JP2010505953A - 化合物、スクリーニング、および治療方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、式(I)の化合物、医薬組成物、合成方法、ならびに細胞壊死に関連する疾患および状態を治療するための方法を特徴とする。これらの状態を治療するのに有用な化合物の同定のためのスクリーニングアッセイも記載される。
Figure 2010505953

【選択図】なし

Description

本発明は、式(I)の化合物、医薬組成物、合成方法、ならびに細胞壊死に関連する疾患および状態を治療するための方法を特徴とする。これらの状態を治療するのに有用な化合物の同定のためのスクリーニングアッセイも記載される。
多くの疾患において、細胞死は、アポトーシス経路および/または壊死経路によって仲介される。アポトーシスは、様々な細胞型に共通した特異的シグナル伝達経路を通過する、進化的に保存された細胞機構によって制御される。一方で壊死は、圧倒的なストレスに対する制御されない細胞応答であると考えられている。病的状態下で壊死が広く起こっているにもかかわらず、病的状態での細胞死を防止するための治療戦略は、壊死よりもアポトーシスを標的とされてきたが、それは壊死が制御されない非特異的な過程であり、したがって治療目的の標的とするには困難であると認められているからである。
アポトーシスを制御する作用機序について多くのことが知られているが、壊死の制御はそれほど理解されていない。細胞の壊死およびアポトーシスの両方を制御する機構を理解することは、神経変性疾患、卒中、冠状動脈性心疾患、腎疾患、および肝疾患などの状態を治療できるようにするために必須である。壊死およびアポトーシスによる細胞死経路を完全に理解することは、AIDSおよび網膜壊死などのAIDSに関連する状態の治療にとっても非常に重要である。
研究によって、カスパーゼはアポトーシスの誘発に中心的役割を担うことが示されてきた。zVAD-fmkなどのカスパーゼのペプチド系阻害剤は、TNFαなどの化合物によってアポトーシスを起こすように刺激された細胞において、アポトーシス細胞死経路の活性化を防止するのに有用である。しかし、zVAD-fmkおよびこれらの細胞死刺激で処理された細胞は、カスパーゼ独立性形態の壊死によっても死滅する。
Fas/TNFR死受容体(DR)ファミリーの刺激は、標準的な「外因性」アポトーシス経路のトリガーとなるが、Fas/TNFRは、細胞内アポトーシスシグナル伝達の非存在下で「ネクロトーシス(necroptosis)」と呼ばれる一般的な非アポトーシス死経路を活性化できることが示された(Vercammenら、J.Exp.Med.(1998年)188:919〜930頁;Matsumuraら、J.Cell Biol.(2000年)151:1247〜1256頁;Hollerら、J.Nat.Immunol.(2000年)1:489〜495頁;Kawaharaら、J.Cell.Biol.(1998年)143:1353〜1360頁)。ネクロトーシスは、アポトーシスが阻害される条件下で死受容体リガンドのFasL/TNFαファミリーの刺激で活性化され、制御されない壊死に通常は起因する形態学的特徴によって特徴付けられる、制御された細胞死経路である。制御された細胞の壊死性細胞死機構の存在によって、ヒトの疾患の壊死性成分を特異的に標的にする可能性が高まる。
カスパーゼ独立性細胞死を防止する化合物を発見すれば、壊死が生じる状態を治療し、壊死の発症を防止するための有用な治療剤が得られよう。これらの化合物および方法は、神経変性疾患、虚血脳および虚血心損傷、ならびに頭部外傷の治療に特に有用となるはずである。
本発明は、化合物、医薬組成物、合成方法、ならびに様々な状態、例えば細胞または組織壊死が原因因子または結果である状態、増殖能の喪失が原因因子または結果である状態、およびTNF-αファミリーのサイトカインが原因因子または結果である状態を治療するための方法を特徴とする。
本発明は、式(I)の化合物または製薬上許容されるその塩を対象とする:
Figure 2010505953
[式中、
Qは、-S-、-S(O)-、および-S(O)2-からなる群から選択され、
R1は、C1〜C9アルキル、C2〜C9アルケニル、C2〜C9アルキニル、C6〜C12アリール、およびC1〜C12カルボニルからなる群から選択され、
R2は、C1〜C9アルカリールおよびC6〜C12アリールからなる群から選択され、
R3およびR4は、独立に、C1〜C9アルキル、C2〜C9アルケニル、C2〜C9アルキニル、C1〜C9アルキルオキシ、およびC1〜C12カルボニルからなる群から選択され、あるいはR3とR4が一緒になって、C3〜C9炭素環式、C2〜C9複素環式、C6〜C12アリール、またはC2〜C12ヘテロアリール環系を形成し、
但し、Qが-S-であり、R1が-CH2CNであり、R2が-C6H4(4-OMe)であり、R3とR4が一緒になって非置換のC6-炭素環式6員環を形成する化合物は、特に排除される]。
本発明はさらに、式(II)の化合物を対象とする:
Figure 2010505953
[式中、
R1、R3、およびR4は、先に定義の通りであり、
R5は、H、C1〜C9アルキル、C2〜C9アルケニル、C2〜C9アルキニル、C3〜C9カルボシクリル、C2〜C9ヘテロシクリル、C2〜C9ヘテロアリール、C6〜C12アリール、C1〜C9アルキルオキシ、C1〜C9アルキルチオ、C6〜C12アリールチオ、C1〜C9ヒドロキシアルキル、C1〜C9アルキルオキシ、C6〜C12アリールオキシ、C1〜12カルボニル、C1〜C9フルオロアルキル、C1〜C9ペルフルオロアルキル、ハロゲン、-SH、-OH、-N3、-NH2、-NO2、および-CNからなる群から選択され、
nは、1、2、3、または4である]。
本発明はさらに、式(III)の化合物を対象とする:
Figure 2010505953
[式中、
R1およびR2は、先に定義の通りであり、
mは1、2、または3である]。
本発明はまた、式(IV)の化合物を対象とする:
Figure 2010505953
[式中、
R1およびR2は、先に定義の通りであり、
R6は、H、C1〜C9アルキル、C2〜C9アルケニル、C2〜C9アルキニル、C3〜C9カルボシクリル、C2〜C9ヘテロシクリル、C2〜C9ヘテロアリール、C6〜C12アリール、C1〜C9アルキルオキシ、C1〜C9アルキルチオ、C6〜C12アリールチオ、C1〜C9ヒドロキシアルキル、C1〜C9アルキルオキシ、C6〜C12アリールオキシ、C1〜12カルボニル、C1〜C9フルオロアルキル、C1〜C9ペルフルオロアルキル、ハロゲン、-SH、-OH、-N3、-NH2、-NO2、および-CNからなる群から選択され、
nは、1、2、3、または4である]。
好ましい一実施形態では、式Iの化合物は、本明細書に示す表2の化合物6〜31;表3の化合物32〜51;表4の化合物52〜62;表5の化合物63〜78;表6の化合物79〜92;表7の化合物93〜103;表8の化合物104〜118;表9の化合物119〜122;表10の化合物123〜126;表11の化合物127〜129;表12の化合物130〜132;表13の化合物133〜136;表14の化合物137〜139;表15の化合物140〜142;表16の化合物143〜148;表17の化合物149〜153;表18の化合物154〜157;表19の化合物158〜161;表20の化合物162〜169;表21の化合物170〜172;および表22の化合物173〜182からなる群から選択される。
より好ましくは、式(I)の化合物は、本明細書に示す表2の化合物6、13、24、および25;表3の化合物33〜35、38〜41、43、44、および47〜49;表4の化合物53、55、および58;表5の化合物67、68、および72〜76;表6の化合物87および90;表7の化合物98および103;表8の化合物106および114;表9の化合物119および121;表10の化合物123および125;表11の化合物127〜129;表12の化合物130;表13の化合物133〜136;表14の化合物137および138;表16の化合物144および146;表17の化合物150;表18の化合物154および156;ならびに表20の化合物167からなる群から選択される。最も好ましい一実施形態では、先の化合物は、活性なNec-5化合物である。
本発明はまた、式(I)の化合物または製薬上許容されるその塩、および製薬上許容される賦形剤を含む医薬組成物を対象とする:
Figure 2010505953
[式中、Q、R1、R2、R3、およびR4は、先に定義の通りである]。
好ましい一実施形態では、医薬組成物は、本明細書に示す表2の化合物1および6〜31;表3の化合物32〜51;表4の化合物52〜62;表5の化合物63〜78;表6の化合物79〜92;表7の化合物93〜103;表8の化合物104〜118;表9の化合物119〜122;表10の化合物123〜126;表11の化合物127〜129;表12の化合物130〜132;表13の化合物133〜136;表14の化合物137〜139;表15の化合物140〜142;表16の化合物143〜148;表17の化合物149〜153;表18の化合物154〜157;表19の化合物158〜161;表20の化合物162〜169;表21の化合物170〜172;ならびに表22の化合物173〜182からなる群から選択される式Iの化合物から構成される。
より好ましくは、医薬組成物は、本明細書に示す表2の化合物1および6、13、24、および25;表3の化合物33〜35、38〜41、43、44、および47〜49;表4の化合物53、55、および58;表5の化合物67、68、および72〜76;表6の化合物87および90;表7の化合物98および103;表8の化合物106および114;表9の化合物119および121;表10の化合物123および125;表11の化合物127〜129;表12の化合物130;表13の化合物133〜136;表14の化合物137および138;表16の化合物144および146;表17の化合物150;表18の化合物154および156;ならびに表20の化合物167からなる群から選択される式(I)の化合物から構成される。最も好ましい一実施形態では、医薬組成物は、活性なNec-5化合物である先の化合物からなる。
本発明はまた、式(I-A)の化合物または製薬上許容されるその塩の合成方法を対象とし:
Figure 2010505953
[式中、
R1は、H、C1〜C9アルキル、C2〜C9アルケニル、C2〜C9アルキニル、C6〜C12アリール、およびC1〜C12カルボニルからなる群から選択され、
R2は、C1〜C9アルカリールおよびC6〜C12アリールからなる群から選択され、
R3およびR4は、独立に、C1〜C9アルキル、C2〜C9アルケニル、C2〜C9アルキニル、C1〜C9アルキルオキシ、およびC1〜C12カルボニルからなる群から選択され、あるいはR3とR4が一緒になって、C3〜C9炭素環式、C2〜C9複素環式、C6〜C12アリール、またはC2〜C12ヘテロアリール環系を形成し、
R5は、H、C1〜C9アルキル、C2〜C9アルケニル、C2〜C9アルキニル、C3〜C9カルボシクリル、C2〜C9ヘテロシクリル、C2〜C9ヘテロアリール、C6〜C12アリール、C1〜C9アルキルオキシ、C1〜C9アルキルチオ、C6〜C12アリールチオ、C1〜C9ヒドロキシアルキル、C1〜C9アルキルオキシ、C6〜C12アリールオキシ、C1〜12カルボニル、C1〜C9フルオロアルキル、C1〜C9ペルフルオロアルキル、ハロゲン、-SH、-OH、-N3、-NH2、-NO2、および-CNからなる群から選択され、
nは、1、2、3、または4である]、
この方法は、式(I-B)の化合物を提供するステップ:
Figure 2010505953
[式中、
LGは、C1〜C9アルキルオキシ、C1〜C9アルキルスルホニルオキシ、C6〜C12アリールスルホニルオキシ、またはハロゲンである]および
式(I-B)の化合物をC6〜C12アリールイソチオシアネートと反応させて、式(I-C)の化合物を提供するステップ:
Figure 2010505953
を含み、その後式(I-C)の化合物を変換して、式(I-A)の化合物を生成する。
本発明はさらに、式(I-B)の化合物が、式(I-E)の化合物から得られる、式(I-A)の化合物の合成方法を対象とする:
Figure 2010505953
本発明はまた、被験体に有効量の式(I)の化合物を投与するステップを含む、表1に示す疾患または状態を有する被験体を治療する方法を対象とし、但し、Qが-S-であり、R1が-CH2CNであり、R2が-C6H4(4-OMe)であり、R3とR4が一緒になって非置換のC6-炭素環式6員環を形成する化合物は、特に排除される。
好ましい一実施形態では、式Iの化合物は、本明細書に示す表2の化合物6〜31;表3の化合物32〜51;表4の化合物52〜62;表5の化合物63〜78;表6の化合物79〜92;表7の化合物93〜103;表8の化合物104〜118;表9の化合物119〜122;表10の化合物123〜126;表11の化合物127〜129;表12の化合物130〜132;表13の化合物133〜136;表14の化合物137〜139;表15の化合物140〜142;表16の化合物143〜148;表17の化合物149〜153;表18の化合物154〜157;表19の化合物158〜161;表20の化合物162〜169;表21の化合物170〜172;および表22の化合物173〜182からなる群から選択される。
より好ましくは、式(I)の化合物は、本明細書に示す表2の化合物6、13、24、および25;表3の化合物33〜35、38〜41、43、44、および47〜49;表4の化合物53、55、および58;表5の化合物67、68、および72〜76;表6の化合物87および90;表7の化合物98および103;表8の化合物106および114;表9の化合物119および121;表10の化合物123および125;表11の化合物127〜129;表12の化合物130;表13の化合物133〜136;表14の化合物137および138;表16の化合物144および146;表17の化合物150;表18の化合物154および156;ならびに表20の化合物167からなる群から選択される。最も好ましい一実施形態では、医薬組成物は、活性なNec-5化合物である先の化合物からなる。
本発明はさらに、被験体に有効量の式(I)の化合物の医薬組成物を投与するステップを含む、表1に示す疾患または状態を有する被験体を治療する方法を対象とする。
好ましい一実施形態では、医薬組成物は、本明細書に示す表2の化合物1および6〜31;表3の化合物32〜51;表4の化合物52〜62;表5の化合物63〜78;表6の化合物79〜92;表7の化合物93〜103;表8の化合物104〜118;表9の化合物119〜122;表10の化合物123〜126;表11の化合物127〜129;表12の化合物130〜132;表13の化合物133〜136;表14の化合物137〜139;表15の化合物140〜142;表16の化合物143〜148;表17の化合物149〜153;表18の化合物154〜157;表19の化合物158〜161;表20の化合物162〜169;表21の化合物170〜172;および表22の化合物173〜182からなる群から選択される式Iの化合物からなる。
より好ましくは、医薬組成物は、本明細書に示す表2の化合物1および6、13、24、および25;表3の化合物33〜35、38〜41、43、44、および47〜49;表4の化合物53、55、および58;表5の化合物67、68、および72〜76;表6の化合物87および90;表7の化合物98および103;表8の化合物106および114;表9の化合物119および121;表10の化合物123および125;表11の化合物127〜129;表12の化合物130;表13の化合物133〜136;表14の化合物137および138;表16の化合物144および146;表17の化合物150;表18の化合物154および156;ならびに表20の化合物167からなる群から選択される式(I)の化合物からなる。最も好ましい一実施形態では、医薬組成物は、活性なNec-5化合物である先の化合物からなる。
被験体を治療するこれらの方法は、慢性神経変性疾患;急性神経疾患;急性神経変性;腎不全に関連する細胞死の結果;網膜神経細胞死の結果;心筋の細胞死の結果;免疫系の細胞の細胞死の結果;心筋梗塞症;心筋梗塞;卒中;虚血性脳卒中;出血性脳卒中;虚血;虚血性肝疾患、膵疾患、心疾患、脳疾患、腎疾患または損傷;虚血性腸間膜、網膜、または神経細胞損傷;臓器保存中の虚血性損傷;遅発性虚血脳損傷;外傷性脳損傷;頭部外傷;敗血症;敗血症性ショック;ネクロトーシス;壊死;虚血性壊死;網膜壊死;集中治療の壊死性ミオパチー;原発性全身性感染症;膵炎;およびLPSによって誘発される細胞死を含む疾患または状態を対象とする。
好ましくは、慢性神経変性疾患は、アルツハイマー病;ハンチントン病;パーキンソン病;筋萎縮性側索硬化症;HIV関連認知症;脳虚血;筋萎縮性側索硬化症;多発性硬化症;レビー小体病;メンケス病;ウィルソン病;クロイツフェルト-ヤコブ病;およびファール病である。
定義
「Nec-5化合物」とは、3-p-メトキシフェニル-5,6-テトラ-メチレノチエノ(methylenothieno)-[2,3-d]-ピリミジン-4-オン-2-メルカプトエチルシアニド(化合物1、表2)、およびその構造的類似体(例えば、本明細書に記載の表2〜22の化合物6〜182)を意味し、これらは本明細書に示す式(I)に包含され、下位構造式(II)、(III)、または(IV)に包含され得、さらに下位構造式(V)〜(VII)、(XII)〜(XXVIII)、または(XXIX)に包含され得る。
「活性なNec-5化合物」とは、壊死を低減する、先に定義のNec-5化合物(例えば、表2〜14、表16〜18、および表20の化合物1、6、13、24、25、33〜35、38〜41、43、44、47〜49、53、55、58、67、68、72〜76、87、90、98、103、106、114、119、121、123、125、127〜130、133〜138、144、146、150、154、156、および167)を意味する。
「壊死を低減する」または「壊死の低減」とは、例えば、候補小分子阻害剤なしに細胞とTNFαまたはDMSOを接触させるなどによる細胞死刺激を受け取る対照細胞に対して、壊死する細胞数を減少させることを意味する。好ましくは、壊死は対照に対して10%低減する。より好ましくは、壊死は対照に対して50%低減する。最も好ましくは、壊死は対照に対して90%低減する。好ましくは、壊死の低減は、化学ライブラリからの化合物などの候補化合物を投与された細胞のATPレベルを測定し、それを対照細胞のATPレベルと比較することによって試験される。壊死は、候補化合物で処理された細胞において低減するが、そのATPレベルは、対照細胞において低減するほどは低減しない。
「候補化合物」とは、天然に生じるものでも人工由来のものでも、本明細書に記載のアッセイ法の一つを使用することによって、壊死レベルを調節するその能力について調査される化学物質を意味する。候補化合物は、例えば、ペプチド、ポリペプチド、合成有機分子、天然に生じる有機分子、核酸分子、およびその成分を含むことができる。
「細胞死」とは、アポトーシスまたは壊死による細胞死を意味する。
「壊死」とは、細胞のATP枯渇を特徴とするカスパーゼ非依存性細胞死を意味する。好ましくは、該細胞は、ビヒクルのみ(例えばDMSO)を投与された対照細胞に対してATPが10%枯渇している。より好ましくは、該細胞は、対照細胞に対してATPが50%枯渇している。最も好ましくは、該細胞は、対照細胞に対してATPが90%枯渇している。好ましくは、壊死は、化合物、例えばzVAD-fmk、DMSO、またはTNFαを投与された細胞のATPレベルを測定し、それをビヒクルのみを投与された細胞のATPレベルと比較することによって試験される。壊死は、候補化合物で処理された細胞に生じ、そのATPレベルは、対照細胞に対して減少する。
壊死は、液化的であり得、脂肪または肝組織に影響を及ぼすことがあり、乾酪性または線維素様であり得る。細胞は、虚血性細胞損傷またはウイルス感染に応答して壊死することがある。
「カスパーゼ非依存性細胞死」とは、アポトーシスが防止される場合に生じる細胞死を意味する。アポトーシスは、細胞が、例えばアポトーシス促進薬物またはイオン化放射線での処理によって刺激されてアポトーシスを受ける場合に生存するのに十分高い濃度で、zVAD-fmkなどのカスパーゼ阻害剤と細胞を接触させることによって防止することができる。
「アポトーシス」とは、以下の特性、核凝縮、DNA断片化、膜ブレブ形成、または細胞収縮のいずれかによって特徴付けられる細胞死を意味する。
「TNFαによって仲介される細胞内シグナル伝達経路の調節」とは、細胞とTNFαとの接触に応じる、細胞成分間の連絡の変化を意味する。この変化は、細胞内タンパク質が相互反応する方法または期間で、あるいはリン酸化反応または脱リン酸化反応などによってタンパク質が変化する方法または期間で、あるいはタンパク質がDNAと相互反応する方法または期間で生じ得る。
「DMSOによって仲介される細胞内シグナル伝達経路の調節」とは、細胞とDMSOとの接触に応じる、細胞成分間の連絡の変化を意味する。この変化は、細胞内タンパク質が相互反応する方法または期間で、あるいはリン酸化反応または脱リン酸化反応などによってタンパク質が変化する方法または期間で、あるいはタンパク質がDNAと相互反応する方法または期間で生じ得る。
「被験体」という用語は、それを必要とする患者を意味し、「患者」という用語には、ヒト、家庭のペット、または家畜などの任意の哺乳動物が含まれる。
「治療する」とは、被験体、細胞、細胞由来の溶解物または抽出物、あるいは細胞由来の分子に、壊死を低減する化合物を投与することを意味する。
「状態」とは、健康または気分の状態を意味する。状態には、それに限定されるものではないが、表1に列挙したものが含まれる。
「効果的な量」とは、感染症を治療または防止するために必要な化合物の量を意味する。壊死によって生じるかまたは壊死に寄与する表1の状態の治療的処置のために本発明を実施するのに使用される活性化合物(複数可)の有効量は、投与方法、被験体の年齢、体重、および一般的な健康状態に依存して変わる。最終的には、担当医師または獣医によって、適切な量および投与レジメンが決定されよう。かかる量は、「有効」量と呼ばれる。
「神経変性疾患」とは、神経細胞死を特徴とする疾患を意味する。神経変性疾患の例には、それに限定されるものではないが、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、脳虚血、クロイツフェルト-ヤコブ病、ファール病、ハンチントン病および関連のポリグルタミン伸長疾患、レビー小体病、メンケス病、多発性硬化症、卒中、ならびにウィルソン病が含まれる。
「神経細胞」(ニューロン)とは、動物の神経系のいずれかの部分に由来する、外胚葉の胚起源の細胞を意味する。神経細胞は、神経フィラメントタンパク質、MAP2、およびクラスIIIのβ-チューブリンを含む、十分に特徴付けられた神経特異的マーカーを発現する。神経細胞として含まれるものは、例えば海馬、皮質、中脳ドーパミン作動性、運動神経、感覚神経、交感神経、中隔コリン作動性、および小脳の神経細胞である。
「壊死を低減するために十分な用量」とは、被験体に投与される場合に壊死を低減するであろう化合物または小分子の量を意味する。好ましくは、壊死は被験体において、治療を受けていない被験体に対して10%低減する。より好ましくは、壊死は被験体において、治療を受けていない被験体に対して50%低減する。最も好ましくは、壊死は被験体において、治療を受けていない被験体に対して90%低減する。
本明細書で使用されるように、「壊死を測定する」とは、化合物の非存在下の細胞(対照細胞)と比較して、化合物の存在下において壊死によって細胞が死亡しているかどうかを決定することを意味する。壊死は、細胞のATPレベルを測定することによって測定でき、ここで壊死する細胞は、対照細胞と比較して減少した細胞ATPレベルを有する。壊死は、生体染色色素、例えばトリパンブルーで染色することによっても測定でき、ここで壊死する細胞は、生体染色色素で染色されることになり、壊死しない細胞はこの色素では染色されない。
本明細書で使用される「製薬上許容される塩」という用語は、適切な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応等なしにヒトおよび動物の組織に接触させて使用するのに適し、かつ妥当な損益比に相応する塩を表す。製薬上許容される塩は、当技術分野で知られている。例えば、S.M Bergeらは、J.Pharmaceutical Sciences、1977年、66:1〜19頁において、製薬上許容される塩を詳説している。塩は、本発明の化合物の最終単離および精製中に、または遊離塩基群と適切な有機酸とを個別に反応させることによってin situで調製することができる。代表的な酸付加塩には、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギル酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプトン酸塩、ヘキサン酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩等が含まれる。代表的なアルカリまたはアルカリ土類金属塩には、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等、ならびに非毒性のアンモニウム、第4級アンモニア、およびそれに限定されるものではないが、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミン等を含むアミンカチオンが含まれる。
本発明において有用な化合物には、それらの酸または塩基付加塩、溶媒和物、および多形体を含む、それらの製薬上許容される形態のいずれかの、本明細書に記載の化合物が含まれる。
「虚血」とは、通常、組織の低酸素症に至る動脈血供給の閉塞または不適切な血流による低酸素状態を特徴とする心臓血管障害を意味する。
「心筋梗塞症」とは、血液供給の閉塞から生じる局在性壊死を特徴とする心臓血管障害を意味する。
「卒中」とは、脳内の血栓または出血によって生じる、最も一般的には血管を閉塞する血栓による脳内での血流妨害によって生じる心臓血管障害を意味する。本発明の幾つかの実施形態では、「卒中」とは、虚血性脳卒中または出血性脳卒中を指す。
「外傷」とは、暴力、事故、骨折等によって生じる、身体への任意の物理的損傷を意味する。
化学的定義
本発明の化合物の一般的記述では、置換基の特定の種類の原子数は、ある範囲の、例えば1〜9個の炭素原子を含有するアルキル基またはC1〜9アルキルとして一般に与えられる。かかる範囲への言及は、特定の範囲内の整数の原子のそれぞれを有する基への特定の言及を含むものとする。例えば、1〜4個の炭素原子のアルキル基には、C1、C2、C3、およびC4のそれぞれが含まれる。C1〜12ヘテロアルキルは、例えば、1個または複数のヘテロ原子に加えて、1〜12個の炭素原子を含む。他の数の原子および他の種類の原子も同様に示すことができる。
本明細書で使用されるように、各表現、例えばR5、R6、アルキル、m、n等の定義は、それが任意構造に2回以上現れる場合、他の場所での同じ構造のその定義には依存しないものとする。
本発明の目的では、窒素および硫黄などのヘテロ原子は、水素もしくはアルキル置換基、および/またはヘテロ原子の原子価を満たす、本明細書に記載の有機化合物の任意の許容される置換基を有することができる。本発明は、いかなる方法でも、有機化合物の許容される置換基によって制限されないものとする。
以下の定義のいずれかにおいて、「場合により置換されている」、「置換」、または「置換されている」という用語は、かかる置換基が、置換されている原子および置換基の許容された価数に従うこと、ならびに該置換基が、例えば、再配列、環化、脱離などによって自然には変形しない安定な化合物をもたらすという条件を含む。「場合により置換されている」、「置換」、または「置換されている」という用語は、有機化合物の全ての許容可能な置換基を含む。例示的な置換基は、一つまたは複数であってよく、例えば、アルキル;アルケニル;アルキニル;カルボシクリル(例えば、シクロアルキル;シクロアルケニル);ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アリール;ヒドロキシ(-OH);ハロゲン(F、Cl、Br、I);アジド(-N3);ニトロ(-NO2);オキソ(=O);イミノ(=NH);シアノ(-CN);フルオロアルキル(例えば、-CH2F);ペルフルオロアルキル(例えば、-CF3)、ヒドロキシアルキル(-(RA)OH));アルキルオキシ(-ORB);アリールオキシ(-ORC);チオ(-SH)、アルキルチオ(-SRD);スルホニル(-SO2RF)、アリールチオ(-SRI);カルボニル(アミド(-C(O)NH2または-C(O)NRJRK)、ケトン(-C(O)RL)、アルデヒド(-C(O)Hまたは-CHO)、エステル(例えば、-OC(O)RMまたは-CO2RN)、カルボン酸(-C(O)OH));アミノ(-NH2または-NRORP);およびスルフィニル(-S(O)RQ)として、適切な有機化合物に関して同じでも異なっていてもよく、ここでRA、RB、RC、RD、RE、RF、RG、RH、RI、RJ、RK、RL、RM、RN、RO、RP、およびRQのそれぞれは、Hも含む先に定義の例示的な置換基から独立に選択される。「場合により置換されている」、「置換」、または「置換されている」という用語はまた、アリールまたはフェニル環上の置換基を含み、例えば、ジ-(例えば、オルト-、メタ-、パラ-)、トリ-、およびテトラ-置換基を含む。「オルト、メタ、およびパラ」という用語は、それぞれ1,2-、1,3-、および1,4-二置換ベンゼンに適用される。例えば、1,2-ジメチルベンゼンとオルト-ジメチルベンゼンという名称は同義である。
本明細書で使用されるように、「アルキル」という用語および接頭辞「アルク-」は、直鎖および分岐鎖の基の両方、ならびに単環式または多環式(即ちシクロアルキル)を含み、場合により置換されていても置換されていなくてもよい。特定されない場合、アルキルは、C1〜9アルキル、即ち1〜9個の炭素原子を有する基を意味する。例示的な環式基には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、およびシクロヘキシル基が含まれる。C1〜9アルキルには、それに限定されるものではないが、メチル;エチル;n-プロピル;イソプロピル;シクロプロピル;シクロプロピルメチル;シクロプロピルエチル;n-ブチル;イソ-ブチル;sec-ブチル;tert-ブチル;シクロブチル;シクロブチルメチル;シクロブチルエチル;n-ペンチル;シクロペンチル;シクロペンチルメチル;シクロペンチルエチル;1-メチルブチル;2-メチルブチル;3-メチルブチル;2,2-ジメチルプロピル;1-エチルプロピル;1,1-ジメチルプロピル;1,2-ジメチルプロピル;1-メチルペンチル;2-メチルペンチル;3-メチルペンチル;4-メチルペンチル;1,1-ジメチルブチル;1,2-ジメチルブチル;1,3-ジメチルブチル;2,2-ジメチルブチル;2,3-ジメチルブチル;3,3-ジメチルブチル;1-エチルブチル;2-エチルブチル;1,1,2-トリメチルプロピル;1,2,2-トリメチルプロピル;1-エチル-1-メチルプロピル;1-エチル-2-メチルプロピル;n-ヘキシル、シクロヘキシル、n-オクチル、シクロオクチル、n-ノニル、およびシクロノニルが含まれる。
「アルケニル」および「アルキニル」という用語は、長さが類似の不飽和の脂肪族基および先に記載のアルキルに対して可能な置換基を指すが、それぞれ少なくとも一つの二重または三重結合を含有する。
「C2〜9アルケニル」とは、直鎖および分岐鎖の基の両方、ならびに一つまたは複数の二重結合を含有する単環式または多環式(即ちシクロアルケニル)を含み、場合により置換されていても置換されていなくてもよい。特定されない場合、アルケニルは、C2〜9アルケニル、即ち2〜9個の炭素原子を有する基を意味する。C2〜9アルケニルには、それに限定されるものではないが、ビニル;アリル;2-シクロプロピル-1-エテニル;1-プロペニル;1-ブテニル;2-ブテニル;3-ブテニル;2-メチル-1-プロペニル;2-メチル-2-プロペニル;1-ペンテニル;2-ペンテニル;3-ペンテニル;4-ペンテニル;3-メチル-1-ブテニル;3-メチル-2-ブテニル;3-メチル-3-ブテニル;2-メチル-1-ブテニル;2-メチル-2-ブテニル;2-メチル-3-ブテニル;2-エチル-2-プロペニル;1-メチル-1-ブテニル;1-メチル-2-ブテニル;1-メチル-3-ブテニル;2-メチル-2-ペンテニル;3-メチル-2-ペンテニル;4-メチル-2-ペンテニル;2-メチル-3-ペンテニル;3-メチル-3-ペンテニル;4-メチル-3-ペンテニル;2-メチル-4-ペンテニル;3-メチル-4-ペンテニル;1,2-ジメチル-1-プロペニル;1,2-ジメチル-1-ブテニル;1,3-ジメチル-1-ブテニル;1,2-ジメチル-2-ブテニル;1,1-ジメチル-2-ブテニル;2,3-ジメチル-2-ブテニル;2,3-ジメチル-3-ブテニル;1,3-ジメチル-3-ブテニル;1,1-ジメチル-3-ブテニル 2,2-ジメチル-3-ブテニル;1-ペンテニル;シクロペンテニル;1-ヘキセニル;シクロヘキセニル;1-ヘプテニル;シクロヘプテニル;1-オクテニル;シクロオクテニル;1-ノネニル;およびシクロノネニルが含まれる。
「C2〜9アルキニル」とは、一つまたは複数の三重結合を含有する直鎖および分岐鎖の基の両方を含み、場合により置換されていても置換されていなくてもよい。特定されない場合、アルキニルは、C2〜9アルキニル、即ち2〜9個の炭素原子を有する基を意味する。C2〜7アルキニルには、それに限定されるものではないが、エチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、3-ブチニル、1-ペンチニル、2-ペンチニル、3-ペンチニル、4-ペンチニル、5-ヘキセン-1-イニル、2-ヘキシニル、3-ヘキシニル、4-ヘキシニル、5-ヘキシニル;1-メチル-2-プロピニル;1-メチル-2-ブチニル;1-メチル-3-ブチニル;2-メチル-3-ブチニル;1,2-ジメチル-3-ブチニル;2,2-ジメチル-3-ブチニル;1-メチル-2-ペンチニル;2-メチル-3-ペンチニル;1-メチル-4-ペンチニル;2-メチル-4-ペンチニル;3-メチル-4-ペンチニル;1-ヘキシニル;1-ヘプチニル;1-オクチニル;および1-ノニニルが含まれる。
「芳香族」とは、(4n+2)ヒュッケル環系、即ち(4n+2)π電子を有する完全共役環系を意味し、ここで(4n+2)の合計は電子対の数に等しく、nは整数である。
「非芳香族」とは、芳香族[(4n+2)ヒュッケル]または反芳香族[(4n)反ヒュッケル]ではない、飽和または不飽和環系を意味する。
「C3〜9炭素環式」または「C3〜9カルボシクリル」は、全て炭素環原子からなり、飽和または不飽和の非芳香族環系を意味し、C3〜9シクロアルキルおよびC3〜9シクロアルケニル基の両方を含む。炭素環式環は、任意の炭素原子を介して別の環に共有結合または縮合して、安定な二環式構造を提供することができ、場合により置換または非置換であってよい。特定されない場合、「炭素環式」または「カルボシクリル」は、C3〜9炭素環式またはC3〜9カルボシクリル、即ち3〜9個の炭素原子を有する環を意味する。
「C2〜9複素環式」または「C2〜9ヘテロシクリル」は、飽和または不飽和であるが芳香族ではなく、2〜9個の炭素原子ならびにN、O、およびSからなる群から独立に選択される1、2、3、または4個のヘテロ原子からなる、5〜7員の単環式または7〜14員の二環式の環系を意味する。特定されない場合、「複素環」または「ヘテロシクリル」は、C2〜9複素環式またはC2〜9ヘテロシクリル、即ち2〜9個の炭素原子を含有することを意味する。ヘテロシクリル基は、場合により置換または非置換であってよい。窒素および硫黄ヘテロ原子は、場合により酸化することができる。ヘテロシクリル環は、任意のヘテロ原子または炭素原子を介して別の環に共有結合または縮合して、安定な二環式の環構造を提供することができる。例示的なヘテロシクリルには、それに限定されるものではないが、アジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、アゾカニル(azocanyl)、チアシクロヘキシル、チオシクロペンチル、オキシラニル、1,3-ジオキサシクロペンタニル、1,3-ジオキサニル、1,4-ジオキサニル、1,3-ジチオラニル、1,4-ジチオラニルテトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、およびテトラヒドロキノリニルが含まれる。
「C2〜9複素環式芳香族」または「C2〜9ヘテロアリール」は、炭素環原子およびヘテロ環原子(例えば、N、O、またはS)からなる芳香族[(4n+2)ヒュッケル]環系を意味する。「C2〜9ヘテロアリール」は、不飽和であり(複素環式芳香族)、2〜9個の炭素原子ならびにN、O、およびSからなる群から独立に選択される1、2、3、または4個のヘテロ原子からなる、安定な5〜7員の単環式または7〜14員の二環式環を意味し、ベンゼン環に縮合した任意の二環式基を含む。特定されない場合、「複素環式芳香族」または「ヘテロアリール」は、C2〜9ヘテロアリール、即ち2〜9個の炭素原子を有する基を意味し、場合により置換されていても置換されていなくてもよい。窒素および硫黄ヘテロ原子は、場合により酸化することができる。ヘテロアリール環は、任意のヘテロ原子または炭素原子を介して共有結合し、それによって安定な構造をもたらすことができ、例えばイミダゾリニル環は、環の炭素原子の位置のものまたは窒素原子で結合することができる。複素環の窒素原子は、場合により四級化することができる。好ましくは、複素環のSおよびO原子の総数が1を超える場合、これらのヘテロ原子は互いに隣接していない。例示的なヘテロアリールには、それに限定されるものではないが、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンズオキサゾリル、ベンズチアゾリル、ベンズトリアゾリル、ベンズテトラゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンズイミダザロニル、ジチアジニル、フラニル、フラザニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、インドレニル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、イソベンゾフラニル、イソインダゾリル、イソインドリニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ナフチリジニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナルサジニル(phenarsazinyl)、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチイニル、フェノキサジニル、フタラジニル、プテリジニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドオキサゾール、ピリドイミダゾール、ピリドチアゾール、ピリジニル、キナゾリニル、キノリジニル、キノキサリニル、およびキサンテニルが含まれる。
「C6〜12アリール」とは、共役π電子を有する炭素原子からなる環系を有する芳香族基(例えばフェニル)を意味する。特定されない場合、「アリール」は、6〜12個の炭素原子を有するC6〜12アリール、即ち芳香族の単環式または二環式の環系を意味し、場合により置換されていても置換されていなくてもよい。
「フルオロアルキル」とは、水素および一つまたは複数のフッ素原子で置換されているC1〜9アルキル基を意味する。
「ペルフルオロアルキル」とは、炭素およびフッ素原子のみからなるC1〜9アルキル基を意味する。
「ヒドロキシアルキル」とは、式-(RA)-OHを有する化学部分を意味し、ここでRAは、本明細書に定義の場合により置換されたC1〜9アルキル基である。
「アルコキシ」または「アルキルオキシ」とは、式-ORBの化学置換基を意味し、ここでRBは、本明細書に定義の場合により置換されたC1〜9アルキル基である。
「アリールオキシ」とは、式-ORCの化学置換基を意味し、ここでRCは、本明細書に定義の場合により置換されたC6〜12アリール基である。
「アルキルチオ」とは、式-SRDの化学置換基を意味し、ここでRDは、本明細書に定義の場合により置換されたC1〜9アルキル基である。
「スルホキシド」とは、-S(O)REを意味し、ここでREは、本明細書に定義の場合により置換されたC1〜9アルキルまたはC6〜12アリール基である。
「スルホニル」とは、-SO2RFを意味し、ここでRFは、本明細書に定義の場合により置換されたC1〜9アルキル(「C1〜9アルキルスルホニル」を形成するため)またはC6〜12アリール(「C6〜12アリールスルホニル」を形成するため)、あるいはアミノ基である。
「アルキルスルホニルオキシ」とは、-OSO2RGを意味し、ここでRGは、本明細書に定義の場合により置換されたC1〜9アルキル基である。例示的なアルキルスルホニルオキシ基は、O-メシル(-OMsまたは-O-(メタンスルホニル))基を含む。
「アリールスルホニルオキシ」とは、-OSO2RHを意味し、ここでRHは、本明細書に定義の場合により置換されたC6〜12アリール基である。例示的なアリールスルホニルオキシ基は、O-トシル基(-OTsまたは-O-(トルエンスルホニル))を含む。
「アリールチオ」とは、-SRIを意味し、ここでRIは、本明細書に定義のC6〜12アリール基である。
「C1〜12カルボニル」とは、アミド(-C(O)NH2または-C(O)NRJRK)、ケトン(-C(O)RL)、アルデヒド(-C(O)Hまたは-CHO)、エステル(例えば、-OC(O)RMまたは-CO2RN)、カルボン酸(-C(O)OH)等を意味し、ここでRJ、RK、RL、RM、およびRNは、本明細書に定義の場合により置換されたC1〜9アルキルまたは場合により置換されたC6〜12アリールである。
「アミノ」とは、-NH2または-NRORPを意味し、ここでROおよびRPは、本明細書に定義の場合により置換されたC1〜9アルキルまたはC6〜12アリールである。
「アリールイソチオシアネート」とは、Ar-N=C=Sを意味し、ここでC6〜12アリール基(即ちAr)は、本明細書に定義の通り、場合によりさらに置換されていても置換されていなくてもよい。
「ハロゲン」、「ハロゲン化物」、または「ハロ」とは、-F、-Cl、-Br、または-Iを意味し、「スルフヒドリル」または「チオ」とは-SHを意味し、「ヒドロキシル」は-OHを意味する。
先に記載の化合物の企図された等価物には、その他の点でそれに相当し、その同じ一般的特性(例えば、細胞壊死の阻害剤として機能する)を有する化合物が含まれ、そこでは化合物の有効性に悪影響を及ぼさない一つまたは複数の置換基の簡単な変更が行われる。一般に、本発明の化合物は、容易に利用可能な出発材料、試薬、および従来の合成手順を使用して、例えば以下に記載の一般反応スキームに示される方法によって、またはその改変形態によって調製することができる。これらの反応では、当業者に公知の変形を使用することも可能であるが、ここでは述べられない。
本発明の目的では、化学元素は、元素の周期表、CAS版、Handbook of Chemistry and Physics、第67版、1986〜87年、内表紙に従って同定される。
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳説および特許請求の範囲から明らかとなろう。
ここでは、化合物、医薬組成物、合成方法、および様々な状態を治療するための方法が記載される。本願は、細胞または組織壊死が原因因子または結果である状態に焦点を当てるが、表1に挙げた任意の状態は、本発明の化合物、組成物、および方法を使用して治療することができる。ここで、製造技術および本発明の使用技術を詳説する。
化合物
本発明は、式(I)によって包含される化合物または製薬上許容されるその塩を対象とする:
Figure 2010505953
[式中、
Qは、-S-、-S(O)-、または-S(O)2-であり、
R1は、C1〜C9アルキル、C2〜C9アルケニル、C2〜C9アルキニル、C6〜C12アリール、またはC1〜C12カルボニルであり、R2は、C1〜C9アルカリールまたはC6〜C12アリールであり、R3およびR4は、C1〜C9アルキル、C2〜C9アルケニル、C2〜C9アルキニル、C1〜C9アルキルオキシ、またはC1〜C12カルボニルであり、あるいはR3とR4が一緒になって、C3〜C9炭素環式、C2〜C9複素環式、C6〜C12アリール、またはC2〜C12ヘテロアリール環系を形成し、
但し、実施例において表2に示し、以下に示す、3-p-メトキシフェニル-5,6-テトラ-メチレノチエノ-[2,3-d]-ピリミジン-4-オン-2-メルカプトエチルシアニド(式中、Qは-S-であり、R1は-CH2CNであり、R2は-C6H4(4-OMe)であり、R3とR4は一緒になって非置換のC6-炭素環式6員環を形成する)として化学的に公知の化合物(1)は、特に排除される]。
Figure 2010505953
好ましくは、先の式(I)の化合物は、以下に示す下位構造式(II)、(III)、および/または(IV)にも相当し得る:
Figure 2010505953
[式中、R5およびR6は、H、C1〜C9アルキル、C2〜C9アルケニル、C2〜C9アルキニル、C3〜C9カルボシクリル、C2〜C9ヘテロシクリル、C2〜C9ヘテロアリール、C6〜C12アリール、C1〜C9アルキルオキシ、C1〜C9アルキルチオ、C6〜C12アリールチオ、C1〜C9ヒドロキシアルキル、C1〜C9アルキルオキシ、C6〜C12アリールオキシ、C1〜12カルボニル、C1〜C9フルオロアルキル、C1〜C9ペルフルオロアルキル、ハロゲン、-SH、-OH、-N3、-NH2、-NO2、および-CNからなる群から選択され、
nは、1、2、3、または4であり、mは、1、2、または3である]。
好ましくは、下位構造(II)、(III)、および(IV)によって包含され得る式(I)のこれらの化合物は、表2〜22の実施例に示す化合物6〜182である。最も好ましくは、これらの化合物は、活性なNec-5化合物、即ち化合物6、13、24、25、33〜35、38〜41、43、44、47〜49、53、55、58、67、68、72〜76、87、90、98、103、106、114、119、121、123、125、127〜130、133〜138、144、146、150、154、156、および167である。
本発明の化合物は、以下および実施例に示す下位構造式(V)〜(VII)、(XII)〜(XXVIII)または(XXIX)によって包含され得る。
Figure 2010505953
Figure 2010505953
Figure 2010505953
本発明はまた、実施例および表2に示す、3-p-メトキシフェニル-5,6-テトラ-メチレノチエノ-[2,3-d]-ピリミジン-4-オン-2-メルカプトエチルシアニドとして化学的に公知の化合物1を含む式(I)の化合物および製薬上許容される賦形剤の医薬組成物を対象とする。好ましくは、これらの化合物は、表2〜22の実施例に示す化合物1および6〜182を含む。最も好ましくは、これらの化合物は、活性なNec-5化合物、即ち化合物1、6、13、24、25、33〜35、38〜41、43、44、47〜49、53、55、58、67、68、72〜76、87、90、98、103、106、114、119、121、123、125、127〜130、133〜138、144、146、150、154、156、および167である。
本発明の化合物または医薬組成物のいずれかを、指示書一式と一緒に使用して、即ちキットを形成することができる。
本発明はまた、スキーム1に示され、実施例に詳説する式(I-A)の化合物の合成方法を対象とする。特に、式(I-A)の化合物は、式(I-B)の化合物(ここでLGは脱離基であり、C1〜C9アルキルオキシ、C1〜C9アルキルスルホニルオキシ、C6〜C12アリールスルホニルオキシ、またはハロゲンであってよい)から出発して生成することができる。式(I-B)の化合物と場合により置換されたアリールイソチオシアネートとの反応によって、式(I-C)の化合物が提供され、これはエタノールHClでの処理の際に、式(I-A)の化合物(R1=H)と平滑に環化する。R1=Hである式(I-A)の化合物は、アルキル化剤でさらに処理して、式(I-A)のアルキル化化合物を形成することができる。例えば、R1=Hである式(I-A)の化合物は、メチルヨウ化物(MeI)または1,1-ブロモシアノメタン(BrCH2CN)で処理して、R1がそれぞれ-CH3またはCH2CNである式(I-A)の化合物を形成することができる。
本発明はさらに、スキーム1で示し、実施例で詳説するように、式(I-E)のケトン化合物からの式(I-B)の化合物の合成を対象とする。適切に置換されたケトン化合物を、還流エタノール中、シアン酢酸、S8、および塩基で処理することによって、式(I-B)の化合物が効率的に生成される。
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さらに本発明は、表1に示す疾患または状態を有する被験体を、本明細書に定義の有効量の式(I)の化合物で治療する方法を対象とする。さらに本発明は、表1に示す疾患または状態を有する被験体を、本明細書に定義の式(I)の化合物および製薬上許容される賦形剤の有効量の医薬組成物で治療する方法を対象とする。
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治療法
本発明の治療法は、単独でまたは別の治療法と組み合わせて実施することができ、自宅、診療所、クリニック、病院の外来、または病院で提供することができる。表1に列挙した状態のいずれかの単独または組合せの存在は、本発明の化合物、組成物、および方法を使用して治療することができる。治療は、一般に病院で開始され、したがって医師は、治療法の効果を詳しく観察することができ、必要とされる任意の調節を行うことができる。治療期間は、患者の年齢および状態、ならびに患者が治療にどのように応答するかに依存して決まる。さらに、表1に列挙した状態を発症する危険性がより高いヒトは、その疾患の症候を阻害または遅延するための予防的治療を受けることができる。
本明細書に記載の化合物のいずれかは、先の表1に列挙した状態のいずれかを治療するために使用できる。
例示的な神経変性疾患は、アルツハイマー病、ハンチントン病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、HIV関連認知症、脳虚血、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、レビー小体病、メンケス病、ウィルソン病、クロイツフェルト-ヤコブ病、およびファール病である。
例示的な筋ジストロフィーまたは関連疾患は、ベッカー型筋ジストロフィー、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、筋硬直性ジストロフィー、肢帯筋ジストロフィー、ランドゥジー-デジュリン筋ジストロフィー、顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(シュタイネルト病)、先天性筋強直症、トムゼン病、およびポンペ病である。
筋肉の消耗は、癌、AIDS、鬱血性心不全、および慢性閉塞性肺疾患に関連し、さらに集中治療の壊死性ミオパチーを含み得る。
細胞増殖、分化、または細胞内シグナル伝達の変化が原因因子である状態には、癌および例えば、ウイルス(例えば、急性、潜伏性、および持続性)、バクテリア、菌類、または他の微生物による感染症が含まれる。
例示的なウイルスは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、エプスタイン-バーウイルス(EBV)、サイトメガロウイルス(CMV)、ヒトヘルペスウイルス(HHV)、単純ヘルペスウイルス(HSV)、ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV)、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、麻疹ウイルス、パポバウイルス(JCおよびBK)、肝炎ウイルス、アデノウイルス、パルボウイルス、およびヒトパピローマウイルスである。
好ましい一実施形態では、本発明の化合物および方法は、以下の疾患または状態:慢性神経変性疾患;急性神経疾患;急性神経変性;腎不全に関連する細胞死の結果;網膜神経細胞死の結果;心筋の細胞死の結果;免疫系の細胞の細胞死の結果;心筋梗塞症;心筋梗塞;卒中;出血性脳卒中;虚血;虚血性肝疾患、膵疾患、心疾患、脳疾患、腎疾患または損傷;虚血性腸間膜、網膜、または神経細胞損傷;臓器保存中の虚血性損傷;遅発性虚血脳損傷;外傷性脳損傷;頭部外傷;敗血症;敗血症性ショック;ネクロトーシス;壊死;虚血性壊死;網膜壊死;集中治療の壊死性ミオパチー;原発性全身性感染症;膵炎;あるいはLPSによって誘発される細胞死のいずれかを治療するために使用できる。
さらに、本発明の化合物および方法を使用して、治療を受ける患者が免疫損傷状態を有していようとなかろうと免疫系を高めることができる。例えば、本発明の化合物は、例えば助剤として機能することによって、または助剤と組み合わせることによって、免疫付与中に免疫系を増強する方法で使用することができる。
医薬組成物および製剤の投与
医薬組成物および製剤は、本発明の化合物を利用して調製することができる。本発明の医薬組成物は、例えば従来の溶解、凍結乾燥、混合、顆粒化、または糖剤化法を用いて、当業者に公知の方法で調製される。当技術分野で周知の製剤の製造方法は、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy、第20版、A.R.Gennaro編集、2000年、Lippincott Williams&Wilkins、Philadelphia、ならびにEncyclopedia of Pharmaceutical Technology、J.SwarbrickおよびJ.C.Boylan編集、1988〜1999年、Marcel Dekker、New Yorkに見られる。
本明細書に記載の方法のいずれかを使用して、表1の状態のいずれかを治療できることが同定された化合物は、製薬上許容される希釈剤、担体、または賦形剤と共に単位剤形で患者または動物に投与することができる。かかる治療法に使用するための化合物は、医薬化学分野の業者に公知の任意の標準的技術によって生成し単離することができる。従来の薬務を使用して、適切な製剤または組成物を提供して、壊死が生じる疾患に罹患している患者に同定された化合物を投与することができる。投与は、患者が症候を示す前に開始することができる。
適切な任意の投与経路を使用することができる。例えば、治療薬は、予測される細胞死イベントの部位に直接(例えば注射によって)投与することができ、または全身的に(例えば従来の任意の投与技術によって)投与することができる。化合物の投与は、非経口、静脈内、動脈内、皮下、筋肉内、頭蓋内、眼窩内、点眼、心室内、関節包内、髄腔内、嚢内、腹腔内、鼻腔内、エアロゾル、坐剤による、または経口投与であってもよい。治療製剤は、液体溶剤または懸濁剤の形態であってよく、製剤は、経口投与用に錠剤またはカプセル剤の形態であってもよく、鼻腔内製剤用に粉末、点鼻剤、またはエアロゾルの形態であってもよい。製薬上許容される製剤における治療化合物の用量は、個々の患者の大きさおよび健康状態を含む幾つかの因子に依存して決まる。送達される用量は、当業者によって決定され得る。
非経口投与用の製剤は、例えば賦形剤、滅菌水もしくは生理食塩水、ポリエチレングリコールなどのポリアルキレングリコール、植物源の油、または水素化ナフタレンを含有することができる。生体適合性、生分解性のラクチドポリマー、ラクチド/グリコリドコポリマー、またはポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマーを使用して、化合物の放出を制御することができる。壊死を低減する化合物に潜在的に有用な他の非経口送達系には、エチレン-酢酸ビニルコポリマー粒子、浸透圧ポンプ、埋込み式注入系、およびリポソームが含まれる。吸入用製剤は、賦形剤、例えばラクトースを含有することができ、または例えばポリオキシエチレン-9-ラウリルエーテル、グリコレート、およびデオキシコレートを含有する水溶液であってよく、または点鼻剤の形態でもしくはゲルとして投与するために油性溶液であってもよい。
投与
選択される投与経路に関わらず、適切な水和形態で使用することができる本発明の化合物および/または本発明の医薬組成物は、当業者に公知の従来の方法によって、製薬上許容される剤形に製剤化される。
本発明の医薬組成物における活性成分の実際の投与レベルは、患者にとっての毒性なしに、特定の患者、組成物、および投与の態様に対して望ましい治療反応を達成するのに有効な量の活性成分を得るように変えることができる。
選択された投与レベルは、使用される本発明の特定化合物またはそのエステル、塩、もしくはアミドの活性、投与経路、投与時間、使用される特定化合物の排出速度または代謝速度、治療期間、使用される特定化合物と組み合わせて使用される他の薬物、化合物、および/または材料、治療を受ける患者の年齢、性別、体重、状態、一般的な健康状態、および病歴を含む様々な因子、ならびに医薬分野で周知の類似の因子に依存して決まることになろう。1日1回、週1回、または月1回の投与(または他の時間間隔)を使用することができる。
通常の技術を有する医師または獣医は、必要とされる医薬組成物の有効量を容易に決定し、処方することができる。例えば医師または獣医は、医薬組成物に使用される本発明の化合物の投与を、所望の治療効果を達成するために必要なレベルより低いレベルで開始し、次いで所望の効果が達成されるまでその用量を徐々に増大することができよう。
一般に、本発明の化合物の1日当たりの適切な用量は、治療効果をもたらすのに有効な最少用量である化合物の量となろう。かかる有効量は、一般に前述の因子に依存することになろう。一般に、患者にとっての本発明の化合物の用量は、示される効果のために使用される場合、1日につき体重1kg当たり約0.0001〜約100mgの範囲になろう。好ましくは、1日当たりの用量は、体重1kg当たり化合物0.001〜50mg、さらにより好ましくは体重1kg当たり化合物0.01〜10mgの範囲になろう。
併用療法
所望ならば、本発明の化合物での治療を、表1の状態のいずれか、例えば壊死または虚血を含む状態を治療するための治療法と組み合わせることができる。かかる治療には、手術、放射線療法、化学療法、または1種もしくは複数の追加の化合物の投与が含まれる。本発明の化合物との併用療法に適した例示的な化合物を以下に記載する。例えば所望ならば、本発明の化合物での治療は、アルツハイマー病の治療のためのタクリン塩酸塩または多発性硬化症の治療のためのインターフェロンα-1aなどの、細胞死を特徴とする疾患のためのより伝統的な治療法と組み合わせることができる。
本発明の化合物は、アポトーシス阻害剤である化合物、即ちそれに限定されるものではないが、可逆的および不可逆的カスパーゼ阻害剤を含む、アポトーシスを阻害する化合物と組み合わせて投与することができる。アポトーシス阻害剤の一例には、zVAD(N-ベンジルオキシカルボニル-Val-Ala-Asp-(OMe)フルオロメチルケトン)、IETD(N-アセチル-Ile-Glu-Thr-Asp-al)、YVAD(N-ベンジルオキシカルボニル-Tyr-Val-Ala-Asp-(OMe)フルオロメチルケトン)、DEVD(N-[2-(6-ヒドロキシ-3-オキソ-3H-キサンテン-9-イル)ベンゾイル]-L-α-アスパルチル-L-α-グルタミル-N-[(1S)-1-(カルボキシメチル)-3-フルオロ-2-オキソプロピル]-L-バリンアミド)、およびLEHD(N-アセチル-Leu-Glu-His-Asp-al)が含まれる。
幾つかの場合、本発明の化合物は、PARPポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ阻害剤と組み合わせて投与される。PARP阻害剤の非限定的な例には、6(5H)-フェナントリジノン(Phenanthridinone)、4-アミノ-1,8-ナフタルイミド、1,5-イソキノリンジオール、および3-アミノベンズアミドが含まれる。
本発明の化合物はまた、Src阻害剤と組み合わせて投与することができる。Srcタンパク質は、シグナル伝達に広範な役割を担う、哺乳動物の細胞質チロシンキナーゼである。Src阻害剤の例には、それに限定されるものではないが、PP1(1-(1,1-ジメチルエチル)-1-(4-メチルフェニル)-1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン)、PP2(3-(4-クロロフェニル)-1-(1,1-ジメチルエチル)-1H-ピル-アゾロ[3,4-d]ピリミジン-4-アミン)、ダムナカンタール(3-ヒドロキシ-1-メトキシ-2-アントラ-キノンカルボキサルデヒド)、およびSU-5565が含まれる。
本発明の方法は、一部の態様では、細胞壊死の阻害剤である化合物(例えば、複素環式チオヒダントイン、ヒダントイン、オキサゾリジノン、チオキソ-オキサゾリジノン、ピリミジノン、またはオキサジナノン化合物、またはその組合せ)と、心臓血管障害の治療剤との組合せを含む。かかる薬剤には、抗炎症剤、抗血栓剤、抗血小板剤、線維素溶解剤、脂質低減剤、直接トロンビン阻害剤、糖タンパク質IIb/IIIa受容体阻害剤、細胞接着分子に結合し、かかる分子に接着する白血球の能力を阻害する薬剤(例えば抗細胞接着分子抗体)、カルシウムチャネル遮断薬、β-アドレナリン受容体遮断薬、シクロオキシゲナーゼ-2阻害剤、アンギオンテンシン系阻害剤、およびそれらの任意の組合せが含まれる。好ましい一薬剤はアスピリンである。
抗炎症剤には、アルクロフェナック;アルクロメタゾンジプロピオン酸;アルゲストンアセトニド;αアミラーゼ;アンシナファル(amcinafal);アンシナフィド(amcinafide);アンフェナクナトリウム;アミプリロース塩酸塩;アナキンラ;アニロラク(anirolac);アニトラザフェン(anitrazafen);アパゾン;バルサラジド二ナトリウム;ベンダザック;ベノキサプロフェン;塩酸ベンジダミン;ブロメライン;ブロペラモール(broperamole);ブデソニド;カルプロフェン;シクロプロフェン;シンタゾン(cintazone);クリプロフェン(cliprofen);クロベタゾールプロピオン酸エステル;クロベタゾン酪酸エステル;クロピラク(clopirac);プロピオン酸クロチカゾン(cloticasone);酢酸コルメタゾン(cormethasone);コルトドキソン(cortodoxone);デフラザコート(deflazacort);デソニド;デソキシメタゾン;プロピオン酸デキサメタゾン;ジクロフェナクカリウム;ジクロフェナクナトリウム;二酢酸ジフロラゾン;ジフルミドンナトリウム;ジフルニサル;ジフルプレドナート;ジフタロン(diftalone);ジメチルスルホキシド;ドロシノニド(drocinonide);エンドリソン(endrysone);エンリモマブ(enlimomab);エノリカム(enolicam)ナトリウム;エピリゾール;エトドラク;エトフェナメート(etofenamate);フェルビナク;フェナモール(fenamole);フェンブフェン;フェンクロフェナック(fenclofenac);フェンクロラク(fenclorac);フェンドサール(fendosal);フェンピパロン(fenpipalone);フェンチアザク;フラザロン(flazalone);フルアザコート(fluazacort);フルフェナム酸;フルミゾール;酢酸フルニソリド;フルニキシン;フルニキシンメグルミン;フルオコルチンブチル;酢酸フルオロメトロン;フルカゾン(fluquazone);フルルビプロフェン;フルレトフェン(fluretofen);プロピオン酸フルチカゾン;フラプロフェン(furaprofen);フロブフェン(furobufen);ハルシノニド;プロピオン酸ハロベタゾール;酢酸ハロプレドン;イブフェナック;イブプロフェン;イブプロフェンアルミニウム;イブプロフェンピコノール;イロニダップ(ilonidap);インドメタシン;インドメタシンナトリウム;インドプロフェン;インドキソール;イントラゾール;酢酸イソフルプレドン(isoflupredone);イソキセパク(isoxepac);イソキシカム;ケトプロフェン;塩酸ロフェミゾール(lofemizole);ロモキシカム(lomoxicam);エタボン酸ロテプレドノール;メクロフェナム酸ナトリウム;メクロフェナム酸;メクロリソン(meclorisone)ジブチラート;メフェナム酸;メサラミン;メセクラゾン(meseclazone);スレプタン酸メチルプレドニゾロン;モルニフルマート(morniflumate);ナブメトン;ナプロキセン;ナプロキセンナトリウム;ナプロキソール(naproxol);ニマゾン(nimazone);オルサラジンナトリウム;オルゴテイン;オルパノキシン(orpanoxin);オキサプロジン;オキシフェンブタゾン;塩酸パラニリン(paranyline);ペントサンポリ硫酸ナトリウム;フェンブタゾン(phenbutazone)グリセリン酸ナトリウム;パーフェニドン;ピロキシカム;ケイ皮酸ピロキシカム;ピロキシカムオラミン;ピルプロフェン;プレドナザート(prednazate);プリフェロン(prifelone);プロドール酸(prodolic acid);プロクアゾン(proquazone);プロキサゾール;クエン酸プロキサゾール;リメキソロン;ロマザリト(romazarit);サルコレクス(salcolex);サルナセジン(salnacedin);サルサラート;サリチレート(salycilates);塩化サングイナリウム(sanguinarium);セクラゾン(seclazone);セルメタシン(sermetacin);スドキシカム(sudoxicam);スリンダク;スプロフェン;タルメタシン(talmetacin);タルニフルメート(talniflumate);タロサラート(talosalate);テブフェロン(tebufelone);テニダップ;テニダップナトリウム;テノキシカム;テシカム(tesicam);テシミド(tesimide);テトリダミン(tetrydamine);チオピナク(tiopinac);ピバル酸チキソコルトール;トルメチン;トルメチンナトリウム;トリクロニド(triclonide);トリフルミデート(triflumidate);ジドメタシン(zidometacin);グルココルチコイド;およびゾメピラック(zomepirac)ナトリウムが含まれる。
抗血栓剤および抗線維素剤には、プラスミノーゲン(プレカリクレイン、キニノゲン、第XII因子、第XIIIa因子、プラスミノーゲン前駆賦活体、および組織プラスミノーゲンアクチベーター(TPA)の相互反応を介するプラスミンに対する)ストレプトキナーゼ;ウロキナーゼ:アニソイル化(anisoylated)プラスミノーゲン-ストレプトキナーゼアクチベーター複合体;プロウロキナーゼ(プロ-UK);rTPA(アルテプラーゼまたはアクチバーゼ);rPro-UK;アボキナーゼ;エミナーゼ;塩酸スレプターゼアナグレリド(sreptase anagrelide);ビバリルジン;ダルテパリンナトリウム;ダナパロイドナトリウム;塩酸ダゾキシベン;硫酸エフェガトラン;エノキサパリンナトリウム;イフェトロバン;イフェトロバンナトリウム;チンザパリンナトリウム;レタプラーゼ;トリフェナグレル;ワーファリン;およびデキストラン類が含まれる。
抗血小板剤には、クロプリドグレル(clopridogrel);スルフィンピラゾン;アスピリン;ジピリダモール;クロフィブラート;ピリジノールカルバメート;PGE;グルカゴン;抗セロトニン剤;カフェイン;テオフィリン;ペントキシフィリン(pentoxifyllin);チクロピジン;およびアナグレライドが含まれる。
脂質低減剤には、ゲムフィブロジル、コリスチラミン(cholystyramine)、コレスチポール、ニコチン酸、プロブコール、ロバスタチン、フルバスタチン、シンバスタチン、アトルバスタチン、プラバスタチン、およびシリバスタチンが含まれる。
直接トロンビン阻害剤には、ヒルジン、ヒルゲン、ヒルログ、アガトロバン、PPACK、およびトロンビンアプタマーが含まれる。
糖タンパク質IIb/IIIa受容体阻害剤には、抗体および非抗体の両方が含まれ、それに限定されるものではないがレオプロ(アブシキサマブ(abcixamab))、ラミフィバン(lamifiban)、およびチロフィバンが含まれる。
カルシウムチャネル遮断薬は、高血圧症、狭心症、および心不整脈などの幾つかの心臓血管障害を含む様々な疾患の制御に重要な治療価値を有する、化学的に多様なクラスの化合物である(Fleckenstein、Cir.Res.(1983年)52:13〜16頁;Fleckenstein、Experimental Facts and Therapeutic Prospects、John Wiley、New York(1983年);McCall、D.、Curr.Pract.Cardiol.(1985年)10:1〜11頁)。カルシウムチャネル遮断薬は、細胞のカルシウムチャネルを制御することによってカルシウムが細胞に入るのを防止または遅延する、異種グループの薬物である(Remington、The Science and Practice of Pharmacy、第19版、Mack Publishing Company、Eaton、Pa.、963頁(1995年))。現在利用可能で、本発明に有用なカルシウムチャネル遮断薬の大部分は、ニフェジピンなどのジヒドロピリジン、ベラパミルなどのフェニルアルキルアミン、およびジルチアゼムなどのベンゾチアゼピンの3つの主な化学群の薬物の1つに属する。本発明に有用な他のカルシウムチャネル遮断薬には、それに限定されるものではないが、アムリノン、アムロジピン、ベンシクラン、フェロジピン、フェンジリン、フルナリジン、イスラジピン、ニカルジピン、ニモジピン、ペルヘキシレン(perhexylene)、ガロパミル、チアパミル(tiapamil)およびチアパミル類似体(1993RO-11-2933など)、フェニロイン、バルビツール酸塩、およびペプチドダイノルフィン、ω-コノトキシン、およびω-アガトキシン、ならびに製薬上許容されるその塩が含まれる。
β-アドレナリン作動性受容体遮断薬は、狭心症、高血圧症、および心不整脈におけるカテコールアミンの心血管作用を拮抗するクラスの薬物である。β-アドレナリン作動性受容体遮断薬には、それに限定されるものではないが、アテノロール、アセブトトール、アルプレノロール、ベフノロール、ベタキソロール、ブニトロロール、カルテオロール、セリプロロール、ヘドロキサロール(hedroxalol)、インデノロール、ラベタロール、レボブノロール、メピンドロール、メチプラノール(methypranol)、メチンドール(metindol)、メトプロロール、メトリゾラノロール(metrizoranolol)、オクスプレノロール、ピンドロール、プロプラノロール、プラクトロール、プラクトロール、ソタロールナドロール、チプレノロール(tiprenolol)、トマロロール(tomalolol)、チモロール、ブプラノロール、ペンブトロール、トリメプラノール(trimepranol)、2-(3-(1,1-ジメチルエチル)-アミノ-2-ヒド-ロキシプロポキシ)-3-ピリデンカルボニトリルHCl、1-ブチルアミノ-3-(2,5-ジクロロフェノキシ-)-2-プロパノール、1-イソプロピルアミノ-3-(4-(2-シクロプロピルメトキシエチル)フェノキシ)-2-プロパノール、3-イソプロピルアミノ-1-(7-メチルインダン-4-イルオキシ)-2-ブタノール、2-(3-t-ブチルアミノ-2-ヒドロキシ-プロピルチオ)-4-(5-カルバモイル-2-チエニル)チアゾール、-7-(2-ヒドロキシ-3-t-ブチルアミンプロポキシ)フタリドが含まれる。これらの化合物は、異性体混合物として、あるいはそれらのそれぞれの左旋性または右旋性形態で使用することができる。
シクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)は、アラキドン酸から様々なプロスタグランジンおよびトロンボキサンを生成する、大部分の組織内に存在する酵素複合体である。幾つかの選択的COX-2阻害剤は、当技術分野で公知である。これらには、それに限定されるものではないが、米国特許第5,474,995号、同第5,521,213号、同第5,536,752号、同第5,550,142号、同第5,552,422号、同第5,604,253号、同第5,604,260号、同第5,639,780号、同第5,677,318号、同第5,691,374号、同第5,698,584号、同第5,710,140号、同第5,733,909号、同第5,789,413号、同第5,817,700号、同第5,849,943号、同第5,861,419号、同第5,922,742号、同第5,925,631号、および同第5,643,933号に記載のものが含まれる。先に同定した幾つかのCOX-2阻害剤は、選択的COX-2阻害剤のプロドラッグであり、in vivoでの活性かつ選択的なCOX-2阻害剤への変換によってそれらの作用を発揮する。先に同定したCOX-2阻害剤プロドラッグから形成される活性かつ選択的なCOX-2阻害剤は、PCT/WO95/00501、PCT/WO95/18799、および米国特許第5,474,995号に詳説されている。米国特許第5,543,297号の技術を鑑みて、当業者は、薬剤が選択的COX-2阻害剤またはCOX-2阻害剤の前駆体であるかを決定することができよう。
アンギオテンシン系阻害剤は、アンギオテンシンIIの機能、合成、または異化を妨げることができる。これらの薬剤には、それに限定されるものではないが、アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、アンギオテンシンIIアンタゴニスト、アンギオテンシンII受容体アンタゴニスト、アンギオテンシンIIの異化を活性化する薬剤、およびアンギオテンシンIIが最終的に由来するアンギオテンシンIの合成を防止する薬剤が含まれる。レニン-アンギオテンシン系は、血行動態および水と電解質のバランスの制御に関与する。血液量、腎かん流圧、または血漿中のNa+濃度を低減する因子は、この系を活性化する傾向があるが、これらのパラメータを増大する因子は、その機能を抑制する傾向がある。
アンギオテンシンIおよびアンギオテンシンIIは、酵素レニン-アンギオテンシン経路によって合成される。合成過程は、酵素レニンがアンギオテンシノゲン、血漿中のシュードグロブリンに作用すると開始されて、デカペプチドアンギオテンシンIを産生する。アンギオテンシンIは、アンギオテンシン変換酵素(ACE)によってアンギオテンシンII(アンギオテンシン-[1-8]オクタペプチド)に変換される。後者は、様々な哺乳動物種、例えばヒトの幾つかの形態の高血圧症の原因物質として関係がある活性な昇圧物質である。
アンギオテンシン(レニン-アンギオテンシン)系阻害剤は、アンギオテンシノゲンまたはアンギオテンシンIからのアンギオテンシンIIの産生を妨げ、あるいはアンギオテンシンIIの活性を妨げるように作用する化合物である。かかる阻害剤は当業者には周知であり、レニンおよびACEを含む、アンギオテンシンIIの最終的な産生に関与する酵素を阻害するように作用する化合物を含む。これらはまた、一度産生されたアンギオテンシンIIの活性を妨げる化合物を含む。かかる化合物のクラスの例には、抗体(例えば、レニンに対する)、アミノ酸およびその類似体(より大きい分子にコンジュゲートしたものを含む)、ペプチド(アンギオテンシンのペプチド類似体およびアンギオテンシンIを含む)、プロレニン関連類似体等が含まれる。中でも最も強力で有用なレニン-アンギオテンシン系阻害剤は、レニン阻害剤、ACE阻害剤、およびアンギオテンシンIIアンタゴニストである。本発明の好ましい一実施形態では、レニン-アンギオテンシン系阻害剤は、レニン阻害剤、ACE阻害剤、およびアンギオテンシンIIアンタゴニストである。
アンギオテンシンIIアンタゴニストは、アンギオテンシンII受容体と結合してその活性を妨げることによってアンギオテンシンIIの活性を妨げる化合物である。アンギオテンシンIIアンタゴニストは周知であり、ペプチド化合物および非ペプチド化合物を含む。大部分のアンギオテンシンIIアンタゴニストは、8位のフェニルアラニンを他のアミノ酸で置き換えることによってアゴニスト活性が弱化されている、わずかに修飾された同族体であり、in vivoでの変性を遅延させる他の置換によって安定性を高めることができる。アンギオテンシンIIアンタゴニストの例には、ペプチド性化合物(例えば、サララシン、[(San1)(Val5)(Ala8)]アンギオテンシン-(1-8)オクタペプチドおよび関連類似体);N-置換イミダゾール-2-オン(米国特許第5,087,634号);2-N-ブチル-4-クロロ-1-(2-クロロベンジル(chlorobenzile))イミダゾール-5-酢酸を含む酢酸イミダゾール誘導体(Longら、J.Pharmacol.Exp.Ther.247(1)、1〜7頁(1988年)参照);4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-カルボン酸および類似誘導体(米国特許第4,816,463号);N2-テトラゾールβ-グルクロニド類似体(米国特許第5,085,992号);置換ピロール、ピラゾール、およびトリアゾール(tryazoles)(米国特許第5,081,127号);1,3-イミダゾールなどのフェニルおよび複素環式誘導体(米国特許第5,073,566号);イミダゾ-縮合7員環の複素環(米国特許第5,064,825号);ペプチド(例えば、米国特許第4,772,684号);アンギオテンシンIIに対する抗体(例えば、米国特許第4,302,386号);ならびにビフェニル-メチル置換イミダゾールなどのアラルキルイミダゾール化合物(例えば、EP第253,310号、1988年1月20日);ES8891(N-モルフォリノアセチル-(-1-ナフチル)-L-アラニル-(4,チアゾリル)-L-アラニル(35,45)-4-アミノ-3-ヒドロキシ-5-シクロ-ヘキサペンタノイル-N-ヘキシルアミド、三共株式会社、日本、東京);SKF108566(E-α-2-[2-ブチル-1-(カルボキシフェニル)メチル]1H-イミダゾール-5-イル[メチラン(metylane)]-2-チオフェンプロパン酸、Smith Kline Beecham Pharmaceuticals、PA);ロサルタン(DUP753/MK954、DuPont Merck Pharmaceutical Company);レミキリン(Remikirin)(RO42-5892、F.Hoffman LaRoche AG);A2アゴニスト(Marion Merrill Dow)および幾つかの非ペプチド複素環(G.D.Searle and Company)が含まれる。
アンギオテンシン変換酵素(ACE)は、アンギオテンシンIのアンギオテンシンIIへの変換を触媒する酵素である。ACE阻害剤は、アミノ酸およびその誘導体、ジペプチドおよびトリペプチドを含むペプチド、ならびにACEの活性を阻害し、それによって昇圧物質であるアンギオテンシンIIの形成を低減または排除することによりレニン-アンギオテンシン系に干渉する、ACEに対する抗体を含む。ACE阻害剤は、高血圧症、鬱血性心不全、心筋梗塞症、および腎疾患を治療するために医療上使用されてきた。ACE阻害剤として有用であることが知られている化合物のクラスには、カプトプリル(米国特許第4,105,776号)およびゾフェノプリル(米国特許第4,316,906号)などのアシルメルカプトおよびメルカプトアルカノイルプロリン、エナラプリル(米国特許第4,374,829号)、リシノプリル(米国特許第4,374,829号)、キナプリル(米国特許第4,344,949号)、ラミプリル(米国特許第4,587,258号)、およびペリンドプリル(米国特許第4,508,729号)などのカルボキシアルキルジペプチド、シラザプリル(米国特許第4,512,924号)およびベナザプリル(米国特許第4,410,520号)などのカルボキシアルキルジペプチド模倣体、フォシノプリル(米国特許第4,337,201号)およびトランドロプリル(trandolopril)などのホスフィニルアルカノイルプロリンが含まれる。
レニン阻害剤は、レニンの活性を妨げる化合物である。レニン阻害剤は、アミノ酸およびその誘導体、ペプチドおよびその誘導体、ならびにレニンに対する抗体を含む。米国特許の対象となるレニン阻害剤の例は、以下の通りである。ペプチドの尿素誘導体(米国特許第5,116,835号);非ペプチド結合によって結合したアミノ酸(米国特許第5,114,937号);ジペプチドおよびトリペプチド誘導体(米国特許第5,106,835号);アミノ酸およびその誘導体(米国特許第5,104,869号および同第5,095,119号);ジオールスルホンアミドおよびスルフィニル(米国特許第5,098,924号);修飾ペプチド(米国特許第5,095,006号);ペプチジルβ-アミノアシルアミノジオールカルバメート(米国特許第5,089,471号);ピロールイミダゾロン(米国特許第5,075,451号);フッ素および塩素スタチンまたはスタトン含有ペプチド(米国特許第5,066,643号);ペプチジルアミノジオール(米国特許第5,063,208号および同第4,845,079号);N-モルホリノ誘導体(米国特許第5,055,466号);ペプスタチン誘導体(米国特許第4,980,283号);N-複素環アルコール(米国特許第4,885,292号);レニンに対するモノクローナル抗体(米国特許第4,780,401号);ならびに様々な他のペプチドおよびその類似体(米国特許第5,071,837号、同第5,064,965号、同第5,063,207号、同第5,036,054号、同第5,036,053号、同第5,034,512号、および同第4,894,437号)。
細胞接着分子に結合し、かかる分子に接着する白血球の能力を阻害する薬剤には、ポリペプチド剤が含まれる。かかるポリペプチドには、従来の方法に従って調製されたポリクローナルおよびモノクローナル抗体が含まれる。かかる抗体は、既に当技術分野で知られており、他のかかる抗体と共に抗ICAM1抗体が含まれる。重要なことに、当技術分野で周知のように、抗体分子の小部分であるパラトロープ(paratrope)のみが抗体のそのエピトープへの結合に関与している(一般に、Clark、W.R.(1986年)The Experimental Foundations of Modern Immunology、Wiley&Sons、Inc.、New York;Roitt,I.(1991年)Essential Immunology、第7版、Blackwell Scientific Publications、Oxford参照)。pFc'およびFc領域は、例えば、補体カスケードのエフェクターであるが、抗原結合には関与していない。pFc'領域が酵素的に切断されており、またはpFc'領域なしに産生された、F(ab')2フラグメントと示される抗体は、完全な抗体の抗原結合部位の両方を保持している。同様に、Fc領域が酵素的に切断されており、またはFc領域なしに産生された、Fbフラグメントと示される抗体は、完全な抗体分子の抗原結合部位の一つを保持している。さらに進めると、Fabフラグメントは、共有結合した抗体軽鎖およびFdと示される抗体重鎖の一部分からなる。Fdフラグメントは、抗体特異性の主要な決定因子であり(単一のFdフラグメントは、抗体特異性を変えずに最大10個の異なる軽鎖と結合することができる)、Fdフラグメントは、単離の際にもエピトープ結合能を保持する。
当技術分野で周知のように、抗体の抗原結合部分内には、抗原のエピトープと直接相互作用する相補性決定領域(CDR)、およびパラトープの三次構造を維持するフレームワーク領域(Fr)がある(一般にはClar、1986年;Roitt、1991年参照)。IgG免疫グロブリンの重鎖Fdフラグメントおよび軽鎖の両方には、3つの相補性決定領域(CDR1〜CDR3)によってそれぞれ分離された4つのフレームワーク領域(FR1〜FR4)がある。CDR、特にCDE3領域、より具体的には重鎖CDR3は、抗体特異性を大部分担っている。
哺乳動物抗体の非CDR領域を、もとの抗体のエピトープ特異性を維持したまま、同種または異種抗体の類似領域で置き換えられることは、今や当技術分野で十分に立証されている。これは、非ヒトCDRをヒトFRおよび/またはFc/pFc'領域に共有結合させて機能的抗体を産生する、「ヒト化」抗体の開発および使用において最も明白に示されている。したがって、例えばPCT国際公開WO92/04381には、ヒト化マウスRSV抗体の産生および使用が教示されており、この中でマウスFR領域の少なくとも一部分が、ヒト起源のFR領域で置き換えられている。抗原結合能を持つ完全な抗体のフラグメントを含むかかる抗体は、しばしば「キメラ」抗体と呼ばれる。
したがって、当業者には明白となるように、本発明はまた、F(ab')2、Fab、Fv、およびFdフラグメント;Fcおよび/またはFrおよび/またはCDR1および/またはCDR2および/または軽鎖CDR3領域が相同なヒトまたは非ヒト配列で置き換えられているキメラ抗体;FRおよび/またはCDR1および/またはCDR2および/または軽鎖CDR3領域が相同なヒトまたは非ヒト配列で置き換えられているキメラF(ab')2フラグメント抗体;FRおよび/またはCDR1および/またはCDR2および/または軽鎖CDR3領域が相同なヒトまたは非ヒト配列で置き換えられているキメラFabフラグメント抗体;ならびにFRおよび/またはCDR1および/またはCDR2領域が相同なヒトまたは非ヒト配列で置き換えられているキメラFdフラグメント抗体を提供する。本発明は、いわゆる一本鎖抗体も含む。
したがって本発明は、細胞接着分子に特異的に結合する非常に多数の大きさおよび種類のポリペプチドを含む。これらのポリペプチドは、抗体技術以外の供給源に由来してもよい。例えば、かかるポリペプチド結合剤は、固定化形態でまたはファージディスプレイライブラリとして、容易に溶液中で調製できる縮重ペプチドライブラリによって提供することができる。1つまたは複数のアミノ酸を含有するペプチドの組合せライブラリを合成することもできる。さらに、ペプチドおよび非ペプチド合成部分のライブラリを合成することができる。
ファージディスプレイは、本発明に従って有用な結合ペプチドを同定するのに、特に効果的となり得る。簡潔には、ファージライブラリを調製し(例えば、m13、fd、またはラムダファージを使用)、従来の手順を使用して4〜約80のアミノ酸残基のインサートを表示する。インサートは、例えば完全な縮重またはバイアス型配列(array)であってもよい。次いで、細胞接着分子に結合するファージ担持インサートを選択することができる。この過程は、細胞接着分子に結合するファージの再選択を数サイクル行うことにより反復することができる。数回の反復により、特定の配列を担持するファージが濃縮される。DNA配列分析を実施して、発現ポリペプチドの配列を同定することができる。細胞接着分子に結合する配列の最少線形部分を決定することができる。最小線形部分の一部または全てに加え、その上流または下流に1つまたは複数の追加の縮重残基を含有するインサートを含むバイアス型ライブラリを使用して、この手順を反復することができる。酵母のツーハイブリッドスクリーニング法も、細胞接着分子に結合するポリペプチドを同定するために使用できる。したがって、細胞接着分子またはそのフラグメントを使用して、ファージディスプレイライブラリを含むペプチドライブラリをスクリーニングし、細胞接着分子のペプチド結合パートナーを同定し選択することができる。
予防的治療法
表1の状態のいずれか、例えば、心疾患(例えば、冠状動脈性心疾患または虚血性心疾患)または変性疾患(例えば、アルツハイマー病またはハンチントン病などの神経変性疾患)と診断された患者において、疾病表現型の発生の前に、先の治療法のいずれかを適用することができる。特に、壊死を低減することが示された化合物は、任意の標準的投与量および投与経路によって(先に記載の通り)投与することができる。
本発明の方法は、任意の被験体、例えばヒト;例えばイヌもしくはネコなどの家庭のペット;または家畜における細胞壊死を低減する、または本明細書に記載の障害を治療するために使用できる。
細胞壊死を低減する化合物
細胞が最初の攻撃を受けた後、アポトーシスまたは細胞死の壊死機構の一方または両方が活性化され得る。細胞死を誘発するために、腫瘍壊死因子α(TNFα)およびβ-アミロイドタンパク質への曝露を含む幾つかの化学的攻撃が使用され得る。ヒト神経芽腫細胞(SH-SY5Y)およびヒトジャーカットT細胞を含む様々な細胞型を使用することもできる。アポトーシス機構を遮断するために、一般的なカスパーゼ阻害剤、Cbz-バリン-アラニン-アスパルチルフルオロメチルケトン(zVAD-fmk、Polverino and Patterson、J.Biol.Chem.272:7013〜7021頁、1997年)を投与することができる。この化合物は、全てのカスパーゼを阻害し、その結果アポトーシス経路を破壊する。もたらされる任意の細胞死は、この壊死機構から生じると推定することができる。zVAD-fmkおよびTNFαを細胞に投与した後、細胞を救うために試験化合物をその細胞に適用することができる。このプロトコールを用いて細胞の生存力を回復することが見出された化合物は、壊死経路の阻害剤であるとみなされる。
例えば一手法では、zVAD-fmkを、zVAD-fmk/TNFαに応答して壊死することができる高密度(例えば、5×105または7.5×105個の細胞/ml)の細胞の培地に添加することができる。候補分子、例えばChemBridge Research Laboratories(カリフォルニア州サンディエゴ)の化合物のライブラリなどの化学ライブラリからの化合物を、様々な濃度で細胞に添加し、次いで細胞をTNFαに曝露する。
次いで、処理される細胞の壊死の発生を、例えばzVAD-fmk/TNFαに曝露された細胞の細胞ATPレベルを測定することによって測定する(Crouchら、J.Immunol.Methods(1993年)160:81〜88頁;Storerら、Mutat.Res.(1996年)368:59〜101頁;およびCreeら、Toxicol.In Vitro(1997年)11:553〜556頁)。候補分子の存在下での壊死レベルを、候補分子の非存在下での壊死レベルと比較するが、他の全ての因子(例えば、細胞型および培養条件)は同じとする。本発明のzVAD-fmkの重要性は、アポトーシスによって生じ得る細胞死を妨害し、したがって壊死による細胞死を完全に明らかにし得るということである。
第2の手法では、壊死を低減する候補分子に細胞を曝露することができると同時に、その細胞をzVAD-fmkまたはTNFαのいずれかに曝露する。第3の手法では、細胞を、最初にzVAD-fmkおよびTNFαに曝露し、次いで候補化合物に曝露することができる。これらの手法のそれぞれに従って生じる壊死のレベルは、先に記載のように測定される。
細胞死刺激、例えばTNFαまたはDMSOによって誘発される壊死に対する候補分子の作用は、他の方法、例えばトリパンブルーまたはアクリジンオレンジ/臭化エチジウムなどの色素を使用する生体染色色素によって測定することもできる。
壊死を低減する化合物は、精製または実質的に精製することができ、あるいは化合物プールなどの化合物の混合物の一成分であってもよい。化合物の混合物のアッセイでは、単一の化合物または有効化合物の最小数が壊死の低減を示すまで、化合物プール(例えば、HPLCまたはFPLCなどの標準的精製技術によって生成される)の次第に小さくなるサブセットに対して、壊死の発生を試験する。zVAD-fmk/TNFαによって誘発される壊死の低減を促進する分子は、本発明に特に有用であるとみなされ、かかる分子は、例えば神経変性疾患などの壊死が生じる状態を伴う患者において、壊死を低減するための治療として使用することができる。
先に記載の方法によって、例えばin vitro系としてzVAD-fmk/TNFαによって誘発される壊死を効果的に低減することが見出される化合物は、動物モデルにおいてさらに試験することができる。特に有用な動物モデルには、細胞死、虚血脳または虚血心損傷、あるいは他の虚血性損傷、頭部外傷、神経変性疾患、冠状動脈性心疾患、および敗血症性ショックのマウスおよびラットモデルが含まれる。かかるモデルの例には、SODまたはハンチントン病遺伝子導入マウス、およびLiら、Hum.Mol.Genet.(1999年)8:1227〜12236頁;Levineら、Neurosci.Res.(1999年)58:515〜532頁;Vukosavicら、J.Neurochem.(1999年)73:2460〜2468頁;Gruney、J.Neurol.Sci.152 suppl.(1997年)1:S67〜73頁;Deshmukhら、Am.J.Physiol.(1997年)273(4Pt1):C1130〜1135頁;およびIsibashiら、J.Immunol.(1999年)163:5666〜5677頁に記載のものなどの他の公知のモデルが含まれる。in vivoモデルで壊死を低減する能力を示す化合物は、適切に壊死を防止するための治療法として使用することができる。
zVAD-fmk/DMSO誘発性細胞壊死を低減する化合物の同定
例えば、zVAD-fmk/DMSOによって低細胞密度(例えば、1×105個の細胞/ml)で誘発される細胞壊死を低減する化合物の同定方法は、壊死の誘発剤がzVAD-fmk/TNFαではなくzVAD-fmk/DMSOである場合を除き、本質的には本明細書に記載の通り達成される。
代替スクリーニングアッセイ
標的分子のタンパク質相互作用または活性阻害を測定する任意の方法を利用することができる。かかる方法には、それに限定されるものではないが、蛍光偏光アッセイ、質量分析(NelsonおよびKrone、J.Mol.Recognit.(1999年)12:77〜93頁)、表面プラズモン共鳴(Spigaら、FEBS Lett.(2002年)511:33〜35頁;RichおよびMizka、J.Mol.Recognit.(2001年)14:223〜228頁;Abrantesら、Anal.Chem.(2001年)73:2828〜2835頁)、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)(Baderら、J.Biomol.Screen(2001年)6:255〜264頁;Songら、Anal.Biochem(2001年)291:133〜41;Brockhoffら、Cytometry(2001年)44:338〜248頁)、生物発光共鳴エネルギー移動(BRET)(Angersら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(2000年)97:3684〜3689頁;Xuら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1999年)96:151〜156頁)、蛍光消光(Engelborghs、Spectrochim.Acta A.Mol.Biomol.Spectrosc.(1999年)57:2255〜2270頁;Geogheganら、Bioconjug.Chem.(2000年)11:71〜77頁)、蛍光活性化細胞スキャン/ソーティング(Barthら、J.Mol.Biol.(2000年)301:751〜757頁)、ELISA、およびラジオイムノアッセイ(RIA)が含まれる。
候補化合物
一般に、本発明のスクリーニングアッセイで使用される候補化合物は、天然産物、合成(または半合成)抽出物両方の大きなライブラリ、または当技術分野で公知の方法よる化学ライブラリから同定される。
細胞生存度アッセイ
本発明の化合物を評価することができる細胞生存度アッセイは、以下を含む。
U937細胞は、100μMのzVAD.fmkおよび40ng ml-1のヒトTNFαを含有する、フェノールレッドなしのRPMI1640培地40μl中、マルチドロップディスペンサー(Thermo Electron)を使用して、1ウェル当たり5,000〜10,000個の細胞で384ウェルプレートに播種し、次いでSeiko系特注のピン移動ロボット(Institute of Chemistry and Cell Biology、ハーバードメディカルスクール)を使用して、DiverSetE(DMSO中5mg ml-1、ケンブリッジ)100nlを添加することができる。72時間後、発光系ATPアッセイ(ATPLite-M、PerkinElmer)を使用して、細胞生存度を評価することができる。TNFαで処理しなかった細胞を、陽性対照として各プレートに分注することができる。
細胞は、フェノールレッドなしの適切な培地100μl中、接着細胞については1ウェル当たり5,000〜10,000個の細胞または懸濁細胞については1ウェル当たり20,000〜50,000個の細胞密度で、96ウェルプレート(発光アッセイ用白色プレート;蛍光アッセイ用黒色プレート;MTTアッセイ用透明プレート)に播種することができる。インキュベーション後、以下の方法の一つを使用して細胞生存度を決定することができる。
ATPアッセイでは、発光系の市販のキット(CellTiter-Glo、PromegaまたはATPLite-M、PerkinElmer)を使用することができ、発光はWallac Victor IIプレートリーダー(PerkinElmer)を使用して分析される。
Sytoxアッセイでは、細胞を37℃で30分間、1μMのSytox Green試薬でインキュベートすることができ、次いで蛍光読取りを行うことができる。5μlの20%TritonX-100溶液を各ウェルに添加することによって最大溶解をもたらし、該細胞を37℃で1時間インキュベートすべきであり、次いで第2の読取りを実施すべきである。各値の比は、Triton処理の前後に算出し(各ウェル中の死亡細胞のパーセンテージ)、細胞毒性刺激を受けない関連の対照に対して標準化することができる。
MTTアッセイでは、CellTiter96AQueous非放射性細胞増殖性アッセイキット(Promega)を使用することができる。PI排除アッセイでは、2μg ml-1のPIを培地に添加し、FACSCalibur(BD Biosciences)を使用して直ちにサンプルを分析することができる。
PI-annexinVアッセイでは、ApoAlert Annexin V-EGFPアポトーシスキット(Clontech)を使用することができる。DioC6染色では、40nMのDiOC6を用いて37℃で30分間細胞をインキュベートし、次いで1度洗浄し、FACSCaliburで分析することができる。
ROS分析では、5μMのジヒドロエチジウム(Molecular Probes)を用いて37℃で30分間細胞をインキュベートし、次いで1度洗浄し、FACSCaliburで分析することができる。Axiovert200顕微鏡(Zeiss)を使用する細胞の明視野像が必要になることがある。
マウスにおける一過性局所的脳虚血
本発明の化合物を分析するために使用できるマウスモデルは以下の通りである。自発呼吸下の成体オスSV-129マウス(19〜23g;Taconic Farms)を2%イソフルランで麻酔し、70%N2Oおよび30%O2中、Fluotec3気化器(Colonial Medical)を使用して、それらを0.8〜1%イソフルランで維持することができる。次いで、シリコーン樹脂(Xantopren、Bayer Dental)および硬化剤(Elastomer Activator、Bayer Dental)の混合物でコーティングした管腔内8-0ナイロンモノフィラメント(Ethicon)で、左のMCAを閉塞することができる。手順が完了したら(約15分かかり得る)、麻酔を中止することができる。2時間後にイソフルランで動物を一時的に再麻酔し、次いでフィラメントを抜くことができる。再灌流の18時間後、マウス脳マトリックス(RBM-2000C;ActivationalSystems)を使用して、前脳を五つの前頭断(2mm)断面に分割し、その断面を2%の塩化2,3,5-トリフェニルテトラゾリウム(Sigma)で染色することができる。画像解析系(BioquantIV、R&M Biometrics)を使用して梗塞領域を定量化し、各断面の梗塞体積を加算することによって、梗塞体積を直接算出することができる。
薬物投与では、Nec-5または他の誘導体(4%メチル-β-シクロデキストリン(Sigma)のPBS中溶液など)を溶解し、それを脳室内投与によって投与することができる。閉塞前(preocclusion)送達では、2時間のMCAO閉塞の開始5分前および閉塞の停止直後、再灌流の時点で注射を実施することができる。閉塞後送達では、MCAOの2時間後の再灌流時、ならびに再灌流開始の2時間後に注射を実施することができる。注入の場合、30分間の時間をかけて化合物を(例えば、20μl)注入することができる。注射の場合、閉塞の6時間後に単回(例えば4μl)用量を注射することができる。zVAD.fmk投与の場合、それをNec-5製剤に添加し、動物に投与することができる。
Nakagawaら、Nature(2000年)403:98〜103頁のようにマウスの胎児線維芽細胞を調製し、SV-40をコードするレトロウイルスでの感染によって不死化することができる。Atg5-/-MEF細胞は、既に説明されている(例えば、Kumaら、Nature(2004年)432:1032〜1036頁参照)。
免疫蛍光法
以下のように、免疫蛍光法によって本発明の化合物を分析することができる。Balbc3T3細胞をPBSで洗浄し、その細胞を25℃で15分間、4%ホルムアルデヒドで固定し、それらをPBSで2回すすぎ、PBS中0.4%TritonX-100、10%正常ヤギまたはロバ血清(Jackson Immunoresearch)で25℃にて30分間透過化/ブロッキングすることができる。サンプルを適切な一次抗体でインキュベートし、製造者の指示に従って、PBS中0.1%Triton、1%血清に4℃で16時間希釈し、次いでPBSで3回洗浄し、一次抗体と同じ緩衝液に1:200で希釈した蛍光団コンジュゲート二次抗体を用いて、25℃で30分間インキュベートすることができる。PBSで2回洗浄した後、細胞をTO-PRO-3またはファロイジン-TRITCで染色し、製造者の指示に従って25℃で10分間PBSに希釈し、PBSで洗浄し、ProLong Antifadeキット(Molecular Probes)を使用してマウントすることができる。ニコン製回転ディスク共焦点顕微鏡を使用して画像を得ることができ、Metamorphソフトウェア(Universal Imaging)を使用してこれらの画像分析を行うことができる。
ヨウ化プロピジウムDNA含量分析
以下のように、DNA含量について本発明の化合物を分析することができる。適切な処理の後、ジャーカット細胞を1回洗浄し、PBSに再懸濁し、次いで氷冷100%エタノールの4倍容を添加することによって固定することができる。これらの細胞は約1時間氷上に維持すべきであり、その後固定溶液を破棄し、細胞をPBSで1回洗浄し、50μg/mlのPIおよび5μg/mlのRNAse A(Sigma)を添加したPBSに再懸濁し、37℃で15分間、暗室内でインキュベートし、次いでFACSCaliburで分析する。データは、ModFitソフトウェア(Verity Software House)を使用して分析することができる。
免疫ブロッティング
以下のように、免疫ブロッティングによって本発明の化合物を分析することができる。細胞は、コンプリートミニプロテアーゼ阻害剤錠剤(Roche)を添加した、20mMのHEPES、pH7.5、150mMのNaCl、1%TritonX-100、10mMのピロリン酸四ナトリウム、100mMのNaF、17.5mMのβ-グリセロリン酸緩衝液に溶解することができる。Bio-Radタンパク質アッセイ試薬を使用し、抗体を用いて等量のタンパク質をウェスタンブロッティングにかけてタンパク質濃度を決定することができる。虚血脳サンプルの場合、皮質の損傷領域を切開して取り出し、それらをRIPA緩衝液(コンプリートミニプロテアーゼ阻害剤を添加した、50mMのTris-HCl、pH8.0、150mMのNaCl、5mMのEDTA、0.1%SDS、0.5%デオキシコール酸ナトリウム、1%NP-40)に溶解し、等量のタンパク質をウェスタンブロッティングにかけることができる。ウェスタンブロッティングの結果は、Scion Imageソフトウェア(Scion Corporation)を使用して定量化することができる。
実施例1〜7
本発明者らは、TNFαおよびzVAD-fmkによって誘発されるヒト単球系U937細胞の壊死の化学阻害剤について約100,000種の化合物の化学ライブラリをスクリーニングし、この壊死をネクロトーシスの操作上の定義として使用した(Degterevら、Nature Chem.Biol.(2005年)2:112〜119頁;Tengら、Bio.Med.Chem.Lett.(2005年)15:5039〜5044頁)。このスクリーニングによって、効果的にネクロトーシス死を妨げた幾つかのネクロトーシス阻害剤が選択された(LiおよびBeg、J.Virol.(2000年)74:7470〜7477頁;Linら、J.Biol.Chem.(2004年)279:10822〜10828頁;Wilsonら、Cell Death Differ.(2002年)9:1321〜1333頁)。ここで、以下に示す新規ネクロスタチンであるNec-5について記載する。Nec-5は、zVAD-fmkの存在下でのスクリーニングで選択されたが、その作用はカスパーゼの薬理学的阻害には依存しない。この知見は、アポトーシス機構の遺伝子不活性化によってアポトーシスの誘発が無効にされる場合のネクロトーシスの直接活性化と一致する(Loら、Nat.Rev.Neurosci.(2003年)224:29〜55頁;Gwagら、Neuroscience(1995年)68:615〜619頁;Rosenbaumら、J.Neurosci.Res.(2000年)61:686〜692頁;Martin-Villalbaら、J.Neurosci.(1999年)19:3809〜3817頁;Martin-Villalbaら、Cell Death Differ.(2001年)8:679〜686頁)。
Nec-5は、zVAD-fmkの非存在下でもDRシグナル伝達に応答してカスパーゼを活性化することができない、TNFα処理したFADD欠損ジャーカット細胞の死を防止する(Chan、J.Biol Chem.(2003年)278:51613〜51621頁)。FADD欠損ジャーカット細胞におけるネクロトーシス誘発は、他の化学物質、例えばzVAD-fmkの存在に依存しないので、この系を使用して、Nec-5の最大応答の半分の有効濃度(EC50)が0.24μMとなることを決定した。ここに、Nec-5類似体の構造活性分析を記載する。
Figure 2010505953
化学的には、Nec-5は、3-p-メトキシフェニル-5,6-テトラメチレノチエノ[2,3-d]ピリミジン-4-オン-2-メルカプトエチルシアニドとして知られているが、その合成方法は報告されていない。本発明の合成プロトコールは以下の通りである。化合物(3)とp-メトキシフェニルイソチオシアネートとの反応の際、チオ尿素類似体(4)が生成される(スキーム2)。エタノールHClにおける後者の環化は、2-メルカプト-3-p-メトキシフェニル-5,6-テトラメチレノチエノ[2,3-d]ピリミジン-4-オン(5)をもたらし(Gewaldら、Chem.Ber.(1966年)99:94〜100頁;Tranbergら、J.Med.Chem.(2002年)45:382〜389頁;Gutschowら、J.Med.Chem.(1999年)42:5437〜5447頁;Sabnis、Sulfur Rep.(1994年)16:1〜17頁;SabnisおよびRangnekar、J.Heterocyclic.Chem.(1999年)36:333〜345頁;Vishnuら、J.Heterocyclic.Chem.(1981年)18:1277頁;Devaniら、J.Pharm.Sci.(1976年)65:660〜664頁;Leistnerら、Synthesis(1987年)466〜470頁;Modicaら、Bioorg&Med.Chem.Lett.(2000年)10:1089頁;Duvalら、Bioorg&Med.Chem.Lett.(2005年)15:1885〜1890頁)、それによって、水酸化カリウムの存在下でのBrCH2CNとの反応の際に、92%の収率でNec-5(1)が得られた(Vittenet、Bull.Soc.Chim.(1899年)21:955頁)。
Figure 2010505953
試薬および条件:(a)シアノアセテート、S8、Et2NH、EtOH、環流12時間。(b)p-メトキシフェニルイソチオシアネート、EtOH、環流5〜6時間。(c)エタノールHCl、環流12〜24時間。(d)70%EtOH中KOH、次いでBrCH2CN、1〜2時間、収率92%。
実施例1.Nec-5の硫黄原子上の置換基の影響
Nec-5の硫黄原子上の置換基のそれらの生物活性への影響の研究に関して、水酸化カリウムの存在下で化合物(5)とRXとを反応させることによって、式(V)の一連の化合物を調製した。
Figure 2010505953
Figure 2010505953
試験化合物の全てのうち、表2で示すように、本明細書に記載のTNFαでのFADD欠損ジャーカット細胞の処理に基づくネクロトーシスアッセイでは、ごく数種類の変化によって活性が保持された。GraphPad Prizm科学的統計ソフトウェアパッケージを使用する生存率データの非線形回帰分析によって決定されるように、化合物の幾つかは、対照に対して生存力を回復するネクロトーシスからの完全な100%の保護を付与したが、多くの改変は、EC50値の変化だけでなく保護度合いの低減をもたらしたことに留意されたい。
表2の実験データは、Nec-5におけるメチル基によるエチルシアニド部分の置換(表2の化合物(6))が、その活性をかなりの程度保存することを示している。一方、硫黄上の炭素鎖のさらなる伸長(化合物(7)〜(11))は、活性の喪失をもたらした。Nec-5(即ち化合物(1))のメチルシアニド側鎖が-CH2CH2CNで置き換えられた化合物(24)は、幾らかの活性を保持していた。それほどではないが、化合物(13)および(25)は、幾らかの活性を示し、電子求引基(EWG)の導入、例えば化合物(14)、(19)、および(26)は、分子の活性を完全に破壊した。概してこのデータは、Nec-5のR1位が幾らか制限された柔軟性を付与し、例えばエチルシアニド側鎖またはS-メチル部分を許容し得ること、およびチオエーテル結合の存在が非常に好ましいことを示唆している。メチルチオ基を対応するスルホキシドに酸化(即ち、化合物(30))またはスルホンに酸化(即ち、化合物(31))することによって、活性が完全に喪失する。
実施例2.Nec-5のピリミジノン部分のN-置換基の影響
アリール置換基の影響の研究に関して、式(VI)の3-アリール-5,6-テトラメチレン-オチエノ[2,3-d]ピリミジン-4-オン-2-メルカプトエチルシアニド化合物(式中、R5は、ベンゼン環に導入された)を調製した。メチルメルカプト部分の導入は実質的な活性をもたらしたので(先に記載の通り)、式(VII)の2-メチルチオ-3-アリール-5,6-テトラメチレノチエノ[2,3-d]ピリミジン-4-オン化合物も調製した。
Figure 2010505953
式(VI)の化合物を調製するために、化合物(1)をアリールイソチオシアネート誘導体と反応させた。得られたチオ尿素類似体を、エタノールHCl中で円滑に環化して、2-メルカプト-3-アリール-5,6-テトラメチレノチエノ[2,3-d]ピリミジン-4-オンを形成した。水酸化カリウムの存在下で後者をBrCH2CNと反応させて、表3に列挙した化合物を得た。
Figure 2010505953
Figure 2010505953
表3に示すように、非置換フェニル環を有する化合物(32)は不活性であり、パラ-メチル基をベンゼン環に導入することによって(即ち、化合物(38))またはメトキシ基をエトキシ基で置き換えることによって(即ち、化合物(35))、幾らかの活性が保持された。例えばR5がパラ-ベンジルオキシ(-OBn)である化合物(46)に見られるように、R5置換基の大きさの増大によって活性が失われたが、このことは、Nec-5におけるR5パラ-メトキシ置換基の重要な役割を示し、さらにはR5の立体的なかさ高さの増大が活性にとって好ましくないことを示している。興味深いことに、R5置換基のパラOCF3によって活性が喪失する結果となり(化合物(51))、R5置換基のパラ-Fは、例えば化合物(39)に見られるように著しい活性を保持していた。さらに、パラ-F置換基(化合物(39))がパラ-Cl置換基(化合物(41))またはパラ-Br置換基(化合物(42))で置き換えられると、活性が著しく低減した。化合物(48)(式中、R5=3,4-O2(CH2))は良好な活性を示したが、このことは、高度に制限された標的の結合ポケットが、メトキシ基を非常に好むことを示している。
先に記載の合成方法と同じく、化合物(1)とアリールイソチオシアネート誘導体とを反応させることによって、式(VII)の化合物を調製した。得られたチオ尿素類似体を、エタノールHCl中で円滑に環化して、2-メルカプト-3-アリール-5,6-テトラメチレノチエノ[2,3-d]ピリミジン-4-オン誘導体を形成した。水酸化カリウムの存在下で後者をMeIと反応させて、表4に列挙した化合物を得た。
Figure 2010505953
Figure 2010505953
表4に示すように、式(VI)類似体(化合物(39)および化合物(47))に見られたものよりも著しく低かったものの、化合物(53)および(58)は幾らかの活性を示し、他の誘導体の全てが不活性であった。表3のデータと表4のデータの比較は、R1エチルシアニド部分が、R1メチルチオ部分よりかなり好ましいことを示している。
実施例3.Nec-5のチオフェン環上の置換基の影響
Nec-5のチオフェン環上の置換基の影響を研究するために、3-p-メトキシフェニル-5,6-二置換チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-オン-2-メルカプトエチルシアニド化合物(式(XII)の化合物に相当する)を合成したが、ここではNec-5の縮合シクロヘキシル環を、置換基R3およびR4で置き換えた。2-メチルチオ-3-p-メトキシフェニル-5,6-二置換チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-オン化合物(式(XIII)の化合物に相当する)も合成した。
式(XII)の化合物の一連は、対応する2-アミノ-3-カルベトキシチオフェン(IX)をp-メトキシフェニルイソチオシアネートと反応させてチオ尿素類似体(X)を得、次いでエタノールHCl溶液中で環化して、2-メルカプト[2,3-d]ピリミジン-4-オン(XI)を形成することによって生成した(スキーム3)。後者は、水酸化カリウムの存在下でのBrCH2CNとの反応時に、式(XII)の化合物をもたらした。
Figure 2010505953
試薬および条件:(a)p-メトキシフェニルイソチオシアネート、EtOH、還流。(b)エタノールHCl、還流。(c)70%EtOH中KOH、次いでBrCH2CN、室温で1〜2時間。
Figure 2010505953
Figure 2010505953
表5に示すように、5,6-チオフェン環のR3および/またはR4位に水素を含有する化合物(63)〜(66)は、完全に不活性であった。R3およびR4が両方メチル基であった場合(化合物(67))、高度な活性が保持されている。R3の制限付きの伸長は、活性を著しい程度保存したが(化合物(72))、R4位の伸長は、さらに著しく有害であった。例えば、化合物(68)(R4=Et)は、5.26μMのEC50および86.8%の保護を示したが、化合物(69)および(70)は不活性であった。したがって実験データは、R3およびR4が化合物の活性に寄与しているものの、R4位において、またそれほどではないにせよR3位におけるメチルを超える炭化水素鎖の伸長は、活性にとって有害であることを示している。
Nec-5の脂肪族6員環(化合物(1))の大きさの変化も調査した。5員環類似体である化合物(73)は、大部分の活性を保持していたが、7員環類似体である化合物(74)は、それより活性が低かった。6員環内に組み込まれたN-アルキル原子を有する化合物(77)および(78)は、実質的に不活性であった。このデータによって、Nec-5の脂肪族環の大きさの増大は不活化的であり、先に論じた側鎖伸長と一致することが示される。興味深いことに、シクロヘキサン環のフェニル環の置換(例えば、化合物(76))は、大部分の活性を保持していた。
2-メチルチオ-3-p-メトキシフェニル-5,6-二置換チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-オン(式XIIIの化合物に相当する)を、S-アルキル化試薬としてBrCH2CNの代わりにMeIを使用して、スキーム2の手順に従って調製したが、それらを表6に示す。
Figure 2010505953
Figure 2010505953
表6に示されるように、上記の化合物の活性は、表5の式XIIの化合物に類似していたが、全体的な活性は、一般により低かった。興味深いことに、R3、R4、およびR1基における同時変化は、驚くべき活性保存をもたらし、例えば化合物(87)の場合、5員環系(R3およびR4)とメチル基(R1)の組合せは、個別に成立した各変化(例えば、化合物(6)および(73))よりも高い活性を示したが、このことは活性部位におけるNec-5類似体の幾らか異なるトポロジーおよび配向を示すことができ、分子の異なる部分における置換基の組合せに依存することに留意されたい。
実施例4.Nec-5の硫黄およびチオフェン環上の置換基の影響
R3およびR4位に5員脂肪族環を担持する化合物(73)が活性を示したので、R1基の変化が、硫黄部分に対して異なるSARに変わるかどうかを決定するために、式(XIV)の化合物を合成した。表7に示すように、水酸化カリウムの存在下で2-メルカプト-3-p-メトキシフェニル-5,6-トリメチレノチエノ[2,3-d]ピリミジン-4-オンとRXとを反応させることによって、式(XIV)の化合物が形成された。
Figure 2010505953
Figure 2010505953
表7に示すように、5員環の導入は、一般に不活性を維持した。伸長した炭素鎖を有する化合物(93)〜(96)は、不活性であった。例えば化合物(100)〜(102)に見られるように、電子求引基(EWG)の導入は、完全に活性を失わせた。
2-メルカプト3-p-メトキシフェニル-5,6-二置換チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-オン(式(XV)の化合物)の調製は、水酸化カリウムの存在下、アルキル化剤としてRXを使用した点を除き、スキーム2に従って実施した。
Figure 2010505953
Figure 2010505953
表8に示すように、化合物(106)および(114)は幾らかの活性を保持しているが、化合物Nec-5ほどは著しく強力ではない。特に、化合物(110)は不活性であったが、このことは、チオフェン環上に存在するR3およびR4置換基の大きさの低減が、許容された大きさの硫黄R1置換基におけるより高度な柔軟性に変わらなかったことを示唆している。
実施例5.チオフェン環およびN-ピリミジノン部分上の置換基の影響
チオフェン環置換基R3およびR4とピリミジノン部分(R1およびR5)を一緒に変化させることによって、Nec-5の置換基の影響を研究した。化合物(39)、(48)、(76)、および(67)は著しい活性を示したので、これらの化合物の誘導体の合成を続行した。
スキーム3に類似の合成経路に従って、水酸化カリウムの存在下、対応するチオール誘導体とBrCH2CNまたはMeIをそれぞれ反応させると、3-p-フルオロフェニル-5,6-二置換チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-オン-2-メルカプトエチルシアニド化合物(表9に示す式(XVI)の化合物に相当する)および対応するメチルチオエーテル化合物(表10に示す式(XVII)の化合物に相当する)が生成された。
Figure 2010505953
Figure 2010505953
Figure 2010505953
Figure 2010505953
表9および10に示されるように、7員環を含有するメトキシ類似体である化合物(74)に対して、7員環を含有する分子は、完全に活性を欠いていた(例えば、化合物(122)および(126))。後者の結果は、化合物(88)によって示される活性の欠如を連想させるものである。これらの結果は、本発明らの分析によって標的とされる全ての3つの主な部分が、結合に重要な貢献をし、多数の望ましくない変化が、活性の相乗的な喪失をもたらすということを示しているが、このことは、得られた分子が結合ポケットを適切に占めることができないことを示唆している。
ジオキソラン環がフェニル部分に結合している3-(3',4')-メチレン-ジオキシフェニル-5,6-テトラメチレノチエノ[2,3-d]ピリミジン-4-オン-2-メルカプトエチルシアニド(化合物(48))が著しい活性を示したので、その誘導体の合成を実施した。3-(3',4')-メチレン-ジオキシフェニル-5,6-二置換チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-オン-2-メルカプトエチルシアニド(表11に示す式(XVIII)の化合物に相当する)および対応するメチルチオエーテル(表12に示す式(XIX)の化合物に相当する)を、水酸化カリウムの存在下、BrCH2CNまたはMeIを用いてチオール誘導体をS-アルキル化することによってそれぞれ生成した。3-(3',4')-エチレン-ジオキシフェニル-5,6-二置換チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-オン-2'-メルカプトエチルシアミド(ethlcyamide)(表13に示す式(XX)の化合物に相当する)を、対応するチオール化合物のS-アルキル化の通常の手順により実施した。
Figure 2010505953
Figure 2010505953
Figure 2010505953
Figure 2010505953
Figure 2010505953
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表11、12、および13の実験データは、不活性な化合物(131)および(132)を除き、メチレンまたはエチレンジオキソランフェニル環置換基を有する試験化合物の全て、特に式(XX)の化合物が活性を阻害したことを示している。後者の場合、本発明者らの先の結論と一致して、R5フェニル環置換基の選択において著しい柔軟性があるように見える。
R53,4-ジメチル-ベンゼン環置換基の活性に対する影響を研究するために、表14に示す式(XXI)の化合物および表15に示す式(XXII)の化合物を合成した。
Figure 2010505953
Figure 2010505953
Figure 2010505953
Figure 2010505953
興味深いことに、化合物(137)は化合物(43)よりも高い活性を示し、相乗的効果ではなく補償的効果を示す、分子の左および右位置の同時変化の最初の例を提示した。3,4-Me-置換分子は、より小さいR3/R4置換基の存在下で代替の結合位置を取ることができ、観測されたこの活性保持をもたらすことが可能である。しかし、化合物(138)および(139)が本質的に不活性であることから、この効果はR3/R4の特定の組合せに限定される。
化合物(76)が良好な活性を示したので、アリールイソチオシアネートとDMF中NaOHとを反応させて対応するチオール化合物を生成し、その後水酸化カリウムの存在下でそれぞれBrCH2CNまたはMeIを用いてS-アルキル化して、所望の標的分子を生成することによって、様々なフェニル環置換基を有するその類似体(それぞれ表16および17に示す式(XXIII)および(XXIV)に相当する化合物)の合成を実施した。
Figure 2010505953
Figure 2010505953
Figure 2010505953
Figure 2010505953
化合物(146)は、化合物(76)および(90)と共に強力な阻害剤であり、この化合物は、チオフェン環置換基の他の種類について先に定義されたSARと一致する。したがって、シクロヘキサン環のフェニル置換は、Nec-5活性を著しく変化させるとは思われない。
R3およびR4位のメチル基が著しい活性を示したので(例えば、化合物(67))、水酸化カリウムの存在下、対応するチオール誘導体とBrCH2CNまたはMeIをそれぞれ反応させることによって、追加のフェニル環置換を伴う類似体(それぞれ表18および19に示す式(XXV)および(XXVI)の化合物に相当する)を調製した。
Figure 2010505953
Figure 2010505953
Figure 2010505953
Figure 2010505953
表18および19に特定された化合物、ならびにR1=Me、R2=Meである先に記載の誘導体の分析は、かかる修飾が活性にとって好ましくなく、研究した全ての類似体が、対応するNec-5のシクロヘキサン部分(R3/R4=-(CH2)4-)類似体よりも一般に小さな活性を示すことを示唆している。さらに、式(XXI)および(XXII)の化合物で得られた結果とは異なり、分子の右部分および位置R4の好ましくない変化に関して活性の相乗的喪失が観測された。例えば、化合物(35)および(67)は、化合物(154)と比較して著しく高い活性を示した。
Nec-5のチオフェン環およびN-ピリミジノン上の置換基の組合せの影響についての研究では、3-アリール-5,6-二置換チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-オン-2-メルカプトエチルシアニド誘導体(表20に示す式(XXVII)の化合物に相当する)を調製した。
Figure 2010505953
Figure 2010505953
表20に示すように、化合物(167)のみが、非常に低減したとはいえ幾らかの活性を示したものの、チオフェンおよびフェニル環の組合せの変化は、活性にとって有害であった。
実施例6.Nec-5の硫黄およびN-ピリミジノンの置換基の影響
Nec-5の硫黄およびN-ピリミジノン上の置換基の影響についての研究では、非置換フェニル環および硫黄上の様々な置換基と組み合わせた、2-メルカプト-3-アリール-5,6-テトラメチレノチエノ[2,3-d]ピリミジン-4-オン誘導体(表21に示す式(XXVIII)の化合物に相当する)を調製した。
Figure 2010505953
Figure 2010505953
表21に示すように、R5置換基がパラ-メトキシという要求およびR1置換基がエチルシアニド基であることが好ましいことと一致して、全ての誘導体が不活性であることが見出された。
実施例7.硫黄、N-ピリミジノン、ならびにチオフェン環の置換基の影響
Nec-5のチオフェン環の硫黄およびN-ピリミジノン上の同時置換の影響についての研究では、2-メルカプト-3-アリール-5,6-二置換チエノ[2,3-d]ピリミジン-4-オン誘導体(表22に示す式(XXIX)の化合物に相当する)を合成した。
Figure 2010505953
Figure 2010505953
表22に示すように、R3/R4=-(CH2)4-、R1=CH2CN、およびR5=パラ-OMeが好ましいことと一致して、表22に示した全ての類似体は完全に不活性であった。
実施例1〜7の分析
本発明者らの予備のSAR研究は、Nec-5のTNFαで処理したFADD欠損ジャーカットT細胞におけるネクロトーシス阻害に関するEC50値が、分子の化学構造に密接に関係していることを示した。縮合したピリミドン-4環のα位におけるチオエチルシアニド部分(式中、R1=エチルシアニド)の存在は、代替基についてのこの部分の置換が活性の完全な喪失をもたらすことから必須である。例外は、化合物(6)がNec-5と同じEC50値を示すことから、R1がメチルの場合であるが、これは著しく低い最大保護値(71%)をもたらす。硫黄原子をスルホキシドに酸化(化合物(30))またはスルホンに酸化(化合物(31))することによって、活性が完全に喪失した。-OMe基の修飾を含むR5置換基の電子的効果の変動が、活性が低減した化合物を常にもたらしたことから、R5パラ-メトキシ基の存在も重要である。パラ-フルオロR5基を有する化合物(例えば、化合物(39))は、低減した活性およびわずかに低減した最大保護(85.1%)をもたらしたが、より大きなハロゲン化物は許容すらされなかった。しかし化合物(135)の場合、R5エチレンジオキシ基はパラ-メトキシにとって好ましく、化合物(135)は、ほぼ2倍の活性増大を示している。最後に、例えばシクロペンチル化合物(73)、シクロヘプチル化合物(74)、および化合物(76)のR3/R4ベンゼン環にさえも見られるように、R3/R4基の変動はある程度の活性を示した。2つのメチル基をR3およびR4位に導入することによって、活性が著しく増大することを指摘する価値がある。さらにこれらの結果は、追加の活性なNec-5類似体を生成するためにさらに研究され得る分子内の位置(例えば、R5位)があることを示唆している。
他の実施形態
上記の明細書に言及される全ての刊行物、特許、および特許出願は、参照によって本明細書に組み込まれる。本発明の記載の方法および系の様々な改変および変形は、本発明の範囲および精神から逸脱せずに当業者には明らかとなろう。本発明を、幾つかの実施形態に関連して記載してきたが、特許請求される本発明は、かかる幾つかの実施形態に過度に制限されるべきではないことを理解されたい。実際、当業者に明らかである、本発明を実施するための記載の実施態様の様々な改変は、本発明の範囲に含まれるものとする。
他の実施形態は特許請求の範囲に含まれる。

Claims (25)

  1. 式(I)の化合物または製薬上許容されるその塩:
    Figure 2010505953
    [式中、
    Qは、-S-、-S(O)-、および-S(O)2-からなる群から選択され、
    R1は、C1〜C9アルキル、C2〜C9アルケニル、C2〜C9アルキニル、C6〜C12アリール、およびC1〜C12カルボニルからなる群から選択され、
    R2は、C1〜C9アルカリールおよびC6〜C12アリールからなる群から選択され、
    R3およびR4は、独立に、C1〜C9アルキル、C2〜C9アルケニル、C2〜C9アルキニル、C1〜C9アルキルオキシ、およびC1〜C12カルボニルからなる群から選択され、あるいはR3とR4が一緒になって、C3〜C9炭素環式、C2〜C9複素環式、C6〜C12アリール、またはC2〜C12ヘテロアリール環系を形成し、
    但し、Qが-S-であり、R1が-CH2CNであり、R2が-C6H4(4-OMe)であり、R3とR4が一緒になって非置換のC6-炭素環式6員環を形成する化合物は、特に排除される]。
  2. 式(II)を有する請求項1に記載の化合物:
    Figure 2010505953
    [式中、R5は、H、C1〜C9アルキル、C2〜C9アルケニル、C2〜C9アルキニル、C3〜C9カルボシクリル、C2〜C9ヘテロシクリル、C2〜C9ヘテロアリール、C6〜C12アリール、C1〜C9アルキルオキシ、C1〜C9アルキルチオ、C6〜C12アリールチオ、C1〜C9ヒドロキシアルキル、C1〜C9アルキルオキシ、C6〜C12アリールオキシ、C1〜12カルボニル、C1〜C9フルオロアルキル、C1〜C9ペルフルオロアルキル、ハロゲン、-SH、-OH、-N3、-NH2、-NO2、および-CNからなる群から選択され、nは、1、2、3、または4である]。
  3. 式(III)を有する請求項1に記載の化合物:
    Figure 2010505953
    [式中、mは1、2、または3である]。
  4. 式(IV)を有する請求項1に記載の化合物:
    Figure 2010505953
    [式中、R6は、H、C1〜C9アルキル、C2〜C9アルケニル、C2〜C9アルキニル、C3〜C9カルボシクリル、C2〜C9ヘテロシクリル、C2〜C9ヘテロアリール、C6〜C12アリール、C1〜C9アルキルオキシ、C1〜C9アルキルチオ、C6〜C12アリールチオ、C1〜C9ヒドロキシアルキル、C1〜C9アルキルオキシ、C6〜C12アリールオキシ、C1〜12カルボニル、C1〜C9フルオロアルキル、C1〜C9ペルフルオロアルキル、ハロゲン、-SH、-OH、-N3、-NH2、-NO2、および-CNからなる群から選択され、nは、1、2、3、または4である]。
  5. 表2の化合物6〜31;表3の化合物32〜51;表4の化合物52〜62;表5の化合物63〜78;表6の化合物79〜92;表7の化合物93〜103;表8の化合物104〜118;表9の化合物119〜122;表10の化合物123〜126;表11の化合物127〜129;表12の化合物130〜132;表13の化合物133〜136;表14の化合物137〜139;表15の化合物140〜142;表16の化合物143〜148;表17の化合物149〜153;表18の化合物154〜157;表19の化合物158〜161;表20の化合物162〜169;表21の化合物170〜172;および表22の化合物173〜182からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
  6. 表2の化合物6、13、24、および25;表3の化合物33〜35、38〜41、43、44、および47〜49;表4の化合物53、55、および58;表5の化合物67、68、および72〜76;表6の化合物87および90;表7の化合物98および103;表8の化合物106および114;表9の化合物119および121;表10の化合物123および125;表11の化合物127〜129;表12の化合物130;表13の化合物133〜136;表14の化合物137および138;表16の化合物144および146;表17の化合物150;表18の化合物154および156;ならびに表20の化合物167からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
  7. 活性なNec-5化合物である、請求項6に記載の化合物。
  8. 式(I)の化合物または製薬上許容されるその塩、および製薬上許容される賦形剤を含む医薬組成物:
    Figure 2010505953
    [式中、
    Qは、-S-、-S(O)-、および-S(O)2-からなる群から選択され、
    R1は、C1〜C9アルキル、C2〜C9アルケニル、C2〜C9アルキニル、C6〜C12アリール、およびC1〜C12カルボニルからなる群から選択され、
    R2は、C1〜C9アルカリールおよびC6〜C12アリールからなる群から選択され、
    R3およびR4は、独立に、C1〜C9アルキル、C2〜C9アルケニル、C2〜C9アルキニル、C1〜C9アルキルオキシ、およびC1〜C12カルボニルからなる群から選択され、あるいはR3とR4が一緒になって、C3〜C9炭素環式、C2〜C9複素環式、C6〜C12アリール、またはC2〜C12ヘテロアリール環系を形成する]。
  9. 前記化合物が、表2の化合物1および6〜31;表3の化合物32〜51;表4の化合物52〜62;表5の化合物63〜78;表6の化合物79〜92;表7の化合物93〜103;表8の化合物104〜118;表9の化合物119〜122;表10の化合物123〜126;表11の化合物127〜129;表12の化合物130〜132;表13の化合物133〜136;表14の化合物137〜139;表15の化合物140〜142;表16の化合物143〜148;表17の化合物149〜153;表18の化合物154〜157;表19の化合物158〜161;表20の化合物162〜169;表21の化合物170〜172;ならびに表22の化合物173〜182からなる群から選択される、請求項8に記載の医薬組成物。
  10. 前記化合物が、表2の化合物1および6、13、24、および25;表3の化合物33〜35、38〜41、43、44、および47〜49;表4の化合物53、55、および58;表5の化合物67、68、および72〜76;表6の化合物87および90;表7の化合物98および103;表8の化合物106および114;表9の化合物119および121;表10の化合物123および125;表11の化合物127〜129;表12の化合物130;表13の化合物133〜136;表14の化合物137および138;表16の化合物144および146;表17の化合物150;表18の化合物154および156;ならびに表20の化合物167からなる群から選択される、請求項9に記載の医薬組成物。
  11. 前記化合物が、活性なNec-5化合物である、請求項10に記載の医薬組成物。
  12. 式(I-A)の化合物または製薬上許容されるその塩の合成方法であって:
    Figure 2010505953
    [式中、
    R1は、H、C1〜C9アルキル、C2〜C9アルケニル、C2〜C9アルキニル、C6〜C12アリール、およびC1〜C12カルボニルからなる群から選択され、
    R2は、C1〜C9アルカリールおよびC6〜C12アリールからなる群から選択され、
    R3およびR4は、独立に、C1〜C9アルキル、C2〜C9アルケニル、C2〜C9アルキニル、C1〜C9アルキルオキシ、およびC1〜C12カルボニルからなる群から選択され、あるいはR3とR4が一緒になって、C3〜C9炭素環式、C2〜C9複素環式、C6〜C12アリール、またはC2〜C12ヘテロアリール環系を形成し、
    R5は、H、C1〜C9アルキル、C2〜C9アルケニル、C2〜C9アルキニル、C3〜C9カルボシクリル、C2〜C9ヘテロシクリル、C2〜C9ヘテロアリール、C6〜C12アリール、C1〜C9アルキルオキシ、C1〜C9アルキルチオ、C6〜C12アリールチオ、C1〜C9ヒドロキシアルキル、C1〜C9アルキルオキシ、C6〜C12アリールオキシ、C1〜12カルボニル、C1〜C9フルオロアルキル、C1〜C9ペルフルオロアルキル、ハロゲン、-SH、-OH、-N3、-NH2、-NO2、および-CNからなる群から選択され、
    nは、1、2、3、または4である]、
    式(I-B)の化合物を提供するステップ:
    Figure 2010505953
    [式中、
    LGは、C1〜C9アルキルオキシ、C1〜C9アルキルスルホニルオキシ、C6〜C12アリールスルホニルオキシ、またはハロゲンである]および
    前記式(I-B)の化合物をC6〜C12アリールイソチオシアネートと反応させて、式(I-C)の化合物を提供するステップ:
    Figure 2010505953
    を含み、その後前記式(I-C)の化合物を変換して、式(I-A)の化合物を生成する、上記方法。
  13. 前記式(I-B)の化合物が、式(I-E)の化合物から得られる、請求項12に記載の方法。
    Figure 2010505953
  14. 表1に示した疾患または状態を有する被験体を治療する方法であって、請求項1に記載の有効量の化合物を前記被験体に投与するステップを含む、上記方法。
  15. 前記疾患または状態が、慢性神経変性疾患;急性神経疾患;急性神経変性;腎不全に関連する細胞死の結果;網膜神経細胞死の結果;心筋の細胞死の結果;免疫系の細胞の細胞死の結果;心筋梗塞症;心筋梗塞;卒中;虚血性脳卒中;出血性脳卒中;虚血;虚血性肝疾患、膵疾患、心疾患、脳疾患、腎疾患または損傷;虚血性腸間膜、網膜、または神経細胞損傷;臓器保存中の虚血性損傷;遅発性虚血脳損傷;外傷性脳損傷;頭部外傷;敗血症;敗血症性ショック;ネクロトーシス;壊死;虚血性壊死;網膜壊死;集中治療の壊死性ミオパチー;原発性全身性感染症;膵炎;あるいはLPSによって誘発される細胞死である、請求項14に記載の方法。
  16. 前記慢性神経変性疾患が、アルツハイマー病;ハンチントン病;パーキンソン病;筋萎縮性側索硬化症;HIV関連認知症;脳虚血;筋萎縮性側索硬化症;多発性硬化症;レビー小体病;メンケス病;ウィルソン病;クロイツフェルト-ヤコブ病;またはファール病である、請求項15に記載の方法。
  17. 前記化合物が、表2の化合物6〜31;表3の化合物32〜51;表4の化合物52〜62;表5の化合物63〜78;表6の化合物79〜92;表7の化合物93〜103;表8の化合物104〜118;表9の化合物119〜122;表10の化合物123〜126;表11の化合物127〜129;表12の化合物130〜132;表13の化合物133〜136;表14の化合物137〜139;表15の化合物140〜142;表16の化合物143〜148;表17の化合物149〜153;表18の化合物154〜157;表19の化合物158〜161;表20の化合物162〜169;表21の化合物170〜172;および表22の化合物173〜182からなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
  18. 前記化合物が、表2の化合物6、13、24、および25;表3の化合物33〜35、38〜41、43、44、および47〜49;表4の化合物53、55、および58;表5の化合物67、68、および72〜76;表6の化合物87および90;表7の化合物98および103;表8の化合物106および114;表9の化合物119および121;表10の化合物123および125;表11の化合物127〜129;表12の化合物130;表13の化合物133〜136;表14の化合物137および138;表16の化合物144および146;表17の化合物150;表18の化合物154および156;ならびに表20の化合物167からなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
  19. 前記化合物が、活性なNec-5化合物である、請求項18に記載の方法。
  20. 表1に示した疾患または状態を有する被験体を治療する方法であって、請求項8に記載の有効量の医薬組成物を前記被験体に投与するステップを含む、上記方法。
  21. 前記疾患または状態が、慢性神経変性疾患;急性神経疾患;急性神経変性;腎不全に関連する細胞死の結果;網膜神経細胞死の結果;心筋の細胞死の結果;免疫系の細胞の細胞死の結果;心筋梗塞症;心筋梗塞;卒中;虚血性脳卒中;出血性脳卒中;虚血;虚血性肝疾患、膵疾患、心疾患、脳疾患、腎疾患または損傷;虚血性腸間膜、網膜、または神経細胞損傷;臓器保存中の虚血性損傷;遅発性虚血脳損傷;外傷性脳損傷;頭部外傷;敗血症;敗血症性ショック;ネクロトーシス;壊死;虚血性壊死;網膜壊死;集中治療の壊死性ミオパチー;原発性全身性感染症;膵炎;あるいはLPSによって誘発される細胞死である、請求項20に記載の方法。
  22. 前記慢性神経変性疾患が、アルツハイマー病;ハンチントン病;パーキンソン病;筋萎縮性側索硬化症;HIV関連認知症;脳虚血;筋萎縮性側索硬化症;多発性硬化症;レビー小体病;メンケス病;ウィルソン病;クロイツフェルト-ヤコブ病;またはファール病である、請求項21に記載の方法。
  23. 前記化合物が、表2の化合物1および化合物6〜31;表3の化合物32〜51;表4の化合物52〜62;表5の化合物63〜78;表6の化合物79〜92;表7の化合物93〜103;表8の化合物104〜118;表9の化合物119〜122;表10の化合物123〜126;表11の化合物127〜129;表12の化合物130〜132;表13の化合物133〜136;表14の化合物137〜139;表15の化合物140〜142;表16の化合物143〜148;表17の化合物149〜153;表18の化合物154〜157;表19の化合物158〜161;表20の化合物162〜169;表21の化合物170〜172;ならびに表22の化合物173〜182からなる群から選択される、請求項20に記載の方法。
  24. 前記化合物が、表2の化合物1、6、13、24、および25;表3の化合物33〜35、38〜41、43、44、および47〜49;表4の化合物53、55、および58;表5の化合物67、68、および72〜76;表6の化合物87および90;表7の化合物98および103;表8の化合物106および114;表9の化合物119および121;表10の化合物123および125;表11の化合物127〜129;表12の化合物130;表13の化合物133〜136;表14の化合物137および138;表16の化合物144および146;表17の化合物150;表18の化合物154および156;ならびに表20の化合物167からなる群から選択される、請求項23に記載の方法。
  25. 前記化合物が、活性なNec-5化合物である、請求項24に記載の方法。
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