傾斜面)
5 間隔保持板(間隔保持部材)
5a 係止穴
41 軸部(回転軸)

Claims (2)

  1. 第1支持基板と、該第1支持基板に所定間隔をもって対向する第2支持基板と、前記第1支持基板と第2支持基板との間でそれら双方に接触する複数の転動体とを備え、前記第1支持基板と第2支持基板とが相対的にスライド自在又は回転自在となる構成とされる転動体を用いた支持機構であって、
    前記転動体の回転軸を回転自在に支持する間隔保持部材が設けられ、該間隔保持部材によって隣り合う前記転動体どうしが一定の間隔を保持した状態で連結されていることを特徴とする転動体を用いた支持機構。
  2. 前記第1支持基板および第2支持基板がリング状をなすとともに、前記転動体が前記第1支持基板および第2支持基板の外周側から内周側に向かうにしたがって縮径する円錐台形状に形成され、
    前記第1支持基板および第2支持基板には、それぞれ前記転動体の傾斜面に対応したテーパ面が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の転動体を用いた支持機構。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN114810815A (zh) * 2022-05-11 2022-07-29 邓亮国 适用于重载低速工况下的改进型轴承

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