JP2010510325A - 7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム類似体の(s)−n−立体異性体 - Google Patents

7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム類似体の(s)−n−立体異性体 Download PDF

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Abstract

7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム類似体の新規(S)−N−立体異性体を開示する。7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム類似体の新規(S)−N−立体異性体を含有する医薬組成、およびそれらの医薬的使用のための方法も開示する。そのような類似体は、様々な疾患の中でも特に、消化管の運動亢進症を治療する際に有用であるとして開示する。

Description

本発明は、概して、7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム類似体を含む、(S)−7,8−N−単結合−4,5−エポキシ−モルフィナニウム類似体(以下、「7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム」)、それらの調製のための合成方法、それらを含有する医薬製剤、およびその使用方法に関する。本願は、2006年11月22日出願の米国出願第60/867,101号、2006年11月27日出願の米国出願第60/867,394号に対して優先権を主張し、参照により各全体を本明細書に組み込むものである。
関連技術の説明
アヘンの薬効および心理的効果は、古代から知られている。しかしながら、19世紀の初め頃まで、モルヒネは、アヘンから、その後コデインおよびパパベリンから単離されなかった。19世紀半ばまでには、粗アヘン製剤ではなく、純粋なアルカロイドが確立された医療行為になっていた。19世紀以降、これらの天然アルカロイドの合成および半合成誘導体が多数生成された。
モルフィナン化合物については、現在、置換基置換が薬理学に対して有意な効果を有し得ることが知られている。例えば、3‐ヒドロキシモルフィナンは、恐らく有意な初回通過代謝のために、経口の場合は非経口の場合よりも有意に効果が弱い場合があることを報告したものもある。モルヒネをその3‐ヒドロキシル基においてグルクロン酸化することは、活性を終結させると考えられる。しかしながら、オキシコドンおよびコデイン等に見られる3‐メトキシ基が、良好な経口有効性に関連しているという報告もある。
モルフィノイドのオピオイド活性は、それらの窒素置換基の性質に特に敏感であることが示された。例えば、モルヒネおよび関連オピオイド中のN‐メチル基を、アリル、シクロブチルメチル、およびプロピルメチル等のπ‐電子が豊富な置換基によって置換することにより、ナロルフィン、ナロキソン、ナルトレキソン、およびナルブフィン等の強力なアンタゴニストが生じる。
「R」および「S」という記号表記は、キラル中心の特定の配置を表すために、有機化学において一般的に用いられる。「R」という記号表記は「右(right)」を意味し、優先順位の最も低い基に向かって結合をたどって見た場合に、基の優先順位(最も高いものから2番目に低いものまで)が時計回りの関係を持つキラル中心の配置を意味する。「S」または「左(left)」という用語は、優先順位の最も低い基に向かって結合をたどる、キラル中心のその配置を意味する。
R/S記号表示に関する基の優先順位は、原子番号(最も重い同位元素が最初)に基づく。優先順位の部分的なリストおよび立体化学についての考察は書籍The Vocabulary of Organic Chemistry, Orchin, et al. John Wiley and Sons, Inc. page 126 (1980)に含まれており、その全体は、参照することにより本明細書に組み込まれる。第四級窒素モルフィナン構造体が生成される場合、かかる構造体は(R)または(S)立体異性体として特徴付けることができる。
当該技術分野は、化合物の単離された立体異性体が、鏡像異性体であろうとジアステレオマーであろうと、任意の特定の状況で、そうなるかどうかは予測できないものの、対照的な物理的および機能的特性を有し得ることを示唆している。デキストロメトルファンは鎮咳薬であるが、その鏡像異性体であるレボメソルファンは強い麻薬である。(R,R)‐メチルフェニデートは注意欠陥多動性障害(ADHD)を治療するための薬剤であるが、その鏡像異性体である(S,S)‐メチルフェニデートは抗うつ剤である。(S)‐フルオキセチンは偏頭痛に対して作用するが、その鏡像異性体である(R)‐フルオキセチンはうつ病を治療するために使用される。シタロプラムの(S)‐鏡像異性体はうつ病の治療のための治療的作用を有する異性体である。(R)‐鏡像異性体は不活性である。オメプラゾールの(S)‐鏡像異性体は、胸焼けの治療に(R)‐鏡像異性体よりも強力である。
Caldwellらは、Complete Proton and Carbon Nuclear Magnetic Resonance Spectral Assignments of Some Morphin‐6‐one Alkaloids by Two‐Dimensional NMR Techniquesにおいて、第四級N‐メチルオキシコドン類似体を選択して、N‐メチル基がエクアトリアル位にあるかを決定することに関して、2次元NMR立体配座分析(核オーバーハウザー効果差分析)の使用について記載している。彼らは、試験した化合物に関するプロトン結合定数は、モルフィナン骨格のシクロヘキサノン環およびピペリジン環が、わずかに変形したイス形配座をとることを示唆すると指摘した。
Bianchettiらは、Quaternary Derivatives of Narcotic Antagonists:Stereochemical Requirements at the Chiral Nitrogen for In Vitro and In Vivo Activity,1983 Life Science 33(Sup I):415‐418において、第四級麻薬アンタゴニストおよびそれらの親第三アミン、レバロルファン、ナロルフィン、およびナロキソンの3つのジアステレオアイソマー対を研究し、キラル窒素に関する配置が体外および体内活性にどのように影響するかを調べた。第四級誘導体が調製される方法によって、活性が大幅に変化することが分かった。各系において、N‐アリル‐置換第三アミンのメチル化によって得られたジアステレオマー(「N‐メチルジアステレオマー」と称される)のみが、モルモットの回腸において、ラット脳膜からの3H‐ナルトレキソンを置換し、モルヒネアンタゴニストとして作用する際に有力であった。反対に、N‐メチル‐置換第三アミンをハロゲン化アリルと反応させることによって得られたジアステレオアイソマー(「N‐アリルジアステレオマー」と称される)は、モルモットの回腸において、3H‐ナルトレキソンを置換せず、ごくわずかなアンタゴニスト活性およびわずかなアゴニスト活性を有した。体外での結果は、体内での結果と概して一致した。したがって、「N‐アリルジアステレオマー」ではなく「N‐メチル」のみが、ラットにおいてモルヒネ誘発性便秘を抑制し、アンタゴニストとして作用した。該著者は、調製した材料が、1Hおよび13C核磁気共鳴(NMR)分析によって、純粋であると考えられるが、これらの方法は正確でないと述べた。該著者は、ナロルフィンの「N‐メチルジアステレオマー」に対する(R)配置の割り当てに関する参考文献を引用している。レバロルファンおよびナロキソンジアステレオマーに対する割り当ては示唆されていない。これらのジアステレオマーに対する配置を推定することは危険である(R.J.Kobylecki et al,J.Med.Chem.25,1278‐1280,1982)。
Kobyleckiらは、1982,N‐Methylnalorphine:Definition of N‐allyl conformation for antagonism at the opiate receptor,J.Med Chem.25:1278‐1280において、X線回折データに基づいて、ナロルフィン(N‐メチルジアステレオマー)から派生した活性ジアステレオマー、第四級窒素の周りのアリル基は、エクアトリアル配置を有すると報告している。Kobyleckiは、軸方向N置換基を持つアイソマーは、(非常に低いが)ある程度のアゴニスト活性とともに、(そのアゴニスト活性と)比較して非常に多くのアンタゴニスト活性を呈する一方で、エクアトリアルN置換基は、純粋なオピオイドアンタゴニスト活性を示したと報告した。
Iorioらは、Narcotic agonist/antagonist properties of quaternary diasteromers derived from oxymorphone and naloxone,1984,Chim.Ther.19:301‐303において、アゴニストおよびアンタゴニスト比とN‐置換配向との相関が、ジアステレオアイソマー第四級モルフィナニウム塩に関して、Kobyleckiによって見出された同一パターンに従うこと、つまり、より大きい基を有する化合物が、対応する軸方向ジアステレオアイソマーよりも多くのアンタゴニスト活性をエクアトリアル的に示したことを示す。これらの著者は、あらゆる種類の活性、作用、拮抗作用、および混合活性が、エクアトリアルN‐置換基と受容体サブサイトとの相互作用の異なる立体配座型によって全て説明され得ることを示唆している。彼らが生成した化合物の活性の比較は、直接体外回腸収縮試験によって、体内では化合物をマウスの脳に注射することによって行った。FunkeおよびdeGraafは、A H and 13C nuclear magnetic resonance study of three quaternary salts of naloxone and oxymorphone,1986,J.Chem.Soc.Perkin Trans.II 735‐738において、Ioriaらを参照して、3つのN,N‐ジアルキル‐モルフィナニウム塩化物誘導体(1つのN,N‐ジアリルおよび2つのN‐アリル‐N‐メチルジアステレオアイソマー)を有する1Hおよび13C n.m.r.データを報告している。
Cooper(米国特許第6,455,537号)は、Iorioの体内データの関連性に異議を唱え、第四級化薬剤が脳を通過しないことを考えれば、脳への投与は適切でないと論じている。Cooperは、静脈内メチルナロルフィンを使用して多数の体内試験を行い、N‐メチルナロルフィンの(R)‐異性体が、(S)‐異性体またはR/S N‐メチルナロルフィンの混合物と比較した場合に、優れた治療を提供し、哺乳類において、吐き気、嘔吐、および運動失調等のオピオイド誘発性副作用を拮抗または予防することを発見した。
Feinbergらは、The opiate receptor:A model explaining structure‐activity relationships of opiate agonists and antagonists,1976 Proc.Natl.Acad.Sci.USA 73:4215‐4219において、N‐アリルおよびシクロプロピルメチル等の「アンタゴニスト置換基」の空間的位置オパインが、オピオイド薬物のアンタゴニスト薬理特性の「純度」を決定すると述べている。Feinbergらは、モルフィナン構造上の14‐ヒドロキシル基が、ピペリジン環に関する軸方向の立体配座に対して、エクアトリアル立体配座におけるアンタゴニスト置換基の割合の増加を助け、少なくともN‐アリルおよびシクロプロピルメチルに関して、かかるエクアトリアル立体配座は、「純粋な」アンタゴニズムを増大させると理論付けている。彼らは、アンタゴニスト活性を媒介する際に、受容体の特定アンタゴニスト結合部位が、N‐アリルのπ‐電子、またはN‐シクロプロピルメチルまたはN‐シクロブチルメチル基に対する原子配置と相互作用し、これはアンタゴニスト薬理学に必要であり、したがって、アンタゴニスト受容体配置を安定化させることをさらに理論付けた。「純粋な」アンタゴニスト特性を保証するために、彼らは、受容体のアンタゴニスト結合部位に対するアンタゴニスト置換基の接近が、ナロキソンまたはベンゾモルファンアンタゴニストに見られるような14‐ヒドロキシルまたは9‐β‐メチル置換基によって促進されなければならないことを示唆する。かかる置換基なしに、彼らは、アゴニストおよびアンタゴニスト薬理学の様々な混合物を仮定している。
かかる参考文献は、モルフィナン窒素上の所定の官能基が、エクアトリアル位にある場合、かかる基に対する改善されたアンタゴニスト活性を示唆し得るが、同時に、異なる置換基を持つモルフィナン化合物、特に骨格モルフィナン構造の環について異なる飽和プロファイルを支持する化合物、第四級の電荷窒素を担持する化合物、およびモルフィナン骨格の3位および6位に異なる置換基対を有する化合物に関して、単離された(R)、(S)配座異性体または軸方向エクアトリアル配座異性体のアゴニスト‐アンタゴニスト活性を示唆しない。
米国特許第6,455,537号
The Vocabulary of Organic Chemistry, Orchin, et al. John Wiley and Sons, Inc. page 126 (1980) Complete Proton and Carbon Nuclear Magnetic Resonance Spectral Assignments of Some Morphin‐6‐one Alkaloids by Two‐Dimensional NMR Techniques Quaternary Derivatives of Narcotic Antagonists:Stereochemical Requirements at the Chiral Nitrogen for In Vitro and In Vivo Activity,1983 Life Science 33(Sup I):415‐418
本明細書に記載される実施形態として開示されるのは、高純度で生成された(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム類似体であり、それらに対応する(R)−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム類似体のクロマトグラフィーの保持時間に対する、それらの保持時間の特性解析を可能にする。そのような類似体のジアステレオマーは、それらの対応するジアステレオマー混合物とは異なる活性を有することが見出された。
本発明の一実施形態において、実質的にまたは高純度の(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム、実質的にまたは高純度の(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムの結晶およびその中間体、実質的にまたは高純度の(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム化合物を作製するための新規な方法、対照物(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム立体異性体と、特に(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムとを含有する混合物中で、(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム化合物を分析、定量、および単離する方法、(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムを、その(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム立体異性体から区別する方法、それを含有する医薬生成物、ならびにこれらの物質に関連する使用方法を提供する。
(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムの塩もまた、提供される。(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムを得るためのプロトコルもまた、提供される。さらに、意外にも、(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムが、オピオイドアゴニスト作用を有することが発見された。本発明は、(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムの立体選択的合成のための合成経路、実質的に純粋な(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム、実質的に純粋な(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムの結晶、実質的に純粋な(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムを含有する医薬製剤、およびそれらの使用方法を提供する。
本発明の一実施形態により、99.5%以上で存在する、(S)配置(つまり、窒素に関して)の7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムを含有する組成物が提供される。他の実施形態においては、(S)配置(窒素に関して)の7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムは、約99.6%、または約99.7%、または約99.8%、または約99.9%、または約99.95%以上、さらにより好ましくは99.95%以上の割合で、組成物中に存在する。一実施形態においては、本明細書に記載されるクロマトグラフ法を使用して分析される組成物中には、検出可能な対照物(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム化合物はない。組成物には、HPLCで検出される、対応する(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムがないことが好ましい場合がある。一実施形態においては、0.02%の検出限界および0.05%の定量限界で、HPLC検出可能な対照物(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムはない。さらに別の実施形態において、本発明の組成物は、窒素に関して(S)配置である、99.85%の7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムを含有し、0.02%の検出限界および0.05%の定量限界でHPLC検出可能な、立体異性対照物(R)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム化合物を含有する。
本発明の一態様により、7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムを含有する組成物が提供され、該組成物中の7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム化合物の少なくとも99.6%、99.7%、99.8%、99.85%、99.9%、そしてさらに99.95%が、窒素に関して(S)配置にあり、該組成物は、緩衝剤、キレート剤、保存剤、抗凍結剤、透過促進剤、平滑剤、防腐剤、酸化防止剤、または結合剤のうちの1つ以上を含む。
本発明の(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムは、式Zの構造を含み、
Figure 2010510325
((S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナン)
式Z中、Xは対イオンであり、本化合物は、Cahn、Ingold、Prelogの配置割り当て規則に従い、窒素に関して(S)配置であり、R18およびR17はC−Cアルキル、またはC−Cアルキルである。Rは、ヒドロキシル保護基であってもよい。該分子は、両極性イオンとして存在し得る。対イオンは、任意の対イオンであり得る。好ましくは、陰イオンは医薬的に許容される。陰イオンには、ハロゲン化物、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、および陰イオン電荷有機種を含む。ハロゲン化物は、ヨウ化物、臭化物、塩化物、フッ化物、またはそれらの組み合わせであり得る。一実施形態においては、ハロゲン化物はヨウ化物である。一実施形態においては、ハロゲン化物は臭化物である。陰イオン電荷有機種は、スルホン酸塩またはカルボン酸塩であり得る。
本発明の一態様は、式Iの
Figure 2010510325
窒素に関して(S)配置の単離化合物、またはその医薬的に許容される塩形態もしくはプロドラッグ形態を対象とし、
式I中、RおよびRは、独立してH、OH、OR26、ハロゲン化物、シリル;ヒドロカルビル、シクロヒドロカルビル、またはそれらの置換部分であるか、またはRおよびRは結合して、R19に従い置換され得るC−C炭素環縮合環、ベンゾ縮合環、または5〜6員のヘテロアリール縮合環もまた形成することができ、
は、H、シリル;
0−3R19で置換される(C−C)アルキル;
0−3R19で置換される(C−C)アルケニル;
0−3R19で置換される(C−C)アルキニル;
0−3R20で置換される(C−C10)シクロアルキル;
0−3R20で置換される(C−C10)炭素環;
0−3R20で置換されるアリール;
−Cアシルであり、
は、H、OH、OR26
0−3R19で置換される(C−C)アルキル;
0−3R19で置換される(C−C)アルケニル;
0−3R19で置換される(C−C)アルキニル;
0−3R20で置換される(C−C10)シクロアルキル;
0−3R20で置換される(C−C10)炭素環;
0−3R20で置換されるアリールであり、
は、H、=O、OH、OR26
0−3R19で置換される(C−C)アルキル;
0−3R19で置換される(C−C)アルケニル;
0−3R19で置換される(C−C)アルキニル;
0−3R20で置換される(C−C10)シクロアルキル;
0−3R20で置換される(C−C10)炭素環;
0−3R20で置換されるアリール;
アミン、アミド、スルホンアミド、またはエステルであり、
およびRは、独立してH、ヒドロカルビル、シクロヒドロカルビル、またはそれらの置換部分であるか、またはRおよびRは結合して、R19に従い置換され得る炭素環縮合環、ベンゾ縮合環、または5〜6員のヘテロアリール縮合環を形成し、
14は、H、OH、OR26、NR2223SR25、S(=O)R25、SO25
0−3R19で置換される(C−C)アルキル;
0−3R19で置換される(C−C)アルケニル;
0−3R19で置換される(C−C)アルキニル;
0−3R20で置換される(C−C10)シクロアルキル;
0−3R20で置換される(C−C10)炭素環;
0−3R20で置換されるアリール;アリールオキシ、アシルオキシであり、
またはR14は、第四級窒素に関するその配置によって、R17またはR18と結合し、O−縮合環、またはC−C炭素環縮合環を形成することができ、
17およびR18は、置換され得るC−Cヒドロカルビルであり、R18がメチルである場合、R17はアリルではなく、
19は、各発生時に、
H、C−Cアルキル、CF、OR24、Cl、F、Br、I、=O、CN、NO、NR2223
0−3R21で置換されるC−C10炭素環;
0−3R21で置換されるアリール;または
窒素、酸素、および硫黄より選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜10員のヘテロ環であって、前記5〜10員のヘテロ環は、0−3R21で置換される、5〜10員のヘテロ環、より独立して選択され、
20は、各発生時に、H、OH、Cl、F、Br、I、CN、NO、NR2223、アセチル、
−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルキル、
−Cハロアルコキシ、およびC−Cハロアルキル−S−より独立して選択され、
21は、各発生時に、H、OH、Cl、F、Br、I、CN、NO、NR2223、CF、アセチル、
−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルキル、
−Cハロアルコキシ、およびC−Cハロアルキル−S−より独立して選択され、または
NR2223は、ピペリジニル、ホモピペリジニル、チオモルホリニル、ピペリジニル、およびモルホリニルの群より選択される複素環であってもよく、
22は、各発生時に、H、C−Cアルキル、
(C−Cアルキル)−C(=O)−、および(C−Cアルキル)−S(=O)−より独立して選択され、
23は、各発生時に、
H、(C−C)アルキル、
(C−Cアルキル)−C(=O)−、および(C−Cアルキル)−S(=O)−より独立して選択され、
24は、各発生時に、H、フェニル、ベンジル、(C−C)アルキル、および(C−C)アルコキシアルキルより独立して選択され、
25は、アルキル、アリール、またはアリールアルキルであり、
26は、各発生時に、
H、(C−C)アルキル、CF
0−3R21で置換されるC−C10炭素環;
0−3R21で置換されるアリール;または
窒素、酸素、および硫黄より選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜10員のヘテロ環であって、前記5〜10員のヘテロ環は、0−3R21で置換される、5〜10員のヘテロ環、より独立して選択され、
は、陰イオンである。
本明細書の実施形態に含まれるのは、式Iaの窒素に関するS立体異性体であり、
Figure 2010510325
式Ia中、
17およびR18は、代替として、互いに関して以下の(a)または(b)から選択され、
(a)非置換または非ハロゲン置換:C−C(シクロアルキル)アルキルまたは(シクロアルケニル)アルキル、(シクロヘテリル)アルキル、(シクロアリール)アルキル;C−C(シクロアルキル)アルキルまたは(シクロアルケニル)アルキル、(シクロヘテリル)アルキル、(シクロアリール)アルキル、
(b)置換または非置換直鎖または分岐C−Cアルキル、C−Cアルケニル、またはC−アルキニル、
(b)がメチルとして選択され、Rが=Oとして選択される場合には、(a)は、非置換(シクロプロピル)メチルではなく、
は、H、OH、=O、=CH、−N(CH、または任意の環状環であるか、またはR7とともに環状環を形成し、
およびRは、Hまたはアルキルであり、
14は、H、OH、ハロゲン化物、アリールアミド、アミノ、N−アルキル、N−ジアルキル、N−アリール、N−アルキルアリール、N−シクロアルキルアルキル、SCH、S(=O)CH、S(=O)CH、アルコキシ、アリールオキシ、またはアリール−アルコキシであるか、またはR17またはR18とともに環状環を形成し、
およびRは、独立してH、ハロゲン化物、アルコキシ、アルキル、またはアリールであり、
は、H、C−Cアルキル、またはC−Cアシル、−シリルであり、
は、H、OH、アルキル、アルコキシ、またはアリールオキシであり、
は陰イオンである。
本明細書の実施形態に含まれるのは、式Ibの窒素に関する(S)立体異性体であり、
Figure 2010510325
式Ib中、
17およびR18は、置換または非置換C−Cヒドロカルビルであり、Rが=Oとして選択され、他がシクロプロピルメチルである場合、そのうちの少なくとも1つはメチルではなく、
は、H、OH、OR25、=O、=CH、−N−アルキル、N−ジアルキル、アシルオキシ、アルコキシ、アルキル、=CR´R´´であり、R´およびR´´は、独立してHまたはC−C10アルキル、あるいは任意の環であるか、またはRはRとともに環を形成し、
およびRは、Hまたはヒドロカルビル、シクロヒドロカルビル、アルコキシ、アミン、アミド、ヒドロキシ、またはそれらの置換部分であり、
14は、H、OH、ハロゲン化物、N−アルキル、N−ジアルキル、N−アリール、N−アルキルアリール、N−シクロアルキルアルキル、SR25、S(=O)R25、SO25、アルコキシ、アリールオキシ、またはアリールアルコキシであるか、またはR17またはR18とともに環を形成し、
およびRは、独立してH、ハロゲン化物、アルコキシ、アルキル、またはアリールであり、
は、H、アルキル、C−Cアシル、シリルであり、
は、H、OH、アルキル、アルコキシ、またはアリールオキシであり、
25は、アルキル、アリール、アリールアルキルであり、
は、陰イオンである。
一部の基が、優先的に選ばれ得る。例えば、R14は、一実施形態においては、OHまたはO−アルキルとなるように選択される。
式I(c)の
Figure 2010510325
窒素に関して(S)配置である単離化合物であって、
式I(c)中、RおよびRは、独立してH、OH、OR26、ハロゲン化物、シリル;ヒドロカルビル、シクロヒドロカルビル、またはそれらの置換部分であるか、
またはRおよびRは、また、結合して、R19に従い置換され得るC−C炭素環縮合環、ベンゾ縮合環、または5〜6員のヘテロアリール縮合環を形成し、
は、H、シリル、CO19、SO19、B(OR26
0−3R19で置換される(C−C)アルキル;
0−3R19で置換される(C−C)アルケニル;
0−3R19で置換される(C−C)アルキニル;
0−3R20で置換される(C−C10)シクロアルキル;
0−3R20で置換される(C−C10)炭素環;
0−3R20で置換されるアリール;
−Cアシルであり、
は、H、OH、OR26
0−3R19で置換される(C−C)アルキル;
0−3R19で置換される(C−C)アルケニル;
0−3R19で置換される(C−C)アルキニル;
0−3R20で置換される(C−C10)シクロアルキル;
0−3R20で置換される(C−C10)炭素環;
0−3R20で置換されるアリールであり、
は、H、=O、OH、OR26、=(R19)(R19´)、=(0−3R20で置換されるヘテロ環)、=(0−3R20で置換されるC−C環);
0−3R19で置換される(C−C)アルキル;
0−3R19で置換される(C−C)アルケニル;
0−3R19で置換される(C−C)アルキニル;
0−3R20で置換される(C−C10)シクロアルキル;
0−3R20で置換される(C−C10)炭素環;
0−3R20で置換されるアリール;
アミン、アミド、スルホンアミド、またはエステルであり、
およびRは、独立してH、ヒドロカルビル、シクロヒドロカルビル、0−3R20を有するヘテロ環、0−3R20を有するアルキルアリール、0−3R20を有するアリールアルキル、またはそれらの置換部分、あるいは
Figure 2010510325
(式中、Xは結合、=O、O、S、N(R19)、SO、SO、SON(R19)、CON(R19)、N(R19)CON(R19´)、N(R19)C(=NR19´)N(R19´´)、COOである)であるか、
またはRおよびRを結合して、R19に従い置換され得るカルボシクル縮合環、ベンゾ縮合環、0−3R20を有する5、6、または5〜6員アリールもしくはヘテロアリールを形成し、
14は、H、OH、OR26、NR2223SR25、S(=O)R25、SO25、0−3R20を有するヘテロ環、0−3R20を有するアルキルアリール、0−3R20を有するアリールアルキル、
Figure 2010510325
(式中、Xは結合、=O、O、S、N(R19)、SO、SO、SON(R19)、CON(R19)、N(R19)CON(R19´)、N(R19)C(=NR19´)N(R19´´)、COOである)、
0−3R19で置換される(C−C)アルキル;
0−3R19で置換される(C−C)アルケニル;
0−3R19で置換される(C−C)アルキニル;
0−3R20で置換される(C−C10)シクロアルキル;
0−3R20で置換される(C−C10)炭素環;
0−3R20で置換されるアリール;アリールオキシ、アシルオキシであるか、
または第四級窒素に関するその配置によって、R14はR18と結合し、O−縮合環、またはC−C炭素環縮合環を形成することができ、
17およびR18は、置換され得るC−Cヒドロカルビルであり、R18がメチルである場合、R17はアリル、0−3R20を有するヘテロ環、0−3R20を有するアルキルアリール、0−3R20を有するアリールアルキル、
Figure 2010510325
(式中、Xは結合、=O、O、S、N(R19)、SO、SO、SON(R19)、CON(R19)、N(R19)CON(R19´)、N(R19)C(=NR19´)N(R19´´)、COOである)、
19は、各発生時に、H、C−Cアルキル、CF、OR24、Cl、F、Br、I、=O、CN、NO、NR2223、0−3R20で置換されるアリール;
0−3R21で置換されるC−C10炭素環;
0−3R21で置換されるアリール;または
窒素、酸素、および硫黄より選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜10員のヘテロ環であって、前記5〜10員のヘテロ環は、0−3R21で置換される、5〜10員のヘテロ環、
より独立して選択され、
20は、各発生時に、H、OH、Cl、F、Br、I、CN、NO、NR2223、アセチル、NR2223、XR25
−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルキル、
−Cハロアルコキシ、およびC−Cハロアルキル−S−より独立して選択され、
21は、各発生時に、H、OH、Cl、F、Br、I、CN、NO、NR2223、CF、アセチル、OR25、XR25
−Cアルキル、C−Cアルコキシ、C−Cハロアルキル、
−Cハロアルコキシ、およびC−Cハロアルキル−S−より独立して選択され、
NR2223は、ピペリジニル、ホモピペリジニル、チオモルホリニル、ピペリジニル、およびモルホリニルの群より選択される複素環であってもよく、
22は、各発生時に、H、C−Cアルキル、C−C10アリール、ヘテロアリール、ヘテロ環、アルキルアリール、およびアリールアルキル、
(C−Cアルキル)−C(=O)−、および(C−Cアルキル)−S(=O)−より独立して選択され、
23は、各発生時に、H、(C−C)アルキル、C−C10アリール、ヘテロアリール、ヘテロ環、アルキルアリール、ハロアルキル、アリールアルキル、
(C−Cアルキル)−C(=O)−、および(C−Cアルキル)−S(=O)−より独立して選択され、
24は、各発生時に、H、フェニル、ベンジル、(C−C)アルキル、および(C−C)アルコキシアルキルより独立して選択され、
25は、アルキル、アリール、またはアリールアルキルであり、
26は、各発生時に、
H、(C−C)アルキル、CF
0−3R21で置換されるC−C10炭素環;
0−3R21で置換されるアリール;または
窒素、酸素、および硫黄より選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜10員のヘテロ環であって、前記5〜10員のヘテロ環は、0−3R21で置換される、5〜10員のヘテロ環より独立して選択され、
は、陰イオンである、単離化合物、またはその医薬的に許容される塩形態もしくはプロドラッグ形態。
(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムは、図に示されるように、塩である。したがって、本出願の場合は、ハロゲン化物、硫酸塩、リン酸塩、硝酸または陰イオン電荷有機種を含む、陰イオンが存在する。ハロゲン化物は、フッ化物、塩化物、ヨウ化物および臭化物を含む。一部の実施形態において、ハロゲン化物はヨウ化物であり、他の実施形態において、ハロゲン化物は臭化物である。一部の実施形態において、陰イオン電荷種は、スルホン酸塩またはカルボン酸塩である。スルホン酸塩の例には、メシラート、ベシラート、トシレート、およびトリフレートが含まれる。カルボン酸塩の例には、ギ酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、およびフマル酸塩が含まれる。
本発明の別の態様に従って、窒素に関して(S)‐配置で構成される前述の組成物は、一部の実施形態においては、7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムの結晶、溶液、または臭化物塩である。他の実施形態においては、前述の組成物は、好ましくは有効量であり、医薬的に許容される担体を有する医薬製剤である。
本発明の一態様に従って、ある7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムの結晶が提供されるが、窒素に関して(S)‐配置の7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムの量が少なくとも約99.5%、または約99.6%、あるいは約99.7%であるか、もしくは約99.8%、または約99.9%、最も好ましくは約99.95%以上である。
本発明の別の態様に従って、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウム化合物は、単離形で提供される。単離とは、少なくとも純度が50%であることを意味する。実施形態においては、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムの純度がは、75%、90%、95%、98%、および99%以上でも提供される。実施形態においては、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムは結晶形である。
本発明の別の態様に従って、組成物が提供される。該組成物は、7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムを含み、組成物中に存在する7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムの量は、窒素に関する(S)配置において10%以上である。より好ましくは、組成物中に存在する7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムの量は、窒素に関する(S)配置において、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、98.5%、99%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、および99.9%以上である。一部の実施形態においては、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)によって測定されるように、検出可能な対照物(R)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウム化合物は存在しない。
一実施形態においては、組成物は溶液であり、他の実施形態においてはオイルであり、他の実施形態においてはクリームであり、またさらに別の実施形態においては固体または半固体である。一実施形態においては、組成物は結晶である。
本発明の別の態様に従って、医薬製剤が提供される。医薬製剤は、医薬的に許容される担体における上述の特定の(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムの組成物のうちのいずれか1つを含む。医薬製剤は、有効量の(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムを含有する。一部の実施形態においては、組成物中に検出可能な対照物(R)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウム構造がほとんどまたはまったく存在しない。存在する場合、(R)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウム化合物は、有効量の(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウム化合物が被験体に投与されるようなレベルである。一部の実施形態においては、医薬製剤は、7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウム以外の治療薬をさらに含む。一実施形態においては、治療薬はオピオイドまたはオピオイドアゴニストである。オピオイドまたはオピオイドアゴニストの例は、アルフェンタニル、アニレリジン、アシマドリン、ブレマゾシン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、コデイン、デゾシン、ジアセチルモルフィン(ヘロイン)、飽和コデイン、ジフェノキシレート、フェドトジン、フェンタニル、フナルトレキサミン、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、レバロルファン、レボメタジルアセテート、レボルファノール、ロペラミド、メペリジン(ペチジン)、メサドン、モルヒネ、モルヒネ‐6‐グルクロニド、ナルブフィン、ナロルフィン、アヘン、オキシコドン、オキシモルホン、ペンタゾシン、プロピラム、プロポキシフェン、レミフェンタニル、スフェンタニル、チリジン、トリメブチン、トラマドール、またはそれらの組み合わせである。一部の実施形態においては、オピオイドまたはオピオイドアゴニストは、血液脳関門を容易に通過しないため、全身的に投与された場合に、実質的に中枢神経系(CNS)活性を有しない(すなわち、「末梢作用」薬として知られる薬剤のクラスである)。
他の実施形態においては、治療薬は、オピオイドアンタゴニストである。オピオイドアンタゴニストは、末梢μオピオイドアンタゴニストを含む。末梢μオピオイドアンタゴニストの例は、ノルオキシモルフォンの第四級誘導体(Goldbergらの米国特許第4,176,186号、およびCantrellらの国際公開第WO2004/043964号を参照)、米国特許第5,250,542号、第5,434,171号、第5,159,081号、第5,270,328号、および第6,469,030号に記載されているようなピペリジンN‐アルキルカルボキシレート、米国特許第4,730,048号、第4,806,556号、および第6,469,030号に記載されているようなアヘンアルカロイド誘導体、米国特許第3,723,440号および第6,469,030号に記載されているような第四級ベンゾモルファン化合物を含む。一実施形態においては、末梢オピオイドアンタゴニストは、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムである。
他の実施形態においては、治療薬は、オピオイド、オピオイドアゴニスト、またはオピオイドアンタゴニストではない。例えば、治療薬は、抗ウイルス物質、抗生物質製剤、抗真菌薬、抗菌剤、防腐剤、抗原虫薬、抗寄生虫薬、抗炎症剤、血管収縮薬、局所麻酔薬、抗下痢薬、抗痛覚過敏薬、またはそれらの組み合わせであり得る。
本発明の一実施形態においては、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムは、ロペラミド、ロペラミド類似体、ロペラミドのN‐オキシドである抗下痢薬、およびその類似体、代謝物およびプロドラッグ、ジフェノキシレート、シサプリド、制酸薬、水酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、ポリカルボフィル、シメチコン、ヒヨスチアミン、アトロピン、フラゾリドン、ジフェノキシン、オクトレオチド、ランソプラゾール、カオリン、ペクチン、活性炭、スルファグアニジン、スクシニルスルファチアゾール、フタリルスルファチアゾール、アルミン酸ビスマス、次炭酸ビスマス、次クエン酸ビスマス、クエン酸ビスマス、二クエン酸ビスマス酸三カリウム、酒石酸ビスマス、次サリチル酸ビスマス、次硝酸ビスマスおよび次没食子酸ビスマス、アヘンチンキ(パレゴリック)、漢方薬、植物由来の抗下痢薬またはこれらの組み合わせである抗下痢薬と組み合わせられる。
本発明の一態様においては、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムは、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)である抗炎症剤、腫瘍壊死因子抑制剤、バシリキシマブ、ダクリズマブ、インフリキシマブ、ミコエノレート、モフェチル、アゾチオプリン、タクロリムス、ステロイド、スルファサラジン、オルサラジン、メサルアミン、またはこれらの組み合わせと組み合わせられる。
本発明の医薬製剤は、様々な形状を取ってもよく、必ずしも以下のものに限定されないが、腸溶性コーティングされた組成物、即時放出剤形、制御放出または徐放性剤形である組成物、溶液である組成物、局所製剤である組成物、坐薬である組成物、凍結乾燥された組成物、吸入器内にある組成物、鼻腔スプレー装置内にある組成物等を含む。組成物は、経口投与、非経口投与、粘膜投与、鼻腔投与、局所投与、眼投与、局部投与用等であり得る。非経口の場合、投与は、皮下、静脈内、皮内、腹腔内、髄腔内等であり得る。
本発明の別の実施形態に従って、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウム類似体塩を合成するための方法が提供される。該方法は、第1の溶媒においてアルキルハロゲン化物(例えば、メチルシクロプロパン部分を窒素に添加することが望まれる場合は、ヨードメチルシクロプロパン)構造(例えば、ノルオキシモルフォン誘導体が望ましい場合は、ノルオキシモルフォン)を結合して、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムのハロゲン化物塩を生成する。その後、対イオンを任意に置換してもよく、例えば、ヨウ化物は、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムのヨード塩を第2の溶媒に移し、ヨウ化物をヨウ化物以外の対イオンと交換することによって交換され得る。例えば、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムのヨード塩は、第1の溶媒から第2の溶媒に移し、第2の溶媒中のヨウ化物を臭化物と交換して、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムのブロモ塩を生成し得る。第1の溶媒は、例えば、双極性の非プロトン溶媒であり得る。第1の溶媒は、例えば、N‐メチルプロリドン(NMP)またはDMFであり得る。第2の溶媒は、例えば、塩化メチレン、酢酸イソプロピル、ジオキサンであり得る。
ある実施形態は、クロマトグラフィー、再結晶化、またはそれらの併用による(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウム塩の精製を伴う。一実施形態においては、精製は複数の再結晶化による。
一部の実施形態においては、広い温度範囲にわたって、大気条件で反応を実行し得る。他の実施形態においては、第1の溶媒における反応は、制御された反応温度、例えば、65℃から75℃の間、または約70℃で行う必要があり、第2の溶媒における反応は、別の温度、例えば、室温で行われ得る。
方法全体は、第1の溶媒において適切な誘導体を適切な第三オキシモルファンと結合させて(S)‐類似体プラス対イオンを生成することによって、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウム類似体プラス対イオンを合成するステップを含み得る。適切な誘導体は、ハロゲン化物またはスルホン酸塩等の残基を含有し得る。ハロゲン化物は、例えば、ヨウ化物であり得る。第1の溶媒は、双極性の非プロトン性溶媒であり得る。かかる溶媒の例は、N‐メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、メチルホスホラミド、アセトン、1,4‐ジオキサン、およびアセトニトリルならびにそれらの組み合わせである。好ましいのはN‐メチルピロリドンである。第1の溶媒は、代替として、双極性の非プロトン性溶媒であり得る。例には、2‐プロパノール、1‐プロパノール、エタノール、メタノールがある。該方法は、生成された(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムの対イオンを別の対イオンと交換するステップをさらに含み得る。対イオンの例は、臭化物、塩化物、フッ化物、硝酸塩、スルホン酸塩、またはカルボン酸塩である。スルホン酸塩は、メシレート、ベシレート、トシレート、またはトリフレートであり得る。カルボン酸塩は、ギ酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、およびフマル酸塩であり得る。該方法は、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムの対イオンを別の対イオンと交換する前に、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウム対イオンを第2の溶媒に移すステップを含み得る。該方法は、例えば、再結晶化、クロマトグラフィー、またはそれら両方によって、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムプラス対イオンを精製するステップをさらに含み得る。
本発明の別の一態様に従って、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムを含有する医薬組成物を、下痢を治療または予防するために有効な量で、そのような治療を必要とする被験体に投与することにより、被験体の下痢を抑制するための方法が提供される。医薬製剤は、上述の種類であり得る。下痢は、急性または慢性であり得る。下痢は、感染薬、食物不耐性、食物アレルギー、吸収不良症候群、薬物に対する反応または非特異的な病因により引き起こされる等の、任意の様々な状況によって単独または複合的に引き起こされ得る。一部の実施形態においては、下痢は、過敏性腸症候群、または炎症性腸疾患に関連する。一実施形態においては、炎症性腸疾患は、セリアック病である。別の実施形態においては、炎症性腸疾患はクローン病である。さらに別の実施形態においては、炎症性腸疾患は潰瘍性大腸炎である。他の実施形態においては、下痢は、胃または腸の切除、胆嚢の摘出、または器官の損傷から生じる。他の実施形態においては、下痢は、カルチノイド腫瘍または血管活性腸管ポリペプチド分泌腫瘍に関連する。さらに他の実施形態においては、下痢は慢性の機能性(特発の)下痢である。
本発明による(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムは、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムではない抗下痢薬と併用して投与され得る。併用投与するとは、疾病を治療するのに時間的に同時またはそれに十分近い時間で両薬剤を投与することを意味する。一実施形態においては、薬剤は、オピオイドまたはオピオイドアゴニストである。別の実施形態においては、薬剤はオピオイドまたはオピオイドアゴニストではない。
本発明の別の態様に従って、被験体における回腸瘻または結腸瘻からの排出量を低減するための方法が提供される。該方法は、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムを含有する医薬組成物を、回腸瘻または結腸瘻からの排出量を低減するために有効な量で、そのような低減を必要とする被験体に投与するステップを含む。医薬製剤は、上述の種類であり得る。
本発明の別の態様に従って、被験体の回腸瘻または結腸瘻からの排出率を低減するための方法が提供される。該方法は、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムを含有する医薬組成物を、回腸瘻または結腸瘻からの排出率を低減するために有効な量で、そのような低減を必要とする被験体に投与するステップを含む。医薬製剤は、上述の種類であり得る。
本発明の別の態様に従って、被験体の胃腸の運動性を抑制するための方法が提供される。該方法は、本開示の(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムを含有する医薬組成物を、被験体の胃腸の運動性を抑制するために有効な量で、そのような抑制を必要とする被験体に投与するステップを含む。医薬製剤は、上述の種類であり得る。本発明に従って、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムは、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムでない別の運動抑制剤と併用して投与され得る。一実施形態においては、薬剤はオピオイドまたはオピオイドアゴニストである。オピオイドおよびオピオイドアゴニストは、上述のとおりである。別の実施形態においては、薬剤はオピオイドまたはオピオイドアゴニストではない。かかる胃腸運動抑制剤の例は、本発明の要約において明確に復唱されるかのように、それぞれ以下に記載される。
本発明の別の態様に従って、過敏性腸症候群を治療するための方法が提供される。該方法は、本開示の(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムを含有する医薬組成物を、過敏性腸症候群の少なくとも1つの症状を緩和するために有効な量で、そのような治療を必要とする患者に投与するステップを含む。医薬製剤は、上述の種類であり得る。一実施形態においては、症状は下痢である。別の実施形態においては、症状は、便秘と下痢が交互に起こる。別の実施形態においては、症状は腹痛、腹部膨満、異常な排便回数、異常の便軟度、またはそれらの組み合わせである。
本発明の別の態様に従って、被験体において疼痛を抑制するための方法が提供される。疼痛は、急性疼痛または慢性疼痛であり得る。該方法は、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムを含有する医薬組成物を、疼痛を抑制するために有効な量で、そのような治療を必要とする患者に投与するステップを含む。医薬製剤は、上述の種類であり得る。該方法は、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウム以外の治療薬を被験体に投与するステップをさらに含む。一実施形態においては、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウム以外の薬剤は、オピオイドである。別の実施形態においては、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウム以外の薬剤は、非オピオイド疼痛緩和剤である。非オピオイド疼痛緩和剤は、コルチコステロイドおよび非ステロイド系抗炎症薬を含む。疼痛緩和剤は、本明細書の該要約で復唱されるかのように、以下でさらに詳細に記載される。疼痛が末梢性痛覚過敏症である場合は、例えば、咬傷、刺傷、火傷、ウイルスまたは細菌性感染症、口腔手術、抜歯、皮膚および肉への損傷、創傷、摩耗、打撲傷、外科的切開、日焼け、発疹、皮膚腫瘍、粘膜炎、歯肉炎、気管支炎、喉頭炎、咽頭痛、帯状疱疹、真菌性刺激、熱水疱、腫れ物、足底疣贅、膣の損傷、肛門の損傷、角膜摩耗、放射状角膜切開後、または炎症から生じ得る。手術後の回復にも関連し得る。手術は、例えば、放射状角膜切除、抜歯、乳腺腫瘤摘出、会陰切開、腹腔鏡検査、および関節鏡検査である。別の実施形態においては、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウム以外の薬剤は、抗ウイルス物質、抗生物質製剤、抗真菌薬、抗菌剤、防腐剤、抗原虫薬、抗寄生虫薬、抗炎症剤、血管収縮薬、局部麻酔薬、抗下痢薬、または抗体痛覚過敏薬である。
一部の実施形態においては、医薬組成物は、疼痛の部位に対して局部的に投与される。一部の実施形態においては、投与は関節内である。一部の実施形態においては、投与は全身性である。一部の実施形態においては、投与は局所的である。一部の実施形態においては、組成物は眼に投与される。
本発明の別の態様に従って、被験体の炎症を抑制するための方法が提供される。該方法は、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムを含有する医薬組成物を、炎症を抑制するために有効な量で、そのような治療を必要とする患者に投与するステップを含む。医薬製剤は、上述の種類であり得る。該方法は、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウム以外の治療薬を被験体に投与するステップも含み得る。(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウム以外の治療薬は、抗炎症剤であり得る。投与は、例えば、炎症の部位における局部投与、全身性投与、または局所投与であり得る。
一部の実施形態においては、炎症は、歯周炎症、歯列矯正炎症、炎症性結膜炎、痔および性器炎症である。他の実施形態においては、炎症は、皮膚の炎症性疾患である。例としては、刺激物接触性皮膚炎、乾癬、湿疹、掻痒、脂漏性皮膚炎、円形皮膚炎、扁平苔癬、尋常性座瘡、にきび、多形体、小節にきび、集簇性座瘡、老年性にきび、二次にきび、薬剤にきび、角質化疾患、水疱皮膚病、アトピー性皮膚炎、およびUV誘発性炎症から成る群より選択される疾患に関連する炎症が含まれる。皮膚炎症性疾患は、化粧品またはスキンケア製品の使用によって生じる皮膚の感作または刺激に関連し得るか、または非アレルギー炎症性皮膚疾患であり得る。全tran(S)‐レチノイン酸によって誘導される場合もある。他の実施形態においては、炎症は、全身性の炎症性疾患であり得る。例としては、炎症性腸疾患、関節リウマチ、悪液質、ぜんそく、クローン病、内毒素性ショック、成人呼吸窮迫症候群、虚血性/再潅流傷害、移植片対宿主反応、骨吸収、移植および狼瘡から成る群より選択される疾患が含まれる。他の実施形態は、多発性硬化症、糖尿病、および後天性免疫不全症候群(AIDS)またはがんに関連する消耗から成る群より選択される疾患に関連する炎症を含み得る。
本発明の別の実施形態に従って、被験体の腫瘍壊死因子の生成を抑制するための方法が提供される。該方法は、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムを含有する医薬組成物を、腫瘍壊死因子の生成を抑制するために有効な量で、そのような治療を必要とする患者に投与するステップを含む。医薬製剤は、上述の種類であり得る。該方法は、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウム以外の治療薬を被験体に投与するステップも含む。
本発明の別の実施形態に従って、被験体の胃腸機能を調整するための方法が提供される。該方法は、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムを含有する医薬組成物を、いずれも胃腸機能を調整する量で、そのような治療を必要とする患者に投与するステップと、末梢μオピオイドアンタゴニストを被験体に投与するステップとを含む。一実施形態においては、末梢μオピオイドアンタゴニストは、(R)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムである。
本発明の別の実施形態に従って、方法が提供される。該方法は、上述の組成物を、心因性の摂食障害または消化器疾患を予防または治療するために有効な量で患者に投与することによって、心因性の摂食障害または消化器疾患を予防または治療するステップを含む。
本発明の別の実施形態に従って、キットが提供される。該キットは、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムを含有する医薬組成物の密閉容器を含有するパッケージを含む。キットは、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウム以外の治療薬をさらに含み得る。(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウム以外の治療薬は、一実施形態においては、オピオイドまたはオピオイドアゴニストである。一態様において、オピオイドまたはオピオイドアゴニストは、全身的に投与される(すなわち、「末梢的に作用する」)場合、実質的にCNS活性を有しない。他の実施形態において、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウム以外の治療薬は、オピオイドアンタゴニストである。オピオイドアンタゴニストは、末梢μオピオイドアンタゴニストを含む。一実施形態においては、末梢オピオイドアンタゴニストは、(R)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムである。他の実施形態においては、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウム以外の薬剤は、抗ウイルス物質、抗生物質製剤、抗真菌薬、抗菌剤、防腐剤、抗原虫薬、抗寄生虫薬、抗炎症剤、血管収縮薬、局部麻酔薬、抗下痢薬、または抗痛覚過敏薬、もしくはそれらの組み合わせを含む。
本発明の実施形態に従って、(R)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムおよびそのイソステレオマー対照物の混合物中の(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムを分析するための方法が提供される。該方法は、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)を実行するステップと、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムを標準物質としてクロマトグラフィーカラムに適用するステップと、を含む。該方法は、好ましくは、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムおよびその立体異性対照物(R)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムを標準物質として適用し、相対保持/溶離時間を決定するステップを含む。(R)および(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムの相対保持時間は、ここで開示される。一実施形態においては、クロマトグラフィーは、溶媒Aと溶媒Bの2つの溶媒を用いて行われ、溶媒Aは、例えば水性溶媒であり得、溶媒Bはメタノール溶媒であり得、さらに、例えば、AおよびBはいずれもトリフルオロ酢酸(TFA)を含有し、例えば、Aは0.1%水性TFAであり、Bは0.1%メタノールTFAである。実施形態においては、カラムは、結合し、エンドキャップ処理を施したシリカを含む。特に有用な実施形態において、カラムゲルの孔の大きさは5ミクロンである。一実施形態においては、カラム、流速、および勾配プログラムは以下のとおりである。
カラム: Luna C18(2)、150×4.6mm、5μ
流速: 1mL/分
勾配プログラム:
Figure 2010510325
前述のHPLCを使用し、作成したクロマトグラムにおける個々の(R)および(S)曲線下の面積を決定することによって、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムおよびその対照立体異性体(R)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムの相対量を決定することもできる。
本発明の別の実施形態による(R)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウム(オピオイドアンタゴニストである)を含まない(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウム(オピオイドアゴニストである)の製造を保証するための方法が提供される。該方法は、アゴニスト活性を生み出す本開示の(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムの医薬製剤が、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムの作用に対立する化合物(すなわち、その(R)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウム立体異性体)で汚染されないことを初めて保証することができる。本発明のこの態様において、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムを製造するための方法が提供される。該方法は、(a)関心がある被験体の(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムを含有する第1の組成物を取得するステップと、(b)クロマトグラフィー、再結晶化、またはそれらの組み合わせによって、第1の組成物を精製するステップと、(c)対照物(R)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムを標準物質として使用し、精製された第1の組成物のサンプルにHPLCを実施するステップと、(d)サンプル中の対照物(R)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムの有無を決定するステップと、を含む。一部の実施形態においては、(R)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムおよびその(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウム立体異性体の両方を標準物質として使用し、例えば、(R)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムおよび(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムの相対保持時間を決定する。一実施形態においては、精製するステップは、複数の再結晶化ステップまたは複数のクロマトグラフィーステップである。別の実施形態においては、精製するステップは、(R)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウム立体異性体が、HPLCによって決定されるとおりサンプルからなくなるまで行う。しかしながら、当然のことながら、本発明の一部の態様においては、「精製された第1の組成物」は、必ずしも検出可能な(R)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムを含まないことはない。かかる(R)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムの存在は、例えば、純粋な(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムが望ましい場合は、さらなる精製ステップを行うべきであることを示しているかもしれない。該方法は、HPLC検出可能な(R)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムを含まない、精製された第1の組成物をパッケージ化するステップをさらに含み得る。本方法は、パッケージ化された第1の精製組成物上または内部に、パッケージ化された第1の精製組成物が、HPLC検出可能な(R)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムを含まないことを示す指示を含み得る。本方法は、本明細書に記載の疾患を有する任意の被験体を治療するための医薬的に有効な量をパッケージ化するステップをさらに含み得る。(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムを含有する第1の組成物は、本明細書に記載の方法で取得できる。純粋な(R)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウム対照物は、本明細書に記載のとおり取得できる。
本発明の別の実施形態に従って、パッケージ化した製品が提供される。該パッケージは、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムを含む組成物を含有し、組成物は、HPLC検出可能な(R)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウム対照物を含まず、パッケージ上またはパッケージ内に含有される指示は、組成物が検出可能な(R)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウム立体異性体を含まないことを示す。組成物は、様々な形態を取ってよく、必ずし以下のものに限定されないが、研究室実験において使用する標準物質、製造プロトコルで使用する標準物質、または医薬組成物を含む。組成物が医薬組成物である場合は、そのため、指示の一形態は、ラベルまたはパッケージ挿入物上に記載され、医薬製剤の特徴を説明する。指示は、組成物が(R)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウム立体異性体を含まないことを直接示すか、または例えば、組成物が純粋または100%(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムであることを記載することによって、同様のことを間接的に示すことができる。医薬組成物は、本明細書に記載の疾患のうちのいずれかを治療するためであり得る。医薬組成物は、有効量の純粋な(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムを含有し、本要約において明確に復唱されるかのように、以下に記載される形態のいずれかを取り得、必ずしも以下のものに限定されないが、溶液、固体、半固体、腸溶性コーティング材料等を含む。
本発明のこれらの態様および他の態様は、以下でさらに詳細に記載される。
本発明の7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム実施形態の可能性のある構造のうちの1つを提供する図である。 本発明の(R)および(S)7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム実施形態の、窒素における置換基の軸方向/赤道方向の関係をより詳細に例示する図である。 本発明の代表的な反応スキームを例示する図である。 (S)−17−アリル−17−シクロプロピルメチル−4,5α−エポキシ−3,14−飽和−6−オキソモルフィナニウムヨウ化物のプロトンNMRスペクトルを示す図である。 (R)−17−アリル−17シクロプロピルメチル−4,5α−エポキシ−3,14−飽和−6−オキソモルフィナニウムヨウ化物のNMRスペクトルを示す図である。
本発明は、(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム化合物、(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム化合物の立体選択的合成のための合成経路、実質的に純粋な(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム化合物、実質的に純粋な(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム化合物の結晶、(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム化合物の分析方法、実質的に純粋な(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム化合物を含有する医薬製剤、およびそれらの使用方法を提供する。
本発明の(S)−7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウムは、構造
Figure 2010510325
を有し、式中、Xは対イオンであり、R17およびR18は、窒素に関して、Cahn、Ingold、Prelogの配置割り当て規則に従った(S)配置となるように選択され、R18およびR17は、C−CアルキルまたはC−Cアルキルである。Rは、ヒドロキシル保護基であり得る。対イオンは、両極性イオンを含む、任意の対イオンであり得る。対イオンは、医薬的に許容されることが好ましい。対イオンは、ハロゲン化物、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、および陰イオンに荷電した有機種を含む。ハロゲン化物は、ヨウ化物、臭化物、塩化物、フッ化物、またはそれらの組み合わせであり得る。一実施形態においては、ハロゲン化物は、ヨウ化物である。一実施形態において、ハロゲン化物は、臭化物である。陰イオンに荷電した有機種は、スルホン酸塩またはカルボン酸塩であり得る。
図1は、本発明の7,8−飽和−4,5−エポキシ−モルフィナニウム実施形態の可能性のある構造のうちの1つを提供する。
「アシル」という用語は、単独で使用されるか、「アシルアミノ」等の用語内で使用されるかに関わらず、有機酸からヒドロキシルを除去した後、残基により提供されるラジカルを表す。「アシルアミノ」という用語は、アシル基で置換されるアミンラジカルを包含する。「アシルアミノ」ラジカルの一例は、アセチルアミン(CHC(=O)−−NH−−)である。「アリールオキシ」という用語は、ヒドロキシ−置換アリール部分からヒドリドを除去した後、残基により提供されるラジカルを表す(例えば、フェノール)。
本明細書で使用される「アルカノイル」は、アルキルが既に定義したとおりである、−C(=O)−アルキル基を指す。例示的なアルカノイル基は、アセチル(エタノイル)、n−プロパノイル、n−ブタノイル、2−メチルプロパノイル、n−ペンタノイル、2−メチルブタノイル、3−メチルブタノイル、2,2−ジメチルプロパノイル、ヘプタノイル、デカノイル、及びパルミトイルを含む。
「アルケニル」という用語は、上記のアルキルと長さおよび可能性のある置換が類似する不飽和脂肪族基を含むが、少なくとも1個の2重結合を含有し、少なくとも2個の炭素原子を含有しなくてはならない。例えば、「アルケニル」という用語は、直鎖アルケニル基(例えば、エチレニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル等)、分岐鎖アルケニル基、シクロアルケニル(脂環式)基(シクロプロペニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニル)、アルキルもしくはアルケニル置換シクロアルケニル基、およびシクロアルキルもしくはシクロアルケニル置換アルケニル基を含む。本明細書における「低級アルキレン」という用語は、約1個から約6個の炭素原子を有するアルキレン基を指す。「アルケニル」という用語は、「非置換アルケニル」および「置換アルケニル」の両方を含み、後者は、炭化水素骨格の1個以上の炭素上で水素を置換する置換基を有するアルケニル部分を指す。そのような置換基には、例えば、アルキル基、アルキニル基、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボン酸塩、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、リン酸塩、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル、およびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボン酸塩、硫酸塩、アルキルスルフィニル、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、又は芳香族または複素芳香族部分を含み得る。
「アルケニレン」は、概して、少なくとも1個の炭素−炭素2重結合を含有するアルキレン基を指す。例示的なアルケニレン基には、例えば、エチニレン(−CH=CH−)およびプロペニレン(−CH=CHCH−)を含む。好ましいアルケニレン基は、2個から約4個の炭素を有する。
「アルコキシ」および「アルコキシアルキル」という用語は、メトキシラジカル等の、1個から約10個の炭素原子のアルキル部分をそれぞれ有する、直鎖または分岐鎖酸素含有ラジカルを包含する。「アルコキシアルキル」という用語は、アルキルラジカルに結合して、つまり、モノアルコキシアルキルおよびジアルコキシアルキルラジカルを形成する、2個以上のアルコキシラジカルを有するアルキルラジカルもまた包含する。「アルコキシ」または「アルコキシアルキル」ラジカルは、フルオロクロロまたはブロモ等の1個以上のハロ原子でさらに置換され、「ハロアルコキシ」または「ハロアルコキシアルキル」ラジカルを提供し得る。「アルコキシ」ラジカルの例には、メトキシブトキシおよびトリフルオロメトキシを含む。
「アルキル」は、概して、鎖中に1個から約10個の炭素原子を有する直鎖、分岐鎖、または環状であり得る脂肪族炭化水素基、ならびにその中の範囲の全ての組み合わせおよび副次的組み合わせ(subcombination)、例えば、4〜10個の炭素原子を有するシクロアルキル、分岐鎖シクロアルキルアルキル、分岐鎖アルキルシクロアルキルを指す。「アルキル」という用語は、「非置換アルキル」および「置換アルキル」の両方を含み、後者は、骨格の1個以上の炭素上で水を置換する置換基を有するアルキル部分を指す。「低級アルキル」は、1個から約6個の炭素原子を有するアルキル基を指す。アルキル基には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、シクロペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、イソヘキシル、シクロヘキシル、シクロオクチル、アダマンチル、3−メチルペンチル、2−ジメチルブチル、および2,3−ジメチルブチル、シクロプロピルメチル、およびシクロブチルメチルを含むが、それらに限定されない。アルキル置換基には、例えば、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボン酸塩、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アルコキシル、リン酸塩、ホスホナト、ホスフィナト、シアノ、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル、およびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボン酸塩、硫酸塩、アルキルスルフィニル、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、または芳香族または複素芳香族部分を含み得る。「アラルキル」という用語は、ベンジル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、フェネチル、フェニルプロピル、およびジフェネチル等のアリール−置換アルキルラジカルを包含する。ベンジルおよびフェニルメチルの用語は、置き換え可能である。「n−アルキル」という用語は、直鎖(つまり、非分岐)の非置換アルキル基を意味する。「分岐鎖」は、メチル、エチル、またはプロピル等の低級アルキル基が直鎖アルキルに結合したアルキル基を指す。
「アルキル化剤」は、通常アルキル基を出発物質に共有結合させる出発物質と反応することができる、化合物である。アルキル化剤は、通常、出発物質への結合時にアルキル基から分離される、離脱基を含む。離脱基は、例えば、ハロゲン、ハロゲン化スルホン酸塩またはハロゲン化酢酸塩であり得る。アルキル化剤の一例は、シクロプロピルメチルヨウ化物である。
「アルキルシリル」という用語は、アルキル基で置換されるシリルラジカルを表す。「アルキルシリルオキシ」という用語は、アルキル基で置換されるシリルオキシラジカル(−−O−−Si−−)を表す。「アルキルシリルオキシ」ラジカルの一例は、−−O−−Si−t−BuMeである。
「アルキルスルフィニル」という用語は、2価の−−S(=O)−−原子に結合する、1個から10個の炭素原子の直鎖または分岐鎖アルキルラジカルを含有するラジカルを包含する。「アリールスルフィニル」という用語は、2価の−−S(=O)−−原子(例えば、−−S=OAr)に結合する、アリールラジカルを包含する。
「アルキルチオ」という用語は、2価の硫黄原子に結合する、1個から10個の炭素原子の直鎖または分岐鎖アルキルラジカルを含有する、ラジカルを包含する。「アリールスルフェニル」という用語は、2価の硫黄原子(−−SAr)に結合するアリールラジカルを包含する。「アルキルチオ」の一例は、メチルチオ、(CH3−−(S)−−)である。
「アルキニル」という用語は、上記のアルキルと長さおよび可能性のある置換において類似する不飽和脂肪族基を含むが、少なくとも1個の3重結合および2個の炭素原子を含有する。例えば、「アルキニル」という用語は、直鎖アルキニル基(例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、ノニニル、デシニル等)、分岐鎖アルキニル基、およびシクロアルキルもしくはシクロアルケニル置換アルキニル基を含む。
「アミド」という用語は、それ自体で使用されるか、「アミドアルキル」、「N−モノアルキルアミド」、「N−モノアリールアミド」、「N,N−ジアルキルアミド」、「N−アルキル−N−アリールアミド」、「N−アルキル−N−ヒドロキシアミド」、および「N−アルキル−N−ヒドロキシアミドアルキル」等の他の用語と共に使用されるかどうかにかかわらず、アミノラジカルで置換されるカルボニルラジカルを包含する。「N−アルキルアミド」および「N,N−ジアルキルアミド」という用語は、それぞれ、1個のアルキルラジカルおよび2個のアルキルラジカルで置換された、アミド基を表す。「N−モノアリールアミド」および「N−アルキル−N−アリールアミド」という用語は、それぞれ、1個のアリールラジカル、ならびに1個のアルキルおよび1個のアリールラジカルで置換される、アミドラジカルを表す。「N−アルキル−N−ヒドロキシアミド」という用語は、ヒドロキシルラジカルおよびアルキルラジカルで置換されるアミドラジカルを包含する。「N−アルキル−N−ヒドロキシアミドアルキル」という用語は、N−アルキル−N−ヒドロキシアミドラジカルで置換される、アルキルラジカを包含する。「アミドアルキル」という用語は、アミドラジカルで置換される、アルキルラジカルを包含する。
「アミノアルキル」という用語は、アミンラジカルで置換される、アルキルラジカルを包含する。「アルキルアミノアルキル」という用語は、アルキルラジカルで置換される窒素原子を有する、アミノアルキルラジカルを包含する。「アミジノ」という用語は、−−C(=NH)−−NHラジカルを表す。「シアノアミジノ」という用語は、−−C(=N−−CN)−−NHラジカルを表す。
「アリール」という用語は、単独または組み合わせて、1個、2個、または3個の環を含有する炭素環式芳香族系を意味し、そのような環は、ペンダント様式でともに結合され得、縮合され得る。「アリール」という用語は、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダン、およびビフェニル等の芳香族ラジカルを包含する。
「アリール−置換アルキル」は、概して、任意に置換されるアリール基、好ましくは任意に置換されるフェニル環で炭素において置換される、直鎖アルキル基、好ましくは低級アルキル基を指す。例示的なアリール−置換アルキル基には、例えば、フェニルメチル、フェニルエチル、および3−(4−メチルフェニル)プロピルを含む。
「炭素環」という用語は、任意の安定した3〜7員の単環式もしくは二環式、または7〜13員の二環式もしくは三環式を意味することが意図され、それらのいずれも、飽和、部分的に不飽和、または芳香族であり得る。そのような炭素環の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、アダマンチル、シクロオクチル、[3.3.0]ビシクロオクタン、[4.3.0]ビシクロノナン、[4.4.0]ビシクロデカン(デカリン)、[2.2.2]ビシクロオクタン、フルオレニル、フェニル、ナフチル、インダニル、アダマンチル、またはテトラヒドロナフチル(テトラリン)を含むが、それらに限定されない。好ましい「炭素環」は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルである。
「シクロアルキル」という用語は、シクロプロピルシクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、およびシクロヘプチル等の、3個から10個の炭素原子を有するラジカルを包含する。
「シクロアルキル−置換アルキル」は、概して、シクロアルキル基、好ましくはC−Cシクロアルキル基で末端炭素において置換される、直鎖アルキル基、好ましくは低級アルキル基を指す。典型的なシクロアルキル−置換アルキル基には、シクロヘキシルメチル、シクロヘキシルエチル、シクロペンチルエチル、シクロペンチルプロピル、シクロプロピルメチル等を含む。
「シクロアルケニル」は、概して、約4個から約10個の炭素を有するオレフィン性不飽和シクロアルキル基、ならびにその中の範囲の全ての組み合わせおよび副次的組み合わせを指す。一部の実施形態において、シクロアルケニル基は、C−Cシクロアルケニル基、つまり、約5個から約8個の炭素を有するシクロアルケニル基である。
「双極性の非プロトン性」溶媒は、不安定水素原子を提供することができず、永久双極子モーメントを呈する、プロトン受容溶媒である。例には、アセトン、酢酸エチル、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、およびN−メチルピロリドンを含む。
「双極性のプロトン性」溶媒は、不安定な水素原子を提供することができ、永久双極子モーメントを呈するものである。例には、水、2−プロパノール、エタノール、メタノール等のアルコール類、ギ酸、酸、およびプロピオン酸等のカルボン酸を含む。
本明細書で使用される語句「実質的に通過しない」は、本方法に用いられる化合物の約20重量%未満が血液脳関門を通過すること、好ましくは約15重量%未満、より好ましくは約10重量%未満、さらにより好ましくは約5重量%未満、および最も好ましくは0重量%の本化合物が、血液脳関門を通過することを意味する。
「ハロ」という用語は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素原子等のハロゲンを意味する。「ハロアルキル」という用語は、1個以上の任意のアルキル炭素原子が、上記に定義されるハロで置換される、ラジカルを包含する。具体的に包含されるものは、モノハロアルキル、ジハロアルキル、およびポリハロアルキルラジカルである。モノハロアルキルラジカルは、一例として、ラジカル内にブロモ、クロロ、またはフルオロ原子のいずれかを有する。ジハロラジカルは、同一ハロ原子のうちの2個以上、または異なるハロラジカルの組み合わせを有することができ、ポリハロアルキルラジカルは、2個を超える同一ハロ原子、または異なるハロラジカルの組み合わせを有することができる。
本明細書で使用される「ヘテロ環」または「複素環」という用語は、飽和、部分的に不飽和、または不飽和(芳香族)であり、炭素原子と、N、O、およびSから成る群から独立して選択される1個、2個、3個、または4個のヘテロ原子とから成り、上記に定義される複素環のうちのいずれかがベンゼン環に縮合される、任意の二環基を含む、安定した5〜7員の単環式もしくは二環式、または7〜14員の二環式複素環を意味することが意図される。飽和ヘテロ環ラジカルの例には、ピロリジルおよびモルホリニルを含む。
「ヒドロキシアルキル」という用語は、1個から約10個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキルラジカルを抱合し、そのいずれか1つは、1個以上のヒドロキシルラジカルで置換され得る。
「ヒドリド」という用語は、単一の水素原子(H)を表す。このヒドリドラジカルは、例えば酸素原子に結合して、ヒドロキシルラジカルを形成することができ、または、2個のヒドリドラジカルが炭素原子に結合して、メチレン(−−CH−−)ラジカルを形成することができる。
「N−アルキルアミノ」および「N,N−ジアルキルアミノ」という用語は、それぞれ、1個のアルキルラジカルおよび2個のアルキルラジカルで置換された、アミン基を表す。
本明細書で使用される「N−オキシド」は、芳香族複素環または3級アミンのいずれかの塩基性窒素原子が酸化されて、正の形式電荷を持つ4級窒素、および負の形式電荷を持つ結合した酸素原子をもたらす、化合物を指す。
「有機溶媒」は、当業者にとって一般的な、通常の意味を有する。本発明において有用である、例示的な有機溶媒には、テトラヒドロフラン、アセトン、ヘキサン、エーテル、クロロホルム、酢酸、アセトニトリル、クロロホルム、シクロヘキサン、メタノール、およびトルエンを含むが、それらに限定されない。無水有機溶媒を含む。
本明細書で使用される「患者」は、哺乳動物を含む動物、好ましくはヒトを指す。
本明細書で使用される「末梢」または「末梢作用性」は、中枢神経系外で作用する薬剤を指す。本明細書で使用される「中枢作用性」は、中枢神経系(CNS)内で作用する薬剤を指す。「末梢」という用語は、化合物が、主に中枢神経系外部の生理系および成分に作用することを示す。本明細書で使用される語句「実質的にCNS活性がない」は、本方法において用いられる化合物の薬理作用の約20%未満がCNSにおいて示されることを意味し、好ましくは約15%未満、より好ましくは約10%未満、さらにより好ましくは約5%未満、最も好ましくは0%の本方法において用いられる化合物の薬理作用がCNSにおいて示される。
本明細書において使用される「プロドラッグ」は、所望の活性に対して、それ自体は、通常、不活性または最小限に活性であるが、生体内変化により生物活性代謝物へ変換される活性種の、所望の反応部位に到達する量を最大限にするよう特別に設計された化合物を指す。
本明細書において使用される「医薬的に許容される」は、正しい医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、または妥当な利益/リスク率に相応する他の問題となる合併症なしで、ヒトおよび動物の組織との接触に適切なそれらの化合物、材料、組成物、および/または剤形を指す。本明細書において使用される「医薬的に許容される塩」は、親化合物が、その酸性または塩基性塩を作成することによって改変される、開示された化合物の誘導体を指す。医薬的に許容される塩の例として、必ずしも以下のものに限定されないが、アミン等の塩基性残基の無機または有機酸塩、カルボン酸等の酸性残基のアルカリまたは有機塩を含む。医薬的に許容される塩として、従来の非毒性塩、または例えば、非毒性無機または有機酸から形成される親化合物の第四級アンモニウム塩を含む。例えば、そのような従来の非毒性塩として、塩化水素酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸等の無機酸由来のもの、および酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸等の有機酸から調製される塩を含む。これらの生理的に許容される塩は、例えば、含水アルコール中の過剰の酸で遊離アミン塩基を溶解するか、または水酸化物等のアルカリ金属塩基、またはアミンで遊離カルボン酸を中和することによる、当技術分野で周知の方法によって調製される。本発明の特定の酸性または塩基性化合物は、両性イオンとして存在し得る。遊離酸、遊離塩基、および両性イオンを含む、全ての形の化合物は、本発明の範囲内であることを意図する。アミノおよびカルボキシル基の両方を含有する化合物は、しばしば、それらの両性イオン型と均衡状態で存在することが、当技術分野で周知である。本明細書を通して記載される、例えば、アミノおよびカルボキシル基の両方を含有する任意の化合物は、それらの対応する両性イオンへの言及も含む。
本明細書において使用される「副作用」は、薬剤の投与によって利益がもたらされることを目指した結果以外の、特に組織または器官系に対する薬物によって生じる悪影響として、薬剤または対策が使用された結果以外の結果を指す。
本明細書において使用される「立体異性体」は、同一の化学構成を有するが、間隙を介して原子または基の配置に関して異なる化合物を指す。
「スルファミル」または「スルホンアミジル」という用語は、単独、または「N−アルキルスルファミル」、「N−アリールスルファミル」、「N,N−ジアルキルスルファミル」、および「N−アルキル−N−アリールスルファミル」等の用語とともに使用される場合、アミンラジカルで置換され、スルホンアミド(−−SONH)を形成するスルホニルラジカルを意味する。「N−アルキルスルファミル」および「N,N−ジアルキルスルファミル」という用語は、それぞれ、1つのアルキルラジカル、シクロアルキル環、または2つのアルキルラジカルで置換されるスルファミルラジカルを意味する。「N−アリールスルファミル」および「N−アルキル−N−アリールスルファミル」という用語は、それぞれ、1つのアリールラジカル、および1つのアルキル、および1つのアリールラジカルで置換されたスルファミルラジカルを意味する。
「スルホニル」という用語は、単独、またはアルキルスルホニル等の他の用語と連結して使用される場合、それぞれ、二価ラジカル−−SO−−を意味する。「アルキルスルホニル」は、アルキルが上記のように定義される、スルホニルラジカルに結合するアルキルラジカルを包含する。「アリールスルホニル」という用語は、アリールラジカルで置換されたスルホニルラジカルを包含する。
「第三級アミン」は、その共通の一般的な意味を有する。概して、本発明において有用な第三級アミンは、以下の一般式を有し、
Figure 2010510325
、R、およびRは、同一であるか、または異なる直鎖あるいは分岐鎖アルキル基、アルケニル基、アルキレン基、アルケニレン基、シクロアルキル基、シクロアルキル置換アルキル基、シクロアルケニル基、アルコキシ基、アルコキシ−アルキル基、アシル基、アリール基、アリール置換アルキル基、およびヘテロ環状基の組み合わせである。本発明による有用な例示的な第三級アミンは、R1−3が、式(C2n+1、n=1−4)のアルキル基、または式(C(CH)n−[n=1−2]のアラルキル基である。本発明による有用な例示的な第三級アミンは、シクロアルキル第三級アミン(例えば、N−メチルモルホリン、N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジン)、ピリジン、およびProton Sponge(登録商標)(N,N,N´,N´−テトラメチル−1,8−ナフタレン)である。
(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムは、その対応する(R)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムの特性とは異なる特性、および特定の7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムの(S)および(R)の混合物とは異なる特性を呈する。それらの特性は、クロマトグラフィーカラム上の可動性、生物学的および機能的活性、ならびに結晶構造を含み得る。生体クリアランス率、副作用プロファイル等もまた、1つの(R)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウム、または(R)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムと(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムの混合物とは異なり得ると考えられる。純粋な(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムは、末梢オピオイド受容体のアゴニストとして作用し、例えば、胃腸の通過を抑制し得る。結果として、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムの活性は、(R)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムおよび(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムの両方を含有する混合物における(R)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウム活性で阻害または拮抗され得る。したがって、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムを、単離された実質的に純粋な形態で有することが極めて望ましい。
本発明の一態様においては、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムを合成するための方法が提供される。(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムは、クロマトグラフ法に基づいて、曲線(AUC)下領域で、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、98.5%、99%、および99.5%以上の純度で生成され得る。実施形態においては、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムの純度は98%以上である。精製された(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムにおいて対応する(R)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムは、約90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、5%、3%、2%、1%、0.5%、0.3%、0.2%、0.1%(AUC)であるか、または本明細書に記載のクロマトグラフ法によって検出不可能であり得る。熟練者は、方法の検出は、採用された手法の検出および定量限界に依存することを理解するだろう。定量限界値は、研究室、分析者、計器、または試薬ロットにおける変動に関わらず、一貫して測定および報告することができる、(R)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムの最小値である。検出限界値は、検出することは可能であるが、必ずしも正確な値として定量化され得るとは限らない、サンプルにおける(R)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムの最小値である。本発明の一実施形態においては、検出限界は0.1%であり、定量限界は0.2%である。さらに別の実施形態においては、検出限界は0.02%であり、定量限界は0.05%である。
本発明のいくつかの7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムの合成は、オキシモルホン等の第三級モルフィナンの直接アルキル化によって行われ得る。オキシモルホンの石炭酸OH基は、非保護または保護され得る。(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウム塩は、ヨウ化物等の対イオンを含んでもよく、その後、より好ましい対イオン、例えば、臭化物と交換することができる。多数の(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムの合成における有用な出発物質は、本明細書においてオキシモルホンとして開示され、例えば、三臭化ボロンを用いたオキシコドンの脱メチル化を通じて、約95%の収率で得ることができる。代替として、オキシモルホンは、商業的供給源を通じて入手できる。
アルキル化反応は、無水であり得る溶媒または溶媒系において行われ得る。溶媒系は、単一の溶媒であるか、または2つ以上の溶媒の組み合わせを含み得る。適切な溶媒系は、N‐メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)、アセトン、1,4‐ジオキサン、およびアセトニトリル等の双極性の非プロトン性溶媒、および2‐プロパノール等の双極性のプロトン性溶媒を含み得る。溶媒系は、テトラヒドロフラン(THF)、1,2‐ジメトキシエタン(グリム)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)、1,4‐ジオキサン、メチルt‐ブチルエーテル(メチル1,1‐ジメチルエチルエーテル、または2‐メチル‐2‐メトキシプロパン)ジエチルエーテル等の脂肪族エーテルとの連結で、双極性の非プロトン性溶媒を含んでもよく、他の極性溶媒は、一部の実施形態に含まれ得る。例えば、溶媒系は、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン(3‐ペンタノン)、およびt‐ブチルメチルケトン(3,3‐ジメチルブタン‐2‐one)を含み得る。アルキル化溶媒系は、上述で開示された化合物のうちのいずれかの脂肪族または脂環式コンジナーも含み得る。溶媒系は、2つ以上の溶媒を任意の割合で含み、特定のアルキル化反応に適切な割合は、日常の実験を通じて決定され得る。
溶媒は、約1、2、3、4、5、10またはそれ以上の容積より小、大、または等しい比率で使用され得る。一部の例においては、液体/液体抽出を使用して、生成物を溶媒から移す場合、または生成物を結晶化する場合、もしくは溶媒を生成物から除去する場合等に使用される溶媒の量を最小限にすることが好まれ得る。
アルキル化剤を、当量の出発物質当たり8、12、16、20、24未満または24当量以上等の様々なモル比で出発物質に添加し得る。反応効率(7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムの生成)は、一部の例において使用されるアルキル化の量と実質的に無関係であり得る。
実施形態の一セットにおいては、フィンケルシュタイン反応を使用してアルキル化を行うことができる。例えば、塩化シクロプロピルメチル等のハロゲン化アルキルは、ヨウ化ナトリウム等のハロゲン化物塩と結合して、消費されるにつれて補給されるヨウ化シクロプロピルメチル等の反応性ハロゲン化アルキル化剤を継続的に供給することができる。
出発物質は、開放容器中、大気圧でアルキル化されるか、または加圧下でアルキル化され得る。反応は、当該技術分野において知られるような方法/機器を使用して、反応時間に亘って、温度が所定の温度に維持されるか、または制御されるように行うことができる。アルキル化反応の間中、制御温度を維持するための一装置は、暖房/冷却装置である。アルキル化反応の間中、温度を制御することで、温度変動が抑制または低減される。反応は、多くの時間、例えば、最大約22時間、または15〜22時間、もしくは16〜20時間続ける必要があり得る。反応時間は、一部の例において、マイクロ波の放射を使用することによって短縮することができる。
一部の実施形態においては、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムは、それが生成される溶媒から単離され得る。例えば、溶媒は、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムを含有する残基から除去されるか、または任意の(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムが、アルキル化溶媒から移動溶媒に移動され得る。移動溶媒は、極性または非極性であってもよく、100℃より低い沸点を有する。移動溶媒は、エステル、アルデヒド、エーテル、アルコール、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、およびハロゲン化炭化水素を含み得る。特定の移動溶媒は、例えば、ジオキサン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、メタノール、エタノール、ジクロロメタン、アセトニトリル、水、水性HBr、ヘプタン、およびMTBEを含む。
溶媒から得られる任意の残基は、徐々に作用し、(S)生成物を精製および単離し得る。精製および単離は、クロマトグラフィー、再結晶化、または当該技術分野で知られるような様々な分離手法の組み合わせ等の分離手法を使用する等、当業者に知られる方法を使用して行うことができる。一実施形態においては、C18カラムを使用するフラッシュクロマトグラフィーを使用し得る。例えば、逆相(C18)RediSepカラムを使用するISCOのCombiFlash(登録商標)Sq 16xを使用することができる。分析的HPLCを、例えば、Phenomenex Prodigy 5μm OD53 100Aカラム上で行い、精製を半調整Phenomenex Prodigy 5μm OD53 100Aカラム上で行うことができる。0.2%HBrで修飾した水性メタノール溶媒等の異なる溶媒を、例えば、約2.5%から約50%まで異なるメタノール内容物とともに採用し得る。(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムは、再結晶化を使用して精製することができる。望ましい純度の生成物が得られるまで、プロセスを反復し得る。一実施形態においては、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムを、少なくとも2回、3回、または4回以上再結晶化して、望ましい純度レベルを達成する。例えば、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムは、クロマトグラフ法に基づいて、50%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、98.5%、99.8%(AUC)に等しいか、またはそれ以上の純度で得られる。任意の不純物は、出発物質を含み得るが、検出可能な(R)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムを含まない。再結晶化は、単一の溶媒または溶媒の組み合わせを使用して得られる。一実施形態においては、再結晶化は、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムを極性溶媒に溶解した後、極性の低い共溶媒を添加することによって得られる。別の再結晶化実施形態において、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムは、溶媒、例えば、メタノール、およびCH2Cl2/IPA(6:1)等の共溶媒からの再結晶化によって精製される。再結晶化を反復して、望ましい純度を得る。
(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムおよびその誘導体は、塩形態で生成され得る。(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムの両極性イオン等の誘導体が含まれる。(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムは、正電荷の第四級アンモニウム基を含み、一価または多価陰イオン等の陰イオンと対になり得る。これらの陰イオンは、例えば、ハロゲン化物、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、およびスルホン酸塩、カルボン酸塩等の電荷有機種を含み得る。好ましい陰イオンは、臭化物、塩化物、ヨウ化物、フッ化物、およびそれらの組み合わせ等のハロゲン化物を含む。一部の実施形態においては、臭化物が最も好ましい。特定の陰イオンは、例えば、反応性、溶解性、安定性、活性、費用、利用可能性、および毒性等の要素に基づいて選択され得る。
(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウム塩の陰イオンは、代替陰イオンと交換することができる。代替陰イオンが望ましい場合、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウム塩の水性溶液は、陰イオン交換樹脂カラム上を通過し、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウム塩の対照物の一部または全部を、好ましい代替対照物と交換する。陰イオン交換樹脂の例は、Bio‐Radから入手可能な100から200メッシュグレードのAG1‐X8を含む。別の実施形態においては、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウム陽イオンを陽イオン交換樹脂上に保持した後、臭化物または塩化物等の好ましい陰イオンを含む塩溶液を用いて、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムを樹脂から除去することによって交換することによって、望ましい(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウム塩を溶液中に形成することができる。
本発明の(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムは、多くの実用性を有する。本発明の一態様は、クロマトグラフ分離において、サンプル中の他の成分からその対照物(R)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムを同定および区別する際のクロマトグラフの標準物質としての(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムである。本発明の別の態様は、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムおよび(R)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウム対照物を含有する混合物中の(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムを同定および区別する際のクロマトグラフの標準物質としての(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムの使用である。単離された(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムは、反応混合物中の(R)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムから(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムを精製および区別するためのプロトコルの開発においても有用である。
(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムは、標準物質として、その使用説明書を有するキット形態で提供され得る。キットは、標準物質として、真正の(R)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムをさらに含み得る。標準物質として使用する(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムは、好ましくは、99.8%以上の純度を有し、検出可能な立体異性体(R)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムを含まない。
本発明の一実施形態は、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムおよび対照物(R)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムを、7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムの溶液に溶解し、同定する方法である。(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムは、組成物または混合物中の(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムの量を定量するHPLCアッセイ方法においても有用であり、該方法は、組成物または混合物のサンプルをクロマトグラフィーカラムに適用するステップと、組成物または混合物の成分を溶解するステップと、サンプル中に溶解された成分のパーセンテージを、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムの標準物質濃度のパーセンテージと比較することによって、サンプル中の(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムの量を計算するステップを含む。該方法は、逆相HPLCクロマトグラフィーにおいて特に有用である。本発明の(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムは、オピオイド受容体上のそのアゴニスト作用のおかげで、本明細書に記載のアッセイ等の体外および体内オピオイド受容体アッセイにおけるアゴニスト作用の標準物質として有用である。
本発明の(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムを使用して、1つ以上の末梢オピオイド受容体によって媒介される疾患状態を、予防的または治療的に調整して、抹消オピオイド受容体、特に末梢μオピオイド受容体を作動させることができる。(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムを投与されている被験体は、緊急に、長期的に、または必要に応じて治療を受けることができる。
(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムが投与され得る被験体は、脊椎動物、特に哺乳動物である。一実施形態においては、哺乳動物は、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ウシ、ブタ、および齧歯類である。一実施形態においては、哺乳動物はヒトである。
μおよび他のオピオイド受容体は、消化管内に存在する。消化管内のオピオイド受容体の主要クラスの中で、μ受容体は、主に胃腸活性の調節に関与する。κオピオイド受容体も役割を果たし得る(Manara L et al Ann.Rev.Phamacol.Toxicol,1985,25:249‐73)。一般に、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムを使用して、オピオイド受容体、特に、末梢オピオイド受容体の活性または調節の必要性に関連した疾患を予防または治療する。消化管におけるオピオイド受容体、特に、μオピオイド受容体の活性または調整の必要性に関連する疾患を予防または治療するための(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムの使用は、興味深い。予防または治療され得るそのような疾患は下痢を含み、所定形態の炎症性腸症候群や摂食障害や消化障害を含む、所定形態の胃腸機能不全を予防または抑制するために使用される。
一実施形態においては、本発明の(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムを使用して、下痢を治療することができる。1つ以上のオピオイド受容体、ならびに内因性オピオイドによって、胃腸機能が少なくとも部分的に調整される。オピオイドアンタゴニストは、胃腸の運動性を増大させることが知られており、したがって、便秘の治療として有効に使用され得る。一方でオピオイドアゴニスト、特に、ロペラミド等の末梢オピオイドアゴニストは、胃腸の運動性を減少させることが知られており、哺乳動物の下痢を治療する際に有用となり得る。本発明の(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムは、オピオイドアゴニストとして、下痢の治療を必要とする患者に投与することができる。本明細書で使用する下痢の定義は、以下のうちの1つ以上である。1)軟度の緩い便、2)1日当たり3回を越える便通、および/または3)1日当たり200g(150ml)以上の排便量。(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムは、腸の内容物の移動時間を延長させることによって、糞便量を低減し、糞便の粘度およびバルク密度を高め、液体および電解質の減量を減少させるために有効な量で投与される。
本発明の(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムは、それらのオピオイドアゴニスト作用のおかけで、慢性の機能性(特発の)下痢を含む、急性および慢性型の下痢を含む多様な病因を有する下痢の予防および治療に有用である。
本明細書で使用されるところの急性下痢または短期下痢は、期間で1週間未満、通常、1日から3日続く下痢である。本明細書で使用されるところの慢性下痢、進行性または長期下痢は、期間で1週間以上続く下痢である。慢性下痢は、数ヶ月または数年間も続く場合があり、継続的または断続的であり得る。本発明の(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムを使用する治療から利益を享受し得る、下痢の様々な形態および原因は、以下に記載のものを含む。(ただし必ずしもそれらに限定されない)
必ずしも以下のものに限定されないが、ロタウイルス、ノーウォークウイルス、サイトメガロウイルス、単純ヘルペスウイルス、肝炎ウイルス、およびアデノウイルスを含む任意のウイルスによって引き起こされるウイルス性胃腸炎または「腹痛を起こすインフルエンザ」は、本発明の(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムを使用する治療に影響を受けやすい。
細菌および寄生虫等の有機体で汚染された食物を食べること、または水を飲むことにより生じる食中毒および旅行者の下痢は、本発明の(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムを使用する治療に影響を受けやすい。一般に下痢を引き起こす細菌は、大腸菌、サルモネラ菌、赤痢菌、クロストリジウム、カンピロバクター菌、エルシニア、およびリステリアを含む。下痢を引き起こす寄生虫は、ランブル鞭毛虫、赤痢アメーバ、およびクリプトスポリジウムを含む。下痢を引き起こす真菌は、カンジダを含む。
ラクトース不寛容、セリアック病(スプルーまたはグルテン吸収不良)、嚢胞性線維症、牛乳もしくは豆または果物等の他の特定食物に含まれるタンパク質に対する不寛容等の吸収不良症候群を含む、所定の疾病も下痢を生じ得る。特定の食物に対するアレルギーは、下痢をもたらす胃腸過敏および/またはアレルギー反応を引き起こし得る別の疾病である。典型的な食物アレルギーは、ピーナッツ、トウモロコシ、および甲殻類を含む。これらの疾病によって引き起こされる、またはそれらに関連する下痢は、本発明の(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムを使用する治療に影響を受けやすい。
クローン病および潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群(IBS)および免疫不全を含む炎症性腸疾患を含む、下痢、特に慢性下痢をもたらす他の疾病も、下痢を予防または治療する本発明の(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムの利益を享受し得る。
本発明の(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムは、抗生物質、マグネシウムを含有する下剤、がん治療のための化学療法薬、および高用量放射治療等の薬物および/または治療によって引き起こされる下痢を予防および治療する際にも有用であり得る。
下痢は、ゾリンジャー(R)エリソン症候群、自律性ニューロパシーまたは糖尿病性ニューロパシー等の神経障害、カルチノイド症候群、血管活性腸管ポリペプチド‐分泌腫瘍、および短腸症候群、胃切除術、回腸瘻または結腸瘻を伴うまたは伴わない腸切除、および胆嚢の除去を含む、消化管の解剖学的症状とも関連する。かかる疾病は、本発明の(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムを使用する治療に影響を受けやすい。
本発明の(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムは、下痢を予防および治療するための経口または非経口の任意の経路を通じて投与され、腹腔内、静脈内、膣内、直腸、筋肉内、皮下、エアロゾル、鼻腔スプレー、経粘膜的、経皮的、局所、結腸等を含み得る。
本発明の(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムは、被験体の回腸瘻または結腸瘻からの排出量を低減する方法においても有用であり得る。(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムは、その不在下でのオストミーからの排出量と比較して、オストミーからの排出量を低減するために有効な量で提供され得る。(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムは、オストミーからの排出率を制御する、特に、低い排出率を必要とする被験体の排出率を低減する際にも有用であり得る。
本発明の別の態様に従って、被験体の胃腸の運動性を抑制するための方法が提供される。該方法は、本発明の(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムを、被験体の胃腸の運動性を抑制するために有効な量で、そのような抑制を必要とする被験体に投与するステップを含む。本発明に従って、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムは、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムではない別の運動抑制剤と併せて投与され得る。一実施形態においては、薬剤は、オピオイドまたはオピオイドアゴニストである。オピオイドおよびオピオイドアゴニストは、上に記載される。別の実施形態においては、薬剤はオピオイドまたはオピオイドアゴニストではない。かかる非オピオイド胃腸運動抑制剤の例は、例えば、シサプリド、制酸薬、水酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、ポリカルボフィル、シメチコン、ヒヨスチアミン、アトロピン、フラゾリドン、ジフェノキシン、オクトレオチド、ランソプラゾール、カオリン、ペクチン、活性炭、スルファグアニジン、スクシニルスルファチアゾール、フタリルスルファチアゾール、アルミン酸ビスマス、次炭酸ビスマス、次クエン酸ビスマス、クエン酸ビスマス、二クエン酸ビスマス酸三カリウム、酒石酸ビスマス、次サリチル酸ビスマス、次硝酸ビスマスおよび次没食子酸ビスマス等のビスマス含有製剤、アヘンチンキ(パレゴリック)、漢方薬および植物由来の抗下痢薬を含む。さらに、かかる薬剤は、ベンゾジアゼピン化合物、鎮痙薬、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、コレシストキニン(CCK)受容体アンタゴニスト、ナチュラルキラー(NK)受容体アンタゴニスト、副腎皮質刺激ホルモン放出因子(CRF)受容体アゴニスト、制酸薬、胃腸弛緩薬、抗ガス化合物、ペントサンポリサルフェート、制吐薬ドパミンD2アンタゴニスト、ゴナドトロピン放出ホルモン類似体(リュープロライド)、副腎皮質刺激ホルモン‐1アンタゴニスト、ニューロキニン2受容体アンタゴニスト、コレシストキニン‐1アンタゴニスト、β遮断薬、抗食道逆流薬、抗炎症剤、5HTアゴニスト、5HTアンタゴニスト、5HTアンタゴニスト、胆汁塩金属イオン封鎖剤、バルク形成剤、α‐アドレナリンアゴニスト、三環系抗うつ剤等の抗うつ剤を含む。付加的なそのような薬剤は、抗ムスカリン薬、神経節遮断薬、ホルモンおよびホルモン類似体、およびモチリン受容体アンタゴニストを含む。抗ムスカリン薬は、ベラドンナアルカロイド、第四級アンモニウム抗ムスカリン化合物、および第三級アミン抗ムスカリン化合物を含む。ベラドンナアルカロイドの例は、ベラドンナ葉抽出物、ベラドンナチンキ剤、およびベラドンナ抽出物を含む。第四級アンモニウム抗ムスカリン薬は、アニソトロピンまたは臭化メチルアニソトロピン(Valpin)、クリジニウムまたは臭化クリジニウム(Quarzan)、グリコピロレート(Robinul)、メチル硫酸ヘキソシクリウム(Tral)、ホマトロピン、イプラトロピウムまたは臭化イプラトロピウム、イソプロパミドまたはヨウ化イソプロパミド(Darbid)、メペンゾレートまたは臭化メペンゾラート(Cantil)、メタンテリンまたは臭化メタンテリン(Banthine)、メトスコポラミンまたは臭化メトスコポラミン(Pamine)、オキシフェノニウム、およびプロパンテリンまたは臭化プロパンテリンを含む。第三級アミン抗ムスカリン薬は、アトロピン、ジシクロミンまたは塩酸ジシクロミン(Bentylおよび他)、塩酸フラボキセート(Urispas)、オキシブチニンまたは塩化オキシブチニン(Ditropan)、オキシフェンサイクリミンまたは塩酸オキシフェンサイクリミン(Daricon)、プロピベリン、スコポラミン、トルテロジン、およびトリジヘキシエチルまたは塩化トリジヘキシエチル(Pathilon)を含む。他の抗ムスカリン薬は、ピレンゼピン、テレンゼピン、AF‐DX116、メトクトラニン、ヒンバシン、およびヘキサヒドロシルアジフェニドールを含む。神経節遮断薬は、ヘキサメトニウム、メカミルアミン、テトラチルアンモニウム、およびアセチルコリン等の合成アミンを含む。抗胃腸運動薬であるホルモンまたはホルモン類似体の例は、ソマトスタチンおよびソマトスタチン受容体アゴニストを含む。ソマトスタチン類似体の例は、オクレオチド(例えば、Sandostatin(登録商標))およびバプレオチドを含む。モチリンアンタゴニストは、(Phe3、Leu‐13)ブタモチリン(第214回米国化学会(ACS)会議(パート5)、1997年9月10日水曜日、ネバダ州ラスベガスでの医薬品化学ポスターセッションからのハイライト、Iddb会議報告1997年9月7日‐11日)、およびANQ‐11 125(Peeters T.L.,et al.,Biochem.Biophys.Res.Commun.,Vol.198(2),pp.411‐416(1994))を含む。
別の実施形態において、本発明の(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムを使用して、摂食障害および消化器疾患を治療することができる。本発明の(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムを使用する治療の影響を受けやすい摂食および消化障害は、必ずしも以下の障害に限定されないが、異化代謝、悪液質、神経性無食欲症、特に拒食症、食欲不振、ジスポンデローシス(dysponderosis)、脂肪過多症、過食症、肥満症、胃不全麻痺、特に神経性胃不全麻痺、糖尿病性胃不全麻痺、筋組織性胃不全麻痺、または薬物によって誘発される胃不全麻痺、胃筋弛緩、胃麻痺または腸管不全麻痺、および消化管の狭窄、特に幽門の狭窄の結果として、例えば、妊娠、がん、インフルエンザ、HCV、またはHIV等の感染症によって誘発される、病理的な食欲不均衡の調節、食欲の喪失または食欲の低下を含む。
疼痛は、様々な方法で定義されている。例えば、疼痛は、被験体による消退反応を生成する不快な刺激に関する被験体の認識として定義することができる。鎮痛は、痛覚認識の低減である。一般行動または運動機能を鈍らせることなく、強力な刺激に対する動物の応答を選択的にブロックする薬剤は、鎮痛剤と称される。オピエートおよびオピオイドアゴニストは、特定のオピオイドとの相互作用を介して疼痛に影響する。本発明の(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムは、アゴニスト作用を有するので、疼痛の治療に使用され得る。
管理または治療される疼痛は、多種多様な疾患、症状、または疾病のいずれかに関連し得る。本明細書で使用されるところの「疼痛」は、特に別段の記載がない限り、任意の期間および頻度の疼痛を包含することを意味し、必ずしも以下のものに限定されないが、急性疼痛、慢性疼痛、間欠的疼痛等を含む。疼痛の原因は、同定可能であるか、または同定不可能であり得る。同定可能な場合、疼痛の起源は、例えば、悪性、非悪性、感染性、非感染性、または自己免疫起源であり得る。一実施形態は、治療が最長3日までの期間の治療を伴う短期治療、例えば、歯科処置、骨折、外来手術を必要とする疾病、疾患、または症状と関連する疼痛の管理である。特に興味深いのは、治療が数日(例えば、約3日から10日)から数週間(例えば、約2週間または4週間から6週間)、数ヶ月または数年、および最長で被験体の残りの人生を含む期間の治療を伴う長期治療、例えば、慢性および/または永続性の疾病または症状の治療を必要とする疾患、疾病、または症状と関連する疼痛の管理である。現在疾病または症状に罹患していないが、そのような疾病または症状にかかりやすい被験体もまた、例えば、外傷手術の前に、本発明の組成物および方法を使用した予防的疼痛管理の利益を享受し得る。本発明に従う治療の影響を受けやすい疼痛は、疼痛のない間隔と交互に起こる疼痛の持続性の発作、または重篤度の異なる実質的に軽減しない疼痛を伴い得る。
一般に、疼痛は、侵害性、体形成、神経性、または心因性であり得る。体形成疼痛は、筋肉または骨格(すなわち、変形性関節症、腰椎と仙椎部の疼痛、外傷後、顔面性)、内臓(すなわち、膵炎、潰瘍、腸過敏)、虚血性(すなわち、閉塞性動脈硬化)であるか、またはがんの進行(例えば、悪性または非悪性)に関連し得る。神経性疼痛は、外傷後および手術後の神経痛に起因する神経痛(すなわち、糖尿病、毒性等)であり得、神経絞扼、顔面神経痛、会陰神経痛、切断後痛、視床痛、灼熱痛、および反射性交感神経性ジストロフィーに関連し得る。
本発明に従う管理の影響を受けやすい疼痛の症状、疾病、疾患、および起源の特定例は、必ずしも以下のものに限定されないが、がん性疼痛(例えば、転移または非転移性がん)、炎症性疾病因性痛、神経因性疼痛、手術後疼痛、医原性疼痛(例えば、侵襲性手順、または高用量放射線治療後に生じる疼痛、例えば、瘢痕組織の形成を伴い、運動の自由および相当の疼痛に関する妥協を弱める)、複雑な局地的疼痛症候群、機能不全の腰痛(例えば、急性または慢性腰痛)、軟組織痛、関節および骨痛、中心性疼痛、損傷(例えば、消耗性損傷、例えば、対麻痺、四肢麻痺等、ならびに非消耗性損傷(例えば、腰、首、脊椎、関節、脚、腕、手、足等))、関節痛(例えば、関節リウマチ、変形性関節症、原因不明の関節炎症状等)、遺伝性疾患(例えば、鎌状細胞貧血症)、感染症および結果として生じる症候群(例えば、ライム病、AIDS等)、頭痛(例えば、偏頭痛)、灼熱痛、感覚過敏、交感神経性ジストロフィー、幻肢、神経麻痺等を含む。疼痛は、体の任意の部分、例えば、筋骨格系、内臓、皮膚、神経系等に関連し得る。
本発明の方法を使用して、オピオイドにナイーブな患者、またはオピオイドにナイーブでない患者の疼痛を管理することができる。例示的なオピオイドにナイーブな患者は、疼痛管理のために長期オピオイド治療を受けたことのない者である。例示的なオピオイドにナイーブでない患者は、短期または長期オピオイド治療を受けたことがあり、耐性、依存、または他の望ましくない副作用を発現した者である。例えば、処置しにくい副作用を有する患者、経口、静脈内、または髄腔内モルヒネ、経皮的フェンタニルパッチを付けた患者、またはフェンタニル、モルヒネまたは他のオピオイドを従来の方法で皮下注射した患者は、良好な鎮痛を得て、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムおよびその誘導体の送達により好ましい副作用を維持することができる。
「疼痛管理または治療」という用語は、本明細書において、一般に、主観的基準、客観的基準、または両方によって決定されるように、被験体がより快適となるような疼痛の回帰、鎮静、または緩和を説明するために使用される。一般に、疼痛は、医療従事者とともに、患者の年齢、文化的背景、環境、および疼痛に対するヒトの主観的反応を変えることが知られる他の心理的背景要素を考慮して、患者の報告によって主観的に評価される。
上述のように、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムは、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムではない治療薬とともに投与することができ、疼痛緩和剤である治療薬(必ずしもこれに限定されない)を含む。一実施形態においては、疼痛緩和剤は、オピオイドまたはオピオイドアゴニストである。別の実施形態においては、疼痛緩和剤は、コルチコステロイドまたは非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)もしくはアセトアミノフェン等の非オピオイド疼痛緩和剤である。疼痛緩和剤としては、塩酸アルフェンタニル、アミノベンゾエートカリウム、アミノベンゾエートナトリウム、アニドキシム、アニレリジン、塩酸アニレリジン、塩酸アニロパム、アニロラク、アンチピリン、アスピリン、ベノキサプロフェン、塩酸ベンジダミン、塩酸ビシファジン、塩酸ブリフェンタニル、マレイン酸ブロマドリン、ブロムフェナクナトリウム、塩酸ブプレノルフィン、ブタセチン、ブチキシラート、ブトルファノール、酒石酸ブトルファノール、カルバマゼピン、カルバスピリンカルシウム、塩酸カルビフェン、クエン酸カーフェンタニル、コハク酸シプレファドール、シラマドール、塩酸シラマドール、クロニキセリル、クロニキシン、コデイン、リン酸コデイン、硫酸コデイン、塩酸コノルフォン、シクラゾシン、塩酸デキソキサドロール、デキシペメドラク、デゾシン、ジフルニサル、酸性酒石酸飽和コデイン、ジメファダン、ジピロン、塩酸ドキシピコミン、ドリニデン、塩酸エナドリン、エピリゾール、酒石酸エルゴタミン、塩酸エトキサゼン、エトフェナマート、ユージノール、フェノプロフェン、フェノプロフェンカルシウム、クエン酸フェンタニル、フロクタフェニン、フルフェニサール、フルニキシン、フルニキシンメグルミン、マレイン酸フルピルチン、フルプロクァゾン、塩酸フルラドリン、フルルビプロフェン、塩酸ヒドロモルフォン、イブフェナク、インドプロフェン、ケタゾシン、ケトルファノール、ケトロラクトロメタミン、塩酸レチミド、酢酸レボメタジル、塩酸レボメタジルアセテート、塩酸レボナントラドール、酒石酸レボルファノール、塩酸ロフェミゾール、シュウ酸ロフェンタニル、ロルシナドール、ロルノキシカム、サリチル酸マグネシウム、メフェナミン酸、塩酸メナビタン、塩酸メペリジン、塩酸メプタジノール、塩酸メサドン、酢酸メタジル、メトフォリン、メトトリメプラジン、酢酸メトケファミド、塩酸ミンバン、塩酸ミルフェンタニル、モリナゾン、硫酸モルヒネ、モキサゾシン、塩酸ナビタン、塩酸ナルブフィン、塩酸ナルメキソン、ナモキシラート、塩酸ナントラドール、ナプロキセン、ナプロキセンナトリウム、ナプロキソール、塩酸ネフォパム、塩酸ネキセリジン、塩酸ノルアシメタドール、塩酸オクフェンタニル、オクタザミド、オルバニル、フマル酸オキセトロン、オキシコドン、塩酸オキシコドン、オキシコドンテレフタレート、塩酸オキシモルホン、ペメドラク、ペンタモルフォン、ペンタゾシン、塩酸ペンタゾシン、乳酸ペンタゾシン、塩酸フェナゾピリジン、塩酸フェニラミドール、塩酸ピセナドール、ピナドリン、ピルフェニドン、ピロキシカムオルアミン、マレイン酸プラバドリン、塩酸プロジリジン、塩酸プロファドール、フマル酸プロピラム、塩酸プロポキシフェン、プロポキシフェンナプシレート、プロキサゾール、クエン酸プロキサゾール、酒石酸プロキソルファン、塩酸ピロリフェン、塩酸レミフェンタニル、サルコレクス、マレイン酸サレタミド、サリチルアミド、サリチル酸メグルミン、サルサラート、サリチル酸ナトリウム、メシル酸スピラドリン、スフェンタニル、クエン酸スフェンタニル、タルメタシン、タルニフルマート、タロサラート、コハク酸タザドレン、テブフェロン、テトリダミン、チフラクナトリウム、塩酸チリジン、チオピナク、メシル酸トナゾシン、塩酸トラマドール、塩酸トレフェンタニル、トローラミン、塩酸ベラドリン、塩酸ベリロパム、ボラゾシン、メシル化ソルファノール、塩酸キシラジン、メシル化ゼナゾシン、ゾメピラクナトリウム、ズカプサイシン、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
痛覚過敏症は、疼痛に対する感受性増加または痛覚の強度強化である。痛覚過敏症は、被験体が刺激に対して過敏である場合に生じ得、結果として、所定の刺激に対する誇張疼痛反応をもたらす。痛覚過敏症は、局部炎症性疾患の結果である場合が多く、体組織への外傷または損傷後に生じる場合がある。炎症は、局部感染、水疱、腫れ物、切り傷、こすり傷、火傷、日焼け、擦り傷、外科的切開等の皮膚損傷、ツタウルシ、アレルギー性発疹、虫の咬傷および刺傷、および関節炎症等の炎症性皮膚疾患後に生じるか、または関連し得る。本発明の(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムを使用して、末梢性痛覚過敏症を予防および治療し、炎症から生じる疼痛および/または症状を低減することができる。本明細書で使用されるように、痛覚過敏症は掻痒またはそう痒を含み、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムは、抗掻痒治療として使用され得る。
本明細書に記載の組成物および方法は、多くの炎症疾患および傷害に関連する痛覚過敏症の予防および治療を意図する。本明細書で提供される組成物および方法を使用して、熱傷、放射線によるやけど、化学火傷、日焼けおよび風焼けを含む火傷(ただし必ずしもこれらに限定されない)、例えば、角膜磨耗を含む擦傷、打撲、打撲傷、凍傷、例えば、アレルギー性熱を含む発疹、および例えば、ツタウルシおよびおむつかぶれ等の接触性皮膚炎、にきび、虫の咬傷/刺傷、糖尿病性および褥瘡性潰瘍(ただし必ずしもこれらに限定されない)を含む皮膚潰瘍、粘膜炎、炎症、例えば、歯周炎症、歯列矯正炎症、化粧品またはスキンケア製品の使用から生じる炎症/刺激、炎症性結膜炎、痔、および性器炎症、歯肉炎、気管支炎、喉頭炎、咽頭痛、帯状疱疹、真菌性刺激、例えば、水虫およびたむし、発疹、腫れ物、足底疣贅、または例えば、真菌性膣損傷および性感染性膣損傷を含む膣損傷に関連する様々な痛覚過敏症の症状を治療することができる。
皮膚表面に関連する痛覚過敏症の症状は、熱傷、放射線によるやけど、化学火傷、日焼けおよび風焼け(ただし必ずしもこれらに限定されない)を含む火傷、例えば、角膜磨耗、擦傷、打撲、打撲傷、凍傷を含む擦り傷、アレルギー性熱接触性皮膚炎(例えば、ツタウルシおよびおむつかぶれ)を含む発疹、にきび、虫の咬傷/刺傷、および皮膚潰瘍(糖尿病性および褥瘡性潰瘍)を含む。口、喉頭、または気管支の痛覚過敏症の症状は、粘膜炎、抜歯後の歯周炎症、歯肉炎、歯列矯正の炎症、気管支炎、喉頭炎および咽頭痛を含む。眼の痛覚過敏症の症状は、角膜磨耗、放射状角膜切除後および炎症性の結膜炎を含む。直腸/肛門の痛覚過敏症の症状は、痔および性器の炎症を含む。感染薬に関連する痛覚過敏症の症状は、帯状疱疹、真菌性刺激(水虫および、たむしを含む)、熱疱瘡、腫れ物、足底疣贅および膣損傷(真菌症および性感染性疾患に関連する損傷を含む)を含む。痛覚過敏症の症状は、乳腺腫瘤摘出、会陰切開、腹腔鏡検査、関節鏡検査、放射状角膜切除および抜歯後の回復等の手術後の回復にも関連し得る。
末梢性痛覚過敏症の予防または治療として、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムは、患部に化合物の送達を提供する、任意の経路を使用して投与され得る。投与は、経口または非経口であり得る。投与の方法は、局所および局部投与も含む。本発明の(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムは、皮膚、関節、眼、唇、および粘膜を含む任意の体表面に適用され得る。
立体異性体(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムは、鎮痛剤、そう痒剤、抗炎症剤等(必ずしもこれらに限定されない)を含む、本明細書に開示されるような、抗痛覚過敏効果を提供する他の化合物と併用して送達され得る。炎症を引き起こす疾患の治療に使用される、抗ウイルス薬、抗菌薬、抗真菌薬、および抗感染薬等の他の化合物とともに投与され得る。これらの他の化合物は、局部的または全身的に作用および投与することができ、同一の組成物の一部であってもよく、もしくは個別に投与され得る。かかる化合物は、以下で、より詳細に記載される。
炎症は、腫瘍壊死因子(TNF)の増加と関連する場合が多く、TNF生成の減少が炎症の低減をもたらすと考えられている。末梢作動性オピオイドアゴニストは、TNF生成を減少させることが示されている(米国特許第6,190,691号)。末梢選択的k‐オピオイドであるアシマドリンは、アジュバント誘発性の関節炎動物モデルにおいて、有力な抗関節炎薬となることが示された(Binder,W.and Walker,J.S.Br.J.Pharma 124:647‐654)。したがって、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムおよびその誘導体の末梢オピオイドアゴニスト作用は、炎症性疾患の予防と治療を提供する。学説に縛られるわけではないが、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムおよびその誘導体の抗炎症効果は、直接または間接的にTNF生成の抑制に起因し得る。(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムまたはその誘導体は、全身的または局所的に投与され得る。(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムは、ロペラミドおよびジフェノキシレート等の別のTNF阻害薬、もしくは本明細書に記載の他の抗炎症剤と併せて投与され得る。
本発明の別の態様は、本発明の(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムまたはその誘導体を使用する、全身性炎症性疾患、好ましくは、炎症性腸疾患、関節リウマチ、悪液質、ぜんそく、クローン病、内毒素性ショック、成人呼吸窮迫症候群、虚血性/再潅流傷害、移植片対宿主反応、骨吸収、移植、または狼瘡の予防および/または治療である。
さらに別の群の実施形態においては、本発明の(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムまたはその誘導体を使用する治療の影響を受けやすい炎症性疾患は、多発性硬化症、糖尿病、もしくは後天性免疫不全症候群(AIDS)またはがんに関連する消耗を含む。
一群の実施形態においては、皮膚の炎症性疾患、好ましくは、乾癬、アトピー性皮膚炎、UV誘発性炎症、接触性皮膚炎、またはRETIN‐A(全tran(S)‐レチノイン酸)を含む他の薬物(必ずしもこれらに限定されない)によって誘発される炎症は、本発明の(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムまたはその誘導体を使用する治療の影響を受けやすい。
本発明の別の態様は、非アレルギー炎症性の皮膚疾患を治療する方法であって、本発明の(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムを、炎症性疾患を治療するために有効な量で投与するステップを含む。非アレルギー炎症性皮膚疾患は、炎症性接触性皮膚炎、乾癬、湿疹、掻痒、脂漏性皮膚炎、円形皮膚炎、扁平苔癬、尋常性座瘡、にきび、多形体、小節嚢胞性にきび、集簇性座瘡、老年性にきび、二次にきび、薬剤にきび、角質化疾患、および水疱皮膚病に関連する。
治療の影響を特に受けやすい所定の患者は、前述の症状のうちのいずれか1つを有する患者である。患者は、他の治療を使用しても、それらの症状の緩和が得られないか、または緩和もしくは一貫した程度の緩和を得るのを停止し得る。そのような患者は、従来の治療に対して難治であると言われる。病状は誘発され得るか、または、必ずしも以下のものに限定されないが、病気の状態、健康状態、薬物誘発性状態、生理学的不均衡、ストレス、不安等を含む、1つ以上の様々な状態の結果であり得る。病状は、急性症状または慢性症状であり得る。
(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムと(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウム以外の他の治療薬を併用して、被験体を治療することができる。このような状況において、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムおよび他の治療薬は、被験体が必要に応じて様々な薬剤の効果を経験するような時間に十分接近して、通常、同時に投与される。一部の実施形態においては、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムは、時間内の最初に送達され、一部の実施形態においては、時間内の2番目に送達され、さらに一部の実施形態においては、同時に送達される。以下でさらに詳述されるように、本発明は、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムが、別の薬剤を含む剤形で投与される、医薬製剤を意図する。固体、半固体、液体、制御放出、および他のそのような剤形が含まれる。
(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムとともに予防および治療プロトコルの一部となり得る治療薬の重要な一類は、オピオイドである。本発明の(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムを、オピオイドと併用すると、胃腸通過の強化された明らかに相乗的な抑制をもたらし得る。したがって、本発明は、1つ以上のオピオイドと併用して(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムを含む医薬組成物を提供する。これは、用量の変更を可能にする。例えば、所定の末梢的に媒介された疾病を治療する際に、低用量のオピオイドが望ましい場合は、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウム治療との併用によって低用量を到達され得る。
オピオイドは、任意の医薬的に許容されるオピオイドであり得る。一般的なオピオイドは、アルフェンタニル、アニレリジン、アシマドリン、ブレマゾシン、ブルプレノルフィン、ブトルファノール、コデイン、デゾシン、ジアセチルモルフィン(ヘロイン)、飽和コデイン、ジフェノキシレート、フェドトジン、フェンタニル、フナルトレキサミン、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、レバロルファン、酢酸レボメタジル、レボルファノール、ロペラミド、メペリジン(ペチジン)、メサドン、モルヒネ、モルヒネ‐6‐グルコロニド、ナルブフィン、ナロルフィン、アヘン、オキシコドン、オキシモルホン、ペンタゾシン、プロピラム、プロポキシフェン、レミフェンタニル、スフェンタニル、チリジン、トリメブチン、およびトラマドールから成る群より選択されるものである。
得られる望ましい効果によって、オピオイドは、中枢神経系(CNS)および末梢オピオイド受容体の両方に影響するように、非経口または他の全身性経路で投与され得る。本発明の(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムと併用されるオピオイドの望ましい効果は、下痢の予防または治療、任意の原因または病理学に起因する疼痛の予防または治療、末梢性痛覚過敏症の予防または治療を含む。表示が末梢痛覚の予防または治療である場合は、付随するCNSの効果を有しないオピオイドを提供するか、代替として、オピオイドを局所的または局部的に投与して、オピオイドが実質的に血液脳関門を通過しないが、末梢オピオイド受容体に対して影響するようにすることが望ましい。
本発明の(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムと併用する、下痢の予防または治療、または末梢性痛覚過敏症の予防または治療に特に有用なオピオイドは、以下を含む。(ただし必ずしもこれらに限定されない)
(i)ロペラミド[4‐(p‐クロロフェニル)‐4‐ヒドロキシ‐N‐N‐ジメチル‐α,α‐ジフェニル‐1‐塩酸ピペリジンブチルアミド]、本明細書で定義されるようなロペラミド類似体および関連化合物[米国特許第3,884,916号および第3,714,159号を参照。また米国特許第4,194,045号、第4,116,963号、第4,072,686号、第4,069,223号、第4,066,654号も参照。]、本明細書で定義されるようなロペラミドのN‐オキシドおよびその類似体、代謝物、ならびにプロドラッグ[米国特許第4,824,853号も参照]、および以下の(a)、(b)、および(c)等の関連化合物:
(a)本明細書で定義されるような4‐(アロイルアミノ)ピリジン‐ブタンアミド誘導体およびそのN‐オキシド[米国特許第4,990,521号を参照];
(b)5‐(1,1‐ジフェニル‐3‐(5‐または6‐ヒドロキシ‐2‐アザビシクロ‐(2.2.2)オクト‐2‐イル)プロピル)‐2‐アルキル‐1,3,4‐オキサジアゾール、5‐(1,1‐ジフェニル‐4‐(環状アミノ)but‐2‐tran(S)‐en‐l‐イル)‐2‐アルキル‐1,3,4‐オキサジアゾール、2‐[5‐(環状アミノ)‐エチル‐10,11‐飽和‐5H‐ジベンゾ[a,d]‐シクロヘプテン‐5‐イル]‐5‐アルキル‐1,3,4‐オキサジアゾール]および関連化合物[米国特許第4,013,668号、第3,996,214号、および第4,012,393号を参照];
(c)2‐置換‐1‐アザビシクロ[2,2,2]オクタン[米国特許第4,125,531号を参照];
(ii)3‐ヒドロキシ‐7‐オキソモルフィナンおよび3‐ヒドロキシ‐7‐オキソイソモルフィナン[例えば、米国特許第4,277,605号を参照]
(iii)本明細書で提供されるようなアミジノウレア[米国特許第4,326,075号、第4,326,074号、第4,203,920号、第4,060,635号、第4,115,564号、第4,025,652号も参照]および2‐[(アミノフェニルおよびアミドフェニル)アミノ]‐1‐アザシクロアルカン[米国特許第4,533,739号を参照];
(iv)メトケファミド[H‐L‐Ty(R)‐D‐Ala‐Bly‐L‐Phe‐N(Me)Met‐NH2、例えば、米国特許第4,430,327号;Burkhart et al.(1982)Peptides 3‐869‐871;Frederickson et al.(1991)Science 211:603‐605]、および血液脳関門を通過しないH‐Ty(R)‐D‐Nva‐Phe‐Orn‐NH、H‐Ty(R)‐D‐Nle‐Phe‐Orn‐NH、H‐Ty(R)‐D‐Arg‐Phe‐Abu‐NH、H‐Ty(R)‐D‐Arg‐Phe‐Ly(S)‐NH、およびH‐Ly(S)‐Ty(R)‐D‐Arg‐Phe‐Ly(S)‐NH2等の他の合成オピオイドペプチド[米国特許第5,312,899号を参照;Gesellchen et al.(1981)Pept.:Synth.,Struct.,Funct.,Proc.Am.Pept.Symp.,7th;Rich et al.,(Eds),Pierce Chem.Co.,Rochford,Ill.,pp.621‐62を参照。(v)米国特許第5,236,947号に定義されるようなプロパンアミン等。
本発明の(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムを他の抗下痢化合物および組成物と併用して、下痢を治療することもできる。例えば、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムは、公知の抗下痢剤と併せて被験体に投与することができる。2つ以上の化合物を混合して投与するか、または化合物を同一または異なる投与経路を使用して、個別に投与し得る。公知の抗下痢薬は、例えば、ロペラミド、ロペラミド類似体、ロペラミドのN‐オキシド、およびその類似体、代謝物、ならびにプロドラッグ、ジフェノキシレート、シサプリド、制酸薬、水酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、ポリカルボフィル、シメチコン、ヒヨスチアミン、アトロピン、フラゾリドン、ジフェノキシン、オクトレオチド、ランソプラゾール、カオリン、ペクチン、活性炭、スルファグアニジン、スクシニルスルファチアゾール、フタリルスルファチアゾール、アルミン酸ビスマス、次炭酸ビスマス、次クエン酸ビスマス、クエン酸ビスマス、二クエン酸ビスマス酸三カリウム、酒石酸ビスマス、次サリチル酸ビスマス、次硝酸ビスマスおよび次没食子酸ビスマス、アヘンチンキ(パレゴリック)、漢方薬および植物由来の抗下痢薬を含む。
本発明の(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムとともに治療プロトコルの一部を成し得る他の治療薬は、炎症性腸症候群(IBS)薬、抗生物質、抗ウイルス薬、抗真菌薬、抗感染薬、および抗ヒスタミン薬、血管収縮薬、抗体下痢薬等を含む抗体炎症性物質である。
(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムと併用され得るIBS治療薬は、必ずしも以下のものに限定されないが、ベンゾジアゼピン化合物、鎮痙薬、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、コレシストキニン(CCK)受容体アンタゴニスト、モチリン受容体アゴニストまたはアンタゴニスト、ナチュラルキラー(NK)受容体アンタゴニスト、副腎皮質刺激ホルモン放出因子(CRF)受容体アゴニストまたはアンタゴニスト、ソマトスタチン受容体アゴニスト、制酸剤、胃腸弛緩薬、抗ガス化合物、ビスマス含有製剤、ペントサンポリスルフェート、抗吐薬ドパミンD2アンタゴニスト、プロスタグランジンE類似体、ゴナドトロフィン放出ホルモン類似体(リュープロライド)、コルチコトロフィン‐1アンタゴニスト、ニューロキニン2受容体アンタゴニスト、コレシストキニン‐1アンタゴニスト、β遮断薬、抗食道逆流薬、抗ムスカリン薬、抗下痢薬、抗炎症剤、抗運動性薬、5HTアゴニスト、5HTアンタゴニスト、5HTアンタゴニスト、5HTアゴニスト、胆汁塩金属イオン封鎖剤、バルク形成剤、αアドレナリンアゴニスト、無機質オイル、抗うつ剤、漢方薬を含む。
IBS治療薬の特定例は、以下を含む。(ただし必ずしもこれらに限定されない)
A型(GABA)のγ‐アミノブチル酸(GABA)との相互作用を通じて発作を鎮静させるように作動するベンゾジアゼピン化合物および類似体、例えば、DIASTAT(登録商標)およびVALIUM(登録商標);LIBRIUM(登録商標);およびZANAX(登録商標)。
SSRI、例えば、フルボキサミン;フルオキセチン;パロキセチン;セルトラリン;シタロプラム;ベンラファキシン;セリクラミン;デュロキセチン;ミルナシプラン;ネファゾドン;およびシアノドチエピン(Prous J.R.によるThe Year Drugs News,1995 Edition,pp.47‐48および国際公開第WO97/29739を参照)。
CCK受容体アンタゴニスト、例えば、デバゼピド;ロルグルミド;デキシオキシグルミド;ロキシグルミド(D′Amato,M.et al.,Br.J.Pharmacol.Vol.102(2),pp.391‐395(1991);Cl 988;L364,718;L3637260;L740,093およびLY288,513;米国特許第5,220,017号に開示されるCCK受容体アンタゴニスト(Bruley‐De(S)‐Varannes,S,et al.Gastroenterol.Clin.Biol.Vol.15(10)9 pp.744‐757(1991)、およびWorker C:EUPHAR´99‐ハンガリーブダペスト第2回欧州薬理学議会(パート5)1999年7月3日〜7日Iddb会議報告書)。
モチリン受容体アゴニストまたはアンタゴニスト、例えば、モチリンアゴニストABT‐269(エリスロマイシン、8,9‐ジデヒドロ‐N‐ジメチルデオキソ‐4´´,6,12‐トリデオキシ‐6,9‐エポキシ‐N‐エチル)、デ(Nメチル‐N‐エチル‐8,9‐無水エリスロマイシンA)およびデ(N‐メチル)‐N‐イソプロプ‐8,9‐無水エリスロマイシンA)Sunazika T.et al.,Chem.Pharm.Bull.,Vol.37(10),pp.2687‐2700(1989);A‐173508(Abbot Laboratories);モチリンアンタゴニスト(Phe3、Leu‐13)ブタモチリン(第214回米国化学会(ACS)会議(パート5)、1997年9月10日水曜日、ネバダ州ラスベガスでの医薬品化学ポスターセッションからのハイライト、Iddb会議報告1997年9月7日‐11日);およびANQ‐11 125(Peeters T.L.,et al.,Biochem.Biophys.Res.Commun.,Vol.198(2),pp.411‐416(1994))。
NK受容体アンタゴニスト、例えば、FK888(Fujisawa);GR205171(Glaxo Wellcome);LY303870(Lilly);MK869(Merck);GR82334(Glaxo Wellcome);L758298(Merck);L733060(Merck);L741671(Merck);L742694(Merck);PD154075(Parke‐Davis);S1 8523(Servier);S1 9752(Servier);OT 7100(Otsuka);WIN 51708(Sterling Winthrop);NKP‐608A;TKA457;DNK333;CP‐96345;CP‐99994;CP122721;L‐733060;L‐741671;L742694;L‐758298;L‐754030;G(R)‐203040;G(R)‐205171;RP‐67580;RP(R)‐100893(dapitant);RP(R)‐107880;RP(R)‐111905;FK‐888;SDZ‐NKT‐343;MEN‐10930;MEN‐11149;(S)‐18523;(S)‐19752;PD‐154075(CAM‐4261);S(R)‐140333;LY‐303870(lanepitant);EP‐00652218;EP00585913;L‐737488;CGP‐49823;WIN‐51708;S(R)‐48968(saredutant);S(R)‐144190;YM383336;ZD‐7944;MEN‐10627;G(R)‐159897;RP(R)‐106145;PD‐147714(CAM‐2291);ZM253270;FK‐224;MDL‐1 05212A;MDL‐105172A;L‐743986;L‐743986類似体;(S)‐16474;S(R)‐1 42801(osanetant);PD‐161182;SB‐223412;およびSB‐222200。
CRF受容体アゴニストまたはアンタゴニスト、例えば、国際広報第WO99/40089に開示される、AXC2219、アンタラルミン、NGD1、CRA0165、CRA1000、CRA1001。
ソマトスタチン受容体アゴニスト、例えば、オクトレオチド、バプレオチド、ランレオチド。
抗炎症性化合物、特に、免疫変調型のもの、例えば、NSAIDS;腫瘍壊死因子(TNF、TNFa)阻害剤;バシリキシマブ(例えば、SIMULECT(登録商標));ダクリズマブ(例えば、ZENAPAX(登録商標));インフリキシマブ(例えば、REMICADE(登録商標));エタネルセプト(例えば、ENBREL(登録商標))、マイコフェノレートモフェチル(例えば、CELLCEPT(登録商標));アザチオプリン(例えば、IMURAN(登録商標));タクロリムス(例えば、PROGRAF(登録商標));ステロイド、メトトレキサートおよびGI抗炎症剤、例えば、スルファサラジン(例えば、AZULFIDINE(登録商標));オルサラジン(例えば、DIPENTUM(登録商標));およびメサラミン(例えば、ASACOL(登録商標)、PENTASA(登録商標)、ROWASA(登録商標))。
制酸剤、アルミニウムおよびマグネシウム制酸剤、ならびにMAALOX(登録商標)等の水酸化カルシウム。
抗ガス化合物、例えば、商標名MYLANTA(登録商標)およびMYLICON(登録商標)で市販されるシメチコン、およびPHAZYME(登録商標)およびBEANO(登録商標)を含む酵素製剤。
ビスマス含有製剤、例えば、PEPTO‐BISMOL(登録商標)としても知られる次サリチル酸ビスマス。
ペントサンポリサルフェート、化学的および構造的にグリコサミノグリカンに類似するヘパリン様マクロ分子炭水化物誘導体は、商標名ELMIRON(登録商標)で市販されている。
制吐剤ドパミンD2アンタゴニストは、例えば、ドンペリドンを含む。
プロスタグランジンE類似体、ゴナドトロフィン放出ホルモン類似体(リュープロライド)、コルチコトロフィン‐1類似体、ニューロキニン2受容体アンタゴニスト、コレシストキニン‐1アンタゴニスト、β遮断薬を含む。
抗食道逆流薬は、PRILOSEC(登録商標)を含む。(ただし必ずしもこれに限定されない)
鎮痙薬および抗ムスカリン薬は、必ずしも以下のものに限定されないが、ジシクロミン、オキシブチニン(例えば、塩化オキシブチニン)、トルテロジン(例えば、酒石酸トルテロジン)、アルベリンアニソトロピン、アトロピン(例えば、硫酸アトロピン)、ベラドンナ、ホマトロピン、ホマトロピンメトブロミド、ヒヨスチアミン(例えば、硫酸ヒヨスチアミン)、メトスコポラミン、スコポラミン(例えば、塩酸スコポラミン)、クリジニウム、シメトロピウム、ヘキソシクリウム、ピナベリウム、オチロニウム、グリコピロレート、およびメベベリンを含む。
抗下痢薬は、必ずしも以下のものに限定されないが、イプラトロピウム、イソプロパミド、メペンゾレート、プロパンテリン、オキシフェンシルシミン、ピレンゼピン、ジフェノキシレート(例えば、塩酸ジフェノキシレート)、硫酸アトロピン、塩酸アロセトロン、塩酸ジフェノキシン、次サリチル酸ビスマス、アシドフィルス菌、トリメブチン、アアシマドリン、および酢酸オクトレオチドを含む。
抗炎症剤は、必ずしも以下のものに限定されないが、メサラミン、スルファサラジン、バルサラジド2ナトリウム、ヒドロコルチゾン、およびオルサラジンナトリウムも含む。
5HTアゴニストは、ブスピロンを含む。(ただし必ずしもこれに限定されない)
5HTアンタゴニストは、必ずしも以下のものに限定されないが、オンダンセトロン、シランセトロン、およびアロセトロンを含む。
5HTアンタゴニストは、ピポスクロッドを含む。(ただし必ずしもこれに限定されない)
5HTアゴニストは、必ずしも以下のものに限定されないが、テガセロッド(例えば、マレイン酸テガセロッド)、およびポブカロプリドを含む。
抗うつ剤は、必ずしも以下のものに限定されないが、デシプリミン、アミトリプチリン、イミプリミン、フルオキセチン、およびパロキセチンを含む。
他のIBS治療薬は、デキスロキシグルミド、TAK‐637、タルネタント、SB 223412、AU 244、ニューロトロフィン‐3、GT 160‐246、免疫グロブリン(IgG)、ラモプラニン、リサキシミン、リメチコン、ダリフェナシン、ザミフェナシン、ロキシグルミド、ミソプロスチル、リュープロライド、ドンペリドン、ソマトスタチン類似体、フェニトイン、NBI‐34041、サレデュタント、およびデキスロキシグルミドを含む。
生物質は、必ずしも以下のものに限定されないが、クロルテトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、テトラサイクリン、デメチルクロルテトラサイクリン、メタサイクリン、デオキシサイクリン、ミノサイクリン、およびロリテトラサイクリン等のテトラサイクリン抗生物質;カナマイシン、アミカシン、ゲンタマイシンC1a、C2、C2b、またはC1、シソミシン、ネチルミシン、スペクチノマイシン、ストレプトマイシン、トブラマイシン、ネオマイシンB、ジベカシンおよびカネンドマイシン等の;マリドマイシンおよびエリスロマイシン等のマクロリド;クリンダマイシンおよびリンコマイシン等のリンコマイシン;発酵的、半合成的、または全合成的に取得可能な6β‐アシルアミノペニシラン酸または7β‐アシルアミノセファロスポラン酸誘導体中に存在する、6βまたは7β‐アシルアミノ基をそれぞれ有するペニシラン酸(6‐APA)‐およびセファロスポラン酸(7‐ACA)‐誘導体および/またはフェネチシリン、プロピシリン、ナフシリン、オキシシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、フルクロキサシリン、シクラシリン、エピシリン、メシリナム、メチシリン、アズロシリン、スルベニシリン、チカルシリン、メズロシリン、ピペラシリン、カリンダシリン、アジドシリン、またはシクラシリン等のペニシリンGまたはVという名称で知られるようになったペニシラン酸誘導体等の3位で修飾される7β‐アシルアミノセファロスポラン酸誘導体、およびセファクロール、セフロキシム、セファズルール、セファセトリル、セファゾリン、セファレキシン、セファドロキシル、セファログリシン、セフォキシチン、セファロリジン、セフスロジン、セフォチアム、セフタジジン、セフォニシド、セフォタキシム、セフメノキシム、セフチゾキシム、セファロチン、セフラジン、セファマンドール、セファノン、セファピリン、セフロキサジン、セファトリジン、セファゼドン、セフトリキソン、およびセフォラニドの名称で知られるようになったセファロスポリン誘導体;およびモキサラクタム、クラブラン酸、ノカルジシンA、スルバクタム、アズトレオナム、およびチエナマイシン等のクラバム、ペネム、およびカルバペネン型の他のβ‐ラクタム抗生物質;およびビコザマイシン、ノボビオシン、クロルアンフェニコール、またはチアンフェニコール、リファンピシン、ホスホマイシン、コリスチン、およびバンコマイシンを含む他の抗生物質を含む。
抗ウイルス物質は、必ずしも以下のものに限定されないが、ヌクレオシド類似体、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害薬、ヌクレオシド逆転写酵素阻害薬、プロテアーゼ阻害薬、インテグラーゼ阻害薬を含み、以下:アセマンナン;アシクロビル;アシクロビルナトリウム;アデフォビル;アロブジン;アルビルセプトスドトックス;塩酸アマンタジン;アラノチン;アリルドン;アテビルジンメシラート;アブリジン;シドフォビル;シパムフィリン;塩酸シタラビン;デラビルジンメシラート;デスシクロビル;ジダノシン;ジソキサリル;エドクスジン;エンビラデン;エンビロキシム;ファムシクロビル;塩酸ファモチン;フィアシタビン;フィアルリジン;ホサリラート;ホスカルネトナトリウム;ホスホネトナトリウム;ガンシクロビル;ガンシクロビルナトリウム;イドクスウリジン;インジナビル;ケトキサル;ラミブジン;ロブカビル;ロピノビル;塩酸メモチン;メチサゾン;ネルフィナビル;ネビラピン;ペンシクロビル;ピロダビル;リバビリン;塩酸リマンタジン;リトナビル;サキナビルメシラート;塩酸ソマンタジン;ソリブジン;スタトロン;スタブジン;テノフォビル;塩酸チロロン;トリフルリジン;塩酸バラシクロビル;ビダラビン;ビダラビンホスフェート;ビダラビンナトリウムホスフェート;ビロキシム;ザルシタビン;ゼリット;ジドブジン(AZT);およびジンビロキシムを含む。
抗感染薬は、必ずしも以下のものに限定されないが、塩酸ジフロキサチン;臭化イソキノリニウムラウリル;モキサラクタム2ナトリウム;オルニダゾール;ペンチソミチン;塩酸サラフロキサチン;HIVおよび他のレトロウイルスのプロテアーゼ阻害薬;HIVおよび他のレトロウイルスのインテグラーゼ阻害薬;セファクロール(セクロール);アシクロビル(ゾビラックス);ノルフロキサシン(ノルオキシン);セフォキシチン(メフォキシン);セフロキシムアクセチル(セフチン);シプロフロキサシン(シプロ);塩酸アミナクリン;塩化ベンゼトニウム;ビチオノレートナトリウム;ブロムクロレノン;過酸化カルバミド;塩化セタルコニウム;塩化セチルピリジニウム;塩酸クロルヘキシジン;クリオキノール;臭化ドミフェン;フェンチクロル;塩化フルダゾニウム;フクシン、塩基;フラゾリドン;ゲンチアナバイオレット;ハルキノール;ヘキサクロロフェン;過酸化水素;イクタモール;ヨウ化イミデシル;ヨウ素;イソプロピルアルコール;酢酸マフェナイド;メラレインナトリウム;塩化マーキュフェノール;アンモニア化水銀;塩化メチルベンゼトニウム;ニトロフラゾン;ニトロメルゾール;塩酸オクテニジン;オキシクロロセン;オキシクロロセンナトリウム;樟脳入りパラクロロフェノール;過マンガン酸カリウム;ポビドン‐ヨウ素;塩化セパゾニウム;硝酸銀;スルファジアジン;銀;シムクロセン;チメルフォン酸ナトリウム;チメロサール;トロクロセンカリウムを含む。
抗真菌薬(抗生物質)は、アンフォテリシン‐B、カンジシジン、デルモスタチン、フィリピン、フンギクロミン、ハチマイシン、ハマイシン、ルセンソマイシン、メパルトリシン、ナタマイシン、ナイスタチン、ペチロシン、ペリマイシン、および他のアザセリン、グリセオフルビン、オリゴマイシン、ピロルニトリン、シッカニン、ツベルシジン、およびビリジン等を含む。抗真菌合成物は、ナフチフィンおよびテルビナフィン等のアリルアミン;ビホナゾール、ブトコナゾール、クロルダントイン、クロルミダゾール、クロコナゾール、クロトリマゾール、エコナゾール、エニルコナゾール、フェンチコナゾール、イソコナゾール、ケトコナゾール、ミコナゾール、オモコナゾール、硝酸オキシコナゾール、スルコナゾール、およびチオコナゾール等のイミダゾール;フルコナゾール、イトラコナゾール、テルコナゾール等のトリアゾールを含む。他は、アクリソルシン、アモロルフィン、ビフェナミン、ブロモサリチルクロルアニリド、ブクロサミド、クロフェネシン、シクロピロクス、クロキシキン、コパラフィナート、ジアムタゾール、飽和クロリド、エキサラミド、フルシトシン、ハレタゾール、ヘキセチジン、ロフルカルバン、ニフラテル、ヨウ化カリウム、プロピオネート、プロピオン酸、ピリチオン、サリチルアニリド、スルベンチン、テノニトロゾール、トルシクラート、トリンダート、トルナフテート、トリセチン、ウジョチオン、およびウンデシレン酸を含む。抗真菌薬は、エキノカンジン類、またはカスポフンジンやミカフンジンやアニデュラフンジンやアミノカンジン等を含む抗真菌薬、も含む。
必ずしも以下のものに限定されないが、エピネフリン、ノルエピネフリン、偽エフェドリン、フェニレフリン、オキシメタゾリン、プロピルヘキセドリン、ナファゾリン、テトラヒドロロジン、キシロメタゾリン、エチルノルエピネフリン、メトキサミン、フェニルヘキセドリン、メフェンテルミン、メタラミノール、ドパミン、ジピベフリン、ノルフェドリン、およびシラキシゾリンを含む血管収縮薬は、本明細書に記載の組成物および方法において有利に使用され得る。かかる使用は、活性抗痛覚過敏薬の全身投与を低減するのに役立つはずである。
本発明の医薬製剤は、単独または混合で使用する場合、治療有効量で投与される。治療有効量は、下記のパラメータによって決定されるが、いずれの場合においても、その量は、本明細書に記載の疾病のうちの1つを有する被験者等の被験体を治療するために有効な薬物レベルを確立する。有効量は、単独または複数回投与での量、もしくは治療される疾病またはそれに関連する症状のオンセットの遅延、重篤度の緩和、または進行の完全な抑制、減少、あるいはオンセットまたは進行をともに停止させるために必要な送達率を意味する。下痢の場合、有効量は、例えば、以下のうちの1つ以上をもたらす量であり得る。1)便通の頻度を減少させる、2)便の軟度を増大させる、および/または3)便の量を1日当たり200g未満に減少させる。一実施形態においては、有効量は、便通を1日当たり3回以下、好ましくは、1日当たり2回以下、さらに好ましくは、1日当たり1回にする量である。ある例においては、投与の形態によって、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムの投与から12時間、10時間、8時間、6時間、4時間、2時間、1時間以内、および投与直後さえの便通を減少させるために十分な量である。静脈内投与は、即時効果を生じ得る。消化管の機能を回復する場合、有効量は、例えば、口から盲腸までの通過時間を増大させるために必要な量であり得る。疼痛を管理または治療する場合、有効量は、例えば、主観的基準、客観的基準、または両方によって決定されるように、被験体をより快適にするために十分な量であり得る。末梢性痛覚過敏症の場合は、有効量は、例えば、疼痛に対する過敏性または掻痒等の末梢性痛覚過敏症の症状を軽減する量である。炎症の予防または治療の場合、有効量は、例えば、炎症に関連する赤み、腫れ、または組織の損傷を低減または軽減するか、または関節等の罹患領域の可動性を増大させるために十分な量であり得る。被験体に投与する場合に、有効量は、当然のことながら、治療される特定の疾病、疾病の重篤度、年齢、健康状態、体型および体重、同時治療、治療の頻度、および投与の形態に依存する。これらの要素は、当業者によく知られており、単なる日常実験と称され得る。
本発明の(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムの経口用量は、体重1kg当たり1日約0.05から約40mg、0.05から約20.0mg、約0.05から約10mg、または約0.05から約5mgであり得る。静脈内および皮下投与を含む非経口投与は、投与がボーラス投与であるか、もしくはI.V.点滴を用いて時間をかけて投与するかどうかによって、体重1kg当たり約0.001から1.0mg、約0.01から1.0mg、または約0.1から1.0mgであり得る。
体重1kg当たり約0.05から0.5mgの範囲の用量から、望ましい結果が得られるかもしれない。投与の形態によって用量を適切に調節し、望ましい薬物レベルを局部または全身で得ることができる。例えば、腸溶性コーティングされた製剤で(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムを経口投与するための用量は、即時放出経口製剤よりも少ないことが望ましい。かかる用量で患者の反応が十分でない場合は、さらに高用量(または異なる、より局部的な送達経路による有効に高い用量)を、患者の耐容性が許す範囲で採用し得る。1日当たり複数回投与することで、化合物の適切な全身レベルが得られると考えられる。適切な全身レベルは、例えば、患者の血漿中のピークまたは持続薬物レベルの測定によって決定することができる。「用量(dose)および(dosage)」は、本明細書において同義的に使用される。
多様な投与経路が利用可能である。選択される特定の形態は、当然のことながら、選択される薬剤の特定の組み合わせ、治療または予防されている疾病の重症度、患者の症状、および治療効果に必要な用量によって異なる。本発明の方法は、概して言えば、臨床的に許容されない悪影響を引き起こさずに、活性化合物の有効濃度をもたらす任意の形態という意味の、医学的に許容される投与の任意の形態を使用して履行され得る。投与のそのような形態として、経口、直腸、局所、経皮、舌下、静脈内注射、肺、動脈内、脂肪組織内、リンパ管内、筋肉内、腔内、エアロゾル、耳(例えば、点耳剤を介して)、鼻腔内、吸入、関節内、無針注射、皮下、または皮内(例えば、経皮)送達を含む。持続注入に対して、患者管理無痛法(PCA)装置または埋込型薬剤送達装置が使用され得る。経口、直腸、または局所投与は、予防的または長期治療に対して重要である場合がある。送達の好ましい直腸的形態として、坐薬、または腸洗浄としての投与を含む。
医薬品は、便宜上、単位剤形で提示され得、薬局の分野で周知の任意の方法によって調製され得る。全ての方法は、本発明の化合物を、1つ以上の副成分を構成する担体と関連付けるステップを含む。概して、組成物は、本発明の化合物を、一様かつ密接に、液体担体、微粉化した固体担体、または両方に関連付けることによって調製し、その後、必要に応じて、生成物を成形する。
投与の際、本発明の医薬品は、医薬的に許容される組成物において適用される。そのような製剤は、塩、緩衝剤、防腐剤、混合可能担体、潤滑剤、および任意に他の治療成分を定常的に含有し得る。医学の分野で使用される場合、塩は医薬的に許容されるべきであるが、非医薬的に許容される塩は、便宜上、その医薬的に許容される塩を調製するために使用され得、本発明の範囲から除外されない。そのような薬理的および医薬的に許容される塩として、次の酸(ただし必ずしもこれらに限定されない)から調製されるものを含む。塩化水素酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、マレイン酸、酢酸、サリチル酸、p−トルエンスルホン酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、ギ酸、コハク酸、ナフタレン−2−スルホン酸、パモン酸、3−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸、およびベンゼンスルホン酸。
当然のことながら、7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウム、(R)−および(S)−7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウム、ならびに本発明の治療薬を指す場合、同発明の塩を包含することを意味する。そのような塩は、当業者に周知の種類である。医薬品に使用される場合、塩はヒトにおける使用に対して医薬的に許容されることが好ましい。臭化物は、そのような塩の一例である。
本発明の医薬品は、医薬的に許容される担体を含むか、または医薬的に許容される担体に希釈され得る。本明細書において使用される「医薬的に許容される担体」は、ヒト、または非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ヒツジ、ブタ、またはヤギ等の他の哺乳類への投与に適切な、1つ以上の混合可能な固体または液体充填剤、希釈剤、または封入物質を意味する。「担体」という用語は、適用を容易にするために組み合わされる天然または合成の有機または無機成分を意味する。担体は、所望の医薬的有効性または安定性を実質的に損なう相互作用がない方法で、本発明の製剤と、および互いに混合されることが可能である。経口投与、坐薬、および非経口投与等に適切な担体製剤は、Remington´s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Company,Easton,PAにおいて見ることができる。
製剤は、キレート剤、緩衝剤、酸化防止剤、および任意で、等張化剤、好ましくは、pH調節された等張化剤、および透過/浸透促進剤を含み得る。
キレート剤として、例えば、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、およびその誘導体、クエン酸、およびその誘導体、ナイアシンアミド、およびその誘導体、デソキシコール酸ナトリウム、およびその誘導体、ならびにL−グルタミン酸、N,N−アセト酢酸、およびその誘導体を含む。EDTA誘導体として、エデト酸二カリウム、エデト酸二ナトリウム、エデト酸カルシウム二ナトリウム、エデト酸ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、およびエデト酸カリウムを含む。
緩衝剤は、クエン酸、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸、リン酸ナトリウムおよびリン酸、アスコルビン酸ナトリウム、酒石酸、マレイン酸、グリシン、乳酸ナトリウム、乳酸、アスコルビン酸、イミダゾール、重炭酸ナトリウムおよび炭酸、コハク酸ナトリウムおよびコハク酸、ヒスチジン、および安息香酸ナトリウムおよび安息
香酸、またはそれらの組み合わせから成る群より選択されるものを含む。
酸化防止剤は、アスコルビン酸誘導体、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、アルキルガラート、メタ重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、亜ジチオン酸ナトリウム、チオグリコール酸ナトリウム、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム、トコフェロール、およびその誘導体、モノチオグリセロール、および亜硫酸ナトリウムから成る群より選択されるものを含む。好ましい酸化防止剤は、モノチオグリセロールである。
等張化剤は、塩化ナトリウム、マンニトール、ラクトース、デキストロース、グリセロール、およびソルビトールから成る群より選択されるものを含む。
本組成物とともに使用することができる防腐剤は、ベンジルアルコール、パラベン、チメロサール、クロロブタノール、および好ましくは、塩化ベンザルコニウムを含む。通常、防腐剤は、約2重量%までの濃度で組成物に存在する。しかしながら、防腐剤の正確な濃度は、使用目的によって異なり、当業者によって容易に把握することができる。
発明の化合物は、凍結乾燥組成物、好ましくは、マンニトール、またはラクトース、スクロース、ポリエチレングリコール、およびポリビニルピロリジン等の抗凍結剤の存在下で調製することができる。6.0以下の再構成pHをもたらす抗凍結剤が好ましい。したがって、本発明は、本発明の治療薬の凍結乾燥調製剤を提供する。製剤は、好ましくは、水中で中性または酸性である、マンニトールまたはラクトース等の抗凍結剤を含むことができる。
薬剤の経口、非経口、および坐薬製剤は、周知であり、市販されている。本発明の治療薬は、そのような周知の製剤に付加することができる。本発明の治療薬は、そのような製剤において溶液または半固溶体で合わせて混合することができ、そのような製剤内の懸濁液で提供することができるか、またはそのような製剤内の粒子で含有することができる。
本発明の治療薬、および任意で1つ以上の他の活性薬剤を含有する生成物は、経口投薬として構成することができる。経口投薬は、液体、半固体、または固体であり得る。オピオイドは、任意で、経口投薬に含まれ得る。経口投薬は、他の薬剤(および/またはオピオイド)の前、後、または同時に、本発明の治療薬を放出するように構成され得る。経口投薬は、本発明の治療薬および他の製剤を、胃の中で完全に放出する、胃の中で部分的および腸の中で部分的に放出する、腸で、結腸で、胃で部分的に、または結腸で全体的に放出するように構成され得る。経口投薬は、他の活性薬剤の放出が、それほど制限されていないか、本発明の治療薬とは異なって制限される一方、本発明の治療薬の放出が、胃または腸に制限されるようにも構成され得る。例えば、本発明の治療薬は、他の薬剤を先に放出し、本発明の治療薬が胃を通って腸へ通過した後にのみ、本発明の治療薬を放出する、丸薬またはカプセル内に含有される腸溶性コアまたはペレットであり得る。本発明の治療薬は、本発明の治療薬が、胃腸管全体で放出され、他の薬剤が同じか、または異なる計画で放出される、持続放出材料の中にあってもよい。本発明の治療薬の放出に対する同目的は、本発明の腸溶性の治療薬と組み合わされる本発明の治療薬の即時放出で達成できる。これらの場合、他の薬剤は、胃の中、胃腸管の全体、または腸の中のみで、即時に放出することができる。
これらの異なる放出プロファイルを得るために有用な材料は、当業者に周知である。即時放出は、胃で溶解する結合剤を有する従来の錠剤によって得られる。胃のpHで溶解するか、または温度の上昇で溶解するコーティングによって、同じ目的が達成される。腸の中のみでの放出は、腸(胃ではなく)のpH環境において溶解するpH感受性コーティング、または時間とともに溶解するコーティング等の従来の腸溶コーティングを使用して得られる。胃腸管全体での放出は、持続放出材料および/または即時放出システムおよび持続および/または遅延の意図的な放出システム(例えば、異なるpHで溶解するペレット)の組み合わせを使用することによって達成される。
本発明の治療薬を先に放出することが望ましい場合、本発明の治療薬は、制御放出用に定常的に使用される温度感性の医薬的に許容される担体等の、そのようなコーティング、および本発明の治療薬の放出を可能にするために適切な任意の医薬的に許容される担体における制御放出製剤の表面でコーティングすることができる。体内に配置される際に溶解する他のコーティングは、当業者に周知である。
本発明の治療薬は、他の薬剤の前、後、または同時に放出される、制御放出製剤全体で混合され得る。本発明の治療薬は、製剤の材料内で遊離、すなわち、可溶化され得る。本発明の治療薬は、製剤の材料全体で分散されるワックスでコーティングされたマイクロペレット等の小胞の形であってもよい。コーティングされたペレットは、温度、pH等に基づいて本発明の治療薬を即時に放出するように作成することができる。ペレットは、本発明の治療薬の放出を遅延させ、本発明の治療薬がその効果を発揮する前に作用する時間を他の薬剤に与えるように構成することもできる。本発明の治療薬のペレットは、従来技術の材料および当業者に周知の材料を使用して一次放出速度またはS状結腸段階放出速度を呈するパターンを含む、実質的に任意の持続放出パターンで、本発明の治療薬を放出するように構成することもできる。
本発明の治療薬は、制御放出製剤内のコア内に含有されることもできる。コアは、ペレットに関連して、上述の特性のいずれか1つ、またはいかなる組み合わせをも有し得る。本発明の治療薬は、例えば、材料でコーティングされる、材料全体に分散される、材料上にコーティングされるか、または材料内に、または全体に吸収されるコアの中にあってもよい。
当然のことながら、ペレットまたはコアは、実質的に任意の種類であってもよい。それらは、放出材料で薬剤をコーティングした、材料全体に薬剤を散在した、材料内に薬剤を吸収させたもの等であってもよい。材料は浸食可能または非浸食可能であってもよい。
本発明の治療薬は、粒子で提供され得る。本明細書において使用されるように、粒子は、本発明の治療薬、または本明細書において記載される他の薬剤の全体または一部に存在することができるナノまたはマイクロ粒子(または、場合によっては、より大きい粒子)を意味する。粒子は、腸溶コーティング(ただし必ずしもこれに限定されない)を含む、コーティングによって覆われるコアに治療薬を含有し得る。治療薬は、粒子全体に分散され得る。治療薬は、粒子内に吸収され得る。粒子は、ゼロ次放出、一次放出、二次放出、遅延放出、持続放出、即時放出、およびそれらの任意の組み合わせを含む、任意の段階の放出速度であってもよい。粒子は、治療薬に加えて、必ずしも以下のものに限定されないが、浸食可能、非浸食可能、生分解性、または非生分解性材料、またはそれらの組み合わせを含む、薬局および医療の分野において定常的に用いられる任意のそれらの材料を含み得る。粒子は、溶液、または半固体の状態でアンタゴニストを含有するマイクロカプセルであってもよい。粒子は、実質的に任意の形状であってもよい。
非生分解性および生分解性高分子材料の両方が、治療薬を送達するための粒子の製造に使用することができる。そのようなポリマーは、天然または合成ポリマーであってもよい。ポリマーは、放出が所望される時間の長さに基づいて選択される。特に興味深い生体接着ポリマーは、H.S.Sawhney,C.P.Pathak、およびJ.A.Hubellによる、Macromolecules,(1993)26:581−587に記載される生体内分解性ヒドロゲルを含んでいるが、その内容は本明細書に組み込まれている。これらは、ポリヒアルロン酸、カゼイン、ゼラチン、グルテン、ポリ酸無水物、ポリアクリル酸、アルギン酸塩、キトサン、ポリ(メチルメタクリル酸塩)、ポリ(エチルメタクリル酸塩)、ポリ(ブチルメタクリル酸塩)、ポリ(イソブチルメタクリル酸塩)、ポリ(ヘキシルメタクリル酸塩)、ポリ(イソデシルメタクリル酸塩)、ポリ(ラウリルメタクリル酸塩)、ポリ(フェニルメタクリル酸塩)、ポリ(メチルアクリル酸塩)、ポリ(イソプロピルアクリル酸塩)、ポリ(イソブチルアクリル酸塩)、およびポリ(オクタデシルアクリル酸塩)を含む。
治療薬は、制御放出システムに含有され得る。「制御放出」という用語は、製剤からの薬物放出の方法およびプロファイルが制御されている、任意の薬物含有製剤を指すことを目的とする。これは、持続放出および遅延放出製剤(ただしこれらに限定されない)を含む、即時および非即時放出製剤を指す。「持続放出」という用語(「徐放」とも称される)は、長時間かけて薬物をゆっくりと放出させ、好ましくは、必ずではないが、長時間かけて実質的に一定の薬物血中濃度をもたらす製剤を指す、その従来の意味において使用される。「遅延放出」という用語は、製剤の投与とそこからの薬物の放出との間に時間遅延がある製剤を指す、その従来の意味において使用される。「遅延放出」という用語は、長時間かけて薬物をゆっくりと放出することを含むか、または含まなくてもよいため、「持続放出」であるか、またはそうでなくてもよい。これらの製剤は、投与の任意の形態をとってもよい。
胃腸管に対して特異的な送達システムは、大きく3つの種類に分類される。1番目は、例えば、pH変化に応じて、薬物を放出するように設計される遅延放出システム、2番目は、所定の時間後に薬物を放出するように設計される持続放出型システム、および3番目は、胃腸管の下部における豊富な腸内細菌を活用する微生物叢酵素システム(例えば、結腸部位特異的放出製剤において)である。
遅延放出システムの一実施例は、例えば、アクリルまたはセルロースコーティング材料を使用し、pH変化に対して溶解するものである。製剤の容易性のため、そのような「腸溶コーティング」に関する多くの報告がなされている。概して、腸溶コーティングは、腸管の壁を通る活性薬剤の輸送(能動または受動)を可能にするように、胃の中で相当量(すなわち、胃の中で、10%放出未満、5%放出、およびさらに1%放出)の薬物を放出することなく、腸管の中で十分に分解することなく(ほぼ中性またはアルカリ性の腸液との接触によって)、胃を通過するものである。
コーティングが、腸溶コーティングとして分類されるかどうかを判断するための様々な生体外試験が、様々な国の薬局方に収載されている。36〜38℃のpH1のHCl等の人工胃液に少なくとも2時間接触し、その後、pH6.8のKHPO緩衝液等の人工腸液において30分内で分解する、コーティングが、一実施例である。そのような1つの周知のシステムは、市販の、Behringer、Manchester University,Saale Co.,等によって報告されるEUDRAGIT材料である。腸溶コーティングについては、下記でさらに論じる。
持続放出型システムは、Fujisawa Pharmaceutical Co.,Ltd.のTime Erosion System(TES)、およびR.P.SchererのPulsincapによって代表される。これらのシステムによると、薬物放出の部位は、胃腸管における製剤の通過の時間によって決定される。胃腸管における製剤の通過が、胃内容排出時間によって大きく影響されるため、時間放出システムの一部も腸溶性である。
腸内細菌を活用するシステムは、Ohio Universityのグループ(M.Saffran,et al.,Science,Vol.233:1081(1986))、およびUtah Universityのグループ(J.Kopecek,et al.Pharmaceutical Research,9(12),1540−1545(1992))によって報告されるように、腸内細菌から産出されるアゾレダクターゼによる芳香族アゾポリマーの分解を使用するもの、およびHebrew Universityのグループ(PCT出願に基づく特開平5−50863号)、およびFreiberg Universityのグループ(K.H.Bauer et al.Pharmaceutical Research,10(10),S218(1993))によって報告されるように、腸内細菌のベータ−ガラクトシダーゼによる多糖の分解を使用するものに分類することができる。加えて、帝國製薬製のキトサナーゼ(特開平4−217924号、および特開平4−225922号)によって分解可能なキトサンを使用するシステムも含まれる。
腸溶コーティングは、必ずではないが、通常、高分子材料である。好ましい腸溶コーティング材料は、生体内分解性、徐々に加水分解可能および/または徐々に水に溶けるポリマーを含む。「コーティング重量」、または1カプセル当たりのコーティング材料の相対量は、概して、摂取と薬物放出との時間間隔に影響する。任意のコーティングは、コーティング全体がpH約5以下で、胃腸液に溶解せず、pH約5およびそれ以上で溶解するように、十分な厚さで適用されるべきである。pH依存性溶解プロファイルを呈する任意のアニオン性ポリマーは、本発明の履行における腸溶コーティングとして使用することができると予想される。特定の腸溶コーティング材料の選択は、以下の特性による。胃における溶解および分解に対する抵抗、胃の中にある際の、胃液、および薬物/担体/酵素に対する不透過性、腸の標的部位で急速に溶解または分解する能力、保存期間での物理的および化学的安定性、非毒性、(基質に適した)コーティングとしての適用の容易性、および経済的実用性。
適切な腸溶コーティング材料として、必ずしも以下のものに限定されないが、酢酸フタル酸セルロース、酢酸トリメリト酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびカルボキシメチルセルロースナトリウム等のセルロースポリマー、好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、メチルアクリル酸塩、アクリル酸アンモニウムメチル、エチルアクリル酸塩、メチルメタクリル酸塩および/またはエチルメタクリル酸塩(例えば、EUDRAGITの商標名で販売されるそれらのコポリマー)から形成されるアクリル酸ポリマーおよびコポリマー、ポリビニルアセテート、酢酸フタル酸ポリビニル、酢酸ビニルクロトン酸コポリマー、およびエチレン−酢酸ビニルコポリマー等のビニルポリマーおよびコポリマー、ならびにセラック(精製ラック)を含む。異なるコーティング材料の組み合わせも、使用され得る。本明細書において使用される周知の腸溶コーティング材料は、Rohm Pharma(ドイツ)からEUDRAGITの商標名で入手可能なそれらのアクリル酸ポリマーおよびコポリマーである。EUDRAGITシリーズのE、L、S、RL、RS,およびNEコポリマーは、有機溶媒で可溶なもの、水分散液、または乾燥粉末として利用可能である。EUDRAGITシリーズのRL、NE、およびRSコポリマーは、胃腸管において不溶性であるが、透過性であり、主に徐放に対して使用される。EUDRAGITシリーズのEコポリマーは、胃において溶解する。EUDRAGITシリーズのL、L−30DおよびSコポリマーは、胃において不溶性であり、腸において溶解するため、本明細書において最も好ましい。
特定のメタクリルコポリマーは、EUDRAGIT L、特に、L−30D、およびEUDRAGIT L100−55である。EUDRAGIT L−30Dでは、遊離カルボキシル基とエステル基との比率は、約1:1である。さらに、コポリマーは、pH5.5以下、概して、1.5−5.5、すなわち、概して、上部胃腸管液にあるpHを有する胃腸液において不溶性であるが、pH5.5以上、すなわち、概して、下部胃腸管液にあるpHで、容易に溶解するか、または部分的に溶解することが周知である。他の特定のメタクリル酸ポリマーは、遊離カルボキシル基とエステル基との比率が、約1:2であるという点で、EUDRAGIT L−30Dと異なるEUDRAGIT Sである。EUDRAGIT Sは、pH5.5以下では不溶性であるが、EUDRAGIT L−30Dとは異なり、小腸のように、5.5〜7.0の範囲のpHを有する胃腸液において難溶性である。このコポリマーは、pH7.0およびそれ以上、すなわち、通常、結腸で見られるpHで溶解性である。EUDRAGIT Sは、大腸において薬物送達を提供するコーティングとして単独で使用することができる。代替として、pH7以下の腸液において難溶性であるEUDRAGIT Sは、腸管の様々な部分へ活性薬剤を送達するように調製することができる遅延放出組成物を提供するために、pH5.5以上の腸液において溶解性であるEUDRAGIT L−30Dと併用して使用することができる。EUDRAGIT L−30Dが使用されるほど、近位放出および送達が開始され、EUDRAGIT Sが使用されるほど、遠位放出および送達が開始される。EUDRAGIT L−30DおよびEUDRAGIT Sの両方は、同様のpH溶解度特性を有する、他の医薬的に許容されるポリマーで置換することができることは、当業者には明らかである。本発明のある実施形態においては、好ましい腸溶コーティングは、ACRYL−EZE(登録商標)(メタクリル酸コポリマータイプC;Colorcon、West Point、PA)である。
腸溶コーティングは、概して予測可能なある位置で薬物を放出できるように、活性薬剤の放出を制御する。腸溶コーティングは、治療薬および担体の口腔、咽頭、食道、および胃の上皮と粘膜組織への暴露、およびこれらの組織に関連する酵素への暴露も予防する。したがって、腸溶コーティングは、送達の所望の部位での薬物放出の前に、任意の有害事象から活性薬剤、担体、および患者の内部組織を保護することに役立つ。さらに、本発明のコーティングされた材料は、薬物吸収、活性薬剤保護、および安全性を最適化する。胃腸管における様々な領域で活性薬剤を放出することを目的とする複数の腸溶コーティングにより、胃腸管全体で、より効果的な改善された持続送達が可能になる。
コーティングは、胃液の浸透を可能にする細孔および亀裂の形成を予防する可塑剤を含むことができ、通常、これを含む。適切な可塑剤は、必ずしも以下のものに限定されないが、クエン酸トリエチル(Citroflex2)、トリアセチン(トリ酢酸グリセル)、アセチルクエン酸トリエチル(Citroflec A2)、Carbowax400(ポリエチレングリコール400)、フタル酸ジエチル、クエン酸トリブチル、アセチル化モノグリセリド、グリセロール、脂肪酸エステル、プロピレングリコール、およびフタル酸ジブチルを含む。特に、アニオン性カルボン酸アクリルポリマーから成るコーティングは、通常、可塑剤、特に、フタル酸ジブチル、ポリエチレングリコール、クエン酸トリエチル、およびトリアセチンの約10重量%〜25重量%を含有する。コーティングは、コーティング材料を可溶化または分散し、コーティング性能およびコーティングされた生成物を改善する、デタッキフィア、消泡剤、潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)、および安定剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、酸および塩基)等の他のコーティング賦形剤を含有することもできる。
コーティングは、従来のコーティング方法および機器を使用して、治療薬の粒子、治療薬の錠剤、治療薬を含有するカプセル等に適用することができる。例えば、腸溶コーティングは、コーティング皿、無気噴霧法、流動床コーティング機器等を使用して、カプセルに適用することができる。コーティングされた剤形を調製するための材料、機器、および処理に関する詳細な情報は、Pharmaceutical Dosage Forms:Tablet,eds.Lieberman et al.(New York:Marcel Dekker,Inc.,1989)、およびAnsel et al.Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery System,6th Ed.(Media,PA:Williams&Wilkin,1995)において見ることができる。上述のように、コーティングの厚さは、経口剤形が、下部腸管における局所送達の所望の部位が到達するまで、そのままの状態であることを確実にするために十分でなければならない。
他の実施形態においては、本発明の製剤を内蔵する腸溶性浸透活性装置を備える薬物剤形が提供される。この実施形態においては、薬物含有製剤は、小開口部を含有する半透性膜またはバリアにおいてカプセル化される。いわゆる、「浸透圧ポンプ」薬物送達装置に関して当技術分野で周知のように、半透性膜は、いかなる方向にも、薬物ではなく水を通過させる。したがって、装置が、液体に暴露される場合、水は、装置の内部と外部との浸透圧の差によって装置内に流入する。水が、装置へ流入するにつれて、内部にある薬物含有製剤は、開口部を通って「吸い」出される。薬物放出速度は、水の流入速度×薬物濃度と同等である。水の流入および薬物の流出の速度は、組成物および装置の開口部の大きさによって制御することができる。半透性膜の適切な材料として、必ずしも以下のものに限定されないが、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、半透性ポリエチレングリコール、半透性ポリウレタン、半透性ポリアミド、半透性スルホン化ポリスチレンおよびポリスチレン誘導体、半透性ポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム)、半透性ポリ(ビニルベンジルトリメチル塩化アンモニウム)、および酢酸セルロース、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、三吉草酸セルロース、トリル酸セルロース、三パルミチン酸セルロース、三オクタン酸セルロース、三プロピオン酸セルロース、二コハク酸セルロース、二パルミチン酸セルロース、二アクリル酸セルロース、酢酸コハク酸セルロース、プロピオン酸コハク酸セルロース、酢酸オクタン酸セルロース、吉草酸パルミチン酸セルロース、酢酸ヘプタン酸セルロース、アセトアルデヒドジメチルアセタールセルロース、酢酸カルバミン酸エチルセルロース、酢酸カルバミン酸メチルセルロース、酢酸ジメチルアミノセルロース、およびエチルセルロース等のセルロースポリマーを含む。
他の実施形態においては、本発明の製剤を内蔵する持続放出のコーティングされた装置を備える薬物剤形が提供される。この実施形態においては、薬物含有製剤は、持続放出膜またはフィルムにおいてカプセル化される。膜は、上述のように、半透性であってもよい。半透性膜によって、コーティングされた装置内の水の通過で、薬物を溶解することができる。溶解された薬物の溶液は、半透性膜を通って拡散する。薬物放出速度は、コーティングされたフィルムの厚さに依存し、薬物の放出は、胃腸管の任意の部分で開始することができる。そのような膜に適した膜材料として、エチルセルロースを含む。
他の実施形態においては、本発明の製剤を内蔵する持続放出装置を備える薬物剤形が提供される。この実施形態においては、薬物含有製剤は、一様に、持続放出ポリマーと混合される。これらの持続放出ポリマーは、水と接触すると膨張し、水が内部で拡散し、薬物を溶解するためのチャネルを作成する、高分子量の水溶性ポリマーである。ポリマーが膨張し、水中で溶解するにつれて、より多くの薬物が、溶解のために水に暴露される。そのようなシステムは、概して、持続放出マトリクスと称される。そのような装置の適切な材料として、ヒドロプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、およびメチルセルロースを含む。
他の実施形態においては、本発明の持続放出製剤を内蔵する腸溶性装置を備える薬物剤形が提供される。この実施形態においては、上述の生成物を含有する薬物は、腸溶性ポリマーでコーティングされる。そのような装置は、胃において任意の薬物を放出せず、装置が腸に到達する際、腸溶性ポリマーが、まず、溶解した後にのみ、薬物放出が開始する。薬物放出は、持続放出の方法で行われる。
腸溶性浸透活性装置は、従来の材料、方法、および機器を使用して製造することができる。例えば、浸透活性装置は、医薬的に許容されるソフトカプセルにおいて、上記の通り、まず、本発明の化合物の液体または半固体製剤をカプセル化することによって作製され得る。その後、この内部カプセルは、例えば、空気サスペンション機を使用して、例えば、約0.05mmの十分に厚い層が形成されるまで、半透性膜組成物(例えば、塩化メチレン−メタノール混合剤等の適切な溶媒中の酢酸セルロースおよびポリエチレングリコール4000を含む)でコーティングされる。その後、半透性層状カプセルは、従来の技術を使用して乾燥させる。その後、所望の直径(例えば、約0.99mm)を有する開口部は、例えば、機械的穴開け、レーザー穴開け、機械的破壊、またはゼラチンプラグ等の浸食性要素の浸食を使用して、半透性層状カプセル壁を通って提供される。その後、浸透活性装置は、上述のように腸溶性にコーティングされ得る。液体または半固体担体ではなく、固体担体を含有する浸透活性装置に対して、内部カプセルは任意である。すなわち、半透性膜は、担体−薬物組成物の周りに直接形成され得る。しかしながら、浸透活性装置の薬物含有製剤における使用のための好ましい担体は、溶液、懸濁液、液体、非混和液、乳液、ゾル、コロイド、および油である。特に好ましい担体として、液体または半固体製剤を含有する腸溶性カプセル(必ずしもこれらに限定されない)に対して使用されるものを含む。
セルロースコーティングは、酢酸フタル酸およびトリメリト酸セルロース、少なくとも40%のメチルアクリル酸を含有するメタクリル酸コポリマー、例えば、メチルアクリル酸およびそのエステル由来のコポリマー、および特に、ヒドロキシプロピルメチルフタル酸セルロースのコーティングを含む。アクリル酸メチルは、約1:1の比率における、例えば、アクリル酸メチル、およびメチルまたはエチルアクリル酸メチルに基づく100,000ダルトン以上の分子量のものを含む。典型的な生成物として、Rohm GmbH、Darmstadt、ドイツによって販売される、Endragit L、例えば、L100−55を含む。典型的な酢酸フタル酸セルロースは、17〜26%のアセチル含有量、およびca.45〜90cPの粘性を有する30〜40%のフタル酸含有量を有する。典型的な酢酸トリメリト酸セルロースは、17〜26%のアセチル含有量、およびca.15〜20cSの粘性を有する25〜35%のトリメリト酸含有量を有する。酢酸トリメリト酸セルロースの例は、市販品CAT(Eastman Kodak Company,USA)である。通常、ヒドロキシプロピルメチルフタル酸セルロースは、20,000〜130,000ダルトンの分子量、5〜10%のヒドロキシプロピル含有量、18〜24%のメトキシ含有量、および21〜35%のフタリル含有量を有する。酢酸フタル酸セルロースの例は、市販品CAP(Eastman Kodak,Rochester N.Y.,USA)である。ヒドロキシプロピルメチルフタル酸セルロースの例は、HP50の商標で販売され、信越化学工業株式会社(東京、日本)から入手可能な、6〜10%のヒドロキシプロピル含有量、20〜24%のメトキシ含有量、21〜27%のフタリル含有量、約84,000ダルトンの分子量を有する市販品、およびHP55の商標で周知であり、同社から入手可能な、それぞれ、5〜9%、18〜22%、および27〜35%のヒドロキシプロピル含有量、メトキシル含有量、およびフタリル含有量、ならびに78,000ダルトンの分子量を有する市販品である。
治療薬は、コーティングされたか、またはされていないカプセルで提供され得る。カプセル材料は、ハードまたはソフトのいずれでもよく、当業者には明らかであるように、通常、ゼラチン、でんぷん、またはセルロース材料等の、無味で、容易に投与される、水溶性化合物からできている。カプセルは、好ましくは、ゼラチン帯等で封止される。例えば、カプセル製薬を調製するための材料および方法を記載する、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,Nineteenth Edition(Easton,Pa.:Mack Publishing Co.,1995)を参照。
本発明の治療薬を含有する生成物は、坐薬として構成することができる。本発明の治療薬は、治療薬の相対的放出に好ましい影響を与えるように、坐薬内または坐薬上のいずれの位置に配置することができる。放出の性質は、所望に応じて、ゼロ次、一次、またはS状結腸であり得る。
坐薬は、直腸を介する投与を目的とする薬の固体剤形である。坐薬は、体腔(約98.6°F)において融解、軟化、または溶解し、その中に含有される医薬を放出するように調合される。坐薬基剤は、安定した、非刺激性、化学的に不活性、および生理的に不活性であるべきである。多くの市販坐薬は、しばしば、室温で融解または変形し、冷蔵または他の保存制限を必要とする、ココアバター、ココナツ油、パーム核油、およびヤシ油等の油または脂肪基剤の材料を含む。Tanakaらに対する米国特許番号第US4,837,214号は、20より少ないヒドロキシル値を有する、80〜99重量パーセントのラウリン型脂肪から成り、脂肪酸の1〜20重量パーセントのジグリセリド(エルカ酸がその例である)と組み合わされる、8〜18個の炭素原子を有する脂肪酸のグリセリドを含有する坐薬基剤を記載する。これらの種類の坐薬の保存期間は、分解のため制限される。他の坐薬基剤は、融解温度を高めるアルコール、界面活性剤等を含有するが、局所粘膜の刺激によって、薬の吸収不良および副作用を引き起こす場合もある(例えば、Hartelendyらに対する米国特許番号第US6,099,853号、Ahmadらに対する米国特許番号第US4,999,342号、およびAbidiらに対する米国特許番号第US4,765,978号を参照)。
本発明の医薬的坐薬組成物において使用される基剤として、概して、カカオバター、ヤシ脂肪、パーム核油、ココナツ油、ヤシ油、ラード、およびWITEPSOL(登録商標)等のトリグリセリド、ラノリンおよび還元ラノリン等のワックスを主な成分として含む、油および脂肪、VASELINE(登録商標)、スクアレン、スクアラン、および流動パラフィン等の炭化水素、カプリル酸、ラウリン酸、ステアリン酸、およびオレイン酸等の長中鎖脂肪酸、ラウリルアルコール、セタノールおよびステアリルアルコール等の高級アルコール、ステアリン酸ブチル、およびマロン酸ジラウリル等の脂肪酸エステル、トリオレインおよびトリステアリン等のグリセリンの中長鎖カルボン酸エステル、アセト酢酸グリセリン等のグリセリン置換カルボン酸エステル、およびマクロゴールおよびセトマクロゴール等のポリエチレングリコールおよびその誘導体を含む。それらは、単一または2つ以上の組み合わせのいずれかで使用され得る。必要に応じて、本発明の組成物は、坐薬において通常使用される、表面−活性薬剤、着色剤等をさらに含み得る。
本発明の医薬組成物は、必要であれば高温度で、攪拌または製粉機において、活性成分、吸収補助剤、および任意で基剤等の所定の量を一様に混合することによって調製され得る。得られた組成物は、例えば、混合物を鋳型に流すか、またはカプセル充填機を使用してゼラチンカプセルに形成することによって、単位剤形で坐薬に形成され得る。
本発明による組成物は、鼻噴霧、点鼻剤、懸濁液、ゲル、軟膏、クリーム、または粉末として投与することもできる。組成物の投与は、本発明の組成物を含有する鼻タンポンまたは鼻スポンジを使用することを含むこともできる。
本発明で使用することができる鼻用送達システムは、水性製剤、非水性製剤、およびそれらの組み合わせを含む、様々な形態を取ることができる。水性製剤として、例えば、水性ゲル、水性懸濁液、水性リポソーム分散液、水性乳液、水性マイクロエマルション、およびそれらの組み合わせを含む。非水性製剤は、例えば、非水性ゲル、非水性懸濁液、非水性リポソーム分散液、非水性乳液、非水性マイクロエマルション、およびそれらの組み合わせを含む。様々な形態の鼻用送達システムは、pHを維持するための緩衝液、医薬的に許容される増粘剤、および保湿剤を含むことができる。緩衝液のpHは、鼻粘膜の全体で、治療薬の吸収を最適化するように選択することができる。
非水性鼻用製剤に関して、製剤が哺乳類の鼻腔に送達される際、選択されたpHの範囲が、例えば、鼻粘膜に接触する時にその中で到達されるように、緩衝剤の適切な形は、選択することができる。本発明においては、組成物のpHは、約2.0〜約6.0で維持され得る。組成物のpHが、投与の時に受容体の鼻粘膜に対して顕著な刺激を引き起こさないpHであることが望ましい。
本発明の組成物の粘性は、医薬的に許容される増粘剤を使用して、所望の濃度に維持することができる。本発明によって使用することができる増粘剤として、メチルセルロース、キサンタンゴム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボマー、ポリビニルアルコール、アルギン酸塩、アカシア、キトサン、およびそれらの組み合わせを含む。増粘剤の濃度は、選択される薬剤および所望の粘性に依存する。そのような薬剤は、上述の粉末製剤において使用することもできる。
本発明の組成物は、粘膜の乾燥を軽減または予防し、その刺激を予防する保湿剤を含むこともできる。本発明において使用することができる適切な保湿剤は、ソルビトール、鉱油、植物油、およびグリセロール、緩和剤、膜調整剤、甘味料、ならびにそれらの組み合わせを含む。本発明における保湿剤の濃度は、選択される薬剤によって異なる。
1つ以上の治療薬は、鼻用送達システム、または本明細書において記載される、任意の他の送達システムに組み込まれ得る。
局所投与に対して製剤化される組成物は、液体または半固体(例えば、ゲル、ローション、乳液、クリーム、軟膏、スプレー、またはエアロゾルを含む)であってもよいか、または「有限」担体、例えば、湿布、生体接着剤、包帯、または救急絆を含む、その形を保持する非敷料と組み合わせて提供され得る。それは、水性または非水性であってもよく、溶液、乳液、分散液、懸濁液、または任意の他の混合物として製剤化され得る。
投与の重要な形態として、皮膚、目または粘膜への局所適用を含む。したがって、典型的な媒体は、体表面への医薬的または化粧用途に適切なものである。本明細書において提供される組成物は、患者の体における様々な部分に局所または限局的に適用され得る。上記のように、局所適用は、例えば、皮膚(外珠皮または被膜)および粘膜(粘膜産生、分泌および/または含有表面)等の接近可能な体表面の組織への適用を指すことを目的とする。例示的な粘膜面は、目、口(唇、舌、歯茎、頬、舌下、および口蓋等)、喉頭、食道、気管支、鼻道、膣、および直腸/肛門の粘膜面を含み、実施形態の一部においては、好ましくは、口、喉頭、食道、膣、および直腸/肛門であり、他の実施形態においては、好ましくは、目、喉頭、食道、気管支、鼻道、および膣および直腸/肛門である。上記のように、本明細書における局所塗布は、例えば、関節、軟組織部(筋肉、腱、靱帯、眼球内、または他の肉質内部等)、または体の他の内部等、体の離れた内部への適用を指す。したがって、本明細書において使用されるように、局所塗布は、体の離れた部分への適用を指す。
本組成物の局所および/または限局投与に関して、望ましい有効性は、例えば、望ましい抗痛覚過敏の鎮痛を提供するために、痛覚過敏部分に実質的に到達する、皮膚および/または組織への本発明の治療薬の浸透を含み得る。本組成物の有効性は、例えば、中枢麻薬性鎮痛薬によって得られるものとほぼ同等であり得る。しかしながら、本明細書において詳細に述べられるように、本発明の治療薬によって得られる有効性は、本発明の治療薬は、血液脳関門を通過しないと考えられるため、好ましくは、例えば、呼吸抑制、鎮静状態、および依存症を含む、通常、中枢アヘン剤に関連する好ましくない影響を伴わずに得られる。
また、水性媒体を含む実施形態を含む、ある実施形態においては、組成物は、グリコール、すなわち、2つ以上のヒドロキシ基を含有する化合物を含有し得る。組成物における使用に対して特に有用であり得るグリコールは、プロピレングリコールである。グリコールは、組成物の総重量に基づいて、0より高く約5重量%までの濃度で組成物に含まれ得る。
関節内投与等の局所内部投与に対して、組成物は、好ましくは、等張緩衝液等の水性媒介物中の溶液または懸濁液として製剤化されるか、または内部投与を目的とする生体適合担体または生体接着剤と組み合わされる。
例えば、懸濁液、分散液、または乳液の形であり得るローションは、1つ以上の化合物の有効濃度を含有する。有効濃度は、有効量を送達する濃度が好ましい。例えば、本発明の化合物は、本明細書において提供される1つ以上の化合物の約0.1〜50%[重量で]以上の濃度で使用することができる。ローションは、例えば、[重量で]1%〜50%の皮膚軟化剤および均衡水、適切な緩衝剤、および上述のような他の薬剤を含有し得る。人の皮膚への適用に適切な、当業者に周知の任意の皮膚軟化剤が使用され得る。これらとして、以下を含む(ただし以下のものに限定されない):
(a)鉱油、ペトロラタム、パラフィン、セレシン、オゾケライト、微結晶ワックス、ポリエチレン、およびペルヒドロスクアレンを含む、炭化水素油およびワックス。
(b)ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、水溶性およびアルコール可溶性シリコーン−グリコールコポリマーを含む、シリコーン油。
(c)植物、動物、および海洋源由来のものを含む、トリグリセリド脂肪および油。例として、必ずしも以下のものに限定されないが、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、コーン油、オリーブ油、タラ肝油、アーモンド油、アボカド油、ヤシ油、ごま油、および大豆油を含む。
(d)アセチル化モノグリセリド等のアセトグリセリドエステル。
(e)エトキシル化モノステアリン酸グリセリン等のエトキシル化グリセリド。
(f)10〜20個の炭素原子を有する脂肪酸のアルキルエステル。脂肪酸のメチル、イソプロピル、およびブチルエステルは、本明細書において有用である。例として、必ずしも以下のものに限定されないが、ラウリン酸ヘキシル、ラウリン酸イソヘキシル、パルミチン酸イソヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸デシル、オレイン酸イソデシル、ステアリン酸ヘキサデシル、ステアリン酸デシル、イソステアリン酸イソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソヘキシル、アジピン酸ジヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、および乳酸セチルを含む。
(g)10〜20個の炭素原子を有する脂肪酸のアルケニルエステル。それらの例として、必ずしも以下のものに限定されないが、ミリスチン酸オレイル、ステアリン酸オレイル、およびオレイン酸オレイルを含む。
(h)9〜22個の炭素原子を有する脂肪酸。適切な例として、必ずしも以下のものに限定されないが、ペラルゴン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リシノール酸、アラキドン酸、ベヘン酸、およびエルカ酸を含む。
(i)必ずしも以下のものに限定されないが、ラウリル、ミリスチル、セチル、ヘキサデシル、ステアリル、イソステアリル、ヒドロキシステアリル、オレイル、リシノレイル、ベへニル、エルキル、および2−オクチルドデシルアルコール等の10〜22個の炭素原子を有する脂肪アルコール。
(j)1〜50個のエチレンオキシド基、または1〜50個のプロピレンオキシド基、またはそれらの混合物からそれに結合した、必ずしも以下のものに限定されないが、ラウリル、セチル、ステアリル、イソステアリル、オレイル、およびコレステロールアルコール等の、10〜20個の炭素原子のエトキシル化脂肪アルコール(ただしこれらに限定されないが)を含む、脂肪アルコールエーテル。
(k)エトキシル化脂肪アルコールの脂肪酸エステル等のエーテル−エステル。
(l)必ずしも以下のものに限定されないが、ラノリン、ラノリン油、ラノリンワックス、ラノリンアルコール、ラノリン脂肪酸、ラノリン脂肪酸イソプロピル、エトキシル化ラノリン、エトキシル化ラノリンアルコール、エトキシル化コレステロール、プロポキシル化ラノリンアルコール、アセチル化ラノリン、アセチル化ラノリンアルコール、リノール酸ラノリンアルコール、リシノール酸ラノリンアルコール、リシノール酸ラノリンアルコールの酢酸、エトキシル化アルコール−エステルの酢酸、ラノリンの水素化分解、エトキシル化水素化ラノリン、エトキシル化ソルビトールラノリン、および液体および半固体ラノリン吸収基剤を含む、ラノリンおよび誘導体。
(m)必ずしも以下のものに限定されないが、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール[M.W.2000−4000]、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレングリコール、グリセロール、エトキシル化グリセロール、プロポキシル化グリセロール、ソルビトール、エトキシル化ソルビトール、ヒドロキシプロピルソルビトール、ポリエチレングリコール[M.W.200−6000]、メトキシポリエチレングリコール350、550、750、2000、5000、ポリ(エチレン酸化物)ホモポリマー[M.W.100,000−5,000,000]、ポリアルキレングリコールおよび誘導体、ヘキシレングリコール(2−メチル−2,4−ペンタンジオール)、1,3−ブチレングリコール、1,2,6,−ヘキサントリオール、エトヘキサンジオールUSP(2−エチル−1,3−ヘキサンジオール)、C15−C18隣接グリコール、およびトリメチルオルプロパンのポリオキシプロピレン誘導体を含む、多価アルコールおよびポリエーテル誘導体。
(n)必ずしも以下のものに限定されないが、エチレングリコールモノおよびジ脂肪酸エステル、ジエチレングリコールモノおよびジ脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール[M.W.200−6000]、モノおよびジ脂肪エステル、プロピレングリコールモノおよびジ脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコール2000モノオレエート、ポリプロピレングリコール2000モノステアレート、エトキシル化プロピレングリコールモノステアレート、グリセリルモノおよびジ脂肪酸エステル、ポリグリセロールポリ脂肪酸エステル、エトキシル化モノステアリン酸グリセリン、1,3−ブチレングリコールモノステアレート、1,3−ブチレングリコールジステアレート、ポリオキシエチレンポリオール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、およびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを含む、多価アルコールエステル。
(o)それらに限定されないが、蜜ろう、鯨ろうを含む、ワックスエステル、ミリスチン酸ミリスチル、およびステアリン酸ステアリル、およびこれらに限定されないが、エーテル−エステルの混合物を形成する様々なエチレン酸化物含有量のエトキシル化ソルビトールとの、蜜ろうの反応生成物である、ポリオキシエチレンソルビトール蜜ろうを含む、蜜ろう誘導体。
(p)それらに限定されないが、カルナバおよびカンデリラワックスを含む、植物ワックス。
(q)レシチンおよび誘導体等のリン脂質。
(r)それらに限定されないが、コレステロールおよびコレステロール脂肪酸エステルを含む、ステロール。
(s)脂肪酸アミド、エトキシル化脂肪酸アミド、および固体脂肪酸アルカノールアミド等のアミド。
ローションは、好ましくは、1%〜10%、より好ましくは、2%〜5%の乳化剤を[重量で]さらに含む。乳化剤は、非イオン性、アニオン性、またはカチオン性であり得る。十分な非イオン性乳化剤の例として、必ずしも以下のものに限定されないが、10〜20個の炭素原子を有する脂肪アルコール、2〜20モルのエチレン酸化物またはプロピレン酸化物で縮合される10〜20個の炭素原子を有する脂肪アルコール、2〜20モルのエチレン酸化物で縮合されるアルキル鎖における6〜12個の炭素原子を有するアルキルフェノール、エチレン酸化物のモノおよびジ脂肪酸エステル、脂肪酸部分が10〜20個の炭素原子を含有するエチレングリコールのモノおよびジ脂肪酸エステル、ジエチレングリコール、分子量200〜6000のポリエチレングリコール、分子量200〜3000のプロピレングリコール、グリセロール、ソルビトール、ソルビタン、ポリオキシエチレンソルビトール、ポリオキシエチレンソルビタン、および親水性ワックスエステルを含む。適切なアニオン性乳化剤として、必ずしも以下のものに限定されないが、脂肪酸部分が10〜20個の炭素原子を含有する脂肪酸石鹸、例えば、ナトリウム、カリウム、およびトリエタノールアミン石鹸を含む。他の適切なアニオン性乳化剤として、必ずしも以下のものに限定されないが、アルカリ金属、アンモニウムまたは置換アンモニウムアルキル硫酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、およびアルキル部分において10〜30個の炭素原子を有するアルキルエトキシエーテルスルホン酸塩を含む。アルキルエトキシエーテルスルホン酸塩は、1〜50のエチレン酸化物単位を含有する。とりわけ、十分なカチオン性乳化剤は、第四級アンモニウム、モルフォリニウム、およびピリジニウム化合物である。前項に記載される特定の皮膚軟化剤は、乳化性も有する。そのような皮膚軟化剤を含有するローションが製剤化される場合、付加的な乳化剤は、組成物に含むことができるが、必要ではない。
ローションのバランスは、水またはCまたはCアルコール、もしくは水とアルコールの混合物である。ローションは、単に、全ての成分を混合することによって製剤化される。好ましくは、ロペラミド等の化合物は、溶解、または懸濁されるか、そうでなければ、混合物において一様に分散される。
そのようなローションの他の従来の成分が、含まれ得る。そのような1つの添加剤は、重量で組成物の1%〜10%の濃度の増粘剤である。適切な増粘剤の例として、それらに限定されないが、架橋カルボキシポリメエチレンポリマー、エチルセルロース、ポリエチレングリコール、トラガカントゴム、カラヤゴム、キサンタンゴムおよびベン
トナイト、ヒドロキシエチルセルロース、ならびにヒドロキシプロピルセルロースを含む。
クリームは、治療される組織へ本発明の治療薬の有効量を送達するために有効な濃度、通常、約0.1%、好ましくは、1%〜50%まで、およびそれ以上、好ましくは、約3%〜50%、より好ましくは、約5%〜15%の本発明の治療薬を含有するように製剤化することができる。クリームは、5%〜50%、好ましくは、10%〜25%の皮膚軟化剤も含有し、残りは、水、または等張緩衝液等の他の適切な非毒性担体である。ローション用の、上述のような皮膚軟化剤は、クリーム組成物において使用することもできる。クリームは、上述のような適切な乳化剤も含み得る。乳化剤は、3%〜50%、好ましくは、5%〜20%の濃度で組成物に含まれる。
溶液または懸濁液として製剤化されるこれらの組成物は、皮膚に適用され得るか、またはエアロゾルあるいは発泡体として製剤化され、スプレー式のものとして皮膚に適用され得る。エアロゾル組成物は、通常、[重量で]25%〜80%、好ましくは、30%〜50%の適切な推進剤を含む。そのような推進剤の例として、塩素化、フッ素化、およびクロロフッ素化の分子量が低い炭化水素がある。亜硝酸酸化物、二酸化炭素、ブタン、およびプロパンも、推進剤ガスとして使用される。これらの推進剤は、当業者には明らかであるように、容器の含有量を放出するために適切な量および圧力下で使用される。
適切に調製された溶液および懸濁液は、眼および粘膜に局所的に適用され得る。溶液、特に、眼への使用を目的とするものは、適切な塩を有する、pH約5〜7の、好ましくは、約0.1%、好ましくは、1%以上で50%まで、またはそれ以上の濃度の、本明細書に記載される1つ以上の化合物を含有する、0.01%〜10%の等張液として製剤化され得る。適切な点眼剤は、周知である[例えば、局所適用に対する点眼洗浄液および溶液の典型的な組成物を記載する、米国特許番号第US5,116,868号を参照]。約7.4に調整したpHを有する、そのような溶液は、例えば、90〜100mMの塩化ナトリウム、4〜6mMのリン酸水素二カリウム、4〜6mMのリン酸水素二ナトリウム、8〜12mMのクエン酸ナトリウム、0.5〜1.5mMの塩化マグネシウム、1.5〜2.5mMの塩化カルシウム、15〜25mMの酢酸ナトリウム、10〜20mMのD.L.−ナトリウム、β.−ヒドロキシ酪酸塩、および5〜5.5mMのグルコースを含有する。
ゲル組成物は、単に、適切な増粘剤を前述の溶液または懸濁液組成物に混合することで製剤化することができる。適切な増粘剤の例は、ローションに対して前述されている。
ゲル状の組成物は、本発明の治療薬の有効量、通常、本明細書において提供される1つ以上の化合物の重量で約0.1〜50%以上の濃度を含有し、前述のような有機溶媒の5%〜75%、好ましくは、10%〜50%であり、増粘剤の0.5%〜20%、好ましくは、1%〜10%であり、バランスは、例えば、有機液体、または担体の混合物等の水、または他の水性あるいは非水性担体である。
製剤は、定常血漿中濃度を作成するように構成および用意することができる。定常血漿濃度は、当業者に周知のHPLC法を使用して測定することができる。定常状態は、薬物可用性の割合が、循環からの薬物脱離の割合と同等である場合に得られる。典型的な医療の場面においては、本発明の治療薬は、定期的な投与計画または一定の注入レジメンのいずれかで患者に投与される。血漿中の薬物濃度は、投与の開始直後に上昇する傾向があり、薬物が、代謝、または排出による、細胞および組織への分配によって、循環から脱離されるにつれて、時間とともに経時的に下がる傾向がある。定常状態は、平均薬物濃度が時間とともに一定になると得られる。間欠投与の場合、薬物濃度の周期パターンは、一定に留まる平均濃度で、各投与間隔において同一に繰り返される。一定注入の場合、平均薬物濃度は、ほとんど変化せずに一定になる。定常状態の達成は、周期が投与間で同一に繰り返されていることが確認できるように、少なくとも1つの周期の投与に渡って血漿中の薬物濃度を測定することによって判断される。通常、間欠投与計画では、定常状態の維持は、次の用量を投与する直前に、周期の連続したトラフの薬物濃度を判断することによって確認することができる。濃度の変化が少ない一定注入レジメンでは、定常状態は、薬物濃度の任意の2つの連続測定によって確認することができる。
本発明の化合物の経口生物学的利用能を改善するために、腸膜浸透性を増加させる賦形剤を使用し得る(Aungst,B.J.J Pharmaceutical Science Vol.89,Issue 4,pp.429‐442,2000)。浸透性増強剤は、界面活性剤、脂肪酸、中鎖グリセリド、ステロイド性洗浄剤、アシルカルニチンおよびアルカノイルコリン、N‐アセチル化α‐アミノ酸およびN‐アセチル化非α‐アミノ酸、およびキトサン、ならびに他の粘膜接着性ポリマーを含み得る。特定の例は、コール酸、グリココール酸、グリコースウルソデオキシコール酸、エチレンジアミンテトラ酢酸、ヒドロキシプロピル‐β‐シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル‐γ‐シクロデキストリン、γ‐シクロデキストリン、テトラデシル‐β‐D‐メルトーズ、オクチルグルコシド、クエン酸、グリシルレチン酸、およびTween‐80(登録商標)(Shah,R.B.et al J Pharm.Sci Apr 93(4):1070‐82,2004)を含む。
本発明の(S)‐7,8‐飽和‐4,エポキシ‐モルフィナニウムは、キット形態で供給され得る。キットは、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウム化合物錠剤を含有するバイアルを含む。キットは、被験体、例えば、下痢のある患者、または下痢の症状を有する患者に錠剤を投与するための説明書も含む。説明書は、例えば、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムが、その対照物である(R)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムを含まない純粋な(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムであることを記載する指示を含む。
本発明の一部の実施形態においては、キットは、任意として、または代替として、医薬製剤のバイアルおよび医薬製剤希釈剤バイアルを含み得る。医薬製剤の希釈剤を含有するバイアルは任意である。希釈剤バイアルは、(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムの濃縮溶液または凍結乾燥粉末であり得るものを希釈するための生理食塩水等の希釈剤を含有する。説明書は、特定量の希釈剤を特定量の濃縮医薬製剤と混合し、それにより、注射または注入用の最終製剤が調製される説明を含み得る。説明書は、有効量の(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムを用いて患者を治療するための説明を含み得る。製剤を含有する容器は、容器がボトル、隔壁を有するバイアル、隔壁を有するアンプル、注入バッグ等であるかどうかにかかわらず、製剤が加圧滅菌または他の方法で殺菌されると色が変化する、従来のマーキング等の付加的指示を含有し得ることも理解される。
本発明は、その適用において、以下の記述で説明される、または図面で示される構成の詳細および成分の配置に限定されない。本発明は、他の実施形態において、様々な方法で実践または実行することができる。また、本明細書で使用される表現および専門用語は、説明の目的であり、限定するものと見なされるべきではない。本明細書において、「含む(including)」、「から成る(comprising)」、または「有する(having)」、「含有する(containing)」、「伴う(involving)」、およびそれらの変型の使用は、その後に列挙される項目、およびその相当物、ならびに付加的項目を包含することを意味する。
「実施例1」
(S)‐17‐(3´‐フェニルブ‐2´‐イニル)‐4,5α‐エポキシ‐3,14‐ジ‐ヒドロキシ‐17‐メチル‐6‐オキソモルフィナニウムヨウ化物の合成および単離
Figure 2010510325
オキシモルホン(200mg、66mmol)および3‐フェニルプロパルギルメシラート(209mg、0.997mmol)を1mLのジメチルホルムアミドに溶解した。反応物を一晩、スチームバス上で攪拌した。HPLC分析は、54%生成物、13%オキシモルホン、およびいくつかの不明な不純物(合わせて33%)を示した。反応物を揮散させ、エタノール(1mL)に溶解し、冷凍庫で一晩保管した後、再度揮散させた。水とクロロホルム中の20%イソプロパノールとの間で残留物を分割した。層を分離し、水層を1mlの10%ヨウ化ナトリウム溶液で処理した。クロロホルム中の20%イソプロパノールで水相を抽出した。1PSペーパーを通して有機相を濾過し、溶媒を真空で除去して、水とクロロホルム中の20%イソプロパノールとの間で残留物を分割し、層を分離した。水相は、200mgのヨウ化ナトリウムで処理し、クロロホルム中の20%イソプロパノールで再抽出した。有機相を統合し、1PSペーパーを通して濾過し、ロータリーエバポレータ上で揮散させて、100mgの残留物を得た。その後、残留物をカラムクロマトグラフィー(Biotage 25Mシリカゲルカラム)によって,650mLの塩化メチレン中の直線勾配0〜20%メタノールで溶出して精製した。画分を含有する最も純粋な生成物を統合し、揮散させて50mgの生成物を得た(18%の収量)。
H NMR(300MHz,CDOD)δ7.7‐7.4(m,5H)、6.79(s,2H)、5.99(d,J=15.9,1H)、4.93(d,J=15.9,1H)、4.92(s,1H)、4.27(d,J=4.2,1H)、3.7‐3.6(m,2H)、3.45(s,3H)、3.4‐3.1(m,2H)、3.1‐2.9(m,2H)、2.25(dt,J=15.3,1H)、2.2‐2.1(m,1H)、1.9‐1.8(m,2H)。MS[M]:417.2。HPLC純度:95.9%(280nmでUV検出)。
HPLC分析は、95%以上の純度を示した。
HPLC条件: Hewlett Packard 1100シリーズ;カラム:Phenomonex Synergi ヒドロRPカラム(C18、5μ、150X4.6mm)、流速:1.0mL/分、カラム温度:40℃;検出器:220および210nmでモニタリングするダイオードアレイ検出器、溶離:定組成60%水、30%緩衝液*、10%メタノール、*700mlの水、300mLメタノール、3mLトリエチルアミン、およびpH3.4を得るために十分なリン酸、または代替として:カラム:Phenomonex SynergiヒドロRPカラム(C18、5μ、150X4.6mm)、流速:1.5mL/分、カラム温度:50℃、検出器:220および280nmでモニタリングするダイオードアレイ検出器、溶離:勾配。
Figure 2010510325
「実施例2」
概要。窒素下のオーブン乾燥したガラス器中で無水反応を実行した。HCl塩としてMallinkrodtからナルトレキソンおよびナルメフェンを購入し、重炭酸ナトリウム溶液で洗浄することによって、使用する前に遊離塩基化した。Alfa Aesarからヨウ化メチルを購入した。全ての溶媒は、Aldrich Co.から購入し、商業的供給源からの化学物質を入荷に応じて使用した。第四級化合物の精製は、再使用した4.3g逆相(C18)RediSepカラムを使用して、ISCO Inc.のCombiFlash(登録商標)Sq16x上で行った。分析的HPLCを行い、Phenomenex Prodigy 5μm ODS3 100Aカラム(150X4.6mm)および精製は、半調整Phenomenex Prodigy 5μm ODS3 100Aカラム(250X21.2mm)上で行った。NMRスペクトルは、JEOL 300MHzスペクトロメーターで記録した。HPLCおよびMSデータは、Agilentシリーズ1100/1200 LC/MSDシステムで取得した。
(S)‐17‐アリル‐17‐シクロプロピルメチル‐4,5α‐エポキシ‐3,14‐ジ‐ヒドロキシ‐6‐ヨウ化オキソモルフィナニウム
Figure 2010510325
合成手順。ナルトレキソン(2.0g、5.86mmol)を窒素下でDMF(10mL、無水)に溶解した。ヨウ化アリル(0.5mL、5.18mmol)を添加した。混合物を室温で4日間攪拌した。DMFを除去した。残留物を50mLの水で10分間攪拌した。水性溶液を固体沈殿物から分離し、ジクロロメタン(50mL)で洗浄した。凍結乾燥して、吸湿性の固体(1.2g)を得た。この固体0.2gを水(30mL)に溶解した。水溶液のpHをNaCOによって10に調整した。この溶液をジクロロメタン(2×20mL)で洗浄し、凍結乾燥して、黄色い固体を得た。この固体を逆相カラム(4g、C18)で28mgの固体に精製し、これは後にF27‐RとF27‐Sの混合物として同定した。上記の吸湿性固体の残り(約1.0g)を同一の処理に供し、F27‐RとF27‐Sの混合物として別の固体81mgを得た。この81mgの固体を半調製HPLCで分離し、55mg(2%)の(R)および95mg(0.3%)のSを得た。
R:H NMR(300MHz、D2O)、δ6.83(d,J=8.4Hz,1H)、6.77(d,J=8.4Hz,1H)、6.14‐6.04(m,1H)、5.73‐5.67(m,1H)、5.13‐5.04(m,1H)、5.04(s,1H)、4.97‐4.89(m,1H)、3.72‐3.58(m,3H)、3.17‐2.83(m,5H)、2.30‐2.25(m,1H)、2.16‐2.09(m,1H)、1.88‐1.78(m,1H)、1.24‐1.14(m,1H)、0.85‐0.75(m,2H)、0.52‐0.42(m,2H)。MS[M]:382.2。HPLC純度:99%(254nmでUV検出)。
図4は、(R)‐17‐アリル‐17‐シクロプロピルメチル‐4,5α‐エポキシ‐3,14‐ジヒドロキシ‐6‐ヨウ化オキソモルフィナニウムのプロトンNMRスペクトルである。
S:H NMR(300MHz、DO)、δ6.67(d,J=8.4Hz,1H)、6.39(d,J=8.4Hz,1H)、6.64(m,1H)、5.5.42(m,2H)、5.05(s,1H)、4.8(m,2H)、3.68(m,2H)、3.17(m,1H)、2.90(m,4H)、2.40(m,1H)、2.16(m,4H)、1.70(m,1H)、0.83(m,1H)、0.58(m,2H)、0.21(m,2H)。MS[M]:382.2。HPLC純度:99%(254nmでUV検出)。
図3は、(S)‐17‐アリル‐17‐シクロプロピルメチル‐4,5α‐エポキシ‐3,14‐ジヒドロキシ‐6‐ヨウ化オキソモルフィナニウムのプロトンNMRスペクトルである。
(S)‐7,8‐飽和‐4,5α‐エポキシ‐モルフィナニウムのオピエート受容体結合。科学的文献から採用した方法(Simonin,F et al 1994,Mol.Pharmacol 46:1015‐1021、Maguire,P.et al 1992,Eur.J.Pharmacol.213:219‐225、Simonin,F.et al PNAS USA 92(15):1431‐1437、Wang,JB 1994,FEBS Lett 338:217‐222)を使用して、放射性リガンド結合アッセイを行い、μ、κ、およびδ‐オピエート受容体の(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムの結合特性を決定することができる。例えば、細胞膜は、ヒトオピオイド受容体材料に関連し得る。4つのオピオイド受容体全てに対して親和性を有するジプレノルフィンは、試験化合物に対する競合チャレンジとして使用することができる。その後、細胞膜を分離し、試験化合物の受容体材料への結合をシンチレーション計数によって決定することができる。ナルトレキソン等の標準物質を使用して、相対結合親和性を決定することができる。
(S)‐17‐アリル‐17‐シクロプロピルメチル‐4,5α‐エポキシ‐3,14‐ジヒドロキシ‐6‐ヨウ化オキソモルフィナニウムは、ナルトレキソン標準物質と比較して、68%のμ受容体抑制を示すことが分かった。(S)‐17‐(3′‐フェニルブチ‐2′‐ニル)‐4,5α‐エポキシ‐3,14‐ジ‐ヒドロキシ‐17‐メチル‐6‐ヨウ化オキソモルフィナニウムは、μ受容体における標準物質の特異的結合に対して、80%の抑制を示した。(S)‐17‐(3,3‐ジメチルアリル)‐4,5α‐エポキシ‐3,14‐ジ‐ヒドロキシ‐17‐メチル‐6‐ヨウ化オキソモルフィナニウムは、標準物質のμ(ナルトレキソン)特異的結合の65%の抑制を示した。
μ受容体に関する(S)‐7,8‐飽和‐4,5α‐エポキシ‐モルフィナニウムの体外薬理学。μ受容体アゴニスト/アンタゴニスト活性は、当該技術分野で知られている方法によって、電界刺激されたモルモット腸を使用して決定され得る。例えば、モルモットの末端腸部分を、酸化(95%O2および5%CO2)および事前に加温した(37℃)以下の組成物(mM):NaCl 118.0、KCl 4.7、MgSO 1.2、CaCl 2.5、KHPO 1.2、NaHCO 25.0およびグルコース 11.0(pH7.4)の生理食塩溶液で填した20mlの器官槽に懸濁することができる。採用できる付加的な実験条件は、Hutchinson et al.(1975)Brit.J.Pharmacol.,55:541‐546に記載されている。
インドメタシン(1μM)、ノル‐ビナルトルフィミン(0.01μM)、メチセルジド(1μM)、オンダンセトロン(10μM)およびGR113808(0.1μM)も、実験を通して存在し、プロスタノイド放出を回避し、k‐オピオイド、5‐HT、5‐HT、および5‐HT受容体をそれぞれブロックし得る。通常、かかる試験における組織は、等尺性張力記録のための力変換器に連結している。組織は、例えば、1gの静止張力に伸張された後、それらが繰り返し洗浄され、張力が再調節され得る間、例えば、約60分間釣り合わせることができる。最大収縮を誘引する最小強度のパルスを伴う電気刺激、および短期間、例えば、1ms期間は、0.1Hzなどの周波数における定電流刺激装置によって送達される。実験は、多重チャネルのデータ取得を用いて、多器官槽を備える半自動化単離器官システムを使用して行うことができる。
アゴニスト活性に関する典型的な試験。亜最大濃度の参照アゴニストDAMGO(0.1μM)に組織を暴露し、反応性を検証して、対照反応を得ることができる。広範囲の洗浄および対照痙攣収縮の回復に続いて、組織を増大する濃度の(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムまたは同一のアゴニストに曝露され得る。異なる濃度を蓄積的に添加し、安定反応が得られるまで、または最大15分間、各濃度を組織と接触させたままにする。アゴニスト様反応(痙攣収縮の阻害)が得られる場合、参照アンタゴニストナロキソン(0.1μM)は、反応へのμ受容体の関与を確認するために、使用された最高濃度の(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムに対して試験することができる。
アンタゴニスト活性に関する典型的試験。亜最大濃度の参照アゴニストDAMGO(0.1μM)に組織を暴露し、対照反応を得ることができる。DAMGO誘発性反応を安定化した後、増加する濃度の(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムまたは参照アンタゴニストナロキソンを累積的に添加し得る。各濃度は、安定反応が得られるまで、または15分等の最大時間、組織と接触させておいてもよい。各化合物濃度によって誘発された電気的に励起された痙攣収縮の振幅における最大変化を測定することができる。結果は、DAMGOに対する対照反応のパーセント(平均値)として表され得る。EC50値(半最大反応を生じる濃度)またはIC50値(DAMGOに対する反応の半最大抑制を引き起こす濃度)は、濃度反応曲線の直線回帰分析によって決定され得る。(S)‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムによるDAMGO誘発性反応の抑制は、μ受容体においてアンタゴニスト活性を示し得る。
電界刺激されたモルモット腸において、μ受容体アゴニストDAMGOは、痙攣収縮の振幅の濃度依存減少を誘発し、その減少は濃度依存様式でアンタゴニストナロキソンにより反転する。未処理の組織において、アゴニストは、痙攣収縮の振幅において濃度依存およびナロキソン過敏性の減少をもたらす。DAMGOを用いて既に抑圧された組織においては、アゴニストは、痙攣収縮の振幅の任意の回復を生じないが、さらなる減少を引き起こす。
「実施例3」
モルモット腸内のμオピオイド受容体におけるアゴニストおよびアンタゴニスト活性に関して評価した(S)‐17‐(3′‐フェニルブチ‐2′ニル)‐4,5α‐エポキシ‐3,14‐ジ‐ヒドロキシ‐17‐メチル‐6‐ヨウ化オキソモルフィナニウム(「(S)‐PM」)および(S)‐17‐(3,3‐ジメチルアリール‐ジヒドロキシ‐17‐メチル‐6‐酸化オキソモルフィナニウム(「(S)‐DMAM」)の効果
Figure 2010510325
Figure 2010510325
結果は、DAMGOに対する対照反応のパーセントとして表される(痙攣収縮の振幅における減少)(平均値;n=2)。
モルモット腸内のマイクロおぴおいどじゅ容態における(S)―17―(3‘配布んふぇにるぶちー2’似る)―4,5アルファーエポキシ‐3,14‐ジ‐ヒドロキシ‐17‐メチル‐6‐ヨウ化オキソモルフィナニウム(「(S)‐PM」)および(S)‐17‐(3,3‐ジメチルアリール‐ジヒドロキシ‐17‐メチル‐6‐酸化オキソモルフィナニウム(「(S)‐DMAM」)に関して決定されたEC50およびIC50値
Figure 2010510325
ラットの胃腸通過試験。ラットにおける胃腸通過のモルヒネ誘発性抑制に対する本発明の(S)‐N‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムの影響は、A.F.Green,Br.J.Pharmacol.14:26‐34,1959、L.B.Witkin,C.F.et al J.Pharmacol.Exptl.Therap.133:400‐408,1961;D.E.Gmerek,et al J.Pharmacol.Exptl.Ther.236:8‐13,1986、およびO.Yamamoto et al.Neurogastroenterol.Motil.10:523‐532,1998に記載されるものを含む、当該技術分野で知られる方法を使用して決定することができる。かかる試験を使用して、腸運動過剰問題の治療における(S)‐アゴニストの有用性を示すことができる。
かかる試験において、化合物を増大する濃度でラットに皮下投与する。対照(例えば、モルヒネ)および試験アゴニスト化合物を皮下投与した後、0.25%メチルセルロース中の活性炭の10%懸濁液を経口投与する。活性炭を投与した後、ラットを安楽死させ、腸を除去し、メートル尺に沿って湿った紙の上で軽く伸ばす。幽門括約筋から盲腸までの小腸を測定し、各ラットに関して、活性炭が移動した距離をその長さの留分として評価する。活性炭が移動した個別の距離(cm)を各ラットの小腸の全長(cm)(幽門括約筋から盲腸まで)で割った。
抗下痢活性の試験。抗下痢活性の試験は、本発明の(S)‐N‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムに対して実行することもできる。例えば、Niemegeers et al.(1972)Arzneim Forsch 22:516‐518、米国特許第4,867,979号、第4,990,521号、第4,824,853号に記載のキャスターオイル試験を使用し得る。かかる試験においては、ラットまたはマウスを一晩絶食させ得る。望ましい用量の試験化合物を用いて、各動物を静脈的に処理する。一定期間が経過した後、動物は、キャスターオイルまたはリシニオオイル等のオイルの投与を経口的に受ける。各動物は、個別のケージに入れる。キャスターオイル治療から一定期間が経過した後、下痢の有無について各動物を評価する。ED50値は、試験した動物の50%において下痢が存在しない、体重1kg当たりのmg用量として決定される。
抗下痢活性は、マウスにおけるPGE誘発性の下痢のアンタゴニストとしての化合物の影響を評価することによって決定することもできる[例えば、Dajani et al.(1975)European Jour.Pharmacol.34:105‐113;およびDajani et al.(1977)J.Pharmacol.Exp.Ther.203:512‐526を参照。例えば、米国特許第4,870,084号を参照]。本方法は、本方法のみで処理したマウスにおいて、15分以内に確実に下痢を誘発する。
鎮痛活性の試験。以下の疼痛モデルは、(S)‐N‐7,8‐飽和‐4,5‐エポキシ‐モルフィナニウムの鎮痛作用を決定する際に有用である。
マウスの酢酸苦悶アッセイ。マウス(CD‐1、オス)を計量し、個別のケージに入れる。試験または対照品目を投与し、適切な吸収時間が経過した後、酢酸溶液を腹腔内投与する。酢酸の腹腔内投与から10分後、5分間身をよじる回数を記録する。
各マウスが身をよじる回数の合計を記録する。対照および各試験品目群に関して、ANOVAを使用した後、関連多重比較試験によって、身をよじる平均回数を比較し、抑制率を計算する。
フェニルキノン(PPQ)苦悶アッセイ。マウス(CD‐1、オス)を計量し、個別のケージに入れる。試験または対照品目を投与し、適切な吸収時間が経過した後、PPQ溶液(0.02%水性溶液)を腹腔内投与する。苦悶の提示に関して、各動物を10分間注意深く観察する。
各マウスが身をよじる回数の総数を記録する。対照および各試験品目群に関して、ANOVAを使用した後、関連多重比較試験によって、身をよじる平均回数を比較し、抑制率を計算する。
フェニルキノン(PPQ)苦悶アッセイ。マウス(CD−1、オス)を計量し、個別のケージに入れる。試験または対照品目を投与し、適切な吸収時間が経過した後、PPQ溶液(0.02%水溶液)を腹腔内投与する。苦悶の提示に関して、各動物を10分間注意深く観察する。
各マウスが身をよじる回数の総数を記録する。対照および各試験品目群に関して、ANOVAを使用した後、関連多重比較試験によって、身をよじる平均回数を比較し、抑制率を計算する。
ラットのランドール‐セリットアッセイ。本アッセイの目的は、ラットの疼痛閾値に対する試験品目の効果を決定することである。
一晩絶食させた後、ラットを10匹の群に分ける。担体対照として20匹のラットを使用する。その後、20%酵母菌懸濁液をラットの左後ろ足の足底面に連続的に注射する。2時間後、ラットに試験品目、参照薬物、または対照担体を投与する。用量投与の1時間後、直線スケールに沿って定速で増加する力を及ぼす「鎮痛メーター」によって、炎症を起こした足および炎症を起こしていない足の疼痛閾値を測定する。
炎症を起こした足および炎症を起こしていない足に関して、対照群の閾値および標準偏差を計算する。試験品目群および参照群のラットは、個別の疼痛閾値が対照群の平均閾値を平均値の標準偏差の2倍超える場合保護されると考えられる。
ホットプレート鎮痛アッセイ。各マウス(CD‐1、オス)は、実験を通してそれ自身の対照とする。マウスを連続的にホットプレート鎮痛メーター(55℃±2℃に設定)に載せる。マウスは熱刺激に対し、以下のように特徴的に反応する。
1 前足を舐める
2 後ろ足を急速に扇形に広げる
3 ホットプレートから突然飛び上がる
3つの反応型のいずれかを熱刺激に対するエンドポイントと見なす。エンドポイントを示したら、即時にマウスをホットプレートから除去する。反応時間は、マウスをホットプレート上に配置してから明らかなエンドポイントを示すまでに経過した秒数により定量的に計測する。経過時間は、少なくとも0.2秒まで正確なストップウォッチで測定する。対照反応時間が10.0秒以下のマウスのみを使用する。試験または対照品目投与後15分、30分、60分、および120分(±1〜5分)において、反応時間を得て、群に関して連続的に記録する。
鎮痛反応は、熱刺激に対するマウスの反応時間の増加である。鎮痛パーセントは、特定の時間間隔における用量レベル当たりのマウス10匹から成る群の平均反応から計算する。
Figure 2010510325
その後、適切な多重比試験を用いたANOVAを行う。
ラット尾部放射熱試験(尾部のはね)。試験品目が、ラットにおいて熱刺激に対する鎮痛反応を生成する潜在能力を評価する。
一晩絶食させた後、ラットを計量し、10匹の群に入れる。試験品目または担体対照品目を投与する。Tail Flick Analgesia Meterを使用する。経口投与後60分(またはスポンサーによって推奨されるとおり)、各ラットの尾部を特定強度の熱刺激に暴露し、反応を誘発するために必要な時間(特徴的尾部のはね)を記録する。
鎮痛パーセントは、試験品目の反応平均と比較した対照品目の平均を使用して計算される。
末梢抗痛覚過敏薬として使用するための化合物の同定。一般に、上述の方法は、試験化合物の末梢抗痛覚過敏作用を評価するためにも有用である。抗痛覚過敏作用を評価するための方法の中で最も好ましいものは、Niemegeers et al.(1974)Drug Res.24:1633‐1636に記載される方法である。
キャスターオイル試験等の抗下痢活性の試験におけるED50値[A]の、尾部引き戻し試験等のCNS効果の試験におけるED50値[B]に対する比[C]の評価。本方法および組成物に使用とする薬剤は、それらの抗下痢薬としての活性、およびCNS効果の欠如によって同定され得る。特に、選択された化合物は、上述の全ての標準モデルにおいて、抗痛覚過敏活性を呈し、好ましくは、(a)標準アッセイで測定されるようなこれらの活性の比[B/A]は、ジフェノキシレートに対するそのような活性の比よりも、実質的に大きいか、または等しい[少なくとも等しい、より好ましくは、少なくとも約2倍大きい]、または(b)CNSの活動を測定するアッセイにおける化合物の活性は、ジフェノキシレートよりも実質的に少ない[少なくとも2倍、好ましくは、3倍以上]。
ヒトμMOP受容体を発現するCHO細胞における体外薬理学cAMPアッセイ。μオピオイド受容体は、Gi蛋白質共役型で、cAMPの増大を抑制することにより作用する。したがって、cAMPの変化を使用して、μ受容体におけるアゴニスト/アンタゴニスト活性を決定することができる。細胞cAMPは、フォルスコリンの添加によって増大され得る。DAMGO、または類似アゴニスト、例えば、エンドモルフィン‐1、フェンタニル、またはモルヒネの添加前に、このフォルスコリン誘発性の増加を抑制する。アゴニスト効果の不在により、フォルスコリン単独に等しい結果が生じる。したがって、アゴニスト濃度の増加がcAMPレベルを減少させる。
CTOP、ナロキソン、およびシプロダイム等のアンタゴニストは、cAMP阻害を抑制する。試験化合物、次にDAMGO、その後フォルスコリンを添加することによって、試験化合物がアンタゴニスト活性を有するかどうかを決定することができる。アンタゴニスト濃度の増加は、cAMPを増大させる。
抽出されたcAMPレベルは、アルカリホスファターゼを利用する競合EIAアッセイを介して決定され得る。付加的な実験条件は、例えば、Toll L.,J Pharmacol Exp Ther.(1995)273(2):721‐7に記載のとおりである。
本明細書で引用または参照した全ての特許、特許出願、および科学的発行物の開示は、参照することにより組み込まれ、付加的または代替的な詳細、特性および/または技術的背景を教示するために適切であり、2006年5月25日提出の米国特許出願第11/441,395号「(R)‐N‐メチルナルトレキソンの合成」および第11/441,452号「(S)‐N‐メチルナルトレキソン」を含む。参照によって組み込まれる文書と即時適用とが対立する場合は、即時適用が優先する。
したがって、本発明は、いくつかの実施形態に関して説明してきたが、当然のことながら、当業者は、様々な変更、修正、および改善を容易に思いつくであろう。そのような変更、修正、および改善は、本開示の一部となるものであり、本発明の精神および範囲内である。したがって、前述の説明および図面は、いかなる方法によっても、単なる実施例である。
実施形態に関する声明
本発明は、実施例に関して説明してきたが、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の精神または範囲を逸脱することなく、様々な変更および/または修正を本発明に加えることができることを、当業者は容易に理解するであろう。引用される全ての文書は、付加的または代替的な詳細、特性および/または技術的背景の教示のために、必要に応じて、本明細書に参照によって組み込まれる。

Claims (63)

  1. 式I(c)の窒素に関して(S)配置の単離化合物、
    Figure 2010510325
    もしくはその医薬的に許容される塩形態またはプロドラッグ形態であって、
    式I(c)中、
    R1およびR2は、独立してH、OH、OR26、ハロゲン化物、シリル、ヒドロカルビル、シクロヒドロカルビル、またはそれらの置換部分であるか、
    またはR1およびR2は、結合して、R19、ベンゾ縮合環、または5〜6員のヘテロアリール縮合環に従って置換され得るC3−C6カルボシクル縮合環を形成することもでき、
    R3は、H、シリル、CO2R19、SO2R19、B(OR26)2;
    0−3R19で置換された(C1−C8)アルキル;
    0−3R19で置換された(C2−C8)アルケニル;
    0−3R19で置換された(C2−C8)アルキニル;
    0−3R20で置換された(C3−C10)シクロアルキル;
    0−3R20で置換された(C3−C10)カルボシクル;
    0−3R20で置換されたアリール;
    C1−C3アシルであり、
    R5は、H、OH,OR26、
    0−3R19で置換された(C1−C8)アルキル;
    0−3R19で置換された(C2−C8)アルケニル;
    0−3R19で置換された(C2−C8)アルキニル;
    0−3R20で置換された(C3−C10)シクロアルキル;
    0−3R20で置換された(C3−C10)カルボシクル;
    0−3R20で置換されたアリールであり、
    R6は、H、=O、OH、OR26、=(R19)(R19′)、=(0−3R20で置換されたヘテロ環)、=(0−3R20で置換されたC3−C7環);
    0−3R19で置換された(C1−C8)アルキル;
    0−3R19で置換された(C2−C8)アルケニル;
    0−3R19で置換された(C2−C8)アルキニル;
    0−3R20で置換された(C3−C10)シクロアルキル;
    0−3R20で置換された(C3−C10)カルボシクル;
    0−3R20で置換されたアリール;
    アミン、アミド、スルホンアミド、またはエステルであり、
    R7およびR8は、独立してH、ヒドロカルビル、シクロヒドロカルビル、0−3R20を有するヘテロ環、0−3R20を有するアルキルアリール、0−3R20を有するアリールアルキル、またはそれらの置換部分、あるいは、
    Figure 2010510325
    (式中、Xは結合、=O、O、S、N(R19)、SO、SO2、SO2N(R19)、CON(R19)、N(R19)CON(R19′)、N(R19)C(=NR19′)N(R19″)、COOである)であるか、

    またはR7およびR8が結合されて、R19、ベンゾ縮合環、5、6、または5〜6員アリールあるいは0−3R20を有するヘテロアリールに従って置換され得るカルボシクル縮合環を形成し、
    R14は、H、OH、OR26、NR22R23SR25、S(=O)R25、SO2R25、0−3R20を有するヘテロ環、0−3R20を有するアルキルアリール、0−3R20を有するアリールアルキル、
    Figure 2010510325
    (式中、Xは結合、=O、O、S、N(R19)、SO、SO2、SO2N(R19)、CON(R19)、N(R19)CON(R19′)、N(R19)C(=NR19′)N(R19″)、COOである)、
    0−3R19で置換された(C1−C8)アルキル;
    0−3R19で置換された(C2−C8)アルケニル;
    0−3R19で置換された(C2−C8)アルキニル;
    0−3R20で置換された(C3−C10)シクロアルキル;
    0−3R20で置換された(C3−C10)カルボシクル;
    0−3R20で置換されたアリール;アリールオキシ、アシルオキシであるか、
    または第四級窒素に関するその配置によって、R14はR18と結合されて、O縮合環またはC3−C6カルボシクル縮合環を形成することができ、
    R17およびR18は、置換され得るC1−C6ヒドロカルビルであり、R18がメチルである場合、R17はアリル、0−3R20を有するヘテロ環、0−3R20を有するアルキルアリール、0−3R20を有するアリールアルキル、
    Figure 2010510325
    (式中、Xは、結合、=O、O、S、N(R19)、SO、SO2、SO2N(R19)、CON(R19)、N(R19)CON(R19′)、N(R19)C(=NR19′)N(R19″)、COOである)ではなく、
    R19は、各発生時に、H、C1−C6アルキル、CF3、OR24、Cl、F、Br、I、=O、CN、NO2、NR22R23、0−3R20で置換されたアリール;
    0−3R21で置換されたC3−C10カルボシクル;
    0−3R21で置換されたアリール;または
    窒素、酸素、および硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜10員ヘテロ環から独立して選択され、前記5〜10員ヘテロ環は、0−3R21で置換され、
    R20は、各発生時に、H、OH、Cl、F、Br、I、CN、NO2、NR22R23、アセチル、OR25、XR25、
    C1−C6アルキル、C1−C4アルコキシ、C1−C4ハロアルキル、
    C1−C4ハロアルコキシ、およびC1−C4ハロアルキル−S−から独立して選択され、
    R21は、各発生時に、H、OH、Cl、F、Br、I、CN、NO2、NR22R23、CF3、アセチル、OR25、XR25、
    C1−C6アルキル、C1−C4アルコキシ、C1−C4ハロアルキル、
    C1−C4ハロアルコキシ、およびC1−C4ハロアルキル−S−であるか、または、NR22R23が、ピペリジニル、ホモピペリジニル、チオモルホリニル、ピペリジニル、およびモルホリニルから成る群より選択される複素環であり得、
    R22は、各発生時に、H、C1−C6アルキル、C6−C10アリール、ヘテロアリール、ヘテロ環、アルキルアリール、およびアリールアルキル;
    (C1−C6アルキル)−C(=O)−、および(C1−C6アルキル)−S(=O)2−から独立して選択され、
    R23は、各発生時に、H、(C1−C6)アルキル、C6−C10アリール、ヘテロアリール、ヘテロ環、アルキルアリール、ハロアルキル、アリールアルキル、(C1−C6アルキル)−C(=O)−、および(C1−C6アルキル)−S(=O)2−から独立して選択され、
    R24は、各発生時に、H、フェニル、ベンジル、(C1−C6)アルキル、および(C2−C6)アルコキシアルキルから独立して選択され、
    R25は、アルキル、アリール、またはアリールアルキルであり、
    R26は、各発生時に、
    H、C1−C6アルキル、CF3;
    0−3R21で置換されたC3−C10カルボシクル;
    0−3R21で置換されたアリール;または
    窒素、酸素、および硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜10員ヘテロ環から独立して選択され、前記5〜10員ヘテロ環は、0−3R21で置換され、
    X−は陰イオンである、単離化合物。
  2. 式Iの窒素に関して(S)配置の単離化合物、
    Figure 2010510325
    もしくはその医薬的に許容される塩形態またはプロドラッグ形態であって、
    式I中、
    R1およびR2は、独立してH、OH、OR26、ハロゲン化物、シリル;ヒドロカルビル、シクロヒドロカルビル、またはその置換部分であるか、またはR1およびR2は結合して、R19、ベンゾ縮合環、あるいは5〜6員のヘテロアリール縮合環に従って置換され得るC3−C6カルボシクル縮合環を形成することもでき、
    R3は、H、シリル;
    0−3R19で置換された(C1−C8)アルキル;
    0−3R19で置換された(C2−C8)アルケニル;
    0−3R19で置換された(C2−C8)アルキニル;
    0−3R20で置換された(C3−C10)シクロアルキル;
    0−3R20で置換された(C3−C10)カルボシクル;
    0−3R20で置換されたアリール;
    C1−C3アシルであり、
    R5は、H、OH、OR26、
    0−3R19で置換された(C1−C8)アルキル;
    0−3R19で置換された(C2−C8)アルケニル;
    0−3R19で置換された(C2−C8)アルキニル;
    0−3R20で置換された(C3−C10)シクロアルキル;
    0−3R20で置換された(C3−C10)カルボシクル;
    0−3R20で置換されたアリールであり、
    R6は、H、=O、OH、OR26;
    0−3R19で置換された(C1−C8)アルキル;
    0−3R19で置換された(C2−C8)アルケニル;
    0−3R19で置換された(C2−C8)アルキニル;
    0−3R20で置換された(C3−C10)シクロアルキル;
    0−3R20で置換された(C3−C10)カルボシクル;
    0−3R20で置換されたアリール;
    アミン、アミド、スルホンアミド、またはエステルであり、
    R7およびR8は、独立してH、ヒドロカルビル、シクロヒドロカルビル、またはその置換部分であるか、またはR7およびR8は結合して、R19、ベンゾ縮合環、あるいは5〜6員のヘテロアリール縮合環に従って置換され得るカルボシクル縮合環を形成し、
    R14は、H、OH、OR26、NR22R23SR25、S(=O)R25、SO2R25;
    0−3R19で置換された(C1−C8)アルキル;
    0−3R19で置換された(C2−C8)アルケニル;
    0−3R19で置換された(C2−C8)アルキニル;
    0−3R20で置換された(C3−C10)シクロアルキル;
    0−3R20で置換された(C3−C10)カルボシクル;
    0−3R20で置換されたアリール;アリールオキシ、アシルオキシであるか、
    もしくは第四級窒素に関するその配置によって、R14はR17またはR18と結合し、O縮合環またはC3−C6カルボシクル縮合環を形成することができ、
    R17およびR18は、置換され得るC1−C6ヒドロカルビルであって、R18がメチルである場合は、R17がアリルではなく、
    R19は、各発生時に、
    H、C1−C6アルキル、CF3、OR24、Cl、F、Br、I、=O、CN、NO2、NR22R23;
    0−3R21で置換されたC3−C10カルボシクル;
    0−3R21で置換されたアリール;または
    窒素、酸素、および硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜10員ヘテロ環から独立して選択され、前記5〜10員ヘテロ環は、0−3R21で置換され、
    R20は、各発生時に、H、OH、Cl、F、Br、I、CN、NO2、NR22R23、アセチル、
    C1−C6アルキル、C1−C4アルコキシ、C1−C4ハロアルキル、
    C1−C4ハロアルコキシ、およびC1−C4ハロアルキル−S−から独立して選択され、
    R21は、各発生時に、H、OH、Cl、F、Br、I、CN、NO2、NR22R23、CF3、アセチル、
    C1−C6アルキル、C1−C4アルコキシ、C1−C4ハロアルキル、
    C1−C4ハロアルコキシ、およびC1−C4ハロアルキル−S−から独立して選択されるか、または
    NR22R23は、ピペリジニル、ホモピペリジニル、チオモルホリニル、ピペリジニル、およびモルホリニルから成る群より選択される複素環であり得、
    R22は、各発生時に、H、C1−C6アルキル、
    (C1−C6アルキル)−C(=O)−、および(C1−C6アルキル)−S(=O)2−から独立して選択され、
    R23は、各発生時に、
    H、(C1−C6)アルキル、
    (C1−C6アルキル)−C(=O)−、および(C1−C6アルキル)−S(=O)2−から独立して選択され、
    R24は、各発生時に、H、フェニル、ベンジル、(C1−C6)アルキル、および(C2−C6)アルコキシアルキルから独立して選択され、
    R25は、アルキル、アリール、またはアリールアルキルであり、
    R26は、各発生時に、
    H、C1−C6アルキル、CF3;
    0−3R21で置換されたC3−C10カルボシクル;
    0−3R21で置換されたアリール;または
    窒素、酸素、および硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜10員ヘテロ環から独立して選択され、前記5〜10員ヘテロ環は、0−3R21で置換され、
    X−は陰イオンである、単離化合物。
  3. 前記陰イオンが、ハロゲン化物、硫酸、リン酸、硝酸、または陰イオン電荷有機種である、請求項2に記載の式(I)の化合物、もしくはその医薬的に許容される塩形態またはプロドラッグ形態。
  4. 前記ハロゲン化物が臭化物である、請求項3に記載の式(I)の化合物、もしくはその医薬的に許容される塩形態またはプロドラッグ形態。
  5. 前記ハロゲン化物がヨウ化物である、請求項3に記載の式(I)の化合物、もしくはその医薬的に許容される塩形態またはプロドラッグ形態。
  6. 少なくとも90%の純度を有する、請求項2に記載の式(I)の化合物、もしくはその医薬的に許容される塩形態またはプロドラッグ形態。
  7. 少なくとも95%の純度を有する、請求項2に記載の式(I)の化合物、もしくはその医薬的に許容される塩形態またはプロドラッグ形態。
  8. 結晶形を含む、請求項2に記載の式(I)の化合物、もしくはその医薬的に許容される塩形態またはプロドラッグ形態。
  9. 結晶形を含む、請求項4に記載の式(I)の化合物、もしくはその医薬的に許容される塩形態またはプロドラッグ形態。
  10. 前記S−配置は、前記第四級窒素に関して95%の純度である、請求項2に記載の式(I)の化合物、もしくはその医薬的に許容される塩形態またはプロドラッグ形態。
  11. 前記S−配置は、第四級窒素に関して98%の純度である、請求項2に記載の式(I)の化合物、もしくはその医薬的に許容される塩形態またはプロドラッグ形態。
  12. 前記S−配置は、前記第四級窒素に関して99.5%の純度である、請求項2に記載の式(I)の化合物、もしくはその医薬的に許容される塩形態またはプロドラッグ形態。
  13. 前記S−配置は、前記第四級窒素に関して99.8%の純度である、請求項2に記載の式(I)の化合物、もしくはその医薬的に許容される塩形態またはプロドラッグ形態。
  14. 請求項2に記載の化合物、もしくはその医薬的に許容される塩形態またはプロドラッグ形態を含む組成物であって、前記S−配置が、前記第四級窒素に関して99.8%の純度である、組成物。
  15. 前記組成物が溶液である、請求項14に記載の組成物。
  16. 前記組成物が固体である、請求項14に記載の組成物。
  17. 治療有効量の請求項2に記載の化合物、および医薬的に許容される担体を含む、医薬組成物。
  18. 前記組成物が経口製剤である、請求項17に記載の医薬組成物。
  19. 前記組成物が、放出制御または徐放性製剤である、請求項17に記載の医薬組成物。
  20. 前記組成物が局所製剤である、請求項17に記載の医薬組成物。
  21. 前記組成物が凍結乾燥される、請求項17に記載の医薬組成物。
  22. 前記組成物が坐薬である、請求項17に記載の医薬組成物。
  23. 請求項17に記載の医薬組成物を含有する吸入器。
  24. 請求項17に記載の医薬組成物を含有する鼻腔用スプレー装置。
  25. 請求項2に記載の化合物の成分以外の治療薬をさらに含む、請求項17に記載の医薬組成物。
  26. 前記治療薬がオピオイドアゴニストである、請求項25に記載の医薬組成物。
  27. 前記オピオイドが、アルフェンタニル、アニレリジン、アシマドリン、ブレマゾシン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、コデイン、デゾシン、ジアセチルモルフィン(ヘロイン)、飽和コデイン、ジフェノキシレート、フェドトジン、フェンタニル、フナルトレキサミン、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、レバロルファン、レボメタジル酢酸、レボルファノール、ロペラミド、メペリジン(ペチジン)、メサドン、モルヒネ、モルヒネ−6−グルクロニド、ナルブフィン、ナロルフィン、アヘン、オキシコドン、オキシモルホン、ペンタゾシン、プロピラム、プロポキシフェン、レミフェンタニル、スフェンタニル、チリジン、トリメブチン、トラマドール、およびそれらの組み合わせから成る群より選択される、請求項26に記載の医薬組成物。
  28. 前記オピオイドまたはオピオイドアゴニストが、実質的に中枢神経系(CNS)活性を有しない、請求項26に記載の医薬組成物。
  29. 前記治療薬が、オピオイド、オピオイドアゴニスト、またはオピオイドアンタゴニストでない、請求項25に記載の医薬組成物。
  30. 前記治療薬が、非オピオイド鎮痛剤/抗利尿薬、抗ウイルス物質、抗生物質、抗真菌薬、抗菌剤、防腐剤、抗原虫薬、抗寄生虫薬、抗炎症剤、血管収縮薬、局所麻酔薬、抗下痢薬、抗痛覚過敏薬、またはそれらの組み合わせである、請求項29に記載の医薬組成物。
  31. 前記治療薬が、ロペラミド、ロペラミド類似体、ロペラミドのN−オキシドである抗下痢薬、およびその類似体、代謝物およびプロドラッグ、ジフェノキシレート、シサプリド、制酸薬、水酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、ポリカルボフィル、シメチコン、ヒヨスチアミン、アトロピン、フラゾリドン、ジフェノキシン、オクトレオチド、ランソプラゾール、カオリン、ペクチン、活性炭、スルファグアニジン、スクシニルスルファチアゾール、フタリルスルファチアゾール、アルミン酸ビスマス、次炭酸ビスマス、次クエン酸ビスマス、クエン酸ビスマス、二クエン酸ビスマス酸三カリウム、酒石酸ビスマス、次サリチル酸ビスマス、次硝酸ビスマスおよび次没食子酸ビスマス、アヘンチンキ(パレゴリック)、漢方薬、植物由来の抗下痢薬またはそれらの組み合わせである、請求項29に記載の医薬組成物。
  32. 前記治療薬が、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)である抗炎症剤、腫瘍壊死因子抑制剤、バシリキシマブ、ダクリズマブ、インフリキシマブ、ミコエノレート、モフェチル、アゾチオプリン、タクロリムス、ステロイド、スルファサラジン、オルサラジン、メサルアミン、またはそれらの組み合わせである、請求項29に記載の医薬組成物。
  33. 前記治療薬が抗ウイルス薬である、請求項29に記載の医薬組成物。
  34. 前記治療薬が抗菌剤である、請求項29に記載の医薬組成物。
  35. 前記治療薬が抗痛覚過敏薬である、請求項29に記載の医薬組成物。
  36. 被験体の下痢を抑制するための方法であって、請求項17に記載の医薬組成物を、下痢を治療または予防するために有効な量で、そのような治療を必要とする被験体に投与するステップを含む、方法。
  37. 請求項2に記載の化合物の(S)−N−立体異性体ではない抗下痢薬を前記被験体に投与するステップをさらに含む、請求項36に記載の方法。
  38. 請求項2に記載の化合物の(S)−N−立体異性体ではない前記抗下痢薬が、オピオイドまたはオピオイドアゴニストである、請求項37に記載の方法。
  39. 前記被験体の回腸瘻または結腸瘻からの排出量を低減する方法であって、請求項17に記載の医薬組成物を、回腸瘻または結腸瘻からの排出量を低減するために有効な量で、そのような低減を必要とする前記被験体に投与するステップを含む、方法。
  40. 被験体の回腸瘻または結腸瘻からの排出率を低減する方法であって、請求項17に記載の医薬組成物を、回腸瘻または結腸瘻からの排出率を低減するために有効な量で、そのような低減を必要とする前記被験体に投与するステップを含む、方法。
  41. 胃腸運動を抑制する治療を必要とする被験体の胃腸運動を抑制するための方法であって、請求項17に記載の医薬組成物を、被験体における胃腸運動を抑制するために有効な量で、前記被験体に投与するステップを含む、方法。
  42. オピオイドまたはオピオイドアゴニストを前記被験体に投与するステップをさらに含む、請求項41に記載の方法。
  43. 過敏性腸症候群を治療するための方法であって、請求項17に記載の医薬組成物を、過敏性腸症候群の少なくとも1つの症状を緩和するために有効な量で、そのような治療を必要とする患者に投与するステップを含む、方法。
  44. 被験体の疼痛を抑制するための方法であって、請求項17に記載の前記医薬組成物を、前記疼痛を予防または治療するために十分な量で投与するステップを含む、方法。
  45. 前記組成物における請求項2に記載の化合物の(S)−N−立体異性体以外の治療薬を、前記被験体に投与するステップをさらに含む、請求項44に記載の方法。
  46. 前記組成物における請求項2に記載の化合物の(S)−N−立体異性体以外の前記治療薬がオピオイドである、請求項45に記載の方法。
  47. 前記組成物における請求項2に記載の化合物の(S)−N−立体異性体以外の前記治療薬が、抗ウイルス物質、抗生物質、抗真菌薬、抗菌剤、防腐剤、抗原虫薬、抗寄生虫薬、抗炎症剤、血管収縮薬、局所麻酔薬、抗下痢薬または抗痛覚過敏薬である、請求項45に記載の方法。
  48. 前記疼痛が末梢性痛覚過敏症である、請求項44に記載の方法。
  49. 前記医薬組成物が、前記疼痛の部位に対して局所的に投与される、請求項44に記載の方法。
  50. 前記投与が関節内である、請求項44に記載の方法。
  51. 前記投与が全身的である、請求項44に記載の方法。
  52. 前記投与が局所的である、請求項44に記載の方法。
  53. 前記組成物が眼に投与される、請求項44に記載の方法。
  54. 被験体の炎症を抑制するための方法であって、請求項17に記載の医薬組成物を、炎症を抑制するために有効な量で、それを必要とする被験体に投与するステップを含む、方法。
  55. 前記組成物における請求項2に記載の化合物の(S)−N−立体異性体以外の治療薬を前記被験体に投与するステップをさらに含む、請求項54に記載の方法。
  56. 請求項2に記載の化合物の(S)−N−立体異性体以外の治療薬が、抗炎症剤である、請求項55に記載の方法。
  57. 被験体の腫瘍壊死因子(TNF)の生成を抑制する方法であって、TNF生成抑制量の請求項17に記載の医薬組成物を含む組成物を被験体に投与するステップを含む、方法。
  58. 請求項17に記載の医薬組成物を含む密閉容器および使用説明書を含有するパッケージを含むキット。
  59. 相溶性治療薬の組み合わせをさらに含み、前記治療薬のうちの1つが、末梢オピオイドアンタゴニストである、請求項58に記載のキット。
  60. 前記末梢オピオイドアンタゴニストが、前記化合物の対照物(R)−N−立体異性体である、請求項17に記載の方法。
  61. 請求項2に記載の(S)化合物を含む組成物であって、検出限界0.02%および定量限界0.05%においてHPLC検出可能な対照物(R)−立体異性体を含んでいない組成物。
  62. 式Iaの窒素に関して(S)配置の単離化合物であって、
    Figure 2010510325
    式Ia中、
    R17およびR18は、代替として、互いに関して(a)または(b)から選択され、
    (a)非置換または非ハロゲン置換:C4−C8(シクロアルキル)アルキルまたは(シクロアルケニル)アルキル、(シクロヘテリル)アルキル、(シクロアリール)アルキル、C4−C6(シクロアルキル)アルキルまたは(シクロアルケニル)アルキル、(シクロヘテリル)アルキル、(シクロアリール)アルキル、
    (b)置換または非置換直鎖または分岐鎖C1−C3アルキル、C2−C3アルケニル、またはC3−アルキニル、
    (b)がメチルとして選択され、R6が=Oである場合は、(a)は非置換(シクロプロピル)メチルではなく、
    R6は、H、OH、=O、=CH2、−N(CH3)2、または任意の環状環であるか、またはR7とともに環状環を形成し、
    R7およびR8は、Hまたはアルキルであり、
    R14は、H、OH、ハロゲン化物、アリールアミド、アミノ、N−アルキル、N−ジアルキル、N−アリール、N−アルキルアリール、N−シクロアルキルアルキル、SCH3、S(=O)CH3、S(=O)2CH3、アルコキシ、アリールオキシ、またはアリール−アルコキシであるか、またはR17またはR18とともに環状環を形成し、
    R1およびR2は、独立してH、ハロゲン化物、アルコキシ、アルキル、またはアリールであり、
    R3は、H、C1−C4アルキル、またはC1−C3アシル−シリルであり、
    R5は、H、OH、アルキル、アルコキシ、またはアリールオキシであり、
    X−は陰イオンである、単離化合物。
  63. 式Ibの窒素に関して(S)配置の単離化合物であって、
    Figure 2010510325
    式Ib中、
    R17およびR18は、置換または非置換C1−C6ヒドロカルビルであり、R6が=Oとして選択される場合、そのうちの少なくとも1つはメチルではなく、他がシクロプロピルメチルであり、
    R6は、H、OH、OR25、=O、=CH2、−N−アルキル、N−ジアルキル、アシルオキシ、アルコキシ、アルキル、=CR′R″であり、R′およびR″は、独立してHまたはC1−C10アルキルあるいは任意の環であるか、またはR6はR7とともに環を形成し、
    R7およびR8は、Hまたはヒドロカルビル、シクロヒドロカルビル、アルコキシ、アミン、アミド、ヒドロキシ、またはそれらの置換部分であり、
    R14は、H、OH、ハロゲン化物、N−アルキル、N−ジアルキル、N−アリール、N−アルキルアリール、N−シクロアルキルアルキル、SR25、S(=O)R25、SO2R25、アルコキシ、アリールオキシ、またはアリールアルコキシであるか、またはR17またはR18とともに環を形成し、
    R1およびR2は、独立してH、ハロゲン化物、アルコキシ、アルキル、またはアリールであり、
    R3は、H、アルキル、C1−C3アシル、シリルであり、
    R5は、H、OH、アルキル、アルコキシ、またはアリールオキシであり、
    R25は、アルキル、アリール、アリールアルキルであり、
    X−は陰イオンである、単離化合物。
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