JP2010521183A - スクリーニング法 - Google Patents

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Abstract

i)候補分子とアッセイ細胞を組み合わせる工程;およびii)対照と比較して分子の存在下でのアッセイ細胞の生存の変化を決定する工程、を含む、細胞のアポトーシスを減少させる分子についてのスクリーニング法を提供する。一つの態様において、アッセイ細胞は、工程i)およびii)の前に、または工程i)とii)の間に、アポトーシス誘導剤で処理される。一例において、処理剤は、Bcl xLまたはMcl1のようなBcl-2タンパク質ファミリーの生存促進性メンバーのレベルまたは活性を低下させる。もう一つの態様において、Bcl-2ファミリーの少なくとも1種の生存促進性メンバーのレベルまたは活性が、工程i)の細胞において低下させられる。いくつかの態様において、これは、候補分子またはアポトーシス促進剤のいずれの効果とも独立している。アッセイ細胞における1種または複数種の生存促進性Bcl-2タンパク質ファミリーメンバーのレベルまたは活性を低下させることによって、細胞は、候補分子によって救済されない限り、とりわけBakもしくはBax、またはBakおよびBaxにより媒介されるアポトーシスを受けるであろう。

Description

分野
本発明は、アポトーシスおよびBcl-2タンパク質ファミリーに関する。特に、本発明は、細胞生存ならびに/またはアポトーシスならびに/またはBcl-2タンパク質ファミリーメンバーのレベルおよび/もしくは活性をモジュレートする分子についてスクリーニングする方法に関する。
背景
本明細書において著者らによって参照された刊行物の参考文献詳細は、説明の最後にまとめられている。
本明細書における従来の刊行物(もしくはそれに由来する情報)または公知物の参照は、その従来の刊行物(もしくはそれに由来する情報)または公知物が、本明細書が関する努力の分野における一般的な一般知識の一部を形成するという認識または承認または何からの型の示唆ではなく、そのように解釈されるべきではない。
多細胞生物の生存は、様々な細胞型の正確で、かつ調和のとれた機能に依る。初期発生段階の間、生物の生存性は、様々な組織における細胞の選択および分化に依る。後期には、生物の維持は、特別の細胞の適応性を必要とする。例として、血球は、血液前駆細胞から絶えず再生されている。リンパ球または生殖細胞は、即時の必要性に応答して急激な増大を示す。他方、神経細胞は、限定された再生能を示し、多くのニューロンが個体の一生を通して生存し、持続する。各細胞型に関して、細胞数の制御は、細胞増殖と細胞死との間のバランスの結果である。
細胞死の一つの過程はアポトーシスである。アポトーシスまたはプログラム細胞死は、傷害を受けた細胞、望まれない細胞、または不必要な細胞を処分するための生物の正常な方法である。しかしながら、生物が疾患を有する場合のように、身体の一つまたは複数の細胞型のアポトーシスの速度が影響を受けることもある。例えば、過剰または過少の細胞自殺に至る、アポトーシスの異常な調節は、癌、エイズ、アルツハイマー病、および慢性関節リウマチのようなヒトにおける多様な障害に寄与する可能性がある。
アポトーシスの分子的調節は、過去20年にわたり詳細に特徴決定され、アスパラギン酸特異的システインプロテアーゼ(カスパーゼ)のファミリーによって実行されていることが見出された。アポトーシスを調節する一つの主要経路は、発生的にプログラムされた細胞死およびストレスにより誘導される細胞死の調節において中心的な役割を果たすBcl-2タンパク質ファミリー経路である。タンパク質Bcl-2、Bcl-xL、Bcl-w、Mcl-1、A1、およびBcl-Bを含むこのファミリーの一つのサブクラスは、細胞生存を促進する。これらのタンパク質は、タンパク質Bim、Bad、またはBidのようなアポトーシス促進性ファミリーメンバーが直接結合することによって、活性が低下するかまたは中和されるまで、細胞の生存を維持する。生存促進性タンパク質の正確な生化学的作用には議論の余地があるものの、それらは、アポトーシス促進性ファミリーメンバーの第二のクラス、マルチドメインタンパク質BaxおよびBakの作用を制御している可能性が高い。これらのタンパク質は、おそらく、ミトコンドリア外膜のような細胞内膜に傷害を与え、それにより、オルガネラの内部に正常に隔離されていたシトクロムcのようなアポトーシス誘発性因子の細胞質への放出を誘発して、カスパーゼ活性化を促進することにより、アポトーシスの媒介において必須の役割を果たしている。
過度のアポトーシスまたは損なわれたアポトーシスは、多くの疾患または望まれない状態の特徴であるため、アポトーシスおよび/またはBcl-2タンパク質ファミリーのメンバーをモジュレートする分子が必要とされている。
広範な態様の概要
特記しない限り、本明細書中の各態様は、必要な変更を加えて、他のあらゆる態様に適用されるものとする。
従って、一つの局面において、本発明は、
i)候補分子と細胞を組み合わせる工程;および
ii)細胞のBcl-2ファミリータンパク質のモジュレーションを同定する工程(ここで、Bcl-2ファミリータンパク質のモジュレーションは、分子が細胞のアポトーシスをモジュレートすることを示す)、
を含む、細胞のアポトーシスをモジュレートする分子についてスクリーニングする方法を提供する。
もう一つの局面において、本発明は、
i)分子と細胞を組み合わせる工程;および
ii)細胞のアポトーシスがモジュレートされるか否かを同定する工程(ここで、アポトーシスのモジュレーションは、分子がBcl-2ファミリータンパク質をモジュレートすることを示す)、
を含む、細胞のBcl-2ファミリータンパク質をモジュレートする分子についてスクリーニングする方法を提供する。好ましい態様において、分子はアポトーシスを減少させる。
さらにもう一つの局面において、本発明は、
i)候補分子をアッセイ細胞と組み合わせる工程;および
ii)対照と比較して分子の存在下でのアッセイ細胞の生存の変化を決定する工程、
を含む、細胞のアポトーシスを減少させる分子についてスクリーニングする方法を提供する。
いくつかの態様において、本発明の方法は、工程i)およびii)の前に、または工程i)とii)の間に、アポトーシスを誘導するため細胞を処理する工程をさらに含む。細胞は、Bcl-xLおよび/またはMcl-1のようなBcl-2タンパク質ファミリーの生存促進性メンバーのレベルおよび/または活性を低下させる薬剤により処理され得る。いくつかの態様において、細胞は、Bakおよび/またはBaxのようなBcl-2ファミリーのアポトーシス促進性メンバーのレベルおよび/または活性を低下させるかまたは増強する薬剤により処理される。
いくつかの態様において、Bcl-2ファミリーの少なくとも1種の生存促進性メンバーのレベルおよび/または活性が、工程i)の細胞において低下させられる。Bcl-xL、Bcl-2、Bcl-w、Mcl-1、A1、およびBcl-Bからなる群より選択されるBcl-2ファミリーの1〜6種のメンバーのレベルおよび/または活性が、工程i)の細胞において低下させられ得る。Bcl-xLおよび/またはMcl-1のレベルおよび/または活性が低下させられ得る。いくつかの態様において、Bcl-2タンパク質ファミリーの少なくとも1種のアポトーシス促進性メンバーのレベルおよび/または活性が、工程i)の細胞において低下させられ、例えば、Bakおよび/またはBaxのレベルおよび/または活性が低下させられ得る。いくつかの態様において、アポトーシス誘導剤は、当技術分野において公知の方法を使用して、Bcl-2ファミリーメンバーの遺伝子、RNA、またはタンパク質を標的とする。
いくつかの態様において、Mcl-1およびBakのレベルおよび/または活性が低下させられる。他の態様において、Mcl-1およびBaxのレベルおよび/または活性が低下させられる。いくつかの態様において、Mcl-1およびBakのレベルおよび/または活性が増強される。他の態様において、Mcl-1およびBaxのレベルおよび/または活性が増強される。従って、細胞は、少なくとも1種の生存促進性分子またはアポトーシス促進性分子のレベルおよび/または活性が、候補分子またはアポトーシス誘導剤の効果とは無関係に修飾されるよう、遺伝学的に修飾されるか、または薬剤で処理され得る。いくつかの態様において、この工程は、細胞生存剤を同定するためのアッセイ細胞の感受性を増強する。
いくつかの態様において、分子はアゴニストである。他の態様において、分子はアンタゴニストである。いくつかの態様において、分子は、BakもしくはBax、またはBakおよびBaxのアンタゴニストである。
いくつかの態様において、アポトーシスが増加させられる。他の態様において、アポトーシスが減少させられる。
いくつかの態様において、方法はインビトロで行われる。他の態様において、方法はインビボで行われる。
いくつかの態様において、細胞は、繊維芽細胞、骨髄系細胞、またはリンパ球系細胞である。
いくつかの態様において、方法は、哺乳動物細胞の生存、寿命、または生存性を増強する分子についてのスクリーニングを含む。例示的な態様において、方法は、(i)分子を細胞と組み合わせること;(ii)細胞において生存促進性Bcl-2ファミリー分子に拮抗し、アポトーシスを誘導する1種または複数種の薬剤と細胞を接触させること;(iii)対照と比較して分子の存在下での細胞の生存(生存性、寿命、半減期)の変化を決定すること;および(iv)細胞生存(生存性、半減期)を増強する分子を選択すること、を含む。いくつかの態様において、方法は、対照と比較して分子の存在下での細胞の細胞生存(生存性、半減期)の変化を決定するために、(iv)からの選択された分子を標的哺乳動物細胞と組み合わせることをさらに含む。
スクリーニングを容易にするために、いくつかの態様において、細胞は、1種または複数種の生存促進性Bcl-2ファミリーメンバーのレベルまたは活性を低下させること等によって、アポトーシス誘導剤に対する感受性を増強するために修飾される。他の態様において、細胞は、遺伝子破壊によって、1種または複数種の生存促進性Bcl-2ファミリーメンバーを欠くよう修飾される。例示的な態様において、細胞は多細胞生物由来のMcl-1欠損細胞であり、かつ薬剤はBcl-xLアンタゴニストである。さらに他の態様において、方法は、細胞におけるBcl-2ファミリータンパク質のモジュレーションを同定することを含む。
もう一つの態様において、細胞アッセイは、血小板生存性を維持する化合物を同定するために使用される。
本発明の方法は、アポトーシス誘導剤に対して感受性の細胞を被験化合物の存在下でインキュベートすること、次いで、細胞をアポトーシス誘導剤と接触させること、およびアポトーシスを受けていない生細胞の存在を決定することを含む。いくつかの態様において、細胞は、BH3ドメイン模倣剤のような、(例えば、Bcl-2、Bcl-xL、Bcl-w、Mcl-1、およびA1を含む)Bcl-2ファミリーの1種または複数種のメンバーのアンタゴニストに対して感受性である。他の態様において、細胞は、Bcl-xLアンタゴニストまたはMcl-1アンタゴニストに対して感受性である。もう一つの態様において、Bcl-xLアンタゴニストはABT-737である。
いくつかの態様において、細胞は、繊維芽細胞、神経細胞、上皮細胞、内皮細胞、幹細胞、肝細胞、筋芽細胞、骨芽細胞、破骨細胞、リンパ球、ケラチノサイト、中皮細胞、生殖細胞、筋細胞、またはマウス胚繊維芽細胞(MEF)のような繊維芽細胞である。いくつかの態様において、哺乳動物細胞は、骨髄系細胞、リンパ球系細胞、神経細胞、上皮細胞、内皮細胞、幹細胞または前駆細胞、肝細胞、筋芽細胞、骨芽細胞、破骨細胞、リンパ球、ケラチノサイト、メラニン細胞、中皮細胞、生殖細胞、筋細胞、繊維芽細胞、形質転換細胞、癌細胞である。
好ましい態様において、細胞は、当技術分野において公知の方法によって作成された、Mcl-1またはBcl-xLのレベルまたは活性が部分的にまたは完全にダウンレギュレートされている細胞である。いくつかの態様において、Mcl-1またはBcl-xLのレベルは、化学的方法、遺伝学的方法、または遺伝子サイレンシング(RNAi)法を使用してダウンレギュレートされる。例えば、Mcl-1レベルは、CDK阻害剤(例えば、R-ロスコビチン)またはタンパク質合成阻害剤(例えば、シクロヘキサミド)を使用して低下させられ得る。遺伝学的戦略には、遺伝子の全部もしくは一部の欠失による、または遺伝子への外来DNAの挿入による、または外因性プロモーターからのトランスジーンの発現による、機能喪失対立遺伝子の作出が含まれる。条件的変異体技術も利用され得る。遺伝子サイレンシングは、遺伝子の機能を阻害するための便利な手法を提供する。Mcl-1アンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば、本明細書に完全に組み入れられる国際公開WO2006/099667に記載されている。Bcl-xLのレベルまたは活性は、ABT-737または等価なBH3ドメイン模倣剤を使用して、便利に低下させられる。
従って、いくつかの態様において、本発明は、Bcl-xLアンタゴニストまたはMcl-1アンタゴニストに対して感受性の細胞を、試験される化合物の存在下でインキュベートすること、該細胞をBcl-xLアンタゴニストまたはMcl-1アンタゴニストと接触させること、および生細胞の存在(これは、化合物が、Bcl-xLアンタゴニストまたはMcl-1アンタゴニストが誘導する細胞死を阻止し、細胞生存性を維持し得ることを示す)を決定することを含む、細胞生存性を維持する化合物を同定する方法を提供する。本発明の一つの態様は、実施例2に記載される。もう一つの態様において、Bcl-xLアンタゴニストは、ABT-737またはそのアナログである。いくつかの態様において、Bcl-xLアンタゴニストに対して感受性の細胞は、Mcl-1を欠損している。他の態様において、Mcl-1アンタゴニストに対して感受性の細胞は、Bcl-xLを欠損している。次いで、一次スクリーニングにより同定された化合物は、それらがどの標的に作用するのかを決定するために試験される。例えば、化合物は、化合物が、Bax、またはBak、またはその他のアポトーシス促進性分子、またはさらに下流の標的を介して作用することを確認するため、Mcl-1ヌルBaxヌル細胞およびMcl-1ヌルBakヌル細胞において試験される。次いで、必要であれば、さらに下流の標的が、同様にして試験される。
従って、いくつかの態様において、本発明の方法は、Bcl-xL、Bcl-2、Bcl-w、Mcl-1、A1(Bfl-1)、Bcl-B、Bak、Bax、Bok(Mtd)、Bad、Bid、Bik(Blk)、Hrk(DP5)、BNIP3、Bim、Puma、Noxa、Mule(Lasu/ARF-BPI)、およびBmfからなる群より選択される1種または複数種のBcl-2ファミリーメンバーを欠損している細胞と、分子を組み合わせることを含む。
他のいくつかの態様において、方法は、分子を細胞と組み合わせ、対照と比較して分子の存在下での細胞の生存の変化を決定することをさらに含む。好ましい態様において、細胞は哺乳動物細胞である。例示的な態様において、細胞は、骨髄系細胞、リンパ球系細胞、神経細胞、上皮細胞、内皮細胞、幹細胞または前駆細胞、肝細胞、筋芽細胞、骨芽細胞、破骨細胞、リンパ球、ケラチノサイト、メラニン細胞、中皮細胞、生殖細胞、筋細胞、繊維芽細胞、形質転換細胞、および癌細胞からなる群より選択される。もう一つの態様において、哺乳動物細胞は、アポトーシスにより媒介される疾患または状態において増強されたアポトーシスを受けている細胞である。
例示的な非限定的な態様において、抗アポトーシス剤が、本明細書に開示された細胞スクリーニングにおいて同定される薬剤である。本発明は、本明細書に示されたものを含む、衰弱させるまたは望まれない細胞アポトーシスを特徴とする疾患および状態の処置のための薬の製造における、本明細書において同定された抗アポトーシス分子の使用を提供する。例示的な非限定的な態様において、薬剤は、図4に示された副腎皮質ステロイド分子のうちの一つから選択されるか、または図4に示された一般構造を含む。本明細書中の実施例3および図4に記載されるように、これらの薬剤は、アポトーシス誘導量のBcl-xLアンタゴニストに曝された哺乳動物細胞の死滅を強力に阻害した。
Bcl-2タンパク質ファミリーによる細胞生存の制御の図解を示す。BaxおよびBakはアポトーシスの必須のメディエーターである。健常細胞において、それらは、生存促進性Bcl-2タンパク質、即ち、Bcl-2、Bcl-xL、Bcl-w、Mcl-1、およびA1によって抑止されている。傷害シグナルが、生存促進性タンパク質を不活化し、それにより、細胞死を引き起こすようBaxおよびBakを解放する。 繊維芽細胞におけるアポトーシスシグナル伝達の図解を示す。(A)野生型マウス胚繊維芽細胞(MEF)において、アポトーシス促進性Bakは、Bcl-xLおよびMcl-1によって正常に拘束されている。BH3模倣化合物ABT-737によるBcl-xLの不活化は、Mcl-1も不活化されない限り、細胞死を引き起こさない。(B)Mcl-1の構成性の非存在下で、MEFは、ABT-737に対して高度に感受性になるであろう。 スクリーニング戦略を示す。Mcl-1欠損細胞において、ABT-737は強力に死滅させる。そのような細胞を多様なライブラリー分子と共にプレインキュベートすることによって、ABT-737により誘導される死滅を阻害し得る分子についてのスクリーニングが実施される。そのような分子は、ABT-737の作用を阻止するよう作用するかもしれないし、または細胞死メディエーターBaxおよびBakの作用を直接阻止するよう作用するかもしれない。 細胞の生存性、生存、または寿命を増強する薬剤についての本発明の細胞スクリーニングにおいて同定された薬剤の構造図である。
好ましい態様の詳細な説明
本発明を詳細に記載する前に、本発明が、具体的に例示された方法、製剤、または成分に限定されず、当然、変動し得ることが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語法は、本発明の特定の態様を記載することのみを目的としており、限定的なものではなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるであろうことも理解されるべきである。
前記または下記の本明細書中に引用された刊行物、特許、および特許出願は、全て、参照により本明細書に完全に組み入れられる。しかしながら、本明細書において言及された刊行物は、刊行物の中に報告された、本発明に関して使用され得るプロトコルおよび試薬を記載し開示する目的のため引用されている。本明細書中のいかなるものも、本発明が先行発明のためそのような開示に先行する資格がないことの承認として解釈されるべきではない。
さらに、本発明の実施は、特記しない限り、当技術分野の技術の範囲内にある従来の分子生物学、細胞生物学、および細胞培養の技術を利用する。そのような技術は、熟練した当業者には周知であり、文献中に完全に説明されている。例えば、Sambrook et al. (eds), Molecular Cloning: A Laboratory Manual", 2nd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press; 1989;Hames et al. (eds), Nucleic Acid Hybridization, A Practical Approach, IRL Press, 1985;Gait (ed), Oligonucleotide Synthesis, Oxford IRL Press, 1984;Remington's Pharmaceutical Sciences, 17th Edition, Mack Publishing Company, Easton, Pennsylvania, USA;Alberts et al., Molecular Biology of the Cell, 4th ed., New York and London: Garland Science, c2002;Lodish et al., Molecular Cell Biology", 4th ed., New York: W. H. Freeman & Co., c2000を参照のこと。
本明細書において使用されるように、情況がそうでないことを明白に指示しない限り、単数形には、複数の局面が含まれることに留意されたい。従って、例えば、「分子」との言及には、単一の分子のみならず、二つ以上の分子も含まれ;「細胞」との言及には、単一の細胞のみならず、二つ以上の細胞も含まれ;「タンパク質」には、単一のタンパク質または二つ以上のタンパク質が含まれる、等である。
本明細書の全体を通して、「含む(comprise)」という単語、ならびに「含む(comprising)」および「含む(comprises)」のようなその単語の変形は、「を含むが、それらに限定はされない」を意味し、他の添加剤、成分、整数、または工程を排除するためのものではない。「からなる」とは、「からなる」という語句の後に続くもの全てを含むが、それらに限定はされないことを意味する。従って、「からなる」という語句は、挙げられた要素が必要とされるかまたは必須であり、かつ他の要素が存在し得ないことを示す。「から本質的になる」とは、その語句の後に挙げられた要素を含み、かつ挙げられた要素についての本開示において明示された活性または作用に干渉しないかまたは寄与しない他の要素に限定されることを意味する。従って、「から本質的になる」という語句は、挙げられた要素が必要とされるかまたは必須であるが、他の要素が任意でなく、それらが挙げられた要素の活性または作用に影響を与えるか否かによって存在しないかもしれないし、または存在するかもしれないことを示す。
他に定義されない限り、本明細書において使用される技術用語および科学用語は、全て、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同一の意味を有する。本明細書に記載されたものに類似しているかまたは等価である任意の材料および方法が、本発明を実施または試行するために使用され得るが、好ましい材料および方法がここには記載される。
本発明は、細胞のアポトーシスをモジュレートする分子についてのスクリーニングが、Bcl-2タンパク質ファミリーのメンバーのレベルおよび/または活性をモジュレートする分子を同定し得るという発見に基づく。反対に、Bcl-2タンパク質ファミリーのメンバーのレベルおよび/または活性をモジュレートする分子についてのスクリーニングは、アポトーシスをモジュレートする分子を同定し得る。
いくつかの態様において、本発明はBcl-2タンパク質ファミリーに関する。Bcl-2は、哺乳動物遺伝子およびそれらが産生するタンパク質のファミリーのプロトタイプである。Bcl-2ファミリーは、ミトコンドリア外膜透過性化(MOMP)を支配し、アポトーシス促進性(とりわけ、Bax、Bak、およびBok)または生存促進性(Bcl-2、Bcl-xL、およびBcl-wを含む)であり得る。Bcl-2ファミリーには20種を超えるタンパク質が存在し、これらは三つの群に分類される。一般に、グループ1のメンバーは生存促進性であり、グループ2および3はアポトーシス促進性である。Bcl-2ファミリーのメンバーは、BH1、BH2、BH3、およびBH4と名付けられた、Bcl-2ホモロジー(BH)ドメインという名称の4個の特徴的な相同ドメインのうちの1個または複数個を共有している。Bcl-2ファミリーは、両親媒性ヘリックスにより囲まれた中心の疎水性ヘリックスからなる一般構造を有する。ファミリーの多くのメンバーが、膜貫通ドメインを有する。Bcl-2ファミリーの作用部位は、主としてミトコンドリア外膜上にある。ミトコンドリア内には、アポトーシス誘発性因子(シトクロムc、Smac/DIABLO、Omi)が存在し、それらは、放出されると、カスパーゼを活性化する。それらの機能に依って、活性化された後、Bcl-2タンパク質は、これらの因子の放出を促進するか、またはミトコンドリアにそれらを隔離しておく。Bcl-2により調節されるMOMPの周辺の正確な機構は未だ解明されていないが、マルチドメインアポトーシス促進性Bcl-2タンパク質は、MOMPを直接活性化することができ、この過程は抗アポトーシスBcl-2タンパク質の結合により阻害されると考えられている。対照的に、単BH3アポトーシス促進性Bcl-2タンパク質は、抗アポトーシスBcl-2タンパク質に結合し、MOMPを活性化するマルチドメインアポトーシス促進性Bcl-2タンパク質を遊離させることにより、間接的にMOMPを活性化する。
Bcl-2ファミリーのアポトーシス促進性メンバーには、Bak、Bok(Mtd)、Bax、Bad、Bid、Bik(Blk)、Hrk(DP5)、BNIP3、Bim、Puma、Noxa、Mule(Lasu/ARF-BPI)、およびBmfが含まれる。生存促進性メンバーには、Bcl-2、Bcl-xL、Mcl-1、Bcl-w、Bcl-B、およびA1(ヒトにおけるBfl-1)が含まれる。Bcl-2は、カルボキシル末端のみが異なる、2種のオルタナティブスプライス型、Bcl-2アルファまたはBcl-2ベータとして存在し得る。
いくつかの態様において、本発明はアポトーシスに関する。プログラム細胞死とも呼ばれる「アポトーシス」とは、組織化された様式で細胞自殺に通じるシグナル伝達経路である。いくつかの因子および受容体が、アポトーシス経路に特異的である。正味の結果は、細胞が縮小し、表面上に小疱が現れ、核酸が断片化を受けるというものである。多細胞生物において、アポトーシスは、細胞質および核において特別のタンパク質を切断することにより細胞死を誘発するカスパーゼにより媒介される。カスパーゼは、不活性前駆体またはプロカスパーゼとして全ての細胞に存在し、通常、それらが他のカスパーゼによる切断によって活性化され、タンパク質分解のカスパーゼカスケードを生じる。
いくつかの態様において、アポトーシスはBaxおよび/またはBakにより媒介される。
本発明の方法によりスクリーニングされる分子は、化学結合によりつなぎ合わされた2個以上の原子を含む任意の分子であり得る。分子は、薬物、化学的な低分子もしくは高分子、(抗体のような)タンパク質もしくはその誘導体、コンストレイントペプチド(constrained peptide)もしくはフォルダマー(foldamer)のような修飾されたペプチドを含むペプチド、脂質、炭水化物、またはアンチセンスもしくはその他の遺伝子サイレンシング分子を含む核酸分子、またはそれらのミメティックであり得る。分子は、天然に存在する分子であってもよいし、または天然には存在しない分子であってもよく、天然に作製されたライブラリー、化学的に作製されたライブラリー、コンビナトリアルライブラリー、ファージディスプレイライブラリー、またはインビトロ翻訳に基づくライブラリーの中に位置していてもよい。
分子が「薬物」である場合、これは、所望の薬理学的効果を誘導する化学的化合物をさし、活性薬剤自体のみならず、薬学的に許容され、かつ薬学的に活性な活性薬剤の塩、エステル、アミド、プロドラッグ、鏡像異性体、代謝物、およびアナログも含む。
分子が「低分子または高分子」である場合、これは、天然の、または合成に由来する、有機または無機の、低分子または高分子をさす。「低分子」は、約500ダルトン未満の分子量を有する。高分子は、500ダルトン超の分子量を有する。
分子が「タンパク質」である場合、これは、2本以上のポリペプチド鎖から構成されていてもよい、ペプチド結合を介して連結されたアミノ酸の重合体をさす。「誘導体」という用語には、20種の標準的なアミノ酸の天然に存在するアミノ酸ホモログまたは合成のアミノ酸ホモログにより、1個または数個のアミノ酸残基が置換されているタンパク質およびペプチドが含まれる。タンパク質中に見出されるか、自然界に見出されるか、または合成により作製されたかに関わらず、合成アミノ酸ホモログには、他のアミノ酸残基のD型およびL型の両方が含まれる。そのようなホモログの例は、4-ヒドロキシプロリン、5-ヒドロキシリジン、3-メチルヒスチジン、ホモセリン、オルニチン、β-アラニン、4アミノブタン酸、ベータ-アラニン、オルニチン、ノルロイシン、ノルバリン、ヒドロキシプロリン、チロキシン、ガンマ-アミノ酪酸、ホモセリン、シトルリン等である。
本明細書において使用されるように、天然アミノ酸残基とは、タンパク質に一般的に見出される20種のアミノ酸残基(即ち、アラニン、アスパラギン酸、アスパラギン、アルギニン、システイン、グリシン、グルタミン、グルタミン酸、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、チロシン、トリプトファン、およびバリン)であり、そのようなアミノ酸のD型およびL型の両方を含む。
タンパク質またはペプチドに特異的に結合する抗体は、タンパク質またはペプチドのアンタゴニストまたはアゴニストとして作用し得ることが、技術分野において公知であるため、タンパク質は抗体であってもよい。従って、Bcl-2タンパク質ファミリーのメンバーに特異的に結合する抗体は、アポトーシスをモジュレートし得る。「抗体」という用語は最も広義に使用され、具体的には、Bcl-2タンパク質ファミリーのメンバーに特異的に結合する限り、非限定的に、完全なモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、少なくとも2種の完全な抗体から形成された多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、および抗体断片を内含する。軟骨魚由来抗体のようないくつかの抗体は、細胞内伝達の能力を有する。これらは、例えば、国際特許公開WO2005/118629に記載されている。
特定のタンパク質もしくはペプチドまたは特定のタンパク質もしくはペプチドの上のエピトープ「に特異的に結合する」または「に対して特異的な」抗体とは、他のタンパク質ペプチドまたはエピトープには実質的に結合せず、その特定のタンパク質もしくはペプチドまたは特定のタンパク質もしくはペプチドの上のエピトープに結合するものである。
分子が「脂質」である場合、これは、ステロール、脂肪酸、およびその他の多くの物質、ロウ、ホスファチド、セレブロシド、ならびに関連化合物および誘導化合物を含む、脂肪および脂肪様化合物の群のうちのいずれかをさす。
分子が「炭水化物」である場合、これは、水素原子および酸素原子が定義された比率(2:1)で付着している炭素原子の鎖または環から構成された有機化合物をさす。炭水化物は、3〜7個の炭素原子を含有している単糖から、極めて複雑な重合体まで、様々である。
分子が「核酸分子」である場合、これは、二本鎖または一本鎖の核酸分子をさし、センスDNAおよびアンチセンスDNA(gDNA、cDNA)、RNA(センスRNA、アンチセンスRNA、mRNA、tRNA、rRNA、低分子干渉RNA(siRNA)、ミクロRNA(miRNA)、核小体低分子RNA(snRNA)、リボザイム、アプタマー、DNAザイム、またはその他のリボヌクレアーゼ型複合体のような核酸分子を含む。
アンチセンス核酸分子は、遺伝子またはその関連遺伝子産物の機能の強力かつ特異的な阻害剤であることが示されている。従って、アンチセンス分子は、細胞においてBcl-2タンパク質ファミリーのメンバーのレベルおよび/または活性をモジュレートし得る。アンチセンス分子は、Bcl-2タンパク質ファミリーのメンバーをコードする核酸分子のようなもう一つの核酸分子の配列に相補的な配列を有する。
アプタマーも企図される。DNAおよびRNAのアプタマーは、様々な適用においてモノクローナル抗体の代わりに使用され得る。それらは、古典的なワトソンクリック塩基対合以外の相互作用による、非核酸分子または核酸分子に対する特異的な結合親和性を有する核酸分子である。アプタマーは、例えば、米国特許第5475096号、第5270163号、第5589332号、第5589332号、および第5741679号に記載されている。
分子が「ミメティック」である場合、これは、炭水化物、核酸、またはタンパク質もしくはペプチドのミメティックを含み、物質が機能的アナログとして機能することを可能にする三次元特色を有する物質をさすものとする。ペプチドミメティックは、タンパク質二次構造の要素を模倣するペプチド含有分子であり得る(Johnson et al., Peptide Turn Mimetics in Biotechnology and Pharmacy, Pezzuto et al., eds Chapman and Hall, New York, 1993)。ペプチドミメティックは、Bcl-2ポリペプチドの機能的活性を模倣するペプチド分子について、ファージディスプレイライブラリーまたはコンビナトリアルライブラリーのようなランダムペプチドライブラリーをスクリーニングすることにより同定され得る。または、ミメティックの設計、合成、および試験が利用されてもよい。タンパク質による炭水化物および脂質の認識は、多くの生物学的系における重要な事象であり、特異的な認識過程を破壊することができる炭水化物および/または脂質のミメティックに基づく化学療法薬の開発は、急速に出現してきた分野である。核酸ミメティックには、例えば、天然に存在するRNA O3'--P5'ホスホジエステル基を交換するN3'--P5'ホスホロアミド酸ヌクレオチド間結合を含有しているRNAアナログが含まれる。酵素ミメティックには、触媒性抗体またはそれらのコーディング配列が含まれ、それらはヒト化されていてもよい。
本発明の方法により同定された分子は、アポトーシスをモジュレートし得る。本明細書において使用されるように、「モジュレートする」という用語は、変化または調整を意味する。従って、細胞のアポトーシスの速度は、変化させられるかもしれないしまたは調整されるかもしれない。アポトーシスの速度は、増加させられるかもしれないしまたは減少させられるかもしれない。即ち、細胞の一生は、より長くなるか、またはより短くなる。または、またはさらに、Bcl-2タンパク質ファミリーのメンバーのレベルおよび/または活性がモジュレートされ得、増加させられるかもしれないし、または減少させられるかもしれない。即ち、Bcl-2ファミリーメンバーのレベルおよび/または活性は、より高くなるか、またはより低くなる。
分子は、アポトーシスならびに/またはBcl-2ファミリーのメンバーのレベルおよび/もしくは活性を直接的にまたは間接的にモジュレートし得る。例えば、分子は、Bcl-2タンパク質ファミリーのメンバーに結合するかもしれない。または、分子は、もう一つの分子に結合し、それが次にBcl-2タンパク質ファミリーのメンバーに結合するかもしれない。例えば、分子は、ABT-737に結合することにより、アポトーシスならびに/またはBcl-2タンパク質ファミリーのメンバーのレベルおよび/もしくは活性を間接的にモジュレートするかもしれない。低分子ABT-737は、生存促進性Bcl-xLに拮抗するBH3ミメティック薬である。それは、Bcl-2、Bcl-xL、およびBcl-wを選択的に標的とし、他の生存促進性タンパク質Mcl-1またはA1は標的としない。または、分子は、カスパーゼのようなBcl-2タンパク質ファミリーより下流のもう一つの分子に結合することにより、アポトーシスをモジュレートするかもしれない。
分子は、Bcl-2タンパク質ファミリーのメンバーのアゴニストまたはアンタゴニストであり得る。本明細書において使用されるように、「アゴニスト」という用語は、異なる分子の活性を改良する分子をさす。「アンタゴニスト」という用語は、もう一つの分子の作用に対抗する分子をさす。従って、分子は、アポトーシスならびに/またはBcl-2タンパク質ファミリーのメンバーのレベルおよび/もしくは活性をアップレギュレートまたはダウンレギュレートし得る。
本発明の方法により同定された分子は、一般に、細胞生存性、特に、哺乳動物細胞生存性の保存または維持において、例えば、血球減少、炎症性疾患、自己免疫疾患、破壊性骨障害、増殖性障害、感染性疾患、変性疾患、細胞死に関連した疾患、食事アルコール過剰摂取疾患、ウイルス媒介疾患、葡萄膜炎、炎症性腹膜炎、骨関節炎、膵臓炎、喘息、成人型呼吸窮迫症候群、糸球体腎炎、慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、強皮症、慢性甲状腺炎、グレーブス病、自己免疫性胃炎、糖尿病、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性好中球減少、血小板減少、慢性活動性肝炎、重症筋無力症、炎症性腸疾患、クローン病、乾癬、アトピー性皮膚炎、瘢痕、移植片対宿主病、臓器移植拒絶、骨粗鬆症、白血病および関連障害、骨髄異形成症候群、多発性骨髄腫関連骨障害、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、転移性黒色腫、カポジ肉腫、多発性骨髄腫、出血性ショック、敗血症、敗血症性ショック、熱傷、シゲラ症、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、プリオン病、脳虚血、てんかん、心筋虚血、急性および慢性の心疾患、心筋梗塞、うっ血性心不全、アテローム性動脈硬化症、冠動脈バイパス移植、脊髄筋萎縮症、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、HIV関連脳炎、老化、脱毛、発作による神経学的傷害、潰瘍性大腸炎、外傷性脳損傷、脊髄損傷、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、D型肝炎、E型肝炎、G型肝炎、その他の型のウイルス性肝炎、薬物(例えば、パラセタモール)により誘導された肝疾患、黄熱病、デング熱、日本脳炎、肝疾患、アルコール性肝炎、腎疾患、多発性嚢胞腎疾患、ピロリ菌関連胃十二指腸潰瘍疾患、HIV感染、結核、髄膜炎を含む、アポトーシスにより媒介される疾患または望まれない状態の処置または防止において、そして冠動脈バイパス移植に関連した合併症を処置するために使用され得る。本発明の一つの態様は、試験される細胞が、上記のもののようなアポトーシスにより媒介される状態において増強されたアポトーシスを受けている哺乳動物細胞である、方法を企図する。
より具体的には、本発明の方法により同定された分子は、例えば、腎臓、心臓弁、肺、肝臓、皮膚、角膜、血管およびその他の管、骨、腱、および筋骨格組織、膵臓、腸等における器官生存性を保存するために使用され得る。いくつかの態様において、そのように同定された分子は、患者または血液バンク保管における血小板生存を延長するためにも使用されるし、ニューロン組織の損失を最小限に抑えるために心筋梗塞、再灌流損傷、脳血栓を処置または防止するため、高用量化学療法および全身放射の後の消化管毒性(粘膜炎)、肝炎およびその他の型の肝不全、組織損失に通じる炎症性疾患、例えば、慢性関節リウマチ、貧血、好中球減少、精子生存性の喪失による不妊、ならびにメラニン細胞(毛髪色素沈着のための細胞)の損失による早期白髪化を防止するためにも使用される。本発明の一つの態様は、試験される細胞が、上記のもののようなアポトーシスにより媒介される状態において増強されたアポトーシスを受けている哺乳動物細胞である、方法を企図する。
Bcl-2タンパク質ファミリーのメンバーのレベルおよび/もしくは活性ならびに/またはアポトーシスのモジュレーションを同定するために使用される細胞、ならびに処理されるべき細胞、または寿命が維持もしくは増強されるべき細胞は、Bcl-2タンパク質ファミリーの1種または複数種のメンバーを含む任意の細胞、即ち、多細胞生物の任意の細胞であり得る。好ましい態様において、細胞は哺乳動物細胞である。Bcl-2タンパク質ファミリーのメンバーまたはそれらのホモログは、線虫、マウス、およびヒトのような生物に見出されるため、細胞は任意の多細胞生物に由来し得る。従って、細胞は、ヒト、またはヒトにとって経済的に重要かつ/または社会的に重要な哺乳動物、例えば、(ネコおよびイヌのような)ヒト以外の肉食動物、ブタ類(swine)(ブタ(pigs)、雄ブタ(hog)、およびイノシシ)、(ウシ、雄ウシ、ヒツジ、キリン、シカ、ヤギ、バイソン、およびラクダのような)反芻動物、ウマに由来してもよいし、絶滅の危機に瀕した鳥類、動物園において維持される鳥類、および野鶏、より具体的には家畜化された野鶏、例えば、シチメンチョウ、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、ホロホロチョウのような家禽等を含むトリも、ヒトにとって経済的に重要であるため、それらに由来してもよい。その用語は特定の齢を示さない。従って、成体生物に由来する細胞および生後間もない生物に由来する細胞の両方が、内含されるものとする。
細胞は、非限定的に、繊維芽細胞、神経細胞、上皮細胞、内皮細胞、幹細胞、肝細胞、筋芽細胞、骨芽細胞、破骨細胞、リンパ球、ケラチノサイト、中皮細胞、および筋細胞を含む、核を有する任意の細胞であり得る。または、細胞は、無核、即ち、核がなく、従って、DNAを有しないものであってもよい。無核細胞の例は、血小板(血小板)である。いくつかの態様において、細胞は血小板細胞ではない。
いくつかの態様において、細胞は、Bcl-2タンパク質ファミリーの1種または複数種の生存促進性メンバーを欠損している。その他の態様において、細胞は、Bcl-2タンパク質ファミリーの1種または複数種のアポトーシス促進性メンバーを欠損している。いくつかの態様において、細胞はMcl-1欠損細胞である。
本明細書に開示された方法のいくつかの態様において使用される「アッセイ」細胞とは、本発明の方法により同定された分子により治療的にまたは予防的に処置される細胞と同一の細胞であってもよいし、または異なる細胞であってもよい。細胞には、組織もしくは器官またはそれらの一部に見出されるような複数の細胞の言及が含まれる。いくつかの態様において、細胞は、血球減少、炎症性疾患、自己免疫疾患、破壊性骨障害、増殖性障害、感染性疾患、変性疾患、細胞死に関連した疾患、食事アルコール過剰摂取疾患、ウイルス媒介疾患、葡萄膜炎、炎症性腹膜炎、骨関節炎、膵臓炎、喘息、成人型呼吸窮迫症候群、糸球体腎炎、慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、強皮症、慢性甲状腺炎、グレーブス病、自己免疫性胃炎、糖尿病、自己免疫溶血性貧血、自己免疫性好中球減少、血小板減少、慢性活動性肝炎、重症筋無力症、炎症性腸疾患、クローン病、乾癬、アトピー性皮膚炎、瘢痕、移植片対宿主病、臓器移植拒絶、骨粗鬆症、白血病および関連障害、骨髄異形成症候群、多発性骨髄腫関連骨障害、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、転移性黒色腫、カポジ肉腫、多発性骨髄腫、出血性ショック、敗血症、敗血症性ショック、熱傷、シゲラ症、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、プリオン病、脳虚血、てんかん、心筋虚血、急性および慢性の心疾患、心筋梗塞、うっ血性心不全、アテローム性動脈硬化症、冠状動脈バイパス移植、脊髄筋萎縮症、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、HIV関連脳炎、老化、脱毛、発作による神経学的傷害、潰瘍性大腸炎、外傷性脳損傷、脊髄損傷、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、D型肝炎、E型肝炎、G型肝炎、その他の型のウイルス性肝炎、薬物(例えば、パラセタモール)により誘導された肝疾患、黄熱病、デング熱、日本脳炎、肝疾患、アルコール性肝炎、腎疾患、多発性嚢胞腎疾患、ピロリ菌関連胃十二指腸潰瘍病、HIV感染、結核、髄膜炎、ならびに冠状動脈バイパス移植に関連した合併症のようなアポトーシスにより媒介される疾患または状態において増強されたアポトーシスを受けている細胞である。これらの状態において影響を受けた細胞も、本発明の方法において試験される。
あるタンパク質を欠損している細胞は、当技術分野において公知の方法により作成され得る。例えば、「遺伝子破壊」として公知の技術は、ある遺伝子を変異体対立遺伝子に交換することにより、他の点では正常な細胞において、その遺伝子を選択的に不活化する。酵母およびマウスのような生物の細胞において遺伝子破壊(遺伝子ノックアウトとも呼ばれる)を達成するための強力な方法が開発されている。これらの方法は、配列類似性を有する領域がDNAのセグメントを交換する相同的組み換えの過程に頼る。「相同的組み換え」とは、相同的なヌクレオチド配列の部位における、二つの核酸分子間の核酸領域の交換をさす。細胞に挿入された外来DNAは、セグメントの交換により、少なくとも部分的に相同な任意の遺伝子を破壊することができる。ヌクレオチド配列が公知である場合、特定の遺伝子がターゲティングされ得る。
いくつかの態様において、外来DNAは、ターゲティング構築物上に位置し得る。ターゲティング構築物とは、選択された細胞に移され得る、人工的に構築された遺伝材料のセグメントである。ターゲティング構築物は、特定の遺伝子の発現を(部分的にまたは完全に)増強または阻害するために、そのような位置において宿主細胞のゲノムに組み込まれ得る。
ターゲティング構築物は、例えば、Sambrook and Russell, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 3rd Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 2001;Ausubel (ed), Current Protocols in Molecular Biology, 5th Edition, John Wiley & Sons, Inc, NY, 2002に記載されているような、当技術分野において公知の標準的な方法を使用して作製され得る。
ターゲティング構築物の開発は、本発明の方法において使用される細胞へのその導入を容易にする。インビボまたはインビトロのいずれかで、宿主細胞にターゲティング構築物を導入するための様々な技術は、当技術分野において公知であり、微量注入、ウイルス媒介移入、および電気穿孔を含むが、これらに限定はされない。
アポトーシスならびに/またはBcl-2タンパク質ファミリーのメンバーのレベルおよび/もしくは活性をモジュレートするため、分子は、インビトロまたはインビボで細胞と組み合わせられるであろう。分子と細胞との組み合わせは、当技術分野において公知の任意の方法により達成され得る。いくつかの態様において、細胞は、生物から単離されており、分子と細胞との組み合わせはインビトロで行われる。その他の態様において、細胞は、生物から単離されておらず、分子と細胞との組み合わせはインビボで行われる。分子は、細胞と直接組み合わせられてもよい、即ち、細胞に直接適用されてもよい。または、分子は、例えば、生物の血流に分子を注入する(次いで、血流が分子を細胞へと運搬する)ことにより、細胞と間接的に組み合わせられてもよい。
細胞アッセイは、アポトーシスならびに/またはBcl-2タンパク質ファミリーのメンバーのレベルおよび/もしくは活性をモジュレートする分子を同定するために使用され得る。そのような方法は、アポトーシス誘導分子に対して感受性の細胞を試験分子の存在下でインキュベートすること、およびアポトーシスを受けていない生細胞の存在を決定することを含む。分子がBcl-2タンパク質ファミリーのメンバーのレベルおよび/または活性をモジュレートする場合、これは、細胞がアポトーシスを受けたか否かを決定することにより同定され得る。または、分子が細胞のアポトーシスをモジュレートする場合、これは、Bcl-2ファミリータンパク質のメンバーのレベルおよび/または活性を決定することにより同定され得る。
生体細胞色素(エオシンレッド、トリパンブルー、アラマーブルー)の取り込み、TUNEL(TdT媒介dUTPニックエンド標識)分析、ISEL(インサイチュー末端標識)、ならびに細胞集団または個々の細胞におけるDNAの断片化の検出のためのDNAラダー分析、原形質膜における改変を測定するアネキシン-V染色、カスパーゼ(カスパーゼ活性または活性化の測定による)、Bcl-2ファミリータンパク質、p53、Fas、およびFADDのようなアポトーシス関連タンパク質の検出のような多くの異なる方法が、アポトーシスを検出するために考案されている。これらは熟練者には公知の技術である。
同様に、Bcl-2タンパク質ファミリーのメンバーのレベルおよび/または活性を検出するための多くの方法が、熟練者に公知である。例えば、タンパク質を、クロマトグラフィ技術等により細胞から精製し、本発明の方法に供されていない細胞から精製されたタンパク質と比較することができる。
いくつかの態様において、アポトーシス誘導剤は化学療法剤である。他の態様において、薬剤は以下のものを含むBH3模倣剤である:ペプチド(例えば、Cosulich et al., Current Biology, 7:913-920, 1997;Diaz et al., J. Biol. Chem., 272:11350-11355, 1997;Holinger et al., J. Biol. Chem., 274:13298-13304, 1999;Ottilie et al., Journal of Biological Chemistry, 272:30866-30872, 1997;Schimmer et al., Cell Death Differ., 8:725-733, 2001;Shangary, Biochemistry, 41:9485-9495, 2002;Wang et al., Cancer Research, 60:1498-1502, 2000bを参照のこと);コンストレイントペプチド(例えば、参照により本明細書に完全に組み入れられるWalensky et al., Science, 305:1466-1470, 2004およびWO2004/058804を参照のこと);フォルダマー(例えば、Sadowsky, J. Am. Chem. Soc., 127(34):11966-11968, 2005を参照のこと);および以下のもののような低分子有機化合物:アンチマイシンA(例えば、Tzung et al., Nat. Cell. Biol., 3:183-191, 2001);BH3I(例えば、Degterev et al., Nat. Cell. Biol., 3:173-182, 2001);テトロカルシン(Tetrocarcin)A(例えば、Nakashima et al., Cancer Research,60:1229-1235, 2000);ゴシポール(例えば、Kitada et al., J. Med. Chem., 46:4259-4264, 2003);アポゴシポール(Apogossypol)(例えば、Becattini, 2004)を含むポリフェノール;HA14-1(例えば、Wang et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 97:7124-7129, 2000a);化合物6(例えば、Enyedy et al., J. Med. Chem., 44:4313-4324, 2001);ABT-737(例えば、Oltersdorf et al., Nature, 435:677-681, 2005);テルフェニルに基づく化合物(例えば、Yin, J. Am. Chem. Soc., 727(15):5463-5468, 2005);参照により本明細書に完全に組み入れられるWO2006/002474に開示されるようなアルファ-ヘリックス模倣体として作用するベンゾイル尿素化合物;および例えば参照により本明細書に完全に組み入れられる2006年4月6日出願のUSSN60/789982に開示されたようなベンゾチオゾール(Benzothiozole)誘導体。
以下の非限定的な実施例を単に参照しながら、以下に本発明をさらに説明する。しかしながら、以下の実施例は例示に過ぎず、決して上記の本発明の一般原理に対する制限として解釈されるべきでないことを理解されたい。
実施例1
アポトーシスならびに/またはBcl-2タンパク質ファミリーのメンバーのレベルおよび/もしくは活性のモジュレーターについてのスクリーニング
Bcl-2タンパク質ファミリーは、細胞の生死の決定において重大な役割を果たしている。この系のいくつかの詳細な局面には議論の余地があるが、生存促進性タンパク質(Bcl-2、Bcl-xL、Bcl-w、Mcl-1、A1)の活性が、通常、アンタゴニスト性の単BH3タンパク質により、または血小板の場合にはBcl-xLの分解および破壊により、損なわれるまで、必須の細胞死メディエーターBaxおよびBak(図1)は、生存促進性タンパク質により制止されている。この筋書きにおいて、Bax/Bakは、生存促進性Bcl-2様タンパク質により抑止されない限り、自由に作用することができる。
一つの態様において、図2に示されるように、Bcl-xLがBakに対する重大な制御である細胞が、選択されるかまたは作成される。従って、Bcl-xLが不活化された場合ですら細胞死を阻害するものについて、低分子がスクリーニングされる。この筋書は、Bakに対する他の制御であるMcl-1を欠くマウス胚繊維芽細胞を使用する。Mcl-1ヌル細胞において、Bakに対する唯一のブレーキはBcl-xLであり、それは、Bcl-xLの強力な阻害剤として作用する化合物ABT-737により抑制され得る。ABT-737により誘導されるMcl-1欠損マウス胚繊維芽細胞(MEF)の死滅を阻止し得るものについて、化合物ライブラリーがスクリーニングされる(図3)。
一つの非限定的な例において、Mcl-1ヌルMEFを平底96穴プレート上に播種する。12〜24時間後、ライブラリー化合物を0.1μM、1μM、および10μMの最終濃度で添加し、2時間インキュベートした後、ABT-737(100nM)または担体媒体を添加する。24時間後にアラマーブルー色素を使用して細胞生存性をスコア化し、4時間後に読み取る。下記表1に示されるように、ライブラリー化合物またはABT-737のいずれも存在しない場合の細胞生存性が、陽性対照として作用する。ライブラリー化合物の非存在下かつABT-737の存在下での細胞生存性の欠如が、陰性対照として作用する。不活性化合物は、ABT-737の非存在下で正常な細胞生存性を示す。細胞障害性化合物は、ライブラリー化合物の存在下かつABT-737の非存在下で低下した細胞生存性を示す。陽性ヒットは、ABT-737およびライブラリー化合物の存在下で細胞生存性を示し、陰性化合物はライブラリー化合物およびABT-737の存在下で低下した細胞生存性を示す。陽性ヒットは、いくつかの独立の細胞系および培養血小板において試験される。いくつかの態様において、化合物は、ABT-737の細胞取り込みを阻止するか、または細胞におけるABT-737の作用を阻害することにより作用する。他の態様において、化合物は、Bak、Bax、BakおよびBaxを直接阻害するか、またはこれらの分子もしくはBakもしくはBaxの下流で機能するアポトーシスエフェクター分子を間接的に阻害することにより作用する。方法は、スクリーニングをさらに高感度にし、各陽性剤の分子標的を検出するため、修飾されたBcl-2ファミリー遺伝子を有する修飾されたマウスにおいても実施される。
実施例2
Mcl-1ヌルMEF細胞のアッセイ
1. 序論
Mcl-1(-/-)細胞において化合物ABT-737によりアポトーシスが誘導される。細胞は、一般カスパーゼ阻害剤qVD-OPHによってこの効果から救済され得る。アッセイは、qVD-OPHのものと比較可能な効果を有する他の化合物を発見することを目標とする。
Rinkenbergerら(Genes and Development, 14:23-27, 2000)は、Mcl-1欠損マウスの作成を記載した。Opfermanら(Nature, 426:671-676, 2003)は、Mcl-1コンディショナルノックアウトマウスの作成を記載し、Opfermanら(Science, 307:1101-1104, 2005)が、それらのさらなる特徴決定を記載している。ここで作成されたマウスは、同様に、mcl-1遺伝子について条件的にターゲティングされる。van Delftら(Cancer Cell, 10:389-399, 2006)およびLinら(Oncogene, 26:3972-3979, 2007)は、Mcl-1欠損細胞がいかにしてABT-737に対して極めて感受性であるかを記載している。Chenら(Cancer Research, 67(2):782-791, 2007)は、Mcl-1ヌル繊維芽細胞が、細胞スクリーニングの基礎であるABT-737に対して極めて感受性であることを示している。
要約すると、2日目に60〜80%のコンフルエンシーになるよう、1日目に細胞を分割する。2日目、アッセイ4日目までにコンフルエントにならないことが確実な密度で、アッセイプレートに細胞を播種する。アッセイプレートを室温で20〜60分間インキュベートした後、辺縁効果が最小限に抑えられるよう37℃に移す。同一の理由のため、アッセイプレートはインキュベーター内で相互に積み重ねない。3日目、まず細胞をqVDまたはWEHIライブラリー化合物のいずれかにより処理する。細胞をライブラリー化合物の存在下で2時間インキュベートし、次いで、ABT-737により処理する。4日目、細胞をCellTitre-Blue(商標)Cell Viability Assayの存在下で4時間インキュベートする。この製品は、生細胞によりレゾルフィンに代謝されるレサルジン(resaruzin)を含有している。4時間後、レゾルフィンのレベルを測定する。または、好ましい態様において、細胞をCellTitre-Glo(商標)Cell Viability Assayの存在下で4時間インキュベートする。この製品は、ルシフェラーゼ依存性の発光出力を介して、細胞生存性の直接相関として、細胞培養物中のATPのレベルを測定する。
2. 試薬、消耗品、および機器
Mcl-1(-/-)マウス胚性繊維芽細胞(MEF)は、Iwaki 75cm2組織培養フラスコ(カタログ番号3123-075)で培養された。MEFは、以下のものからなる培地で培養された:
・89% DME Kelso
・10% 熱不活化胎仔ウシ血清(FCS)(Hycloneカタログ番号SH30396.03)
・1% 10mMアスパラギン(Flukaカタログ番号11149)
・2000倍希釈の2-メルカプトエタノール275μlが、最終容量500mlの培地(Sigmaカタログ番号M7522;リン酸緩衝生理食塩水で希釈)に添加された。
培地は4℃で保管され、37℃で使用された。
MEFは、培地、リン酸緩衝生理食塩水、およびトリプシン(Sigma)を使用して、培養され、採集された。全ての試薬が、4℃で保管され、37℃で使用された。
アッセイのため、細胞は、1%のみのFCSを含有している培地に播種された。これは以下のものからなっていた:
・98% DME
・1% 熱不活化胎仔ウシ血清(FCS)(Hycloneカタログ番号SH30396.03)。
・1% 10mMアスパラギン(Flukaカタログ番号11149)
・2000倍希釈の2-メルカプトエタノール275μlが、最終容量500mlの培地(Sigmaカタログ番号M7522;リン酸緩衝生理食塩水で希釈)に添加された。
アッセイは、透明な平底を有するCorning 384穴組織培養等級黒色プレートに播種された(DKSH Australia P/Lカタログ番号3712)。化合物は、Matrical384穴50μl V底プレートで調製された(カタログ番号MP101-2-PP)。化合物プレートはBeckman Coulter製のフォイルシール(カタログ番号538619)を使用して、一夜保管のために密封された。
AnalaR等級DMSOが化合物の調製および滴定のために使用された(Merckカタログ番号1.02952.2500)。トリパンブルー溶液(0.4%)は細胞計数のため使用された(Sigma T8154)。CellTitre-Blue(商標)Cell Viability Assayは、Promegaから調達され(カタログ番号G8081)、-20℃で保管され、37℃で使用された。Promegaから市販されているCellTitre-Glo(商標)(カタログ番号G7572)は、-20℃で保管され、37℃で使用される。qVD-OPH一般カスパーゼ阻害剤は陽性対照として使用された(MP Biomedicalsカタログ番号OPH109)。
Multidrop 384(ThermoLabsystems)は、アッセイプレートに細胞を播種し、細胞へCellTitre-Blue(商標)viability試薬を添加するために使用された。Zymark Sciclone ALH3000システムは、対照および化合物の添加のために使用された。Wallac EnVisionプレートリーダー(Perkin Elmer)は、λex 535nm/λem 590nmで蛍光を測定するために使用された。
3. 方法
3.1 1日目−細胞分割
培地を細胞から吸引除去し、次いでそれらを温リン酸緩衝生理食塩水10mlで洗浄した。リン酸緩衝生理食塩水を吸引除去し、トリプシン2mlをフラスコに添加した。細胞が剥離するまで、フラスコを37℃に置いた。培地(およそ6ml)を使用して、フラスコの底までトリプシンおよび細胞を洗浄した。全容量を50ml遠心管に移し、250×gで3分間遠心分離した。上清を吸引除去し、ペレットを10% FCS含有培地4mlに再懸濁させた。この細胞懸濁物1ミリリットルを、10% FCS含有培地19mlを含有している清潔な75cm2フラスコに添加し、従って、1:4分割を行った。翌日のアッセイに必要とされる細胞の数に依って、残りの細胞懸濁物を用いて、これを他の75cm2フラスコへと繰り返した。
2日目のためのアッセイプレートをバーコードで標識した。
3.2 2日目−アッセイプレート播種および対照プレート調製
1日目のプロトコルを、細胞をペレット化し、上清を吸引除去する点まで繰り返した。ペレットを1% FCS培地10mlに再懸濁させた。水800μl、細胞懸濁物100μl、およびトリパンブルー溶液100μlを使用して、1.5mlチューブで、10倍希釈物を調製した。細胞をボルテックス処理し、次いで、血球計数器を使用して計数した。必要とされた体積で2×104細胞ml-1(50μl培地当たり1ウェル当たり1000細胞)の密度を達成するのに必要な希釈を計算し、1% FCS含有培地で希釈を行った。
Multidropシステムを使用して、アッセイプレートの384ウェル全てに細胞を播種した。各ウェルに細胞懸濁物50μlを送達するようシステムを設定した。無菌カセットヘッドを使用し、使用前には無菌蒸留水で充分に濯いだ。アッセイプレートを室温で60分間静置し、次いで、37℃/5%CO2に一夜置いた。プレートは積み重ねなかった。
Matrical化合物プレートでqVD-OPHプレートおよびABT-737プレートをセットアップした。qVDは、12.5mMのストック濃度で使用された(細胞中の最終濃度25μM)。このストック10μlを、カラム23および24のウェルI〜Pに置いた。残りのウェルには、全て、DMSO 10μlを分配した。ABT-737は、10mMのストック濃度にあり、化合物プレートにおいて10μMで使用された(細胞中の最終濃度20nM)。従って、1000倍希釈を行い、次いで、384穴Matricalプレートのウェル23A〜D、24A〜D、23I〜L、および24I〜L以外の全てのウェルに10μlを分配した。これらの16ウェルにはDMSO(10μl)を分配した。または、このストック10μlを、カラム20、21、および22のウェルI〜Nに置いた。残りのウェルには、全て、DMSO 10μlを分配した。WEHI-0113992は、10mMのストック濃度にあり、化合物プレートにおいて5μMで使用された(細胞中の最終濃度10nM)。従って、1000倍希釈を行い、次いで、384穴MatricalプレートのウェルC20、D20、E20、I20、J20、K20、C21、D21、E21、I21、J21、K21、C22、D22、E22、I22、J22、K22以外の全てのウェルに10μlを分配した。これらの16ウェルには、DMSO(10μl)を分配した。両プレートをフォイルで密封し、12℃で一夜保管した。
3.3 3日目−細胞処理
1. ライブラリープレートを冷凍装置から取り出し、使用前に30〜60分間、室温で解凍した。
2. Zymarkシステムをセットアップした。HEPAフィルターユニットを作動させ、ピンツールを、清潔で負荷されていないことを確実にするためにチェックし、以下に示されるように、ブロッティングペーパー、エタノール、およびDMSOを用いて、デッキをセットアップした。
Figure 2010521183
3. qVD-OPHを細胞に添加した。これを行うため、プレートのA1角が、EnVisionコンピューターが位置するルームの角に面するよう、PVD-OPHプレートをデッキ上に置いた(模式図1を参照のこと)。アッセイプレートをフロントツイスターのスタック1に置いた。
ZymarkデスクトップPC上でClara Execution Managerを開いた。全てのコンポーネントを、「Initialize」ボタンをクリックすることにより初期化した。初期化が完了した後、Applications Chainウィンドウから古いアプリケーションを除去し、明示された順序で以下のものを追加する(各アプリケーションについて、実行の回数、即ち、処理中のアッセイプレートの数を入力する必要がある)。
1. Control Addition
2. Control Addition Restack
3. Pintool Unload
これらが準備でき、OKしたところ、Material Initializationスクリーンが現れ、OKした。次いで、Zymark Stack Storageシステムウィンドウのうちの一つを前面に出し、コンフィギュレーションメニューにアクセスした。「New」を選び、次いで、「Control Addition」を選び、OKした。コンフィギュレーションメニューに再びアクセスし、「Control Addition Restack」プログラムについて、この過程を繰り返した。
これが完了した後、実行を開始させるためにClara上の「Run」ボタンをクリックした。実行の終了時、アッセイプレートをスタッカーに残し、qVD-OPHプレートをZymarkデッキから取り出した。
4. 次いで、ライブラリー化合物添加を開始した。A1がMiniTrakに面するよう、化合物プレートをバックツイスターのスタック1に置いた。古いアプリケーションをClaraの中のApplications Chainから除去し、新たなものを以下の順序で追加した(実行の回数を、各アプリケーションについて入力した)。
1. Pintool Addition Corning
2. Pintool Unload
これが終わった後、それをOKし、Material Initializationウィンドウを確認し、OKした。次いで、Zymark Stack Storageシステムウィンドウのうちの一つを前面に出し、コンフィギュレーションメニューにアクセスした。「New」を選び、次いで「Pintool Addition Corning」を選び、OKした。
これが完了した後、実行を開始させるためにClara上の「Run」ボタンをクリックした。
実行の終了時、アッセイプレートに再び蓋をして、2時間のうちの残りの時間(最初のアッセイプレートへの化合物添加からの時間−一般に20プレートの実行で約30分)、37℃/5%CO2に戻した。ライブラリープレートに再び蓋をして、冷凍保管庫に戻した。
7. 2時間のインキュベーションの終了時、ABT-737添加を実施した。プレートのA1角が、EnVisionコンピューターが位置するルームの角に面するよう、qVDプレートをデッキ上に置いた。アッセイプレートをフロントツイスターのスタック1に置いた。
ZymarkデスクトップPC上でClara Execution Managerを開いた。全てのコンポーネントを、「Initialize」ボタンをクリックすることにより初期化した。初期化が完了した後、古いアプリケーションをApplications Chainウィンドウから除去し、明示された順序で以下のものを追加する(各アプリケーションに関して、実行の回数、即ち、処理中のアッセイプレートの数を入力する)。
1. Control Addition
2. Control Addition Restack
3. Pintool Unload
これらが準備でき、OKしたところ、Material Initializationスクリーンが現れ、OKした。次いで、Zymark Stack Storageシステムウィンドウのうちの一つを前面に出し、コンフィギュレーションメニューにアクセスした。「New」を選び、次いで「Control Addition」を選び、OKした。コンフィギュレーションメニューに再びアクセスし、「Control Addition Restack」プログラムについて、この過程を繰り返した。
これが完了した後、実行を開始させるためにClara上の「Run」ボタンをクリックした。実行の終了時、アッセイプレートに再び蓋をして、37℃/5%CO2に戻し、ABT-737プレートをZymarkデッキから取り出した。
8. HEPAフィルターをオフにし、DMSOおよびエタノールの貯蔵容器を空にし、洗浄し、ピンツールを以下のプロトコルに従って浄化した。
−VP浄化液に10回浸漬;VP浄化液中に5分間放置;ブロット
−MQ水に10回浸漬;ブロット
−100%エタノールに10回浸漬;ブロット
3.4 4日目-生存性分析
CellTitre-Glo(商標)Bufferを用いてCellTitre-Glo(商標)Substrateを再生させることにより、製造業者の指示に従って、CellTitre-Glo(商標)溶液を調製し、使用後は-80℃で保管した。プレートをインキュベーターから取り出し、15分間、室温に平衡化するために放置した。MiniTrakを使用して、1ウェル当たり25μlの細胞培養培地を除去した後、Multidropを使用して、希釈されたCellTitre-Glo(商標)25μlをアッセイプレートの各ウェルに添加した。プレートを15分間プレートシェーカー上で混合した後、発光プロトコルを使用してEnvision上で読み取った。
CellTitre-Blue(商標)を37℃に加温し、次いで、Multidropを使用して、10μlをアッセイプレートの各ウェルに添加した。プレートを37℃に4時間戻した後、EnVisionプレートリーダーにロードした。生存性測定を行い、次いで、分析のためにデータをACTIVITYbase(IDBS)にインポートした。
CellTitre-Glo(商標)に関して、阻害率は下記式を使用して計算された。
Figure 2010521183
x=試料化合物処理後に入手されたCPS
μ-=陰性対照(カラム24)について入手されたCPS
μ+=陽性対照(カラム23)について入手されたCPS
IC50値は、4パラメーターロジスティックスフィット(XLFit 4 eqn#205)を使用して、データの非線形最小二乗フィッティングにより入手された。
y=A+((B-A)/(1+((C/x)D)))
アッセイ結果の質は、各アッセイプレートについてのZ'因子の決定によりモニタリングされた。ここで、結果についてのZ'≧0.5が頑強と見なされた(Zhang et al., J. Biomol. Screening, 4:67-73, 1999)。
EC50期待値:
1%FCSにおいて:
ABT-737 EC50 およそ0.004〜0.008μM
1%FCS条件下で培養されたABT-737処理Mcl(-/-)細胞について、EC50計算値が>0.04μMに右方シフトした場合には、MEFを廃棄し、新たに解凍された低い継代数の細胞を補充する。
実施例3
副腎皮質ステロイドが本発明のスクリーニングにおいて同定される
実施例2に記載されたプロトコルを使用して、公知の化合物のライブラリーをスクリーニングした。予備分析の結果は、いくつかの活性分子を示し、それらは以下の構造式に一致する副腎皮質ステロイドであった。
Figure 2010521183
式I
Figure 2010521183
は単結合または二重結合のいずれかであり得る
A=HまたはF、B=H、CH3、F、またはOH
R=HまたはC2〜C6アシル
R1=H、OH、またはOC2〜C6アシル
R2=H、Me、またはR1およびR2はジオキソラン環を形成する
特に、これらの薬剤(図4参照)は、ABT-737によるMcl-1ヌルMEF細胞の死滅を有意に阻害することができた。従って、これらの薬剤は、血小板の生存性、寿命、または生存を増強または延長する本発明の方法において使用するのに適している。さらに、薬剤は、細胞の寿命を延長または保存するための治療的介入において広範囲の適用を見出す。
実施例4
新たな抗アポトーシス化合物を試験するためのプロトコル
死滅アッセイ(NB:全ての実験が10%FCSの存在下で行われる)
死滅刺激:ABT-737またはエトポシド
付着細胞(例えば、mcl-/-MEF)の場合
1日目 培地(FMA)500mL中の12,000細胞を24ウェルに播種する。
2日目 培地を除去する。トリプリケートでWEHI抗アポトーシス化合物を添加する(4倍段階希釈−500mL中40mMの最高最終濃度)。2時間インキュベートする。
ABT-737 50mLを40nMの最終濃度で、またはエトポシド50mLを2mMの最終濃度で、各ウェルに添加する。
24時間インキュベートする。
3日目 細胞を採集し、FACS緩衝液中5mg/mLのヨウ化プロピジウムで染色する。FAC分析(FLH-3チャンネル)により細胞生存性を決定する。
懸濁細胞(例えば、Jurkat、FDC-P1)の場合
1日目 培地(Jurkatの場合にはHT-RPMI;FDC-P1の場合にはDME+10% FCS+IL3)100mL中の20,000細胞を96ウェルに播種する。
2日目 トリプリケートでWEHI抗アポトーシス化合物を添加する(4倍段階希釈−100mL中40mMの最高最終濃度)。2時間インキュベートする。
FDC-P1の場合には2mM、Jurkatの場合には10mMの最終濃度で、エトポシド20mLを各ウェルに添加する。
24時間インキュベートする。
3日目 細胞を採集し、FACS緩衝液中5mg/mLのヨウ化プロピジウムで染色する。FAC分析(FLH-3チャンネル)により細胞生存性を決定する。
死刺激:増殖因子排除
増殖因子依存性懸濁細胞(例えば、FDC-P1)の場合
1日目 培地(DME+10% FCS)100mL中の20,000細胞を96ウェルに播種する。播種前にまず、IL-3を除去するため、DME+10% FCSで2回細胞を洗浄する。
2日目 トリプリケートでWEHI抗アポトーシス化合物を添加する(4倍段階希釈−100mL中40mMの最高最終濃度)。2時間インキュベートする。
24時間インキュベートする。
3日目 細胞を採集し、FACS緩衝液中5mg/mLのヨウ化プロピジウムで染色する。FAC分析(FLH-3チャンネル)により細胞生存性を決定する。
当業者は、本明細書に記載された発明に、具体的に記載されたもの以外の変動および修飾がなされ得ることを認識するであろう。本発明はそのような変動および修飾を全て含むことが理解されるべきである。本発明はまた、本明細書中で個々にまたは集合的に言及された、または示された工程、特色、組成物、および化合物の全て、ならびに該工程または特色のうちの二つ以上の任意の全ての組み合わせを含む。
Figure 2010521183
参考文献
Figure 2010521183
Figure 2010521183

Claims (29)

  1. i)候補分子とアッセイ細胞を組み合わせる工程;および
    ii)アッセイ細胞のBcl-2ファミリータンパク質のモジュレーションを同定する工程であって、Bcl-2ファミリータンパク質のモジュレーションは、分子が細胞のアポトーシスをモジュレートすることを示す、工程、
    を含む、細胞のアポトーシスを減少させる分子についてスクリーニングする方法。
  2. i)候補分子とアッセイ細胞を組み合わせる工程;および
    ii)アッセイ細胞のアポトーシスが低下するか否かを同定する工程であって、アポトーシスのモジュレーションは、分子がBcl-2ファミリータンパク質をモジュレートすることを示す、工程、
    を含む、細胞のBcl-2ファミリータンパク質をモジュレートする分子についてスクリーニングする方法。
  3. i)アッセイ細胞と候補分子を組み合わせる工程;および
    ii)対照と比較して分子の存在下でのアッセイ細胞の生存の変化を決定する工程、
    を含む、細胞のアポトーシスを減少させる分子についてスクリーニングする方法。
  4. 工程i)およびii)の前に、または工程i)とii)の間に、アポトーシスを誘導するようにアッセイ細胞を処理する工程をさらに含む、請求項1または請求項2または請求項3記載の方法。
  5. 処理工程が、Bcl-2タンパク質ファミリーの生存促進性メンバーのレベルおよび/または活性を低下させる薬剤によるものである、請求項4記載の方法。
  6. 処理工程が、Bcl-xLおよび/またはMcl-1のレベルおよび/または活性を低下させる薬剤によるものである、請求項4または請求項5記載の方法。
  7. 処理工程が、Bcl-2タンパク質ファミリーのアポトーシス促進性メンバーのレベルおよび/または活性を増強する薬剤によるものである、請求項4記載の方法。
  8. 処理工程が、BakもしくはBax、またはBakおよびBaxのレベルおよび/または活性を増強する薬剤によるものである、請求項4または請求項7記載の方法。
  9. Bcl-2ファミリーの少なくとも1種の生存促進性メンバーのレベルおよび/または活性が、工程i)の細胞において低下させられる、請求項1〜8のいずれか一項記載の方法。
  10. Bcl-xL、Bcl-2、Bcl-w、Mcl-1、A1(Bfl-1)、およびBcl-Bからなる群より選択されるBcl-2ファミリーの1〜6種のメンバーのレベルおよび/または活性が、工程i)の細胞において低下させられる、請求項1〜9のいずれか一項記載の方法。
  11. Bcl-xLおよび/またはMcl-1のレベルおよび/または活性が低下させられる、請求項10記載の方法。
  12. Bcl-2タンパク質ファミリーの少なくとも1種のアポトーシス促進性メンバーのレベルおよび/または活性が、工程i)の細胞において増強される、請求項1〜11のいずれか一項記載の方法。
  13. BakもしくはBax、またはBakおよびBaxのレベルおよび/または活性が増強される、請求項12記載の方法。
  14. Mcl-1およびBaxのレベルおよび/または活性が、工程i)の細胞において修飾される、請求項1〜13のいずれか一項記載の方法。
  15. Mcl-1およびBakのレベルおよび/または活性が、工程i)の細胞において修飾される、請求項1〜13のいずれか一項記載の方法。
  16. アッセイ細胞が、アポトーシス誘導剤に対する感受性を増強するために修飾される、請求項9記載の方法。
  17. 細胞が、Bcl-2ファミリーの少なくとも1種の生存促進性メンバーのレベルまたは活性を低下させるために遺伝学的に修飾される、請求項16記載の方法。
  18. 細胞がMcl-1欠損細胞である、請求項17記載の方法。
  19. 処理工程が、Bcl-xLのレベルまたは活性を低下させる薬剤によるものである、請求項18記載の方法。
  20. 処理剤がBH3ドメイン模倣剤である、請求項18記載の方法。
  21. 候補分子がアゴニストである、請求項1〜20のいずれか一項記載の方法。
  22. 候補分子がアンタゴニストである、請求項1〜20のいずれか一項記載の方法。
  23. 分子が、BakもしくはBax、またはBakおよびBaxのアンタゴニストである、請求項22記載の方法。
  24. 分子が、低分子、阻害性RNA、抗体、アプタマー、ペプチド、ペプチドミメティック、またはコンストレイントペプチド(constrained peptide)である、請求項1記載の方法。
  25. iii)Bcl-xL、Bcl-2、Bcl-w、Mcl-1、A1(Bfl-1)、Bcl-B、Bak、Bax、Bok(Mtd)、Bad、Bid、Bik(Blk)、Hrk(DP5)、BNIP3、Bim、Puma、Noxa、Mule(Lasu/ARF-BPI)、およびBmfからなる群より選択される1種または複数種のBcl-2ファミリーメンバーが欠損している細胞と、分子を組み合わせる工程、
    をさらに含む、請求項1、2、または3記載の方法。
  26. iii)分子を細胞と組み合わせ、対照と比較して分子の存在下での細胞の生存の変化を決定する工程、
    をさらに含む、請求項1〜25のいずれか一項記載の方法。
  27. 細胞が哺乳動物細胞である、請求項1〜26のいずれか一項記載の方法。
  28. 哺乳動物細胞が、骨髄系細胞、リンパ球系細胞、神経細胞、上皮細胞、内皮細胞、幹細胞または前駆細胞、肝細胞、筋芽細胞、骨芽細胞、破骨細胞、リンパ球、ケラチノサイト、メラニン細胞、中皮細胞、生殖細胞、筋細胞、繊維芽細胞、形質転換細胞、癌細胞である、請求項27記載の方法。
  29. 哺乳動物細胞が、アポトーシスにより媒介される疾患または状態において増強されたアポトーシスを受けている細胞である、請求項27記載の方法。
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