JP2010509327A - トリ由来エリスロポエチン - Google Patents

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Abstract

トランスジェニックトリによって産まれる卵から得られる、トリの N-結合型および O-結合型グリコシル化パターンを有するエリスロポエチン。

Description

関連出願情報
本出願は、2006年11月9日に出願された米国仮特許出願第60/857,896号; 2006年12月28日に出願された米国仮特許出願第60/877,601号; および2007年3月16日に出願された米国仮特許出願第60/918,504号の利益を主張する。
発明の分野
本発明は、トリ細胞への外因性遺伝物質の導入および該トリ細胞における該外因性遺伝物質の発現に関する。本発明は特に、ニワトリ、ウズラおよびシチメンチョウを含むトランスジェニック鳥類、および外因性タンパク質、例えば医薬タンパク質を含有する卵を産むトリに関する。
背景
数多くの天然および合成タンパク質が、診断上および治療上の適用において用いられている; 他の多くのタンパク質が開発中または臨床試験中である。タンパク質生産の最近の方法は、天然のものからの単離、および細菌および哺乳類の細胞での組換え生産を含む。しかし、これらのタンパク質生産方法が複雑かつ高コストであるため、別法を開発するための努力が続いている。例えば、ブタ、ヒツジ、ヤギ、およびウシの乳中において外因性タンパク質を生産するための方法が報告されている。これらの手法は、創始者(founder)と生産トランスジェニック群の間の長い世代時間、高い(extensive)畜産および獣医コスト、およびゲノム中における導入遺伝子挿入部位での位置効果のために変化する発現レベルを含む、幾つかの制限を有している。タンパク質はまた、製粉および麦芽製造過程を用いて、オオムギおよびライムギから生産されている。しかし、植物の翻訳後修飾は脊椎動物の翻訳後修飾とは異なり、後者は医薬タンパク質などの外因性タンパク質の機能にしばしば重大な影響を与える。
組織培養物および乳腺のバイオリアクターと同様に、トリの卵管も潜在的にバイオリアクターとして役に立つ。高レベルの外因性タンパク質が卵管中で分泌されて卵に詰め込まれるような、トリの遺伝物質を修飾するすばらしい(Successful)方法は、大量のタンパク質の安価な生産を可能にするであろう。かかる手法のいくつかの利点は、a) 短い世代時間(24週間)および人工授精を介するトランスジェニック群の急速な確立; b) 生産ニーズに見合うよう群サイズを増大させることによりすぐにスケール拡大される生産; c) 発現したタンパク質の翻訳後修飾; 4) 自動化された給餌および卵の収集; d) 自然に無菌である卵白; および e) 卵白中のタンパク質の高い濃度によって低下した加工コストであろう。
ニワトリを含むトリの生殖系は十分に記載されている。雌鶏の卵は、卵管を通過する間に卵黄上に分泌される幾つかの層から成る。卵の生成は、雌鶏の卵巣中における大きな卵黄の形成から始まる。次いで、未受精の卵母細胞が卵黄嚢の一番上に位置づけられる。排卵、または卵巣からの卵黄の放出があった後、卵母細胞は、精子が存在する場合に受精される卵管の漏斗状器官へと移る。次いで卵母細胞は、管状腺細胞と繋がっている卵管の筒部に移動する。これらの細胞は、卵白アルブミン、リゾチーム、オボムコイド、コンアルブミン、およびオボムチンを含む卵白タンパク質を筒部の内腔中に分泌し、そこで該タンパク質はトリの胚および卵黄上に貯蔵される。
卵白アルブミン遺伝子は、卵管の筒部の管状腺細胞中に特異的に発現する 45 kD のタンパク質をコードする(Beato Cell 56:335-344(1989))。卵白アルブミンは最も豊富な卵白タンパク質であり、管状腺細胞により産生される全タンパク質の 50 パーセントより多く、または大きい等級Aの卵あたり約 4 グラムのタンパク質を含む(Gilbert、“Egg albumen and its formation” in Physiology and Biochemistry of the Domestic Fowl、Bell and Freeman、eds.、Academic Press、London、N.Y.、pp. 1291-1329)。卵白アルブミン遺伝子および 20 kb を超える各フランキング領域がクローン化され、分析されている(Lai et al.、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 75:2205-2209 (1978); Gannon et al.、Nature 278:428-424 (1979); Roop et al.、Cell 19:63-68 (1980); and Royal et al.、Nature 279:125-132 (1975))。
卵白アルブミン遺伝子の調節に対して、多大な注意が払われてきた。該遺伝子は、ステロイドホルモン、例えばエストロゲン、グルココルチコイド、およびプロゲステロンに反応し、未熟なヒヨコにおいては管状腺細胞あたり約 70,000 の卵白アルブミン mRNA 転写物、および成熟した産卵鶏においては管状腺細胞あたり 100,000 の卵白アルブミン mRNA 転写物の蓄積を誘導する(Palmiter、J. Biol. Chem. 248:8260-8270 (1973); Palmiter、Cell 4:189-197 (1975))。トランスフェクトされた管状腺細胞における DNAse 過敏性分析およびプロモーター・レポーター遺伝子アッセイは、卵白アルブミン遺伝子発現に必要な配列を含有するものとして 7.4 kb の領域を定義した。この 5' フランキング領域は、転写開始部位から -0.25、-0.8、-3.2、および -6.0 kb に集まった4つの DNAseI - 過敏性部位を含有する。これらの部位はそれぞれ HS-I、-II、-III、および -IV と称される。これらの領域は、クロマチン構造における変化を反映し、卵管細胞における卵白アルブミン遺伝子発現と特異的に相関する(Kaye et al.、EMBO 3:1137-1144 (1984))。HS-II および -III の過敏性は、エストロゲンによって誘導され、卵白アルブミン遺伝子発現のホルモン誘導におけるこれらの領域の役割を支持する。
HS-I および HS-II は両者とも、卵白アルブミン遺伝子転写のステロイド誘導に必要であり、これらのエレメントを含む 5' 領域の 1.4 kb 部分は、外植された管状腺細胞におけるステロイド依存性卵白アルブミン発現を起こすのに十分である(Sanders and McKnight、Biochemistry 27: 6550-6557 (1988))。HS-I は、ホルモン非存在下で卵白アルブミン発現を抑制するいくつかの負の調節エレメントを含有するため、負の応答エレメント(“NRE”)と呼ばれる(Haekers et al.、Mol. Endo. 9:1113-1126 (1995))。タンパク質因子はこれらのエレメントに結合し、卵管の核においてのみ見出され組織特異的発現における役割を示唆するいくつかの因子を含む。HS-II は、転写のステロイド誘導を促進するために必要とされるため、ステロイド依存性応答エレメント(“SDRE”)と呼ばれる。HS-II は Chirp-I として知られるタンパク質またはタンパク質複合体を結合する。Chirp-I はエストロゲンによって誘導され、シクロヘキサミドの存在下で、急速にターンオーバーする(Dean et al.、Mol. Cell. Biol. 16:2015-2024 (1996))。外植された管状腺細胞培養系を用いる実験は、NFκB様因子を含む、ステロイド依存性の様式で SDRE を結合する別の一組の因子を定義した(Nordstrom et al.、J. Biol. Chem. 268:13193-13202 (1993); Schweers and Sanders、J. Biol. Chem. 266: 10490-10497 (1991))。
HS-III および -IV の機能についてはあまり知られていない。HS-III は、機能的エストロゲン応答エレメントを含み、エストロゲン受容体 cDNA と共に HeLa 細胞へ共トランスフェクションされた場合に卵白アルブミン近接プロモーターまたは異種性プロモーターに対してエストロゲン誘導性を与える。これらのデータは、HS-III が卵白アルブミン遺伝子の全体的な調節において機能的役割を果たし得ることを示唆する。HS-IV の機能については、それが機能的エストロゲン応答エレメントを含まないこと以外はほとんど知られていない(Kato et al.、Cell 68: 731-742 (1992))。
外来性遺伝物質を導入することによっておよび/または特定の遺伝子を破壊することによって真核生物のゲノムを修飾することが、大いに注目されてきた。ある一定の真核生物細胞は、外因性の真核生物タンパク質の生産のためのより優れた宿主であることを証明し得る。特定のタンパク質をコードする遺伝子の導入もまた、経済的価値を増大させ得る新規な表現型の創造を可能にする。さらに、幾つかの遺伝的に生じる疾患状態は、遺伝的欠陥のある細胞が、そうでなければ生成することができないタンパク質を発現することを可能にする外来遺伝子の導入によって治療され得る。最終的に、遺伝物質の挿入または除去による動物ゲノムの修飾は、遺伝子機能の基礎研究を可能にし、究極的には、疾患状態を治療するために用いられ得るまたは動物の改良された表現型をもたらす遺伝子の導入を可能にする。
遺伝子組換えは、いくつかの異なる方法によって哺乳類において達成されている。第一に、マウス、ブタ、ヤギ、ヒツジおよびウシを含む哺乳類において、導入遺伝子は受精卵の前核中にマイクロインジェクトされ、次いでそれは養母の子宮中に置かれ、その場所で生殖細胞系中に導入遺伝子を保有する創始動物(founder animal)を生じさせる。導入遺伝子は、特定の細胞型に外来タンパク質の発現をさせる特異的調節配列と共にプロモーターを保有するよう設計される。導入遺伝子はゲノム中にランダムに挿入されるため、導入遺伝子のゲノムへの挿入部位での位置効果が、導入遺伝子の発現レベルの低下を不定に引き起こし得る。この手法はまた、所望の細胞型において導入遺伝子の発現を指示するために必要な配列が定義され、かつ導入遺伝子ベクター中に含まれるような、プロモーターの特徴付けを必要とする(Hogan et al. Manipulating the Mouse Embryo、Cold Spring Harbor Laboratory、NY (1988))。
動物の遺伝子組換えを達成する第二の方法は、標的化された遺伝子破壊であり、ここで、選択可能なマーカー遺伝子に隣接する標的遺伝子の配列を含有するターゲティングベクター(targeting vector)が胚性幹(“ES”)細胞中に導入される。相同組換えによって、ターゲティングベクターは、染色体の遺伝子座で標的遺伝子配列を置き換えるか、または内部配列中に挿入されて標的遺伝子の産物の発現を妨げる。適切に破壊された遺伝子を有する ES 細胞のクローンが選択され、次いで初期段階の胚盤胞中に注入されてキメラの創始動物(founder animals)を生じ、そのうちいくつかは生殖細胞系において該導入遺伝子を有する。導入遺伝子が標的遺伝子座を欠失させる場合、導入遺伝子は標的遺伝子座を導入遺伝子ベクター中に含まれる外来 DNAで置換し、ここで、導入遺伝子ベクターは、培養中においてトランスフェクトされた ES 細胞を検出するのに有用な選択可能なマーカーをコードする DNA からなり、標的遺伝子のプロモーターが外来遺伝子の発現を起こすよう、欠失させられた遺伝子の場所にその後に挿入される外来タンパク質をコードする DNA 配列をさらに含み得る(米国特許第5,464,764号および5,487,992号(M. P. Capecchi and K. R. Thomas))。この手法には、ヤギ、ウシ、ヒツジおよびブタを含む多くの哺乳類において ES 細胞が利用できないという制限がある。さらに、この方法は、欠失させられた遺伝子が生物または細胞型の生存または適切な発生に必要である場合には、有用でない。
トリの遺伝子組換えにおける最近の進歩は、トリゲノムの改変を可能にした。生殖細胞系トランスジェニックニワトリは、生まれたての卵におけるヒヨコ胞胚葉の胚下腔中に複製欠陥レトロウイルスを注入することによって作成され得る(米国特許第5,162,215; Bosselman et al.、Science 243:533-534 (1989); Thoraval et al.、Transgenic Research 4:369-36 (1995))。外来遺伝子を保有するレトロウイルスの核酸は、胚性細胞の染色体中にランダムに挿入されてトランスジェニック動物を生み出し、そのうちいくつかは生殖細胞系の中に導入遺伝子を有する。挿入位置での位置効果を克服するための、融合遺伝子コンストラクトの 5' または 3' 領域において挿入されたインスレーター配列の使用が記載されている(Chim et al.、Cell 74:504-514 (1993))。
別のアプローチにおいて、導入遺伝子が受精卵の胚盤にマイクロインジェクションされて安定なトランスジェニック創始者トリが作られ、それは遺伝子を F1 世代に伝えうる(Love et al.、Bio/Technology 12:60-63 (1994))。しかし、この方法はいくつかの欠点を有する。雌鳥は受精卵を収集するために屠殺されなければならず、トランスジェニック 創始者の割合は低く、インジェクションされた卵は代替殻中での労働力のかかるインビトロ培養を必要とする。
別のアプローチにおいて、推定的な始原生殖細胞(「PGC」)を含む胚盤葉細胞がドナー卵から切り出され、導入遺伝子によりトランスフェクトされ、レシピエント胚の胚下腔に導入される。トランスフェクトされたドナー細胞はレシピエント胚へと取り込まれ、トランスジェニック胚を作り、そのいくつかは生殖系列において導入遺伝子を有すると予測される。導入遺伝子は非相同組換えによってランダムに染色体部位に挿入される。しかし、トランスジェニック創始者トリがこの方法によって作成されたことは未だにない。
Lui、Poult. Sci. 68:999-1010 (1995)は、培養中のニワトリ胚盤葉細胞における内在遺伝子の一部を欠失させるためにビテロゲニン遺伝子の隣接 DNA 配列を含むターゲティングベクターを用いた。しかし、これらの細胞が生殖系列に寄与することが出来、したがってトランスジェニック胚を作ることが出来ることはいまだに示されていない。さらに、この方法は、欠失遺伝子が生存または生物または細胞タイプの適切な発生に必要とされる場合は有用ではない。
したがって、好適なプロモーターに作動可能に連結した外来 DNA をトリのゲノムに導入し、それにより、外因性遺伝子の効率的な発現を達成しうる方法の必要性が存在することが理解できる。さらに、その卵管において外因性遺伝子を発現し、発現した外因性タンパク質をその卵中に分泌する生殖系列が改変されたトランスジェニックトリを作成する必要性が存在する。
インターフェロンが1957年に発見されたとき、それは重要な抗ウイルス薬であるとして歓迎された。1970年代後半において、インターフェロンは組換え遺伝子技術と組み合わされるようになった。今日、インターフェロンは、癌の生物学的プロセスの複雑性およびこの複雑性に取り組む耐久性および持続性の価値の象徴である。
癌を引き起こす異常な遺伝子には少なくとも3種類のタイプがある: 第一に癌遺伝子があり、それは変化すると、癌の特徴である異常な増殖および分裂を促す。第二に癌抑制遺伝子があり、それは変化すると、この異常な増殖および分裂を制御することが出来なくなる。第三に DNA 修復遺伝子があり、それは変化すると、癌を導きうる突然変異を修復することが出来なくなる。研究者らは体内には約 30 から 40 の癌抑制遺伝子が存在すると推測しており、そのそれぞれがタンパク質を産生する。これらタンパク質は「マスター」癌抑制タンパク質、例えば、Rb (それが最初に関連づけられた網膜芽細胞腫について)および p53 (多くの異なる腫瘍に関連づけられている)によって制御されている可能性がある。研究室からの証拠は、これら癌抑制遺伝子の1つのみをその正常機能に戻すことにより、悪性腫瘍の攻撃性をかなり低減させることができると示唆している。
科学者らは、インターフェロンが細胞増殖を阻害することが出来ることが発見されたときにインターフェロンに非常に興味をもつようになった。さらに、インターフェロンは、免疫系に対して特定の正の効果を有することが判明した。それは今では、癌抑制タンパク質に類似していると考えられている: それは細胞、特に悪性細胞の増殖を阻害する; それは多くの癌遺伝子および増殖因子の効果を遮断する; そしてその他の生物学的物質と異なり、それは転移の工程に必須である細胞運動性を阻害する。
細胞間情報交換は、メッセージが運ばれる組織のすべての構造成分: マトリックス、細胞膜、細胞骨格、および細胞自体、の正しい機能に依存する。癌においては、細胞間の情報交換ネットワークが破壊される。細胞骨格が破壊されると、メッセージは核へと伝わらず、核は異常に機能し始める。核は、癌遺伝子または癌抑制遺伝子がスイッチオンまたはスイッチオフされる部位であるので、この異常な機能は悪性腫瘍を導きうる。これが起こると、細胞は不規則に増殖しはじめ、分化しなくなる。それらはまた、運動を開始し、他の細胞を破壊することもある。インターフェロンは、おそらくはその他の細胞外および細胞内物質と協調して、平衡および恒常性を回復し、メッセージが正しく伝えられることを確実にすると考えられている。インターフェロンは増殖を停止させ、運動性を停止させ、そして、細胞が接着分子を介してその環境に応答する能力を促進する。それはまた細胞骨格における欠陥および損傷を修正する。インターフェロンは、 悪性腫瘍の増殖に必須である新しい血管の形成における最初の工程である血管新生を阻害することが判明した。さらに、それは、多くの他種類の細胞を刺激し、細胞増殖を促進する損傷に対する応答である線維症を阻害する(Kathryn L. Hale、Oncolog、Interferon: The Evolution of a Biological Therapy、Taking a New Look at Cytokine Biology)。
インターフェロンは動物細胞がウイルスにより侵入されると動物細胞により作られ、そして血流または細胞間液へと放出され、感染に対抗する酵素を製造する健康細胞を誘導する。長年にわたり、研究のためのヒト インターフェロンの供給は費用のかかる抽出技術によって制限されていた。1980年代において、しかし、タンパク質は遺伝子操作によってより多量に入手可能となった(即ち、タンパク質の組換え形態)。科学者らはまた、体が3種類の異なるインターフェロンを作ることを見いだし、それらはα-(アルファ)、β-(ベータ)、およびγ-(ガンマ)インターフェロンと称される。インターフェロンは最初は高度に種特異的であると考えられていたが、現在では、個々のインターフェロンは別の種において異なる活性の範囲を有しうることが知られている。アルファ インターフェロン(α-IFN) は、有毛細胞白血病および C型肝炎に対する治療上の使用について認可されている。α-IFN はまた、肝臓癌および肝硬変の主な原因である慢性 B型肝炎、ならびに性器疣贅およびより稀な血液および骨髄の癌の治療のために有効であることが判明した。α-IFN を含む点鼻薬はリノウイルスによって起こる風邪に対していくらかの保護を提供する。ヒト α-IFN は、抗ウイルス、 抗増殖および免疫調節活性を有する細胞外シグナル伝達タンパク質のファミリーに属する。IFN-α タンパク質は、ヒト第9染色体上にクラスターとなっている 13 の遺伝子を含む多重遺伝子ファミリーによってコードされる。IFN-α遺伝子のほとんどはセンダイウイルスによって誘導される白血球において mRNA レベルで発現する。さらに、少なくとも9種類のサブタイプがタンパク質レベルで作られることが示されている。いくつかの類似の IFN-αタンパク質の発現の生物学的意義は未知であるが、しかし、それらは抗ウイルス、増殖阻害およびキラー-細胞-刺激活性の定量的に異なるパターンを有すると考えられている。現在、2つの IFN-α変異体である、IFN-α 2a およびIFN-α 2b が、大腸菌において組換え技術によって大量生産されており、薬剤として上市されている。
天然の IFN-αと異なり、これらの組換え IFN-α産物は、いくらかの患者においては免疫原性であることが示され、これは、IFN-αタンパク質の不自然な形態に起因する可能性がある。したがって、IFN-α薬の開発のためには、正常のヒト白血球において発現されるIFN-α サブタイプおよび変異体を同定するだけでなく、それらの可能性のある翻訳後修飾を特徴決定する必要がある(Nyman et al. (1998) Eur. J. Biochem. 253:485-493)。
Nyman et al. (前掲) は天然の ヒト IFN-αのグリコシル化を研究した。彼らはセンダイ-ウイルス誘導の後に白血球によって産生される9つのサブタイプのうち2つ、即ち、IFN-α 14c および IFN-α 2b はグリコシル化されていることを見いだし、これは以前の研究と一致する。IFN-α 14 は、潜在的な N-グリコシル化部位である、Asn2 および Asn72 を有する唯一の IFN-α サブタイプであるが、Asn72 のみが実際にグリコシル化される。IFN-α 2 はスレオニン 106 (Thr106)において O-グリコシル化される。興味深いことに、他のいずれの IFN- α サブタイプもこの位置に Thr を含まない。この研究において、Nyman et al.は、オリゴ糖鎖を遊離させて単離し、それらの構造を質量分析および特定のグリコシダーゼ消化によって分析した。IFN-α 2b および IFN-α 14c の両方が逆相高速液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)において3つのピークに分解された。RP-HPLCからの IFN-α 2b 画分のエレクトロスプレーイオン化質量分析(ESI-MS) により、それらの分子量における相違が明らかとなり、これらは異なるグリコフォーム(glycoform)を表すことが示唆された。これは、それぞれの画分の遊離した O-グリカンの質量分析によって確認された。IFN-α 2b は、約 20% のコアタイプ-2 五糖、および約 50% の二シアル酸化および 30% の一シアル酸化コアタイプ-1 グリカンを含むと見積もられた。Nyman et al.のデータは、IFN-α 2b グリコシル化の以前の部分的特徴決定と一致する(Adolf et al. (1991) Biochem. J. 276:511-518)。IFN-α 14c および IFN-α 2b におけるグリコシル化の役割は、明らかに確立されていない。Nyman et al. (前掲)によると、糖鎖は生理活性には必須ではないが、グリコシル化は、タンパク質の薬物速度論および安定性に対する効果を有する可能性がある。
IFN-α ファミリーのタンパク質をコードする少なくとも 15 の機能的遺伝子がヒトゲノムにおいて存在する。アミノ酸配列類似性は一般に約 90%の領域にあり、したがって、これらの分子は、構造において緊密に関係している。IFN-α タンパク質は 166 アミノ酸を含み(ただし IFN-α 2 は例外であり、165 アミノ酸を有する)、特徴的なことに、2つのジスルフィド架橋を形成する4つの保存されたシステイン残基を含む。IFN-α 種はわずかに酸性の性質であり、アスパラギン結合型グリコシル化のための認識部位を欠く(ただし IFN-α 14 は例外であり、それはアスパラギン結合型グリコシル化のための認識部位を含む)。位置 23 および 34 のアミノ酸において異なっている IFN-α 2 の3つの変異体が知られている: IFN-α 2a (Lys-23、His-34); IFN-α 2b (Arg-23、His-34); および IFN-α 2c (Arg-23、Arg-34)。IFN-α 2a および IFN-α 2c は IFN-α 2b の対立遺伝子変異体であると考えられている。Gewert et al (1993) J. Interferon Res. vol 13、p227-231を参照されたい。IFN-α 2 種におけるアミノ酸の内容のわずかな違いがインターフェロンのグリコシル化に影響を有するとは予測されない。即ち、グリコシル化パターンは、IFN-α 2a、2b および 2c のそれぞれについて実質的に同じであると予測される。2つの他のヒト IFN 種、即ち、IFN-ω 1 および IFN-β は N-グリコシル化されており、IFN-αとの関係はより遠い。クラス I IFNと総称されるIFN-α、-βおよび-ωは、同じ高親和性細胞膜受容体に結合する(Adolf et al. (1991) Biochem. J. 276:511-518)。
Adolf et al. (前掲)は、モノクローナル抗体の特異性を、ヒト白血球 IFN からの天然の IFN-α 2 の単離のために用いた。彼らはイムノアフィニティークロマトグラフィーにより 95% 純粋なタンパク質を得、IFN-α 2 の予測された抗ウイルス活性を確認した。逆相 HPLC による天然の IFN-α 2 の分析は、天然のタンパク質は2つの成分に分解されうることを示し、それらはともに大腸菌由来 IFN-α 2 と比べてより親水性であった。SDS/PAGEにより、タンパク質は分子量においても不均一であることが判明し、その結果3つのバンドが生じ、それらはすべて対応する大腸菌由来タンパク質よりも電気泳動移動度が低かった。
Adolf et al. (前掲)はまた、天然の IFN-α 2 は O-結合型糖残基を担持していると予測した。彼らの仮定は、推定ペプチド-糖結合のアルカリによる切断によって確認された; 結果として得られたタンパク質は均一であり、組換えタンパク質と同じ分子量を示した。さらに、タンパク分解切断の後の天然および組換えタンパク質の比較、次いで、結果として得られた断片の分離および分析により、候補糖ペプチドを規定することが可能となった。このペプチドの配列分析により、O-グリコシル化部位として Thr-106 が同定された。すべての公表された IFN-α 2 種のアミノ酸配列比較により、このスレオニン残基は IFN-α 2 に特有であることが判明した。グリシン、イソロイシンまたはグルタミン酸は、すべてのその他のタンパク質において対応する位置(107)に存在している。
大腸菌において産生された IFN-α 2 の調製物は O-グリコシル化を欠いており、多くの国において薬剤として登録されてきた。しかし、治療上適用される大腸菌由来の IFN-α 2 の免疫原性は、グリコシル化の不在により影響を受けうる。研究により、酵母において産生された組換えヒト顆粒球マクロファージコロニー刺激因子を受け取った16名の患者のうち4名では、このタンパク質に対する抗体が生じたことが示された。興味深いことに、これらの抗体は、内在性顆粒球マクロファージコロニー刺激因子においては O-結合型グリコシル化によって保護されているが、組換え因子においては曝露されているエピトープと反応することが判明した (Adolf et al.、前掲)。
同様に、患者の長期治療の後の組換え大腸菌由来 IFN-α 2 に対する抗体の誘導が記載されており、天然の IFN-α 2 は組換え IFN-α 2 タンパク質と比べて免疫原性が低い可能性があるということが推測されている(Galton et al. (1989) Lancet 2:572-573)。
必要とされているものは、治療用または医薬用のタンパク質、例えば、 抗体およびサイトカイン、例えば、インターフェロン、 G-CSF およびエリスロポエチンを生産するための改良された方法である。
発明の概要
本発明は、外因性配列を発現させて、トリの表現型を変えるため、または所望のタンパク質を産生させるためにトリのゲノムに外因性核酸配列を安定に導入するためのベクターおよび方法を提供する。具体的には、その卵管中で外因性配列を発現し、外因性タンパク質、例えば、医薬用のタンパク質をその卵に蓄積するトランスジェニックトリが生産される。かかる外因性タンパク質を含むトリの卵は本発明に含まれる。本発明はさらに、トランスジェニックトリの卵管に有効に発現され、トリの卵に蓄積される、新規形態の治療用タンパク質 (例えば、ヒト サイトカイン)、例えば、インターフェロン、G-CSF、G-MCSF およびエリスロポエチンを提供する。
一つの側面において、本発明は、トリにおいて産生されたタンパク質 (例えば、ヒト タンパク質)、例えば、サイトカインに関する。特別の側面において、本発明は、(例えば、家禽由来エリスロポエチンの)グリコシル化パターンを有するヒト エリスロポエチンに関し、ここで、エリスロポエチンは、トランスジェニックニワトリ、トランスジェニックウズラまたはトランスジェニックシチメンチョウのトリ細胞から得られる。本発明は、単離または精製形態にあって、医薬組成物中に存在する、トリにおいて産生されたヒト タンパク質、例えば、サイトカイン、例えば、エリスロポエチンも含む。本発明の組換え タンパク質、例えば、エリスロポエチンの単離は、タンパク質精製の分野における知識を有する実務者に明らかな方法によって達成されうる。医薬組成物の製造に有用な処方の組立も当該技術分野において周知である。一つの態様において、本発明のタンパク質、例えば、エリスロポエチンは、家禽またはトリの 卵管細胞、例えば、管状腺細胞(例えば、ニワトリの管状腺細胞)から得られるグリコシル化パターンを有する。
本発明の一つの側面は、トリの特定の組織において外因性タンパク質を産生する方法を提供する。外因性タンパク質は、卵管、血液および/またはトリのその他の細胞および組織において発現されうる。一つの態様において、導入遺伝子は、例えば、ステージ X 近くで胚体胚盤葉細胞に導入され、トランスジェニックトリが作られ、目的タンパク質は卵管筒部の管状腺細胞において発現され、内腔へと分泌され、殻の硬い卵の卵白に蓄積される。そのようにして作られたトランスジェニックトリは、導入遺伝子をその生殖系列に担持しうる。外因性遺伝子はそれゆえ、外因性遺伝子のトリの胚細胞への人工的導入、および、メンデル様式でのトリの子孫への安定な外因性遺伝子の伝達の両方によってトリに伝達されうる。
本発明はトリの卵管において外因性タンパク質を産生する方法を包含する。この方法は、コード配列およびコード配列に作動可能に連結したプロモーターを含むベクターを提供する第一工程を含み得、それによりプロモーターは核酸のトリの卵管における発現に影響しうる。次に、トランスジェニック細胞および/または組織が作られ得、ここで、ベクターが新しく単離された、培養中のまたは胚中のトリの胚体胚盤葉細胞に導入され、それによりベクター配列が挿入され、例えば、ランダムにトリのゲノムに挿入される。最後に、その卵管中に外因性タンパク質を発現する成熟トランスジェニックトリが、トランスジェニック細胞および/または組織から誘導されうる。この方法は、卵管中で発現される外因性タンパク質が卵管内腔に分泌され、卵、例えば、殻の硬い卵の卵白中に蓄積される場合、外因性タンパク質、例えば、医薬用タンパク質 (例えば、サイトカイン)を含むトリの卵の産生にも利用できる。
一つの側面において、そのトリのゲノムへのベクターの染色体挿入によるトランスジェニックトリの産生は、胚体胚盤葉細胞の DNA トランスフェクションを含んでいてもよく、胚体胚盤葉細胞は次いで、レシピエント胚盤葉の真下の胚下腔に注入される。かかる方法に用いられるベクターは、外因性コード配列に融合しており、コード配列の卵管の管状腺細胞における発現をもたらすプロモーターを有しうる。
本発明の別の側面において、ランダムな染色体挿入およびトランスジェニックトリの生成は、レトロウイルスベクターの 5' および 3' LTR の間に導入遺伝子の遺伝コードを担持する複製欠損のまたは複製能力のあるレトロウイルス粒子による胚体胚盤葉細胞の形質導入により達成される。例えば、プロモーター領域のセグメントの下流に挿入された外因性遺伝子を含む改変された pNLB プラスミドを含むトリ白血症ウイルス(ALV)レトロウイルスベクターまたはマウス白血病ウイルス (MLV) レトロウイルスベクターを用いることが出来る。ウイルス粒子へとパッケージングされた改変されたレトロウイルスベクターのRNA コピーを用いて胚性胚盤葉に感染させることが出来、それはトランスジェニックトリへと発生する。あるいは、レトロウイルス形質導入粒子を生産するヘルパー細胞が胚性胚盤葉へと送達される。
本発明の別の側面は、コード配列がトリの卵管にて発現されるような作動的および位置的関係にあるコード配列およびプロモーターを含むベクターを提供する。かかるベクターとしては、これらに限定されないが、トリ白血症ウイルス (ALV) レトロウイルスベクター、マウス白血病ウイルス (MLV) レトロウイルスベクター、およびレンチウイルスベクターが挙げられる。さらに、ベクターは、トリ白血症ウイルス (ALV) レトロウイルスベクター、マウス白血病ウイルス (MLV) レトロウイルスベクター、またはレンチウイルス ベクターの LTR を含む核酸配列であってもよい。プロモーターは、トリの卵管においてコード配列を発現させるのに十分なものである。コード配列は、殻の硬い卵の卵白に蓄積される外因性タンパク質をコードする。したがって、コード配列は、外因性タンパク質、例えば、トランスジェニック家禽由来のタンパク質、例えば、インターフェロン-α 2b (TPD IFN-α 2b)およびトランスジェニック家禽由来のエリスロポエチン (TPD EPO)およびトランスジェニック家禽由来の顆粒球コロニー刺激因子 (TPD G-CSF)をコードする。一つの態様において、本発明の方法に用いられるベクターは、トリおよびその卵における外因性タンパク質の発現に特に好適なプロモーターを含む。したがって、外因性コード配列の発現は、トランスジェニックトリの卵管および血液およびそのトリの卵の卵白において起こりうる。プロモーターとしては、これらに限定されないが、サイトメガロウイルス (CMV) プロモーター、MDOT プロモーター、ラウス肉腫ウイルス (RSV) プロモーター、β-アクチン プロモーター (例えば、ニワトリβ-アクチン プロモーター)、マウス白血病ウイルス (MLV) プロモーター、マウス乳癌ウイルス (MMTV) プロモーター、卵白アルブミン プロモーター、リゾチーム プロモーター、コンアルブミン プロモーター、オボムコイド プロモーター、オボムチン プロモーター、 およびオボトランスフェリン プロモーターが挙げられる。 所望により、プロモーターは、少なくとも1つのプロモーター領域のセグメント、例えば、卵白アルブミン-、リゾチーム-、コンアルブミン-、オボムコイド-、オボムチン-、およびオボトランスフェリン プロモーター領域のセグメントであってもよい。一つの態様において、プロモーターは、1以上のプロモーターの組合せまたは融合または1以上のプロモーターの部分の融合であり、例えば、卵白アルブミン-、リゾチーム-、コンアルブミン-、オボムコイド-、オボムチン-、およびオボトランスフェリン プロモーターである。
本発明の一つの側面は、卵管筒部の管状腺細胞における発現に必要な配列を保持し、一方、ベクターへと容易に取り込まれうるのに十分に小さいように卵白アルブミン プロモーターの切断(truncating)および/または卵白アルブミン プロモーターの重要な調節エレメントの縮合(condensing) を伴う。例えば、卵白アルブミン プロモーター 領域のセグメントが用いられ得る。このセグメントは、卵白アルブミン遺伝子の 5'-フランキング領域を含む。卵白アルブミン プロモーター セグメントの全長は、約 0.88 kbから約 7.4 kb の長さであってよく、 好ましくは約 0.88 kb から約 1.4 kb の長さである。セグメントは好ましくは卵白アルブミン遺伝子のステロイド-依存的調節エレメントおよび負の調節エレメントの両方を含む。セグメントは所望により、卵白アルブミン遺伝子の5'非翻訳領域 (5'UTR)からの残基も含む。あるいは、プロモーターは、リゾチーム-、 コンアルブミン-、 オボムチン-、 オボムコイド- およびオボトランスフェリン遺伝子のプロモーター 領域のセグメントであってもよい。かかるプロモーターの一例は、オボムコイド (MD)およびオボトランスフェリン (OT) プロモーターからのエレメントから構成される合成の MDOT プロモーターである。
本発明の別の側面において、トリのゲノムに組み込まれたベクターは、外因性コード配列に作動可能に連結した構成的プロモーター (例えば、サイトメガロウイルス (CMV) プロモーター、ラウス肉腫ウイルス (RSV) プロモーター、およびマウス白血病ウイルス (MLV) プロモーター)を含む。あるいは、非構成的プロモーター、例えば、マウス乳癌ウイルス (MMTV) プロモーターを用いてもよい。
本発明のその他の側面は、その生殖系列組織の遺伝物質において導入遺伝子を担持するトランスジェニックトリを提供する。より具体的には、導入遺伝子は、外因性遺伝子および、外因性遺伝子を発現させるために作動的および位置的関係にあるプロモーターを含む。外因性遺伝子は、トリの卵管およびトランスジェニックトリの血液において発現されうる。外因性遺伝子は、外因性タンパク質、例えば、医薬タンパク質、例えば、サイトカイン、例えば、TPD IFN-α (例えば、IFN-α 2) および TPD EPO および TPD G-CSF をコードする。外因性タンパク質は殻の硬い卵の卵白に蓄積される。
本発明の別の側面は、トリ種に対して外因性のタンパク質を含むトリの卵を提供する。本発明の使用は、外因性タンパク質の卵管細胞における発現およびタンパク質の卵管筒部の内腔への分泌およびトリの卵の卵白への蓄積を可能とする。卵中に詰め込まれるタンパク質は1つの卵当たり1グラムまたはそれ以上の量にて存在しうる。外因性タンパク質としては、限定されないが、TPD IFN-α 2 および TPD EPO および TPD G-CSF が挙げられる。
本発明のさらに別の側面は、ヒト インターフェロン-α 2b (IFN-α 2b)の最適化されたコード配列、即ち、トランスジェニック家禽由来インターフェロン-α 2b (TPD IFN-α 2b)をコードする組換えトランスジェニック家禽由来インターフェロン-α 2b コード配列を含む単離ポリヌクレオチド配列を提供する。本発明はまた、TPD IFN-α 2b のポリペプチド配列を含む単離タンパク質も包含し、ここでタンパク質は、Thr-106 にて N-アセチル-ガラクトサミン、ガラクトース、N-アセチル-グルコサミン、シアル酸、およびそれらの組合せにより O-グリコシル化されている。
本発明はさらに、TPD IFN-α 2b のポリペプチド配列を含む医薬組成物も包含し、ここでタンパク質は、Thr-106 にて N-アセチル-ガラクトサミン、ガラクトース、N-アセチル-グルコサミン、シアル酸、およびそれらの組合せにより O-グリコシル化されている。
本発明の一つの側面は、本明細書に開示のように生産された外因性タンパク質に対するコード配列を提供し、ここで、コード配列はトリ、例えば、ニワトリにおける発現のためにコドン最適化されている。コドン最適化は、トリの細胞 (例えば、ニワトリ細胞)において発現する少なくとも1つ、好ましくは2以上のタンパク質のコドン使用頻度から決定することが出来る。例えば、コドン使用頻度は、ニワトリのタンパク質である、卵白アルブミン、リゾチーム、オボムチンおよびオボトランスフェリンをコードする核酸配列から判定することが出来る。例えば、外因性タンパク質に対する DNA コード配列は Wisconsin Package、version 9.1 (Genetics Computer Group、Inc.、Madison、WI) の BACKTRANSLATE(登録商標)プログラムを用いてコドン最適化することができ、それには、ニワトリ (Gallus gallus) 卵白アルブミン、リゾチーム、オボムコイド、およびオボトランスフェリン タンパク質から編集したコドン使用頻度表が備えられている。
本発明の一つの側面は、ヒト エリスロポエチン(EPO)の最適化されたコード配列、即ち、トランスジェニック家禽由来エリスロポエチン(TPD EPO)をコードする組換えトランスジェニック家禽由来エリスロポエチンのコード配列を含む単離ポリヌクレオチド配列を提供する。
本発明の別の側面は、第一および第二のコード配列および、第一および第二のコード配列が第一および第二のコード配列をトリの卵管において発現させるような作動的および位置的関係にあるプロモーターを含むベクターを提供する。この側面において、ベクターは、第一および第二のコード配列の間に位置する配列内リボソーム進入部位 (IRES) エレメントを含んでいてもよく、ここで第一のコード配列はタンパク質 X をコードし、第二のコード配列はタンパク質 Y をコードし、タンパク質 X およびタンパク質 Y の一方または両方が殻の硬い卵の卵中 (例えば、卵白)に蓄積される。
例えば、タンパク質 X はモノクローナル抗体の軽鎖 (LC)であり得、タンパク質 Y はモノクローナル抗体の重鎖 (HC)でありうる。あるいは、第二のコード配列によってコードされるタンパク質(例えば、酵素)は、第一のコード配列によってコードされるタンパク質の翻訳後修飾を提供することができるものであり得る。ベクターは所望により、さらなるコード配列およびさらなる IRES エレメントを含んでいてもよく、それによりベクターにおける各コード配列が IRES エレメントによって別のコード配列から分離される。本発明における使用について想定される IRES を採用するその他の例は、 例えば、2005年1月31日出願の米国特許出願第 11/047,184号に開示されており、その開示は引用によりその全体を本明細書に含める。
本発明はまた、タンパク質、例えば、医薬タンパク質、例えば、モノクローナル抗体、酵素およびその他のタンパク質を含むトリの卵を生産する方法も考慮する。かかる方法は、プロモーター、コード配列、および少なくとも1つの IRES エレメントを備えるベクターを提供する工程; ベクターをトリの胚体胚盤葉細胞に導入することによりトランスジェニック細胞または組織を作成する工程、ここでベクター配列はトリのゲノムにランダムに挿入される; およびトランスジェニック細胞または組織から成熟トランスジェニックトリを誘導する工程を含みうる。そのように誘導されたトランスジェニックトリはその卵管にコード配列を発現し得、その結果得られるタンパク質が卵管内腔に分泌され、それによりタンパク質が殻の硬い卵の卵白に蓄積される。さらに、本発明は、組換えタンパク質を含む卵を作るトランスジェニックトリの子孫も含む。典型的には、子孫は、実質的にトリのすべての細胞に導入遺伝子を含むか、または、子孫トリの細胞のいずれも導入遺伝子を含まない。
本発明の一つの重要な側面は、外因性ペプチドまたはタンパク質、例えば、限定されないが、医薬タンパク質を含むトリの殻の硬い卵 (例えば、ニワトリの殻の硬い卵)に関する。外因性ペプチドまたはタンパク質は、トランスジェニックトリの導入遺伝子によってコードされうる。一つの態様において、外因性ペプチドまたはタンパク質 (例えば、 医薬タンパク質)は、グリコシル化されている。タンパク質は、あらゆる有用な量にて存在しうる。一つの態様において、タンパク質は、殻の硬い卵あたり約 0.01 μgから殻の硬い卵あたり約 1 グラムの範囲の量にて存在する。別の態様において、タンパク質は、殻の硬い卵あたり約 1 μgから殻の硬い卵あたり約 1 グラムの範囲の量にて存在する。例えば、タンパク質は、殻の硬い卵あたり 約 10 μgから殻の硬い卵あたり約 1 グラムの範囲の量にて存在しうる (例えば、殻の硬い卵あたり約 10 μgから殻の硬い卵あたり約 400 ミリグラムの範囲)。
一つの態様において、本発明の外因性タンパク質、例えば、外因性医薬タンパク質は、卵の卵白中に存在する。一つの態様において、タンパク質は、1ミリリットルの卵白あたり約 1 ng から1ミリリットルの卵白あたり約 0.2 グラムの範囲の量にて存在する。例えば、タンパク質は、1ミリリットルの卵白あたり約 0.1 μgから1ミリリットルの卵白あたり約 0.2 グラムの範囲の量にて存在しうる(例えば、タンパク質は、1ミリリットルの卵白あたり約 1 μgから1ミリリットルの卵白あたり約 100 ミリグラムの範囲の量にて存在しうる)。一つの態様において、タンパク質は、1ミリリットルの卵白あたり約 1 μgから1ミリリットルの卵白あたり約 50 ミリグラムの範囲の量にて存在する。例えば、タンパク質は、1ミリリットルの卵白あたり約 1 μgから1ミリリットルの卵白あたり約 10 ミリグラムの範囲の量にて存在しうる(例えば、タンパク質は、1ミリリットルの卵白あたり約 1 μg から1ミリリットルの卵白あたり約 1 ミリグラムの範囲の量にて存在しうる)。一つの態様において、タンパク質は、1ミリリットルの卵白あたり 0.1 μg を超える量にて存在する。一つの態様において、タンパク質は、1ミリリットルの卵白あたり 0.5 μgを超える量にて存在する。一つの態様において、タンパク質は、1ミリリットルの卵白あたり 1 μgを超える量にて存在する。一つの態様において、タンパク質は、1ミリリットルの卵白あたり 1.5 μgを超える量にて存在する。
本発明は、あらゆる有用なタンパク質、例えば、1以上の医薬タンパク質を含む殻の硬い卵の生産を考慮する。かかるタンパク質としては、これらに限定されないが、ホルモン、免疫グロブリンまたは免疫グロブリンの部分、サイトカイン (例えば、GM-CSF、G-CSF、エリスロポエチンおよびインターフェロン) および CTLA4 が挙げられる。本発明はまた、融合タンパク質、例えばこれらに限定されないが、特定の有用なペプチド配列に融合した免疫グロブリンまたは免疫グロブリンの部分を含む、殻の硬い卵の生産も含む。一つの態様において、本発明は、抗体 Fc 断片を含む殻の硬い卵の生産を提供する。例えば、卵は本発明にしたがって Fc-CTLA4 融合タンパク質を含むものでもよい。
ベクターが導入された胚盤葉細胞から発生したトリは G0 世代であり、「創始者」と称されうる。創始者トリは典型的には、それぞれの挿入された導入遺伝子についてキメラである。すなわち、G0 トランスジェニックトリの細胞のなかのいくつかのみが導入遺伝子を含む。G0 世代は典型的にはまた導入遺伝子についてヘミ接合性である。G0 世代は非トランスジェニック動物と交配され得、G1 トランスジェニック子孫を作り、それもまた導入遺伝子についてヘミ接合性であってトリの実質的にすべての細胞において導入遺伝子を含む。G1 ヘミ接合性子孫は非トランスジェニック動物と交配され得、G2 ヘミ接合性子孫を作るか、または、互いに交配されて、導入遺伝子についてホモ接合性の G2 子孫を作る。G1 子孫由来の導入遺伝子について陽性の実質的にすべてのトリの細胞は、導入遺伝子を含む。一つの態様において、同じ系統からのヘミ接合性 G2 子孫 は交配されると導入遺伝子についてホモ接合性の G3 子孫を作ることが出来る。一つの態様において、ヘミ接合性 G0 動物は互いに交配されて、動物のそれぞれの細胞に2コピーの導入遺伝子を含むホモ接合性 G1 子孫を作る。これらは単に特定の有用な育種方法の例であり、本発明は、あらゆる有用な育種方法、例えば、当業者に知られた育種方法の採用を考慮する。
本発明の一つの側面は、家禽由来グリコシル化 パターン、例えば、ニワトリ由来グリコシル化パターンを有する本発明にしたがって生産されるタンパク質を含む組成物に関する。本発明の一つの側面は、トリ由来グリコシル化パターン、例えば、ニワトリ由来グリコシル化パターンを有する、本発明にしたがって生産されるタンパク質を含む組成物に関する。例えば、本発明は、家禽由来グリコシル化パターン、例えば、本明細書に開示する1以上のグリコシル化パターンを有する医薬タンパク質を含む。本発明はまた、家禽由来グリコシル化パターン、例えば、本明細書に開示する1以上のグリコシル化パターンを有するヒト タンパク質も含む。
一つの側面において、本発明は G-CSF を含み、ここで G-CSF は家禽由来グリコシル化パターンを有し、即ち、トランスジェニック家禽由来 G-CSF または TPD G-CSF を含む。一つの側面において、本発明は G-CSF を含み、ここで G-CSF はトランスジェニックトリ由来グリコシル化パターンを有し、即ち、トランスジェニックトリ由来 G-CSF を含む。一つの態様において、グリコシル化パターンは、ヒト細胞および/または CHO 細胞において生産される G-CSF のものとは異なるものである。即ち、組成物は、家禽またはトリ由来の糖鎖 (即ち、グリコシル化構造)を有する G-CSF 分子を有し、かかる糖鎖またはグリコシル化構造は、ヒト細胞および/または CHO 細胞から得られる G-CSF にはみられないものである。しかし、組成物は、CHO 細胞および/またはヒト 細胞から得られる G-CSF にみられるものと同じグリコシル化構造を有する G-CSF 分子も含んでいてもよい。CHO 細胞において生産されたヒト G-CSF のグリコシル化は、その開示を引用によりその全体を本明細書に含める Holloway、C.J.、European J. of Cancer (1994) vol 30A、pS2-S6; その開示を引用によりその全体を本明細書に含める Oheda et al (1988) J. Biochem.、v 103、p 544-546 およびその開示を引用によりその全体を本明細書に含める Andersen et al (1994) Glycobiology、vol 4、p 459-467に開示されている。構造、例えば、実施例 20 に示す A および G は、CHO 細胞において生産された G-CSF について報告されているグリコシル化構造と同じまたは類似であり得るようである。一つの態様において、本発明にしたがって生産された G-CSF のグリコシル化パターンは、哺乳類細胞において生産された G-CSF のものと異なるものである。
一つの態様において、本発明は、単離すべき G-CSF を提供する。即ち、組成物に含まれる G-CSF は単離された G-CSF でありうる。例えば、G-CSF は卵白から単離されうる。単離された G-CSF は G-CSF 分子の間で異なるグリコシル化構造を有する G-CSF 分子であり得、あるいは単離された G-CSF は G-CSF 分子の種の間で1つのみの特定のグリコシル化構造を有する G-CSF 分子の単離された個々の種であり得る。
一つの態様において、本発明の組成物の G-CSF は殻の硬い卵中に存在する。例えば、G-CSF は、本発明のトランスジェニックトリによって産卵された殻の硬い卵の卵白中に存在しうる。即ち、一つの態様において、本発明は、本発明の G-CSF を含むトリ (例えば、ニワトリ) の卵白に関する。一つの態様において、G-CSF は、卵白中に卵白1ml あたり約 1 マイクログラムを超える量にて存在する。例えば、G-CSF は、卵白1mlあたり約 2 マイクログラムを超える量にて存在しうる (例えば、卵白1ml あたり約 2 マイクログラムから約 200 マイクログラムの量で存在する)。
本発明の一つの特定の側面において、G-CSF は、トリの卵管細胞中でグリコシル化され、例えば、ニワトリの卵管細胞中でグリコシル化される。例えば、G-CSF は、卵管細胞において産生およびグリコシル化されうる。一つの態様において、G-CSF は管状腺細胞中でグリコシル化される(例えば、G-CSF は管状腺細胞中で産生およびグリコシル化される)。
G-CSF はスレオニン 133 にてグリコシル化されると考えられている。しかし、本発明は、G-CSF 分子上のいかなる特定の部位でのグリコシル化に限定されるものではない。
典型的には、本発明の G-CSF はヒト G-CSFである。一つの態様において、成熟 G-CSFは、図18 C のアミノ酸配列を有する。
一つの態様において、本発明の組成物は以下によりグリコシル化された G-CSF 分子を含む:
Figure 2010509327
Figure 2010509327
および
Figure 2010509327
本発明はまた特に、これら特定のグリコシル化構造の1つを有する G-CSF 分子を含む組成物に関する。かかる組成物はまた、1以上のその他のグリコシル化構造を有する1以上の G-CSF 分子を含みうる。
即ち、一つの態様において、本発明は以下を有する G-CSF 分子を含む組成物:
Figure 2010509327
および以下を有する G-CSF 分子を含む組成物:
Figure 2010509327
および以下を有する G-CSF 分子を含む組成物:
Figure 2010509327
および以下を有する G-CSF 分子を含む組成物:
Figure 2010509327
および以下を有する G-CSF 分子を含む組成物:
Figure 2010509327
および以下を有する G-CSF 分子を含む組成物:
Figure 2010509327
および以下を有する G-CSF 分子を含む組成物:
Figure 2010509327
に具体的に関する。
ここで、
Gal=ガラクトース、
NAcGal=N-アセチル-ガラクトサミン、
NAcGlu=N-アセチル-グルコサミン、および、
SA=シアル酸。
本発明はまた、患者における白血球細胞数を増加させる方法にも関し、該方法は、本発明にしたがって生産された治療上有効量の G-CSF を患者に投与することを含む。典型的には、治療上有効量は、患者における白血球細胞数を所望の量増加させる G-CSF の量である。
本発明の一つの側面は、EPO、即ち、本発明にしたがって生産された EPO 分子を含む組成物に関する。特に有用な態様において、EPO は精製または単離される。例えば、EPO は、トランスジェニックトリによって産まれた殻の硬い卵の内容物から取り出されている。一つの特に有用な態様において、EPO はヒト EPO である。一つの態様において、本発明の EPO は、トリの卵管細胞において産生された EPO に起因するグリコシル化パターンを有する。本発明の別の側面は、ヒト細胞または CHO 細胞において生産された EPO のものとは異なるグリコシル化パターンを有する EPO を含む組成物、およびニワトリの卵管細胞において産生された EPO に関する。一つの側面において、本発明は、トリまたは家禽由来グリコシル化パターンを有する単離された EPO (例えば、ヒト EPO)を含む組成物を提供する。例えば、組成物は、本発明にしたがってトリにおいて、例えば、ニワトリにおいて産生され、卵白から単離された EPO 分子の混合物を含みうる。一つの有用な態様において、EPO を含有する組成物は医薬製剤である。
一つの態様において、本発明の EPO に存在するオリゴ糖はフコースを含まない。別の態様において、本発明の EPO に存在する約 90% 以上の N-結合型オリゴ糖はフコースを含まない。別の態様において、本発明の EPO に存在する約 80% 以上の N-結合型オリゴ糖はフコースを含まない。別の態様において、本発明の EPO に存在する約 70% 以上の N-結合型オリゴ糖はフコースを含まない。別の態様において、本発明の EPO に存在する約 60% 以上の N-結合型オリゴ糖はフコースを含まない。別の態様において、本発明の EPO に存在する約 50% 以上の N-結合型オリゴ糖はフコースを含まない。
一つの態様において、本発明の EPO に存在する N-結合型オリゴ糖の約 95% 以上はシアル酸を含まない。別の態様において、本発明の EPO に存在する N-結合型オリゴ糖の約 90% 以上はシアル酸を含まない。別の態様において、本発明の EPO に存在する N-結合型オリゴ糖の約 80% 以上はシアル酸を含まない。別の態様において、本発明の EPO に存在する N-結合型オリゴ糖の約 70% 以上はシアル酸を含まない。別の態様において、本発明の EPO に存在する N-結合型オリゴ糖の約 60% 以上はシアル酸を含まない。別の態様において、本発明の EPO に存在する N-結合型オリゴ糖の約 50% 以上はシアル酸を含まない。
一つの態様において、本発明の EPO に存在する N-結合型オリゴ糖の約 95% 以上は末端 N-アセチルグルコサミンを含む。別の態様において、本発明の EPO に存在する N-結合型オリゴ糖の約 90% 以上は末端 N-アセチルグルコサミンを含む。別の態様において、本発明の EPO に存在する N-結合型オリゴ糖の約 80% 以上は末端 N-アセチルグルコサミンを含む。別の態様において、本発明の EPO に存在する N-結合型オリゴ糖の約 70% 以上は末端 N-アセチルグルコサミンを含む。別の態様において、本発明の EPO に存在するN-結合型オリゴ糖の約 60% 以上は末端 N-アセチルグルコサミンを含む。別の態様において、本発明の EPO に存在する N-結合型オリゴ糖の約 50% 以上は末端 N-アセチルグルコサミンを含む。
一つの態様において、本発明の EPO 分子に存在する N-結合型オリゴ糖構造タイプは実質的にいずれもフコースを含まない。別の態様において、本発明の EPO 分子に存在するN-結合型オリゴ糖構造タイプの約 90% 以上はフコースを含まない。例えば、20のオリゴ糖構造タイプがあれば、18以上の構造タイプはフコースを含まない。別の態様において、本発明の EPO 分子に存在する N-結合型オリゴ糖構造タイプの約 80% 以上はフコースを含まない。別の態様において、本発明の EPO 分子に存在する N-結合型オリゴ糖構造タイプの約 70% 以上はフコースを含まない。別の態様において、本発明の EPO 分子に存在する N-結合型オリゴ糖構造タイプの約 60% 以上はフコースを含まない。別の態様において、本発明の EPO 分子に存在する N-結合型オリゴ糖構造タイプの約 50% 以上はフコースを含まない。
一つの態様において、本発明の EPO 分子に存在する N-結合型オリゴ糖構造タイプは実質的にいずれもシアル酸を含まない。別の態様において、本発明の EPO 分子に存在するN-結合型オリゴ糖構造タイプの約 90% 以上はシアル酸を含まない。例えば、20のオリゴ糖構造タイプがあれば、18 以上の構造タイプはシアル酸を含まない。別の態様において、本発明の EPO 分子に存在する N-結合型オリゴ糖構造タイプの約 80% 以上はシアル酸を含まない。別の態様において、本発明の EPO 分子に存在する N-結合型オリゴ糖構造タイプの約 70% 以上はシアル酸を含まない。別の態様において、本発明の EPO 分子に存在する N-結合型オリゴ糖構造タイプの約 60% 以上はシアル酸を含まない。別の態様において、本発明の EPO 分子に存在する N-結合型オリゴ糖構造タイプの約 50% 以上はシアル酸を含まない。
一つの態様において、本発明の EPO 分子に存在するすべての N-結合型オリゴ糖構造タイプは末端 N-アセチルグルコサミンを含む。別の態様において、本発明の EPO 分子に存在する N-結合型オリゴ糖構造タイプの約 90% 以上が末端 N-アセチルグルコサミンを含む。例えば、20のオリゴ糖構造タイプがあれば、18以上の構造タイプが末端 N-アセチルグルコサミンを含む。別の態様において、本発明の EPO 分子に存在する N-結合型オリゴ糖構造タイプの約 80% 以上が末端 N-アセチルグルコサミンを含む。別の態様において、本発明の EPO 分子に存在する N-結合型オリゴ糖構造タイプの約 70% 以上が末端 N-アセチルグルコサミンを含む。別の態様において、本発明の EPO 分子に存在する N-結合型オリゴ糖構造タイプの約 60% 以上が末端 N-アセチルグルコサミンを含む。別の態様において、本発明の EPO 分子に存在する N-結合型オリゴ糖構造タイプの約 50% 以上が末端 N-アセチルグルコサミンを含む。
一つの側面において、本発明は、EPO をコードする導入遺伝子を含むトランスジェニックトリ、例えば、トランスジェニックニワトリから得られた EPO に関する。一つの態様において、EPO はトリの卵管細胞、例えば、管状腺細胞において産生される。一つの態様において、EPO は殻の硬い卵、例えば、トリ、例えば、ニワトリによって産まれた殻の硬い卵に含まれる。例えば、EPO はインタクトな殻の硬い卵の内容物中に存在しうる。一つの特に有用な態様において、本発明の EPO は ヒト EPO である。
一つの側面において、本発明は、単離 EPO 分子、例えば、ヒト EPO 分子を含む組成物に関し、ここで EPOは、EPO をコードする導入遺伝子を含むトリにおいて生産されたものである。一つの態様において、EPO はトランスジェニックトリ(例えば、トランスジェニックニワトリ)の卵管細胞 (例えば、管状腺細胞)において生産され、EPO はトランスジェニックトリの卵白から単離される。一つの態様において、本発明の EPO は図19A のアミノ酸配列を有する。EPO は N-グリコシル化および/または O-グリコシル化されていることが考慮される。一つの態様において、EPO はトリ、例えば、ニワトリの卵管細胞 (例えば、管状腺細胞)においてグリコシル化される。
一つの側面において、本発明は、トリ由来グリコシル化パターンを有する単離 EPO、例えば、ヒト EPO を含む、組成物、例えば、医薬製剤に関する。一つの側面において、本発明は、家禽由来グリコシル化パターンを有する単離 EPO、例えば、ヒト EPO を含む組成物、例えば、医薬製剤に関する。 一つの側面において、本発明は、本発明にしたがって生産された単離 EPO、例えば、ヒト EPO を含む組成物、例えば、医薬製剤に関する。一つの態様において、本発明の組成物中の EPO は、哺乳類の細胞において産生された EPO のものとは異なるグリコシル化パターンを含む。一つの態様において、本発明の組成物中の EPO は、CHO 細胞およびヒト細胞において生産された EPO のものとは異なるグリコシル化パターンを含む。一つの態様において、本発明の EPO は本明細書に開示する1以上の N-結合型オリゴ糖構造と結合している(例えば、図21に示される)。一つの態様において、本発明の EPO は本明細書に開示する1以上の O-結合型オリゴ糖構造と結合している(例えば、図20に示される)。
本発明の一つの側面は、トランスジェニックトリから得られた治療上有効量の EPO を患者に投与することを含む患者の治療方法に関する。一つの態様において、治療上有効量は、患者における赤血球数を所望の量増加させる量である。本発明にしたがって生産される EPO は、例えば、組織がエリスロポエチンの産生を続けられなくなっている慢性腎臓疾患の治療に利用できると考慮される。
本発明の一つの側面は、トランスジェニックトリの卵管において生産された単離グリコシル化ヒトタンパク質分子を含む組成物に関し、ここで、トランスジェニックトリ (例えば、トランスジェニックニワトリ)はヒト タンパク質をコードする導入遺伝子を含み、ヒト タンパク質は、ヒト タンパク質には通常存在しないニワトリ由来オリゴ糖を含む。一つの態様において、ヒト タンパク質は本明細書に開示する1以上の N-結合型オリゴ糖構造に結合している(例えば、図21に示される)。一つの態様において、ヒト タンパク質は本明細書に開示する1以上の O-結合型オリゴ糖構造に結合している(例えば、図20に示される)。
一つの態様において、本発明は、例えば、本明細書に開示のようにトランスジェニック ニワトリの卵管において生産された単離タンパク質分子に関し、ここで、トランスジェニックニワトリはタンパク質分子をコードする導入遺伝子を含み、タンパク質分子はニワトリ由来オリゴ糖を含む。例えば、タンパク質分子は以下のもののグリコシル化形態であり得る: GM-CSF、インターフェロンβ、融合タンパク質、CTLA4-Fc 融合タンパク質、成長ホルモン、サイトカイン、構造タンパク質(structural)、インターフェロン、リゾチーム、β-カゼイン、アルブミン、α-1 アンチトリプシン、アンチトロンビン III、コラーゲン、第VIII、IX、X 因子(等)、フィブリノーゲン、ラクトフェリン、プロテイン C、組織型プラスミノーゲン活性化因子 (tPA)、ソマトトロピン、およびキモトリプシン、免疫グロブリン、抗体、免疫毒素、第VIII因子、b-ドメイン欠失 第VIII因子、第VIIa因子、第IX因子、抗凝血剤; ヒルジン、アルテプラーゼ、tpa、レテプラーゼ、tpa、5つのうち3つのドメインが欠失した tpa、インスリン、インスリンリスプロ、インスリンアスパルト、インスリングラルギン、長時間作用型インスリンアナログ、グルカゴン、tsh、フォリトロピン-ベータ、fsh、pdgh、inf-ベータ 1b、ifn-ベータ 1a、ifn-ガンマ1b、il-2、il-11、hbsag、ospa、ドルナーゼアルファ dnase、ベータ グルコセレブロシダーゼ、tnf-アルファ、il-2-ジフテリア(diphtheria)毒素融合タンパク質、tnfr-lgg 断片融合タンパク質、ラロニダーゼ、DNAアーゼ、アレファセプト、トシツモマブ、マウス mab、アレムツズマブ、ラスブリカーゼ、アガルシダーゼ ベータ、テリパラチド、副甲状腺ホルモン誘導体、アダリムマブ (lgg1)、アナキンラ、生物学的修飾因子、ネシリチド、ヒト b-型ナトリウム利尿ペプチド (hbnp)、コロニー刺激因子、ペグビソマント、ヒト成長ホルモン受容体アンタゴニスト、組換え活性化プロテイン c、 オマリズマブ、免疫グロブリン e (lge) ブロッカー、イブリツモマブチウキセタン、ACTH、グルカゴン、ソマトスタチン、ソマトトロピン、チモシン、副甲状腺ホルモン、色素性ホルモン、ソマトメジン、黄体ホルモン、絨毛性ゴナドトロピン、視床下部放出因子、エタネルセプト、抗利尿ホルモン、プロラクチンおよび甲状腺刺激ホルモン、免疫グロブリン ポリペプチド、免疫グロブリン ポリペプチド D 領域、免疫グロブリン ポリペプチド J 領域、免疫グロブリン ポリペプチド C 領域、 免疫グロブリン軽鎖、免疫グロブリン重鎖、免疫グロブリン重鎖可変領域、免疫グロブリン軽鎖可変領域およびリンカーペプチド。当該分野における知識を有する実務者に理解されるように、通常はグリコシル化されないタンパク質を操作してトリ系においてグリコシル化されるグリコシル化部位を含めることが出来る。一つの態様において、単離タンパク質には本明細書に開示する1以上の N-結合型オリゴ糖構造が結合している(例えば、図21に示すもの)。一つの態様において、単離タンパク質は本明細書に開示する1以上の O-結合型オリゴ糖構造に結合している(例えば、図20に示すもの)。
本明細書に開示する特定のタンパク質、例えば、EPO について具体的に考慮される特徴(例えば、組成、グリコシル化構造)はまた本発明にしたがって生産されうる本明細書に開示するその他の特定のタンパク質についても考慮される。
本発明はまた、本明細書に開示するグリコシル化タンパク質、例えば、エリスロポエチンの製造方法も含み、該方法は、タンパク質 (例えば、エリスロポエチン)をコードする導入遺伝子を含むトランスジェニックトリを生産することを含み、ここでタンパク質はトリによって産まれる殻の硬い卵のなかに包含される。タンパク質 (例えば、エリスロポエチン)を含むトリによって産まれた卵も含まれる。
本発明はまた、個々のタイプの有用なタンパク質分子、例えば、本明細書に開示するタンパク質の単離混合物を含む組成物も提供し、ここで、混合物に含まれる1以上のタンパク質分子は特定のオリゴ糖構造を結合して有しており、具体的にはトランスジェニックトリによって生産されうる本明細書に開示するオリゴ糖構造を有している。例えば、本発明は EPO 分子、例えば、以下の1以上によってグリコシル化された EPO 分子を含むヒト EPO 分子 (例えば、配列番号50のEPO)の単離混合物を提供する:
Figure 2010509327
および
Figure 2010509327
および
Figure 2010509327
および
Figure 2010509327
および
Figure 2010509327
および
Figure 2010509327
および
Figure 2010509327
および
Figure 2010509327
および
Figure 2010509327
および
Figure 2010509327
および
Figure 2010509327
および、図20 および 図21 に示すその他のそれぞれのオリゴ糖構造。
本明細書に記載される特徴のあらゆる有用な組合せが本発明の範囲に含まれるが、ただし、かかる組合せに含まれる特徴が互いに矛盾しない限りであり、それは、文脈、本明細書、および当業者の知識から明らかであろう。
本発明のさらなる目的および側面は、以下に簡単に説明する添付の図面と共に以下に示す詳細な説明をみるとより明らかとなろう。
図1A および 1B は、卵白アルブミン プロモーター セグメントおよび外因性タンパク質 X をコードするコード配列、遺伝子 X を含む卵白アルブミン プロモーター 発現ベクターを示す。X はあらゆる目的の外因性遺伝子または外因性タンパク質を表す。 図2A、2B、2C および 2D は、卵白アルブミン プロモーター、および外因性タンパク質 X をコードするコード配列、遺伝子 X を含む本発明のレトロウイルスベクターを示す。X はあらゆる目的の外因性遺伝子または外因性タンパク質を表す。 図2E は、2A および 2B のベクターへの挿入のために外因性遺伝子を増幅する方法を示す。 図2F は、コード配列、遺伝子 X の発現を制御する卵白アルブミン プロモーター、および、第二のコード配列、遺伝子 Y の発現を可能とする配列内リボソーム進入部位 (IRES) エレメントを含むレトロウイルスベクターを示す。X および Y はあらゆる目的の遺伝子を表す。 図3A および 3B は、それぞれ ALV-由来ベクター pNLB および pNLB-CMV-BL の模式表示を示す。NLB はその全体を配列決定されていないので、bp (塩基対)における尺度を公表されたデータ(Cosset et al.、1991; Thoraval et al.、1995)および本明細書で議論するデータから評価する。ベクターはともにニワトリゲノムへと組み込まれるがそのままで示される。 図4A および 4B は、キメラおよびトランスジェニックニワトリの血清におけるβ-ラクタマーゼ(ラクタマーゼ)の量を示す。図4A において、NLB-CMV-BL 導入遺伝子が形質導入された G0 ニワトリの血清中の生理活性ラクタマーゼの濃度が孵化後 8 ヶ月にて測定された。世代、性別および羽の帯番号(wing band numbers)が示される。ラクタマーゼ血清濃度は孵化後 6 から 7 ヶ月において G1 トランスジェニックニワトリについて測定した。矢印は雄鳥 2395 から産まれた G1 ニワトリを示す。図4B において、ラクタマーゼ血清濃度が G1 および G2 トランスジェニックニワトリについて測定された。矢印は、雌鳥 5657 または雄鳥 4133 から産まれた G2 を示す。ニワトリ 4133、5308、および 5657 からのサンプルは図4A におけるものと同一である。5657 から産まれた G2 トリからのサンプルを孵化後 3 から 60 日目に収集した。4133 から産まれた G2 トリからのサンプルを孵化後 3 ヶ月目に収集した。 図5 は、雌鳥 5657 (図5A)または雄鳥 4133 (図5B)によって担持されるトランスジェニック座位を含むニワトリの系図を示す。2395 は複数のトランスジェニック座位を担持する雄鳥であった。2395 は非トランスジェニック雌鳥と交配され、ニワトリゲノムの特有の位置にそれぞれ導入遺伝子を担持する 3羽の子孫が得られた。簡便性のため、発現データが示されていないトランスジェニック子孫および非トランスジェニック子孫は系図から省いた。帯番号(Band numbers)は以下の記号によって示す: ○ 雌鳥; □ 雄鳥; ● NLB-CMV-BL 導入遺伝子を担持する雌鳥; ■ NLB-CMV-BL 導入遺伝子を担持する雄鳥。 図6 は、雌鳥 5657 およびその子孫の卵白におけるβ-ラクタマーゼ (ラクタマーゼ)を示す。図6A において、雌鳥 5657 およびそのトランスジェニック子孫からの卵白が活性のラクタマーゼについてアッセイされた。対照は非処理雌鳥からのものであり、クラッチメイト(clutchmate)は雌鳥 5657 から産まれた非トランスジェニック G2 である。卵は2000年3月に収集した。矢印は、雌鳥 5657 から産まれた G2 を示す。図6B において、1コピーの導入遺伝子を担持する G2 トランスジェニック雌鳥(ヘミ接合性)からの卵白サンプルが、2コピーを担持する G3 雌鳥 6978 (ホモ接合性)のものと比較された。卵は2001年2月に収集した。世代および羽の帯番号(wing band numbers)は左に示される。 図7 は、雄鳥 4133 から産まれた G2 および G3 雌鳥の卵におけるβ-ラクタマーゼ (ラクタマーゼ)を示す。図7A において、雄鳥 4133 から産まれた4羽の代表的なヘミ接合性トランスジェニック雌鳥からの卵白が活性のラクタマーゼについてアッセイされた。卵は1999年10月、2000年3月および2001年2月に収集され、雌鳥あたり最低 4つの卵を各セットが収集された1ヶ月後にアッセイした。対照は非処理雌鳥からの卵白を表す。帯番号(Band numbers)は左に示す。各時期についての 4羽の雌鳥の平均を計算する。図7B において、ヘミ接合性 G2 トランスジェニック雌鳥からの卵白をヘミ接合性およびホモ接合性トランスジェニック G3 雌鳥のものと比較した。卵は2001年2月に収集した。世代および導入遺伝子コピー数を各雌鳥についてのデータバーに示す。1または2コピーを担持する雌鳥についての平均濃度をチャートの下に示す。 図8A および 8B は、それぞれ、ニワトリにおける IFN-α 2b の発現のための pNLB-CMV-IFN ベクター; およびニワトリにおけるエリスロポエチン(EPO)の発現に用いられる pNLB-MDOT-EPO ベクターを示す。 図9 は、すべての 6のバンドを含むトランスジェニック家禽由来インターフェロン-α 2b (TPD IFN-α 2b)の新規なグリコシル化パターンを示す。 図10は、ヒト末梢血白血球由来インターフェロン-α 2b (PBL IFN-α 2b または天然の hIFN)とトランスジェニック家禽由来インターフェロン-α 2b (TPD IFN-α 2b または卵白 hIFN)との比較を示す。 図11A は、最適化ヒトインターフェロン-α 2b (IFN-α 2b)の合成核酸配列 (cDNA、残基1-498)、即ち、組換え TPD IFN-α 2b (配列番号1)を示す。図11B は、トランスジェニック家禽由来インターフェロン-α 2b (TPD IFN-α 2b)の合成アミノ酸配列(残基1-165) (配列番号2)を示す。 図12A は、最適化ヒトエリスロポエチン (EPO) の合成核酸配列 (cDNA、残基1-579)、即ち組換え TPD EPO (配列番号3)を示す。図12B は、トランスジェニック家禽由来エリスロポエチン(TPD EPO)の合成アミノ酸配列 (残基1-193)(配列番号4)を示す。(天然のヒト EPO については NCBI 受入番号 NP 000790 も参照されたい)。 図13 は、IFN-MM CDS に結合した合成の MDOT プロモーターを示す。MDOT プロモーターは、-435 から -166 bp の範囲のニワトリ オボムコイド遺伝子からのエレメント(オボムコイド プロモーター) (NCBI 受入番号 J00894 参照)および -251 から +29 bp の範囲のニワトリ コンアルブミン遺伝子 (オボトランスフェリン プロモーター) (NCBI 受入番号 Y00497、M11862 および X01205 を参照)を含む。 図14 は、主要な卵白タンパク質の要約を提供する。 図15A および 15D は pCMV-LC-emcvIRES-HC ベクターを示し、ここでヒト モノクローナル抗体の軽鎖 (LC)および重鎖 (HC)が、モノクローナル抗体の発現を試験するために脳心筋炎ウイルス (EMCV)からの IRES を配置することによってこの1つのベクターから発現した。比較のために、図15B および 15C はそれぞれ別々のベクター pCMV-HC および pCMV-LC を示し、ここでこれらのベクターもまた、モノクローナル抗体の発現の試験のために用いられた。 図16 は、Neupogen(登録商標)(レーン A) および TPD G-CSF (レーン B)の銀染色した SDS PAGEを示す。 図17 は、14日間の期間にわたる細菌由来 ヒト G-CSF と比較しての TPD G-CSF の好中球絶対数(ANC)の上昇を示す。 図18A (配列番号39)は、図18B のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を示す。NCBI 受入番号 NP 7577373 に対応する。図18B (配列番号40)は、細胞分泌の間に成熟 G-CSF から切り離される天然のシグナル配列を含む G-CSF のアミノ酸配列を示す。図18C (配列番号41)は、本発明によって生産された成熟 G-CSF タンパク質のアミノ酸配列を示す。 図19A は、トランスジェニックトリにおいてヒト エリスロポエチンの 165 アミノ酸形態を生産するために用いたヌクレオチド コード配列を示す。図19B は、トランスジェニックトリにおいて生産されたヒト エリスロポエチンの 165 アミノ酸形態のアミノ酸配列を示す。 図20 は、本発明によって生産されたエリスロポエチンについて決定された代表的な O-結合型グリコシル化構造を示す。 図21A および図21B は、本発明によって生産されたエリスロポエチンについて決定された代表的な N-結合型グリコシル化構造を示す。糖残基の基の前の括弧は、示された糖が括弧つきの糖のいずれに結合してもよいことを意味する。例えば、構造 E-n において、シアル酸に結合している示されたガラクトース分子は、5つの末端 n-アセチルグルコサミンのいずれに結合してもよい。仮定の結合は当該技術分野において理解されているように構造についても示される。C-n、E-n、F-n および H-n として示される構造のそれぞれについて、1つのマンノースに結合している2つの末端 NAcGlu 残基はマンノースに 2,4結合するのではなくマンノースに 2,6-結合していてもよいことが考慮される。 図22 は、精製トランスジェニックニワトリ由来 EPO のインビトロ活性を示す。ED50=0.44ng/ml。
詳細な説明
本明細書において本発明を記載するために用いられる様々な用語の意味および範囲を説明および定義するために特定の定義を本明細書に示す。
「核酸またはポリヌクレオチド配列」には、限定されないが、真核 mRNA、cDNA、ゲノム DNA および合成の DNA および RNA 配列が含まれ、天然のヌクレオシド塩基であるアデニン、グアニン、シトシン、チミジンおよびウラシルを含む。この用語はまた、1以上の修飾塩基を有する配列も含む。
本明細書において用いる「トリ」という用語は、分類学的クラス鳥類(ava)の生物のあらゆる種、亜種または品種をいい、例えば、限定されないが、ニワトリ、シチメンチョウ、アヒル、ガチョウ、ウズラ、キジ、オウム、フィンチ、タカ、カラスおよび走鳥類、例えば、ダチョウ、エミューおよびヒクイドリが挙げられる。この語は様々な既知のニワトリ(Gallus gallus)、またはニワトリの系統(例えば、白色レグホン、褐色レグホン、バードロック(Barred-Rock)、サセックス(Sussex)、ニューハンプシャー(New Hampshire)、ロードアイランド(Rhode Island)、オーストラロープ(Australorp)、ミノルカ(Minorca)、アムロックス(Amrox)、カリフォルニアグレイ(California Gray))、およびシチメンチョウ、キジ、ウズラ、アヒル、ダチョウおよびその他の商業規模で一般に育種されている家禽の株を含む。それはまた、発生のあらゆる段階における個々のトリ生物も含み、胚性および胎性段階が含まれる。
「治療用タンパク質」または「医薬タンパク質」は、全体としてまたは部分的に薬剤を構成するアミノ酸配列を含む。
「コード配列」または「オープンリーディングフレーム」は、適切な調節配列の制御下に置かれた場合にインビトロまたはインビボで転写および翻訳されうる(DNAの場合)またはポリペプチドへと翻訳されうる(mRNAの場合)ポリヌクレオチドまたは核酸配列をいう。コード配列の境界は、5'(アミノ)末端の翻訳開始コドンおよび 3'(カルボキシ)末端の翻訳終止コドンによって決定される。転写終結配列は通常、コード配列の 3'側に位置する。コード配列は非翻訳領域によって 5'および/または3'末端において隣接されうる。
「エキソン」は、核の転写物へと転写された場合に、核のスプライシングによってイントロンまたは介在配列が除去された後に細胞質 mRNA において「発現される」遺伝子の部分をいう。
核酸「制御配列」または「調節配列」は、特定の宿主細胞において所与のコード配列の転写および翻訳に必要かつ十分なプロモーター配列、翻訳開始および終止コドン、リボソーム結合部位、ポリアデニル化シグナル、転写終結配列、上流調節ドメイン、エンハンサー等をいう。真核細胞に好適な制御配列の例は、プロモーター、ポリアデニル化シグナル、およびエンハンサーである。所望の遺伝子の転写および翻訳に必要かつ十分なものが存在する限り、これらの制御配列のすべてが組換えベクター中に存在する必要はない。
「作動可能にまたは作動的に連結」とは、所望の機能を発揮するためのコード配列および制御配列の配置をいう。したがって、コード配列に作動可能に連結した制御配列は、コード配列の発現を実行することが出来る。DNA ポリメラーゼがプロモーター配列に結合し、コード配列が mRNA へと転写され、mRNA がコードされるタンパク質へと翻訳されうる場合、コード配列は細胞において転写調節領域に作動可能に連結しているか、またはその制御下にある。制御配列は、それらがその発現をもたらすよう機能する限りコード配列と隣接している必要はない。したがって、例えば、介在する翻訳されないが転写される配列がプロモーター配列とコード配列との間に存在していてもよく、プロモーター配列はその場合でもコード配列と「作動可能に連結」しているとみなされうる。
核酸配列、例えば、コード配列および制御配列に関する場合の「異種」および「外因性」という用語は、組換えコンストラクトの領域または特定の染色体座位に通常は関係していない、および/または、特定の細胞と通常は関係していない配列をいう。したがって、核酸コンストラクトの「外因性」領域は、別の分子に関係してはみられない性質の別の核酸分子内にあるまたはそれと結合している核酸の同定可能なセグメントである。例えば、コンストラクトの外因性領域は、コード配列とは関係してみられない性質の配列によって挟まれているコード配列を含みうる。外因性コード配列の別の例は、コード配列自体が天然にはみられない性質のコンストラクトである(例えば、ネイティブな遺伝子とは異なるコドンを有する合成の配列)。同様に、宿主細胞に通常は存在しないコンストラクトまたは核酸によって形質転換された宿主細胞は、本発明の目的では外因性であるとみなされる。
本明細書において用いる「オリゴ糖」、「オリゴ糖構造」、「グリコシル化パターン」および「グリコシル化構造」という用語は実質的に同義であり、それぞれグリコシル化タンパク質に結合している糖残基から形成される1以上の構造をいう。
本明細書において用いる「外因性タンパク質」とは、特定の組織または細胞に天然には存在しないタンパク質、外因性発現コンストラクトまたは導入遺伝子の発現産物であるタンパク質、または、特定の組織または細胞においては所与の量で天然には存在しないタンパク質をいう。卵に対して外因性のタンパク質は、卵においては通常みられないタンパク質である。例えば、卵に対して外因性のタンパク質は、卵を産んだ動物の導入遺伝子に存在するコード配列の発現の結果として卵において存在するタンパク質でありうる。
「内在性遺伝子」とは、特定の細胞と通常関係している天然の遺伝子またはその断片をいう。
「EPO」とは「エリスロポエチン」を意味し、これら2つの用語は本明細書において互換的に用いられる。
本明細書に記載される発現産物は、所定の化学構造を有するタンパク質性物質からなりうる。しかし、正確な構造は多数の因子に依存し、特にタンパク質に一般的な化学的修飾に依存する。例えば、すべてのタンパク質はイオン化できるアミノおよびカルボキシル基を含むため、タンパク質は酸性または塩基性塩形態、または中性形態で得られうる。一次アミノ酸配列は糖分子を用いて誘導体化され得(グリコシル化)、またはその他の化学的誘導体化によって誘導体化され得、例えば、しばしば糖類と結合して存在する脂質、リン酸、アセチル基等との共有結合またはイオン結合を伴う。これらの修飾はインビトロまたはインビボで起こり得、後者は翻訳後プロセシングシステムを介して宿主細胞によって行われる。かかる修飾は分子の生理活性を上昇または低下させ得、かかる化学修飾分子もまた本発明の範囲に含まれる意図である。
クローニング、増幅、発現、および精製の別の方法は当業者に明らかであろう。代表的な方法は、Sambrook、Fritsch、and Maniatis、Molecular Cloning、a Laboratory Manual、2nd Ed.、Cold Spring Harbor Laboratory (1989)に開示されている。
「ベクター」とは、一本鎖、二本鎖、環状、または高次コイル DNA または RNA から構成されるポリヌクレオチドを意味する。典型的なベクターは、機能的遺伝子発現を可能にするのに適切な距離にて作動的に連結した以下のエレメントから構成されうる: 複製開始点、プロモーター、エンハンサー、5' mRNA リーダー配列、リボソーム結合部位、核酸カセット、終結およびポリアデニル化部位、および選択可能マーカー配列。1以上のこれらのエレメントは特定の用途においては省いてもよい。核酸カセットは、発現させるべき核酸配列の挿入のための制限部位を含みうる。機能的なベクターにおいて、核酸カセットは、翻訳開始および終結部位を含む発現すべき核酸配列を含む。イントロンを所望によりコンストラクトに含めてもよく、例えば、コード配列の 5'側に含めうる。ベクターは特定のコード配列が適切な調節配列を有するベクター内に位置するよう構築され、制御配列に対するコード配列の位置および方向は、コード配列が、制御または調節配列の「制御」下で転写されるようにする。目的の特定のタンパク質をコードする配列の修飾は、この目的を達成するために望ましい可能性がある。例えば、いくつかの場合においては、適切な方向にて制御配列と結合されうるために; またはリーディングフレームを維持するために配列を修飾する必要がある可能性がある。制御配列およびその他の調節配列は、ベクターへの挿入の前にコード配列にライゲーションすればよい。あるいは、コード配列は、制御配列の調節性制御下にあるリーディングフレーム中にある制御配列および適切な制限部位を既に含む発現ベクターに直接クローニングしてもよい。
「プロモーター」は、RNA ポリメラーゼが結合して遺伝子の転写を開始させる DNA 上の部位である。ある態様において、プロモーターは配列の付加または欠失によって修飾され、あるいは別の配列によって置換され、それには天然および合成配列ならびに合成および天然の配列の組合せでありうる配列が含まれる。多くの真核プロモーターは2タイプの認識配列を含む: TATA ボックスおよび上流プロモーターエレメントである。前者は、転写開始部位の上流に位置しており、RNA ポリメラーゼが正しい部位にて転写を開始させることに関与し、後者は転写速度を決定しているようであり、TATA ボックスの上流にある。エンハンサーエレメントは、結合したプロモーターからの転写を刺激することもできるが、多くは特定の細胞タイプにおいてのみもっぱら機能する。ウイルス由来の多くのエンハンサー/プロモーター エレメント、例えば、SV40 プロモーター、サイトメガロウイルス (CMV) プロモーター、ラウス肉腫ウイルス (RSV) プロモーター、およびマウス白血病ウイルス (MLV) プロモーターはすべて広範な細胞タイプにおいて活性であり、「ユビキタス」であるといわれる。あるいは、非構成的プロモーター、例えば、マウス乳癌ウイルス (MMTV) プロモーターも本発明において利用することが出来る。クローニング部位に挿入される核酸配列は目的のポリペプチドをコードするあらゆるオープンリーディングフレームを有しうるが、ただし、コード配列が目的のポリペプチドをコードする場合、それは適切な mRNA 分子の生産を阻害しうるおよび/または異常にスプライスされたまたは異常な mRNA 分子を生産しうる潜在的なスプライス部位を含まないべきである。
「家禽由来」という用語は、家禽によって生産されたまたは家禽から得られる組成物または物質をいう。「家禽」とは家畜として維持されうるトリをいい、例えば、限定されないが、ニワトリ、アヒル、シチメンチョウ、ウズラおよび走鳥類が挙げられる。例えば、「家禽由来」とは、ニワトリ由来、シチメンチョウ由来および/またはウズラ由来であることをいいうる。
「マーカー遺伝子」は、正しくトランスフェクトされた細胞の同定および単離を可能とするタンパク質をコードする遺伝子である。好適なマーカー配列としては、これらに限定されないが、緑色、黄色、および青色蛍光タンパク質遺伝子 (それぞれ GFP、YFP、および BFP)が挙げられる。その他の好適なマーカーとしては、チミジンキナーゼ (tk)、ジヒドロ葉酸還元酵素 (DHFR)、およびアミノグリコシドホスホトランスフェラーゼ (APH) 遺伝子が挙げられる。後者はアミノグリコシド抗生物質、例えば、カナマイシン、ネオマイシン、およびジェネテシンに対する耐性を付与する。これらの、および、例えば、クロラムフェニコール アセチルトランスフェラーゼ (CAT)、β-ラクタマーゼ、β-ガラクトシダーゼ (β-gal)をコードするその他のマーカー遺伝子は、所望のタンパク質を発現する遺伝子とともに一次核酸カセットに取り込んでもよいし、選択マーカーは、別々のベクターに含まれて共トランスフェクトされるものであってもよい。
「レポーター遺伝子」は、それがコードするタンパク質の存在によって細胞におけるその活性を「レポート」するマーカー遺伝子である。
「レトロウイルス粒子」、「形質導入用粒子」、または「形質導入粒子」は、非ウイルス DNA または RNA を細胞に形質導入することが出来る複製欠損または複製能力のある ウイルスをいう。
「形質転換」、「形質導入」および「トランスフェクション」という用語は、すべてポリヌクレオチドのトリ胚盤葉細胞への導入を意味する。「筒部」とは卵管漏斗および卵管峡部の間にあり、卵の卵白タンパク質を合成および分泌する管状腺細胞を含む卵管の部分である。
本明細書において用いる「MDOT プロモーター」は、その他の組織のなかで卵管筒部の管状腺細胞において活性な合成のプロモーターである。MDOT はオボムコイド(MD)およびオボトランスフェリン(TO)プロモーターからのエレメントから構成される(図13)。
「最適化」という用語は、「最適化されたコード配列」という文脈で用いられ、ここで、卵白タンパク質である卵白アルブミン、リゾチーム、オボムコイド、およびオボトランスフェリンにおいてみられるそれぞれの特定のアミノ酸についてもっとも頻繁に使用されるコドンが、本発明のベクターに挿入される最適化ヒトインターフェロン-α 2b (IFN-α 2b) ポリヌクレオチド配列の設計に用いられる。より具体的には、最適化 ヒト IFN-α 2b のための DNA 配列は雌鳥卵管最適化コドン使用頻度に基づき、Wisconsin Package、Version 9.1 (Genetics Computer Group Inc.、Madison、Wis.)の BACKTRANSLATE プログラムを用いて作製され、それはニワトリ (Gallus gallus)の卵白アルブミン、リゾチーム、オボムコイド、およびオボトランスフェリン タンパク質から編集されたコドン使用頻度表を備える。例えば、4つの卵白タンパク質におけるアミノ酸アラニンのための4つのコドンのパーセント使用頻度は GCU が 34%、GCC が 31%、GCA が 26% および GCG が 8% である。それゆえ、GCU が最適化 ヒト IFN-α 2b コード配列におけるアラニンの大部分のためのコドンとして使用される。最適化 ヒト IFN-α 2b のための遺伝子を含むベクターが、トランスジェニック家禽由来 IFN-α 2b (TPD IFN-α 2b)をその組織および卵の中に発現するトランスジェニックトリの生産に使用される。同様に、上記方法はその他のコード配列タンパク質、例えば、ヒト エリスロポエチン(EPO)または本発明によって生産されうるその他のタンパク質の設計にも使用される。
本発明の方法により、導入遺伝子がトリの胚体胚盤葉細胞に、その生殖系列組織の遺伝物質に導入遺伝子を担持するトランスジェニック ニワトリ、トランスジェニック シチメンチョウ、トランスジェニック ウズラおよびその他のトリの種の生産のために導入されうる。胚盤葉細胞は、典型的には ステージ VII-XII の細胞またはそれに同等な細胞であり、一つの態様においてはステージ X に近い。本発明に有用な細胞としては、胚性生殖(EG)細胞、胚性幹(ES)細胞および始原生殖細胞(PGC)が挙げられる。胚体胚盤葉細胞は新たに単離され、培養中に維持されることが出来、あるいは胚のなかにある。
本発明の方法の実施に有用なベクターは本明細書に記載される。これらベクターは外因性コード配列のトリゲノムへの安定な導入のために使用されうる。あるいは、ベクターは、トリの特定の組織、例えば、トリの卵管組織において外因性タンパク質を産生させるために用いうる。ベクターはまた外因性タンパク質を含むトリの卵の生産方法にも使用されうる。一つの態様において、コード配列およびプロモーターはともに、胚盤葉細胞への導入の前に 5' および 3' LTR の間に位置する。一つの態様において、ベクターはレトロウイルスであり、コード配列およびプロモーターはともにレトロウイルスベクターの 5' および 3' LTR の間に位置する。一つの有用な態様において、LTR またはレトロウイルスベクターはトリ白血症ウイルス(ALV)、マウス白血病ウイルス (MLV)、またはレンチウイルス由来である。
一つの態様において、ベクターはコード配列に作動可能に連結したシグナルペプチド コード配列を含み、それにより細胞において翻訳されると、シグナルペプチドがベクターによって発現された外因性タンパク質を殻の硬い卵の卵白へと分泌させる。ベクターはマーカー遺伝子を含み得、ここでマーカー遺伝子はプロモーターに作動可能に連結している。
いくつかの場合において、本発明のベクターの胚体胚盤葉細胞への導入はあらたに単離されたまたは培養中の胚体胚盤葉細胞を用いて行われる。トランスジェニック細胞は次いで典型的には卵におけるレシピエント胚盤葉の直下の胚下腔に注入される。いくつかの場合において、しかし、ベクターは胚盤葉胚の細胞に直接送達される。
本発明の一つの態様において、胚盤葉細胞のトランスフェクトおよびトリゲノムへの安定な組込みの生成に用いられるベクターは、トリの卵管筒部の管状腺細胞にコード配列を発現させるための作動的および位置的関係にあるコード配列およびプロモーターを含み、ここで、コード配列は殻の硬い卵の卵白に蓄積される外因性タンパク質をコードする。プロモーターは、所望により、コード配列の管状腺細胞での発現をもたらすのに十分に大きい卵白アルブミン プロモーター領域のセグメントであってよい。本発明は、卵管筒部の管状腺細胞における発現に必要な配列が維持されるような、卵白アルブミン プロモーターの切断および/または卵白アルブミン プロモーターの重要な調節エレメントの縮合を含み、一方それはベクターに容易に取り込まれることができるために十分に小さい。一つの態様において、卵白アルブミン プロモーター領域のセグメントが用いられうる。このセグメントは卵白アルブミン遺伝子の 5'-フランキング領域を含む。卵白アルブミン プロモーターセグメントの全長は約 0.88 kb から約 7.4 kb の長さであり得、好ましくは約 0.88 kb から約 1.4 kb の長さである。セグメントは好ましくは、卵白アルブミン遺伝子のステロイド-依存的調節エレメントおよび負の調節エレメントの両方を含む。セグメントは所望により卵白アルブミン遺伝子の 5' 非翻訳領域 (5' UTR)からの残基も含む。したがって、プロモーターは、卵白アルブミン-、リゾチーム-、コンアルブミン-、オボムコイド-、オボトランスフェリン-またはオボムチン遺伝子のプロモーター領域由来であり得る(図14)。かかるプロモーターの例は、合成の MDOT プロモーターであり、これはオボムコイドおよびオボトランスフェリン プロモーターからのエレメントから構成される (図13)。プロモーターは、主に、ただし完全にではなく筒部に特異的なプロモーター、例えば、リゾチーム プロモーターでありうる。プロモーターはマウス乳癌ウイルス(MMTV) プロモーターであってもよい。あるいは、プロモーターは構成的プロモーターであってもよい(例えば、サイトメガロウイルス (CMV) プロモーター、ラウス肉腫ウイルス (RSV) プロモーター、マウス白血病 ウイルス (MLV) プロモーター等)。本発明の好ましい態様において、プロモーターは、サイトメガロウイルス (CMV) プロモーター、MDOT プロモーター、ラウス肉腫ウイルス (RSV) プロモーター、マウス白血病ウイルス (MLV) プロモーター、マウス乳癌ウイルス (MMTV) プロモーター、卵白アルブミン プロモーター、リゾチーム プロモーター、コンアルブミン プロモーター、オボムコイド プロモーター、オボムチン プロモーター、およびオボトランスフェリン プロモーターである。 所望により、プロモーターはプロモーター領域の少なくとも1つのセグメントであり得、例えば、卵白アルブミン-、リゾチーム-、コンアルブミン-、オボムコイド-、オボムチン-、およびオボトランスフェリン プロモーター領域のセグメントが挙げられる。一つの態様において、プロモーターは CMV プロモーターである。
図1A および 1B は、卵白アルブミン プロモーター 発現ベクターの例を示す。遺伝子 X は外因性タンパク質をコードするコード配列である。曲がった矢印は転写開始部位を示す。一例において、ベクターは 1.4 kb の卵白アルブミン遺伝子の 5' フランキング領域を含む(図1A)。図1A の「-1.4 kb プロモーター」の配列は卵白アルブミン転写開始部位のおよそ 1.4 kb 上流 (1.4 kb)から開始して卵白アルブミン遺伝子の 5' 非翻訳領域へとおよそ 9 残基伸長する配列に対応する。およそ 1.4 kb-長のセグメントは2つの重要な調節エレメントである、ステロイド-依存的調節エレメント(SDRE)および負の調節エレメント(NRE)を担持する。NRE はホルモン(例えば、エストロゲン)の非存在下での遺伝子の発現を阻害するいくつかの負の調節エレメントを含むためにそのように名付けられている。より短い 0.88 kb セグメントもまた両方のエレメントを含む。別の例において、ベクターはおよそ 7.4 kb の卵白アルブミン遺伝子の 5' フランキング領域を含み、2つの付加的エレメント(HS-III および HS-IV)を担持し、その1つは、エストロゲンによる遺伝子の誘導を可能とする機能的領域を含むことが知られている(図1B)。より短い 6 kb セグメントもすべての4つのエレメントを含み、所望により本発明において用いることが出来る。
本発明によるランダムな組込みに用いられるそれぞれのベクターは、好ましくはニワトリβ-グロビン座位からの少なくとも1つの 1.2 kb エレメントを含み、それはゲノムへの挿入部位における活性化および不活性化の両方から遺伝子を遮蔽する。一つの態様において、2つのインスレーター配列が卵白アルブミン遺伝子コンストラクトの一方の末端に付加される。β-グロビン座位において、インスレーター配列は遠位の座位の制御領域(LCR)がグロビン遺伝子ドメインから上流の遺伝子を活性化するのを妨げる役割を果たし、トランスジェニックハエにおいて位置効果を克服することが示されており、それらは挿入部位における正および負の効果の両方に対して保護しうることが示される。インスレーター配列は遺伝子の 5' または 3'末端のいずれかにのみ必要である。というのは導入遺伝子は複数のタンデムコピーにて組み込まれ、隣接する導入遺伝子のインスレーターによって挟まれた一連の遺伝子を有効に作るからである。別の態様において、インスレーター配列はベクターには結合されず、ベクターと共トランスフェクトされる。この場合において、ベクターおよびエレメントはゲノムへのランダムな組込みのプロセスにより細胞中でタンデムに連結する。
各ベクターは所望により、発現ベクターが安定に組み込まれた細胞クローンの同定および濃縮(enrichment)を可能とするためにマーカー遺伝子も含んでいてもよい。マーカー遺伝子の発現は、様々な細胞タイプでの高レベルの発現をもたらすユビキタス プロモーターによって駆動される。本発明の一つの態様において、マーカー遺伝子はリゾチーム プロモーターによって駆動されるヒト インターフェロンである。別の態様において、緑色 蛍光タンパク質 (GFP) レポーター遺伝子 (Zolotukhin et al.、J. Virol 70:4646-4654 (1995)) がアフリカツメガエル伸長因子 1-α (ef-1-α) プロモーターにより駆動される (Johnson and Krieg、Gene 147:223-26 (1994))。アフリカツメガエル ef-1-α プロモーターは、様々な細胞タイプにて発現する強力なプロモーターである。GFP はその蛍光 を増強する突然変異を含み、コドンがヒト遺伝子のコドン使用頻度プロファイルに一致するようヒト化または修飾されている。トリのコドン使用頻度はヒトのコドン使用頻度と実質的に同じであるため、遺伝子のヒト化形態はトリの胚盤葉細胞においても高度に発現される。別の態様において、マーカー遺伝子は、HSV tk、CMV、β-アクチン、または RSVのユビキタス プロモーターの1つに作動可能に連結している。
ヒトおよびトリのコドン使用頻度はよく一致しているが、非脊椎動物遺伝子を導入遺伝子におけるコード配列として用いる場合、非脊椎動物遺伝子配列は、コドン使用頻度がヒトおよびトリのものと類似するよう、適切なコドンを変更するために改変されていてもよい。
胚盤葉細胞のトランスフェクションは当業者に知られた方法のいずれによって媒介されてもよい。ベクターの細胞への導入は、核酸を、細胞膜を横切る通過を促進するポリリシンまたはカチオン性脂質とまず混合することによって助けられうる。しかし、ベクターの細胞への導入は好ましくは、送達媒体、例えば、リポソームまたはウイルスの使用を介して達成される。本発明のベクターを胚盤葉細胞に導入するために使用しうるウイルスとしては、これらに限定されないが、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、単純ヘルペスウイルス、およびワクシニアウイルスが挙げられる。
胚盤葉細胞をトランスフェクトする1つの方法において、パッケージングされたレトロウイルスに基づくベクターをベクターの胚体胚盤葉細胞への送達に用い、それによりベクターがトリのゲノムに組み込まれる。
胚における胚体胚盤葉細胞にレトロウイルス形質導入粒子を送達する選択肢として、レトロウイルスを生産するヘルパー細胞を胚盤葉に送達してもよい。
導入遺伝子をトリのゲノムにランダムに導入するための有用なレトロウイルスは、 複製欠損のトリ白血症ウイルス (ALV)、複製欠損のマウス白血病ウイルス (MLV)、またはレンチウイルスである。適切なレトロウイルスベクターを生産するために、pNLB ベクターが、レトロウイルスゲノムの 5' および 3' 末端反復配列(LTR)の間に卵白アルブミン プロモーターの領域および1以上の外因性遺伝子を挿入することによって改変される。本発明はプロモーターの下流に位置し、管状腺細胞において活性なあらゆるコード配列が管状腺細胞において発現されることを考慮する。例えば、卵白アルブミン プロモーターは卵管筒部の管状腺細胞において発現される。というのは卵白アルブミン プロモーターは卵白アルブミン タンパク質の発現を駆動し、卵管管状腺細胞において活性であるからである。培養卵管 管状腺細胞においてアッセイされた場合、7.4 kb 卵白アルブミン プロモーターがもっとも活性なコンストラクトを作ることが見いだされているが、卵白アルブミン プロモーターは好ましくはレトロウイルスベクターでの使用のために短くされている。一つの態様において、レトロウイルスベクターは卵白アルブミン プロモーターの 1.4 kb セグメントを含む; 0.88 kb セグメントも十分である。
本発明のベクターはいずれも所望により、ベクターのコード配列により発現されるタンパク質の卵管の管状腺細胞からの分泌をもたらすシグナルペプチドをコードするコード配列も含んでいてもよい。本発明のこの側面は、本発明の方法を用いてトリの卵に蓄積されうる外因性タンパク質の範囲を有効に広げる。外因性タンパク質がその他の方法では分泌されない場合、コード配列を含むベクターをリゾチーム 遺伝子からのシグナルペプチドをコードする約 60 bp を含む DNA 配列を含むように改変する。DNA によってコードされるタンパク質の N-末端に位置するように、シグナルペプチドをコードする DNA 配列はベクターに挿入される。
図2A-2D は好適なレトロウイルスベクターコンストラクトの例を示す。ベクターコンストラクトは 5' および 3' 隣接 LTR を有するトリのゲノムに挿入される。Neo は、ネオマイシン ホスホトランスフェラーゼ遺伝子である。曲がった矢印は転写開始部位を示す。図2A および 2B は、LTR およびリゾチーム シグナルペプチド(LSP)をコードする配列を有する卵管転写物を示し、一方、図2C および 2D は、かかる配列を有さない転写物を示す。レトロウイルスベクター戦略には2つの部分がある。真核シグナルペプチドを含むあらゆるタンパク質が、図2B および 2D に示すベクターにクローニングされうる。通常は分泌されないあらゆるタンパク質が、図2A および 2B に示すベクターにクローニングされることにより、管状腺細胞から分泌されることが可能となる。
図2E は、外因性遺伝子のリゾチームシグナルペプチドベクターへのクローニング戦略を示す。ポリメラーゼ連鎖反応を用いて、コード配列、遺伝子 X のコピーを増幅し、ここで、2つの酵素での消化の後の増幅された遺伝子のプラスミドへの挿入を可能とする制限酵素部位を含むオリゴヌクレオチドプライマー対を用いる。5' および 3' オリゴヌクレオチドはそれぞれ Bsu36I および Xba1 制限部位を含む。
本発明の別の側面は、2シストロン性または多シストロン性 mRNA からの2以上のタンパク質の翻訳を可能とする本発明のベクターのいずれかにおける配列内リボソーム進入部位 (IRES) エレメントの使用を含む(実施例15)。IRES ユニットは1以上の付加的なコード配列の 5' 末端に融合され、それは次いでもとのコード配列の末端にてベクターへと挿入され、それにより、コード配列は IRES により互いに分離される(図2F、15A および 15D)。本発明のこの側面によると、産物の翻訳後修飾が容易になる。というのは、1つのコード配列が他方のコード配列産物を修飾することが出来る酵素をコードしうるからである。例えば、第一のコード配列は、第二のコード配列によってコードされる酵素によりヒドロキシル化され活性とされるコラーゲンをコードしうる。図2F のレトロウイルスベクターの例において、配列内リボソーム進入部位 (IRES) エレメントは2つの外因性コード配列(遺伝子 X および遺伝子 Y)の間に位置する。IRES は、タンパク質 X およびタンパク質 Y の両方の同じ転写物からの翻訳を可能とし、その転写は、プロモーター、例えば、卵白アルブミン プロモーターによって駆動される。曲がった矢印は転写開始部位を示す。遺伝子 X によってコードされるタンパク質の発現は管状腺細胞において最高であると予想され、ここでそれは特異的に発現されるが分泌はされない。遺伝子 Y によってコードされるタンパク質もまた管状腺細胞において特異的に発現されるが、それは効率的に分泌されるので、タンパク質 Y は卵中にパッケージングされる。図15A および 15D のレトロウイルスベクターの例において、ヒト モノクローナル抗体の軽鎖 (LC)および重鎖 (HC)が、脳心筋炎ウイルス(EMCV)由来の IRES の配置により、単一のベクター、pCMV-LC-emcvIRES-HC から発現される。転写は CMV プロモーターによって駆動される (Murakami et al. (1997) “High-level expression of exogenous genes by replication-competent retrovirus vectors with an internal ribosomal entry site” Gene 202:23-29; Chen et al. (1999) “Production and design of more effective avian replication-incompetent retroviral vectors” Dev. Biol. 214:370-384; Noel et al. (2000) “Sustained systemic delivery of monoclonal antibodies by genetically modified skin fibroblasts” J. Invest. Dermatol. 115:740-745 も参照されたい)。
本発明の別の側面において、生じる RNA に安定性を付与するため、本発明の方法に用いられるベクターのコード配列には 3' 非翻訳領域 (3' UTR)が備えられている。3'UTR がレトロウイルスベクターに付加される場合、3' UTRの付加が全長ゲノムRNAの転写に干渉しないよう、プロモーター、遺伝子 X および 3'UTR の方向はコンストラクトにおいて逆になっている必要がある。一つの態様において、3' UTRは、卵白アルブミンまたはリゾチーム遺伝子のものであり得、あるいは筒部細胞において機能的な 3' UTR、即ち、SV40 後期領域でありうる。
本発明の別の態様において、構成的プロモーター (例えば、CMV)が、トリの筒部における導入遺伝子のコード配列の発現のために用いられる。この場合、発現は筒部に制限されない; 発現はまた、トリの別の組織 (例えば、血液)内でも起こる。構成的プロモーターおよびコード配列を含むかかる導入遺伝子の使用は、卵管でのタンパク質の発現の実施または駆動およびその後の卵白へのタンパク質の分泌に特に好適である(CMV 駆動コンストラクト、例えば、ニワトリにおいて IFN-α 2b を発現する pNLB-CMV-IFN ベクターの例について 図8A を参照)。
図3A は、複製欠損のトリ白血症ウイルス(ALV)に基づくベクター pNLB の模式図を示し、このベクターは、本発明における使用に好適である。pNLB ベクターにおいて、ALV ゲノムのほとんどは、ネオマイシン耐性遺伝子(Neo)および b-ガラクトシダーゼをコードする lacZ 遺伝子によって置換されている。図3B はベクター pNLB-CMV-BL を示し、ここで、lacZ が CMV プロモーターおよびβ-ラクタマーゼ コード配列 (β-La または BL)によって置換されている。ベクターの構築は特定の実施例(以下の実施例1)に報告されている。β-ラクタマーゼは CMV プロモーターから発現され、3' 末端反復配列(LTR)におけるポリアデニル化シグナル(pA)を利用する。β-ラクタマーゼ タンパク質は天然のシグナルペプチドを有する; したがってそれは血液および卵白においてみられる。
トリの胚に pNLB-CMV-BL ベクターを形質導入する(以下の実施例2)。その結果得られた安定に形質導入された雌鳥からの卵の卵白は、卵あたり 60 マイクログラム(μg)までの、分泌された活性なβ-ラクタマーゼを含む(以下の実施例2 および 3)。
図8A および 8B は、インターフェロン-α 2b (IFN-α 2b) の発現に用いる pNLB-CMV-IFN ベクターおよびエリスロポエチン(EPO)の発現に用いる pNLB-MDOT-EPO ベクターをそれぞれ示す。両方の外因性タンパク質(EPO、IFN)はトリ、好ましくはニワトリおよびシチメンチョウにおいて発現される。
pNLB-MDOT-EPO ベクターを EPO コード配列で BL コード配列を置換することにより作成する(以下の実施例10)。一つの態様において、MDOTと称される合成のプロモーターが EPO の発現の駆動に用いられる。MDOT は、オボムコイドおよびオボトランスフェリン プロモーターの両方からのエレメントを含む。ヒト EPO の DNA 配列はニワトリ(Gallus gallus)の卵白アルブミン、リゾチーム、オボムコイド、およびオボトランスフェリン タンパク質から編集されたコドン使用頻度表を備える Wisconsin Package、version 9.1 (Genetics Computer Group、Inc.、Madison、Wis.)の BACKTRANSLATE プログラムを用いて作られた雌鳥卵管最適化コドン使用頻度に基づく。EPO の DNA 配列を合成し、ベクターにクローニングした結果得られるプラスミドが pNLB-MDOT-EPO (別名 pAVIJCR-A145.27.2.2)である。一つの態様において、形質導入粒子(即ち、形質導入用粒子)がベクターについて作成され、これら形質導入粒子は、胚に注入するのに用いられうる適切な濃度を決定するために力価測定される。卵に次いで形質導入粒子が注入され、その後、それらは約 21日後に孵化する。
外因性タンパク質レベル、例えば、EPO レベルは、孵化の1週間後のヒヨコから収集した血清サンプルから ELISA アッセイによって測定されうる。雄性トリを育種のために選択し、ここで、トリは EPO 導入遺伝子を精子に含む G0 雄鳥についてスクリーニングされる。好ましくは、最高のレベルの導入遺伝子を精子サンプルに有する雄鳥が非トランスジェニック雌鳥と人工授精によって交配される。血液 DNA サンプルが導入遺伝子の存在についてスクリーニングされる。多数のヒヨコは通常トランスジェニックであることが判明する(G1 トリ)。ヒヨコの血清をヒト EPO の存在について試験する(例えば、ELISA アッセイ)。G1 雌鳥からの卵における卵白もまたヒト EPO の存在について試験される。本発明の卵中に存在する EPO (即ち、ヒト EPO の最適化されたコード配列由来のもの)は生物学的に活性である(実施例11)。
同様に、pNLB-CMV-IFN ベクター (図8A)は、IFN コード配列で BL コード配列を置換することにより作成される(以下の実施例12)。一つの態様において、構成的サイトメガロウイルス (CMV) プロモーターが IFN の発現の駆動に用いられる。より具体的には、IFN コード配列はサイトメガロウイルス (CMV) 最初期プロモーター/エンハンサーおよび SV40 ポリA 部位によって制御される。図8A は、トリ、例えば、ニワトリおよびシチメンチョウにおける IFN の発現に用いられる pNLB-CMV-IFN を示す。最適化されたコード配列がヒト IFN-α 2b について作成され、ここで卵白タンパク質である卵白アルブミン、リゾチーム、オボムコイド、およびオボトランスフェリンにみられる特定の各アミノ酸についてもっとも頻繁に用いられるコドンが、本発明のベクターに挿入されるヒト IFN-α 2b 配列の設計に用いられる。より具体的には、最適化 ヒト IFN-α 2b (図11A)についての DNA 配列は雌鳥卵管最適化コドン使用頻度に基づき、ニワトリ(Gallus gallus)の卵白アルブミン、リゾチーム、オボムコイド、およびオボトランスフェリン タンパク質から編集されたコドン使用頻度表を備えた BACKTRANSLATE プログラム (前掲)を用いて作製される。例えば、4つの卵白タンパク質におけるアミノ酸アラニンの4つのコドンについてのパーセント使用頻度は GCU が 34%、GCC が 31%、GCA が 26% および、GCG が 8% である。それゆえ、GCU が最適化 ヒト IFN-α 2b 配列において大部分のアラニンのためのコドンとして用いられる。最適化 ヒト IFN-α 2b 配列についての遺伝子を含むベクターが組織および卵において TPD IFN-α 2b を発現するトランスジェニックトリの作成に用いられる。
形質導入粒子 (即ち、形質導入用粒子)がベクターのために作成され、胚に注入するのに用いられうる適切な濃度を決定するために力価測定される(以下の実施例2)。したがって、キメラ トリが生産される (以下の実施例13 も参照)。Speksnijder の手順(米国特許第5,897,998号)にしたがって、トリの卵に孔をあけ(are windowed)、卵に形質導入粒子を注入し、卵は注入の約 21日後に孵化する。孵化後1週間のヒヨコから収集した血清サンプルから hIFN レベルを測定する (例えば、ELISA アッセイ)。EPO と同様に(前掲)、雄性トリを育種のために選択する。IFN 導入遺伝子を精子中に含む G0 雄鳥をスクリーニングするために、DNA を雄鳥精子サンプルから抽出する。最高のレベルの導入遺伝子を精子サンプルに含む G0 雄鳥を非トランスジェニック雌鳥と人工授精により交配する。血液 DNA サンプルを導入遺伝子の存在についてスクリーニングする。トランスジェニック雄鳥の血清を hIFN の存在について試験する (例えば、ELISA アッセイ)。外因性タンパク質が確認されるとトランスジェニック雄鳥の精子を非トランスジェニック雌鳥の人工授精に用いる。特定の割合の子孫は導入遺伝子を含む (例えば、50% を超える)。IFN (即ち、ヒト IFN の最適化されたコード配列に由来する)が本発明の卵に存在すれば、IFN を生理活性について試験するとよい。EPO と同様に、かかる卵は通常生物学的に活性の IFN、例えば、TPD IFN-α 2b (図11B)を含む。
トリの卵管における外因性タンパク質の生産および外因性タンパク質を含む卵の生産を提供する本発明の方法は、好適なベクターの提供およびベクターの胚体胚盤葉細胞への導入の後に付加的な工程を含み、それによりベクターがトリのゲノムに組み込まれる。この後の工程は、前の工程で生産されたトランスジェニック胚盤葉細胞から成熟トランスジェニックトリを導くことを含む。胚盤葉細胞から成熟トランスジェニックトリを導く工程は、所望によりトランスジェニック胚盤葉細胞を胚に移し、胚を完全に発生させることを含み、それにより胚が発生するにつれて細胞がトリに取り込まれる。その結果得られたヒヨコは次いで成熟するまで育てられる。一つの態様において、胚盤葉の胚の細胞は胚のなかでベクターにより直接トランスフェクトまたは形質導入される(実施例 2)。その結果得られた胚は発生可能とされ、ヒヨコが成熟可能とされる。
いずれの場合においても、トランスジェニック胚盤葉細胞からそのようにして生産されたトランスジェニックトリは創始者として知られる。いくらかの創始者はその卵管の筒部における管状腺細胞において導入遺伝子を担持する。これらのトリは、導入遺伝子によってコードされる外因性タンパク質を卵管において発現する。外因性タンパク質は、卵管に加えてその他の組織 (例えば、血液)においても発現されうる。外因性タンパク質が適切なシグナル配列を含む場合、それは卵管内腔に分泌され、そして卵の卵白に分泌される。いくつかの創始者は生殖系列創始者である(実施例8および9)。生殖系列創始者は、その生殖系列組織の遺伝物質において導入遺伝子を担持する創始者であり、外因性タンパク質を発現する卵管筒部管状腺細胞においても導入遺伝子を担持しうる。それゆえ本発明によると、トランスジェニックトリは外因性タンパク質を発現する管状腺細胞を有し、トランスジェニックトリの子孫もまた外因性タンパク質を発現する卵管筒部管状腺細胞を有する。あるいは、子孫はトリの特定の組織における外因性遺伝子の発現により判定される表現型を示す(実施例6、表2)。本発明の一つの態様において、トランスジェニックトリはニワトリまたはシチメンチョウである。
本発明は、ヒトおよび動物の医薬、診断薬、および家畜飼料添加物として用いられるものを含む所望のタンパク質を大量に低コストで発現するのに利用できる。例えば、本発明は、かかるタンパク質を生産するトランスジェニックトリ、および例えば卵白において該タンパク質を含むトランスジェニックトリによって産まれた卵を含む。本発明は、医薬タンパク質を含む所望のタンパク質の生産における使用について考慮され、その要件はタンパク質のコード配列が本発明にしたがって卵管細胞に導入されうることである。実際、本発明による異種生産についていままでに試験されたすべてのタンパク質、例えば、インターフェロン α 2b、GM-CSF、インターフェロン β、エリスロポエチン、G-CSF、CTLA4-Fc 融合タンパク質およびβ-ラクタマーゼは、本明細書に開示する方法を採用して生産することに成功している。
本明細書に開示されるようなヒト タンパク質の生産は特に興味深い。ヒト形態が存在する本明細書に開示するタンパク質のそれぞれのヒト形態が、本発明による生産について考慮される。
本明細書に開示の、生産が考慮されるタンパク質としては、これらに限定されないが、融合タンパク質、成長ホルモン、サイトカイン、構造タンパク質および酵素、例えば、ヒト成長ホルモン、インターフェロン、リゾチーム、およびβ-カゼイン、アルブミン、α-1 アンチトリプシン、アンチトロンビン III、コラーゲン、第VIII、IX、X 因子(等)、フィブリノーゲン、インスリン、ラクトフェリン、プロテイン C、エリスロポエチン (EPO)、顆粒球コロニー刺激因子 (G-CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子 (GM-CSF)、組織型プラスミノーゲン活性化因子 (tPA)、ソマトトロピン、およびキモトリプシンが挙げられる。改変免疫グロブリンおよび抗体、例えば、ヒト 腫瘍 細胞上の表面抗原に結合し、それらを破壊する免疫毒素も、本明細書に開示のようにして生産することが出来る。
本明細書に開示のようにして生産しうる治療用タンパク質のその他の具体例としては、これらに限定されないが、第VIII因子、b-ドメイン欠失 第VIII因子、第VIIa因子、第IX因子、抗凝血剤; ヒルジン、アルテプラーゼ、tpa、レテプラーゼ、tpa、5つのうち3つのドメインが欠失した tpa、インスリン、インスリン リスプロ、インスリンアスパルト、 インスリン グラルギン、長時間作用型インスリンアナログ、hgh、グルカゴン、tsh、フォリトロピン-ベータ、fsh、gm-csf、pdgh、ifn アルファ2、ifn アルファ2a、ifn アルファ2b、inf-アルファ(apha)、 inf-ベータ 1b、ifn-ベータ 1a、ifn-ガンマ1b、il-2、il-11、hbsag、ospa、t-リンパ球抗原に対するマウスmab、tag-72 に対するマウス mab、腫瘍関連糖タンパク質、血小板表面受容体 gpII(b)/III(a)に対するキメラmab由来のfab断片、腫瘍関連抗原ca125 に対するマウスmab断片、ヒト癌胎児性抗原、ceaに対するマウスmab断片、ヒト心臓ミオシンに対するマウスmab断片、腫瘍表面抗原psmaに対するマウスmab断片、hmw-maaに対するマウス mab 断片(fab/fab2 ミックス)、癌関連抗原に対するマウス mab 断片 (fab)、nca 90、表面顆粒球非特異的交差反応性抗原に対するmab 断片(fab)、b リンパ球表面にみられるcd20 抗原に対するキメラ mab、il2 受容体のアルファ鎖に対するヒト化 mab、il2 受容体のアルファ鎖に対するキメラ mab、tnf-アルファに対するキメラ mab、呼吸器多核体ウイルスの表面上のエピトープに対するヒト化 mab、her 2、ヒト上皮増殖因子受容体 2 に対するヒト化 mab、サイトケラチン腫瘍関連抗原 抗-ctla4に対するヒト mab、b リンパ球のcd 20 表面抗原に対するキメラ mab、ドルナーゼアルファ dnase、ベータ グルコセレブロシダーゼ、tnf-アルファ、il-2-ジフテリア毒素 融合 タンパク質、tnfr-lgg 断片 融合 タンパク質 ラロニダーゼ、DNAアーゼ、アレファセプト、ダルベポエチンアルファ (コロニー刺激 因子)、トシツモマブ、マウス mab、アレムツズマブ、ラスブリカーゼ、アガルシダーゼ ベータ、テリパラチド、副甲状腺ホルモン誘導体、アダリムマブ (lgg1)、アナキンラ、生物学的修飾因子、ネシリチド、ヒト b-型ナトリウム利尿ペプチド (hbnp)、コロニー刺激 因子、ペグビソマント、ヒト成長ホルモン受容体アンタゴニスト、組換え活性化プロテイン c、 オマリズマブ、免疫グロブリン e (lge) ブロッカー、イブリツモマブチウキセタン、ACTH、グルカゴン、ソマトスタチン、ソマトトロピン、チモシン、副甲状腺ホルモン、色素性ホルモン、ソマトメジン、エリスロポエチン、黄体ホルモン、絨毛性ゴナドトロピン、視床下部放出因子、エタネルセプト、抗利尿ホルモン、プロラクチンおよび甲状腺刺激ホルモンが挙げられる。
本発明は、多量体タンパク質、例えば、免疫グロブリン、例えば、抗体、およびその抗原結合性断片の生産方法も含む。したがって、本発明の一つの態様において、多量体タンパク質は免疫グロブリンであり、ここで第一および第二の異種ポリペプチドはそれぞれ免疫グロブリン重鎖および軽鎖である。
特定の態様において、少なくとも1つの発現ベクターの転写ユニットによりコードされる免疫グロブリンポリペプチドは、可変領域またはその変異体を含む免疫グロブリン重鎖ポリペプチドであり得、さらに D 領域、J 領域、C 領域、またはそれらの組合せを含みうる。発現ベクターによってコードされる免疫グロブリンポリペプチドは、可変領域またはその変異体を含む免疫グロブリン軽鎖ポリペプチドであり得、さらに J 領域および C 領域を含みうる。本発明はまた、同じ動物種、または種の混合物、例えば、限定されないが、ヒト、マウス、ラット、ウサギおよびニワトリ由来の複数の免疫グロブリン領域を考慮する。特定の態様において、抗体はヒトまたはヒト化のものである。
別の態様において、少なくとも1つの発現ベクターによってコードされる免疫グロブリン ポリペプチドは、免疫グロブリン重鎖可変領域、免疫グロブリン軽鎖可変領域、およびリンカーペプチドを含み、それにより抗原に選択的に結合できる一本鎖抗体が形成される。
本発明の方法によって生産されうる治療用抗体の例としては、これらに限定されないが、転移性乳癌患者の治療のためのヒト化 抗-HER2 モノクローナル抗体である HERCEPTIN(商標)(Trastuzumab) (Genentech、CA); 血餅形成の防止のための血小板上の抗-糖タンパク質 IIb/IIIa 受容体である REOPRO(商標)(abciximab) (Centocor); 急性腎臓同種移植片拒絶の予防のための免疫抑制性のヒト化 抗-CD25 モノクローナル抗体である ZENAPAX(商標)(daclizumab) (Roche Pharmaceuticals、Switzerland); マウス 抗-l7-IA 細胞 表面抗原 IgG2a 抗体である PANOREX(商標)(Glaxo Wellcome/Centocor); マウス 抗-イディオタイプ (GD3 エピトープ) IgG 抗体である BEC2 (ImClone System); キメラ 抗-EGFR IgG 抗体である IMC-C225 (ImClone System); ヒト化 抗-αVβ3 インテグリン抗体である VITAXIN(商標)(Applied Molecular Evolution/MedImmune); Campath; ヒト化 抗 CD52 IgG1 抗体である Campath 1H/LDP-03 (Leukosite); ヒト化 抗-CD33 IgG 抗体である Smart M195 (Protein Design Lab/Kanebo); キメラ 抗-CD2O IgG1 抗体である RITUXAN(商標)(IDEC Pharm/Genentech、Roche/Zettyaku); ヒト化 抗-CD22 IgG 抗体である LYMPHOCIDE(商標)(Immunomedics); ヒト化 抗-ICAM3 抗体である ICM3 (ICOS Pharm); 霊長類 抗-CD80 抗体である IDEC-114 (IDEC Pharm/Mitsubishi); 放射標識マウス抗-CD20 抗体である ZEVALIN(商標)(IDEC/Schering AG); ヒト化 抗-CD40L 抗体である IDEC-13l (IDEC/Eisai); 霊長類化 抗-CD4 抗体である IDEC-151 (IDEC); 霊長類化 抗-CD23 抗体である IDEC-152 (IDEC/Seikagaku); ヒト化 抗-CD3 IgG である SMART 抗-CD3 (Protein Design Lab); ヒト化 抗-補体因子 5 (CS) 抗体である 5G1.l (Alexion Pharm); ヒト化 抗-TNF-α 抗体である D2E7 (CATIBASF); ヒト化 抗-TNF-α Fab 断片である CDP870 (Celltech);霊長類化 抗-CD4 IgG1 抗体である IDEC-151 (IDEC Pharm/SmithKline Beecham); ヒト 抗-CD4 IgG 抗体である MDX-CD4 (Medarex/Eisai/Genmab); ヒト化 抗-TNF-α IgG4 抗体である CDP571 (Celltech); ヒト化 抗-α4β7 抗体である LDP-02 (LeukoSite/Genentech); ヒト化 抗-CD4 IgG 抗体である OrthoClone OKT4A (Ortho Biotech); ヒト化 抗-CD40L IgG 抗体である ANTOVA(商標)(Biogen); ヒト化 抗-VLA-4 IgG 抗体である ANTEGREN(商標)(Elan); ヒト 抗-TGF-β2 抗体である CAT-152 (Cambridge Ab Tech); モノクローナル 抗-EGF 受容体 (EGFr) 抗体である Cetuximab (BMS); 抗-VEGF ヒト モノクローナル抗体である Bevacizuma (Genentech); キメラ(マウスおよびヒト) モノクローナル抗体である自己免疫障害の治療に用いられる Infliximab (Centocore、JJ); 化学療法に用いられるモノクローナル抗体である Gemtuzumab ozogamicin (Wyeth); および黄斑変性症の治療に用いられるキメラ(マウスおよびヒト) モノクローナル抗体である Ranibizumab (Genentech) が挙げられる。
一つの側面において、本発明は、家禽またはトリにおいて生産された G-CSF に関する。一つの側面において、本発明は、家禽由来グリコシル化パターンを有する G-CSF (TPD G-CSF) に関し、ここで、G-CSF は、トリ細胞、例えば、ニワトリ、ウズラまたはシチメンチョウのトリ細胞から得られたものである。本発明はまた、単離または精製形態における家禽において生産されたサイトカイン、例えば、 G-CSF を含むヒト タンパク質および医薬組成物に存在する家禽において生産されたサイトカイン、例えば、G-CSF を含むヒト タンパク質も含む。G-CSF を含むタンパク質の単離は、タンパク質精製の分野における知識を有する実務者に容易に明らかな方法によって達成することが出来る。医薬組成物の生産に有用な製剤の処方も当該技術分野において周知である。
本発明は、トリ由来の家禽由来グリコシル化パターンを有するトランスジェニック家禽由来の治療用または医薬タンパク質も包含する。例えば、本発明は、トリ由来のインターフェロン-α 2 (TPD IFN-α 2)を含む。TPD IFN-α 2 (例えば、種タイプ b)は新しいグリコシル化パターンを示し、ヒト末梢血白血球由来インターフェロン-α 2 (PBL IFN-α 2b)には通常みられない新しいグリコフォーム(glyco forms)を含む(バンド 4 および 5 は、α-Gal が伸長した二糖類である; 図9参照)。TPD IFN-α 2b はまた、ヒト PBL IFN-α 2b に類似の O-結合型糖鎖構造も含み、ヒト形態よりもニワトリにおいてより効率的に生産される。
本発明は、本明細書に開示のように生産されるタンパク質の最適化ポリヌクレオチド 配列を含む単離ポリヌクレオチドを考慮する。例えば、本発明は、トリに最適化されたヒト IFN-α 2b コード配列、即ち、組換えトランスジェニック家禽由来インターフェロン-α 2b (TPD IFN-α 2b) (配列番号1)を含む。最適化 ヒト IFN-α 2b のコード配列は、498 核酸および 165 アミノ酸を含む (配列番号1 および図11A 参照)。同様に、天然のヒト IFN-α 2b のコード配列は、498 ヌクレオチド (NCBI 受入番号 AF405539 および GI:15487989) および 165 アミノ酸 (NCBI 受入番号 AAL01040 および GI:15487990)を含む。卵白タンパク質である、卵白アルブミン、リゾチーム、オボムコイド、およびオボトランスフェリンにおいてみられる各特定のアミノ酸についてのもっとも頻繁に使用されるコドンが、本発明のベクターに挿入される最適化 ヒト IFN-α 2b コード配列の設計に用いられる。より具体的には、最適化 ヒト IFN-α 2b の DNA 配列は雌鳥卵管最適化コドン使用頻度に基づき、ニワトリ(Gallus gallus)の卵白アルブミン、リゾチーム、オボムコイド、およびオボトランスフェリン タンパク質から編集されたコドン使用頻度表を備えた Wisconsin Package、Version 9.1 (Genetics Computer Group Inc.、Madison、Wis.)の BACKTRANSLATE プログラムを用いて作製される。例えば、4つの卵白タンパク質におけるアミノ酸アラニンの4つのコドンについてのパーセント使用頻度は、GCU が 34%、GCC が 31%、GCA が 26%、および GCG が 8% である。それゆえ、GCU が 、最適化 ヒト IFN-α 2b コード配列における大部分のアラニンのためのコドンとして用いられる。最適化 ヒト IFN-α 2b の遺伝子を含むベクターが、その組織および卵に TPD IFN-α 2b を発現するトランスジェニックトリの作成に用いられる。
実施例13(以下)において議論するように、TPD IFN-α 2b はニワトリにおいて生産される。しかし、TPD IFN-α 2b は、シチメンチョウおよびその他のトリ種、例えば、ウズラにおいても生産されうる。本発明の好ましい態様において、TPD IFN-α 2b はニワトリおよびシチメンチョウおよびそれらの殻の硬い卵において発現される。単糖分析および FACE 分析を含む糖分析 (実施例 14、以下)により、タンパク質の糖構成(sugar make-up)または新規グリコシル化パターンが明らかとなる。したがって、TPD IFN-α 2b は以下の単糖残基を示す: N-アセチル-ガラクトサミン(NAcGal)、ガラクトース(Gal)、N-アセチル-グルコサミン(NAcGlu)、およびシアル酸(SA)。しかし、TPD IFN-α 2b には N-結合型グリコシル化はない。その代わり、TPD IFN-α 2b は Thr-106 において O-グリコシル化されている。このタイプのグリコシル化はヒト IFN-α 2 と類似しており、ここで位置 106 の Thr 残基は IFN-α 2 に特有である。天然の IFN-αと同様に、TPD IFN-α 2b はマンノース残基を有さない。FACE 分析により 6 つのバンドが明らかになり(図9)、これらは様々な糖残基を表し、ここでバンド 1、2 および 3 は、それぞれ非シアル酸化、一シアル酸化、および二シアル酸化である(図10)。シアル酸 (SA) 結合は、ガラクトース (Gal)に対してはアルファ 2-3であり、N-アセチル-ガラクトサミン (NAcGal)に対してアルファ 2-6である。バンド 6 は、非シアル酸化四糖を表す。バンド 4 および 5 は、アルファ-ガラクトース(アルファ-Gal)が伸長した二糖類であり、ヒト PBL IFN-α 2b または天然の ヒト IFN (天然 hIFN)にはみられない。図10 は、TPD IFN-α 2b (卵白 hIFN) およびヒト PBL IFN-α 2b (天然 hIFN)の比較を示す。マイナーバンドが TPD IFN-α 2b においてバンド 3 と 4 との間およびバンド 4 と 5 との間に存在する(以下)。
本発明は、 TPD IFN-α 2b (図11Bも参照)の単離ポリペプチド 配列 (配列番号2)およびその医薬組成物を考慮し、ここでタンパク質は Thr-106 において以下のような本明細書に開示する1以上の糖鎖構造により O-グリコシル化されている:
(i)
Figure 2010509327
(ii)
Figure 2010509327
(iii)
Figure 2010509327
(iv)
Figure 2010509327
(v)
Figure 2010509327
(vi)
Figure 2010509327
ここで、Gal=ガラクトース、
NAcGal=N-アセチル-ガラクトサミン、
NAcGlu=N-アセチル-グルコサミン、および、
SA=シアル酸。
本発明の1つの態様において、パーセンテージは以下の通りである:
(i)
Figure 2010509327
は約 20%
(ii)
Figure 2010509327
は約 29%
(iii)
Figure 2010509327
は約 9%
(iv)
Figure 2010509327
は約 6%
(v)
Figure 2010509327
は約 7%
(vi)
Figure 2010509327
は約 12%、
ここで、Gal=ガラクトース、
NAcGal=N-アセチル-ガラクトサミン、
NAcGlu=N-アセチル-グルコサミン、および
SA=シアル酸。
マイナーバンドが バンド3 と 4との間およびバンド 4と5との間に存在し、これらは TPD IFN-α 2b の約 17%をしめる。
一つの態様において、本発明は家禽由来グリコシル化パターンを有するヒト タンパク質に関する。一つの態様において、家禽由来グリコシル化パターンは、トリの卵管細胞、例えば、管状腺細胞から得られる。例えば、グリコシル化パターンが本明細書に開示され、それは本発明にしたがってニワトリの卵管細胞において生産されたヒト タンパク質に存在することが示された。
一つの態様において、本発明はトリ(例えば、トリの卵管細胞)、例えば、ニワトリ、シチメンチョウおよびウズラにおいて生産され、家禽由来グリコシル化パターンを有するヒト G-CSF に関する。成熟 hG-CSF のアミノ酸配列を 図18 Cに示す。本明細書において G-CSF の生産に用いたヌクレオチド配列を図18A および NCBI 受入番号 NM 172219 に示す。トリ(例えば、ニワトリ)のコドン使用頻度のために最適化されたヌクレオチド配列も、G-CSF およびその他のタンパク質、例えば、本発明によって生産されるヒト タンパク質の生産のための使用について考慮される。
本発明は、1以上の以下に示すグリコシル化構造を含む本発明の G-CSF 分子を含む卵および卵を産むトリ(例えば、ニワトリ、シチメンチョウおよびウズラ)を含む:
Figure 2010509327
Figure 2010509327
Figure 2010509327
ここで、 Gal=ガラクトース、
NAcGal=N-アセチル-ガラクトサミン、
NAcGlu=N-アセチル-グルコサミン、および
SA=シアル酸。
一つの態様において、本発明は G-CSF 分子の混合物を含み、該混合物は、1以上の構造 A、構造 B、構造 C、構造 D、構造 E、構造 F および 構造 G から選択されるグリコシル化構造を有する G-CSF 分子を含有する。本発明はまた、1以上の構造 A、構造 B、構造 C、構造 D、構造 E、構造 F および 構造 Gから選択されるグリコシル化構造を有する G-CSF 分子を含有するG-CSF 分子の混合物を含み、該混合物は単離または精製され、例えば、本発明によって生産された卵または卵白から精製される。以下の構造の2つ、3つ、4つ、5つまたは6つを有する G-CSF 分子を含有する G-CSF 分子の混合物も本発明に含まれる: 構造 A、構造 B、構造 C、構造 D、構造 E、構造 F および/または 構造 G。単離または精製された、例えば、本発明によって生産された卵または卵白から精製された、以下の構造の2つ、3つ、4つ、5つまたは6つを有する G-CSF 分子を含有する G-CSF 分子の混合物も本発明に含まれる: 構造 A、構造 B、構造 C、構造 D、構造 E、構造 F および/または 構造 G。
本発明はまた、構造 A を含む個別の G-CSF 分子を包含する。本発明はまた、構造 B を含む個別の G-CSF 分子を包含する。本発明はまた、構造 C を含む個別の G-CSF 分子を包含する。本発明はまた、構造 Dを含む個別の G-CSF 分子を包含する。本発明はまた、構造 E を含む個別の G-CSF 分子を包含する。本発明はまた、構造 F を含む個別の G-CSF 分子を包含する。本発明はまた、構造 G を含む個別の G-CSF 分子を包含する。一つの態様において、個別の G-CSF 分子は、単離または精製された G-CSF 分子の混合物、例えば、本発明によって生産された卵または卵白から精製された混合物であり得る G-CSF 分子の混合物中に存在する。一つの態様において、個別の G-CSF 分子は単離または精製され、例えば、本明細書に開示される通りに(例えば、実施例 20 において開示されるように HPLC によって)精製される。
G-CSF に関して本明細書において特定される本発明の態様、例えば、(前記2つの段落における) G-CSF 分子の混合物および個別の G-CSF 分子はまた、本発明によって生産される他のタンパク質およびそれらの対応する家禽由来のグリコシル化構造のいずれに対しても一般に適用可能である。
EPO を含有する卵を産むトランスジェニックニワトリは、実施例 22 および 23 において開示される通りに作出される。加えて、EPO 産生ニワトリの第2の系統は、引用により記載事項全体が本明細書に包含される2007年5月5日公開の米国特許公報第2007/0077650号において記載されるように別の産生細胞株が用いられることを除いては、基本的に実施例 22 および 23において開示される通りに作出される。この EPO 産生ニワトリの第2の系統は、引用により記載事項全体が本明細書に包含される2007年7月24日出願の米国特許出願第11/880,838号において開示されるように、生じるトランスジェニックニワトリの卵白中において EPO 産生レベルの増強をもたらす CMV プロモーターおよび LTR の中に欠失を有すると考えられた。オリゴ糖分析に用いる EPO を得るために、このより高生産な EPO 産生系統を用いた。
本発明によってトランスジェニックトリにおいて生産されたタンパク質は、あらゆる有用な手順、例えばタンパク質精製の分野における通常の知識を有する実務者にとって明白な手順によって、卵白から精製され得る。例えば、本発明によってトランスジェニックトリにおいて生産された EPO は、タンパク質精製の分野における通常の知識を有する実務者にとって明白な方法によって、卵白から精製され得る。卵白中に存在する EPO の精製プロトコールの一例は、実施例 24 に記載される。
ニワトリにおいて生産されたヒトエリスロポエチン(hEPO)は、1つの O-結合型糖鎖および3つの N-結合型糖鎖を含有することが示された。O-結合型グリコシル化は EPO の Ser-126 にあり、N-結合型グリコシル化は Asn-24、Asn-38 および Asn-83 にあることが示された。本発明によって生産される成熟エリスロポエチンのアミノ酸配列は、図 19B に示される。EPO をコードするヒトのヌクレオチド配列は、図 19A に示される。トリ(例えば、ニワトリ)のコドン使用頻度に最適化されたヌクレオチド配列はまた、本発明によって EPO および他のタンパク質を生産するための使用についても考慮される。
本発明のエリスロポエチンについての代表的なグリコシル化構造が決定され、それは実施例 25 および 図 20 および 21 に示される。特に、B-n、D-n、F-n、H-n、J-n、L-n、N-n、O-n、P-n、および Q-n が、トリ由来 EPO 上に存在すると同定された。また、証拠は、オリゴ糖構造 A-n、C-n、E-n、G-n、I-n、K-n および M-n のうち1以上が EPO 上に存在し得ることも示している。加えて、データは、5つの末端 NAcGlu 残基のうち4つだけが存在する Q-n の第2の形態が存在し得ることを示した。この Q-n の第2の形態は、Q-n の前駆形態であり得る。
本発明は、卵および卵白、および卵を産み、本明細書に開示される1以上のグリコシル化構造を含む本発明のエリスロポエチン分子を含有する卵白を生産するトリ(例えば、ニワトリ、シチメンチョウおよびウズラ)を包含する。
一つの態様において、本発明はエリスロポエチン分子の混合物を包含し、ここで、該混合物は、構造 A-o、構造 B-o および 構造 C-oから選択される O-結合型グリコシル化構造を有するエリスロポエチン分子(例えば、1以上のエリスロポエチン分子)を含有する。今日までの O-結合型グリコシル化の分析により A-o、B-o および C-oの存在が確かめられたが; 構造 D-o、構造 E-o、構造 F-o および 構造 G-o も家禽由来のヒトEPO上に存在すると考えられている。トリ由来 EPO 上に存在する主要な O-結合型オリゴ糖が C-o であるようだということが決定された。
本発明はまた、3つの部位に N-結合型グリコシル化構造を有する EPOを包含し、ここで、3つの部位各々における構造は A-n、B-n、C-n、D-n、E-n、F-n、G-n、H-n、I-n、J-n、K-n、L-n、M-n、N-n、O-n、P-n および Q-n の1つから選択される。
本発明はまた、エリスロポエチン分子の混合物(例えば、1以上のエリスロポエチン分子)を包含し、ここで、いくつかのまたは全てのエリスロポエチン分子は、構造 A-o、構造 B-o、構造 C-o、構造 A-n、構造 B-n、構造 C-n、構造 D-n、構造 E-n、構造 F-n、構造 G-n、構造 H-n、構造 I-n、構造 J-n、構造 K-n、構造 L-n、構造 M-n、構造 N-n、構造 O-n、構造 P-n、構造 Q-n から選択される1以上のグリコシル化構造を有する。一つの態様において、エリスロポエチン分子の混合物は、精製または単離され、例えば、卵から単離され、またはトランスジェニックトリにおいて生産された卵白から精製または単離される。
本発明はまた、構造 A-o を含む個別のエリスロポエチン分子を包含する。本発明はまた、構造 B-o を含む個別のエリスロポエチン分子を包含する。本発明はまた、構造 C-o を含む個別のエリスロポエチン分子を包含する。本発明はまた、構造 A-n を含む個別のエリスロポエチン分子を包含する。本発明はまた、構造 B-n を含む個別のエリスロポエチン分子を包含する。本発明はまた、構造 C-n を含む個別のエリスロポエチン分子を包含する。本発明はまた、構造 D-n を含む個別のエリスロポエチン分子を包含する。本発明はまた、構造 E-n を含む個別のエリスロポエチン分子を包含する。本発明はまた、構造 F-n を含む個別のエリスロポエチン分子を包含する。本発明はまた、構造 G-n を含む個別のエリスロポエチン分子を包含する。本発明はまた、構造 H-n を含む個別のエリスロポエチン分子を包含する。本発明はまた、構造 I-n を含む個別のエリスロポエチン分子を包含する。本発明はまた、構造 J-n を含む個別のエリスロポエチン分子を包含する。本発明はまた、構造 K-n を含む個別のエリスロポエチン分子を包含する。本発明はまた、構造 L-n を含む個別のエリスロポエチン分子を包含する。本発明はまた、構造 M-n を含む個別のエリスロポエチン分子を包含する。本発明はまた、構造 N-n を含む個別のエリスロポエチン分子を包含する。本発明はまた、構造 O-n を含む個別のエリスロポエチン分子を包含する。本発明はまた、構造 P-n を含む個別のエリスロポエチン分子を包含する。本発明はまた、構造 Q-n を含む個別のエリスロポエチン分子を包含する。一つの態様において、個別のエリスロポエチン分子は、トランスジェニックトリ、例えば、トランスジェニックニワトリにおいて産生されたエリスロポエチン分子の混合物中に存在する。一つの態様において、個別のエリスロポエチン分子は、単離または精製されたエリスロポエチン分子の混合物中に存在し、例えば、該混合物はトランスジェニックトリによって生産された卵または卵白から単離または精製される。一つの態様において、個別のエリスロポエチン分子は単離または精製される。
本発明は、Asn-24、Asn-38 および Asn-83 グリコシル化部位の各々が A-n、B-n、C-n、D-n、E-n、F-n、G-n、H-n、I-n、J-n、K-n、L-n、M-n、N-n、O-n、P-n および Q-n 構造のうち1つでグリコシル化され、Ser-126 が A-o、B-o または C-oでグリコシル化される、典型的な EPO 分子を包含する。
本発明のトリ由来 EPO のタンパク質消化から得られたペプチド生成物の MALDI-TOF-MS 分析は、3つの N-結合型グリコシル化部位の各々に基本的に同じオリゴ糖構造が存在することを示した。つまり、EPO 分子上の3つの N-結合型グリコシル化部位の各々において、ほぼ同じ割合の、各々の N-結合型オリゴ糖が存在すると考えられる。このことは、本発明によって生産された他の N-グリコシル化外因性タンパク質が、同様の N-結合型グリコシル化パターンを有し得ることを示す。加えて、データは3つの N-結合型部位の各々が広範にグリコシル化されている事を示し、各部位は 95% を超えて(greater than 95% of the time)、あるいは 98% を超えて(greater than 98% of the time)、例えば、99% を超えて(greater than 99% of the time)グリコシル化されている。シグナルペプチドの切断の後、分析されるエリスロポエチンは、ヒトの165アミノ酸のタンパク質のアミノ酸配列をコードする導入遺伝子を含有するトランスジェニックニワトリにおいて生産された。しかし、166 アミノ酸の形態の EPO をコードするヌクレオチド配列を用いてトランスジェニックニワトリにおいて生産された EPO は、165 アミノ酸のタンパク質上に見出されるのと同様に、166 アミノ酸のタンパク質上に同一のオリゴ糖の補足(complement)をもたらすことが期待される。
トランスジェニックニワトリにおいて生産されたヒト EPO に付着した N-結合型オリゴ糖は、末端のシアル酸部分が不足している。つまり、末端にシアル酸が付加されているのはごく少量の N-結合型オリゴ糖構造のみである。これは、N-結合型オリゴ糖構造が広範に末端シアル酸付加されている、ヒト細胞において生産された EPO および CHO 細胞において生産されたヒト EPO とは対照的である。加えて、トランスジェニックニワトリにおいて生産された EPO の N-結合型オリゴ糖構造上には、末端の N-アセチルグルコサミン(NAcGlu)が広範に存在し、これはヒト細胞において生産された EPO および CHO 細胞において生産されたヒト EPO には当てはまらない。さらに、トランスジェニックニワトリにおいて生産された EPO の N-結合型オリゴ糖構造上には、フコースが存在しない。しかし、フコースは、ヒト細胞において生産された EPO および CHO 細胞において生産されたヒト EPO の N-結合型オリゴ糖構造の全てまたはほとんどの上に存在すると考えられる。
グリコシル化構造の組み合わせがエリスロポエチンに付着していると考えられる。例えば、ヒト エリスロポエチン分子は、A-o、A-n、B-n および C-n、または A-o、B-n、C-n および D-n、または A-o、D-n、E-n および F-n、または A-o、E-n、F-n および G-n、または B-o、A-n、D-n および H-n、または B-o、E-n、F-n および G-n、または B-o、A-n、A-n および A-n、または C-o、D-n、D-n および C-n、または C-o、F-n、G-n および H-n、または C-o、A-n、B-n および C-n、または C-o、A-n、B-n および H-n、または C-o、A-n、B-n および E-n、または C-o、A-n、B-n および H-n、または前記のような他の組み合わせでグリコシル化され得る。
本発明の組成物を製造する報告された方法はトリにおけるものであるが、該組成物はそれらに限られないことが理解される。例えば、本発明の一定のグリコシル化タンパク質分子は、他の生物、例えばトランスジェニック魚、トランスジェニック哺乳動物、例えばトランスジェニックヤギにおいて、またはトランスジェニック植物、例えばタバコおよびコウキクサ(Lemna minor)において生産され得る。
本発明の1つのタンパク質上に存在することが実証されたグリコシル化構造が、本発明の別のタンパク質上に存在し得ることも考えられる。例えば、TPD G-CSF 上に存在することが示されたグリコシル化構造は、TPD GM-CSF、TPD IFN および/または他の TPD タンパク質上にも存在し得る。別の例では、TPD IFN α2 上に存在することが決定されたグリコシル化構造が、TPD G-CSF、TPD GM-CSF および/または他のトランスジェニック家禽由来の(TPD)タンパク質上に存在し得ることが考えられる。本発明はまた、本明細書に開示される1以上の TPD グリコシル化構造を一般的に有するヒトタンパク質を特に意図する。
本発明はまた、例えばその開示事項全体が引用により本明細書に包含される2006年10月23日出願の米国特許出願第11/584,832号の中で考察されているように、本明細書に開示される通りに生産されるペグ化(pegylating)タンパク質が有利であり得ることを考慮する。
治療における使用に関して、本発明によって生産された治療用タンパク質はそのままの形態(raw form)で投与されることが可能であるが、医薬製剤の一部として治療用タンパク質を投与することが好ましい。
したがって本発明は、家禽由来のグリコシル化治療用タンパク質またはその医薬上許容される誘導体を、1以上の医薬上許容される担体と共におよび所望により他の治療的および/または予防的成分と共に含む医薬製剤、およびかかる医薬製剤を投与する方法をさらに提供する。担体は、製剤の他の成分と適合性があり、かつレシピエントにとって有害でないという点において“許容される”ものでなくてはならない。本発明の医薬組成物を用いて患者を処置する方法(例えば、投与される医薬タンパク質の量、投与の頻度および処置期間)は、当該分野における通常の知識を有する医師に公知の標準的な方法論を用いて決定され得る。
医薬製剤は、経口、直腸、経鼻、(頬側および舌下を含む)局所、膣内または非経口に適した医薬製剤を包含する。医薬製剤は、筋肉内、皮下および静脈内の投与を含む注入による投与に適した医薬製剤を包含する。医薬製剤はまた、吸入または通気(insufflation)による投与のための医薬製剤を包含する。製剤は、適切な場合には、分離した用量単位で使い易く提供され得、かつ薬学分野において周知のいずれかの方法によって調製され得る。医薬製剤を製造する方法は通常、治療用タンパク質を液体の担体または細かく分割された固体の担体またはその両方と結合させ、次いで必要であれば生成物を所望の剤形へと製剤化する工程を包含する。
経口投与に適した医薬製剤は、各々が所定の量の活性成分を含む分離した単位、例えばカプセル、カシェ(cachets)または錠剤として; 粉末または顆粒として; 溶液として; 懸濁液として; またはエマルションとして使い易く提供され得る。活性成分はまた、急速投与(bolus)、舐剤(electuary)またはペーストとして提供され得る。経口投与のための錠剤およびカプセルは、従来の賦形剤、例えば結合剤、充填剤(fillers)、潤滑剤、崩壊剤、または湿潤剤を含有し得る。錠剤は、当該分野において周知の方法によって被覆され得る。経口の液体調製物は、例えば、水性または油性懸濁液、溶液、エマルション、シロップまたはエリキシル剤(elixirs)の形態であってもよく、または、使用前に水または他の適切な溶媒(vehicle)で構成されるための乾燥品として提供されてもよい。かかる液体調製物は、従来の添加剤、例えば懸濁剤、乳化剤、(食用油を含み得る)非水性溶媒(vehicles)または保存剤を含有し得る。
本発明の治療用タンパク質はまた、(例えば、注入、例えばボーラス注入または持続注入による)非経口投与のために製剤化され得、アンプル、充填済みシリンジ、小容量注入(small volume infusion)での単位用量形態で、または添加された保存剤と共に複数回投与用の容器で提供され得る。治療用タンパク質は、例えば、皮下注入、筋肉内注入、および静脈内への点滴(infusions)または注入によって注入され得る。
治療用タンパク質は、油性または水性の溶媒(vehicles)中において懸濁液、溶液、またはエマルションの形態をとり得、成形剤(formulatory agents)、例えば懸濁剤、安定化剤および/または分散剤を含有し得る。治療用タンパク質はまた、無菌の固体を無菌的に単離することによってまたは溶液からの凍結乾燥によって得られる、使用前に適切な溶媒(vehicle)、例えば無菌の、発熱物質を含まない水で構成されるための、粉末形態であり得ると考えられる。
表皮への局所投与のために、本発明によって生産された治療用タンパク質は、軟膏、クリームまたはローションとして、または経皮性パッチとして製剤化され得る。軟膏およびクリームは、例えば、適切な増粘剤および/またはゲル化剤の添加を伴って、水性または油性の基剤(base)と共に製剤化され得る。ローションは、水性または油性の基剤(base)と共に製剤化され得、通常は1以上の乳化剤、安定化剤、分散剤、懸濁剤、増粘剤または着色剤をも含有する。
口腔内の局所投与に適した剤形は、風味付けされた基剤、通常はスクロースおよびアカシアまたはトラガカント(tragacanth)の中に活性成分を含むロゼンジ(lozenges); 不活性な基剤、例えばゼラチンおよびグリセリンまたはスクロースおよびアカシアの中に活性成分を含む芳香錠(pastilles); および適切な液体の担体中に活性成分を含むうがい薬を包含する。
直腸投与に適した、担体が固体である医薬製剤は、最も好ましくは単位用量坐薬として表される。適切な担体は、カカオバターおよび当該分野において一般に用いられる他の材料を包含し、坐薬は、活性な化合物を軟化または融解させた担体と混合した後、型の中で冷却および成形することによって、使い易く形成され得る。
膣内投与に適した剤形は、活性成分に加えて、適切であることが当該分野において知られている担体を含有するペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、気泡またはスプレーとして提供され得る。
鼻腔内投与のために、本発明の治療用タンパク質は、液体スプレーまたは 分散性粉末としてまたは液滴の形態で用いられ得る。
液滴は、1以上の分散剤、可溶化剤または懸濁剤をも含む水性のまたは非水性の基剤で形成され得る。液体スプレーは、加圧された容器から使い易く送達される。
吸入による投与のために、本発明による治療用タンパク質は、通気器(insufflator)、噴霧器または加圧された容器から、またはエアロゾルスプレーを送達するのに便利な他の手段で使い易く送達され得る。加圧された容器は、適切な推進剤(propellant)、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の適切なガスを含み得る。加圧されたエアロゾルの場合、用量単位は、計量された量を送達するためのバルブを提供する事によって決定されうる。
吸入または通気(insufflation)による投与のために、本発明による治療用タンパク質は、乾燥粉末組成物、例えば化合物と適切な粉末基剤、例えばラクトースまたはデンプンとの粉末混合物の形態をとり得る。粉末組成物は、例えば、カプセルまたは薬包、または、例えばゼラチン、または吸入器(inhalator)または通気器(insufflator)の助けを借りて粉末がそこから投与され得るブリスター包装の形で、単位用量形態で提供され得る。
希望する場合には、活性成分の持続的な放出をもたらすように順応させた上記の剤形が採用され得る。
本発明による医薬組成物はまた、他の活性成分、例えば抗菌剤、または保存剤を含有し得る。
ある特定の例において、本明細書に開示される通りに生産され、ペグ化されていてもよいヒト EPO は、1 mL につき 0.05 mg のポリソルベート80を含有する医薬製剤中に採用され、注入用の水の中において 2.12 mg のリン酸二水素ナトリウム(sodium phosphate monobasic monohydrate)、0.66 mg の無水リン酸一水素ナトリウム(sodium phosphate dibasic anhydrous)、および 8.18 mg の塩化ナトリウムと共に、pH 6.2 ± 0.2 で形成される。別の特定の例において、本明細書に開示される通りに生産されるヒトインターフェロンαは、7.5 mg/ml の塩化ナトリウム、1.8 mg/ml のリン酸一水素ナトリウム、1.3 mg/ml のリン酸二水素ナトリウム、0.1 mg/ml エデト酸二ナトリウム、0.7 mg/ml の Tween(登録商標)80 および 1.5 mg/ml の m-クレゾールを含有する医薬製剤中に採用される。別の特定の例において、本明細書に開示される通りに生産されるヒト G-CSF は、0.82 mg/ml の酢酸ナトリウム、2.8 μl/ml の氷酢酸、50 mg/ml のマンニトールおよび 0.04 mg/ml の Tween(登録商標)80を含有する医薬製剤中に採用される。
加えて、本発明の治療用タンパク質は他の治療剤と組み合わせて用いられ得ると考えられる。
本発明の組成物または化合物は 様々な症状を処置するために用いられ得る。例えば、そのための治療(treatment therapies)が当該分野における通常の知識を有する実務者に公知であり、細胞培養(例えば、CHO 細胞)から得られた治療用タンパク質が採用される症状は多く存在する。本発明は、トリの系において生産され、家禽由来のグリコシル化パターンを有する治療用タンパク質が、かかる症状を処置するために採用され得ることを考慮する。つまり、本発明は、従来通りに生産された治療用タンパク質によって処置可能であることが知られている症状を、本発明によって生産された治療用タンパク質を用いることによって処置することを考慮する。例えば、当該分野において理解されている通り、本発明によって生産されたエリスロポエチンは、ヒトの症状、例えば貧血および腎臓疾患、例えば慢性腎不全(または本発明の EPO を投与することによって処置可能な他の症状)を処置するために用いられ得、本発明によって生産された G-CSF は、癌患者を処置するために用いられ得る。
一般に、投与される用量は、公知の因子、例えばレシピエントの年齢、健康および体重、併用される処置の型、処置の頻度などによって変動する。通常、活性成分の用量は、体重1キログラムあたり 約 0.0001 から 約 10 ミリグラムの間であり得る。正確な用量、投与の頻度および処置期間は、それぞれの治療用タンパク質の投与の分野における通常の知識を有する医師によって決定され得る。
以下の特定の実施例は、本発明を説明することを意図したものであり、特許請求の範囲を限定するものと解釈すべきではない。
実施例 1
ベクター構築
複製欠損トリ白血病ウイルス(ALV)-に基づくベクター pNLB(Cosset et al.、1991)の lacZ 遺伝子を、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーターおよびレポーター遺伝子のβ-ラクタマーゼからなる発現カセットで置換した。pNLB および pNLB-CMV-BL ベクターコンストラクトを、それぞれ 図 3A および 3B に図示する。
pNLB の lacZ 遺伝子を導入遺伝子で効率的に置換するため、中間のアダプタープラスミド、pNLB-アダプターを最初に作成した。pNLB-アダプターは、pNLB のチューバックされた(chewed back) ApaI/ApaI 断片(Cosset et al.、J. Virol. 65:3388-94 (1991))(pNLB の中で、5' ApaI は lacZ の 289 bp 上流にあり、3'ApaI は 3' LTR および Gag セグメントの 3'側にある)を pBluescriptKS(-)の チューバックされた(chewed-back) KpnI/SacI 部位に挿入することによって作成した。pCMV-BL のフィルインされた(filled-in) MluI/XbaI 断片(Moore et al.、Anal. Biochem. 247: 203-9 (1997))を pNLB-アダプターのチューバックされた(chewed-back) KpnI/NdeI 部位に挿入し、lacZ を CMV プロモーターおよび BL 遺伝子で置換し(pNLB の中で、KpnI は lacZ の 67 bp 上流にあり、 NdeI は lacZ 停止コドンの 100 bp 上流にある)、それによって pNLB-アダプター-CMV-BL を作成した。pNLB-CMV-BL を作成するため、pNLB の(lacZ を含む)HindIII/BlpI 挿入を、pNLB-アダプター-CMV-BL の HindIII/BlpI 挿入で置換した。pNLB の HindIII/BlpI 部位への平滑末端断片の直接ライゲーションは、不明な理由により大部分が再編成されたサブクローンを生成したため、この2段階クローニングが必要であった。
実施例 2
pNLB-CMV-BL 創始者群(Founder Flock)の作出
5% 新生仔ウシ血清(Gibco)、1% ニワトリ血清(Gibco)、50 μg/ml フレオマイシン(Cayla Laboratories)および 50 μg/ml ハイグロマイシン(Sigma)を含む F10(Gibco)中で、Sentas および Isoldes を培養した。形質導入粒子を、以下の点を除いて、引用により本明細書に包含される Cosset et al.、1993 に記載されている通りに作成した。9x105 の Sentas への(上記実施例1からの)レトロウイルスベクター pNLB-CMV-BL のトランスフェクションの2日後、ウイルスを 6-16 時間の間 新鮮な培地中に回収し、濾過した。全ての培地を、終濃度 4 μg/mlになるようポリブレンが添加された状態で、3つの 100 mm プレート中において 3x106 の Isoldes に形質導入するために用いた。その翌日、培地を、50 μg/ml フレオマイシン、50 μg/ml ハイグロマイシンおよび 200 μg/ml G418 (Sigma)を含有する培地で置換した。10-12 日後、単一の G418 耐性コロニーを単離し、24-ウェルプレートへ移した。7-10 日後、各コロニーからの力価を Sentas の形質導入によって決定し、続けて G418 による選択を行った。通常、60 のうち 2 コロニーが 1-3x105 において力価をもたらした。これらのコロニーを展開し、引用により本明細書に包含される Allioli et al.、Dev. Biol. 165:30-7(1994) に記載されている通りに、ウイルスを 2-7x106 まで濃縮した。CMV-BL 発現カセットの完全性を、NLB-CMV-BL 形質導入粒子で形質導入された細胞の培地中でβ-ラクタマーゼについてアッセイすることによって確認した。
形質導入ベクター pNLB-CMV-BL を、546 の非インキュベート SPF 白色レグホン胚の胚下腔中に注入し、そのうち 126 のヒヨコが孵化し、それらを血中へのβ-ラクタマーゼ(ラクタマーゼ)の分泌についてアッセイした。未知のサンプルにおける活性なラクタマーゼの濃度を測定するため、紫色の基質である PADAC がラクタマーゼによって特異的に黄色の化合物へと変換される動態比色アッセイを採用した。標準的な反応時間の間、OD570 nm における減少をモニターすることによってラクタマーゼ活性を定量化し、様々なレベルの精製ラクタマーゼによる検量線と比較した(これを“ラクタマーゼアッセイ”と称する)。サンプル中のラクタマーゼの存在または非存在は、終夜または数日間にわたって被験サンプル中における紫から黄色への変換を視覚的に点数化することによっても決定され得る(“終夜ラクタマーゼアッセイ”)。後者の方法は、非常に低いレベルのラクタマーゼの検出または多数のサンプルのスクリーニングに適していた。1から4週齢において、ヒヨコの血清サンプルをラクタマーゼの存在について試験した。27のヒヨコは、終夜ラクタマーゼアッセイの後でのみ検出可能であった非常に低い血清中のラクタマーゼレベルを有し、これらのヒヨコが成熟するにつれて、ラクタマーゼはもはや検出できなくなった。以下の表 1 および 図 4A に示される通り、9 羽の追加の鳥(3 羽の雄および 6 羽の雌)は、孵化後6から7ヶ月において 11.9 から 173.4 ng/ml の範囲のラクタマーゼの血清レベルを有した。

Figure 2010509327
実施例 3
G0 雌鳥の卵白におけるβ-ラクタマーゼの発現
pNLB-CMV-BL レトロウイルスベクターで形質導入された57の若い雌鳥を性的成熟期まで成育させ、8ヶ月齢において各雌鳥からの卵白を活性なβ-ラクタマーゼ(ラクタマーゼ)について試験した。57羽の鳥のうち、6羽は 56.3 から 250.0 ng/ml の範囲の有意なラクタマーゼレベルを有した(上記の表 1)。PADAC とサンプルを数日間インキュベートした後でさえ、この群の中には卵白中に検出可能なラクタマーゼレベルを有する他の雌鳥はいなかった。偽注入された 24 羽の雌鳥からの卵白中において、およびラクタマーゼ導入遺伝子を保有しない NLB ベクターで形質導入された 42 羽の雌鳥においてはラクタマーゼを検出できなかった。最初のアッセイの後6ヶ月の間、6羽の発現雌鳥の卵白中において安定なラクタマーゼ発現を検出することができた(上記の表 1)。
6羽全ての雌鳥の卵白中において、抗-β-ラクタマーゼ抗体でのウエスタンブロットアッセイによってラクタマーゼを検出した。卵白ラクタマーゼは、標準として用いられる、細菌により生産され精製されたラクタマーゼと同じサイズであった。ウエスタン解析によって卵白において検出された量は酵素的アッセイによって決定された量と一致し、有意な割合の卵白ラクタマーゼが生物学的に活性であることを示した。4℃で貯蔵された、雌鳥によって生産された卵白中のラクタマーゼは、数ヶ月の貯蔵の後でさえ全く活性を失わず、分子量の変化も全く示さなかった。この知見は、ラクタマーゼ含有卵の、分析前のより長期間の貯蔵を可能にした。
実施例 4
G1 および G2 トランスジェニックニワトリにおけるβ-ラクタマーゼ導入遺伝子の生殖系への伝達および血清での発現
56 羽の G0 雄鳥から収集した精子より DNA を抽出し、56 羽のうち、定量的 PCR によって決定された通りその精子の DNA 中に有意なレベルの導入遺伝子を有する3羽の鳥を交配のために選択した。これらの雄鳥は、その血中に最も高いレベルのβ-ラクタマーゼ(ラクタマーゼ)を有する3羽と同一であった(雄鳥 2395、2421 および 2428)。雄鳥 2395 は(422 の子孫のうち)3羽の G1 トランスジェニック子孫を生み出したが、一方で残りの2羽は全部で 630 の子孫のうち1羽もトランスジェニック子孫を生み出さなかった。3羽の G1 トランスジェニックニワトリの各々からの血液の DNA のサザン解析により、導入遺伝子がインタクトであることおよびそれらがユニークで無作為な座位に組み込まれていることが確認された。孵化後 6 から 11 週における G1 トランスジェニックヒヨコ 5308、5657 および 4133 の血清は、それぞれ 0.03、2.0 および 6.0 μg/ml のラクタマーゼを含有していた。6 から 7 ヶ月齢においてニワトリを再度アッセイした時には、ラクタマーゼレベルは 0.03、1.1 および 5.0 μg/ml のレベルにまで低下した(図 4A)。
導入遺伝子についてヘミ接合性の子孫を得るため、雌鳥 5657 および 雄鳥 4133 を非トランスジェニックニワトリと交配した。雄鳥 4133 または 雌鳥 5657 から生み出されたトランスジェニックニワトリ系統およびその後の世代を 図 5 に示す。トランスジェニック雄鳥 5308 も交配されたが、この鳥の子孫は血清および卵白中において非常に低いかまたは検出不可能なラクタマーゼ濃度しか示さなかった。無作為に選ばれた G2 トランスジェニックヒヨコの血清中における活性なラクタマーゼ濃度を、孵化後 3 から 90 日で測定した。雌鳥 5657 から生まれた5羽の G2 トランスジェニックのうち全てが、活性なラクタマーゼを 1.9 から 2.3 μg/ml の濃度で有していた(図 4B において 1.1 μg/ml の親の発現と比較される)。全てのサンプルを同じ期間に収集した。したがって、雌鳥 5657 における濃度が成熟するのに比例して低下したため、子孫の血清中におけるラクタマーゼ濃度は親のラクタマーゼ濃度よりも高いと期待された。同様に、雄鳥 4133 から生み出された、無作為に選ばれた5羽のトランスジェニックヒヨコ全てが、同様であるが親よりも高い血清ラクタマーゼ濃度を有していた(図 4B)。
実施例 5
トランスジェニック雌鳥の卵白におけるβ-ラクタマーゼの発現
G1 雌鳥 5657 からの卵は、卵白1mlあたり 130 ng の活性なβ-ラクタマーゼ(ラクタマーゼ)を含有していた(図 6A)。ラクタマーゼ濃度は、生まれた最初のわずかの卵においてより高く、その後プラトーに達し、それは少なくとも9ヶ月間安定であった。雌鳥 5657 および非トランスジェニック雄鳥から生まれたトランスジェニック雌鳥からの卵は、親と同様のラクタマーゼ濃度を有していた(図 6A)。雌鳥 6978 は、G2 雌鳥 8617 および同胞の G2 雄鳥 8839 から生まれ、定量的 PCR およびサザン解析によって決定された通り導入遺伝子についてホモ接合性であった。予想通り、鳥 6978 の卵におけるラクタマーゼ濃度は、そのヘミ接合性の親よりも2倍近く高かった(図 6B)。その雌のクラッチのうち(in her clutch)雌鳥 6978 が唯一の雌であったため、雌鳥 5657 から生まれた、分析された他の G3 雌鳥は存在しなかった。雌鳥 8867、8868 および 8869 からの卵が11ヶ月間別々に収集され、同様の濃度のラクタマーゼを有していたことに注目するのは重要であり(図 6A および 6B)、それは卵白中における発現レベルが産卵期間を通じて一貫していることを再度示す。
ヘミ接合性の G2 雌鳥を得るため、雄鳥 4133 を非トランスジェニック雌鳥と交配した。分析された 15 羽のトランスジェニック雌鳥のうち全てが、卵白中にラクタマーゼを 0.47 から 1.34 μg/ml の範囲の濃度で有していた。4羽の代表的な雌鳥を 図 7A に示す。6ヶ月後にアッセイされた時には、平均発現レベルはおよそ 1.0 μg/ml から 0.8 μg/ml に低下していた(図 7A)。発現レベルは最初の卵において高く、数ヶ月にわたって安定であった。その後も、卵におけるラクタマーゼ濃度は一定のままであった。
ヘミ接合性およびホモ接合性の G3 雌鳥を生み出すため、G2 雌鳥 8150 および同胞の G2 雄鳥 8191 を交配した。全てのトランスジェニック G3 雌鳥は、その卵の卵白中においてラクタマーゼを 0.52 から 1.65 μg/ml の範囲の濃度で発現した(図 7B)。ホモ接合性である G3 雌鳥についての平均発現は、G2 雌鳥およびヘミ接合性の G3 雌鳥の平均発現よりも 47% 高かった。群内のいかなる所与の雌鳥からの卵におけるレベルも比較的一定であったが、雄鳥 4133 およびその子孫から生み出された G2 および G3 雌鳥からの卵におけるラクタマーゼの量は、有意にばらついた(図 7A および 7B)。ホモ接合性遺伝子型であるため、ラクタマーゼの平均発現は2倍であると期待された。ウエスタンブロット解析によって、G2 トランスジェニックの卵において導入遺伝子がインタクトなラクタマーゼを忠実に生産していることが確認された。ウエスタンブロット上で検出されたラクタマーゼレベルはまた、酵素活性アッセイによって決定されたラクタマーゼレベルと密接に相関しており、卵白ラクタマーゼの有意な部分が生理活性であることを示した。したがって、ニワトリにおける導入遺伝子の安定で信頼性のある発現を実行するためにレトロウイルスベクターを採用したのは成功であった。
卵黄におけるラクタマーゼの沈着(Deposition)が検出可能であったが、卵白よりも低かった。雄鳥 4133 の系列の7羽の G2 または G3 雌鳥が分析され、卵黄における濃度は 107 から 375 ng/ml の範囲または卵白における濃度の約 20%であった。所与の雌鳥の卵黄および卵白のラクタマーゼレベルの間には相関が無かった(Harvey et al.、“Expression of exogenous protein in egg white of transgenic chickens”(April 2002) Nat. Biotechnol. 20:396-399)。
実施例 6
創始者雄(Founder Males)の作出
pNLB-CMV-BL 形質導入のために、生まれたての白色レグホンの受精卵を用いた。7から10マイクロリットルの濃縮粒子を、孔を開けた(windowed)卵の胚下腔の中に注入し、孔(window)を塞いだ後にヒヨコが孵化した。546 個の卵に注入した。血液の DNA を抽出し、Taqman アッセイを介して neo 耐性遺伝子を検出するよう設計されたプローブ-プライマーのセットを用いて、導入遺伝子の存在について分析した。以下の表 2 に見られる通り、全てのヒヨコのおよそ 25% が、その血液の DNA 中に検出可能なレベルの導入遺伝子を有していた。

表 2: NLB-CMV-BL ベクターでの遺伝子組換えの概要
Figure 2010509327
実施例 7
導入遺伝子の生殖系伝達
交配用 G0 雄の候補を同定するため、精子の DNA における neo 耐性遺伝子の Taqman 検出を用いた。3羽の G0 雄を同定し、その各々は精子の DNA 中にバックグラウンドよりも高いレベルで NLB-CMV-BL 導入遺伝子を有していた。完全にトランスジェニックの G1 子孫を同定するため、精子中の導入遺伝子について陽性の全ての G0 雄を非トランスジェニック雌鳥に交配した。
NLB-CMV-BL に関して、それぞれ 1026 羽のヒヨコが生まれ、各導入遺伝子について3羽の G1 ヒヨコが得られた(上記の表 2)。各雄からは等しい数のヒヨコが生まれたが、全ての G1 子孫は、精子の DNA 中に最も高いレベルの導入遺伝子を有する雄に由来していた。
実施例 8
G1 および G2 のサザン解析
挿入されたベクター配列の組み込みおよび完全性を確認するため、G1 および G2 トランスジェニックからの DNA についてサザンブロット解析を行った。pNLB-CMV-BL ベクター内に見出される内部 HindIII 部位(図 3B)と組み込み部位に隣接するゲノムの部位によって生成される接合部断片を検出するため、血液 DNA を HindIII で消化し、neo 耐性プローブにハイブリダイズさせた。NLB-CMV-BL を保有する 3 羽の G1 鳥の各々はユニークなサイズの接合部断片を有しており、導入遺伝子が3つの異なるゲノム部位へ組み込まれたことが示された。ヘミ接合性の G2 を得るため、G1 を非トランスジェニック雌鳥と交配した。(上記の)表 2 において見られるように、組み込まれた単一の導入遺伝子のメンデル分離によって予測された通り、NLB-CMV-BL を有する G1 雄鳥からの子孫の 50.8% がトランスジェニックであった。G2 子孫からの HindIII-消化 DNA のサザン解析によって、そのトランスジェニック親に起因する断片と同様のサイズの接合部断片が検出され、導入遺伝子がインタクトな状態で伝達された事が示された。
実施例 9
導入遺伝子についてホモ接合性の G3 子孫のスクリーニング
導入遺伝子についてホモ接合性のトランスジェニックニワトリを得るため、同じ部位に組み込まれた NLB-CMV-BL を有する ヘミ接合性の G2 鳥(例えば、同じ G1 雄の子孫)を交配した。2つの群を交配した: 第1の群は G1 4133 雄 から生じた雌鳥および雄鳥であり、第2の群は G1 5657 雌鳥から生じた鳥であった。G3 子孫における neo 耐性導入遺伝子を、検量線を用いて定量的に検出するため、Taqman アッセイを用いた。サザン解析によって決定された通り導入遺伝子についてヘミ接合性である G1 トランスジェニック 4133 雄からの既知量のゲノム DNA を用いて、検量線を作成した。検量線は、導入遺伝子の総コピー数 103 から 1.6x104 の範囲または二倍体ゲノムあたりの導入遺伝子 0.2 から 3.1 コピーの範囲であった。対数期の間は反応構成要素が制限されないため、増幅は非常に効率的であり、所与のコピー数に対して再現性のある値をもたらした。再現性のある各々の検量線の間の1サイクル差はコピー数において2倍異なる。
G3 子孫における導入遺伝子アレルの数を決定するため、DNA を増幅して標準と比較した。非トランスジェニックからの DNA は増幅しなかった。トランスジェニックアレルについてホモ接合性の鳥は、該アレルについてヘミ接合性の鳥よりも1サイクル早く増幅を開始するプロットを生じた。配列検出プログラムは、未知の DNA サンプル中のアレルの数を、検量線およびサンプルの増幅プロットが有意な上昇を示したサイクル閾値(Ct)に基づいて計算する事が可能であった。データを以下の表 3 に示す。
Taqman コピー数解析を確認するため、選択された鳥の DNA を PstI-消化 DNA および neo 耐性遺伝子に相補的なプローブを用いるサザンブロッティングによって解析し、0.9 kb の断片を検出した。ゲルからメンブレンへのより小さな DNA の転移の方がより定量的であるため、小さな断片の検出を選択した。該 0.9 kb のバンドのシグナル強度は、Taqman アッセイによって決定された通り、G3 トランスジェニック鳥のコピー数に良く対応した。サザンブロッティングによって解析された追加の18羽の G3 トランスジェニック鳥のコピー数も、Taqman によって決定されたコピー数と一致した。4133 系列について全部で 33 羽の子孫を解析し、そのうち 9 羽(27.3%)が非トランスジェニック、16 羽(48.5%)がヘミ接合性、そして 8 羽(24.2%)がホモ接合性であった。5657 系列について全部で 10 羽の子孫を解析し、そのうち 5 羽(50.0%)が非トランスジェニック、1 羽(10.0%)がヘミ接合性、そして 4 羽(40.0%)がホモ接合性であった。4133 系列の G3 子孫について、観察された非トランスジェニック、ヘミ接合体およびホモ接合体の比は、(P が 0.05 以下である)χ2 検定によって決定されるように、期待される 1:2:1 の比と有意には異ならなかった。5657 系列の子孫は期待された分布を有さなかったが、これは検定された子孫の数が少なかったことによるものであろう(Harvey et al.、“Consistent production of transgenic chickens using replication deficient retroviral vectors and high-throughput screening procedures”(February 2002) Poultry Science 81:202-212)。

Figure 2010509327
実施例 10
pNLB-MDOT-EPO ベクターについてのベクター構築
本明細書の実施例 1 (ベクター構築)の教示に従って、BL をコードする配列の代わりに EPO をコードする配列を用いる pNLB-MDOT-EPO ベクターを作成した(図 8B)。CMV プロモーターを使用する代わりに、MDOT を使用した(図 13)。MDOT は、オボムコイド(MD)プロモーターおよびオボトランスフェリン(TO)プロモーター両者からのエレメントを含有する合成プロモーターである(pNLB-MDOT-EPO ベクター、別名 pAVIJCR-A145.27.2.2)。
雌鳥卵管に最適化したコドン使用頻度に基づくヒト EPO のための DNA 配列を、ニワトリ(Gallus gallus)の卵白アルブミン、リゾチーム、オボムコイド、およびオボトランスフェリンタンパク質からまとめられたコドン使用頻度表を用い、Wisconsin Package、version 9.1 (Genetics Computer Group、Inc.、Madison、Wis.)の BACKTRANSLATE プログラムを使用して作成した。該 DNA 配列 は、契約に基づいて Integrated DNA Technologies、Coralville、Iowa によって合成され、pCRII-TOPO (Invitrogen)の 3' 突出 T の中へクローン化された。次いで EPO のコード配列を pEpoMM から Hind III および Fse I で取り除き、0.8% アガロース-TAE ゲルから精製し、Hind III および Fse I で消化されアルカリフォスファターゼ処理された pCMV-IFNMM に連結した。得られたプラスミドは、サイトメガロウイルス最初期プロモーター/エンハンサーによって制御される EPO のコード配列 および SV40 ポリA 部位を含有する pAVIJCR-A137.43.2.2 であった。プラスミド pAVIJCR-A137.43.2.2 を Nco I および Fse I で消化し、適切な断片を pMDOTIFN の Nco I および Fse I-消化断片に連結して、MDOT プロモーターによって駆動される EPO を含有する pAVIJCR-A137.87.2.1 を得た。MDOT プロモーターによって制御される EPO のコード配列を NLB レトロウイルスプラスミドの中へクローン化するため、プラスミド pALVMDOTIFN および pAVIJCR-A137.87.2.1 を Kpn I および Fse I で消化した。適切な DNA 断片を 0.8% アガロース-TAE ゲル上で精製し、次いで連結し、DH5α 細胞に形質転換した。得られたプラスミドは pNLB-MDOT-EPO (別名 pAVIJCR-A145.27.2.2)であった。
実施例 11
EPO を発現するトランスジェニックニワトリおよび完全トランスジェニック G1 ニワトリの作出
NLB-MDOT-EPO 形質導入粒子の作成を、NLB-CMV-BL について記載された通りに行った(実施例 2 を参照)。Speksnijder の手法(米国特許第5,897,998号)によって、およそ 300 の白色レグホンの卵に孔を開け(were windowed)、卵あたり約 7x104 の形質導入粒子を注入した。卵は注入後 21 日で 孵化し、孵化後1週間のヒヨコより収集された血清サンプルから EPO ELISA によってヒト EPO レベルを測定した。
その精子中に EPO 導入遺伝子を含有する G0 雄鳥をスクリーニングするため、雄鳥の精子サンプルから Chelex-100 抽出(Walsh et al.、1991)によって DNA を抽出した。次いで DNA サンプルを 7700 配列検出器(Perkin Elmer)上で“neo for-1”(5'-TGGATTGCACGCAGGTTCT-3'; 配列番号 5)および“neo rev-1”(5'- TGCCCAGTCATAGCCGAAT-3'; 配列番号 6)プライマーおよび FAM 標識 NEO-プローブ1 (5'-CCTCTCCACCCAAGCGGCCG-3'; 配列番号 7)を用いる Taqman(登録商標)解析に供し、導入遺伝子を検出した。その精子サンプル中に最も高いレベルの導入遺伝子を有する8羽の G0 雄鳥を、人工授精によって非トランスジェニック SPAFAS (白色レグホン)雌鳥に交配した。血液の DNA サンプルを、上記の通りに Taqman(登録商標)解析によって導入遺伝子の存在についてスクリーニングした。
1,054 の子孫のうち、16 羽のヒヨコがトランスジェニックであることが判明した(G1 トリ)。ヒヨコの血清を、EPO ELISA によってヒト EPO の存在について試験し、EPO は約 70 ナノグラム/ml (ng/ml)で存在した。G1 雌鳥からの卵の卵白も、EPO ELISA によってヒト EPO の存在について試験され、ヒト EPO を 約 70 ng/ml で含有することが判明した。細胞培養アッセイにおいてヒト EPO 応答性細胞株(HCD57 マウス赤血球細胞)で試験したところ、卵の中に存在する(すなわち、最適化されたヒト EPO のコード配列に由来する) EPO は生物学的に活性であることが判明した。
実施例 12
pNLB-CMV-IFN についてのベクター構築
実施例 1 の教示に従って、実施例 1 のBL のコード配列の代わりに IFN のコード配列を用いる pNLB-CMV-IFN ベクターを作成した(図 8A)。
最適化されたコード配列を作成し、ここで、本発明のベクターに挿入された、最適化されたヒト IFN-α 2b のコード配列の設計において、卵白タンパク質である卵白アルブミン、リゾチーム、オボムコイド、オボトランスフェリンの中に見出される特定のアミノ酸各々について最も頻繁に使用されるコドンを用いた。より具体的には、最適化 ヒト IFN-α 2b のための DNA 配列は、雌鳥の卵管に最適化されたコドン使用頻度に基づいており、ニワトリ(Gallus gallus)の卵白アルブミン、リゾチーム、オボムコイド、およびオボトランスフェリンタンパク質からまとめられたコドン使用頻度表を用い、Wisconsin Package、Version 9.1 (Genetics Computer Group Inc.、Madison、Wis.)の BACKTRANSLATE プログラムを使用して作成された。例えば、4つの卵白タンパク質におけるアミノ酸 アラニンの4つのコドンについてのパーセント使用率は、GCU が 34%、GCC が 31%、GCA が 26%、そして GCG が 8% である。したがって、GCU を 最適化 ヒト IFN-α 2b コード配列中のアラニンの大部分についてのコドンとして用いた。最適化 ヒト IFN-α 2b の遺伝子を含有するベクターを、その組織および卵においてトランスジェニック家禽由来のインターフェロン-α 2b (TPD IFN-α 2b)を発現するトランスジェニックトリを作出するために用いた。
以下の表 4 に記載される鋳型およびプライマーオリゴヌクレオチドを、Pfu ポリメラーゼ(Stratagene、La Jolla、Calif.)での PCR によって 94℃ 1 分; 50℃ 30 秒; 72℃ 1分10秒 の 20 サイクルを用いて増幅した。PCR 産物を、“crush and soak”法 (Maniatis et al. 1982)によって 12% ポリアクリルアミド-TBE ゲルから精製し、次いで、プライマーとして IFN-1 および IFN-8 のみを用いる増幅反応における鋳型として混合した(表 4 参照)。得られた PCR 産物を Hind III および Xba I で消化し、2% アガロース-TAE ゲルからゲル精製し、その後 Hind III および Xba I で消化されアルカリフォスファターゼ処理された pBluescript KS (Stratagene)に連結し、その結果プラスミド pBluKSP-IFNMagMax を得た。ユニバーサル T7 または T3 プライマーを用い、ABI PRISM 377 DNA シークエンサー(Perkin-Elmer、Foster City、Calif.)上でのサイクルシークエンシングによって両方の鎖の配列を決定した。pBluKSP-IFN 中の元のオリゴヌクレオチド鋳型に由来する変異を、Transformer 部位特異的変異誘発キット(Clontech、Palo Alto、Calif.)を用いて部位特異的変異誘発によって修正した。次いで IFN コード配列を、修正された pBluKSP-IFN から Hind III および Xba I を用いて取り除き、0.8% アガロース-TAE ゲルから精製し、Hind III および Xba I で消化されアルカリフォスファターゼ処理された pCMV-BetaLa-3B-dH に連結した。得られたプラスミドは、サイトメガロウイルス最初期プロモーター/エンハンサーによって制御される IFN コード配列および SV40 ポリA 部位を含有する pCMV-IFN であった。CMV プロモーター/エンハンサーによって制御される IFN コード配列を NLB レトロウイルスプラスミドにクローン化するため、まず pCMV-IFN を ClaI および XbaI で消化し、次いで両方の末端を DNA ポリメラーゼのクレノー断片(New England BioLabs、Beverly、Mass.)を用いてフィルイン(filled in)した。pNLB-アダプターを NdeI および KpnI で消化し、両端を T4 DNA ポリメラーゼ(New England BioLabs)によって平滑末端化した。適切な DNA 断片を 0.8% アガロース-TAE ゲル上で精製した後に連結し、DH5α 細胞に形質転換した。得られたプラスミドは pNLB-アダプター-CMV-IFN であった。次いでこのプラスミドを MluI で消化し、BlpI で部分的に消化し、適切な断片をゲル精製した。pNLB-CMV-EGFP を MluI および BlpI で消化した後、アルカリフォスファターゼ処理およびゲル精製を行った。pNLB-アダプター-CMV-IFN の MluI/BlpI 部分断片を pNLB-CMV-EGFP の MluI/BlpI 消化に由来する大断片に連結し、pNLB-CMV-IFN を作成した。

表4
Figure 2010509327
実施例 13
IFN を発現するトランスジェニックニワトリおよび完全トランスジェニック G1 ニワトリの作出
pNLB-CMV-IFN の形質導入粒子を、実施例 2 の手順に従って作成した。Speksnijder の手法(米国特許第5,897,998号)にしたがって、およそ 300 の白色レグホン(系統 0(strain Line 0))の卵に孔を開け(were windowed)、卵あたり約 7x104 の形質導入粒子を注入した。卵は注入後 21 日で孵化し、孵化後1週間のヒヨコより収集された血清サンプルから IFN ELISA によってヒト IFN レベルを測定した。
その精子中に IFN 導入遺伝子を含有する G0 雄鳥をスクリーニングするため、雄鳥の精子サンプルから Chelex-100 抽出(Walsh et al.、1991)によって DNA を抽出した。次いで DNA サンプルを 7700 配列検出器(Perkin Elmer)上で“neo for-1”(5'-TGGATTGCACGCAGGTTCT-3'; 配列番号 5)および“neo rev-1”(5'-GTGCCCAGTCATAGCCGAAT-3'; 配列番号 6) プライマーおよび FAM 標識 NEO-プローブ1 (5'-CCTCTCCACCCAAGCGGCCG-3'; 配列番号 7)を用いる Taqman(登録商標)解析に供し、導入遺伝子を検出した。その精子サンプル中に最も高いレベルの導入遺伝子を有する3羽の G0 雄鳥を、人工授精によって非トランスジェニック SPAFAS (白色レグホン)雌鳥に交配した。
血液の DNA サンプルを、上記の通りに Taqman(登録商標)解析によって、導入遺伝子の存在についてスクリーニングした。1,597 の子孫のうち、1羽の雄鳥がトランスジェニックであることが判明した(別名“Alphie”)。Alphie の血清を、hIFN ELISA によって hIFN の存在について試験し、hIFN は 200 ng/ml で存在した。
Alphie の精子を、非トランスジェニック SPAFAS (白色レグホン)雌鳥の人工授精のために用いた。Taqman(登録商標)解析によって検出された通り、202 のうち 106 (約 52%)の子孫が導入遺伝子を含有していた。これらの交配の結果はメンデル遺伝パターンに従っており、Alphie がトランスジェニックであることを示した。
実施例 14
トランスジェニック家禽由来のインターフェロン-α 2b (TPD IFN-α 2b)の糖分析
実験的証拠により、トリ由来のインターフェロン-α 2b (すなわち、TPD IFN-α 2b)における新たなグリコシル化パターンが明らかになった。TPD IFN-α 2b は、ヒト末梢血白血球由来のインターフェロン-α 2b (PBL IFN-α 2b) または天然ヒトインターフェロン-α 2b (天然 hIFN)中には通常見出されない2つの新たなグリコフォーム(glyco forms)を含有することが判明した(バンド 4 および 5 は α-Gal が伸長した二糖である; 図 9 を参照)。TPD IFN-α 2b はまた、ヒト PBL IFN-α 2b と同様の O-結合型糖鎖構造を含有することも見出され、ヒトの形態よりもニワトリにおいてより効率的に生産された。
ヒト IFN-α 2b のためのコード配列を最適化し(上記の実施例 12)、組換え IFN-α 2b コード配列を得た。次いで TPD IFN-α 2b をニワトリにおいて生産した(上記の実施例 13)。単糖分析および FACE 分析を含む糖分析によって、タンパク質の糖構成(sugar make-up)または新規なグリコシル化パターンが明らかになった。そのようなものとして、TPD IFN-α 2b は以下の単糖残基を明らかにした: N-アセチル-ガラクトサミン(NAcGal)、ガラクトース(Gal)、N-アセチル-グルコサミン(NAcGlu)、およびシアル酸(SA)。N-結合型グリコシル化は、TPD IFN-α 2b には見出されなかった。代わりに、TPD IFN-α 2b は Thr-106 において O-グリコシル化されていることが見出された。このタイプのグリコシル化はヒト IFN-α 2 と同様であり、位置 106 における Thr 残基は IFN-α 2 に特有である。加えて、TPD IFN-α 2b はマンノース残基を有さないことが見出された。FACE 分析は様々な糖残基を表す 6 つのバンドを示し(図 9)、バンド 1、2 および 3 はそれぞれ 非-シアル酸化、モノ-シアル酸化、およびジ-シアル酸化されている(図 10)。シアル酸(SA)の結合は、ガラクトース(Gal)に対してはアルファ 2-3 結合であり、N-アセチル-ガラクトサミン(NAcGal)に対してはアルファ 2-6 結合である。バンド 6 はシアル酸化されていない四糖を表す。バンド 4 および 5 は、ヒト PBL IFN-α 2b 中には見出されないアルファ-ガラクトース(アルファ-Gal)が伸長した二糖であることが判明した。図 10 は、TPD IFN-α 2b (卵白 hIFN)と ヒト PBL IFN-α 2b (天然 hIFN)の比較を示す。TPD IFN-α 2b において、バンド 3 と 4 の間およびバンド 4 と 5 の間にマイナーバンドが存在した(以下参照)。
タンパク質は Thr-106 において、特定の残基で、例えば以下のように O-グリコシル化されていることが見出された:

(i)
Figure 2010509327
(ii)
Figure 2010509327
(iii)
Figure 2010509327
(iv)
Figure 2010509327
(v)
Figure 2010509327
(vi)
Figure 2010509327

ここで、Gal=ガラクトース、
NAcGal=N-アセチル-ガラクトサミン、
NAcGlu=N-アセチル-グルコサミン、および
SA=シアル酸 である。
パーセンテージは以下の通りであった:

(i)
Figure 2010509327
は約20%

(ii)
Figure 2010509327
は約29%

(iii)
Figure 2010509327
は約9%

(iv)
Figure 2010509327
は約6%

(v)
Figure 2010509327
は約7%

(vi)
Figure 2010509327
は約12%。
バンド 3 と 4 の間およびバンド 4 および 5 の間にマイナーバンドが存在し、それらは TPD IFN-α 2b において約 17% を占めた。
実施例 15
トリ細胞における、EMCV IRES を用いるプラスミドトランスフェクションおよびレトロウイルス形質導入からの MAbs の発現
ヒトモノクローナル抗体の軽鎖(LC)および重鎖(HC)を、LC および HC コード配列の間に脳心筋炎ウイルス(EMCV)からの IRES を配置することによって、単一のベクター、pCMV-LC-emcvIRES-HC から発現させた(Jang et al. (1988)“A segment of the 5' nontranslated region of encephalomyocarditis virus RNA directs internal entry of ribosomes during in vitro translation” J. Virol. 62:2636-2643 も参照)。転写を CMV プロモーターによって駆動した。
2つの別々のベクターからのモノクローナル抗体の発現を試験するため、CMV プロモーターに連結した LC または HC をエストロゲン応答性のニワトリ肝細胞細胞株である LMH/2a 細胞中に共トランスフェクトした(Binder et al. (1990)“Expression of endogenous and transfected apolipoprotein II and vitellogenin II genes in an estrogen responsive chicken liver cell line” Mol. Endocrinol. 4:201-208 も参照)。pCMV-LC および pCMV-HC の共トランスフェクションは MAb ELISA によって決定された 392 ng/ml の MAbs をもたらしたが、一方で pCMV-LC-emcvIRES-HC の トランスフェクションは 185 ng/ml の MAb をもたらした。
CMV-LC-emcv-HC カセットを、モロニーマウス白血病ウイルス(MLV)に基づくレトロウイルスベクターに挿入して pL-CMV-LC-emcvIRES-HC-RN-BG を作成した。LMH/2a の親株である LMH 細胞 (Kawaguchi et al. (1987)“Establishment and characterization of a chicken hepatocellular carcinoma cell line, LMH”Cancer Res. 47:4460-4464 も参照)を、それらがネオマイシン耐性でないことから、標的細胞として用いた。LMH 細胞を L-CMV-LC-emcvIRES-HC-RN-BG レトロウイルスベクターで形質導入し、ネオマイシンで選択し、数週間継代した。それとは別に、LMH 細胞を、親の MLV ベクター、LXRN で形質導入し、ネオマイシンで選択した。LXRN 細胞からの培地は MAb について陰性であったが、他方、L-CMV-LC-emcvIRES-HC-RN-BG で形質導入された細胞からの培地は 22 ng/ml の MAb を含有した。
実施例 16
MAb を発現するトランスジェニックニワトリおよび完全トランスジェニック G1 ニワトリの作出
pNLB-CMV-LC-emcv-HC ベクターは、実施例 1 の pNLB-CMV-BL の CMV-BL カセットの代わりに実施例 15 の CMV-LC-emcv-HC カセットを用いることによって作成される。
pNLB-CMV-LC-emcv-HC の形質導入粒子を、実施例 2 の手順に従って作成する。Speksnijder の手法(米国特許第5,897,998号)によって、およそ 300 の白色レグホン(系統 0(strain Line 0))の卵に孔を開け(are windowed)、次いで卵あたり約 7x104 の形質導入粒子を注入する。卵は注入後 21 日で孵化し、孵化後1週間のヒヨコより収集された血清サンプルから ELISA によってヒト MAb レベルを測定する。
その精子中に導入遺伝子を含有する G0 雄鳥(roster)を、Taqman(登録商標) 解析によって同定する。その精子サンプル中に最も高いレベルの導入遺伝子を有する3羽の G0 雄鳥を、人工授精によって非トランスジェニック SPAFAS (白色レグホン)雌鳥に交配する。
1000 を超える子孫をスクリーニングし、10 羽より多いヒヨコがトランスジェニックであることが見出される(G1 トリ)。ヒヨコの血清を、ELISA によって MAb の存在について試験する。MAb は、10 μg/ml血清を超える量で存在することが見出される。G1 雌鳥からの卵の卵白も、ELISA によって MAb の存在について試験され、10 μg/ml卵白を超える量で存在することが見出される。
実施例 17
pNLB-CMV-hG-CSF の構築
このベクター構築は、実施例 12 の pNLB-CMV-IFN ベクターの IFN コード領域を G-CSF のコード配列で効率的に置換する。hG-CSF ORF (ヒト顆粒球コロニー刺激因子のオープンリーディングフレーム)を、pORF9-hG-CSFb (カタログ番号 porf-hgcsfb、Invivogen、San Diego、CA)から プライマー 5'GCSF (ggggggaagctttcaccatggctggacctgcca; 配列番号 32) および 3'GCSF (actagacttttcagggctgggcaaggtggcg; 配列番号 33)を用いて増幅し、642 塩基対(bp)の PCR 産物が生成された。pNLB-CMV-IFN α-2b の中に見出される 3'配列と同一の G-CSF コード配列の 3'配列を有する pNLB-CMV-hG-CSF コンストラクトを提供するため、INF コード配列の 3' 末端に隣接して存在する pNLB-CMV-IFN α-2b の 86 bp の断片を、プライマー 5'GCSF-NLB (ccagccctgaaaagtctagtatggggattggtg; 配列番号 34) および 3'GCSF-NLB (gggggggctcagctggaattccgcc; 配列番号 35)を用いて、PCR によって増幅した。2つの PCR 産物 (642 bp および 86 bp)を混合し、プライマー 5'GCSF および 3'GCSF-NLB を用いる PCR 増幅によって融合させた。該 PCR 産物を、製造者の説明書に従って pCR(登録商標)4Blunt-TOPO(登録商標)プラスミドベクター(Invitrogen)へクローン化し、DH5α-E 細胞へ電気穿孔導入して、pFusion-hG-CSF-NLB を作成した。pFusion-hG-CSF-NLB を Hind III および Blp I で消化し、690 bp の G-CSF 断片をゲル精製した。IFN α-2b コード配列を、Blp I で消化することによって pNLB-CMV-IFN α-2b から取り除いた。次いで該ベクターを再連結し、IFN をコードする挿入断片を欠くクローンを選択して、pNLB-CMV-デルタ hIFN α-2b を作成した。pNLB-CMV-デルタ IFN α-2b を Blp I で消化し、Hind III で部分的に消化し、8732 bp の Blp I- Hind III ベクター断片をゲル精製した。該 8732 bp の断片を、690 bp の Hind III/Blp I G-CSF 断片に連結して、pNLB-CMV-G-CSF を作成した。G-CSF の ORF をシークエンシングによって検証した。
実施例 18
ヒト顆粒球コロニー刺激因子(hG-CSF)を発現するトランスジェニックニワトリの作出
NLB-CMV-hG-CSF 形質導入粒子の作成を、実施例 2 において NLB-CMV-BL について記載された通りに行った。277 のステージ X の卵の胚 に 7 μl の NLB-CMV-hG-CSF 形質導入粒子を注入した(力価は 2.1x107-6.9x107 であった)。86 羽のヒヨコが孵化し、性的成熟期まで育てられた。60 羽のヒヨコが G-CSF について陽性であり、それらは性別で均等に分かれた; 30 羽の雄および 30 羽の雌。21 羽の雌鳥からの卵白を、ELISA によって hG-CSF の存在についてアッセイした。5羽の雌鳥が、0.05 ug/ml から 0.5 μg/ml の範囲のレベルで、卵白中に有意なレベルの hG-CSF タンパク質を有することが見出された。
雄鳥の精子サンプルから、Chelex-100 抽出(Walsh et al.、1991)によって DNA を抽出した。導入遺伝子を検出するため、次いで DNA サンプルを 7700 配列検出器(Perkin Elmer)上で、プライマー SJ-G-CSF for (cagagcttcctgctcaagtgctta; 配列番号 36) および SJ-G-CSF rev (ttgtaggtggcacacagcttct; 配列番号 37) およびプローブ、SJ-G-CSF プローブ (agcaagtgaggaagatccagggcg; 配列番号 38)を用いる Taqman(商標) 解析に供した。その精子サンプル中に最も高いレベルの導入遺伝子を有する雄鳥を、人工授精によって非トランスジェニック SPAFAS (白色レグホン)雌鳥に交配した。
血液の DNA サンプルを、上記の通りの Taqman(商標)解析によって、導入遺伝子の存在についてスクリーニングした。2264 の子孫のうち、13 の G1 がトランスジェニックであることが判明し、各々が G-CSF の存在について血清陽性であり、1羽の雌鳥(XGF498)は血清中におよそ 136.5 ng/ml の G-CSF、および卵白中に 5.6 μg/ml の G-CSF を有し、各々は ELISA によって測定された通りであった。
XGF498 と同じ系統の(それゆえ、ゲノム中の同一の位置に挿入された同一の導入遺伝子を有する)2羽の G1 雄鳥(QGF910 および DD9027)を非トランスジェニック雌鳥と交配し、家禽由来の G-CSF を含有する卵を産む雌の子孫を作出した。G-CSF のミリグラム量を、QGF910 および DD9027 子孫の卵より収集された卵白から精製した。実施例 20 で開示される通りに得られた G-CSF から、家禽由来の G-CSF の代表的なグリコシル化構造のパターンを決定した。
実施例 19
ヒト 細胞傷害性リンパ球抗原4-Fc 融合タンパク質 (CTLA4-Fc)を発現するトランスジェニックニワトリの作出
pNLB-1.8OM-CTLA4Fc および pNLB-3.9OM-CTLA4Fc を、その開示事項全体が引用により本明細書に取込まれている2005年1月31日出願の米国特許出願第11/047,184号において開示されている通りに構築した。pNLB-1.8OM-CTLA4Fc および pNLB-3.9OM-CTLA4Fc 形質導入粒子の作成を、実施例 2 において pNLB-CMV-BL について記載されたのと同様にして行った。193 個の白色レグホンの卵に 7 μl の pNLB-1.8OM-CTLA4Fc 形質導入粒子を注入し(力価は 〜 4x106 であった)、72 羽のヒヨコが孵化した。199 個の白色レグホンの卵に 7 μl の pNLB-3.9OM-CTLA4Fc 形質導入粒子を注入し(力価は 〜 4x106 であった)、20 羽のヒヨコが孵化した。
pNLB-1.8OM-CTLA4Fc 粒子で作出された 30 羽の雌鳥からの卵白を、ELISA によって CTLA4-Fc の存在についてアッセイした。(アッセイされた 5 個の卵の)平均レベル 0.132 μg/ml で、1羽の雌鳥が卵白中に有意なレベルの CTLA4-Fc タンパク質を有することが判明した。
pNLB-3.9OM-CTLA4Fc 粒子で作出された7羽の雌鳥からの卵白を、ELISA によって CTLA4-Fc の存在についてアッセイした。2羽の雌鳥が卵白中に有意なレベルの CTLA4-Fc タンパク質を有することが判明し、1羽の雌鳥については(アッセイされた 5 個の卵の)平均レベル 0.164 μg/ml であり、もう1羽の陽性雌鳥については(アッセイされた 5 個の卵の)平均レベル 0.123 μg/mlであった。
実施例 20
トランスジェニック家禽由来 G-CSF の糖分析
TPD G-CSF のオリゴ糖構造を、当該分野の知識を有する実務者に周知の以下の分析技術を採用することによって決定した。ペプチド主鎖(backbone)から遊離された後、オリゴ糖について MALDI-TOF-MS(マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析)分析 および ESI MS/MS (エレクトロスプレーイオン化タンデム質量分析)を行った。O-結合型オリゴ糖をタンパク質から化学的に遊離させ、無水 DMSO 下でのヨウ化メチルとの反応を含む NaOH 法を用いてパーメチル化し、分析の前にクロロホルム中に抽出した。インタクトなグリコシル化 G-CSF について直接質量分析を行った。HPLC 分析を用いて、多糖構造についても分析を行った。簡単に言えば、タンパク質主鎖から遊離された後、HPLC を用いて構造を分離した。当該分野において理解されている通りに、個々の多糖種サンプルを特定の酵素で消化し、消化産物を HPLC によって分析して構造決定を提供した。
決定された構造を以下に示す。興味深い事に、構造 C および 構造 D は、以下に示される構造 E の前駆形態である可能性がある。本発明はそれらに限定されないが、構造 A は家禽由来のグリコシル化 G-CSF 上に 約 20% から 約 40% の確率(about 20% to about 40% of the time)で存在し、構造 B は家禽由来のグリコシル化 G-CSF上に 約 5% から 約 25% の確率(about 5% to about 25% of the time)で存在し、構造 C は家禽由来のグリコシル化 G-CSF 上に 約 10% から 約 20% の確率(about 10% to about 20% of the time)で存在し、構造 D は家禽由来のグリコシル化 G-CSF 上に 約 5% から 約 15% の確率(about 5% to about 15% of the time)で存在し、構造 E は家禽由来のグリコシル化 G-CSF 上に 約 1% から 約 5% の確率(about 1% to about 5% of the time)で存在し、構造 F は家禽由来のグリコシル化 G-CSF 上に 約 10% から 約 25% の確率(about 10% to about 25% of the time)で存在し、構造 G は家禽由来のグリコシル化 G-CSF 上に 約 20% から 約 30% の確率(about 20% to about 30% of the time)で存在すると推定されている。
Figure 2010509327
Figure 2010509327
Figure 2010509327
当業者が容易に利用できる方法を用い、アラビトール(内部標準)でスパイク(spiked)され、加水分解され、N-アセチル化され、TMS 誘導体化された家禽由来 G-CSF について、GC/MS(ガスクロマトグラフィー-質量分析)によって単糖分析を行った。誘導体化されたサンプルを、同様に誘導体化された糖の標準混合物と比較した。ケトデオキシノヌロソン酸でスパイク(spiking)し、凍結乾燥後に加水分解され、脱塩され、再度凍結乾燥された後に、家禽由来 G-CSF のシアル酸分析を行った。サンプルの分析は、Dionex BioLC システム上で適切な標準を用いて行った。表 5 に見られる通り、これらの分析によって、ガラクトース、グルコース、N-アセチルガラクトサミン、N-アセチルグルコサミンおよびシアル酸(N-アセチルノイラミン酸)の存在が示された。表 5 内のデータが、HPAEC-PAD 分析によって生成され、より大きい割合の N-アセチルグルコサミンが存在すると決定した予備データに取って代わる。
Figure 2010509327
TFA 中で加水分解され、重水素化ホウ素ナトリウム(sodium borodeuteride)中で還元された、ペルメチル化された(permethylated)家禽由来 G-CSF のグリカンサンプルについて、結合分析を行った。メタノール:氷酢酸(9:1)の3回の添加(three additions)によってホウ酸を除去した後に凍結乾燥し、次いで無水酢酸によってアセチル化した。クロロホルムでの抽出による精製の後、サンプルを GC/MS によって試験した。標準の混合物も、同じ条件下で実行された。結合は、以下の通り決定された:
i. シアル酸の結合は、ガラクトースに対しては 2-3 結合であり、N-アセチルガラクトサミンに対しては 2-6 結合である
ii. ガラクトースの結合は、N-アセチルガラクトサミンに対しては 2-3 結合であり、N-アセチルグルコサミンに対しては 2-4 結合である
iii. N-アセチルグルコサミンの結合は、N-アセチルガラクトサミンに対して 2-6 結合である。
実施例 21
家禽由来 G-CSF (TPD G-CSF) のインビトロでの細胞増殖活性
TPD G-CSF のインビトロでの生物学的活性を、NFS-60 細胞増殖アッセイを用いて明らかにした。簡単に言えば、GM-CSF を含有する増殖培地中で NFS-60 細胞を維持した。コンフルエントな培養を回収し、洗浄し、単独の増殖培地と共にウェルあたり 105 細胞の細胞密度でプレーティングした。TPD G-CSF および 細菌由来の ヒト G-CSF (すなわち、Neupogen(登録商標))を増殖培地中で段階希釈し、別々のウェルに3ウェルずつ(in triplicate)添加した。細胞増殖を、3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロマイド(MTT)の代謝減少によって決定し、分光測定で定量化した。トリ由来の G-CSF の特異的活性を、Neupogen(登録商標)の ED50 を精製されたトリ由来 G-CSF の ED50 と比較することによって決定した。14 日間にわたる TPD G-CSF の特異的活性は、細菌由来の G-CSF Neupogen(登録商標)(非グリコシル化 G-CSF)の活性をかなり上回ることが決定された。図 17 を参照されたい。
実施例 22
pNLB-CMV-Des-Arg166-EPO の構築
hIFN α2 コード配列およびシグナルペプチドのコード配列を以下に示される EPO コード配列とシグナルペプチド(配列番号 42)で置換するため、実施例 12 に記載されている pNLB-CMV-IFN を Hind III および EcoRI で消化した。ベクター中に複数の EcoRI および Hind III 部位が存在するため、RecA に補助される(assisted)制限エンドヌクレアーゼ(RARE)切断法を用いて所望の部位を切断した。RARE の手順において、以下のオリゴヌクレオチドを用いた:
pnlbEcoRI3805rare (5'-GAC TCC TGG AGC CCG TCA GTA TCG GCG GAA TTC CAG CTG AGC GCC GGT CGC TAC CAT TAC-3') (配列番号 43) および
pnlbHinD III3172rare (5'-TAA TAC GAC TCA CTA TAG GGA GAC CGG AAG CTT TCA CCA TGG CTT TGA CCT TTG CCT TAC-3') (配列番号 44)。
8740 bp の直線化ベクターを得、それをゲル精製した。
EPO 挿入断片を、オーバーラップ PCR によって以下の通りに調製した。第1の PCR 産物を、Pfu ポリメラーゼおよび以下のプライマーを用いて標準的なクローニングベクターへクローン化された合成 EPO 配列を増幅することによって生成した: 5'pNLB/Epo (5'-GGGGGGAAGCTTTCACCATGGGCGTGCACGAG-3') (配列番号 45) および pNLB/3'Epo (5'-TCCCCATACTAGACTTTTTACCTATCGCCGGTC-3') (配列番号 46)。第2の PCR 産物を、Pfu ポリメラーゼおよび以下のプライマーを用いて pNLB-CMV-hIFN α-2b の領域を増幅することによって生成した: 3'Epo/pNLB (5'-ACCGGCGATAGGTAAAAAGTCTAGTATGGG-3') (配列番号 47) および pNLB/SapI (5'-GGGGGGGCTCTTCTCAGCTGGAATTCCGCCGATAC-3') (配列番号 48)。該2つの PCR 産物を混合し、以下のプライマーを用いて再増幅した: 5'pNLB/Epo (5'-GGGGGGAAGCTTTCACCATGGGCGTGCACGAG-3') (配列番号 45) および pNLB/SapI (5'-GGGGGGGCTCTTCTCAGCTGGAATTCCGCCGATAC-3') (配列番号 48)。
該融合 PCR 産物を Hind III および Eco RI で消化し、633 bp の断片をゲル精製した。8740 bp および 633 bp の断片を連結して pNLB-CMV-EPO を作成した。
EPO 1 - 合成 EPO 配列 (610 nt)
AAGCTTTCACCATGGGCGTGCACGAGTGCCCTGCTTGGCTGTGGCTGCTCTTGAGCCTGCTCAGCCTGCCTCTGGGCCTGCCTGTGCTGGGCGCTCCTCCAAGGCTGATCTGCGATAGCAGGGTGCTGGAGAGGTACCTGCTGGAGGCTAAGGAGGCTGAGAACATCACCACCGGCTGCGCTGAGCACTGCAGCCTGAACGAGAACATCACCGTGCCTGATACCAAGGTGAACTTTTACGCTTGGAAGAGGATGGAGGTGGGCCAGCAGGCTGTGGAGGTGTGGCAGGGCCTGGCTCTGCTGAGCGAGGCTGTGCTGAGGGGCCAGGCTCTGCTGGTGAACAGCTCTCAGCCTTGGGAGCCTCTGCAGCTGCACGTGGATAAGGCTGTGAGCGGCCTGAGAAGCCTGACCACCCTGCTGAGGGCTCTGAGGGCTCAGAAGGAGGCTATCAGCCCTCCAGATGCTGCAAGCGCTGCCCCTCTGAGGACCATCACCGCTGATACCTTTAGGAAGCTGTTTAGGGTGTACAGCAACTTTCTGAGGGGCAAGCTGAAGCTGTACACCGGCGAGGCTTGCAGGACCGGCGATAGGTAAAAAGGCCGGCCGAGCTC (配列番号 42)
EPO の(位置 166 においてアルギニンをコードする)末端のコドンが除去された 165 アミノ酸形態をコードする EPO コード配列が生成される。pNLB-CMV-EPO の中において EPO コード配列中に存在する Eco 47III 部位から EPO 停止コドンの下流に存在する EcoRI 部位までにわたる配列に対応する pNLB-CMV-EPO の 179 bp の領域を、アスパラギン酸(アミノ酸 165)が末端のアミノ酸コドンとなるよう末端のアルギニンコドン(位置 166)が除去された状態で合成し、176 bp の Eco 47III/EcoRI 断片を得た。該断片は Integrated DNA Technologies (Coralville、Iowa 52241)によって合成され、pDRIVE ベクター (Qiagen、Inc)の中にクローン化されて、pDRIVE-des-Arg166-EPO が作成された。該 176 bp の Eco 47III/EcoRI 断片を pNLB-CMV-EPO の Eco47III/EcoRI 部位へサブクローン化し、pNLB-CMV-Des-Arg166-EPO を作成した。
形質導入粒子を、実施例 2 に記載されたのと基本的に同様にして、pNLB-CMV-Des-Arg166-EPO から調製した。
実施例 23
ヒトエリスロポエチンを発現するトランスジェニックニワトリの作出
1234 個の白色レグホンニワトリの卵に孔を開け(were windowed)、実施例 2 に記載されたのと基本的に同様にして形質導入粒子を注入した。334 個の卵が孵化した。雄鳥の精子サンプルから Chelex-100 抽出(Walsh et al.、1991)によって DNA を抽出した。次いで、導入遺伝子を検出するため、DNA サンプルを 7700 配列検出器(Perkin Elmer)上での Taqman(商標) 解析に供した。孵化した G0 雄鳥のうち7羽が、NLB-CMV-EPO 導入遺伝子について陽性であった。NLB-CMV-EPO 導入遺伝子について陽性の、キメラの生殖系列をもつ3羽のトランスジェニック雄鳥を、人工授精によって非トランスジェニック雌に交配して 1190 羽の子孫を作出し、そのうち 14 羽が導入遺伝子陽性の生殖系列をもつトランスジェニック G1 であった。G1 生殖系列トランスジェニック雌またはその子孫によって産み落とされる卵の卵白は、ELISA によって決定された通り 約 0.4 から 1.9 μg/ml の EPO を含有していた。
実施例 24
トランスジェニック家禽由来の EPO の精製
その卵管において EPO を生産するトランスジェニックニワトリの卵からの卵白を、3倍量の pH 4.6 の 50 mM 酢酸ナトリウムで希釈し、混合した後、濾過して、セファロース陽イオン交換カラム上にロードした。100 mM NaCl を含む pH 5.0 の 50 mM 酢酸ナトリウムでのカラムの洗浄の後、0.05% Tween 20 と共に 500 mM NaCl を含む同じ酢酸バッファーで EPO を溶出した。セファロースカラムから溶出された EPO を、フェニルセファロース疎水性相互作用クロマトグラフィーカラム上にロードした。カラムを、pH 7.2 の 2 M NaCl、50 mM Tris-HCl、0.05% Tween 20 で平衡化した。調製物のロード後、カラムを洗浄するために同じバッファーを用いた。続いて、水で洗浄した。その後、EPO を 30% IPA で溶出した。次いで EPO 調製物を逆相 HPLC カラムにアプライし、0.1% トリフルオロ酢酸中のエタノール濃度を増大させて EPO を溶出した。EPO 溶出のピークは、約 53% のエタノール濃度において現れた。最終 EPO 調製物を濃縮し、溶媒を pH 7.0 の 0.1 M リン酸ナトリウムバッファーで置換するため、ダイアフィルトレーションを用いた。
実施例 25
トランスジェニック家禽由来エリスロポエチンの糖分析
当該分野における通常の知識を有する実務者に周知の以下の分析技術を採用することによって、トリ由来の ヒト EPO についてオリゴ糖構造を決定した。
O-結合型オリゴ糖はタンパク質から化学的に遊離され、N-結合型オリゴ糖はタンパク質から酵素的に遊離された。遊離後、O-結合型および N-結合型オリゴ糖を、無水 DMSO 下でのヨウ化メチルとの反応を含む NaOH 法を用いてパーメチル化し、その後、分析前にクロロホルム中へ溶出した。構造を、HPLC を用いて分離した。
当該技術分野において理解されている通りに、ペプチド主鎖からの放出および精製の後、オリゴ糖について MALDI-TOF-MS(マトリックス支援レーザー脱離イオン化 飛行時間型 質量分析)分析および ESI MS/MS (エレクトロスプレーイオン化タンデム質量分析)を行った。また、当該技術分野において理解されている通りに、個々の多糖種のサンプルを特定の酵素で消化し、HPLC によって 該消化産物を分析した。
以下に示される O-結合型および N-結合型オリゴ糖構造が同定された。構造の結合分析により、図 20 および 21 に示される結合が明らかになった。

N-結合型の EPO 構造を以下に示す。
Figure 2010509327
Figure 2010509327
Figure 2010509327
Figure 2010509327
Figure 2010509327
Figure 2010509327
Figure 2010509327
Figure 2010509327
Figure 2010509327
Figure 2010509327
Figure 2010509327
Figure 2010509327
Figure 2010509327
Figure 2010509327
Figure 2010509327
Figure 2010509327
Figure 2010509327
Figure 2010509327
O-結合型の EPO 構造を以下に示す。

(i)
Figure 2010509327
(ii)
Figure 2010509327
(iii)
Figure 2010509327
(iv)
Figure 2010509327
(v)
Figure 2010509327
(vi)
Figure 2010509327
(vii)
Figure 2010509327

ここで、Gal=ガラクトース、
NAcGal=N-アセチル-ガラクトサミン、
NAcGlu=N-アセチル-グルコサミン、および
SA=シアル酸 である。
実施例 26
トランスジェニック家禽由来 EPO の糖分析
トランスジェニックニワトリから得られた EPO の単糖分析を、GC/MS (ガスクロマトグラフィー質量分析)によって行った。当業者が容易に利用できる方法を用い、サンプルをアラビトール(内部標準)でスパイク(spiked)し、加水分解し、N-アセチル化し、TMS 誘導体化した。誘導体化されたサンプルを、同様に誘導体化された糖の標準混合物と比較した。ケトデオキシノヌロソン酸でスパイク(spiking)し、凍結乾燥後に加水分解し、脱塩し、再度凍結乾燥した後、EPO のシアル酸分析を行った。サンプルの分析を、Dionex BioLC システム上で適切な標準を用いて行った。表 6 は、EPO について検出された単糖の定量化を示す。該単糖分析においては、微量のキシロース、フコースおよびグルコースの混入も検出された。表 6 のデータが、HPAEC-PAD 分析によって生成された予備データに取って代わる。

表6
Figure 2010509327
実施例 27
TPD ヒト EPO のインビトロでの細胞増殖活性
家禽由来の ヒト EPO のインビトロでの生物学的活性を、TF-1 細胞増殖アッセイを用いて実証した。最初のイオン交換精製工程から回収された2つの画分(SP1 カラム: 130 mM NaCl および 250 mM NaCl)を代表する2つの別個のサンプルを試験した。2つの画分の各々は本質的に同じ細胞増殖活性を示し、その後、該2つの画分に含まれるグリコシル化エリスロポエチンが本質的に同一であることが示された。簡潔に言えば、GM-CSF を(2 ng/mlで)含有する増殖培地中で、TF-1 細胞を維持した。コンフルエントな培養を回収し、洗浄し、GM-CSF を含有しない増殖培地中において、ウェルあたり 104 細胞の細胞密度で標準的な 96 ウェルプレート(各ウェルは 0.32 cm2)のウェル中にプレーティングした。トリ由来 EPO を増殖培地で段階希釈し、3ウェルずつ(in triplicate)別々のウェルに添加した。5日後の細胞増殖を、3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロマイド(MTT)の代謝減少によって決定し、分光測定により定量化した。精製された EPO のインビトロでの活性を、図 22 に示す。
上記明細書において引用される全ての文書(例えば、米国特許、米国特許出願、出版物)は、引用により本明細書に包含される。本発明の様々な改変およびバリエーションは、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、当業者にとって明白であろう。本発明は特定の好ましい態様に関して記載されているが、本願でクレームされる発明はかかる特定の態様に不当に限定されるべきでないことが理解されるべきである。実際に、本発明を実行するための記載された様式についての、当業者に明白な様々な改変が、以下の請求項の範囲内にあることを意図されている。

Claims (106)

  1. トリ由来のオリゴ糖構造を含む単離されたヒト EPO を含む組成物。
  2. EPO 上に存在する N-結合型オリゴ糖の約 50% より多くがシアル酸を含有しない、請求項1記載の組成物。
  3. EPO 上に存在する N-結合型オリゴ糖の約 60% より多くがシアル酸を含有しない、請求項1記載の組成物。
  4. EPO 上に存在する N-結合型オリゴ糖の約 70% より多くがシアル酸を含有しない、請求項1記載の組成物。
  5. EPO 上に存在する N-結合型オリゴ糖の約 80% より多くがシアル酸を含有しない、請求項1記載の組成物。
  6. EPO 上に存在する N-結合型オリゴ糖の約 90% より多くがシアル酸を含有しない、請求項1記載の組成物。
  7. N-結合型オリゴ糖構造の型の約 50% より多くがシアル酸を含有しない、請求項1記載の組成物。
  8. EPO 上に存在する N-結合型オリゴ糖の約 50% より多くが末端の N-アセチルグルコサミンを含有する、請求項1記載の組成物。
  9. EPO 上に存在する N-結合型オリゴ糖の約 60% より多くが末端の N-アセチルグルコサミンを含有する、請求項1記載の組成物。
  10. EPO 上に存在する N-結合型オリゴ糖の約 70% より多くが末端の N-アセチルグルコサミンを含有する、請求項1記載の組成物。
  11. EPO 上に存在する N-結合型オリゴ糖の約 80% より多くが末端の N-アセチルグルコサミンを含有する、請求項1記載の組成物。
  12. EPO 上に存在する N-結合型オリゴ糖の約 90% より多くが末端の N-アセチルグルコサミンを含有する、請求項1記載の組成物。
  13. EPO 上に存在する N-結合型オリゴ糖構造の型の約 50% 以上が末端の N-アセチルグルコサミンを含有する、請求項1記載の組成物。
  14. グリコシル化 EPO を含む組成物であって、該 EPO 上に存在する N-結合型オリゴ糖の約 80% より多くがフコースを含有しない、組成物。
  15. EPO 上に存在する N-結合型オリゴ糖の約 90% より多くがフコースを含有しない、請求項14記載の組成物。
  16. EPO が、該 EPO をコードする導入遺伝子を含有するトランスジェニックトリから得られる、請求項14記載の組成物。
  17. EPO が、該 EPO をコードする導入遺伝子を含有するトランスジェニックニワトリから得られる、請求項14記載の組成物。
  18. EPO がトリの卵管細胞において生産される、請求項14記載の組成物。
  19. EPO が殻の硬い卵の中に存在する、請求項14記載の組成物。
  20. EPO がヒトの EPO である、請求項14記載の組成物。
  21. 単離された EPO 分子を含む組成物であって、該 EPO が、トランスジェニックニワトリの卵管細胞において生産され、該 EPO をコードする導入遺伝子を含有するトランスジェニックニワトリの卵白から単離される、組成物。
  22. EPO がヒトの EPO である、請求項21記載の組成物。
  23. 卵管細胞が管状腺細胞である、請求項21記載の組成物。
  24. EPO が殻の硬い卵の中に含有されている、請求項21記載の組成物。
  25. EPO が N-グリコシル化されている、請求項21記載の組成物。
  26. EPO が O-グリコシル化されている、請求項21記載の組成物。
  27. 組成物が医薬製剤である、請求項21記載の組成物。
  28. EPO が配列番号 50 のアミノ酸配列を有する、請求項21記載の組成物。
  29. ニワトリ由来のグリコシル化パターンを有する単離された EPO を含む組成物。
  30. EPO がヒトの EPO である、請求項29記載の組成物。
  31. EPO が卵管細胞において生産される、請求項29記載の組成物。
  32. EPO が殻の硬い卵の中に含有されている、請求項29記載の組成物。
  33. EPO がニワトリの卵管細胞においてグリコシル化される、請求項29記載の組成物。
  34. 卵管細胞が管状腺細胞である、請求項29記載の組成物。
  35. 組成物が医薬製剤である、請求項29記載の組成物。
  36. グリコシル化パターンが CHO 細胞およびヒト細胞において生産された EPO のグリコシル化パターン以外である、請求項29記載の組成物。
  37. 以下のようにグリコシル化された EPO 分子を含む、EPO 分子の単離された混合物:
    Figure 2010509327
  38. EPO が殻の硬い卵から得られる、請求項37記載の単離された混合物。
  39. EPO が N-グリコシル化されている、請求項37記載の単離された混合物。
  40. EPO が配列番号 50 のアミノ酸配列を有する、請求項37記載の単離された混合物。
  41. EPO が医薬製剤中に存在する、請求項37記載の単離された混合物。
  42. 以下のようにグリコシル化された EPO 分子を含む、EPO 分子の単離された混合物:
    Figure 2010509327
  43. EPO が殻の硬い卵の中に存在する、請求項42記載の単離された混合物。
  44. EPO が N-グリコシル化されている、請求項42記載の単離された混合物。
  45. EPO が配列番号 50 のアミノ酸配列を有する、請求項42記載の単離された混合物。
  46. EPO が医薬製剤中に存在する、請求項42記載の単離された混合物。
  47. 以下のようにグリコシル化された EPO 分子を含む、EPO 分子の単離された混合物:
    Figure 2010509327
  48. EPO が殻の硬い卵の中に存在する、請求項47記載の単離された混合物。
  49. EPO が N-グリコシル化されている、請求項47記載の単離された混合物。
  50. EPO が配列番号 50 のアミノ酸配列を有する、請求項47記載の単離された混合物。
  51. EPO が医薬製剤中に存在する、請求項47記載の単離された混合物。
  52. 以下のようにグリコシル化された EPO 分子を含む、EPO 分子の単離された混合物:
    Figure 2010509327
  53. EPO が殻の硬い卵の中に存在する、請求項52記載の単離された混合物。
  54. EPO が N-グリコシル化されている、請求項52記載の単離された混合物。
  55. EPO が配列番号 50 のアミノ酸配列を有する、請求項52記載の単離された混合物。
  56. EPO が医薬製剤中に存在する、請求項52記載の単離された混合物。
  57. 以下のようにグリコシル化された EPO 分子を含む、EPO 分子の単離された混合物:
    Figure 2010509327
  58. EPO が殻の硬い卵の中に存在する、請求項57記載の単離された混合物。
  59. EPO が N-グリコシル化されている、請求項57記載の単離された混合物。
  60. EPO が配列番号 50 のアミノ酸配列を有する、請求項57記載の単離された混合物。
  61. EPO が医薬製剤中に存在する、請求項57記載の単離された混合物。
  62. 以下のようにグリコシル化された EPO 分子を含む、EPO 分子の単離された混合物:
    Figure 2010509327
  63. EPO が殻の硬い卵の中に存在する、請求項62記載の単離された混合物。
  64. EPO が N-グリコシル化されている、請求項62記載の単離された混合物。
  65. EPO が配列番号 50 のアミノ酸配列を有する、請求項62記載の単離された混合物。
  66. EPO が医薬製剤中に存在する、請求項62記載の単離された混合物。
  67. 以下のようにグリコシル化された EPO 分子を含む、EPO 分子の単離された混合物:
    Figure 2010509327
  68. EPO が殻の硬い卵の中に存在する、請求項67記載の単離された混合物。
  69. EPO が N-グリコシル化されている、請求項67記載の単離された混合物。
  70. EPO が配列番号 50 のアミノ酸配列を有する、請求項67記載の単離された混合物。
  71. EPO が医薬製剤中に存在する、請求項67記載の単離された混合物。
  72. 以下のようにグリコシル化された EPO 分子を含む、EPO 分子の単離された混合物:
    Figure 2010509327
  73. EPO が殻の硬い卵の中に存在する、請求項72記載の単離された混合物。
  74. EPO が N-グリコシル化されている、請求項72記載の単離された混合物。
  75. EPO が配列番号 50 のアミノ酸配列を有する、請求項72記載の単離された混合物。
  76. EPO が医薬製剤中に存在する、請求項72記載の単離された混合物。
  77. 以下のようにグリコシル化された EPO 分子を含む、EPO 分子の単離された混合物:
    Figure 2010509327
  78. EPO が殻の硬い卵の中に存在する、請求項77記載の単離された混合物。
  79. EPO が N-グリコシル化されている、請求項77記載の単離された混合物。
  80. EPO が配列番号 50 のアミノ酸配列を有する、請求項77記載の単離された混合物。
  81. EPO が医薬製剤中に存在する、請求項77記載の単離された混合物。
  82. 以下のようにグリコシル化された EPO 分子を含む、EPO 分子の単離された混合物:
    Figure 2010509327
  83. EPO が殻の硬い卵の中に存在する、請求項82記載の単離された混合物。
  84. EPO が N-グリコシル化されている、請求項82記載の単離された混合物。
  85. EPO が配列番号 50 のアミノ酸配列を有する、請求項82記載の単離された混合物。
  86. EPO が医薬製剤中に存在する、請求項82記載の単離された混合物。
  87. 以下のようにグリコシル化された EPO 分子を含む、EPO 分子の単離された混合物:
    Figure 2010509327
  88. EPO が殻の硬い卵の中に存在する、請求項87記載の単離された混合物。
  89. EPO が O-グリコシル化されている、請求項87記載の単離された混合物。
  90. EPO が配列番号 50 のアミノ酸配列を有する、請求項87記載の単離された混合物。
  91. EPO が医薬製剤中に存在する、請求項87記載の単離された混合物。
  92. グリコシル化パターンを含有する EPO を含む組成物であって、該 EPO がトリの卵管細胞において生産される、組成物。
  93. グリコシル化パターンを含有する EPO を含む組成物であって、該グリコシル化パターンがヒト細胞または CHO 細胞において生産される EPO のグリコシル化パターン以外であり、該 EPO がニワトリの卵管細胞において生産される、組成物。
  94. EPO が単離されている、請求項93記載の組成物。
  95. 卵管細胞が管状腺細胞である、請求項93記載の組成物。
  96. トランスジェニックトリから得られた治療上有効量の EPO を患者に投与することを含む、患者を処置する方法。
  97. 治療上有効量が、所望の量によって患者における赤血球数を増大させる量である、請求項96記載の方法。
  98. トランスジェニックニワトリの卵管において生産された単離されたグリコシル化ヒトタンパク質分子を含む組成物であって、該トランスジェニックニワトリが該ヒトタンパク質分子をコードする導入遺伝子を含有し、該タンパク質分子がヒトタンパク質上には通常存在しないニワトリ由来のオリゴ糖を含有する、組成物。
  99. トランスジェニックニワトリの卵管において生産された単離されたタンパク質分子を含む組成物であって、該トランスジェニックニワトリが該タンパク質分子をコードする導入遺伝子を含有し、該タンパク質分子がニワトリ由来のオリゴ糖を含有し、かつ、EPO、G-CSF、GM-CSF、インターフェロンβ、融合タンパク質、CTLA4-Fc 融合タンパク質、成長ホルモン、サイトカイン、構造タンパク質、インターフェロン、リゾチーム、β-カゼイン、アルブミン、α-1 アンチトリプシン、アンチトロンビン III、コラーゲン、第VIII因子、第IX因子、第X因子(など)、フィブリノーゲン、ラクトフェリン、プロテイン C、組織型プラスミノーゲン活性化因子(tPA)、ソマトトロピン、およびキモトリプシン、免疫グロブリン、抗体、免疫毒素、第VIII因子、b-ドメイン欠失第VIII因子、第VIIa因子、第IX因子、抗凝固剤; ヒルジン、アルテプラーゼ、tpa、レテプラーゼ、tpa、5つのうち3つのドメインが欠失した tpa、インスリン、インスリンリスプロ、インスリンアスパルト、インスリングラルギン、長時間作用型インスリンアナログ、グルカゴン、tsh、フォリトロピン-ベータ、fsh、pdgh、inf-ベータ 1b、ifn-アルファ 1、ifn-アルファ、ifn-アルファ 1a、ifn-アルファ 1b、ifn-アルファ 2、ifn-アルファ 2a、ifn-アルファ 2b、ifn-ベータ 1a、ifn-ガンマ 1b、il-2、il-11、hbsag、ospa、ドルナーゼ-アルファ DNA 分解酵素、ベータ グルコセレブロシダーゼ、tnf-アルファ、il-2-ジフテリア毒素融合タンパク質、tnfr-lgg 断片融合タンパク質、ラロニダーゼ、DNAアーゼ、アレファセプト、トシツモマブ、マウス mab、アレムツズマブ、ラスブリカーゼ、アガルシダーゼ ベータ、テリパラチド、副甲状腺ホルモン誘導体、アダリムマブ(lgg1)、アナキンラ、生物学的修飾因子、ネシリチド、ヒト b-型ナトリウム利尿ペプチド(hbnp)、コロニー刺激因子、ペグビソマント、ヒト成長ホルモン受容体アンタゴニスト、組換え活性化プロテインc、オマリズマブ、免疫グロブリンe(lge)ブロッカー、イブリツモマブチウキセタン、ACTH、グルカゴン、ソマトスタチン、ソマトトロピン、チモシン、副甲状腺ホルモン、色素性ホルモン、ソマトメジン、黄体形成ホルモン、絨毛性ゴナドトロピン、視床下部放出因子、エタネルセプト、抗利尿ホルモン、プロラクチンおよび甲状腺刺激ホルモン、免疫グロブリンポリペプチド、免疫グロブリンポリペプチド D 領域、免疫グロブリンポリペプチド J 領域、免疫グロブリンポリペプチド C 領域、免疫グロブリン軽鎖、免疫グロブリン重鎖、免疫グロブリン重鎖可変領域、免疫グロブリン軽鎖可変領域およびリンカーペプチドからなる群から選択される、組成物。
  100. 組成物が医薬製剤中に存在する、請求項99記載の組成物。
  101. タンパク質が N-グリコシル化されている、請求項99記載の組成物。
  102. タンパク質が O-グリコシル化されている、請求項99記載の組成物。
  103. エリスロポエチンをコードする導入遺伝子を含有するトランスジェニックトリを作出することを含む、グリコシル化エリスロポエチンを製造する方法であって、該エリスロポエチンが該トリによって産まれた殻の硬い卵の中に詰め込まれている、方法。
  104. トリによって産まれた、EPO または G-CSF を含有する卵。
  105. トリによって産まれた、請求項99記載のタンパク質を含有する卵。
  106. 1ml あたり 0.5 マイクログラムより多くの外因性タンパク質を含有する卵白。
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