JP2010519895A - クローン病座位における遺伝子型を決定する方法 - Google Patents

クローン病座位における遺伝子型を決定する方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、5p13.1クローン病リスク座位におけるヒト個体の遺伝子型を決定する方法であって:a)該個体からサンプルを準備すること;b)ヒト染色体の座標40,300,000と40,600,000(ヒトゲノムの2006年3月集合体に対応する座標)の間に位置するDNA配列多型に対応するDNA配列が、該サンプル中に存在するか否かを決めること;c)ヒト染色体の座標40,300,000と40,600,000の間に位置するDNA配列多型の遺伝子型の性質を、クローン病を発症する遺伝子リスクとの関連において決定すること、を含む方法に言及する。

Description

本発明は、5p13.1クローン病リスク座位における個体の遺伝子型を決定するための方法であって、ヒト染色体の座標40,300,000と40,600,000の間に位置するDNA配列多型を決定することにより、該個体の、クローン病を発症する遺伝子リスクの推定を可能とし、かつ、患者の遺伝子型に合わせた薬剤治療の処方を可能とする方法を参照する。
クローン病(CD)とは、1920年代に初めて記載された、腸管の、慢性的再発性炎症障害である。白人では、生涯発生頻度は、〜0.15%という現今推定値に増加している。この増加の基礎となる正確な環境原因はほとんど不明のままであるが、家系性集密および双生児調査によって、素因に対する遺伝子成分ははっきりと特定されている。連鎖および/または対合試験によって、10を超える感受性座位が特定されており、特に、CARD15において、説得的な、病原突然変異が報告されている(非特許文献1および2)。既知の座位は、CDに対する遺伝子リスクを十分には説明しないので、さらに新たな感受性座位の特定に寄与するために、本試験においてゲノムワイド関連スキャン(WGA)を行った。
癌、高血圧、糖尿病、喘息、およびCDを含む、一般的なヒト疾患の多くは、多因子性疾患である。これは、ある個体が、何らかの疾患に罹るという事実を決定するものは、一連の遺伝子リスク因子と連動する、一連の環境因子であることを意味する。感受性座位におけるリスク変異(=遺伝的リスク因子)は、特定遺伝子の調節不良を引き起こし、これが、最終的に疾患に罹り易い傾向の増大を誘発する。
一般的疾患における、対応的遺伝子リスク変異を特定することは、現在、医療遺伝学の最重要目標の一つである。実際、これらの所見は、個別化予測医学、および、新薬標的の特定に向けて新たな道を切り拓く。疾患に対し遺伝的素因を持つ個体は、その生活態度を変えることによって、病気になるリスクを下げる予防処置を享受することが可能と考えられる。特定の個人の遺伝的リスク変異を知ることは、その個人の、遺伝的に変えられた分子生物学に基づく治療の選択について方向づけがされると考えられる。さらに、遺伝学的調節不良遺伝子の産物は、薬剤開発の主要標的となる。
Schreiber S. et al. Nat Rev Genet. 6:376-388 (2005) Hugot JP et al. Nature 411:599-603 (2001)
したがって、本発明の目的は、ヒト個体において、CDを発症する遺伝子リスクの、改善された推定を可能とする方法を提供することである。
本発明では、ヒト染色体5p13.1に位置する、クローン病(CD)に対する、新規感受性座位の特定が記載される。この5p13.1 CDリスク座位は、ヒト染色体5における、位置〜40,300,000および〜40,600,000(ヒトゲノムの2006年3月集合体によって定義される)の間に位置する領域に一致する。この領域は、「遺伝子砂漠」に一致する、すなわち、この領域は、当時も、本明細書の記述時においても、公知のいずれのタンパクコード遺伝子も含まない。しかしながら、本発明は、5p13.1 CDリスク座位の遺伝子変異は、プロスタグランジン受容体EP4、すなわちPTGER4をコードする、もっとも近位の遺伝子の発現レベルを変えることを明らかにする。PTGER4は、CDに対する、きわめて強力な候補遺伝子である。なぜなら、マウスにおいて、遺伝的にそれを不活性化するか(PTGER4ノックアウトマウス)、または薬理学的手段によってそれを不活性化すると、腸炎に対する感受性が増すが、一方、それを活性化すると、マウスは、腸炎の発症から保護されるからである(Kabashima et al., J Clin Invest. 109:883-893 (2002))。
本発明の目的は、5p13.1クローン病(CD)リスク座位におけるヒト個体の遺伝子型を決定する方法であって:
a)該個体からサンプルを準備すること;
b)ヒト染色体の座標40,300,000と40,600,000(ヒトゲノムの2006年3月集合体に対応する座標)の間に位置するDNA配列多型に対応するDNA配列が、該サンプル中に存在するか否かを決めること;
c)ヒト染色体の座標40,300,000と40,600,000の間に位置するDNA配列多型の遺伝子型の性質を、クローン病を発症する遺伝子リスクとの関連において、決定すること、
を含む方法によって解決された。
本発明は、5p13.1 CDリスク座位における個体の遺伝子型を決定する方法であって:
a)該個体から、ゲノムDNAを含む材料のサンプルを取得すること、ここで、該サンプルは、前記個体由来の有核細胞を含む任意の材料、血液、綿棒採取頬内上皮、尿、および任意の他の組織であってもよく、および、
b)
i)ヒト染色体の座標40,300,000と40,600,000(ヒトゲノムの2006年3月集合体に対応する座標)の間に位置するDSPに対応するDNA配列が、該サンプル中に存在するか否か、および、
ii)クローン病発症の遺伝子リスクとの関連において、該DSP遺伝子型の性質、
を確定すること、
を含む方法を提供する。
さらに、本発明は、5p13.1 CDリスク座位における個体の遺伝子型を決定する方法であって:
a)該個体からRNAを含む材料のサンプルを取得すること、ここで、該サンプルは、前記個体由来の有核細胞を含む任意の材料、例えば、血液、綿棒採取頬内上皮、尿、および任意の他の組織であってもよく、および、
b)逆転写酵素を用いてRNAをcDNAに変換すること、および、
c)
i)ヒト染色体の座標40,300,000と40,600,000(ヒトゲノムの2006年3月集合体に対応する座標)の間に位置するDSPに対応するDNA配列が、該サンプル中に存在するか否か、および、
ii)クローン病発症の遺伝子リスクとの関連において、該DSP遺伝子型の性質、
を確定すること、
を含む方法を提供する。
さらに、本発明は、5p13.1 CDリスク座位における個体の遺伝子型を決定する方法であって:
a)該個体からゲノムDNAを含む材料のサンプルを取得すること、ここで、該サンプルは、前記個体由来の有核細胞を含む任意の材料、例えば、血液、綿棒採取頬内上皮、尿、および任意の他の組織であってもよく、および、
b)
i)ヒト染色体の座標40,300,000と40,600,000(ヒトゲノムの2006年3月集合体に対応する座標)の間に位置するDSPに対応するDNA配列が、該サンプル中に存在するか否か、および、
i)CD治療の最適化との関連において、該DSP遺伝子型の性質、
を確定すること、
を含む方法を提供する。
その上さらに、本発明は、5p13.1 CDリスク座位における個体の遺伝子型を決定する方法であって:
a)該個体からRNAを含む材料のサンプルを取得すること、ここに、該サンプルは、前記個体由来の有核細胞を含む任意の材料、例えば、血液、綿棒採取頬内上皮、尿、および任意の他の組織であってもよく、および、
b)逆転写酵素を用いてRNAをcDNAに変換すること、および、
c)
i)ヒト染色体の座標40,300,000と40,600,000(ヒトゲノムの2006年3月集合体に対応する座標)の間に位置するDSPに対応するDNA配列が、該サンプル中に存在するか否か、および、
ii)CD治療の最適化との関連において、該DSP遺伝子型の性質、
を確定すること、
を含む方法を提供する。
好ましい方法では、DNA配列多型は、表2に列挙されるSNP(一塩基多型)の内のいずれかである。表2は、それぞれ、マーカーの特定番号、ヒトゲノムの2006年3月集合体による、染色体におけるSNPの位置、クローン病患者における表示ヌクレオチドの頻度、および、正常ヒト(コントロール群[Ctl])における表示のヌクレオチドの頻度を示す。
さらに、上記方法は、
i)表2に表示される、クローン病リスクの増加と相関する対立遺伝子が有るか、無いかの決定;
ii)ステップi)の情報に基づいて、前記個体が、クローン病を発症する遺伝的リスクを有するか、否かの判定、
を含む、ことが好ましい。
本発明の、別の実施態様では、方法は、
i)表2に表示される、クローン病リスクの増加と相関する対立遺伝子が有るか否かの決定;
ii)クローン病リスクの増加と相関する対立遺伝子が決定された場合、前記個体は、クローン病を発症する遺伝的リスクを有するとの判定、
を含む。
別の好ましい実施態様では、サンプルは、前記個体由来の有核細胞を含む任意の材料、例えば、血液、綿棒採取頬内上皮、尿、および任意の他の組織である。
さらに別の好ましいRNAは、前記サンプルから取得され、該RNAは、逆転写酵素によってcDNAに変換される。
本発明の一実施態様によれば、クローン病リスクの増加と相関する対立遺伝子は、図2Cに示される、IIIA、IIIC、IIA、IIB、IIC、IVBから成るハプロタイプから選ばれる。これらのハプロタイプ(例えば、IIIA、IIIC、IIA、IIB、IIC、IVB)はそれぞれ、類似ハプロタイプ群を代表することに注意しなければならない。言い換えれば、本発明の好ましい実施態様では、クローン病リスクの増加と相関する対立遺伝子は、図2Cに示されるハプロタイプ群IIIA、IIIC、IIA、IIB、IIC、IVBに含まれるハプロタイプから選ばれる。
さらに別の好ましい方法は:
iii)クローン病リスクの増加と相関する、CARD15、IL23R、OCTN、DLG5、TNFSF15、およびATG16L1から成る群から選ばれる、さらに別の対立遺伝子が、前記個体において存在するか否かの決定;および、
iv)もしも、5p13.1クローン病リスク座位におけるリスク対立遺伝子の存在の外に、iii)に表示されるクローン病リスクの増加と相関する対立遺伝子の内、どれか一つ以上が決定された場合、前記個体は、クローン病発症の遺伝的リスクがさらに増加するとの判定、
を含む。
5p13.1 CDリスク座位は、種々のタイプの、例えば、一塩基多型(SNP)、挿入・欠失(indel)、およびマイクロサテライトを含む、多数のDNA配列多型(DSP)を包含する。これらの多くは既知であり、dbSNPを含む一般公開データベースに編集保存される。これらのDSPは、互いに連鎖不平衡であり、五つのいわゆるハプロタイプブロックを定義する。各ブロックは、少数の共通ハプロタイプを含む。これらのハプロタイプの内あるものは、CD発症リスクを増し、一方、別のあるものは保護的である。本発明者らは、白人集団において、どのハプロタイプ(例えば、ハプロタイプIIIA、IIIC、IIA、IIB、IIC、IVB、図2Cを参照)が、リスク増加と相関するのか、どれがリスク(相対的)低下と相関するのかを定めた(例えば、ハプロタイプIVA、IIIB)。CD 5p13.1リスク座位の境界を知るならば、当業者であれば、同じ集団、または別の集団において優勢な、別の疾病相関ハプロタイプを特定することが可能であろう。
5p13.1 CDリスク座位における個体の遺伝子組成は、一つ、あるいは、好ましくはいくつかのDSPを用いてその個体の遺伝子型を決めることによって決定することができる。これは、当業者公知の、各種遺伝子型決定法を用いて実現することが可能である。理想的には、DSPは、被験個体のDNA中に存在するハプロタイプについて明瞭な識別を可能とするように選ばれる。
ある任意の個体について、5p13.1 CDリスク座位におけるハプロタイプ組成を知ることによって、該個体がCDを発症するリスクについて推定が可能とされる。5p13.1リスク座位におけるリスクハプロタイプは、約1.5の係数で相対的リスクを増す。最適予測は、CARD15、IL23R、OCTN、DLG5、TNFSF15、およびATG16L1を含む、他の、既知のCD遺伝子リスク座位と組み合わせた、5p13.1座位の遺伝子型に基づく。これは有用である。なぜなら、その予測によって、医師は、予防的生活習慣および治療の処方が可能となるからである。さらに、5p13.1は、プロスタグランジンEP4受容体の発現レベルを変えるので、その遺伝子型の知識は、この受容体もしくは対応経路のための、または、に対抗する、投薬の選択、またはその用量の調整において医師を助ける場合がある。
本発明はさらに、クローン病発病の可能性を判定するための方法であって、ヒト個体由来のサンプルを試験し、ヒト染色体の座標40,300,000と40,600,000(ヒトゲノムの2006年3月集合体に対応する座標)の間に位置するDNA配列が、表2に示す、クローン病リスクの増加と相関する対立遺伝子を含む、ヒト個体は、クローン病発病のリスクを有すると判定される、方法を提供する。本方法の好ましい実施態様では、クローン病リスクの増加と相関する対立遺伝子は、図2Cに示すIIIA、IIIC、IIA、IIB、IIC、IVBから成るCDリスクハプロタイプから選ばれる。
本発明はさらに、あるヒト個体が、クローン病発病の増大リスクを有するか否かを判定するための、ヒト5p13.1座位に位置する遺伝子マーカーの使用であって、前記マーカーが、DNA配列多型によって表される使用を提供する。
好ましい使用では、DNA配列多型は、表2に掲げる一塩基多型の内のいずれかである。さらに好ましくは、前記マーカーは、表2に示す、クローン病リスクの増加と相関する一塩基多型によって表わされる。その上さらに好ましくは、前記マーカーは、図2Cに示すIIIA、IIIC、IIA、IIB、IIC、IVBから成るクローン病リスクハプロタイプから選ばれる、クローン病リスク増加と相関する対立遺伝子によって表わされる。
本発明はさらに、ヒト個体において、5p13.1クローン病リスク座位における遺伝子型を決定するためのオリゴヌクレオチドであって:
a)ヒト染色体の座標40,300,000と40,600,000(ヒトゲノムの2006年3月集合体に対応する座標)の間に位置する配列の内、12から30の連続ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドで、表2に掲げるSNPの一位置を含み、前記位置は、表2に掲げるクローン病リスクと相関する各SNPに対応するヌクレオチドによって占められる、オリゴヌクレオチド;
b)(a)のオリゴヌクレオチドに対し完全に相補的であるオリゴヌクレオチド、
から成る群から選ばれるオリゴヌクレオチドを提供する。
定義
本発明の説明を通じて、この分野の科学に特異的な、いくつかの用語が使用される。明瞭さのため、かつ、誤解を完全に避けるために、これらの定義を、明細書および特許請求項の理解を助けるために提供する。
対立遺伝子:染色体の任意の座位に出現する、遺伝子、または、非遺伝的領域の、対合形、または連続形の内の一つである。対立遺伝子は、同じ基本符号によって表わされる(例えば、Bは優勢を表し、bは劣勢を表し;B1、B2、Bnは、ある座位におけるn個の付加的対立遺伝子を表す)。通常の2倍体細胞では、どの一遺伝子についても、相同染色体において同じ相対的位置(座位)を占める二つの対立遺伝子(各親から一つ)がある。集団内では、一遺伝子について二つを超える対立遺伝子がある場合がある。多重対立遺伝子を参照されたい。SNPも対立遺伝子を持つ、すなわち、該SNPを特徴づける二つ(またはそれ以上)のヌクレオチドを持つ。
核酸の増幅:例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、連結増幅(またはリガーゼ連鎖反応、LCR)などの方法、および、Q-ベータレプリカーゼの使用に基づく増幅法を指す。これらの方法は、当該技術分野において周知である。PCRを実行するための試薬およびハードウェアは市販されている。障害領域から得られた配列を増幅するのに有用なプライマーは、該障害領域中の配列、または、その中の標的配列に側接する領域中の配列に対し、好ましくは相補的であり、好ましくはそれに対し特異的にハイブリダイズする。
cDNA:RNA依存性DNAポリメラーゼ(逆転写酵素)の作用によって、RNA鋳型から生産される、相補的またはコピーDNAを指す。したがって、cDNAクローンは、クローニングベクター、または増幅PCRに含まれる、対象とするRNA分子に対して相補的な2本鎖DNA配列を意味する。本用語は、介在配列を取り除かれた遺伝子を含む。
cDNAライブラリー:cDNA挿入体を含む、組み換えDNA分子であって、総合的に、一生物または組織の発現遺伝子のほぼ全てを含む、DNA分子集合体を指す。cDNAライブラリーは、当業者に公知の方法によって調製することが可能である。一般に、所望の生物の細胞からRNAが先ず単離され、そのRNAを用いて、cDNA分子が調製される。
核酸配列の相補体(相補配列):元の配列に対し、ワトソン・クリック塩基対形成に参加するアンチセンス配列を指す。
遺伝子:その鋳型すなわちメッセンジャーRNAを通じて、ある特異的ペプチド、ポリペプチド、またはタンパクに特徴的なアミノ酸配列をコードするDNA配列を指す。「遺伝子」という用語はさらに、RNA産物をコードするDNA配列を指す。ゲノムDNAの参照において本明細書において使用される遺伝子という用語は、調節領域だけでなく、介在、非コード領域を含み、かつ、5′および3′末端を含むことが可能である。遺伝子配列は、その配列が、対象障害または病態によって冒されていない個体において通常認められる場合、野生型である。しかしながら、障害の最終的決定には、環境因子、および他の遺伝子も重要な役割を果たす可能性がある。同義遺伝子(オリゴ遺伝子障害)を含む複雑な障害という背景においては、野生型または正常配列もまた、全体集団におけるその頻度に基づく参照状態を考慮に入れると、相当程度のリスクまたは感受性と相関する可能性がある。
遺伝子マップ:障害の少なくとも一つの表現型に直接・間接に関与する、遺伝子(単数または複数)群と定義される(遺伝子マップの、ある非限定的例は、表8-10の遺伝子の各種の組み合わせを含む)。したがって、遺伝子マップによって、互いに協働的に作用する診断製品の開発、「治療診断薬」の創製が可能となる。
遺伝子型:ある特異的一座位または複数座位における、一組の対立遺伝子。
ハプロタイプ:個々の染色体、または二重螺旋DNAセグメントに沿って存在する、(通常連続的)DNAマーカーまたは他の多型座位群の対立遺伝子パターン。ハプロタイプは、個々の染色体または染色体セグメントを特定する。
一つの個体群の間で共有されるハプロタイプパターンの存在は、該ハプロタイプによって定義される座位が、共通の祖先から受け継がれてきたこと、すなわち、同祖的(IBD)であることを意味する。同祖ハプロタイプの検出は、連鎖不平衡(LD)マッピングの基礎となる。ハプロタイプは、世代を経る内に、組み換えおよび突然変異によってばらばらに分解される。ある場合、特異的対立遺伝子またはハプロタイプは、対象とする障害または病態、例えば、クローン病に対する感受性と相関することがある。別の場合では、対立遺伝子またはハプロタイプは、対象の障害または病態に対する感受性の低下と相関することがある、すなわち、保護的配列であることがある。
宿主:前核細胞および真核細胞を含む。本用語は、発現ベクター(例えば、自己複製的、または組み込みベクター)のレシピエントである生物または細胞を含む。
ハイブリダイズ可能:核酸は、該核酸の、少なくとも一鎖が、定められた厳格条件下に、別の核酸鎖に対してアニールすることが可能である場合、互いにハイブリダイズ可能である。ある実施態様では、ハイブリダイゼーションのために、二つの核酸は、少なくとも10個のほぼ相補的ヌクレオチドを含むことが必要とされる;しかしながら、ハイブリダイゼーションの厳格度に応じて、ミスマッチが容認される場合がある。核酸同士をハイブリダイズするための適切な厳格度は、核酸の長さ、相補性の程度に依存するが、本明細書に記載される方法にしたがって決定することが可能である。
同祖性(IBD):異なる個体におけるDNA配列の同一性は、それらが全て、共通の祖先から受け継がれたという事実に基づく。LDマッピングによって、一群の患者によって共有される障害遺伝子の、予想される確からしい位置としてのIBDハプロタイプが特定される。
同一性:当該技術分野で公知のように、配列比較によって決定される、二つ以上のポリペプチド配列、または二つ以上のポリヌクレオチドの間の関係である。当該技術分野では、同一性はさらに、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドのどちらでもその場に応じて適当な方の配列間の、それらの配列鎖間のマッチによって決定される配列関連性の程度を意味する。同一性および類似性は、既知の方法によって簡単に計算することが可能である。
単離核酸:(例えば、細胞、化学合成システム、またはファージまたは核酸ライブラリーから取得された場合)それらが会合される他の成分(例えば、DNA、RNA、およびタンパク)から分離された核酸である。単離核酸は、他の会合成分から、少なくとも60%、好ましくは75%、もっとも好ましくは90%分離される。本発明によれば、単離核酸は、本明細書に記載される方法、または、他の確立された方法、例えば、天然供給源(例えば、細胞、組織、または器官)からの単離、化学的合成、組み換え法、組み換え法と化学的方法の組み合わせ、およびライブラリースクリーニング法などの方法によって取得することができる。
連鎖不平衡(LD):2箇所以上の座位における対立遺伝子が、集団からサンプルされる個体において、個々の対立遺伝子頻度の積によって予測される頻度として一緒に出現することがない状況。言い換えれば、LDとして存在するマーカー同士は、ランダムな独立的分離というメンデルの第2法則には従わない。LDの出現は、いくつかの、人口統計的または集団アーチファクトの内のどれかによる場合もあるし、マーカー間の遺伝的連鎖の存在による場合もある。しかしながら、これらのアーチファクトがコントロールされ、LD源として除去された場合、LDの出現は、関与座位が、同じ染色体上で互いに近接して配置されるので、種々のマーカー(ハプロタイプ)に対する対立遺伝子の特異的組み合わせが共に遺伝されるという事実から直接生じる。高いLDとして存在するマーカー同士は、互いに近くに配置されると仮定することが可能であるし、ある遺伝形質に対し高いLDとして存在するマーカーまたはハプロタイプは、その形質に影響を及ぼす遺伝子の近くに位置すると仮定することができる。マーカー同士の物理的接近度は、該接近度が連鎖と呼ばれる家系調査、または該接近度が連鎖不平衡と呼ばれる集団調査において測定することができる。
LDマッピング:ハプロタイプ、すなわちマーカー変異パターンが、健康なコントロールに比べ、障害患者の間において統計的により高頻度に共有される、ゲノム領域を特定することによって、障害遺伝子の位置を定める、集団に基づく遺伝子マッピングである。この方法は、患者の多くは、共通の祖先(IBD)から障害に関連する対立遺伝子を受け継いでおり、かつ、この対立遺伝子は、障害遺伝子に対しLDとして存在するという仮定に基づく。
座位:染色体またはDNA配列に沿う特異的位置。背景に応じて、座位は、遺伝子、マーカー、染色体バンド、または、一つ以上のヌクレオチドから成る特異的配列であり得る。
マーカー:ある集団内の異なる個体において変動する(多型)、特定可能なDNA配列。これらの配列は、ある形質または遺伝子の継代の研究をやり易くする。このようなマーカーは、染色体に沿う遺伝子順序のマッピング、および、特定遺伝子の継代の追跡に使用される;該マーカーと緊密に連結する遺伝子、または該マーカーに対しLDとして存在する遺伝子は、一般に、該マーカーと共に受け継がれる。遺伝子分析では、一般に、二種類のマーカー、マイクロサテライトおよびSNPが使用される。
マイクロサテライト:縦列反復列として存在し、そのコピー数はきわめて変動性に富み、その座位に特異的な配列によって側接される、反復的で短いDNA配列を含む、真核細胞のDNA。
突然変異配列:一つ以上の野生型配列と異なる場合。ある場合、この対立遺伝子を担う個体は、対象障害または病態に対する感受性が増す。別の場合では、突然変異配列は、対象障害または病態に対する感受性を下げ、したがって、保護的に作用する対立遺伝子を指す場合もあり得る。突然変異という用語はさらに、多型座位の特異的対立遺伝子を表すために使用してもよい。
非保存的変異:任意のコドン位置における、一つ以上のヌクレオチドの変化によって、ポリペプチドにおける任意のアミノ酸残基が、非保存的アミノ酸置換によって置換されたポリペプチド配列が得られる変異。非保存的変異はさらに、非保存的アミノ酸置換を含むポリペプチドを含む。
核酸またはポリヌクレオチド:任意の長さの、プリンおよびピリミジン含有ポリマーで、ポリリボヌクレオチド、またはポリデオキシリボヌクレオチド、または、ポリリボ、ポリデオキシリボヌクレオチドの混合物のいずれかである。これは、1本鎖、および2本鎖分子、すなわち、DNA-DNA、DNA-RNA、およびRNA-RNAハイブリッドの外、アミノ酸バックボーンに対し塩基を接合することによって形成されるタンパク核酸(PNA)を含む。これはさらに、修飾塩基を含む核酸を含む。
ヌクレオチド:DNA分子の単位であるヌクレオチドは、塩基、2′-デオキシリボース、および、該デオキシリボースの5′炭素に結合するリン酸エステル(単数または複数)から構成される。DNAの中に組み込まれるためには、ヌクレオチドは、3個のリン酸エステルを所有しなければならないが、その過程において該エステルはモノエステルに変換される。動作可能的に連結される:とは、プロモーターが、遺伝子発現の起動をコントロールすることを意味する。プロモーターが、宿主細胞の中に導入されて、近位DNA配列(単数または複数)を一種類以上のRNAへ転写することを決めると、該プロモーターは、該近位DNA配列に対し動作的に連結される。プロモーターは、DNA配列に対し、該プロモーターが該DNA配列の転写を起動することが可能な場合、動作可能的に連結される。
表現型:障害の症状、または障害に対する感受性などの、生物の、目に見える、検出可能な、またはその他のやり方で測定可能な、任意の特性。
多型:異なるゲノム間、または個体間での、単一座位における、二つ以上の別様ゲノム配列または対立遺伝子の出現。したがって、多型部位は、変異が起こる座位を特異的に指す。ある多型のある特定の対立遺伝子を担う個体は、対象の障害または病態に対する感受性が増加するか、または低下するかする場合がある。
プローブまたはプライマー:とは、標的領域配列の少なくとも一部分に対する、該プローブまたはプライマー配列の相補性により、核酸の該標的領域の配列と共にハイブリッド構造を形成する、核酸またはオリゴヌクレオチドを指す。タンパクおよびポリペプチドは:同義語である。ペプチドは、ポリペプチドの断片または部分、好ましくは、完全なポリペプチド配列と同様の、少なくとも一つの機能的活性(例えば、タンパク分解、接着、融合、抗原性、または細胞内活性)を有する断片または部分と定義される。
組み換え核酸:組み換えDNA法によって生産される核酸であって、人工的複製法、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、および/または制限酵素によるベクター内クローニングなどに依存する手法によって生成される核酸を含む。
サンプル:本明細書で用いる場合、生物学的サンプル、例えば、個体、または動物から単離される組織または液体(例えば、ただしこれらに限定されないが、血漿、血清、脳脊髄液、リンパ、涙液、爪、毛髪、唾液、乳汁、膿、および組織浸出液および分泌液)、あるいは、インビトロ細胞培養体構成成分から単離される組織または液体の外、例えば、検査手順から取得されるサンプルを指す。
一塩基多型(SNP):単一ヌクレオチド変異体。これは、一ヌクレオチドの、別のヌクレオチドによる置換、および単一ヌクレオチドの欠失または挿入を含む。通常、SNPは、2対立遺伝子マーカーである。例えば、SNP A/Cは、対立遺伝子C、または対立遺伝子Aを含んでもよい。したがって、SNP A/Cを含む核酸分子は、多型位置にCまたはAを含んでもよい。SNPの組み合わせについて、「ハプロタイプ」という用語が使われる、例えば、互いに連鎖される、単一DNA鎖におけるSNP同士の遺伝子型である。ある実施態様では、「ハプロタイプ」という用語は、SNP対立遺伝子の組み合わせ、例えば、単一DNA分子において一緒に見出されるSNPの対立遺伝子の組み合わせを表すために用いられる。ある特定実施態様では、ハプロタイプのSNP同士は、互いに連鎖不平衡として存在する。
配列保存的:変異体とは、ある任意のコドン位置における、一つ以上のヌクレオチドの変化が、その位置においてコードされるアミノ酸に何の変化ももたらさない変異体(すなわち、沈黙突然変異体)。
事実上相同:核酸、またはその断片は、他の核酸(または、その相補鎖)に対し最適に整列された場合(適切なヌクレオチド挿入および/または欠失によって)、これらのヌクレオチド塩基の少なくとも60%、一般的には少なくとも70%、より一般的には少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは、該ヌクレオチド塩基の少なくとも95-98%にヌクレオチド配列の同一性が存在する場合、該他者に対し事実上相同である。それとは別に、ある核酸、またはその断片が、選択的ハイブリダイゼーション条件下に、別の核酸(または、その相補鎖)に対しハイブリダイズする場合、事実上の相同性が存在する。完全な特異性の欠如の場合よりも事実上選択的であるハイブリダイゼーションが起こる場合、ハイブリダイゼーションの選択性は存在する。通常、少なくとも約9個以上のヌクレオチドの鎖において、少なくとも約55%、好ましくは少なくとも約65%、より好ましくは少なくとも約75%、もっとも好ましくは少なくとも約90%の配列同一性が見られる場合、選択的ハイブリダイゼーションが起こる。本明細書で記載する場合、相同性比較の長さは、比較的長い鎖について行われる場合があり、ある実施態様では、多くの場合、少なくとも14ヌクレオチド、一般的には少なくとも20ヌクレオチド、より一般的には少なくとも24ヌクレオチド、典型的には少なくとも28ヌクレオチド、より典型的には少なくとも32ヌクレオチド、好ましくは少なくとも36以上のヌクレオチド鎖について行われる。
好ましい態様の詳細な説明
一局面では、本発明は、ある個体について、そのゲノムDNAを分析することによって、5p13.1 CDリスク座位における該個体の遺伝子型を決定する方法を提供する。この方法は、該個体由来のゲノムDNAを含む材料のサンプルを取得すること、および、ヒト染色体5の座標40,300,00と40,600,00の間(ヒトゲノムの2006年3月集合体に一致する座標)のDSP/マーカーに関してその遺伝子型を決定することを含む。マーカーは、マイクロサテライトマーカー、一塩基多型(SNP)、または挿入/欠失(indel)の内のいずれか、またはそれらの任意の組み合わせであってもよい。これらの多くは、dbSNPを含む一般公開データベースにリストされており、それ以外のものも、当業者であれば、一つ以上の個体の対応領域を改めて配列決定することによって簡単に生成することが可能である。これらのマーカーの遺伝子型に基づけば、かつ、本特許の後節に提示される情報を与えられるならば、当業者であれば、それらの個体のCDを発病するリスクが増大するか、減少するか、または、PTGER4受容体の機能に影響を及ぼす薬剤をCD患者に投与すべきか否かを決めることが可能である。サンプルは、前記個体由来の有核細胞を含む任意の材料であってもよい。
当業者に公知の、DSPにおける個体の遺伝子型を決めるための方法がいくつかある。これらは、該多型を包含するDNAセグメントをポリメラーゼ連鎖反応によって増幅することを含み、かつ、対立遺伝子特異的ハイブリダイゼーション、または3′エキソヌクレアーゼアッセイ(Taqmanアッセイ)、または、対立遺伝子特異的制限酵素の使用、または直接的配列決定、またはオリゴヌクレオチド連結アッセイ、またはパイロシークェンシング、またはインベーダーアッセイ、またはミニシークェンシング、またはDHPLCまたはSSCP、またはこれらの方法の組み合わせを用いて、変異ヌクレオチド位置を探索する。それとは別に、遺伝子配列および突然変異は、いずれかの対立遺伝子に対して特異的なプライマーによる、対立遺伝子特異的PCRを用いて確認することができる。方法に関するこのリストは、完全網羅的であることを意図するものではなく、単に、利用可能な方法の多様性を例示することを意図するものであるにすぎない。これらの方法のいくつかは、マイクロアレイ方式で実行することができる。
別の局面では、本発明は、5p13.1 CD感受性座位における個体の遺伝子型を、そのRNAを分析することによって決定する方法を提供する。この方法は、該個体からRNAを含む材料のサンプルを取得すること、および、ヒト染色体5の座標40,300,00と40,600,00の間(ヒトゲノムの2006年3月集合体に一致する座標)の多型マーカーに関してその遺伝子型を決定することを含む。サンプルは、前記個体由来の有核細胞を含むものであれば、いずれの材料であってもよい。ある特定のヌクレオチド配列がRNAサンプルの中に存在するか否か決めるために、当業者に公知の方法がいくつかある。そのような方法として、逆転写酵素によるRNAのcDNAへの変換、および、任意の多型の遺伝子型を決めるための、当業者公知の、前述の方法、およびその変法の運用が挙げられる。
図1は、CDに対する全ゲノム対合の結果を示す。311,882個のSNPの内、10,000個の最良SNPのP値(-log(p))を示す(灰白色円)。以前に記載された感受性座位の位置を矢印でマークする。我々のコホートで得られた、対合と報告されるSNP/突然変異に関して得られたp-値を、黒塗りドットで示し、対応するオッズ比(OR)を表示する。これらのSNP/突然変異の内、≦50 KbでIlluminaパネルに含まれるSNPについて得られたp-値を黒丸でマークする。確認コホートにおいて遺伝子型決定されたSNPを暗灰色ドットで示す。それぞれ、染色体3(rs11128423)および6(rs10485060)に位置し、WGA実験において<10-10のp-値を与える、二つのシングルトンSNPについて、複製サンプルにおいて遺伝子型の決定を行ったが、対合を示す確認証拠は得られなかった(データ示さず)。 図1−1の続きである。 図2のパネル(A)は、250 Kbウィンドウにおける、111 SNP間の対形成LD分析を示す。PHASE(Stephens M. et al., Am J Hum Genet. 68:978-989 (2001))によって同相とした遺伝子型について標準法を用い、r2(左下方)およびD′(右上方)を算定した。>0.93の数値は灰白色で、≦0.93の数値は、暗灰色でマークした。5個のLDブロックが簡単に特定されるが、それらは、対応するボックスIからVでマークする。 (B)ドット:WGAにおいて、もっとも重要な5p13.1マーカーの位置をカバーする250 Kbウィンドウ内に配される111 SNPを用いて行った、CDに対する単一マーカー対合分析の結果である。結果は、log(1/p)として表した。式中、pは、カイ二乗分析によって決定される対合のp-値に対応する。111個のマーカーの位置は、小三角形によって示される。LDブロック(I-V)の境界は、黒塗り三角で示される。ダイアモンド:250 Kbウィンドウ、28 ヒトHap300遺伝子型決定ビーズチップSNPマッピングにおける、PTGER4発現レベルに対するマーカー遺伝子型作用のlog(1/p)値。数値は、2を超える場合のみを示す。 (C)LDブロックII、III、およびIVのハプロタイプ分析。パネルは、ハプロタイプを示す。このパネルに示すハプロタイプは、連続配列を表していないことに注意されたい。これは、SNP位置のみが示され、これらのSNP位置の間のヌクレオチド配列は示されないことを意味する。まとめて調べた染色体の>93%を占めるハプロタイプを示す。祖先対立遺伝子は、判明した場合は、灰色で示す。近似ハプロタイプは、「クレイド(同源系統群)」としてまとめる(例えば、IIA、IIB、およびIIC)。ブロックIIおよびIIIでは、組み換えによるものと考えられるハプロタイプは、主要クレードの下にまとめられ、それに応じてマークされる。CD患者(CD)、およびコントロール(CTR)における対応ハプロタイプおよびクレイドの頻度を示す。CDにおける、クレイドに基づく対合試験のp-値(カイ二乗検定)を、下に、組み換え事象によって区切られる間隔について示す。ブロック内組み換えのおよその位置を、p-値間の垂直線でマークする。IIIBaサブクレイドを形成する、2個のハプロタイプを示す。 図2−3の続きである。
実施例1:遺伝子型決定
Illumina HumanHap300遺伝子型決定ビーズチップ(Gunderson K.L. et al, Nat Genet. 37:549-554 (2005))において、汎ゲノムスキャンのための遺伝子型決定を行った。"Pre-designed SNP Genotyping(「予備設計SNP遺伝子決定」)"または"Custom TaqMan SNP Genotyping(「特注型TaqMan SNP遺伝子型決定」)"アッセイ(Applied Biosystems, Foster City, CA)による、TaqMan MGBプローブ使用のABI7900HT配列検出システムによって個別SNPの遺伝子型決定を行った。
実施例2:対合分析
Fischerの厳密検定(汎ゲノムスキャン)、またはカイ二乗独立度検定(確認分析)を用いて対合分析を行った。もっとも有意な対合結果に対する、集団構造の可能な作用について試験するために、Setakisらのロジスティック回帰法(Genome Research 16: 290-296 (2006))を用いた。このロジスティック回帰に含められる110個のコントロールマーカーは、100%の遺伝子型成功率を持ち、対立遺伝子頻度はわずか>30%であり、いずれの2マーカーも20 Mb内に存在しなかった。隣接ブロックIIの作用に対するブロックIの可能な作用について試験するために、任意のIIクレイドの内部に組み込まれるIハプロタイプクレードの比(IIAにおける、IA、IB、およびICのf.i.比)を、カイ二乗を用いて症例とコントロールの間で比較した。IIクレイド全体に亘ってカイ二乗値(およびd.f.)を合計し、全体(I/II)試験統計量を得た。
実施例3:発現データベース
データベース汎ゲノム発現分析データが、W. Cookson(Imperial College, London)によって提供された。簡単に言うと、発現データは、根幹家族における378の遺伝子型決定済み子孫から得たEBV変換細胞から抽出したRNAから生成された。Affymetrixアレイにおける個別転写物の注記は、Affyemetrix NetAffxデータベース(www.affymetrix.com)から引き出した。遺伝子発現実験のデータは、全ての技術的または擬似の背景的変動を除去するために、RMA(Robust Multi-Array Average)パッケージ(Irizarry R.A. et al., Biostatistics 4: 249-264(2003), Bolstad B.M. et al., Bioinformatics 19: 185-193(2003))を用いてまとめて正規化した。全ての規格外れを回避するために、各形質に対し逆向き正規化変換ステップを適用した。Merlin回帰(RandomSample選択)(Abecasis G.R. et al., Nat Genet 30: 97-101(2002); Sham P.C. et al., Am J Hum Genet 71: 238-253(2002))を用いて各形質の遺伝度を評価するために、成分分散法を用いた。PTGER4については、-0.017の定量的発現平均値、および0.722の分散が得られた一方で、同胞群データを用いて評価したPTGER4の遺伝度推定値は、0.844であった。対合分析は、Merlin(FASTASSOC選択)によって行った。SNPに対する加重作用を推定し、その有意性を、親近性について調整し、かつ、見逃し遺伝子型の推定における不確実性を考慮する、スコア試験を用いて検定した。
結果
Illumina HumanHap300遺伝子型決定ビーズチップからの遺伝子型データを、ベルギーの547名の白人CD患者から取得し、これを、ベルギーおよびフランスの928名の健康なコントロールと比較した。調査に含めた全ての個体において遺伝子型コールレート(call rate)は>93%であった。利用可能な合計317,497個のSNPの内、遺伝子型決定の成功率が91%未満であるか、または、コントロールのHardy-Weinberg比から偏倚する(Fisherの厳密試験p≦10-3)5,615個は、その後の分析から除いた。なぜなら、これよりも信頼度の低いマーカーは、無根拠の対合を生み出すことが知られているからである。残りの311,882個のSNPについて、我々は、後述のように、対立遺伝子頻度を、症例とコントロールの間で比較した。
図1は、ヒトゲノム全体に亘って得られた、10,000個のもっとも有意なp-値を示す。染色体1、5、および16上の領域は、10-6と10-10の間の有意性レベルにおける対合の証拠を示すマーカー集落を抱えていた。これらのマーカーに関する対合試験の有意性は、逆向きステップワイズ回帰を用いて集団構造による可能な作用について調整した後も、この範囲に留まっていた。もっとも強力な対合は、染色体1におけるIL23R遺伝子のマーカーにおいて認められた。これは、近年、白人およびユダヤ人コホートに関する症例・コントロール、および家族性対合試験において新規CD感受性座位として特定されている。今回のデータでは、IL23R遺伝子の二つのマーカー、rs11209026およびrs11465804が、もっとも有意性の高い対合信号を与えた(p<10-9)。rs11209026は、IL23RにおけるArg381Gln置換に一致し、一方、rs11465804は、イントロン性で、前者マーカーに対し強力なLDとして存在する。CDに対して特定された最初の感受性遺伝子である、染色体16におけるCARD15遺伝子内のマーカーも、対合を示唆する証拠を示した(rs5743289;p<10-6)。従来報告される他の感受性座位、例えば、OCTN、DLG5、TNFSF15、およびATG16L1などに関するWGA結果も調べた。これらのいずれも、本試験では対合について同様の有意性レベルを獲得しなかった。これらの座位において、文献においてCDに対合すると報告される他のSNPに関しても、我々のコホートにおいて遺伝子決定を行ったが、ATGL16L1内のThrのAla置換に対応するrs224188(p<2x10-4)を除いて、信号は改善されなかった。これによって、始めてこの新規感受性座位が確認された。
対合試験では、染色体5p13.1において、p<10-6を持つ6個のマーカーを含む、約250Kbの領域が特定された。この領域は、CD感受性座位としてこれまで報告されたことがない。別の、最大1,266名の白人CD患者、および別の559名のコントロールにおける遺伝子型決定確認試験のために、IL23Rおよび5p13.1の領域由来の10個のマーカーを選んだ。この遺伝子型決定確認試験には、IL23R座位が含められた。これら二つの座位における対合は、IL23Rでは4.2x10-7、5p13.1では3.7x10-4という低いp-値によってはっきりと重複された(表1)。WGAおよび複製試験の結合データでは、IL23Rでは2.2x10-18、5p13.1では2.1x10-12という低いp-値が得られた。伝達不平衡試験(TDT)を行うために、同じSNPに対し非発症親を含むトリオについて遺伝子型決定をした。本症例・コントロール試験に含まれる、発症子供を含む137のトリオにおいて10個のSNPの遺伝子型が決定され、一方、5p13.1 SNPの内二つが、同様にベルギー出身で、別の291名の独立トリオについて遺伝子型決定された。両座位において、対合対立遺伝子の、有意な過剰伝達が認められた。これによって、IL23R1および5p13.1感受性座位を支持する、さらに別の確証が得られた(表1)。
この新規5p13.1座位の特徴をさらに明らかにするために、1,092名のCD患者および374名のベルギー人コントロールのサブセットについて、250Kbセグメントに広がる111個のマーカー(表2)(平均間隔:2.3Kb)について遺伝子型決定した。各個体についてもっとも可能性の高い連鎖相をPHASEによって決定し、対応するハプロタイプ頻度を用いて、全てのマーカーペア間の連鎖不平衡(LD)レベルを定量した。この250Kbは、5個の、明瞭に区切られるLDブロックを包含し、中央のもの(ブロックIII)がもっとも大きく、122Kbの広がりを持っていた(図2A)。最初の単一マーカー対合分析を行った。もっとも強力な作用は、122KbのブロックIII内に観察され、いくつかのSNPは、<10-5のp-値を生成した。側接ブロックIIおよびIVでは、それぞれ、<10-3および<10-4のp-値が観察された(図2B)。次に、ブロックIIからIVがまたがる領域のハプロタイプ分析を行った。ブロックIIIでは、20個のハプロタイプが観察染色体の93%を占めた。これらは、それぞれ、6個(IIIA)、6個(IIIB)、および2個(IIIC)のハプロタイプを含む三つのクレイド、プラス、外見上種々の組み合わせ事象から発生したと思われる、6ハプロタイプの群に分類することが可能と考えられた。同様にブロックIIを評価したところ、三つのクレイド(それぞれ、2(IIA)、3(IIB)、および2(IIC)ハプロタイプを持つ)、および二つの組み換えハプロタイプが明らかにされ、一方、ブロックIVは、それぞれ、2(IVA)および1(IVB)ハプロタイプを持つ二つのクレイドによって特徴づけられた。症例およびコントロールにおけるこれらのクレイド頻度を、祖先組み換え事象によって区切られる間隔について比較した(図2C)。単一マーカー分析の結果と一致して、もっとも有意な対合は、ブロックIIIにおいて見られ、次いで、IVおよびIIであった。5p13.1の全体作用が、ブロックIIIのみによる可能性(すなわち、ブロックIIおよびIVについて観察された作用は、単にブロックIIIの作用のエコーに過ぎないという可能性)を確かめるために、記述のように多変量解析を行った。ブロックIIIを条件とするブロックIIおよびIVのクレイド作用、およびその逆は、有意性を維持した(p(II/III)=0.023;p(III/II)=0.0004;p(IV/III)=0.003;p(III/IV)=0.026)。これは、この領域の複数の変数が共同してCDに対する観察された作用に寄与する可能性を示唆する。ブロックIIおよびIIIに共通に出現する組み換えハプロタイプは、有意性の局所的低下を引き起こした。これは、原因変異は、対応サブセグメントの外部にあることを示唆する(図2C)。
EnsemblおよびUCSCゲノムブラウザーによって調べたところ、5p13.1における対合領域内には、既知の遺伝子またはCpGアイランドは見出されなかった。この領域は、38%の平均G+C含量を有し、かつ、主に、過剰なLINE1(33.05%対19.6%)、およびLTR要素(15.36%対7.70%)による、GC含量(58.36%対42.3%)なる、過剰な散在反復列を持つ。これは、98個のPhastcon保存要素を含む。これは、DAB2(ブロックから850Kb離れる)、およびPTGER4(ブロックから270Kb離れる)の間の、1.25Mbの遺伝子砂漠の一部である。興味あることに、この領域に側接する遺伝子のいくつかは、CDの病因に関与するか、あるいは、CDに関与することが示されている遺伝子と関連する。そのようなものとして、カスパーゼ動員ドメインファミリー(CAD6)、三つの補体因子(C6、C7、およびC9)、および、もっとも注目すべきことに、この一群の病気関連マーカーのもっとも近くに存在する、プロスタグランジン受容体EP4(PTGER4)が挙げられる。
一つの仮設は、この病気対合領域は、近傍に配置される原因遺伝子(単数または複数)の発現レベルを調節する、cis-作用調節要素を含み、かつ、原因変異は、これらの要素の活性を変調するとする。この仮設を試験するための第1ステップとして、本疾患の対合領域におけるSNPの、近接遺伝子の発現レベルに対する作用を調べた。その目的のために、Illumina HumanHap300遺伝子型決定ビーズチップによって遺伝子決定した378名の個体から得た、EBV変換リンパ芽球細胞系統において測定した、全ゲノム遺伝子発現データベース(Affyemetrix HG-U133 Plus 2.0チップ)を利用した。驚くべきことに、264Kbに広がる26個のIlluminaマーカーの内7個は、CD対合領域と正確に一致し、PTGER4について6.7x10-5と1x10-3の間のp-値を与えた(図2B)。PTGER4発現に影響を及ぼすマーカーの内3個は、ブロックIIIに配される(rs16869977、rs10512739、およびrs6880934)。最初の2個は、IIIBaサブクレイドを標識し(r2=1)(図2C)、一方、三番目は、該サブクレイドに対し完全なLDとして存在する(D′=1)。対応するSNPおよびIIIBaハプロタイプは、CDとの対合の証拠を示さなかった。それぞれ、ブロックIV(rs4495224)およびV(rs7720838)に配される、二つの強力な対合SNP(D′=0.84)は、PTGER4の発現に対しもっとも有意な作用を示し、さらに、CDとも対合した(表1)。rs4495224 Aおよびrs7720838 Tのリスク対立遺伝子は、PTGER4の発現増加と対合した。これらの結果は、本疾患対合多型は、この領域における一つ以上の遺伝子の発現レベルと関連する可能性があるとする仮設を支持するようである。
CDは、炎症性腸疾患(IBD)の内もっとも一般的形態であり、他者は、潰瘍性腸炎(UC)である。本発明の試験では、246名のベルギー人UC患者(白人)から成るコホートにおいて、IL23R(rs11209026)、ATG16L1(rs2241880)、および新規5p13.1座位(rs4613763)について遺伝子型決定を行った。IL23R(p=1.2x10-3;OR:2.51)に対しては有意な対合が認められたが、ATG16L1(p=0.78)に対しては認められなかった。UCに対する、新規5p13.1座位の作用は無かった(p=0.54)。UCにおける役割を完全に排除するにはさらに別の試験が必要ではあるが、これらの結果は、5p13.1座位の主要感受性作用は、CDに対するものであることを示唆する。ATG16L1および5p13.1座位において観察されたCDリスクへの限局は、CARD15において観察されたものと近似する。
本発明は、WGAによって明らかにされた、5p13.1におけるCDに対する新規重大感受性座位の位置を記載する。もっとも強力な対合領域は、既知のタンパクコード遺伝子を欠如する遺伝子砂漠と一致する。観察される作用は、この領域内にマップされる現在未知の転写物によって仲介される可能性がある。事実、HT1080線維肉腫細胞系統または骨髄(例えば、BG182136、BG184600)発祥の、ごく少数の、スプライス、および非スプライスESTがこの領域にマップされる。一方、別の説明は、本疾患対合領域は、比較的遠方の遺伝子の発現を調節する、cis-作用要素を含むとするものである。本発明は、CD対合領域における遺伝子変異体が、PTGER4、すなわち、270Kbの近位に配される、知られるもっとも近い遺伝子の発現レベルを差別的に調節することを明らかにすることによって、後の仮設を支持する証拠を提供する。PTGER4は、CDに対するもっとも強力な候補遺伝子である。なぜなら、ノックアウト(KO)マウスは、他の、七つのタイプの、プロスタノイド受容体のどれかを欠如したマウスと反対に、デキストラン硫酸ナトリウム処置に対し重篤な腸炎を発症することが知られるからである。さらに、腸炎に対する感受性増加は、EP4選択性拮抗剤を投与された野生型マウスでも観察され、一方、EP4選択性作用剤は保護的である。特に、マーカーrs4495224におけるCD感受性対立遺伝子は、リンパ芽球細胞系統におけるPTGER4転写物レベルの増加と対合することが観察されている。この所見は、疾患感受性と、PTGER4発現の間の直接的リンクを決定的にする。ただし、作用の方向は、KOマウスにおける結果と見かけ上矛盾する。各種組織におけるPTGER4発現に対する、本疾患対合領域における遺伝子変異の作用、および、PTGER4レベルと、CD感受性との間の可能な連関に関して詳細な研究が確かに必要とされており、その目標に向けた作業が現在進行中である。5p13.1 CD感受性座位は、PTGER4の発現レベルを変調することによって作動するとする仮設は、マウスの対応配列を、ヒトのオーソロガス(orthologous、異種間相同)変異体で置換し、マウスのKO対立遺伝子を定量的に補償することによって試験することが−少なくとも理論的には−可能と考えられる。本結果は、CDに対する5p13.1の作用は、複数の感受性変異体の結合作用による可能性のあることを示唆する。対合領域におけるもっとも一般的ハプロタイプの特定に向け、現在、それらの広汎な配列決定が進行中である。
表1:IL23Rおよび5p13.1座位、および5p13.1に関するTDTの、一次的および確認的対合分析の結果(コントロール[Ctl]、症例[Cas.])
Figure 2010519895
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表2:5p13.1 CD対合領域におけるSNP。図2に示すLDブロックの限界を、右側カラムにマークする。番号付きSNPは、図2に示したものと一致する。したがって、リスク増大・対・リスク減少と対合する対立遺伝子の特定が可能である。本表では、「位置」コラムにおいて、その座標が、ヒトゲノムの2006年3月集合体に一致する、ヒトの染色体におけるヌクレオチド位置が示される。本表ではさらに、位置の変異、および、コントロールよりもクローン病においてより高頻度の対立遺伝子が示される。
Figure 2010519895
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Claims (15)

  1. 5p13.1クローン病リスク座位におけるヒト個体の遺伝子型を決定する方法であって:
    a)該個体からサンプルを準備すること;
    b)ヒト染色体の座標40,300,000と40,600,000(ヒトゲノムの2006年3月集合体に対応する座標)の間に位置するDNA配列多型に対応するDNA配列が、該サンプル中に存在するか否かを決めること;
    c)ヒト染色体の座標40,300,000と40,600,000の間に位置するDNA配列多型の遺伝子型の性質を、クローン病を発症する遺伝子リスクとの関連において決定すること、
    を含む方法。
  2. 前記DNA配列多型が、表2に列挙されるSNP(一塩基多型)の内のいずれかである、請求項1に記載の方法。
  3. i)表2に表示される、クローン病リスクの増加と関連する対立遺伝子が有るか、無いかの決定;
    ii)ステップi)の情報に基づいて、前記個体が、クローン病を発症する遺伝的リスクを有するか否かの判定、
    を含む、請求項1または2に記載の方法。
  4. i)表2に表示される、クローン病リスクの増加と関連する対立遺伝子が有るか否かの決定;
    ii)クローン病リスクの増加と関連する対立遺伝子が決定された場合、前記個体は、クローン病を発症する遺伝的リスクを有するとの判定、
    を含む、請求項1または2に記載の方法。
  5. クローン病リスクの増加と関連する前記対立遺伝子が、図2Cに示される、IIIA、IIIC、IIA、IIB、IIC、IVBから成るCDリスクハプロタイプから選ばれる、請求項3または4に記載の方法。
  6. 前記判定が、5p13.1 CDリスク座位における前記CDリスクハプロタイプの存在は、CDリスク対立遺伝子が不在の症例に比べて約1.5の係数で相対的リスクを増加させるとみなす、請求項5に記載の方法。
  7. 前記方法が:
    iii)クローン病リスクの増加と関連する、CARD15、IL23R、OCTN、DLG5、TNFSF15、およびATG16L1から成る群から選ばれる、さらに別の対立遺伝子が、前記個体において存在するか否かの決定;および、
    iv) 5p13.1クローン病リスク座位におけるリスク対立遺伝子の存在に加えて、iii)に表示されるクローン病リスクの増加と関連する対立遺伝子の内、どれか一つ以上が決定された場合、前記個体は、クローン病発症の遺伝的リスクがさらに増加するとの判定、
    を含む、請求項3から5のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記サンプルからRNAが取得され、該RNAが、逆転写酵素によってcDNAに変換される、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
  9. クローン病発病の可能性を判定するための方法であって、ヒト個体由来のサンプルが試験され、ヒト染色体の座標40,300,000と40,600,000(ヒトゲノムの2006年3月集合体に対応する座標)の間に位置するDNA配列が表2に示すクローン病リスクの増加と関連する対立遺伝子を含むヒト個体は、クローン病発病のリスクを有すると判定される、方法。
  10. クローン病リスクの増加と関連する対立遺伝子が、図2Cに示すIIIA、IIIC、IIA、IIB、IIC、IVBから成るCDリスクハプロタイプから選ばれる、請求項9に記載の方法。
  11. あるヒト個体がクローン病発病の増大リスクを有するか否かを判定するための、ヒト5p13.1座位に位置する遺伝子マーカーの使用であって、前記マーカーが、DNA配列多型によって表される、使用。
  12. 前記DNA配列多型が、表2に掲げる一塩基多型の内のいずれかである、請求項11に記載の使用。
  13. 前記マーカーが、表2に示すクローン病リスクの増加と関連する一塩基多型によって表わされる、請求項11に記載の使用。
  14. 前記マーカーが、図2Cに示すIIIA、IIIC、IIA、IIB、IIC、IVBから成るクローン病リスクハプロタイプから選ばれる、クローン病リスク増加と関連する対立遺伝子によって表わされる、請求項11に記載の使用。
  15. 5p13.1クローン病リスク座位におけるヒト個体の遺伝子型を決定するためのオリゴヌクレオチドであって:
    a)ヒト染色体の座標40,300,000と40,600,000(ヒトゲノムの2006年3月集合体に対応する座標)の間に位置する配列の内、12から30の連続ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドで、表2に掲げるSNPの内の一位置を含み、前記位置が、表2に掲げるクローン病リスクと相関する各SNPに対応するヌクレオチドによって占められる、オリゴヌクレオチド;
    b)(a)のオリゴヌクレオチドに対し完全に相補的であるオリゴヌクレオチド、
    から成る群から選ばれる、オリゴヌクレオチド。
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