JP2011000631A - レーザー加工方法およびレーザー加工装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】テラヘルツ領域と可視光領域の両領域の光を透過する被加工物の表面および内部に短時間かつ高効率で微細加工を行うことのできるレーザー加工方法とレーザー加工装置とを提供することを目的とする。
【解決手段】レーザー光Lに対して多重焦点を形成し、レーザー光Lを透過する被加工物5に多重焦点を重ね合わせレーザー光Lを照射して、物性が改質された改質領域50を形成するレーザー光照射工程と、改質領域50を除去するエッチング工程と、を有することを特徴とするレーザー加工方法。
【選択図】図1
【解決手段】レーザー光Lに対して多重焦点を形成し、レーザー光Lを透過する被加工物5に多重焦点を重ね合わせレーザー光Lを照射して、物性が改質された改質領域50を形成するレーザー光照射工程と、改質領域50を除去するエッチング工程と、を有することを特徴とするレーザー加工方法。
【選択図】図1
Description
本発明は、例えば水晶などの透明材料に孔や溝を形成するレーザー加工方法およびレーザー加工装置に関するものである。
近年、テラヘルツ(THz)領域の光(以下、テラヘルツ光)が注目を集めている。特に、0.1THz〜10THz領域(波長領域にして、約3μm〜3000μm)の光を用いる技術は急速に拡がり、医療用検査装置、非破壊検装置、テラヘルツパルス分光装置等に広く応用されている。
そのうちの1つとして、例えば、テラヘルツパルス分光装置は、テラヘルツパルス波(テラヘルツ光)をサンプルに入射させて、サンプルを透過もしくは反射した後のパルス波の波形を計測することで、サンプルの物理的、化学的性質を測定するものである。その測定対象は、気体、液体、固体に亘り、タンパク質や生体関連分子の測定も可能である。
従来、これらテラヘルツ光を用いた検査装置や分光装置において、試料を納める試料容器やテラヘルツ光の光路上に配置される光学部品の基材としてはシリコンが多く用いられている。しかし、シリコンは、テラヘルツ光に対しては吸収が少ないが可視光波長域での吸収が大きく、視覚的に透明ではないため、試料容器内の状態を目視で確認できず、使い勝手が悪いという問題があった。また、集光レンズ等の光学部品にシリコンを用いると、可視光レーザーを使って、レンズの姿勢や位置の調整をすることができないという問題があった。
このような問題に対処するものとして、試料容器やレンズなどの光学部品の基材として、テラヘルツ領域と可視光波長領域の両領域において吸収が少ない透明材料を用いることが提案されている。このような性質を有する透明材料として水晶が注目されており、水晶を加工する種々の技術が提案されている。
特許文献1には、被加工物の石英にレーザー光を照射して改質領域を形成した後、この改質領域をウェットエッチングで除去して、石英に穴あけ加工を行う方法が開示されている。この方法によれば、石英の所望部位に所望形状の穴あけ加工が効率よく行えることが記載されている。
非特許文献1には、上記特許文献1に記載された加工方法において、レーザー光の照射によって生じる改質領域の結晶構造がアモルファスであること、および、石英の光学軸であるZ軸に沿ったウェットエッチングの速度が他の軸に沿ったものよりも格段に大きいこと、が報告されている。そして、これらのことを利用して、石英に三次元的な異方性エッチングを行えることが併せて報告されている。
また、テラヘルツ光を利用する際の問題点として、基材の屈折率が大きいため、表裏面反射による照射波のエネルギー損失が挙げられる。例えば、シリコンの場合、基材の表裏面で約50%にも及ぶ損失が生じる。これを防止するために、基材表面に反射防止膜を配することが考えられている。特許文献2には、テラヘルツ光を利用した天体観測装置の測定窓材として、単結晶サファイア基板の上に、酸化ケイ素(SiOx)の厚膜を反射防止膜として積層したものの構成が開示されている。この構成によれば、熱赤外線を効率よく吸収し、反射ロスの少ない窓材が提供できることが記載されている。
Applied Physics A: Materials Science & Processing, 84, 99-102 (2006)
テラヘルツ領域で用いる光学部品用基材の反射防止膜に関しては、特許文献2に記載されたような酸化ケイ素(SiOx)の単層では、充分な反射防止機能が得られず、多層の積層膜では光学部品の特性に影響を及ぼしてしまうという問題がある。ここで使用されるテラヘルツ光は、30μm〜3000μmと長波長のため、多層の反射防止膜の場合には、その膜厚が数百μmになってしまうためである。例えば、回折格子に反射防止膜を形成する場合には、回折格子本体と反射防止膜の厚さが同等になり、回折格子表面の凹凸形状が変形してしまい、その特性が低下してしまうということである。
反射防止膜に代わる手段として、可視光領域においては、入射光の波長以下の微細な突起が2次元的に配列した周期構造(図11(a)参照)や、一方向に延在する凸条部が入射光の波長以下の周期で略ストライプ状に配列した周期構造(図11(b)参照)からなるサブ波長構造10が知られているが、テラヘルツ領域のような長波長領域で機能するものは未だ開発されておらず、その開発が望まれている。
ここで、レーザー光照射による加工対象の変質とウェットエッチングとを組み合わせた従来の加工方法で、石英基板上に複数の微細な孔を配列させる場合には、以下の方法による。
まず、石英基板の所定位置、すなわち、列の先頭となる第1の孔を形成すべき位置にレーザーが集光するように石英基板を配置し、レーザー光を照射して、この第1の孔の深さ方向に沿って複数箇所の改質領域を形成する。この際に、石英基板の厚さ方向に沿ったレーザー光照射点の移動が必要となるため、石英基板が載せられたステージとレーザー光照射機とを、基板の厚さ方向に相対移動させる。
次に、第1の孔に隣接した第2の孔の形成予定位置にレーザー光の焦点が集光するように、石英基板を載せたステージとレーザー光照射機とを、石英基板の平面方向に相対移動させる。そして第1の孔の場合と同様に、石英基板の厚さ方向に沿ってレーザー光照射点を移動させて、その都度、レーザー光を照射して、第2の孔の深さ方向に沿って複数箇所の改質領域を形成する。
このようなレーザー光照射と基板移動とを、形成すべき孔の配列個数分だけ行う。最後に、この石英基板をエッチング液に浸漬して、改質領域を除去すると同時に、各改質領域間を連通させて、孔を形成する。
このように、従来の加工方法では、一つの孔を形成するには、石英基板の厚さ方向に沿ったレーザー光照射点の移動が必要となり、石英基板が載せられたステージもしくはレーザー光照射機を、基板の厚さ方向に相対移動する必要があった。
また、複数の孔を配列して形成し、さらには複数個の孔を連通させて溝を形成する場合には、石英基板の平面方向に沿った移動も必要となるので、ステージもしくはレーザー光照射機の可動手段が非常に複雑になり、コスト高になるばかりでなく、加工時間が長くなる上、移動時の移動誤差に起因して加工精度も低下しやすいという問題があった。
特許文献1においては、このような問題を解決するために、石英基板の厚さ方向に沿ったステージの可動手段を省略する一方で、レーザー光を回折させて、光軸方向に沿って所定の強度分布をもったレーザービームを形成して改質領域を形成することが提案されている。
しかしながら、より微細な孔や溝が複数配列された構造体を低コストで提供する目的で、一回のレーザー光照射で、高いアスペクト比の孔となる変質領域が形成できる、高効率の加工方法が望まれていた。また、このような加工方法が確立されれば、テラヘルツ光を用いる装置における各種の光学部材を、良好に形成することが期待される。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、テラヘルツ領域と可視光波長領域の両領域の光を透過する被加工物の表面および内部に、短時間かつ高効率で微細加工を行うことができるレーザー加工方法およびレーザー加工装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のレーザー加工方法は、レーザー光に対して多重焦点を形成し、前記レーザー光を透過する被加工物に前記多重焦点を重ね合わせ前記レーザー光を照射して、物性が改質された改質領域を形成するレーザー光照射工程と、前記改質領域を除去するエッチング工程と、を有することを特徴とする。
この方法によれば、レーザー光に形成される多重焦点を被加工物に重ねて照射することにより、各焦点で被加工物の物性が改質される閾値を超えたエネルギーが与えられ、焦点毎に改質領域が形成される。よって、機械的稼動手段などを用いて被加工物の厚さ方向に被加工物またはレーザー光照射点を相対移動させることなく、一回のレーザー光のパルス照射で、複数の改質領域を同時に形成することができる。
また、一つの孔または溝を形成するために必要とするレーザー光のパルス照射回数も減少させることができる。特に、被加工物の両面に孔や溝を形成する場合には、レーザー光の照射は、被加工物の片側の面全体を一回走査するだけで済み、被加工物の裏表を交換する必要がなく、製造工程が非常に簡便化され、コスト高を抑えて効率よい加工ができる。
このようにして被加工物の厚さ方向に形成した複数の改質領域をエッチングによって除去することにより、改質領域であった部分に孔を形成することができる。この際、厚さ方向に隣接する改質領域同士が重なり合って1つの改質領域を形成していなくても、エッチングにより隣り合う改質領域が連通する。したがって、本発明の方法を用いると、被加工物の厚さ方向に長い孔を容易に形成することが可能となる。
本発明においては、前記レーザー光の光路上に配置される光学素子によって、前記多重焦点を形成することが望ましい。
光学素子を用いることにより、レーザー光の照射方向に沿って、多重焦点を容易かつ定常的に形成することができる。
光学素子を用いることにより、レーザー光の照射方向に沿って、多重焦点を容易かつ定常的に形成することができる。
本発明においては、前記光学素子は、屈折レンズまたは回折格子のいずれか一方であることが望ましい。
または、本発明においては、前記光学素子は、屈折レンズおよび回折格子を組み合わせた光学系であることとしても良い。
レンズおよび回折格子は汎用であるので、これらの少なくとも一方、または両方を組み合わせて用いることにより、所望の多重焦点を有するレーザー光を容易に成形することができる。また、従来のレーザー加工方法に若干の変更を加えるだけで、高効率で微細加工を行うことができるようになる。
または、本発明においては、前記光学素子は、屈折レンズおよび回折格子を組み合わせた光学系であることとしても良い。
レンズおよび回折格子は汎用であるので、これらの少なくとも一方、または両方を組み合わせて用いることにより、所望の多重焦点を有するレーザー光を容易に成形することができる。また、従来のレーザー加工方法に若干の変更を加えるだけで、高効率で微細加工を行うことができるようになる。
本発明においては、前記光学素子が有する収差を用いて、前記レーザー光の光軸方向に沿って所定の強度分布を形成することが望ましい。
このようにすると、レーザー光の各焦点においては、光軸方向に広がった強度分布を有するため、光軸方向に広い範囲に被加工物が変質するための閾値を超える強度のレーザー光を照射することができ、被加工物の厚さ方向に長い孔を容易に形成することが容易となる。特に、光学素子が屈折レンズおよび回折格子を組み合わせた光学系である場合、光学系を構成する各屈折レンズや回折格子がそれぞれ有する収差を重畳させることで、強度分布を広げやすく好適である。
このようにすると、レーザー光の各焦点においては、光軸方向に広がった強度分布を有するため、光軸方向に広い範囲に被加工物が変質するための閾値を超える強度のレーザー光を照射することができ、被加工物の厚さ方向に長い孔を容易に形成することが容易となる。特に、光学素子が屈折レンズおよび回折格子を組み合わせた光学系である場合、光学系を構成する各屈折レンズや回折格子がそれぞれ有する収差を重畳させることで、強度分布を広げやすく好適である。
本発明においては、前記被加工物は水晶であることが望ましい。
水晶は広い波長領域において吸収の少ない透明部材であるので、その内部にまでレーザー光が減衰することなく達する。よって、被加工物の厚さ(深さ)方向の所望領域の全域に亘ってレーザー光を所定の強度で照射することができ、所望の部位に微細な改質領域を形成できる。
水晶は広い波長領域において吸収の少ない透明部材であるので、その内部にまでレーザー光が減衰することなく達する。よって、被加工物の厚さ(深さ)方向の所望領域の全域に亘ってレーザー光を所定の強度で照射することができ、所望の部位に微細な改質領域を形成できる。
本発明においては、前記レーザー光の照射方向が、前記被加工物のエッチングレートが最も大きい方向に一致していることが望ましい。
被加工物の構造により、特有の方向に対してエッチングレートが高い方向がある。この方向と、レーザー光照射の方向とを一致させれば、改質領域をエッチングレートの高い方向に形成することができる。これにより、エッチング工程における改質領域の除去速度をより一層高くできる。また、このエッチングレートの高い方向に沿った異方性エッチングができる。
被加工物の構造により、特有の方向に対してエッチングレートが高い方向がある。この方向と、レーザー光照射の方向とを一致させれば、改質領域をエッチングレートの高い方向に形成することができる。これにより、エッチング工程における改質領域の除去速度をより一層高くできる。また、このエッチングレートの高い方向に沿った異方性エッチングができる。
本発明においては、前記レーザー光は、超短パルスレーザー光であることが望ましい。
超短パルスレーザーは、その照射部位において熱の効果が現れる前に、非常に大きなエネルギーを瞬時に与える特性があるので、照射部位に熱によるクラックなどの損傷を与えることが少ない。これにより、微細加工が可能な上に、加工歩留まりが向上する。また、被加工物の物性を改質するのに十分なエネルギーを有するので、被加工物の厚さ方向の所望領域の全域を短時間で改質可能であり、効率の良い加工を行うことができる。
超短パルスレーザーは、その照射部位において熱の効果が現れる前に、非常に大きなエネルギーを瞬時に与える特性があるので、照射部位に熱によるクラックなどの損傷を与えることが少ない。これにより、微細加工が可能な上に、加工歩留まりが向上する。また、被加工物の物性を改質するのに十分なエネルギーを有するので、被加工物の厚さ方向の所望領域の全域を短時間で改質可能であり、効率の良い加工を行うことができる。
また、本発明のレーザー加工装置は、レーザー光を、該レーザー光を透過する被加工物に照射し、物性が改質された改質領域を形成するレーザー加工装置であって、前記レーザー光を照射するレーザー光照射部と、前記レーザー光の光路上に配置され、前記レーザー光の光軸に沿って多重焦点を形成する光学素子と、を有することを特徴とする。
この構成によれば、被加工物またはレーザー光の照射点を移動させることなく、一回のレーザー光のパルス照射で被加工物の厚さ方向に沿って、改質領域を複数箇所、同時に形成することが可能なレーザー加工装置を提供することができる。
この構成によれば、被加工物またはレーザー光の照射点を移動させることなく、一回のレーザー光のパルス照射で被加工物の厚さ方向に沿って、改質領域を複数箇所、同時に形成することが可能なレーザー加工装置を提供することができる。
本発明においては、前記光学素子は、屈折レンズまたは回折格子の少なくとも一方であることが望ましい。
または、本発明においては、前記光学素子は、屈折レンズおよび回折格子を組み合わせた光学系であることとしても良い。
レンズおよび回折格子は汎用であるので、これらの少なくとも一方、または両方を組み合わせて用いることにより、所望の多重焦点を有するレーザー光を容易に成形することができる。
または、本発明においては、前記光学素子は、屈折レンズおよび回折格子を組み合わせた光学系であることとしても良い。
レンズおよび回折格子は汎用であるので、これらの少なくとも一方、または両方を組み合わせて用いることにより、所望の多重焦点を有するレーザー光を容易に成形することができる。
本発明においては、前記光学素子は、前記レーザー光の光軸方向に沿って所定の強度分布を形成する収差を有することが望ましい。
この構成によれば、レーザー光の照射方向に沿って所望の強度分布を有するレーザー光を容易に成形することができる。そのため、レーザー光の各焦点においては、光軸方向に広がった強度分布を有することとなることから、光軸方向に広い範囲に被加工物が変質するための閾値を超える強度のレーザー光を照射することができ、被加工物の厚さ方向に長い孔を容易に形成することを容易とするレーザー加工装置を提供することができる。
この構成によれば、レーザー光の照射方向に沿って所望の強度分布を有するレーザー光を容易に成形することができる。そのため、レーザー光の各焦点においては、光軸方向に広がった強度分布を有することとなることから、光軸方向に広い範囲に被加工物が変質するための閾値を超える強度のレーザー光を照射することができ、被加工物の厚さ方向に長い孔を容易に形成することを容易とするレーザー加工装置を提供することができる。
本発明について、以下に図面を用いて説明する。なお、以下の各図面では、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や部材毎に縮尺を適宜変更している。
<レーザー加工装置>
図1は、本発明に係るレーザー加工装置1の第1実施形態の要部を示したものである。このレーザー加工装置1は、レーザー発振器1Aから発振されたレーザー光Lを、偏光制御手段2、収差発生手段3、集光手段(光学素子)4を介して、被加工物5の所定の被加工部位に照射するものとして用いられる。
図1は、本発明に係るレーザー加工装置1の第1実施形態の要部を示したものである。このレーザー加工装置1は、レーザー発振器1Aから発振されたレーザー光Lを、偏光制御手段2、収差発生手段3、集光手段(光学素子)4を介して、被加工物5の所定の被加工部位に照射するものとして用いられる。
レーザー発振器1Aは特に限定されないが、照射されるレーザー光Lのパルス幅が、100ps(=10−10s)〜10fs(=10−14s)の超短パルスレーザーであるものが好適である。
このような超短パルスレーザーを加工に用いると、被加工物5の照射部位50Xに瞬時に非常に大きなエネルギーを与えることができる。すると、被加工物の種類に依存するが、照射部位50Xが熱膨張する前に、照射部位50Xの結晶構造の変化や化学結合の開裂などを伴う物性的な改質を行うことができる。したがって、所望領域に短時間で改質領域50を形成できるので、照射部位50Xの周縁に熱膨張によるクラックなどの損傷を生じることが少ない。
また、被加工物5の物性を改質するのに十分なエネルギーを有するので、被加工物5の厚さ方向の所望領域の全域を短時間で改質可能であり、短時間で効率の良い加工を行うことができる。例えば、中心波長800nmの超短パルス光源から出射されたパルス幅100fsの直線偏光パルス光を利用できる。
偏光制御手段2は、直線偏光で出射されたレーザー光Lを円偏光に変換する機能を有している。レーザー光Lが円偏光となることで、レーザー光Lの光軸Xに垂直な方向における偏光分布を均一なものとし、収差発生手段3や集光手段4における反射や屈折の影響を光軸Xに垂直な方向で均一なものとしている。そのため、レーザー光Lの出戻りを防止する一方で、その出力を調整することが可能となる。偏光制御手段2としては、例えば1/2波長板を例示することができる。
収差発生手段3は、偏光制御手段2を透過したレーザー光Lに対し、光軸X方向の収差を発生させる機能を有している。レーザー光Lが光軸X方向の収差を有することで、レーザー光Lは、光軸Xに沿って幅広いエネルギー強度分布を持つこととなる。収差発生手段3では、軸上収差と軸外収差とが発生するが、このうち本発明では軸上収差を利用している。収差発生手段3としては、例えばレーザー光Lを透過する平行平板を用いることができる。
集光手段4は、レーザー光Lを被加工物5の所定部位に集光する機能を有している。本実施形態のレーザー加工装置1では、集光手段4を透過する光が2以上の焦点P1,P2に結像する光学素子あるいは光学系を用いる。
図2は、本実施形態で用いる多重焦点を実現する集光手段4の例を示す模式図である。本実施形態の集光手段4では、レーザー光Lに対して2つの焦点P1,P2を形成することとしている。図に示すように、集光手段4としては、屈折レンズ41と回折格子42とを組み合わせた光学系を用いることができる。
屈折レンズ41としては、集光機能を有する通常の凸レンズを用いることができる。集光機能を有するならば、複数のレンズを組み合わせた光学系を用いることも可能である。
通常、屈折レンズ41においては球面収差が発生するので、収差発生手段3によって与えられた収差を強調するように作用する場合にはこれを利用してもよい。ただし、既に収差発生手段3で発生している収差を補正しないように、レンズ構成を調整する必要がある。
なお、屈折レンズ41が有する収差としては、球面収差の他にもザイデルの5収差として知られる他の4種の収差が考えられるが、これら球面収差以外の収差については、光軸Xに対して非対称であり、レーザー光Lの強度分布の成形には有効ではないので、考慮する必要性がない。
回折格子42は、レーザー発振器から出射された光を回折させることで、その照射方向に沿って多重の焦点を形成できるものであれば、特に限定されるものではない。
例えば、図3に示したような回折格子などを用いることができる。図3(a)では、例として二重焦点を形成できる回折レンズとしての機能を有する回折格子42の概略断面図を示す。図に示すように、回折格子42は断面が鋸歯状の溝を有するブレーズ回折格子である。
図3(b)、(c)に、この回折格子42の回折光強度分布を示した。図3(b)は、0次回折光(回折なし)と1次回折光の光軸X上での強度分布を示したものである。横軸は、回折格子42の溝部の深さを示し、縦軸は回折光強度を示す。横軸に示す深さについては、該当する深さを図3(a)にて図示している。
図3(b)において、0次回折光と1次回折光との強度が等しくなる位置Zが判明する。位置Zにおける各次の回折光の強度を図3(c)を示したが、このグラフより、他の次数の回折光の強度は非常に低く、無視し得ることが判明した。よって、レーザー光Lの光軸X上の位置Zにおいて、被加工物5の物性を変質可能なエネルギー強度を有するように設定できる。
改質領域50の深さは、レーザー光Lのエネルギーの大きさと、回折格子42の厚さと、屈折レンズ41の開口数NAとに左右される。例えば、パルスエネルギーが100mJ、収差発生手段3の厚さが3mm、屈折レンズ41のNAが0.8の場合には、改質領域50の幅は5μm未満で、その深さは200μm以上となる。
このような構成の集光手段4を用いると、屈折レンズ41で集光されたレーザー光Lは、回折格子42で0次回折光と1次回折光とに分岐され、2つの集光点において、ほぼ等しくエネルギーが分配されて集光する。
すなわち、0次回折光は、屈折レンズ41の集光作用のみ影響を受け、回折格子42からf1の距離をもって集光される。対して1次回折波は、屈折レンズ41の集光作用に加えて回折格子42による回折(集光)の作用を重ねて受け、回折格子42からf2の距離をもって集光される。このようにして、回折格子42と屈折レンズ41とを、組み合わせて用いることにより、レーザー光Lの光軸X上で二重焦点を実現できる。
また、レーザー光Lには、不図示の収差発生手段により収差が付与されているため、レーザー光Lに各焦点P1,P2においては、光軸X方向に広がった強度分布を有するため、光軸X方向に広い範囲に、被加工物が変質するための閾値を超える強度のレーザー光Lを照射することができる。
図4,5は、多重焦点を実現する集光手段4の別の例を示す模式図である。図に示すように集光手段4としては、回折格子43のみからなるものを用いても良い。
図5は回折格子43の平面図である。この回折格子43は、石英などの透明材料からなり、回折レンズとしての機能を構成する凹凸形状が、表面に周期的に形成されている。また、回折格子43の中心部の領域Aと外縁部の領域Bとでは、凹凸形状および周期が異なっており、回折レンズとしての焦点位置を異ならせている。このような回折格子43は、通常知られている回折レンズの設計を領域A,Bごとにそれぞれ行うことで形成可能である。
このような回折格子43に、レーザー発振器から出射されたレーザー光Lを透過させ回折させることで、その光軸X方向に沿って二重の焦点を形成できる。また、レーザー光Lには、不図示の収差発生手段により収差が付与されているため、レーザー光Lに各焦点P1,P2においては、光軸X方向に広がった強度分布を有するため、光軸X方向に広い範囲に被加工物が変質するための閾値を超える強度のレーザー光Lを照射することができる。
被加工物5は、所定の被加工部位に孔や溝が形成されるべきものであって、レーザー光Lを透過する材料からなり、例えば水晶などである。被加工物5の形状は特に限定されるものではないが、例えば反射防止膜としてのサブ波長構造を形成する場合には、厚さ0.6mm程度の平板とする。
水晶は広い波長領域において吸収の少ない透明部材であるので、その内部にまでレーザー光Lが減衰することなく達して、所望の部位に微細な改質領域を短時間で形成することができる。特に、Zカット水晶板が好適である。Zカット水晶板とは、水晶の直交する3つの結晶軸、すなわち電気軸、機械軸、光学軸をそれぞれX軸、Y軸、Z軸で表したとき、Z軸に垂直な面で切断したものを指す。換言すれば、Z軸がその厚さ方向に一致する水晶板である。
周知のように、水晶には結晶異方性があり、Z軸方向のウェットエッチングレートは、他の2つの軸のそれに比較して非常に大きく、2桁の差がある。よって、レーザー光Lの照射方向をZ軸と一致させれば、Z軸に沿って改質領域が形成され、後述するエッチング工程における改質領域の除去を効率よく行えるばかりでなく、Z軸に沿った異方性エッチングを行うことができる。
被加工物5は、ステージ(図示せず)上に載置、固定されて加工される。このステージは、被加工物5の平面に沿った方向、すなわちレーザー光Lの照射方向に対して鉛直方向に自在に移動可能となっており、図1中に、走査方向として矢線で示した。そして、被加工物5の被加工部位が、レーザー光Lの集光点となるような位置に固定される。例えば、集光点を、被加工物5の照射側表面から100μm内側の位置に設定する。ステージは、被加工物5の厚さ方向、すなわちレーザー光Lの光軸方向に沿って移動可能であることとしても構わない。
以上のようなレーザー加工装置1にあっては、レーザー発振器1Aから発振されたレーザー光Lは、偏光制御手段2によって、その偏光と出力とが制御された後、収差発生手段3に入射される。このレーザー光Lは、位相の揃った多くの波長を重畳したものであり波長幅を有するので、収差発生手段3を通過する際に収差が付与される。
収差が付与されたレーザー光Lは、多重焦点を有する集光手段4を介して、被加工物5の複数箇所に集光される。各焦点P1,P2は、レーザー光Lに付与された収差に起因して、レーザー光Lの光軸X上で引き伸ばされた状態となる。これにより、被加工物5の物性が変化するエネルギーの閾値を超えた照射領域が被加工部位において拡大されることとなる。したがって、一回のレーザー光Lのパルス照射で、被加工物5の厚さ方向に複数の改質領域50を同時に形成することができる。
なお、レーザー加工装置の光源としては、図7に示したように、パルスビームアレイ100を用いることもできる。図7(b)に示したようなパターンを有するビームアレイ100を被加工物5に照射すれば、図7(a)に示すように被加工物5の複数箇所に動じにレーザー光Lを照射することが可能となり、被加工物5の表面直下に多数の改質領域50を同時に形成できる。改質に十分なエネルギー強度を得る目的で、被加工物5の同じ部位に複数回数、パルスビームを照射してもよい。
また、本実施形態のレーザー加工装置1においては、集光手段4は屈折レンズ41と回折格子42を組み合わせたものと、回折格子43のみを用いるものと、を示したが、これに限らない。集光手段4としては、2つの回折格子を光軸X上に2つ配置したものを用いて、多重焦点を実現することもできる。また、屈折レンズのみ用いて実現することもできる。
<レーザー加工方法>
次に、図7を用いて本発明のレーザー加工方法について説明する。本発明のレーザー加工方法は、被加工物5にレーザー光Lを照射し、これにより物性が改質された改質領域50を形成するレーザー光照射工程と、被加工物5の表面および改質領域50を除去するエッチング工程とを有するものである。
次に、図7を用いて本発明のレーザー加工方法について説明する。本発明のレーザー加工方法は、被加工物5にレーザー光Lを照射し、これにより物性が改質された改質領域50を形成するレーザー光照射工程と、被加工物5の表面および改質領域50を除去するエッチング工程とを有するものである。
まず、図7(a)に示すように、上述の本実施形態のレーザー加工装置1を用いて被加工物5にレーザー光Lをパルス照射し、改質領域50を形成する。この際、レーザー加工装置1を被加工物5の面方向に相対的に走査させながら所望領域に照射することで、被加工物5の面方向に沿って複数の改質領域50を順次形成することができる。
ここで、改質領域50の形成周期(隣り合う改質領域50間の間隔)Pは、vをレーザー加工装置1と被加工物5との相対移動速度、fをレーザー光Lのパルス照射の繰り返しレートとすると、次式1で示すことができる。
図8は、レーザー光照射工程の様子を示す模式図である。図8(a)は、従来の単焦点の集光手段を用いた場合の改質の様子を表し、図8(b)(c)は、本実施形態のレーザー加工装置1を用いることにより、二重焦点とした場合の改質の様子を示している。また各図には、被加工物5の断面図に対応して、照射するレーザー光Lの強度分布を模式的なグラフで示した。このグラフにおいて、縦軸は被加工物5のレーザー光照射面からの距離(深さ)であって、横軸はレーザー光Lの強度である。
従来、被加工物5の内部に複数の改質領域50を形成するには、図8(a)に示したように、被加工物5の一方の面側(表面)からレーザー光Lを照射して、改質領域50を順次形成した後、被加工物5を裏返して、もう一方の面(裏面)側から、レーザー光Lを照射して、改質領域50を形成していた。
しかし、本実施形態のレーザー加工装置1を用いれば、集光手段4を介することによりレーザー光Lの照射方向に沿って2つの焦点があるので、図8(b)、(c)に示したように、一回のレーザー光Lの照射で2箇所の改質領域50a、50bを同時に形成することができる。被加工物5が板状である場合には、被加工物5の表裏面に同時に改質領域50を形成することができ、加工効率を格段に向上させることができる。
特に、被加工物5の表裏両面に改質を施す場合には、レーザー光Lの照射が、被加工物5の片側の面全体を一回走査するだけで済み、被加工物5の裏表を交換する必要がなく、製造工程が非常に簡便化され、コスト高を抑えて効率よい加工ができる。
図8(b)に示すような強度分布をもつレーザー光Lを照射すると、同時に2つの矩形状の改質領域50a、50bを、被加工物5の厚さ方向に沿って並べて形成することができる。
また、図8(c)に示したように、被加工物5の表面側が最大で、中心側へ向かって強度が減少するような強度分布をもつレーザー光Lを用いると、被加工物5の表面側へ向かって、テーパーのついた改質領域50c、50dが形成されることとなる。
このように、レーザー光照射工程においては、レーザー光Lの光軸方向に沿った強度分布を変化させることで、自在に改質領域50の形状を設計することができる。
次に、図7(b)に示すように、改質領域50を例えば溶剤エッチングなどのエッチング工程で除去する。エッチング液Eとしては、濃度が10%以下のフッ化水素水溶液等を使用する。改質領域50は高エネルギーのレーザー光照射によって、例えば結晶構造がアモルファスになるなど、その物性が変化して侵食を受けやすくなっている。そのため、内部に改質領域50が形成された被加工物5をエッチング液Eに浸漬すると、改質領域50が除去されて微細な孔Hが形成される。
ここで、2つの焦点P1,P2に対応するそれぞれの改質領域50が、レーザー光Lの光軸方向に並んで2つ形成されていたとしても、エッチング工程で改質領域50の間を連通させることができるので、微細な孔Hを形成することが可能である。
また、改質領域50が複数個、面方向に近接して配列されていれば、エッチング工程で各改質領域50を除去するとともに、改質領域50の間を連通させることができるので、微細な溝を形成することも可能である。
このような加工に用いる被加工物5が、エッチングレートに異方性を有している場合には、レーザー光Lの照射方向と、エッチングレートが最も大きい方向とが一致するようにして被加工物5を改質し、エッチングすることが望ましい。このようにすることで、被加工物5が元来有しているエッチングレートの異方性と、レーザー光による改質領域50の形成方向(延在方向)とが一致し、エッチングによる改質領域50の除去を効率良く進行させることができる。
このような性質を具備した被加工物5の形成材料としては、例えば水晶やシリコン単結晶を例示することができる。例えば、被加工物5としてZカット水晶板を用いると、Z軸方向に沿ったエッチングレートが非常に高いので、このエッチング工程を非常に短時間で効率よく進行させることができる。Z軸方向に沿った異方性エッチングが容易に行うことができ、微細な孔や溝が形成された水晶構造体を得ることができる。
以上のようなレーザー加工方法によれば、被加工物の表面および内部に様々な微細構造を形成することができる。そして、被加工物の厚さ方向のレーザー光の強度分布を適当に広げ、かつ多重焦点とすることにより、一回のレーザーパルス照射で、基板の厚さ方向に沿って深度の大きな変質領域を形成することができるので、アスペクト比が高い孔や溝を形成することができる。これに加えて、繰り返しの高いパルスレーザーを発振器として用いると、基板の走査速度が上がり、加工のスループットが大きく向上する。特に基板の表裏面を同時に加工すれば、加工スループットはさらに向上する。
被加工物として、水晶基板を用いれば、その表面および内部に微細な構造部を形成することができる。この微細な構造部の凹凸の配列やその平面形状を適宜選択することにより、テラヘルツ領域の電磁波をその使用目的や使用環境に応じて制御することができるようになる。例えば、反射防止機能により、水晶基材の表面におけるテラヘルツ光の反射損失を低減することで、分光装置のSN比低下の原因となる反射迷光を充分に抑えることができる。その結果、信頼性の高い分光分析が可能な光学部品が提供できる。このような光学部品としては、例えば、グレーティング、フォトニック結晶、レンズ、波長板等がある。
また、本発明の加工方法によって加工された水晶部材および水晶光学部品は、分光分析装置の他にも、テラヘルツ光を応用したさまざまなセンシング装置に広く利用することができる。
(実施例1)
図9は、上記実施形態1のレーザー加工装置を用いて、水晶基板の内部に、50μmの周期の配列状態で形成した改質領域の光学顕微鏡写真であって、図9(a)は発生させた収差が小さい場合の写真であり、図9(b)は収差が大きい場合の写真である。
図9は、上記実施形態1のレーザー加工装置を用いて、水晶基板の内部に、50μmの周期の配列状態で形成した改質領域の光学顕微鏡写真であって、図9(a)は発生させた収差が小さい場合の写真であり、図9(b)は収差が大きい場合の写真である。
図9(a)、(b)の比較によって、レーザー光に収差を大きく発生させることで、変質領域の形成領域を水晶基板の厚さ方向に拡大可能なことが確認できた。このように、収差量を制御することによって、レーザー光Lの強度分布をその光軸に沿って変化させ、所望の大きさ(深さ)を有する変質領域を形成できることが確認できる。
(実施例2)
上記実施例1で形成したような孔を、適当な周期で縦横に並べて形成することにより、テラヘルツ領域で反射防止機能を有するサブ波長構造を実現することができる。このようなサブ波長構造を形成するには、以下の各式を満足するように、水晶基板に孔を形成すればよい。
上記実施例1で形成したような孔を、適当な周期で縦横に並べて形成することにより、テラヘルツ領域で反射防止機能を有するサブ波長構造を実現することができる。このようなサブ波長構造を形成するには、以下の各式を満足するように、水晶基板に孔を形成すればよい。
まず、dを各孔間の距離(周期)、hを孔の長さ(深さ)、λをテラヘルツ光の波長、nを波長λに対する水晶の屈折率とすると、テラヘルツ光に対する反射防止機能は、式2,3を満たすようにすることで実現できる。ここで、対象とするテラヘルツ光は、水晶基板に対してほぼ垂直に入射するものとする。
これらのことから、例えば、100μm〜200μmの波長の光を含むテラヘルツ光に対する反射防止構造を、水晶基板に対して形成するためには、水晶の屈折率を約2.1として概算すると、上記式2より、孔間の距離(周期)を47μmよりも小さいものとし、式3より、孔の長さを200μmとすれば良いことが分かる。孔間の距離の下限値は加工精度や製造効率などとの兼ね合いにより設計することができ、孔の長さの上限値は、加工に用いる水晶基板の厚さの範囲内において設計することができる。例えば、孔間の距離を47μmとし、孔の長さを250μmとすれば良い。
図10は、本発明のレーザー加工方法により、Zカット水晶板の表面に複数の孔を形成した様子を示す説明図である。図10(a)は孔が形成されたZカット水晶板の表面側の写真であり、(b)は形成された孔の断面写真、(c)は孔の断面の拡大写真である。
この孔は、幅(径)が5μm、長さ(深さ)が約250μmであり、その配列周期は47μmであって、その形状は、孔の底部に向かって徐々に径が小さくなる概略針形状であることが確認できる。
以上の実施例により、本発明のレーザー加工方法が有用であることを確かめることができた。
1…レーザー加工装置、3…収差発生手段、4…集光手段(光学素子)、41…屈折レンズ、42,43…回折格子、5…被加工物、50…改質領域、L…レーザー光、P1,P2…焦点、X…光軸
Claims (12)
- レーザー光に対して多重焦点を形成し、前記レーザー光を透過する被加工物に前記多重焦点を重ね合わせ前記レーザー光を照射して、物性が改質された改質領域を形成するレーザー光照射工程と、
前記改質領域を除去するエッチング工程と、を有することを特徴とするレーザー加工方法。 - 前記レーザー光の光路上に配置される光学素子によって、前記多重焦点を形成することを特徴とする請求項1記載のレーザー加工方法。
- 前記光学素子は、屈折レンズまたは回折格子のいずれか一方であることを特徴とする請求項3に記載のレーザー加工方法。
- 前記光学素子は、屈折レンズおよび回折格子を組み合わせた光学系であることを特徴とする請求項3に記載のレーザー加工方法。
- 前記光学素子が有する収差を用いて、前記レーザー光の光軸方向に沿って所定の強度分布を形成することを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載のレーザー加工方法。
- 前記被加工物は水晶であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のレーザー加工方法。
- 前記レーザー光の照射方向が、前記被加工物のエッチングレートが最も大きい方向に一致していることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のレーザー加工方法。
- 前記レーザー光は、超短パルスレーザー光であることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のレーザー加工方法。
- レーザー光を、該レーザー光を透過する被加工物に照射し、物性が改質された改質領域を形成するレーザー加工装置であって、
前記レーザー光を照射するレーザー光照射部と、
前記レーザー光の光路上に配置され、前記レーザー光の光軸に沿って多重焦点を形成する光学素子と、を有することを特徴とするレーザー加工装置。 - 前記光学素子は、屈折レンズまたは回折格子の少なくとも一方であることを特徴とする請求項9記載のレーザー加工装置。
- 前記光学素子は、屈折レンズおよび回折格子を組み合わせた光学系であることを特徴とする請求項9に記載のレーザー加工装置。
- 前記光学素子は、前記レーザー光の光軸方向に沿って所定の強度分布を形成する収差を有することを特徴とする請求項10または11に記載のレーザー加工装置。
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