JP2010527237A - 生細胞の生物学的経路に及ぼす外部刺激の効果を決定するための方法 - Google Patents

生細胞の生物学的経路に及ぼす外部刺激の効果を決定するための方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、作動転写調節プロセスおよび外部刺激に応答して細胞内で作動するプロセスの種類の指標の測定を行う段階を含む、生細胞において実験を遂行するための方法を記述する。細胞のゲノム調節ネットワークは、該刺激の関数としてその活性においてプログラム変化を実行することから、画像分析によって、細胞のゲノム調節ネットワークを通しての情報の流れに関するデータを集めることができる。本方法によってまた、細胞プロセス活性を調節する場合に、細胞が行う決定を観察することによって、細胞における情報処理の結果に関するデータを収集することもできる。

Description

発明の分野
本発明は、全般的にシステム生物学に関し、より具体的に細胞のシグナル伝達回路に及ぼす外部刺激の効果をインサイチューで決定する方法に関する。
背景情報
任意の他の複雑なシステムのように生物学的システムは、サブシステムに組織化される多くの成分が機能することを頼みにしており、そのそれぞれは、完全なシステムが機能するために必要である特定のプロセスを遂行する。多細胞生物において、全ての細胞は、それぞれの細胞の完全性および基本的機能性を維持するために必要である非常に類似の組のコアサブシステムを用いる。これらのサブシステムは、主にその活性レベルが異なり、これはどの特殊な機能を特定の細胞タイプが遂行しなければならないかに依存する。これらのコアプロセスには、細胞をストレスおよび障害に適合するように応答させる機能が含まれる。
多細胞生物は典型的に、単一の細胞から発生する。その細胞からの発生の際に、生育する細胞塊は、互いにおよび環境と相互作用して体を生成し、体において特定の器官の細胞は、それらが関連する組織のタイプ(たとえば、心臓、肺、脳等)に対して特異的である特殊な活性のタイプを遂行する。これらの特殊な活性は、持続的または散発的に遂行されてもよい。共通のおよび組織特異的活性のこれらの混合物を支持しなければならない細胞は、任意の所定の時間で活性である、ならびにサブシステムの活性の種類のどの変更が必要であるかを決めるために内部および外部条件に関して利用可能な情報を用いることにおいて活性である、サブシステムの組を調節するために非常に器用でなければならない。重ねて、複雑な人造システムと生物システムのあいだには顕著な類似性が存在する。広範な目的のための人造デバイスが、代替的に機能するように組み合わされるかなり限定的な数の初歩的な相互作用構成成分によって作出されうるように、細胞は、細胞に存在する相互作用構成成分の組み合わせを単に変更することによって、多様な機能を創造する。
本質的に、サブシステムのプロセシングを可能にするかもしくは増強するか、システムを異なる環境条件で作動させるか、または疾患もしくは寄生を低減させると考えられる様式でその機能を変更するように細胞システムを調整できることが有用である、全ての分野の生物学は、複雑な人造システムを設計する、特徴付けする、および制御する、エンジニアに利用可能なツールの生物学的類似体から利益を得ると考えられる。
生命にとって必要な無数の相互関係機能を細胞に遂行させる細胞成分間の複雑な相互作用の研究は、しばしば「システム生物学」と呼ばれる。これは非常に広義の用語であり、非常に多様な話題および研究目標を扱う。分野を小さく分割する1つのやり方は、研究される細胞システムにおけるレベル、そのレベルを試験するためのデータに関する必要条件、およびそのような研究に典型的な目標の種類を検討することである。
システム生物学は、代謝の研究のために用いられている。そのようなアプローチは、触媒酵素を条件指定する遺伝子、これらの遺伝子の配列、触媒反応の低分子入力および出力の生化学特徴付け、公知の変換速度および典型的な代謝物のレベルに関する非常に詳細な知識、ならびにこのレベルの知識がまだ発達していない生物における代謝をその中で調べるための枠組みを生成するために既に獲得されている調節性または細胞内局在相互作用に関する知識を必要とする。そのような情報を用いて、他の生物の代謝ネットワークの機能および関係を新しい生物に外挿して、シークエンシングされたゲノムを有する生物に関するもっともらしい代謝ネットワークのモデルを作出することは可能である。極めて有効な型の分析であるが、そのような異なるタイプの非常に多くの詳細な情報を必要とすることは、この種のアプローチを用いることに関して強い制限となる。同等のサイズの細胞のネットワークに関する他の成分はこの程度まで特徴付けされておらず、これによってこのアプローチは代謝を伴う問題の研究に拘束される。
必要なデータタイプの多様性および測定の定量的精度に対する要求がより少ない要件を有する第二の研究領域は、卵としてのその単細胞起源からの多細胞生物の発生に関する研究領域である。代謝と同様に、この研究領域は、同定可能な中間体および標準的な進行を有する段階的プロセスであるという長所を有する。試験される生物の複雑度に応じて、それぞれの特定の段階を遂行するために必要である機能に関して非常に少ないからかなり多い重複性が存在しえて、遺伝子は、異なる組織では異なる役割を有しえて、このためはるかにより難しい分析となる。現在の段階において、この研究のほとんどは、様々な組織および体の部分の特殊化された特色の描写、空間的局在化および獲得のプロセスを条件指定するためにどの分子プロセスが関係しているかを単純に理解するという非常に大きい難題に集束している。
他のアプローチは、遺伝子の発現の制御に集中しており、それぞれの遺伝子のプロモーターにおける配列エレメント、およびこれらのエレメントと相互作用して遺伝子の発現を許容または禁止する転写因子を調べている。遺伝子プロモーターの論理的なスイッチ様特性を証明した研究について詳しく述べると、多くのグループが、プロモーターの様々なエレメントの改変が特異的遺伝子の転写特性をどのように変更させるかに関して大規模な実験を遂行して、これらの一連のエレメントによって、胚における特異的な時間および位置に存在する転写因子が、これらのエレメントを保有する遺伝子における特定の転写プログラムをどのように条件指定することができるかを科学的に精密に記述している。代謝の場合と同様に、この種のシステムの研究は、プロモーターエレメントおよびそれらと相互作用する転写因子に関する知識を引き出すために膨大な実験の土台を伴う。この知識が得られれば、ネットワークにおける特異的乱れがネットワークの機能にどのように効果を及ぼすかを予測するモデルを作出することができる。そのような予測の精度は、機能の重なりおよび重複性ならびにネットワークにおいて働く他の補償的機構に関して情報がどれほど完全であるかによって大きく影響を受けるであろう。
本発明は、生細胞において実験を行うための、転写調節プロセスの測定を行うための、および生成したデータを分析するための方法を記述する。方法は、それが生物学的経路の分析を、制御理論工学および数学的セグメンテーション分析と組み合わせることによって、その活性におけるプログラム変化を実行することから、細胞のゲノム調節ネットワークを通して情報の流れに関するデータを集めるために有用である。方法はまた、細胞プロセスの活性を調整する場合に細胞が行う決定を観察することによって、細胞における情報処理の結果に関するデータを収集することができる。
1つの態様において、モニターされる細胞プロセスが少なくとも1つのベクターによって形質転換された少なくとも1つの非酵母真核細胞からのプロモーター活性および局在化レポーターの細胞分布に関して、培養条件で安定であるか否かを確認するために十分な期間、時間間隔をおいて、調節エレメント(たとえば、プロモーター)の活性および局在化レポーターの分布に関する値を決定する段階が含まれる、細胞プロセスの活性のタイプおよびレベルを決定するためのインサイチューの方法が開示される。さらに、少なくとも1つのベクターには、誘導型の生物学的経路特異的プロモーターからなる少なくとも1つのカセットが含まれ、プロモーターは、第一の検出可能なマーカーに機能的に連結され、少なくとも1つのカセットは第一の細胞内局在化レポーターをコードする核酸配列からなる。その上、ベクターによって形質転換された細胞は外部刺激に供され、ならびに刺激に対する曝露に起因する細胞プロセスの段階的展開を追跡するのに十分な期間、時間間隔をおいて、刺激に対する曝露後にプロモーターの活性および局在化レポーターの分布に関する値が繰り返し決定される。したがって、プロモーター活性および/またはレポーター局在化が変化すれば、刺激による内因性の生物学的経路の調整を示している。
1つの局面において、値の決定には、形質転換された非酵母細胞のパネルにおいてプロモーターの活性および局在化レポーターの分布に関する値を確認する段階が含まれ、それぞれの細胞は、個別のおよび独自の経路特異的プロモーターを含む異なるベクターを含有する。さらに、パネルにおける異なる細胞は、適用された刺激に対して個別のおよび独自の応答を示し、それぞれの刺激によって開始されるパネルにおける細胞の異なる構成によって引き起こされる細胞プロセスにおける差を、分離して個々に分析することができる。
さらなる局面において、内因性の生物学的経路に関して観察されるプロセスと調節コンジット(conduit)のあいだの接続をモデル化するために、公知の生化学経路に関して観察されるデータと、人造のネットワークの接続性およびプロセス調節に関するモデルデータの双方を用いて、時間間隔データを分析する段階が含まれる。そのような接続性およびプロセス調節には、コンピューターネットワーク、通信システム/サブシステム、統計プロセス制御、および工学プロセス制御が含まれるがこれらに限定されるわけではない。
もう1つの局面において、方法にはさらに、刺激によって開始される細胞プロセスによって、乱された細胞状態または乱されていない細胞状態が起こる尤度の増加または減少を示す制御戦略を定義するために状態空間モデリングを適用する段階が含まれる。
1つの局面において、方法には、細胞増殖、細胞の老化、および細胞死などのアッセイのエンドポイントを決定する段階が含まれる。
1つの局面において、パネルは、細胞約10個〜200個またはそれより多くを含む。もう1つの局面において、生物学的経路は、PI3K/Akt/mTOR経路が含まれるがこれに限定されるわけではない内因性または外因性のシグナル伝達経路である。
1つの局面において、値を決定する段階は、画像分析によって達成され、この場合、画像分析には、分水界(watershed)などの数学的モルフォロジーセグメンテーションが含まれる。
関連する局面において、セグメンテーションには、パネルの細胞を生細胞染色する段階、限局的に閾値設定したバイナリ画像として生細胞染色および蛍光からの個別のシグナルの位置を特定する段階、閾値設定バイナリ画像を含有する第一のマージ画像を生成するためにバイナリシグナルを結合する段階、第二の画像を生成するために蛍光シグナルによって作成された谷における変曲点にマーカー線を配置する段階、および第一のマージ画像を第二の画像と結合させる段階が含まれる。
1つの態様において、数学的モルフォロジーセグメンテーションによって作成されたモデルが開示される。
EGFR経路機構に対する腫瘍の依存性を回避する逃避経路を図示する。 細胞における核の蛍光画像を示す。 分水界に基づくセグメンテーションによって個別にされた細胞の画像を示す。 分水界に基づくセグメンテーションを閾値設定(thresholding)結果に適用することによって個別にされた細胞の画像を示し、セグメンテーションされた核は細胞の存在のマーカーとして役立つ。 血清利用率の関数としてHEKおよびHT29細胞における様々なプロモーターに関する分水界に基づくセグメンテーションおよび閾値設定結果の適用をグラフによって図示する。破線は、無プロモーター対照におけるeGFP蛍光レベルを示す。灰色の線は、血清枯渇細胞におけるeGFP蛍光レベルを示す。点線は、5%ウシ胎児血清(FBS)において持続的に成育する細胞におけるeGFP蛍光レベルを示す。黒色の線は、8時間枯渇させた後に最終濃度20%となるまでFBSを加えた細胞におけるeGFP蛍光レベルを示す。
発明の詳細な説明
本発明の組成物、方法、および方法論を記述する前に、本発明は、記述の特定の組成物、方法、および実験条件が変化する可能性があることから、そのような組成物、方法、および実験条件に限定されないと理解されるべきである。同様に、本明細書において用いられる用語は、特定の態様を記述する目的に限られ、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ制限されることから、制限的であると意図されないと理解されるべきである。
本明細書および添付の特許請求の範囲において用いられるように、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その」には、文脈がそうでないことを明白に述べている場合を除き、複数形が含まれる。このように、たとえば「1つの核酸」には、本開示を読むことによって当業者に明らかとなるであろう本明細書において記述されるタイプの1つまたは複数の核酸および/または組成物が含まれる等である。
そうでないと定義されている場合を除き、本明細書において用いられる全ての科学技術用語は、本発明が属する当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。改変および変化は、本開示の趣旨および範囲に包含されると理解されるであろうことから、本明細書において記述される方法および材料と類似または同等の任意の方法および材料を本発明の実践または試験において用いることができる。
「ベクター」は、付着されたセグメントの複製を引き起こすために、それに対してもう1つのDNAセグメントが付着されてもよいプラスミド、ファージ、またはコスミドなどのレプリコンである。「ベクター」は、複製可能な核酸構築物、たとえばプラスミドまたはウイルス核酸としてさらに定義されてもよい。
発現ベクターは、ポリペプチドをコードする核酸配列が、細胞においてポリペプチドの発現を行うことができる適した制御配列に機能的に連結している複製可能な構築物である。そのような制御配列の必要性は、選択される細胞および選んだ形質転換法に応じて変化するであろう。一般的に、制御配列には、転写プロモーターおよび/またはエンハンサー、適したmRNAリボソーム結合部位、ならびに転写および翻訳の終止を制御する配列が含まれる。当業者に周知である方法を用いて、適切な転写および翻訳制御シグナルを含有する発現ベクターを構築することができる。たとえば、Sambrook et al., 1989, Molecular Cloning: A Laboratory Manual (2nd Ed.), Cold Spring Harbor Press, N. Yにおいて記述される技術を参照されたい。遺伝子およびその転写制御配列は、転写制御配列が遺伝子の転写を有効に制御すれば、「機能的に連結した」と定義される。本発明のベクターには、プラスミドベクターおよびウイルスベクターが含まれるがこれらに限定されるわけではない。本発明の好ましいウイルスベクターは、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、SV40ウイルス、またはヘルペスウイルスに由来するベクターである。一般的に、発現ベクターは、挿入されたDNA断片の有効な転写を容易にし、特異的宿主に関連して用いられるプロモーター配列を含有する。発現ベクターは典型的に、複製開始点、プロモーター、ターミネーターと共に形質転換細胞において表現型の選択を提供することができる特異的遺伝子を含有する。本発明において用いるために適したベクターには、原核細胞における発現のためのT7に基づく発現ベクター(Rosenberg, et al., Gene, 56:125, 1987)、ORFEX11ベクターシステム(Ho et al., EMBO J, 6:133, 1987)、または哺乳動物細胞における発現のためのpMSXND発現ベクター(Lee and Nathans, J. Biol. Chem., 263:3521, 1988)、および昆虫細胞における発現のためのバキュロウイルス由来ベクターが含まれるがこれらに限定されるわけではない。DNAセグメントは、調節エレメント、たとえばプロモーター(たとえば、T7、メタロチオネインI、サイトメガロウイルス前初期、またはポリへドリンプロモーター)に機能的に連結したベクターにおいて存在しうる。形質転換された宿主は、検査される応答に関して最適な細胞生育条件を達成するように、当技術分野において公知の手段に従って培養されうる。
DNA「コード配列」は、適切な調節配列の制御下に置かれるとインビボでポリペプチドに転写および翻訳される二本鎖DNA配列である。コード配列の境界は、典型的に、5'(アミノ)末端での開始コドンおよび3'(カルボキシル)末端での翻訳終止コドンによって決定される。コード配列には、原核細胞配列、真核細胞mRNAからのcDNA、真核細胞(たとえば、哺乳動物)DNAからのゲノムDNA配列、および合成DNA配列さえも含まれうるがこれらに限定されるわけではない。ポリアデニル化シグナルおよび転写終止配列は通常、コード配列の3'に位置するであろう。
転写および翻訳制御配列は、宿主細胞においてコード配列の発現を提供するプロモーター、エンハンサー、ポリアデニル化シグナル、ターミネーター等などのDNA調節配列である。
「プロモーター配列」は、細胞においてRNAポリメラーゼに結合して、下流の(3'方向の)コード配列の転写を開始することができるDNA調節領域である。本発明を定義する目的に関して、プロモーター配列は、その3'末端で転写開始部位によって境界を定められ、バックグラウンドより上の検出可能なレベルで転写を開始するために必要な最小数の塩基またはエレメントが含まれるように上流(5'方向)に伸びる。プロモーター配列内には、転写開始部位およびRNAポリメラーゼの結合の原因となるタンパク質結合ドメイン(コンセンサス配列)が見いだされるであろう。真核細胞プロモーターはしばしば、しかし必ずしも常にではないが、「TATA」ボックスおよび「CAT」ボックスを含有する。原核細胞プロモーターは、典型的に、-10および-35位のコンセンサス配列に加えてシャイン-ダルガルノ リボソーム結合配列を含有する。
1つの態様において、プロモーターは、生物学的経路特異的プロモーターである。「生物学的経路特異的プロモーター」という用語は、それによって選択された生物学的応答または活性が起こる、相互作用分子と反応の組の1つまたは複数のメンバーによって調整されるプロモーターを意味する。たとえば、そのような経路には、代謝経路、シグナル伝達経路、および遺伝子調節経路が含まれるがこれらに限定されるわけではない。関連する局面において、そのようなプロモーターには、PI3K経路およびサイクリンD1プロモーター;MEKKおよびc-junプロモーター;cAMP/PKA経路およびACEプロモーター等が含まれるがこれらに限定されるわけではない。
さらに、真核細胞プロモーターには、CMV前初期、HSVチミジンキナーゼ、初期および後期SV40、レトロウイルスからのLTR、ヒトメタロチオネインIIA、HSP70、コラゲナーゼ、α-2-マクログロブリン、およびマウスメタロチオネイン-Iが含まれるがこれらに限定されるわけではない。適切なベクターおよびプロモーターの選択は、十分に当業者のレベル内である。発現ベクターはまた、翻訳開始のためのリボソーム結合部位および転写ターミネーターを含有する。ベクターにはまた、発現を増幅するための適切な配列が含まれてもよい。プロモーター領域は、CAT(chloramphenicol transferase)ベクターまたは選択可能なマーカーを有する他のベクターを用いて任意の所望の遺伝子から選択されうる。
1つの局面において、開示される一般的方法によって、細胞におけるプロモーターの活性に関連する、および高分子の細胞内位置に関するデータが作成され、ならびにこの情報を用いて、細胞プロセスに対する細胞の調節決定の影響力を推測する、およびこの知識を解釈して、細胞のシステムを所望の状態に駆動するように操作するためにプロセスにおける最適な点を決定する、分析技術に関する第二のデータが作成される。
「発現制御配列」は、もう1つのDNA配列の転写および翻訳を制御および調節するDNA配列である。コード配列は、RNAポリメラーゼがコード配列をmRNAに転写して、次に、コード配列によってコードされるタンパク質に翻訳される場合、細胞における転写および翻訳制御配列の「制御下」にある。
「シグナル配列」にはコード配列の近傍が含まれうる。この配列は、ポリペプチドを細胞表面に向ける、またはポリペプチドを培地に分泌させるように宿主細胞に伝達する、ポリペプチドに対してN-末端であるシグナルペプチドをコードし、このシグナルペプチドは、タンパク質が細胞を離れる前に宿主細胞によって切り取られる。シグナル配列は、原核細胞および真核細胞に対して固有のタンパク質に関連して見いだされうる。
細胞は、そのようなDNAが細胞内部に導入されている場合、外因性または異種DNAによって「形質転換」されている。組み換え型DNAによる宿主細胞の形質転換は、当業者に周知であるように従来の技術によって遂行されてもよい。そのような方法には、リン酸カルシウム共沈殿、マイクロインジェクションなどの従来の機械的技法、電気穿孔、リポソームに封入されたプラスミドの挿入が含まれるがこれらに限定されるわけではなく、またはウイルスベクターを用いてもよい。もう1つの方法は、真核細胞に一過性に感染または形質転換して関心対象の配列を発現させるために、シミアンウイルス40(SV40)またはウシ乳頭腫ウイルスなどの真核細胞ウイルスベクターを用いることである(たとえば、Eukaryotic Viral Vectors, Cold Spring Harbor Laboratory, Gluzman ed., 1982を参照されたい)。
DNAの形質転換は、細胞のゲノムに組み入れら(共有結合さ)れてもよく、組み入れら(共有結合さ)れなくてもよい。原核細胞、酵母、および哺乳動物細胞において、たとえばDNAの形質転換は、プラスミドなどのエピソームエレメントにおいて維持されてもよい。真核細胞に関して、安定に形質転換された細胞は、形質転換DNAが染色体の複製を通して娘細胞に遺伝されるように、形質転換DNAが染色体に組み入れられている細胞である。この安定性は、形質転換DNAを含有する娘細胞の集団を含む細胞株またはクローンを真核細胞が確立できることによって証明される。「クローン」は、有糸分裂によって単一の細胞または祖先に由来する細胞集団である。「細胞株」は、何世代もインビトロで安定に生育することができる初代細胞のクローンである。
さらに、「宿主細胞」は、ベクターを増殖させてそのDNAを発現させることができる細胞であることから、この用語にはまた、被験宿主細胞の任意の子孫が含まれる。全ての子孫は、複製の際に起こる変異が存在する可能性があることから、親細胞とは同一でない可能性があると理解される。しかし、「宿主細胞」という用語を用いる場合には、そのような子孫が含まれる。外来DNAが宿主において持続的に維持されることを意味する安定に移入する方法は、当技術分野において公知である。
本明細書において用いられるように、「オリゴヌクレオチド」は、2つまたはそれより多い、好ましくは3つより多いデオキシリボヌクレオチドを含む分子として定義される。その正確なサイズは、多くの要因に依存し、次に、オリゴヌクレオチドの最終的な機能および使用に依存するであろう。本明細書において用いられるように「プライマー」という用語は、天然に存在する(精製された制限消化物におけるように)または合成的に生成されるか否かによらず、適切な条件に置いた場合に、すなわちヌクレオチドおよびDNAポリメラーゼなどの誘導物質の存在下で、ならびに適した温度およびpHで、核酸に対して相補的な鎖の合成を開始することができるオリゴヌクレオチドを指す。プライマーは、最初、一本鎖または二本鎖のいずれかであってもよく、誘導物質の存在下で所望の伸長産物の合成をプライミングするために十分に長くなければならない。プライマーの正確な長さは、温度、プライマーの配列および/または相同性、および用いる方法が含まれる多くの要因に依存するであろう。たとえば、診断適用において、オリゴヌクレオチドプライマーは典型的に、標的配列の複雑度に応じて15〜25個またはそれより多いヌクレオチドを含有するが、それより少ないヌクレオチドを含有してもよい。
「セグメンテーション」という用語は、関心対象のオブジェクトと画像におけるバックグラウンドとを区別する(たとえば、フォアグラウンドとバックグラウンドとを区別する)ことを意味する。関連する局面において、「閾値設定」は、その値が設定値または閾値より大きい場合に(オブジェクトがバックグラウンドより明るいことを仮定する場合)画像が「オブジェクト」としてみなされ、この設定値より下である場合に「バックグラウンド」としてみなされるセグメンテーション法である。
「分水界変換」は、グレースケール画像が位相的レリーフであると見なされる場合の、グレースケール画像をセグメンテーションするためのツールである;すなわちピクセルのグレーレベルは、上昇点となり、レリーフの「流域(basin)」および「谷」は、暗色領域に対応し、「山」および「稜線(crest line)」は明るい領域に対応する。分水界線は、そこを落ちる水滴がレリーフのいくつかの集水流域に向かって流れ落ちる可能性がある点の組として直覚的に導入することができる(たとえば、S. Beucher and Meyer, in Mathematical Morphology in Image Processing, E.R. Dougherty, Ed., New York: Marcell Dekker, 1993, vol. 12, pp. 433-481を参照されたい)。
「インサイチュースクリーニング」という用語は、細胞内成分を分析するために、細胞を破壊/溶解することなく細胞をアッセイすることを意味する。そのようなアッセイにおいて、分析される細胞はプロセスを通じて完全なままである。
「局在化レポーター」という用語は、シグナルまたは他のタンパク質に融合した場合に、融合したシグナルまたは他のタンパク質を特異的オルガネラまたは細胞内構造に隔離する配列を含有するタンパク質またはタンパク質断片を意味する。たとえば、そのような局在化レポーターには、RhoBの全てまたは一部を含有する融合タンパク質;チトクロームcオキシダーゼのサブユニットVIII;SV40 T-抗原NLS;カルレチキュリンのターゲティング配列;β1,4-ガラクトシルトランスフェラーゼからのターゲティング配列;ニューロモジュリンのパルミトイル化ドメイン;hA-Rasからのファルネシル化配列;ペルオキシソームターゲティングシグナル;β-アクチン;AKT1;PLCG;ヒストンH2B、およびα-チューブリンが含まれるがこれらに限定されるわけではない。
「時間間隔」という用語は、観察期間内のそれぞれの一定期間における(たとえば、不連続な時間の場合)、または所定の観察測定におけるそれぞれの時点における、選んだ変数の最適な大きさを伴う。
「ネットワークの接続性」という用語は、複雑なシステム内での2つまたはそれより多いノードのあいだの接続および伝達を意味し、典型的にそのような接続は、1つまたは複数の通路によって相互接続された一連の点を通じてである。1つの局面において、本発明は、生物学的サブシステムにおけるネットワークおよびプロセスをモデル化するために、人造のネットワークおよびプロセスを用いることを開示する。そのような人造モデルには、コンピューターネットワーク、通信システム/サブシステム、統計プロセス制御(SPC)および工学プロセス制御(EPC)の組み合わせを統合することを伴う工業的重合化プロセス等が含まれるであろう。
「プロセス調節」または「プロセス制御」という用語は、1つまたは複数の補償的処理変数に対して通常の修正を行うことにより、動的に関連する観察にもかかわらず出力の変動の最小化を伴う。
「乱された状態」および「乱されていない状態」という用語は、所定のシステムの平衡状態に関連する。乱れがシステムに影響を与えるが、システムがその平衡に戻る傾向がある場合、システムは安定であり、乱されていない状態にある。乱れがシステムに影響を与えて、システムがその平衡に戻る傾向がない場合、システムは不安定であり、乱された状態にある。乱れがシステムに影響を与えて、システムが平衡に向かう方向にも平衡から離れる方向にも移動しない場合、システムは中性状態にある。
「段階的展開」という用語は、尺度の程度、等級、もしくは階級によって特徴づけられる、または尺度の程度、等級、もしくは階級が進行する、あるいはシステムの段階における一連の逐次的変化を伴う、変化のプロセスを指す。
「状態空間モデリング」という用語は、尤度および確率を決定するための統計学的方法を指し、これには、離散時間マルコフ連鎖、連続時間マルコフ連鎖、マルコフ報酬モデル、セミマルコフモデル、マルコフ再生モデル、および非定常マルコフモデルなどのマルコフおよび非マルコフモデルが含まれる。
蛍光標識は、関心対象のタンパク質、細胞、または生物に印をつけるための特に有用なツールである。従来より、関心対象タンパク質は、精製された後、蛍光誘導体に共有結合によってコンジュゲートされる。インビボ試験の場合、タンパク質-色素複合体を、マイクロピペット操作または可逆的透過法を用いて関心対象細胞に挿入する。しかし、色素の付着および挿入段階は、プロセスを面倒にして制御を難しくする。関心対象タンパク質を標識するための代わりの方法は、マーカーを発現する遺伝子に関心対象タンパク質を発現する遺伝子を結びつけるまたは融合した後、融合産物を発現させることである。このタンパク質標識法に関する典型的なマーカーには、P-ガラクトシダーゼ、ホタルルシフェラーゼ、および細菌のルシフェラーゼが含まれるがこれらに限定されるわけではない。しかし、これらのマーカーは、外因性の基質または補因子を必要として、したがってインビボ試験で用いるためには使用が限られる。
外因性の補因子または基質を必要としないマーカーは、クラゲであるエクオリア・ビクトリア(Aequorea victoria)の緑色蛍光タンパク質(GFP)であり、これは最大励起波長が395 nmであり、第二の励起ピークが475 nmであり、最大放出波長が510 nmであるタンパク質である。緑色蛍光タンパク質は、アミノ酸238個のタンパク質であり、アミノ酸65〜67位が発色団の形成に関係している。
遺伝子発現およびタンパク質局在化を調べるために緑色蛍光タンパク質を用いることは周知である。小型の構造により、GFPはプロテアーゼ処置などの多様なおよび/または厳しい条件下で非常に安定であり、それによってGFPは全般的に極めて有用なレポーターとなる。
そのタンパク質産物が哺乳動物細胞において合成が増加している「ヒト化」GFP DNAなどの新しいバージョンの緑色蛍光タンパク質が開発されている。そのような1つのヒト化タンパク質は、「高感度緑色蛍光タンパク質」(EGFP)である。緑色蛍光タンパク質に対する他の変異によって、青、シアン、および黄緑色の光を放出するバージョンが得られた。
細胞調節の研究のために考案された広く適用可能なツールは、発現プロファイリング(EP)と名付けられる。発現プロファイリングによって、一連の試料にわたって多くの遺伝子に関して発現されるRNAの相対量を同時に決定することができ、試料が採取された時間で細胞における遺伝子の多くの転写活性のスナップショットを提供することができる。
EPは、破壊的サンプリングを利用する。この種の測定を行うためには、試験される細胞をその高分子構成成分となるまで壊して、他の構成成分からRNA分画を精製した後、定量可能な検体として役立つように標識された代表物をRNAで作出しなければならない。分析される細胞を破壊する必要があることにより、このようにしてデータを集める際の重要な欠点が2つもたらされ、すなわち動的データを得ることが難しいこと、および非常に多数の細胞について展開するデータが平均されることである。
複雑なシステムの機能に関する分析が成功するためには、非常に詳細な様式で1つの状態からもう1つの状態へのシステムの展開を追跡できることが必要である。システムを追跡する方法が、それを不活化する段階を伴う場合、状態変化の同じ組を経験する、多くのほぼ同一のシステムを有する必要性に直面し、代表的なシステムがその中を通過する、様々な中間状態の詳細な像を作り上げるために、試験される状態の展開の軌跡に沿って様々な時間でシステムが犠牲となる。このアプローチは通常、実際的な制限を有する。試験を平行して受けるために多くの代表的なシステムを調製しなければならないこと、および多数のシステムについて試験を遂行しなければならないことから、測定は急激に非常に費用がかかるようになる。最初の状態の展開における事象の正確な一時的マッピングを有さないが、実験からこのことを学ばなければならないことから、サンプリングのための時点を選ぶことは非常に反復性のプロセスである。
今日行われている生物学における実験のほとんどにおいて、この問題は極めて重大である。経時的に得られるデータは少量であるが、ほとんどのデータは、注意深い時間依存的実験に由来しない、または全く計時的な実験に由来しない。ヒトの試料について行われる転写研究の多くにおいては、試験は、正常な試料と病理的試料とを比較しており、それぞれの試料は、単一の個体から採取した1回のサンプリングである。経時的実験がなければ、通常、データはシステムの定常状態分布に由来すると仮定される。定常状態データに限定される場合には、推論問題は、以下の種類とは逆の問題である:定常状態分布からの試料を仮定すると、ネットワークの動力学に関連してどのような種類の推論を得ることができるか。この逆の問題は強度に不良設定である。定常状態挙動は、動的挙動を拘束するが、それを決定するわけではない。定常状態データから力学的モデルを作ることは、ある種の過剰適合である。定常状態データから設計されるネットワークの動的挙動がアーチファクトであると見なされるのはこの理由のためであり、本発明者らは、推測されるネットワークが、観察された定常状態挙動と整合する、および接続性またはアトラクター構造などのモデルに課されるどのような生物学的仮定とも整合するものに限定されるように解釈されなければならない調節構造を提供するとして、推測されたネットワークを見るように自身を制限しなければならない。
定常状態データを用いるモデリングの場合、生物学的ネットワークの定常状態を捕捉することは可能である可能性があるが、ネットワークの重要な作動特徴の多くはその動的挙動に依存する。例として、アトラクターの周期は動的挙動に依存することから、これらは定常状態データによって決定されることができず、動的特徴付けがなければ、典型的にモデルのみが非周期的定常状態挙動を有すると仮定する必要である。その上、かなり重要な情報がネットワークの一過性の挙動に含まれる。たとえば、推測されるネットワークの挙動が、p53によるアポトーシスの誘導、または乱れの後にアトラクターへの迅速な回復を必要とする恒常性挙動などの公知の挙動に一致してもよく一致しなくてもよいように、異なるアトラクター適合性のネットワークは異なる一過性の挙動を有する可能性がある。より一般的な問題は、定常状態の確率に関する。アトラクターに関して良好な推論が得られる可能性があるが、無作為な初期化(またはより一般的なネットワークにおける無作為な乱れに対して)後に所定のアトラクターで終わるシステムの確率に関して不良な推論しか達成されない可能性がある。これは、アトラクターの流域が小さい場合、それが大きい場合より無作為な初期化を捕らえる可能性がより低いためである。定常状態からのサンプリングの場合、小さい流域を有するアトラクターは、大きい流域を有するアトラクターが多数回出現する可能性があるのに対し、出現する可能性がより低い。
本発明は、1つまたは複数の変数(または遺伝子)を制御することによって遺伝子ネットワークの動力学における介入を記述する。これまでの研究において、定常状態からネットワークを推測する場合、定常状態分布が有益に変更される程度に制御が発揮されることが示されている;しかし、先に述べたように、動的情報を欠損するモデルの推論が、おそらく何らかのこれまでの生物学的仮定と共にデータと整合するように選択されていること、したがって真の分布の正確なゲージを提供しない可能性があることから、変更の程度は定常状態データから推測された特定のモデルに依存する。
加えて、多くの細胞をサンプリングする方法においてしばしば用いられる平均する段階によって、典型的に、推論分析における情報の喪失が起こる。最も単純に、平均する段階は、起こっている状態の変化の形を曖昧にする。デジタルの全か無かの変化とアナログの段階的変化とを識別する能力は失われる。細胞が1として表されうる転写における変化を最終的に達成する移行の際に、細胞の全てが完全な値の25%変化したことを表すのか、または細胞の25%が完全に100%変化したことを表すか否かを、移行の際に0.25という測定の平均値から単純に知ることは不可能である。細胞毎にデータを集める方法はこの情報を生成するであろうが、これはこの移行を標的とする介入を設計する方法に影響力を及ぼしうるであろう。
多数の異なる個体から得られた試料から発生する第二の種類の問題は、特定の個体における特異的遺伝子の転写物の量の変化に関連する生物学的「意味」を正確に推測することである。異なる組織からの細胞が、同じシグナルに対して非常に異なるように反応することは周知である。全身を強いγ線照射に曝露すると、たとえ全ての細胞がほぼ同等の線量を受けて、全ての細胞が同じ組の多くのストレス応答遺伝子の即時アップレギュレーションを経験するにもかかわらず、血球を生成する非常に急速に生育する細胞、および腸管の内側に並ぶ細胞に対してその最も強い致死効果を有するであろう。細胞死亡率における差は、最初の調節性の変化が、応答する細胞における他の遺伝子産物のタイプおよび量に基づいて、異なる応答にその後翻訳されるであろう様式のためである。単一の(またはいくつかの)時点の系列として集められたデータの組において、異なる細胞システムのそれぞれによる情報エレメントの解釈の差は容易に解決できない。特定の遺伝子産物を、試験されるプロセスに関連させる試みにおいて、いくつかの可能性がある誤差が起こりうる。生物学的システムは、安定な複雑なシステムに関連して高い程度の重複性を示すことから、プロセスにおける1つの特定の遺伝子産物の関与は、プロセスの全体的な成功にとって重要でない可能性がある。これは、特異的発生プロセスの遂行において重要であることが知られている遺伝子を完全に欠損したモデル動物を生成することが可能となったことから、顕著に明白となった。
問題となるプロセスの有効な遮断を認めるためには、いくつかの関連する遺伝子をたびたびノックアウトしなければならないであろう。重複している遺伝子に加えて、遺伝子は、それに基づいて他の遺伝子が細胞において存在して活性であることに依存する多数のタイプの機能を有しうる。この場合、遺伝子の機能的な「意味」は、遺伝子産物において完全に固有のものではなく、それが作動する状況によって十分に決定されうる。多くのタンパク質は、リン酸化などの翻訳後改変によって、またはもう1つのタンパク質に結合することによって活性化または阻害される。重複性の場合、タンパク質は存在しなくてもよいが、そのタンパク質が通常関連するプロセスは進行中となりうるであろう。活性化の場合、タンパク質は全ての標本にわたって存在して、関心対象プロセスにおいてタンパク質が役割を果たしている場合に、それらの一部のみにおいて活性となりうるであろう。それによって、遺伝子産物がプロセスにおいて重要であることを決定することは、多数の試料の比較によってのみ作業する場合には難しくなりうる。
上記のシステム研究のタイプは、その目標として通常の環境における正常細胞のネットワーク機能の解明を有する。バイオプロダクションの典型的な目標であるその正常な状態から細胞を能動的に変更させたい場合、または病理組織を取り扱う医師にとって典型的な問題である異常な状態にある細胞の活性に介入したい場合では、非常に異なる見通しが要求される。正常な状態において正常な細胞を観察しても、細胞が異常な曝露、ストレス、もしくは要求に供される場合に、または細胞の調節ネットワークが変異もしくはゲノム再配列によって乱されている場合に、働くようになる多数の連動する調節関係が明らかとはならず、そのため通常の周知の関係は、異常な環境において何が起こっているかに関して信頼できるモデリング指針ではない。これは応用生物学における重度の制限となっている。
低分子を生成するように変更された微生物または真菌株を生成することができるバイオプロダクション領域には一定の関心が集まっている。これらのシステムでは多くの望ましい分子を生成することができるが、ビタミン、油、およびイソプレンのカロチノイド誘導体などの分子を大量に生成するように細胞を駆動できる可能性は、原因となる酵素、流動速度、および生物のゲノムに遺伝子を入れるまたは遺伝子を除去することが容易にできることが非常に明確に知られているにもかかわらず、非常に限定されている。問題はシステムのより高いレベルで、代謝中間体の局在化および保存を調節する他の細胞サブシステムとの代謝サブシステムの相互作用、ならびに細胞膜を維持するシステムにおいて出現する。
同様に、癌の薬物介入を考案する試みにおいて、たとえ特定の遺伝子が慢性的な細胞の増殖を刺激することを知っていても、他の増殖シグナルがシステムにおいて作動していることから、刺激を消失させる処置が腫瘍の生育を停止させない可能性がある。目標が、非正常状態を達成するために、または非正常状態を改変するために細胞調節システムに対して制御を発揮することである適用において、努力の焦点は最初に、制御の目標をより明らかに定義するために完全なサブシステムの機能を調べるように、調節ヒエラルキーのより上方に修正されるべきである。
要約すると、既存の工学分析法の最大の能力を得るために、以下の特性を有するであろう細胞システムに関するデータを得ることが望ましいと考えられる:
1.データはシステムの動力学の反映である。これは、ゲノム調節システムにおける様々な状態変化を、1つの状態から次の状態へと展開したシステムとして観察することができるように十分に密な間隔で集められる。
2.データを集める方法が非破壊的で、同じ組の細胞における生物プログラムの過程を追跡することができる。
3.データを集める方法は、生物から特異的組織を得て試験することができるように、中等度の量の細胞を用いることが実際的となるはずである。
4.データは、集団全体における変化の整合性および程度を決定することができるように、細胞毎に集められるべきである。
5.プロセスにおいて段階的な変化の実際の効果を試験することができるように、試験される様々なプロセスの機能的状態を同定する帰結データ(corollary data)も同様に集められるべきである。
これらの特徴を有するデータを得るための1つのアプローチは、その開始状態においてそれらがどのように制御されているかを決定するために、制御を試みる前に多様な細胞サブシステムの機能の観察を許容する、制御介入の適用を許容する、および制御がそのために設計された標的に効果を及ぼすか否か、同様に標的の機能の有効な変化が、サブシステムおよび標的サブシステムと相互作用するサブシステムにおける他の成分において予想された変化を生成するか否かを見るために、サブシステムの機能的状態の展開を見ることができる実験を遂行することである。制御が失敗した場合、標的サブシステムに機能性を回復させる機能の代わりの起源が存在するか、またはそれが通常相互作用する他のサブシステムにおいて標的サブシステムの入力を代換することができる機能の代わりの起源が存在するという理由から、それが失敗したことを見ることができると考えられる。これらの状況において生じる相互作用のタイプは、正常な機能に基づいて調節関係の深い理解を作り上げる段階において遭遇される可能性が低い。
このように、開示される方法の特色は以下の通りである:
1.薬物曝露を行う前および薬物曝露を行った後での薬物応答およびその状態に関する完全なデータに関して、それぞれの細胞株を独立して試験する。
2.多くの経路の作動および相互作用を同時に調べる。
3.データ点を全ての前処置および処置後の期間にわたって短い間隔(〜15分)で得て、応答における中間段階を全て捕捉する。
4.データを、試験した全ての細胞の単一の平均ではなくて、細胞毎に得る。
5.いくつかの指標によって、増殖およびアポトーシスを直接肉眼的に査定することができる。
6.薬物を使用しうる可能性がある多くの腫瘍の状況をサンプリングするために多様な細胞株または腫瘍を調べる。
7.それぞれの細胞株において薬物が成功した場合および失敗した場合に起こる、特定の分子の応答事象は、交叉比較に利用可能である。
8.成功した応答に必要な相互作用鎖を同定することができる。
9.アンタゴニストプロセスを同定することができる。
1つの態様において、プロモーターの活性および局在化レポーターの分布に関する値を、モニターされる細胞プロセスが、少なくとも1つのベクターによって形質転換された少なくとも1つの非酵母真核細胞からのプロモーター活性および局在化レポーターの細胞分布に関して培養条件で安定であるか否かを確認するために、十分な期間にわたって、時間間隔をおいて繰り返し決定する段階であり、少なくとも1つのベクターには、誘導型生物学的経路特異的プロモーターからなる少なくとも1つのカセットが含まれ、プロモーターは、第一の検出可能なマーカーに機能的に連結され、および少なくとも1つのカセットが第一の細胞内局在化レポーターをコードする核酸配列からなる段階;形質転換細胞を外部刺激に供する段階;および刺激に対する曝露に起因する細胞プロセスの段階的展開を追跡するために十分な期間にわたって、時間間隔をおいて、刺激に対する曝露後にプロモーターの活性および局在化レポーターの分布に関する値を繰り返し決定する段階であり、プロモーター活性および/またはレポーター局在化が変化すれば、刺激による内因性の生物学的経路が調整されたことが示される段階が含まれる、細胞プロセスの活性のタイプおよびレベルを決定するためのインビボ方法が開示される。
関連する局面において、決定する段階には、形質転換された非酵母細胞のパネルにおいてプロモーターの活性および局在化レポーターの分布に関する値を確認する段階が含まれ、それぞれの細胞は、個別のおよび独自の経路特異的プロモーターを含む異なるベクターを含有し、それによって異なる細胞は、適用された刺激に対して個別のおよび独自の応答を示すことができ、それぞれの刺激によって開始される細胞プロセスにおける差を、分離して個別に分析することができる。
1つの局面において、方法には、内因性の生物学的経路に関して観察されたプロセスと調節コンジットのあいだの接続をモデル化するために、公知の生化学経路に関して観察されたデータと、人造のネットワークの接続性およびプロセス調節に関するモデルデータの双方を用いて時間間隔データを分析する段階が含まれる。
もう1つの局面において、方法にはさらに、刺激によって開始された細胞プロセスによって、乱された細胞状態または乱されていない細胞状態が起こる尤度の増加または減少を示す制御戦略を定義するために状態空間モデリングを適用する段階が含まれる。
これらの方法は、数学的制御または制御工学理論を伴ってもよいがこれらに限定されない。オブジェクトを制御することは、所望の目標を達成するためにその挙動に影響を及ぼすことを意味する。一般的に、制御理論には2つの作業の本線が存在する。そのうちの1つは、制御されるオブジェクトの良好なモデルが利用可能であり、その挙動を最適にする方法を知りたいという考えに基づいている。他方の作業の本線は、モデルに関する、またはオブジェクトが働く環境に関する不確実性によって課された拘束に基づいている。このタイプのモデリングに関する中心的なツールは、所望の挙動からの偏差を補正するためにフィードバックを用いることである(たとえば、乱された状態および乱されていない状態からの知見)。
本発明に関して、制御理論からの一定の原理を適用することができる。たとえば、一次近似は、局所挙動を特徴付けするために十分である。線形化原理に基づいて、線形化に基づくモデルは、当初のシステムに関して局所に作用する。「局所」という用語は、それに関する線形化がなされた点に近いそれらの最初の(たとえば、乱されていない)状態に関して、満足のゆく挙動を予想することができる事実を指す。制御理論のより周到な分析は、F.L. Lewis, Applied Optimal Control and Estimation, Prentice-Hall, New York, NY, 1992およびE.D. Sontag, Mathematical Control Theory: Deterministic Finite Dimensional Systems, Second Edition, Springer- Verlag, New York, NY, 1998において見いだされうる。
本発明の1つの局面において、決定する段階は、刺激に対する曝露に起因する細胞プロセスの段階的展開を追跡するために十分な期間、時間間隔をおいて、刺激に対する曝露後にプロモーター活性および局在化レポーターの分布に関する値を繰り返し決定する段階を伴い、プロモーター活性および/またはレポーター局在化が変化すれば、刺激によって内因性の生物学的経路が調整されたことが示される。たとえば、生物学的経路の成分の活性化の増加または減少は、線形モデルにおいて分析されうる。
分子腫瘍学における最近の進歩により、組織病理学および標的駆動されるものに対する集団誘導アプローチから、制癌剤の開発および処置の選択を変換することができるという楽観主義が生み出された。シグナル伝達経路における活性化変異によって、経路に対する腫瘍細胞の「嗜癖」が起こりえて、それによってこれらの経路を阻害するために開発された薬物が腫瘍の死を引き起こすであろうと予想される、人を引きつける証拠がある。しかし、特定の経路を阻害するように設計された薬物に対する腫瘍細胞の応答は、その1つの段階とは無関係な多数の細胞活性によって条件付けされることが明白となった。これによって、薬物が所望の応答を生成する条件を決定するためには、かなりより広い細胞の状況を評価しなければならないことが理解されるに至った。細胞の状況を査定するための現在最も一般的なアプローチは、処置前の腫瘍のサンプリングである。次に、腫瘍の状況を、ウェスタンブロット、mRNAマイクロアレイ等が含まれる複雑で高価な実験によって査定する。得られたデータは、多くの細胞に対する平均値である、mRNAの量のレベルおよびタンパク質の量/改変レベルの1回のスナップショットである。
本発明に従って、細胞の画像は、該当する生物学的経路に関連する特色を抽出するために、一定の方法で操作および分析される。それらの特色を用いて、本発明の装置およびプロセスは、細胞の生物学に関する一定の結論を自動的に引き出すことができる。
本発明は、細胞の画像の分析および細胞の画像からの生物学的に有意な経路に関連する特色の抽出のための方法および装置を提供する。抽出される特色は、それによって細胞が処置される生物学的に活性な剤(たとえば、薬物、ペプチド、タンパク質、核酸、感染物質、ホルモン、有機低分子、無機分子、金属、有機金属抱合体、抗原、抗体、ケモカイン、サイトカイン、炭水化物、脂質、ビタミン等)、または物理的剤(たとえば、熱、光、圧力、磁場、X-線照射、または非熱マイクロ波照射)によって誘導される特定の条件に相関する可能性があり、それによって経路利用パラメータに基づく細胞の自動分析が可能となる。特に、本発明は、複数の個別の画像からのデータを用いて画像における細胞のセグメンテーションのための方法を提供する。
本発明の1つの適用は、第二の細胞の経路またはサブシステムに関するデータを得るために、第二の細胞においてセグメンテーションを行うために画像データと組み合わせて、参照細胞経路(好ましくは、細胞画像の指標となる特色が既に同定およびセグメンテーションされて、それによってその同定およびセグメンテーションパラメータが十分に理解されて、繰り返される可能性がある経路)を用いることを伴う。本発明のこの適用は、参照細胞特色(たとえば、細胞質、核、ミトコンドリア、小胞体、細胞骨格、または他の可視化可能な特色)が既にセグメンテーションされている場合には、特に有効である。本発明はさらに、セグメンテーションされた細胞画像からの生物学的に該当する経路に関連する細胞特色を抽出するための技術を提供する。
本発明に従って、細胞サブシステムの目に見える(またはそうでなければ電磁スペクトルの領域において検出可能な)成分および/またはマーカーの細胞内分画への局在化または特異的隔離(たとえば、転位置)を与えるために、化学的剤によって処置されている細胞の画像を得てもよい。そのような剤の一般的な例は、細胞の形状を示す特定の細胞成分に対して特異的な着色色素である。他のそのような剤には、細胞成分に対して直接または間接的に(たとえば、抗体または他の中間結合物質によって)結合する蛍光またはリン光化合物が含まれてもよい。本発明に従って、剤が関心対象の細胞応答を歪めない限り、複数の細胞成分を異なる剤によって処理して個別に撮像してもよい。
一般的に、本発明の方法に関する開始点として用いられる画像は、他の細胞成分からのマーカーおよび画像のバックグラウンドとコントラストをなす条件で特に処置および/または撮像されている細胞から得られる。1つの態様において、細胞は、画像におけるそれぞれの細胞に関して独自の目に見える印を生成する生細胞染色によって処置される。1つの局面において、選ばれたイメージング剤は、細胞にまたは細胞内に無差別に結合する。剤は、所定の画像における他の特色に対して強いコントラストを提供すべきである。このため、剤は、発光性、蛍光性等であるべきである。様々な染色および蛍光化合物はこの目的のために役立つ。
特定のマーカーに応じて多様なイメージング剤が利用可能であり、細胞骨格、細胞質、細胞質膜、核、および他の独自の細胞成分を標識するために適切な剤は、組織学および細胞生物学の技術分野において周知である。
適切に処置された細胞を調製および撮像するための様々な技術が当技術分野において周知である(たとえば、米国特許第6,734,576号を参照されたい)。
それぞれの場合において、得られた画像は、対応する「画像パラメータ」として撮像されたマーカーを表すであろう。画像パラメータは、画像において示される光または放射線の強度の値であろう。しばしば、強度の値はピクセル毎に基づいて提供されるであろう。加えて、強度の値は、撮像されたマーカーに特異的に会合するイメージング剤の放出頻度に対応する特定の波長または狭い波長範囲で提供されてもよい。
時に、測定された強度に補正を行わなければならない。これは、染色および/または画像獲得技法および/または装置における変化により、画像間で強度の絶対値が多様となるためである。レンズ、フィルター、光子スプリッター、偏光子等などの様々な画像収集成分によって、特異的な光学的異常が導入されうる。多様性の他の原因は、励起光源、光学顕微鏡のための広帯域光源、検出器の検出特徴等によって導入される可能性がある。同じ画像の異なる領域でさえも、異なる特徴を有する可能性がある。たとえば、いくつかの光学エレメントは、「フラットフィールド」を提供しない。その結果、画像の中心付近のピクセルは、画像のエッジでのピクセルと比較して誇張された強度を有する。補正アルゴリズムを適用してこの効果を補償してもよい。そのようなアルゴリズムは、それらの撮像システムを用いて、使用される特定の光学システムおよびパラメータの組のために容易に開発することができる。単に所定の組の獲得パラメータ下でのシステムの応答を知る必要があるに過ぎない。
閾値設定の基礎となる概念は周知である。適切な閾値は、様々な技術によって計算される可能性がある。特異的態様において、閾値の値は、コントラストヒストグラムのモード(最高値)として選ばれる、この技術において、コントラストは、画像におけるピクセル毎に計算される。コントラストは、ピクセルとその近隣との強度の差であってもよい。次に、それぞれの強度の値(8バイトの画像において0〜255)に関して、平均コントラストを計算する。コントラストヒストグラムは、強度の関数として平均コントラストを提供する。閾値は、最大のコントラストを有する強度の値として選ばれる。"The Image Processing Handbook," Third Edition, John C. Russ 1999 CRC Press LLC IEEE Press、および"A Survey of Thresholding Techniques," P. K. Sahoo, S. Soltani and A. K. C. Wong, Computer Vision, Graphics, and Image Processing 41, 233-260 (1988)を参照されたい。1つの態様において、エッジの検出は、ガウスフィルターのラプラシアンによって画像をたたみ込むことを伴ってもよい。ゼロ交差をエッジ点で検出する。エッジ点を連結して閉じた輪郭を形成し、それによって該当する画像オブジェクトをセグメンテーションする。先に引用したThe Image Processing Handbookを参照されたい。本発明に従う核のセグメンテーションならびに関連する装置および技術に関するさらなる詳細は、同時係属中の特許出願第09/729,754号および第09/792,012号(出願公開第20020141631号)において記述されている。
デジタル画像は、当初の画像における細胞のセグメンテーションを達成するために、分水界技術を用いて互いに関連して処理されうる。分水界アルゴリズムの基礎となる概念は周知である。細胞の位相学は、様々な大きさのピークおよび谷として表すことができる。高いピークは、そこで谷が最終的に合流する点を表し;類推することによって、谷の底で泉(分水界の用語において「シード」と呼ばれる)から生じる大量の水が合流し、このように最終的な谷の境界を表す点であり、高いピークの頂部が「分水界」と呼ばれる。
本発明に従って用いるために適した適切な分水界アルゴリズムは、L. Vincent and P. Soille, Watersheds in digital spaces: an efficient algorithm based on immersion simulations, IEEE Transactions on Patter Analysis and Machine Intelligence, 13:583-589, 1991において詳細に記述されている。
何らかの点において、画像分析プロセスは、関心対象の生物学的条件に対して意味がある画像パラメータを得なければならない。典型的に、関心対象パラメータは、細胞画像のサイズ、形状、輪郭、および/または強度に関連する。分析のためのいくつかの特異的パラメータの例には、以下が含まれる:
総強度(オブジェクトにおけるピクセル強度の合計)
平均強度(オブジェクトにおける平均強度)
面積(オブジェクトにおけるピクセル数)
軸の比(適合させた楕円の軸の長さの比)
偏心率(楕円の中心から焦点までの距離)
ソリディティ(単純な形状によって取り囲まれたオブジェクト内部のピクセル対オブジェクト外部のピクセルの測定)
エクステント(オブジェクトを含有するために最小のボックスの面積によって除したオブジェクトの面積)
X座標(オブジェクトの中心のX座標)
Y座標(オブジェクトの中心のY座標)
形状因子(オブジェクトの外形の形状の特徴)
直径(オブジェクトと同じ面積を有する円の直径であるオブジェクトの相当直径)
モーメント(オブジェクトの内側のピクセルの分布も考慮に入れた、オブジェクトの外形の形状の特徴)。
これらの様々なパラメータおよび他のパラメータを抽出するための画像分析ルーチンは、周知の原理を用いて設計することができる。先に引用したThe Image Processing Handbookを参照されたい。加えて、様々な市販のツールが、適した抽出ルーチンを提供する。これらの産物のいくつかの例には、West Chester, Pa.に本部を置く企業であるUniversal Imaging Corporationによって提供されるMetaMorph Imaging System、およびFrederick, Mdに本部を置く企業であるScion Corporationによって提供されるNIH Imageが含まれる。
他の周知の技術は骨格化を使用し、オブジェクトの骨格からのエンドポイントおよびノードのコンピューター計算のための技術は周知である。たとえば、J. C. Russ, The Image Processing Handbook, CRC press, 1998を参照されたい。
一般的に、本発明の態様は、1つまたは複数のコンピューターシステムにおいて保存されたまたはコンピューターシステムを通して移されるデータを伴う様々なプロセスを使用する。本発明の態様はまた、これらの作動を行うための装置にも関する。この装置は、必要な目的のために特に構築されてもよく、またはコンピュータープログラムによって選択的に活性化もしくは型を変更された一般的な目的のコンピューター、および/またはコンピューターに保存されるデータ構造であってもよい。本明細書において提示されたプロセスは、任意の特定のコンピューターまたは他の装置に固有に関するものではない。特に、様々な汎用機器を、本明細書における教示に従って書かれたプログラムと共に用いてもよく、または必要な方法の段階を行うためにより特殊な装置を構築することはより簡便である可能性がある。多様なこれらの機器の特定の構造は、以下の説明から明らかとなるであろう。
加えて、本発明の態様は、様々なコンピューターによって履行される作動を行うためのプログラム説明書および/またはデータ(データ構造が含まれる)が含まれる、コンピューター読み取り可能な媒体またはコンピュータープログラム産物に関する。コンピューター読み取り可能な媒体の例には、ハードディスク、フロッピーディスク、および磁気テープなどの磁気媒体;CD-ROMディスクなどの光学媒体;磁気光学媒体;半導体記憶デバイス;ならびに読み取り専用記憶デバイス(ROM)およびランダムアクセスメモリ(RAM)などのプログラム命令を保存および行うように特に形作られるハードウェアデバイスが含まれるがこれらに限定されるわけではない。本発明のデータおよびプログラム命令はまた、搬送波または他の輸送媒体において具体化されてもよい。プログラム命令の例には、コンパイラーによって生成されるような機械語コード、およびインタープリターを用いてコンピューターによって実行される可能性がある高レベル暗号を含有するファイルの双方が含まれる。
以下の実施例は、本発明を説明するためであって、制限するためではないと意図される。
実施例
実施例1.制癌剤に曝露する前後における生細胞のアッセイ
EGFRキナーゼ阻害剤によって患者を処置する臨床試験において、典型的な前処置法によってプロファイルされた腫瘍は、EGFRキナーゼ経路に対する依存性に整合する分子徴候およびEGFRキナーゼ阻害剤に対する感受性に関する何らかの徴候を示すことが認められている。これらの知見にもかかわらず、患者の腫瘍のほとんどは初回の応答性にもかかわらず、処置に対して耐性であった。現在、この現象の理由は、EGFR経路に対する腫瘍の嗜癖を回避する1つまたは複数の逃避経路が存在することであると思われる。これを図1において図示する。
PTENの欠損または変異が耐性患者において一般的であることを示す知見により、この状態がEGFR依存性を回避して、EGFRキナーゼ経路阻害剤に対する耐性を引き起こすという仮説に至った。PTENは、PIP2をPIP3にリン酸化するPI3Kの効果に対するアンタゴニストである。高濃度のPIP3は、それら自身腫瘍細胞の増殖および細胞生存を促進することができるAkt/mTOR経路を駆動し、このPIP3蓄積はPTENが欠損している場合に容易となる。
腫瘍細胞の応答に関する本発明者らの特徴付けを用いると、EGFRキナーゼ阻害剤が、PTEN欠損細胞における細胞増殖、およびPTEN欠損によって誘導されるAkt/mTOR経路の活性な作動を停止させることができないこと、ならびにEGFRキナーゼ阻害剤が、PTENに富む細胞における細胞増殖、およびAkt/mTOR経路と共にこれらの状況を示す細胞株におけるEGFR阻害の耐性の誘導に関係する他の経路の不活性状態の中止に成功することが認められる可能性がある。
クラゲから最初に単離された緑色蛍光タンパク質(GFP)の変種を利用するインビボでのプロモーター活性の測定が開発されている。生物からクローニングされたプロモーターの転写制御下でGFPを含有する組み換え型プラスミドを作成する。この構築物は、生物から細胞に(または無傷の生物に)戻されるように送達され、プロモーター活性の定量可能なマーカーを提供する。定量的情報のほかに、蛍光タンパク質は、タンパク質の細胞内位置、およびそれらが改変されるとこれがどのように変化するかに関する情報を生じる。
蛍光タンパク質を、もう1つのタンパク質のアミノまたはカルボキシ末端に融合させることによって、細胞における融合タンパク質の分布を検査するために蛍光顕微鏡を用いることができる。至るところにおいて発現される蛍光タンパク質融合体、またはその細胞局在化および分布が、有糸分裂、もしくは脂質の局在的リン酸化などの特定の細胞プロセスに関する重要なマーカーである高分子に局在する、タンパク質ドメインでさえも作出することによって、細胞プロセスの誘導または低減が他の細胞プロセスにどのように効果を及ぼすかを示す動的報告書が得られる。
特定の刺激に対して多様な様式で応答することが知られている細胞を、低い密度で(20%コンフルエンス)バックサイド顕微鏡にとって適したマルチウェルプレートにおいて培養ウェルに分配する。それぞれの培養ウェルにおける細胞に、ウイルス粒子パッケージング/送達、化学、または電気穿孔法を用いて、特定のタイプのレポーター(プロモーターおよび/または局在化)をトランスフェクトする。
より低い効率を有する方法の場合、プロモーターおよびレポーターと同じベクターにおいて運ばれる選択可能な抗生物質耐性遺伝子に基づいて、安定な形質転換のために細胞集団を選択しなければならないであろう。次に、形質転換細胞を検査して、プロモーターレポーターの活性の基礎レベルおよび細胞局在化レポーターのベースライン分布を決定する。一連のベースライン測定を得た後、細胞を関心対象の刺激に供して、応答の詳細が捕らえられるように、十分に短い間隔(〜15分)でさらに一連の測定を行う。
次いで、画像データを分析して、プロモーターレポーターからの定量的情報および局在化プローブからのプロセスの関与情報を得る。異なる2つの蛍光チャンネルに関する2つの画像をそれぞれのウェルエレメント内の1つの領域から獲得する;たとえば、赤色のチャンネルは、核に関する生細胞染色として用いられるVybrant(登録商標)DyeCycle(商標)Orangeの染色(赤い蛍光タンパク質とのヒストン融合体も同様に用いることができる)のために用いられ、緑色はGFPレポーターシグナルのために用いられる。蛍光画像における細胞をセグメンテーションして、全ての個々の細胞領域を同定して、画像を分析して、それぞれの個々の細胞領域からの多数のパラメータを抽出する(最小値、最大値、平均値、中央値、および総蛍光強度が含まれる)。局在化レポーターの解釈は、モルフォロジーフィルターによって遂行されるか、または試験者によって直接解釈されてもよい。
プロモーター活性に関して査定される画像は、セグメンテーションされた細胞に関する各チャンネルにおける蛍光強度を測定するためのバイナリ画像マスクを作成するために、分水界に基づく多段階プロセスによって処理される。画像分析における段階は、以下のとおりである:(1)Vybrant(登録商標)DyeCycle(商標)Orange染色画像および緑色画像を、バイナリ画像を作成するために限局的に閾値設定する。(2)これらの2つのバイナリ画像を結合して、2つの閾値が合体したマージ画像を生成する。(3)緑色画像を分析して、緑色シグナル強度の勾配における等級を決定して、Vybrant(登録商標)DyeCycle(商標)Orange染色由来バイナリ画像をマーカーとして用いて、この緑色シグナルの谷における変曲点に分水界線を配置する。(4)次に段階2におけるマージされたバイナリ画像を、画像内のあらゆる細胞の正確な領域を位置特定および定義するために、分水界に供した緑色画像に結合させる。(5)部分的細胞およびノイズを差し引いて、マルチパラメトリックデータの抽出にとって適した完全にセグメンテーションされた画像を生成する。各画像における細胞集団の全体的な統計値の作成が含まれるマルチパラメトリックデータの統計分析を行って、局所バックグラウンドを計算して、全体的な統計値から差し引く。
プロモーター強度データを分析して、観察された挙動が検査されるプロセスを制御するために提唱されているネットワークと整合するか否かを決定する。挙動が一致して出現する程度に、このこれまでの知識を反映するモデルを作る。観察が公知のネットワークと矛盾している場合、観察と整合する新規ネットワークセグメントを生成するために修正が行われるであろう。
生物学的システムにおけるネットワーク構造および規則に基づいて最適な制御方針を設計するために多数の方法が設計されている。当初適用された方法は、経時的データに合わせて作られたこれらの方法の変化形であろう。
実施例2.プロモーターの応答の測定
特定の刺激によって実施される細胞プロセスおよび異なる細胞において実施されるプロセスにおける差を観察するために、1つまたは複数のプロモーターの応答が蛍光タンパク質発現によって追跡されるように実験を遂行した。
それぞれの関心対象プロモーターに関して、蛍光タンパク質のコード配列を特異的プロモーターの制御下に置く人工構築物を生成した。この例に関して、レンチウイルスシステム(Invitrogen Gateway pLenti6/R4R2/V5-DEST)が用いられ、これはプロモーターとレポーターの迅速なモジュール式の組み合わせアセンブリを許容する。EGR1(すなわち初期増殖応答1;SEQ ID NO:1)、MYC(v-myc骨髄球腫症ウイルス腫瘍遺伝子相同体;SEQ ID NO:2)、およびJUN(jun腫瘍遺伝子;SEQ ID NO:3)に関する遺伝子のプロモーター領域からの3つの配列を、正常なヒトDNAからPCR増幅によって回収して、pENTR(商標)5'-TOPO(Invitrogen)プラスミドに一定方向にクローニングした。蛍光レポータータンパク質、eGFP(enhanced green fluorescent protein;SEQ ID NO:4)をpCMV GIN-ZEO(Open Biosystems)から回収して、pENTR11(Invitrogen)プラスミドにクローニングした。レポーター構築物は、3つのプラスミドの組み換えによってアセンブルされた。1つのプラスミド(pENTR(商標)5'-TOPOプラスプロモーター配列)は、プロモーター配列を含有する。第二のプラスミド(pENTR11プラスレポーターコード配列)は、蛍光タンパク質コード配列を含有する。第3のプラスミド(pLenti6/R4R2/V5-DEST)は、標的細胞における染色体にプロモーターレポーターを送達するためのレンチウイルスのパッケージングおよび染色体組み込みシグナル、プロモーターにコード配列の転写を駆動させる形態においてプロモーターとコード配列とをアセンブルするために他の2つのプラスミドと組み換えを行わせる配列、ならびにそれに対してレポーターが送達される細胞を選択させる薬物ブラストシジンに対する耐性を付与する遺伝子を含有する。
得られた組み換えプラスミド産物を用いて、プロモーター応答に関してアッセイされる細胞にレポーター構築物を送達するために、レンチウイルス粒子としてレポーター構築物をパッケージングする効率を利用することができる。組み換えされたプラスミドおよびパッケージングのために必要な他のタンパク質を補給するヘルパープラスミドを293FT細胞株にトランスフェクトして、ほとんどの細胞において効率よく構築物を送達することができるウイルス粒子を生成する(Invitrogen, ViraPower(商標)II Lentiviral Gateway(登録商標)発現キット)。確立された後、これらのレポーターによる株を、様々な薬物および他の刺激に対するその応答に関してリアルタイムでモニターする。
本発明の例において、ヒト胎児腎細胞株HEK(ほぼ正常)および結腸癌細胞株HT29を用いて、血清枯渇期間の後の血清に対する新たな曝露期間に対するEGR1、MYC、およびJUNレポーターの応答に関してアッセイした。細胞の血清応答は典型的に、インビトロで細胞を培養するために用いられる培地の正常な構成成分の1つ、たとえばウシ胎児血清(FBS)を除去することによって特徴付けられる。FBSは、増殖因子に非常に富み、培養において細胞の生育を支持する。一般的に、細胞はFBSがなくとも数日間生きることができるが、それらは補助物質の非存在下では生育をやめて、最終的に死滅する。通常、血清を8〜16時間枯渇した後血清に再度曝露した細胞は、多数の「血清応答性」遺伝子の転写の急速な誘導を含むかなり特徴的な応答を有する(Iyer et al, Science (1999) 283(5398):83-87)。応答性遺伝子のこのファミリーの典型的なメンバーはEGR1である。この遺伝子のプロモーターは、記述されるレンチウイルスクローニングシステムにおいて、蛍光タンパク質eGFPの生成を駆動するように配置される。さらに、この同じ機構は、遺伝子JUNおよびMYCに関するプロモーターを駆動するが、これらの遺伝子は血清に対してより多様に応答する。EGR1、JUN、MYCは、全てそれら自身が転写因子であり、それによってさらに広範囲の段階的な転写変化を生成することができる。
96ウェル培養プレートにおけるプロモーターレポーターおよび対照細胞(プロモーターレポーターを有さない)の配置を以下のダイヤグラムに示す。
Figure 2010527237
設計は、枯渇および補充シリーズに関して各レポーターについて複製物4個および各非レポーター対照について複製物6個、ならびに持続的FBS曝露シリーズに関して各レポーターについて複製物2個および各非レポーターについて複製物4個を提供する。
細胞を撮像する前に、3種類の前処置を行った。細胞を、約6000個/ウェルで播種して、10%FBSを有する培地において30時間生育させた。プレートの列A〜CおよびD〜Fにおける細胞を全て、8時間の血清枯渇に供した。プレートの列G〜Hの細胞は枯渇させなかった。撮像の直前に、プレートの列A〜Cにおける細胞の培地を培地プラス20%FBSに変化させた。処置のクラスは、持続的FBS(G〜H)、FBS枯渇(D〜F)、およびFBS枯渇の後にFBS補充(A〜C)であった。InCell 3000自動レーザー励起共焦点撮像機器(General Electric)を用いて20分間隔でのウェルの撮像を、FBSの添加直後に開始した。緑色蛍光タンパク質、eGFPの生成に基づいて核の蛍光をモニターした。
各細胞における蛍光強度を得るために、画像を処理して必要な情報を抽出した。典型的な蛍光画像を図2に示す。核の蛍光の放射を記録するチャンネルからの強度の読みを暗い灰色で示す。eGFP蛍光放出を記録するチャンネルの強度を明るい灰色で示す。シグナル強度レベルおよび関心対象の細胞領域のモルフォロジーに基づく従来の画像処理法を適用して、アッセイされるプロモーターによって駆動されるeGFP生成の速さおよび変化の程度の性格付けを得る。
第一に核チャンネルを処理して、画像に存在する全ての核の位置を特定する。モルフォロジカルフィルター法、オープントップハット変換を画像に適用する。正常な核の大きさよりわずかに大きいサイズの丸いカーネルを選んで、核である可能性が低いオブジェクトを濾過して取り除く。トップハットセグメンテーション結果を、小さいカーネルによるモルフォロジカルオープニングによって研磨した後、小さいデブリを除去するために領域のオープニングを行う。個々の細胞をさらに個別にするために、分水界に基づくセグメンテーションを、研磨したトップハットセグメンテーション結果に適用し、なめらかな核チャンネル画像の極大をマーカーとして用いる。セグメンテーションされた結果を図3に示し、見やすくするために強度の値を無効にしている。
次に、eGFPチャンネルを処理する。第一に全体的な閾値を画像に適用して閾値より上の全てのシグナルを検出する。次に、ノイズを除去するために、閾値設定結果を2回のモルフォロジカルオープニングおよびクロージングによって研磨した後、領域のオープニングによって小さいデブリを除去する。個々の細胞をさらに個別にするために、分水界に基づくセグメンテーションを閾値設定結果に適用して、セグメンテーションされた核を細胞の存在のマーカーとして役立つようにする。セグメンテーション結果を図4に示し、より見やすくするために強度の値を逆にしている(暗色はより強く、明色はより弱い)。
セグメンテーションの結果は、eGFP蛍光のその関連する領域にそれぞれの核を自然に連鎖させる。平均的なeGFP強度の場合、総eGFP強度は、核の計数または任意の同等の測定値によって標準化する前に、最初に、バックグラウンド強度を差し引くべきである。
実験の過程において採取された全ての画像に関して平均eGFP強度を決定するためにこの分析を適用した後、HEKおよびHT29細胞のプロモーターレポーターを含有するバージョンと、無プロモーターレポーターバージョンの全てに関する実験の経過に対するこれらの値のプロットを準備した。これらを図5に示す。これらのグラフは、全ての場合について、該当する無プロモーターレポーター対照が、均一でゼロに近い(破線)eGFP蛍光レベルを示すことを示している。持続的に血清を枯渇した(欠乏させた)細胞は、全ての細胞タイプにわたって均一な不変の挙動を示す(灰色の線)。(機器によって採取された最初の点は、シリーズの最初の画像に対して特異的な機械的問題により何らかの変動性を有することに注意されたい)。持続的に生育する細胞は、eGFPの生成レベルを有さないか、または徐々に増加するレベルを有する(点線)。血清を枯渇した後、血清に再度曝露したHT29およびHEK細胞(黒い線)はいずれも、EGR1プロモーターに関して類似の応答を示し、予想されるようにeGFP生成は急速に上昇して安定に達する。MYCおよびJUNプロモーターを有するHT29およびHEK細胞は、血清枯渇に対するその応答にかなりの差を示した。HT29細胞は、eGFP生成の急速なより実質的な増加を有したが、HEK細胞は非常に中等度の徐々の上昇を有した。このことは、HEK細胞と比較してHT29細胞の増殖プロセスの活性化における細胞応答の有意に異なるパターンを示しており、本発明の技術が、細胞プロセスが特定の刺激に応答する様式を区別できることを示している。
本発明は、上記の実施例を参照して記述してきたが、改変および変化は本発明の趣旨および範囲に包含されると理解されるであろう。したがって、本発明は以下の特許請求の範囲によってのみ制限される。

Claims (26)

  1. 以下を含む、細胞プロセスの活性のタイプおよびレベルを決定するためのインサイチューの方法:
    a)モニターされる細胞プロセスが、少なくとも1つのベクターによって形質転換された少なくとも1つの非酵母真核細胞からのプロモーター活性および局在化レポーターの細胞分布に関して培養条件下で安定であるか否かを確認するのに十分な期間、時間間隔をおいてプロモーターの活性と局在化レポーターの分布の値を繰り返し決定する段階であって、少なくとも1つのベクターが以下を含む段階:
    i)プロモーターが第一の検出可能なマーカーに機能的に連結している、誘導型生物学的経路特異的プロモーターからなる少なくとも1つのカセット;および
    ii)第一の細胞内局在化レポーターをコードする核酸配列からなる少なくとも1つのカセット;
    b)形質転換された細胞を外部刺激に供する段階;および
    c)刺激に対する曝露に起因する細胞プロセスの段階的展開を追跡するのに十分な期間、時間間隔をおいて刺激に対する曝露後にプロモーターの活性および局在化レポーターの分布の値を繰り返し決定する段階であって、プロモーターの活性および/またはレポーター局在化の変化により、刺激による内因性の生物学的経路の調整が示される段階。
  2. 内因性の生物学的経路に関して観察されたプロセスと調節コンジット(conduit)とのあいだの接続をモデル化するために、公知の生化学経路に関して観察されたデータと、人造のネットワークの接続性およびプロセス調節に関するモデルデータの双方を用いて、時間間隔データを分析する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
  3. 決定する段階(a)が、形質転換された非酵母細胞のパネルにおいて、プロモーターの活性および局在化レポーターの分布の値を決定する段階を含む方法であって、それぞれの細胞が個別のおよび独自の経路特異的プロモーターを含む異なるベクターを含有し、それによって異なる細胞が、適用された刺激に対して個別のおよび独自の応答を示し、かつそれぞれの刺激によって開始される細胞のプロセスにおける差を、分離できかつ個別に分析することができる、請求項2記載の方法。
  4. 刺激によって開始される細胞プロセスによって、乱された細胞状態または乱されていない細胞状態が起こる尤度の増加または減少を示す制御戦略を定義するために、状態空間モデリングを適用する段階をさらに含む、請求項3記載の方法。
  5. 細胞増殖、細胞老化、および細胞死からなる群より選択されるアッセイエンドポイントを決定する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
  6. プロモーターが細胞に対して内因性または外因性である、請求項1記載の方法。
  7. ベクターがプラスミドベクターまたはウイルスベクターである、請求項1記載の方法。
  8. 検出可能なマーカーが蛍光タンパク質である、請求項1記載の方法。
  9. 蛍光タンパク質がルシフェラーゼまたは緑色蛍光タンパク質(GFP)である、請求項8記載の方法。
  10. パネルが細胞約10〜200個を含む、請求項1記載の方法。
  11. 生物学的経路が内因性または外因性のシグナル伝達経路である、請求項1記載の方法。
  12. 生物学的経路がPI3K/Akt/mTOR経路である、請求項11記載の方法。
  13. 細胞が非新生物細胞または新生物細胞である、請求項1記載の方法。
  14. 局在化レポーターが細胞膜の内側、核、ゴルジ体、ミトコンドリア、小胞体に転位置されるか、細胞質中に隔離されるか、またはその組み合わせである、請求項1記載の方法。
  15. 値を決定する段階が、画像分析によって達成される、請求項1記載の方法。
  16. 画像分析が、数学的モルフォロジーセグメンテーションを含む、請求項15記載の方法。
  17. セグメンテーションが以下を含む、請求項16記載の方法:
    a)パネルの細胞を生細胞染色する段階;
    b)限局的に閾値設定されたバイナリ画像として生細胞染色および蛍光からの個別のシグナルの位置を特定する段階;
    c)バイナリシグナルを結合して、閾値設定されたバイナリ画像を含む第一のマージ画像を生成する段階;
    d)蛍光シグナルによって作成された谷における変曲点にマーカー線を配置して、第二の画像を生成する段階;および
    e)第一のマージ画像を第二の画像に結合させる段階。
  18. 数学的モルフォロジーセグメンテーションが分水界(watershed)によって達成される、請求項17記載の方法。
  19. 段階(e)から得たプロモーター活性データを、公知の生化学経路に関して観察されたモデルデータと比較する段階、および公知の経路からのモデルデータとアッセイデータから得られたデータとのあいだの任意の分散を修正する段階をさらに含む、請求項17記載の方法。
  20. 請求項19記載の方法によって作成されたモデル。
  21. 外部刺激が、化学的剤または物理的剤に対する曝露である、請求項1記載の方法。
  22. 化学的剤が、ペプチド、タンパク質、核酸、細菌、ウイルス、ホルモン、有機低分子、無機分子、金属、有機金属コンジュゲート、抗原、抗体、ケモカイン、サイトカイン、炭水化物、脂質、またはビタミンである、請求項21記載の方法。
  23. 物理的剤が、熱、光、圧力、磁場、X-線照射、または非熱マイクロ波照射である、請求項21記載の方法。
  24. スクリーニング法がマイクロアレイフォーマットで行われる、請求項1記載の方法。
  25. 細胞パネルが少なくとも1つの非ヒト哺乳動物細胞を含む、請求項1記載の方法。
  26. 細胞パネルが少なくとも1つのヒト細胞を含む、請求項1記載の方法。
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