JP2010527440A - パッチクランプシステムにおける使用のためのサブシステムおよび方法 - Google Patents

パッチクランプシステムにおける使用のためのサブシステムおよび方法 Download PDF

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Abstract

パッチクランプシステムにおける使用のためのサブシステムおよび方法が提供される。例えば、ある実施形態では、補償回路を使用して、パッチクランプシステム内に存在する非理想性を補償する。本補償の精度は、例えば、パッチクランプシステムをモデル化する回路を使用することによって検証されてもよい。一実施形態において、パッチクランプシステムは、パッチクランプシステム内に存在する浮遊容量をモデル化するモデル回路網を採用し、そのモデル回路網を使用して静電容量補償の精度を検証する。加えて、種々の実施形態において、パッチクランプシステムは、単一細胞または複数細胞のいずれの膜電流をも正確に測定するように柔軟に設計される。

Description

(関連出願の参照)
本出願は、米国仮特許出願第60/927,810号(2007年5月4日出願)、米国仮特許出願第60/969,275号(2007年8月31日出願)、米国仮特許出願第60/969,378号(2007年8月31日出願)、および米国仮特許出願第61/025,650号(2008年2月1日出願)に対する優先権および利益を主張し、これら米国仮特許出願を本明細書において参考として援用する。
(技術分野)
本発明は、種々の実施形態において、パッチクランプシステムにおける使用のためのサブシステムおよび方法に関する。
細胞および細胞膜の電気的挙動は、しばしば、基礎研究ならびに最新の薬剤開発における関心事である。例えば、電気生理学実験では、特定の膜成分間の相互作用を理解するために、電気測定が、典型的には、生体細胞および細胞膜の上で行われる。そのような測定は、生体細胞、膜、および/または小胞、ならびに人工膜上で行われ得る。
「パッチクランプ法」は、そのような測定を行うためにしばしば使用される、有用な技術の1つである。図1は、典型的に自動パッチクランプシステムにおいて使用される、例示的な平面パッチクランプ2を示す。図示されるように、平面パッチクランプ2は、第1のチャンバ4と、第2のチャンバ8と、第1および第2のチャンバ4、8を流体的に接続する孔12とを含む。生体細胞16は、第1のチャンバ4内に沈殿させられ、例えば、第1と第2のチャンバ4、8との間に加えられる差圧の使用を通じて、孔12に引き寄せられ得る。次いで、第1のチャンバ4の裏面24と生体細胞膜28との間に、高電気抵抗(例えば、数百MΩから1GΩを超える範囲の)のシール20が形成され得る。シール20のそのような高電気抵抗レベルによって、第1および第2のチャンバ4、8を分離する細胞膜28の部分48(すなわち、孔12と接触する細胞膜28の部分48)を透過性にすることによって、後述のように、細胞膜28にかかる電圧を制御することによって、典型的な生理学的細胞16電流を絶縁し測定することが可能である。
典型的には、第1のチャンバ4は、細胞外イオン溶液32によって充填される。第2のチャンバ8は、適切な濃度の抗生物質を含有し得る、生理食塩緩衝液34によって充填され得る。図示されるように、測定回路は、典型的には、細胞外イオン溶液32と接触する感知電極36と、接地に接続され、かつ生理食塩緩衝液34と接触する浴電極40と、感知電極36に接続される演算増幅器44との使用を通じて実装される。
高抵抗シール20が、第1のチャンバ4の裏面24と生体細胞膜28との間に達成されると、第1と第2のチャンバ4、8とを分離する細胞膜28の部分48(すなわち、孔12と接触する細胞膜28の部分48)は、浴電極40を事実上細胞16内に設置するように透過性化され得る(例えば、陰圧を介して、または抗生物質の使用を介して、電気的に)。これは、次いで、感知電極36と浴電極40との間に置かれる外部電圧コマンド52を可能にし、それによって、細胞膜透過電位差の制御を提供する(すなわち、細胞膜28の電圧クランプを達成し得る)。次いで、測定回路内を流れる電流(すなわち、細胞膜28を通して流れる電流)が、演算増幅器44によって感知され得る。その電流はまた、引き続いて、コンピュータ制御データ取得および記録システム56によって記録および分析され得る。
しかしながら、自動パッチクランプシステムにおいて、平面パッチクランプ2を使用することは、典型的には、多くの浮遊容量の原因を生じさせる。さらに、平面パッチクランプシステム2は、典型的には、極めて低い細胞16電流(すなわち、ピコアンペアからナノアンペアの範囲の)を測定するために使用されるために、極めて高い増幅率抵抗器58(例えば、10MΩから10GΩの)が、しばしば、演算増幅器44と組み合わせて使用される。したがって、演算増幅器44の前の、平面パッチクランプ2内で生じる極めて小さい静電容量(すなわち、ピコファラッドの範囲の)でさえも、極めて大きな電流スパイクをもたらす。
2つの静電容量の原因が、平面パッチクランプシステム2にとって特に厄介である。第1に、演算増幅器44を、しばしば、第1および第2のチャンバ4、8から離して配置することが望まれる(例えば、多数のチャネルを有するより大きなシステムに拡大するとき)。しかしながら、そうすることは、感知電極36を増幅器44に接続するためにより長いケーブルを必要とする。しかし、ケーブル長を延長することはまた、システム2内に存在する浮遊容量を増加させる。第2に、細胞膜28は、システム2内に静電容量スパイクを導入する。図1に図示されるような単一細胞16ではなく、複数細胞16が探査されるときには、しかしながら、システム2内に導入される静電容量スパイクは、はるかに大きい(例えば、最大で2桁も大きい)。典型的には、複数細胞16から生じる静電容量スパイクの集約波形の形状は、単純減衰曲線によってマッチングおよびオフセットされ得ず、それ故に、従来の方法を使用してそのような静電容量スパイクを効果的に補償することを困難にする。ケーブルおよび細胞膜(単数または複数)16に加えて、平面パッチクランプシステム2内の他の静電容量スパイクの原因は、例えば、電子構成要素(例えば、演算増幅器44の電子機器)、プリント回路基板、コネクタ(例えば、継電器またはスイッチ)、感知電極36、および細胞ホルダ(または、チップ)(すなわち、第1のチャンバ4内の細胞外溶液32)を含む。
いくつかのパッチクランプシステムは、その中に導入される浮遊容量を補償することを試みる。例えば、一部のシステムは、アナログ補償を採用する。これらのシステムでは、パッチクランプシステムに内在する静電容量スパイクとほぼ同じ強度、持続時間、および時定数を有するが、しかし逆極性を有するスパイクが生成され、演算増幅器44の入力に追加され、内在静電容量スパイクを相殺する。本アナログ補償の2つの利点は、増幅器44の出力が、内在静電容量スパイクから飽和しないことと、補償がアナログで行われるために、増幅器チャネルの数の増加が、コンピュータ制御データ取得および記録システム56にかかる計算負荷を増加させないことである。
他のシステムは、デジタル補償を採用する。これらのシステムでは、基準波形が記録され、デジタル化され、格納される。次いで、電気生理学実験の際に、演算増幅器44から出力される波形のアナログ/デジタル変換に続いて、格納された基準波形が、コンピュータ制御データ取得および記録システム56によってスケーリングおよび減算される。デジタル補償は、アナログ構成要素がより少なくてすむという利点を有するが、デジタル補償は、典型的には、広範囲の刺激電圧にわたりアナログ補償よりも低い精度を有する。加えて、より多くの負荷がコンピュータ制御データ取得および記録システム56にかかるために、デジタル補償が採用されるときには、増幅器チャネルの数の増加に伴って、システム性能が影響を受ける。さらに、デジタル補償に関しては、内在静電容量スパイクが増幅器44の出力を飽和させる可能性が残る。
しかしながら、アナログまたはデジタル補償のいずれが採用されるかにかかわらず、公知のパッチクランプシステムは、静電容量補償の精度を確実かつ効果的に検証せず、かつ、単一細胞または複数細胞構成(システム内の静電容量スパイクは、2つの構成の間で大幅に変動する)のいずれにおいても採用されるように柔軟に設計されていない。
加えて、生体標本内のイオン電流を測定するパッチクランプシステム2は、しばしば、直列抵抗(「Rs」)によって、例えば、感知電極36のような測定デバイスの中の直列抵抗によって損なわれる。Rs補償回路が、このような望ましくない直列抵抗の存在下で所望のクランプ電圧を維持するために、開発されてきた。
そのような例示的なRs補償回路の1つ60が、図2Aおよび図2Bに示される。被検体、例えば、膜静電容量Cm、膜電圧Vm、膜電流Im、および膜抵抗Rmを有する生体細胞16は、直列抵抗Rs、電極電圧Vp、および電極電流Ipを有する感知電極36によって探査される。電圧クランプ増幅器44、差動増幅器75、および電流−電圧ゲイン抵抗器58を含み得る、測定回路網70が、電極電流Ipを測定し、測定された電極電流Ipmeasを生成する。次いで、スケーラ80が、測定された電極電流Ipmeasに乗じて、Rs補償信号Vcompを生成し、次いで、それは、電圧合算器90によってコマンド電圧Vcに加えられ、クランプ電圧Vc’を生成する。当業者に理解されるように、正のフィードバックとして、測定された電極電流Ipmeasのスケーリングされた値を適用することによって、感知電極36の直列抵抗Rsの実効値が低減され(すなわち、望ましくない直列抵抗Rsが補償される)、その結果として、膜電流Imが実質的に増加するときにも、膜電圧Vmがコマンド電圧Vcをほぼ追跡する。
しかしながら、図2Aおよび図2Bに示されるRs補償回路60の重大な欠点は、正のフィードバックループが本質的に不安定であって、望ましくない直列抵抗Rsの完全な(すなわち、100%)補償を行おうとすると、不減衰振動を発生することである。現実的に、不減衰振動は、望ましくない直列抵抗Rsの約70%〜80%の補償に達すると、早くも生じ始める。故に、図2Aおよび図2Bに示されるRs補償回路60を使用して、望ましくない直列抵抗Rsの約70%〜80%のみの補償が、実際には達成可能である。
本発明は、種々の実施形態において、従来技術の上述の欠点を解決する。例えば、一実施形態では、パッチクランプシステムは、パッチクランプシステム内に存在する浮遊容量をモデル化するモデル回路網を採用し、そのモデル回路網を使用して、静電容量補償の精度を検証する。加えて、種々の実施形態において、パッチクランプシステムは、単一細胞または複数細胞のいずれの膜電流をも正確に測定するように、柔軟に設計される。換言すると、パッチクランプシステムは、単一細胞構成から発生する静電容量スパイクと、複数細胞構成から発生する異なる静電容量スパイクの両方を効果的かつ確実に補償するように設計される。かくして、同一パッチクランプシステムが、いずれの構成においても使用され得る。
加えて、別の実施形態では、本明細書に記載されるパッチクランプシステムは、測定電極内の望ましくない直列抵抗Rsの実質的に完全な(すなわち、100%)補償を提供することができる、Rs補償回路を採用する。任意で、本明細書に記載されるように、漏れ電流補償が、Rs補償に干渉することなく、このようなRs補償を補完し得る。
加えて、本発明のさらに他の実施形態は、細胞の電流のような細胞の特徴を測定し、かつ電気生理学実験において細胞を保持するために使用されるデバイスの、静電容量を判定および補償するための、改良システムおよび方法を提供する。
一般に、一局面では、本発明の実施形態は、電気生理学実験において使用されるパッチクランプシステムを補償するためのサブシステムを特色とする。サブシステムは、パッチクランプシステムの少なくとも一部をモデル化するように構成されるモデル回路網と、非理想性を補償するための補償回路網とを含み得る。補償回路網は、少なくとも1つの第1の較正値によって較正され、モデル回路網によって導入される非理想性を補償し、かつ、少なくとも1つの第2の較正値によって較正され、パッチクランプシステムによって導入される非理想性を補償するように、構成され得る。加えて、サブシステムはまた、細胞の特徴の測定に続いて、少なくとも1つの第1の較正値によって再較正された補償回路がモデル回路網によって導入される非理想性を補償することを、検証するように構成される検証モジュールを含み得る。一実施形態では、本サブシステムは、テストヘッド、主増幅器、およびその間の長ケーブルを含むパッチクランプシステムと併用されるように適合される。そのような場合には、モデル回路網、補償回路網、および測定回路網はすべて、主増幅器内に配置され得る。超低静電容量スイッチがまた、主増幅器内で使用され得る。
一般に、別の局面では、本発明の実施形態は、電気生理学実験において使用されるパッチクランプシステムを補償するための方法を特色とする。本方法によると、補償回路は、少なくとも1つの第1の較正値によって較正され、パッチクランプシステムの少なくとも一部をモデル化するモデル回路網によって導入される非理想性を補償し得る。次いで、少なくとも1つの細胞の特徴が測定され得、その一方で、少なくとも1つの第2の較正値によって再較正された補償回路を採用して、パッチクランプシステムによって導入される非理想性を補償する。細胞の特徴の測定に続いて、少なくとも1つの第1の較正値によってさらに再較正された補償回路が、なおもモデル回路網によって導入される非理想性を補償することが検証される。
種々の実施形態において、モデル回路網は、第1の較正値(単数または複数)による補償回路網の較正に先立って有効化され、細胞(単数または複数)の特徴の測定に先立って無効化され、特徴の測定に続いて再有効化される。細胞(単数または複数)によって示された電流が、測定される特徴であり得る。
一実施形態では、補償回路網は、第1の較正値(単数または複数)によって較正され、モデル回路網によって導入される浮遊容量を補償する。例えば、補償回路網は、第1の較正値(単数または複数)によって較正され、長ケーブルのモデル回路網、単一細胞と直列の長ケーブルのモデル回路網、および/または複数細胞と直列の長ケーブルのモデル回路網によって導入される浮遊容量を補償し得る。別の実施形態では、補償回路網は、細胞(単数または複数)の特徴の測定に先立って、第2の較正値(単数または複数)によって再較正され、パッチクランプシステムによって導入される浮遊容量を補償する。例えば、補償回路網は、第2の較正値(単数または複数)によって再較正され、パッチクランプシステム内の長ケーブル、パッチクランプシステム内の単一細胞と直列の長ケーブル、および/またはパッチクランプシステム内の複数細胞と直列の長ケーブルによって導入される浮遊容量を補償し得る。さらに別の実施形態では、補償回路網は、細胞(単数または複数)の特徴の測定に先立って、第2の較正値(単数または複数)によって再較正され、パッチクランプシステムによって導入される漏れ抵抗を補償する。第1および第2の較正値が、パッチクランプシステムによって導入される非理想性の補償を検証するために比較され得る。加えて、測定回路網は増幅器を含み得、増幅器のゲインは、補償回路網が第2の較正値(単数または複数)によって再較正された後に増加される。
一実施形態では、パッチクランプシステム内の構成要素(例えば、長ケーブル、単一細胞と直列の長ケーブル、および/または複数細胞と直列の長ケーブル)によって導入される浮遊容量が測定される。次いで、検証モジュールが、測定された浮遊容量をモデル回路網によってモデル化された静電容量値と比較し、パッチクランプシステムによって導入された非理想性に対する補償を検証し得る。一実施形態では、測定された浮遊容量値が、モデル回路網によってモデル化された静電容量から所定量を超えて異なる場合には、測定回路網は、細胞(単数または複数)の特徴の測定を中止する。
一般に、さらに別の局面では、本発明の実施形態は、細胞の特徴を判定するためのサブシステムを特色とする。サブシステムは、細胞の自然静止電位を測定するように構成される感知回路網と、測定された自然静止電位を格納するように構成されるメモリと、クランプ回路網とを含み得る。クランプ回路網は、i)測定された自然静止電位と実質的に等しい第1の電圧と、ii)測定された自然静止電位とステップ電圧との合計と実質的に等しい第2の電圧と、を交互に細胞に印加するように構成され得る。クランプ回路網はまた、細胞の特徴を測定するように構成され得る。一実施形態では、感知回路網およびクランプ回路網はそれぞれ、共通の単一プローブに連結される。
一般に、さらに別の局面では、本発明の実施形態は、細胞の特徴を判定するための方法を特色とする。本方法によると、細胞の自然静止電位が測定され得、測定された自然静止電位はメモリ内に格納され得、第1および第2の電圧が細胞に交互に印加され得、細胞の特徴が測定され得る。第1の印加電圧は、測定された自然静止電位と略等しくされ得、その一方で、第2の印加電圧は、測定された自然静止電位とステップ電圧との合計と略等しくされ得る。
種々の実施形態において、異なるステップ電圧が、第2の電圧の印加の際に印加される。加えて、細胞の特徴は、第2の電圧の印加のあいだに測定され得る。測定された特徴は、細胞電流であり得る。単一プローブが、細胞の自然静止電位および細胞の特徴の両方を測定するために採用され得る。
一般に、さらなる局面では、本発明の実施形態は、電気生理学実験において、細胞を保持するために使用されるデバイスの静電容量を判定するためのサブシステムを特色とする。サブシステムは、デバイスに刺激を加えるように構成される力増幅器と、刺激に対する応答を測定するように構成される別個のセンス増幅器と、刺激に対する応答を分析することによって、デバイスの静電容量を判定するように構成される判定モジュールとを含み得る。
一般に、別の局面では、本発明の実施形態は、電気生理学実験において、細胞を保持するために使用されるデバイスの静電容量を判定するための方法を特色とする。本方法によると、刺激が、力増幅器を通じてデバイスに加えられ得、刺激に対する応答が、別個のセンス増幅器によって測定され得、デバイスの静電容量が、刺激に対する応答を分析することによって判定され得る。
種々の実施形態において、デバイスの静電容量を判定することは、刺激に対する応答のRC時定数を計算することを含む。補償回路網が、デバイスの静電容量を補償するために採用され得る。
一般に、さらに別の局面では、本発明の実施形態は、電気生理学実験において、少なくとも1つの細胞の特徴を判定するためのパッチクランプシステムを特色とする。パッチクランプシステムは、細胞に刺激を加えるためのデバイスと、細胞の特徴を測定するための測定回路網と、第1、第2、および第3の補償回路網とを含み得る。第1の補償回路網は、測定回路網に第1の補償信号を印加し、パッチクランプシステムによって導入される漏れ抵抗を補償するためのものであり得、その一方で、第2の補償回路網は、測定回路網に第2の補償信号を印加し、細胞に刺激を加えるデバイスによって導入される直列抵抗を補償するためのものであり得る。一方、第3の補償回路網は、測定された細胞の特徴から第1の補償信号のそれに及ぼす影響を除去する第3の補償信号を、第2の補償回路網に印加するためのものであり得る。一実施形態では、第2の補償信号は、測定された細胞の特徴および第3の補償信号と関連する。
一般に、さらに別の局面では、本発明の実施形態は、電気生理学実験において、少なくとも1つの細胞の特徴を判定するための方法を特色とする。本方法によると、刺激が、パッチクランプシステム内のデバイスを通じて細胞に加えられ得、かつ細胞の特徴が、測定回路網によって測定され得、その一方で、i)パッチクランプシステムによって導入される漏れ抵抗を補償するための第1の補償信号と、ii)デバイスによって導入される直列抵抗を補償するための第2の補償信号とを、測定回路網に印加し得る。第2の補償信号は、測定された細胞の特徴と、測定された細胞の特徴から第1の補償信号のそれに及ぼす影響を除去する第3の補償信号とに、関連し得る。
種々の実施形態において、細胞に刺激を加えるデバイスは、電極である。測定された細胞の特徴は、その電流であり得る。
一般に、さらなる局面では、本発明の実施形態は、電気生理学実験において、少なくとも1つの細胞の特徴を測定する際に使用されるデバイスの、直列抵抗を補償するためのシステムを特色とする。システムは、i)デバイスを通じて細胞に刺激を加え、ii)細胞の特徴を測定する、ように構成されるクランプ回路網を含み得る。加えて、システムは、クランプ回路網の入力に連結される出力を有する、演算増幅器を含み得る。演算増幅器の反転端子への入力は、測定された細胞の特徴に比例する信号を引いた、演算増幅器の出力と略等しくあり得る。
種々の実施形態において、細胞の特徴を測定する際に使用されるデバイスは、電極である。さらに、測定された細胞の特徴は、その電流であり得る。
一般に、別の局面では、本発明の実施形態は、パッチクランプシステム内に存在する静電容量波形を補償するためのサブシステムを特色とする。サブシステムは、複数回のそれぞれで、静電容量波形の大きさを測定するための測定回路網と、複数の補償回路とを含み得る。各補償回路は、一意の時定数を有し、静電容量波形を補償するためのゲイン調整された補償波形を出力するように構成され得る。
一般に、さらに別の局面では、本発明の実施形態は、パッチクランプシステム内に存在する静電容量波形を補償する方法を特色とする。本方法によると、静電容量波形の大きさが、複数回のそれぞれで測定され、ゲイン調整された補償波形が、複数の補償回路のそれぞれから出力されて、静電容量波形を補償する。各補償回路は、一意の時定数を有し得る。
種々の実施形態において、未調整の補償波形がまた、複数の補償回路のそれぞれから出力される。各未調整の補償波形の大きさは、複数回のそれぞれで測定され得る。加えて、ゲイン調整が、計算回路網によって、複数の補償回路のそれぞれに対して計算され得る。各ゲイン調整は、複数回のそれぞれで測定された静電容量波形の大きさと、複数回のそれぞれで測定された各未調整の補償波形の大きさとに基づいて、計算され得る。
一実施形態では、計算回路網はまた、パッチクランプシステム内に存在する漏れ抵抗を計算する。そのような実施形態の1つでは、漏れ抵抗の補償に続いて、静電容量波形の測定が、静電容量波形に導入される仮想ピークを考慮するように調整される。パッチクランプシステム内に存在する漏れ抵抗が補償され得、それを行うあいだに、静電容量波形の大きさが、複数回のそれぞれで再測定され得る。
これらおよび他の目的は、本発明の利点ならびに特色とともに、以下の説明、添付図面、および請求項を参照することによってより明確となり、かつ、より良く理解され得る。さらに、本明細書に記載される種々の実施形態の特色は、相互に排他的ではなく、種々の組み合わせおよび順列として存在し得ることが、理解されるべきである。
図面において、同じ参照文字は概して、異なる図を通じて同一部分を指す。また、図面は必ずしも尺度に従っておらず、代わりに、本発明の原理を図示するために、概して、強調がなされる。以下の説明では、本発明の種々の実施形態が、以下の図面を参照して説明される。
図1は、自動パッチクランプシステム内で典型的に使用される、例示的な平面パッチクランプの概略図である。 図2Aおよび図2Bは、パッチクランプシステム内で使用される公知の、例示的なRs補償回路を示す。 図2Aおよび図2Bは、パッチクランプシステム内で使用される公知の、例示的なRs補償回路を示す。 図3は、本発明の一実施形態による、パッチクランプシステムの回路図である。 図4は、図3に示されたパッチクランプシステムの、単一チャネルの一実施形態の回路図である。 図5は、図3に示されたパッチクランプシステムの、サブシステムの一実施形態の回路図である。 図6は、パッチクランプシステムを補償するための方法の、図示的な実施形態の流れ図である。 図7は、図3に示されたパッチクランプシステムの、別のサブシステムの一実施形態の回路図である。 図8は、パッチクランプシステムを補償するための別の方法の、図示的な実施形態の流れ図である。 図9は、パッチクランプシステムを補償するためのさらに別の方法の、図示的な実施形態の流れ図である。 図10は、パッチクランプシステム内に存在する静電容量スパイクと、その静電容量スパイクに対してパッチクランプシステムを補償する際に使用される、複数の未調整の補償波形とを示す。 図11は、パッチクランプシステム内の漏れ抵抗の補償に続いて静電容量スパイクをもたらす仮想ピークを示す。 図12は、図8および図9に示された方法において使用するための、ゲインベクトルを計算するための方程式を示す。 図13は、図3に示されたパッチクランプシステムの、さらに別のサブシステムの一実施形態の回路図である。 図14Aおよび図14Bは、それぞれ、図13に示されたサブシステムの部分回路図であり、ホルダデバイス(または、チップ)の静電容量が計算され得る方法を説明するために使用される。 図14Aおよび図14Bは、それぞれ、図13に示されたサブシステムの部分回路図であり、ホルダデバイス(または、チップ)の静電容量が計算され得る方法を説明するために使用される。 図15は、図3に示されたパッチクランプシステムの、さらに別のサブシステムの一実施形態の回路図である。 図16は、細胞の特徴を判定するための方法の図示的な実施形態の流れ図である。 図17は、細胞の特徴を判定するために、細胞に印加され得る交流電圧の例示的な波形を示す。 図18は、漏れ電流補償およびRs補償の両方を行う、図3に示されたパッチクランプシステムの単一チャネルの実施形態の回路図である。 図19は、本発明の一実施形態による、Rs補償回路の回路図である。 図20は、漏れ電流補償およびRs補償の両方を行う、図3に示されたパッチクランプシステムの単一チャネルの別の実施形態の回路図である。
本明細書では、パッチクランプシステムにおける使用のためのサブシステムおよび方法の種々の実施形態が記載される。
(A.概略)
概観として、本発明の実施形態によると、サブシステムおよび方法は、電気生理学実験において使用され得る、比較的大きなパッチクランプシステムを補償するために採用される。サブシステムは、較正され、パッチクランプシステムによって導入される非理想性を補償する、補償回路網を含んでもよい。例えば、補償回路網は、パッチクランプシステム内の1つ以上の構成要素によって導入される浮遊容量、パッチクランプシステム内に存在する漏れ抵抗、および/またはパッチクランプシステムによって導入される別の非理想性を補償してもよい。一実施形態では、サブシステムは、パッチクランプシステムによって導入される非理想性の補償を検証するように構成される。以下に詳述されるように、サブシステムは、本目的のために、パッチクランプシステムの少なくとも一部をモデル化するモデル回路網を採用してもよい。
加えて、さらに後述されるように、本発明の実施形態を採用して、電流等の細胞の特徴、および電気生理学実験の際に細胞を保持するために使用されるデバイスの静電容量を決定してもよい。一実施形態では、細胞の自然静止電位が測定され、その後、細胞の特徴の決定の際に採用される。別の実施形態では、細胞を保持するために使用されるデバイスの静電容量を決定するために、力増幅器を介してデバイスに刺激が印加され、刺激に対する応答が、別個のセンス増幅器を使用して測定される。次いで、応答は、分析されてもよく、例えば、応答のRC時定数が計算され、デバイスの静電容量が、そこから決定されてもよい。
加えて、さらに、本明細書に記載されるパッチクランプシステムは、測定電極内の望ましくない直列抵抗Rsの実質的に完全(すなわち、100%)補償を提供可能なRs補償回路網を採用してもよい。任意に、本明細書に記載されるように、漏れ電流補償は、Rs補償に干渉せずに、このようなRs補償を補完してもよい。
(B.静電容量補償およびその検証)
図3は、第1、第2、および第3のチャネル138を有する例示的パッチクランプシステム100を示すが、任意の数のチャネル138が、パッチクランプシステム100内で採用されてもよい。図4は、単一チャネル138の一実施形態を詳細に示す。単一チャネル138内の各構成要素は、アナログ構成要素であってもよい。図3および4に図示されるように、各チャネル138は、アナログマルチプレクサ135、アナログ/デジタル変換器136、およびコントローラ133を介して、ソフトウェア132への出力を提供してもよい。加えて、ソフトウェア132は、コントローラ133およびデジタル/アナログ変換器134、またはコントローラ133およびデジタル/アナログ変換器137のいずれかを介して、任意のチャネル138への入力を提供してもよい。加えて、ソフトウェア132は、コントローラ133を介して、アナログマルチプレクサ135を制御してもよい。
一実施形態では、ソフトウェア132は、コントローラ133に命令し、単一チャネル138のそれぞれ内の任意または全部の構成要素を制御可能である。例えば、ソフトウェア132は、コントローラ133に命令し、チャネル138内のスイッチを開閉する、電圧を印加して、チャネル138内のある構成要素をオン/オフにする、および/またはチャネル138内の種々の構成要素の出力をサンプリングしてもよい。故に、そのように明示的に記述されていない場合であっても、当業者は、チャネル138の構成要素が所与の機能ように本明細書に記載される場合、実際、その構成要素は、ソフトウェア132およびコントローラ133からのコマンドに応答して、その機能を行うことを理解するであろう。一実施形態では、後述のように、ソフトウェア132は、コンピュータメモリ(例えば、永続記憶装置および/または揮発性記憶装置)とインターフェースをとり、それを採用して、データおよび値を格納する。
一実施形態では、図4に図示されるように、パッチクランプシステム100の各チャネル138は、テストヘッド140と、主要増幅器139と、その間の長ケーブル107とを含む。本説明を通して使用されるように、用語「長ケーブル」は、概して、約30pF以上の静電容量を有するケーブルを指すことを理解されたい。したがって、静電容量30pF/フィートを有する1フィート長の50オーム同軸ケーブルは、長ケーブルであって、静電容量20pF/フィートを有する1.5フィート長の75オーム同軸ケーブル、および静電容量13pF/フィートを有する2.5フィート長の93オーム同軸ケーブルも同様である。
図4に図示されるように、テストヘッド140は、その裏面の1つ以上の孔114を通して、第2のチャンバ112と流体連通するホルダデバイス(または、チップ)113(すなわち、第1のチャンバ)を含んでもよい。図1を参照して説明されるように、1つ以上の生体細胞109が、第1のチャンバ113内に沈殿させられ、孔109へと引き寄せされ得る。次いで、第1のチャンバ113の裏面と細胞109の膜との間に、高電気抵抗(例えば、数百MΩ乃至1GΩを超える範囲)のシールが形成され得る。図示されるように、第1のチャンバ113は、細胞外イオン溶液115によって充填され、第2のチャンバ112は、適切な濃度の抗生物質を含有し得る生理食塩緩衝液143によって充填されてもよい。図1を参照して説明されるように、細胞109からの細胞内流体が緩衝溶液143と混合するように、細胞109は透過化され得る(例えば、電気的に、陰圧を介して、または抗生物質の使用を介して)。一実施形態では、感知電極110は、細胞外イオン溶液115と接触して配置され、接地と接続される浴電極116は、緩衝溶液143と接触して配置される(すなわち、細胞109内に効果的に配置される)。さらに後述されるように、感知および浴電極110、116は、測定回路網(例えば、電圧クランプ増幅器130、電流/電圧増幅率抵抗器129および141、ならびに差動増幅器131)と併用され、その膜を通して流れる電流等の細胞109の特徴を測定してもよい。
図5は、図3および4に示されるパッチクランプシステム100のサブシステム200を示す。図4および5を参照すると、一般に、一実施形態では、サブシステム200が使用され、電気生理学実験において使用される際に、パッチクランプシステム100内に存在するか、またはそこに導入される、非理想性を補償する。その目的のために、サブシステム200は、図示されるように、パッチクランプシステム100の少なくとも一部をモデル化するように構成されるモデル回路網(例えば、構成要素117、119、120、122、および/または123)と、非理想性を補償するように構成される補償回路網(例えば、構成要素111、125、126、および/または127)とを含んでもよい。
一実施形態では、モデル回路網は、構成要素117、120、および123を含み、テストヘッド140内に設置される感知電極110を主要増幅器139に接続する長ケーブル107をモデル化する。加えて、モデル回路網は、構成要素119を含み、ホルダデバイス(または、チップ)113内に配置される単一細胞109をモデル化し、構成要素122を含み、ホルダデバイス(または、チップ)113内に配置される複数細胞109をモデル化してもよい。併用される場合、構成要素119および120は、単一細胞109と直列の長ケーブル107をモデル化する。同様に、併用される場合、構成要素122および123は、複数細胞109と直列の長ケーブル107をモデル化する。後述のように、モデル回路網の各構成要素117、119、120、122、および123は、アナログ信号を生成可能な任意の回路または波形発生器として実装されてもよい。例えば、一実施形態では、構成要素117、120、および123はそれぞれ、長ケーブル107によってパッチクランプシステム100内に導入される静電容量スパイクをモデル化する静電容量スパイクを生成し、構成要素119は、単一細胞109によってパッチクランプシステム100内に導入される静電容量スパイクをモデル化する静電容量スパイクを生成し、構成要素122は、複数細胞109によってパッチクランプシステム100内に導入される静電容量スパイクをモデル化する静電容量スパイクを生成する。
一方、補償回路網は、長ケーブル107によって(および/または、長ケーブル107のモデル117、120、123によって)導入される浮遊容量を補償するように構成される構成要素125、ホルダデバイス113内に配置される単一細胞109によって(および/または、単一細胞109のモデル119によって)導入される浮遊容量を補償するように構成される構成要素126、および/またはホルダデバイス113内に配置される複数細胞109によって(および/または、複数細胞109のモデル122によって)導入される浮遊容量を補償するように構成される構成要素127を含んでもよい。併用される場合、構成要素125および126は、単一細胞109と直列の長ケーブル107によって(および/または、単一細胞109と直列の長ケーブル107をモデル化する回路119、120によって)導入される浮遊容量を補償してもよい。同様に、併用される場合、構成要素125および127は、複数細胞109と直列の長ケーブル107によって(および/または、複数細胞109と直列の長ケーブル107をモデル化する回路122、123によって)導入される浮遊容量を補償してもよい。再び、後述のように、補償回路網の各構成要素125、126、および127は、アナログ信号を生成可能な任意の回路または波形発生器として実装されてもよい。例えば、一実施形態では、構成要素125は、長ケーブル107によって生成される(および/または、長ケーブル107のモデル117、120、または123によって生成される)静電容量スパイクと等しい強度および時定数であるが、反対極性の静電容量スパイクを生成し、構成要素126は、ホルダデバイス113内に配置される単一細胞109によって生成される(および/または、単一細胞109のモデル119によって生成される)静電容量スパイクと等しい強度および時定数であるが、反対極性の静電容量スパイクを生成し、構成要素127は、ホルダデバイス113内に配置される複数細胞109によって生成される(および/または、複数細胞109のモデル122によって生成される)静電容量スパイクと等しい強度および時定数であるが、反対極性の静電容量スパイクを生成する。
加えて、補償回路網は、パッチクランプシステムによって導入される漏れ抵抗100を補償するように構成される、構成要素111を含んでもよい。さらに後述されるように、補償回路網の種々の構成要素111、125、126、127は、第1の較正値によって、種々の時間に較正され、モデル回路網の構成要素117、119、120、122、123によって導入される非理想性(例えば、浮遊容量)を補償してもよい。またある時には、補償回路網の種々の構成要素111、125、126、127は、第2の較正値によって較正され、パッチクランプシステム100の実際の構成要素(例えば、長ケーブル107および細胞109)によって導入される非理想性(例えば、浮遊容量)を補償してもよい。
また、サブシステム200は、1つ以上の生体細胞109の特徴を測定する一方、同時に、パッチクランプシステム100内に存在するか、またはそこに導入される非理想性を補償するために、補償回路網からの入力を受信するように構成される、測定回路網(例えば、電圧クランプ増幅器130、電流/電圧増幅率抵抗器129および141、ならびに差動増幅器131)を含んでもよい。加えて、サブシステム200は、検証モジュール204を含んでもよい。一実施形態では、検証モジュール204は、ソフトウェア132内に実装される。代替として、検証モジュール204は、特定用途向け集積回路(ASIC)またはフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)等のハードウェア内に実装されてもよい。さらに別の実施形態では、検証モジュール204は、任意の好適なプログラミング言語(例えば、C++、C#、java、Visual Basic、LISP、BASIC、PERL等)を使用してプログラムされる、1つ以上の汎用マイクロプロセッサ(例えば、Intel Corp.によって供給されるPENTIUM(登録商標)マイクロプロセッサのいずれか)であってもよい。
図4および5に図示されるように、モデル回路網、補償回路網、ならびに測定回路網はすべて、有利には、主要増幅器システム139内に設置されてもよい。さらに、図4に図示されるように、超低静電容量スイッチ103、104、108、118、121、124、および142が、主要増幅器139内で採用されてもよい。本説明を通して使用されるように、用語「超低静電容量スイッチ」は、概して、約3pF未満の「オフ」静電容量を有するスイッチを指すことを理解されたい。例えば、超低静電容量スイッチ103、104、108、118、121、124、および142はそれぞれ、電気機械式継電器によって、半導体継電器(NEC Corporation(日本/東京)社製PS7200R半導体継電器等)によって、リード継電器(Pickering Electronics Limited of Clacton−on−Sea(英国/Essex)社製Pickering Series 103リード継電器等)によって、Teledyne Relaysa,Inc.(California州/Hawthorne)社製RF/GRF直列継電器(例えば、RF180継電器、GRF172継電器、またはGRF342継電器)によって、Analog Devices,Inc.(Massachusetts州/Norwood)社製ADG1221、ADG1222、またはADG1223スイッチによって、Linear Integrated Systems,Inc.(California州/Freemont)社製SD5000、SD5001、SD5400、またはSD5401スイッチによって、Maxim Integrated Products,Inc.(California州/Sunnyvale)社製MAX326/327スイッチによって、あるいは光MOSスイッチ(Toshiba Corporation(日本/東京)社製TLP3116スイッチ等)によって、実装されてもよい。
一実施形態では、再び、図4および5を参照すると、数ギガオームを超える抵抗器が、電流/電圧増幅率抵抗器129および141のうちの1つ以上のために使用される。典型的には、そのような高値抵抗器は、狭公差(例えば、公差は、20%程度であり得る)を有しておらず、電圧クランプ増幅器130に増幅率誤差をもたらし得る。故に、本発明の一実施形態では、電流/電圧増幅率抵抗器129および141の実際の抵抗が計算される。例えば、モデル回路網119、120の実効抵抗(Reff)(例えば、モデル回路網119内の狭公差(例えば、1%未満)抵抗器の使用を介して実装される)は、周知であり得る。次いで、スイッチ121を閉鎖し、スイッチ108、118、および124を開放して、電圧(Vref)が、電圧クランプ増幅器130の非反転入力端子に印加され得る。次いで、電流/電圧増幅率抵抗器129または電流/電圧増幅率抵抗器141(どちらが電圧クランプ増幅器130の反転入力端子と出力端子との間のスイッチ142によって接続されるかに応じて)の実際の抵抗は、モデル回路網119、120(Reff)の周知の実効抵抗、電圧クランプ増幅器130の反転入力端子における電圧(すなわち、Vref、電圧クランプ増幅器130の入力端子は、潜在的に、互いに追跡するため)、および電圧クランプ増幅器130の出力端子において観察された電圧(Vout)を使用することによって、単純な分圧式を介して計算され得る。換言すると、以下となる。
129=(Reff*Vout/Vref)−Reff
141=(Reff*Vout/Vref)−Reff
次いで、電流/電圧増幅率抵抗器129、141に対するこれらの実際の抵抗値を使用して、例えば、細胞109の膜を通して流れる電流等、本明細書に記載される値および特徴をより正確に計算してもよい。
次に、図6を参照すると、電気生理学実験において使用される際に、パッチクランプシステム100を補償するための方法300の一実施形態では、補償回路網は、ステップ308において、少なくとも1つの第1の較正値によって較正され、モデル回路網によって導入される非理想性を補償し、ステップ324において、1つ以上の細胞の特徴が測定され、特徴の測定に続いて、ステップ332において、補償回路網が試験され、以前として、モデル回路網によって導入される非理想性を補償するかを検証する。任意に、また、方法300は、第1の較正値による補償回路網の較正(ステップ308)に先立って、ステップ304において、モデル回路網を有効化し、ステップ312において、モデル回路網を無効化し、ステップ316において、パッチクランプシステム内の少なくとも1つの構成要素100によって導入される非理想性(例えば、浮遊容量)を測定し、ステップ320において、少なくとも1つの第2の較正値によって、補償回路網を再較正し、パッチクランプシステム100によって導入される非理想性を補償するステップを含んでもよい。加えて、また、方法300は、任意に、ステップ324における1つ以上の細胞109の特徴の測定に続いて、ステップ328において、モデル回路網を再有効化するステップを含んでもよい。
より詳細には、図4−6を参照すると、モデル回路網は、最初、ステップ304において、有効化され、次いで、補償回路網が、ステップ308において、少なくとも1つの第1の較正値によって較正され、モデル回路網によって導入される非理想性を補償する。ステップ304において、モデル回路網を有効化するために、スイッチ108は、最初、開放され、主要増幅器139からテストヘッド140を切断してもよい。次いで、1つ以上のスイッチ118、121、および124が閉鎖され、モデル回路網の構成要素117、119、120、122、123のうちの1つ以上を電圧クランプ増幅器130に接続してもよい。次いで、ステップ308では、補償回路網の構成要素125、126、127のうちの1つ以上が較正され、対象モデル回路網によって導入される非理想性(例えば、浮遊容量)を補償してもよい。
一実施形態では、ステップ304および308を反復的に繰り返し、補償回路網の各構成要素125、126、127を個別に較正する。例えば、スイッチ118は、最初、ステップ304において、閉鎖されてもよく、次いで(スイッチ121および124を開放して)、構成要素125は、ステップ308において、第1の較正値によって較正され、長ケーブルのモデル回路網117によって導入される浮遊容量を補償してもよい。より具体的には、一実施形態では、電圧クランプ増幅器139に接続される場合、モデル回路網117は、長ケーブル107によってパッチクランプシステム100内に導入されるであろう静電容量スパイクをモデル化する静電容量スパイクを有する信号を生成するであろう。故に、構成要素125は、第1の較正値によって較正され、モデル回路網117によって生成される静電容量スパイクと強度および時定数が実質的に等しいが、極性が反対の静電容量スパイクを生成してもよい。例えば、一実施形態では、構成要素125は、デフォルト設定によって、デフォルトの強度、時定数、極性値を有する静電容量スパイクを出力するように構成される。そのような場合、構成要素125に適用される第1の較正値は、構成要素125に、モデル回路網117によって生成される静電容量スパイクと強度および時定数が実質的に等しいが、反対の極性の静電容量スパイクを出力させる乗率であってもよい。当業者に理解されるように、モデル回路網117、120、および123はそれぞれ、実質的に同一である静電容量スパイクを有する信号(すなわち、長ケーブル107によって生成されるであろう静電容量スパイクと実質的に同一である静電容量スパイクを有する信号)を出力するため、また、モデル回路網117によって生成される静電容量スパイクを補償するための較正構成要素125は、構成要素125を較正し、モデル回路網120および123によって生成される静電容量スパイクを補償する。
次いで、ステップ308における構成要素125の較正に続いて、ステップ304において、スイッチ118が開放され、スイッチ121が閉鎖されてもよい。次いで、構成要素126は、ステップ308において、第1の較正値によって較正され、単一細胞のモデル回路網119によって導入される浮遊容量を補償してもよい。より具体的には、一実施形態では、電圧クランプ増幅器139に接続される場合、モデル回路網119は、ホルダデバイス113内に配置されると、単一細胞109によって、パッチクランプシステム100内に導入されるであろう静電容量スパイクをモデル化する静電容量スパイクを有する信号を生成し、モデル回路網120は、長ケーブル107によって、パッチクランプシステム100内に導入されるであろう静電容量スパイクをモデル化する静電容量スパイクを有する信号を生成するであろう。上述のように、構成要素125は、既に、第1の較正値によって較正され、長ケーブル107のモデル回路網120によって導入される静電容量スパイクを補償している。故に、第1の較正値(例えば、乗率)は、構成要素125が、モデル回路網119および120によって同時に生成される静電容量スパイクを部分的に補償した後も残るであろう静電容量スパイクと強度および時定数が実質的に等しいが、反対の極性の静電容量スパイクを出力させるために、構成要素126に適用されてもよい。構成要素125は、本質的に、長ケーブル107のモデル回路網120によって生成される静電容量スパイクを補償するため、これは、単一細胞109のモデル回路網119によって生成される静電容量スパイクを補償する第1の較正値による、構成要素126の較正に相当する。そのように、構成要素125および126は、併用される場合、単一細胞109と直列の長ケーブルのモデル回路網119、120によって導入される浮遊容量を補償してもよい。
次いで、ステップ304が再び行われ、スイッチ121を開放し、スイッチ124を閉鎖してもよい。次いで、構成要素127は、ステップ308において、第1の較正値によって較正され、複数細胞109のモデル回路網122によって導入される浮遊容量を補償してもよい。より具体的には、一実施形態では、電圧クランプ増幅器139に接続される場合、モデル回路網122は、ホルダデバイス113内に配置されると、複数細胞109によってパッチクランプシステム100内に導入されるであろう静電容量スパイクをモデル化する静電容量スパイクを有する信号を生成し、モデル回路網123は、長ケーブル107によってパッチクランプシステム100内に導入されるであろう静電容量スパイクをモデル化する静電容量スパイクを有する信号を生成するであろう。上述のように、構成要素125は、既に、第1の較正値によって較正され、長ケーブル107のモデル回路網123によって導入される静電容量スパイクを補償している。故に、第1の較正値(例えば、乗率)は、構成要素125が、モデル回路網122および123によって同時に生成される静電容量スパイクを部分的に補償した後も残るであろう静電容量スパイクと強度および時定数が実質的に等しいが、反対極性の静電容量スパイクを出力させるために、構成要素127に適用されてもよい。構成要素125は、本質的に、長ケーブル107のモデル回路網123によって生成される静電容量スパイクを補償するために、これは、複数細胞109のモデル回路網122によって生成される静電容量スパイクを補償する第1の較正値による、構成要素127の較正に相当する。そのように、構成要素125および127は、併用される場合、複数細胞109と直列の長ケーブルのモデル回路網122、123によって導入される浮遊容量を補償してもよい。
ステップ308では、補償回路網の構成要素125、126、および127が、その第1の較正値によって較正されると、後述のように、それらの第1の較正値は、例えば、後の使用のために、ソフトウェア132によって採用されるメモリ内に格納されてもよい。
ステップ308における、補償回路網の構成要素125、126、および127の較正に続いて、ステップ324における、測定回路網による1つ以上の細胞109の特徴の測定に先立って、モデル回路網は、ステップ312において、無効化されてもよい。一実施形態では、モデル回路網は、スイッチ118、121、および124をすべて開放することによって無効化される。
方法300の本時点において、スイッチ108が閉鎖され、テストヘッド140を主要増幅器139に再接続してもよい。次いで、パッチクランプシステム100によって導入される非理想性(例えば、浮遊容量)は、ステップ316において、測定回路網(すなわち、電圧クランプ増幅器130、電流/電圧増幅率抵抗器129および141、ならびに差動増幅器131)の使用によって、測定されてもよく、ステップ320において、補償回路網の構成要素125、126、および127のうちの1つ以上が、少なくとも1つの第2の較正値によって再較正され、パッチクランプシステム100によって導入される非理想性(例えば、浮遊容量)を補償してもよい。
一実施形態では、ステップ316および320が反復的に繰り返され、補償回路網の構成要素125、126、および127のうちの1つ以上を個別に較正する。例えば、ホルダデバイス113内に存在する溶液115および143によって、単一細胞109または複数細胞109のその中への沈殿に先立って、ステップ316において、測定回路網が採用され、パッチクランプシステム100の長ケーブル107およびホルダデバイス113によって生成される静電容量スパイクを測定してもよく、効果的に、長ケーブル107によって生成される静電容量スパイクであるとみなされ得る。代替として、長ケーブル107を開放したままとし(テストヘッド140に接続されるのではなく)、測定回路網を採用し、ステップ316において、パッチクランプシステム100の長ケーブル107のみによって生成される静電容量スパイクを測定してもよい。いずれの場合も、ステップ308を参照して上述のものと同様に、次いで、構成要素125は、ステップ320において、第2の較正値によって再較正され、パッチクランプシステム100内の長ケーブル107によって導入される浮遊容量を補償してもよい。より具体的には、構成要素125に、ステップ316においてまさに測定される静電容量スパイクと強度および時定数が実質的に等しいが、反対の極性の静電容量スパイクを出力させるために、以前にそれに適用された第1の乗率の代わりに、第2の乗率が、構成要素125に適用されてもよい。
ステップ324において、単一細胞109の特徴が測定される場合、上述のように、単一細胞109は、デバイスホルダ113内にほぼ配置されてもよく、ステップ316を繰り返し、単一細胞109と直列のパッチクランプシステム100の長ケーブル107によって生成される静電容量スパイクを測定してもよい。次いで、ステップ308を参照して上述したもの同様に、構成要素126は、ステップ320において、第2の較正値によって再較正され、単一細胞109によって導入される浮遊容量を補償してもよい。より具体的には、構成要素126に、測定された静電容量スパイクが、構成要素125によって部分的に補償された後、ステップ316においてまさに測定された静電容量スパイクの残存部分と強度および時定数が実質的に等しいが、反対の極性の静電容量スパイクを出力させるために、以前にそれに適用された第1の乗率の代わりに、第2の乗率が、構成要素126に適用されてもよい。そのように、構成要素125および126は、併用される場合、単一細胞109と直列の長ケーブル107によって導入される浮遊容量を補償してもよい。
代替として、ステップ324において、複数細胞109の特徴が測定される場合、上述のように、複数細胞109は、デバイスホルダ113内にほぼ配置されてもよく、ステップ316を繰り返し、複数細胞109と直列のパッチクランプシステム100の長ケーブル107によって生成される静電容量スパイクを測定してもよい。次いで、ステップ308を参照して上述のものと同様に、構成要素127は、ステップ320において、第2の較正値によって再較正され、複数細胞109によって導入される浮遊容量を補償してもよい。より具体的には、構成要素127に、測定された静電容量スパイクが、構成要素125によって部分的に補償された後、ステップ316においてまさに測定された静電容量スパイクの残存部分と強度および時定数が実質的に等しいが、反対の極性の静電容量スパイクを出力させるために、以前にそれに適用された第1の乗率の代わりに、第2の乗率が、構成要素127に適用されてもよい。そのように、構成要素125および127は、併用される場合、複数細胞109と直列の長ケーブル107によって導入される浮遊容量を補償してもよい。
ステップ316では、対象静電容量スパイク(例えば、長ケーブル107によって、単一細胞109と直列の長ケーブル107によって、および/または複数細胞109と直列の長ケーブル107によって、導入される静電容量スパイク)が測定されると、後述のように、それらの測定は、後の使用のために、例えば、ソフトウェア132によって採用されるメモリ内に格納されてもよい。加えて、ステップ320では、補償回路網の構成要素125、126、および/または127が、その第2の較正値によって再較正されると、また、後述のように、それらの第2の較正値も、後の使用のために、例えば、ソフトウェア132によって採用されるメモリ内に格納されてもよい。
加えて、ステップ320では、補償回路網の構成要素111が較正され、パッチクランプシステムによって導入される漏れ抵抗100を補償してもよい。漏れ抵抗は、例えば、細胞109の膜抵抗およびホルダデバイス(または、チップ)113と細胞109との間のシール抵抗によって、パッチクランプシステム100内に導入されてもよい。故に、パッチクランプシステム100内に存在する漏れ抵抗は、例えば、テストヘッド140におけるそれらの要素全体に印加される刺激電圧をその間を流れる測定された応答電流によって除することによって、計算されてもよい。一実施形態では、次いで、漏れ抵抗は、漏れ抵抗補償回路網111の実効抵抗を較正し、計算された漏れ抵抗に実質的に整合させ、次いで、漏れ抵抗補償回路網111に、テストヘッド140において印加される電圧と強度が実質的に等しいが、符号が反対の電圧を印加することによって、補償される。
ステップ320における補償回路網の再較正に続いて、細胞ホルダ113内に沈殿させられる1つ以上の細胞109の特徴が、ステップ324において、測定回路網によって(すなわち、電圧クランプ増幅器130、電流/電圧増幅率抵抗器129および141のうちの1つ、ならびに差動増幅器131によって)測定されてもよい。一実施形態では、ステップ324における1つ以上の細胞109の特徴の測定の直前に、電圧クランプ増幅器130の増幅率が増加される。例えば、一実施形態では、電流/電圧増幅率抵抗器129は、電流/電圧増幅率抵抗器141よりも低い抵抗を有する。そのような場合、方法300のステップ304−320が、増幅器130の反転入力と出力との間に接続される電流/電圧増幅率抵抗器129によって行われ得る一方、ステップ324は、増幅器130の反転入力と出力との間に接続される電流/電圧増幅率抵抗器141によって行われる。2つの電流/電圧増幅率抵抗器129、141間の切り替えは、超低静電容量スイッチ142の使用を介して達成されてもよい。
一実施形態では、測定された特徴は、1つ以上の細胞109の膜を通して伝導する電流であって、そのような測定が生じる一方、補償回路網が同時に採用され、パッチクランプシステム100によって導入される非理想性を補償する。換言すると、再び、図4および5を参照して、電圧クランプ増幅器130に印加される、テストヘッド140から測定された信号に加えて、構成要素111からの信号が、増幅器130に印加され、パッチクランプシステム100内に存在する漏れ抵抗を補償し、構成要素125からの信号が、増幅器130に印加され、長ケーブル107によってパッチクランプシステム100内に導入される浮遊容量を補償し、(単一細胞109または複数細胞109のいずれの特徴が測定されるかに応じて)構成要素126からの信号が、増幅器130に印加され、単一細胞109によってパッチクランプシステム100内に導入される浮遊容量を補償するか、または構成要素127からの信号が、増幅器130に印加され、複数細胞109によってパッチクランプシステム100内に導入される浮遊容量を補償する。次いで、1つ以上の細胞の特徴の測定から取得されるデータは、例えば、ソフトウェア132によって採用されるメモリ内に記録および格納されてもよい。
細胞の特徴の測定に続いて、スイッチ108は、再び、開放され、主要増幅器139からテストヘッド140を切断してもよく、モデル回路網は、再有効化されてもよい。モデル回路網の再有効化は、例えば、スイッチ121またはスイッチ124のいずれかを閉鎖することによって、達成されてもよい。一実施形態では、単一細胞109の特徴が、ステップ324において測定される場合、モデル回路網は、スイッチ121を閉鎖し、単一細胞と直列の長ケーブルのモデル119、120を電圧クランプ増幅器130に接続することによって、再有効化される。代替として、別の実施形態では、複数細胞109の特徴が、ステップ324において測定される場合、モデル回路網は、スイッチ124を閉鎖し、複数細胞と直列の長ケーブルのモデル122、123を電圧クランプ増幅器130に接続することによって、再有効化される。
ステップ332では、検証モジュール204は、補償回路網を試験し、依然として、モデル回路網によってパッチクランプシステム100内に導入される非理想性を補償することを検証してもよい。そうするために、補償回路網の構成要素125、126、および/または127は、一実施形態では、最初、ステップ308において決定され、ソフトウェア132によって採用されるメモリ内に格納されたそのそれぞれの第1の較正値によって、再較正される。スイッチ121が、ステップ328において閉鎖される場合、補償回路網の構成要素125および126が採用され、モデル回路網によって生成される信号を補償する。一方、スイッチ124が、ステップ328において閉鎖された場合、補償回路網の構成要素125および127が採用され、モデル回路網によって生成される信号を補償する。次いで、検証モジュール204は、測定回路網によって測定される集約信号(すなわち、モデル回路網および補償回路網からの組み合わせ信号)を分析する。静電容量スパイクが検出される場合、検証モジュール204は、ステップ324における1つ以上の細胞の特徴の測定の間、予測および補償される典型的な非理想性を超える外乱が、パッチクランプシステム100内に生じたか、そして依然として存在するかを決定してもよい。そのような場合、細胞の特徴の測定の際に収集されたデータは、無視されてもよい。一方、補償回路網が、依然として、モデル回路網によって導入される非理想性を補償する(例えば、顕著な静電容量スパイクが、測定回路網によって測定される信号内に存在しない)場合、これは、補償回路網によって補償された典型的な非理想性以外、ステップ324における1つ以上の細胞の特徴の測定の際、パッチクランプシステム100内に外乱が存在しなかったことの明白な兆候である。後者の場合、検証モジュール204は、ステップ324において測定されたデータが正確であることを決定してもよい。
一実施形態では、また、補償回路網の各構成要素125、126、および127に対して、検証モジュール204が採用され、それに適用されるそれぞれ第1および第2の較正値を比較して、パッチクランプシステム100によって導入される非理想性の補償が適切であることを検証する。これは、ステップ332時またはその後に、あるいは代替として、ステップ320における第2の較正値の決定に続く任意の時点において、生じてもよい。例えば、第1および第2の較正値が、許容量(特定の用途に好適であるように選択されてもよい)を超えて異なる場合、フラグが設定され、その中で予測される(および、モデル回路網によってモデル化される)典型的な非理想性を超えて、パッチクランプシステム内に外乱の可能性があることをオペレータに通知してもよい。そのような外乱は、ステップ324において、電気生理学実験の開始前またはそれと同時に是正されてもよい。データが、既に、電気生理学実験から収集されているか、または収集プロセスの最中である場合、そのようなデータを無視し、細胞の特徴の測定を中止し、外乱を是正し、補償回路網を再較正し、および/または電気生理学実験を再開するように決定されてもよい。
別の実施形態では、ステップ304において、モデル回路網によって生成される種々の静電容量スパイクの値は、ステップ316において、検証モジュール204によって、パッチクランプシステム100内で測定された対応する浮遊容量の値と比較されてもよい。例えば、モデル回路網117内の長ケーブルをモデル化するために使用される静電容量の値は、長ケーブル107の測定された静電容量と比較されてもよい。一実施形態では、それらの静電容量の比率が、許容量(特定の用途に好適であるように選択されてもよい)を超えて、補償回路網の対応する構成要素較正する際に使用される第1と第2の較正値との比率と異なる場合(例えば、モデル回路網117内の長ケーブルをモデル化するために使用される静電容量の値と、長ケーブル107の測定された静電容量との比率が、長ケーブル補償回路網125を較正する際に使用される第1の較正値と第2の較正値との比率と異なる場合)、再び、フラグが設定され、その中で予測される(および、モデル回路網によってモデル化される)典型的な非理想性を超えて、パッチクランプシステム100内に外乱の可能性があることをオペレータに通知してもよい。本検証は、検証モジュール204によって、ステップ332時またはそれに続いて、あるいは代替として、ステップ320における第2の較正値の決定に続く任意の時点において、行なわれてもよい。故に、そのような外乱は、ステップ324において、電気生理学実験の開始前またはそれと同時に是正されてもよい。データが、既に、電気生理学実験から収集されている、または収集プロセスの最中である場合、そのようなデータを無視し、細胞の特徴の測定を注視し、外乱を是正し、補償回路網を再較正し、および/または電気生理学実験を再開するように決定されてもよい。
(C.静電容量補償の追加システムおよび方法)
図7は、パッチクランプシステム100内に存在する静電容量波形を補償するためのサブシステム400の別の実施形態を示す。図7に示されるサブシステム400の実施形態は、図5に示されるサブシステム200の実施形態と同一の全要素を含むが、2つのサブシステム200、400の補償回路網は異なる。より具体的には、長ケーブル107(すなわち、構成要素125)、単一細胞109(すなわち、構成要素126)、および複数細胞109(すなわち、構成要素127)によって導入される静電容量スパイクを補償するように構成されたサブシステム200の個々の構成要素は、サブシステム400では、複数の異なる静電容量補償回路網404によって置換される。本発明の一実施形態では、複数の静電容量補償回路網404はそれぞれ、補償波形を出力し、パッチクランプシステム100内に存在する静電容量スパイクを補償する。さらに、本明細書に記載されるように、各静電容量補償回路網404は、一意の時定数を有してもよい。サブシステム200と同様に、サブシステム400は、パッチクランプシステム100内に存在する漏れ抵抗を補償するための漏れ抵抗補償回路網111と、測定回路網(例えば、電圧クランプ増幅器130、電流/電圧増幅率抵抗器129および141、ならびに差動増幅器131)とを含む。加えて、サブシステム200と同様に、サブシステム400は、単一細胞構成から生じる静電容量スパイクと、複数細胞構成から生じる異なる静電容量スパイクの両方を補償可能である。
図7に図示されるように、任意の数の静電容量補償回路網404が、パッチクランプシステム100のサブシステム400内に存在してもよい。加えて、以下に詳述される方法500、600は、任意の数の静電容量補償回路網404を採用してもよい。しかしながら、議論を簡潔にするために、以下に詳述される方法500、600、および採用される関連アルゴリズム/式は、5つの静電容量補償回路網404を使用するものとして説明されるであろう。
また、パッチクランプシステム100のサブシステム400は、計算回路408を含んでもよい。計算回路408は、任意のソフトウェアプログラム(例えば、ソフトウェア132内)、ハードウェアデバイス、または本明細書に記載される機能性を達成可能なそれらの組み合わせとして、実装されてもよい。例えば、計算回路408は、特定用途向け集積回路(ASIC)またはフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)であってもよい。代替として、計算回路408は、任意の好適なプログラミング言語(例えば、C++、C#、java、Visual Basic、LISP、BASIC、PERL等)を使用してプログラムされる1つ以上の汎用マイクロプロセッサ(例えば、Intel Corp.によって供給されるPENTIUM(登録商標)マイクロプロセッサのいずれか)であってもよい。
図8および9は、それぞれ、例えば、サブシステム400を使用するパッチクランプシステム100内に存在する静電容量スパイクを補償する第1および第2の例示的方法500、600を示す。上述のように、これらの方法500、600は、5つの静電容量補償回路網404を使用するものとして説明されるが、方法500、600は、より一般的には、任意の数の静電容量補償回路網404を使用してもよい。
最初に、方法500を参照すると、ステップ504では、5つの静電容量補償回路網404がそれぞれ調査される。より具体的には、各静電容量補償回路網404が刺激され、未調整補償波形(例えば、一貫性増幅率を有する補償波形)を出力してもよい。例えば、図10を参照すると、第1、第2、第3、第4、および第5静電容量補償回路網404が刺激され、それぞれ、未調整補償波形「a」、「b」、「c」、「d」、および「e」を出力してもよい。図10に示されるように、それらの未調整補償波形はそれぞれ、一意の時定数を有してもよい。また、図10に示されるように、次いで、各未調整補償波形の強度が、例えば、時間t、t、t、t、およびtにおいて、サブシステム400の測定回路網によって測定されてもよい。
方法500のステップ508では、5つの補償回路網404がオフ(例えば、サブシステム400の電圧クランプ増幅器130から切断される)の状態で、サブシステム400の測定回路網は、補償されることになる、パッチクランプシステム100内に存在する静電容量スパイクを測定してもよい。より具体的には、図10に図示されるように、また、サブシステム400の測定回路網を使用して、例えば、時間t、t、t、t、およびtにおいて、静電容量スパイクの強度を測定してもよい。
方法500のステップ512では、計算回路408は、パッチクランプシステム100内に存在する漏れ抵抗を計算してもよい。上述のように、漏れ抵抗は、例えば、細胞109の膜抵抗およびホルダデバイス(または、チップ)113と細胞109との間のシール抵抗によって、パッチクランプシステム100内に導入され得る。故に、計算回路408は、例えば、テストヘッド140におけるそれらの要素全体に印加される刺激電圧をその間を流れる測定された応答電流によって除することによって、パッチクランプシステム100内に存在する漏れ抵抗を計算してもよい。
ステップ512における漏れ抵抗の計算に続いて、計算回路408は、ステップ516において、ステップ508において行なわれた静電容量スパイクの測定を調整し、パッチクランプシステム100内の漏れ抵抗が補償される後の時点において、静電容量スパイク内に導入されるであろう仮想ピークを考慮してもよい。より具体的には、図11に図示されるように、パッチクランプシステム100内に存在する非理想性は、パッチクランプシステム100内に、2つの成分:i)パッチクランプシステム100内に存在する浮遊容量による成分、およびii)パッチクランプシステム100内に存在する漏れ抵による成分を含む、非理想的波形を導入する。また、図11に示されるように、パッチクランプシステム100内に存在する漏れ抵抗の補償に続いて、静電容量スパイクが修正され、漏れ抵抗を補償する効果から導入される仮想ピークを反映することが観察されている。一実施形態では、漏れ抵抗は、漏れ抵抗補償回路網111の実効抵抗を計算された漏れ抵抗と実質的に整合するように設定し、次いで、漏れ抵抗補償回路網111に、テストヘッド140に印加される電圧と強度が実質的に等しいが、符号が反対の電圧を印加することによって、補償される。故に、計算回路408は、ステップ508において行なわれた静電容量スパイクの測定を調整し、本漏れ抵抗補償が、漏れ抵抗が実際に補償される際に、静電容量スパイクに及ぼすであろう最終的影響を考慮してもよい。より具体的には、計算回路408は、予測された漏れ抵抗補償波形をステップ508において測定された静電容量スパイク波形に追加してもよい。
ステップ520では、計算回路408は、5つの静電容量補償回路網404のそれぞれに対する増幅率調整を計算してもよい。より具体的には、図12を参照すると、「Matrix M」は、例えば、時間t、t、t、t、およびtにおいて、ステップ504で測定される各未調整補償波形「a」、「b」、「c」、「d」、および「e」の強度が投入されてもよい。加えて、「kベクトル」は、パッチクランプシステム100の漏れ抵抗が補償される際に生じる静電容量スパイクに及ぼす影響の調整(ステップ516において決定される)を伴って、時間t、t、t、t、およびtにおいて、ステップ508で測定される静電容量スパイクの強度が投入されてもよい。換言すると、「kベクトル」は、時間t、t、t、t、およびtにおいて、ステップ508で測定された静電容量スパイクの強度に加え、それらの時間t、t、t、t、およびtにおいて予測される漏れ抵抗補償波形の値が投入されてもよい。次いで、5つの補償回路網(すなわち、「gベクトル」の増幅率g、g、g、g、およびg)に適用される増幅率調整は、容易に計算され得る。
また、方法500のステップ520では、計算された増幅率g、g、g、g、およびgは、ステップ504において、それぞれ、未調整補償波形「a」、「b」、「c」、「d」、および「e」を出力した、5つの静電容量補償回路網404に適用されてもよい。次いで、パッチクランプシステム100内に存在する非理想的な漏れ抵抗および静電容量スパイクは、補償されてもよい。より具体的には、再び、図7を参照すると、漏れ抵抗補償回路網111は、波形を出力し、パッチクランプシステム100内に存在する漏れ抵抗を補償してもよく、5つの静電容量補償回路網404はそれぞれ、増幅率調整補償波形を出力し、パッチクランプシステム100内に存在する静電容量スパイクを補償してもよい。
図8に図示されるように、方法500は、静電容量スパイクおよび漏れ抵抗が、適度に補償されるまで、所望に応じて、任意の回数、ステップ508、512、516、および520を反復してもよい。換言すると、方法500のステップ508、512、516、および520の単一通過後、パッチクランプシステム100の漏れ抵抗による小静電容量スパイクおよび/または成分は、依然として存在し得る(例えば、静電容量補償回路網404のために計算された増幅率g、g、g、g、およびgが、静電容量スパイクを予測するために必要とされる実際の増幅率から若干逸脱するため)。一実施形態では、ステップ508、512、516、および520のさらなる反復によって、静電容量スパイクを予測するために必要とされる実際の増幅率により近似する、計算された増幅率g、g、g、g、およびgをもたらす。
次に、図9に示される方法600を参照すると、ステップ604、608、および612は、それぞれ、方法500のステップ504、508、および512に対して上述と同様に実装されてもよい。ステップ616では、サブシステム400の漏れ抵抗補償回路網111は、波形を出力し、パッチクランプシステム100内に存在する漏れ抵抗を補償してもよい。実質的に同時に、5つの補償回路網404がオフ(例えば、サブシステム400の電圧クランプ増幅器130から切断された)の状態で、サブシステム400の測定回路網は、ステップ620において、パッチクランプシステム100内に存在する静電容量スパイクを再測定してもよい。方法500のステップ508を参照して説明され、図10に図示されるように、測定回路網は、例えば、時間t、t、t、t、およびtにおいて、静電容量スパイクの強度を特異的に再測定してもよい。次いで、それらの再測定された強度の値は、ステップ624において、計算回路によって使用され、図12に示される「kベクトル」を投入してもよい。次いで、方法500のステップ520に対して上述のように、5つの静電容量補償回路網404に適用される増幅率調整g、g、g、g、およびgは、容易に計算され、5つの補償回路網404に適用され、パッチクランプシステム100内の静電容量スパイクは、5つの補償回路網404のそれぞれから増幅率調整補償波形を出力することによって補償されてもよい。
再び、方法500の説明と同様に、方法600は、パッチクランプシステム100内に存在する静電容量スパイクおよび漏れ抵抗が、適度に補償されるまで、所望に応じて、任意の回数、ステップ608、612、616、620、および624を反復してもよい。
一実施形態では、方法600の「kベクトル」の値は、直接測定される一方、漏れ抵抗が補償されるため、方法600のステップ616および620を行なうことによって、方法500のステップ516で決定される「kベクトル」よりも正確な「kベクトル」をもたらす。対照的に、方法500の「kベクトル」値は、漏れ抵抗の補償が静電容量スパイクに及ぼすと予期される影響に基づいて、予測される。一方、静電容量スパイクが、方法500では、2回生成および測定される必要がないため、方法500を行なうステップは、概して、方法600を行なうステップよりも速い。故に、特定の用途およびパッチクランプシステム100内に存在する静電容量スパイクを補償する際の速度または精度の必要性に応じて、方法500または600のいずれかが、パッチクランプシステム100内で実装および使用されてもよい。
当業者は、種々の修正および/または追加が、方法500または方法600のいずれに行なわれてもよいことを理解するであろう。例えば、静電容量スパイクが、方法500のステップ508(または、方法600のステップ608)において測定された後、5つの静電容量補償回路網404によって、ステップ504(または、ステップ604)において出力されたどの2つの未調整補償波形が、静電容量スパイクに最も近似するかを決定してもよい。次いで、方法500(または、方法600)の残りのステップは、縮小され、それら2つの波形を出力する2つの静電容量補償回路網404に適用される必要がある増幅率調整のみが決定されてもよく、一実施形態では、次いで、静電容量スパイクを補償するために、それら2つの静電容量補償回路網404のみが使用される必要がある。再び、他の3つの静電容量補償回路網の考慮を排除することによって、方法500(または、方法600)の完了を加速させる。
(D.ホルダデバイスの静電容量の判定)
図13は、図3および4に示されるパッチクランプシステム100のサブシステム700を示す。図4および13を参照すると、一般に、一実施形態では、サブシステム700が採用され、電気生理学実験において、1つ以上の細胞109を保持するために使用されるホルダデバイス(または、チップ)113の静電容量を判定する。図示されるように、サブシステム700は、力増幅器101と、既知の値の整合抵抗器102と、別個のセンス増幅器105と、ソフトウェア132等のソフトウェアあるいはASICまたはFPGA等のハードウェア内に実装され得る、判定モジュール704とを含む。動作時、スイッチ108は、最初、開放され、テストヘッド140から電圧クランプ増幅器130を切断し、スイッチ103および104は閉鎖され、長ケーブル107はテストヘッド140から切断され、接地に接続される。次いで、図14Aに示されるように、強度Xの刺激(例えば、力波形)が、力増幅器101および整合抵抗器102を介して、長ケーブル107に印加され、刺激に対する応答が、別個のセンス増幅器105によって測定され、判定モジュール704が、刺激に対する応答の第1のRC時定数(τ)を計算する(例えば、応答波形が、ゼロ電圧からその最大強度Xに上昇する所要時間を測定することによって)。次いで、第1のRC時定数(τ)は、判定モジュール704によって、メモリ内に格納されてもよい。
次いで、図14Bに示されるように、長ケーブル107は、テストヘッド140に再接続され、以前と同一の刺激(例えば、力波形)(すなわち、強度Xを有する)が、力増幅器101を介して、ホルダデバイス(または、チップ)113(その中に沈殿させられる1つ以上の細胞109を伴わずに)に印加され、刺激に対する応答が、別個のセンス増幅器105によって測定され、デバイス113の静電容量が、刺激に対する応答を分析することによって、決定モジュール704によって決定される。例えば、決定モジュール704は、刺激に対する応答の第2のRC時定数(τ)を計算し(例えば、応答波形が、ゼロ電圧からその最大強度Xに上昇する所要時間を測定することによって)、そこからデバイス113の静電容量を導出してもよい。より具体的には、図14Bを参照すると、整合抵抗器102の抵抗Rは、印加される刺激の強度Xであるので既知である。刺激に対する応答の最大強度Xは、センス増幅器105によって測定される。故に、デバイス113の抵抗Rは、決定モジュール704によって、デバイス113が整合抵抗器102とともに形成する分圧器から容易に決定され得る。
=R*X/(X−X
さらに、刺激に対する応答の第1および第2のRC時定数(τおよびτ)を計算することによって、決定モジュール704は、以下のように、デバイス113の静電容量を決定してもよい。
デバイス113静電容量=(τ*(R+R)/(R*R))−τ/R
当業者に理解されるように、デバイス113の静電容量を計算することによって、後述のように、構成要素がパッチクランプシステム100の補償回路網に追加され、デバイス113の静電容量を補償し、それによって、より正確な細胞の特徴の測定をもたらしてもよい。
(E.細胞の特徴の測定)
図15は、図3および4に示されるパッチクランプシステム100のサブシステム800を示す。図4および15を参照すると、一般に、一実施形態では、サブシステム800が採用され、1つ以上の細胞109の特徴を決定する。図示されるように、サブシステム800は、細胞109の自然静止電位を測定するように構成される感知回路(例えば、センス増幅器105)と、測定された細胞109の自然静止電位を格納するように構成されるメモリ804(例えば、ハードウェア内かつソフトウェア132によってアクセス可能)と、クランプ回路(例えば、電圧クランプ増幅器130、電流/電圧増幅率抵抗器129および141、ならびに差動増幅器131)とを含んでもよい。
図16は、細胞109の特徴を決定するための方法900の一実施形態を示す。ステップ904では、細胞109の自然静止電位が測定される。そうするために、スイッチ108は、最初、開放され、テストヘッド140から電圧クランプ増幅器130を切断し、スイッチ104が閉鎖され、センス増幅器105をテストヘッド140に接続する。次いで、テストヘッド140のホルダデバイス(または、チップ)113内に沈殿させられる細胞109の自然静止電位が、センス増幅器105を介して測定されてもよい。細胞109の自然静止電位は、当業者に理解されるように、活動電位、シナプス電位、またはその膜電位の他の活性変化が存在しない場合に維持されるであろう、その膜電位である。自然静止電位は、概して、細胞109膜の両側の溶液115、143内のイオンの濃度と、細胞109膜内のイオン輸送タンパク質とによって決定される。測定された細胞109の自然静止電位が、ステップ904において測定されると、ステップ908において、サブシステム800のメモリ804内に格納されてもよい。
次いで、スイッチ104が開放され、センス増幅器105をテストヘッド140から切断してもよく、スイッチ108が閉鎖され、電圧クランプ増幅器130をテストヘッド140に接続してもよい。ステップ912では、クランプ増幅器130は、細胞109の測定された自然静止電位と実質的に等しい第1の電圧と、測定された細胞109の自然静止電位およびステップ電圧の合計と実質的に等しい第2の電圧とを、細胞109に交互に印加してもよい(すなわち、ソフトウェア132は、コントローラ133を採用して、これらの第1と第2の電圧との間で、クランプ増幅器130の非反転入力に印加される電圧Vrefを交互に生じさせてもよい)。図17は、これらの交流電圧の例示的適用の1つを示す。示されるように、異なる(例えば、逓増的)ステップ電圧が、第2の電圧の印加の度に印加されてもよい。第2の電圧の印加の間の第1の電圧の反復印加(図17の電圧「h」として示される)は、第2の電圧の印加の間、細胞109を休息させる役割を果たす。
一実施形態では、ステップ916において、クランプ増幅器130は、細胞109の特徴を測定する。測定された細胞109の特徴は、その膜を通して流れる電流であってもよい。一実施形態では、クランプ増幅器130は、第2の電圧の印加の度に、細胞の膜電流を測定する。測定された電流は、記録され、後の使用および分析のために、メモリ804内に格納されてもよい。
図15に図示されるように、感知回路およびクランプ回路はそれぞれ、共通単一プローブまたは電極110に連結されてもよい。換言すると、単一プローブまたは電極110を採用して、細胞109の自然静止電位の測定および細胞109の特徴の測定の両方を行なってもよい。
方法900を参照して上述のアプローチは、細胞109の自然静止電位の以前の知識を必要としない。むしろ、細胞の自然静止電位が測定される。加えて、細胞の実際の自然静止電位の測定の結果(ある種類の細胞の概算かつ時として不正確な模範値に依存するのではなく)、より正確な実験データ(例えば、細胞の膜電流の測定値)が取得され得る。より具体的には、細胞の自然静止電位の概算も範囲値に依存しないことによって、上述のアプローチは、所与の細胞種の個々の細胞全体の自然静止電位の差異による誤差を回避する。
(F.漏れ電流補償および直列抵抗(Rs)補償の平衡化)
一実施形態では、細胞109の特徴(例えば、細胞の膜を通して流れる電流)を測定するために、本明細書に記載される方法およびシステムは、図2Aおよび2Bを参照して上述のRs補償(または、図19および20を参照して後述のRs補償)等のRs補償、加えて、漏れ抵抗補償(または、漏れ電流補償)を行なう。漏れ電流補償が行なわれ、パッチクランプシステム100によって導入される漏れ抵抗を補償する一方、細胞109の特徴を測定する。
図18は、漏れ電流補償およびRs補償の両方を行う、パッチクランプシステム1000の一実施形態を示す。パッチクランプシステム1000は、パッチクランプシステム100に対して、図4を参照して上述の要素全部を含んでもよい。図示を容易にするために、モデル回路網の構成要素117、119、120、122、および123、ならびに補償回路網の構成要素125、126、および127は、図示されないが、当業者に理解されるように、それらは、パッチクランプシステム1000内に存在し得る。加えて、図18に図示されるように、パッチクランプシステム1000は、Rs補償回路網1004を含み、電極110、逆漏れ補償回路網1008、電圧/電流変換器1012、電流合算器1016、および電圧合算器1020によって導入される直列抵抗を補償してもよい。Rs補償回路網1004は、例えば、図2Aおよび2Bを参照して上述のスケーラ80として実装されてもよい。加えて、図18では、スイッチ142は、電圧クランプ増幅器130の反転入力と出力との間の電流/電圧増幅率抵抗器141に接続すると想定される。したがって、スイッチ142および電流/電圧増幅率抵抗器129は、図18では図示されない。
一実施形態では、漏れ抵抗補償回路網111は、測定回路網(すなわち、電圧クランプ増幅器130、電流/電圧増幅率抵抗器141、および差動増幅器131)に、第1の補償信号(例えば、補償電流)を印加し、パッチクランプシステム1000によって導入される漏れ抵抗を補償する。しかしながら、第1の補償信号を測定回路網に印加することは、測定された電極110電流に影響を及ぼす。図2Aおよび2Bを参照して上述のRs補償等のRs補償は、測定された電極110電流(または、上述のように、細胞109の測定された膜電流Im)に依存するため、このような漏れ電流補償を行なうことは、さらなる補償がない場合、Rs補償に干渉する。故に、本明細書に記載される方法およびシステムは、さらに別の補償信号をRs補償回路網1004に印加することによって、一実施形態では、Rs補償回路網1004をさらに補償する。本追加補償信号は、Rs補償回路網1004に印加される測定された電極110電流(または、上述のように、細胞109の測定された膜電流Im)から、第1の補償信号のそれに及ぼす影響を除去する。
例示的動作モードの1つでは、刺激(例えば、電圧)が、電極110を通して、細胞109に印加される。次いで、細胞109の特徴、例えば、細胞109によって生じる電流が、測定回路網を使用して測定される。より具体的には、図18を参照すると、電極電流i1が感知される間、漏れ抵抗補償回路網111は、測定回路網に第1の補償信号、例えば、電流i2を印加し、パッチクランプシステム1000によって導入される漏れ抵抗を補償する。そのような漏れ抵抗は、例えば、細胞109の膜抵抗Rmおよびホルダデバイス(または、チップ)113と細胞109との間のシール抵抗Rによって、パッチクランプシステム1000内に導入され得る(また、図2Bも参照)。故に、図18に図示されるように、細胞109の測定されたイオン電流は、実際は(i1−i2)であって、すなわち、測定された電極電流i1引く電流i2が測定回路網に印加され、パッチクランプシステム1000によって導入される漏れ抵抗を補償する。
加えて、細胞109によって生じるイオン電流を測定する間、Rs補償回路網1004は、測定回路網に、電圧合算器1020を通して、第2の補償信号Vcompを印加し、電極110によって導入される直列抵抗を補償する。一実施形態では、測定回路網に印加される第2の補償信号Vcompは、測定された細胞109の特徴、例えば、細胞109の測定されたオン電流(i1−i2)と、第3の補償信号とに関連する。例えば、一実施形態では、図18に図示されるように、測定されたイオン電流の負数と実質的に等しい電流(すなわち、−(i1−i2))(電圧/電流変換器1012からの出力)および第3の補償信号(例えば、−i2)(逆漏れ補償回路網1008からの出力)が、電流合算器1016を介して、Rs補償回路網1004に印加される。そのように、パッチクランプシステム1000によって導入される漏れ抵抗を補償する際に使用される、第1の補償信号(すなわち、i2)の細胞109の測定されたイオン電流(すなわち、i1−i2)に及ぼす影響は、Rs補償回路網1004による使用に先立って、そこから除去される。より具体的には、図18に図示されるように、パッチクランプシステム1000内に存在する漏れ抵抗補償回路網111、逆漏れ補償回路網1008、および電流合算器1016を伴わない場合のように、電流合算器1016によって、測定されたイオン電流の負数(すなわち、−(i1−i2))および第3の補償信号(例えば、−i2)の追加後、電極電流の負数(すなわち、−i1)のみ、Rs補償を行なう際、Rs補償回路網1004によって考慮される。したがって、本発明の一実施形態によると、漏れ電流補償は、Rs補償回路網1004によって行なわれるRs補償に干渉せずに、漏れ抵抗補償回路網111によって行なわれ得る。
(G.直列抵抗(Rs)補償)
図19は、電気生理学実験において、細胞109のうちの1つ以上等の被検体の特徴を測定する際に使用される、電極110等のデバイスの直列抵抗を補償するためのシステム1100の一実施形態を示す。図示されるように、システム1100は、上述のように、クランプ回路1105を含んでもよい(すなわち、電圧クランプ増幅器130、電流/電圧増幅率抵抗器141、および差動増幅器131)。クランプ回路1105は、当業者に理解されるように、感知電極110を介して、細胞109に刺激(すなわち、Vc'と実質的に等しい電圧)を印加し、細胞109の特徴、すなわち電流iを測定する。
一実施形態では、感知電極110の直列抵抗Rsを補償するために、システム1100は、測定された電流iの縮尺バージョンを提供するためのスケーラ1115と、クランプ回路の入力1105(すなわち、電圧クランプ増幅器130の非反転入力端子)に連結される出力を有する演算増幅器1110と、減算器1120と、をさらに含む。
一実施形態では、図示されるように、スケーラ1115の増幅率は、Rs/Rfと等しくなるように選択され、ここで、Rsは、感知電極110の直列抵抗の値であって、Rfは、電流/電圧増幅率抵抗器141の抵抗の値である。そのように、クランプ回路1105の出力は、iRfであるため、スケーラ1115からの出力(したがって、減算器1120の負端子への入力)は、その直列抵抗Rsによる感知電極110の電圧降下に等しいiRsである。
図19にさらに示されるように、減算器1120の使用を介して、演算増幅器1110の反転端子への入力は、演算増幅器1110の出力から、前述のように、細胞109の測定された電流iに比例する信号であるスケーラ1115からの出力を引いたものと実質的に等しい。しかしながら、また、演算増幅器1110の出力は、電圧クランプ増幅器130の非反転入力に連結され、当業者に理解されるように、電圧クランプ増幅器130の2つの入力端子は、潜在的に、互いに追跡するため、減算器1120の正端子への入力は、電極電圧Vpと実質的に等しく、したがって、演算増幅器1110の反転端子への入力は、Vp−iRsである。
しかしながら、図2Bに戻って参照すると、Vp−iRsは、細胞109の膜電圧Vmと等しいことが容易に分かる。したがって、演算増幅器1110の反転端子への入力は、細胞109の膜電圧Vmである。演算増幅器1110の非反転端子への入力は、コマンド電圧Vcであって、当業者に理解されるように、演算増幅器の2つの入力端子は、潜在的に、互いに追跡するため、演算増幅器1110は、細胞109の膜電圧VmをVcと等しく維持しようと試みるであろう。したがって、図19に示されるシステム1100を採用することによって、細胞109の膜電圧Vmをコマンド電圧Vcにクランプしてもよい。加えて、システム1100の内部フィードバックループ1125は、負数であるため、システム1100の安定性が保証される。故に、システム1100は、感知電極110内の望ましくない直列抵抗Rsの実質的に完全(すなわち、100%)補償を提供可能である。
図20に図示されるように、システム1100は、パッチクランプシステム1200内で採用され、プローブまたは電極等の測定デバイス110にRs補償を提供してもよい。加えて、図示されるように、システム1100によって提供されるRs補償は、図18を参照して上述のように、漏れ抵抗補償回路網111によって提供される漏れ電流補償と関連して、利用されてもよい。
本発明のある実施形態が上述された。しかしながら、本発明は、それらの実施形態に制限されるものではなく、本明細書に明示的記載されたものに対する追加および修正もまた、本発明の範囲内に含められることが意図されることを明示的に留意されたい。さらに、本明細書に記載される種々の実施形態の特色は、相互に排他的ではなく、種々の組み合わせおよび順列が明示的に表現されていない場合であっても、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、そのような組み合わせおよび順列で存在可能であることを理解されたい。実際、本明細書に記載されるものの変形、修正、および他の実装は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、当業者には想起されるであろう。したがって、本発明は、先行する例証的説明によってのみ定義されるものではない。

Claims (85)

  1. 電気生理学実験において使用されるパッチクランプシステムを補償するための方法であって、
    少なくとも1つの第1の較正値によって、該パッチクランプシステムの少なくとも一部をモデル化するモデル回路網によって導入される非理想性を補償するために、補償回路網を較正することと、
    少なくとも1つの細胞の特徴を測定することと、その一方で、該パッチクランプシステムによって導入される非理想性を補償するために、少なくとも1つの第2の較正値によって再較正される補償回路網を採用することと、
    該特徴を測定することに続いて、該少なくとも1つの第1の較正値によってさらに再較正される該補償回路網が、該モデル回路網によって導入される非理想性を補償することを検証することと
    を包含する、方法。
  2. 前記補償回路網は、前記少なくとも1つの第1の較正値によって較正され、前記モデル回路網によって導入される浮遊容量を補償する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記補償回路網は、前記少なくとも1つの第1の較正値によって較正され、長ケーブルのモデル回路網によって導入される浮遊容量を補償する、請求項2に記載の方法。
  4. 前記補償回路網は、前記少なくとも1つの第1の較正値によって較正され、単一細胞と直列の長ケーブルのモデル回路網によって導入される浮遊容量を補償する、請求項2に記載の方法。
  5. 前記補償回路網は、前記少なくとも1つの第1の較正値によって較正され、複数細胞と直列の長ケーブルのモデル回路網によって導入される浮遊容量を補償する、請求項2に記載の方法。
  6. 前記少なくとも1つの第1の較正値によって前記補償回路網を較正するステップに先立って、前記モデル回路網を有効化することをさらに包含する、請求項1に記載の方法。
  7. 前記少なくとも1つの細胞の前記特徴を測定することに先立って、前記モデル回路網を無効化することをさらに包含する、請求項6に記載の方法。
  8. 前記少なくとも1つの細胞の前記特徴を測定することに続いて、前記モデル回路網を再有効化することをさらに包含する、請求項7に記載の方法。
  9. 前記補償回路網は、前記少なくとも1つの第2の較正値によって前記少なくとも1つの細胞の前記特徴を測定することに先立って再較正され、前記パッチクランプシステムによって導入される浮遊容量を補償する、請求項1に記載の方法。
  10. 前記補償回路網は、前記少なくとも1つの第2の較正値によって再較正され、前記パッチクランプシステム内の長ケーブルによって導入される浮遊容量を補償する、請求項9に記載の方法。
  11. 前記補償回路網は、前記少なくとも1つの第2の較正値によって再較正され、前記パッチクランプシステム内の単一細胞と直列の長ケーブルによって導入される浮遊容量を補償する、請求項9に記載の方法。
  12. 前記補償回路網は、前記少なくとも1つの第2の較正値によって再較正され、前記パッチクランプシステム内の複数細胞と直列の長ケーブルによって導入される浮遊容量を補償する、請求項9に記載の方法。
  13. 前記補償回路網は、前記少なくとも1つの第2の較正値によって前記少なくとも1つの細胞の前記特徴を測定することに先立って再較正され、前記パッチクランプシステムによって導入される漏れ抵抗を補償する、請求項1に記載の方法。
  14. 前記パッチクランプシステム内の少なくとも1つの構成要素によって導入される浮遊容量を測定することをさらに包含する、請求項1に記載の方法。
  15. 前記少なくとも1つの構成要素は、長ケーブルを備える、請求項14に記載の方法。
  16. 前記少なくとも1つの構成要素は、単一細胞と直列の長ケーブルを備える、請求項14に記載の方法。
  17. 前記少なくとも1つの構成要素は、複数細胞と直列の長ケーブルを備える、請求項14に記載の方法。
  18. 前記パッチクランプシステムによって導入される非理想性に対する補償を検証するために、前記測定された浮遊容量を前記モデル回路網によってモデル化される静電容量と比較することをさらに包含する、請求項14に記載の方法。
  19. 前記測定された浮遊容量が、前記モデル回路網によってモデル化される静電容量から所定量を超えて異なる場合には、前記少なくとも1つの細胞の前記特徴を測定することを中止することをさらに包含する、請求項18に記載の方法。
  20. 前記パッチクランプシステムによって導入される非理想性に対する補償を検証するために、前記第1と第2の較正値とを比較することをさらに包含する、請求項1に記載の方法。
  21. 前記少なくとも1つの細胞の前記測定された特徴は、電流である、請求項1に記載の方法。
  22. 前記補償回路網が、前記少なくとも1つの第2の較正値によって再較正された後に、前記少なくとも1つの細胞の前記特徴を測定することにおいて採用される、増幅器のゲインを増加させることをさらに包含する、請求項1に記載の方法。
  23. 電気生理学実験において使用されるパッチクランプシステムを補償するためのサブシステムであって、
    該パッチクランプシステムの少なくとも一部をモデル化するように構成される、モデル回路網と、
    非理想性を補償するための補償回路網であって、該補償回路網は、少なくとも1つの第1の較正値によって較正され、該モデル回路網によって導入される非理想性を補償し、かつ、少なくとも1つの第2の較正値によって較正され、該パッチクランプシステムによって導入される非理想性を補償する、ように構成される、補償回路網と、
    少なくとも1つの細胞の特徴を測定し、その一方で、該補償回路網から入力を受信し、該パッチクランプシステムによって導入される非理想性を補償するように構成される、測定回路網と、
    該特徴の測定に続いて、該少なくとも1つの第1の較正値によって再較正される補償回路網が、該モデル回路によって導入される非理想性を補償することを、検証するように構成される、検証モジュールと
    を備える、サブシステム。
  24. 前記補償回路網は、前記モデル回路網によって導入される浮遊容量を補償するために、較正されるように構成される、請求項23に記載のサブシステム。
  25. 前記補償回路網は、長ケーブルのモデル回路網によって導入される浮遊容量を補償するために、較正されるように構成される、請求項24に記載のサブシステム。
  26. 前記補償回路網は、単一細胞と直列の長ケーブルのモデル回路網によって導入される浮遊容量を補償するために、較正されるように構成される、請求項24に記載のサブシステム。
  27. 前記補償回路網は、複数細胞と直列の長ケーブルのモデル回路網によって導入される浮遊容量を補償するために、較正されるように構成される、請求項24に記載のサブシステム。
  28. 前記モデル回路網は、前記少なくとも1つの第1の較正値によって前記補償回路網を較正することに先立って、有効化されるようにさらに構成される、請求項23に記載のサブシステム。
  29. 前記モデル回路網は、前記測定回路網によって前記少なくとも1つの細胞の前記特徴を測定することに先立って、無効化されるようにさらに構成される、請求項28に記載のサブシステム。
  30. 前記モデル回路は、前記測定回路網によって前記少なくとも1つの細胞の前記特徴を測定することに続いて、再有効化されるようにさらに構成される、請求項29に記載のサブシステム。
  31. 前記補償回路網は、前記パッチクランプシステムによって導入される浮遊容量を補償するために、較正されるように構成される、請求項23に記載のサブシステム。
  32. 前記補償回路網は、前記パッチクランプシステム内の長ケーブルによって導入される浮遊容量を補償するために、較正されるように構成される、請求項31に記載のサブシステム。
  33. 前記補償回路網は、前記パッチクランプシステム内の単一細胞と直列の長ケーブルによって導入される浮遊容量を補償するために、較正されるように構成される、請求項31に記載のサブシステム。
  34. 前記補償回路網は、前記パッチクランプシステム内の複数細胞と直列の長ケーブルによって導入される浮遊容量を補償するために、較正されるように構成される、請求項31に記載のサブシステム。
  35. 前記補償回路網は、前記パッチクランプシステムによって導入される漏れ抵抗を補償するために、較正されるように構成される、請求項23に記載のサブシステム。
  36. 前記検証モジュールは、前記パッチクランプシステムから測定された浮遊容量値を前記モデル回路網によってモデル化された静電容量値と比較して、該パッチクランプシステムによって導入される非理想性に対する補償を検証するようにさらに構成される、請求項23に記載のサブシステム。
  37. 前記測定された浮遊容量値が、前記モデル回路網によってモデル化される静電容量値から所定量を超えて異なる場合には、前記測定回路網は、前記少なくとも1つの細胞の前記特徴を測定することを中止するようにさらに構成される、請求項36に記載のサブシステム。
  38. 前記検証モジュールは、前記第1と第2の較正値とを比較して、前記パッチクランプシステムによって導入される非理想性に対する補償を検証するようにさらに構成される、請求項23に記載のサブシステム。
  39. 前記少なくとも1つの細胞の前記測定された特徴は、電流である、請求項23に記載のサブシステム。
  40. 前記測定回路網は、ゲインを有する増幅器を備え、該ゲインは、前記補償回路網が前記少なくとも1つの第2の較正値によって較正された後に、増加されるように構成される、請求項23に記載のサブシステム。
  41. 前記サブシステムは、テストヘッド、主増幅器、およびその間に長ケーブルを備えるパッチクランプシステムと併用されるように適合され、前記モデル回路網、前記補償回路網、および前記測定回路網は、すべて該主増幅器内に配置される、請求項23に記載のサブシステム。
  42. 前記主増幅器の中に超低静電容量スイッチをさらに備える、請求項41に記載のサブシステム。
  43. 細胞の特徴を決定するための方法であって、
    細胞の自然静止電位を測定することと、
    該測定された自然静止電位をメモリ内に格納することと、
    該測定された自然静止電位と実質的に等しい第1の電圧と、該測定された自然静止電位とステップ電圧との合計と実質的に等しい第2の電圧とを交互に該細胞に印加することと、
    該細胞の特徴を測定することと
    を備える、方法。
  44. 異なるステップ電圧が、前記第2の電圧の印加の度に印加される、請求項43に記載の方法。
  45. 前記細胞の特徴は、前記第2の電圧の印加の度に測定される、請求項43に記載の方法。
  46. 前記測定された細胞の特徴は、電流である、請求項43に記載の方法。
  47. 単一プローブを使用して、前記細胞の自然静止電位を測定し、そして該細胞の特徴を測定する、請求項43に記載の方法。
  48. 細胞の特徴を決定するためのサブシステムであって、
    細胞の自然静止電位を測定するように構成される、感知回路と、
    該測定された自然静止電位を格納するように構成される、メモリと、
    i)該測定された自然静止電位と実質的に等しい第1の電圧と、該測定された自然静止電位とステップ電圧との合計と実質的に等しい第2の電圧とを交互に該細胞に印加し、ii)該細胞の特徴を測定するように構成される、クランプ回路と
    を備える、サブシステム。
  49. 異なるステップ電圧が、前記第2の電圧の印加の度に印加される、請求項48に記載のサブシステム。
  50. 前記クランプ回路は、前記第2の電圧の印加の度に前記細胞の特徴を測定するように構成される、請求項48に記載のサブシステム。
  51. 前記測定された細胞の特徴は、電流である、請求項48に記載のサブシステム。
  52. 前記感知回路および前記クランプ回路は、それぞれ、共通の単一プローブに連結される、請求項48に記載のサブシステム。
  53. 電気生理学実験において、細胞を保持するために使用されるデバイスの静電容量を決定するための方法であって、
    力増幅器を介して該デバイスに刺激を印加することと、
    別個のセンス増幅器によって、該刺激に対する応答を測定することと、
    該刺激に対する応答を分析することによって、該デバイスの静電容量を決定することと
    を備える、方法。
  54. 補償回路を使用して、前記デバイスの静電容量を補償することをさらに備える、請求項53に記載の方法。
  55. 前記デバイスの静電容量を決定することは、前記刺激に対する応答のRC時定数を計算することを備える、請求項53に記載の方法。
  56. 電気生理学実験において、細胞を保持するために使用されるデバイスの静電容量を決定するためのサブシステムであって、
    該デバイスに刺激を印加するように構成される、力増幅器と、
    該刺激に対する応答を測定するように構成される、別個のセンス増幅器と、
    該刺激に対する応答を分析することによって、該デバイスの静電容量を決定するように構成される、決定モジュールと
    を備える、サブシステム。
  57. 前記デバイスの静電容量を補償するように構成される、補償回路をさらに備える、請求項56に記載のサブシステム。
  58. 前記決定モジュールは、前記デバイスの静電容量を決定することにおいて、前記刺激に対する応答のRC時定数を計算するように構成される、請求項56に記載のサブシステム。
  59. 電気生理学実験において、少なくとも1つの細胞の特徴を決定するための方法であって、
    パッチクランプシステム内のデバイスを介して、該細胞に刺激を印加することと、
    測定回路網によって該細胞の特徴を測定しつつ、該測定回路網に第1の補償信号を印加して、該パッチクランプシステムによって導入される漏れ抵抗を補償し、第2の補償信号を印加して、該デバイスによって導入される直列抵抗を補償することと
    を備え、該第2の補償信号は、該測定された細胞の特徴と、該測定された細胞の特徴からそれに及ぼす該第1の補償信号の影響を除去する第3の補償信号とに関連する、方法。
  60. 前記デバイスは、電極である、請求項59に記載の方法。
  61. 前記測定された特徴は、電流である、請求項59に記載の方法。
  62. 電気生理学実験において、少なくとも1つの細胞の特徴を決定するためのパッチクランプシステムであって、
    該細胞に刺激を印加するためのデバイスと、
    該細胞の特徴を測定するための測定回路網と、
    該測定回路網に第1の補償信号を印加して、該パッチクランプシステムによって導入される漏れ抵抗を補償するための第1の補償回路網と、
    該測定回路網に、該測定された細胞の特徴と第3の補償信号とに関連する、第2の補償信号を印加して、該デバイスによって導入される直列抵抗を補償するための第2の補償回路と、
    該第2の補償回路に、該測定された細胞の特徴からそれに及ぼす該第1の補償信号の影響を除去する、該第3の補償信号を印加するための第3の補償回路と
    を備える、システム。
  63. 前記デバイスは、電極である、請求項62に記載のシステム。
  64. 前記測定された特徴は、電流である、請求項62に記載のシステム。
  65. 電気生理学実験において、少なくとも1つの細胞の特徴を測定することにおいて使用されるデバイスの直列抵抗を補償するためのシステムであって、
    i)該デバイスを介して、該細胞に刺激を印加し、ii)該細胞の特徴を測定するように構成される、クランプ回路と、
    該クランプ回路の入力に連結される出力を有する演算増幅器と
    を備え、該演算増幅器の反転端子への入力は、該測定された細胞の特徴に比例する信号だけ少ない該演算増幅器の出力と実質的に等しい、システム。
  66. 前記デバイスは、電極である、請求項65に記載のシステム。
  67. 前記測定された特徴は、電流である、請求項65に記載のシステム。
  68. パッチクランプシステム内に存在する静電容量波形を補償する方法であって、
    複数回の各々において、該静電容量波形の強度を測定することと、
    複数の補償回路の各々から増幅率調整補償波形を出力し、該静電容量波形を補償することと
    を備え、各補償回路は、一意の時定数を有する、方法。
  69. 前記複数の補償回路の各々から、未調整補償波形を出力することをさらに備える、請求項68に記載の方法。
  70. 前記複数回の各々において、各未調整補償波形の強度を測定することをさらに備える、請求項69に記載の方法。
  71. 前記複数の補償回路の各々に対して、増幅率調整を計算することをさらに備える、請求項70に記載の方法。
  72. 各増幅率調整は、前記複数回の各々において測定された前記静電容量波形の強度と、該複数回の各々において測定された前記各未調整補償波形の強度とに基づいて計算される、請求項71に記載の方法。
  73. 前記パッチクランプシステム内に存在する漏れ抵抗を計算することをさらに備える、請求項68に記載の方法。
  74. 前記静電容量波形の測定を調整して、前記漏れ抵抗の補償に続いて、該静電容量波形に導入される仮想ピークを考慮することをさらに備える、請求項73に記載の方法。
  75. 前記パッチクランプシステム内に存在する漏れ抵抗を補償することをさらに備える、請求項73に記載の方法。
  76. 前記漏れ抵抗が補償されつつ、前記複数回の各々において前記静電容量波形の強度を再測定することをさらに備える、請求項75に記載の方法。
  77. パッチクランプシステム内に存在する静電容量波形を補償するためのサブシステムであって、
    複数回の各々において、該静電容量波形の強度を測定するための測定回路網と、
    複数の補償回路であって、各補償回路は、一意の時定数を有し、そして増幅率調整補償波形を出力して、該静電容量波形を補償するように構成される、複数の補償回路と
    を備える、サブシステム。
  78. 各補償回路は、未調整補償波形を出力するようにさらに構成される、請求項77に記載のサブシステム。
  79. 前記測定回路網は、前記複数回の各々において、各未調整補償波形の強度を測定するようにさらに構成される、請求項78に記載のサブシステム。
  80. 前記複数の補償回路のそれぞれに対して、増幅率調整を計算するための計算回路をさらに備える、請求項79に記載のサブシステム。
  81. 各増幅率調整は、前記複数回の各々における前記静電容量波形の前記測定された強度と、前記複数回の各々における各未調整補償波形の前記測定された強度とに基づいて計算される、請求項80に記載のサブシステム。
  82. 前記パッチクランプシステム内に存在する漏れ抵抗を計算するための計算回路をさらに備える、請求項77に記載のサブシステム。
  83. 前記計算回路網は、前記静電容量波形の測定を調整して、前記漏れ抵抗の補償に続いて、該静電容量波形に導入される仮想ピークを考慮するようにさらに構成される、請求項82に記載のサブシステム。
  84. 前記パッチクランプシステム内に存在する漏れ抵抗を補償するための漏れ抵抗補償回路網をさらに備える、請求項82に記載のサブシステム。
  85. 前記漏れ抵抗補償回路網は、前記漏れ抵抗を補償しつつ、前記測定回路網は、前記複数回の各々において、前記静電容量波形の強度を再測定するようにさらに構成される、請求項84に記載のサブシステム。
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