障害/疾患
本発明は、IL-9のインヒビターを投与することによる障害、例えば、線維性および炎症性障害の治療を包含する。線維症または線維性症状は、一般に、修復または反応過程として被験者の器官または組織で過剰線維結合組織を形成し、その結果として発生する症状と記載することができる。IL-9のインヒビターを用いていずれかのかかる症状を治療することができる。IL-9のインヒビターにより治療しうる線維性症状は、内部器官(例えば、肝臓、肺、腎臓、心血管、消化管)に作用して、肺線維症、骨髄線維症、肝硬変、メサンギウム増殖性糸球体腎炎、半月体形成性糸球体腎炎、糖尿病腎障害、腎間質線維症、シクロスポリン受給患者の腎線維症、ならびにHIV関連腎障害などの障害を起こしうる疾患/障害であってもよい。皮膚線維化障害としては、限定されるものでないが、強皮症、限局性強皮症、ケロイド、肥大性瘢痕、家族性皮膚コラーゲン腫、およびコラーゲン型の結合組織母斑が挙げられる。眼の線維性症状としては、糖尿病網膜症、手術後(例えば、緑内障濾過手術および斜視手術後)の瘢痕、および増殖性硝子体網膜症などの症状が挙げられる。さらなる線維性症状としては、慢性関節リウマチ、長期間の関節疼痛および悪化した関節に関わる疾患、;進行性全身硬化症、多発性筋炎、皮膚筋炎、好酸性筋膜炎および、限局性強皮症、レイノー現象、および鼻ポリープ症が挙げられる。
炎症性障害としては、限定されるものではないが、喘息、アレルギー性疾患、2型媒介性炎症により特徴づけられる炎症性疾患、肺線維症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、脳炎、炎症性腸疾患(例えば、潰瘍性大腸炎、クローン病、およびセリアック病)、敗血性ショック、未分化脊椎関節症、未分化関節症、関節炎、炎症性骨溶解、および慢性ウイルスまたはバクテリア感染症から生じる慢性炎症が挙げられる。
炎症性障害は、2型媒介性炎症として特徴づけることができる。2型媒介性炎症は好酸球性および好塩基性組織浸潤および/または広範囲の肥満細胞脱顆粒により特徴づけられ、表面結合したIgEの交差結合に因るプロセスである。
疾患/障害の治療
疾患/障害の治療は、疾患または障害(例えば、線維性または炎症性疾患または障害)の進行、重症度、および/または期間の軽減または改善あるいは1以上のそれらの症候群の改善を意味する。治療は器官もしくは組織の腫脹の軽減、または胃腸もしくは呼吸器の症状に関係する疼痛の軽減をもたらしうる。治療はCOPDに関係する炎症の低下をもたらしうる。治療は、肥満細胞による炎症因子の放出の低下、またはかかる炎症因子の生体作用の低下をもたらしうる。治療は、体重取得、エネルギー増加、食欲増加、関節疼痛の減少、または潰瘍性大腸炎に関係する出血の減少をもたらしうる。
治療はまた、疾患もしくは障害(例えば、線維性もしくは炎症性疾患もしくは障害、または1以上のそれらの症候群)の発生もしくは発症の予防、またはかかる疾患もしくは障害の1以上の症候群の再発、発症、または発生の予防にも関係しうる。
被験者
被験者は、記載した線維性または炎症性疾患または障害のいずれかを有する患者であってもよい。被験者は動物、例えば、非霊長類(例えばウシ、ブタ、ウマ、ネコ、イヌ、ラット、およびマウス)または霊長類(例えばカニクイザルなどのサル、チンパンジー、およびヒト)を含む哺乳動物であってもよい。被験者は疾患もしくは障害(例えば、線維性または炎症性の疾患または障害)またはかかる疾患もしくは障害の1以上の症候群を有する哺乳動物、例えば、ヒトであってもよい。
被験者は疾患もしくは障害(例えば、線維性または炎症性の疾患または障害)またはかかる疾患もしくは障害の1以上の症候群を有する農場動物(例えばウマ、ブタ、またはウシ)またはペット(例えばイヌまたはネコ)であってもよい。被験者は疾患または障害(例えば、線維性または炎症性の疾患または障害、あるいはかかる疾患または障害の1以上の症候群)を発生するリスクのある哺乳動物(例えば免疫無防備状態または免疫抑制された哺乳動物)、例えば、ヒトであってもよい。被験者は、免疫無防備状態のまたは免疫抑制された哺乳動物であってもよいしまたはなくてもよい。被験者は、リンパ球数が500細胞/mm3以上である哺乳動物、例えばヒトであってもよい。被験者はヒト乳児、ヒト早産児、ヒト小児、ヒト成人、または高齢のヒトであってもよい。被験者は炎症性腸疾患、例えば、潰瘍性大腸炎を患っていてもよく、またはCOPDを患っていてもよい。被験者にIL-9のインヒビターを疾患または障害に対する第1の療法として投与してもよい。被験者にIL-9のインヒビターを疾患または障害に対する第2のまたはその後の療法として投与してもよい。被験者はIL-9のインヒビター以外の1以上の療法に対して不応性であってもよい。被験者は疾患または障害に対して素因を有すると同定された被験者であってもよい。
IL-9のインヒビター
線維性または炎症性疾患または障害をIL-9のインヒビターの投与により治療する。IL-9のインヒビターはまた、IL-9のアンタゴニストと呼んでもよい。IL-9のインヒビターまたはアンタゴニストは、IL-9の機能、活性および/または発現をブロックし、阻害し、低減しまたは中和するいずれのタンパク質、ポリペプチド、ペプチド、ペプチドミメチック、糖タンパク質、抗体、抗体フラグメント、糖類、核酸、有機分子、無機分子、高分子、または低分子であってもよい。IL-9インヒビターは、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)などの対照と比較して、IL-9の機能、活性および/または発現を少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%だけ低減することができる。
IL-9を阻害する小分子としては、限定されるものでないが、ペプチド、ペプチドミメチック、アミノ酸、アミノ酸類似体、ポリヌクレオチド、ポリヌクレオチド類似体、ヌクレオチド、ヌクレオチド類似体、約10,000グラム/モル未満の分子量を有する有機または無機化合物(すなわち、ヘテロ有機化合物および有機金属化合物を含む)、約5,000グラム/モル未満の分子量を有する有機または無機化合物、約1,000グラム/モル未満の分子量を有する有機または無機化合物、約500グラム/モル未満の分子量を有する有機または無機化合物、ならびにかかる薬剤の塩、エステル、および他の製薬上許容される形態が挙げられる。
IL-9のインヒビターは単離された形態で、または組成物もしくは医薬組成物中の単離された形態で存在することができる。タンパク質薬剤または核酸分子以外に、単離された形態である有機または無機分子(それが低分子または高分子のどちらであっても)を含む組成物は、異なる有機または無機分子を実質的に含有しないであろう。例えば、単離された有機または無機分子は、第2の異なる有機または無機分子を60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または 99%含有しないであろう。単離された形態のタンパク質薬剤(例えば、ペプチド、ポリペプチド、融合タンパク質、または抗体)を含む組成物という場合、タンパク質薬剤はそれが由来する細胞または組織源からの細胞性物質または混入タンパク質を実質的に含有しないか、化学合成した場合には化学前駆物質または他の化学物質を実質的に含有しないことを意味する。細胞性物質を実質的に含有しないタンパク質薬剤は、異種タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、または抗体(「混入タンパク質」とも呼ばれる)の約30%、20%、10%、または5%未満(乾燥重量で)を有するタンパク質薬剤の調製物を含んでもよい。
IL-9に特異的な抗体
本発明に包含される方法により使用するIL-9インヒビターは、IL-9に特異的なもしくは免疫特異的な抗体、またはIL-9ポリペプチド(例えば、ヒトIL-9ポリペプチド)と特異的に結合する抗体であってもよい。IL-9に対する免疫特異的な抗体としては、モノクローナル抗体、多重特異性抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、ラクダ化抗体、キメラ抗体、1本鎖Fv(scFv)、1本鎖抗体、単一ドメイン抗体、Fabフラグメント、F(ab')フラグメント、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、および抗イディオタイプ(抗Id)抗体(例えば、本発明の抗体に対する抗Id抗体を含む)、細胞内発現抗体、および前記のいずれかのエピトープ結合断片が挙げられる。IL-9と免疫特異的に結合する抗体には、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子の免疫活性フラグメント、すなわち抗原結合部位を含む分子が含まれる。免疫グロブリン分子はいずれのタイプ(例えばIgG、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgY)、クラス(例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)またはサブクラスであってもよい。
IL-9と免疫特異的に結合する抗体は、活性化T細胞または肥満細胞などの免疫細胞により発現されるIL-9ポリペプチドと結合することができる。IL-9と免疫特異的に結合する抗体は、T細胞、B細胞、肥満細胞、好中球および/または好酸球の活性または機能をモジュレートすることができる。IL-9と免疫特異的に結合する抗体は、被験者の組織、関節または器官中への炎症性細胞の浸潤を阻害または低減することおよび/または上皮細胞過形成を阻害または低減することができる。
IL-9またはIL-9ポリペプチドは、IL-9の成熟および未熟形の類似体、誘導体または断片であってもよい(Van Snickら, 1989, J. Exp. Med. 169:363-68およびYangら, 1989, Blood 74:1880-84を参照)。IL-9ポリペプチドはいずれの種由来であってもよい。IL-9ポリペプチドのヌクレオチドおよび/またはアミノ酸配列は文献または公共データベースに見出すことができ、またそのヌクレオチドおよび/またはアミノ酸配列は当業者に公知のクローニングおよび/または配列決定法を用いて決定することができる。例えば、ヒトIL-9のヌクレオチド配列はGenBankデータベースに見出すことができる(例えば受託番号NM_000590を参照)。ヒトIL-9のアミノ酸配列はGenBankデータベース(例えば受託番号P15248、NP_000584およびAAC17735を参照)に、および米国仮出願第60/371,683号、名称"組換え抗インターロイキン9抗体(Recombinant Anti-Interleukin-9 Antibodies)"(2002年4月12日出願)に見出すことができる(第15頁のヒトIL-9のアミノ酸配列は具体的に本明細書に参照により組み込まれる)。
IL-9と免疫特異的に結合する抗体は、本明細書で記載したまたは当業者に公知のin vivoおよび/またはin vitroアッセイ(例えば、ELISAなどのイムノアッセイ)において、PBSまたは対照IgG抗体などの対照と比較して、IL-9ポリペプチドとIL-9受容体(IL-9R)またはそのサブユニットとの間の相互作用を、およそ25%、およそ30%、およそ35%、およそ45%、およそ50%、およそ55%、およそ60%、およそ65%、およそ70%、およそ75%、およそ80%、およそ85%、およそ90%、およそ95%、またはおよそ98%だけ阻害および/または低減することができる。
IL-9と免疫特異的に結合する抗体は、本明細書で記載したまたは当業者に公知のin vivoおよび/またはin vitroアッセイ(例えば、ヒトIL-9Rを発現するIL-9依存性マウスT細胞株などのIL-9依存性細胞株を用いる細胞増殖アッセイ)において、IL-9ポリペプチドとIL-9受容体(IL-9R)またはそのサブユニットとの間の相互作用を、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)などの対照または対照IgG抗体と比較して、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%だけ阻害および/または低減することができる。あるいは、本明細書で記載したまたは当業者に公知のin vivoおよび/またはin vitroアッセイ(例えば、ヒトIL-9Rを発現するIL-9依存性マウスT細胞株などのIL-9依存性細胞株を用いる細胞増殖アッセイ)において、IL-9と免疫特異的に結合する抗体は、IL-9ポリペプチドとIL-9Rまたはそのサブユニットとの間の相互作用を、PBSまたは対照IgG抗体などの対照と比較して、阻害しない。あるいは、本明細書で記載したまたは当業者に公知のin vivoおよび/またはin vitroアッセイ(例えば、ヒトIL-9Rを発現するIL-9依存性マウスT細胞株などのIL-9依存性細胞株を用いる細胞増殖アッセイ)において、IL-9と免疫特異的に結合する抗体は、IL-9ポリペプチドとIL-9Rまたはそのサブユニットとの間の相互作用を、PBSまたは対照IgG抗体などの対照と比較して、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満だけ阻害することができる。
IL-9と免疫特異的に結合する抗体は、かかる抗体を投与した被験者の血清中のIL-4、IL-5、IL-10、IL-13およびIL-23などのサイトカインの濃度の低下を、PBSまたは対照IgG抗体などの対照を投与した被験者の血清中のかかるサイトカインの濃度と比較して誘発することができる。あるいは、IL-9と免疫特異的に結合する抗体は、かかる抗体を投与した被験者の血清中のTNF-α、IL-4およびIL-13などの肥満細胞によって産生されるサイトカインの濃度の低下を、PBSまたは対照IgG抗体などの対照を投与した被験者の血清中のかかるサイトカインの濃度と比較して誘発することができる。IL-9と免疫特異的に結合する抗体は、かかる抗体を投与した被験者の血清中のIL-4、IL-5、IL-13およびIL-10などのTh2細胞によって産生されるサイトカインの濃度の低下を、PBSまたは対照IgG抗体などの対照を投与した被験者の血清中のかかるサイトカインの濃度と比較して誘発することができる。血清中のサイトカインの濃度は、当業者に公知のいずれかの手法、例えばELISAまたはウェスタンブロットアッセイで測定することができる。
IL-9と免疫特異的に結合する抗体は、本明細書で記載したまたは当業者に公知のin vivoおよび/またはin vitroアッセイ(例えばトリパンブルーアッセイまたは3H-チミジンアッセイ)において、PBSまたは対照IgG抗体などの対照と比較して、炎症性細胞(例えば、肥満細胞、T細胞、B細胞、マクロファージ、好中球、好塩基球および/または好酸球)の増殖を少なくとも25%、好ましくは少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%低減および/または阻害することができる。IL-9と免疫特異的に結合する抗体は、本明細書で記載したまたは当業者に公知のin vivoおよび/またはin vitroアッセイにおいて、PBSまたは対照IgG抗体などの対照と比較して、炎症性細胞の上気道および/または下気道および/または消化管への浸潤を少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%低減および/または阻害することができる。
IL-9と免疫特異的に結合する抗体は、本明細書で記載したまたは当業者に公知のin vivoおよび/またはin vitroアッセイにおいて、(a)炎症性細胞の上気道および/または下気道および/または消化管への浸潤を低減および/または阻害すること、および(b)炎症性細胞の増殖を低減および/または阻害することの両方を、PBSまたは対照IgG抗体などの対照と比較して、少なくとも25%、好ましくは少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%行うことができる。
IL-9と免疫特異的に結合する抗体は、本明細書で記載したまたは当業者に公知のin vivoおよび/またはin vitroアッセイにおいて、PBSまたは対照IgG抗体などの対照と比較して、肥満細胞の脱顆粒を少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%低減することができる。(肥満細胞脱顆粒アッセイの例については、例えば、WindmillerおよびBacker、2003, J. Biol. Chem. 278:11874-78を参照)。IL-9と免疫特異的に結合する抗体は、本明細書で記載したまたは当業者に公知のin vivoおよび/またはin vitroアッセイにおいて、PBSまたは対照IgG抗体などの対照と比較して、肥満細胞活性化を少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%阻害および/または低減することができる。IL-9と免疫特異的に結合する抗体は、記載されているかまたは当業者に公知のin vivoおよび/またはin vitroアッセイにおいて、PBSまたは対照IgG抗体などの対照と比較して、肥満細胞活性化および/または脱顆粒の生成物の発現および/または放出を少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%阻害および/または低減することができる。
IL-9と免疫特異的に結合する抗体は、本明細書で記載したまたは当業者に公知のin vivoおよび/またはin vitroアッセイにおいて、PBSまたは対照IgG抗体などの対照と比較して、肥満細胞プロテアーゼ、例えばキマーゼおよびトリプターゼの発現、活性、血清濃度および/または放出を少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%阻害および/または低減することができる。肥満細胞活性は10ng/mlのIL-9の存在下で一次肥満細胞または肥満細胞系をin vitroで培養することによって、測定することができる。プロテアーゼ(例えばキマーゼおよびトリプターゼ)およびロイコトリエンの基線レベルは、市販のELISAキットにより上清で測定する。プロテアーゼまたはロイコトリエンのレベルをモジュレートする抗体の能力は、IL-9反応性抗体または対照抗体を1μg/mlの濃度で直接細胞培養に加えることによって試験する。プロテアーゼおよびロイコトリエンのレベルは、24時間および36時間の時点で試験する。IL-9と免疫特異的に結合する抗体は、本明細書で記載したまたは当業者に公知のin vivoおよび/またはin vitroアッセイにおいて、PBSまたは対照IgG抗体などの対照と比較して、肥満細胞ロイコトリエン、例えばC4、D4およびE4の発現、活性、血清濃度および/または放出を少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%阻害および/または低減することができる。IL-9と免疫特異的に結合する抗体は、本明細書で記載したまたは当業者に公知のin vivoおよび/またはin vitroアッセイ(例えば、ELISAまたはウェスタンブロットアッセイ)において、PBSまたは対照IgG抗体などの対照と比較して、肥満細胞サイトカイン、例えばTNF-α、IL-4および
IL-13の発現、活性、血清濃度および/または放出を少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%阻害および/または低減することができる。
IL-9と免疫特異的に結合する抗体は、本明細書で記載したまたは当技術分野で公知のin vivoおよび/またはin vitroアッセイにおいて、PBSまたは対照IgG抗体などの対照と比較して、肥満細胞浸潤を少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%阻害および/または低減することができる。IL-9と免疫特異的に結合する抗体は、本明細書で記載したまたは当業者に公知のin vivoおよび/またはin vitroアッセイ(例えば、トリパンブルーアッセイ、FACSまたは3Hチミジンアッセイ)においてPBSまたは対照IgG抗体などの対照と比較して、肥満細胞増殖を少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%阻害および/または低減することができる。IL-9と免疫特異的に結合する抗体は、本明細書で記載したまたは当技術分野で公知のin vitroおよび/またはin vivoアッセイにおいて、PBSまたは対照IgG抗体などの対照と比較して、肥満細胞浸潤を少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%阻害および/または低減し、かつ本明細書で記載したまたは当業者に公知のin vivoおよび/またはin vitroアッセイ(例えばトリパンブルーアッセイ、FACSまたは3Hチミジンアッセイ)においてPBSまたは対照IgG抗体などの対照と比較して、肥満細胞増殖を少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%阻害および/または低減することができる。肥満細胞浸潤の低下は、動物をオボアルブミンに感作させることによってin vivoで測定することができる。概要を説明すると、アルミニウムアジュバントで複合化したオボアルブミンの100μgを、1日目および21日目に皮下投与する。3週間の感作操作を通して、動物に5〜7日ごとに10mg/kgの用量でIL-9反応性抗体または対照抗体を投与する。29日目、30日目および31日目に、動物をアジュバントなしのオボアルブミンでエアゾール送達により、あるいは、1μg/mlのPBS溶液100μlの経鼻注入により処理する。31日目に、最後のオボアルブミンチャレンジの6時間後に、動物を安楽死させて肺組織をホルマリン灌流により固定する。肥満細胞浸潤を、肺上皮組織切片の1視野あたりの肥満細胞数を計数することによって組織学的に評価する。この実験設計を用いて、(例えば)異染小体が存在するかどうかを試験することによって、および/または分化依存性細胞表面マーカー(例えばFcεRI)を使う免疫組織化学によって、肺上皮内で肥満細胞前駆体を肥満細胞から区別することができる。
IL-9と免疫特異的に結合する抗体は、本明細書で記載したまたは当業者に公知のin vivoおよび/またはin vitroアッセイにおいて、PBSまたは対照IgG抗体などの対照と比較して、上気道および/または下気道および/または消化管における好酸球、B細胞、T細胞または好中球浸潤を、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%低減することができる(例えば、Liら, 2000, Am. J. Respir. Cell Mol. Biol. 25:644-51を参照)。IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、in vivoおよび/またはin vitroアッセイ(例えば、トリパンブルーアッセイ、FACSまたは3Hチミジンアッセイ)においてPBSまたは対照IgG抗体などの対照と比較して、好酸球、B 細胞、T細胞、または好中球増殖を少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%阻害および/または低減することができる。IL-9と免疫特異的に結合する抗体は、本明細書で記載したまたは当業者に公知のin vivoおよび/またはin vitroアッセイにおいて、PBSまたは対照IgG抗体などの対照と比較して、好酸球、B細胞、T細胞、または好中球浸潤を少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%阻害および/または低減し、本明細書で記載したまたは当業者に公知のin vivoおよび/またはin vitroアッセイにおいて、PBSまたは対照IgG抗体などの対照と比較して、好酸球、T細胞、B細胞、または好中球増殖を少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%阻害および/または低減することができる。
IL-9と免疫特異的に結合する抗体は、IL-9によって媒介される生物学的効果、限定されるものでないが、炎症性細胞補充、上皮過形成、上皮性細胞のムチン生産ならびに肥満細胞の活性化、脱顆粒、増殖および/または浸潤を中和または阻害することができる。
IL-9と免疫特異的に結合する抗体は、IgEの発現、機能および/または活性に拮抗するタンパク質性物質(例えば、ペプチド、ポリペプチドもしくはタンパク質(抗体を含む))および/または非タンパク質性物質と相乗的に作用し、本明細書で記載したまたは当業者に公知のin vivoおよび/またはin vitroアッセイにおいて、PBSまたは対照IgG抗体などの対照と比較して、肥満細胞の活性化、脱顆粒、増殖および/または浸潤を少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%低減または阻害することができる。
IL-9と免疫特異的に結合する抗体は、肥満細胞プロテアーゼの発現、機能および/または活性に拮抗するタンパク質性物質(例えば、ペプチド、ポリペプチドもしくはタンパク質(抗体を含む))および/または非タンパク質性物質と相乗的に作用し、本明細書で記載したまたは当業者に公知のin vivoおよび/またはin vitroアッセイにおいて、PBSまたは対照IgG抗体などの対照と比較して、肥満細胞の活性化、脱顆粒、増殖および/または浸潤を少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%低減または阻害することができる。
IL-9と免疫特異的に結合する抗体は、幹細胞因子の発現、機能および/または活性に拮抗するタンパク質性物質(例えば、ペプチド、ポリペプチドおよびタンパク質(抗体を含む))または非タンパク質性物質と相乗的に作用し、本明細書で記載したまたは当業者に公知のin vivoおよび/またはin vitroアッセイにおいて、PBSまたは対照IgG抗体などの対照と比較して、肥満細胞の活性化、脱顆粒、増殖および/または浸潤を少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%低減または阻害することができる。1ng/mlのIL-9と1ng/mlの幹細胞因子の存在下で一次肥満細胞または肥満細胞系をin vitroで培養することができる。プロテアーゼ(例えばキマーゼおよびトリプターゼ)およびロイコトリエンの基線レベルを、市販のELISAキットにより上清で測定する。プロテアーゼまたはロイコトリエンのレベルをモジュレートする抗体の能力を、IL-9反応性抗体または対照抗体を1μg/mlの濃度で直接細胞培養に加えることにより試験することができる。プロテアーゼおよびロイコトリエンのレベルを、24時間および36時間の時点で試験することができる。
IL-9と免疫特異的に結合するIL-9抗体は、単特異性、二重特異性、三重特異性または多重特異性でよい。多重特異性抗体は、IL-9ポリペプチドの異なるエピトープに特異的であってもよく、またはIL-9ポリペプチドならびに異種エピトープ、例えば異種ポリペプチドまたは固体支持物質の両方に特異的であってもよい。例えば、国際公開WO 93/17715、国際公開WO 92/08802、国際公開WO 91/00360および国際公開WO 92/05793;Tuttら, J. Immunol. 147:60-69 (1991);米国特許第4,474,893号、第4,714,681号、第4,925,648号、第5,573,920号および第5,601,819号;ならびにKostelnyら, J. Immunol. 148:1547-1553 (1992)を参照されたい。
IL-9と免疫特異的に結合するIL-9抗体は、IL-9ポリペプチドに対する高い結合アフィニティを有しうる。IL-9と免疫特異的に結合するIL-9抗体は、少なくとも105 M〜1s-1、少なくとも1.5x105 M-1s-1、少なくとも2x105 M-1s-1、少なくとも2.5x105 M-1s-1、少なくとも5x105 M-1s-1、少なくとも106 M-1s-1、少なくとも5x106 M-1s-1、少なくとも107 M-1s-1、少なくとも5x107 M-1s-1、または少なくとも108 M-1s-1、あるいは105〜108 M-1s-1、1.5x105 M-1s-1〜1x107 M-1s-1、2x105〜1x106 M-1s-1、または4.5x105x107 M-1s-1の結合速度定数またはkon速度(抗体(Ab)+抗原(Ag)→Ab-Ag)を有しうる。IL-9と免疫特異的に結合するIL-9抗体は、BIAcoreアッセイで測定される、少なくとも2x105 M-1s-1、少なくとも2.5x105 M-1s-1、少なくとも5x105 M-1s-1、少なくとも106 M-1s-1、少なくとも5x106 M-1s-1、少なくとも107 M-1s-1、少なくとも5x107 M-1s-1、または少なくとも108 M-1s-1のkonを有し、さらに微量中和アッセイにおいて、ヒトIL-9を中和することができる。
IL-9と免疫特異的に結合する抗体は、BIAcoreアッセイで測定される108 M-1s-1以下、109 M-1s-1以下、1010 M-1s-1以下、1011 M-1s-1以下、または1012 M-1s-1以下のkon値を有し、さらにヒトIL-9を中和する。
IL-9と免疫特異的に結合する抗体は、10
-3s
-1未満、5x10
-3s
-1未満、10
-4s
-1未満、2x10
-4s
-1未満、5x10
-4s
-1未満、10
-5s
-1未満、5x10
-5s
-1未満、10
-6s
-1未満、5x10
-6s
-1未満、10
-7s
-1未満、5x10
-7s
-1未満、10
-8s
-1未満、5x10
-8s
-1未満、10
-9s
-1未満、5x10
-9s
-1、または10
-10s
-1未満、あるいは10
-3〜10
-10s
-1、10
-4〜10
-8s
-1、または10
-5〜10
-8s
-1のk
off速度
を有しうる。IL-9と免疫特異的に結合する抗体は、BIAcoreアッセイで測定される10
-5s
-1、5x10
-5s
-1未満、10
-6s
-1未満、5x10
-6s
-1未満、10
-7s
-1未満、5x10
-7s
-1未満、10
-8s
-1未満、5x10
-8s
-1未満、10
-9s
-1未満、5x10
-9s
-1未満または10
-10s
-1未満のk
off値を有し、さらに微量中和アッセイにおいて、ヒトIL-9を中和することができる。IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、10
-13 s
-1より大きい、10
-12 s
-1より大きい、10
-11 s
-1より大きい、10
-10 s
-1より大きい、10
-9 s
-1より大きいまたは10
-8 s
-1より大きいk
off値を有しうる。
IL-9と免疫特異的に結合する抗体は、少なくとも102 M-1、少なくとも5x102 M-1、少なくとも103 M-1、少なくとも5x103 M-1、少なくとも104 M-1、少なくとも5x104 M-1、少なくとも105 M-1、少なくとも5x105 M-1、少なくとも106 M-1、少なくとも5x106 M-1、少なくとも107 M-1、少なくとも5x107 M-1、少なくとも108 M-1、少なくとも5x108 M-1、少なくとも109 M-1、少なくとも5x109 M-1、少なくとも1010 M-1、少なくとも5x1010 M-1、少なくとも1011 M-1、少なくとも5x1011 M-1、少なくとも1012 M-1、少なくとも5x1012 M-1、少なくとも1013 M-1、少なくとも5x1013 M-1、少なくとも1014 M-1、少なくとも5x1014 M-1、少なくとも1015 M-1、または少なくとも5x1015 M-1、あるいは102〜5x105 M-1、104〜1x1010 M-1、または105〜1x108 M-1のアフィニティ定数またはKa(kon/koff)を有しうる。IL-9と免疫特異的に結合する抗体は、1011 M-1以下、5x1011 M-1以下、1012 M-1以下、5x1012 M-1以下、1013 M-1以下、5x1013 M-1以下、1014 M-1、または5x1014 M-1以下のKa値を有しうる。IL-9と免疫特異的に結合する抗体は、10-5 M以下、5x10-5 M以下、10-6 M以下、5x10-6 M以下、10-7 M以下、5x10-7以下、10-8 M以下、5x10-8 M以下、10-9 M以下、5x10-9 M以下、10-10 M以下、5x10-10 M以下、10-11 M以下、5x10-11 M以下、10-12 M以下、5x10-12 M以下、10-13 M以下、5x10-13 M以下、10-14 M以下、5x10-14 M以下、10-15 M、または5x10-15 M以下、あるいは10-2 M〜5x10-5 M、10-6〜10-15 M、または10-8〜10-14 Mの解離定数またはKd(kon/koff)を有しうる。IL-9と免疫特異的に結合する抗体は、BIAcoreアッセイで測定される10-9 M以下、5x10-9 M以下、10-10 M以下、5x10-10 M以下、1x10-11 M以下、5x10-11 M以下、1x10-12 M以下、5x10-12 M以下、10-13 M以下、5x10-13 M以下または1x10-14 M以下、あるいは10-9 M〜10-14 MのKd値を有し、この抗体はさらに微量中和アッセイにおいて、ヒトIL-9を中和することができる。IL-9と免疫特異的に結合する抗体は、10-9 Mより大きい、5x10-9 Mより大きい、10-10 Mより大きい、5x10-10 Mより大きい、10-11 Mより大きい、5x10-11 Mより大きい、10-12 Mより大きい、5x10-12 Mより大きい、6x10-12 Mより大きい、10-13 Mより大きい、5x10-13 Mより大きい、10-14 Mより大きい、5x10-14 Mより大きい、あるいは10-9 M〜10-14 Mより大きいKd値を有しうる。
IL-9と免疫特異的に結合する抗体はin vivoにおいて延長した半減期を有しうる。IL-9と免疫特異的に結合する抗体は、被験者、例えば、哺乳動物において、3日を超える、7日を超える、10日を超える、15日を超える、25日を超える、30日を超える、35日を超える、40日を超える、45日を超える、2ヵ月を超える、3ヵ月を超える、4ヵ月を超えるまたは5ヵ月を超える半減期を有しうる。in vivoにおいて抗体(例えばモノクローナル抗体、単鎖抗体およびFabフラグメント)の血清循環半減期は、例えば、高分子量ポリエチレングリコール(PEG)などの不活性ポリマー分子を、多機能リンカーの有無に関わらず、抗体のN末端またはC末端へのPEGの部位特異的コンジュゲーションを通して、あるいはリシン残基上のε-アミノ基を通して抗体に結合させることにより増加することができる。生物的活性の損失が最小限となる直鎖または分岐のポリマー誘導体化を用いることができる。コンジュゲーションの程度をSDS-PAGEおよび質量分析によって綿密に監視し、抗体へのPEG分子の適当なコンジュゲーションを確実にすることができる。未反応PEGは、サイズ排除クロマトグラフィーまたはイオン交換クロマトグラフィーによって抗体-PEG複合体から分離することができる。PEG誘導体化抗体は、当業者に公知の方法を用いて、結合活性について、ならびにin vivo有効性について試験することができる。
延長したin vivo半減期を有する抗体はまた、1以上のアミノ酸改変(すなわち置換、挿入または欠失)をIgGの定常ドメインまたはそのFcRn結合断片(好ましくはFcまたはヒンジ-Fcドメイン断片)に導入することによって作製することができる。例えば、本明細書で参照により全文が組み込まれる国際公開WO 98/23289、国際公開WO 97/34631、国際公開WO 02/060919、および米国特許第6,277,375号を参照されたい。
さらに、抗体をアルブミンとコンジュゲートし、抗体または抗体フラグメントをin vivoでより安定にするかまたはより長いin vivo半減期を保有させることができる。その技法は当技術分野において公知であり、例えば、本明細書で参照により組み込まれている、国際公開WO 93/15199、WO 93/15200およびWO 01/77137、および欧州特許EP 413,622を参照されたい。
IL-9と免疫特異的に結合する抗体を、異種タンパク質またはポリペプチド(またはその断片、好ましくは少なくとも10個、少なくとも20個、少なくとも30個、少なくとも40個、少なくとも50個、少なくとも60個、少なくとも70個、少なくとも80個、少なくとも90個または少なくとも100個のアミノ酸のポリペプチド)と組換えにより融合するかまたは化学的にコンジュゲートし(共有結合性および非共有結合性コンジュゲーションを含む)、融合タンパク質を作製してもよい。融合タンパク質は、IL-9免疫特異的抗体(例えば、Fabフラグメント、Fdフラグメント、Fvフラグメント、F(ab)2フラグメント、VHドメイン、VH CDR、VLドメインまたはVL CDR)および異種タンパク質、ポリペプチドまたはペプチドの抗原結合断片を含みうる。抗体または抗体フラグメントを融合した異種タンパク質、ポリペプチドまたはペプチドは、抗体を呼吸器上皮細胞、肥満細胞、好中球、好酸球、B細胞、マクロファージまたは活性T細胞に標的化するために有用でありうる。例えば、特定の細胞型(例えば呼吸の上皮性細胞、肥満細胞、好中球、好酸球、B細胞、マクロファージまたは活性T細胞)によって発現される細胞表面受容体と免疫特異的に結合する抗体を、IL-9に免疫特異的な抗体またはフラグメントと融合またコンジュゲートすることができる。タンパク質、ポリペプチドまたはペプチドを抗体または抗体フラグメントと融合またはコンジュゲートする方法は、当技術分野で公知である。例えば、米国特許第5,336,603号、第5,622,929号、第5,359,046号、第5,349,053号、第5,447,851号および第5,112,946号;欧州特許EP 307,434およびEP 367,166;国際公開WO 96/04388および国際公開WO 91/06570;Ashkenaziら, 1991、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88: 10535-10539;Zhengら, 1995、J. Immunol. 154:5590-5600;およびVilら, 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:11337-11341を参照されたい。
さらなる融合タンパク質を、遺伝子シャフリング、モチーフシャフリング、エクソンシャフリングおよび/またはコドンシャフリング(「DNAシャフリング」と総称される)の手法を通して生成することができる。DNAシャフリングを使用して、本発明の抗体またはそのフラグメントの活性を変更することができる(例えばより高いアフィニティおよび低い解離速度を有する抗体またはそのフラグメント)。一般的には、米国特許第5,605,793号、第5,811,238号、第5,830,721号、第5,834,252号および第5,837,458号;Pattenら, 1997, Curr. Opinion Biotechnol. 8:724-33;Harayama, 1998, Trends Biotechnol. 16(2):76-82;Hanssonら, 1999, J. Mol. Biol. 287:265-76;ならびに、LorenzoおよびBlasco, 1998, Biotechniques 24(2):308-313を参照されたい。抗体またはそのフラグメント、あるいはコードされた抗体またはそのフラグメントは、組換え前にエラープローンPCR、ランダムなヌクレオチド挿入または他の方法によりランダムな突然変異を誘発することによって変更することができる。IL-9に免疫特異的に結合する抗体またはそのフラグメントをコードするポリヌクレオチドを、1以上の異種分子の1以上の成分、モチーフ、切片、部分、ドメイン、断片、その他と組み換えることができる。
さらに、抗体またはその断片を、精製を容易にするためにマーカー配列、例えばペプチドと融合することができる。例えば、マーカーアミノ酸配列はヘキサヒスチジンペプチド、例えば、中でも、pQEベクター(QIAGEN, Inc., 9259 Eton Avenue, Chatsworth, CA, 91311)で提供される標識であってもよく、この多くは市販されている。例えば、Gentzら, 1989、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:821-824に記載のように、ヘキサヒスチジンは融合タンパク質精製の好都合な手段を提供する。精製のために有用な他のペプチド標識としては、限定されるものでないが、インフルエンザ赤血球凝集素タンパク質に由来するエピトープに対応する(Wilsonら, 1984, Cell 37:767)赤血球凝集素(HA)標識、および「フラグ」標識が挙げられる。
IL-9に免疫特異的な抗体を、診断剤または検出可能な剤とコンジュゲートすることができる。かかる薬剤としては、限定されるものでないが、様々な酵素、例えば、限定されるものでないが、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼまたはアセチルコリンエステラーゼ;補欠分子団、例えば、限定されるものでないが、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチン;蛍光物質、例えば、限定されるものでないが、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロリドまたはフィコエリトリン;発光物質、例えば、限定されるものでないが、ルミノール;生物発光物質、例えば、限定されるものでないが、ルシフェラーゼ、ルシフェリンおよびエクオリン;放射性物質、例えば、限定されるものでないが、ヨウ素(131I、125I、123I、および121I,)、炭素(14C)、硫黄(35S)、トリチウム(3H)、インジウム(115In、113In、112In、および111In,)、テクネチウム(99Tc)、タリウム(201Ti)、ガリウム(68Ga、67Ga)、パラジウム(103Pd)、モリブデン(99Mo)、キセノン(133Xe)、弗素(18F)、153Sm、177Lu、159Gd、149Pm、140La、175Yb、166Ho、90Y、47Sc、186Re、188Re、142Pr、105Rh、97Ru、68Ge、57Co、65Zn、85Sr、32P、153Gd、169Yb、51Cr、54Mn、75Se、113Sn、および117Sn;ならびに、様々な陽電子放出断層撮影法を使う陽電子放出金属、および非放射性常磁性金属イオンなどが挙げられる。
IL-9特異的抗体を治療成分とコンジュゲートすることができる。抗体またはその断片を、細胞毒などの治療成分、例えば細胞増殖インヒビターもしくは細胞破壊剤、治療剤またはα放射体などの放射性金属イオンとコンジュゲートすることができる。細胞毒または細胞毒性剤には、細胞に有害ないかなる剤も含まれる。治療成分としては、限定されるものでないが、抗代謝薬(例えば、メトトレキセート、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、シタラビン、5-フルオロウラシルデカルバジン);アルキル化剤(例えば、メクロレタミン、チオエパクロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BCNU)およびロムスチン(CCNU)、シクロソスファミド、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、およびシスジクロロジアミン白金(II)(DDP)およびシスプラチン);アントラサイクリン類(例えば、ダウノルビシン(旧名ダウノマイシン)およびドキソルビシン);抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(旧名アクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシンおよびアントラマイシン(AMC));アウリスタチン分子(例えば、アウリスタチンPHE、ブリオスタチン1およびソラスタチン10;Woykeら, Antimicrob. Agents Chemother. 46:3802-8 (2002)、Woykeら, Antimicrob. Agents Chemother. 45:3580-4 (2001)、Mohammadら, Anticancer Drugs 12:735-40 (2001)、Wallら, Biochem. Biophys. Res. Commun. 266:76-80 (1999)、Mohammadら, Int. J. Oncol. 15:367-72 (1999)を参照)、これらの文献は全て本明細書に参照により組み入れられる;ホルモン(例えば糖質コルチコイド、プロゲスチン、アンドロゲンおよびエストロゲン)、DNA修復酵素インヒビター(例えばエトポシドまたはトポテカン)、キナーゼインヒビター(例えば、化合物 ST1571)、イマチニブ・メシラート(Kantarjianら, Clin Cancer Res. 8(7):2167-76 (2002));細胞毒性剤(例えば、パクリタキセル、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアンスラシンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1-デヒドロテストステロン、糖質コルチコイド類、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロールおよびピューロマイシン、およびその類似体または同族体、ならびに米国特許第6,245,759号、第6,399,633号、第6,383,790号、第6,335,156号、第6,271,242号、第6,242,196号、第6,218,410号、第6,218,372号、第6,057,300号、第6,034,053号、第5,985,877号、第5,958,769号、第5,925,376号、第5,922,844号、第5,911,995号、第5,872,223号、第5,863,904号、第5,840,745号、第5,728,868号、第5,648,239号、第5,587,459号で開示されている化合物);ファルネシルトランスフェラーゼインヒビター(例えば、R115777、BMS-214662、および米国特許第6,458,935号、第6,451,812号、第6,440,974号、第6,436,960号、第6,432,959号、第6,420,387号、第6,414,145号、第6,410,541号、第6,410,539号、第6,403,581号、第6,399,615号、第6,387,905号、第6,372,747号、第6,369,034号、第6,362,188号、第6,342,765号、第6,342,487号、第6,300,501号、第6,268,363号、第6,265,422号、第6,248,756号、第6,239,140号、第6,232,338号、第6,228,865号、第6,228,856号、第6,225,322号、第6,218,406号、第6,211,193号、第6,187,786号、第6,169,096号、第6,159,984号、第6,143,766号、第6,133,303号、第6,127,366号、第6,124,465号、第6,124,295号、第6,103,723号、第6,093,737号、第6,090,948号、第6,080,870号、第6,077,853号、第6,071,935号、第6,066,738号、第6,063,930号、第6,054,466号、第6,051,582号、第6,051,574号、および第6,040,305号で開示されているもの);トポイソメラーゼインヒビター(例えばカンプトセシン;イリノテカン;SN-38;トポテカン;9-アミノカンプトテシン;GG-211(GI 147211);DX-8951f;IST-622;ルビテカン;ピラゾロアクリジン;XR-5000;セントピン;UCE6;UCE1022;TAN-1518A;TAN-1518B;KT6006;KT6528;ED-110;NB-506;ED-110;NB-506;およびレベッカマイシン);ブルガレイン;ヘキスト染料33342およびヘキスト染料33258などのDNA副溝結合剤;ニチジン;ファガロニン;エピベルベリン;コラリン;β-ラパコン;BC-4-1;ビスホスホネート(例えば、アレンドロネート、シマドロネート、クロドロネート、チルドロネート、エチドロネート、イバンドロネート、ネリドロネート、オルパンドロネート、リセドロネート、ピリドロネート、パミドロネート、ゾレンドロネート)、HMG-CoAレダクターゼインヒビター(例えばロバスタチン、シンバスタチン、アトルバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、スタチン、セリバスタチン、レスコール、ルピトール、ロスバスタチンおよびアトルバスタチン);アンチセンスオリゴヌクレオチド(例えば、米国特許第6,277,832号、第5,998,596号、第5,885,834号、第5,734,033号、および第5,618,709号で開示されているもの);アデノシンデアミナーゼインヒビター(例えばリン酸フルダラビンおよび2-クロロデオキシアデノシン);イブリツモマブチウキセタン(Zevalin(登録商標));トシツモマブ(Bexxar(登録商標))、ならびに製薬上許容されるその塩、溶媒和物、クラスレートおよびプロドラッグなどが挙げられる。
さらに、IL-9に免疫特異的な抗体を、所与の生物学的応答を改変する治療成分または医薬成分とコンジュゲートすることができる。治療成分または医薬成分は古典的な化学療法剤に限るとみなすべきではない。例えば、医薬成分は、所望の生物学的活性を有するタンパク質、ペプチドまたはポリペプチドであってもよい。かかるタンパク質としては、例えば、毒素、例えばアブリン、リシンA、シュードモナス外毒素、コレラトキシンまたはジフテリア毒素;タンパク質、例えば腫瘍壊死因子、α-インターフェロン、β-インターフェロン、神経成長因子、血小板由来成長因子、組織プラスミノーゲンアクチベータ、アポトーシス剤、例えば、TNF-α、TNF-β、AIM I(国際公開WO 97/33899を参照)、AIM II(国際公開WO 97/34911を参照)、Fasリガンド(Takahashiら, 1994, J. Immunol., 6:1567-1574)、およびVEGF(国際公開WO 99/23105を参照)、抗血管形成剤、例えばアンギオスタチン、エンドスタチンまたは凝固経路成分(例えば組織因子);あるいは、生体応答調節剤、例えば、リンホカイン(例えばインターフェロンγ(IFN-γ)、インターロイキン1(IL-1)、インターロイキン2(IL-2)、インターロイキン5(IL-5)、インターロイキン6(IL-6)、インターロイキン7(IL-7)、インターロイキン10(IL-10)、インターロイキン12(IL-12)、インターロイキン15(IL-15)、インターロイキン23(IL-23)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、および顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF))、または成長因子(例えば成長ホルモン(GH))、または凝固因子(例えば、カルシウム、ビタミンK、組織因子、例えば、限定されるものでないが、ハーゲマン因子(第XII因子)、高分子キニノーゲン(HMWK)、プレカリクレイン(PK)、凝固タンパク質因子II(プロトロンビン)、第V因子、第XIIa因子、第VIII因子、第XIIIa因子、第XI因子、第XIa因子、第IX因子、第IXa因子、第X因子、リン脂質、フィブリノーゲンのαおよびβ鎖からのフィブリノペプチドAおよびB、フィブリンモノマー)が挙げられる。具体的な実施形態において、IL-9と免疫特異的に結合する抗体を、ロイコトリエンアンタゴニスト(例えばモンテルカスト、ザフィルルカスト、プランルカストおよびジロイトン)とコンジュゲートする。
さらにIL-9に免疫特異的な抗体を、治療成分、例えば、放射性金属イオン、例えば、213Biなどのα放射体と、または、限定されるものでないが、131In、131L、131Y、131Ho、131Smなどの放射金属イオンをポリペプチドまたは上記のいずれかにコンジュゲートするのに役立つ大環状キレート化剤とコンジュゲートすることができる。ある特定の実施形態において、大環状キレート化剤はリンカー分子を通して抗体に結合することができる1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-N,N',N'',N'''-四酢酸(DOTA)である。かかるリンカー分子は当技術分野で公知であり、Denardoら, 1998, Clin Cancer Res. 4(10):2483-90;Petersonら, 1999, Bioconjug. Chem. 10(4):553-7;およびZimmermanら, 1999, Nucl. Med. Biol. 26(8):943-50、に記載されている。
抗体に治療成分をコンジュゲートする技法は周知であり、例えば、Arnonら, "Monoclonal Antibodies For Immunotargeting Of Drugs In Cancer Therapy(癌療法において薬物を免疫標的化するためのモノクローナル抗体)", Monoclonal Antibodies And Cancer Therapy, Reisfeldら(編), pp. 243-56 (Alan R. Liss, Inc. 1985)に収載;Hellstromら, "Antibodies For Drug Delivery(薬物を送達するための抗体)", Controlled Drug Delivery (第2版), Robinsonら(編), pp. 623-53 (Marcel Dekker, Inc. 1987)に収載;Thorpe, "Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy: A Review(癌療法における細胞毒性薬の抗体担体:総括)", Monoclonal Antibodies 84: Biological And Clinical Applications, Pincheraら(編), pp. 475-506 (1985)に収載;"Analysis, Results, And Future Prospective Of The Therapeutic Use Of Radiolabeled Antibody In Cancer Therapy(癌療法における放射標識抗体の治療使用の分析、結果、および将来予測)", Monoclonal Antibodies For Cancer Detection And Therapy, Baldwinら(編), pp. 303-16 (Academic Press 1985)に収載;およびThorpeら, 1982, Immunol. Rev. 62:119-58;を参照されたい。
あるいは、Segalが米国特許第4,676,980号で記載したように、IL-9に免疫特異的な抗体を第2の抗体とコンジュゲートして、抗体ヘテロコンジュゲートを形成することができる。
IL-9に特異的な抗体の例としては、次の抗体が提供される:米国特許出願公開第2005-0002934号に開示された4D4、4D4H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、7F3、71A10、7F3 22D3、7F3com-2H2、7F3com-3H5、および7F3com-3D4。図10〜19はこれらの抗体のそれぞれの可変軽鎖および重鎖のアミノ酸配列を与える。抗体のそれぞれの定常領域はパリビズマブ(MedImmune、Inc.)IgG1(米国特許第5,824,307号、1998年10月20日出願を参照)と同一である。他の限定されないIL-9に特異的な抗体の例は、米国特許出願公開第2003-0219439号および米国特許第6,261,559号に開示されている。
IL-9と免疫特異的に結合する抗体は、4D4、4D4H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、7F3、71A10、7F3 22D3、7F3com-2H2、7F3com-3H5、または 7F3com-3D4のVHドメインのアミノ酸配列を有するVHドメインを含みうる。IL-9と免疫特異的に結合する抗体は、抗体4D4、4D4H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、7F3、71A10、7F3 22D3、7F3com-2H2、7F3com-3H5、または7F3com-3D4のいずれか1つのVH CDR1のアミノ酸配列を有するVH CDR1を含みうる。IL-9と免疫特異的に結合する抗体は、抗体4D4、4D4H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、7F3、71A10、7F3 22D3、7F3com-2H2、7F3com-3H5、または7F3com-3D4のいずれか1つのVH CDR2のアミノ酸配列を有するVH CDR2を含みうる。IL-9と免疫特異的に結合する抗体は、抗体4D4、4D4H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、7F3、71A10、7F3 22D3、7F3com-2H2、7F3com-3H5、または7F3com-3D4のいずれか1つのVH CDR3のアミノ酸配列を有するVH CDR3を含みうる。IL-9と免疫特異的に結合する抗体は、抗体4D4、4D4H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、7F3、71A10、7F3 22D3、7F3com-2H2、7F3com-3H5、または7F3com-3D4のいずれか1つのVH CDR1およびVH CDR2のアミノ酸配列を有するVH CDR1およびVH CDR2を含みうる。IL-9と免疫特異的に結合する抗体は、抗体4D4、4D4H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、7F3、71A10、7F3 22D3、7F3com-2H2、7F3com-3H5、または7F3com-3D4のいずれか1つのVH CDR1およびVH CDR3のアミノ酸配列を有するVH CDR1およびVH CDR3を含みうる。IL-9と免疫特異的に結合する抗体は、抗体4D4、4D4H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、7F3、71A10、7F3 22D3、7F3com-2H2、7F3com-3H5、または7F3com-3D4のいずれか1つのVH CDR2およびVH CDR3のアミノ酸配列を有するVH CDR2およびVH CDR3を含みうる。IL-9と免疫特異的に結合する抗体は、抗体4D4、4D4H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、7F3、71A10、7F3 22D3、7F3com-2H2、7F3com-3H5、または7F3com-3D4のいずれか1つのVH CDR1、VH CDR2およびVH CDR3のアミノ酸配列を有するVH CDR1、VH CDR2、およびVH CDR3を含みうる。
IL-9と免疫特異的に結合する抗体は、1、2、3、4、5またはそれ以上のVH CDRを含みうる。VH CDRは4D4、4D4H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、7F3、71A10、7F3 22D3、7F3com-2H2、7F3com-3H5、または7F3com-3D4のVH CDRのいずれかのアミノ酸配列を有しうる。
IL-9と免疫特異的に結合する抗体は、抗体4D4、4D4H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、7F3、71A10、7F3 22D3、7F3com-2H2、7F3com-3H5、または7F3com-3D4のいずれかのVLドメインのアミノ酸配列を有するVLドメインを含みうる。IL-9と免疫特異的に結合する抗体は、7F3com-2H2のVLドメインのアミノ酸配列を有するVLドメインを含みうる。IL-9と免疫特異的に結合する抗体は、抗体4D4、4D4H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、7F3、71A10、7F3 22D3、7F3com-2H2、7F3com-3H5、または7F3com-3D4のいずれか1つのVL CDR1のアミノ酸配列を有するVL CDR1を含みうる。IL-9と免疫特異的に結合する抗体は、抗体4D4、4D4H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、7F3、71A10、7F3 22D3、7F3com-2H2、7F3com-3H5、または7F3com-3D4のいずれか1つのVL CDR2のアミノ酸配列を有するVL CDR2を含みうる。IL-9と免疫特異的に結合する抗体は、抗体4D4、4D4H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、7F3、71A10、7F3 22D3、7F3com-2H2、7F3com-3H5、または7F3com-3D4のいずれか1つのVL CDR3のアミノ酸配列を有するVL CDR3を含みうる。IL-9と免疫特異的に結合する抗体は、抗体4D4、4D4H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、7F3、71A10、7F3 22D3、7F3com-2H2、7F3com-3H5、または7F3com-3D4のいずれか1つのVL CDR1およびVL CDR2のアミノ酸配列を有するVL CDR1およびVL CDR2を含みうる。IL-9と免疫特異的に結合する抗体は、抗体4D4、4D4H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、7F3、71A10、7F3 22D3、7F3com-2H2、7F3com-3H5、または7F3com-3D4のいずれか1つのVL CDR1およびVL CDR3のアミノ酸配列を有するVL CDR1およびVL CDR3を含みうる。IL-9と免疫特異的に結合する抗体は、抗体4D4、4D4H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、7F3、71A10、7F3 22D3、7F3com-2H2、7F3com-3H5、または7F3com-3D4のいずれか1つのVL CDR2およびVL CDR3のアミノ酸配列を有するVL CDR2およびVL CDR3を含みうる。IL-9と免疫特異的に結合する抗体は、抗体4D4、4D4H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、7F3、71A10、7F3 22D3、7F3com-2H2、7F3com-3H5、または7F3com-3D4のいずれか1つのVL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3のアミノ酸配列を有するVL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3を含みうる。
IL-9と免疫特異的に結合する抗体は1、2、3、4、5またはそれ以上のVL CDRを含みうる。VL CDRは4D4、4D4H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、7F3、71A10、7F3 22D3、7F3com-2H2、7F3com-3H5、または7F3com-3D4のVL CDRのいずれかのアミノ酸配列を有しうる。
IL-9と免疫特異的に結合する抗体は、本明細書に開示したVHドメインと、本明細書に開示したVLドメインまたは他のVLドメイン(例えば、米国特許出願公開第2003-0219439号に開示した)との組合わせを含みうる。IL-9と免疫特異的に結合する抗体は、本明細書に開示したVLドメインと本明細書に開示したVHドメイン、または他のVHドメイン(例えば、米国特許出願公開第2003-0219439号に開示したVHドメイン)との組合わせを含みうる。
IL-9と免疫特異的に結合する抗体は、4D4、4D4H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、7F3、71A10、7F3 22D3、7F3com-2H2、7F3com-3H5、または7F3com-3D4の1つのVL CDRおよび米国特許出願公開第2003-0219439号に開示したVH CDRを含みうる。IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、本明細書に開示したVH CDRと米国特許出願公開第2003-02194392号に開示したVL CDRとの組合わせを含みうる。
IL-9と免疫特異的に結合する抗体は、4D4、4D4H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、7F3、71A10、7F3 22D3、7F3com-2H2、7F3com-3H5、または7F3com-3D4のいずれかの組合わせの1以上のVH CDRおよび1以上のVL CDRを含みうる。IL-9と免疫特異的に結合する抗体は、4D4、4D4H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、7F3、71A10、7F3 22D3、7F3com-2H2、7F3com-3H5、または7F3com-3D4のVH CDRおよびVL CDRの、VH CDR1およびVL CDR1;VH CDR1およびVL CDR2;VH CDR1およびVL CDR3;VH CDR2およびVL CDR1;VH CDR2およびVL CDR2;VH CDR2およびVL CDR3;VH CDR3およびVH CDR1;VH CDR3およびVL CDR2;VH CDR3およびVL CDR3;VH CDR1、VH CDR2およびVL CDR1;VH CDR1、VH CDR2およびVL CDR2;VH CDR1、VH CDR2およびVL CDR3;VH CDR2、VH CDR3およびVL CDR1;VH CDR2、VH CDR3およびVL CDR2;VH CDR2、VH CDR2およびVL CDR3;VH CDR1、VL CDR1およびVL CDR2;VH CDR1、VL CDR1およびVL CDR3;VH CDR2、VL CDR1およびVL CDR2;VH CDR2、VL CDR1およびVL CDR3;VH CDR3、VL CDR1およびVL CDR2;VH CDR3、VL CDR1およびVL CDR3;VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3およびVL CDR1;VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3およびVL CDR2;VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3およびVL CDR3;VH CDR1、VH CDR2、VL CDR1およびVL CDR2;VH CDR1、VH CDR2、VL CDR1およびVL CDR3;VH CDR1、VH CDR3、VL CDR1およびVL CDR2;VH CDR1、VH CDR3、VL CDR1およびVL CDR3;VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1およびVL CDR2;VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1およびVL CDR3;VH CDR2、VH CDR3、VL CDR2およびVL CDR3;VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1およびVL CDR2;VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1およびVL CDR3;VH CDR1、VH CDR2、VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3;VH CDR1、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3;VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3;またはそれらのいずれかの組合わせを含みうる。
IL-9と免疫特異的に結合する抗体は、7F3com-2H2のVH CDRのヌクレオチド配列(図20)を有する核酸配列によってコードされるVH CDRを含みうる。IL-9と免疫特異的に結合する抗体は、7F3com-2H2のVL CDRのヌクレオチド配列(図20)を有する核酸配列によってコードされるVL CDRを含みうる。IL-9と免疫特異的に結合する抗体は7F3com-2H2のVH CDRおよびVL CDRのヌクレオチド配列(図20)を有する核酸配列によってコードされるVH CDRおよびVL CDRを含みうる。
IL-9と免疫特異的に結合する抗体は、本明細書で記載したVHドメイン、VH CDR、VLドメインまたはVL CDRの誘導体を含みうる。IL-9と特異的に結合することが公知の抗体をコードするヌクレオチド配列に突然変異(例えば欠失、付加および/または置換)を導入するために、当業者に公知の標準の手法、例えば部位特定突然変異誘発およびアミノ酸置換をもたらすPCR媒介突然変異誘発を用いることができる。これらの誘導体は元の分子と比較して25未満のアミノ酸置換、20未満のアミノ酸置換、15未満のアミノ酸置換、10未満のアミノ酸置換、5未満のアミノ酸置換、4未満のアミノ酸置換、3未満のアミノ酸置換または2未満のアミノ酸置換を含みうる。これらの誘導体は1以上の予測される非必須アミノ酸残基(すなわち、抗体がIL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合するために重要でないアミノ酸残基)の位置に保存的アミノ酸置換を有しうる。「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が類似した電荷を有する側鎖を有するアミノ酸残基で置換されるものを意味する。類似した電荷を有する側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当技術分野で定義されている。これらのファミリーには、塩基性側鎖(例えばリシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えばアスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えばグリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えばアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β分岐側鎖(例えばトレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖(例えばチロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸が含まれる。あるいは、突然変異は、例えば飽和突然変異誘発により、コード配列の全体または一部にランダムに導入することができ、得られる突然変異体は活性を保持する突然変異体を識別するために生物的活性に関してスクリーニングすることができる。突然変異誘発の後に、コードされた抗体を発現させ、抗体の活性を決定することができる。置換は抗体CDR、フレームワーク、または可変もしくは定常ドメインのいずれの他の残基においてであってもよい。
IL-9と免疫特異的に結合する抗体は、1以上のアミノ酸残基置換を軽鎖可変(VL)ドメインおよび/または重鎖可変(VH)ドメインに有する4D4、4D4H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、7F3、71A10、7F3 22D3、7F3com-2H2、7F3com-3H5または7F3com-3D4のアミノ酸配列を含みうる。IL-9と免疫特異的に結合する抗体は、1以上のアミノ酸残基置換を1以上の複数のVL CDR(VL CDR1、VL CDR2、VL CDR3、VL CDR1およびCDR2、VL CDR1およびCDR3、VL CDR2およびCDR3、または VL CDR1、CDR2、およびCDR3)および/または1以上のVH CDR(VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VH CDR1およびCDR2、VH CDR1およびCDR3、VH CDR2およびCDR3、または VH CDR1、CDR2、およびCDR3)に有する4D4、4D4H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、7F3、71A10、7F3 22D3、7F3com-2H2、7F3com-3H5または7F3com-3D4のアミノ酸配列を含みうる。IL-9と免疫特異的に結合する抗体は、1以上のアミノ酸残基置換を1以上のVHフレームワークおよび/または1以上のVLフレームワークに有する4D4、4D4H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、7F3、71A10、7F3 22D3、7F3com-2H2、7F3com-3H5または7F3com-3D4、あるいはそのVHおよび/またはVLドメインのアミノ酸配列を含みうる。4D4、4D4H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、7F3、71A10、7F3 22D3、7F3com-2H2、7F3com-3H5または7F3com-3D4のVHドメイン、VH CDR、VLドメイン、VL CDRおよび/またはフレームワークに置換を導入することによって作製される抗体を、in vitroおよび/またはin vivoで、例えばIL-9ポリペプチドと結合するその能力またはIL-9媒介細胞増殖を阻害するもしくは低減するその能力について、あるいは線維性または炎症性疾患または障害またはその症候を予防、治療および/または改善するその能力について試験することができる。
IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、4D4、4D4H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、7F3、71A10、7F3 22D3、7F3com-2H2、7F3com-3H5または7F3com-3D4またはその抗原結合断片のアミノ酸配列と少なくとも35%、好ましくは少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含みうる。他の実施形態において、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、4D4、4D4H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、7F3、71A10、7F3 22D3、7F3com-2H2、7F3com-3H5または7F3com-3D4のVHドメインと少なくとも35%、好ましくは少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%同一のVHドメインのアミノ酸配列を含む。他の実施形態において、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する抗体は、4D4、4D4H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、7F3、71A10、7F3 22D3、7F3com-2H2、7F3com-3H5または7F3com-3D4のVLドメインと少なくとも35%、好ましくは少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%同一のVLドメインのアミノ酸配列を含む。
IL-9と免疫特異的に結合する抗体は、抗体 4D4、4D4H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、7F3、71A10、7F3 22D3、7F3com-2H2、7F3com-3H5または7F3com-3D4のいずれか1つのVL CDRと少なくとも35%、好ましくは少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%同一である1以上のVL CDR(VL CDR1、VL CDR2、VL CDR3、VL CDR1およびCDR2、VL CDR1およびCDR3、VL CDR2およびCDR3、またはVL CDR1、CDR2、およびCDR3)のアミノ酸配列を含みうる。IL-9と免疫特異的に結合する抗体は、抗体 4D4、4D4H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、7F3、71A10、7F3 22D3、7F3com-2H2、7F3com-3H5または7F3com-3D4のいずれか1つのVH CDRと少なくとも35%、好ましくは少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%同一である1以上のVH CDR(VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VH CDR1およびCDR2、VH CDR1およびCDR3、VH CDR2およびCDR3、またはVH CDR1、CDR2、およびCDR3)のアミノ酸配列を含みうる。VL CDRは、抗体4D4、4D4H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、7F3、71A10、7F3 22D3、7F3com-2H2、7F3com-3H5または7F3com-3D4のいずれか1つのVL CDR1、またはVL CDR2、またはVL CDR3、またはVL CDR1および2、またはVL CDR2および3、またはVL CDR1および3、またはVL CDR1、2、および3であってもよい。VH CDRは、抗体4D4、4D4H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、7F3、71A10、7F3 22D3、7F3com-2H2、7F3com-3H5または7F3com-3D4のいずれか1つのVH CDR1、またはVH CDR2、またはVH CDR3、またはVH CDR1および2、またはVH CDR2および3、またはVH CDR1および3、またはVH CDR1、2、および3であってもよい。2つの配列の間の%同一性の決定はまた、数学的アルゴリズムを用いて達成することができる。2つの配列を比較するために利用される数学的アルゴリズムの好ましい非限定的な例は、KarlinおよびAltschul, 1990, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 87:2264-2268のアルゴリズム、およびKarlinおよびAltschul, 1993, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 90:5873-5877の改良アルゴリズムである。2つの配列の間の%同一性は、上記の技法と類似の技法を用いてギャップを認めてまたは認めないで決定することができる。%同一性の計算においては、正確なマッチだけを計数してもよい。
IL-9と免疫特異的に結合する抗体は、IL-9との結合に関し、4D4、4D4H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、7F3、71A10、7F3 22D3、7F3com-2H2、7F3com-3H5または7F3com-3D4のいずれか1つと競合しうる。IL-9と特異的に結合する抗体は、4D4、4D4H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、7F3、71A10、7F3 22D3、7F3com-2H2、7F3com-3H5または7F3com-3D4とIL-9との結合を、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%またはそれ以上、25%〜50%、45〜75%、または75〜99%低減しうる。結合の競合は以下の方法で実施するELISA競合アッセイにより決定することができる:組換えIL-9を10μg/mlの濃度でPBSで調製する。この溶液の100μlをELISA 98ウェルマイクロタイタープレートの各ウェルに加え、4〜8℃で一晩インキュベートする。ELISAプレートを、0.1%のTweenを加えたPBSで洗浄して過剰な組換えIL-9を取り除く。非特異的なタンパク質-タンパク質間相互作用は、PBSで最終濃度1%に調製したウシ血清アルブミン(BSA)の100μlを加えることによってブロッキングする。室温で1時間後、ELISAプレートを洗浄する。非標識の競合抗体を、ブロッキング溶液で1μg/ml〜0.01μg/mlの濃度範囲で調製する。対照ウェルは、ブロッキング溶液だけを、または1μg/ml〜0.01μg/mlの濃度範囲の対照抗体を含む。西洋ワサビペルオキシダーゼで標識した試験抗体(例えば7F3com-2H2)を、1μg/mlの固定した最終濃度で競合抗体希釈液に加える。試験抗体と競合抗体の混合物の100μlを3連のELISAウェルに加え、プレートを室温で1時間インキュベートする。残りの非結合抗体は洗い流す。結合した試験抗体を、各ウェルに100μlの西洋ワサビペルオキシダーゼ基質を加えることによって検出する。プレートを室温で30分間インキュベートし、吸光度を自動プレート読み取り機を使用して読み取る。3通り(triplicate)のウェルの平均を計算する。試験抗体とよく競合する抗体は、対照ウェルと比較して吸光度測定値を低下させる。
IL-9と免疫特異的に結合する抗体を、任意の型の分子の抗体との共有結合により改変することができる。例えば、限定されるものでないが、抗体誘導体としては、グリコシル化、アセチル化、PEG化、リン酸化、アミド化、公知の保護基/ブロック基による誘導体化、タンパク分解性切断、細胞リガンドまたは他のタンパク質への結合、その他によって改変された抗体が挙げられる。多くの化学的改変のいずれかも、公知の手法、限定されるものでないが、特異的化学開裂、アセチル化、ホルミル化、ツニカマイシンの代謝合成などによって実施することができる。さらに、改変した抗体は1以上の非古典的アミノ酸を含むことができる。
IL-9と免疫特異的に結合する抗体は当業者に公知のフレームワーク領域(例えば、ヒトまたは非ヒトのフレームワーク)を含みうる。このフレームワーク領域は天然のものであってもよく、またはコンセンサスフレームワーク領域であってもよい。好ましくは、本発明の抗体のフレームワーク領域はヒトである(例えば、ヒトフレームワーク領域のリストについては Chothiaら, 1998, J. Mol. Biol. 278:457-479を参照されたい、本文献は本明細書に参照によりその全てが組み入れられる)。
IL-9と免疫特異的に結合する抗体は、フレームワーク領域に突然変異(例えば、1以上のアミノ酸置換)を有する4D4、4D4H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、7F3、71A10、7F3 22D3、7F3com-2H2、7F3com-3H5または7F3com-3D4のアミノ酸配列を含みうる。該抗体は、1以上のアミノ酸残基置換をVHドメインおよび/またはVLドメインのフレームワーク領域に有する4D4、4D4H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、7F3、71A10、7F3 22D3、7F3com-2H2、7F3com-3H5または7F3com-3D4のアミノ酸配列を含みうる。フレームワーク領域のアミノ酸置換を行って、IL-9と抗体との結合を改善することができる。
IL-9と免疫特異的に結合する抗体は、可変領域およびフレームワーク領域に突然変異(例えば、1以上のアミノ酸残基の置換)を有する4D4、4D4H2-1 D11、4D4com-XF-9、4D4com-2F9、7F3、71A10、7F3 22D3、7F3com-2H2、7F3com-3H5または7F3com-3D4のアミノ酸配列を含みうる。可変領域およびフレームワーク領域のアミノ酸置換を行って、IL-9と抗体との結合を改善することができる。IL-9と免疫特異的に結合する抗体は当業者に公知のいずれの定常領域を含んでもよい。抗体の定常領域はヒトであってもよい。
IL-9に免疫特異的に結合するさらなる抗体は、抗体合成のための当該技術で公知の任意の方法、特に化学合成または好ましくは、組換え発現技術によって、作製することができる。
IL-9に免疫特異的に結合するポリクローナル抗体は、当該技術で周知の様々な方法によって産生することができる。例えば、IL-9ポリペプチドを、限定されるものでないが、ウサギ、マウス、ラットなどを含む様々な宿主動物に投与して、ヒト抗原に特異的なポリクローナル抗体を含む血清の産生を誘導することができる。様々なアジュバントを、宿主の種類に応じて免疫応答を亢進するために用いることができ、これらのアジュバントとしては、限定されるものでないが、フロイント(完全および不完全)、水酸化アルミニウムなどの鉱質ゲル、リゾレシチンなどの界面活性物質、プルロニックポリオール、ポリアニオン、ペプチド、油乳剤、キーホールリンペットヘモシアニン、ジニトロフェニル、およびBCG(bacille Calmette-Guerin)およびコリネバクテリウム(corynebacterium parvum)などの潜在的に有用なヒトアジュバントが挙げられる。かかるアジュバントは当技術分野においても周知である。
モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ、組み換え、およびファージディスプレイ技術、またはこれらの組合せの利用など、当技術分野で公知である多種多様な技術を用いて調製することができる。例えば、モノクローナル抗体は、当技術分野で公知であり、例えば、Harlowら, Antibodies:A Laboratory Manual, (Cold Spring Harbor Laboratory Press, 第2版, 1988);Hammerlingら, Monoclonal Antibodies and T-Cell Hybridomas 563-681(Elsevier, N.Y., 1981)(これらの参考文献は参照によりその全文が本明細書に組み入れる)に教示される技術を含むハイブリドーマ技術を用いて作製することができる。本明細書で用いられる用語「モノクローナル抗体」は、ハイブリドーマ技術により産生される抗体に限定されない。用語「モノクローナル抗体」は、任意の真核生物、原核生物、またはファージクローンなどの単一クローン由来の抗体を指し、それを作製する方法を意味するものではない。
ハイブリドーマ技法を用いて特異的抗体を産生し、スクリーニングする方法は、当技術分野では慣用されかつ周知である。概要を説明すると、マウスをIL-9ポリペプチドによって免疫感作し、一旦免疫応答が検出されると、例えば、IL-9に特異的な抗体がマウス血清中に検出されると、マウス脾臓を採取して脾細胞を単離する。その脾細胞を次いで、周知の技術によって任意の好適な骨髄腫細胞、例えばATCCから利用可能な細胞株SP20由来の細胞と融合する。ハイブリドーマを限界希釈法により選択し、クローニングする。さらに、RIMMS(repetitive immunization multiple sites;繰り返し免疫化複数部位)技術を用いて動物を免疫することができる(Kilptrackら, 1997, Hybridoma 16:381〜9、本文献は参照によりその全てが組み入れられる)。ハイブリドーマクローンを次いで、本発明のポリペプチドに結合可能な抗体を分泌する細胞について当技術分野で公知の方法によりアッセイする。一般に高レベルの抗体を含有する腹水は、陽性ハイブリドーマクローンを用いてマウスを免疫感作することによって作製することができる。
特異的なIL-9エピトープを認識する抗体フラグメントは、当業者に公知のいずれかの技術により産生することができる。例えば、本発明のFabおよびF(ab')2フラグメントは、パパイン(Fab断片を産生する)やペプシン(F(ab')2フラグメントを産生する)などの酵素を用いて、免疫グロブリン分子のタンパク質分解による切断によって産生することができる。F(ab')2断片は、可変領域、軽鎖の定常領域および重鎖のCH1ドメインを有する。さらに、本発明の抗体はまた、当技術分野で公知の様々なファージディスプレイ法を用いて作製することができる。
ファージディスプレイ法において、機能的な抗体ドメインは、それらをコードするポリヌクレオチド配列を保持するファージ粒子の表面上に提示される。特に、VHおよびVLドメインをコードするDNA配列は、動物のcDNAライブラリー(例えば、ヒトまたはマウスの罹患組織のcDNAライブラリー)から増幅される。VHおよびVLドメインをコードするDNAは、PCRによってscFvリンカーと共に組み換えられ、ファージミドベクター中にクローニングされる。そのベクターを大腸菌中にエレクトロポレートし、大腸菌はヘルパーファージに感染する。これらの方法で使用するファージは、典型的にはfdおよびM13を含む線状ファージであり、VHおよびVLドメインは、通常、遺伝子組換えによりファージ遺伝子IIIもしくは遺伝子VIIIに融合される。特定の抗原と結合する抗原結合ドメインを発現するファージは、抗原、例えば標識した抗原あるいは固体表面もしくはビーズと結合したまたは捕捉された抗原を用いて、選択または同定することができる。本発明の抗体を作製するのに利用しうるファージディスプレイ法の例としては、Brinkmanら, 1995, J. Immunol.Methods 182:41-50;Amesら, 1995, J. Immunol. Methods 184:177-186;Kettleboroughら, 1994, Eur. J. Immunol. 24:952-958;Persicら, 1997, Gene 187:9-18;Burtonら, 1994, Advances in Immunology 57:191-280;PCT出願 PCT/GB91/O1 134;国際公開 WO 90/02809、WO 91/10737、WO 92/01047、WO 92/18619、WO 93/11236、WO 95/15982、WO 95/20401、およびW0 97/13844;および米国特許第5,698,426号、第5,223,409号、第5,403,484号、第5,580,717号、第5,427,908号、第5,750,753号、第5,821,047号、第5,571,698号、第5,427,908号、第5,516,637号、第5,780,225号、第5,658,727号、第5,733,743号および第5,969,108号(それぞれ、本明細書に参照によりその全てが組み入れられる)に開示された方法が挙げられる。
上記参照に記載したように、ファージ選択の後、ファージ由来の抗体コード領域を単離しかつ使用して、ヒト抗体、または他のあらゆる所望の抗原結合フラグメントを含む全抗体を作製し、例えば、以下に記載したように、哺乳類細胞、昆虫細胞、植物細胞、酵母、および細菌を含むあらゆる所望の宿主中で発現させることができる。Fab、Fab'およびF(ab')2断片を遺伝子組換えで作製する技法はまた、PCT公開 WO 92/22324;Mullinaxら, 1992, Bio Techniques 12(6):864-869;Sawaiら, 1995, AJRI 34:26-34;およびBetterら, 1988, Science 240:1041-1043に開示された方法などの当技術分野で公知の方法を用いて使用することができる。
全抗体を作製するために、制限部位、制限部位を保護するフランキング配列、およびVHまたはVLヌクレオチド配列を含むPCRプライマーを用いて、scFvクローンのVHまたはVL配列を増幅することができる。当業者に公知のクローニング技術を利用して、PCR増幅したVHドメインをVH定常領域、例えばヒトγ4定常領域を発現するベクター中にクローニングすることができるし、PCR増幅したVLドメインをVL定常領域、例えばヒトκあるいはλ定常領域を発現するベクター中にクローニングすることができる。VHまたはVLドメインを発現するベクターは、EF-1αプロモーター、分泌シグナル、可変ドメイン、定常ドメインに対するクローニング部位、ならびにネオマイシンなどの選択マーカーを含んでもよい。VHおよびVLドメインを、必要な定常領域を発現する1つのベクター中にクローニングすることもできる。次いで、重鎖変換ベクターおよび軽鎖変換ベクターを細胞株中に共トランスフェクトし、当業者に公知の技術を用いて全長の抗体、例えばIgGを発現する安定したまたは一過性の細胞株を作製することができる。
IL-9と免疫特異的に結合する抗体はヒトまたはキメラ抗体であってもよい。ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン配列由来の抗体ライブラリーを用いて、上記ファージディスプレイ法を含む当技術分野で公知の様々な方法によって作製可能である。さらに、米国特許第4,444,887号および第4,716,111号;および国際公開WO 98/46645、WO 98/50433、WO 98/24893、W0 98/16654、WO 96/34096、WO 96/33735、ならびにWO 91/10741を参照されたい。
機能性内因免疫グロブリンを発現できないがヒト免疫グロブリン遺伝子を発現することができるトランスジェニックマウスを用いると、ヒト抗体を作製することができる。例えば、ヒト重鎖および軽鎖免疫グロブリン遺伝子複合体を、無作為にまたは相同組換えによりマウス胚幹細胞中に導入することができる。あるいは、ヒト重鎖および軽鎖遺伝子だけでなく、ヒト可変領域、定常領域、および多様性領域をマウス胚幹細胞中に導入することができる。ヒト免疫グロブリン遺伝子座の相同組換えによる導入と別にあるいは同時に、マウス重鎖および軽鎖免疫グロブリン遺伝子を非機能性にすることができる。特に、JH領域のホモ接合性欠失は、内因性抗体の産生を防止する。改変されたES細胞を拡大し、胚盤胞中にマイクロインジェクションすることにより、キメラマウスを作製する。次いで、キメラマウスを飼育し、ヒト抗体を発現するホモ接合性の子孫を作製する。トランスジェニックマウスを、選択した抗原、例えば本発明のポリペプチドの全部あるいは一部によって通常の方法で免疫感作する。抗原に対するモノクローナル抗体を、通常のハイブリドーマ技術を用いて免疫感作したトランスジェニックマウスから得ることができる。トランスジェニックマウスに内在するヒト免疫グロブリントランスジーンは、B細胞の分化中に再構成し、続いてクラススイッチおよび体細胞突然変異を経る。従って、かかる技術を用いて、治療に有用なIgG、IgA、IgMおよびIgE抗体を産生することができる。ヒト抗体を産生するこの技術の概要については、LonbergおよびHuszar(1995, Int.Rev.Immunol. 13:65-93)を参照されたい。ヒト抗体およびヒトモノクローナル抗体を産生するこの技法、ならびにかかる抗体を産生するためのプロトコルの詳細な考察については、例えば、PCT公開WO 98/24893、WO 96/34096、およびWO 96/33735;および米国特許第5,413,923号、第5,625,126号、第5,633,425号、第5,569,825号、第5,661,016号、第5,545,806号、第5,814,318号、および第5,939,598号を参照されたい。さらに、Abgenix, Inc. (Freemont, Calif.)、およびGenpharm (San Jose, Calif.)などの企業は上記と類似した技法を用いて、選択した抗原に対するヒト抗体を提供することに携わりうる。
キメラ抗体は、抗体の色々な部分が色々な免疫グロブリン分子から誘導された分子である。キメラ抗体を作製する方法は、当技術分野において公知である。例えば、Morrison, 1985, Science 229:1202;Oiら, 1986, Bio Techniques 4:214;Gilliesら, 1989, J. Immunol. Methods 125:191-202;および米国特許第5,807,715号、米国特許第4,816,567号、米国特許第4,816,397号、および米国特許第6,331,415号を参照されたい。
ヒト化抗体は、所定の抗原と結合することができ、実質的にヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を有するフレームワーク領域および実質的に非ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を有するCDRを含む抗体またはその変異体もしくはそのフラグメントである。ヒト化抗体は実質的に少なくとも1つおよび2つの可変ドメイン(Fab、Fab'、F(ab')2、Fabc、Fv)の全てを含み、そしてこの抗体において、全てあるいは実質的に全てのCDR領域は非ヒト免疫グロブリン(すなわちドナー抗体)の領域に対応しかつ全てあるいは実質的に全てのフレームワーク領域はヒト免疫グロブリンコンセンサス配列領域である。ヒト化抗体はまた、少なくとも免疫グロブリン定常領域(Fc)の一部、典型的にはヒト免疫グロブリンの一部を含む。通常、抗体は、軽鎖ならびに少なくとも重鎖の可変ドメインの両方を含有しうる。抗体はまた、重鎖のCH1、ヒンジ、CH2、CH3およびCH4領域を含んでもよい。ヒト化抗体は、IgM、IgG、IgD、IgAおよびIgEを含む免疫グロブリンのいずれかのクラスと、IgG1、IgG2、IgG3およびlgG4を含むいずれかのアイソタイプから選択することができる。通常、ヒト化抗体が細胞毒性活性を示すことが所望される場合、定常ドメインは補体結合性定常ドメインであり、そのクラスは典型的にはIgG1である。かかる細胞毒性活性が望ましくない場合、定常ドメインはIgG2クラスであってもよい。ヒト化抗体は、2以上のクラスまたはアイソタイプ由来の配列を含んでもよく、所望のエフェクター機能を最適化するために特定の定常ドメインを選択することは、当業者の技術の範囲内である。ヒト化抗体のフレームワーク領域およびCDR領域は親配列に正確に対応する必要がなく、例えば、ドナーCDRまたはコンセンサスフレームワークは、少なくとも1つの残基の置換、挿入または欠失によって変異誘発されうるので、その部位でのCDRまたはフレームワークの残基は、コンセンサスまたは導入抗体のいずれにも対応しない。かかる突然変異は、しかし、大規模ではないであろう。通常、少なくとも75%、または少なくとも90%、または少なくとも95%のヒト化抗体残基が親FRおよびCDR配列の残基と一致しうる。ヒト化抗体は当技術分野で公知の様々な技法を用いて作製することができ、前記技法には、限定されるものでないが、CDR移植(欧州特許EP 239,400;国際公開WO 91/09967;および米国特許第5,225,539号、第5,530,101号、および第5,585,089号)、ベニアリング(veneering)またはリサーフェイシング(resurfacing)(欧州特許 EP592,106およびEP519,596;Padlan, 1991, Molecular Immunology 28(4/5):489-498;Studnickaら, 1994, Protein Engineering 7(6):805-814;およびRoguskaら, 1994, PNAS 91:969-973)、チェインシャッフリング(chain shuffling)(米国特許第5,565,332号)、ならびに、例えば、米国特許第6,407,213号、第5,766,886号、WO9317105、Tanら, J. Immunol. 169:1119-25 (2002)、Caldasら, Protein Eng. 13(5):353-60 (2000)、Moreaら, Methods 20(3):267-79(2000)、Bacaら, J.Biol.Chem. 272(16):10678-84 (1997)、Roguskaら, Protein Eng. 9(10):895-904(1996)、Coutoら, Cancer Res. 55 (23Supp) :5973-5977 (1995)、Coutoら, Cancer Res. 55(8):1717-22 (1995)、Sandhu JS、Gene 150(2):409-10 (1994)、およびPedersenら, J.Mol.Biol. 235(3):959-73 (1994)が含まれる。フレームワーク領域におけるフレームワーク残基は、CDRドナー抗体由来の対応する残基で置換して、抗原結合を改変し、好ましくは改善することができる。これらのフレームワーク置換は、当技術分野で公知の方法、例えば、CDRとフレームワーク残基との相互作用をモデル化して抗原結合にとって重要なフレームワーク残基を同定し、配列比較して特定位置における異常なフレームワーク残基を同定することによって同定される(例えば、Queenら, 米国特許第5,585,089号;およびRiechmannら, 1988, Nature 332:323を参照)。
単一ドメイン抗体、例えば軽鎖を欠く抗体は、当技術分野で周知の方法によって作製することができる。Riechmannら, 1999, J. Immuno. 231:25-38;Nuttallら, 2000, Curr. Pharm. Biotechnol. 1(3):253〜263;Muylderman, 2001, J. Biotechnol. 74(4):277302;米国特許第6,005,079号;および国際公開WO 94/04678、WO 94/25591およびWO 01/44301を参照されたい。
以上考察したまたはそうでなく当業者に公知の方法のいずれかにより作製したIL-9に免疫特異的な抗体は、様々な手段で特徴付けることができる。例えば、IL-9に免疫特異的な抗体をIL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合する能力について試験してもよい。かかるアッセイは、溶液中で(例えば, Houghten, 1992, Bio/Techniques 13:412-421)、ビーズ上で(Lam, 1991, Nature 354:82-84)、チップ上(Fodor, 1993, Nature 364:555-556)、細菌上で(米国特許第5,223,409号)、胞子上で(米国特許第5,571,698号;第5,403,484号;および第5,223,409号)、プラスミド上で(Cullら, 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:1865-1869)またはファージ上(ScottおよびSmith, 1990, Science 249:386-390;Cwirlaら, 1990, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:6378-6382;およびFelici, 1991, J. Mol. Biol. 222:301-310)で実施することができる。IL-9と免疫特異的に結合することが同定された抗体を、次いで、IL-9ポリペプチドに対するその特異性およびアフィニティについてアッセイすることができる。
IL-9 抗体は、当該技術で公知の任意の方法によってIL-9ポリペプチドに対する免疫特異的結合や他の抗原との交差反応性についてアッセイすることができる。免疫特異的結合や交差反応性を分析するのに利用可能なイムノアッセイとしては、少し例を挙げると、限定されるものでないが、ウエスタンブロット、ラジオイムノアッセイ、ELISA(酵素結合イムノソルベントアッセイ)、「サンドイッチ」イムノアッセイ、免疫沈降アッセイ、沈降反応、ゲル内沈降反応、免疫拡散アッセイ、凝集アッセイ、補体結合アッセイ、免疫放射定量測定法、蛍光イムノアッセイ、プロテインAイムノアッセイなどの技法を用いる競合および非競合アッセイ系が挙げられる。かかるアッセイは当技術分野では慣用されかつ周知である(例えば、Ausubelら, 編, 1994, Current Protocols in Molecular Biology, Vol. 1, John Wiley & Sons, Inc., New Yorkを参照、これは参照により本明細書にその全てが組み入れられる)。例示のイムノアッセイを次に簡単に述べる(しかし、これは限定を意図するものではない)。
免疫沈降プロトコルは一般に、細胞集団を、タンパク質ホスファターゼおよび/またはプロテアーゼインヒビター(例えば、EDTA、PMSF、アプロチニン、バナジン酸ナトリウム)を補充したRIPAバッファー(1% NP-40またはTritonX-100、1%デオキシコール酸ナトリウム、0.1% SDS、0.15M NaCl、0.01Mリン酸ナトリウム(pH 7.2)、1%トラジロール)などの溶解バッファーに溶解するステップ、目的の抗体を細胞溶解液に加えるステップ、40℃である期間(例えば1〜4時間)インキュベートするステップ、プロテインAおよび/またはプロテインGセファロースビーズを細胞溶解液に加えるステップ、40℃で約1時間以上インキュベートするステップ、溶解バッファー中でビーズを洗浄するステップ、SDS/サンプルバッファーにビーズを再懸濁するステップを含む。目的の抗体が特定の抗原を免疫沈降させる能力は、例えばウエスタンブロット分析によって評価することができる。当業者は、抗原に対する抗体の結合を増強し、バックグラウンドを低減するために改変しうるパラメータを精通しているであろう(例えば、セファロースビーズで細胞溶解液を予備洗浄すること)。免疫沈降プロトコルに関するさらなる考察については、例えば、Ausubelら, 編, 1994, Current Protocols in Molecular Biology, Vol.1, John Wiley&Sons, Inc., New York の10.16.1を参照されたい。
ウエスタンブロット分析は、一般に、タンパク質サンプルを調製するステップ、ポリアクリルアミドゲル(例えば、抗原の分子量に依存して8%〜20%SDS-PAGE)におけるタンパク質サンプルの電気泳動、タンパク質サンプルをポリアクリルアミドゲルからニトロセルロース、PVDFまたはナイロンなどの膜に転写するステップ、ブロッキング溶液(例えば、3%BSAまたは脱脂乳を含むPBS)中での膜のインキュベーション、洗浄バッファー(例えば、PBS-Tween20)中での膜の洗浄、ブロッキングバッファーに希釈した一次抗体(目的の抗体)と共に膜をインキュベートするステップ、洗浄バッファー中で膜を洗浄するステップ、ブロッキングバッファーに希釈した、酵素基質(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼまたはアルカリホスファターゼ)または放射性分子(例えば、32Pまたは125I)とコンジュゲートした二次抗体(一次抗体、例えば抗ヒト抗体を認識する抗体)と共に膜をインキュベートするステップ、洗浄バッファー中で膜を洗浄するステップ、ならびに抗原の存在を検出するステップを含む。当業者は、シグナル検出を増加し、バックグラウンドノイズを低減するために改変しうるパラメータに精通しているであろう。ウエスタンブロットのプロトコルに関するさらなる考察は、例えば、Ausubelら, 編, 1994, Current Protocols in Molecular Biology, Vol.1, John Wiley & Sons, Inc., New York の10.8.1を参照されたい。
ELISAは、抗原を調製するステップ、96ウェルマイクロタイタープレートのウェルを抗原でコーティングするステップ、酵素基質(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼあるいはアルカリホスファターゼ)などの検出可能な化合物にコンジュゲートした目的の抗体をウェルに添加してある期間インキュベートするステップ、ならびに抗原の存在を検出するステップを含む。ELISAにおいて、目的の抗体を検出可能な化合物にコンジュゲートしないで、その代わり、検出可能な化合物とコンジュゲートした二次抗体(目的の抗体を認識する抗体)をウェルに添加してもよい。さらに、ウェルを抗原でコーティングする代わりに、抗体をウェルにコーティングしてもよい。この場合、検出可能な化合物にコンジュゲートした二次抗体は、コーティングしたウェルへ目的の抗原を添加した後に加えることができる。当業者は、検出シグナルを増加するために改変できるパラメーターならびに当技術分野で公知のELISAの他の変法に精通しているであろう。好ましい実施形態において、ELISAは高結合96-ウェルマイクロタイタープレート(Costar)をPBS中の2.mu.g/mlのrhu-IL-9で一晩コーティングすることにより実施することができる。PBSによって3回洗浄後、プレートをFabの3倍連続希釈で25℃にて1時間インキュベートする。PBSによってさらに3回洗浄後、1μg/ml抗ヒトκ-アルカリホスファターゼコンジュゲートを添加し、プレートを25℃にて1時間インキュベートする。PBSによって3回洗浄後、50μl/AMP/PPMP基質でアルカリホスファターゼ活性を測定する。反応を停止し、560nmでの吸光度をVMAXマイクロプレートリーダーを用いて決定する。ELISAに関するさらなる考察は、例えば、Ausubelら, 編, 1994, Current Protocols in Molecular Biology, Vol.1, John Wiley & Sons, Inc., New York の11.2.1を参照されたい。
抗体の抗原に対する結合アフィニティおよび抗体-抗原相互作用の解離速度は、競合結合アッセイによって決定することができる。競合結合アッセイの一例は、増加量の非標識抗原の存在下で、標識抗原(例えば、3Hまたは125I)と目的抗体とのインキュベーション、および標識抗原と結合する抗体の検出を含むラジオイムノアッセイである。本発明の抗体またはそのフラグメントのIL-9ポリペプチドに対するアフィニティおよび結合解離速度は、スキャッチャードプロット分析によるデータから決定することができる。第2抗体との競合も、ラジオイムノアッセイを用いて決定することができる。この場合、増加量の非標識第2抗体の存在下で、IL-9ポリペプチドを、標識化合物(例えば、3Hまたは125I)にコンジュゲートした本発明の抗体と共にインキュベートする。
BIAcore動力学解析を用いて、IL-9に免疫特異的な抗体の結合の結合速度および解離速度を決定する。BIAcore動力学解析は、本発明の固定した抗体をその表面に有するチップからのIL-9ポリペプチドの結合および解離を分析することを含む。典型的なBIAcore動力学試験では、上部に抗原を固定しておいたセンサーチップ表面上部に、0.005% Tween-20を含有するHBSバッファー中の様々の濃度の抗体試薬(mAb、Fab)250μLを注入する。流速は、75μL/分に一定に維持する。解離データを15分間、または必要に応じてさらに長く収集する。各注入/解離サイクル後に、結合したmAbを、希酸、典型的には10〜100mM HClの短い1分間パルスを用いることで抗原表面から除去するが、状況によっては他の再生剤を用いる。さらに具体的には、結合速度konおよび解離速度koffの測定のために、標準アミン共役物質、すなわちEDC/NHS法(EDC=N-ジエチルアミノプロピル-カルボジイミド)の使用を介して、抗原をセンサチップ表面上に直接に固定化する。概要を説明すると、10mM NaOAc中の抗原の5〜100nM溶液、pH4またはpH5を調製し、約30〜50RUの値の抗原が固定化されるまで、EDC/NHSで活性化した表面上を通過させる。この後、未反応の活性化エステルを、1M Et-NH2の注入によって取り外す。対照のために、同一の固定条件下で、抗原を含まないブランク表面を調製する。一旦適当な表面が調製されると、各抗体試薬の1つの好適な希釈シリーズをHBS/Tween-20で調製し、直列に接続した抗原と対照細胞表面の両方の上に通す。調製する抗体濃度の範囲は、平衡結合定数KDをどのくらいに見積もるかによって変わる。先に記載したように、各注入/解離サイクルの後、結合した抗体を適当な再生剤を用いて除去する。
IL-9に特異的な抗体はまた、当業者に公知のさらなる技術を用いて、その宿主細胞受容体に対するIL-9の結合を阻害する能力についてアッセイすることができる。例えば、抗体またはそのフラグメントの存在または不在下で、IL-9受容体を発現する細胞をIL-9と接触させ、IL-9の結合を阻害する抗体またはそのフラグメントの能力を、例えば、フローサイトメトリーまたはシンチレーションアッセイを用いて測定することができる。IL-9または抗体もしくは抗体フラグメントを、放射標識(例えば、32P、35Sおよび125I)または蛍光標識(例えば、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、フィコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o-フタルデハイドおよびフルオレサミン)などの検出可能な化合物で標識して、IL-9とその宿主細胞受容体の間の相互作用を検出できるようにする。あるいは、その受容体に対するIL-9の結合を阻害する抗体またはそのフラグメントの能力は、無細胞アッセイにおいて、決定することができる。例えば、IL-9ポリペプチドを、抗体またはそのフラグメントと接触させ、IL-9ポリペプチドのその宿主細胞受容体との結合を阻害する抗体または抗体フラグメントの能力を決定することができる。抗体または抗体フラグメントを固体支持体上に固定し、IL-9ポリペプチドを検出可能な化合物によって標識する。あるいは、IL-9ポリペプチドを固体支持体上に固定し、抗体またはそのフラグメントを検出可能な化合物によって標識する。IL-9は部分的にもしくは完全に精製されているか(例えば、部分的もしくは完全に他のポリペプチドから遊離されているか)、または細胞溶解液の一部であってもよい。さらに、IL-9ポリペプチドは、IL-9、誘導体、類似体またはその断片およびグルタチオニン-S-トランスフェラーゼなどのドメインを含む融合タンパク質であってもよい。あるいは、IL-9ポリペプチドを、当該技術で周知の技術(例えば、ビオチン化キット、Pierce Chemicals;Rockford, Ill.)を用いてビオチン化してもよい。
宿主細胞受容体に対するIL-9の結合を阻害する抗体またはフラグメントの能力は、細胞増殖アッセイによって測定することができる。例えば、ヒトおよびネズミのIL-9Rαの両方を発現するネズミTS1-RA3 T細胞株は、rhuIL-9(25ng/ml、R&D Systems)を含む増殖培地(DMEM)内で連続的に増殖させることができる。rhuIL-9の供給を中止すると、TS1-RA3は18〜24時間以内に細胞死を迎える。TS1-RA3細胞を、10%FBSおよび25ng/mlのrHu-IL9を補充したRPMI 1640(ATCC)培地内で増殖させる。アッセイに先立ち、細胞をIL-9を含まない培地で洗浄し、2ng/ml rhuIL-9を含有する培地に5X105細胞/mlで再懸濁する。細胞を、非結合の96ウェルブラッククリアボトムマイクロタイタープレート(100μL細胞/ウェル)に撒いて、次いで100mlの連続希釈した変異体Fabをプレートに加える。プレートを、37℃、5% CO2で72時間インキュベートする。20μL/ウェルのAlamarブルー(登録商標)を加え、細胞はさらに4〜5時間インキュベートする。細胞代謝を、555nmで励起し、590nmで発光する蛍光分光計を用いて定量する。宿主細胞受容体に対するIL-9の結合を阻害する抗体またはフラグメントの能力は、IL-9結合ELISAアッセイなどの細胞結合アッセイによって測定することもできる。例えば、96-ウェルELISAプレートの各ウェルを、100μLの本発明のIL-9抗体または抗体フラグメントによって、2〜8℃で一晩コーティングする。プレートは、PBS/0.5% Tween-20バッファーで3回洗浄し、PBS/0.1% Tween-20バッファー、1%(w/v)BSAによって室温で1時間ブロッキングする。プレートの洗浄後、100μLの参照標準、サンプルおよび対照を、アッセイプレートに加え、室温で1時間インキュベートする。洗浄後、100μLの西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)で標識したヤギ抗ヒトIgGを、1:15,000希釈でアッセイプレートに添加する。1時間インキュベーション後、プレートを洗浄し、100μL/ウェルの3,3',5,5'-テトラメチルベンジジン(TMB)基質をプレートに添加し、暗所、室温で10分間インキュベートする。酵素反応を、50μL/ウェルの2N硫酸の添加によって停止する。450nmでの吸光度を、マイクロプレートリーダーを用いて測定する。サンプルを、サンプル曲線の対照標準曲線に対する平行度に基づいて合格/不合格として処理し、サンプルのED50値は3.91〜31.91ng/mLの範囲に入る。
小分子IL-9のインヒビター
本方法に包含される方法で使用するIL-9のインヒビターはIL-9の小分子インヒビターであってもよい。IL-9の小分子インヒビターには、タンパク質、天然のタンパク質または天然タンパク質の断片、または人工的に誘導されたタンパク質が含まれる。IL-9のインヒビターは約5〜約30アミノ酸、または約5〜約20アミノ酸、または約7〜約15アミノ酸から成るペプチドであってもよい。ペプチドは天然タンパク質、またはランダムなペプチド、または「偏った」ランダムなペプチドの消化物であってもよい。ランダムなペプチドは本質的に、しばしば化学合成されるアミノ酸のランダムな配列である。これらのペプチドは、ある配列の全長にわたってアミノ酸残基の可能な組合わせの全てまたはほとんどの形を生じるように設計した合成プロセスにより作製することができる。かかるライブラリーは、いずれの位置におけるいずれのアミノ酸残基についても配列選択または定形を有しない。あるいは、ライブラリーは偏ったランダムなペプチドを含んで、すなわち、アミノ酸配列内のいくつかの残基位置は一定に保持されるか、または限られた数の可能性から選択されてもよい。
小分子は化合物であってもよい。IL-9の小分子化合物インヒビターは、現存のまたは新しく合成したコンビナトリアル化学ライブラリーから同定することができる。コンビナトリアル化学ライブラリーは、いくつもの試薬などの化学「ビルディングブロック」を組合わせることによる化学合成により作製された多様な化合物のコレクションである。例えば、数百万種類の化合物を、化学「ビルディングブロック」のかかるコンビナトリアル混合を介して合成することができる(Gallopら, J. Med. Chem. 37(9): 1233-1251 (1994))。
いくつもの周知のロボットシステムもソリューションフェーズケミストリー(solution phase chemistries)のために開発されている。これらのシステムとしては、Takeda Chemical Industries、LTD.(Osaka、Japan)が開発した自動合成装置などの自動ワークステーションおよび化学者が実施する手動合成操作を模擬するロボットアーム(Zymate II, Zymark Corporation, Hopkinton, Mass.;Orca, Hewlett-Packard, Palo Alto, Calif.)を利用する多数のロボットシステムが挙げられる。上記デバイスは、適当な改変を施すと、コンビナトリアル ライブラリーを調製するのに好適である。さらに、多数のコンビナトリアル ライブラリーそのものが市販されている(例えば、ComGenex, Princeton, N.J.;Asinex, Moscow、Ru;Tripos, Inc., St. Louis, Mo.;ChemStar, Ltd, Moscow, RU;3D Pharmaceuticals, Exton, Pa.;Martek Biosciences, Columbia, Md.などを参照)。
一般に、コンビナトリアル化学ライブラリーは当業者に周知である。かかるコンビナトリアル化学ライブラリーとしては、限定されるものでないが、ペプチドライブラリー(例えば、米国特許第5,010,175号、Furka, Pept. Prot. Res. 37: 487-493 (1991)、Houghtonら, Nature, 354: 84-88 (1991)を参照)、ペプトイド(PCT公報 WO 91/19735)、コードされたペプチド(PCT公報 WO 93/20242)、ランダムなバイオオリゴマー (PCT公報 WO 92/00091)、ベンゾジアゼピン(米国特許第5,288,514号)、ヒダントイン、ベンゾジアゼピンおよびジペプチドなどのダイバーソーマー(diversomer)(Hobbsら, Proc. Nat. Acad. Sci. USA 90: 6909-6913 (1993))、ビニローグのポリペプチド(Hagiharaら, J. Amer. Chem. Soc. 114: 6568 (1992))、β-D-グルコース スカフォールドをもつ非ペプチドのペプチドミメチック(Hirschmannら, J. Amer. Chem. Soc. 114: 9217-9218 (1992))、小化合物ライブラリーの類似有機合成物(Chenら, J. Amer. Chem. Soc. 116: 2661 (1994))、オリゴカルバメート(Cho,ら, Science 261: 1303 (1993))、および/またはペプチジルホスホネート(Campbellら, J. Org. Chem. 59: 658 (1994))が挙げられる。また、全般(Gordonら, J. Med. Chem. 37: 1385 (1994))、核酸ライブラリー(例えば、 Stratagene、Corp.を参照)、ペプチド核酸ライブラリー(例えば、米国特許第5,539,083号を参照)、抗体ライブラリー(例えば、Vaughnら, Nature Biotechnology 14(3): 309-314 (1996)、およびPCT/US 96/10287を参照)、糖類ライブラリー(例えば、Liangら, Science 274: 1520-1522 (1996)、および米国特許第5,593,853号を参照)、および小有機分子ライブラリー(例えば、ベンゾジアゼピン、Baum, C&EN, January 18、page 33 (1993);イソプレノイド、米国特許第5,569,588号;チアゾリジノンおよびメタチアザノン、米国特許第5,549,974号;ピロリジン、米国特許第5,525,735号および第5,519,134号;モルホリノ化合物、米国特許第5,506,337号;ベンゾジアゼピン、米国特許第5,288,514号などを参照)も参照されたい。コンビナトリアル ライブラリーを調製するためのデバイスは市販されている(例えば、357 MPS、390 MPS、Advanced Chem Tech, Louisville Ky.、Symphony, Rainin, Woburn, Mass., 433A Applied Biosystems, Foster City, Calif.、9050 Plus, Millipore, Bedford, Mass.を参照)。
IL-9の小分子インヒビターは、スクリーニングによりライブラリーから同定することができる。ハイスループットスクリーニング(HTS)法をスクリーニング分析に使うことができる。ハイスループットスクリーニング法は、多数の小分子を含有するライブラリーを提供するステップおよび、次いで1以上のアッセイでスクリーニングし、所望の特徴的活性、例えばIL-9のIL-9受容体との相互作用を阻害する活性を提示するライブラリーメンバー(特別な化学種またはサブクラス)を同定するステップに関わる。同定した化合物は通常のリード化合物となりうるしまたはそれ自体が潜在的なまたは現実的な治療薬として用いることができる。IL-9相互作用を検出するために、JAK1およびJAK3チロシンキナーゼのIL-9介在性リン酸化などのIL-9介在性シグナル伝達を検出するアッセイを用いてもよい。特定のポリペプチドの存在、非存在、定量、または他の特性を評価するための他のハイスループットアッセイは当業者に周知である。
さらに、ハイスループットスクリーニングシステムは市販されている(例えば、 Zymark Corp., Hopkinton, Mass.;Air Technical Industries, Mentor, Ohio;Beckman Instruments, Inc., Fullerton, Calif.;Precision Systems, Inc., Natick, Mass.などを参照)。これらのシステムは、典型的には、アッセイに適当な、サンプルおよび試薬ピペッティング、液体調剤、時間計画によるインキュベーション、および検出器のマイクロプレートの最終読取りを含む操作を自動化している。これらの計画可能なシステムは、ハイスループットおよび高速スタートアップならびに高度の柔軟性とカスタマイズを提供する。かかるシステムの製造業者は様々なハイスループットシステムに対する詳細なプロトコルを提供している。そして、例えば、Zymark Corp.は遺伝子転写のモジュレーション、リガンド結合などを検出するスクリーニングシステムを記載する技術資料を提供している。
本発明の方法で使用しうる小分子はモノボディであっても、または抗体模倣物であってもよい。これらの分子は、目的の分子、例えば、IL-9またはIL-9受容体と結合するように設計することができるペプチドドメイン、例えばフィブロネクチンドメインを含む。かかるドメイン、かかるドメインの作製、およびかかるドメインのスクリーニングの記載は、例えば、米国特許第6,673,901号、第7,153,661号ならびに米国特許出願公開第2005-0048512号および第2006-0223114号に見出すことができる。
本発明の方法に利用できる他の小分子は可溶性IL-9受容体ポリペプチドでありうる。可溶性IL-9受容体ポリペプチドは、米国特許第6,602,850号に記載されている。
さらに本発明の方法に使うことができる他の小分子は化学化合物である。かかる化合物には、例えば、3-アミノステロイド化合物が含まれる。例えば、米国特許第7,074,778号を参照されたい。
IL-9のインヒビターではない治療薬
本発明が包含する方法は、IL-9に特異的な抗体だけでなく、IL-9に特異的な抗体でない治療薬を使用することができる。かかる治療薬としては、限定されるものでないが、小分子、合成薬、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、核酸(例えば、限定されるものでないが、アンチセンスヌクレオチド配列、三重ヘリックス、RNAi、および生物学的活性タンパク質、ポリペプチドまたはペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むDNAおよびRNAヌクレオチド)抗体、合成または天然の無機分子、ミメチック剤、および合成または天然の有機分子が挙げられる。
障害に関連する1以上の症候群を予防し、管理し、治療し、および/または改善するのに有用であることが知られているまたは使用されてきたもしくは現在使用されているいずれかの治療薬を、IL-9ポリペプチドに免疫特異的に結合する抗体と併用することができる。例えば、障害を予防し、治療し、管理し、および/または改善するために使用されてきたもしくは現在使用されている療法、特に予防薬もしくは治療薬に関する情報としては、Gilmanら, Goodman and Gilman's: The Pharmacological Basis of Therapeutics, 第10版, McGraw-Hill, New York, 2001;The Merck Manual of Diagnosis and Therapy, Berkow, M. D.ら(編), 第17版, Merck Sharp & Dohme Research Laboratories, Rahway, N.J., 1999;ならびにCecil Textbook of Medicine, 第20版, BennettおよびPlum (編), W.B. Saunders, Philadelphia, 1996を参照されたい。予防薬および治療薬の例としては、限定されるものではないが、免疫調節剤、抗炎症薬(例えば副腎コルチコイド類、副腎皮質ステロイド類(例えば、ベクロメタゾン、ブデソニド、フルニソリド、フルチカゾン、トリアムシノロン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、ヒドロコルチゾン)、糖質コルチコイド類、ステロイド類、非ステロイド抗炎症薬類(例えば、アスピリン、イブプロフェン、ジクロフェナク、およびCOX-2インヒビター類)、およびロイコトリエンアンタゴニスト(例えば、モンテルカスト、メチルキサンチン類、ザフィルルカスト、およびジレウトン)、ベータ2-アゴニスト(例えば、アルブテロール、ビテロール、フェノテロール、イソエタリン、メタプロテレノール、ピルブテロール、サルブタモール、テルブタリンホルモテロール、サルメテロール、およびサルブタモールテルブタリン)、抗コリン薬(例えば、臭化イプラトロピウムおよび臭化オキシトロピウム)、スルファサラジン、ペニシラミン、ダプソン、抗ヒスタミン薬類、抗マラリヤ薬類(例えば、ヒドロキシクロロキン)、抗ウイルス薬類、および抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(旧名アクチノマイシン)、ブレオマイシン、エリスロマイシン、ペニシリン、ミトラマイシン、およびアントラマイシン(AMC))が挙げられる。
免疫調節治療薬
当業者に周知のいずれの免疫調節薬も、本発明の方法に使用することができる。免疫調節薬は、被験者において免疫応答の1つもしくは複数のまたは全ての態様に影響を与えることができる。免疫応答の態様としては、限定されるものではないが、炎症性応答、補体カスケード、白血球およびリンパ球の分化、増殖、および/またはエフェクター機能、単球および/または好塩基球の数、および免疫系の細胞間の細胞コミュニケーションが挙げられる。ある特定の実施形態において、免疫調節薬は免疫応答の一態様を調節する。他の実施形態においては、免疫調節薬は免疫応答の2以上の態様を調節する。免疫調節薬は被験者の免疫応答能力の1以上の態様を阻害または低減することができる。免疫調節薬は被験者の免疫応答を阻害または抑制することができる。
免疫調節薬の例としては、限定されるものでないが、サイトカイン、ペプチドミメチック、および抗体(例えば、ヒト、ヒト化、キメラ、モノクローナル、ポリクローナル、Fv、ScFv、FabもしくはF(ab)2フラグメントまたはエピトープ結合断片)などのタンパク質薬剤、核酸分子(例えば、アンチセンス核酸分子および三重螺旋)、小分子、有機化合物、および無機化合物が挙げられる。免疫調節薬としては、限定されるものでないが、メトトレキセート、レフルノミド、シクロホスファミド、サイトキサン、イムラン、シクロスポリンA、ミノサイクリン、アザチオプリン、抗生物質(例えば、FK506(タクロリムス))、メチルプレドニゾロン(MP)、副腎皮質ステロイド類、ステロイド類、ミコフェノール酸モフェチル、ラパマイシン(シロリムス)、ミゾリビン、デオキシスパガリン、ブレキナール、マロノニトリロアミド類(例えば、レフルナミド)、T細胞受容体調節薬、サイトカイン受容体調節薬、および肥満細胞調節薬を含む。
T細胞受容体調節薬の例としては、限定されるものではないが、抗T細胞受容体抗体(例えば、抗CD4抗体(例えば、cM-T412(Boeringer)、IDEC-CE9.1(登録商標)(IDECおよびSKB)、mAB 4162W94、オルソクローンおよびOKTcdr4a(Janssen-Cilag))、抗CD3抗体(例えばNuvion(Product Design Labs)、OKT3(Johnson & Johnson)、またはリツキサン(IDEC)、抗CD5抗体(例えば、抗CD5リシン連結イムノコンジュゲート)、抗CD7抗体(例えば、CHH-380(Novartis))、抗CD8抗体、抗CD40リガンドモノクローナル抗体(例えば、IDEC-131(IDEC))、抗CD52抗体(例えば、CAMPATH 1H(Ilex))、抗CD2抗体(例えば、シプリズマブ(MedImmune、Inc.、国際公開WO 02/098370号および国際公開WO 02/069904))、抗CD11a抗体(例えば、Xanelim(Genentech))、および抗B7抗体(例えば、IDEC-114)(IDEC))、CTLA4-免疫グロブリン、およびLFA-3TIP(Biogen、国際公開WO 93/08656および米国特許第6,162,432号)が挙げられる。
サイトカイン受容体調節薬の例としては、限定されるものでないが、可溶性サイトカイン受容体(例えば、TNF-α受容体の細胞外ドメインまたはその断片、IL-1β受容体の細胞外ドメインまたはその断片、およびIL-6受容体の細胞外ドメインまたはその断片)、サイトカインまたはその断片(例えばインターロイキンIL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-13、IL-15、IL-23、TNF-α、TNF-β、インターフェロン(IFN)-α、IFN-β、IFN-γ、およびGM-CSF)抗サイトカイン受容体抗体(例えば、抗IFN受容体抗体、抗IL-2受容体抗体(例えば、ゼナパックス(Protein Design Labs)、抗IL-3受容体抗体、抗IL-4受容体抗体、抗IL-6受容体抗体、抗IL-10受容体抗体、抗IL-12受容体抗体、抗IL-13受容体抗体、抗IL-15受容体抗体、および抗IL-23受容体抗体)、抗サイトカイン抗体(例えば抗IFN抗体、抗TNF-α抗体、抗IL-1β抗体、抗IL-3抗体、抗IL-6抗体、抗IL-8抗体、(例えばABX-IL-8(Abgenix))抗IL-12抗体、抗IL-13抗体、抗IL-15抗体、抗IL-23抗体)が挙げられる。
サイトカイン受容体調節薬は肥満細胞調節薬であってもよい。あるいは、サイトカイン受容体調節薬は肥満細胞調節薬でなくてもよい。肥満細胞調節薬の例としては、限定されるものでないが、幹細胞刺激因子(c-キット受容体リガンド)インヒビター(例えば、mAb7H6、mAb8H7a、pAb1337、FK506、CsA、デキサメタゾン、およびフルコンシノニド)、c-キット受容体インヒビター(例えば、STI571(旧名CGP57148B))、肥満細胞プロテアーゼインヒビター(例えば、GW-45、GW-58、ワートマニン、LY294002、カルホスチンC、サイトカラシンD、ゲニステイン、KT5926、スタウロスポリン、およびラクトフェリン)、リラキシン(RLX)、IgEアンタゴニスト(例えば、抗体rhuMAb-E25オマリズマブ、HMK-12および6HD5、およびmAB Hu-901)、IL-3アンタゴニスト、IL-4アンタゴニスト、IL-10アンタゴニスト、およびTGF-ベータが挙げられる。
免疫調節薬は、Tヘルパーサブセット(TH1またはTH2)とB細胞との間の相互作用を妨害して中和抗体の形成を阻害するように選択してもよい。TH(Tヘルパー)細胞によるB細胞の活性化に必要な相互作用を妨害するかまたはブロックして、それにより中和抗体の産生をブロックする抗体が、本発明の方法における免疫調節薬として有用でありうる。例えば、T細胞によるB細胞活性化は、Tヘルパー細胞上のCD40リガンドとB細胞上のCD40抗原との結合、ならびにT細胞上のCD28および/またはCTLA4リガンドとB細胞上のB7抗原との結合などの、ある特定の相互作用が生じることを必要とする(Durieら, Immunol. Today, 15(9):406-410 (1994))。両者の相互作用なしに、B細胞を活性化して中和抗体の産生を誘導することはできない。
CD40リガンド(CD40L)-CD40相互作用を、本発明に包含される免疫応答をブロックする方法に使用することができる。これは、TH細胞上のCD40リガンドをブロックしてTヘルパー細胞上のCD40リガンドとB細胞上のCD40抗原との正常な結合を妨害する薬剤を用いて、治療することにより達成できる。CD40リガンドに対する抗体(抗CD40L)(Bristol-Myers Squibb Co.から入手可能、例えば、欧州特許出願第555,880号(1993年8月18日公開)を参照されたい)または可溶性CD40分子を選択し、免疫調節薬として使用することができる。
免疫調節薬は、TH1細胞と細胞傷害性Tリンパ球(CTL)の間の相互作用を阻害してCTL媒介死滅の発生を低減するように選択してもよい。免疫調節薬は、CD4+および/またはCD8+T細胞の増殖、分化、活性および/または機能を改変する(例えば、阻害または抑制する)ように選択してもよい。例えば、T細胞に特異的な抗体を免疫調節薬として使用し、CD4+および/またはCD8+T細胞の増殖、分化、活性および/または機能を枯渇させたり、改変させたりすることができる。
免疫調節薬はT細胞を低減または枯渇してもよい。免疫調節薬はCD8+T細胞を不活化する、例えば、抗CD8抗体を用いてCD8+T細胞を低減または枯渇することができる。
他の実施形態において、免疫調節薬は、CD4+Tヘルパー細胞のTH0、TH1、および/またはTH2サブセットの1以上の生物学的活性(例えば、分化、増殖、および/またはエフェクター機能)を低減するかまたは阻害してもよい。かかる免疫調節薬の一例はIL-4である。IL-4はTH1細胞機能を犠牲にしてTH2細胞の抗原特異的活性を増強する(例えば、Yokotaら, 1986 Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 83:5894-5898;および米国特許第5,017,691号を参照されたい)。Tヘルパー細胞(特に、TH1および/またはTH2細胞)の生物学的活性(例えば、増殖、分化、および/またはエフェクター機能)に影響を与える免疫調節薬の他の例としては、限定されるものでないが、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-10、IL-12、IL-13、IL-15、IL-23およびインターフェロン(IFN)-γが挙げられる。
免疫調節薬は抗原提示を防止するサイトカインであってもよい。かかるサイトカインはIL-10であってもよい。IL-10も細菌排除に関わるマクロファージ作用を低減または阻害する。
免疫調節薬は、肥満細胞の活性化、脱顆粒、増殖、および/または浸潤を低減または阻害する薬剤であってもよい。これらの薬剤は、限定されるものではないが、幹細胞刺激因子(c-キットリガンド)、IgE、IL-4、環境刺激物質、および感染症薬を含む。免疫調節薬は、限定されるものではないが、花粉、ダニ粉塵、タバコの煙、および/またはペットのふけなどの環境刺激物質に対する肥満細胞の応答を低減または阻害することができる。免疫調節薬は、ウイルス類、細菌類、および真菌類などの感染因子に対する肥満細胞の応答を低減または阻害することができる。肥満細胞の活性化、脱顆粒、増殖、および/または浸潤を低減または阻害させる肥満細胞調節薬の例としては、限定されるものではないが、幹細胞刺激因子(c-キット受容体リガンド)インヒビター(例えば、mAb 7H6、mAb 8H7a、およびpAb 1337(Mendiazら, 1996、Eur J Biochem 293(3):842-849を参照)、FK506およびCsA(Itoら, 1999 Arch Dermatol Res 291(5):275-283)、デキサメサゾンおよびフルコンシノニド(Finootoら J Clin Invest 1997 99(7): 1721-1728を参照)、c-kit受容体インヒビター(例えばSTI571(以前はCGP57148Bとして知られた)(Heinrichら, 2000 Blood 96(3):925-932を参照))、肥満細胞プロテアーゼインヒビター(例えばGW-45およびGW-58(Temkinら, 2002 J Immunol 169(5):2662-2669を参照)、ワートマニン、LY 294002、カルホスチンC、およびサイトカラシンD(Vossellerら, 1997, Mol Biol Cell 1997:909-922を参照)、ゲニステイン、KT5926、およびスタウロスポリン(Nagaiら, 1995, Biochem Biophys Res Commun 208(2):576-581を参照)、およびラクトフェリン、(Heら, 2003 Biochem Pharmacol 65(6):1007-1015を参照)、リラキシン(RLX)(Baniら, 2002 Int Immunopharmacol 2(8):1195-1294を参照)、IgEアンタゴニスト(例えば、抗体rhuMAb-E25オマリズマブ(Finnら, 2003 J Allergy Clin Immuno 111(2):278-284;Correnら, 2003 J Allergy Clin Immuno 111(1):87-90;BusseおよびNeaville、2001 Curr Opin Allergy Clin Immuno 1(1):105-108;およびTangおよびPowell、2001、Eur J Pediatr 160(12): 696-704を参照)、HMK-12および6HD5(Miyajimaら, 2202 Int Arch Allergy Immuno 128(1):24-32を参照)、およびmAB Hu-901(van Neervenら, 2001 Int Arch Allergy Immuno 124(1-3):400を参照)、IL-3アンタゴニスト、IL-4アンタゴニスト、IL10アンタゴニスト、およびTGF-β(Metcalfeら, 1995、Exp Dermatol 4(4 Pt 2):227-230を参照)が挙げられる。
抗血管形成療法
当業者に周知のいずれの抗血管形成剤を、本発明の組成物および方法に使用してもよい。抗血管形成剤の例は、限定されるものでないが、血管形成を低減するかまたは阻害するタンパク質、ポリペプチド類、ペプチド類、融合タンパク質、TNF-αと免疫特異的に結合する抗体などの抗体(例えば、ヒト、ヒト化、キメラ、モノクローナル、ポリクローナル、Fv、ScFv、Fabフラグメント、F(ab)2フラグメント、およびそれらの抗原結合断片)、核酸分子(例えば、アンチセンス分子または三重螺旋)、有機分子、無機分子、および小分子を含む。特に、抗血管形成剤の例は、限定されるものでないが、エンドスタチン、アンギオスタチン、アポミグレン、抗血管形成性アンチトロンビンIII、フィブロネクチンの29kDa N末端および40kDa C末端タンパク分解性断片、uPA受容体アンタゴニスト、プロラクチンの16kDaタンパク分解性断片、血小板因子-4の7.8 kDaタンパク分解性断片、血小板因子-4の抗血管形成性24アミノ酸断片、13.40と名付けられた抗血管形成因子、トロンボスポンジンIの抗血管形成性22アミノ酸ペプチド断片、SPARCの抗血管形成性20アミノ酸ペプチド断片、RGDおよびNGRを含有するペプチド、ラミニン、フィブロネクチン、プロコラーゲンおよびEGFの小さい抗血管形成ペプチド、インテグリンαVβ3アンタゴニスト、酸性繊維芽細胞増殖因子(aFGF)アンタゴニスト、塩基性繊維芽細胞増殖因子(bFGF)アンタゴニスト、血管内皮増殖因子(VEGF)アンタゴニスト(例えば、抗VEGF抗体)、およびVEGF受容体(VEGFR)アンタゴニスト(例えば、抗VEGFR抗体)を含む。
インテグリンαVβ3アンタゴニストの例としては、限定されるものでないが、非触媒性メタロプロテイナーゼ断片、RGDペプチド、ペプチドミメチック、融合タンパク質、ディスインテグリンまたはそれらの誘導体もしくは類似体、およびインテグリンαVβ3と免疫特異的に結合する抗体などのタンパク様物質、核酸分子、有機分子、および無機分子が挙げられる。インテグリンαVβ3と免疫特異的に結合する抗体の例としては、限定されるものでないが、11D2(Searle社)、LM609(Scripps社)、およびバイタクシン(登録商標)(MedImmune社)が挙げられる。小分子ペプチドミメチックインテグリンαVβ3アンタゴニストの例としては、限定されるものでないが、S836(Searle社)およびS448(Searle社)が挙げられる。ディスインテグリンの例としては、限定されるものでないが、アキュチン(Accutin)が挙げられる。本発明はまた、本発明の組成物および方法における、以下の米国特許および国際公開に開示されたいずれのインテグリンαVβ3アンタゴニストの使用も包含する:米国特許第5,149,780号、第5,196,511号、第5,204,445号、第5,262,520号、第5,306,620号、第5,478,725号、第5,498,694号、第5,523,209号、第5,578,704号、第5,589,570号、第5,652,109号、第5,652,110号、第5,693,612号、第5,705,481号、第5,753,230号、第5,767,071号、第5,770,565号、第5,780,426号、第5,817,457号、第5,830,678号、第5,849,692号、第5,955,572号、第5,985,278号、第6,048,861号、第6,090,944号、第6,096,707号、第6,130,231号、第6,153,628号、第6,160,099号、および第6,171,588号、および国際公開WO 95/22,543、WO 98/33,919、WO 00/78,815、およびWO 02/070,007。
抗血管形成剤はエンドスタチンであってもよい。天然のエンドスタチンは、コラーゲンXVIIIのC末端がほぼ180アミノ酸からなる(コラーゲンXVIIIの2つのスプライス型をコードするcDNAはGen Bank受託番号AF18081およびAF18082を有する)。抗血管形成剤はプラスミノーゲン断片であってもよい(プラスミノーゲンのコード配列はGen Bank受託番号NM_000301およびA33096で見出すことができる)。アンギオスタチンペプチドは天然ではプラスミノーゲンの4つのクリングル(kringle)ドメイン、すなわちクリングル1〜クリングル4を含む。組換えクリングル1、2および3は天然のペプチドの抗血管形成特性を有するが、クリングル4はかかる活性を有しないことが実証されている(Caoら, 1996, J. Biol. Chem. 271:29461-29467)。アンギオスタチンペプチドは、クリングル1、クリングル2およびクリングル3からなる群から選択される、少なくとも1以上のクリングルドメインを含む。抗血管形成ペプチドは、ヒトアンギオスタチン分子の40kDaイソ型、ヒトアンギオスタチン分子の42kDaイソ型、ヒトアンギオスタチン分子の45kDaイソ型、またはそれらの組合せであってもよい。抗血管形成剤は、プラスミノーゲンのクリングル5ドメインであってもよい。抗血管形成剤はアンチトロンビンIIIであってもよい。アンチトロンビンIIIは、本明細書で以後アンチトロンビンと呼ぶが、タンパク質を脈管構造壁に係留するヘパリン結合ドメイン、およびトロンビンと相互作用する活性部位ループを含む。アンチトロンビンがヘパリンに係留すると、タンパク質はコンフォメーションの変化を誘発し、活性ループがトロンビンと相互作用できるようになり、前記ループのトロンビンによるタンパク分解性切断が起こる。タンパク分解性切断事象が起こると、アンチトロンビンのコンフォメーションはさらに変化し、(i)トロンビンとアンチトロンビンの間の相互作用界面を改変し、かつ(ii)その複合体をヘパリンから遊離する(Carrell, 1999, Science 285:1861-1862およびその参考文献)。O'Reillyら(1999, Science 285:1926-1928)は、切断されたアンチトロンビンが強力な抗血管形成活性を有することを発見した。抗血管形成剤は、アンチトロンビンの抗血管形成型である。抗血管形成剤はフィブロネクチンの40kDaおよび/または29kDaタンパク分解性断片であってもよい。
抗血管形成剤はウロキナーゼプラスミノーゲンアクチベータ(uPA)受容体アンタゴニストまたはuPAの優性ネガティブ突然変異体(例えば、Crowleyら, 1993, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:5021-5025を参照)であってもよい。アンタゴニストは、ペプチドアンタゴニストまたはその融合タンパク質であってもよい(Goodsonら, 1994, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:7129-7133)。アンタゴニストは優性ネガティブ可溶性uPA受容体であってもよい(Minら, 1996, Cancer Res. 56:2428-2433)。アンタゴニストは、約120個のアミノ酸またはその生物学的活性断片を含む、プロラクチンの16kDa N末端断片であってもよい(プロラクチンのコード配列は、Gen Bank受託番号NM_000948に見出しうる)。抗血管形成剤は、7.8kDa血小板因子-4断片であってもよい。抗血管形成剤は、血小板因子-4の抗血管形成性の13アミノ酸断片、13.40と名付けられる抗血管形成因子に対応する小ペプチド、トロンボスポンジンIの抗血管形成性の22アミノ酸ペプチド断片、SPARCの抗血管形成性の20アミノ酸ペプチド断片、ラミニン、フィブロネクチン、プロコラーゲン、もしくはEGFの小さい抗血管形成ペプチド、またはインテグリンαvβ3もしくはVEGF受容体の小さいペプチドアンタゴニストであってもよい。抗血管形成剤はTNF-αアンタゴニストであっても、またはなくてもよい。
抗血管形成活性を有するタンパク質、ポリペプチド類もしくはペプチド類をコードする核酸分子、または抗血管形成活性を有するタンパク質、ポリペプチド類もしくはペプチド類を被験者に投与することができる。
抗血管形成剤として利用しうるタンパク質、ポリペプチド類、もしくはペプチド類は、当業者に周知のまたは本明細書で記載したいずれかの技法により生産することができる。抗血管形成活性を有するタンパク質、ポリペプチド類、またはペプチド類は、当業者に周知のまたは本明細書で記載した技法を利用して、かかるタンパク質、ポリペプチド類、またはペプチド類のin vivo半減期を増加するように遺伝子操作で作製することができる。市販されている抗血管形成剤を、本発明に包含される組成物および方法に使用することができる。薬剤の抗血管形成薬活性は、当業者に周知のいずれかの技法によりin vitroおよび/またはin vivoで決定することができる。
TNF-αアンタゴニスト
当業者に周知のいずれのTNF-αアンタゴニストを本発明の方法に使用してもよい。TNF-αアンタゴニストの例としては、限定されるものでないが、TNF-αの機能、活性および/または発現をブロックし、低下し、阻害しまたは中和するタンパク質、ポリペプチド類、ペプチド類、融合タンパク質、TNF-αと免疫特異的に結合する抗体などの抗体(例えば、ヒト、ヒト化、キメラ、モノクローナル、ポリクローナル、Fv、ScFv、Fabフラグメント、F(ab)2フラグメント、およびそれらの抗原結合断片)、核酸分子(例えば、アンチセンス分子または三重螺旋)、有機分子、無機分子、および小分子が挙げられる。様々な実施形態において、TNF-αアンタゴニストは、TNF-αの機能、活性および/または発現を、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)などの対照と比較して、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%低減する。
TNF-αと免疫特異的に結合する抗体の例としては、限定されるものでないが、インフリキシマブ(REMICADE(登録商標)、Centacor社)、D2E7(Abbott Laboratories / Knoll Pharmaceuticals Co.、Mt. Olive、N.J.)、HUMICADE(登録商標)およびCDP-870(両方とも、Celltech/Pharmacia、Slough、U.K.)としても知られるCDP571、アダリムマブ(商品名Humira)、セルトリズマブ(商品名Cimizia)、ならびにTN3-19.12(Williamsら, 1994, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91: 2762-2766;Thorbeckeら, 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:7375-7379)を含む。TNF-αと免疫特異的に結合する抗体はまた、次の米国特許:第5,136,021号;第5,147,638号;第5,223,395号;第5,231,024号;第5,334,380号;第5,360,716号;第5,426,181号;第5,436,154号;第5,610,279号;第5,644,034号;第5,656,272号;第5,658,746号;第5,698,195号;第5,736,138号;第5,741,488号;第5,808,029号;第5,919,452号;第5,958,412号;第5,959,087号;第5,968,741号;第5,994,510号;第6,036,978号;第6,114,517号;および第6,171,787号にも開示されている。可溶性TNF-α受容体の例としては、限定されるものでないが、sTNF-R1(Amgen社)、エタネルセプト(ENBREL(登録商標)、Immunex社)およびそのラット同族体RENBREL(登録商標)、TNFrI、TNFrIIから誘導されたTNF-αの可溶性インヒビター(Kohnoら, 1990, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:8331-8335)、ならびにTNF-αインヒビター(Seckingerら, 1990、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:5188-5192)を含む。
TNF-αアンタゴニストは、可溶性TNF-α受容体であってもよい。TNF-αアンタゴニストは、エタネルセプト(ENBREL(登録商標)、Immunex社)またはその断片、誘導体もしくは類似体であってもよい。TNF-αアンタゴニストは、TNF-αと免疫特異的に結合する抗体であってもよい。TNF-αアンタゴニストは、インフリキシマブ(REMICADE(登録商標)、Centacor)またはその誘導体、類似体もしくは抗原結合断片であってもよい。
他のTNF-αアンタゴニストは、インターフェロンγ-活性化マクロファージを介してTNF-α産生をブロックすることが知られるIL-10(Oswaldら, 1992、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:8676-8680)、TNFR-IgG(Ashkenaziら, 1991、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:10535-10539)、マウス産物TBP-1(Serono社/Yeda)、ワクチンCytoTAb(Protherics)、アンチセンス分子104838(ISIS)、ペプチドRDP-58(SangStat社)、サリドマイド(Celgene社)、CDC-801(Celgene社)、DPC-333(Dupont社)、VX-745(Vertex社)、AGIX-4207(AtheroGenics社)、ITF-2357(Italfarmaco社)、NPI-13021-31(Nereus社)、SCIO-469(Scios社)、TACEターゲッター(Immunix/AHP)、CLX-120500(Calyx社)、Thiazolopyrim(Dynavax社)、オーラノフィン(Ridaura)(SmithKline Beecham Pharmaceuticals社)、キナクリン(メパクリン二塩酸塩)、テニダップ(Enablex)、メラニン(Large Scale Biological)、およびUriach社による抗p38 MAPK薬であってもよい。
TNF-αアンタゴニスト活性を有するタンパク質、ポリペプチド類もしくはペプチド類をコードする核酸分子、またはTNF-αアンタゴニスト活性を有するタンパク質、ポリペプチド類、もしくはペプチド類を治療薬として投与することができる。さらに、TNF-αアンタゴニスト活性を有するタンパク質、ポリペプチド類、もしくはペプチド類の誘導体、類似体、断片もしくは変異体をコードする核酸分子、またはTNF-αアンタゴニスト活性を有するタンパク質、ポリペプチド類、もしくはペプチド類の誘導体、類似体、断片もしくは変異体を治療薬として投与することができる。
TNF-αアンタゴニストとして使用できるタンパク質、ポリペプチド類、もしくはペプチド類は、当業者に周知のまたは本明細書に記載されたいずれの技術により作製してもよい。TNF-αアンタゴニスト活性を有するタンパク質、ポリペプチド類、もしくはペプチド類は、当業者に周知のまたは本明細書に記載された技術を利用して、かかるタンパク質、ポリペプチド類、もしくはペプチド類のin vivo半減期を増加するように遺伝子操作で作ることができる。アンタゴニストは市販されかつTNF-αアンタゴニストとして機能することが公知である。
インターフェロンαまたはI型IFNインヒビター
当業者に周知のいずれかのIFN-αアンタゴニストまたはI型IFNインヒビターを本発明の方法に用いることができる。IFN-αアンタゴニストまたはI型IFNアンタゴニストの例には、限定されるものでないが、I型IFNまたはIFN-αの機能、活性および/または発現をブロック、低減、阻害または中和するタンパク質、ポリペプチド、ペプチド、融合タンパク質、I型IFNまたはIFN-αと免疫特異的に結合する抗体などの抗体(例えば、ヒト、ヒト化、キメラ、モノクローナル、ポリクローナル、Fv、ScFv、Fab断片、F(ab)2断片、およびその抗原-結合断片)、核酸分子(例えば、アンチセンス分子または三重螺旋)、有機分子、無機分子、および小分子が含まれる。I型IFNまたはIFN-αアンタゴニストは、I型IFNまたはIFN-αの機能、活性および/または発現を、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)などの対照と比較して少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%低減することができる。
I型IFNまたはIFN-αに特異的な抗体は、I型IFNまたはIFNαのいずれかのサブタイプに特異的でありうる。例えば、抗体はIFNα1、IFNα2、IFNα4、IFNα5、IFNα6、IFNα7、IFNα8、IFNα10、IFNα14、IFNα17、IFNα21、IFNβ、またはIFNωのいずれか1つに特異的でありうる。あるいは、抗体はIFNαのサブタイプのいずれか2、いずれか3、いずれか4、いずれか5、いずれか6、いずれか7、いずれか8、いずれか9、いずれか10、いずれか11、いずれか12のI型IFNに特異的でありうる。もし抗体が1以上のI型IFNサブタイプに特異的であれば、抗体はIFNα1、IFNα2、IFNα4、IFNα5、IFNα8、IFNα10、およびIFNα21に特異的でありうるか;またはIFNα1、IFNα2、IFNα4、IFNα5、IFNα8、およびIFNα10に特異的でありうるか;またはIFNα1、IFNα2、IFNα4、IFNα5、IFNα8、およびIFNα21に特異的でありうるか;またはIFNα1、IFNα2、IFNα4、IFNα5、IFNα10、およびIFNα21に特異的でありうる。I型IFNまたはIFNαに特異的な抗体には、MEDI-545、MEDI-545以外のいずれかの生物学的抗体、米国特許出願第11/009,410号(2004年12月10日出願)および第11/157,494号(2005年6月20日出願)に記載の抗体、9F3および米国特許第7,087,726号に記載の他のIFN抗体、NK-2およびYOK5/19(WO 84/03105)、LO-22(米国特許第4,902,618号)、144 BS(米国特許第4,885,166号)、ならびにEBI-1、EBI-2、およびEBI-3(EP 119476)が含まれる。
I型IFNまたはIFN-α受容体に特異的な抗体はまた、I型IFNまたはIFN-αインヒビターであってもよい。I型IFNまたはIFN-α受容体抗体は当技術分野で公知である。これらの抗体としては、限定されるものでないが、米国特許出願公開第2005-0208041号の抗体H2K6、H2K1、H3K65、およびH3K1;米国特許出願公開第2006-0029601号の抗体3F11、4G5、11E2、および9D4;米国特許第5,919,453号の抗体34F10;米国特許第7,179,465号の抗体64G12;ならびに米国特許第6,713、609号の抗体5A8、2E8、2H6、4A7、および2E1が挙げられる。
抗炎症療法
当業者に周知のいずれの抗炎症治療薬も、本発明の方法に用いることができる。抗炎症薬の例としては、限定されるものでないが、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、ステロイド系抗炎症薬、抗コリン薬(例えば、硫酸アトロピン、硝酸メチルアトロピン、および臭化イプラトロピウム(ATROVENT(登録商標))、β2-アゴニスト(例えば、アルブテロール(VENTOLIN(登録商標)およびPROVENTIL(登録商標))、ビトルテロール(TORNALATE(登録商標))、レバルブテロール(XOPONEX(登録商標))、メタプロテレノール(ALUPENT(登録商標))、ピルブテロール(MAXAIR(登録商標))、テルブタリン(BRETHAIRE(登録商標)およびBRETHINE(登録商標))、アルブテロール(PROVENTIL(登録商標)、REPETABS(登録商標)、およびVOLMAX(登録商標))、ホルモテロール(FORADIL AEROLIZER(登録商標))、およびサルメテロール(SEREVENT(登録商標)およびSEREVENT DISKUS(登録商標)))、およびメチルキサンチン類(例えば、テオフィリン(UNIPHYL(登録商標)、THEO-DUR(登録商標)、SLO-BID(登録商標)、およびTEHO-42(登録商標))を含む。NSAIDの例としては、限定されるものでないが、アスピリン、イブプロフェン、セレコキシブ(CELEBREX(登録商標))、ジクロフェナク(VOLTAREN(登録商標))、エトドラック(LODINE(登録商標))、フェノプロフェン(NALFON(登録商標))、インドメタシン(INDOCIN(登録商標))、ケトララック(TRADOL(登録商標))、オキサプロジン(DAYPRO(登録商標))、ナブメントン(RELAFEN(登録商標))、スリンダック(CLINORIL(登録商標))、トルメンチン(TOLECTIN(登録商標))、ロフェコキシブ(VIOXX(登録商標))、ナプロキセン(ALLEVE(登録商標)、NAPROSYN(登録商標))、ケトプロフェン(ACTRON(登録商標))およびナブメトン(RELAFEN)(登録商標))を含む。かかるNSAIDは、酵素シクロオキシゲナーゼ(例えば、COX-1および/またはCOX-2)を阻害することにより機能する。ステロイド系抗炎症薬の例としては、限定されるものでないが、糖質コルチコイド、デキサメタゾン(DECADRON(登録商標))、副腎皮質ステロイド(例えば、メチルプレドニゾロン(MEDROL(登録商標))、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン(PREDNISONE(登録商標)およびDELTASONE(登録商標))、プレドニゾロン(PRELONE(登録商標)およびPEDIAPRED(登録商標))、トリアムシノロン、アズルフィジン、ならびにエイコサノイド類のインヒビター(例えば、プロスタグランジン、トロンボキサン、およびロイコトリエン(ロイコトリエン)が挙げられる。
抗炎症薬に含まれうる薬剤は、アドレナリン作用性興奮剤(例えば、カテコールアミン類(例えば、エピネフリン、イソプロテレノール、およびイソエタリン)、レゾルシノール類(例えば、メタプロテレノール、テレブタリン、およびフェノテロール)、およびサリゲニン類(例えば、サルブタモール)、アドレノコルチコイド類、グルココルチコイド類、副腎皮質ステロイド(例えば、ベクロメタゾン、ブデソニド、フルニソリド、フルチカゾン、トリアムシノロン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、およびプレドニゾン)、他のステロイド類、β2-アゴニスト(例えば、アルブテロール、ビトルテロール、フェノテロール、イソエタリン、メタプロテレノール、ピルブテロール、サルブタモール、テルブタリン、ホルモテロール、サルメテロール、およびサルブタモールテルブタリン)、抗コリン薬(例えば、臭化イプラトロピウムおよび臭化オキシトロピウム)、IL-4アンタゴニスト(抗体を含む)、IL-5アンタゴニスト(抗体を含む)、IL-13アンタゴニスト(抗体を含む)、PDE4-インヒビター、NF-κBインヒビター、VLA-4インヒビター、CpG、抗CD23、セレクチンアンタゴニスト(TBC 1269)、肥満細胞プロテアーゼインヒビター(例えば、トリプターゼキナーゼインヒビター(例えば、GW-45、GW-58、およびゲニステイン)、ホスファチジルイノシチド-3'(PI3)-キナーゼインヒビター(例えば、カルホスチンC)、および他のキナーゼインヒビター(例えば、スタウロスポリン)(Temkinら, 2002 J Immunol 169(5):2662-2669;Vossellerら, 1997 Mol. Biol. Cell 8(5):909-922;およびNagaiら, 1995 Biochem Biophys Res Commun 208(2):576-581)、C3受容体アンタゴニスト(抗体を含む)、免疫抑制剤(例えば、メトトレキセートおよび金塩)、肥満細胞調節剤(例えば、クロモリンナトリウム(INTAL(登録商標))およびネドクロミルナトリウム(TILADE(登録商標))、およびムコ多糖類加水分解剤(例えば、アセチルシステイン))を含む。具体的な実施形態において、抗炎症薬は、ロイコトリエンインヒビター(例えば、モンテルカスト(SINGULAIR(登録商標))、ザフィルルカスト(ACCOLATE(登録商標))、プランルカスト(ONON(登録商標))、またはジレウトン(ZYFLO(登録商標))であってもよい。
抗炎症薬は、抗メディエーター薬(例えば、抗ヒスタミン薬)、副腎皮質ステロイド、充血除去剤、交感神経興奮様薬(例えば、αアドレナリン作用性薬物およびβアドレナリン作用性薬物)、TNX901(Leungら, 2003, N Engl J Med 348(11):986-993)、IgEアンタゴニスト(例えば、抗体rhuMAb-E25オマリズマブ(Finnら, 2003 J Allergy Clin Immuno 111(2):278-284;Correnら, 2003 J Allergy Clin Immuno 111(1):87-90;BusseおよびNeaville, 2001 Curr Opin Allergy Clin Immuno 1(1):105-108;およびTangおよびPowell, 2001, Eur J Pediatr 160(12): 696-704)、K-12および6HD5(Miyajimaら, 2202 Int Arch Allergy Immuno 128(1):24-32を参照)、mAB Hu-901(Neervenら, 2001 Int Arch Allergy Immuno 124(1-3):400を参照)、テオフィリンおよびその誘導体、糖質コルチコイド、および免疫療法(例えば、アレルギー誘発物質の繰り返し長期注射、短期除感作、および毒免疫療法)であってもよい。
抗炎症療法とその用量、投与経路、および推奨される用途は、当技術分野で公知であり、The Physician's Desk Reference(第57版, 2003)などの文献に記載されている。
抗ウイルス薬
当業者に周知のいずれの抗ウイルス薬も本発明の方法に用いることができる。抗ウイルス薬の例としては、限定されるものではないが、ウイルスのその受容体との結合、細胞中へのウイルスの内部化、ウイルスの複製、または細胞からのウイルスの遊離を阻害および/または低下する、タンパク質、ポリペプチド類、ペプチド類、融合タンパク質抗体、核酸分子、有機分子、無機分子、および小分子が挙げられる。特に、抗ウイルス薬としては、限定されるものではないが、ヌクレオシド類似体(例えば、ジドブジン、アシクロビル、ガンシクロビル、ビダラビン、イドクスウリジン、トリフルリジン、およびリバビリン)、フォスカーネット、アマンタジン、リマンタジン、サキナビル、インジナビル、リトナビル、α-インターフェロン類および他のインターフェロン類、ならびにAZTが挙げられる。
抗ウイルス薬はウイルス抗原に免疫特異的である免疫調節薬であってもよい。例えば、かかる抗ウイルス薬には、PRO542(Progenics);オスタビル(Protein Design Labs, Inc., CA);プロトビル(Protein Design Labs、Inc.、CA);およびパリビズマブ(SYNAGIS(登録商標);MedImmune、Inc.)が含まれる。
抗ウイルス薬には、限定されるものでないが、ジドブジン、アシクロビル、ガングシクロビウル、ビダラビン、イドクスウリジン、トリフルリジン、およびリバビリンなどのヌクレオシド類似体、ならびにフォスカルネット、アマンタジン、リマンタジン、サキナビル、インジナビル、リトナビル、およびα-インターフェロンが含まれる。米国予備特許出願第60/398,475号(2002年7月25日出願)、名称"Methods of Treating and Preventing RSV, HMPV, and PIV Using Anti-RSV, Anti-HMPV, and Anti-PIV Antibodies(抗RSV、抗HMPV、および抗PIV抗体を用いてRSV、HMPV、およびPIVを治療および予防する方法)"および米国特許出願第10/371,122号(2003年2月21日出願)を参照されたい、これらは本明細書に参照によりその全てが組み入れられる。
抗ウイルス療法とその用量、投与経路および推奨される用途は、当技術分野で公知であり、The Physician's Desk Reference(第56版, 2002)などの文献に記載されている。さらなる呼吸器ウイルス性感染に関する情報は、Cecil Textbook of Medicine(第18版, 1988)で入手しうる。
抗菌薬
当業者に周知のいずれの抗菌薬も本発明の方法に用いることができる。抗菌剤の例としては、限定されるものではないが、細菌感染を阻害もしくは低減する、細菌の複製を阻害もしくは低減する、または他の被験者への細菌の伝播を阻害もしくは低減する、タンパク質、ポリペプチド類、ペプチド類、融合タンパク質、抗体、核酸分子、有機分子、無機分子、および小分子が挙げられる。抗菌薬の例としては、限定されるものではないが、ペニシリン、セファロスポリン、イミペネム、アクストレオナム、バンコマイシン、シクロセリン、バシトラシン、クロラムフェニコール、エリスロマイシン、クリンダマイシン、テトラサイクリン、ストレプトマイシン、トブラマイシン、ゲンタマイシン、アミカシン、カナマイシン、ネオマイシン、スペクチノマイシン、トリメトプリム、ノルフロキサシン、リファンピシン、ポリミキシン、アンホテリシンB、ナイスタチン、ケトコナゾール、イソニアジド、メトロニダゾール、およびペンタミジンが挙げられる。
抗菌薬は、テトラサイクリン、エリスロマイシン、またはスペクチノマイシンであってもよい。抗菌薬は、好ましくは、ペニシリン、第1、第2、または第3世代セファロスポリン(例えば、セファクロル、セファドロキシル、セファレキシン、またはセファゾリン)、エリスロマイシン、クリンダマイシン、アミノグリコシド(例えば、ゲンタマイシン、トブラマイシン、またはアミカシン)、またはモノラクタム(例えば、アズトレオナム)である。抗菌薬は、リファンピシン、イソニアジド、ピラジナミド、エタンブトール、またはストレプトマイシンであってもよい。
抗菌療法とその用量、投与経路および推奨される用途は、当技術分野で公知であり、The Physician's Desk Reference(第56版、2002)などの文献に記載されている。さらなる抗菌療法に関する情報は、Cecil Textbook of Medicine(第18版、1988)で入手しうる。
抗真菌薬
当業者に周知のいずれの抗真菌薬も本発明の方法に用いることができる。抗真菌剤の例としては、限定されるものではないが、真菌感染を阻害および/または低減する、真菌の複製を阻害および/または低減する、または他の被験者への真菌の伝播を阻害および/または低減する、タンパク質、ポリペプチド類、ペプチド類、融合タンパク質、抗体、核酸分子、有機分子、無機分子、および小分子が挙げられる。真菌剤の具体的な例としては、限定されるものではないが、アゾール薬(例えば、ミコナゾール、ケトコナゾール(NIZORAL(登録商標))、カスポファンギンアセテート(CANCIDAS(登録商標))、イミダゾール、トリアゾール薬(例えば、フルコナゾール(DIFLUCAN(登録商標))、およびイトラコナゾール(SPORANOX(登録商標))、ポリエン(例えば、ナイスタチン、アンホテリシンB(FUNGIZONE(登録商標))、アンホテリシンB脂質複合物)(ABLC)(ABELCET(登録商標))アンホテリシンBコロイド状分散剤(ABCD)(AMPHOTEC(登録商標))、リポソームアンホテリシンB(AMBISONE(登録商標))、ヨウ化カリウム(KI)、ピリミジン(例えば、フルシトシン(ANCOBON(登録商標))およびボリコナゾール(VFEND(登録商標))が挙げられる。
抗真菌療法とその用量、投与経路および推奨される用途は、当技術分野で公知であり、Doddsら, 2000 Pharmacotherapy 20(11) 1335-1355、the Physician 's Desk Reference (第57版, 2003)およびMerck Manual of Diagnosis and Therapy (第17版, 1999)などの文献に記載されている。
治療薬、炎症性腸疾患
もし被験者が炎症性腸疾患を治療するための候補者、例えば、炎症性腸疾患またはその1以上の症候群を予防、治療、管理することが望ましい被験者と同定されれば、その被験者にIL-9のインヒビターと第2の治療薬を投与してもよい。第2の治療薬は、下痢止め薬(例えば、ロペラミド2〜4mgを1日最大4回;アトロピンと併用するジフェノキシレート1錠を1日最大4回;アヘンチンキ8〜15滴を1日最大4回;コレスチラミン2〜4gもしくはコレスチポール5gを1日1回または2回)、鎮痙薬(例えば、食前に、プロパンテリン15mg、ジシクロミン10〜20mg、ヒヨスチアミン0.125mg)、5-アミノサルチル酸剤(例えば、スルファサラジン1.5〜2g、1日2回;メサラミン(ASACOL(登録商標))およびその徐放形態(PENTASA(登録商標))を特に高用量で、例えば、PENTASA(登録商標)1gを1日4回およびASACOL(登録商標)0.8〜1.2gを1日4回)、副腎皮質ステロイド(例えば、プレドニソン、ブデソニド、ヒドロコルチゾン)、免疫調節薬(例えば、アザチオプリン(1〜2mg/kg)、メルカプトプリン(50〜100mg)、シクロスポリンおよびメトトレキセート)、抗生物質(例えば、メトロニダゾール、シプロフロキサシン)、TNFインヒビター(例えば、インフリキシマブ(REMICADE(登録商標))、アダリムマブ(Humira、Abbot社);セルトリズマブ)、免疫抑制剤(例えば、タクロリムス、ミコフェノール酸モフェチル、アザチオプリン、6-メルカプトプリン、およびサリドマイド)、抗炎症性サイトカイン(例えば、IL-10およびIL-11)、栄養治療、成分栄養食(例えば、Vivonex4週間)による経腸治療および完全非経口栄養法であってもよい。その治療薬は、I型IFNまたはIFNαのいずれかのサブタイプに特異的な抗体であってもよい。例えば、その抗体はIFNα1、IFNα2、IFNα4、IFNα5、IFNα6、IFNα7、IFNα8、IFNα10、IFNα14、IFNα17、IFNα21、IFNβ、またはIFNωのいずれか1つに特異的であってもよい。あるいは、その抗体は、IFNαのサブタイプのいずれか2、いずれか3、いずれか4、いずれか5、いずれか6、いずれか7、いずれか8、いずれか9、いずれか10、いずれか11、いずれか12のI型IFNに特異的であってもよい。もしその抗体が1以上のI型IFNサブタイプに特異的であれば、その抗体はIFNα1、IFNα2、IFNα4、IFNα5、IFNα8、IFNα10、およびIFNα21に特異的であってもよく;またはそれはIFNα1、IFNα2、IFNα4、IFNα5、IFNα8、およびIFNα10に特異的であってもよく;またはそれはIFNα1、IFNα2、IFNα4、IFNα5、IFNα8、およびIFNα21に特異的であってもよく;またはそれはIFNα1、IFNα2、IFNα4、IFNα5、IFNα10、およびIFNα21に特異的であってもよい。I型IFNまたはIFNαに特異的な抗体としては、MEDI-545、MEDI-545以外のいずれかの生物学的抗体、米国特許出願第11/009,410号(2004年12月10日出願)および第11/157,494号(2005年6月20日出願)に記載の抗体、9F3および米国特許第7,087,726号に記載の他のIFN抗体、NK-2およびYOK5/19(WO 84/03105)、LO-22(米国特許第4,902,618号)、144 BS(米国特許第4,885,166号)、ならびにEBI-1、EBI-2、およびEBI-3(EP 119476)が挙げられる。
治療薬、COPD
もし被験者がCOPDを治療する候補者、例えば、COPDまたはその1以上の症候群を予防、治療、管理することが望ましい被験者であろうと同定されれば、その被験者にIL-9のインヒビターと第2の治療薬を投与することができる。第2の治療薬は、いずれの1以上の気管支拡張剤(例えば、短時間作用性β2アドレナリン作用性アゴニスト(例えば、アルブテロール、ピルブテロール、テルブタリン、およびメタプロテレノール)、長時間作用性β2アドレナリン作用性アゴニスト(例えば、経口徐放性アルブテロールおよび吸入サルメテロール)、抗コリン薬(例えば、臭化イプラトロピウム)、またはテオフィリンもしくはその誘導体(テオフィリンの治療域は、好ましくは10〜20μg/mLである))、糖質コルチコイド、外来α1AT(例えば、60mg/kgの週間投与量で静脈内投与したヒト血漿のプール由来のα1AT)などの薬剤、酸素、肺移植、肺気量整復術、気管内挿管、人工呼吸支援、毎年のインフルエンザワクチンおよび23価多糖による肺炎球菌ワクチン接種、運動、ならびに禁煙であってもよい。
IL-9のインヒビターでない治療薬-肺線維症
もし被験者が肺線維症を治療するための候補者、例えば、肺線維症またはその1以上の症候群を予防、治療、管理することが望ましい被験者であろうと同定されれば、その被験者にIL-9のインヒビターと第2の治療薬を投与してもよい。第2の治療薬は、いずれの1以上の酸素、副腎皮質ステロイド(例えば、プレドニゾンの1日投与量は、6週間1〜1.5mg/kg/日(最高100mg/日まで)で始め、最小用量を0.25mg/kg/日に維持するように3〜6カ月かけてゆっくり漸減する)、細胞障害性薬剤(例えば、シクロホスファミドを1日1回100〜120mg経口で、およびアザチオプリンを一日一回3mg/kgから200mgまで)、気管支拡張薬(例えば、短時間および長時間作用性β2アドレナリン作用性アゴニスト、抗コリン薬、およびテオフィリンおよびその誘導体)、ならびに抗ヒスタミン剤(例えば、ジフェンヒドラミンおよびドキシラミン)であってもよい。
投与
IL-9のインヒビターの量は、標準の臨床的方法により決定することができる。頻度と投薬量はまた、各患者に特異的な要因に従い、投与された具体的な治療薬(例えば、具体的な治療剤または予防剤)、障害、疾患または症状の重症度、投与経路、ならびに年齢、体重、応答および患者の過去の病歴に依存して変りうる。例えば、1以上の症候群を管理するのに有効でありうる予防薬もしくは治療薬または本発明の組成物の用量は、例えば、本明細書に開示したまたは当業者に公知の動物モデルなどの動物モデルへの組成物の投与により決定することができる。さらに、場合によっては、in vitroアッセイを使って最適な用量範囲を同定するのを助けてもよい。当業者は、かかる因子を考慮することによって、および、例えば、文献に報じられたおよびPhysician's Desk Reference(第57版, 2003)に推奨された用量に従うことによって好適なレジメンを選択することができる。
小分子の用量は、被験者または試料重量1キログラム当たり小分子ミリグラムまたはマイクログラムの量(例えば、1キログラム当たり約1マイクログラム〜1キログラム当たり約500ミリグラム、1キログラム当たり約100マイクログラム〜1キログラム当たり約5ミリグラム、または1キログラム当たり約1マイクログラム〜1キログラム当たり約50マイクログラム)を含みうる。
本発明に包含される抗体、タンパク質、ポリペプチド、ペプチドおよび融合タンパク質については、患者に投与される投薬量は、患者の体重当たり0.0001mg/kgから100mg/kgであってもよい。患者に投与される投薬量は、患者の体重当たり0.0001mg/kg〜20mg/kg、0.0001mg/kg〜10mg/kg、0.0001mg/kg〜5mg/kg、0.0001〜2mg/kg、0.0001〜1mg/kg、0.0001mg/kg〜0.75mg/kg、0.0001mg/kg〜0.5mg/kg、0.0001mg/kg〜0.25mg/kg、0.0001〜0.15mg/kg、0.0001〜0.10mg/kg、0.001〜0.5mg/kg、0.01〜0.25mg/kgまたは0.01〜0.10mg/kgであってもよい。一般に、外来ポリペプチドに対しては免疫応答があるため、ヒト抗体は他の種由来の抗体よりヒト体内で長い半減期を有する。従って、ヒト抗体の投薬量および投与頻度はより低くすることができる。さらに、本発明の抗体またはそのフラグメントの投薬量および投薬頻度は、例えば脂質化などの改変によって抗体の取込量および組織浸透を増強することにより、低減することができる。
患者に投与する投薬量は、患者の体重キログラム(kg)を投与すべき用量(mg/kg)に乗じて算出することができる。次いで、投与すべき必要な体積(mL)は、必要な用量(mg)を製剤中の抗体またはそのフラグメントの濃度(100mg/mL)で除して決定することができる。最終的に算出される所要体積は、薬剤を投与する注射器中に、必要な数のバイアルの内容物をプールすることによって得ることができる。
抗体の投薬量は、単独療法としてのまたは併用療法における組成物において、患者の体重当たり150μg/kg以下、好ましくは125μg/kg以下、100μg/kg以下、95μg/kg以下、90μg/kg以下、85μg/kg以下、80μg/kg以下、75μg/kg以下、70μg/kg以下、65μg/kg以下、60μg/kg以下、55μg/kg以下、50μg/kg以下、45μg/kg以下、40μg/kg以下、35μg/kg以下、30μg/kg以下、25μg/kg以下、20μg/kg以下、15μg/kg以下、10μg/kg以下、5μg/kg以下、2.5μg/kg以下、2μg/kg以下、1.5μg/kg以下、1μg/kg以下、0.5μg/kg以下でありうる。組成物中の抗体の投薬量は、0.1mg〜20mg、0.1mg〜15mgまで、0.1mg〜12mg、0.1mg〜10mg、0.1mg〜8mg、0.1mg〜7mg、0.1mg〜5mg、0.1〜2.5mg、0.25mg〜20mg、0.25〜15mg、0.25〜12mg、0.25〜10mg、0.25〜8mg、0.25mg〜7mg、0.25mg〜5mg、0.5mg〜2.5mg、1mg〜20mg、1mg〜15mg、1mg〜12mg、1mg〜10mg、1mg〜8mg、1mg〜7mg、1mg〜5mg、または1mg〜2.5mgの単位用量でありうる。
IL-9インヒビターの有効量の1以上の用量(単独でまたは第2の治療薬と併用して)は、内因性IL-9のその受容体との結合を、少なくとも20%〜25%、好ましくは少なくとも25%〜30%、少なくとも30%〜35%、少なくとも35%〜40%、少なくとも40%〜45%、少なくとも45%〜50%、少なくとも50%〜55%、少なくとも55%〜60%、少なくとも60%〜65%、少なくとも65%〜70%、少なくとも70%〜75%、少なくとも75%〜80%、または少なくとも85%まで防止しうる。1以上の用量は、当技術分野で周知のin vitroおよび/またはin vivoアッセイにおいて、PBSなどの対照と比較して肥満細胞の脱顆粒を、少なくとも20%〜25%、好ましくは少なくとも25%〜30%、少なくとも30%〜35%、少なくとも35%〜40%、少なくとも40%〜45%、少なくとも45%〜50%、少なくとも50%〜55%、少なくとも55%〜60%、少なくとも60%〜65%、少なくとも65%〜70%、少なくとも70%〜75%、少なくとも75%〜80%、少なくとも80%〜85%、少なくとも85%〜90%、少なくとも90%〜95%、または少なくとも95%〜98%、低減および/または阻害しうる。IL-9インヒビターの有効量の1以上の用量(単独でまたは第2の治療薬と併用して)は、当技術分野で周知のin vitroおよび/またはin vivoアッセイにおいて、PBSなどの対照と比較して肥満細胞の活性化を、少なくとも20%〜25%、少なくとも25%〜30%、少なくとも30%〜35%、少なくとも35%〜40%、少なくとも40%〜45%、少なくとも45%〜50%、少なくとも50%〜55%、少なくとも55%〜60%、少なくとも60%〜65%、少なくとも65%〜70%、少なくとも70%〜75%、少なくとも75%〜80%、少なくとも80%〜85%、少なくとも85%〜90%、少なくとも90%〜95%、または少なくとも95%〜98%、低減および/または阻害しうる。IL-9インヒビターの有効量の1以上の用量(単独でまたは第2の治療薬と併用して)は、当技術分野で周知のin vitroおよび/またはin vivoアッセイにおいて、PBSなどの対照と比較して肥満細胞の増殖を、少なくとも20%〜25%、少なくとも25%〜30%、少なくとも30%〜35%、少なくとも35%〜40%、少なくとも40%〜45%、少なくとも45%〜50%、少なくとも50%〜55%、少なくとも55%〜60%、少なくとも60%〜65%、少なくとも65%〜70%、少なくとも70%〜75%、少なくとも75%〜80%、少なくとも80%〜85%、少なくとも85%〜90%、少なくとも90%〜95%、または少なくとも95%〜98%、低減および/または阻害しうる。IL-9インヒビターの有効量の1以上の用量(単独でまたは第2の治療薬と併用して)は、当技術分野で周知のin vitroおよび/またはin vivoアッセイにおいて、PBSなどの対照と比較して肥満細胞浸潤を、少なくとも20%〜25%、少なくとも25%〜30%、少なくとも30%〜35%、少なくとも35%〜40%、少なくとも40%〜45%、少なくとも45%〜50%、少なくとも50%〜55%、少なくとも55%〜60%、少なくとも60%〜65%、少なくとも65%〜70%、少なくとも70%〜75%、少なくとも75%〜80%、少なくとも80%〜85%、少なくとも85%〜90%、少なくとも90%〜95%、または少なくとも95%〜98%、低減および/または阻害しうる。
もしIL-9インヒビターがIL-9に特異的な抗体であれば、その用量は、少なくとも0.1μg/ml、少なくとも0.5μg/ml、少なくとも1μg/ml、少なくとも2μg/ml、少なくとも5μg/ml、少なくとも6μg/ml、少なくとも10μg/ml、少なくとも15μg/ml、少なくとも20μg/ml、少なくとも25μg/ml、少なくとも50μg/ml、少なくとも100μg/ml、少なくとも125μg/ml、少なくとも150μg/ml、少なくとも175μg/ml、少なくとも200μg/ml、少なくとも225μg/ml、少なくとも250μg/ml、少なくとも275μg/ml、少なくとも300μg/ml、少なくとも325μg/ml、少なくとも350μg/ml、少なくとも375μg/ml、または少なくとも400μg/mlの血清力価を達成しうる。
もしIL-9インヒビターがIL-9に特異的な抗体であれば、その用量は、少なくとも10μg、少なくとも15μg、少なくとも20μg、少なくとも25μg、少なくとも30μg、少なくとも35μg、少なくとも40μg、少なくとも45μg、少なくとも50μg、少なくとも55μg、少なくとも60μg、少なくとも65μg、少なくとも70μg、少なくとも75μg、少なくとも80μg、少なくとも85μg、少なくとも90μg、少なくとも95μg、少なくとも100μg、少なくとも105μg、少なくとも110μg、少なくとも115μg、または少なくとも120μgでありうる。IL-9に特異的な抗体を、3日に1回、4日に1回、5日に1回、6日に1回、7日に1回、8日に1回、10日に1回、2週間に1回、3週間に1回、または1カ月に1回、投与してもよい。
もしIL-9インヒビターがIL-9に特異的な抗体であれば、その用量は少なくとも10μg(少なくとも15μg、少なくとも20μg、少なくとも25μg、少なくとも30μg、少なくとも35μg、少なくとも40μg、少なくとも45μg、少なくとも50μg、少なくとも55μg、少なくとも60μg、少なくとも65μg、少なくとも70μg、少なくとも75μg、少なくとも80μg、少なくとも85μg、少なくとも90μg、少なくとも95μg、または少なくとも100μg)でありうる。その用量を、被験者における該抗体の血漿レベルが0.1μg/ml以下、0.25μg/ml以下、0.5μg/ml以下、0.75μg/ml以下、1μg/ml以下であるように、1以上の回数で被験者に投与してもよい。その用量を1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12回で投与してもよい。抗体の用量を少なくとも1日、2日、3日、5日、10日、15日、30日、45日、2カ月、75日、3ヶ月、または少なくとも6ヶ月の間隔で繰り返してもよい。もしIL-9インヒビターが抗体でなければ(例えば、予防薬または治療薬)、その用量を繰り返してもよくまた、少なくとも1日、2日、3日、5日、10日、15日、30日、45日、2ヶ月、75日、3ヶ月、または少なくとも6ヶ月だけ分離してもよい。
IL-9と特異的に結合する抗体以外の治療薬(例えば、予防薬または治療薬)を、IL-9と特異的に結合する抗体と組合わせて投与することができる。これらの治療薬の推奨される投与量は、当技術分野でいずれかの参考文献、限定されるものでないが、Hardmanら, 編, 2001, Goodman & Gilman's The Pharmacological Basis Of Therapeutics, 第10版, Mc-Graw-Hill, New York;Physician's Desk Reference (PDR) 第57版, 2003, Medical Economics Co., Inc., Montvale, N.J.から得ることができる。
IL-9に特異的な抗体およびIL-9に特異的な抗体でない治療薬(例えば、予防または治療薬)を、5分以下の間隔で、30分以下の間隔で、1時間の間隔で、約1時間の間隔で、約1時間から約2時間の間隔で、約2時間から約3時間の間隔で、約3時間から約4時間の間隔で、約4時間から約5時間の間隔で、約5時間から約6時間の間隔で、約6時間から約7時間の間隔で、約7時間から約8時間の間隔で、約8時間から9時間の間隔で、約9時間から約10時間の間隔で、約10時間から約11時間の間隔で、約11時間から約12時間の間隔で、約12時間から約18時間の間隔で、約18時間から約24時間の間隔で、約24時間から約36時間の間隔で、約36時間から約48時間の間隔で、約48時間から約52時間の間隔で、約52時間から約60時間の間隔で、約60時間から約72時間の間隔で、約72時間から約84時間の間隔で、約84時間から約96時間の間隔で、約96時間から約120時間の間隔で投与してもよい。IL-9に特異的な抗体およびIL-9に特異的な抗体でない治療薬を同時に1つの組成物で、または別の組成物として投与してもよい。
IL-9に特異的な抗体とIL-9に特異的な抗体でない治療薬(例えば、予防薬または治療薬)を周期的に投与することができる。周期的治療は、第1の療法(例えば、第1の予防薬または治療薬)をある期間投与すること、続いて、第2の療法(例えば、第2の予防薬または治療薬)をある期間投与すること、場合により、その後、第3の療法(例えば、第3の予防薬または治療薬)をある期間投与すること、以下同様に、この連続投与(すなわち、療法のうちの1つに対する耐性の発達を低減し、療法の1つの副作用を回避するか軽減し、および/または治療薬の効能を改善するためのサイクル)を繰り返すことに関わる。
医薬組成物
本発明に包含される方法で使用するIL-9のインヒビターは、IL-9と免疫特異的に結合する本発明の抗体の断片を含む1以上のペプチド、ポリペプチド、または タンパク質を含みうる。あるいは、本発明に包含される方法で使用するIL-9のインヒビターは、IL-9に特異的な抗体の断片を含むペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質以外の化合物、例えば、3-アミノステロイド化合物を含みうる。
本発明に包含される方法で使用する組成物は、IL-9に特異的な抗体および1以上の免疫調節薬を含みうる。本発明に包含される方法で使用する組成物は、IL-9に特異的な抗体および1以上の肥満細胞調節薬を含みうる。本発明に包含される方法で使用する組成物は、IL-9に特異的な抗体および1以上の抗血管形成薬を含みうる。本発明に包含される方法で使用する組成物は、IL-9に特異的な抗体および1以上の抗炎症性薬を含みうる。本発明に包含される方法で使用する組成物は、IL-9に特異的な抗体および1以上の抗ウイルスの薬を含みうる。本発明に包含される方法で使用する組成物は、IL-9に特異的な抗体および1以上の抗菌薬を含みうる。本発明に包含される方法で使用する組成物は、IL-9に特異的な抗体および1以上の抗真菌薬を含みうる。本発明に包含される方法で使用する組成物は、IL-9に特異的な抗体および次の予防薬または治療薬:免疫調節薬、肥満細胞調節薬、抗血管形成薬、免疫調節薬もしくは抗血管形成薬以外の抗癌薬、抗炎症薬、抗ウイルス薬、抗細菌薬、抗真菌薬のそれぞれの1、2、3、またはそれ以上のいずれかの組合わせを含みうる。
本発明に包含される方法で使用する組成物は、IL-9に特異的な抗体および1以上のTNF-αアンタゴニスト(例えば、ENBRELTMおよび/またはREMICADE(登録商標))を含みうる。本発明に包含される方法で使用する組成物は、IL-9に特異的な抗体および1以上のインテグリンαvβ3アンタゴニストを含みうる。 本発明に包含される方法で使用する組成物は、IL-9に特異的な抗体およびビタキシン(登録商標)、シプリズマブ、パリビズマブ、EphA2インヒビター、またはこれらのいずれかの組合わせを含みうる。予防薬または治療薬に加えて、本発明の組成物はまた担体を含んでもよい。
本発明に包含される方法で使用する組成物は、小分子インヒビターまたはIL-9および1以上の免疫調節薬を含みうる。本発明に包含される方法で使用する組成物は、小分子インヒビターまたはIL-9および1以上の肥満細胞調節薬を含みうる。本発明に包含される方法で使用する組成物は、IL-9の小分子インヒビターおよび1以上の抗血管形成薬を含みうる。本発明に包含される方法で使用する組成物は、IL-9の小分子インヒビターおよび1以上の抗炎症性薬を含みうる。本発明に包含される方法で使用する組成物は、IL-9の小分子インヒビターおよび1以上の抗ウイルス薬を含みうる。本発明に包含される方法で使用する組成物は、IL-9に特異的な抗体および1以上の抗菌薬を含みうる。本発明に包含される方法で使用する組成物は、IL-9に特異的な抗体および1以上の抗真菌薬を含みうる。本発明に包含される方法で使用する組成物は、IL-9の小分子と次の予防のまたは治療薬:免疫調節薬、肥満細胞調節薬、抗血管形成薬、免疫調節薬もしくは抗血管形成薬以外の抗癌薬、抗炎症薬、抗ウイルス薬、抗細菌薬、抗真菌薬のそれぞれの1、2、3、またはそれ以上のいずれかの組合わせを含みうる。小分子インヒビターは米国特許第7,074,778号に開示された3-アミノステロイド化合物であってもよい。小分子インヒビターは可溶性IL-9 受容体であってもよい。例えば、米国特許第6,602,850号を参照されたい。
IL-9のインヒビターは、医薬組成物(例えば、被験者または患者への投与に好適である組成物)の製造に有用な単位投与剤形の調製に使用できるバルク薬物組成物であってもよい(IL-9特異的抗体を調製することができる形態については、米国特許出願公開第2005/0260204号、件名"Anti-IL-9 Antibody Formulations and Uses Thereof(抗IL-9抗体製剤とその使用)"を参照されたい)。医薬組成物は、IL-9のインヒビターと製薬上許容される担体を含みうる。医薬組成物は被験者への投与経路に好適であるように製剤化することができる。IL-9に特異的な抗体を含む医薬組成物を、単一用量バイアルに10mMのpH 6.0のヒスチジンバッファーおよび150 mM 塩化ナトリウムを含有する無菌液として製剤化してもよい。最適な安定性および溶解度を得るためには、1.0mlの各溶液は水中に100mgのタンパク質、1.6mgのヒスチジンおよび8.9mgの塩化ナトリウムを含有する。
用語「製薬上許容される」は、動物、特にヒトについての使用が、米国の連邦または州政府の規制機関によって承認されているか、米国薬局方または他の一般に認められた薬局方に記載されていることを意味する。用語「担体」は、治療剤と共に投与される希釈剤、アジュバント(例えば、フロイントアジュバント(完全および不完全))、賦形剤またはビヒクルを意味する。かかる製薬上の担体は、水および油などの無菌液であってもよく、それには落花生油、ダイズ油、鉱油、ゴマ油等の石油、動物、植物または合成起源のものが含まれる。水が静脈内に投与する医薬組成物の担体であってもよい。生理食塩水およびブドウ糖およびグリセリン水溶液も特に注射可能な溶液用の液担体として使用することができる。好適な製薬用賦形剤は、デンプン、グルコース、ラクトース、ショ糖、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステアレート、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセリン、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどを含む。組成物はまた、所望であれば、小量の湿潤剤または乳濁化剤、pH緩衝化剤を含有してもよい。これらの組成物は、溶液、懸濁液、乳剤、錠剤、丸薬、カプセル、パウダー、徐放製剤などの形態をとることができる。
IL-9のインヒビターを含む組成物の成分は、別々に供給するか、または単位投薬形式で一緒に混合して、例えば、活性剤の量を示すアンプルまたはサシェットなどの密封容器に入った凍結乾燥粉または水を含まない濃縮物として供給してもよい。組成物を注入によって投与する場合、組成物を無菌の製薬グレードの水または食塩水を含有する注入ボトルを用いて調合することができる。組成物を注射によって投与する場合、投与に先立って成分を混合できるように、注射用の滅菌水または生理食塩水のアンプルを提供してもよい。
IL-9のインヒビターを含む組成物は中性または塩の形態で製剤化することができる。製薬上許容される塩には、塩酸、燐酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸などに由来する陰イオンで形成したもの、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、水酸化鉄、イソプロピルアミン、トリエチルアミン、2-エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなどに由来する陽イオンで形成したものが含まれる。
IL-9のインヒビターを含む予防薬または治療薬を投与するのに利用しうる様々な送達システムが当技術分野では公知であり、例えば、リポソーム中の封入、微粒子、マイクロカプセル、IL-9抗体または抗体フラグメントを発現できる組み換え細胞、受容体を介したエンドサイトーシス(例えば、WuおよびWu, J. Biol. Chem. 262: 4429-4432 (1987)を参照)、レトロウイルスまたはその他のベクターの一部としての核酸の構築などが挙げられる。
IL-9のインヒビター(例えば、予防薬または治療薬)を投与する方法としては、限定されるものではないが、非経口的投与(例えば、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内および皮下)、硬膜外投与、腫瘍内投与および粘膜投与(例えば、鼻腔内および経口経路)が挙げられる。さらに、例えば、吸入器または噴霧器の使用、およびエアロゾル剤を用いる製剤による肺投与も利用することができる。例えば、米国特許第6,019,968号、第5,985,320号、第5,985,309号、第5,934,272号、第5,874,064号、第5,855,913号、第5,290,540号および第4,880,078号;ならびに国際公開WO 92/19244、WO 97/32572、WO 97/44013、WO 98/31346およびWO 99/66903を参照されたい(それぞれが本明細書に参照によりその全てが組み入れられる)。IL-9のインヒビターを、Alkermes AIR(登録商標)の肺薬物送達技法(Alkermes社、Cambridge、MA)を使用して投与してもよい。IL-9のインヒビターおよび/または他の治療薬を、筋肉内、静脈内、腫瘍内、経口、鼻腔内、肺または皮下に投与してもよい。IL-9のインヒビターおよび/または他の治療薬を、任意の好都合な経路、例えば、注入もしくはボーラス注射、または上皮もしくは粘膜の内層(例えば、口内粘膜、直腸および腸の粘膜など)を介する吸収によって投与してもよいし、他の生物学的に活性な薬剤と共に投与してもよい。投与は全身的でも局所的でもよい。
IL-9のインヒビターは、治療を必要とする場所に局所的に投与することができる;これは、例えば、限定されるものでないが、局所的注入により、注射により、または移植片により行ってもよく、前記移植片には、シリコーン系の膜、ポリマー、繊維状マトリックス(例えば、Tissuel(登録商標))またはコラーゲンマトリックスなどの膜およびマトリックスなどの多孔性または非多孔性の材料が含まれる。
IL-9のインヒビターは、制御放出または徐放システムで送達することができる。例えば、制御放出または徐放性を実現するためにポンプを使用してもよい(Langer,前掲;Sefton, 1987, CRC Crit. Ref. Biomed. Eng. 14: 20;Buchwaldら, 1980, Surgery, 88 : 507;Saudekら, 1989, N. Engl. J. Med. 321: 574を参照)。あるいは、本発明の療法の制御放出または徐放システムを実現するために高分子材料を使用することができる(例えば、Medical Applications of Controlled Release, LangerおよびWise (編), CRC Pres., Boca Raton, Florida (1974);Controlled Drug Bioavailability, Drug Product Design and Performance, Smolen and Ball (編), Wiley, New York(1984);RangerおよびPeppas, 1983, J. , Macromol. Sci. Rev. Macromol. Chem. 23: 61;また、Levyら, 1985, Science228 : 190;Duringら, 1989, Ann. Neurol. 25: 351;Howardら, 1989, J. Neurosurg. 7 1: 105参照);米国特許第5,679,377号;第5,916,597号;第5,912,015号;第5,989,463号;第5,128,326号;国際公開WO 99/15154号;および国際公開99/20253号を参照)。徐放性製剤で使用されるポリマーの例としては、限定的なものではないが、ポリ2-ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、エチレン酢酸ビニルコポリマー、ポリメタクリレート、ポリグリコリド(PLG),ポリアンヒドライド、ポリN-ビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリエチレングリコール、ポリラクチド(PLA)、ラクチド-グリコリドコポリマー(PLGA)およびポリオルトエステルが含まれる。徐放性製剤で使用するポリマーは不活性で、浸出しうる不純物を含まず、保存時に安定していて、無菌、かつ生物分解性である。制御放出または徐放システムを予防または治療標的の近傍に配置すると、全身服用量のほんの一部分で済ますことができる(例えば、Goodsonの報文、Medical Applications of Controlled Release, 前掲, vol. 2, pp. 115-138(1984)に収載、を参照)。
制御放出システムはLanger (1990, Science 249: 1527-1533)による総説で考察されている。当業者に公知のいずれの技術も、IL-9のインヒビターおよび/または1以上の治療薬を含む徐放性製剤を作製するために使用することができる。例えば、米国特許第4,526,938号、国際公開WO 91/05548、国際公開WO 96/20698、Ningら, 1996,"Intratumoral Radioimmunotheraphy of a Human Colon Cancer Xenograft Using a Sustained-Release Gel(徐放性ゲルを用いるヒト大腸癌異種移植の腫瘍内放射免疫療法)", Radiotherapy & Oncology 39: 179-189;Songら, 1995, "Antibody Mediated Lung Targeting of Long-Circulating Emulsions(長期循環エマルジョンの抗体を介する肺標的化)", PDA Journal of Pharmaceutical Science & Technology 50. 372-397;Cleekら, 1997, "Biodegradable Polymeric Carriers for a bFGF Antibody for Cardiovascular Application(心血管に施用するbFGF抗体用の生物分解性ポリマー担体)", Pro. Int'l. Symp. Control. Rel. Bioact. Mater. 24: 853-854、およびLamら, 1997,"Microencapsulation of Recombinant Humanized Monoclonal Antibody for Local Delivery(局所送達用の組換えヒト化モノクローナル抗体のミクロカプセル化)", Proc. Int'l. Symp. Control Rel. Bioact. Mater. 24: 759-760を参照されたい。
IL-9のインヒビターまたは他の治療薬が核酸であれば、その核酸を適当な核酸発現ベクターの一部として構築し、それが細胞内に入るように、例えば、レトロウイルスベクターを使用して(米国特許第4,980,286号を参照)、直接注射によって、微粒子ボンバードメント(例えば、遺伝子銃:Biolistic(Dupont))を使用して、脂質もしくは細胞表面受容体もしくはトランスフェクト剤でコーティングすることによって、または核に入ることが知られているホメオボックス様ペプチドに連結して(例えば、Joliotら, 1991, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:1864-1868を参照)投与することによって、in vivoで投与してそのコードされた予防薬または治療薬の発現を促進することができる。あるいは、核酸を細胞内に導入し、相同的組換えによって発現用の宿主細胞DNA内に組み込むことができる。
IL-9のインヒビターを含む医薬組成物はその意図した投与経路に適合するように製剤化することができる。投与経路の例には、限定されるものでないが、非経口、例えば、静脈内、皮内、皮下、経口、鼻腔内(例えば、吸入)、経皮的(例えば、局所的)、経粘膜および直腸投与が含まれる。医薬組成物を、ヒトへの静脈内、皮下、筋肉内、経口、鼻腔内、または局所投与に適合させた医薬組成物として、慣用の手順に従って製剤化することができる。典型的には、静脈内投与用組成物は無菌の等張緩衝水溶液である。必要に応じて、組成物は可溶化剤および注射部位の痛みを緩和するようにリグノカインなどの局所麻酔薬を含んでもよい。
IL-9のインヒビターを含む組成物を局所的に投与する場合、組成物を、軟膏、クリーム、経皮パッチ、ローション、ゲル、シャンプー、スプレー、エアゾール、溶液、乳剤または当業者に周知の他の形態で製剤化することができる。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences and Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms, 第19版., Mack Pub. Co., Easton, PA (1995)を参照。非スプレー式の局所投薬剤形のために、典型的には、局所的用途と適合する担体もしくは1以上の賦形剤を含み、かつ好ましくは水より大きな動粘性係数を有する、粘性ないし半固体または固体剤形を使用してもよい。好適な製剤は、限定されないが、溶液、懸濁液、乳剤、クリーム、軟膏(ointment)、パウダー、塗布剤、軟膏(salva)等を含み、これらは、所望であれば、殺菌するか、または、例えば、浸透圧などの様々な特性に影響を及ぼす補助剤(例えば、保存剤、安定剤、湿潤剤、緩衝剤または塩)と混合する。他の好適な局所的投薬剤形は噴霧可能なエアゾール製剤を含み、ここで活性成分は、好ましくは、固体または液体の不活性担体と組み合わせて、加圧された揮発物(例えば、フロンなどのガス状噴射剤)との混合物で、またはスクイーズボトルでパッケージングする。所望であれば、加湿剤または湿潤剤を医薬組成物および投薬形態に加えてもよい。かかる追加成分の例は当技術分野において周知である。
IL-9のインヒビターを鼻腔内に投与する場合、それをエーロゾル剤形、スプレー、ミストまたは滴下剤の剤形で製剤化することができる。かかる製剤は、好適な噴霧剤(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の適当なガス)と共に使用して、加圧パックまたは噴霧器からエアゾールスプレーの形で好都合に送達することができる。加圧エアゾールの場合、一定量を送達するバルブを備えることにより投薬単位を決定することができる。化合物のパウダーミックスとラクトースまたはデンプンなどの適当なパウダーベースを含む、吸入器や吹送器で使用するカプセルおよびカートリッジ(例えば、ゼラチンからなる)を製剤化してもよい。
IL-9のインヒビターを経口投与する場合、それを錠剤、カプセル、カシェ剤、ゲルキャップ、溶液、懸濁液等の剤形で経口的に製剤化することができる。結合剤(例えば、予めゼラチン化したコーンスターチ、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、充填剤(例えば、ラクトース、微晶質セルロースまたはリン酸水素カルシウム)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルクまたはシリカ)、崩壊剤(例えば、ジャガイモデンプンまたはデンプングリコール酸ナトリウム)または湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)などの製薬上許容される賦形剤を用いて従来の手段により錠剤またはカプセルを調製することができる。錠剤は、当技術分野で周知の方法によってコーティングしてもよい。経口投与用の液体製剤は、限定されるものではないが、溶液、シロップまたは懸濁液の剤形であってもよく、または乾燥品として提供して使用前に水または他の好適なビヒクルで形成してもよい。かかる液体製剤は、懸濁剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体または水素化した食用脂肪)、乳化剤(例えば、レシチンまたはアカシア)、非水性ビヒクル(例えば、アーモンド油、油性エステル、エチルアルコールまたは分留した植物油)、および保存剤(例えば、p-ヒドロキシ安息香酸メチルもしくはプロピルまたはソルビン酸)などの製薬上許容される添加剤を用いて慣用の手段により調製することができる。製剤はまた、適宜、緩衝剤用の塩、香料、着色剤、および甘味剤を含んでもよい。経口投与用製剤は、予防薬または治療薬の遅延放出、制御放出または徐放性にとって好適なように製剤化することができる。
IL-9のインヒビターを、例えば、吸入器または噴霧器を使用して肺に投与する場合、それをエーロゾル化剤を用いて製剤化することができる。例えば、米国特許第6,019,968号、第5,985,320号、第5,985,309号、第5,934,272号、第5,874,064号、第5,855,913号、第5,290,540号および第4,880,078号;ならびに国際公開WO 92/19244、WO 97/32572、WO 97/44013、WO 98/31346およびWO 99/66903を参照されたい。IL-9のインヒビターを、Alkermes AIR(登録商標)肺薬物送達技術(Alkermes社、ケンブリッジ、MA)を使用して投与することができる。
IL-9のインヒビターを注射(例えば、ボーラス注射か連続的な注入による)による非経口投与用製剤で投与する場合、それは、単位投与剤形(例えば、アンプル中のまたは多重用量容器中の)に保存剤を添加して提供してもよい。組成物は、油性または水性のビヒクル中で懸濁液、溶液または乳剤などの剤形であってもよく、懸濁剤、安定剤および/または分散剤などの製剤用薬剤を含んでもよい。あるいは、活性成分は、使用前に、適当なビヒクル(例えば、発熱物質を含まない無菌の水)で形成するパウダー剤形でもよい。
IL-9のインヒビターはデポ製剤として投与することができる。かかる長期にわたり活性な製剤は、移植(例えば、皮下にまたは筋肉内に)によって、または筋肉注射によって投与してもよい。したがって、例えば、IL-9のインヒビターは、好適なポリマーまたは疎水性材料(例えば、許容される油中の乳剤として)またはイオン交換樹脂で、あるいは難溶性誘導体(例えば、難溶性塩として)として製剤化してもよい。
IL-9のインヒビターは、中性または塩の剤形で製剤化することができる。製薬上許容される塩には、塩酸、燐酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸などに由来する陰イオンで形成されたもの、およびナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、水酸化鉄、イソプロピルアミン、トリエチルアミン、2-エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなどに由来する陽イオンで形成されたものが含まれる。
IL-9のインヒビターを含む組成物の成分は、別々に供給するか、または単位投与剤形で一緒に混合して、例えば、活性剤の量を示すアンプルまたはサシェットなどの密封容器に入った凍結乾燥粉または水を含まない濃縮物として供給することができる。組成物を注入によって投与する場合、組成物を無菌の製薬グレードの水または食塩水を含有する注入ボトルを用いて調合してもよい。組成物を注射によって投与する場合、投与に先立って成分を混合できるように、注射用の滅菌水または生理食塩水のアンプルを提供してもよい。
投与するIL-9のインヒビターは、薬剤の量を示すアンプルやサシェットなどの密封容器にパッケージすることができる。IL-9のインヒビターは、殺菌した凍結乾燥粉または水を含まない濃縮物として密封容器に入れて供給し、被験者への投与のための好適な濃度に(例えば、水または食塩水で)再構成することができる。IL-9のインヒビターは、少なくとも5mg、より好ましくは少なくとも10mg、少なくとも15mg、少なくとも25mg、少なくとも35mg、少なくとも45mg、少なくとも50mg、少なくとも75mg、または少なくとも100mgの単位投薬量で、密封容器に入れた乾燥した無菌凍結乾燥パウダーとして供給してもよい。あるいは、IL-9のインヒビターは、薬剤の量および濃度を示す密封容器に入れて、液剤形で供給することができる。液剤形は、少なくとも0.25mg/ml、より好ましくは少なくとも0.5mg/ml、少なくとも1mg/ml、少なくとも2.5mg/ml、少なくとも5mg/ml、少なくとも8mg/ml、少なくとも10mg/ml、少なくとも15mg/kg、少なくとも25mg/ml、少なくとも50mg/ml、少なくとも75mg/mlまたは少なくとも100mg/mlで、密封容器に入れて供給してもよい。
IL-9のインヒビターの治療薬としてのスクリーニング
IL-9のインヒビターを、免疫細胞(例えば、T細胞、好中球および肥満細胞)、内皮細胞、および上皮細胞の生物学的活性を調節する能力について、in vitroおよび/またはin vivoで試験することができる。免疫細胞(例えば、T細胞、B細胞、肥満細胞、マクロファージ、好中球および好酸球)、内皮細胞、および上皮細胞の生物学的活性を調節するIL-9のインヒビターの能力は、抗原の発現の検出(例えば、IL-9による遺伝子、例えば、限定されるものでないが、ムチン遺伝子(例えば、MUC2、MUC5AC、MUC5BおよびMUC6)およびリンパ球活性化に関与する遺伝子(例えば、Lγ-6A/E)などの活性化);免疫細胞、内皮細胞および/または上皮細胞の増殖の検出;シグナリング分子の活性化(例えば、Stat2のリン酸化、JAK3のリン酸化、またはIL-9Rのリン酸化)の検出;免疫細胞(例えば、T細胞、B細胞、肥満細胞、マクロファージ、好中球、および好酸球)、内皮細胞および/または上皮細胞のエフェクター機能の検出;免疫細胞、内皮細胞、および/または上皮細胞の分化の検出によって評価することができる。当業者に公知の技法をこれらの活性の測定に利用することができる。例えば、細胞増殖は、3H-チミジン取り込みアッセイおよびトリパンブルー法による細胞計数によってアッセイすることができる。抗原発現は、限定されるものでないが、例えば、ウエスタンブロット、免疫組織化学的ラジオイムノアッセイ、ELISA(酵素結合イムノソルベントアッセイ)、「サンドイッチ」イムノアッセイ、免疫沈降アッセイ、沈降反応、ゲル内沈降反応、免疫拡散アッセイ、凝集アッセイ、補体結合アッセイ、免疫放射定量測定法、蛍光イムノアッセイ、プロテインAイムノアッセイ、ならびにFACS分析などの技術を用いる競合および非競合アッセイ系を含むイムノアッセイによってアッセイすることができる。シグナリング分子の活性化は、例えば、キナーゼアッセイおよび電気泳動シフトアッセイ(EMSA)によってアッセイすることができる。肥満細胞の脱顆粒は、例えば高速液体クロマトグラフィーによってセロトニン(5-HT)放出またはヒスタミン放出を測定することによってアッセイすることができる(例えば、Taylorら, 1995 Immunology 86(3):427-433;およびKurosawaら, 1998 Clin Exp アレルギー 28(8):1007-1012を参照)。
IL-9のインヒビターを、ヒトにおける使用に先立ち、所望の治療または予防活性についてin vitroで、次いでin vivoで試験することができる。例えば、具体的な医薬品組成物の投与を指示するかどうかを決めるのに使用可能なアッセイには、患者組織サンプルを培養で増殖し、医薬品組成物に曝すか、そうでなければ接触させ、かかる組成物の組織サンプルに与える効果を観察する細胞培養アッセイが含まれる。組織サンプルは、患者から生検によって採取することができる。この試験により、各患者に治療上最も有効な療法(例えば予防または治療薬)を同定することができる。様々な具体的実施形態においては、線維性または炎症性疾患または障害に関わる細胞型の代表的な細胞を用いてin vitroアッセイを実施し、本発明の医薬品組成物がかかる細胞型に所望の効果を有するかを判定することができる。
IL-9インヒビターの末梢血リンパ球数に対する効果は、当業者に公知の標準技法を用いてモニター/評価することができる。被験者の末梢血リンパ球数は、例えば、前記被験者由来の末梢血サンプルを採取すること、例えば、Ficoll-Hypaque(Pharmacia)勾配遠心分離法を用いてリンパ球を血漿などの末梢血の他成分から分離すること、およびトリパンブルーを用いてリンパ球を計数することによって決定することができる。例えば、被験者の末梢血T細胞数は、例えば、Ficoll-Hypaque(Pharmacia)勾配遠心分離法を用いて、リンパ球を血漿などの末梢血の他成分から分離し、FITCあるいはフィコエリトリンにコンジュゲートしたT細胞抗原に対する抗体によってT細胞を標識し、FACSによってT細胞数を測定することによって決定することができる。
IL-9のインヒビターを、ヒトにおける使用に先立ち、適切な動物モデル系において試験することができる。かかる動物モデル系としては、限定されるものでないが、ラット、マウス、ニワトリ、ウシ、サル、ブタ、イヌ、ウサギなどが含まれる。当技術分野で周知である任意の動物系を用いてもよい。この手順のいくつかの態様は変化しうる;前記態様としては、限定されるものでないが、療法(例えば予防薬および/または治療薬)の投与の時間的なレジメン、つまりかかる療法を独立に投与するか、または混合物として投与するか、および療法の投与頻度が挙げられる。
IL-9のインヒビターの抗炎症活性は、当業界で公知の炎症性関節炎の様々な実験動物モデルを用いることによって決定することが、Crofford L.J.およびWilder R.L.、"Arthritis and Autoimmunity in Animals(動物の関節炎および自己免疫)", Arthritis and Allied Conditions:A Textbook of Rheumatology, McCarty(編), Chapter 30 (LeeおよびFebiger, 1993)に収載、に記載されている。炎症性関節炎および自己免疫リウマチ疾患の実験および自然発生動物モデルもIL-9のインヒビターの抗炎症活性を評価するのに用いることができる。
IL-9のインヒビターの抗炎症活性はまた、WinterC.A.ら, "Carrageenan-Induced Edema in Hind Paw of the Rat as an Assay for Anti-inflammatory Drugs(抗炎症薬用アッセイとしてのラット後足のカラゲナン誘導浮腫)" Proc. Soc. Exp. Biol Med. 111, 544-547, (1962)に記載された方法の改変法を用いて、ラットのカラゲナン誘導足浮腫の抑制を測定することによって評価することができる。このアッセイは、ほとんどのNSAIDの抗炎症活性用の一次in vivoスクリーニングとして用いられており、ヒトにおける有効性を予測しうると考えられる。この試験療法(例えば、予防薬または治療薬)の抗炎症活性は、ビヒクルを投与した対照群と比較して、試験群の後足重量増加の%抑制として表現される。
使用できる実験動物モデルはアジュバント誘導関節炎ラットモデルである。体重を対照群と比較して、IL−9のインヒビターの抗炎症活性を決定することができる。
炎症性障害の予防または治療における有効性は、例えば、炎症性障害の1以上の症状を低減する、T細胞活性化を減少する、T細胞増殖を減少する、1以上のサイトカイン増殖を調節する、サイトカインプロファイルを低減する、関節、器官または組織の炎症を低減する、あるいは生活の質を改善する、IL-9のインヒビターの能力を検出することによって実証することができる。
炎症性疾患の活性における変化はまた、もろくて膨れた関節数、疼痛および疾患活性についての患者および医師のグローバル・スコア、およびESR/CRPを介して評価することができる。構造的関節障害の進展は、手、手首、足におけるX線の定量的スコアリングによって評価することができる(シャープ(Sharp)法)。炎症性疾患のヒトにおける機能的状態の変化は、健康評価質問表(Health Assessment Questionnaire)(HAQ)を用いて評価することができ、また生活の質の変化はSFによって評価する。
当業者は、炎症性腸疾患におけるIL-9のインヒビターの有効性、治療の用量および安全性を評価するための実験マウスモデルを入手しうる。例えば、Pizarroら, Trends Mol. Med. 9 (2003):218-222、およびNeurathら, J. Exp. Med. 182 (1995):1281-1290)を参照されたい。
IL-9のインヒビターを使用する予防および/または治療プロトコルの毒性および/または有効性は、細胞培養または実験動物における標準的な製薬上の手順、例えばLD50(集団の50%の致死用量)およびED50(集団の50%における治療上有効な用量)によって決定することができる。毒性効果と治療効果の用量比は治療指数であり、LD50/ED50比として表現することができる。毒性副作用を示す療法を用いることができる一方、非感染細胞に対する潜在的損傷を最小限にしてそれにより副作用を低減するために、かかる薬剤を患部組織の部位に標的化する送達システムを設計することに注意を払うべきである。
細胞培養アッセイおよび動物研究から得られるデータを、ヒトに使用するための予防薬および/または治療薬の用量範囲を処方するのに利用することができる。かかる薬剤の用量は、好ましくは毒性がほとんどないか全くないED50を含む循環濃度の範囲内にある。用量は、使用する剤形と利用する投与経路に応じてこの範囲内で変化しうる。本発明が包含する方法で用いるいずれの治療についても、治療的に有効な用量は、最初、細胞培養アッセイから推定することができる。細胞培養で決定したIC50(すなわち、症候群の半抑制を達成する試験化合物の濃度)を含む循環血漿濃度範囲を達成する用量を、動物モデルで処方してもよい。かかる情報を用いてヒトにおいて有用な用量をより正確に決定することができる。血漿中のレベルは、例えば、高速液体クロマトグラフィーによって測定することができる。
さらに、当業者に公知の任意のアッセイを使用して、線維性または炎症性疾患または障害に対するIL-9のインヒビターの予防および/または治療的有用性を評価することができる。
抗体の組換え発現
IL-9のインヒビターがIL-9に免疫特異的な抗体である場合、これを遺伝子組換えによって作製することができる。IL-9と免疫特異的に結合する抗体の組換え発現は、該抗体またはその一部分をコードするポリヌクレオチドを含有する発現ベクターの構築を必要とする。抗体分子をコードするポリヌクレオチドが得られると、抗体分子を産生するベクターは当技術分野で周知の技法を用いて組換えDNA技法により作製することができる。当業者に周知の方法を用いて、抗体コード配列ならびに適当な転写および翻訳制御シグナルを含有する発現ベクターを構築することができる。これらの方法には、例えば、in vitroでの組換えDNA技法、合成技法、およびin vivoでの遺伝子組換えが含まれる。抗体分子の定常領域(例えば、国際公開WO 86/05807;国際公開WO 89/01036;および米国特許第5,122,464号を参照)および抗体の可変ドメインをコードするヌクレオチド配列を含むベクターを、かかるベクター中にクローニングし、全重鎖、全軽鎖、または全重鎖と全軽鎖の両方を発現することができる。
発現ベクターを従来の技法によって宿主細胞に導入し、次いでこのトランスフェクトした細胞を従来の技法により培養して本発明の抗体を産生させる。様々な宿主-発現ベクター系を利用してIL-9に免疫特異的な抗体を発現することができる。かかる宿主-発現系は目的のコード配列を産生し次いで精製するためのビヒクルであるが、また、配列をコードする適当なヌクレオチドにより形質転換するかまたはトランスフェクトすると、本発明の抗体をin situで発現できる細胞でもある。これらの系としては、限定されるものでないが、抗体コード配列を含む組換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNAまたはコスミドDNA発現ベクターで形質転換した細菌(例えば、大腸菌および枯草菌(B.subtilis))などの微生物;抗体コード配列を含む組換え酵母発現ベクターで形質転換した酵母(例えば、Saccharomyces Pichia);抗体コード配列を含む組換えウイルス発現ベクター(例えばバキュロウイルス)に感染した昆虫細胞系;抗体コード配列を含む組換えウイルス発現ベクター(例えばカリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)に感染させたかまたは組換えプラスミド発現ベクター(例えばTiプラスミド)で形質転換した植物細胞系;あるいは哺乳動物細胞ゲノム由来のプロモーター(例えばメタロチオネインプロモーター)または哺乳動物ウイルス由来のプロモーター(例えば、アデノウイルス後期プロモーター;ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)を含む組換え発現構築物を保有する哺乳動物細胞系(例えば、COS、CHO、BHK、293、NSO、および3T3細胞)が挙げられる。大腸菌などの細菌細胞、および真核細胞を組換え抗体分子の発現に使用することができる。例えば、ヒトサイトメガロウイルス由来の主要な即時型初期遺伝子プロモーターエレメントなどのベクターを伴うチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)などの哺乳動物細胞は抗体の有効な発現系である(Foeckingら, 1986, Gene 45:101;およびCockettら, 1990, Bio/Technology 8:2)。IL-9に免疫特異的な抗体をコードするヌクレオチド配列の発現は、構成的プロモーター、誘導性プロモーターまたは組織特異的なプロモーターによって調節することができる。
細菌系では、発現する抗体分子の意図する用途に応じて、いくつもの発現ベクターを有利に選択することができる。例えば、抗体分子の医薬品組成物を作製するために大量のかかる抗体を生産する場合、容易に精製される融合タンパク質産物の高レベルの発現を指揮するベクターが所望されうる。かかるベクターには、限定されるものでないが、抗体コード配列が個々にlac Zコード領域と共にフレーム内でライゲートされ、融合タンパク質を産生する大腸菌発現ベクターpUR278(Rutherら, 1983, EMBO 12:1791);pINベクター(InouyeおよびInouye, 1985, Nucleic Acids Res. 13:3101〜3109;Van HeekeおよびSchuster、1989, J. Biol. Chem. 24:5503-5509)などが含まれる。pGEXベクターを使用して、外来ポリペプチドをグルタチオン5-トランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質として発現させることもできる。一般に、かかる融合タンパク質は可溶であり、マトリックスグルタチオンアガロースビーズへの吸着および結合の後に遊離グルタチオンの存在下で溶出することにより、溶解細胞から容易に精製することができる。トロンビンまたは因子Xaプロテアーゼ切断部位を含むようにpGEXベクターを設計すると、クローニングした標的遺伝子産物をGST部分から放出させることができる。
昆虫系では、Autographa californica核多角体病ウイルス(AcNPV)が外来遺伝子を発現するベクターとして使われる。ウイルスをスポドプテラ・フルギペルタ(Spodoptera frugiperda)細胞内で増殖させる。抗体コード配列を、ウイルスの非必須領域(例えばポリヘドリン遺伝子)中に個々にクローニングし、AcNPVプロモーター(例えばポリヘドリンプロモーター)の制御下に置くことができる。
哺乳類の宿主細胞では、いくつものウイルスに基づく発現系を利用することができる。アデノウイルスを発現ベクターとして用いる場合、目的の抗体コード配列をアデノウイルス転写/翻訳制御複合体、例えば、後期プロモーターおよびトリパータイトリーダー(tripartite leader)配列とライゲートすることができる。次いで、このキメラ遺伝子を、in vitroまたはin vivoの組換えによってアデノウイルスゲノムに挿入することができる。ウイルスゲノムを非必須領域(例えば、E1またはE3領域)中に挿入すると、感染宿主で生存可能でありかつ抗体分子を発現することができる組換えウイルスを生じうる(例えば、Logan & Shenk, 1984, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 8 1:355-359を参照)。挿入した抗体コード配列を効率的に翻訳するためには、特定の開始シグナルも必要でありうる。これらのシグナルには、ATG開始コドンおよび隣接配列が含まれる。さらに、開始コドンは、所望のコード配列のリーディングフレームと同じ相に置いて、完全なインサートの翻訳を確実にしなければならない。これらの外因性翻訳制御シグナルおよび開始コドンは、天然および合成両方の様々な起源のものでありうる。発現の効率は、好適な転写エンハンサーエレメント、転写ターミネーターなどを含めることにより増強することができる(例えば、Bittnerら, 1987, Methods in Enzymol. 153:51-544を参照)。
さらに、宿主細胞株を選択して、挿入配列の発現を調節するか、または所望の特定の様式で遺伝子産物を改変しかつプロセシングすることができる。かかるタンパク質の改変(例えば糖鎖付加)およびプロセシング(例えば切断)はタンパク質の機能にとって重要でありうる。色々な宿主細胞は、タンパク質および遺伝子産物の翻訳後プロセシングおよび改変に特徴的かつ特異的な機構を有する。適切な細胞株または宿主系を選択して、発現される外来タンパク質の正しい改変およびプロセシングを確実にすることができる。この目的で、遺伝子産物の一次転写、糖鎖付加、およびリン酸化の適切なプロセシングのための細胞機構を保有する真核生物の宿主細胞を利用することができる。かかる哺乳類の宿主細胞には、限定されるものでないが、CHO、VERY、BHK、Hela、COS、MDCK、293、3T3、W138、BT483、Hs578T、HTB2、BT2O、およびT47D、NS0(いずれの免疫グロブリン鎖も内因的に産生しないネズミ骨髄腫細胞株)、CRL7O3OおよびHsS78Bst細胞が含まれる。
IL-9に免疫特異的に結合する抗体の発現レベルは、ベクター増幅によって増加することができる(総説については、BebbingtonおよびHentschel, 1987, "The use of vectors based on gene amplification for the expression of cloned genes in mammalian cells(哺乳動物細胞でクローニングした遺伝子を発現するための、遺伝子増幅に基づくベクターの利用)"、DNA cloning, Vol. 3. (Academic Press, New York)に収載、を参照)。抗体を発現するベクター系中のマーカーが増幅可能な場合、宿主細胞の培養に存在するインヒビターのレベルの増加はそのマーカー遺伝子のコピー数を増加しうる。その増幅領域は抗体遺伝子と結合しているため、抗体の産生も増加しうる(Crouseら, Mol. Cell. Biol., 3: 257,1983)。
宿主細胞に、本発明の2つの発現ベクター、すなわち、すなわち重鎖由来のポリペプチドをコードする第1のベクターおよび軽鎖由来のポリペプチドをコードする第2のベクターを共トランスフェクトすることができる。2つのベクターは、重鎖および軽鎖ポリペプチドの等しい発現を可能にする同一の選択可能なマーカーを含有してもよい。あるいは、重鎖および軽鎖の両方のポリペプチドをコードし、それらを発現しうる単一のベクターを使用してもよい。かかる状況では、毒性を有する遊離重鎖が過剰となるのを回避するため、重鎖の前に軽鎖を配置する必要がある(Proudfoot, Nature, 322: 52,1986;およびKohler, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77: 2 197,1980)。重鎖と軽鎖のコード配列はcDNAまたはゲノムDNAを含むことができる。
一旦IL-9と免疫特異的に結合する抗体が組換え発現によって産生されると、免疫グロブリン分子を精製するための、当技術分野で公知の任意の方法、例えばクロマトグラフィー(例えば、イオン交換、アフィニィティー、特にプロテインAに次ぐ特異的抗原に対するアフィニィティー、およびサイズ分離カラムクロマトグラフィー)、遠心分離、溶解度の差異、またはタンパク質を精製するための他の任意の標準技法によって精製することができる。
ポリペプチドを作製する方法
IL-9のインヒビターが抗体でないポリペプチド、ペプチド、タンパク質または融合タンパク質であれば、これは、標準的な組換えDNA技術によりまたはタンパク質合成技法、例えばペプチドシンセサイザーの使用によって作製することができる。例えば、IL-9を阻害するポリペプチド、ペプチド、タンパク質、または融合タンパク質をコードする核酸分子は、自動DNAシンセサイザーを含む従来の技術によって合成することができる。あるいは、2つの連続遺伝子断片間に相補性突出部分を生じるアンカープライマーを使用する遺伝子断片のPCR増幅を行い、これらの断片を次いでアニーリングしかつ再増幅してキメラ遺伝子配列を作製することができる(例えば、Current Protocols in Molecular Biology, Ausubelら編, John Wiley&Sons, (1992)を参照)。
IL-9のポリペプチド、ペプチド、タンパク質、または融合タンパク質インヒビター、例えば可溶性IL-9受容体ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、当業者に利用可能ないずれかの情報から(すなわち、Genbank、文献から、または通常のクローニングにより)得ることができる。IL-9のポリペプチド、ペプチド、タンパク質および融合タンパク質インヒビターをコードするヌクレオチド配列を、好適な発現ベクター、すなわち挿入したタンパク質コード配列の転写および翻訳に必要なエレメントを含むベクター中に挿入することができる。様々な宿主-ベクター系を本発明で利用して、タンパク質コード配列を発現することができる。これらには、限定されるものでないが、ウイルス(例えば、ワクシニアウイルス、アデノウイルスなど)に感染した哺乳動物細胞系;ウイルス(例えばバキュロウイルス)に感染した昆虫細胞系;酵母ベクターを含有する酵母などの微生物;またはバクテリオファージ、DNA、プラスミドDNA、あるいはコスミドDNAで形質転換した細菌が含まれる。ベクターの発現エレメントは、その強さおよび特異性が様々である。利用する宿主-ベクター系に応じて、いくつもの好適な転写および翻訳エレメントのうちのいずれか1つを使用することができる。
IL-9のポリペプチド、ペプチド、タンパク質、または融合タンパク質の発現は、当技術分野で公知の任意のプロモーターまたはエンハンサーエレメントによって制御することができる。融合タンパク質をコードする遺伝子の発現を制御するのに利用できるプロモーターとしては、限定されるものでないが、SV40初期プロモーター領域(BemoistおよびChambon, 1981, Nature 290:304-310)、ラウス肉腫ウイルスの3'長末端反復配列に含まれるプロモーター(Yamamotoら, 1980, Cell 22:787-797)、ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター(Wagnerら, 1981, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 78:1441-1445)、メタロチオネイン遺伝子の調節配列(Brinsterら, 1982, Nature 296:39-42)、テトラサイクリン(Tet)プロモーター(Gossenら, 1995, Proc. Nat. Acad. Sci. USA 89:5547-5551);β-ラクタマーゼプロモーターなどの原核生物発現ベクター(Villa-Kamaroffら, 1978, Proc. Nat. Acad. Sci. U.S.A. 75:3727-3731)、またはtacプロモーター(DeBoerら, 1983, Proc. Nat. Acad. Sci. U.S.A. 80:21-25;また"Useful proteins from recombinant bacteria(組換え細菌からの有用なタンパク質)" Scientific American, 1980, 242:74-94も参照);ノパリンシンテターゼプロモーター領域(Herrera-Estrellaら, Nature 303:209-213)またはカリフラワーモザイクウイルス35S RNAプロモーター(Gardnerら, 1981, Nucl. Acids Res. 9:2871)を含む植物発現ベクター、ならびに光合成酵素リブロース二リン酸カルボキシラーゼのプロモーター(Herrera-Estrellaら、1984、Nature310:115-120);Gal 4プロモーター、ADC(アルコール脱水素酵素)プロモーター、PGK(ホスホグリセロールキナーゼ)プロモーター、アルカリホスファターゼプロモーターなどの酵母あるいは他の真菌由来のプロモーターエレメント、ならびに組織特異性を示し、トランスジェニック動物において利用されている以下の動物転写制御領域:膵腺房細胞において活性のあるエラスターゼI遺伝子制御領域(Swiftら, 1984, Cell 38:639-646;Ornitzら, 1986, Cold Spring Harbor Symp. Quant. Biol. 50:399-409;MacDonald、1987、Hepatology 7:425-515);膵β細胞で活性のあるインスリン遺伝子制御領域(Hanahan, 1985, Nature 315:115-122)、リンパ球様細胞で活性のある免疫グロブリン遺伝子制御領域(Grosschedlら, 1984, Cell 38:647-658;Adamesら, 1985, Nature 318:533-538;Alexanderら, 1987, Mol. Cell. Biol. 7:1436-1444)、精巣細胞、乳腺細胞、リンパ球様細胞および肥満細胞で活性のあるマウス乳癌ウイルス制御領域(Lederら、1986、Cell 45:485-495)、肝臓で活性のあるアルブミン遺伝子制御領域(Pinkertら、1987、Genes and Devel.1:268-276)、肝臓で活性のあるαフェトプロテイン遺伝子制御領域(Krumlaufら, 1985, Mol. Cell. Biol. 5:1639-1648;Hammerら, 1987, Science235:53-58);肝臓で活性のあるα1抗トリプシン遺伝子制御領域(Kelseyら, 1987, Genes and Devel.1:161-171)、骨髄細胞で活性のあるβグロビン遺伝子制御領域(Mogramら, 1985, Nature 315:338-340;Kolliasら, 1986, Cell 46:89-94);脳のオリゴデンドロサイト細胞で活性のあるミエリン塩基性タンパク質遺伝子制御領域(Readheadら, 1987, Cell 48:703-712);骨格筋で活性のあるミオシン軽鎖-2遺伝子制御領域(Sani, 1985, Nature 314:283-286);神経細胞で活性のある神経細胞特異的エノラーゼ(NSE)(Morelliら, 1999, Gen. Virol. 80:571-83);神経細胞で活性のある脳由来神経栄養因子(BDNF)遺伝子制御領域(Tabuchiら, 1998, Biochem. Biophysic. Res.Com. 253:818-823);星状細胞で活性のあるグリア原繊維性酸性タンパク質(GFAP)プロモーター(Gomesら, 1999, Braz J Med Biol Res 32(5):619-631;Morelliら, 1999, Gen. Virol. 80:571-83)ならびに視床下部で活性のある性腺刺激放出ホルモン遺伝子制御領域(Masonら, 1986, Science 234:1372-1378)が挙げられる。
IL-9のポリペプチド、ペプチド、タンパク質、または融合タンパク質インヒビターの発現は、構成的プロモーターによって調節することができる。IL-9のポリペプチド、ペプチド、タンパク質、または融合タンパク質インヒビターの発現は、誘導プロモーターによって調節することができる。IL-9のポリペプチド、ペプチド、タンパク質、または融合タンパク質インヒビターの発現は、組織特異的なプロモーターによって調節することができる。
哺乳動物宿主細胞では、いくつものウイルスに基づく発現系を利用することができる。アデノウイルスを発現ベクターとして用いる場合、ポリペプチドまたは融合タンパク質をコードする配列をアデノウイルス転写/翻訳制御複合体、例えば、後期プロモーターおよびトリパータイトリーダー(tripartite leader)配列にライゲートすることができる。このキメラ遺伝子を、次いで、in vitroまたはin vivoでの組換えによってアデノウイルスゲノム中に挿入することができる。ウイルスゲノムの非必須領域(例えば、領域E1またはE3)内に挿入すると、感染宿主中で生存可能でありかつ抗体分子を発現できる組換えウイルスが得られる(例えば、LoganおよびShenk, 1984, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 81:355-359を参照)。特異的な開始シグナルも、挿入した融合タンパク質コード配列の効率的翻訳のために必要でありうる。これらのシグナルには、ATG開始コドンおよび隣接配列が含まれる。さらに、開始コドンを所望のコード配列のリーディングフレームと同じ相に置いて、完全なインサートの翻訳を確実にしなければならない。これらの外因性翻訳制御シグナルおよび開始コドンは、天然および合成両方の様々な起源のものでありうる。発現の効率は、適当な転写エンハンサーエレメント、転写ターミネーターなどを含ませることによって増強することができる(Bittnerら, 1987, Methods in Enzymol. 153:51-544を参照)。
IL-9のポリペプチド、ペプチド、タンパク質、または融合タンパク質インヒビターをコードする遺伝子のインサートを含有する発現ベクターは、3つの一般的な方法によって同定することができる:すなわち、(a)核酸ハイブリダイゼーション、(b)「マーカー」遺伝子機能の存在もしくは不在、および(c)挿入配列の発現によってである。第1の方法では、発現ベクター中のIL-9のポリペプチド、ペプチド、タンパク質、または融合タンパク質インヒビターをコードする遺伝子の存在は、IL-9のポリペプチド、ペプチド、タンパク質、または融合タンパク質インヒビターをそれぞれコードする挿入遺伝子に相同的な配列を含むプローブを用いる核酸ハイブリダイゼーションによって検出することができる。第2の方法では、組換えベクター/宿主系は、ベクターへのポリペプチド、ペプチド、タンパク質、または融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列の挿入により生じたある特定の「マーカー」遺伝子機能(例えば、チミジンキナーゼ活性、抗生物質に対する耐性、形質転換表現型、バキュロウイルスの封入体形成)の存在もしくは不在に基づいて同定および選択することができる。例えば、融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列をベクターのマーカー遺伝子配列内に挿入した場合、融合タンパク質インサートをコードする遺伝子を含有する組み換え体は、マーカー遺伝子機能の不在によって同定することができる。第3の方法では、組換え発現ベクターは、組換えによって発現される遺伝子産物(例えば融合タンパク質)をアッセイすることによって同定することができる。かかるアッセイは、例えばin vitroアッセイ系における融合タンパク質の物理的または機能的特性、例えば抗体との結合に基づくことができる。
さらに、挿入した配列の発現を調節するか、または所望の特異的様式で遺伝子産物を改変しかつプロセシングする宿主細胞株を選択することができる。ある特定のプロモーターからの発現はある特定のインデューサーの存在で亢進できるので、従って、遺伝子操作した融合タンパク質の発現を制御することができる。さらに、色々な宿主細胞は、翻訳および翻訳後のプロセシングおよび改変(例えば、糖鎖付加、タンパク質のリン酸化)に対して特徴のあるかつ特異的な機構を有する。適当な細胞株または宿主系を選んで、発現される外来タンパク質の所望の改変およびプロセシングを確実にすることができる。例えば、細菌系における発現は非グリコシル化産物を産生し、酵母における発現はグリコシル化産物を産生しうる。一次転写産物の適当なプロセシング、遺伝子産物の糖鎖付加、およびリン酸化のための細胞機構を有する真核生物の宿主細胞を用いることができる。かかる哺乳動物の宿主細胞としては、限定されるものでないが、CHO、VERY、BHK、Hela、COS、MDCK、293、3T3、WI38、NS0、および特に、神経細胞株、例えば、SK-N-AS、SK-N-FI、SK-N-DZヒト神経芽細胞腫(Sugimotoら, 1984, J. Natl. Cancer Inst. 73:51-57)、SK-N-SHヒト神経芽細胞腫(Biochim. Biophys. Acta, 1982、704:450-460)、Daoyヒト小脳髄芽腫(Heら, 1992, Cancer Res. 52:1144-1148)、DBTRG-05MG膠芽腫細胞(Kruseら, 1992, In Vitro Cell. Dev. Biol. 28A:609-614)、IMR-32ヒト神経芽細胞腫(Cancer Res., 1970, 30:2110-2118)、1321N1ヒト星状細胞腫(Proc. Natl Acad. Sci. U.S.A., 1977, 74:4816)、MOG-G-CCMヒト星状細胞腫(Br. J. Cancer, 1984, 49:269)、U87MGヒト膠芽細胞腫-星状細胞腫(Acta Pathol. Microbiol. Scand. , 1968, 74:465-486)、A172ヒト膠芽細胞腫(Olopadeら, 1992, Cancer Res. 52:2523-2529)、C6ラット神経膠腫細胞(Bendaら, 1968, Science 161:370-371)、Neuro-2aマウス神経芽細胞腫(Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 1970, 65:129-136)、NB41A3マウス神経芽細胞腫(Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.、1962、48:1184-1190)、SCPヒツジ脈絡叢(Bolinら, 1994, J. Virol. Methods48:211-221)、G355-5、PG-4 Cat正常星状細胞(Haapalaら, 1985, J. Virol. 53:827-833)、Mpfフェレット脳(Trowbridgeら, 1982, In Vitro 18:952-960)、ならびに、例えば、CRL7030およびHs578Bstなどの、例えば、CTX TNA2ラットの正常大脳皮質(Radanyら, 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 89:6467-6471)などの正常細胞株が挙げられる。さらに、色々なベクター/宿主発現系は、程度は異なるが、プロセシング反応に効果を与えうる。
長期にわたる、IL-9の組換えポリペプチド、ペプチド、タンパク質または融合タンパク質インヒビターの高収量の産生、安定した発現が好ましい。例えば、IL-9の組換えポリペプチド、ペプチド、タンパク質または融合タンパク質インヒビターを安定的に発現する細胞株を設計することができる。宿主細胞は、ウイルスの複製起点を含む発現ベクターを用いるよりも、むしろ適当な発現制御要素(例えば、プロモーター、エンハンサー、配列、転写ターミネーター、ポリアデニル化部位など)および選択可能なマーカーによって制御したDNAを用いて形質転換することができる。外来DNAを導入した後、遺伝子操作を施した細胞を、富化培地内で1〜2日間増殖させ、次いで選択培地に切り替える。組換えプラスミド中の選択可能なマーカーは選択に対する耐性を付与し、細胞がプラスミドをその染色体に安定的に組み入れかつ増殖して細胞増殖巣を形成することを可能にし、この細胞増殖巣を順にクローニングしかつ細胞株中に拡大することができる。この方法は、IL-9ポリペプチドと免疫特異的に結合するポリペプチド、ペプチド、タンパク質または融合タンパク質を発現する細胞株を遺伝子操作するために有利に用いることができる。かかる遺伝子操作を施した細胞株は、IL-9ポリペプチドに免疫特異的に結合するポリペプチド、ペプチド、タンパク質または融合タンパク質の活性に影響を与える化合物のスクリーニングおよび評価に特に有用でありうる。
限定されるものでないが、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(Wiglerら, 1977, Cell 11:223)、ヒポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(SzybalskaおよびSzybalski, 1962, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 48:2026)、およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowyら, 1980, Cell 22:817)遺伝子を含むいくつもの選択系は、tk-、hgprt-またはaprt-細胞でそれぞれ使用することができる。また、抗代謝薬耐性を選択の基礎として利用することができ、dhfrはメトトレキセートに対する耐性を付与し(Wiglerら, 1980, Natl. Acad. Sci. U.S.A. 77:3567;O'Hareら, 1981, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 78:1527);gptはミコフェノール酸に対する耐性を付与し(MulliganおよびBerg, 1981, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 78:2072);neoはアミノグリコシドG-418に対する耐性を付与し(Colberre-Garapinら, 1981, J.Mol.Biol.150:1);およびhygroはハイグロマイシン遺伝子に対する耐性を付与する(Santerreら, 1984, Gene 30:147)。
一旦、IL-9のポリペプチド、ペプチド、タンパク質、または融合タンパク質インヒビターが組換え発現により産生されると、タンパク質の精製を目的とする当技術分野で公知の任意の方法、例えば、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換クロマトグラフィー、特にプロテインAに次ぐ特異的な抗原についてのアフィニティによるアフィニティークロマトグラフィー、およびサイジング(sizing)カラムクロマトグラフィー)、遠心分離、溶解度の差異により、またはタンパク質の精製のためのいずれかの他の標準技法により精製することができる。
当業者は本明細書で記載した本発明の具体的な実施形態に対する多くの均等物を理解するか、または慣用の実験のみを用いることによって確認することができよう。かかる均等物は添付した特許請求の範囲により包含されると意図している。
本明細書で記載した全ての開示、特許および特許出願は、参照により本明細書にその全てが組み入れられる。
(実施例1) IL-9受容体はヒト非特異的大腸炎組織に存在する
切除したヒト結腸組織(非特異的大腸炎)のパラフィン切片を、IL-9受容体抗体を用いて染色した。ポジティブに染色したIL-9受容体を伴う非特異的大腸炎組織サンプルを与える図1aを参照されたい。
(実施例2) IL-9受容体およびIL-9はヒトCOPD肺組織に存在する
切除したヒトCOPD肺組織のパラフィン切片を、IL-9受容体抗体を用いて染色した。ポジティブに染色したIL-9受容体を伴うCOPD肺組織サンプルを与える図2aを参照されたい。また、組織肥満細胞の分布パターンと密接に整合したIL-9受容体ポジティブ細胞の分布パターン(ほとんど小気道の壁に存在する)および肺容器を示す図2cも参照されたい。
切除したヒトCOPD肺組織のクリオおよびパラフィン切片をまた、IL-9に特異的な抗体を用いて染色した。クリオ(図3)とパラフィン(図4)のCOPD肺サンプルの両方がIL-9ポジティブ染色を示した。
(実施例3) 抗IL-9抗体は、慢性アレルゲンチャレンジにより誘発される粘液産生および上皮下のコラーゲン堆積を低減する
慢性チャレンジプロトコル:マウスをOVAで免疫感作し、図5に示すように慢性チャレンジした。
組織学:パラフィン包埋切片(4μm)を、一般形態学を評価するためにヘマトキシリン/エオシン(H&E)で、杯細胞を可視化するために過ヨウ素酸-シッフ(PAS)で、およびマトリックス堆積を評価するためにシリウスレッドで、それぞれ染色した。
コラーゲン分析:肺組織ホモジネート中の総肺コラーゲン含量をSircolアッセイにより測定した。気管支周囲のコラーゲン堆積を、シリウスレッド染色した肺の画像分析を用いて測定し、20μm基底膜沿いのコラーゲンの密度を評価した。
結果:偽処理したマウスは、OVA処理しない場合、予想される通り、最小のH&E染色(炎症)しか示さなかった。対照的に、慢性アレルゲン(OVA)チャレンジした場合、対照IgGで処理してもまたは抗IL-9抗体で処理しても、マウスにおける炎症の有意な増加を示した。図6aおよび6cを参照されたい。
慢性アレルゲンチャレンジモデルにおける気道再造形を阻害するIL-9抗体の能力を試験するために、粘液分泌(気道再造形の特徴)を、IgG対照またはIL-9抗体を受給した慢性アレルゲン(OVA)チャレンジマウスで試験した。偽処理したマウス(n=16)と慢性アレルゲン(OVA)処理マウス(n=26〜27)における粘液産生をPAS染色により評価した。抗IL-9抗体処理したOVAマウスは、OVAで慢性チャレンジしたマウスと比較した場合、有意に少ない粘液を有した(図6bおよび6d)。結果を平均値±sem(または標準誤差平均)として表した。OVA野生型マウスとOVA抗IL-9抗体処理マウスとの間の有意差は*p<0.02を示した。従って、慢性アレルゲンチャレンジしたマウスの粘液産生はIL-9抗体によって減弱した。
上皮下の線維症は気道再造形にの明確な特徴である。これは、コラーゲン、ラミニンおよびテネイシンなどの胞外マトリックスタンパク質の堆積に因る気道壁の肥厚を助長する。慢性アレルゲンチャレンジは総肺コラーゲン(図6e)および細気管支周囲コラーゲン堆積(図6f)の有意な増加を誘発した。図6eと6fにおける偽チャレンジしたマウスを慢性アレルゲンチャレンジしたマウスを比較されたい。IL-9抗体を慢性アレルゲンチャレンジしたマウスへ投与すると、総肺コラーゲン(図6e)および細気管支周囲コラーゲン堆積(図6f)は有意に低減した。OVAチャレンジした野生型マウスとOVAチャレンジした抗IL-9抗体処理マウスの間の有意差は***p<0.003〜0.0001を示した。結果を平均値±sem(または標準誤差平均)(偽グループのn=12;OVAマウスのn=19-20)として表した。さらに、シリウスレッド染色切片で試験した細気管支周囲コラーゲン堆積も著しく減少した(図6g)。従って、慢性アレルゲン(OVA)チャレンジによる肺のコラーゲンの誘導は、粘液生産のように、IL-9抗体投与によって減弱した。
(実施例4):抗IL-9抗体は、慢性OVAチャレンジ後の肺組織中のプロ線維性(pro-fibrotic)メディエーターのレベルを低減する
さらにIL-9が再造形に寄与する機構を研究するために、肺組織中の公知のプロ線維性メディエーターのレベルを測定した。OVAチャレンジは、偽対照と比較して、肺組織中のVEGF(図9b)およびFGF-2(図9c)のレベルを有意に誘発した。これらのレベルは、IL-9ブロック後にほとんど基線へ低減した(図9bおよび9c)。興味深いことに、抗IL-9抗体はOVAチャレンジ後の活性化TGF-B1レベルに影響を与えなかったが、対照と比較すると、組織中のTGF-B1の構成的レベルを低減した(図9a)。従って、IL-9抗体は、慢性アレルゲン(OVA)処理マウスにおけるVEGFおよびFGF-2のレベルを減少することによって、再造形のさらなる機構を阻害した。
(実施例5):抗 IL-9 抗体は慢性アレルゲンチャレンジ後の肺機能を改善する
気道反応性亢進(AHR)の試験:AHRを従来記載された通り測定した(Batesら, 2006、J. Appl. Physiol. 100: 500-506)。実験開始時に、標準肺体積ヒストリーを、2回の1mlの深い肺膨張と次いで2分間のレギュラーな換気により確立した。次に、全パラメーター(抵抗、エラスタンス、ニュートニアン抵抗、組織ダンプニング、組織エラスタンス、およびヒステレシビティ)の基線記録を取得した。それからマウスをPBSに曝し、次いで連続的に増加する濃度(3.125、12.5および50mg/ml、1用量当たり40秒間のエーロゾル曝露)のメタコリンに曝し、全パラメーターの記録を10秒毎に3分間行った。
結果:慢性アレルゲン(OVA)チャレンジは肺機能の有意な変化を誘導し、その変化には、偽チャレンジ対照マウス(図7a-7f;黒四角)と比較して抵抗の増加(図7a;黒丸)、エラスタンスの増加(図7b、黒丸)、ニュートニアン抵抗の増加(図7c;黒丸)、組織ダンプニングの増加(図7d;黒丸)、組織エラスタンスの増加(図7e;黒丸)、およびヒステレシビティの増加(図7f;黒丸)が含まれた。IL-9抗体を慢性アレルゲンチャレンジマウスへ投与すると、全パラメーターにわたり肺機能が改善された。OVA+対照IgG処理マウスとOVA+抗IL-9抗体処理マウスとの間の有意差は、図7a〜7fのそれぞれに対して**p<0.005および***p<0.001を示した。
(実施例6):抗IL-9抗体は、慢性アレルゲンチャレンジ後の組織における肥満細胞の活性化/数を有意に減弱する
血清中のマウス肥満細胞プロテアーゼ1レベル(mMCP-1レベル)を、偽処理または慢性OVAチャレンジ後に測定した。OVAチャレンジは、偽対照と比較してmMCP-1レベルを有意に増強した。OVAチャレンジしたマウスの増強された血清mMCP-1レベルは、IL-9ブロック後に著しく低下した(基線へ)。興味深いことに、偽IL-9処理マウスも対照と比較すると、mMCP-1レベルの低下があった。図8を参照されたい。
(実施例7):抗IL-9抗体による潰瘍性大腸炎の治療
潰瘍性大腸炎を治療する必要のある患者に、IL-9抗体7F3com-2H2を投与しうる。9mg/kgまたは3mg/kgの用量を静脈内にまたは皮下に投与しうる。患者に抗体の第2およびその後の用量を第2週におよび1ヶ月に1回の間隔で投与しうる。