JP2010517759A - 水性媒体中における固体非晶質サブミクロン粒子の安定な分散体を製造する方法 - Google Patents

水性媒体中における固体非晶質サブミクロン粒子の安定な分散体を製造する方法 Download PDF

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Abstract

水性媒体中に粒子、特にサブミクロン粒子の安定な分散体を製造する方法、および液体媒体中の粒子の安定な分散体に関する。提供されるサブミクロン分散体は、貯蔵中の粒子成長が減少しているか、または実質的に示さず、実質的に水不溶性の活性化合物の晶析速度が低下している。

Description

本発明は、水性媒体中に粒子、特にサブミクロン粒子の安定な分散体を製造する方法、および液体媒体中の粒子の安定な分散体に関する。より具体的に、本発明は、実質的に水不溶性の活性化合物の低下した晶析速度を示す、水性媒体中に非晶質の実質的に水不溶性の薬理学的活性化合物を含む粒子の分散体を製造する方法に関する。さらに、本粒子は、水性媒体中に貯蔵して実質的にサイズの増加を示さず、特に実質的にオストワルド熟成が仲介する粒子成長を示さない粒子の水性分散体である。
液体媒体中の固体物質の分散体は、塗料、インク、殺虫剤および他の農薬の分散体、殺生物剤の分散体および薬理学的活性化合物の分散体を含む、種々の異なる適用に必要である。医薬分野では、多くの薬理学的活性化合物が非常に低い水溶性を有し、それが低バイオアベイラビリティをもたらし得る。このような化合物のバイオアベイラビリティは、化合物の粒子径の、特にサブミクロンサイズまでの減少により改善でき、なぜならこれが溶解速度およびそれ故に化合物の吸収を改善するためである。この効果は、非晶質粒子を使用すると、よりさらに著しい。
水性懸濁液としての薬理学的活性化合物の製剤、特にサブミクロン粒子径での懸濁液は、化合物を静脈内投与することを可能にし、それ故に、経口投与と比べてバイオアベイラビリティが増加し得る別の投与経路を提供する。
しかしながら、媒体中に分散している粒子径に幅があると、一般に溶解速度が異なる。異なる溶解速度は懸濁液の安定性に影響を有する。大きい粒子と比較して、小さい粒子は熱力学に不安定である。これは、小さい粒子から大きい粒子への物質の移動を起こす。この効果は、小さい粒子は媒体に溶けるが、一方で物質が大きな粒子上に沈着し、それにより粒子径を増加させることにより生じる。粒子成長の一つのこのような機構は、オストワルド熟成として既知である(Ostwald, Z Phys. Chem. (34), 1900, 495-503)。分散体中の粒子の成長は、分散体からの粒子の沈降により貯蔵中の分散体を不安定にし得る。薬理学的活性化合物の分散体における粒子径が一定に保たれることは特に重要である。蓋し、粒子径の変化がバイオアベイラビリティに影響し、それ故に該化合物の有効性に影響する可能性があるためである。さらに、分散体が静脈内投与用に使用されるならば、分散体中の粒子の成長は、その分散体を、その目的には不適とし得る。理論的にオストワルド熟成に起因する粒子成長は、分散体中の全粒子が同じサイズであるならばなくなるはずである。しかしながら、実際には、完全に均一な粒子径を達成することは不可能であり、粒子径の僅かな差異でさえ、粒子成長を起こし得る。
固体物質の水性懸濁液は、機械的破砕により、例えば製粉により製造できる。US5,145,684は、水性媒体にやや溶けにくい化合物の懸濁液の湿式粉砕を記載する。しかしながら、湿式粉砕を使用する大きな問題は、本工程に使用するビーズからの汚染である。さらに、機械的破砕は、非晶質出発物質に適用したとき、粒子径減少のためには、あまり有効ではない。
US4,826,689は、沈降用水溶液を、温度および注入速度の制御下に有機溶媒中の固体の溶液に注入し、それにより粒子径を制御して、均一サイズの固体の粒子を製造する方法を記載する。
US4,997,454は、沈降用液体が非水性である類似の方法を記載する。しかしながら、粒子が、沈降媒体に顕著ではないもののわずかな溶解性を有するとき、粒子径成長が、粒子が析出した後に見られる。これらの方法を使用して特定の粒子径を維持するためには、粒子成長を最小化するために、粒子が析出すると直ぐにそれらを単離する必要がある。結果として、これらの方法で製造した粒子は、分散体として液体媒体中に貯蔵できない。さらに、ある種の物質では、オストワルド熟成の成長が速く、懸濁液から小粒子(特にナノ粒子)を単離することが実際的ではない。
US5,100,591は、水性媒体中に水不溶性物質およびリン脂質を共析出させることによる、該物質とリン脂質の複合体を含む、粒子の製造方法を記載する。一般にリン脂質対物質のモル比は、複合体が形成されることを確実にするため1:1である。
US6,197,349は、結晶性化合物を融解し、該化合物と安定化剤、例えばリン脂質を混合し、この混合物を高圧均質化を使用して高温で水に分散させ、その後、温度を例えば環境温度まで低下させることによる、非晶質粒子の形成方法を記載する。
WO03/059319は、水非混和性有機溶媒に溶解した医薬の溶液を、テンプレート水中油型エマルジョンに添加し、その後、水非混和性有機溶媒を留去することによる、小粒子の形成方法を記載する。その後、水を、例えば噴霧乾燥工程により除去して、粉末を得る。
US5,700,471は、水中に分散した結晶性物質を加熱し、融解温度を超える温度で乱流混合に付する、小非晶質粒子の製造方法を記載する。得られた溶解エマルジョンを直ぐに噴霧乾燥するか、または冷却により懸濁液に変換する。しかしながら、そのような懸濁液はオストワルド熟成が仲介する粒子成長を示す。さらに、US5,700,471によると、いくつかの物質は、粒子凝集のために、さらなる有機溶媒の使用なしでは、このような方法に適さない。一つのこのような化合物はフェノフィブラートである。
WO03/013472は、非晶質ナノ粒子の分散体の形成のために水非混和性溶媒が必要ではない方法を記載する。ここで製造される分散体は、沈殿後にオストワルド熟成が仲介する粒子成長が僅であるかまたは全く示さない。該工程は、(a)実質的に水不溶性の物質、水混和性有機溶媒および阻害剤を含む第一溶液と(b)水を含む水性相を合わせ、それにより固体粒子を析出させることを含む。該阻害剤は、実質的に水に不溶性であり、該物質よりも低水溶性であり、リン脂質ではない非重合型疎水性有機化合物であると述べられている。
同時係属出願WO2007/021228は、水性媒体中のサブミクロンサイズの非晶質粒子の安定な分散体の製造方法を記載する。
我々は、非晶質サブミクロン粒子の安定な分散体が、実質的に水不溶性の物質を、粒子間の物質の流れによる水性媒体中に分散した粒子の成長、特に上記オストワルド熟成機構による粒子成長を阻害する成分を含む水性連続相と混合する方法により製造され得ることを驚くべきことに発見した。この成分を、ここでは、“阻害剤”と呼ぶ。得られた混合物を、実質的に水不溶性の物質が、該阻害剤により形成された油性相に移動するように処理する。それ故本発明の方法は沈殿がなく、これは大規模で行うとき有利である。実質的に水不溶性の物質を加熱したとき、該物質の非晶質相と完全に混和することができる特性を有する阻害剤もまた適する。水不溶性物質対阻害剤の比率は10:1(w/w)より小さい。次いで、該混合物を、短時間実質的に水不溶性の物質の融点付近まで加熱し、その後該混合物を環境温度に冷却する。得られた分散体は、高濃度の実質的に水不溶性の物質を有するサブミクロン粒子を含む。記載のこの方法が沈殿法ではないため、水性系において高濃度を得ることができるVitale et al., Langmuir 19, 4105 (2003)により記載の方法とは対照的である。
方法
本発明の方法は、粒子成長および晶析速度を低下させるために粒子を液体媒体から急いで単離する必要なく、非常に小さな非晶質粒子、特に500nm未満の直径を有する粒子の安定な分散体を高濃度で製造することを可能にする。本方法により得られるサブミクロン粒子の分散体は、そのまま使用され得る。しかしながら、所望により、本粒子を分散体から回収してよい。水性相を除去するための適当な方法は、例えば蒸発、噴霧乾燥、噴霧造粒、凍結造粒または凍結乾燥である。本分散体は、例えば、真空下の分散体の加熱、逆浸透、透析、限外濾過またはクロスフロー濾過により、過剰の水を分散体から除去することにより濃縮してもよい。
本発明の一局面により、水性媒体中にサブミクロンサイズの非晶質粒子の安定な分散体を製造する方法が提供される。本方法は次の工程を含む:
1)
a) 水性連続相を提供する水性媒体;
油性相を提供し、水性媒体に分散している粒子間の物質の移動による粒子成長を阻害する阻害剤;
エマルジョン滴および所望により粒子の凝集を阻止するためのドクサートナトリウム;
を含むエマルジョンと
b) 非晶質および/または結晶状態の実質的に水不溶性の物質(ここで、水不溶性物質対阻害剤の比率は10:1(w/w)より小さい);および
c) 所望によりエマルジョン滴および/または該粒子の凝集を阻止する第二の安定化剤
を合わせ、
2) 実質的に水不溶性の物質が結晶状態であるならば、混合物の温度を実質的に水不溶性の物質の融解温度付近まで上げ、そして
3) 実質的に水不溶性の物質を該油性層に移動させ、工程2)で温度を上昇させていたならば、例えば環境温度まで温度を低下させ、それにより該非晶質粒子の分散体を提供する。
本混合物は、工程2)の間、阻害剤により提供される油性相に実質的に水不溶性の物質が移動することを可能にするのに十分な時間、その温度に維持されてよい。
100℃を超える融点の物質については、本方法は、水性媒体の沸点のために、例えば高圧リアクターを用いて加圧下に行う。
本発明の方法で得られた粒子、すなわち“サブミクロン粒子”は、10μm未満、例えば5μm未満、または1μm未満または500nm未満でさえある平均粒子径を有する。分散体中の粒子が10〜500nm、例えば50〜300nm、または100〜200nmの平均粒子径を有することが特に好ましい。粒子の平均サイズは、強度平均(intensity averaged)粒子径を得るための慣用技術を使用して、例えば動的光散乱により測定し得る。
非晶質粒子は、最終的に水性分散体として貯蔵することにより、熱力学的により安定な結晶形態に戻る。このような粒子が結晶化する時間は、粒子の成分および薬理学的活性化合物の分散体に依存し、数時間から数週間まで変わり得る。一般にこのような再結晶化はまた粒子成長をもたらす。大きな結晶性粒子の形成は医薬投与に不適であり、それらはまた分散体から沈降する傾向にある。結晶核形成および成長による非晶質物質から結晶性物質への変換は、一般に制御困難である。しかしながら、本発明による、完全に混和し得る非晶質医薬/阻害剤系(少なくとも1種の阻害剤および所望により少なくとも1種の共阻害剤を含む阻害剤混合物を含む)は、結晶核形成に影響する可能性だけでなく、結晶成長速度の低下ももたらし得る。これらの利点は、水不溶性物質対阻害剤の比率を10:1(w/w)未満、例えば4:1、または2:1(w/w)にすることにより得られる。
本発明の方法により得られたサブミクロン分散体は安定であり、それにより、我々は、分散体中の粒子が示す、例えばオストワルド熟成機構により説明される小さい粒子から大きい粒子への物質の移動が仲介する粒子成長が減少しているか、または実質的にないこと、ならびに非晶質物質が、その貯蔵による結晶化が減少しているか、または実質的にないことを意味する。本サブミクロン分散体は、相当長時間非晶質状態で残っている、すなわち、結晶化速度が著しく低下しているという意味で安定である。
用語“結晶化が減少しているか、または実質的にない”は、得られた非晶質粒子の分散体における結晶化速度が、阻害剤を使用せずに類似の方法で製造した粒子と比較して低下していることを意味する。さらに、該粒子の結晶化速度は、低い阻害剤/医薬比を使用して製造した粒子と比較して、高い阻害剤/医薬比の使用により低下する。
用語“減少した粒子成長”は、オストワルド熟成に従うような粒子間の物質の流れが仲介する粒子成長の速度が、阻害剤を使用せずに類似の方法で製造した粒子と比較して低下していることを意味する。用語“実質的に粒子成長がない”は、水性媒体中の粒子の平均サイズが、本方法に従い形成した後に、環境温度で1時間にわたり10%以上増加しない、例えば5%以下であることを意味する。好ましくは本粒子は実質的に粒子成長を示さない。
実質的に水不溶性の物質と阻害剤の共存は、前記のようなオストワルド熟成が仲介する粒子成長を顕著に減少させるか、または排除する。
エマルジョンと実質的に水不溶性の物質を混合し、方法の工程2)において記載の通り温度を上げたとき、実質的に水不溶性の物質は、阻害剤を含む相に移る。それ故に、本阻害剤系は、実質的に水不溶性の物質の非晶質相と完全に混和性でなければならないと考えられる。
非晶質サブミクロン粒子の改善した安定性を達成するために、好ましくは全結晶性水不溶性物質を、存在するならば、非晶質状態に移す。これは、工程2)における温度を、実質的に水不溶性の物質の融解温度付近、例えばその融点の±20℃、またはその融点の±15℃、またはその融点の±10℃、またはその融点の±5℃の適当な温度に上げ、実質的に水不溶性の物質を油性相に移動させ、該温度を融解温度付近から低下させる。全ての結晶性物質が非晶質状態に移るわけではない場合、残りの結晶性物質は結晶化の種晶として作用し得る。
本発明の方法は、粒子成長を阻止するために粒子を液体媒体から急いで単離する必要なく、非常に小さな粒子、特にサブミクロン粒子の安定な分散体を高濃度で製造することを可能にする。“高濃度”は、ここでは、本発明の分散体中の実質的に水不溶性の物質の総濃度が1重量%以上、例えば1〜30重量%、例えば5、10、15、20または25重量%であることを意味する。前記の通り、非晶質粒子は結晶化を示し得て、すなわち形成した粒子の非晶質物質は、熱力学規則による過程である、非晶質状態から結晶状態に移り得る。しかしながら、この熱力学的に決定される過程の速度は、水不溶性物質対阻害剤の比を10:1(w/w)より小さく、例えば9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、または1:1(w/w)に減少させることにより低下させ得る。この比を減少させることにより、非晶質サブミクロン粒子の分散体におけるバルク濃度、すなわち非晶質溶解性を低下できる。例えば、水における非晶質溶解性は、少量の水不溶性物質の非晶質分散体を、所望の濃度を得るために水を含む蛍光キュベットに連続的に添加することより、水不溶性物質の非晶質懸濁液の希釈度の関数として静的光散乱を測定することにより決定し得る(L. Lindfors et al., Langmuir, 22, 911 (2006))。最適比は、選択した水不溶性物質および阻害剤または阻害剤/共阻害剤による。
本発明はまた、水不溶性物質の濃度が粒子間で変わっているときでさえ、同じサイズの粒子を得る方法も提供する。このような粒子は、本発明に従う粒子の形成が結晶核形成と無関係であり、析出タイプの方法と異なるため、本方法で得られる。
実質的に水不溶性の物質
本発明の一態様において、エマルジョンを、最初は結晶状態である実質的に水不溶性の物質の粒子と混合する。これらの結晶性粒子は、1μm以上、例えば1μm〜500μmまたは1μm〜200μmの任意のサイズであり得る。
一態様において、実質的に水不溶性の物質を、非晶質形態でエマルジョンに添加する。非晶質形態の水不溶性物質は、例えば、噴霧乾燥、噴霧凍結、フリーズ・ドライまたは噴霧造粒により得ることができる。乾燥法についてのこの一覧は非排他的である。さらに、本発明の方法はまた、結晶状態では利用可能ではない非晶質物質のために適切である。
一態様において、水不溶性物質の(結晶性および/または非晶質)粒子を、最初に、所望により1種以上の安定化剤(以後第二の安定化剤と呼ぶ)を含んでよい水性相中に懸濁液として製造し、所望により該安定化剤はまた水混和性溶媒と組み合わせてもよい。
本水性相は水、または1種以上の水混和性有機溶媒と混合した水から成り得る。
理解される通り、水混和性有機溶媒の選択は実質的に水不溶性の物質の性質による。このような水混和性溶媒の例は、水混和性アルコール、例えばメタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、tert−ブチルアルコール、エチレングリコール;ジメチルスルホキシド、水混和性エーテル、例えばテトラヒドロフラン、水混和性ニトリル、例えば、アセトニトリル;水混和性ケトン、例えばアセトンまたはメチルエチルケトン;アミド、例えばジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、または上記水混和性有機溶媒の2種以上の混合物を含む。好ましい水混和性有機溶媒はエタノール、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミドである。
実質的に水不溶性の物質は、好ましくは実質的に水不溶性の有機物質である。“実質的に水不溶性”は、25℃での水への溶解性が0.5mg/ml未満、好ましくは0.1mg/ml未満および特に0.05mg/ml未満の物質を意味する。
好ましい態様において、実質的に水不溶性の物質は、0.005μg/ml〜0.5mg/ml、例えば0.005μg/ml〜0.05mg/ml、または0.005μg/ml〜0.01mg/mlの溶解性を有する。オストワルド熟成阻害のような物質の流れによる粒子成長の阻害に対する最大の効果は、実質的に水不溶性の物質が、25℃で0.05μg/mlを超えない水への溶解性を有するときに観察される。
水中で結晶状態の物質の溶解性は、慣用の技術を使用して測定し得る。例えば、物質の飽和溶液を、過剰量の物質を水に添加することにより25℃で製造し、該溶液を48時間平衡化させる。過剰の固体を遠心または濾過により除き、水中の物質の濃度を、HPLCのような適当な分析技術により決定する。
本発明により、250℃まで、例えば225℃未満、または200℃未満の融点を有する実質的に水不溶性の物質を含むサブミクロン粒子の製造方法が提供される。
本発明の方法は、広範囲の実質的に水不溶性の物質の安定な水性分散体の製造に使用し得る。適当なこのような物質は、色素、農薬、除草剤、殺菌剤、工業用殺生物剤、化粧品、薬理学的活性化合物ならびに薬理学的に許容される担体および希釈剤のような薬理学的に不活性な物質を含み、これに限定されない。
好ましい態様において、実質的に水不溶性の物質は実質的に水不溶性の薬理学的活性物質である。薬理学的活性化合物の多くのクラスが、本発明における使用に適当であり、実質的に水不溶性の抗癌剤(例えばビカルタミド)、ステロイド、好ましくはグルココルチコステロイド(特に抗炎症性グルココルチコステロイド、例えばブデソニド)、抗高血圧剤(例えばフェロジピン、プラゾシンまたはニフェジピン)、ベータブロッカー(例えばピンドロールまたはプロプラノロール)、脂質低下(hypolipidaemic)剤(例えばフェノフィブラート)、抗凝血剤、抗血栓剤、抗真菌剤(例えばグリセオフルビン)、抗ウイルス剤、抗生物質、抗細菌剤(例えばシプロフロキサシン)、抗精神病剤、抗鬱剤、鎮静剤、鎮痛剤(analgetics)(侵害受容性疼痛または神経因性(neuropatic)疼痛の処置用化合物を含む)、麻酔剤、抗炎症剤(消化器炎症性疾患の処置用化合物、例えばWO99/55706に記載の化合物および他の抗炎症性化合物、例えばケトプロフェン)、抗ヒスタミン剤、ホルモン剤(例えばテストステロン)、免疫調整剤(immunomodifiers)、または避妊薬を含み、これに限定されない。本物質は、1種の実質的に水不溶性の物質または2種以上のそのような物質の組み合わせを含み得る。
エマルジョン
本発明のエマルジョンは、水性連続相および阻害剤により提供される油性相を含むエマルジョンであり、すなわち水を水性連続相として選択したとき、水中油型エマルジョンである。水、または水混和性溶媒と混合した水を本発明の方法において使用するとき、阻害剤を含むエマルジョンが形成される。本エマルジョンは水中油型エマルジョンである。本エマルジョンはまた、さらに、次に定義する成分をさらに含んでよい。
本エマルジョンは慣用法で製造され、例えば、阻害剤、ドクサートナトリウム、および水が、それらを均質化する前に混合物を形成する。均質化を、例えば、超音波処理または高圧均質化によって実施する。
好ましくは、本発明の方法は、水性連続相の水性媒体が水から成る、水性ベースの方法である。しかしながら、また水性連続相について他の選択肢、例えば、水混和性溶媒と混合した水が可能である。水混和性溶媒は上記のリストまたはそれらの混合物から選択され得る。さらに、水性相の他の選択肢は、水と低分子量糖の混合物である。このような成分は、非晶質懸濁液の、例えば凍結乾燥、噴霧乾燥または噴霧造粒による乾燥状態への変換を促進するために添加する。好ましくは、水を本発明の方法のために使用する。水の使用は、環境問題を考えると重要な局面である。水ベースの方法はまた、粒子中の痕跡量の有機溶媒を避けることができるため、有利である。
安定化剤:
安定化剤は、本方法中のエマルジョン滴の凝集を阻止する。類似の方法で、非晶質粒子は、安定化剤が存在しなければ、最終分散体中で凝集する傾向にある。
それ故に、エマルジョン滴の凝集を阻止する安定化剤(複数もある)はまた得られた分散体中の非晶質粒子の凝集の阻止にも適し得る。代案は、エマルジョンが、エマルジョン滴の凝集を阻止する少なくとも1種の安定化剤および該粒子の凝集を阻止する少なくとも1種の安定化剤を含むことである。他の代案は、該粒子の凝集を阻止する少なくとも1種の第二の安定化剤を、該エマルジョンと実質的に水不溶性の物質の混合物に添加することである。さらに別の代案は、該少なくとも1種の第二の安定化剤を、実質的に水不溶性の物質と共にその懸濁液中に添加することである。
本発明において、安定化剤はドクサートナトリウムである。ドクサートナトリウムはまた1,4−ビス(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ドクサタム・ナトリクム(docusatum natricum)またはAerosol OT(AOT)とも呼ばれる。
驚くべきことに、ドクサートナトリウムが上記エマルジョンに対して顕著な効果を有し、高温でさえ安定なエマルジョンが得られることが示された。200℃の温度で、エマルジョンは処理中安定であり、200℃の融解温度を有する実質的に水不溶性の物質を含む粒子を得ることができる。ドクサートナトリウムは薬学的に許容される物質であると見なされ、水不溶性物質が薬理学的活性化合物であるとき、重要である。
所望により、1種以上のさらなる安定化剤(複数もある)、第二の安定化剤が、本方法中、ドクサートナトリウムと共に混合物中に存在できる。エマルジョン滴および/または分散体中の粒子凝集の阻止に適当な安定化剤は、当業者に既知である。適当な安定化剤は、分散剤および界面活性剤(アニオン性でも、カチオン性でも、非イオン性でもよい)またはそれらの組み合わせを含む。適当な分散剤は、重合性分散剤、例えばポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールまたはセルロース誘導体、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロースまたはカルボキシメチルセルロースを含む。適当なアニオン性界面活性剤は、アルキルおよびアリールスルホネート、スルフェートまたはカルボキシレート、例えばアルカリ金属アルキルおよびアリールスルホネートまたはスルフェート、例えば、ドデシル硫酸ナトリウムを含む。適当な非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレン残基を含んでも含まなくてもよいソルビタンのモノエステル類、脂肪アルコールとポリオキシエチレングリコールの間で形成されるエーテル、ポリオキシエチレン−ポリプロピレングリコール、エトキシル化ヒマシ油(例えばCremophor EL)、エトキシル化硬化ヒマシ油、エトキシル化12OH−ステアリン酸(例えばSolutol HS15)、リン脂質、例えばポリエチレングリコール(PEG)の鎖で置換されたリン脂質を含む。例はDPPE−PEG(PEG2000またはPEG5000またはDSPE−PEG5000で置換されたジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(PEG5000で置換されたジステアロイルホスファチジルエタノールアミン))を含む。
一態様において、ドクサートナトリウムは、一つの安定化剤として水性相に存在する。
一態様において、ドクサートナトリウムは、1種以上の付加的安定化剤との混合物として水性相に存在する。
一態様において、水性相はドクサートナトリウムおよび重合性分散剤、例えばポリビニルピロリドンを含む。
実質的に水不溶性の物質が薬理学的活性化合物であるとき、安定化剤が薬学的に許容される物質であることが好ましい。
一般に、水性相は0.01〜10重量%、例えば0.01〜5重量%、好ましくは0.05〜3重量%および特に0.1〜2重量%のドクサートナトリウムを含む。
阻害剤
エマルジョンは、油性相を提供し、本発明の方法により得られる分散体における非晶質粒子間の物質の流れによる粒子成長を阻害する、少なくとも1種の阻害剤を含む。本発明で適切なことは、次のものを満たす阻害剤である:
− 実質的に水に不溶性な化合物である阻害剤;
− 実質的に水不溶性の物質よりも水に可溶性ではない阻害剤;および
− 阻害剤は、実質的に水不溶性の物質の非晶質相と完全に混和性である。
オストワルド熟成のような粒子成長に影響する阻害剤(複数もある)または下記の阻害剤混合物(少なくとも1種の阻害剤および少なくとも1種の共阻害剤を含む)が、非晶質医薬と完全に混和性であることが重要である。WO03/013472の通り、混和性は、ブラッグ・ウィリアムズ相互作用パラメーターχにより特徴付けられ得る。2.5未満のχの値、より好ましくは2未満のχが、非晶質医薬と粒子成長阻害剤、すなわちオストワルド熟成阻害剤の間の完全な混和性を特徴付け得る。
本阻害剤は、適切には、実質的に水不溶性の物質(非晶質)よりも水に可溶性ではない化合物である。好ましくは、本阻害剤は疎水性有機化合物である。本発明の方法に適当な阻害剤は、WO03/013472に記載の通り、オストワルド熟成が仲介する粒子成長に影響を有する。
適当な阻害剤は、25℃で0.1mg/l未満、より好ましくは0.01mg/l未満の水溶性を有する。本発明の一態様において、阻害剤の25℃での水への溶解性は0.05μg/ml未満、例えば0.1ng/ml〜0.05μg/mlである。
本発明の一態様において、阻害剤は2000未満、例えば1000未満の分子量を有する。本発明の他の態様において、阻害剤は1000未満、例えば600未満の分子量を有する。例えば、阻害剤は200〜2000の範囲の分子量、好ましくは400〜1000、より好ましくは400〜600の範囲の分子量を有し得る。
適当な阻害剤は、下記のクラス(i)〜(vi)から選択される阻害剤、またはそのような阻害剤の2種以上の組み合わせを含む:
(i) 脂肪酸のモノ−、ジ−または(より好ましくは)トリ−グリセライド。適当な脂肪酸は、8〜12個、より好ましくは8〜10個の炭素原子を含む中鎖脂肪または12個を超える炭素原子、例えば14〜20個の炭素原子、より好ましくは14〜18個の炭素原子を含む長鎖脂肪酸を含む。脂肪酸は飽和、不飽和または飽和および不飽和酸の混合物であり得る。脂肪酸は、所望により1種以上のヒドロキシル基を含んでよく、例えばリシノール酸である。グリセライドは、既知の方法で、例えば1種以上の長または中鎖脂肪酸をグリセロールでエステル化して製造し得る。好ましい態様において、阻害剤はグリセロールの長または、好ましくは、中鎖脂肪酸の混合物でのエステル化により得られるトリグリセライドの混合物である。脂肪酸の混合物は、天然産物、例えば天然油、例えばヤシ油からの抽出により得られる。ヤシ油から抽出した脂肪酸は、約50〜80重量%のデカン酸および20〜50重量%のオクタン酸を含む。グリセロールをエステル化するための脂肪酸の混合物の使用は、異なるアシル鎖長の混合物を含む、グリセライドの混合物を生じる。長および中鎖トリグリセライドは市販されている。例えば、8〜12個、より好ましくは8〜10個の炭素原子を有するアシル基を含む好ましい中鎖トリグリセライド(MCT)は、グリセロールのヤシ油から抽出された脂肪酸でのエステル化により製造し、8〜12個、より好ましくは8〜10個の炭素原子を有するアシル基を含むトリグリセライドの混合物を生じる。このMCTは、Miglyol 812N(Sasol, Germany)として市販されている。他の市販されているMCTは、Miglyol 810およびMiglyol 818(Sasol, Germany)を含む。さらに適当な中鎖トリグリセライドは、トリラウリン(トリラウリン酸グリセロール)である。市販されている長鎖トリグリセライドは、ダイズ油、ゴマ油、ヒマワリ油、ヒマシ油または菜種油を含む。モノ−およびジ−グリセライドは、グリセロールの適当な脂肪酸、または脂肪酸混合物での部分的エステル化により得ることができる。必要であれば、モノ−およびジ−グリセライドを、慣用の技術を使用して、例えば、エステル化後の反応混合物からの抽出により、分離および精製してよい。モノ−グリセライドを使用するとき、それは好ましくは長鎖モノグリセライド、例えばグリセロールの18個の炭素原子を含む脂肪酸でのエステル化により形成したモノグリセライドである;
(ii) C2−10ジオールの脂肪酸モノ−または(好ましくは)ジ−エステル。好ましくはジオールは、飽和でも不飽和でもよい脂肪族ジオール、例えばC2−10−アルカンジオールであり、それは直鎖ジオールでも分枝鎖ジオールでもよい。より好ましくは、ジオールは直鎖でも分枝鎖でもよいC2−6−アルカンジオール、例えばエチレングリコールまたはプロピレングリコールを含む。適当な脂肪酸は、グリセライドに関連して上記の中および長鎖脂肪酸を含む。好ましいエステルは、プロピレングリコールと、8〜10個の炭素原子を含む1種以上の脂肪酸のジ−エステル、例えばMiglyol 840(Sasol, Germany)である;
(iii) アルカノールまたはシクロアルカノールの脂肪酸エステル。適当なアルカノールは、直鎖でも分枝鎖でもよいC1−10−アルカノール、より好ましくはC2−6−アルカノール、例えばエタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノールまたはtert−ブタノールを含む。適当なシクロアルカノールは、C3−6−シクロアルカノール、例えばシクロヘキサノールを含む。適当な脂肪酸は、グリセライドに関連して上記の中および長鎖脂肪酸を含む。好ましいエステルは、C2−6−アルカノールと、8〜10個の炭素原子、またはより好ましくは12〜29個の炭素原子を含む1種以上の脂肪酸のエステルであり、その脂肪酸は飽和でも不飽和でもよい。適当なエステルは、例えばミリスチン酸イソプロピルまたはオレイン酸エチルを含む;
(iv) 蝋。適当な蝋は、長鎖脂肪酸と、少なくとも12個の炭素原子を含むアルコールのエステルを含む。アルコールは脂肪族アルコール、芳香族性アルコール、脂肪族と芳香族基を含むアルコールまたは2種以上のそのようなアルコールの混合物であり得る。アルコールが脂肪族アルコールであるとき、それは飽和でも不飽和でもよい。脂肪族アルコールは、直鎖でも分枝鎖でも環状でもよい。適当な脂肪族アルコールは、12個以上の炭素原子、好ましくは14個以上の炭素原子、特に18個以上の炭素原子、例えば12〜40個、より好ましくは14〜36個および特に18〜34個の炭素原子を含むものである。適当な長鎖脂肪酸は、グリセライドに関連して上記のもの、好ましくは14個以上の炭素原子、特に18個以上の炭素原子、例えば14〜40個、より好ましくは14〜36個および特に18〜34個の炭素原子を含むものを含む。蝋は天然蝋、例えば蜜蝋、植物材料由来の蝋、または脂肪酸および長鎖アルコールのエステル化により製造した合成蝋であり得る。他の適当な蝋は、パラフィン蝋のような石油蝋を含む;
(v) 長鎖脂肪族アルコール。適当なアルコールは、6個以上の炭素原子、より好ましくは8個以上の炭素原子、例えば12個以上の炭素原子、例えば12〜30個、例えば14〜20個の炭素原子を含むものである。長鎖脂肪族アルコールが6〜20個、より具体的に6〜14個の炭素原子、例えば8〜12個の炭素原子を含むことが特に好ましい。アルコールは直鎖でも、分枝鎖でも、飽和でも、不飽和でもよい。適当な長鎖アルコールの例は、1−ヘキサノール、1−デカノール、1−ヘキサデカノール、1−オクタデカノール、または1−ヘプタデカノール(より好ましくは1−デカノール)を含む;または
(vi) 硬化植物油、例えば硬化ヒマシ油。
本発明の一態様において、阻害剤は中鎖トリグリセライドおよび6〜12個、好ましくは10〜20個の炭素原子を含む長鎖脂肪族アルコールから選択する。好ましい中鎖トリグリセライドおよび長鎖脂肪族アルコールは上記で定義の通りである。好ましい態様において、阻害剤は、8〜12個の炭素原子を有するアシル基を含む中鎖トリグリセライド、またはそのようなトリグリセライドの混合物(好ましくはMiglyol 812N)および10〜14個の炭素原子を含む脂肪族アルコール(好ましくは1−デカノール)またはその混合物(例えばMiglyol 812Nと1−デカノールを含む混合物)から選択する。
阻害剤は環境温度(25℃)で液体であるのが適当である。実質的に水不溶性の物質が薬理学的活性化合物であるとき、阻害剤は好ましくは薬学的に不活性な物質である。粒子中の阻害剤の量は、懸濁液中の粒子のオストワルド熟成の阻止に十分である。好ましくは、阻害剤は、阻害剤および実質的に水不溶性の物質を含む本方法において形成された非晶質粒子中の副成分である。好ましくは、それ故に、阻害剤は、許容されるレベルまでオストワルド熟成を阻止し、そして晶析速度を低下させるのに丁度十分な量で存在する。
阻害剤は実質的に水不溶性の物質と適合性である、すなわち、非晶質相にある水不溶性物質が阻害剤と混和性であるのが適当である。本方法により得られる固体粒子中の水不溶性物質および阻害剤の混和性を明らかにする一つの方法は、物質および阻害剤の混合物についての相互作用パラメーターχによる。一般に、実質的に水不溶性の物質の非晶質状態は、阻害剤との完全な混和に適する。理論に縛られないが、これは、パラメーターχが2.5未満、特に2未満であるブラッグ・ウィリアムズ理論により明らかにできる。
χパラメーターは、既知のブラッグ・ウィリアムズ理論またはthe Regular Solution theories(例えばJoensson, B. Lindman, K. Holmberg, B. Kronberg, “Surfactants and Polymers in Solution”, John Wiley & Sons, 1998 and Neau et al, Pharmaceutical Research, 14, 601 1997参照)から導き得る。理想的混合物において、χは0であり、ブラッグ・ウィリアムズ理論に従い、2成分混合物は、χ<2であるときには相は分離しない。
WO03/013272に記載の通り、χが2.5またはそれ未満であるとき、オストワルド熟成を僅かしかまたは全く示さない濃縮粒子分散体を製造できる。χが約2.5より大きい系は相分離の傾向があり、オストワルド熟成に対して安定性が低いと考えられる。適当には物質−阻害剤混合物のχ値は2以下、例えば0〜2、好ましくは0.1〜2、例えば0.2〜1.8である。しかしながら、本発明の方法は理論に縛られない。
多くの小分子有機物質(Mw<1000)が結晶形態で利用可能であるか、または慣用の技術を使用して結晶形態で製造できる(例えば適当な溶媒系からの再結晶により)。かかる場合、物質および阻害剤混合物のχパラメーターは、等式Iから容易に決定できる:
Figure 2010517759
式中:
ΔSは、結晶性の実質的に水不溶性の物質の溶解のエントロピー(DSC測定のような寛保技術を使用して測定);
は、結晶性の実質的に水不溶性の物質の融点(K)(DSC測定のような慣用技術を使用して測定);
Tは、溶解性実験での温度;
Rは、気体定数;および
は、阻害剤中の結晶性の実質的に水不溶性の物質のモル分率溶解性(例えば前記のような溶解性の測定のための慣用技術を使用して測定)。上記等式中、TおよびΔSは、本物質の結晶形態の融点およびエントロピーを意味する。本物質が異なる多形の形態で存在する可能性のある場合、TおよびΔSは、溶解性実験において使用する本物質の多形形態について測定する。理解される通り、ΔS、Tおよびx の測定は、本発明に従う分散体の形成前に結晶性の実質的に水不溶性の物質に対して行い、それによりバルク結晶性物質に対する単純な測定の実施により実質的に水不溶性の物質に対して好ましい阻害剤を選択することを可能にする。
阻害剤中の結晶性の実質的に水不溶性の物質のモル分率溶解性(x )は、単純に阻害剤中の該物質の飽和溶液に存在する阻害剤および物質の総モル量あたりの物質のモル数である。認識される通り、上記等式は、物質および阻害剤の2成分系について導かれている。阻害剤が1種を超える化合物を含む場合(例えばMiglyol 812Nのようなトリグリセライドの混合物を含む中鎖トリグリセライドの場合、または阻害剤の混合物を使用するとき)、x を阻害剤混合物の“見かけのモル濃度”の観点で計算するので十分である。
このような混合物の見かけのモル濃度は、阻害剤成分の混合物について次の通り計算される:
見かけのモル濃度=
1リットルの阻害剤混合物の質量*[(a/Mwa)+(b/Mwb)+....(n/Mwn)]
式中:
a、b...nは、阻害剤混合物中の各成分の重量画分である(例えば成分aに関して、これは%w/w成分a/100である);および
Mwa....Mwnは、混合物中の各成分a...nの分子量である。
次いで、x を次の通り計算する:
Figure 2010517759
阻害剤が分散体を製造する温度で固体であるとき、モル分率溶解性x は、阻害剤の融点を超える一連の温度でモル分率溶解性を測定し、溶解性を所望の温度を外挿することにより推算できる。しかしながら、前記の通り、阻害剤が分散体を製造する温度で液体であることが好ましい。これは、とりわけ、液体阻害剤の使用がx の値を直接測定することを可能にするため有利である。
ある場合において、特に非晶質であり得る大有機分子である場合、実質的に水不溶性の物質を結晶形態で得ることが可能ではないかもしれない。かかる場合、好ましい阻害剤は、必要な物質:阻害剤比で混合したときに、実質的に単相の混合物(上記理論に従い、χ<2.5、特にχ<2)を形成するために、実質的に水不溶性の物質と十分に混和性であるものである。阻害剤の実質的に水不溶性の物質への混和性は、日常的な実験を使用して決定し得る。例えば、本物質および阻害剤を適当な有機溶媒に溶解し、続いて溶媒を除去して、物質と阻害剤の混合物を残す。次いで、得られた混合物を、混合物が単相系であるか否かを決定するためのDSC特徴付けのような日常的な技術を使用して特徴付けし得る。この経験法は、特定の物質に対する好ましい阻害剤の選択を可能にし、本発明に従い製造する分散体において実質的に単相の粒子を提供する。
共阻害剤
本発明の方法のさらなる態様において、適当な共阻害剤がエマルジョン中に存在する。そのような場合、阻害剤混合物を擬似的1成分混合物として処理する。共阻害剤の存在は、本物質と本阻害剤混合物の混和性を高め、それによりχ値を低下させ、さらにオストワルド熟成を減少させるか、阻止する。共阻害剤は、適当には阻害剤よりも水に可溶性である。適当な阻害剤混合物は、前記で定義の阻害剤、好ましくは上記に列記したクラス(i)〜(vi)から選択される阻害剤を含む。共阻害剤の例は、長鎖脂肪族アルコール、例えば6個以上の炭素、特に6〜14個の炭素原子を含む脂肪族アルコール、例えば1−ヘキサノールおよび1−デカノールである。好ましい態様において、阻害剤が8〜12個の炭素原子を有するアシル基を含む中鎖トリグリセライド(またはMiglyol 812Nのような、このようなトリグリセライドの混合物)であるとき、好ましい共阻害剤は、6個以上の炭素原子(好ましくは6〜14個の炭素原子)を含む長鎖脂肪族アルコール、例えば1−ヘキサノールまたはより好ましくは1−デカノールである。他の適当な共阻害剤は、疎水性ポリマー、例えばポリプロピレングリコール2000、および疎水性ブロック・コポリマー、例えばトリ−ブロック・コポリマーPluronic L121を含む。阻害剤:共阻害剤の重量比は、物質と阻害剤(混合物)の混合物の所望のχ値をもたらすように選択し、例えば10:1から1:10(w/w)、例えば1:2(w/w)および約1:1(w/w)の広い範囲で変わり得る。χについての好ましい値は前記で定義の通りである。
本発明の一態様において、水性媒体中の実質的に水不溶性の薬理学的活性物質の粒子の安定な分散体が提供される。この態様に従い製造された分散体は、オストワルド熟成に由来する粒子径の成長を貯蔵中に僅かしかまたは全く示さない。
一態様において、実質的に水不溶性の物質と阻害剤混合物(少なくとも1種の阻害剤および少なくとも1種の共阻害剤を含む)の混和性が、分散体中に実質的に単相の粒子をもたらすのに十分であることが好ましく、より好ましくは、該阻害剤混合物と実質的に水不溶性の物質の混合物が、<2.5、より好ましくは2以下、例えば0〜2のχ値を有し、ここで、χ値は前記で定義の通りである。
一態様において、阻害剤は好ましくは、8〜12個の炭素原子、より好ましくは8〜10個の炭素原子を有するアシル基を含む中鎖トリ−グリセライド(MCT)、またはその混合物、例えばMiglyol 812Nである。本阻害剤と本物質の混和性は、前記の通り共阻害剤の使用により増加し得る。例えば、この態様における適当な阻害剤/共阻害剤は、上記で定義の中鎖トリ−グリセライド(MCT)および、6〜12個、より好ましくは8〜12個、例えば10個の炭素原子を有する長鎖脂肪族アルコール、または2種以上のそのような阻害剤を含む混合物、例えば1−ヘキサノールまたは、より好ましくは、1−デカノールである。この態様において使用するための好ましい阻害剤/共阻害剤の混合物は、Miglyol 812Nと1−デカノールの混合物である。
必要であれば、本発明に従い製造した分散体中に存在する粒子を、水性媒体から単離し得る。本粒子は、慣用の技術を使用して、例えば遠心分離、逆浸透、膜濾過、凍結乾燥または噴霧乾燥により分離し得る。粒子の単離は、本粒子を洗浄し、温血哺乳動物、特にヒトへの、例えば経口または非経腸、例えば静脈内投与による投与に適当な懸濁液を得るために滅菌水性媒体に再懸濁することを可能にするため、有用である。
一態様において、単離、例えば噴霧乾燥、噴霧造粒または凍結乾燥中の固体粒子の凝集を阻止するために、粒子の単離前にある試薬を懸濁液に添加してよい。適当な試薬は、例えばマンニトール、スクロースおよびトレハロースのような糖である。
懸濁液からの粒子の単離は、本粒子を粉末として貯蔵することが望まれるときにも有用である。本粉末を、次いで、使用前に水性媒体に再懸濁してよい。これは、実質的に水不溶性の物質が薬理学的活性物質であるときに特に有用である。次いで、本物質の単離粒子を、粉末として、例えば、バイアル中に貯蔵し、その後、上記の通り、患者への投与に適当な液体媒体に再懸濁し得る。
あるいは、本単離粒子を使用して、例えば、本粒子と適当な賦形剤/担体を混合し、そして造粒するか、または得られた混合物を圧縮して、経口投与に適当な錠剤または顆粒を形成することにより固体製剤を製造してよい。あるいは、本粒子を、適当なマトリックス系、例えば生体適合性重合性マトリックス、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)またはポリラクチド−コ−グリコライドポリマーに懸濁、分散体または封入して、制御または持続放出製剤を得てよい。
本発明の他の態様において、本方法を、滅菌分散体が直接適用されるような高温で行ってよく、そして、その分散体を、さらなる精製または滅菌工程の必要性なしに上記の通り温血哺乳動物に投与できる。
本発明のさらなる局面に従い、粒子が分散している水性連続相を含む安定な水性分散体が提供される。これらの分散体した粒子は阻害剤および実質的に水不溶性の物質を含み、該分散体は本発明の方法により得られ;そしてここで:
(i) 阻害剤は、実質的に水に不溶性の化合物である;
(ii) 阻害剤は、実質的に水不溶性の物質よりも水に可溶性ではない;そして
(iii) 阻害剤は、実質的に水不溶性の物質の非晶質相と完全に混和性である。
本発明のこの局面に従う分散体は、貯蔵によりオストワルド熟成が仲介する粒子成長を僅かしかまたは全く示さず(すなわち、本分散体は上記で定義の通り安定な分散体である)、そして、非晶質サブミクロン粒子の結晶化速度が低下している。
本粒子は、好ましくは1μm未満、より好ましくは500nm未満の平均直径を有する。分散体中の粒子が10〜500nm、より具体的に50〜300nmおよびさらに具体的に100〜200nmの平均粒子径を有することが特に好ましい。
本粒子は、1種の実質的に水不溶性の物質、または2種以上のそのような物質の組み合わせを含み得る。本粒子は、前記の通り1種の阻害剤または1種の阻害剤と1種以上の共阻害剤の組み合わせを含み得る。
医学的使用
本物質が実質的に水不溶性の薬理学的活性物質であるとき、本発明に従う分散体を、例えば経口または非経腸(例えば静脈内)投与により、温血哺乳動物(特にヒト)に投与し得る。別の態様において、本分散体を、所望により最初に分散体を過剰の水性媒体の除去により濃縮した後に、湿式造粒方法における造粒液として使用し、実質的に水不溶性の薬理学的活性物質および1種以上の賦形剤を含む顆粒を製造してよい。次いで、得られた顆粒を直接、例えば該顆粒を含む単位製剤を提供するためにカプセルに充填することにより使用し得る。あるいは、本顆粒を、所望によりさらなる賦形剤、崩壊剤、結合剤、平滑剤などと混合し、経口投与に適当な錠剤に圧縮してよい。必要であれば、本錠剤を、錠剤の放出特性を制御するためにまたは、例えば光および/または湿気への暴露を介した分解から保護するために、コーティングしてよい。湿式造粒技術および錠剤製剤において使用するのに適当な賦形剤は当分野で既知である。
本発明のさらなる局面によって、本発明の方法により得られる阻害剤および実質的に水不溶性の物質を含む固体粒子が提供され、ここで、本物質および本阻害剤は上記で定義の通りである。
好ましい粒子は、本発明に従う分散体に関して記載したもの、特に、例えばここに記載の通り、実質的に水不溶性の物質が実質的に水不溶性の薬理学的活性物質であるものである。
本発明のさらなる局面によって、医薬として使用するための、本発明の方法により得られる阻害剤および実質的に水不溶性の薬理学的活性物質を含む固体粒子が提供され、ここで、本物質および本阻害剤は前記で定義の通りである。
本発明のさらなる局面によって、本発明の方法により得られる阻害剤および実質的に水不溶性の薬理学的活性物質を含む固体粒子と共に薬学的に許容される担体または希釈剤を含む、医薬組成物が提供される。
適当な薬学的に許容される担体または希釈剤は、医薬製剤の製造において使用される既知の賦形剤、例えば、増量剤、結合剤、平滑剤、崩壊剤および/または放出制御/修飾賦形剤である。
本発明は、次の実施例によりさらに説明され、その中で、特記しない限り全ての部は重量部である。
実施例1および2を、比較例1および2と比較し、そこでは、テトラデシル硫酸ナトリウムおよびSDSが各々ドクサートナトリウムに置き換えられる。
異なる実質的に水不溶性の物質の存在下の本発明の方法である本発明の方法を実施例3〜6に示す。
実施例1 − 20%(w/w)エマルジョンMiglyol/トリラウリン4:1(w/w)、0.6%(w/w)ドクサートナトリウム、0.5%(w/w)PVP K30
20%(w/w)Miglyol 812N/トリラウリン4:1(w/w)、0.6%(w/w)ドクサートナトリウムおよび0.5%(w/w)PVP K30を含む水中油型エマルジョンを、Polytronホモジナイザー、続くAPVからのRannie Mini-lab type 8.30Hを使用した高圧均質化を使用して製造した。平均滴サイズは、動的光散乱(FOQELS Brookhaven Instruments Corporation)を使用して、160nmであった。1mLのエマルジョンを、高圧用バイアル中で200℃で10分間加熱した。加熱後、相分離した物質の微小な画分のみが見られ、室温に冷却後、滴サイズは動的光散乱で測定して240nmであった。
比較例1 − 20%(w/w)エマルジョンMiglyol/トリラウリン4:1(w/w)、0.6%(w/w)テトラデシル硫酸ナトリウム、0.5%(w/w)PVP K30 20%(w/w)Miglyol 812N/トリラウリン4:1(w/w)、0.6%(w/w)テトラデシル硫酸ナトリウムおよび0.5%(w/w)ポリビニルピロリドン(PVP K30)を含む水中油型エマルジョンを、激しいボルテックス混合、続く30分間の超音波処理により製造した。平均滴サイズは、動的光散乱で測定して190nmであった。1mLのエマルジョンを、高圧用バイアル中で200℃で10分間加熱した。加熱後、エマルジョンは合体により完全に解乳化した。
実施例2 − 20%(w/w)エマルジョンMiglyol/L121 1:2(w/w)、0.56%(w/w)ドクサートナトリウム
20%(w/w)Miglyol 812Nおよび1.7%(w/w)ドクサートナトリウムを含む水中油型エマルジョンを、Polytronホモジナイザー、続く高圧均質化(Rannie)を使用して製造した。このエマルジョンに、L121および水を添加し、約4℃での撹拌および超音波処理により混合し、6.7%(w/w)Miglyol 812N、13.3%(w/w)L121および0.56%(w/w)ドクサートナトリウムを含む最終エマルジョンを得た。平均滴サイズは、動的光散乱(FOQELS Brookhaven Instruments Corporation)で測定して90nmであった。1mLのエマルジョンを、高圧用バイアル中で200℃で10分間加熱した。加熱後、相分離した物質の微小な画分のみが見られ、室温に冷却後、滴サイズは動的光散乱で測定して140nmであった。
比較例2 − 20%(w/w)エマルジョンMiglyol/L121 1:2(w/w)、0.56%(w/w)SDS
20%(w/w)Miglyol 812Nおよび1.7%(w/w)SDSを含む水中油型エマルジョンを、Polytronホモジナイザー、続く高圧均質化(Rannie)を使用して製造した。このエマルジョンL121および水を添加し、約0℃での撹拌および超音波処理により混合し、6.7%(w/w)Miglyol 812N、13.3%(w/w)L121および0.56%(w/w)SDSを含む最終エマルジョンを得た。平均滴サイズは、動的光散乱(FOQELS Brookhaven Instruments Corporation)で測定して130nmであった。1mLのエマルジョンを、高圧用バイアル中で200℃で10分間加熱した。加熱後、エマルジョンは合体により完全に解乳化した。
実施例3 − 10%(w/w)ビカルタミド(医薬/Miglyol/L121 3:1:2(w/w/w)、0.56%(w/w)ドクサートナトリウム
20%Miglyol/L121 1:2(w/w)および0.56%(w/w)ドクサートナトリウムを含む水中油型エマルジョンを、Miglyol 812NおよびL121および0.7%(w/w)ドクサートナトリウム溶液の1:2(w/w)混合物から、激しいボルテックス混合、続く反復超音波処理および約4℃への冷却により製造した。平均滴サイズは、動的光散乱(FOQELS Brookhaven Instruments Corporation)で測定して、110nmであった。0.56%(w/w)ドクサートナトリウムを含む水中の結晶性ビカルタミドの20%(w/w)懸濁液を、超音波処理および撹拌により製造した。0.45mLのエマルジョンを、0.45mLの懸濁液と混合し、高圧用バイアルで200℃で10分間加熱した。加熱後、顕著な量の相分離した物質は見られず、室温に冷却後、粒子径は動的光散乱で測定して135nmであった。
実施例4 − 10%(w/w)ニフェジピン(医薬/Miglyol/L121 3:1:2(w/w/w)、0.56%(w/w)ドクサートナトリウム、0.1%(w/w)PVP 12PF
20%Miglyol/L121 1:2(w/w)および0.56%(w/w)ドクサートナトリウムを含む水中油型エマルジョンを、Miglyol 812NおよびL121および0.7%(w/w)ドクサートナトリウム溶液の1:2(w/w)混合物から、激しいボルテックス混合、続く反復超音波処理および約4℃への冷却により製造した。平均滴サイズは、動的光散乱(FOQELS Brookhaven Instruments Corporation)で測定して、135nmであった。0.56%(w/w)ドクサートナトリウムおよび0.2%(w/w)PVP 12PFを含む水中の結晶性ニフェジピンの20%(w/w)懸濁液を、超音波処理および撹拌により製造した。0.4mLのエマルジョンを、0.4mLの懸濁液と混合し、高圧用バイアルで200℃で10分間加熱した。加熱後、相分離した物質の微小な画分のみが見られ、室温に冷却後、平均粒子径は動的光散乱で測定して130nmであった。
実施例5 − 10%(w/w)1−プロパンスルホン酸、4−[1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチル−3−[(1−ピペリジニルアミノ)カルボニル]−1H−ピラゾール−5−イル]フェニルエステル(医薬/Miglyol/L121 3:1:2(w/w/w)、0.56%(w/w)ドクサートナトリウム
20%Miglyol/L121 1:2(w/w)および0.56%(w/w)ドクサートナトリウムを含む水中油型エマルジョンを、Miglyol 812NおよびL121および0.7%(w/w)ドクサートナトリウム溶液の1:2(w/w)混合物から、激しいボルテックス混合、続く反復超音波処理および約4℃への冷却により製造した。平均滴サイズは、動的光散乱(FOQELS Brookhaven Instruments Corporation)で測定して、140nmであった。0.56%(w/w)ドクサートナトリウムおよび0.2%(w/w)PVP 12PFを含む水中の結晶性1−プロパンスルホン酸、4−[1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチル−3−[(1−ピペリジニルアミノ)カルボニル]−1H−ピラゾール−5−イル]フェニルエステルの20%(w/w)懸濁液を、超音波処理および撹拌により製造した。0.45mLのエマルジョンを、0.45mLの懸濁液と混合し、高圧用バイアルで200℃で10分間加熱した。加熱後、相分離した物質の小さな画分のみが見られ、室温に冷却後、平均粒子径は動的光散乱で測定して170nmであった。
実施例6 − 10%(w/w)N−シクロプロピル−1−{[2−(1,1−ジフルオロエチル)−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルメチル)−1H−ベンズイミダゾール−5−イル]スルホニル}−1H−ピロール−3−カルボキサミド(医薬/Miglyol/L121 3:1:2(w/w)、0.57%(w/w)ドクサートナトリウム、0.1%(w/w)PVP K12
20%Miglyol(w/w)および1.7%(w/w)ドクサートナトリウムを含む水中油型エマルジョンを、Polytronホモジナイザー、続く高圧均質化(Rannie)を使用して製造した。このエマルジョンに、共阻害剤Pluronic L121および水を添加し、3×5分間の超音波処理を挟み、約8℃で12時間の撹拌により混合し、6.7%(w/w)Miglyol 812N、13.3%(w/w)Pluronic L121および0.57%(w/w)ドクサートナトリウムを含む最終エマルジョンを得た。平均滴サイズは、動的光散乱(FOQELS Brookhaven Instruments Corporation)で測定して、155nmであった。0.56%(w/w)ドクサートナトリウムおよび0.2%(w/w)PVP K12を含む水チュの結晶性N−シクロプロピル−1−{[2−(1,1−ジフルオロエチル)−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルメチル)−1H−ベンズイミダゾール−5−イル]スルホニル}−1H−ピロール−3−カルボキサミドの20%(w/w)懸濁液を、超音波処理および撹拌により製造し、レーザー回折により測定して、5.1μmの容積平均粒子径を有した。0.5mLのエマルジョンを、0.5mLの懸濁液と混合し、高圧用バイアルで190℃で10分間加熱した。加熱後、相分離した物質の小さな画分のみが見られ、室温に冷却後、平均粒子径は動的光散乱で測定して340nmであった。

Claims (15)

  1. 水性媒体中における固体非晶質サブミクロン粒子の安定な分散体を製造する方法であって、次の工程を含む、方法:
    1)
    a) 水性連続相を提供する水性媒体;
    油性相を提供し、水性媒体に分散している粒子間の物質の流れにより粒子成長を阻害する阻害剤;
    ドクサートナトリウム;
    を含むエマルジョンと
    b) 非晶質および/または結晶状態で存在する実質的に水不溶性の物質(ここで、実質的に水不溶性物質対阻害剤の比率は10:1(w/w)より小さい);および
    c) 所望によりエマルジョン滴および/または該粒子の凝集を阻止する第二の安定化剤
    を合わせ、
    2) 結晶状態の実質的に水不溶性の物質が存在するならば、混合物の温度を実質的に水不溶性の物質の融解温度付近まで上げ、そして
    3) 実質的に水不溶性の物質を該油性層に移動させ、工程2)で温度を上昇させていたならば温度を低下させ、それにより該非晶質粒子の安定な分散体を提供する。
  2. 該水性媒体に分散している粒子の成長が、製造後環境温度で1時間にわたり、平均粒子径の10%の未満である、請求項1に記載の方法。
  3. 実質的に水不溶性の物質をその結晶状態で添加する、請求項1または2に記載の方法。
  4. 実質的に水不溶性の物質をその非晶質状態で添加する、請求項1に記載の方法。
  5. 実質的に水不溶性の物質が実質的に水不溶性の薬理学的活性化合物である、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 水不溶性物質の融点が225℃以下である、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
  7. 水性媒体が水から成る、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
  8. 阻害剤が実質的に水不溶性の物質と十分に混和性であり、実質的に単相混合物の本物質と本阻害剤を含む固体粒子を分散体中に形成する、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
  9. 水不溶性物質および阻害剤の比が重量で2:1w/wである、請求項1に記載の方法。
  10. 工程1a)におけるエマルジョンがさらに共阻害剤を含む、請求項1に記載の方法。
  11. 分散体から固体粒子を単離する工程をさらに含む、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
  12. ドクサートナトリウムまたは1種以上の付加的安定化剤、またはその混合物を懸濁液に添加する、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
  13. 請求項1〜12のいずれかに記載の方法により得られる、非晶質サブミクロン粒子の分散体。
  14. 医薬として使用するための、請求項13に記載の分散体。
  15. 請求項14に記載の分散体を薬学的に許容される担体または希釈剤と共に含む、医薬組成物。
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