JP2010518855A - 細胞培養に有用な基体およびそれを製造し、使用する方法 - Google Patents
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Abstract
表面が均一な結晶形態を有する結晶により被覆された基体を本明細書において記載する。この被覆基体は、例えば、骨細胞に対する再吸収試験など、細胞に対して培養および機能性アッセイを実施する上で有用である。このような被覆基体を製造する新規な方法も開示する。
Description
本出願は、参照として本明細書に援用される、2007年2月22日に出願された米国仮特許出願第60/902,665号明細書の利益を主張する。
本発明は、細胞培養表面の被覆に関する。本発明は、より具体的には、ヒドロキシアパタイトから誘導される細胞培養表面の被覆に関する。本発明はまた、これらの被覆を製造し、使用する方法に関する。
細胞のインビトロ培養は、細胞生物学研究に必要な材料を提供し、薬理学、生理学および毒物学の分野を進歩させるための多くの基礎を提供する。しかしながら、細胞培養培地に浸された培養容器中のインキュベーターに生存する単離培養真核細胞は、インビボでの個々の細胞と比較して、極めて異なった特性を有することが多い。真核細胞の一次培養物および二次培養物に対して実施された実験から得られた情報は、培養された細胞が無処置細胞と同じ特性を有する範囲でのみ薬理学者、生理学者および毒物学者に対する情報となる。
細胞は、細胞培養容器の表面上に増殖することができる。例えば、液体培地中の細胞を、細胞培養フラスコや多ウェル培養プレートなど、インキュベーターなどの好適な環境に置かれた細胞培養容器内に導入してから、その細胞を、細胞培養容器の表面上に沈降させて付着、増殖および分裂させることができる。しかしながら、なかには、特定の表面上で増殖させると、他よりも実績の良好な細胞がある。より自然的な表現型を維持し、最適なインビトロデータを提供するために異なった表面を必要とする細胞もある。
細胞培養の条件は、培養液中の細胞特性に影響を及ぼし、したがって培養液中の細胞から得られたデータ値に影響を及ぼす。当業界では、インビボ細胞の挙動とより関連性の高いデータを提供するための細胞培養表面と条件を提供することが求められている。
開示された組成物、物品、および方法の目的に従って、表面が均一な結晶形態を有する結晶により被覆された基体を本明細書において具体化し、説明している。被覆基体は、例えば、骨細胞などの細胞を培養し、採取する上で有用である。このような被覆基体を製造するための新規な方法もまた開示している。さらなる利点は、以下の説明にある程度示されており、その説明からある程度明らかになるか、または下記の態様の実施により分かる。下記の利点は、具体的に添付の特許請求の範囲で指摘された要素および組み合わせによって実現し、達成されるであろう。前述の一般的な説明および以下の詳細な説明の双方とも、例示および説明のみを目的とするものであり、限定するものではないことを理解されたい。
本明細書に組み込まれ、その一部を構成している添付の図面は、下記の幾つかの態様を例示している。
本明細書に記載された材料、化合物、組成物、物品、装置、および方法は、開示された主題の具体的な態様についての以下の詳細な説明およびそれに含まれる実施例ならびに図面を参照することによってさらに容易に理解することができる。
当該材料、化合物、組成物、物品、装置、および方法を開示し、説明する前に、下記の態様は、特定の合成法または特定の試薬に限定されず、したがってもちろん、変え得ることを理解すべきである。また、本明細書に用いられる用語は、特定の態様の説明のみを目的としており、限定の意図はない。
説明および添付の特許請求の範囲に用いられる単数形の「a」、「an」および「the」は、その文脈により明らかに別段に示されない限り、複数の指示物を含む。したがって例えば、「a composition」の記述は、このような組成物の2つ以上の混合物を含み、「a precursor」の記述は、このような前駆体の2つ以上の混合物を含む。
「場合によって」または「場合により」とは、その後に記載された事象または状況が生じることも生じないこともあり得ること、ならびにその記述がその事象または状況が生じる事例および生じない事例を含むことを意味する。
本明細書に開示された一定の材料、化合物、組成物、および成分は、市販品を入手できるか、または当業者に一般的に知られた技法を用いて容易に合成することができる。例えば、開示された化合物および組成物の調製に使用される出発材料および試薬は、商品供給元から入手できるか、または当業者に知られた方法により調製される。
開示された材料、化合物、組成物、物品、および方法の具体的な態様につき、ここで詳細に述べるが、それらの例は、添付の実施例および図面に例示されている。
接着性動物細胞の培養は一般に、生物学的培地の存在下、基体に細胞を播種することによって実施される。細胞がインビボと同様の様式で接着しかつ機能する環境を提供する上で細胞培養の基体ならびに培地は重要である。細胞を培養する場合、多数の種々のタイプの疾患、ならびにこれら疾患を治療または予防するための可能な薬物を研究するための研究ツールをこれによって提供することができる。
ヒドロキシアパタイト(Ca5(PO4)3OH)は、その優れた生体適合性および生物活性のため、インプラント材料として研究されている。ヒドロキシアパタイトは、基体に被覆されると種々の異なった結晶形で存在し得る。ヒドロキシアパタイトの形態は、骨細胞などの細胞を良好に培養および採取する上で重要であり得る。接着細胞の評価を可能にするため、ならびにヒドロキシアパタイトの再吸収または付加などの細胞機能の結果、ヒドロキシアパタイト被覆における変化の評価を可能にするために、基体上に被覆された結晶の形態は薄く、下位(underlying)の基体に対して接着性が良く、厚さが均一であることが望ましい。
したがって、例えば、骨細胞などの細胞の培養を促進させる基体が求められている。これらの基体は、均一な結晶形態を有することが求められている。さらに必要に応じて、細胞培養を制御しかつ細胞応答を最適にするのに有用となり得る結晶形態(例えば、結晶のサイズ、形状、および配向)を容易に制御することが望ましいと考えられる。最後に、不純物の可能性を最少にしながら経済的な様式で実施され得る方法を用いて、細胞培養用の基体を製造することが望ましいと考えられる。これらの要求に応える基体およびそれらを製造する方法を本明細書に記載する。
被覆された基体およびそれらを製造し、使用する方法を本明細書に記載する。一態様において、リン酸カルシウムなどの結晶で基体を被覆する方法は、以下のステップ:
(a)結晶を製造するために、複数の前駆体成分を有し、7.0未満のpHを有する溶液と基体とを接触させるステップと;
(b)その溶液に対して基体を反転させるステップと;
(c)反転基体を、インキュベーション中に発生したガスを逃がすようにインキュベートし、基体の表面に結晶性被覆を生じさせるステップと、
を含む。
(a)結晶を製造するために、複数の前駆体成分を有し、7.0未満のpHを有する溶液と基体とを接触させるステップと;
(b)その溶液に対して基体を反転させるステップと;
(c)反転基体を、インキュベーション中に発生したガスを逃がすようにインキュベートし、基体の表面に結晶性被覆を生じさせるステップと、
を含む。
本明細書に用いられる用語の「基体」とは、結晶が沈着できる表面を有する任意の物品である。この基体は、被覆された基体の所望の最終用途に依って多くの形状およびサイズをとることができる。一定の態様において、基体は溶液を収容することができる。例えば、基体は、溶液を収容し、保持できる1つまたは複数のウェルまたは窪みを有することができる。このような基体の例としては、各ウェルが溶液を収容できる種々の直径および高さの複数のウェルを有するマイクロウェルプレートが考えられる。あるいは、基体はスライドのような平面であってもよい。
基体は、種々の異なった材料から調製することができる。一態様において、基体はポリマーであり得る。このようなポリマーの例としては、限定はしないが、ポリエステルのホモポリマー類およびコポリマー類、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリ(メタ)クリレート、ポリオレフィン、ポリオレフィンコポリマー、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、またはエチレン/ビニルアセテートコポリマーが挙げられる。ポリマー類のブレンドもまた知られており、本出願にも考慮することができる。これらのブレンドとしては、限定はしないが、ポリカーボネート/ABS、PVC/ABS、ポリフェニレンオキシドおよび耐衝撃性ポリスチレンなど市販品として入手できる材料を挙げることができるが、また、上記に掲げたホモポリマー類およびコポリマー類の新規なブレンドを挙げることもできる。これらのポリマー類は、ウェル、複数ウェルプレート、フラスコ、窪みまたは不規則な表面構造を有する基体などを含む細胞培養容器内に形成することができる。さらにこの基体は、細胞培養ウェルの側壁を形成するために、水不浸透性様式で基体上に置かれた構造を有する、ガラススライド、またはポリマー材料のシートなど、基体に形成された実際上のウェルを有する細胞培養容器であってもよい。
図1は、ウェル10の形体における基体100を例示している。図1に示されているようにウェルは反転している。基体100は、細胞培養ウェルの底部または側壁であり得る表面30を有する。図1は、本発明の一実施形態において基体100のウェル10の底部に被覆20を例示している。
一態様において、ポリマー基体を修飾することができる。ポリマー基体を修飾することによって、基体の電荷を変化させるか、活性な化学部分を含ませるか、表面酸素量を増加させるか、あるいは基体の形状またはトポロジーを変更させることができる。例えば、基体の表面を、コロナ放電、プラズマ処理(活性化またはイオン化できるアンモニア、窒素、酸素、亜酸化窒素、二酸化炭素、空気、または他のガス類)、熱、紫外線照射、γ線照射、UVオゾン、またはマイクロ波エネルギーなどのエネルギーに曝露させることができる。表面酸素の増加により、一定の態様において望ましいと考えられる基体の親水性を増加させることができる。基体表面の処理により、結晶形成を促進させ得る基体上の全表面電荷を変化させることもできる。さらに表面処理により、表面自由エネルギーを変化させることによって表面の湿潤性を変えて湿潤ヒステリシスを誘導し、反転後に適切(in place)にインキュベーション中の液体保持を補助することができる。一態様において、基体は、表面酸素量を増加させるためにプラズマ処理されたポリスチレンである。
別の態様において、基体は無機材料である。無機材料の例としては、表面を酸化することができる金属および半導体材料、ガラス、およびセラミック材料が挙げられる。基体材料として使用することができる金属の例は、アルミニウム、クロム、チタンおよびスチールの酸化物である。半導体材料を、基体材料に使用することができ、シリコンおよびゲルマニウムを挙げることができる。ガラスおよびセラミック材料を、基体材料に使用することができ、石英、ガラス、磁器、アルカリ土類アルミノホウケイ酸塩ガラス、ソーダ石灰ケイ酸塩ガラスおよび他の混合酸化物を挙げることができる。無機基体材料のさらなる例としては、亜鉛化合物、雲母、シリカおよび無機単結晶材料が挙げられる。基体は、上記の任意のポリマー材料または無機材料が被覆されたベース基体を含むことができ、したがって層状システムを生じることが考慮されている。例えば、シリカで被覆されたベース基体は、結晶形成のために有用な支持体を提供する。
本発明の一態様において、この方法の最初のステップは、結晶を製造するために、基体を、複数の前駆体成分を有する溶液と接触させることを含む。基体とこの溶液とを接触させる方法は、基体の選択によって変わる。例えば、基体がガラススライドである場合、このスライドをガスケット(例えば、独国Greiner Bio Oneによって製造されたflexiPermの再使用可能な細胞培養チャンバー)に接着させることができ、スライドに接着させたガスケットにより形成されたウェルに溶液を加えることができる。別の態様において、基体が、細胞培養ウェルまたはマイクロウェルプレートである場合、各ウェルは、特定量の溶液により充填される。この態様では、各ウェルが、同じかまたは異なる溶液(すなわち、異なった前駆体成分および/または異なった量の前駆体成分)により充填されることが考慮されている。各ウェルに添加される溶液量を変えることができるが、それは、ウェルのサイズ(直径と高さ)、基体の材料、および前駆体成分の濃度に依存する。一態様において、各ウェルは、溶液により部分的に充填される。各マイクロウェルに添加できる溶液量は、反転ステップに関して下記により詳細に検討する。基体と溶液とを接触させる別の技法は、スプレー被覆である。
複数(すなわち、2つ以上)の前駆体成分を用いて本明細書に記載された被覆が製造される。各前駆体成分は、基体表面のヒドロキシアパタイトと同じかまたは類似の形態を有する結晶の形成をもたらし得る任意の化合物であり得る。水または好適な溶剤に溶解される場合、各前駆体成分は一般にイオン源である。各前駆体成分は一般に塩であるが、各前駆体成分はまた、独立して酸または塩基であってもよい。一態様において、各前駆体成分は、独立してハロゲン化アルカリ金属、硫酸アルカリ金属、炭酸アルカリ金属、リン酸アルカリ金属、ハロゲン化アルカリ土類金属、硫酸アルカリ土類金属、炭酸アルカリ土類金属、およびリン酸アルカリ土類金属である。炭酸塩は、重炭酸塩も含み、リン酸塩はリン酸水素塩およびリン酸二水素塩も含むことが意図されている。同様に硫酸塩は硫酸水素塩も含む。
別の態様において、前駆体成分としては、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、重炭酸ナトリウム、リン酸水素カリウム、リン酸ナトリウム、および塩化ナトリウムが挙げられる。これらの成分のイオン類は、一般に血漿中に存在する。したがって、これらの成分を有する溶液は一般に、シミュレートした体液またはSBFと称される。一態様において、この溶液には、以下の前駆体成分:塩化カルシウム、塩化マグネシウム、重炭酸ナトリウム、リン酸水素カリウム、リン酸ナトリウム、および塩化ナトリウムを含有する。この溶液は、本明細書において「合成SBF」と称され、緩衝液を含有せず、存在するイオン類の濃度は、血漿中に見られる濃度と同一でないとしても、血漿中の濃度と類似している。別の態様において、この溶液は、合成SBF中の前駆体成分濃度よりも高い前駆体成分濃度を含むことができる。例えば、この溶液は、Nが0超であるNXSBFであり得る。一態様において、Nは、0超から15まで、2から10まで、4から6まで、4.5から5.5まで、または約5である。したがって、Nが5である場合(例えば、5XSBF)、この溶液には、上記に定義されたとおり、合成SBFに存在する各イオンの5倍の濃度を含有する。合成SBF溶液を改変することができる。例えば、一定の態様において、前駆体成分を含有する溶液は、カリウムまたは硫黄を含まない。他の態様において、カルシウムイオンの一部を、例えば、マグネシウムなどの別のイオンと取り替えて、カルシウム量を減少させることができる。溶液中に存在する各前駆体成分の濃度を変えることができる。一定の態様において、この濃度は、水単独または少量の他の溶媒(例えば、アルコール)またはpH調節剤(例えば、酸類または塩基類)との組み合わせに可溶性である前駆体成分の最大量である。
溶液の初期pHならびにインキュベーション中の溶液のpHは、個々の前駆体成分の濃度、基体の材料、基体表面上の表面電荷(もしあるなら)、ガスをその系から逃がす能力、および前駆体成分を含有する溶液の容積と厚さによっても変わり得る。これらの各々は、下記に詳細に検討している。一態様において、この溶液は、3から7未満、4から7未満、5から7未満、または5.0から6.5までの初期pHを有する。別の態様において、溶液の初期pHは、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、または6.5であり、それらのうち任意の値が、pH範囲の高低の終点であり得る。より高い濃度の前駆体成分を含有する溶液(例えば、5XSBF)を用いる場合、より低いpHを用いて、溶液に全ての前駆体成分を確実に溶解させる。さらに、溶液のpHを変えることによって、基体上に形成された結晶の全体的形態ならびに結晶形成速度を制御することが可能である。さらに、下記に検討されるように、インキュベーション時間および温度は、結晶形態と結晶化速度に影響を及ぼし得る。
基体を溶液または前駆体成分と接触させたら、基体を溶液に対して反転させる。用語の「反転させる」とは、表面上の粒子形成または凝集物形成を著しく減少させるか、または完全に防止するように、前駆体成分の溶液中に基体を配置するものとして本明細書に定義される。例えば、基体がマイクロウェルまたはガスケットに接着させたスライドである場合、基体を180°反転させることができる。一実施形態において、ガスケットは、水密シールを形成し、基体上に実際上のウェルを作り出すために基体の上部に設置、または接着させ得るリングまたは同様の構造である。一実施形態において、ガスケットが、ウェルの側面を形成できるか、またはウェルを、市販品として入手できるプレートまたは多ウェルプレートの側面、あるいは細胞培養に用いられる他の容器の側面によって限定することができる。これを図1に示す。一実施形態において図1に例示されるように、マイクロウェルを完全に反転させる。下記に検討されるように、基体を溶液に対して反転させると、基体表面への粒子形成または凝集物形成を減少させるか、または防止する。他の態様において、基体がスライドである場合、被覆されるスライドの側面を、前駆体成分を含有する溶液の上部に置くことができる。あるいは、スライドを溶液中に垂直に挿入することができる。これらの態様の双方が、本明細書に用いられる「反転させる」という定義に入る。溶液に浸漬できるスライドおよび他の基体の場合、接触ステップと反転ステップとを同時に実施することができる。
一定の態様において、基体が、被覆される容器(例えば、マイクロウェル)である場合、ウェルの直径、ウェルの高さ、ウェルの表面自由エネルギー、湿潤ヒステリシス、および溶液表面張力などのパラメータにより、反転の際に溶液がウェルに留まっているかどうかが決定される。一態様において、基体を、上記の多くの表面技法により処理して基体の表面電荷を変化させ、次いで表面湿潤性に影響を及ぼすことができる。例えば、基体の表面を処理して含酸素基(例えば、ヒドロキシル、カルボキシル)の量を増加させると、この処理基体は、溶液に対してより大きな親和性を有することができる。
別の考慮事項は、使用される溶液量である。一般に溶液の容量は、好適な被覆を生じさせるためには十分な量であるが、プロセス中に発生したガスが溶液から拡散できないほど多くない量である。以下にガス除去に関連して詳細に検討する。ウェルに導入された溶液量は、溶液濃度および被覆の所望の厚さに依存する。一態様において、96および384のSBSウェルマイクロプレートなどでの小型マイクロウェルは、それぞれ300μlおよび100μlまでの溶液で充填でき、反転の際にウェルに留まり得る。
反転の際に溶液がウェルに留まらない場合、インキュベーションおよび結晶形成中に発生したガスの脱出を可能にするガス分離膜または他の装置により適切に溶液を保持することができる。例えば、24、12、または6つのウェルプレートなどでの大型マイクロウェルにおいて、反転の際に溶液はウェル内に留まることができず、したがって適切に保持する必要がある。膜または他の装置がガス透過性である要件を下記において検討する。
膜の厚さおよびサイズは、容器のサイズ、容器内の溶液量、およびインキュベーション中に発生したガス量に依って変わり得る。膜は一般に、疎水性材料であり、溶液と接触させた際に反応も溶解もしない。膜は、容器内に取り付けた場合、漏れがないように可撓性の外周エッジを有し、さらに支持用の強固な構成要素と共に構成することができる。
好適なガス透過性で液体不浸透性の膜を、当業界に知られた1つまたは複数の膜から作製することができる。膜は典型的には、例としてポリスチレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリオレフィン、エチレンビニルアセテート、ポリプロピレン、ポリスルホン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)または適合性フルオロポリマー。シリコーンラバーまたはコポリマー、ポリ(スチレン−ブタジエン−スチレン)またはこれら材料の組み合わせを挙げることができる好適な材料から作製される。一態様において、膜はGortexから構成される。細胞増殖のための製造および適合性が可能なものとして、種々のポリマー材料を利用することができる。次にその適格性が知られているポリスチレンは、膜(厚さが約0.003インチもの、しかし種々の厚さでも細胞増殖が可能)にとって好適な材料となり得る。このように、膜は、例えば約25マイクロメートルと250マイクロメートルとの間の任意の厚さであってもよいが、約25マイクロメートルと125マイクロメートルとの間が理想的である。一態様において、容器に挿入された際に「プランジャー」を形成するために、ガス透過性膜を構成し、配置させることができる。
基体を溶液に対して反転させた後、基体をインキュベートして基体の表面に結晶を生じさせる。理論に拘束されることは望まないが、インキュベーション中に2つの期、すなわち誘導期と結晶成長期があることが考えられている。これらの期は、溶液のpH変化または溶液動態によりモニターすることができる。結晶の核形成反応の2つタイプが、誘導期に生じる。溶液中で結晶の核が形成するとホモ核形成を生じ得、インキュベーション中、濁った溶液が生じる。同時に、結晶はまた、基体表面に核形成してエピタキシャルに成長することもでき、基体表面に薄膜が残る。これはヘテロ核形成と称される。インキュベーション中溶液に対して反転させた基体を用いて、基体表面を、ヘテロ核形成された結晶だけで被覆する。重力により、ホモ核形成結晶が反転基体表面に接着して、望ましくない球体粒子または凝集物を生じさせることを防ぐ。この粒子または凝集物は、直径が1マイクロメートル未満から数マイクロメートルまであり得る。図6aを参照すると、粒子および/または凝集物は、板状結晶のローン上に存在する。用語の「板状結晶のローン」とは、本明細書において基体表面上の結晶の均一な被覆(例えば、均一な結晶の厚さおよび基体表面が露出されない被覆)として定義される。
インキュベーションの温度と所要時間は、基体に被覆された結晶の所望の形態に依って変わり得る。インキュベーション中の温度は一般に、焼結に用いられる温度のような高温を必要としない。例えば、基体表面上により小さな結晶を生じさせるために、より低温でより長いインキュベーション時間を有することが望ましいと考えられる。一態様において、インキュベーション温度は100℃未満である。別の態様において、90℃までの温度で72時間までのインキュベーションステップを実施する。別の態様において、インキュベーションステップを、室温から90℃、30℃から80℃、または40℃から60℃の温度で1時間から72時間、2時間から36時間、2時間から24時間、または2時間から18時間実施する。本明細書に記載された方法により、基体を迅速かつ有効に被覆することができる。これはある程度、基体表面に粒子形成または凝集物形成(すなわち、ホモ核形成)のリスクなしでより高濃度の前駆体成分を使用できるためである。
前駆体成分の選択に依って、インキュベーションおよび結晶化の間にガスが生じ得る。例えば、前駆体成分溶液が酸性であり、重炭酸塩を溶液に添加すると、CO2ガスが生じる。理論に拘束されることは望まないが、ガスの除去は、溶液のpHに影響を及ぼす可能性があり、次いで結晶形成速度および量に影響を及ぼし得る。溶液に存在する組成物に依って、結晶形成は、pHの変化に鋭敏となり得る。例えば、酸性溶液に重炭酸塩を添加すると、CO2が発生する。CO2をその系から除去すると、平衡は右にシフトし、さらに溶液中の酸が除去される(すなわち、重炭酸塩と反応する)。これによってpHの増加がもたらされる。CO2g除去されないと平衡に達し、酸濃度とpHのさらなる変化は生じない(すなわち、重炭酸塩は、酸とそれ以上反応しない)。したがって基体上の結晶成長が、溶液のpHに鋭敏である場合、インキュベーション中に発生したガスの除去を実施して結晶形成を促進させることができる。
一定の態様において、基体がマイクロウェルなどの開放容器である場合、容器を開放して、インキュベーション中にガスを放出させる。この態様において、ウェルの直径と高さならびに各ウェルに導入された溶液の量と表面張力によって、マイクロウェルの反転の際に溶液がウェルに留まるかどうかが決められる。例えば、基体の表面が親水性である場合(本来的にまたは表面酸素を増加させる表面処理によって)、溶液を反転容器に接着させることができる。反転の際に溶液が容器内に留まらずに流れ出る他の状況では、上記のガス透過性膜を容器に挿入して、容器の反転の際の容器からの溶液の漏れを防ぐことができる。
他の態様において、この基体が一連の基体(例えば、マイクロプレートまたはペトリ皿のスタック)を含む場合、インキュベーションの間、スタック系からのガスを除去するために、わずかな減圧を適用することができる。あるいは、各プレートまたは皿を緩くスタックしてインキュベーションの間に発生したガスを逃がすことができるように、スタック系を配置することができる。
実施形態において、インキュベーションステップ後に、基体は結晶によって被覆される。実施形態において、これらの結晶は、例えばリン酸カルシウムであり得る。被覆基体に対し、水による基体の洗浄、蒸気または空気の適用または被覆基体の加熱による基体の乾燥、および被覆基体の滅菌(例えば、基体をガンマ線に曝露)などの引き続くステップを実施することができる。
基体の被覆の厚さは、被覆される基体、ならびに選択される前駆体成分の性質および濃度に依って変わり得る。本明細書に記載された方法が一回だけ実施される場合は、被覆の厚さは、200nmから800nm、200nmから700nm、200nmから600nm、200nmから500nm、200nmから400nm、300nmから800nm、400nmから800nm、500nmから800nm、または600nmから800nmの範囲である。より厚い被覆が望まれる場合、より厚い被覆を製造するために、上記の接触ステップ、反転ステップ、およびインキュベーションステップを複数回、連続的に実施することができる。一定の態様において、基体上の細胞をより良好に視覚化し、細胞再吸収に対する感度を改善させるために、より薄い被覆が望ましい(例えば、1マイクロメートル未満)。
本発明の実施形態において、基体は種々のパターンおよび設計の結晶により被覆することができる。例えば、最終的に結晶により被覆される曝露基体のあるパターンまたは設計を作製するために、基体の表面に除去可能な接着テープまたはマスクを配置することができる。次いでこのテープまたはマスクを、インキュベーションおよび結晶形成の後に除去することができる。あるいは、表面酸素を増加させるために基体を処理する場合、表面処理の前に、基体の表面に除去可能な接着テープまたはマスクを配置することができる。ここで、結晶形成は、表面処理された基体の一部または一区域にのみ生じ得るか、または結晶がマスク領域上に生じるとしても、引き続く洗浄ステップの間により容易に除去される。
本発明の実施形態において、本明細書において製造された結晶被覆はリン酸カルシウムの結晶である。一態様において、これらの結晶は、式Ca5(PO4)3OHを有するヒドロキシアパタイトであり得る。別の態様において、結晶は置換ヒドロキシアパタイトであり得る。置換ヒドロキシアパタイトは、別の原子によって置換された1つまたは複数の原子を有するヒドロキシアパタイトである。置換ヒドロキシアパタイトは、式M5X3Yによって示され、式中、MはCa、Mg、Na;XはPO4、またはCO3;およびYはOH、F、Cl、またはCO3である。ヒドロキシアパタイト中には微量の不純物もまた存在し得、以下のイオンを含み得る:Zn、Sr、Al、Pb、またはBa。別の態様において、リン酸カルシウムはオルトリン酸カルシウムであり得る。オルトリン酸カルシウムの例としては、限定はしないが、無水リン酸一カルシウム、一水和リン酸一カルシウム、二水和リン酸二カルシウム、無水リン酸二カルシウム、リン酸オクタカルシウム、ベータリン酸三カルシウム、アルファリン酸三カルシウム、スーパーアルファリン酸三カルシウム、またはリン酸テトラカルシウムが挙げられる。一定の態様において、リン酸カルシウム結晶は、培養中、例えば骨細胞などの一定のタイプの細胞の接着を促進し得る炭酸基(CO3)を有する結晶を含む。別の態様において、リン酸カルシウム結晶はまた、骨基質タンパク質など、細胞培養に有用なタンパク質を優先的に吸収し得るカルシウム欠如ヒドロキシアパタイトも含み得る。
本明細書において製造された結晶被覆の実施形態は一般に、それらの平板様または網状の結晶形態のため、大きな表面積および孔体積を有する。大きな表面積および孔体積により、細胞再吸収の速度を増加させることができ、そのことにより、最終的に細胞再吸収アッセイの感度を増加させることができる。本発明の実施形態において、本明細書において製造された被覆は、被覆表面上に球状粒子を最少しかないから、全くない。上記で考察したとおり、溶液に対して基体を反転させることにより、溶液中に核化する粒子または凝集体が、被覆された基体上に集合または成長することが防止されるが、これは重力により防止される。したがって、粒子または凝集体の欠如または実質的な欠如下で、結晶の成長は基体表面上に均一にむらなく生じるが、これは細胞培養にとって望ましい。さらに、一様な厚さを有して結晶が成長すると、接着細胞および結晶被覆における変化のより良い評価が可能になる。また、粒子または凝集体の存在により、顕微鏡によって細胞を評価する能力をも低下させる不透明な被覆が製造される。また、粒子または凝集体の欠如によって、基体の表面への結晶のより良好な接着が確実になる。最後に、被覆基体は、細胞培養培地などの溶液による結晶層の剥離に対してより抵抗性である。
本明細書において製造された被覆基体は、細胞の培養に用いることができる。一態様において、方法は、(a)本明細書において製造された被覆基体のいずれかに、細胞の親セットを堆積させること、および(b)堆積させた細胞を有する基体を培養することを含む。基体表面上の結晶の組成および形態を改変することにより、この被覆に対する細胞応答を促進させることが可能になり得る。例えば、結晶被覆中にマグネシウムが存在すれば(すなわち、置換ヒドロキシアパタイト)、マグネシウムは、骨芽細胞の増殖を直接刺激することができる。
限定はしないが、幹細胞、委任幹細胞、分化細胞、および腫瘍細胞などの多くのタイプの細胞を、本発明の基体の実施形態において培養することができる。幹細胞の例としては、限定はしないが、胚性幹細胞、骨髄幹細胞および臍帯幹細胞が挙げられる。種々の実施形態において用いられる細胞の他の例としては、限定はしないが、筋芽細胞、神経芽細胞、線維芽細胞、グリア芽細胞、生殖細胞、肝細胞、軟骨細胞、ケラチノサイト、平滑筋細胞、心筋細胞、結合組織細胞、グリア細胞、上皮細胞、内皮細胞、ホルモン分泌細胞、免疫系の細胞、およびニューロンが挙げられる。
一態様において、骨細胞(例えば、破骨細胞、骨細胞、および骨芽細胞)ならびに骨細胞前駆体(例えば、単球およびマクロファージ)を、本明細書において製造された被覆基体によって培養できる。例えば、図13aを参照すると、個々の破骨細胞(黒色矢印によって示される)が、本発明によって製造された表面上に明瞭に見ることができる(実施例10を参照)。図13aにおける細胞のより良好な解像度により、細胞のカウントがより容易になるが、これは重要な特徴である。図14aは、同じ被覆のSEM顕微鏡写真である。図14aを参照すると、多数の再吸収ピット(すなわち、暗色像)が存在していた。再吸収ピットは、破骨細胞が、結晶材料を溶解させ得る水素イオンを放出する際に形成される。溶解すると、細胞は結晶層中にピットまたは窪みを形成する。再吸収ピットを効果的に定量化する(例えば、ピット面積、ピット数など)能力は、細胞が被覆基体に接着し再吸収する能力を評価する1つの方法である。図14aを参照すると、再吸収ピットは、SEMまたは光学顕微鏡によって十分に確定されている。したがって、本明細書に記載された被覆基体は、細胞の接着および増殖に有用であるだけでなく、細胞の評価を容易にする。さらに、被覆表面がウェルプレートである場合、これらのプレートは、Society of Biomolecular Sciences(SBS)の要件に従う。
本明細書において有用な細胞は、インビトロで培養するか、天然資源から誘導するか、遺伝子操作されるか、または他の手段で製造することができる。原核細胞または真核細胞のいずれの天然資源を用いることもできる。
腫瘍細胞などの異型または異常な細胞を、本明細書に用いることもできる。本明細書に記載された基体上で培養された腫瘍細胞は、薬物治療の評価に関して、身体の固有の腫瘍環境のより正確な表示を提供できる。本明細書に記載された基体上で腫瘍細胞を増殖させることによって、インビボ様環境における遺伝子発現、受容体発現、およびポリペプチドの産生などの生化学的経路および腫瘍の活動の特徴付けを容易にすることができ、腫瘍を特異的に標的化する薬剤の開発が可能になる。
遺伝子操作された細胞もまた本明細書において使用できる。この操作は、細胞をプログラムして1つまたは複数の遺伝子を発現させることと、1つまたは複数の遺伝子の発現を抑制すること、あるいはそれら双方を含む。遺伝子操作は、例えば、細胞へ遺伝子材料を付加、または細胞から遺伝子材料を除去すること、既存の遺伝子材料を変更すること、またはそれら双方を含み得る。細胞にトランスフェクトするか、または操作して、ある遺伝子を発現させる実施形態では、一時的にもしくは永久的にトランスフェクトされた遺伝子、またはそれら双方を用いることができる。遺伝子配列は、完全長または部分長、クローン化または天然であり得る。
別の態様において、(a)組織にとって前駆体である細胞の親セットを本明細書に記載された基体上に堆積させること、および(b)堆積された細胞を有する基体を培養して、細胞の増殖および最終的に組織の増殖を促進することを含む、細胞または組織を増殖させるための方法が本明細書に記載されている。また、本明細書において製造された被覆基体上に生細胞を堆積させ、組織の増殖を促進させる条件下で培養させ得ることも考慮されている。上記の任意の細胞からの組織増殖(すなわち操作)が、本明細書において製造された被覆基体によって考慮されている。この被覆基体は、多くの異なる種類の前駆体細胞を支持することができ、また、この基体は新しい組織の発生を誘導できる。組織の生成は、創傷治癒など多くの適用がなされる。組織増殖は、インビボまたはエクスビボで実施し得ることが考慮されている。
一定の場合において、被覆基体から細胞または組織を除去することが望ましい。細胞を除去するための当業界で知られた技法としては、限定はしないが、機械的な掻取り、音波処理、化学的/酵素的処理、またはそれらの組み合わせが挙げられる。他の技法には、pHまたは温度の調整、または付着した細胞を遊離させるためのイオンの添加が含まれる。一態様において、被覆がリン酸カルシウムの場合、周囲培地のpHを低下させることによる被覆の分解によって細胞を除去できる。
実施形態において、本明細書において製造された被覆基体は、結晶被覆への細胞接着を促進できるか、細胞機能を促進できるか、または細胞増殖を促進できる1つ又は複数の生体活性分子を含み得る。一態様において、1つ又は複数の生体活性分子は、結晶被覆を製造するために用いられる組成物の一部であり得る。この態様において、生体活性分子は、結晶被覆全体に均一に分散され得る。この被覆基体をバイオセラミックまたはBIOCERとも称し得る。別の態様において、結晶被覆を製造したら、この被覆を1つ又は複数の生体活性分子に接触させる。
生体活性分子としては、ヒトまたは家畜の治療薬、栄養剤、ビタミン類、塩類、電解質、アミノ酸、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、炭水化物、脂質、多糖類、核酸、ヌクレオチド、ポリヌクレオチド、糖タンパク質、リポタンパク質、糖脂質、グリコサミノグリカン、プロテオグリカン、成長因子、分化因子、ホルモン類、神経伝達物質、フェロモン類、カローン類、プロスタグランジン類、免疫グロブリン類、モノカイン類、他のサイトカイン類、湿潤剤、ミネラル、電気的または磁気的反応性物質、感光性物質、抗酸化剤、細胞エネルギー源として代謝できる分子、抗原、および細胞のまたは生理学的な応答を引き起こし得る任意の分子が挙げられる。分子の任意の組み合わせ、ならびにこれらの分子のアゴニストまたはアンタゴニストを使用できる。グリコアミノグリカンとしては、糖タンパク質、プロテオグリカン、およびヒアルロナンが挙げられる。多糖類としては、セルロース、澱粉、アルギン酸、キトサン、またはヒアルロナンが挙げられる。サイトカインとしては、限定はしないが、カルジオトロフィン、間質細胞誘導因子、マクロファージ誘導ケモカイン(MDC)、メラノーマ成長刺激活性(MGSA)、マクロファージ炎症性タンパク質1アルファ(MIP−1アルファ)、2、3アルファ、3ベータ、4および5、インターロイキン(IL)1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、IL−13、TNF−アルファ、およびTNF−ベータが挙げられる。本明細書において有用な免疫グロブリンとしては、限定はしないが、IgG、IgA、IgM、IgD、IgE、およびそれらの混合物が挙げられる。アミノ酸、ペプチド、ポリペプチド、およびタンパク質としては、任意のサイズおよび複雑さのこのような分子の任意のタイプ、ならびにこのような分子の組み合わせを挙げることができる。例としては、限定はしないが、構造タンパク質、酵素、およびペプチドホルモンが挙げられる。
生体活性分子という用語には、線維性タンパク質、接着タンパク質、接着性化合物、脱接着性化合物、および標的化合物も含まれる。線維性タンパク質としては、コラーゲンおよびエラスチンが挙げられる。接着/脱接着化合物としては、フィブロネクチン、ラミニン、トロンボスポンジンおよびテナシンCが挙げられる。接着性タンパク質としては、アクチン、フィブリン、フィブリノーゲン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、ラミニン、カドヘリン、セレクチン、細胞内接着分子1、2、および3、ならびに、限定はしないが、α5β1、α6β1、α7β1、α4β2、α2β3、α6β4などのインテグリン類を含む細胞マトリックス接着受容体が挙げられる。
また、生体活性分子という用語には、レプチン、白血病阻害因子(LIF)、RGDペプチド、腫瘍壊死因子アルファおよびベータ、エンドスタチン、アンギオスタチン、トロンボスポンジン、骨形成タンパク質−1、骨形態形成タンパク質2および7、オステオネクチン、ソマトメジン様ペプチド、オステオカルシン、インターフェロンアルファ、インターフェロンアルファA、インターフェロンベータ、インターフェロンガンマ、インターフェロン1アルファ、およびインターロイキン2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、15、16、17および18も含まれる。
本明細書に用いられる用語「成長因子」は、細胞または組織の増殖を促進する生体活性分子を意味する。本明細書において有用な成長因子としては、限定はしないが、形質転換成長因子アルファ(TGF−アルファ)、形質転換成長因子ベータ(TGF−ベータ)、AAイソ型、ABイソ型およびBBイソ型を含む血小板由来成長因子(PDGF)、FGF酸性イソ型1および2、FGF塩基型2、およびFGF4、8、9および10を含む線維芽細胞成長因子(FGF)、NGF2.5s、NGF7.0s、およびベータNGFを含む神経成長因子(NGF)ならびにニューロトロフィン類、脳由来神経栄養因子、軟骨由来因子、骨成長因子(BGF)、塩基性線維芽細胞成長因子、インスリン様成長因子(IGF)、血管内皮成長因子(VEGF)、EG−VEGF、VEGF関連タンパク質、Bv8、VEGF−E、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、インスリン様成長因子(IGF)IおよびII、肝細胞成長因子(HGF)、グリア神経栄養成長因子(GDNF)、幹細胞因子(SCF)、ケラチノサイト成長因子(KGF)、TGFアルファ、ベータ、ベータ1、ベータ2、およびベータ3を含む形質転換成長因子(TGF)、骨格成長因子、骨マトリックス由来成長因子および骨由来成長因子ならびにそれらの混合物が挙げられる。いくつかの成長因子は、細胞または組織の分化も促進し得る。例えばTGFは、細胞または組織の成長および/または分化を促進し得る。いくつかの好ましい成長因子としては、VEGF、NGF、PDGF−AA、PDGF−BB、PDGF−AB、FGFb、FGFa、HGF、およびBGFが挙げられる。
本明細書に用いられる用語「分化因子」は、細胞または組織の分化を促進する生体活性分子を意味する。この用語には、限定はしないが、ニューロトロフィン、コロニー刺激因子(CSF)、または形質転換成長因子が含まれる。CSFには、顆粒球CSF、マクロファージCSF、顆粒球−マクロファージCSF、エリスロポイエチン、およびIL−3が含まれる。いくつかの分化因子は、細胞または組織の成長も促進し得る。例えば、TGFおよびIL−3は、細胞の分化および/または成長を促進し得る。
本明細書に用いられる用語「接着性化合物」は、線維表面への細胞または組織の付着を促進する生体活性分子を意味する。接着性化合物の例としては、限定はしないが、フィブロネクチン、ビトロネクチン、およびラミニンが挙げられる。
本明細書に用いられる用語「脱接着性化合物」は、線維からの細胞または組織の剥離を促進する生体活性分子を意味する。脱接着性化合物の例としては、限定はしないが、トロンボスポンジンおよびテナシンCが挙げられる。
本明細書に用いられる用語「ターゲティング化合物」は、線維への細胞または組織の動員および/または付着を誘導するシグナル伝達分子として機能する生体活性分子を意味する。ターゲティング化合物ならびにそれらの同族受容体の例としては、フィブロネクチンおよびインテグリン由来のRGDペプチドなどの付着ペプチド、EGFおよびEGF受容体などの成長因子、ならびにインスリンおよびインスリン受容体などのホルモンが挙げられる。
別の態様において、(a)本明細書に記載された被覆基体上に公知の細胞系を堆積させること;(b)堆積させた細胞を薬剤に接触させること;および(c)薬剤に接触した際に堆積細胞により生じた応答を同定することを含む、公知の細胞系と薬剤との間の相互作用を判定するための方法が、本明細書に記載されている。
本発明の被覆基体の実施形態上に固定された公知の細胞系により、薬剤と固定細胞とが相互作用する場合の薬剤の活性をスクリーンすることが可能である。試験される細胞および薬剤に依存して、細胞−薬剤相互作用を種々の技法を用いて検出し、測定することができる。例えば、細胞が薬剤を代謝して、培養培地において容易に検出できる代謝物を産生し得る。あるいは、薬剤が細胞を誘導してタンパク質または他の生体分子を産生させ得る。次いで、これらのタンパク質または他の生体分子は培養培地において検出できる。本明細書に記載された基体は、エクスビボ環境において、細胞のインビボの性質によりよく似せた環境を細胞に提供する。薬剤/細胞相互作用を分析するために、基体をハイスループット適用で使用できる。ハイスループット適用では、1プレート当たり、約1536ウェルまでの密度でマルチウェル組織培養チャンバーが利用される。したがって、1ウェル当たりの細胞集団を増加させることにより、測定シグナルの増加に役立つであろう。
以下の実施例は、開示された主題に従って方法および結果を例示するために下記に示される。これらの実施例では、本明細書に開示された主題の態様の全てを包含する意図はなく、代表的な方法および結果の例示が意図されている。これらの実施例では、当業者にとって明白である本発明の等価体および変型を除外する意図はない。
別に指示されない限り、部は重量部であり、温度は℃または周囲温度であり、圧は大気圧または大気圧に近い。反応条件、例えば、成分濃度、温度、圧および他の反応範囲、ならびに記載されたプロセスから得られる生成物純度と収量を最適にするために使用できる条件の多数の変型および組み合わせがある。このようなプロセス条件を最適化するために必要となるのは、妥当なルーチンの実験のみとなろう。
実施例1:被覆された基体の調製
被覆された基体を調製するために以下のステップを使用した。
被覆された基体を調製するために以下のステップを使用した。
A.前駆体成分を含有する無機物溶液の調製
前駆体成分を含有する無機物溶液を表1に示す。表2は、無機物溶液に存在する各イオンの濃度を示している。比較のために血漿中のイオン濃度を表2に示す。血漿を除いて表2の合成SBFならびに表2の他の無機物溶液は、緩衝液(例えば、トリス/HClまたはHepes)を含有していない。下記の一定の実験において、ヒドロキシアパタイトの化学量論の修飾のために、マグネシウムと炭酸塩を意図的に含ませた。さらに、重炭酸ナトリウムは、無機化溶液化学の制御のための無機pH調節剤として役立つ。塩化ナトリウムは、他の塩類よりもはるかに高いレベルで無機化溶液に存在し、pH動態に影響を及ぼし得る溶液の全体的イオン強度を決定する。
前駆体成分を含有する無機物溶液を表1に示す。表2は、無機物溶液に存在する各イオンの濃度を示している。比較のために血漿中のイオン濃度を表2に示す。血漿を除いて表2の合成SBFならびに表2の他の無機物溶液は、緩衝液(例えば、トリス/HClまたはHepes)を含有していない。下記の一定の実験において、ヒドロキシアパタイトの化学量論の修飾のために、マグネシウムと炭酸塩を意図的に含ませた。さらに、重炭酸ナトリウムは、無機化溶液化学の制御のための無機pH調節剤として役立つ。塩化ナトリウムは、他の塩類よりもはるかに高いレベルで無機化溶液に存在し、pH動態に影響を及ぼし得る溶液の全体的イオン強度を決定する。
合成無機物溶液SBF5X−およびSBF5X−1/2SBの場合、表1に掲げた順序で脱イオン水に塩類(CaCl2、MgCl、NaHCO3、K2HPO4、次いでNa2SO4)を加えることによって溶液を調製した。溶液のpHを凡そ4.0のpHに滴定して、塩類を全て確実に溶液に溶解した。次に、NaClを加え、次いで5.2〜5.8のpHを生じさせる量の水酸化ナトリウムで滴定した。
SBF5XNaPの場合、脱イオン水への塩類の添加順序は以下のとおりであった:NaCl、CaCl2、MgCl、NaHPO4、次いでNaHCO3。SBF5XNaPの調製は、使用前のpH調整を必要としなかった。
B.インキュベーション
基体を、適切な無機物溶液(SBF5X−、SBF5X−1/2SB、およびSBF5XNaP)と接触させた後、この基体を40℃で18時間(18/40)または60℃で4時間(4/60)のいずれかでインキュベートした。
基体を、適切な無機物溶液(SBF5X−、SBF5X−1/2SB、およびSBF5XNaP)と接触させた後、この基体を40℃で18時間(18/40)または60℃で4時間(4/60)のいずれかでインキュベートした。
C.洗浄
インキュベーション後、基体を脱イオン水浴に浸すか、基体に脱イオン水をスプレーするか、または2つの方法の組み合わせによって基体を洗浄した。あるいは、自動プレート洗浄器を使用して非結晶化塩類を除去することができる。
インキュベーション後、基体を脱イオン水浴に浸すか、基体に脱イオン水をスプレーするか、または2つの方法の組み合わせによって基体を洗浄した。あるいは、自動プレート洗浄器を使用して非結晶化塩類を除去することができる。
D.乾燥
乾燥は、ヘアドライヤーからなどの強制熱風により実施した。この方法により、オーブン中の乾燥と比較して、乾燥フロントリングおよびデブリのような乾燥欠陥の減少がもたらされた。強制熱風での乾燥後、基体をオーブンに50℃で1時間入れる。
乾燥は、ヘアドライヤーからなどの強制熱風により実施した。この方法により、オーブン中の乾燥と比較して、乾燥フロントリングおよびデブリのような乾燥欠陥の減少がもたらされた。強制熱風での乾燥後、基体をオーブンに50℃で1時間入れる。
E.滅菌
乾燥基体をγ放射線に曝露した。γ線滅菌は、10〜18K Gray線量でSteris Isomedix(Chester、NY)にて実施した。
乾燥基体をγ放射線に曝露した。γ線滅菌は、10〜18K Gray線量でSteris Isomedix(Chester、NY)にて実施した。
実施例2:X線回折用の被覆基体の採取
被覆を、下記に要約する多くの方法で特徴付けた。マイクロプレートとして等価の溶液、時間および温度でインキュベートしたペトリ皿から掻き取った材料に対し、粉末X線回折(XRD)の実施により結晶相を確認した。被覆皿を洗浄し、数個の100mmペトリ皿から濡れた被覆をかき取り、各々の粉末XRD測定用にプールした。プレート上の被覆は、同じ条件下で処理された皿と同等であると想定した。
被覆を、下記に要約する多くの方法で特徴付けた。マイクロプレートとして等価の溶液、時間および温度でインキュベートしたペトリ皿から掻き取った材料に対し、粉末X線回折(XRD)の実施により結晶相を確認した。被覆皿を洗浄し、数個の100mmペトリ皿から濡れた被覆をかき取り、各々の粉末XRD測定用にプールした。プレート上の被覆は、同じ条件下で処理された皿と同等であると想定した。
実施例3:配向性と表面の性質
ウェルを塩水溶液で充填し、反転させると、液体は表面張力によってウェルの底に留まる(図1)。ある一定の実験において、Corning(登録商標)96ウェルのクリアフラット底のTC処理マイクロプレート(製品番号3585)を用いた。これらのプレートはポリスチレンから構成され、コロナ処理され、γ線照射により滅菌した。これらのプレートは、本明細書において「TCT PS」と称される。他の実験において、コロナ処理に曝露したが、γ線照射により滅菌しなかったポリスチレンプレートを用いた。これらのプレートは、本明細書において「CNG」と称される。均質な被覆を達成するために1ウェル当り最少容量(100μl)を用いる。ウェルはまた、300μlの溶液でも充填でき、良好な被覆が生じる。
ウェルを塩水溶液で充填し、反転させると、液体は表面張力によってウェルの底に留まる(図1)。ある一定の実験において、Corning(登録商標)96ウェルのクリアフラット底のTC処理マイクロプレート(製品番号3585)を用いた。これらのプレートはポリスチレンから構成され、コロナ処理され、γ線照射により滅菌した。これらのプレートは、本明細書において「TCT PS」と称される。他の実験において、コロナ処理に曝露したが、γ線照射により滅菌しなかったポリスチレンプレートを用いた。これらのプレートは、本明細書において「CNG」と称される。均質な被覆を達成するために1ウェル当り最少容量(100μl)を用いる。ウェルはまた、300μlの溶液でも充填でき、良好な被覆が生じる。
実施例4:反転水平方向でインキュベートされたプレートにおける結晶被覆形態の変動
A.96ウェルTCT PSプレートにおけるSBF5X−
SBF5X−(18時間/40℃)のより緩やかでより低温のインキュベーションにより、基体に対して平行および垂直双方のプレートで平板状の形態を有する被覆が得られることが、SEM画像により示された(図3aおよび3b)。より速く、より高温のインキュベーション(4時間/60℃)では、より網状の形態が得られた(図4aおよび4b)。双方の被覆とも、結晶子、および長さ数百ナノメートルのオーダーで結晶子間にスペースを有する。したがって、インキュベーション時間と温度を変更することによって、基体表面に異なった結晶形態を生じさせることが可能である。これは、基体上の種々のタイプの細胞の接着および再吸収にとって望ましいと考えられる。
A.96ウェルTCT PSプレートにおけるSBF5X−
SBF5X−(18時間/40℃)のより緩やかでより低温のインキュベーションにより、基体に対して平行および垂直双方のプレートで平板状の形態を有する被覆が得られることが、SEM画像により示された(図3aおよび3b)。より速く、より高温のインキュベーション(4時間/60℃)では、より網状の形態が得られた(図4aおよび4b)。双方の被覆とも、結晶子、および長さ数百ナノメートルのオーダーで結晶子間にスペースを有する。したがって、インキュベーション時間と温度を変更することによって、基体表面に異なった結晶形態を生じさせることが可能である。これは、基体上の種々のタイプの細胞の接着および再吸収にとって望ましいと考えられる。
B.96ウェルTCT PSプレートにおけるSBF5X−1/2SB
無機化溶液化学の変更は、形成された被覆の均一性に影響を及ぼす。60℃で6時間インキュベートしたプレート中の炭酸ナトリウムを減少させることより、より薄く均質性の少ない(すなわち、結晶のローンの無い)被覆を生じた(図5a)。
無機化溶液化学の変更は、形成された被覆の均一性に影響を及ぼす。60℃で6時間インキュベートしたプレート中の炭酸ナトリウムを減少させることより、より薄く均質性の少ない(すなわち、結晶のローンの無い)被覆を生じた(図5a)。
C.TCT PSプレートにおけるCO2泡立てSBF5X−
インキュベーション(6時間/60℃)直前のCO2ガスにより泡立っているSBF5X−は、被覆形態において実施例Bと同様の効果を有し(図5b)、均質性の少ない結晶が得られた。CO2の増加はまた、被覆において泡立ち形状の欠陥を生じた(図示せず)。
インキュベーション(6時間/60℃)直前のCO2ガスにより泡立っているSBF5X−は、被覆形態において実施例Bと同様の効果を有し(図5b)、均質性の少ない結晶が得られた。CO2の増加はまた、被覆において泡立ち形状の欠陥を生じた(図示せず)。
D.CNG96ウェルプレートにおけるSBF5XNaP
CNGプレート(全部で86枚)を、35〜60℃で4〜18時間の範囲の種々の温度と時間でSBF5XNaP溶液と共にインキュベートした。SEM画像により、3つの異なる表面形態:非晶質被覆(0%結晶)、ヒドロキシアパタイト(HA)、およびヒドロキシアパタイトリン酸三カルシウム(HA+TCP)が記録された(表3)。この溶液に関する好ましい処理条件は、35℃で18時間であり、観察された100%のウェルは、結晶性であり、単一相のヒドロキシアパタイト(HA)だけが製造された。また、XRDでは35℃で形成された結晶は、他の温度よりも良好にポリスチレンに接着したことが、皿から結晶の採取時に認められた。単一相のHAとは異なって、HA+TCPは2相である。HA+TCPから構成された被覆は、HAの被覆と同じように耐久性ではない(例えば、酸性条件のHA+TCPは、より可溶性である)。さらに、骨塩中にリン酸三カルシウムが無く;したがって、HA+TCPは骨を模倣せず、最終的には細胞の接着、分化、および再吸収を支えていると考えられる。
CNGプレート(全部で86枚)を、35〜60℃で4〜18時間の範囲の種々の温度と時間でSBF5XNaP溶液と共にインキュベートした。SEM画像により、3つの異なる表面形態:非晶質被覆(0%結晶)、ヒドロキシアパタイト(HA)、およびヒドロキシアパタイトリン酸三カルシウム(HA+TCP)が記録された(表3)。この溶液に関する好ましい処理条件は、35℃で18時間であり、観察された100%のウェルは、結晶性であり、単一相のヒドロキシアパタイト(HA)だけが製造された。また、XRDでは35℃で形成された結晶は、他の温度よりも良好にポリスチレンに接着したことが、皿から結晶の採取時に認められた。単一相のHAとは異なって、HA+TCPは2相である。HA+TCPから構成された被覆は、HAの被覆と同じように耐久性ではない(例えば、酸性条件のHA+TCPは、より可溶性である)。さらに、骨塩中にリン酸三カルシウムが無く;したがって、HA+TCPは骨を模倣せず、最終的には細胞の接着、分化、および再吸収を支えていると考えられる。
結晶成長形成に対するpHの影響を評価するために、上記のとおりCNGプレートを、緩衝液中SBF5XNaPでインキュベートした(表4)。SBF5XNaP溶液を、重炭酸ナトリウムとトリス−ヒドロキシメチルアミノメタン(TRIS)により緩衝化した。表4を参照すると、BSBF−1は、6.90のpHを有し、BSBF−2は、9.00のpHを有した。プレートの各ウェルにおいて、100μlの各溶液を加えた。プレートを反転し、35℃で16時間インキュベートした。インキュベーション後、このプレートを、上記に要約したように洗浄し、乾燥した。
図15aは、BSBF−1でインキュベートした(6.90のpH)プレート表面を光学顕微鏡(500X)により示している。プレート表面上の被覆は、被覆表面に球状粒子を有する虫食い模様の層を示した。図15bは、BSBF−2でインキュベートした(9.00のpH)プレート表面を光学顕微鏡(500X)により示している。プレート表面に結晶は存在しなかった。これらの結果は、pHを増加させた緩衝無機物溶液は、プレート表面に形成される結晶の量およびタイプに影響を及ぼし得ることを示している。
実施例5:非反転方向でインキュベートした皿における被覆形態
この実験に用いられたペトリ皿は、Corning(登録商標)60mmTC処理培養皿(製品番号430166)であった。これらの皿はポリスチレンから構成されている。反転しない水平位置におけるペトリ皿の処理により、厚さが数マイクロメートルであり、3Dの「ローンおよび球体」形態で覆われた被覆が得られた(図6a)。下位の表面は、反転マイクロプレートのような板状結晶のローンで被覆されているようであったが、直径が約1〜5μmの球体または凝集物が重なっていた。このローンは、板状結晶から成っていた(図6b)。これらのマクロ孔質被覆は、反転水平方向で作製された被覆よりも機械的に安定性が低く、これらの被覆上の細胞を、反転顕微鏡を用いて観察することが困難であった。このような被覆を洗浄し、反転被覆と比較して質量が増加したため粉末XRD解析用に湿ったまま採取した。
この実験に用いられたペトリ皿は、Corning(登録商標)60mmTC処理培養皿(製品番号430166)であった。これらの皿はポリスチレンから構成されている。反転しない水平位置におけるペトリ皿の処理により、厚さが数マイクロメートルであり、3Dの「ローンおよび球体」形態で覆われた被覆が得られた(図6a)。下位の表面は、反転マイクロプレートのような板状結晶のローンで被覆されているようであったが、直径が約1〜5μmの球体または凝集物が重なっていた。このローンは、板状結晶から成っていた(図6b)。これらのマクロ孔質被覆は、反転水平方向で作製された被覆よりも機械的に安定性が低く、これらの被覆上の細胞を、反転顕微鏡を用いて観察することが困難であった。このような被覆を洗浄し、反転被覆と比較して質量が増加したため粉末XRD解析用に湿ったまま採取した。
図7および8は、それぞれマイクロプレートおよびペトリ皿上の被覆の走査画像である。図7は、pH5.6の初期pHで40℃で18時間SBF5X−でインキュベートした96ウェルTCT PSプレートの走査画像を示している。図7におけるマイクロプレートは、乾燥時には僅かにだけ半透明に見え、被覆はウェルごとに均一である。図8は、40℃で18時間、種々の出発pHレベルでSBF5X−によりインキュベートされた60mmペトリ皿の走査画像を示す。直立してインキュベートされた図8の皿における被覆は、はるかにより不透明であり、均質性を欠いた。図8は、種々の出発pHレベルでインキュベートした一連の皿を示している。クリスタルバイオレットラクトン染料(CVL)は、弱酸と反応し、この試験で酸性表面官能性を有するオルトリン酸カルシウムを確認するために使用されているロイコ染料である。皿表面の結晶形成の欠如は、pH5〜5.2で見られた(すなわち、CVLによる青色染色はなく、皿は透明に見えた)。逆に、極めて不透明な被覆(非晶質、接着不良の被覆)が、出発pHが6.0での皿に見られた(すなわち、CVLによる青色染色がない)。5.4と5.8との間の出発pHでの皿だけが、半透明で十分に接着された結晶性被覆を有し、キシレン中CVLにより陽性(青色)に染色した。同様の出発pH範囲で調製されたマイクロプレート上の被覆もまた、CVLと陽性に反応した。
図2aは、ペトリ皿中の3つの溶液;SBF5X−、SBF5X−1/2SB、およびSBF5XNaPのpH動態を示している。この実験において、60℃でインキュベートされた100mmTCT皿に、20mlの溶液を添加した。結晶核形成期に溶液は曇ってきた。SBF5X−1/2SBによる皿は、他の2つと比較してより低い最大pHに達した。3つの溶液全ては、pHが最初上昇し、その後降下し、3つ全てが皿上にHA被覆をもたらしたことが立証された。
図2bは、異なった出発pHレベル(20mlの溶液を100mmTCT皿に添加した)でのSBF5X−溶液に関して時間対pHのグラフを示している。ペトリ皿を覆い、60℃でインキュベートした(反転せずに)。図2aと2bにおけるpHの最初の上昇は、重炭酸塩がプロトン化してH2CO3を生じ、最終的にはCO2と水を生じるときに、溶液からCO2ガスが放出されるためであると考えられている。この反応速度は、インキュベーション中に溶液の温度を増加させることによって増加した。pHが上昇すると、塩類の可溶性が低くなり、溶液から沈殿する。ヒドロキシアパタイトを生じた溶液のpHもまた、経時的に僅かに減少し、pHが経時的に着実に増加した非晶質の沈殿を生じた溶液のpHとは異なっている。HA結晶を生じさせるためにヘテロ核形成速度に影響を及ぼすための上記に検討された他の因子としては、表面処理(例えば、コロナ処理)による基体表面の電荷、および製造される際のCO2の脱出する能力が挙げられ、これらは基体を被覆するために用いられる無機物溶液の容量および厚さに依存し得る。3つ全ての溶液は、初期pHの増加を示すが、pH5.6で出発するSBF5X−だけが、著しい結晶成長相を示した(すなわち、経時的に測定可能なpHの減少)。
実施例6:低結晶性HA
図9は、40℃で18時間(図9a)および60℃で4時間(図9b)、pH5.6のSBF5X−でインキュベートされたペトリ皿から掻き取られた被覆の粉末XRDパターンを示している。図9cは、4/60でインキュベートされたSBF5X−1/2SBとインキュベートした皿からの被覆のXRDパターンを示している。18/40および4/60でインキュベートされた直立ペトリ皿から掻き取られた被覆の粉末XRDパターンは、XRDパターンの幅広ピークにより立証されたとおり、5.6の初期pHに関して低結晶性ヒドロキシアパタイトパターンを示した(図9aおよび9b)。これは、結晶性材料に関する骨様性質であると考えられる。6〜6.5の初期pHにおいては非晶質沈殿が形成され、図8に示されるように、より低いpHにおいては被覆が形成されない。均一性の低いSBF5X−1/2SB被覆において、同じ単一相被覆のXRDパターンが見られた(図9c)。したがって、この結晶相は、より厚い被覆と同じである。
図9は、40℃で18時間(図9a)および60℃で4時間(図9b)、pH5.6のSBF5X−でインキュベートされたペトリ皿から掻き取られた被覆の粉末XRDパターンを示している。図9cは、4/60でインキュベートされたSBF5X−1/2SBとインキュベートした皿からの被覆のXRDパターンを示している。18/40および4/60でインキュベートされた直立ペトリ皿から掻き取られた被覆の粉末XRDパターンは、XRDパターンの幅広ピークにより立証されたとおり、5.6の初期pHに関して低結晶性ヒドロキシアパタイトパターンを示した(図9aおよび9b)。これは、結晶性材料に関する骨様性質であると考えられる。6〜6.5の初期pHにおいては非晶質沈殿が形成され、図8に示されるように、より低いpHにおいては被覆が形成されない。均一性の低いSBF5X−1/2SB被覆において、同じ単一相被覆のXRDパターンが見られた(図9c)。したがって、この結晶相は、より厚い被覆と同じである。
実施例7:カルシウムの代わりのマグネシウム
この実験は、ヒドロキシアパタイトに存在するカルシウムイオンの部分をマグネシウムイオンに代えることによって、修飾ヒドロキシアパタイトを調製できることを示している。誘導カップル質量分析(ICP)を用いて、SBF5X−により60℃で4時間インキュベートされた96ウェルTCT PSマイクロプレートのウェル表面の被覆を分析した。数個のウェルからの被覆を1MのHClに溶解し、分析前に組み合わせると、Ca/P比は1.44であるというデータを示した。ヒドロキシアパタイト(Aldrichのカタログ番号574791、99.9%)のCa/P比を測定すると、その比は1.66である。単一ウェルにおける、酸により溶解した同様の被覆の、ICP−MSを用いた以前の分析では、非被覆ウェルと比較して被覆ウェルが首尾一貫してマグネシウムイオンを0.5ppm多く含有することを示した。これらの被覆におけるマグネシウムイオンの検出に加えて、形成されたHA被覆のCa/P比値の減少は、結晶形成中にCaイオンがマグネシウムで置換されたことを示している。このように、この手法は、マグネシウム修飾ヒドロキシアパタイトを製造する方法を提供する。
この実験は、ヒドロキシアパタイトに存在するカルシウムイオンの部分をマグネシウムイオンに代えることによって、修飾ヒドロキシアパタイトを調製できることを示している。誘導カップル質量分析(ICP)を用いて、SBF5X−により60℃で4時間インキュベートされた96ウェルTCT PSマイクロプレートのウェル表面の被覆を分析した。数個のウェルからの被覆を1MのHClに溶解し、分析前に組み合わせると、Ca/P比は1.44であるというデータを示した。ヒドロキシアパタイト(Aldrichのカタログ番号574791、99.9%)のCa/P比を測定すると、その比は1.66である。単一ウェルにおける、酸により溶解した同様の被覆の、ICP−MSを用いた以前の分析では、非被覆ウェルと比較して被覆ウェルが首尾一貫してマグネシウムイオンを0.5ppm多く含有することを示した。これらの被覆におけるマグネシウムイオンの検出に加えて、形成されたHA被覆のCa/P比値の減少は、結晶形成中にCaイオンがマグネシウムで置換されたことを示している。このように、この手法は、マグネシウム修飾ヒドロキシアパタイトを製造する方法を提供する。
実施例8:炭酸塩による置換
この実験は、炭酸イオンをヒドロキシアパタイトに組み込むことによって、修飾ヒドロキシアパタイトを調製できることを示している。無機化溶液SBF5X−は、ペトリ皿内で予めインキュベートしてから、溶液を垂直のスライドホルダーに移した。次にガラススライドをスライドホルダーに浸し、40℃で18時間インキュベートした。ガラススライドからかき取った材料のDRIFTS FTIRデータは、結晶構造において炭酸基の存在を示す2本のC−Oピークを示した(図10)。
この実験は、炭酸イオンをヒドロキシアパタイトに組み込むことによって、修飾ヒドロキシアパタイトを調製できることを示している。無機化溶液SBF5X−は、ペトリ皿内で予めインキュベートしてから、溶液を垂直のスライドホルダーに移した。次にガラススライドをスライドホルダーに浸し、40℃で18時間インキュベートした。ガラススライドからかき取った材料のDRIFTS FTIRデータは、結晶構造において炭酸基の存在を示す2本のC−Oピークを示した(図10)。
実施例9:肺細胞培養と評価
2つの96ウェルマイクロプレート(18時間/40℃または4時間/60℃でインキュベートしたSBF5X−によるTCT PS)を、1ウェルにつき100μl当り5,000個の細胞(50,000個の細胞/ml)で平板培養した。細胞を、10%FBSおよびpenn/strepを有するイーグル最小必須培地に入れた。細胞を37℃で3日間インキュベートしてから、光学顕微鏡およびSEMによって観察した。18/40プレート(図11a)および4/60プレート(図11b)に対して反転光学顕微鏡により観察された細胞を明瞭に可視できる。400Xで僅かに虫食い模様が見られたが(図11a)、被覆となり得る。図12は、18/40表面のMRC5細胞のSEMを示している。
2つの96ウェルマイクロプレート(18時間/40℃または4時間/60℃でインキュベートしたSBF5X−によるTCT PS)を、1ウェルにつき100μl当り5,000個の細胞(50,000個の細胞/ml)で平板培養した。細胞を、10%FBSおよびpenn/strepを有するイーグル最小必須培地に入れた。細胞を37℃で3日間インキュベートしてから、光学顕微鏡およびSEMによって観察した。18/40プレート(図11a)および4/60プレート(図11b)に対して反転光学顕微鏡により観察された細胞を明瞭に可視できる。400Xで僅かに虫食い模様が見られたが(図11a)、被覆となり得る。図12は、18/40表面のMRC5細胞のSEMを示している。
実施例10:骨細胞培養と評価
96ウェルプレート(18時間/40℃でインキュベートしたSBF5XNaPによるCNG)をこの実験に用い、本明細書において「HA表面」と称す。HA表面は、ラットの破骨細胞(OC)前駆体細胞培養キット(OSC25 B−Bridge Intl.)を用いた細胞培養で試験した。このプレートは、被覆された16ウェルスライドのBecton Dickinson Osteologic(商標)354608(Becton表面)と平行して試験したが:このスライドは、16ウェルを作製するための組立てを伴う、硝酸カルシウムとリン酸アンモニウムを含むゾルゲルの焼結フィルムで被覆された石英スライドである。キット指示に従って細胞を解凍し、洗浄してから、HA表面およびBecton表面に対して用意された培養培地を用いて50,000個の細胞/100μl/ウェルで接種した。3日目と6日目に加えた新鮮培地を用いて、5%CO2インキュベーター中、被覆されたHA表面およびBecton表面を37℃で9日間インキュベートした。
96ウェルプレート(18時間/40℃でインキュベートしたSBF5XNaPによるCNG)をこの実験に用い、本明細書において「HA表面」と称す。HA表面は、ラットの破骨細胞(OC)前駆体細胞培養キット(OSC25 B−Bridge Intl.)を用いた細胞培養で試験した。このプレートは、被覆された16ウェルスライドのBecton Dickinson Osteologic(商標)354608(Becton表面)と平行して試験したが:このスライドは、16ウェルを作製するための組立てを伴う、硝酸カルシウムとリン酸アンモニウムを含むゾルゲルの焼結フィルムで被覆された石英スライドである。キット指示に従って細胞を解凍し、洗浄してから、HA表面およびBecton表面に対して用意された培養培地を用いて50,000個の細胞/100μl/ウェルで接種した。3日目と6日目に加えた新鮮培地を用いて、5%CO2インキュベーター中、被覆されたHA表面およびBecton表面を37℃で9日間インキュベートした。
前駆体細胞を、平板培養直後の双方の表面に接着させた(画像は用意しなかった)。前駆体細胞は小型(<20μm)で円形であった。双方の基体にOC様形態を有する細胞(>100μmで多核)が、培養9日目までに見られた。9日目に、幾つかのウェルの細胞を固定し、酒石酸耐性酸ホスファターゼ(TRAP)染色キット(AK04 B−Bridge Intl.)を用いて染色した。この染色は、OC細胞に特異的であり、破骨細胞を同定するために細胞形態とピット形成とを組み合わせて使用される。残りのウェルの細胞は、10%ブリーチ(次亜塩素酸ナトリウム)で5分間除去し、被覆を、ピットに関してSEMおよび光学顕微鏡により観察した。
破骨細胞は、HA表面およびBecton表面双方の前駆体細胞から形成した(すなわち、分化した)。個々の細胞(矢印によって示された)は、Becton表面(図13b)よりもHA表面(図13a)においてより明瞭に可視化された。図13bと比較して、図13aのより良好な解像度により、細胞カウントおよび評価が容易に提供される。図14を参照すると、再吸収ピットは双方の表面で形成した。ピットは、図14aおよび14bの暗色画像である。HA表面に存在する再吸収ピット(図14a)は、Becton表面(図14b)と比較してSEMおよび光学顕微鏡(図示せず)によってさらに明瞭に示された。ピットのパーセントを測定するための顕微鏡写真による画像分析の使用は一般的であり、Becton表面と比較してHA表面を用いると、さらに正確かつ容易に達成されるであろう。
本明細書に記載された材料、方法、および物品に対して、種々の修飾および変更をなすことができる。本明細書に記載された材料、方法、および物品の他の態様は、本明細書に開示された材料、方法、および物品の明細書および実施を考慮することにより明らかとなろう。この明細書および実施例は、例示として考慮されることが意図されている。
Claims (6)
- 基体をリン酸カルシウム結晶により被覆する方法であって、
(a)リン酸カルシウム結晶を製造するために、複数の前駆体成分を含んでなり、7.0未満のpHを有する溶液と前記基体とを接触させる工程;
(b)前記溶液に対して前記基体を反転させる工程;および
(c)前記反転基体を、インキュベーション中に発生したガスを逃がすようにインキュベートし、前記基体の表面に結晶被覆を生じさせる工程、
を含んでなることを特徴とする方法。 - 前記前駆体成分が、独立して、ハロゲン化アルカリ金属、硫酸アルカリ金属、炭酸アルカリ金属、リン酸アルカリ金属、ハロゲン化アルカリ土類金属、硫酸アルカリ土類金属、炭酸アルカリ土類金属、およびリン酸アルカリ土類金属よりなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 前記前駆体成分が、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、重炭酸ナトリウム、リン酸水素カリウム、リン酸ナトリウム、および塩化ナトリウムを含んでなることを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 前記リン酸カルシウム結晶が、ヒドロキシアパタイトまたは置換ヒドロキシアパタイトを含んでなることを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 前記前駆体成分の溶液が、合成NXSBFを含んでなり、ここで、SBFが合成SBFを含んでなり、Nが0超であり、NXが、合成SBFの濃度に関する乗数であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 前記溶液が、5から6.5の初期pHを有することを特徴とする請求項5に記載の方法。
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