JP2010509510A - カルボキシメチルセルロースを用いたセルロースパルプの処理方法及びそれによって得られたパルプ - Google Patents

カルボキシメチルセルロースを用いたセルロースパルプの処理方法及びそれによって得られたパルプ Download PDF

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Abstract

本発明は、化学セルロースパルプを加工するための改良された方法に関する。カルボキシメチルセルロース(CMC)は前記パルプの漂白ステップの際に添加される。漂白工程のこのステップでのCMCの添加は、改良された物理的、化学的、及び機械的特性を有するパルプを提供する。

Description

本発明は、漂白シーケンスの酸処理段で添加剤としてカルボキシメチルセルロースを使用する漂白セルロース繊維パルプの機械的強度特性を改良するための方法に関する。
セルロース産業でカルボキシメチルセルロース(CMC)の使用は、近年、広く研究されている。CMCの添加は、適切な条件で添加された場合または他の物質と組み合わされた場合に、例えばより大きい引張り強度のような、パルプに改良された特性を提供し得る。
用いられる場合、この化合物は、通常は既に仕上がったパルプに添加される。すなわち、蒸解および漂白工程に送られた後、適切な製紙工程の前に添加される。製紙業の常用の専門用語に言い換えると、カルボキシメチルセルロース並びにセルロースパルプに用いられる他の添加剤は、抄紙「機」に送られる前に、既に蒸解され且つ漂白されたパルプに添加される。
ブラジル国特許第0107989−1号明細書は、例えば、セルロースパルプに吸着可能な化学添加剤の使用を開示する。前記文書の本文は「パルプ加工」に言及するが、明細書及び実施例は、その発明の方法が、製紙できる準備がされたパルプに前記添加剤を使用することに関することを明確に述べており、文書自体に漂白工程の際にこれらの吸着性添加剤を添加することの言及はない。抄紙機でセルロース繊維を加工する前の繊維パルプの処理工程の際、セルロース繊維へのCMCの吸着を得ることが望ましい。この吸着が、CMCが抄紙機に添加された場合に得られるパルプよりも、同じかまたはより良質のパルプの成果を提供すれば、これは製品の付加価値を向上させてセルロースの製造者に非常に大きな利点を示す。
いくつかの従来技術の文書はパルプの漂白及び/または蒸解段にCMCを使用することを開示するが、制限された且つ特定の条件でありそしていくつかの目的のためである。米国特許第3,956,165号明細書は、アクリル酸ポリマーを漂白溶液に添加することを含むパルプの漂白方法を開示し、そこでは、その結果はCMCを併せて添加することで改良され得る。この文書では、それ故に、CMCは第2の化合物とみなされ、漂白方法に不可欠なものではなく、アクリル酸ポリマーを併せて添加することを必然的に含まなくてはならない。それ故に、この文書は漂白工程を補助するための、例えば酸化反応促進剤のような生成物の添加に関係し、その結果は、セルロースの最終的な機械的特性に直接関係しない。よって、これは、本出願で提案されるものとは完全に焦点が異なる。
国際公開第03/080924号は、パルプの処理方法にCMCを添加することを含む処理方法を開示し、そこでは前記パルプが20mg/lを越えるカルシウム濃度を含むべきである。この文書は、CMCの添加が蒸解及び/またはパルプからの酸素による事前の脱リグニンを伴う方法を記載するが、その中の全ての教示は、添加剤が蒸解段に導入された場合に最良の結果が得られることを示している。パルプ中の高濃度のカルシウムイオンは、繊維及びCMCがアニオン性なので、両者間の結合を助けることを目的する。前記文書の場合では、CMCの添加は、強アルカリ性である蒸解及び脱リグニンの溶液によって提供される条件に関連付けられる。
Masasuke Watanebe等の文書「Advanced wet−end system with carboxymethylcellulose」, TAPPI JOURNAL, Vol.3, No,.5, 15−19頁, 2004, は加工済パルプがCMCの添加を用いて処理される方法についての研究を開示する。この論文の目的は、繊維へのCMCの吸着を用いて、抄紙機のアプローチフローのいわゆるウエットエンドに添加される化学薬品の有効性を増加することである。その結果は、この場合のCMCの使用が30〜50%の添加剤の節約を可能とすることを示す。著者らはその結果を、パルプの電解特性及び用いられるカルボキシメチルセルロースの置換度(DS)を制御することによって追跡調査することを選択した。これらは、利用可能な表面電荷のレベル及びCMCの結合能力を評価するための重要な特性である。上記文書は、これらの結果が、CMCで処理されたパルプのアニオン性表面位置の増加によって達成されることを示す。この論文の場合は、CMCの置換度が低いほど結果が良好であり、それは上記論文が、繊維へのより優れた結合のしやすさを有するCMCを用いることを対象としており、それ故に負の表面電荷がより少ないからである。しかしながら、これらの結合は同じ理由でより壊れやすく、一方、本出願では、より強い結合が探索されているという点に留意すべきである。
本発明は、パルプを漂白する酸処理段の際に、カルボキシメチルセルロースを添加するステップを含むセルロースパルプの処理方法を提供する。ここで、前記カルボキシメチルセルロースは0.5より大きい置換度(DS)を有し、そしてこの段の際の添加が5未満のpHでパルプに行われる。
本発明はさらに上述の方法によって得られた漂白されたセルロースパルプに関する。ここでは、セルロースの機械的強度特性が著しく改良される。
(原文記載無し)
上述のように、抄紙機で加工される前のパルプの処理工程の際にCMCを添加してそしてセルロース繊維へ吸着させることが、セルロース製造産業に顕著な戦略的進歩を示す。上記方法がセルロースの機械的強度特性を高め、製品に付加価値を加えて市販品と差別化して、そして顧客の期待に応える。
この種の方法に用いられるCMCは、セルロース繊維の内部ではなく表面に吸着させるために、好ましくは高分子量を有するべきである。概して、用いられるCMCの粘度は、市場で入手可能な粘度の範囲内である10〜1500mPa・sの範囲で選択される。CMC並びに繊維のセルロースはアニオン性であるが、より多数の結合基を有し、それゆえに繊維間の結合を強化する。したがって、繊維の表面にCMCを有することはより興味深い。というのは、置換度に起因して、繊維間の結合を増加してそれ故に紙の機械的強度を増加する高いポテンシャルの結合を有するからである。また、CMCは水と高度の相互作用を有してWRV(保水値)を増加するため、紙を乾燥するためのエネルギー消費を増加させて紙を乾燥しにくくする。その結果、繊維内部のCMCの存在は紙の強度増加に寄与せずに二次的影響のみを有するだろう。したがって、パルプ表面のCMCの存在はより大きい繊維間の反発力を生み出して連結を困難にするが、一旦これが克服されれば、CMCを用いて繊維間の接触エリアを増加させることができる。接触エリアの増加は、セルロース分子間のより多数の分子間結合を生じさせ、したがって、パルプの機械的強度を向上する。表面上にCMCを固着することの他の利点は、繊維内部に存在する固着と比較した場合に、繊維の体積増加に、より大きな影響をもたらすことである。バルクといわれるこの特性は、製紙向けのセルロース市場で非常に重要である。
蒸解の際、CMC分子内で溶解が起こる場合があり、すなわち、分子がより小さい分子に分解して、繊維表面に固着される代わりに内部に固着されてより低い紙特性を得ることにつながる。これは蒸解の際にCMCを添加することの欠点の1つである。
しかしながら、本方法の発明者らは、例えば、A/DO(EP)DD及びA/DO(EP)PPシーケンスにしたがって、そして特定の条件下で、セルロースパルプを漂白する酸処理段の際にCMCを添加することが、他の従来技術の文書で述べられる蒸解フェーズの際にCMCを添加するよりも、紙のより大きい機械的強度の増加をもたらすことに注目した。最も重要な結果は、繊維へのCMC吸着の動力学を助けるその温度、pH、及び保持時間の条件に起因して、酸処理段においてA/DOを添加することによって得られた。漂白の際の繊維へのCMCの吸着は、吸着を効果的なものとするために温度及びpHの制御が必要とされる厳格な条件下で起こる。ポリマーは、低い及び高いpH値の両方で繊維に吸着するが、酸媒体中の吸着が、繊維及びCMC間の結合部位のより高い有効性に起因して、より効果的に起こる。上記温度はかなり高くあるべきであり。80℃より高く、好ましくは約95℃であり、そしてまた、パルプとCMCとの間の十分な接触時間もあるべきである。この接触時間は好ましくは少なくとも40分、最も好ましくは約120分である。
CMCのパルプへの良好な固着のための他の関連するパラメータは、CMCの置換度(DS)であり、上記温度、接触時間、及びpHパラメータとは違って、CMCの置換度は用いられるポリマーのみの特性であり、製品が適用される工程の変数ではない。置換度は、反応部位の全数に対する占有された反応部位の数の比で定義される。発明者は、0.5よりも大きい置換度を有するカルボキシメチルセルロースが5.0未満のpHで漂白段の際に加えられた場合、カルボキシメチルセルロースの使用が処理パルプについて有利な特性を得ることを可能とすることに注目した。本明細書で表される好ましい態様は、特性がより有利な5.6〜9.6の置換度を有するCMCを用いることである。
添加されるCMCの質量は非常に大きいものとは考えられず、さもなければセルロースへのCMCの固着がより低くなるだろう。CMCの固着が低くなるのは、添加されるCMCの質量が非常に大きい場合、CMC分子が凝集し、そして繊維上に吸着されない傾向があるとき、CMC分子がCMC分子間で塊を形成するからである。それ故に、パルプの漂白の際に用いられるCMCの添加量もまた、得られる晒パルプについても特性の低下を伴って塊を形成して最終の紙に不均一点を作らないように決定されるべきである。好ましくは、CMCは0.2%〜1%、すなわち、所望の特性の改良に合わせて、繊維の風乾1トンあたり2〜10kg(kg/adt)の量で添加される。これらの条件では、例えば、A/DO(EOP)DDシーケンスを有するリファイニング及び未リファイニングパルプの引張強度において、最大24%の増加を得ることができる。これらの同じ量では、A/Do(EOP)PPシーケンスで、引張強度は、未リファイニングパルプの場合は24%の増加、そしてリファイニングパルプの場合は8%より若干大きい増加となり得る。上記の漂白シーケンスは単なる例示であり、CMCは酸性条件下で添加されそして同様の機械的特性の増加が達成される。
未リファイニングパルプの濾水度は影響を受けないが、リファイニングパルプの濾水度がいくらかの低下を示すということも分かった。それ故に、ショッパーリグラー濾水度(°SR)は両方の場合で増加するがリファイニングパルプの方が若干多く増加する。これはおそらく吸収するCMCの機能に起因して起こり、その機能は、何人かの著者らによって保水値(WRV)を測定することで既に発見されている。
本発明の好ましい実施態様によれば、繊維へのポリマーの吸着は、その系にフリーカチオンがある場合、カチオンが炭水化物及び繊維間の架橋として機能するため、有利に起こりやすい。繊維及びCMCがアニオン性のため、これらのカチオンを繊維懸濁液に的確に添加することによって、繊維及びCMC間の反発ポテンシャルが最小化され得る。しかしながら、これは不必要であることを気づくべきであり、一旦CMCがこの反発距離を乗り越えれば、繊維と強い結合が形成され所望の紙強度を増加するからである。カチオンの価数が大きいほど、CMCは良好に繊維上に固着するだろう。一方、系のカチオンの価数及び繊維の膨潤の間が反比例関係にあるため、用いられるカチオンの価数が大きいほど、繊維の吸着水及び保水値(WRV)が小さくなる。これはまた、保水値を減少して、そして結果としてCMC単独で添加した場合に発生する紙の乾燥性の低下を低減するために用いられる。
本発明の実施態様では、CaCl2でプロトン化したセルロースに付加されたCMCが用いられる。この塩は、CMC単独の添加で得られるものよりも、少し特性の増加を生じて、繊維へのCMC投与量の低減を可能とする。CMCの投与量の低減は40%であり、この製品が高コストのために興味深い。
本発明の方法は、様々なセルロースパルプ、特に例えば、ユーカリプタスウロフィラ(Eucaliptus urophylla)、ユーカリプタスグロブラス(Eucaliptus globulus)、ユーカリプタスシトリオドラ(Eucaliptus citriodora)、ユーカリプタスグランディス(Eucaliptus grandis)、及びそれらの組み合わせの種類からなるようなユーカリ材パルプの処理の用途に有益である。
本発明の方法を、以下の例に、より詳細に示す。
ユーカリパルプのサンプルを、脱リグニン後に洗浄装置から集めた。
2つの漂白シーケンス、A/DO(EOP)DD及びA/Do(EOP)PPがシミュレートされ、パルプの乾燥重量を基にして0.5%(5kg/adt)及び1.0%(10kg/adt)のCMCが添加された。上記添加は、図1に表したスキームにしたがって、より良好な投与ポイントを確認するために、A/DO及びEOP段で行われた。
CMCの添加がそれぞれの漂白シーケンスの1つの段のみで行われた。参照として提供するために添加無しの漂白手順も行われた。漂白工程の後、物理的及び化学的試験がパルプについて行われた。
用いられた漂白試薬量、それぞれの段の温度及び時間を以下の第1表に示す。
Figure 2010509510
加えられた添加剤は、CMC Walocel CRT 30G(Wolff Celulosics製)で、0.82〜0.95の範囲の置換度及び25℃で20〜40mPa・sのブルックフィールド粘度であった。この範囲内の置換度の他のCMCサンプルが用いられて同様の結果であった。
結果をグラフに表し、それぞれの特性の値を棒グラフで示し、一方、参照値に対して増加した割合を折れ線グラフで示す。
例1a
未リファイニングパルプのシーケンス A/DO(EOP)DD(PFIミル0回転)の結果を図2〜7に示す。図2はCMCで処理されたパルプのカルボン酸量の増加を示し、一方で図3はCMCで処理されたパルプ繊維の柔軟性を示す。より大きいCMCの表面電荷及び可塑性の効果とCMC結合機能とに起因した繊維の柔軟性の増加にも対応する繊維のカルボン酸量の増加があった。
図4及び5はそれぞれ、A/DO(EOP)DDの漂白シーケンスにおいてCMCで処理されたパルプの保水値(WRV)及びパルプの濾水度(PFR)を示す。
漂白段においてCMCで処理されたパルプがより多い水を保持するが、濾水度については大きな低下はなく、すなわち、工程に関しては、乾燥機の速度を遅くすることは必要ないだろう。
引張り強度のデータを図6に示し、そして処理されたパルプのバルク値を図7に示す。バルクはセルロースの比容を表し、例えば平滑性、不透明性、厚み、坪量等の決定的性質に影響を与えるため、バルクは重要な特性である。
パルプの漂白の際のCMCの添加が、引張り強度の非常に著しい増加をもたらすことが示された。A/DO段の増加率が、繊維へのCMC吸着の動力学を助け、理想温度、反応時間、及び極めて高いpHを示すこの段の条件に起因して、より高くなった。バルクは減少する傾向を示すが、確認された減少は小さく重要とは考えられない。
A/DO(EOP)DDシーケンスにしたがった漂白段で、CMCで処理されたパルプの化学的、機械的、及び光学的特性の他の結果を以下の表に示す。表に示される増加率は参照パルプとの比較である。表は、他の物理的機械的特性の増加もあることを明確に示す。
Figure 2010509510
例1b−A/DO(EOP)DDシーケンス−3000回転のPFI(最高3000回転/分のPFIミルでリファイニングされたパルプ)
リファイニング加工後のA/DO(EOP)DDシーケンスで得られたパルプの引張り強度及びバルクデータを図8及び9に示す。
リファイニングパルプの引張強度の増加率もまた非常に著しかった。再度、A/DO段の増加率が、EOP段で添加したときの増加率よりも高くなることが示された。バルクはその低下傾向を維持するが、その低下率は今度もそれほど大きくはなかった。
リファイニングパルプでは、CMCの添加後に濾水度が低下した。リファイニング加工で得られるフィブリル化とともに、より多いカルボン酸基が繊維の表面に現れる。CMCグループ(groupings)に加えられたこれらの新しい基が、繊維及び水の間に、より多数の水素架橋結合を生み出し、その結果として濾水度の低下を引き起こす。
リファイニングパルプでは、気密度の高い増加があり、すなわち、パルプの多孔性がより小さくなった。高度な多孔性(PW)を必要としない紙には、この増加率は非常に興味深くなり得る。
リファイニングパルプの他の結果を以下の第3表に示す。
Figure 2010509510
例2a−A/DO(EOP)PPシーケンス−未リファイニング(0回転 PFI)
最後にPP漂白段を有するシーケンスにおいて、もう1つのシーケンスが用いられ、図10及び11に示すように、CMCの添加と共にカルボン酸基の量及び繊維の柔軟性が増加した。また、CMCで処理したパルプがより高い保水性を有することも分かったが、乾燥機の速度の大きな減少を必要とするほど、濾水度の低下は大きくはなかった(図12及び13)。
A/Do(EOP)DD漂白シーケンスと同様に、引張り強度の向上が非常に著しかった(図15)。今回も、ポリマーを添加したパルプに生じた最大の増加は、A/Do段の条件に起因してA/Do段で起こった。バルク(図14)はその低下傾向を維持するが、他の全ての場合と同様に、その低下もまた大きくはない。
他の結果を以下の表4に示す。
Figure 2010509510
例2b−A/Do(EOP)PPシーケンス 3000回転のPFIでリファイニング
本発明にしたがって、A/Do(EOP)PPシーケンスで漂白され、リファイニングされ、CMCで処理されたパルプにおいて、図16及び17に示すデータによって証明され得るように、A/Do段がまた引張強度のより大きな増加率を示し、そしてバルクは変化が無かった。
PPを用いた最後の漂白シーケンスの引張強度の結果は、最後の漂白段で繊維に発生する膨潤(アルカリ性の膨潤)のために、最後にDD漂白段を有するシーケンスの引張強度の結果よりも大きい値を示す。
他の大きな成果を以下の表5に示す。
Figure 2010509510
以上から、漂白の際のCMCの添加がパルプの品質に関連した向上を生み出すと、結論づけられる。最も顕著な増加率がみられた漂白段は、繊維へのCMC吸着の動力学に有利である段の温度、pH、及び保持時間の条件に起因して、A/Do段であった。
例3−CMCの適用及びCaCl2でセルロースをプロトン化して得られた結果
この場合には、漂白加工前に集められた例1に用いられたものと同様のユーカリパルプが用いられ、そして用いられたCMCはNoviant製のCMC 39798であり、以下の特性を有していた:DS 0.57、粘度285mPa・s。この場合に用いられたCMCは、0.57の置換度を有し、前の例の置換度よりも若干低いが、その結果は同様であった。
3つの異なった解析が作られ、そしてADoPoPPシーケンスでCMC及びセルロースのプロトン化を用いて漂白ステップに適用された。投与量0.5%のCMCを用いた第1の解析は、2つの異なるポイント、ADoPoPPシーケンス内のDo及びPoに適用された。
他の投与量0.1%及び0.3%のCaCl2もまたCMCを適用するそれぞれの変化に用いられた。その結果を図18及び21に示し、そして以下にまとめることができる。
−最良のCMC投与量を0.5%に固定し、そして投与ポイント及びプロトン化レベルも変化させた、引張り及び濾水度の値を比較した図18のグラフは、引張り指数及び°SR間の類似の変化を示す。
−引張り指数の最大の増加は、Do段におけるCMCの投与及びこの漂白段に入る前のCaCl2の最小投与量(0.1%)の場合に9.3%であり、PoでのCMC投与または前のものよりも同一のポイントにおける0.3%のCaCl2投与と比べられる。
−これらの同一条件でのSRは最大値24.5%に到達するが、参照の22.0%から大きく離れていない。
−これらの実験条件では、バルクまたは気密度に変化は検出されなかった。
−不思議なことに、湿分膨張性(hygroexpansivity)、引張剛性、不透明性、白色度、及びWRVもまた、示した条件ではほとんど変化が無かった。
第2の解析は、酸処理段において0.1%、0.3%、及び0.5%の量のCMC投与とともにのみ行われた。その結果を図22〜25に示し、そして以下にまとめた。
−°SR(ショッパーリグラー濾水度)は0.5%の投与量の場合に1.5だけ増加した。
−引張りは、CMCを0.1%添加した場合に16.4%、CMCを0.3%添加した場合に23.5%、そしてCMCを0.5%添加した場合に34.1%、次第に増加した。
−これらの条件では、バルクは最大0.15cm3/g減少し、TEA(引張りエネルギー吸収)は0.1%のCMCで46%、0.3%のCMCで70.7%、0.5%のCMCで87.8%、次第に増加し、そして透気度は変化しなかった。
−32%の伸度の最大増加は、CMC投与量が0.3%に至るまでに発生し、そして投与量0.5%で一定に保たれた。
−不思議なことに、湿分膨張性は0.1%及び0.3%のところでわずかに減少するが、0.5%のCMCが投与される場合は12.8%増加した。
−引張剛性特性もまた、0.1%のCMCを投与した場合に6.2%、0.3%のCMCを投与した場合に12.6%、及び0.5%のCMCを投与した場合に18.2%、次第に増加した。
−不透明性がこれらの条件で最大1.8%減少し、白色度が一定を保ち、そしてWRVが0.1%の投与量で23%の最大増加を示すことは、用いられるCMCの特性から理解できる。
第3の実験解析では、CMCの投与が酸処理段のみで0.1%、0.3%、0.5%の量であり、そして酸処理段前に0.05%及び0.1%のCaCl2の投与量があった。結果を図26〜28に示す。
−°SRにおいて、0.1%のCMCでわずかに減少し、そして0.5%のCMCでわずかに増加があった。そして両方の場合に、CaCl2の投与量は得られる特性に無関係であった。
−引張指数の最大増加は31%であり、酸処理段での0.3%のCMC且つ酸処理段前の0.05%のCaCl2の投与の場合であったが、また、酸処理段での0.5%のCMC且つ酸処理段前の0.05%のCaCl2の投与でも29.2%であった。
−バルク及び透気度は投与が適用されてもほとんど変化がなかった。
−TEA(引張りエネルギー吸収)は著しく増加して、酸処理段での0.3%のCMC且つ酸処理段前の0.05%のCaCl2の投与で102%の最大増加を示した。一方、得られた最小増加は65.9%であり、酸処理段での0.1%のCMC且つ酸処理段前の0.05%のCaCl2の投与の場合であった。
−伸度の増加はTEAの増加と同様であり、この特性で得られた最大増加は44%であり、酸処理段での0.3%のCMC且つ酸処理段前の0.05%のCaCl2の投与の場合であった。
−引張剛性の最大増加は21%であり、酸処理段での使用された最大量のCMC投与且つ酸処理段前の最小量のCaCl2投与の場合であった。
−湿分膨張性は、CMC投与量の増加とともに、またはCMCの平均投与量を、高い確実性で繊維の表面にCMCを保持する0.1%のCaCl2と組み合わせた場合に、著しく増加する。既に述べたように、この性質はCMCの特性によって予期される。
−不透明性は場合によっては1%〜2%減少し、一方で白色度はほぼ一定を保った。
−WRVはCMC投与量にしたがって、CaCl2に関係なく、最も臨界的な場合に最大27.6%まで増加する。
行われた解析によって比較を行い、所望の目的のためのCMCの最良の投与ポイントは漂白酸処理段であることが確認される。他の試験段と比較した場合の増加率が顕著である。
繊維のプロトン化オプションによれば、塩化カルシウムと組み合わせたCMCの投与量を最適化することが可能であることを示す関連結果も得られた。ストレス(stress)の増加はわずかに低いが、酸処理段前のこの塩の添加はCMC投与量の40%の節約を可能とし、この投入材料が高コストのために重要である。

Claims (8)

  1. パルプを漂白する酸処理段の際にカルボキシメチルセルロースを添加するステップを含むことを特徴とするセルロースパルプの処理方法であって、
    前記カルボキシメチルセルロースが0.5より高い置換度(DS)を有し、そして酸処理段の際の該添加が5未満のpHでパルプに行われる、
    セルロースパルプの処理方法。
  2. A/DO(EP)DDまたはA/DO(EP)PPシーケンスを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 該カルボキシメチルセルロースが2kg/adt〜10kg/adtの量で添加されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  4. 前記置換度が0.56〜0.96で変わることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  5. CMCの該添加が該A/Do段で行われることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
  6. 該A/Do段におけるCMCの該添加が、80℃よりも高い温度で、少なくとも40分のCMC及び該パルプの間の接触時間を伴って行われることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
  7. 該温度が約95℃であり且つ該接触時間が約120分であることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
  8. 請求項1〜7のいずれかに規定されるような漂白方法によって処理されたことを特徴とする、セルロースパルプ。
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