JP2010511127A - Lngの再ガス化 - Google Patents

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Abstract

【構成】吸引ドラムからなるLNG再ガス化システムに使用する装置である。この吸引ドラムを一つか複数のバッフル板で区画分割し、これらバッフル板に開口を設ける。本発明は、LNGの再ガス化に使用するシステムおよびプロセスにも関する。
【選択図】図1

Description

本発明は、液化天然ガス(LNG)の再ガス化システム、およびこのシステムに使用する装置に関する。本発明システムは、地上施設および海上施設の両者に有用である。
一般に、天然ガスは油田および天然ガス田から産出される。油田および天然ガス田から消費場所に天然ガスを輸送することは、天然ガスの使用における主要な課題である。輸送の一つの手段は、油田および天然ガス田からエンドユーザーに至るパイプラインであるが、必ずしも実際的とは限らず、また費用効率も低い。油田および天然ガス田からのパイプラインを利用できない場合の天然ガスの一つ輸送手段は、このような輸送に採用されている、極低温タンカーなどのLNG輸送船舶である。LNGなどの天然ガスの輸送の場合、エンドユーザーによって消費される前に、LNGを再ガス化する必要がある。この再ガス化は、代表的には、地上および海上に存在するLNG再ガス化施設で行う。
現在採用されている再ガス化施設では、LNGを気化装置で、パイプライン仕様に従って、例えば0〜20℃および2〜200バールで加熱する。好適な熱交換媒体との熱交換によってLNGが効果的に再ガス化される限り、任意の気化装置を利用できる。
従来の再ガス化システムは、例えば、以下の文献に開示されている。
WO−A1−2004/031644 WO−A2−2006/066015 USP6,298,671 USP6,598,408
本発明では、再ガス化プラントの一部としてブースターポンプ吸引ドラム(booster pump suction drum−BPSD)を配設することができる。このBPSDを貯蔵タンクポンプとブースターポンプとの間に配設すると、これは、正常な流量変化、予期しない運転中断に対するバッファーとして、また運転開始時のブースターポンプのヒートシンクとして作用する。
基本的な天然ガスの流れは、貯蔵タンク(2)からブースターポンプ(5)および気化装置(6)に流れるLNGを含む。ブースターポンプが、ガス分配網のレベルまで昇圧し、気化装置がLNGを昇圧レベルで天然ガスに気化する。図1の概略図に示すプロセスは、BPSD(4)も有する。貯蔵タンク(2)のポンプ(1)からLNGをBPSD(4)に供給し、BPSD(4)のLNGレベルをポンプ(1)からの供給流量を制御することによって一定に保つ。BPSDの圧力は、ブースターポンプおよび貯蔵タンクのポンプによって与えられるヘッドへの流れの関数になる。流量が正常な場合、貯蔵タンクポンプのヘッドの圧力は、BPSD内の2〜8バールの間にある。この圧力のため、BPSD内のLNGが過冷却され、LNGの液相と平衡状態になる気相は存在しない。従って、BPSD内の圧力は、対抗措置を取らない限り、液相と気相とが平衡状態になるまで、低下する傾向がある。BPSD内の圧力を維持するために、ブランケットガスをドラムトップに導入する。例えば、窒素などの非凝縮性ガスをブランケットガスとして使用することができるが、気化装置下流の接続部から取った天然ガス蒸気も利用可能である。
計算から、窒素(N)をブランケットガスとして使用すると、BPSD内の任意の点で気相/蒸気相と液相とが平衡状態にあると想定した場合、BPSD内の圧力を維持するためには多量のNが必要になることが判明した。即ち、十分な量のNを供給するために、高容量のN発生装置が必要である。さらに、多量のNで天然ガスが汚染されることは望ましいことではない。
のLNGへの吸収率は、いくつかのパラメータに依存し、なかでも重要なパラメータは、BPSD内部の液相混合である。LNGがBPSD内を流れるため、この混合が全体として広がる。本発明によれば、比較的小さな開口をもつバッフル装置を自由表面下に距離DLをおいて配設するため、この混合を実質的に抑えることができ、またブランケットガスの消費を実質的に抑制することができる。
本発明は、ブランケットガスの消費を抑制する装置を提供するものである。この装置は、正常な液面レベルの下のBPSD(4)内に配設した一つか複数の水平バッフル板(3)からなる。各バッフル(3)には一つか複数の開口を設ける。複数の水平バッフル板を配設する場合、隣接する2つのバッフル板の開口は、直接対向しないように構成する。バッフル板に開口を設けると、ブランケットガス空間とBPSD(4)内の過冷却LNGとの間の圧力連絡を確保できる。気相/蒸気相と液相との平衡状態は、BPSD全体の容量ではなく、BPSD(4)のバッフル板上の限られた容量に制限される。従って、平衡圧力が維持されると同時に、ブランケットガスの過冷却LNGへの拡散を大幅に抑制できる。
場合によっては、上部バッフル板の開口に、バッフル板の開口よりもサイズが大きいキャップを設けてもよい。
ブランケットガスの消費量は、基本的には、バッフル板開口のサイズ、液体の拡散係数およびバッフル板から液面までの距離によって変わってくる。ブランケットガス消費量は、以下の式で表すことができる。
Figure 2010511127
上記式において、
MolFlowN2は、BPSD内を流れるNのモル流量(kmol/s)であり、
AreaHoleは、バッフル板開口の面積(m)であり、
Deff12、N2は、自由表面からバッフル板までの液体中のNの“有効”拡散係数(m/s)であり、
1、N2は、自由表面での液体中のNのモル密度(kmol/m)であり、
DLは、自由表面からバッフル板までの距離(m)であり、そして
LNGは、BPSD内を流れるLNGの容量流量(m/s)である。
タンク面積の1/56に相当する大きさの開口をバッフル板に設けると、ブランケットガス消費量は、バッフル板を使用しない場合の消費量よりも50〜100倍小さくなる。
図1は、再ガス化プロセスを示す概略図である。符号(1)はポンプ、(2)はLNG貯蔵タンク、(3)はバッフル板、(4)は吸引ドラム、(5)はブースターポンプ、(6)は気化装置、(7)は消費者へのパイプライン−ガス、(8)は圧力安全弁、(9)はブランケットガス、そして(10)はブースターポンプ再循環ラインである。 図2は、バッフル板の配設を変更した吸引ドラム(4)を示す図である。 図3Aは、上部バッフル板(3)の開口上に設けたキャップ(11)の構成を示す図である。 図3Bは、断面A−Aを示す断面図である。 図3Cは、上から見た断面A−Aを示す断面図であり、キャップ(11)をバッフル板に装着する装着手段(12)を設けたキャップ(11)を示す図である。
以下に本発明の実施態様を示す。なお、本発明は、この実施態様に制限されるものではない。
設計パラメータ
BSPD仕様
容積:20.0m
直径:2.25m
高さ:5.7m
BSPD条件
温度:−157℃(貯蔵タンク内の温度に基づく)
圧力:4バールおよび7バール
BPSD LNG
BPSD内の温度および圧力で平衡状態に達する前に、蒸気圧力が最も低くなり、かつN吸収容量が最も高くなるため、以下のLNG組成を選択する。
表1:組成(モル%)
0.20
C1(メタン) 86.85
C2(エタン) 8.50
C3(プロパン) 3.00
i−C4(イソブタン) 0.52
n−C4(n−ブタン) 0.70
C5+(ペンタン+高級アルカン) 0.23
合計 100.00
タンク内のLNG流量
8〜100%(19〜240トン/h(43〜536m/h))
なお、単純化するために、N組成が100.00モル%であると想定している。
また、完全平衡状態については、所定の圧力および温度における気相/液相界面の層が無限小であると想定している。
平衡状態を想定して、最初にNを充填したBPSDにLNGを装填し、平衡組成にした異なる圧力で2つの力学的シミュレーションを行った。これらの結果を以下の表2および表3に示す。
表2:シミュレーション1(7バール平衡状態(モル%))
Figure 2010511127

Figure 2010511127
表3:シミュレーション2(4バール平衡状態(モル%))
Figure 2010511127

Figure 2010511127
開口をもつバッフル板を設けると、LNGと、窒素ガスと平衡状態にあるLNGとの接触面積を小さくできる。また、バッフル板は、2つの液体の混合を最小限に抑えることによって、窒素がさらに拡散することを抑制するものである。開口は円形で、バッフル板の中央にあると想定して計算を行う。バッフル板がない場合、RHOLEは1.125mである。
モル量CH : 16.04kg/kmol
: 28.01kg/kmol
LNG : 17.85kg/kmol
粘度、溶剤CH: 0.1278cP(7バール)
LNG : 0.1321cP(7バール)
粘度、溶剤CH: 0.1023cP(4バール)
LNG : 0.1320cP(4バール)
温度 : −157℃/116.15K
モル容積N : 0.0312m/kg
0.001113888m/kg
表4および表5に、バッフル板を使用したシミュレーション、およびバッフル板を使用しないシミュレーションの結果を示す。なお、表5は、表4からシミュレーション1Bおよび2Bを抽出した表である。バッフル板を使用した場合、節約係数(saving factor)は、7バールおよび4バールの圧力それぞれで105および104.6である。
表4
Figure 2010511127

Figure 2010511127

Figure 2010511127

Figure 2010511127
表5
Figure 2010511127

Claims (8)

  1. 吸引ドラム(4)にLNGを供給するLNG貯蔵タンク(2)、この吸引ドラムにブランケットガスを供給するブランケットガス源(9)、ブースターポンプ(5)および気化装置(6)からなるLNG再ガス化システムに使用する装置であって、
    上記吸引ドラムを一つか複数のバッフル板で区画分割し、このバッフル板に開口を設けたことを特徴とする装置。
  2. 上記バッフル板にひとつか複数の開口を設けた請求項1に記載の装置。
  3. 隣接バッフル板に設けた開口を、相互に直接対向しないように構成配置した請求項1または2に記載の装置。
  4. 上部バッフル板の開口に、バッフル板の開口よりもサイズが大きいキャップを設けた請求項1または2に記載の装置。
  5. 吸引ドラム(4)にLNGを供給するポンプ(1)を備えたLNG貯蔵タンク(2)、この吸引ドラムの上部にブランケットガスを供給するブランケットガス源(9)、ブースターポンプ(5)および気化装置(6)からなるLNG再ガス化システムであって、
    上記吸引ドラム(4)を一つか複数のバッフル板で区画分割し、このバッフル板に開口を設けたことを特徴とするシステム。
  6. 上記バッフル板にひとつか複数の開口を設けた請求項5に記載のシステム。
  7. 隣接バッフル板に設けた開口を、相互に直接対向しないように構成配置した請求項5または6に記載のシステム。
  8. a)LNG貯蔵タンク(2)からLNGをポンプにより吸引ドラム(4)に送り、
    b)上記吸引ドラム(4)を一つか複数のバッフル板(3)によって区画分割し、上記吸引ドラムの上部に非凝縮性ガスを加えて、圧力を維持し、
    c)ブースターポンプによって搬送レベルまで昇圧し、
    d)気化装置を使用して、上記昇圧レベルでLNGを天然ガスに送りこみ、そして
    e)通常の温度および圧力にある天然ガスをパイプラインまで搬送することからなることを特徴とするLNGの再ガス化方法。
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