無線通信ネットワークは元来、音声サービスを回線交換ネットワークを介して提供するために主として開発された。パケット交換サービスを、例えば所謂2.5Gネットワーク及び3Gネットワークに導入することにより、ネットワーク事業者は、データサービスだけでなく音声サービスを提供することができるようになった。最終的に、ネットワークアーキテクチャは、音声サービス及びデータサービスの両方を提供するオールIPネットワークの発展を目指すことになる。しかしながら、ネットワーク事業者は、莫大な投資を既存のインフラストラクチャに対して行なっているので、通常、オールIPネットワークアーキテクチャへの段階的な移行を選択して、これらの事業者が十分大きな価値を、既存のインフラストラクチャに対する事業者による投資から得られるようにする。次世代の無線通信アプリケーションをサポートするために必要な能力を、従来のインフラストラクチャを同時に使用しながら実現するために、ネットワーク事業者は、ハイブリッドネットワークを展開する予定であり、このハイブリッドネットワークでは、次世代無線通信システムを既存の回線交換ネットワーク上に、またはパケット交換ネットワーク上に、オールIPネットワークへの移行における第1段階として重畳させる。
このようなハイブリッドネットワークの一つの例として、高レートパケットデータ(high rate packet data:HRPD)システムのような既存の3GPP2無線通信システムを挙げることができ、このHRPDシステムに、次世代「長期エボリューション(long term evolution:LTE)」システムを重畳させる。この技術分野の当業者であれば理解することができることであるが、HRPDシステムは、多くの異なる名称または頭字語により表記されることがある。例えば、HRPDシステムは、「高レートデータ」(high rate data:HRD)システムと表記されていることがある、またはTIA−EIA(アメリカ電気通信工業会/アメリカ電子工業会)が推奨する、これらのHRPDシステムの無線インターフェース規格、すなわちIS−856を参考にして表記されていることがある。cdma2000(登録商標)高レートパケットデータ無線インターフェース仕様(2000)’という名称が付与され、かつWWW.tiaonline.orgで、オンラインで参照できるIS−856規格は、本明細書において参照されることにより本明細書に組み込まれる。また、HRPDシステムは、符号分割多重アクセス(CDMA)方式を使用し、かつCDMA2000から進化しているので、これらのHRPDシステムは、CDMA2000の「EVolution, Data−Only(エボリューション、データ−オンリー)」バージョンを意味する「1xEV−DO」システムとも表記されることがある。同様に、LTEシステムは、例えば性能向上を実現するように構成される次世代(4G)広帯域CDMA(WCDMA)システムを指す。未だ完全には規格化されていないが、LTEシステムは最終的に、例えばwww.3gpp.orgで、オンラインで参照できる3GPP TR 25.913を見れば分かるUMTS規格の新バージョンに従って設計されることになる。LTEシステムが目指す性能目標として現時点では、例えば5MHzセル当たり200件のアクティブコール、及び小規模IPパケットに関する5ms以下の遅れに対するサポートを挙げることができる。
LTEシステムをHRPDシステムに重畳させる場合、種々のタイプのシステム間相互運用性が望ましく、これらのシステム間相互運用性のうちの一つがハンドオフまたはハンドオーバーである。システム間ハンドオフは、例えばモバイルユニット、例えば第1無線通信システムが現在サポートしている携帯電話機、無線PDA、またはラップトップを、第2無線通信システムによるサポートに移行させるプロセスを指す。本出願の背景として、図1に概念を示しているように、注目するシステム間ハンドオフでは、ユーザ機器(UE)10、例えばモバイルシステムに対する通信サポートをLTEアクセスネットワーク30からHRPDアクセスネットワーク20に移行させる、または逆方向に移行させる。このようなハンドオフは、種々の理由により行なわれる可能性がある。例えば、LTEアクセスネットワーク30との接続を現在利用しているUE10は、当該UEがHRPDアクセスネットワーク20との接続を、より良好な状態で利用することができる地理的領域に移動してしまう可能性がある。別の構成として、システム間ハンドオフは、HRPDアクセスネットワーク20とLTEアクセスネットワーク30との間の負荷バランスをとるために行なうことができる。
ハンドオフに関する特定の理由に関係なく、種々のシグナリングを行なって、モバイルユニット10に対するサポート責任に関して、LTEアクセスネットワーク30からの移行、またはLTEアクセスネットワーク30への移行を完了させる必要がある。この適用形態において特に重要なのは、LTEアクセスネットワーク30からHRPDアクセスネットワーク20へのUE10のハンドオフの前に起こり得る事前登録プロセス(及び、他の関連プロセス、例えば再登録プロセス及び登録解除プロセス)に関連するシグナリングである。しかしながら、事前登録によって、ハンドオフが当該事前登録の終了前に完了しない場合においては、休止セッションまたは「ゴースト」セッションが通常発生し、これによって、無線通信システムリソースが無駄に消費される可能性がある。
従って、本明細書において説明される例示的な実施形態は、例えばLTEアクセスネットワーク30からHRPDアクセスネットワーク20へのUE10のハンドオーバープロセスに関連する休止セッションの確立を制御する方法及びシステムに対する要求を解決する。
本発明によるシステム及び方法はこの要求及び他の要求を、ユーザ機器(UE)が、例えば長期エボリューション(LTE)アクセスネットワークから高レートパケットデータ(HRPD)アクセスネットワークにハンドオーバーするときのプロセスに関連する休止セッションの回数を減らす方法を提供することにより解決する。
例示的な実施形態によれば、長期エボリューション(LTE)無線アクセスネットワーク(RAN)から高レートパケットデータ(HRPD)RANへのユーザ機器(UE)のハンドオーバーに関連する開始メッセージを通信ノードによって選択的に送信する方法は:入力を前記通信ノードで受信するステップと;受信した前記入力に基づいて、前記開始メッセージを送信すべきかどうかを判断するステップと;事前登録メッセージ、再登録メッセージ、及び登録解除メッセージのうちの1つのメッセージであり、かつ隣接リスト、UE位置、及びUE状態を含む前記開始メッセージを前記判断に基づいて選択的に送信するステップを含む。
別の例示的な実施形態によれば、メッセージを、長期エボリューション(LTE)無線アクセスネットワーク(RAN)と通信するユーザ機器(UE)から選択的に送信する方法は:事前登録開始メッセージ、再登録開始メッセージ、及び登録解除開始メッセージのうちの1つのメッセージである開始メッセージを受信するステップと;受信した前記開始メッセージに基づいて、事前登録、再登録、及び登録解除のうちの1つを実行すると決定するステップと;少なくとも1つのメッセージを、決定する前記ステップに基づいて選択的に送信するステップを含む。
更に別の例示的な実施形態によれば、長期エボリューション(LTE)無線アクセスネットワーク(RAN)から高レートパケットデータ(HRPD)RANへのユーザ機器(UE)のハンドオーバーに関連する開始メッセージを通信ノードによって送信する方法は:事前登録開始メッセージ、再登録開始メッセージ、及び登録解除開始メッセージのうちの1つのメッセージであり、かつ隣接リスト、UE位置、及びUE状態を含む開始メッセージを受信するステップと;メッセージを前記UEに対して送信するステップを含む。
更に別の例示的な実施形態によれば、通信ノードは:入力を受信する通信インターフェースと;前記入力を保存するメモリと;前記入力に基づいて、開始メッセージを送信すべきかどうかを判断するプロセッサを備え、前記通信ノードは、前記開始メッセージを選択的に送信し、更に、前記開始メッセージは、事前登録開始メッセージ、再登録開始メッセージ、及び登録解除開始メッセージのうちの1つのメッセージであり、かつ隣接リスト、ユーザ機器(UE)位置、及びUE状態を含む。
添付の図面は、本発明の例示的な実施形態を示している。
例示的な実施形態に関する以下の詳細な記述では、添付の図面を参照する。異なる図面における同じ参照番号は、同じ、または同様の構成要素を指す。また、以下の詳細な記述は、本発明を制限するものではない。そうではなく、本発明の範囲は添付の請求項により規定される。
上に述べたように、LTEアクセスネットワークとHRPDアクセスネットワークとの間の接続をハンドオフする機構及び方法を実現することが望ましい。従って、この説明に関する幾つかの背景を提供するために、HRPD(3GPP2)アクセスネットワーク202、及びLTEアクセスネットワーク204の両方を含む例示的なハイブリッドシステム200を図2(a)及び2(b)として提示し、そして以下に説明する。一般性を持たせるために、そして以下のハンドオフの説明を容易にするために、ハイブリッドシステム200は、ホームパブリックランドモバイルネットワーク(HPLMN)206、及び訪問パブリックランドモバイルネットワーク(VPLMN)208の両方のネットワークだけでなく、無線ネットワークの接続先の種々のIPネットワーク210(例えば、インターネットを含む)を含む。各アクセスネットワーク202及び204は、多くの基地局213及び212をそれぞれ、図2(b)から分かるように含むことにより、無線インターフェース216及び218をそれぞれ介してのユーザ機器(UE)214との無線接続を可能にし、これらの無線インターフェースは、それぞれのアクセスネットワークに対応して個々に指定される。更に詳細には、無線インターフェース216は、参照組み込みされる上のIS−856規格により指定され、そして未だ完全には規格化されていない無線インターフェース218は、例えば直交周波数分割多重アクセス(OFDMA)ダウンリンク、及びシングルキャリア周波数分割多重アクセス(SC−FDMA)アップリンクを含むと考えられる。特に、HRPD基地局206は通常、「アクセスノード」(ANs)と表記されるのに対し、LTE基地局206は通常、「進化ノードB(eNBs)」と表記される。無線アクセスネットワーク202及び204は、基地局206の他に、図を簡易化するために図2(a)及び2(b)には示していないパケット制御機能(PCFs)のような他の機能エンティティを含むことができる。
図2(a)に戻ってこの図を参照すると、HRPDアクセスネットワーク202及びLTEアクセスネットワーク204の両方の構成要素は、この例示的な実施形態によれば、統合システムアーキテクチャエボリューション(SAE)ゲートウェイ(GW)−ユーザプレーンエンティティ(UPE)/PDSN220に接続される。PDSN(パケットデータサービングノード)形態の要素220はHRPD要素を指し、このHRPD要素は、IPネットワーク210を無線アクセスネットワーク202にA10/A11インターフェースまたは基準ポイントを介して相互接続するだけでなく、ハイブリッドシステム200のHRPD部分の他のPDSN(図示せず)との相互接続を可能にする。ハイブリッドネットワーク200のHRPD部分に接続され、かつ図2(a)に示すAインターフェース/基準ポイントは、例えばwww.tiaonline.orgで参照できるTIA−878−A(A.S0008)規格及びTIA−1878−A(A.S0009)規格に指定され、これらの規格の開示内容は、本明細書において参照されることにより本明細書に組み込まれる。更に、PDSN形態の要素220はS7インターフェースを介して、ポリシー制御決定及びフローベース課金制御に関連する義務を履行するポリシー及び課金ルール機能(PCRF)232と通信する。
同様に、SAE GW−UPE形態の要素220はLTE要素を指し、このLTE要素は、IPネットワーク210を無線アクセスネットワーク204にS1インターフェース及びSGiインターフェースを介して相互接続するだけでなく、ハイブリッドシステム200のLTE部分の他のSAE GW、例えばホームゲートウェイ222との相互接続を可能にする。ハイブリッドネットワーク200のLTE部分に接続され、かつ図2(a)に示すSインターフェース/基準ポイントは、例えば規格書3GPP TS23.402に指定される。更に、SAE GW−UPE/PDSN220及びSAE GW223は、統合ホーム加入者サービス(HSS)/認証、認可、課金(AAA)サーバ224及び226にそれぞれ接続され、これらのAAAサーバは、加入者に関連するデータを保存し、かつ当該データを使用して、ハンドオフに関連して以下に説明する幾つかのサービスを含む種々のサービスを提供するレポジトリである。
モビリティ管理エンティティ(MME)228はLTEシステムエンティティであり、このLTEシステムエンティティは、eNB212への呼び出しメッセージの配信を管理し、そして以下に説明する例示的な実施形態による事前登録及びハンドオフシグナリングにも関与する。更に、例示的な実施形態によれば、MME228は、同じ場所に配置される休止セッション管理機能(DSMF)230を有することができ、このDSMF230は、LTE RAN204からHRPD RAN202へのUE10のハンドオフのサポートに使用される。例示的な実施形態によれば、DSMF230は、LTE RAN204からHRPD RAN202へのUE214のハンドオーバーに関連する事前登録の開始、再登録の開始、及び登録解除の開始のような種々のアクティビティを開始する役割を担い、これらのアクティビティについては以下に更に詳細に説明する。更に、事前登録、登録解除、及び再登録を使用して、DSMF230は、不必要な登録を制限し、既存の登録をUE214がLTE RAN204内を移動しているときに維持し、そしてUE214の位置のHRPD RAN202を必要に応じて更新することができる。
図2(a)及び2(b)に示す例示的なハイブリッドシステムアーキテクチャは単なる例示に過ぎず、かつ以下の例示的な実施形態は他のアーキテクチャに適用することができることを理解されたい。例えば、例示的なハイブリッドネットワーク200は、対応するLTEシステム要素に統合されている幾つかのHRPDシステム要素を示すとともに、これは必要ではないが、DSMF230がMME228と同じ場所に配置されるものとして示されるが、DSMF230は別の場所に、スタンドアローンノードとして配置することができる、または異なるノード、例えばeNB212と同じ場所に配置することができる。実際、以下の幾つかの例示的な実施形態では、図2(a)に示す統合SAE GW/PDSNを有するアーキテクチャに関連するハンドオフについて説明しているが、他の例示的な実施形態では、これらの要素が分離されているアーキテクチャを明示的に取り入れることができる。
図2(a)及び2(b)に示す上述の例示的なハイブリッドシステムアーキテクチャを使用して、LTE RAN204からHRPD RAN202へのUE214のハンドオフについて概要を以下に、図3に示すシグナリング図を参照しながら説明する。まず、UE214はMME(モビリティ管理エンティティ)228に登録する、または進行中のデータセッションにブロック302に示すように参加する。ブロック304に示すように、UE214が決定を下してHRPD RAN202に、受信した開始メッセージに基づいて事前登録する。以下に説明するように、例示的な実施形態によれば、事前登録の開始は、DSMF(休止セッション管理機能)230によって行なわれる。この事前登録プロセスによって、UE214は、LTE RAN204との接続をずっと維持し続けながら、休止セッションをHRPD RAN202において、ネットワーク機能が制御する方法で確立させ、そして維持することができる。
事前登録すると決定した後、UE214は、HRPDリクエストメッセージ306を生成し、そして当該UEの現在のeNB212に送信し、このeNB212が、SectorIDが付与されたHRPDリクエストメッセージ情報をメッセージ308に載せてMME228に転送する。次に、MME228は、情報S101のセッションID、SectorID及びHRPD登録メッセージを含む直接移行メッセージ310をHRPD RAN202のアクセスノードに転送する。直接移行メッセージ310を受信すると、HRPD RAN202は、UE214を登録するためのステップ、例えば認証(Authentication)312、及びゲートウェイ制御セッション確立314を必要に応じて実行する。更に、この汎用時間フレーム中に、HRPDコンテキスト確立316が、HRPD RAN202とUE214との間で行なわれ、この場合、メッセージが、情報を必要に応じて抽出するMME228及びeNB212を通過する。現在、UE214に関して事前登録が行なわれ、かつハンドオーバーが行なわれない場合、不必要に無線通信システムリソースを拘束する休止セッションが発生する。事前登録のプロセスでは、HRPD RAN202との初期UE214コンテキストを確立することができ、この初期UE214コンテキストは、IPアドレスの獲得、セキュリティ条件、能力問い合わせなどに関連する多数のステップを含むことができる。次に、上述のアーキテクチャを使用する例示的なシステム及び方法を、LTE RAN204からHRPD RAN202へのハンドオフが起ころうとしている状況のハンドオフに関与する場合に、UE214に関連する事前登録、再登録、及び登録解除を、休止セッションの発生を減らすことができる方法で制御することに関して説明する。
例示的な実施形態によれば、UE214がMME(モビリティ管理エンティティ)228に登録される、または進行中のデータセッションに参加する場合、UE214がHRPD RAN202に事前登録する決定は、受信する事前登録開始メッセージに基づいて行なわれる。事前登録に関する開始メッセージをUE214に送信する決定は、DSMF230によって、受信する異なる入力に基づいて行なわれる。DSMF230が、事前登録イニシエータ(pre−registration initiator)をUE214に送信する決定に使用することができる幾つかの例示的な入力として、これらには制限されないが、UE214からeNB212送信される複数の測定値を挙げることができ、このeNB212が測定値情報、例えば信号強度、送信元テクノロジーの信号品質、宛先テクノロジーの信号品質、チャネル品質、送信元eNBからの距離、パケット、ブロックまたはフレームエラーレート、搬送波強度、または事業者ネットワークからのMME228/DSMF230入力、例えば事前構成命令に対する他の信号品質測定値、通信経路の現在のeNB212によって認識されるUE214状態、宛先ネットワーク条件、UE214位置などを転送する。DSMF230が事前登録イニシエータをUE214に送信すべき時点を判断するために使用する入力群の幾つかの例示的な組み合わせについて説明する前に、これらの開始メッセージに関与し、かつこれらのメッセージが実行される場合の通信ノードを示すシグナリング図について次に、図4(a)を参照しながら説明する。
まず、DSMF230は、ブロック402から分かるように、UE214が特定のHRPD RAN202に事前登録する必要があると判断する。次に、DSMF230は、隣接リスト、UE214位置、及びUE214状態、例えば休止状態またはアクティブ状態を含むことができ、かつUE214に指示して、指定されたHRPD RAN202への事前登録を行なわせるメッセージ404をMME228に送信する。MME228は、メッセージ404に含まれる情報を使用し、そしてメッセージ406に載せて命令を送信することにより、UE214に指示して、指定されたHRPD RAN202への事前登録を行なわせる。eNB212は、メッセージ406をMME228から受信し、そして命令をUE214にメッセージ408に載せて転送する。メッセージ408を受信すると、UE214は、指定されたHRPD RAN202への事前登録をブロック410に示すように、例えば図3に示すシグナリングを使用して行なう。同様のシグナリングフローは、DSMF230がメッセージを送信して、UE214にHRPD RAN202に対する再登録または登録解除の実行を他の例示的な実施形態に従って、以下に説明するように開始させる場合にも使用される。
上述の例示的なシグナリングを、既に受信している入力と併せて使用して、DSMF230は、開始メッセージをUE214に対して(MME228及びeNB212を介して)発行して、事前登録、再登録、及び登録解除を異なる環境下で行なわせることができる。例えば、種々の事前登録形態に従って、DSMF230は、UE214がLTE_ACTIVEモードである場合、例えば進行中のデータセッションに参加し、かつHRPD RAN(無線アクセスネットワーク)202との接続が行なわれている場合に、開始メッセージをUE214に対して発行して、事前登録を第1の例示的な事例において行なわせることができる。この例示的な事例においては、DSMF230は、事前登録を開始すると決定するが、その理由は、LTE RAN204との接続状態がHRPD RAN202との接続状態ほどには良好ではないからである、または別の構成として、LTE RAN204のチャネル品質が所望レベル以下であるからである。DSMF230は、当該機能による決定を通知して、このUE214に関する事前登録を、HRPD RAN202に接続される隣接アクセスノード(AN)をMME228へのメッセージに載せる(またはメッセージから削除する)ことにより開始させる(または、開始させない)。
第2の例示的な事例においては、所定のUE214に関する事前登録を開始させるためのDSMF230による決定は、事業者によって構成することが可能なパラメータ群を比較し、そしてこれらのパラメータを受信情報、例えばUE214からの測定値、及び/又はUE214がHRPD RAN202による接続範囲に移動する(または、接続範囲の境界に近付く)時点に関するタイミングと比較することにより行なわれる。第3の例示的な事例においては、UE214が新規セルに移動する場合、例えば新規のeNB(進化ノードB)212に移動し、これによってUE214が或る場所に位置することになり、この場所では、更に移動するためにHRPD RAN202へのハンドオフを引き起こすように要求することができる場合、DSMF230は次に、当該UE214の事前登録を開始することができる。別の構成として、事前登録はDSMF230によって、UE214の能力、例えば最大ビットレートに基づいて、またはUE214が現在使用しているサービスに基づいて開始することができる。
事前登録を制御する他に、他の例示的な実施形態によれば、DSMF230はUE214の再登録を種々の環境下で開始することができる。第1の例示的な事例においては、UE214がLTE_ACTIVEモードであり、かつゾーンを変更してしまう場合、DSMF230は再登録を要求することができる。これは、DSMF230がUE214に(MME228及びeNB212を介して)ゾーンの変更を通知し、それに続いてUE214が新規のユニキャストアクセス端末識別子(UATI)を取得することにより行なわれる。セッション合意が行なわれると、例えば再登録が新規ゾーンにおいて行なわれると、PCF(パケット制御機能)はPDSN220にUE214の新規位置を通知する。ゾーンを変更してしまうときに、PDSN(パケットデータサービングノード)220が変化しなかった場合、PDSN220は通常、A10接続を解除し、そして古いAN/PCFに対して既に行なわれている登録を解除する。PDSN220が変化した場合、DSMF230は通常、以下に更に詳細に説明する古いAN/PCF及びPDSNに対する登録解除を開始する。第2の例示的な事例においては、DSMF230は、UE214が休止セッションを非常に長い期間に亘って、例えば事業者が事前に定義する休止期間に亘って有していた場合に、再登録を要求することができる。更に、長期休止セッションのこの事例では、ネットワークセキュリティ条件として、UE214がこのネットワークに入る権限があることを立証するために再登録を要求することができる。
上述のように、事前登録開始メッセージ及び再登録開始メッセージを、ポイントツーポイントシグナリングとしてUE214に対して送信されるものとして説明してきた。他の例示的な実施形態によれば、これらの事前登録メッセージ及び再登録メッセージは、別の構成として、ブロードキャストメッセージとして送出することができる。例えば、UE214が新規セルに移動して、UE214が更に移動するためには、HRPD RAN202へのハンドオフが必ず必要になる場合、新規セルに接続されるDSMF230は、事前登録または再登録を要求するブロードキャストメッセージを送出することができる。これにより、新規セルエリア内の全てのUE214に通知して、事前登録または再登録を必要に応じて行なわせる。
他の例示的な実施形態によれば、DSMF230はUE214の登録解除を種々の事例において開始することができる。本明細書において使用する登録解除(de−registration)とは、UE214が、HRPD RAN202に接続される要素群、例えばAN/PCF及びPDSNとの当該UE自体の接続を解除して無線通信リソースを、休止セッションを終了させることにより開放することを意味する。第1の例示的な事例においては、登録解除はDSMF230がUE214に関して、UE214がゾーン及びPDSN(パケットデータサービスノード)を変更してしまうことによって再登録が上に説明したように要求されている場合に開始することができる。第2の例示的な事例によれば、UE214がHRPD RAN202による接続範囲から離れて移動する場合、DSMF230は、UE214の登録解除を開始することができる。この事例においては、DSMF230はUE214に通知して登録解除を、メッセージ内の隣接リストからHRPD隣接リストを、DSMF230からの図4に関連して上に説明したシグナリングに従って削除することにより行なわせる。第3の例示的な事例によれば、UE214がLTE_DETACHモードに移行すると、DSMF230は登録解除を開始する。第4の例示的な事例によれば、UE214がLTE_IDLEモードになると、DSMF230は任意に、登録解除イニシエータをUE214に送信すると判断することができるが、一旦、UE214がHRPD RAN202による接続範囲から離れて移動すると、登録解除を上に説明したように行なう必要がある。
上述の例示的な実施形態について、DSMF230がMME228と同じ場所に配置される(図4(a)の破線で示すように)ものとして、またはMME228と直接通信する個別ノードであるものとして説明してきた。別の例示的な実施形態によれば、DSMF230はeNB212と同じ場所に配置することができる。この例示的な実施形態に対応する例示的なシグナリングフローを図4(b)に示す。まず、DSMF230は、ブロック402から分かるように、UE214が特定のHRPD RAN202に事前登録する必要があると判断する。次に、DSMF230は、隣接リスト、UE214位置、及びUE214の状態、例えば休止状態またはアクティブ状態を含むことができ、かつUE214に指示して、指定されたHRPD RAN202への事前登録を行なわせるメッセージ412をeNB212に送信する。次に、eNB212はメッセージ416をUE214に送信する。メッセージ416を受信すると、UE214は、指定されたHRPD RAN202への事前登録をブロック418に示すように、例えば図3に示すシグナリングを使用して行なう。同様のシグナリングフローはまた、DSMF230がメッセージを送信して、UE214にHRPD RAN202に対する再登録または登録解除の実行を、上に既に説明した他の例示的な実施形態に従って開始させる場合に使用される。
上に説明した例示的な実施形態は、事前登録、再登録、及び登録解除をUE214に関して、DSMF230による判断に従って開始する方法を示している。次に、事前登録、再登録、及び登録解除を開始することができる例示的な通信ノード500について図5を参照しながら説明する。通信ノード500はプロセッサ502(または、複数のプロセッサコア)と、メモリ504と、一つ以上の補助記憶装置506と、ソフトウェアアプリケーション(または、複数のアプリケーション)508と、そして通信ノード500とネットワークの残りの部分との間の通信を容易にするインターフェースユニット510を含むことができる。メモリは、種々のUE214に関連する情報のような上述の例示的なアイテムだけでなく、事前構成済事業者パラメータまたは事前構成命令を保存するために使用することができる。従って、例示的な実施形態による通信ノード500は、DSMF230の機能を実行することができ、そしてプロセッサ、メモリ、及びソフトウェアアプリケーション(群)を含むことにより、事前登録、再登録、及び登録解除を開始すべき時点を判断し、そして次に、メッセージをUE214に上述のように送信することにより開始することができる。
例示的な実施形態による上述の例示的な手法及びシステムを利用して、開始メッセージを選択的に送信する方法を図6のフローチャートに示す。まず、長期エボリューション(LTE)無線アクセスネットワーク(RAN)から高レートパケットデータ(HRPD)RANへのユーザ機器(UE)のハンドオーバーに関連する開始メッセージを通信ノードによって送信する方法では:入力を通信ノードでステップ602で受信し;受信した入力に基づいて、開始メッセージを送信すべきかどうかをステップ604で判断し;そして事前登録メッセージ、再登録メッセージ、及び登録解除メッセージのうちの1つのメッセージであり、かつ隣接リスト、UE位置、及びUE状態を含む開始メッセージをUEに対してステップ606で当該判断に基づいて選択的に送信する。
同様に、メッセージをLTE RANと通信するUEから選択的に送信する例示的な方法は、図7に示すステップを含むことができる。当該方法では、ステップ700において、事前登録開始メッセージ、再登録開始メッセージ、及び登録解除開始メッセージのうちの1つのメッセージである開始メッセージを受信する。ステップ702では、受信した開始メッセージに基づいて、事前登録、再登録、及び登録解除のうちの1つを実行すると決定する。次に、ステップ704では、少なくとも1つのメッセージを、決定する前記ステップに基づいて選択的に送信する。図8のフローチャートには、LTE RANからHRPD RANへのUEのハンドオーバーに関連する開始メッセージを送信する例示的な方法が示される。当該方法では、ステップ800において、事前登録開始メッセージ、再登録開始メッセージ、及び登録解除開始メッセージのうちの1つのメッセージであり、かつ隣接リスト、UE位置、及びUE状態を含む開始メッセージを受信する。次に、ステップ802では、メッセージをUEに対して送信する。
上述の例示的な実施形態は、本発明を全ての態様で例示するために提示されるのであり、本発明を制限するために提示されるのではない。従って、本発明では、多くの変更が詳細な実施形態において可能であり、これらの変更は、この技術分野の当業者によって、本明細書に含まれる記述から想到し得るものである。全てのこのような変更及び変形は、以下の請求項に規定される本発明の範囲及び思想に含まれるべきものであると考えられる。本出願の記述に使用される要素、作用、または命令はいずれも、明示的にそのようなものとして記述されていない限り、本発明にとって必須である、または基本的であると解釈されるべきではない。また、本明細書において使用するように、冠詞「a」は1つ以上のアイテムを含むものとする。